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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/10 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
F28D7/10 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022503071
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2020035630
(87)【国際公開番号】W WO2021171668
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2020029799
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】赤埴 達也
(72)【発明者】
【氏名】川口 竜生
(72)【発明者】
【氏名】吉原 誠
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-199852(JP,A)
【文献】国際公開第2019/135312(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/00-7/16
F28F 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項9】
前記開閉バルブは、熱交換時に前記内筒部材の内側における前記第1流体の流れを調整可能に構成されている、請求項8に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の燃費改善が求められている。特に、エンジン始動時などのエンジンが冷えている時の燃費悪化を防ぐため、冷却水、エンジンオイル、オートマチックトランスミッションフルード(ATF:Automatic Transmission Fluid)などを早期に暖めて、フリクション(摩擦)損失を低減するシステムが期待されている。また、排ガス浄化用触媒を早期に活性化するために触媒を加熱するシステムが期待されている。
【0003】
このようなシステムとして、例えば、熱交換器がある。熱交換器は、内部に第1流体を流通させるとともに外部に第2流体を流通させることにより、第1流体と第2流体との間で熱交換を行う装置である。このような熱交換器では、高温の流体(例えば、排ガスなど)から低温の流体(例えば、冷却水など)へ熱交換することにより、熱を有効利用することができる。
特許文献1には、第1流体(例えば、排ガス)が流通可能な複数のセルを有するハニカム構造体として形成された集熱部と、集熱部の外周面を覆うように配置され、集熱部との間に第2流体(例えば、冷却水)が流通可能なケーシングとを有する熱交換器が提案されている。
しかしながら、特許文献1の熱交換器は、第1流体から第2流体に排熱を常時回収する構造となっているため、排熱を回収する必要がない場合(熱交換が必要でない場合)にも排熱を回収してしまうことがあった。そのため、排熱を回収する必要がない場合に回収された排熱を放出するためのラジエータの容量を大きくする必要があった。
【0004】
一方、特許文献2には、中空型の柱状ハニカム構造体と、中空型の柱状ハニカム構造体の外周壁を被覆する被覆部材と、中空型の柱状ハニカム構造体の中空領域に設けられ、第1流体を中空型の柱状ハニカム構造体のセルに導入するための貫通孔を有する内筒と、被覆部材との間に第2流体の流路を形成するフレームと、第1流体と第2流体との間の熱交換時に、内筒の内側における第1流体の流れを遮断するための開閉バルブ(開閉弁)とを備える熱交換器が提案されている。この熱交換器は、開閉弁の開閉によって熱回収(熱交換)の促進と抑制との切替えを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-037165号公報
【文献】国際公開第2019/135312号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の熱交換器は、熱回収抑制時(開閉バルブを開とした場合)に、内筒の貫通孔(第1流体の熱回収路入口)付近における第1流体の流れが速くなる一方、内筒の下流側端部(第1流体の熱回収路出口)付近における第1流体の流れが遅くなる。そのため、内筒の貫通孔付近と内筒の下流側端部付近との間で圧力差が生じ、内筒の下流側端部側から内筒の貫通孔に向かって第1流体が逆流し易くなる。その結果、熱回収抑制時に、逆流した第1流体の流れによって熱回収されてしまうことから、熱遮断性能が十分でないという課題があることが、本発明者らの検討の結果明らかになった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、熱回収抑制時の熱遮断性能に優れる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、熱交換器の構造について鋭意研究を行った結果、特定の構造を有する熱交換器とすることにより、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、内周壁、外周壁、及び前記内周壁と前記外周壁との間に配設され、第1端面から第2端面まで延びる第1流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁を有する中空型の柱状ハニカム構造体と、
前記柱状ハニカム構造体の前記外周壁の表面に嵌合される第1外筒部材と、
前記柱状ハニカム構造体の前記内周壁の表面に嵌合される内筒部材と、
前記内筒部材の径方向内側に前記第1流体の流路を構成するように間隔をもって配置される部分を有する上流側筒状部材と、
前記第1流体の流路を構成するように、前記第1外筒部材の上流側端部と前記上流側筒状部材の上流側との間を接続する筒状接続部材と、
前記第1外筒部材の下流側端部に接続され、前記内筒部材の径方向外側に前記第1流体の流路を構成するように間隔をもって配置される部分を有する下流側筒状部材と
を備え、
前記内筒部材は、前記柱状ハニカム構造体の前記第2端面の位置から下流側端部側に向かって縮径するテーパ部を有し、
前記内筒部材の下流側端部の内径は、前記上流側筒状部材の下流側端部の内径に対する差の割合が±20%以内である熱交換器である。
【0009】
また、本発明は、内周壁、外周壁、及び前記内周壁と前記外周壁との間に配設され、第1端面から第2端面まで延びる第1流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁を有する中空型の柱状ハニカム構造体と、
前記柱状ハニカム構造体の前記外周壁の表面に嵌合される第1外筒部材と、
前記柱状ハニカム構造体の前記内周壁の表面に嵌合される内筒部材と、
前記内筒部材の径方向内側に前記第1流体の流路を構成するように間隔をもって配置される部分を有する上流側筒状部材と、
前記第1流体の流路を構成するように、前記第1外筒部材の上流側端部と前記上流側筒状部材の上流側との間を接続する筒状接続部材と、
前記第1外筒部材の下流側端部に接続され、前記内筒部材の径方向外側に前記第1流体の流路を構成するように間隔をもって配置される部分を有する下流側筒状部材と
を備え、
前記内筒部材は、前記柱状ハニカム構造体の前記第2端面の位置から下流側端部側に向かって縮径するテーパ部を有し、
前記上流側筒状部材は、下流側端部が前記柱状ハニカム構造体の前記第2端面の位置よりも下流側に延在している熱交換器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱回収抑制時の熱遮断性能に優れる熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る熱交換器の第1流体の流通方向に平行な断面図である。
図2図1の熱交換器におけるa-a’線の断面図である。
図3】上流側筒状部材の下流側端部周辺における第1流体の流通方向に平行な部分拡大断面図である。
図4】金属Siの含浸焼成方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し変更、改良などが適宜加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る熱交換器の第1流体の流通方向に平行な断面図である。また、図2は、図1の熱交換器におけるa-a’線の断面図である。
図1及び2に示されるように、本発明の実施形態に係る熱交換器100は、中空型の柱状ハニカム構造体10(以下、「柱状ハニカム構造体」と略すことがある)と、第1外筒部材20と、内筒部材30と、上流側筒状部材40と、筒状接続部材50と、下流側筒状部材60とを備えている。本発明の実施形態に係る熱交換器100は、第2外筒部材70及び開閉バルブ80の少なくとも1つを更に備えることができる。
以下、具体的な実施形態について説明する。
【0014】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る熱交換器は、以下の(1)及び(2)の特徴を有する。
(1)内筒部材30が柱状ハニカム構造体10の第2端面13bの位置から下流側端部31b側に向かって縮径するテーパ部32を有する。
(2)内筒部材30の下流側端部31bの内径は、上流側筒状部材40の下流側端部41bの内径に対する差の割合Rが±20%以内である。
上記の(1)及び(2)の特徴を組み合わせることにより、熱回収抑制時(開閉バルブ80を開とした場合)に、上流側筒状部材40の下流側端部41b付近(熱回収促進時の熱回収路入口A付近)と内筒部材30の下流側端部31b付近(熱回収促進時の熱回収路出口B付近)との間の圧力差を小さくすることができるため、熱回収路出口Bから熱回収路入口Aに向かって流れる第1流体の逆流現象を抑制し、熱遮断性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態1に係る熱交換器100の構成要素の詳細について説明する。
【0015】
<中空型の柱状ハニカム構造体10>
中空型の柱状ハニカム構造体10は、内周壁11、外周壁12、及び内周壁11と外周壁12との間に配設され、第1端面13aから第2端面13bまで延びる第1流体の流路となる複数のセル14を区画形成する隔壁15を有する。
ここで、本明細書において「中空型の柱状ハニカム構造体10」とは、第1流体の流路方向に垂直な中空型の柱状ハニカム構造体10の断面において、中心部に中空領域を有する柱状ハニカム構造体10を意味する。
中空型の柱状ハニカム構造体10の形状(外形)としては、特に限定されず、例えば、円柱、楕円柱、四角柱又はその他の多角柱などとすることができる。
また、中空型の柱状ハニカム構造体10における中空領域の形状についても、特に限定されず、例えば、円柱、楕円柱、四角柱又はその他の多角柱などとすることができる。
なお、中空型の柱状ハニカム構造体10の形状と、中空領域の形状とは同一であっても異なっていてもよいが、外部からの衝撃、熱応力などに対する耐性の観点から、同一であることが好ましい。
【0016】
セル14の形状としては、特に限定されず、第1流体の流路方向に垂直な方向の断面において、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、又はその他の多角形などとすることができる。また、セル14は、第1流体の流路方向に垂直な方向の断面において、放射状に設けられていることが好ましい。このような構成とすることにより、セル14を流通する第1流体の熱を中空型の柱状ハニカム構造体10の外部に効率良く伝達することができる。
【0017】
隔壁15の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.2~0.6mmである。隔壁15の厚みを0.1mm以上とすることにより、中空型の柱状ハニカム構造体10の機械的強度を十分なものとすることができる。また、隔壁15の厚さを1.0mm以下とすることにより、開口面積の低下によって圧力損失が大きくなったり、第1流体との接触面積の低下によって熱回収効率が低下したりするなどの問題を抑制することができる。
【0018】
内周壁11及び外周壁12の厚みは、特に限定されないが、隔壁15の厚みよりも大きいことが好ましい。このような構成とすることにより、外部からの衝撃、第1流体と第2流体との間の温度差による熱応力などによって破壊(例えば、ひび、割れなど)が起こり易い内周壁11及び外周壁12の強度を高めることができる。
なお、内周壁11及び外周壁12の厚みは、特に限定されず、用途などに応じて適宜調整すればよい。例えば、内周壁11及び外周壁12の厚みは、熱交換器100を一般的な熱交換用途に用いる場合は、好ましくは0.3mm~10mm、より好ましくは0.5mm~5mm、更に好ましくは1mm~3mmである。また、熱交換器100を蓄熱用途に用いる場合は、外周壁12の厚みを10mm以上として外周壁12の熱容量を増大させてもよい。
【0019】
隔壁15、内周壁11及び外周壁12は、セラミックスを主成分とする。「セラミックスを主成分とする」とは、全成分の質量に占めるセラミックスの質量比率が50質量%以上であることをいう。
【0020】
隔壁15、内周壁11及び外周壁12の気孔率は、特に限定されないが、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。また、隔壁15、内周壁11及び外周壁12の気孔率は0%であってもよい。隔壁15、内周壁11及び外周壁12の気孔率を10%以下とすることにより、熱伝導率を向上させることができる。
【0021】
隔壁15、内周壁11及び外周壁12は、熱伝導性が高いSiC(炭化珪素)を主成分として含むことが好ましい。このような材料としては、Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC、金属複合SiC、再結晶SiC、Si34、及びSiCなどが挙げられる。これらの中でも、安価に製造でき、高熱伝導であることからSi含浸SiC、(Si+Al)含浸SiCを用いることが好ましい。
【0022】
第1流体の流路方向に垂直な中空型の柱状ハニカム構造体10の断面におけるセル密度(すなわち、単位面積当たりのセル14の数)は、特に限定されないが、好ましくは4~320セル/cm2である。セル密度を4セル/cm2以上とすることにより、隔壁15の強度、ひいては中空型の柱状ハニカム構造体10自体の強度及び有効GSA(幾何学的表面積)を十分に確保することができる。また、セル密度を320セル/cm2以下とすることにより、第1流体が流れる際の圧力損失の増大を抑制することができる。
【0023】
中空型の柱状ハニカム構造体10のアイソスタティック強度は、特に限定されないが、好ましくは100MPa以上、より好ましくは150MPa以上、更に好ましくは200MPa以上である。中空型の柱状ハニカム構造体10のアイソスタティック強度を100MPa以上とすることにより、中空型の柱状ハニカム構造体10の耐久性を向上させることができる。中空型の柱状ハニカム構造体10のアイソスタティック強度は、社団法人自動車技術会発行の自動車規格であるJASO規格M505-87に規定されているアイソスタティック強度の測定方法に準じて測定することができる。
【0024】
第1流体の流路方向に垂直な方向の断面における外周壁12の直径(外径)は、特に限定されないが、好ましくは20~200mm、より好ましくは30~100mmである。このような直径とすることにより、熱回収効率を向上させることができる。外周壁12が円形でない場合には、外周壁12の断面形状に内接する最大内接円の直径を、外周壁12の直径とする。
また、第1流体の流路方向に垂直な方向の断面における内周壁11の直径は、特に限定されないが、好ましくは1~50mm、より好ましくは2~30mmである。内周壁11の断面形状が円形でない場合には、内周壁11の断面形状に内接する最大内接円の直径を、内周壁11の直径とする。
【0025】
中空型の柱状ハニカム構造体10の熱伝導率は、特に限定されないが、25℃において、好ましくは50W/(m・K)以上、より好ましくは100~300W/(m・K)、更に好ましくは120~300W/(m・K)である。中空型の柱状ハニカム構造体10の熱伝導率を、このような範囲とすることにより、熱伝導性が良好となり、中空型の柱状ハニカム構造体10内の熱を外部に効率良く伝達させることができる。なお、熱伝導率の値は、レーザーフラッシュ法(JIS R1611-1997)により測定した値を意味する。
【0026】
中空型の柱状ハニカム構造体10のセル14に、第1流体として排ガスを流す場合、中空型の柱状ハニカム構造体10の隔壁15に触媒を担持させてもよい。隔壁15に触媒を担持させると、排ガス中のCO、NOx、HCなどを触媒反応によって無害な物質にすることが可能になるとともに、触媒反応の際に生じる反応熱を熱交換に用いることも可能になる。触媒としては、貴金属(白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、インジウム、銀、及び金)、アルミニウム、ニッケル、ジルコニウム、チタン、セリウム、コバルト、マンガン、亜鉛、銅、スズ、鉄、ニオブ、マグネシウム、ランタン、サマリウム、ビスマス、及びバリウムからなる群から選択された元素を少なくとも一種含有するものであることが好ましい。上記元素は、金属単体、金属酸化物、又はそれ以外の金属化合物として含有されていてもよい。
【0027】
触媒(触媒金属+担持体)の担持量としては、特に限定されないが、好ましくは10~400g/Lである。また、貴金属を含む触媒を用いる場合、その担持量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~5g/Lである。触媒(触媒金属+担持体)の担持量を10g/L以上とすることにより、触媒作用が発現し易くなる。また、触媒(触媒金属+担持体)の担持量400g/L以下とすることにより、圧力損失とともに製造コストの上昇を抑えることができる。担持体とは、触媒金属が担持される担体のことである。担持体としては、アルミナ、セリア、及びジルコニアからなる群より選択される少なくとも一種を含有するものを用いることができる。
【0028】
<第1外筒部材20>
第1外筒部材20は、柱状ハニカム構造体10の外周壁12の表面(外周面)に嵌合される。嵌合は、直接的又は間接的のいずれであってもよいが、熱回収効率の観点から直接的であることが好ましい。
第1外筒部材20は、上流側端部21a及び下流側端部21bを有する筒状部材である。
第1外筒部材20の軸方向は、柱状ハニカム構造体10の軸方向と一致し、第1外筒部材20の中心軸は柱状ハニカム構造体10の中心軸と一致することが好ましい。また、第1外筒部材20の軸方向の中央位置は、柱状ハニカム構造体10の軸方向の中央位置と一致してもよい。さらに、第1外筒部材20の径(外径及び内径)は、軸方向にわたって一様であってよいが、少なくとも一部(例えば、軸方向両端部など)が縮径又は拡径していてもよい。
第1外筒部材20としては、特に限定されず、例えば、柱状ハニカム構造体10の外周壁12の表面に嵌合して柱状ハニカム構造体10の外周壁12を周回被覆する筒状部材を用いることができる。
【0029】
ここで、本明細書において、「嵌合」とは、柱状ハニカム構造体10と第1外筒部材20とが、相互に嵌まり合った状態で固定されていることをいう。したがって、柱状ハニカム構造体10と第1外筒部材20との嵌合においては、すきま嵌め、締まり嵌め、焼き嵌めなどの嵌め合いによる固定方法の他、ろう付け、溶接、拡散接合などにより、柱状ハニカム構造体10と第1外筒部材20とが相互に固定されている場合なども含まれる。
【0030】
第1外筒部材20は、柱状ハニカム構造体10の外周壁12の表面に対応した内周面形状を有することが好ましい。第1外筒部材20の内周面が柱状ハニカム構造体10の外周壁12に直接接触することで、熱伝導性が良好となり、柱状ハニカム構造体10内の熱を第1外筒部材20に効率良く伝達することができる。
【0031】
熱回収効率を高めるという観点からは、柱状ハニカム構造体10の外周壁12の全周面積に対する、第1外筒部材20によって周回被覆される柱状ハニカム構造体10の外周壁12の部分の周面積の割合は高い方が好ましい。具体的には、当該周面積の割合は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは100%(すなわち、柱状ハニカム構造体10の外周壁12の全部が第1外筒部材20によって周回被覆される。)である。
なお、ここでいう「外周壁12の表面」とは、柱状ハニカム構造体10の第1流体の流路方向に平行な面を指し、柱状ハニカム構造体10の第1流体の流路方向と垂直な面(第1端面13a及び第2端面13b)を示すものではない。
【0032】
第1外筒部材20の材料は、特に限定されないが、製造性の観点から金属であることが好ましい。また、第1外筒部材20が金属製であると、後述する第2外筒部材70などとの溶接が容易に行える点でも優れている。第1外筒部材20の材料としては、例えば、ステンレス、チタン合金、銅合金、アルミ合金、真鍮などを用いることができる。その中でも、耐久信頼性が高く、安価という理由により、ステンレスが好ましい。
【0033】
第1外筒部材20の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上である。第1外筒部材20の厚みを0.1mm以上とすることにより、耐久信頼性を確保することができる。また、第1外筒部材20の厚みは、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3mm以下が更により好ましい。第1外筒部材20の厚みを10mm以下とすることにより、熱抵抗を低減して熱伝導性を高めることができる。
【0034】
<内筒部材30>
内筒部材30は、柱状ハニカム構造体10の内周壁11の表面(内周面)に嵌合される。嵌合は、直接的又は間接的のいずれであってもよい。
内筒部材30は、上流側端部31a及び下流側端部31bを有する筒状部材である。
内筒部材30は、柱状ハニカム構造体10の第2端面13bの位置から下流側端部31b側に向かって縮径するテーパ部32を有する。このようなテーパ部32を設けることにより、内筒部材30の下流側端部31bの内径と、上流側筒状部材40の下流側端部41bの内径との差を小さくすることができる。
内筒部材30の下流側端部31bの内径は、上流側筒状部材40の下流側端部41bの内径に対する差の割合Rが±20%以内、好ましくは±15%以内、さらに好ましくは±10%以内である。
ここで、上記の割合Rは、以下の式によって算出することができる。
R=(上流側筒状部材40の下流側端部41bの内径-内筒部材30の下流側端部31bの内径)/上流側筒状部材40の下流側端部41bの内径×100
上記の割合Rを±20%以内とすることにより、熱回収抑制時(開閉バルブ80を開とした場合)に、上流側筒状部材40の下流側端部41b付近(熱回収促進時の熱回収路入口A付近)における第1流体の流れの速度と、内筒部材30の下流側端部31b付近(熱回収促進時の熱回収路出口B付近)における第1流体の流れの速度とを同程度にすることができるため、上流側筒状部材40の下流側端部41b付近と内筒部材30の下流側端部31b付近との間の圧力差が小さくなる。その結果、熱回収路出口Bから熱回収路入口Aに向かって流れる第1流体の逆流現象を抑制し、熱遮断性能を向上させることができる。
また、上記の割合Rは、プラスであれば熱回収路出口Bから熱回収路入口Aに向かって流れる第1流体の逆流が生じる傾向にある一方、マイナスであれば熱回収路入口Aから熱回収路出口Bに向かって流れる第1流体の順流が生じる傾向にある。第1流体の順流は、第1流体の逆流に比べて熱遮断性能を低下させ易いため、第1流体の逆流よりも第1流体の順流を抑制することが好ましい。したがって、上記の割合Rは、プラスの値を示すこと(例えば、0~20%、0~15%又は0~10%であること)が好ましい。
【0035】
テーパ部32は、内筒部材30の軸方向に対する傾斜角度が、好ましくは45°以下、より好ましくは42°以下、さらに好ましくは40°以下である。このような傾斜角度に制御することにより、熱回収抑制時(開閉バルブ80を開とした場合)に、内筒部材30と上流側筒状部材40との間を通って柱状ハニカム構造体10に入る第1流体の流れを抑制することができるため、熱遮断性能を向上させることができる。
なお、テーパ部32の傾斜角度の下限値は、特に限定されないが、熱交換器100のコンパクト化などの観点から、一般的に10°、好ましくは15°である。
【0036】
内筒部材30は、上流側端部31aが柱状ハニカム構造体10の第1端面13aと略同一の位置に配置されていることが好ましい。このような構造とすることにより、熱回収促進時(開閉バルブ80を閉とした場合)に、内筒部材30と上流側筒状部材40との間を通って柱状ハニカム構造体10に入る第1流体の流路が短くなるため、熱回収性能を向上させることができる。
ここで、本明細書において「柱状ハニカム構造体10の第1端面13aと略同一の位置」とは、第1端面13aと同一の位置だけでなく、柱状ハニカム構造体10の第1端面13aから柱状ハニカム構造体10の軸方向に±10mm程度ずれた位置を含む概念である。
【0037】
内筒部材30の軸方向は、柱状ハニカム構造体10の軸方向と一致し、内筒部材30の中心軸は柱状ハニカム構造体10の中心軸と一致することが好ましい。また、内筒部材30の軸方向の中央位置は、柱状ハニカム構造体10の軸方向の中央位置と一致することが好ましい。
【0038】
内筒部材30としては、特に限定されず、外周面の一部が柱状ハニカム構造体10の内周壁11の表面と接する筒状部材を用いることができる。
ここで、内筒部材30の外周面の一部と柱状ハニカム構造体10の内周壁11の表面とは直接的に接していてもよく、他の部材(例えば、断熱マットなど)を介して間接的に接していてもよい。
【0039】
内筒部材30の外周面の一部と柱状ハニカム構造体10の内周壁11の表面とは、相互に嵌まり合った状態で固定されている。固定方法としては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の固定方法について述べた内容と同様の方法が挙げられる。
【0040】
内筒部材30の材料としては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の材料について述べた内容と同様の材料が挙げられる。
【0041】
内筒部材30の厚みとしては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の厚みについて述べた内容と同様の厚みが挙げられる。
【0042】
<上流側筒状部材40>
上流側筒状部材40は、内筒部材30の径方向内側に第1流体の流路を構成するように間隔をもって配置される部分を有する。
上流側筒状部材40は、上流側端部41a及び下流側端部41bを有する筒状部材である。
上流側筒状部材40の軸方向は、柱状ハニカム構造体10の軸方向と一致し、上流側筒状部材40の中心軸は柱状ハニカム構造体10の中心軸と一致することが好ましい。
【0043】
上流側筒状部材40は、下流側端部41bが柱状ハニカム構造体10の第2端面13bの位置よりも下流側に延在していることが好ましい。このような構成とすることにより、上流側筒状部材40の下流側端部41b付近(熱回収促進時の熱回収路入口A付近)と、内筒部材30の下流側端部31b付近(熱回収促進時の熱回収路出口B付近)との距離を短くすることができるため、熱回収抑制時(開閉バルブ80を開とした場合)に両者の圧力差が小さくなる。その結果、熱回収路出口Bから熱回収路入口Aに向かって流れる第1流体の逆流現象を抑制し、熱遮断性能を向上させることができる。
【0044】
上流側筒状部材40は、下流側端部41bが径方向内側に湾曲していることが好ましい。このような構成とすることにより、熱回収抑制時(開閉バルブ80を開とした場合)に、第1流体が熱回収路入口Aから入って柱状ハニカム構造体10に流れることを抑制することができるため、熱遮断性能を向上させることができる。
ここで、下流側端部41bが径方向内側に湾曲している熱交換器の部分拡大断面図を図3に示す。図3は、上流側筒状部材40の下流側端部41b周辺における第1流体の流通方向に平行な部分拡大断面図である。
図3に示されるように、上流側筒状部材40の下流側端部41bが径方向内側に湾曲した湾曲部42を有する。湾曲部42の存在によって、熱回収抑制時(開閉バルブ80を開とした場合)に、第1流体が熱回収路入口Aから内筒部材30と上流側筒状部材40との間に侵入し難くなるため、第1流体の下流側への流れがスムーズになる。
下流側端部41bの湾曲の程度は、特に限定されないが、湾曲していない部分を基準として径方向内側に0.5~1.0mm程度湾曲していればよい。
【0045】
上流側筒状部材40の上流側端部41a側の構造は、特に限定されず、上流側筒状部材40の上流側端部41aが接続される他の部品(例えば、配管など)の形状に応じて適宜調整することができる。例えば、他の部品の径が上流側端部41aの径に比べて大きい場合、図1に示されるように、上流側端部41a側を拡径させればよい。
【0046】
上流側筒状部材40の固定方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する筒状接続部材50を介して第1外筒部材20などに固定すればよい。固定方法としては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の固定方法について述べた内容と同様の方法が挙げられる。
【0047】
上流側筒状部材40の材料としては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の材料について述べた内容と同様の材料が挙げられる。
【0048】
上流側筒状部材40の厚みとしては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の厚みについて述べた内容と同様の厚みが挙げられる。
【0049】
<筒状接続部材50>
筒状接続部材50は、第1流体の流路を構成するように、第1外筒部材20の上流側端部21aと上流側筒状部材40の上流側との間を接続する筒状部材である。接続は、直接的又は間接的のいずれであってもよい。間接的な接続の場合、例えば、第1外筒部材20の上流側端部21aと上流側筒状部材40の上流側との間に、後述する第2外筒部材70の上流側端部71aなどが配置されていてもよい。
筒状接続部材50の軸方向は、柱状ハニカム構造体10の軸方向と一致し、筒状接続部材50の中心軸は柱状ハニカム構造体10の中心軸と一致することが好ましい。
【0050】
筒状接続部材50の形状は、特に限定されないが、曲面構造を有していてもよい。このような構造とすることにより、熱回収促進時(開閉バルブ80を閉とした場合)に、熱回収路入口Aから入って柱状ハニカム構造体10に流れる第1流体の流れをスムーズにすることができるため、圧力損失を低減することができる。
【0051】
筒状接続部材50の材料としては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の材料について述べた内容と同様の材料が挙げられる。
【0052】
筒状接続部材50の厚みとしては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の厚みについて述べた内容と同様の厚みが挙げられる。
【0053】
<下流側筒状部材60>
下流側筒状部材60は、第1外筒部材20の下流側端部21bに接続され、内筒部材30の径方向外側に第1流体の流路を構成するように間隔をもって配置される部分を有する。接続は、直接的又は間接的のいずれであってもよい。間接的な接続の場合、例えば、下流側筒状部材60と第1外筒部材20の下流側端部21bとの間に、後述する第2外筒部材70の下流側端部71bなどが配置されていてもよい。
【0054】
下流側筒状部材60は、上流側端部61a及び下流側端部61bを有する筒状部材である。
下流側筒状部材60の軸方向は、柱状ハニカム構造体10の軸方向と一致し、下流側筒状部材60の中心軸は柱状ハニカム構造体10の中心軸と一致することが好ましい。
下流側筒状部材60の径(外径及び内径)は、軸方向にわたって一様であってよいが、少なくとも一部が縮径又は拡径していてもよい。
【0055】
下流側筒状部材60の材料としては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の材料について述べた内容と同様の材料が挙げられる。
【0056】
下流側筒状部材60の厚みとしては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の厚みについて述べた内容と同様の厚みが挙げられる。
【0057】
<第2外筒部材70>
第2外筒部材70は、第1外筒部材20の径方向外側に、第2流体の流路を構成するように間隔をもって配置される。
第2外筒部材70は、上流側端部71a及び下流側端部71bを有する筒状部材である。
第2外筒部材70の軸方向は、柱状ハニカム構造体10の軸方向と一致し、第2外筒部材70の中心軸は柱状ハニカム構造体10の中心軸と一致することが好ましい。
【0058】
第2外筒部材70の上流側端部71aは、柱状ハニカム構造体10の第1端面13aの位置を超えて上流側に延在していることが好ましい。このような構成とすることにより、熱回収効率を高めることができる。
【0059】
第2外筒部材70は、第2流体を第2外筒部材70と第1外筒部材20との間の領域に供給するための供給管72、及び第2流体を第2外筒部材70と第1外筒部材20との間の領域から排出するための排出管73に接続されていることが好ましい。供給管72及び排出管73は、柱状ハニカム構造体10の軸方向両端部に対応する位置に設けられていることが好ましい。
また、供給管72及び排出管73は、同じ方向に向けて延出されていても、異なる方向に向けて延出されていてもよい。
【0060】
第2外筒部材70は、上流側端部71a及び下流側端部71bの内周面が第1外筒部材20の外周面と直接的又は間接的に接するように配置されていることが好ましい。
第2外筒部材70の上流側端部71a及び下流側端部71bの内周面を第1外筒部材20の外周面に固定する方法としては、特に限定されないが、すきま嵌め、締まり嵌め、焼き嵌めなどの嵌め合いによる固定方法の他、ろう付け、溶接、拡散接合などを用いることができる。
【0061】
第2外筒部材70の径(外径及び内径)は、軸方向にわたって一様であってよいが、少なくとも一部(例えば、軸方向中央部、軸方向両端部など)が縮径又は拡径していてもよい。例えば、第2外筒部材70の軸方向中央部を縮径させることにより、供給管72及び排出管73側の第2外筒部材70内で第2流体を第1外筒部材20の外周方向全体に行き渡らせることができる。そのため、軸方向中央部で熱交換に寄与しない第2流体が低減するため、熱交換効率を向上させることができる。
【0062】
第2外筒部材70の材料としては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の材料について述べた内容と同様の材料が挙げられる。
【0063】
第2外筒部材70の厚みとしては、特に限定されず、上記第1外筒部材20の厚みについて述べた内容と同様の厚みが挙げられる。
【0064】
<開閉バルブ80>
開閉バルブ80は、内筒部材30の下流側端部31b側に配置される。
開閉バルブ80は、内筒部材30の内側における第1流体の流れを調整可能に構成される。具体的には、開閉バルブ80は、熱回収促進時に閉とすることにより、熱回収路入口Aから柱状ハニカム構造体10に第1流体を流通させることができる。また、開閉バルブ80は、熱回収抑制時に開とすることにより、内筒部材30の下流側端部31b側から下流側筒状部材60に第1流体を流通させて熱交換器100の外部に排出することができる。
【0065】
開閉バルブ80の形状及び構造は、特に限定されず、開閉バルブ80が設けられる内筒部材30の形状などに応じて適切なものを選択すればよい。
【0066】
<第1流体及び第2流体>
熱交換器100に用いられる第1流体及び第2流体としては、特に限定されず、種々の液体及び気体を利用することができる。例えば、熱交換器100が自動車に搭載される場合、第1流体として排ガスを用いることができ、第2流体として水又は不凍液(JIS K2234:2006で規定されるLLC)を用いることができる。また、第1流体は、第2流体よりも高温の流体とすることができる。
【0067】
<熱交換器100の製造方法>
熱交換器100は、当該技術分野において公知の方法に準じて製造することができる。例えば、熱交換器100は、以下に説明する方法に従って製造することができる。
まず、セラミックス粉末を含む坏土を所望の形状に押し出し、ハニカム成形体を作製する。このとき、適切な形態の口金及び治具を選択することにより、セル14の形状及び密度、隔壁15、内周壁11及び外周壁12の形状及び厚さなどを制御することができる。また、ハニカム成形体の材料としては、前述のセラミックスを用いることができる。例えば、Si含浸SiC複合材料を主成分とするハニカム成形体を製造する場合、所定量のSiC粉末に、バインダーと、水及び/又は有機溶媒とを加え、得られた混合物を混練して坏土とし、成形して所望形状のハニカム成形体を得ることができる。そして、得られたハニカム成形体を乾燥し、減圧の不活性ガス又は真空中で、ハニカム成形体中に金属Siを含浸焼成することによって、隔壁15により区画形成されたセル14を有する中空型の柱状ハニカム構造体10を得ることができる。金属Siの含浸焼成方法としては、図4(a)~(g)に示されるように、金属Siを含む塊90とハニカム成形体110とが接触するように配置して焼成する方法が挙げられる。ハニカム成形体110における金属Siを含む塊90の接触箇所は、端面であっても外周壁の表面であっても内周壁の表面であってもよい。また、複数のハニカム成形体110を積層して含浸焼成する場合は、図4(c)に示されるように、積層する2つのハニカム成形体110の間に支柱などの支持部材120を設けてもよい。また、図4(d)及び(e)に示されるように、支持部材120を設けることなく2つのハニカム成形体110同士を接触させてもよく、この場合、含浸焼成により、金属Siが含浸したハニカム焼成体同士を接合することができる。また、各種形状のハニカム成形体110の生産性の観点から、図4(h)に示されるように、中空状のハニカム成形体110aと、その中空領域に中実状のハニカム成形体110bとを配置し、それらの成形体と金属Siを含む塊90とが接触するように配置して含浸焼成してもよい。
【0068】
次に、中空型の柱状ハニカム構造体10を第1外筒部材20内に挿入し、中空型の柱状ハニカム構造体10の外周壁12の表面に第1外筒部材20を嵌合させる。次に、中空型の柱状ハニカム構造体10の中空領域に内筒部材30を挿入し、中空型の柱状ハニカム構造体10の内周壁11の表面に内筒部材30を嵌合させる。次に、第1外筒部材20の径方向外側に第2外筒部材70を配置して固定する。なお、供給管72及び排出管73は、第2外筒部材70に予め固定しておいてもよいが、適切な段階で第2外筒部材70に固定してもよい。次に、内筒部材30の径方向内側に上流側筒状部材40を配置し、筒状接続部材50によって第1外筒部材20の上流側端部21aと上流側筒状部材40の上流側との間を接続する。次に、内筒部材30の下流側端部31b側に開閉バルブ80を取り付ける。次に、第1外筒部材20の下流側端部21bに下流側筒状部材60を配置して接続する。
なお、各部材の配置及び固定(嵌合)の順番は上記に限定されず、製造可能な範囲で適宜変更してもよい。また、固定(嵌合)方法は、上述した方法を用いればよい。
【0069】
本発明の実施形態1に係る熱交換器100は、熱回収抑制時に熱回収路入口A付近と熱回収路出口B付近との間の圧力差を小さくすることができるため、熱回収路出口Bから熱回収路入口Aに向かって流れる第1流体の逆流現象を抑制し、熱遮断性能を向上させることができる。
【0070】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る熱交換器は、以下の(1)及び(3)の特徴を有する。
(1)内筒部材30が柱状ハニカム構造体10の第2端面13bの位置から下流側端部31b側に向かって縮径するテーパ部32を有する。
(3)上流側筒状部材40の下流側端部41bが、柱状ハニカム構造体10の第2端面13bの位置よりも下流側に延在している。
上記の(1)及び(3)の特徴を組み合わせることにより、熱回収抑制時(開閉バルブ80を開とした場合)に、上流側筒状部材40の下流側端部41b付近(熱回収促進時の熱回収路入口A付近)と内筒部材30の下流側端部31b付近(熱回収促進時の熱回収路出口B付近)との間の圧力差を小さくすることができるため、熱回収路出口Bから熱回収路入口Aに向かって流れる第1流体の逆流現象を抑制し、熱遮断性能を向上させることができる。
【0071】
なお、本発明の実施形態2に係る熱交換器100におけるその他の構成要素は、本発明の実施形態1に係る熱交換器100と同じであるため、説明を省略する。本発明の実施形態1に係る熱交換器100の説明の中で登場した符号と同一の符号を有する構成要素は、本発明の実施形態2に係る熱交換器100の構成要素と同一である点に留意すべきである。
【0072】
本発明の実施形態2に係る熱交換器100は、熱回収抑制時に熱回収路入口A付近と熱回収路出口B付近との間の圧力差を小さくすることができるため、熱回収路出口Bから熱回収路入口Aに向かって流れる第1流体の逆流現象を抑制し、熱遮断性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 柱状ハニカム構造体
11 内周壁
12 外周壁
13a 第1端面
13b 第2端面
14 セル
15 隔壁
20 第1外筒部材
21a 上流側端部
21b 下流側端部
30 内筒部材
31a 上流側端部
31b 下流側端部
32 テーパ部
40 上流側筒状部材
41a 上流側端部
41b 下流側端部
42 湾曲部
50 筒状接続部材
60 下流側筒状部材
61a 上流側端部
61b 下流側端部
70 第2外筒部材
71a 上流側端部
71b 下流側端部
72 供給管
73 排出管
80 開閉バルブ
90 金属Siを含む塊
100 熱交換器
110 ハニカム成形体
110a 中空状のハニカム成形体
110b 中実状のハニカム成形体
120 支持部材
図1
図2
図3
図4