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特許7366260フィルタリング機能を有するアンテナ振動子、フィルタリング放射ユニット及びアンテナ
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  • 特許-フィルタリング機能を有するアンテナ振動子、フィルタリング放射ユニット及びアンテナ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】フィルタリング機能を有するアンテナ振動子、フィルタリング放射ユニット及びアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/16 20060101AFI20231013BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20231013BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H01Q9/16
H01Q21/06
H01Q21/24
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022528151
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 CN2019120096
(87)【国際公開番号】W WO2021092996
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】201911114520.4
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518025010
【氏名又は名称】広東通宇通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TONGYU COMMUNICATION INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 中林
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】岳 彩▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】唐 振▲興▼
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-229500(JP,A)
【文献】特表2019-506030(JP,A)
【文献】特表2017-505075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/16
H01Q 21/06
H01Q 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのフィルタリング放射ユニットが固設される反射板(4)を備え、前記フィルタリング放射ユニットは、上部に少なくとも一つのフィルタリング機能を有するアンテナ振動子が電気的に接続される支持柱(2)を備え、前記アンテナ振動子は管状であり、管状のアンテナ振動子には、その周方向にわたって設けられ、且つ軸方向に沿って延びる螺旋状スリット(1)が開けられ、各前記フィルタリング放射ユニットの周側に、前記反射板(4)に固設されるいくつかの高周波放射ユニット(3)が設けられ、前記支持柱(2)の上部に、同軸に設けられる二つの前記アンテナ振動子で構成される少なくとも一つの振動子対が電気的に接続され、各アンテナ振動子の側下方に一つの前記高周波放射ユニット(3)が設けられることを特徴とする、アンテナ。
【請求項2】
前記支持柱(2)の上部に軸線が互いに垂直である二つの前記振動子対が電気的に接続され、各前記フィルタリング放射ユニットの周側に、均一に分布する四つの前記高周波放射ユニット(3)が設けられることを特徴とする、請求項に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記アンテナ振動子は円管状であることを特徴とする、請求項1または2に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ分野に関し、具体的にはフィルタリング機能を有するアンテナ振動子、フィルタリング放射ユニット及びアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
通信の急速な発展に伴い、第5世代通信が到来し、ランニングコストの問題が考慮されるため、4G+5Gモードは、通信の発展の主要な傾向となる。しかし、4Gアンテナと5G massivemimoアンテナを組み合わせたアレイでは、4Gアンテナの放射ユニットが、5Gアンテナの放射ユニットに深刻な干渉を起こし、massivemimoアンテナビームの変形によるカバレージ範囲への影響、及びシステム間のアイソレーションの規格外れをもたらす。
【0003】
上記問題を解決するために、従来技術では、一般に、低周波放射ユニットアームに帯域阻止フィルタを挿入することで、低周波放射ユニット上で高周波電磁波により発生される誘導電流を効果的に抑制し、高周波放射ユニットへの低周波放射ユニットの影響を大幅に低減させるという技術的解決手段が採用されている。しかしながら、一般的には複数の独立したフィルタリング構造がロードされ、これらのフィルタリング構造は集中素子であり、振動子アームに不連続性を導入し、振動子のマッチングに影響を及ぼすことから、広帯域動作の実現、及びアンテナ動作要求の充足が非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第一の目的は、従来の帯域阻止フィルタの插入による不連続性の導入により、広帯域が不足するという問題を克服し、フィルタリング機能を有するアンテナ振動子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記第一の目的を実現するために、本発明は、フィルタリング機能を有するアンテナ振動子であって、前記アンテナ振動子は管状であり、管状のアンテナ振動子には、その周方向にわたって設けられ、且つ軸方向に沿って延びる螺旋状スリットが開けられるアンテナ振動子という具体的な解決手段を採用する。
【0006】
好ましい解決手段として、前記アンテナ振動子は円管状である。
【0007】
上記フィルタリング機能を有するアンテナ振動子に基づき、本発明の第二の目的は、使用時に高周波放射素子と組み合わせて、高周波信号と低周波信号を同時に放射する目的を実現できるフィルタリング放射ユニットを提供することである。
【0008】
上記第二の目的を実現するために、本発明は、上部に少なくとも一つの上述のアンテナ振動子が電気的に接続される支持柱を備えるフィルタリング放射ユニットという具体的な解決手段を採用する。
【0009】
好ましい解決手段として、前記支持柱の上部に、同軸に設けられる二つの前記アンテナ振動子で構成される少なくとも一つの振動子対が電気的に接続される。
【0010】
好ましい解決手段として、前記支持柱の上部に軸線が互いに垂直である二つの前記振動子対が電気的に接続される。
【0011】
上記フィルタリング放射ユニットに基づき、本発明の第三の目的は、性能が良好であり、体積が小さく、且つ集積度が高いアンテナを提供することである。
【0012】
上記第三の目的を実現するために、本発明は、少なくとも一つの上述のフィルタリング放射ユニットが固設される反射板を備えるアンテナという具体的な解決手段を採用する。
【0013】
好ましい解決手段として、各前記フィルタリング放射ユニットの周側に、前記反射板に固設されるいくつかの高周波放射ユニットが設けられる。
【0014】
好ましい解決手段として、前記支持柱の上部に、同軸に設けられる二つの前記アンテナ振動子で構成される少なくとも一つの振動子対が電気的に接続され、各アンテナ振動子の側下方に一つの前記高周波放射ユニットが設けられる。
【0015】
好ましい解決手段として、前記支持柱の上部に軸線が互いに垂直である二つの前記振動子対が電気的に接続され、各前記フィルタリング放射ユニットの周側に、均一に分布する四つの前記高周波放射ユニットが設けられる。
【0016】
上記アンテナ振動子が実現できる効果は以下のとおりである。本発明は、振動子における螺旋状スリットに連続したフィルタリング構造が形成され、従来の帯域阻止フィルタを挿入する方式に比べて、より大きな帯域幅を得ることができる。さらに高周波電流の抑制を最大化し、低周波電流への干渉を最小化することができ、順方向に低周波電流を伝送し低周波信号を放射するとともに、逆方向に高周波誘導電流を抑制し高周波信号からの干渉を回避するという効果を実現できる。
【0017】
上記フィルタリング放射ユニットが実現できる効果は以下のとおりである。本発明のフィルタリング放射ユニットは、アンテナ振動子が低周波電流を導通させるとともに、高周波電流の干渉を抑制する特性により、使用時に高周波放射素子と組み合わせて、高周波信号と低周波信号を同時に放射する目的を実現できる。
【0018】
上記アンテナが実現できる効果は以下のとおりである。本発明のアンテナは、低周波信号と高周波信号を同時に伝送することができ、これにより、効果的にアンテナの集積度を向上させ、アンテナの体積を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】アンテナ振動子の構造模式図である。
図2】フィルタリング放射ユニットの構造模式図である。
図3】アンテナの構造模式図である。
図4】アンテナ振動子の等価回路図である。
図5】各パラメータの調節の原理図である。
図6】アンテナのシミュレーション結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確、且つ完全に説明する。当然、説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく得られる他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
図1を参照し、フィルタリング機能を有するアンテナ振動子であって、アンテナ振動子は管状であり、管状のアンテナ振動子には、その周方向にわたって設けられ、且つ軸方向に沿って延びる螺旋状スリット1が開けられる。
【0022】
図4に示すように、一巻きの螺旋状スリットを含む中空管体の各々は、一つのLC並列共振回路と等価にすることができる。且つ以下の条件を満たす。
【0023】
【数1】
【0024】
ここでjは虚数、CとCは等価キャパシタンス値、Lは等価抵抗値、fは高周波電流周波数、fは低周波電流周波数である。
【0025】
共振周波数点にある場合、外部電界に対してアンテナ振動子回路は開回路状態であり、インピーダンスが無限大になる傾向があり、この場合、外部電界に誘導電流が発生されない。周波数が共振周波数よりはるかに低い場合、螺旋状スリットが開設される中空管体はインダクタンスが低く、インピーダンスが高い状態になり、低周波数の放射及びインピーダンスのマッチングへは小さい影響しか与えない。
【0026】
高周波電流周波数fの条件下で、アンテナ振動子は開回路となり、低周波電流周波数fの条件下で、アンテナ振動子は短絡回路となる。これに基づき、アンテナ振動子の内径をdとし、厚さをhとし、スリット1の幅をGとし、スリット1の二つの隣接する螺旋間の距離をwとし、w、g及びdを調整することにより、高周波電流の抑制を最大化し、低周波電流への干渉を最小化することができ、順方向に低周波電流を伝送し低周波信号を放射するとともに、逆方向に高周波誘導電流を抑制する効果を実現できる。また、スリット1が螺旋状であるため、wは一定であり、即ちスリット1が位置するアンテナ振動子の有効放射範囲において、アンテナ振動子は均一且つ連続的なものであり、これにより、アンテナ振動子は十分な帯域幅を得ることができる。さらに、各パラメータの間の関係は以下のとおりである。gはC1に比例し、gが増大すると、等価回路の共振周波数点が高くなり、図5に示すように、図中の横座標は周波数、縦座標はアンテナ振動子表面の誘導電流強度であり、黒線は螺旋状スリットのない円管表面の誘導電流の大きさを示し、図からわかるように、gが0.5mm変える毎に、共振周波数点は約0.2GHz変える。dの増大に伴い、L及びCは増大し、共振点は低周波数方向へ移動する。wの増大に伴い、Lは減少し、Cはわずかに増大し、共振点は高周波方向へ移動する。
【0027】
また、説明すべきことは、w、g及びdを調整する場合、支障なく取り付けることができるように、アンテナ全体の要求を満たすか、又はアンテナを適宜調整する必要がある点である。
【0028】
さらに、アンテナ振動子は円管状であり、加工の困難性を低減することができる。本発明の他の実施形態において、アンテナ振動子を他の形状、例えば、角管にしてもよく、実際に所望の放射周波数に応じてサイズを変更すればよい。
【0029】
図2を参照し、上記アンテナ振動子に基づき、本発明は、上部に少なくとも一つの上記のアンテナ振動子が電気的に接続される支持柱を備えるフィルタリング放射ユニットをさらに提供する。
【0030】
支持柱2は、他のアンテナの反射板4間の距離を制御して他の部材の取り付け要件を満たすように、アンテナ振動子を支持するために用いられる一方、アンテナ振動子の給電にも用いられる。実際の使用要件に応じて、アンテナ振動子の数を柔軟に選択することができる。
【0031】
本発明のフィルタリング放射ユニットは、アンテナ振動子が低周波電流を導通させるとともに、高周波電流の干渉を抑制する特性により、使用時に高周波放射素子と組み合わせて、高周波信号と低周波信号を同時に放射する目的を実現できる。例えば、フィルタリング放射ユニットを用いて低周波の4G信号を放射し、高周波放射素子を用いて放射高周波の5G信号を放射することができ、フィルタリング放射ユニット上で5G信号により形成される誘導電流が抑制され、これにより、5G信号への4G信号の干渉が回避される。
【0032】
さらに、支持柱2の上部に、同軸に設けられる二つのアンテナ振動子で構成される少なくとも一つの振動子対が電気的に接続される。
【0033】
一つの振動子対は、一つの偏波方向での信号伝送作業を遂行するために用いられ、実際の要件に応じて垂直偏波信号又は水平偏波信号を伝送することができる。説明すべきことは、二つのアンテナ振動子の間に絶縁処理が必要であり、実際の適用に際して、二つの複合振動子の間に一定の隙間を空け、その後、二つのアンテナ振動子にそれぞれ給電することができる。この場合、支持柱2はバランサーによって実現でき、非平衡の同軸給電を平衡給電に変換できるバランサーの特性により、フィルタリング放射ユニットパターンの対称性を保証することができる。
【0034】
さらに、支持柱2の上部に軸線が互いに垂直である二つの振動子対が電気的に接続される。この場合、フィルタリング放射ユニットは、垂直偏波信号と水平偏波信号を同時に伝送することができ、信号伝送効率が向上する。
【0035】
図3を参照し、上記フィルタリング放射ユニットに基づき、本発明は、少なくとも一つの上記のフィルタリング放射ユニットが固設される反射板4を備えるアンテナをさらに提供する。
【0036】
さらに、各フィルタリング放射ユニットの周側に、反射板4に固設されるいくつかの高周波放射ユニット3が設けられる。
【0037】
高周波放射ユニット3は高周波信号を放射するためのものであり、フィルタリング放射ユニットは低周波電流を導通させ、低周波信号を放射するとともに、高周波電流を抑制し、高周波信号を低周波信号による干渉から保護することができるため、このような組み合わせは、低周波信号と高周波信号を同時に伝送することができ、これにより、効果的にアンテナの集積度を向上させ、アンテナの体積を減少させることができる。例えば、フィルタリング放射ユニットを用いて低周波数の4G信号を伝送し、高周波放射ユニットを用いて高周波の5G信号を伝送する。
【0038】
さらに、支持柱2の上部に、同軸に設けられる二つのアンテナ振動子で構成される少なくとも一つの振動子対が電気的に接続され、各アンテナ振動子の側下方に一つの高周波放射ユニット3が設けられる。
【0039】
さらに、支持柱2の上部に軸線が互いに垂直である二つの振動子対が電気的に接続され、各フィルタリング放射ユニットの周側に、均一に分布する四つの高周波放射ユニット3が設けられる。
【0040】
すべてのフィルタリング放射ユニットアレイは低周波アンテナを形成し、すべての高周波放射ユニット3アレイは高周波アンテナを形成する。例えば、低周波数アンテナをFDDアンテナとして適用し、高周波アンテナをTDDアンテナとして適用することができ、これにより、TDDアンテナビームへのFDDアンテナの影響を効果的に低減し、TDDアンテナビームのカバレージ指標を満たすとともに、ポートのアイソレーション指標を大幅に向上させ、FDD+TDDアンテナを実現することができる。図6は、該アンテナのシミュレーション結果図であり、最左列は低周波数振動子が存在しない場合の高周波2D電界であり、中間の列は通常の低周波数振動子が存在する場合の高周波2D電界であり、最右列は通常の低周波数振動子をフィルタリング放射ユニットに取り替えた高周波2D電界である。図6からわかるように、アンテナ振動子を用いると、アンテナパターンが極めて大きく改善され、アンテナビームのカバレージ指標を満たすとともに、ポートのアイソレーションを向上させることができる。
【0041】
開示された実施例の上記説明により、当業者は本発明を実現又は使用することができる。これらの実施例への種々の修正は、当業者にとって明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例において実現できる。したがって、本発明は、本明細書で示されたこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲に適合すべきである。
【符号の説明】
【0042】
1:スリット
2:支持柱
3:高周波放射ユニット
4:反射板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6