(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】自動車投光器用の投射モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 41/43 20180101AFI20231013BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20231013BHJP
【FI】
F21S41/43
F21W102:155
(21)【出願番号】P 2022533600
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2020082182
(87)【国際公開番号】W WO2021121817
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-03
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】マンドル、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】カラス、トビアス
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0039330(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0226142(US,A1)
【文献】再公表特許第2014/203730(JP,A1)
【文献】特開2008-034279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0025036(US,A1)
【文献】特開2016-225210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/43
F21W 102/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器用の投射モジュールであって、前記投射モジュール(10)は、以下のものを含み、即ち、
- 第1光源(110)及び第2光源(120)と、
- 自動車投光器内の前記投射モジュール(10)の取付状態において水平方向に配設されているように構成されており且つ非対称の明暗境界を生成するための光学的に作用する絞り縁部(210)を含んだ光線絞り部材(200)と、但し前記第1光源(110)は、前記光線絞り部材(200)の上側に配設されており、前記光線絞り部材(200)の光学的に作用する前記絞り縁部(210)との組み合わせにおいてロービーム配光を生成するように作用し、また前記第2光源(120)は、前記光線絞り部材(200)の下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用し、
- 光軸線(A)と焦点面(F)を有し且つ前記投射モジュール(10)の前方に主放射方向(X)に配光を投射するための少なくとも1つの投射レンズ(300)とを含み、但し前記光線絞り部材(200)の前記絞り縁部(210)は、鮮明な明暗境界を生成するために
前記投射レンズ(300)の前記焦点面(F)内に配設されており、また前記光軸線(A)は、前記主放射方向(X)と一致する構成であり、
前記投射モジュール(10)は、補助絞り部材(400)を含み、前記補助絞り部材(400)は、自動車投光器内の前記投射モジュール(10)の取付状態において垂直方向で前記光線絞り部材(200)の下側に配設されているように構成されており、また垂直方向に延在して光学的に作用する第1絞り縁部(410)を有し、前記第1絞り縁部(410)は、前記光軸線(A)から離間して配設されており、光学的に作用する前記第1絞り縁部(410)は、前記第2光源(120)からの光を部分的に遮光するように構成されており、それにより部分ハイビーム配光が生成可能であり、また、
前記補助絞り部材(400)は、前記補助絞り部材(400)を前記光線絞り部材(200)に取り付ける取付部分(430)を有し、光学的に作用する前記第1絞り縁部(410)は、垂直方向の延在部において前記光線絞り部材(200)の方向に端部(411)を有し、前記端部(411)は、前記光線絞り部材(200)に対して間隔を有し、また前記補助絞り部材(400)は、光学的に作用する第2絞り縁部(420)を有し、前記第2絞り縁部(420)は、光学的に作用する前記第1絞り縁部(410)の前記端部(411)から始まり前記取付部分(430)に至るまで延在し、前記光線絞り部材(200)に対した光学的に作用する前記第2絞り縁部(420)の垂直方向の間隔は、所定の隙間を規定し、前記隙間は、前記第2光源(120)との組み合わせにおいて、前記部分ハイビーム配光内に所定のセグメント(500)を生成するように構成されていること、
を特徴とする投射モジュール。
【請求項2】
前記補助絞り部材(400)の光学的に作用する前記第1絞り縁部(410)は、所定の測定スクリーンにおいて、生成可能なハイビーム配光を、水平方向では、-5°のところないし-1°までのところ、又は-3.5°のところで遮光するように構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の投射モジュール。
【請求項3】
前記隙間は、前記部分ハイビーム配光内に所定のセグメント(500)を生成するように構成されており、前記セグメント(500)は、所定の測定スクリーンにおいて、水平方向では、-2°から、最大で-12°に至るまで、又は最大で-6°に至るまで、又は最大で-5°に至るまで延在し、垂直方向では、2°に至るまで、又は1°に至るまで、又は0.2°に至るまで延在すること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の投射モジュール。
【請求項4】
前記測定スクリーンは、前記投射モジュール(10)から25m離して配設されていること、
を特徴とする、請求項2又は3に記載の投射モジュール。
【請求項5】
前記光線絞り部材(200)と前記補助絞り部材(400)は、それ自体で剛性の結合絞り部材を構成すること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の投射モジュール。
【請求項6】
前記投射レンズ(300)の前記焦点面(F)は、湾曲しており、前記光線絞り部材(200)の光学的に作用する前記絞り縁部(210)の延在形状は、
湾曲した前記焦点面(F)に従うこと、
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の投射モジュール。
【請求項7】
前記補助絞り部材(400)は、前記投射レンズ(300)の前記光軸線(A)に対して直角方向に配設されていること、
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の投射モジュール。
【請求項8】
前記補助絞り部材(400)の光学的に作用する前記第1絞り縁部(410)は、前記投射レンズ(300)の前記光軸線(A)に向けて離間しており、その間隔は、1mm、又は8/10mmの大きさであること、
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の投射モジュール。
【請求項9】
前記取付部分(430)は、固定部分として構成されており、前記固定部分において、前記補助絞り部材(400)は、前記光線絞り部材(200)に固定されていること、
を特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載の投射モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器(例えば自動車前照灯)用の投射モジュールに関し、該投射モジュールは、以下のものを含み、即ち、
- 第1光源及び第2光源と、
- 取り付けられた自動車投光器内の投射モジュールの規定どおりの使用において水平方向に配設されているように構成されており且つ非対称の明暗境界を生成するための光学的に作用する絞り縁部(光学的に関与するシェードエッジ)を含んだ光線絞り部材(ビームシェード)と、この際、第1光源は、光線絞り部材の上側に配設されており、光線絞り部材の光学的に作用する絞り縁部との組み合わせにおいてロービーム配光を生成するように作用し、またこの際、第2光源は、光線絞り部材の下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用し、
- 光軸線と焦点面を有し且つ投射モジュールの前方に主放射方向に配光を投射するための少なくとも1つの投射レンズとを含み、この際、光線絞り部材の絞り縁部は、鮮明な明暗境界を生成するために実質的に投射レンズの焦点面内に配設されており、またこの際、光軸線は、主放射方向と一致する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイビームないしハイビーム配光を実現するための投射モジュールに関することができる。投射モジュールは、左右の投光器のために分割されたハイビームクラウド(ハイビームを構成する光のこと)を結像すべきであり、該ハイビームクラウドは、光のカット時には互いに離れるように旋回可能である。このことを達成するために、モジュール内で水平方向に配設されている光線絞り部材上には、垂直方向に配設されている直角方向のプレート部材ないし補助絞り部材が配設されている。
【0003】
この際、光機能(ないしビーム機能)とは、投射モジュールないし自動車投光器により法的に規定された配光を生成することとして理解される。そのような配光の例は、ロービーム配光やハイビーム配光である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第2982902号
【文献】独国特許出願公開第102009008631号
【文献】欧州特許出願公開第3211292号
【文献】欧州特許出願公開第2799761号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
制御により、例えば、部分ハイビーム機能を有する自動ハイビームスイッチングが行われ、この部分ハイビーム機能は、先行交通及び/又は対向交通にかかわらずハイビーム配光の一部分が点灯されたままであるように設けられている。この際、投射モジュールないし自動車投光器ないし自動車投光器システムは、他の交通利用者が眩惑されないために、他の交通利用者がいるところに、ハイビーム配光内で非照射部分領域を生成し、例えば、共通の配光の一部分をそれぞれが生成する左右の投光器がある場合には、それらの部分が互いに離れるように旋回され、この際、これらの部分の間に、先行交通ないし対向交通が位置付けられている非照射領域が発生する。例えば、先行交通ないし対向交通が自動車の極めて近くにいる場合には、旋回角度が大きすぎるので、非照射領域は、ハイビーム配光のそれらの部分の互いに離れるような旋回ではもはや拡大されることはできない。そのような場合には、非照射領域を拡大させるために、投光器のうちの1つ、例えば左の投光器を消灯しなくてはならない。
【0006】
そのような部分的に暗くされたハイビーム配光は、以下、部分ハイビーム配光と呼ばれ、部分ハイビーム配光は、通常は、唯一の自動車投光器ないし当該自動車投光器内の投射モジュールにより生成される。この形式の投射モジュールは、様々な実施形態により自動車投光器内で実現ないし実装されている。
【0007】
それらの投射モジュールは、それぞれ、例えばH-Hラインにおいて3.5°のところでハイビームクラウドの半分がカットされることをもたらす。しかし法的な要件では差異とされることはなく、なぜなら、投光器が個々に要件を満たすことが必要とされ、即ち設置された補助絞り部材の仕切りにより光が入ってこないところでも、ハイビーム内で法的な評価の幾つかのポイントとラインが満たされなくてはならないためである。
【0008】
このことは、ECE-AFS規格に対する評価においては、問題を呈することはなく、なぜなら、そこでは左右の投光器で合算が成され、そして光強度が半分にして測定されるためである。しかし中国(CCC規格)と米国(FMVSS)でも、部分ハイビームを有するこのADBバリエーション(ADB:Adaptive Driving Beam)の承認を得るためには、投光器は、ECE規格に関する評価のように一緒に評価されず、それぞれの投光器が個々に要件を満たすことが規定されている。
【0009】
本発明の課題は、改善された投射ライトモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、以下の構成により解決され、即ち、
投射モジュールは、補助絞り部材を含み、該補助絞り部材は、自動車投光器内の投射モジュールの規定どおりの使用において垂直方向で光線絞り部材の下側に配設されているように構成されており、また垂直方向に延在して光学的に作用する第1絞り縁部を有し、該第1絞り縁部は、光軸線から離間して配設されており、この際、光学的に作用する第1絞り縁部は、第2光源からの光を部分的に遮光するように構成されており、それにより部分ハイビーム配光が生成可能であり、またこの際、
補助絞り部材は、該補助絞り部材を光線絞り部材に取り付ける取付部分を有し、この際、光学的に作用する第1絞り縁部は、垂直方向の延在部において光線絞り部材の方向に端部を有し、該端部は、光線絞り部材に対して間隔を有し、またこの際、補助絞り部材は、光学的に作用する第2絞り縁部を有し、該第2絞り縁部は、光学的に作用する第1絞り縁部の前記端部から始まり前記取付部分に至るまで延在し、この際、光線絞り部材に対した光学的に作用する第2絞り縁部の垂直方向の間隔は、所定の隙間を規定し、該隙間は、第2光源との組み合わせにおいて、部分ハイビーム配光内に所定のセグメント(部分)を生成するように構成されていること、により解決される。
即ち本発明の一視点により、
自動車投光器用の投射モジュールであって、前記投射モジュールは、以下のものを含み、即ち、
- 第1光源及び第2光源と、
- 自動車投光器内の前記投射モジュールの取付状態において水平方向に配設されているように構成されており且つ非対称の明暗境界を生成するための光学的に作用する絞り縁部を含んだ光線絞り部材と、但し前記第1光源は、前記光線絞り部材の上側に配設されており、前記光線絞り部材の光学的に作用する前記絞り縁部との組み合わせにおいてロービーム配光を生成するように作用し、また前記第2光源は、前記光線絞り部材の下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用し、
- 光軸線と焦点面を有し且つ前記投射モジュールの前方に主放射方向に配光を投射するための少なくとも1つの投射レンズとを含み、但し前記光線絞り部材の前記絞り縁部は、鮮明な明暗境界を生成するために前記投射レンズの前記焦点面内に配設されており、また前記光軸線は、前記主放射方向と一致する構成であり、
前記投射モジュールは、補助絞り部材を含み、前記補助絞り部材は、自動車投光器内の前記投射モジュールの取付状態において垂直方向で前記光線絞り部材の下側に配設されているように構成されており、また垂直方向に延在して光学的に作用する第1絞り縁部を有し、前記第1絞り縁部は、前記光軸線から離間して配設されており、光学的に作用する前記第1絞り縁部は、前記第2光源からの光を部分的に遮光するように構成されており、それにより部分ハイビーム配光が生成可能であり、また、
前記補助絞り部材は、前記補助絞り部材を前記光線絞り部材に取り付ける取付部分を有し、光学的に作用する前記第1絞り縁部は、垂直方向の延在部において前記光線絞り部材の方向に端部を有し、前記端部は、前記光線絞り部材に対して間隔を有し、また前記補助絞り部材は、光学的に作用する第2絞り縁部を有し、前記第2絞り縁部は、光学的に作用する前記第1絞り縁部の前記端部から始まり前記取付部分に至るまで延在し、前記光線絞り部材に対した光学的に作用する前記第2絞り縁部の垂直方向の間隔は、所定の隙間を規定し、前記隙間は、前記第2光源との組み合わせにおいて、前記部分ハイビーム配光内に所定のセグメントを生成するように構成されていること、
を特徴とする投射モジュールが提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器用の投射モジュールであって、前記投射モジュールは、以下のものを含み、即ち、
- 第1光源及び第2光源と、
- 取り付けられた自動車投光器内の前記投射モジュールの規定どおりの使用において水平方向に配設されているように構成されており且つ非対称の明暗境界を生成するための光学的に作用する絞り縁部を含んだ光線絞り部材と、但し前記第1光源は、前記光線絞り部材の上側に配設されており、前記光線絞り部材の光学的に作用する前記絞り縁部との組み合わせにおいてロービーム配光を生成するように作用し、また前記第2光源は、前記光線絞り部材の下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用し、
- 光軸線と焦点面を有し且つ前記投射モジュールの前方に主放射方向に配光を投射するための少なくとも1つの投射レンズとを含み、但し前記光線絞り部材の前記絞り縁部は、鮮明な明暗境界を生成するために実質的に前記投射レンズの前記焦点面内に配設されており、また前記光軸線は、前記主放射方向と一致する構成であり、
前記投射モジュールは、補助絞り部材を含み、前記補助絞り部材は、自動車投光器内の前記投射モジュールの規定どおりの使用において垂直方向で前記光線絞り部材の下側に配設されているように構成されており、また垂直方向に延在して光学的に作用する第1絞り縁部を有し、前記第1絞り縁部は、前記光軸線から離間して配設されており、光学的に作用する前記第1絞り縁部は、前記第2光源からの光を部分的に遮光するように構成されており、それにより部分ハイビーム配光が生成可能であり、また、
前記補助絞り部材は、前記補助絞り部材を前記光線絞り部材に取り付ける取付部分を有し、光学的に作用する前記第1絞り縁部は、垂直方向の延在部において前記光線絞り部材の方向に端部を有し、前記端部は、前記光線絞り部材に対して間隔を有し、また前記補助絞り部材は、光学的に作用する第2絞り縁部を有し、前記第2絞り縁部は、光学的に作用する前記第1絞り縁部の前記端部から始まり前記取付部分に至るまで延在し、前記光線絞り部材に対した光学的に作用する前記第2絞り縁部の垂直方向の間隔は、所定の隙間を規定し、前記隙間は、前記第2光源との組み合わせにおいて、前記部分ハイビーム配光内に所定のセグメントを生成するように構成されていること。
(形態2)
前記補助絞り部材の光学的に作用する前記第1絞り縁部は、所定の測定スクリーンにおいて、生成可能なハイビーム配光を、水平方向では、-5°のところないし-1°までのところ、好ましくは-3.5°のところで遮光するように構成されていること、が好ましい。
(形態3)
前記隙間は、前記部分ハイビーム配光内に所定のセグメントを生成するように構成されており、前記セグメントは、所定の測定スクリーンにおいて、水平方向では、-2°から、最大で-12°に至るまで、好ましくは最大で-6°に至るまで、好ましくは最大で-5°に至るまで延在し、垂直方向では、2°に至るまで、好ましくは1°に至るまで、好ましくは0.2°に至るまで延在すること、が好ましい。
(形態4)
前記測定スクリーンは、前記投射モジュールから25m離して配設されていること、が好ましい。
(形態5)
前記光線絞り部材と前記補助絞り部材は、それ自体で剛性の結合絞り部材を構成すること、が好ましい。
(形態6)
前記投射レンズの前記焦点面は、湾曲しており、前記光線絞り部材の光学的に作用する前記絞り縁部の延在形状は、実質的に湾曲した前記焦点面に従うこと、が好ましい。
(形態7)
前記補助絞り部材は、前記投射レンズの前記光軸線に対して直角方向に配設されていること、が好ましい。
(形態8)
前記補助絞り部材の光学的に作用する前記第1絞り縁部は、前記投射レンズの前記光軸線に向けて離間しており、その間隔は、1mm、好ましくは8/10mmの大きさであること、が好ましい。
(形態9)
前記補助絞り部材は、サインライト配光のために少なくとも1つの穴部を有すること、が好ましい。
(形態10)
前記取付部分は、固定部分として構成されており、前記固定部分において、前記補助絞り部材は、前記光線絞り部材に固定されていること、が好ましい。
【0012】
全般的に、以下では、例えば「水平方向」、「垂直方向」、「水平方向に」、「垂直方向に」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「その下」、「その上」などの場所又は向きに関する概念は、自動車投光器内の当該投射モジュールの正しい取付位置(ないし取付状態)に関するものである。
【0013】
補助絞り部材には、隙間ないしスリットが設けられている。この隙間は、高くすることないし低くすることと関連し、部分ハイビームないし部分ハイビーム配光の世界中での認可を可能にする。
【0014】
左側交通のためには、配設構成が、矢状面に関して反転されて(鏡像的に)配設されていることが可能である。
【0015】
補助絞り部材の光学的に作用する第1絞り縁部は、所定の測定スクリーンにおいて、生成可能なハイビーム配光を、水平方向では、-5°のところないし-1°までのところ、好ましくは-3.5°のところで遮光するように構成されていることができる。
【0016】
前記隙間は、部分ハイビーム配光内に所定のセグメントを生成するように構成されていることができ、このセグメントは、所定の測定スクリーンにおいて、水平方向では、-3.5°から、最大で-12°に至るまで、好ましくは最大で-6°に至るまで、好ましくは最大で-5°に至るまで延在し、垂直方向では、2°に至るまで、好ましくは1°に至るまで、好ましくは0.2°に至るまで延在する。
【0017】
これらは、立体角に関するものであるので、測定スクリーンとの距離は、基本的に重要ではない。
【0018】
測定スクリーンは、投射モジュールから25m離して配設されていることができる。
【0019】
光線絞り部材と補助絞り部材は、それ自体で剛性の結合絞り部材を構成することができる。
【0020】
この際「剛性の」とは、相対運動ができるだけ防止されているないし可能ではないように光線絞り部材と補助絞り部材が互いに結合されていることとして理解される。
【0021】
投射レンズの焦点面は、湾曲していることができ、この際、光線絞り部材の光学的に作用する絞り縁部の延在形状は、実質的に湾曲した焦点面に従うないし沿う。
【0022】
補助絞り部材は、投射レンズの光軸線に対して直角方向に配設されていることができる。
【0023】
補助絞り部材の光学的に作用する第1絞り縁部は、投射レンズの光軸線に向けて離間しており、この際、その間隔は、1mm、好ましくは8/10mmの大きさである。
【0024】
「間隔」とは、補助絞り部材の光学的に作用する第1絞り縁部が、投射レンズの配設方向への光軸線に向けて、又は投射レンズの配設方向とは反対方向への光軸線に向けて離間されているような間隔も含まれていることを述べておく。
【0025】
そのような間隔により、部分ハイビーム配光の明暗境界、ないし部分ハイビーム配光内の生成可能なセグメントの明暗境界は、発生する色縁(カラーフリンジ)が減少されるべきであるように、改善されるべきである。この際、上記の間隔が大きいほど、明暗境界の色縁は、より青みを帯びて見える。
【0026】
補助絞り部材は、サインライト配光のために少なくとも1つの穴部を有することができる。つまりサインライト配光のために個々の領域ないし点を生成することができる。
【0027】
前記取付部分(接触部分)は、固定部分として構成されていることができ、この固定部分において、補助絞り部材は、光線絞り部材に固定されている。
【0028】
以下、例示の図面に基づき、本発明を更に詳細に説明する
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】水平方向の光線絞り部材を備えた例示の一投射モジュールの模式的な側面図を示す図である。
【
図2】光線絞り部材に対して垂直方向に立設された補助絞り部材を含んだ例示の一光線絞り部材の斜視図を示す図である。
【
図3】
図2の光線絞り部材の更なる斜視図を示す図である。
【
図4】
図2の光線絞り部材の模式的な正面図を示す図である。
【
図5】
図1の例示の投射モジュールの模式的な構成を下側から見た図である。
【
図6】従来技術による1つの部分ハイビーム配光を示す図である。
【
図7】本発明による投射モジュールにより生成可能な1つの部分ハイビーム配光を示す図である。
【実施例】
【0030】
図1は、自動車投光器用の投射モジュール10を示しており、投射モジュール10は、第1光源110及び第2光源120と、取り付けられた自動車投光器内の投射モジュール10の規定どおりの使用(取付状態)において水平方向に配設されているように構成されており且つ非対称の明暗境界を生成するための光学的に作用する絞り縁部(光学的に関与するシェードエッジ)210を有する光線絞り部材(ビームシェード)200とを含んでいる。
【0031】
この際、第1光源110は、光線絞り部材200の上側に配設されており、光線絞り部材200の光学的に作用する絞り縁部210との組み合わせにおいてロービーム配光を生成するように作用し、またこの際、第2光源120は、光線絞り部材200の下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用する。
【0032】
更に投射モジュール10は、光軸線Aと焦点面Fを有し且つ投射モジュール10の前方に主放射方向Xに配光を投射するための投射レンズ300を含み、この際、光線絞り部材200の絞り縁部210は、鮮明な明暗境界を生成するために実質的に投射レンズ300の焦点面F内に配設されており、またこの際、光軸線Aは、主放射方向Xと一致する。
【0033】
更に投射モジュール10は、補助絞り部材400(
図1では非図示)を含み、補助絞り部材400は、
図2で詳細に見ることができ、自動車投光器内の投射モジュール10の規定どおりの使用において垂直方向で光線絞り部材200の下側に配設されているように構成されており、また垂直方向に延在して光学的に作用する第1絞り縁部410を有し、第1絞り縁部410は、光軸線Aから離間して配設されている。
図2は、補助絞り部材400を備えた光線絞り部材200を、斜め後方から且つ下方から見た図として示している。
【0034】
光学的に作用する第1絞り縁部410は、第2光源120からの光を部分的に遮光するように構成されており、それにより部分ハイビーム配光が生成可能であり、この際、補助絞り部材400は、補助絞り部材400を光線絞り部材200に固定させる固定部分(取付部分)430を有し、この際、光線絞り部材200と補助絞り部材400は、それ自体で剛性の結合絞り部材を構成する。
【0035】
光学的に作用する第1絞り縁部410は、垂直方向の延在部において光線絞り部材200の方向に端部411を有し、端部411は、光線絞り部材200に対して間隔を有する。
【0036】
更に補助絞り部材400は、光学的に作用する第2絞り縁部420を有し、第2絞り縁部420は、
図4にスケッチ的に図示されているように、光学的に作用する第1絞り縁部410の端部411から始まり固定部分430に至るまで延在する。
【0037】
光学的に作用する第2絞り縁部420は、光線絞り部材200に対する投影ないし直角投影において、その際には所定の隙間を規定し、この隙間は、第2光源120との組み合わせにおいて、部分ハイビーム配光内に所定のセグメント(部分)を生成するように構成されている。換言すると、この隙間は、垂直方向においてないし補助絞り部材400の延在方向において、光学的に作用する第2絞り縁部420と光線絞り部材200との間の間隔により規定されている。
【0038】
図5は、投射モジュール10を下方から見たスケッチ的な図を示しており、ここでは、光学的に作用する垂直方向の第1絞り縁部410と、第1絞り縁部410の端部411とが、投射レンズ300の光軸線Aに対して離間していることが見てとれ、この際、このように形成された間隔440は、1mm、好ましくは8/10mmの大きさである。
【0039】
また、補助絞り部材400が、投射レンズ300の光軸線Aに対して直角方向に配設されていることが見てとれる。
【0040】
更に、投射レンズ300の焦点面Fが湾曲していることが見てとれ、この際、光線絞り部材200の光学的に作用する絞り縁部210の延在形状は、実質的に湾曲した焦点面Fに従うないし沿う。
【0041】
図6は、従来技術からの1つの部分ハイビーム配光を示し、ないし補助絞り部材400の光学的に作用する垂直方向の第1絞り縁部410が垂直方向の延在部において全体的に光線絞り部材200に至るまで達するであろうという一例からの部分ハイビーム配光を示している。この際、補助絞り部材の光学的に作用する第1絞り縁部がハイビーム配光を水平方向で-3.5°のところで遮光していることが見てとれる。
【0042】
図7は、本発明による投射モジュール10により生成可能である1つの部分ハイビーム配光を示し、この際、補助絞り部材400により規定される前述の隙間は、部分ハイビーム配光内に所定のセグメント(部分)500を生成するように構成されており、このセグメント500は、所定の測定スクリーンにおいて、水平方向では、-2°から、最大で-12°に至るまで、好ましくは最大で-6°に至るまで、好ましくは最大で-5°に至るまで、好ましくは正に最大で-3.5°に至るまで延在し、垂直方向では、2°に至るまで、好ましくは1°に至るまで、好ましくは0.2°に至るまで延在する。
【符号の説明】
【0043】
10 投射モジュール
110 第1光源
120 第2光源
200 光線絞り部材
210 絞り縁部
300 投射レンズ
400 補助絞り部材
410 第1絞り縁部
411 端部
420 第2絞り縁部
430 固定部分(取付部分)
A 光軸線
F 焦点面
X 主放射方向