(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】支持装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20231013BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20231013BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B29C45/14
G02B3/00 A
B29C45/26
(21)【出願番号】P 2022537658
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2020082666
(87)【国際公開番号】W WO2021121848
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】シュタインケルナー、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ハッカー、アレハンダー
(72)【発明者】
【氏名】シャーデンホーファー、ペーター
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-054660(JP,A)
【文献】特開2015-060159(JP,A)
【文献】特表2014-518437(JP,A)
【文献】特開2014-178598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
H01L 31/00-31/02
H01L 31/08-31/10
H01L 31/18
H10K 30/60-30/65
H10K 39/30
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
G02B 1/00- 1/08
G02B 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持装置の製造方法であって、
前記支持装置(1)には前記支持装置(1)の第1終端部(2a)から第2終端部(2b)へ延伸しかつ光出射領域に到達する光案内チャンネル(2)が構成されており、前記第1終端部(2a)は第1光学要素(3)が形状結合的に結合可能な受容領域を有し、前記第1光学要素(3)は第1光軸(3a)を有し、前記第2終端部(2b)は第2光学要素(4)と結合するための当接係止面(5)を有し、前記第2光学要素(4)は第2光軸(4a)を有し、前記当接係止面(5)は前記光出射領域を包囲及び画定し、
前記方法は以下のステップ:
a)前記第1光学要素(3)を提供すること、
b)射出成形法を実行するための射出成形機を提供すること、但し、前記射出成形機は閉鎖状態において前記支持装置(1)を形成するための中空空間を一緒に包囲する第1工具半部及び第2工具半部を有し、前記中空空間の第1部分は前記第1工具半部内に形成され及び前記中空空間の残りの第2部分は前記第2工具半部内に形成され、前記第2工具半部内の前記中空空間の前記第2部分は両方の工具半部の分離ラインから出発し前記第2工具半部に形成された第1前額面にまで延伸する凹部として構成されており、この第1前額面は前記中空空間において形成されるべき支持装置の当接係止面と境を接し、前記凹部内には閉鎖状態において前記第1工具半部の方向へ延伸する入れ子が配置されており、該入れ子は前記支持装置(1)の前記光案内チャンネルを形成するために当該入れ子を包囲する前記支持装置(1)の外殻部の内面を規定し、前記入れ子の前記第1工具半部を指向する側の端部によって第2前額面が形成されており、前記入れ子の前記第2前額面は前記第2工具半部内に形成された前記第1前額面に対し平行に形成されている、
c)前記第1光学要素(3)を前記射出成形機の前記第1工具半部内へ導入すること、
d)前記第1工具半部と前記第2工具半部を閉じること、但し、前記第1光学要素(3)は、その際、前記第2前額面にフラットに載置され、そのため、その配向が少なくとも部分的に固定される、
e)射出成形材料を前記中空空間内に導入し、それによって射出成形材料を前記第1光学要素(3)の周囲に噴射することによって前記支持装置(1)の前記第1終端部(2a)を形成すること、但し、前記周囲に噴射する間に、前記第1光学要素(3)は前記第2前額面に、形状結合を形成しつつ、当接する、
f)射出成形材料を前記入れ子の周囲に噴射することによって前記光案内チャンネル(2)を包囲する前記支持装置(1)の外殻部を形成するために更なる射出成形材料を導入すること、
g)追加の射出成形材料を前記中空空間内に導入することによって前記当接係止面(5)と一緒に前記支持装置(1)の前記外殻部を閉鎖する前記第2終端部(2b)を形成すること
を含むこと
、
前記第1光学要素(3)はコリメータであること、
前記第2光学要素(4)はマイクロレンズアレイであること
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記入れ子の長軸は前記第1前額面及び前記第2前額面に対し直角をなすよう配向されており、前記第1光学要素(3)の前記光軸(3a)は前記ステップd)において前記入れ子の長軸に対し平行をなすよう配向されていること
を特徴する方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記支持装置(1)は、前記第1光学要素(3)が前記第1終端部(2a)の前記受容領域に結合されかつ前記第2光学要素(4)が前記第2終端部(2b)の前記当接係止面(5)に結合されている場合、前記第1光学要素(3)の前記第1光軸(3a)と前記第2光学要素(4)の前記第2光軸(4a)が互いに対し平行をなしているよう、構成されていること
を特徴する方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の方法において、
前記光案内チャンネル(2)の内部の光は、前記第1光学要素(3)から前記第2光学要素(4)へ、前記第1光学要素(3)の前記第1光軸(3a)及び前記第2光学要素(4)の前記第2光軸(4a)に対し平行に伝搬すること
を特徴する方法。
【請求項5】
請求項1~
4の何れかに記載の方法において、
前記支持装置(1)と前記支持装置(1)に結合された前記第1光学要素(3)及び前記第2光学要素(4)は閉空間を形成すること
を特徴する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置の製造方法であって、前記支持装置には前記支持装置の第1終端部から第2終端部へ延伸しかつ光出射領域に到達する光案内チャンネルが構成されており、前記第1終端部は第1光学要素が形状結合的に(ありつぎ結合式に)結合(固定)可能な受容領域を有し、前記第1光学要素は第1光軸を有し、前記第2終端部は第2光学要素と結合するための当接係止面を有し、前記第2光学要素は第2光軸を有し、前記当接係止面は前記光出射領域を包囲及び画定する支持装置の製造方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、支持装置に関する。
【背景技術】
【0003】
光案内チャンネルとして及び光学部材を支持するよう構成されている支持装置は従来技術から既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US 2011/164850 A1
【文献】DE 20 2011 050563 U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
不利なことに、既知の支持装置は、第1及び第2終端部にその製造方法によって引き起こされる構造上の不正確性を有する。そのため、支持装置の終端部(複数)に光学部材(複数)が結合されている場合、第1光学部材から第2光学部材への光伝送時にエラー(誤り)ないし不正確性が生じ得る。
【0006】
本発明の課題は従来技術の欠点を緩和ないし解消することである。従って、本発明はとりわけ改善された支持装置の製造方法を創作することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1の特徴を有する方法によって解決される。即ち、本発明の第1の視点により、支持装置の製造方法が提供される。
前記支持装置には前記支持装置の第1終端部から第2終端部へ延伸しかつ光出射領域に到達する光案内チャンネルが構成されており、前記第1終端部は第1光学要素が形状結合的に結合可能な受容領域を有し、前記第1光学要素は第1光軸を有し、前記第2終端部は第2光学要素と結合するための当接係止面を有し、前記第2光学要素は第2光軸を有し、前記当接係止面は前記光出射領域を包囲及び画定し、
前記方法は以下のステップ:
a)前記第1光学要素を提供すること、
b)射出成形法を実行するための射出成形機を提供すること、但し、前記射出成形機は閉鎖状態において前記支持装置を形成するための中空空間を一緒に包囲する第1工具半部及び第2工具半部を有し、前記中空空間の第1部分は前記第1工具半部内に形成され及び前記中空空間の残りの第2部分は前記第2工具半部内に形成され、前記第2工具半部内の前記中空空間の前記第2部分は両方の工具半部の分離ラインから出発し前記第2工具半部に形成された第1前額面にまで延伸する凹部として構成されており、この第1前額面は前記中空空間において形成されるべき支持装置の当接係止面と境を接し、前記凹部内には閉鎖状態において前記第1工具半部の方向へ延伸する入れ子が配置されており、該入れ子は前記支持装置の前記光案内チャンネルを形成するために当該入れ子を包囲する前記支持装置の外殻部の内面を規定し、前記入れ子の前記第1工具半部を指向する側の端部によって第2前額面が形成されており、前記入れ子の前記第2前額面は前記第2工具半部内に形成された前記第1前額面に対し平行に形成されている、
c)前記第1光学要素前記射出成形機の前記第1工具半部内へ導入すること、
d)前記第1工具半部と前記第2工具半部を閉じること、但し、前記第1光学要素は、その際、前記第2前額面にフラットに載置され、そのため、その配向が少なくとも部分的に固定される、
e)射出成形材料を前記中空空間内に導入し、それによって射出成形材料を前記第1光学要素の周囲に噴射することによって前記支持装置の前記第1終端部を形成すること、但し、前記周囲に噴射する間に、前記第1光学要素前記第2前額面に、形状結合を形成しつつ、当接する、
f)射出成形材料を前記入れ子の周囲に噴射することによって前記光案内チャンネルを包囲する前記支持装置の外殻部を形成するために更なる射出成形材料を導入すること、
g)追加の射出成形材料を前記中空空間内に導入することによって前記当接係止面と一緒に前記支持装置の前記外殻部を閉鎖する前記第2終端部を形成すること
を含むこと、
前記第1光学要素はコリメータであること、
前記第2光学要素はマイクロレンズアレイであること
を特徴とする(形態1)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましい実施形態は従属請求項に規定されている。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の方法において、
前記入れ子の長軸は前記第1前額面及び前記第2前額面に対し直角をなすよう配向されており、前記第1光学要素の前記光軸は前記ステップd)において前記入れ子の長軸に対し平行をなすよう配向されていることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の方法において、
前記支持装置は、前記第1光学要素が前記第1終端部の前記受容領域に結合されかつ前記第2光学要素が前記第2終端部の前記当接係止面に結合されている場合、前記第1光学要素の前記第1光軸と前記第2光学要素の前記第2光軸が互いに対し平行をなしているよう、構成されていることが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの方法において、
前記光案内チャンネルの内部の光は、前記第1光学要素から前記第2光学要素へ、前記第1光学要素の前記第1光軸及び前記第2光学要素の前記第2光軸に対し平行に伝搬することが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの方法において、
前記支持装置と前記支持装置に結合された前記第1光学要素及び前記第2光学要素は閉空間を形成することが好ましい。
【0009】
本発明に応じ、本方法は、以下のステップを有する:
a)第1光学要素を提供すること;
b)射出成形法を実行するための射出成形機を提供すること、但し、射出成形機は閉鎖状態において支持装置を形成するための中空空間を一緒に包囲する第1工具(型)半部及び第2工具(型)半部を有し、中空空間の第1部分は第1工具半部内に形成され及び中空空間の残りの第2部分は第2工具半部内に形成され、第2工具半部内の中空空間の第2部分は両方の(第1及び第2)工具半部の分離ラインから出発し第2工具半部に形成された第1前額面にまで延伸する凹部として構成されており、この第1前額面は中空空間において形成されるべき支持装置の当接係止面と境を接し、凹部内には閉鎖状態において第1工具半部の方向へ延伸する入れ子(Stempel)が配置されており、入れ子は支持装置の光案内チャンネルを形成するために当該入れ子を包囲する支持装置の外殻部の内面を規定し、入れ子の第1工具半部を指向する側の端部によって第2前額面が形成されており、入れ子の第2前額面は第2工具半部内に形成された第1前額面に対し平行に形成されている;
c)第1光学要素を射出成形機の第1工具半部内へ導入すること;
d)第1工具半部と第2工具半部を閉じること、但し、第1光学要素は、その際、第2前額面にフラットに載置され、そのため、その配向が少なくとも部分的に固定される;
e)射出成形材料を中空空間内に導入し、それによって射出成形材料を第1光学要素の周囲に噴射することによって支持装置の第1終端部を形成すること、但し、(射出成形材料を第1光学要素の)周囲に噴射する間に、第1光学要素は第2前額面に、形状結合を形成しつつ、当接する;
f)射出成形材料を入れ子の周囲に噴射することによって光案内チャンネルを包囲する支持装置の外殻部を形成するために更なる射出成形材料を導入すること、
g)追加の射出成形材料を中空空間内に導入することによって(第1)当接係止面と一緒に支持装置の外殻部を閉鎖する第2終端部を形成すること。
【0010】
射出成形法は好ましくはインサート射出成形法である。第1光学要素はステップd)及びe)に従って第2前額面に当接し、第1光学要素の第1光軸は好ましくは第2前額面に対し直角をなして配向されている。第1前額面及び第2前額面は好ましくは平らに(eben)ないし平坦に(plan)ないし非湾曲的に構成されている。従って、第1光学要素の配向は、第2前額面における第1光学要素の当接によって、2つの次元において規定ないし固定されることができる。第1光学要素は、第2前額面に当接する場合、1つの自由度、即ち、第1光学要素のその光軸の周りでの回転を有することができる。この光軸は好ましくは入れ子(Stempel)の長軸に対し平行に、とりわけ同軸的に(コアキシャルに)延伸する。好ましくは第2終端部には第2光学要素が結合(固定)されるが、第2光学要素はその光軸に対し直角をなすよう配向されることが可能な光学的活性面を有することができる。第2光学要素が第2終端部に結合(固定)されている場合、第2光学要素は支持装置の当接係止面に接触することができ、その際、光学的活性面は当接係止面に対し平行に及び第2光軸は当接係止面に対し直角に配向されることができる。好ましくは、第1前額面と第2前額面との間の平行性(第1前額面と第2前額面が平行であること)及び/又は第2前額面に対する第1光軸の直交性(第1光軸が第2前額面と直交すること)及び/又は第1前額面に対する第2光軸の直交性(第2光軸が第1前額面と直交すること)が実現されている。かくして、第1終端部に第1光学要素が及び第2終端部に第2光学要素が結合されると、第1光軸と第2光軸が互いに対し平行に、とりわけ同軸に(コアキシャルに)配向されるという利点が得られる。そのため、第1光学要素から光案内チャンネルの内部において第2光学要素へと放射される光は、格別に効率的に第1光学要素から第2光学要素へと導かれることができる。第1前額面と第2前額面が第2工具半部の中空空間内に従って同じ工具半部内に形成されていることによって、第1前額面と第2前額面の平行性に関し極めて高い正確性が達成されることができ、第1前額面と第2前額面の平行性の高い正確性は第1光学要素と第2光学要素の互いに向い合う光学的活性面間の平行性に関し高い正確性をもたらす。第1前額面と第2前額面間の平行性の高い正確性は第1光軸と第2光軸間の平行性に対しても決定的である。平行性についての高い正確性とは、正確性が高い場合、完全な平行(性)からのずれが可及的に小さいという趣旨で理解されるべきである。射出成形機は、インサート射出成形法の代わりに、2K(2成分)射出成形法を実行するよう構成されることも可能である。2K射出成形法の場合、第1工具半部内への第1光学要素の導入(挿入)は必要ではない。両工具半部の閉鎖状態では、第1工具半部の境界面は、該境界面は両工具半部の分離ラインにまで延伸するが、第2前額面と接触する。支持装置の第1終端部は、中空空間内への射出成形材料の導入によって、かくして、第2前額面において形成される入れ子の端部領域の周囲に射出成形材料を噴射することによって生成されることができる。好ましくは、第1光学要素は第1終端部において形状結合的に(ありつぎ結合式に)結合されることができる。
【0011】
入れ子の長軸は第1前額面及び第2前額面に対し直角をなすよう配向されており、第1光学要素の(第1)光軸はステップd)において入れ子の長軸に対し平行をなすよう配向されていることが可能である。第2光学要素の第2光軸は入れ子の長軸に対し平行に配向されていることが好ましい。
【0012】
支持装置は、第1光学要素が第1終端部の受容領域に結合(固定)されかつ第2光学要素が第2終端部の当接係止面に結合(固定)されている場合、第1光学要素の第1光軸と第2光学要素の第2光軸が互いに対し平行をなすよう、好ましくは同軸をなす(コアキシャルである)よう、構成されていることが可能である。
【0013】
光案内チャンネルの内部の光は、第1光学要素から第2光学要素へ、第1光学要素の第1光軸及び第2光学要素の第2光軸に対し平行に伝搬することが可能である。かくして、第1光学要素から第2光学要素への光伝送が効率的にかつ損失なしに実行可能になるという利点が得られる。更に、光は、第2光学要素を貫通通過した後、第2光学要素の光出射面から格別に一様に放射されることないしは出射することができる。このことは、光出射面単位当たり一定の明るさを有する光が第2光学要素の光出射面から放射されることも意味する。
【0014】
第1光学要素はコリメータであることが可能である。コリメータは、好ましくは、光源から光を受け取り、光線(複数)を平行に揃え、光線(複数)を平行光線束(ビーム)として放射するよう、構成される。コリメータは、光源の平行に揃えられた光を放射する光出射領域を有することができる。コリメータの光出射領域は、光が出射しないしは放射される出射面を含むことができ、該出射面は、好ましくは、方法ステップe)の間、第2前額面に当接していることが好ましい。コリメータの出射面は、好ましくは、第2前額面に対し平行でありかつ第1光軸及び/又は第2光軸に対し直角をなす。
【0015】
第2光学要素はマイクロレンズアレイ(Mikro-Linsen-Array)であることが可能である。マイクロレンズアレイ(MLA)は、第2光学要素ないしコリメータの出射面に指向された光学的活性面を有することができる。光は、第1光学要素から支持装置の光案内チャンネルを通り抜けてMLAの光学的活性面に照射されることができる。第1光学要素に背向する側(第1光学要素から遠い側)には、MLAは、複数のレンズ、とりわけ複数のマイクロレンズから構成される光出射面を有することができ、これらのレンズ(マイクロレンズ)は光出射面にマトリックス状に(ないしグリッド状に:rasterfoermig)配置されている。MLAの各マイクロレンズは、光を光線束(ビーム)として放射するよう、構成されることができる。MLAの使用によって、可能な集光レンズ(凸レンズ)作用(効果)がMLAの内部に生じ得るが、支持装置の内部では生じ得ないという利点が得られる。その結果、支持装置はより軟らかい(より低強度の)材料で製造可能になる。そのため、支持装置は複数の構成要素から製造可能になり、かくして、支持装置は例えば透視窓(Sichtfenster)を有することができる。
【0016】
支持装置と支持装置に結合された第1光学要素及び第2光学要素は閉空間を形成することが可能である。
【0017】
本発明に応じ、支持装置が提供され、該支持装置は本発明の方法によって製造される。支持装置は、当該支持装置の第1終端部から第2終端部へ延伸しかつ光出射領域に到達する光案内チャンネルを含み、第1終端部には第1光学要素が結合(固定)されること及び第2終端部には第2光学要素が結合(固定)されることが可能であり、第1光学要素は第1光軸を有し及び第2光学要素は第2光軸を有する。第1光学要素が第1終端部に結合(固定)されかつ第2光学要素が第2終端部に結合(固定)されている状態では、第1光軸が第2光軸に対し平行に、好ましくは同軸に(コアキシャルに)配向されていることが好ましい。
【0018】
本書の枠内において、概念「上」、「下」、「水平」、「垂直」は、本方法が射出成形機によって通常の使用位置(姿勢)で実行される場合における方向(配向)を表すものと理解されるべきである。
【0019】
本発明は以下において好ましい一実施例を用いて更に説明されるが、本発明はこの実施例に限定することは意図されていない。また、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1光学要素及び第2光学要素を備えた本発明の支持装置の一例の側面図。
【
図3】支持装置を省いた、第1光学要素及び第2光学要素の一例。
【実施例】
【0021】
図1及び
図2は支持装置1の概観を示す。支持装置1には、支持装置1の第1終端部2aから第2終端部2bへ延伸しかつ光出射領域に到達する光案内チャンネル2が形成されている。第1終端部2aには、第1光軸3a(
図3参照)を有する第1光学要素3が結合されている。第1光学要素3は図示の実施例ではコリメータである。第2終端部2bには、第2光軸4aを有する第2光学要素4が結合されている。第2光学要素4は図示の実施例ではマイクロレンズアレイである。第1終端部2aは、第1光学要素3が形状結合的に(輪郭ないし外形形状間の嵌め合いによる結合方式即ちありつぎ結合式で:formschliessend)結合される受容領域を有する。第2終端部は、第2光学要素4が結合される当接係止面(Anschlagflaeche)5を有する。
図1及び
図2から明らかなとおり、第1光学要素には冷却体が結合されている。
【0022】
第1終端部2a及び第2終端部2bは、第1光学要素3が第1終端部2aに及び第2光学要素4が第2終端部2bに結合されている場合に、第1光軸3aと第2光軸4aが互いに対し平行であるように、好ましくは同軸(コアキシャル)であるように、本発明の方法によって構成されている。
【0023】
図3(支持装置はより見易くするために図示されていない)から明らかなとおり、第1光学要素3は、第1光軸3aと、第1光軸3aに対し直角をなし、光、好ましくは平行光が出射可能な(第1)光学活性面3bを含む。光は第2光学要素4の方向へ放射され、第2光学要素4の第2光学活性面4bに入射する。光は第2光学要素4を貫通通過し、光出射面4cに照射される。第1光学要素3から第2光学要素4へ効率的にかつ可及的に損失なしに光伝送を可能にするために、及び、第2光学要素4の光出射面4cからの可及的に一様な光放射を可能にするために、第1光学活性面3bと第2光学活性面4bは互いに対し可及的に平行をなして配向されている場合、有利である。平行性からのずれを最小化するために、その中で支持装置1が製造される射出成形工具(型)は、第1光学要素3及び第2光学要素4の配向を夫々決定(設定)する第1前額面及び第2前額面が同じ工具(型)半部、この実施例では第2工具(型)半部において形成されるよう、構成されている。
【0024】
本発明は以下の態様も可能である。
[付記1]支持装置の製造方法。
前記支持装置には前記支持装置の第1終端部から第2終端部へ延伸しかつ光出射領域に到達する光案内チャンネルが構成されている;前記第1終端部は第1光学要素が形状結合的に結合可能な受容領域を有する;前記第1光学要素は第1光軸を有する;前記第2終端部は第2光学要素と結合するための当接係止面を有する;前記第2光学要素は第2光軸を有する;前記当接係止面は前記光出射領域を包囲及び画定する;
前記方法は以下のステップ:
a)前記第1光学要素を提供すること、
b)射出成形法を実行するための射出成形機を提供すること、但し、前記射出成形機は閉鎖状態において前記支持装置を形成するための中空空間を一緒に包囲する第1工具半部及び第2工具半部を有し、前記中空空間の第1部分は前記第1工具半部内に形成され及び前記中空空間の残りの第2部分は前記第2工具半部内に形成され、前記第2工具半部内の前記中空空間の前記第2部分は両方の工具半部の分離ラインから出発し前記第2工具半部に形成された第1前額面にまで延伸する凹部として構成されており、この第1前額面は前記中空空間において形成されるべき支持装置の当接係止面と境を接し、前記凹部内には閉鎖状態において前記第1工具半部の方向へ延伸する入れ子が配置されており、該入れ子は前記支持装置の前記光案内チャンネルを形成するために当該入れ子を包囲する前記支持装置の外殻部の内面を規定し、前記入れ子の前記第1工具半部を指向する側の端部によって第2前額面が形成されており、前記入れ子の前記第2前額面は前記第2工具半部内に形成された前記第1前額面に対し平行に形成されている、
c)前記第1光学要素を前記射出成形機の前記第1工具半部内へ導入すること、
d)前記第1工具半部と前記第2工具半部を閉じること、但し、前記第1光学要素は、その際、前記第2前額面にフラットに載置され、そのため、その配向が少なくとも部分的に固定される、
e)射出成形材料を前記中空空間内に導入し、それによって射出成形材料を前記第1光学要素の周囲に噴射することによって前記支持装置の前記第1終端部を形成すること、但し、前記周囲に噴射する間に、前記第1光学要素は前記第2前額面に、形状結合を形成しつつ、当接する、
f)射出成形材料を前記入れ子の周囲に噴射することによって前記光案内チャンネルを包囲する前記支持装置の外殻部を形成するために更なる射出成形材料を導入すること、
g)追加の射出成形材料を前記中空空間内に導入することによって前記当接係止面と一緒に前記支持装置の前記外殻部を閉鎖する前記第2終端部を形成すること
を含む。
[付記2]上記の方法において、
前記入れ子の長軸は前記第1前額面及び前記第2前額面に対し直角をなすよう配向されている;前記第1光学要素の前記光軸は前記ステップd)において前記入れ子の長軸に対し平行をなすよう配向されている。
[付記3]上記の方法において、
前記支持装置は、前記第1光学要素が前記第1終端部の前記受容領域に結合されかつ前記第2光学要素が前記第2終端部の前記当接係止面に結合されている場合、前記第1光学要素の前記第1光軸と前記第2光学要素の前記第2光軸が互いに対し平行をなしているよう、構成されている。
[付記4]上記の方法において、
前記光案内チャンネルの内部の光は、前記第1光学要素から前記第2光学要素へ、前記第1光学要素の前記第1光軸及び前記第2光学要素の前記第2光軸に対し平行に伝搬する。
[付記5]上記の方法において、
前記第1光学要素はコリメータである。
[付記6]上記の方法において、
前記第2光学要素はマイクロレンズアレイである。
[付記7]上記の方法において、
前記支持装置と前記支持装置に結合された前記第1光学要素及び前記第2光学要素は閉空間を形成する。
[付記8]支持装置。
前記支持装置は、上記の何れかの方法に従って製造される。