(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】フォルディング後の復元力に優れた光学フィルム及びこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
B32B 7/023 20190101AFI20231013BHJP
C08J 7/04 20200101ALI20231013BHJP
C08F 299/00 20060101ALI20231013BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20231013BHJP
C08J 7/046 20200101ALI20231013BHJP
【FI】
B32B7/023
C08J7/04 Z CER
C08F299/00
G02B1/14
C08J7/046 Z CEZ
(21)【出願番号】P 2022551662
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 KR2021003796
(87)【国際公開番号】W WO2021194312
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0037091
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ハク-ギ
(72)【発明者】
【氏名】アン,サン-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒョラ
【審査官】原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-520608(JP,A)
【文献】特表2019-532356(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0107684(KR,A)
【文献】特表2018-506617(JP,A)
【文献】特開2019-067876(JP,A)
【文献】特表2016-528071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 7/023
C08J 7/04
C08F 299/00
G02B 1/14
C08J 7/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材と、
バッファー層と、を含み、
下記の数式1によって算出される第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0である、
光学フィルム。
<数式1>
第1フォルディング痕跡パラメーター = [{(バッファー層の厚さ×2.0×バッファー層の屈折率)/(光透過性基材の厚さ×光透過性基材の屈折率)}+光学フィルムのモジュラス]×Δn×1.5
前記数式1にて、Δnは“前記光透過性基材の屈折率-前記バッファー層の屈折率”である。
【請求項2】
前記バッファー層はウレタンアクリレート樹脂を含む、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記バッファー層はウレタンアクリレートシロキサン樹脂を含む、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記ウレタンアクリレートシロキサン樹脂は、
下記の化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物と、
下記の化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物と、
下記の化学式3で表示されるジオール化合物と、を含む組成物によって形成される、
請求項3に記載の光学フィルム。
<化学式1>
前記化学式1にて、R
1はC1~C8の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基であり、R
2及びR
3はそれぞれ独立にC1~C6の線状、分岐状または脂環式のアルキレン基であり、R
4はアクリレート基またはメタクリレート基であり、nは1~3の整数である。
<化学式2>
R
5
mSi(OR
6)
4-m
前記
化学式2にて、R
5及びR
6はそれぞれ独立に、C1~C8の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基であり、mは0~3の整数である。
<化学式3>
HO-R
7-OH
前記化学式3にて、R
7はC1~C6の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基である。
【請求項5】
前記R
4は、ヒドロキシ基(-OH)を含むアクリレート基である、
請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記R
4は、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate、4-HBA)のうちの一つから由来したアクリレート基である、
請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記アルコキシシラン化合物は、テトラアルコキシシラン(Tetraalkoxy silane)を含む、
請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記ジオール化合物は、エチレングリコール(ethylene glycol)を含む、
請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記バッファー層は、10~150μmの厚さを有し、1.50~1.52の屈折率を有する、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記光透過性基材は、10~100μmの厚さを有し、1.52~1.74の屈折率をする、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項11】
2.0~7.0Gpaのモジュラスを有する、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項12】
ハードコーティング層をさらに含み、
下記の数式2によって算出される第2フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0である、
請求項1に記載の光学フィルム。
<数式2>
第2フォルディング痕跡パラメーター = [{((バッファー層の厚さ×2.0×バッファー層の屈折率)+(ハードコーティング層の厚さ×ハードコーティング層の屈折率))/(光透過性基材の厚さ×光透過性基材の屈折率)}+光学フィルムのモジュラス]×Δn×1.5
前記数式2にて、Δnは“前記光透過性基材の屈折率-前記バッファー層の屈折率”である。
【請求項13】
前記ハードコーティング層は0.1~10μmの厚さを有し、1.48~1.52の屈折率を有する、
請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項14】
光沢度変化量(△RIQ=RIQ
2-RIQ
1)が-20以上であり、
前記RIQ
1は、前記光学フィルムから任意に取得した100mm×50mmのサンプルを一つの折曲軸を中心に折曲試験する際、前記折曲軸の中間地点を選定し、前記折曲軸の中間地点にて前記折曲試験の前にRIQ(RhopointIQ社製)を用いて測定した光沢度であり、
前記RIQ
2は、前記RIQ
1を測定した前記折曲軸の中間地点と同じ地点にて折曲試験した後に測定した光沢度であり、
前記折曲試験は、前記100mm×50mmのサンプルについて、屈曲反復評価器(YUASA社製)を用い、25℃/50RH%で、曲率半径2.0mm(直径4.0mm)、60rpmの速度でもって100,000回繰り返し折り曲げる、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項15】
表示パネルと、
前記表示パネル上に配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の光学フィルムと、
を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォルディング(折り曲げ; 折り曲げ)後の折れ痕跡(折れ筋)が改善された光学フィルム及びこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、表示装置の薄型化、軽量化、フレキシブル化につれて、カバーウィンドウとして、ガラスの代わりに光学フィルムを使うことが検討されている。光学フィルムを表示装置のカバーウィンドウとして使うためには、優れた光学的特性及び機械的特性を有しなければならない。
【0003】
したがって、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性及び低温特性などといった機械的特性に優れるとともに光学特性に優れたフィルムを開発することが必要であり、カバーウィンドウといった、フレキシブルウィンドウ部材として活用するとき、屈曲特性及び耐衝撃性などに優れ、フォルディングの際にフォルディングの痕跡が残らない光学フィルムの開発が要求されているのが実情である。
【0004】
光学フィルムのうち、代表的にポリイミド(PI)系樹脂は、不溶性、耐化学性、耐熱性、耐放射線性、低温特性、屈曲特性及び耐衝撃性などに優れるので、自動車材料、航空素材、宇宙船素材、絶縁コーティング剤、絶縁膜、保護フィルムなどとして使われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の一実施例は、新規のバッファー層を含むことにより、フォルディング痕跡が改善するか耐衝撃性が補強された光学フィルムを提供しようとする。
【0006】
また、本発明の他の一実施例は、フォルディング痕跡が改善するか耐衝撃性が補強された光学フィルムを含む表示装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例は、光透過性基材と、バッファー層と、を含み、下記の数式1によって算出される第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0である光学フィルムを提供する。
【0008】
<数式1>
第1フォルディング痕跡パラメーター = [{(バッファー層の厚さ×2.0×バッファー層の屈折率)/(光透過性基材の厚さ×光透過性基材の屈折率)}+光学フィルムのモジュラス]×Δn×1.5
【0009】
前記数式1にて、Δnは“前記光透過性基材の屈折率-前記バッファー層の屈折率”である。
【0010】
前記バッファー層はウレタンアクリレート樹脂を含むことができる。
【0011】
前記バッファー層はウレタンアクリレートシロキサン樹脂を含むことができる。
【0012】
前記ウレタンアクリレートシロキサン樹脂は、下記の化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物と、下記の化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物と、下記の化学式3で表示されるジオール化合物と、を含む組成物によって形成されうる。
【0013】
【0014】
前記化学式1にて、R1はC1~C8の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基であり、R2及びR3はそれぞれ独立にC1~C6の線状、分岐状または脂環式のアルキレン基であり、R4はアクリレート基またはメタクリレート基であり、nは1~3の整数である。
【0015】
<化学式2>
R5
mSi(OR6)4-m
【0016】
前記化学式2にて、R5及びR6はそれぞれ独立に、C1~C8の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基であり、mは0~3の整数である。
【0017】
<化学式3>
HO-R7-OH
【0018】
前記化学式2で、R7はC1~C6の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基である。
【0019】
前記R4は、ヒドロキシ基(-OH)を含むアクリレート基であることができる。
【0020】
前記R4は、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate、4-HBA)のうちの一つから由来したアクリレート基であることができる。
【0021】
前記アルコキシシラン化合物は、テトラアルコキシシラン(Tetraalkoxy silane)を含むことができる。
【0022】
前記ジオール化合物は、エチレングリコール(ethylene glycol)を含むことができる。
【0023】
前記バッファー層は、10~150μmの厚さを有し、1.50~1.52の屈折率を有することができる。
【0024】
前記光透過性基材は、10~100μmの厚さを有し、1.52~1.74の屈折率をすることができる。
【0025】
前記光学フィルは、2.0~7.0Gpaのモジュラスを有することができる。
【0026】
前記光学フィルムは、ハードコーティング層をさらに含み、下記の数式2によって算出される第2フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0でありうる。
【0027】
<数式2>
第2フォルディング痕跡パラメーター = [{((バッファー層の厚さ×2.0×バッファー層の屈折率)+(ハードコーティング層の厚さ×ハードコーティング層の屈折率))/(光透過性基材の厚さ×光透過性基材の屈折率)}+光学フィルムのモジュラス]×Δn×1.5
【0028】
前記数式2にて、Δnは“前記光透過性基材の屈折率-前記バッファー層の屈折率”である。
【0029】
前記ハードコーティング層は0.1~10μmの厚さを有し、1.48~1.52の屈折率を有することができる。
【0030】
光沢度変化量(△RIQ=RIQ2-RIQ1)が-20以上であり、前記RIQ1は、前記光学フィルムから任意に取得した100mm×50mmのサンプルを一つの折曲軸を中心に折曲試験するとき、前記折曲軸の中間地点を選定し、前記折曲軸の中間地点で前記折曲試験の前にRIQ(RhopointIQ社製)を用いて測定した光沢度であり、前記RIQ2は、前記RIQ1を測定した前記折曲軸の中間地点と同じ地点で折曲試験した後に測定した光沢度であり、前記折曲試験は、前記100mm×50mmのサンプルを屈曲反復評価器(YUASA社製)を用い、25℃/50RH%で、曲率半径2.0mm(直径4.0mm)、60rpmの速度にて100,000回、繰り返し折り曲げることができる。
【0031】
本発明の他の一実施例は、表示パネルと、前記表示パネル上に配置される、前記光学フィルムと、を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施例によれば、バッファー層を含むことにより、フォルディングの際にもフォルディング痕跡が発生しないか、フォルディング痕跡が早く復元する光学フィルムを提供することができる。
【0033】
また、本発明の一実施例によれば、フォルディング痕跡が視認されない光学フィルムを提供することができる。
【0034】
本発明の他の一実施例は、フォルディング痕跡が改善された光学フィルムを含む表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施例による光学フィルムの断面図である。
【
図2】本発明の他の一実施例による光学フィルムの断面図である。
【
図3】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例による光学フィルムの断面図である。
【
図4】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例による光学フィルムの断面図である。
【
図5】ハードコーティング層をさらに含む本発明の他の一実施例による光学フィルムの断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の一実施例による表示装置の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では添付図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。ただ、以下で説明する実施例は本発明の明確な理解を助けるための例示的目的で提示するものであるだけで、本発明の範囲を限定しない。
【0037】
本発明の実施例を説明するための図面に開示した形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものなので、本発明が図示の事項に限定されるものではない。明細書全般にわたって同じ参照符号は同じ構成要素を示す。また、本発明の説明において、関連した公知の技術についての具体的な説明が本明細書の要旨を不必要にぼやけさせる可能性があると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0038】
本明細書で言及する‘含む’、‘有する’、‘なる’などを使う場合、‘~のみ’を使わない限り、他の部分が付け加わることができる。構成要素を単数で表現した場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む。また、構成要素の解釈において、別途の明示的な記載がないと言っても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0039】
位置関係についての説明の場合、例えば‘~上に’、‘~の上部に’、‘~の下部に’、‘~のそばに’などのように二つ部分の位置関係を説明する場合、‘直ぐ’又は‘直接’を使わない限り、二つ部分の間に一つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0040】
空間的に相対的な用語である“下(below、beneath)”、“下側(lower)”、“上(above)”、“上側(upper)”などは、図面に示したように、一つの素子又は構成要素と他の素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するために使うことができる。空間的に相対的な用語は図面に示されている方向に加え、使用の際又は動作の際に素子の互いに異なる方向を含む用語と理解しなければならない。例えば、図面に示されている素子を覆す場合、他の素子の“下(below)”又は”下(beneath)”に記述された素子は他の素子の“上(above)”に置かれうる。よって、例示的な用語である“下”は下と上の両方を含むことができる。同様に、例示的な用語である“上”は上と下の両方を含むことができる。
【0041】
時間関係についての説明の場合、例えば、‘~の後に’、‘~に引き続き’、‘~の次に’、‘~の前に’などのように時間的に先後関係を説明する場合、‘直ぐ’又は‘直接’を使わない限り、連続的ではない場合も含むことができる。
【0042】
第1、第2などを多様な構成要素を敍述するために使うが、これらの構成要素はこれらの用語に限定されない。これらの用語は、単に、一の構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。よって、以下で言及する第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であることもあり得る。
【0043】
“少なくとも一つ”という用語は一つ以上の関連項目から提示可能な全ての組合せを含むものと理解しなければならない。例えば、“第1項目、第2項目及び第3項目の少なくとも一つ”の意味は、第1項目、第2項目又は第3項目のそれぞれだけでなく、第1項目、第2項目及び第3項目の中より二つ以上から提示可能な全ての項目の組合せを意味することができる。
【0044】
本発明の多様な例のそれぞれの技術的特徴は部分的に又は全体的に、互いに結合又は組合せ可能であり、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、各実施例が互いに独立に実施される可能性もあり、連関関係で一緒に実施されることもありうる。
【0045】
図1は本発明の一実施例による光学フィルムの断面図であり、
図2は本発明の他の一実施例による光学フィルムの断面図である。
【0046】
本発明の一実施例は光学フィルムを提供する。本発明の一実施例による光学フィルムは、光透過性基材110及びバッファー層120を含む。
図1に示すように、本発明の光学フィルムは、光透過性基材110の下面にバッファー層120が形成されうる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、
図2に示すように、本発明の光学フィルムは、光透過性基材110の上面にバッファー層120が形成されることもありうる。もしくは、図面に示してはいないが、光透過性基材110の上面及び下面の両方にバッファー層120が配置されることもありうる。バッファー層120は、必要によって、任意の位置に配置されうるのであり、光透過性基材110及びバッファー層120の間にさらに他の層が形成されることもありうる。ただし、バッファー層120が光透過性基材110の上面に形成される場合、バッファー層120の硬度が低いことから光学フィルムの耐久性や耐スクラッチ性が低下しうるので、バッファー層120は光透過性基材110の下面に形成されることがより好ましい。
【0047】
本発明の一実施例による光透過性基材110は、光が透過することができるものであればいずれでも可能である。例えば、光透過性基材110は、ガラスまたは高分子樹脂を含むことができる。特に、高分子樹脂は、屈曲特性及び耐衝撃性などに優れるので、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使うのに相応しい。
【0048】
高分子樹脂は、フィルムに、固形分粉末の形態、溶液に溶解している形態、溶液に溶解してから固化したマトリックスの形態などの、多様な形状及び形態として含まれうるのであり、本発明と同じ繰り返し単位を含む樹脂であれば、形状及び形態を問わず、いずれも本発明の高分子樹脂と同じものと見なすことができる。一般的に、フィルム内で高分子樹脂は、高分子樹脂溶液を塗布してから乾燥して固体化したマトリックスの形態として存在することができる。
【0049】
本発明の一実施例による高分子樹脂は、光透過性樹脂であればいずれでも可能である。例えば、シクロオレフィン系誘導体、セルロース系高分子、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリアミド系高分子、ポリアミドイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリアクリル系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエチレン系高分子、ポリプロピレン系高分子、ポリメチルペンテン系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリ塩化ビニリデン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、ポリビニルアセタル系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテルエーテルケトン系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子、ポリエチレンテレフタレート系高分子、ポリブチレンテレフタレート系高分子、ポリエチレンナフタレート系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリウレタン系高分子、及びエポキシ系高分子の中から選択された少なくとも1種を含むことができる。好ましくは、本発明の一実施例による高分子樹脂は、ポリイミド系高分子、ポリアミド系高分子、及びポリアミドイミド系高分子のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0050】
本発明の一実施例によれば、光透過性基材110は、ポリイミド系基材、ポリアミド系基材、及びポリアミドイミド系基材のうちのいずれか一つであることができる。しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、光透過性を有する基材であれば本発明の一実施例による光透過性基材110になりうる。
【0051】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムは、下記の数式1によって算出されるフィルムの第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0である。
【0052】
<数式1>
第1フォルディング痕跡パラメーター = [{(バッファー層の厚さ×2.0×バッファー層の屈折率)/(光透過性基材の厚さ×光透過性基材の屈折率)}+光学フィルムのモジュラス]×Δn×1.5
【0053】
前記数式1にて、Δnは“前記光透過性基材の屈折率-前記バッファー層の屈折率”である。前記数式1にて、バッファー層及び光透過性基材の厚さの基本単位はμmであり、光学フィルムのモジュラスの基本単位はGpaであるが、数式1では、前記単位は省略し、数値のみを代入して第1フォルディング痕跡パラメーター値を算出する。
【0054】
本発明で、フォルディング痕跡とは、光学フィルムが折曲による機械的変化によって、フィルムの表面で不均一にしわが発生するか、または透明なフィルムに白く白濁が発生する現象があることを言う。また、しわ発生または白濁現象の他にも、フォルディングの前後の長さの差または光透過性の差などといった光学フィルムの機械的及び光学的物性の変化まで含むことができる。
【0055】
本発明で、バッファー層及び光透過性基材の屈折率は、25℃で複屈折分析機(Prism Coupler、例えばSairon Technology社製、SPA4000)を用い、532nmでTE(Transverse Electric)モードで測定することができる。
【0056】
本発明で、光学フィルムのモジュラス(modulus)は標準規格ASTM D882に従って、万能引張試験器(例えば、INSTRON社製)を用いて下記の条件で測定することができる。
【0057】
-25℃/50RH%
【0058】
-ロードセル(Load Cell) 30KN、グリップ(Grip) 250N。
【0059】
-試片の大きさ10×50mm、引張速度25mm/min
【0060】
本発明の光学フィルムは、フィルムの第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0である。本発明の発明者は、研究によって、光透過性基材及びバッファー層の厚さ及び屈折率を調節することで、フォルディング際のフォルディング痕跡の発生有無を調節することができることを見付けた。フィルムの第1フォルディング痕跡パラメーターによって算出された値によって、フィルムのフォルディングの際のフォルディング痕跡発生程度を判断することができる。第1フォルディング痕跡パラメーターは光透過性基材及びバッファー層の厚さ及び屈折率、光学フィルムのモジュラスを用いて算出したパラメーターであり、基材及びバッファー層の厚さ及び屈折率、光学フィルムのモジュラス、及び光透過性基材とバッファー層との屈折率の差を調節することで、フォルディング痕跡が改善されうる。ここで、バッファー層の厚さ及び屈折率が、光透過性基材の厚さ及び屈折率に比べて、フォルディング痕跡の発生の有無に、より大きい影響を及ぼしうる。したがって、前記第1フォルディング痕跡パラメーターにて、“バッファー層の厚さ×バッファー層の屈折率”を2倍にした。
【0061】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムの第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0の場合、フォルディング痕跡が改善してフォルディング痕跡が発生しないか、フォルディング痕跡が早く復元することができる。また、第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0の場合、フォルディング痕跡が視認されないのでありうる。フォルディング痕跡が視認されないというのは、物理的にフォルディング痕跡があるというのは、使用者の目によってフォルディング痕跡が認識されないことを含む。フレキシブル表示装置がフォルディングされるためには、カバーウィンドウだけではなく、表示装置の内部の基板などもフォルディングされなければならず、内部の基板にもフォルディング痕跡が発生しうる。ここで、内部基板のフォルディング痕跡も透明カバーウィンドウを通して使用者に視認されうる。しかし、本発明の光学フィルムは、第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0の場合、カバーウィンドウの下部に存在する基板のフォルディング痕跡も視認されないようにして、光学フィルムの視認性及び屈曲特性を向上させることができる。反対に、第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0を外れる場合、フォルディングの際、光学フィルムにフォルディング痕跡が発生しうる。
【0062】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムが0.7~7.0の第1フォルディング痕跡パラメーターを有するために、バッファー層120はバッファー層120を含む。バッファー層120は光透過性基材110の両面のうちの少なくとも一面の上に形成されうる。バッファー層120は光透過性基材110の上面側に形成されることもありうるのであって、下面側に形成されることもありうるのであり、上面及び下面の両側に形成されることもありうる。バッファー層120は光透過性基材110と直接接することもでき、バッファー層120と光透過性基材110との間にさらに他の層が配置されることもありうる。
【0063】
本発明の一実施例によれば、バッファー層120は、ウレタンアクリレート樹脂を含むことができる。
【0064】
本発明の一実施例によれば、バッファー層120は、好ましくはウレタンアクリレートシロキサン樹脂を含むことができる。
【0065】
本発明の一実施例によれば、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂は、下記の化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物、下記の化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物、及び下記の化学式3で表示されるジオール化合物を含む組成物によって形成されうる。
【0066】
【0067】
前記化学式1にて、R1はC1~C8の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基であり、R2及びR3はそれぞれ独立にC1~C6の線状、分岐状または脂環式のアルキレン基であり、R4はアクリレート基またはメタクリレート基であり、nは1~3の整数である。
【0068】
<化学式2>
R5
mSi(OR6)4-m
【0069】
前記化学式2にて、R5及びR6はそれぞれ独立に、C1~C8の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基であり、mは0~3の整数である。
【0070】
<化学式3>
HO-R7-OH
【0071】
前記化学式3にて、R7はC1~C6の脂肪族または芳香族炭化水素から由来した作用基である。
【0072】
本発明によるバッファー層120が前記化学式1~3で表示される化合物を含む組成物によって形成されるウレタンアクリレートシロキサン樹脂を含むことにより、バッファー層120を含む光学フィルムは、0.7~7.0の第1フォルディング痕跡パラメーターを有することができる。
【0073】
より具体的には、本発明によるウレタンアクリレートシロキサン樹脂が化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物を含むことにより、バッファー層120は、表示装置がフォルディングされる際、光学フィルム下部の内部基板にかかる引張力または圧縮力を緩和させる役割を果たすことにより、フォルディングの際に発生するフォルディング痕跡を減少させることができる。
【0074】
本発明によるウレタンアクリレートシロキサン樹脂が化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物を含むことにより、バッファー層120が適切な硬度を有するようにすることができ、よって外力による光学フィルムの変形を最小化することができる。
【0075】
本発明によるウレタンアクリレートシロキサン樹脂が化学式3で表示されるジオール化合物を含むことにより、バッファー層120の柔軟性を極大化させ、弾性を付与することができるのであり、さらに光透過性基材110上にバッファー層120をコーティングするとき、コーティング面の平滑度を向上させることができる。したがって、光学フィルムのフォルディングの際、光透過性基材110からバッファー層120が剥離することを防止して光学フィルムのフォルディング信頼性を向上させることができる。
【0076】
本発明の一実施例によれば、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物は、化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物と、化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物とを9:1~5:5のモル比で含むことができる。好ましくは、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物は、化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物及び式2で表示されるアルコキシシラン化合物を8:2~6:4のモル比で含むことができる。
【0077】
化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物は、9:1のモル比よりも、化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物のモル比が大きい場合、例えば10:0のモル比、すなわち化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物のみ含む場合には、バッファー層120の硬度特性が非常に低下し、堅くなく柔らかいバッファー層120を形成するので、外部衝撃による復元力が低下するという問題点が発生しうる。また、化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物なしに、化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物のみ含む場合には、重合反応自体が著しく低下するという問題点がある。
【0078】
反対に、化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物の5:5のモル比よりも、化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物のモル比が大きい場合、バッファー層120の柔軟性が低下し、あまりにも硬くてフィルムのコーティング層として使用するときにバッファー層120が割れる可能性があり、さらにバッファー層120の弾性が低下して復元力が低下するという問題点がある。
【0079】
したがって、バッファー層120が適当な硬度及び弾性を有するためには、化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物が9:1~5:5のモル比で含まれなければならない。
【0080】
本発明の一実施例によれば、ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物は“化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物全体”と、“化学式3で表示されるジオール化合物”とを8:2~3:7のモル比で含むことができる。
【0081】
”化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物全体”が“化学式3で表示されるジオール化合物”に対して8:2のモル比より大きい場合、バッファー層120の柔軟性及び弾性が低下し、フォルディングの際にバッファー層120が割れるかクラック(crack)が発生しうるという問題点がある。また、バッファー層120のコーティング面の平滑度が減少して、光透過性基材110からバッファー層120が剥離する現象が発生することもありうる。
【0082】
反対に、“化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物及び化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物の全体”が、“化学式3で表示されるジオール化合物”に対して5:5のモル比より小さい場合、低硬度の柔らかいバッファー層120を形成するので、外部衝撃に対する復元力が低下するという問題点が発生しうる。
【0083】
本発明の一実施例によれば、化学式1のR4はヒドロキシ基(-OH)を含むアクリレート基であることができる。具体的には、例えば、R4は2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate、4-HBA)のうちの一つから来由したアクリレート基でありうる。
【0084】
本発明の一実施例によれば、化学式1で表示されるウレタンアクリレートシラン化合物は下記の化学式4で表示されるシラン化合物及び下記の化学式5で表示されるシラン化合物のうちの少なくとも一つのシラン化合物を含むことができる。
【0085】
【0086】
【0087】
本発明の一実施例によれば、化学式2で表示されるアルコキシシラン化合物はテトラアルコキシシラン(Si(OR6)4、Tetraalkoxy silane)を含むことができる。ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物がテトラアルコキシシランを含むことにより、バッファー層120が適切な硬度を有するようにし、外力による光学フィルムの変形を最小化することができる。一方、トリアルコキシシランまたはジアルコキシシランを含む場合には、バッファー層120の硬度の向上が低調であって外力による光学フィルムの変形の程度が増加しうる。
【0088】
本発明の一実施例によれば、化学式3で表示されるジオール化合物は、エチレングリコール(ethylene glycol)を含むことができる。ウレタンアクリレートシロキサン樹脂を形成する組成物がエチレングリコールを含むことにより、バッファー層120の柔軟性が増加し、優れた弾性を有することができる。
【0089】
本発明の一実施例によれば、光透過性基材110は10~100μmの厚さを有することができる。光透過性基材110の厚さが10μm未満の場合、光透過性基材100の厚さがあまりにも小さくて外力(衝撃または押圧)に対する表示素子の保護機能が低下するので、表示装置のカバーウィンドウとして使うのに相応しくない。一方、光透過性基材110の厚さが100μm超過の場合、光学フィルムの厚さがあまりにも厚くなるので、フォルディングの際、最小曲率半径が増加して光学フィルムの屈曲特性が低下し、光透過率の減少によって視認性が低下し、さらに第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0の範囲を外れうる。
【0090】
本発明の一実施例によれば、光透過性基材110は1.52~1.74の屈折率を有することができる。より好ましくは、光透過性基材110は1.52~1.66の屈折率を有することができる。光透過性基材110の屈折率は前述したような方法で測定することができる。
【0091】
光透過性基材110の屈折率が1.52未満の場合、第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7未満の値を有することができる。一方、光透過性基材110の屈折率が1.74超過の場合、光透過性基材110を通過する光が歪み、表示素子から放出される映像の歪み性が増加し、映像の鮮明性及び視認性が低下する。また、フォルディング痕跡の視認または発生の程度が増加しうる。
【0092】
本発明の一実施例によれば、バッファー層120は10~150μmの厚さを有することができる。バッファー層120の厚さが10μm未満の場合、第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7未満になって、フォルディング痕跡の改善効果が減少する。反対に、バッファー層120の厚さが150μm超過の場合、光学フィルムの厚さがあまりにも大きくなるので、フォルディングの際に最小曲率半径が増加し、光学フィルムの屈曲特性が低下する。それにより、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使うのに相応しくない。また、光学フィルムの表面硬度が減少して表面スクラッチの発生可能性が増加する。
【0093】
本発明の一実施例によれば、バッファー層120は1.50~1.52の屈折率を有することができる。より好ましくは、バッファー層120は1.51以下の屈折率を有することができる。バッファー層120の屈折率は前述したような方法で測定することができる。
【0094】
バッファー層120の屈折率が1.50未満の場合、映像の歪み性が増加して鮮明性及び視認性が低下しうる。一方、バッファー層120の屈折率が1.52超過の場合、バッファー層120のフォルディング痕跡視認性の減少効果が低下するという問題が発生しうる。
【0095】
本発明の一実施例によれば、本発明の光学フィルムは2.0~7.0Gpaのモジュラスを有することができる。より好ましくは、光学フィルムは3.0~7.0Gpaのモジュラスを有することができる。光学フィルムのモジュラスは前述したような方法で測定することができる。
【0096】
光学フィルムのモジュラスが2.0Gpa未満の場合、光学フィルムの第1フォルディング痕跡パラメーター値が、0.7未満になりうる。反対に、7.0Gpa超過の場合、光学フィルムと他の素材との抗力差が増加し、それによってフレキシブル表示装置のフォルディング及び/またはローリングの際、光学フィルムと他の素材層との間の分離/折り畳みなどが発生しうるので、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使うのに相応しくないという問題点がある。
【0097】
以下では、
図3~
図5を参照して、本発明の他の一実施例を詳細に説明する。
図3~
図5は、ハードコーティング層をさらに含む、本発明の他の一実施例による光学フィルムの断面図である。
【0098】
本発明の他の一実施例によれば、光学フィルムは、ハードコーティング層130をさらに含むことができる。
図3に示すように、本発明の光学フィルムは、光透過性基材110の上面にハードコーティング層130が形成されうる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、
図4に示すように、光透過性基材110の上面にバッファー層120が形成され、バッファー層120の上面にハードコーティング層130が形成されることもありうる。また、
図5に示すように、本発明による光学フィルムは、光透過性基材110の上面及び下面の両方にバッファー層120が形成され、上部バッファー層120の上面にハードコーティング層130が形成されることもありうる。バッファー層120及びハードコーティング層130は、必要によって、任意の位置に、任意の数で配置されうるのであり、光透過性基材110とバッファー層120との間、または光透過性基材110とハードコーティング層130との間、またはバッファー層120とハードコーティング層130との間に、さらに他の層が形成されることもありうる。
【0099】
本発明の光学フィルムがハードコーティング層130をさらに含むことにより、光学フィルムの耐久性及び耐スクラッチ性のような機械的特性が向上することができる。
【0100】
本発明の他の一実施例によれば、ハードコーティング層130は、エポキシ系樹脂、シロキサン系樹脂、及びアクリレート系樹脂のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0101】
本発明の他の一実施例によれば、ハードコーティング層130をさらに含む光学フィルムは、下記の数式2によって算出されるフィルムの第2フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0であることができる。
【0102】
<数式2>
第2フォルディング痕跡パラメーター = [{((バッファー層の厚さ×2.0×バッファー層の屈折率)+(ハードコーティング層の厚さ×ハードコーティング層の屈折率))/(光透過性基材の厚さ×光透過性基材の屈折率)}+光学フィルムのモジュラス]×Δn×1.5
【0103】
前記数式2にて、Δnは“前記光透過性基材の屈折率-前記バッファー層の屈折率”である。
【0104】
前記数式2にて、基本単位は前述した数式1と同様であり、また式2の光透過性基材110の屈折率及びモジュラスについての説明は前述した数式1の光透過性基材110の屈折率及びモジュラスについての説明と同様であり、また、数式2のバッファー層120の屈折率及びモジュラスについての説明は前述した式1のバッファー層120の屈折率及びモジュラスについての説明と同様である。よって、以下では、前述した内容と重複する内容は省略し、ハードコーティング層130の厚さ及び屈折率について詳細に説明する。
【0105】
本発明の他の一実施例によれば、ハードコーティング層130は0.1~10μmの厚さを有することができる。ハードコーティング層130の厚さが0.1μm未満の場合、ハードコーティング層130による耐久性及び耐スクラッチ性の向上が低調である。一方、ハードコーティング層130の厚さが10μm超過の場合、光学フィルムの抗力が増加するので、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使うのに困難があり、フレキシブル表示装置のフォルディング/ローリング(折り曲げ、もしくは、巻き取り)の際にハードコーティング層の亀裂が発生する可能性が増加するのであり、第2フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0を外れうる。
【0106】
本発明の一実施例によれば、ハードコーティング層130は1.48~1.52の屈折率を有することができる。より好ましくは、ハードコーティング層130は1.50~1.51の屈折率を有することができる。ハードコーティング層130の屈折率は前述した光透過性基材110及びバッファー層120と同様な方法で測定することができる。
【0107】
ハードコーティング層130の屈折率が1.52超過の場合、光学フィルムの第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7未満になりうる。
【0108】
本発明の一実施例による光学フィルムは-20以上の光沢度変化量(△RIQ=RIQ2-RIQ1)を有することができる。
【0109】
光沢度変化量においてのRIQ1は、前記光学フィルムから任意に取得した100mm×50mmのサンプルを一つの折曲軸を中心に折曲試験する際(半径2R、100,000回)、前記折曲軸の中間地点を選定し、前記折曲軸の中間地点にて前記折曲試験の前にRIQ(Rhopoint IQ社製)を用いて測定した光沢度であり、RIQ2は、RIQ1を測定した前記折曲軸の中間地点と同じ地点にて折曲試験した後に測定した光沢度である。折曲試験は、前記100mm×50mmのサンプルについて、屈曲反復評価器(YUASA社製)を用い、25℃/50RH%で曲率半径2.0mm(直径4.0mm)、60rpmの速度で100、000回繰り返し折り曲げて実施する。
【0110】
光沢度変化量(△RIQ)が-20以上とは、“RIQ2-RIQ1”の値が負の数であっても-20より大きい値であることを意味する。例えば、光沢度変化量(△RIQ)は-15、-10または-5でありうる。光学フィルムの第1フォルディング痕跡パラメーターが0.7~7.0の場合、光学フィルムの光沢度変化量(△RIQ)が-20以上であり、フォルディング痕跡が発生しない。
【0111】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムは光透過性を有する。また、光学フィルムはフレキシブル特性を有する。例えば、光学フィルムは、ベンディング(bending)特性、フォルディング(folding;折り曲げ)特性、及びローラブル(rollable;巻き取り可能な)特性を有する。光学フィルムは、優れた機械的特性及び光学的特性を有することができる。
【0112】
本発明の一実施例によれば、光学フィルムは、表示パネルを保護するのに十分な程度の厚さを有することができる。例えば、光学フィルムは20~300μmの厚さを有することができる。
【0113】
本発明の一実施例による光学フィルムは、100μmの厚さを基準に、5.0以下の黄色度を有することができる。また、本発明の一実施例による光学フィルムは、80μmの厚さを基準に、4.0以下の黄色度を有することもでき、2.0以下の黄色度を有することもできる。
【0114】
黄色度は、分光測色計(SPECTRO PHOTOMETER CM-3700/KONICA MINOLTA/D65、2°、Transmittance(透過))によって測定することができる。
【0115】
本発明の一実施例による光学フィルムは、100μmの厚さを基準に、UV分光光度計で測定した可視光線領域で88.00%以上の光透過度を有することができる。また、本発明の一実施例による光学フィルムは、100μmの厚さを基準に、90%以上の光透過度を有することもでき、91%以上の光透過度を有することもできる。
【0116】
光透過度は、標準規格JIS K 7361に従って、分光光度計(spectrophotometer)によって波長360~740nmの範囲で測定することができる。分光光度計(spectrophotometer)として、例えばヘーズメーター(Hazemeter HM-150/MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORY(村上色彩技術研究所))を使うことができる。
【0117】
本発明の一実施例による光学フィルムは、100μmの厚さを基準に、2.0以下のヘイズを有することができる。また、本発明の一実施例による光学フィルムは、100μmの厚さを基準に、1.0以下のヘイズを有することもでき、0.5以下のヘイズを有することもできる。
【0118】
ヘイズは、標準規格JIS K 7136に従って、分光光度計(spectrophotometer)によって測定することができる。分光光度計(spectrophotometer)として、例えばヘーズメーター(Hazemeter HM-150/MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORY(村上色彩技術研究所))を使うことができる。
【0119】
本発明の一実施例による光学フィルムは、100μmの厚さを基準に、波長550nmの光に対して3.9~7.0の反射率(5°)を有することができる。
【0120】
反射率(5°)は、SPECTRO PHOTOMETER UH4150(UV-Vis)/HITACHI/350~800nm、5°、Reflective mode(分光光度計、紫外-可視光モード)によって測定することができる。
【0121】
本発明の一実施例による光学フィルムは、100μmの厚さを基準に、70~180Mpaの引張強度(tensile strength)を有することができる。
【0122】
引張強度は、標準規格ASTM_D882に従って、光学フィルムから取得したサンプルフィルム(50mm×10mm)について、万能試験器(INSTRON社製)を用い、25℃/50RH%、25mm/minの条件で測定することができる。
【0123】
本発明の一実施例による光学フィルムは、100μmの厚さを基準に、15~35%の伸び率を有することができる。
【0124】
伸び率は、標準規格ASTM_D882に従って、光学フィルムから取得したサンプルフィルム(50mm×10mm)について、万能試験器(INSTRON社製)を用い、25℃/50RH%、25mm/minの条件で測定することができる。
【0125】
以下、
図6及び
図7を参照して、本発明の一実施例による光学フィルムが使用された表示装置について説明する。
【0126】
図6は本発明のさらに他の一実施例による表示装置200の一部の断面図であり、
図7は
図6の“P”部分の拡大断面図である。
【0127】
図6を参照すると、本発明の他の一実施例による表示装置200は、表示パネル501、及び表示パネル501上の光学フィルム100を含む。
【0128】
図6及び
図7を参照すると、表示パネル501は、基板510、基板510上の薄膜トランジスタTFT、及び薄膜トランジスタTFTと連結された有機発光素子570を含む。有機発光素子570は、第1電極571、第1電極571上の有機発光層572、及び有機発光層572上の第2電極573を含む。
図6及び
図7に示す表示装置200は有機発光表示装置である。
【0129】
基板510はガラスまたはプラスチックからなるのでありうる。具体的には、基板510は、高分子樹脂または光学フィルムといったプラスチックからなるのでありうる。図示していないが、基板510上にバッファー層が配置されうる。
【0130】
薄膜トランジスタTFTは基板510上に配置される。薄膜トランジスタTFTは、半導体層520、半導体層520と絶縁され、半導体層520の少なくとも一部と重畳するゲート電極530、半導体層520と連結されたソース電極541、及びソース電極541から離隔し、半導体層520と連結されたドレイン電極542を含む。
【0131】
図7を参照すると、ゲート電極530と半導体層520との間にゲート絶縁膜535が配置される。ゲート電極530上に層間絶縁膜551が配置され、層間絶縁膜551上にソース電極541及びドレイン電極542が配置されることができる。
【0132】
平坦化膜552は薄膜トランジスタTFT上に配置されて薄膜トランジスタTFTの上部を平坦化させる。
【0133】
第1電極571は平坦化膜552上に配置される。第1電極571は、平坦化膜552に備えられたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタTFTと連結される。
【0134】
バンク層580は第1電極571の一部及び平坦化膜552上に配置されて画素領域または発光領域を定義する。例えば、バンク層580が複数の画素の間の境界領域にマトリックス状に配置されることにより、バンク層580によって画素領域が定義されうる。
【0135】
有機発光層572は第1電極571上に配置される。有機発光層572はバンク層580上にも配置されることができる。有機発光層572は一つの発光層を含むこともでき、上下に積層された2個の発光層を含むこともできる。このような有機発光層572は赤色、緑色及び青色のうちのいずれか一色を有する光を放出することができ、白色(White)光を放出することもできる。
【0136】
第2電極573は有機発光層572上に配置される。
【0137】
第1電極571、有機発光層572、及び第2電極573が積層されて有機発光素子270をなすことができる。
【0138】
図示していないが、有機発光層572が白色(White)光を発光する場合、個別画素は有機発光層572から放出される白色(White)光を波長別にフィルタリングするためのカラーフィルターを含むことができる。カラーフィルターは光の移動経路上に形成される。
【0139】
第2電極573上に薄膜封止層590が配置されうる。薄膜封止層590は少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜を含むことができ、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜が交互に配置されうる。
【0140】
以上で説明して積層構造を有する表示パネル501上に、本発明による光学フィルム100が配置される。
【0141】
以下、例示的な製造例、実施例、及び比較例を参照して、本発明をより具体的に説明する。しかし、以下で説明する製造例、実施例、及び比較例によって本発明が限定されるものではない。
【0142】
<製造例1:光透過性基材用高分子樹脂組成物の製造>
2口の二重ジャケット反応槽にてTFDB80.06g(250mmol)(ジアミン系化合物)をジメチルアセトアミド(DMAc)(溶媒)に溶解させた。これに、19.86g(68mmol)のBPDA(ジアンヒドリド系化合物)を投入し、反応器の温度を25℃に2時間維持しつつ撹拌した。反応が完了すれば、6FDA(ジアンヒドリド系化合物)13.33g(30mmol)を入れ、1時間の間、25℃にて撹拌させた。その後、TPC29.945g(154mmol)を投入した。1時間の間、15℃にて撹拌した。
【0143】
重合反応が終了した後、前記反応液に、イミド化触媒であるピリジン(pyridine、Py)(16.97g)と脱水剤である無水酢酸(acetic anhydride、AA)(21.97g)を投入した後、温度を80℃に上げ、1時間撹拌した。これを常温に冷やし、メタノール(3000ml)に注いで、沈澱が生成するようにした。沈殿物を濾過して、白色固体状の高分子樹脂を獲得した。獲得された高分子樹脂は、固体粉末状である。製造例1で製造された高分子樹脂は、ポリアミドイミド高分子樹脂である。
【0144】
このように獲得された固体粉末状の高分子樹脂をジメチルアセトアミド(DMAc)に12.7wt%の濃度に溶解して高分子樹脂組成物を製造した。
【0145】
<製造例2:バッファー層用ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物の製造>
1)下記の化学式6で表示される化合物(3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、Shinetsu社製、KBE-9007)495g(2.00モル)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA Organic Chemical Industry社製、4-HBA)317g(2.20モル)、トリエチルアミン11gを500mLガラス反応器に入れ、機械的撹拌機(Mechanical Stirrer)を用いて常温で24時間撹拌して反応させた。
【0146】
【0147】
2)前記1)段階で得た反応物353g(0.70モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社製、Dynasilane A)62g(0.30モル)、H2O9g、エチレングリコール(Sigma-Aldrich社製)72g(1.16モル)、NaOH0.1gを500mLガラス反応器に入れ、機械的撹拌機(Mechanical Stirrer)を用いて80℃で8時間撹拌して反応させた。
【0148】
3)式5で表示されるウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物を収得した。
【0149】
<製造例3:ハードコーティング層用樹脂組成物の製造>
3-メタアクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(3-Methacryloxypropyl triethoxysilane、Shinetsu社製、KBM-503)223g(0.90モル)、テトラエトキシシラン(EVONIK社製、Dynasilane A)21g(0.10モル)、H2O 28g、NaOH 0.1gを500mLガラス反応器に入れ、機械的撹拌機(Mechanical Stirrer)を用いて80℃で8時間撹拌して反応させることで、シロキサン樹脂組成物を収得した。
【0150】
GPCを用いて測定したアクリレートシロキサン樹脂の重量平均分子量は6,736であり、PDIは2.6である。
【0151】
<実施例1>
1)前記製造例1の高分子樹脂組成物溶液をキャスティングした。キャスティングのためにキャスティング基板を使った。キャスティング基板の種類に特別な制限があるものではない。キャスティング基板としては、ガラス基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板などを使うことができる。本発明の一実施例によれば、キャスティング基板として有機基板を使うことができる。
【0152】
具体的には、製造例1の高分子樹脂溶液をガラス基板に塗布してキャスティングし、80℃の熱風で20分、かつ120℃で20分乾燥して光透過性基材を製造した後、製造された光透過性基材をガラス基板から剥離してフレームにピンで固定した。
【0153】
光透過性基材が固定されたフレームをオーブンに入れ、290℃の等温で、30分間熱風でもって乾燥した。その結果、50μmの厚さの光透過性基材ができあがった。
【0154】
2)前記製造例2のウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物10g、2-ブタノン(2-butanone、MEK)10g、IRGACURE 184 0.1gを混合した後、マイヤーバー(Mayer Bar)またはアプリケーターを用いて、前記1)で製造された光透過性基材上に塗布して塗膜を形成した。
【0155】
ウレタンアクリレートシロキサン樹脂組成物が塗布された光透過性基材を、150℃のオーブンで25分間硬化することで、バッファー層がコーティングされた光学フィルムを製造した。バッファー層の厚さは15μmであった。ここで、バッファー層が光学フィルムの下層であり、光透過性基材が光学フィルムの上層である。
【0156】
<実施例2~8>
実施例1と同様な方法で、光透過性基材の厚さ及びバッファー層の厚さのみを変えて実施例2~8の光学フィルムを製造した。
【0157】
実施例2~8の具体的な光透過性基材の厚さ及びバッファー層の厚さは下記の表1の通りである。
【0158】
<実施例9>
1)前記実施例2と同様な方法で光透過性基材光学フィルムを製造した。
【0159】
2)前記製造例3のハードコーティング層用樹脂組成物10g、2-ブタノン(2-butanone、MEK)10g、1-ベンゾイルシクロヘキサノール(1-benzoylcyclohexanol、BASF社製、IRGACURE 184)0.1gを混合した後、マイヤーバー(Mayer Bar;ワイヤーロッド)またはアプリケーターを用いて、前記1)で製造された光透過性基材上に塗布して塗膜を形成した。
【0160】
3)ハードコーティング層用樹脂組成物が塗布された光学フィルムを100℃のオーブンで10分間乾燥した後、UV露光(150mW/cm2、2J/cm2)を遂行することで、ハードコーティング層が形成された光学フィルムを製造した。ハードコーティング層の厚さは5μmである。
【0161】
<実施例10~12>
実施例9と同様の方法で、バッファー層の厚さのみを変えて実施例10~12の光学フィルムを製造した。
【0162】
実施例10~12の具体的なバッファー層の厚さは下記の表1の通りである。
【0163】
ここで、実施例10及び11は光透過性基材にハードコーティング層を積層し、実施例12はバッファー層にハードコーティング層を積層した。
【0164】
<比較例1>
前記製造例1の高分子樹脂組成物溶液をキャスティングした。キャスティングのためにキャスティング基板を使った。キャスティング基板の種類に特別な制限があるものではない。キャスティング基板として、ガラス基板、ステンレス(SUS)基板、テフロン(登録商標)基板などを使うことができる。本発明の一実施例によれば、キャスティング基板として有機基板を使うことができる。
【0165】
具体的には、製造例1の高分子樹脂溶液をガラス基板に塗布してキャスティングし、80℃の熱風で20分、かつ120℃で20分乾燥して光透過性基材を製造した後、製造された光透過性基材をガラス基板から剥離し、フレームにピンで固定した。
【0166】
光透過性基材が固定されたフレームをオーブンに入れ、290℃の等温で、30分間熱風でもって乾燥した。その結果、50μmの厚さの光透過性基材ができあがった。
【0167】
比較例1は光透過性基材のみからなる光学フィルムである。
【0168】
<比較例2>
1)実施例1と同様な方法で、光透過性基材の厚さ及びバッファー層の厚さのみを変えて比較例2の光学フィルムを製造した。
【0169】
比較例2の具体的光透過性基材の厚さ及びバッファー層の厚さは下記の表1の通りである。
【0170】
<比較例3~6>
1)比較例1と同様な方法で、光透過性基材を製造した。
【0171】
2)比較例3~6は、1)で製造した光透過性基材上にハードコーティング層の厚さのみを変えてハードコーティング層を形成した。具体的には、前記製造例3のハードコーティング層用樹脂組成物10g、2-ブタノン(2-butanone、MEK)10g、1-ベンゾイルシクロヘキサノール(1-benzoylcyclohexanol、BASF社製、IRGACURE 184)0.1gを混合した後、マイヤーバー(Mayer Bar)またはアプリケーターを用いて、前記1)で製造された光透過性基材上に塗布して塗膜を形成した。
【0172】
ハードコーティング層用樹脂組成物が塗布された光学フィルムを100℃のオーブンで10分間乾燥した後、UV露光(150mW/cm2、2J/cm2)を遂行して、ハードコーティング層が形成された光学フィルムを製造した。
【0173】
比較例3~6の具体的ハードコーティング層の厚さは下記の表1の通りである。
【0174】
【0175】
<測定例>
実施例1~12及び比較例1~6で製造された高分子樹脂及びフィルムに対して次のような測定を遂行した。ただ、比較例5及び6はハードコーティング層が150μm以上の光学フィルムであり、フォルディング自体が不可であった。よって、下記の物性値測定から除いた。
【0176】
1)屈折率:光透過性基材、バッファー層及びハードコーティング層のそれぞれの屈折率は25℃で複屈折分析機(Prism Coupler、例えば、Sairon Technology社製、SPA4000)を用い、532nmでTE(Transverse Electric)モードで測定した。
【0177】
2)モジュラス(modulus、Gpa):標準規格ASTM D882に従って、万能引張試験器(例えば、INSTRON社製)を用いて下記の条件で測定した。
【0178】
-25℃/50RH%
-Load Cell 30KN、Grip 250N。
【0179】
-試片の大きさ10×50mm、引張速度25mm/min
【0180】
3)フォルディング痕跡パラメーター:下記の数式1または2によって光学フィルムのフォルディング痕跡パラメーターを算出した。
【0181】
<数式1>
第1フォルディング痕跡パラメーター = [{(バッファー層の厚さ×2.0×バッファー層の屈折率)/(光透過性基材の厚さ×光透過性基材の屈折率)}+光学フィルムのモジュラス]×Δn×1.5
【0182】
<数式2>
第2フォルディング痕跡パラメーター = [{((バッファー層の厚さ×2.0×バッファー層の屈折率)+(ハードコーティング層の厚さ×ハードコーティング層の屈折率))/(光透過性基材の厚さ×光透過性基材の屈折率)}+光学フィルムのモジュラス]×Δn×1.5
【0183】
前記数式1または2にて、Δnは“前記光透過性基材の屈折率-前記バッファー層の屈折率”である。
【0184】
4)光沢度変化量(△RIQ=RIQ2-RIQ1):光沢度変化量においてのRIQ1は、前記光学フィルムから任意に取得した100mm×50mmのサンプルを、一つの折曲軸を中心に折曲試験する際(半径2R、100,000回)、前記折曲軸の中間地点を選定し、前記折曲軸の中間地点にて前記折曲試験の前にRIQ(Rhopoint IQ社製)を用いて測定した光沢度であり、RIQ2は、RIQ1を測定した前記折曲軸の中間地点と同じ地点にて折曲試験した後に測定した光沢度である。折曲試験は、前記100mm×50mmのサンプルについて、屈曲反復評価器(YUASA社製)を用い、25℃/50RH%で、曲率半径2.0mm(直径4.0mm)、60rpmの速度にて100、000回繰り返し折り曲げて実施する。
【0185】
5)黄色度(Y.I.):SPECTRO PHOTOMETER CM-3700/KONICA MINOLTA/D65、2°、Transmittanceによって測定した。
【0186】
6)光透過度(%):標準規格JIS K 7361に従って、分光光度計(spectrophotometer)によって、波長360~740nmの範囲で測定した。分光光度計(spectrophotometer)としては、Hazemeter HM-150/MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORYを使った。
【0187】
7)ヘイズ:標準規格JIS K 7136に従って、分光光度計(spectrophotometer)によって測定した。分光光度計(spectrophotometer)としては、Hazemeter HM-150/MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORYを使った。
【0188】
8)反射率(5°):SPECTRO PHOTOMETER UH4150(UV-Vis)/HITACHI/350~800nm、5°、Reflective modeによって測定した。
【0189】
9)引張強度(Mpa):引張強度は、標準規格ASTM_D882に従って、光学フィルムから取得したサンプルフィルム(50mm×10mm)に対して万能試験器(INSTRON社製)を用いて、25℃/50RH%、25mm/minの条件で測定した。
【0190】
10)伸び率(%):伸び率は、標準規格ASTM_D882に従って、光学フィルムから取得したサンプルフィルム(50mm×10mm)に対して万能試験器(INSTRON社製)を用いて、25℃/50RH%、25mm/minの条件で測定した。
【0191】
11)折曲試験後のフォルディング痕跡の発生有無:光学フィルムから任意に取得した100mm×50mmのサンプルを一つの折曲軸を中心に折曲試験した。折曲試験は、前記100mm×50mmのサンプルについて、屈曲反復評価器(YUASA社製)を用い、25℃/50RH%で、曲率半径2.0mm(直径4.0mm)、60rpmの速度にて100,000回繰り返し折り曲げて折曲試験した後、折曲軸を中心にフォルディング痕跡の発生の有無を分析した。
【0192】
ここで、折れ痕跡の明暗(陰影)などをもっと鮮明にするための分析方法を必要とすることがあり得る。一例として、イメージ化方法としてフィルム異物検査方法を使って遂行することができる。なるべく、CCDカメラまたは肉眼でつかみにくい欠陥や押された跡、または素材と同じ色の異物を検出するように、反射式、散乱式、透過式などの様々な検査法を使用でき、測定機器ではなく検査(すなわち判定)機器であることが望ましい。
【0193】
具体的な例としては、検査装置+制御ユニット(コントローラーボックス:検査装置を通じて導入されたレーザーデータをイメージデータ化する)+専用PC(画像PC:専用アプリケーションが組み込まれたPCであり、制御ユニット(コントローラーボックス)との連結及び画像処理が可能なPC)の3種から構成することができる。すなわち、測定/評価条件を設定し、イメージファイルに転換した後、イメージ/写真の明度、彩度、反射度などを分析する公知のプログラムを活用して分析/評価を遂行することができるが、これに限定されるものではない。
【0194】
測定結果は次の表2及び表3の通りである。
【0195】
【0196】
【0197】
前記表2及び表3の測定結果に開示したように、本発明の実施例1~12の光学フィルムはフォルディング痕跡パラメーターがいずれも0.7~7.0の値を有するフィルムであり、光沢度変化量(ΔRIQ)が-20以上であり、フォルディング痕跡が発生しなかった。
【0198】
しかし、比較例1~6の光学フィルムのうち比較例5及び6はフォルディング自体が不可な程度に硬く、残りの比較例1~4はフォルディング痕跡パラメーターが0.7未満であるか、7.0超過の値を有するフィルムであり、光沢度変化量(ΔRIQ)が-20未満であり、フォルディング痕跡が発生することを確認した。
【符号の説明】
【0199】
100 光学フィルム
110 光透過性基材
120 バッファー層
130 ハードコーティング層
200 表示装置
501 表示パネル