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特許7366286X線画像に対する3D測定値グリッドツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】X線画像に対する3D測定値グリッドツール
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
A61B6/00 360B
A61B6/00 350D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022554306
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2021056537
(87)【国際公開番号】W WO2021185764
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】62/992,189
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】パトリチュ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】トーイェンセン アリッサ
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-000949(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0320995(US,A1)
【文献】特表2016-509501(JP,A)
【文献】特表2016-539757(JP,A)
【文献】国際公開第2013/005265(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14 、34/00 -90/98 、
G06T 1/00 - 1/40 、 3/00 - 7/90 、
G06V10/00 -20/90 、30/418、40/16 、
40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算する方法において、
患者の所望の解剖学的構造の少なくとも第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像Ij;j=1,2,...を提供するステップ(ステップS1)であって、前記第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像は、異なる視点から前記患者の所望の解剖学的構造を示す、ステップと、
3D空間における前記所望の解剖学的構造の少なくとも2つの点P1及びP2を規定し、前記2つの点P1及びP2の3D座標を決定し、これにより前記X線投影画像を使用するステップ(ステップS2)と、
前記2つの点P1及びP2の前記決定された3D座標に基づいて、前記3D空間における2Dスケール仮想グリッドを計算するステップ(ステップS3)と、
前記計算されたグリッドを、前記第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像のうちの少なくとも1つの上に投影及びユーザに表示するステップ(ステップS4)と、
を有する方法。
【請求項2】
前記スケール仮想グリッドを計算するステップ(ステップS3)は、
前記規定された点P1及びP2 を結ぶ線上の少なくとも2つの制御点ci; i=1,2,...を計算するステップ(ステップS3a)と、
各コレジストレーションされた画像に対して交差線dij; i=1,2,...; j=1,2,...を計算する(ステップS3b)と、
を有し、
各交差線dijは、制御点ciにおいて前記規定された点P1及びP2 を結ぶ前記線と交差し、
各交差線dijは、画像Ij が撮られた検出器と平行であり、各交差線dijが、前記規定された2つの点P1及びP2を結ぶ前記線と垂直である、

請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各交差線dij上で制御点kijm ;m=1,2,...を計算するステップ(S3c)、
を有し、
前記制御点kijmが、各画像Ijに対して前記スケール仮想グリッドの交点を規定する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
制御点ki1mによって規定される前記スケール仮想グリッドを前記第1のコレジストレーションされたX線投影画像I1上に投影し、前記ユーザに表示するステップと、
制御点ki2mによって規定される前記スケール仮想グリッドを前記第2のコレジストレーションされたX線投影画像I2上に投影し、前記ユーザに表示するステップと、
を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記2つの点P1とP2との間の3D空間における距離を計算するステップと、
前記計算された距離を使用して、少なくとも2つの制御点kijmの間の距離を決定するステップと、
を有する、請求項3又は4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの制御点kijm間の前記決定された距離を、前記制御点kijmと共に、前記画像Ij上で前記ユーザに表示するステップ、
を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像は、異なる視点から前記患者の前記所望の解剖学的構造を示す、
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
6自由度でX線撮像装置を位置特定するステップ、
を有し、
前記提供された第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像が、前記X線撮像装置を用いて生成されたものである、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記位置特定は、リップルマーカを使用して、前記X線撮像装置の光学追跡を使用して、前記X線撮像装置の内部エンコーダを使用して、及び/又は他の画像ベースのマーカを使用して実行される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記3D空間における前記所望の解剖学的構造の2つの点P1及びP2 を規定するステップ(ステップS2)は、
前記第1のコレジストレーションされたX線投影画像における前記所望の解剖学的構造の第1のランドマークを識別するステップ(ステップS2a)と、
前記第1のコレジストレーションされたX線投影画像を生成するために使用されたX線源とX線検出器との間に前記第1のランドマークが位置する第1の線を決定するステップ(ステップS2b)と、
前記第2のコレジストレーションされたX線投影画像における前記所望の解剖学的構造の第2のランドマークを識別するステップ(ステップS2c)と、
前記第2のコレジストレーションされたX線投影画像を生成するために使用された前記X線源と前記X線検出器との間に前記第2のランドマークが位置する第2の線を決定するステップ(ステップS2D)と、
前記決定された第1の線及び第2の線の交差点の3D座標を計算するステップ(ステップS2e)であって、前記計算された3D座標が、3D空間における点P1を規定する、ステップと、
前記第1のコレジストレーションされたX線投影画像における前記所望の解剖学的構造の第3のランドマークを識別するステップ(ステップS2f)と、
前記第1のコレジストレーションされたX線投影画像を生成するために使用された前記X線源と前記X線検出器との間に前記第3のランドマークが位置する第3の線を決定するステップ(ステップS2g)と、
前記第2のコレジストレーションされたX線投影画像における前記所望の解剖学的構造の第4のランドマークを識別するステップ(ステップS2h)と、
前記第2のコレジストレーションされたX線投影画像を生成するために使用された前記X線源と前記X線検出器との間に前記第4のランドマークが位置する第4の線を決定するステップ(ステップS2i)と、
前記決定された第3及び第4の線の交差点の3D座標を計算するステップ(ステップS2j)であって、前記計算された3D座標が3D空間における点P2を規定する、ステップと、
を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記決定された第1の線を前記第2のコレジストレーションされたX線投影画像上に投影するステップ、及び/又は
前記決定された第3の線を前記第2のコレジストレーションされたX線投影画像上に投影するステップ、
を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記決定された第1及び/又は第3の線の前記投影は、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)上の制約として使用され、前記HMI上の前記第2のコレジストレーションされたX線投影画像におけるランドマークを識別するためのユーザ入力の可能性を制約する、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するための装置において、
患者の所望の解剖学的構造の少なくとも第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像Ijを受信し、
前記X線投影画像及び前記所望の解剖学的構造における2つの点P1及びP2を計算し、それによって前記2つの点P1及びP2の3D座標を決定し、
前記2つの点P1及びP2の前記決定された3D座標に基づいて前記スケール仮想グリッドを計算し、
前記計算されたグリッドを前記第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像のうちの少なくとも1つの上の投影及びユーザに対する表示をもたらす、
ように構成された計算ユニット、
を有する、装置。
【請求項14】
X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するためのシステムにおいて、
請求項13に記載の装置と、
前記受信された第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像を表示するように構成され、前記所望の解剖学的構造の前記表示された画像内のランドマークを識別するために、前記ユーザからの入力信号を受信するように構成されたヒューマンマシンインタフェース(HMI)と、
を有する、システム。
【請求項15】
前記X線投影画像を生成するためのX線源及びX線検出器を有するX線撮像装置を有する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
プロセッサ又はコンピュータ上で実行されるとき、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法を実行するように構成されるプログラム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算する方法、X線投影画像のためのそのようなスケール仮想グリッドを計算する装置、X線投影画像のためのそのようなスケール仮想グリッドを計算するシステム、及びそのような方法のためのプログラム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
対象を撮像するためのモバイルX線蛍光透視法は、当技術分野で知られており、例えば整形外科、外傷、血管及び脊椎などの様々な分野で広く使用されている。それらの設計のために、モバイルX線蛍光透視法は、固定X線システムと比較して、小さい設置面積、高い操作性、及び低減されたコストによって特徴付けられる。対象の必要な情報に応じて、時々、いくつかの写真が、撮影され、分析されなければならない。医師は、適切なインプラント、例えば、ねじに関するサイズ情報を得るために、外科的処置の準備のための基礎としてこれらの写真を使用する。したがって、通常、既知のサイズの対象は、X線撮像中に患者の所望の解剖学的構造上に重ねられる。対象が検出器に平行な平面でない場合、又は解剖学的構造の領域が対象の平面内にない場合、推定される距離は、信頼性が低く、測定は、精度を欠く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の発明者らにとって、このようなモバイルX線透視法のX線画像の分析を改善する必要性があることが明らかになった。特に、そのようなモバイルX線透視法のX線画像の分析によって得られる幾何学的情報の効率を高める必要がある。
【0004】
したがって、本発明の課題は、例えばそのようなモバイルX線透視法のX線画像の効率的な分析を可能にする方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明を読むときに更に言及されるか、又は当業者によって認識されることができる、この及び他の課題は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の更なる実施形態及び利点は、従属請求項に組み込まれる。
【0006】
説明される実施形態は、同様に、方法、計算装置、システム、及びコンピュータプログラム要素、並びにコンピュータ可読媒体に関する。詳細には説明されないかもしれないが、相乗効果が、これらの実施形態の異なる組み合わせから生じるかもしれない。
【0007】
更に、方法に関する本発明の全ての実施形態が、記載されるステップの順序で実行されてもよいが、これは、この方法のステップの唯一かつ必須の順序である必要はないことに注意されたい。本明細書に示される方法は、以下に逆に明示的に述べられない限り、それぞれの方法の実施形態から逸脱することなく、開示されるステップの別の順序で実行されることができる。
【0008】
専門用語は、その常識によって使用される。特定の意味が特定の用語に伝達される場合、用語の規定は、その用語が使用される文脈において以下に与えられる。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算する方法が、提供される。この方法は、患者の所望の解剖学的構造の少なくとも第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像Ij;j=1,2、…を提供するステップ(ステップS1)、3D空間における所望の解剖学的構造の2つの点P1及びP2を規定し、2つの点P1及びP2の3D座標を決定し、これによって、X線投影画像を使用するステップ(ステップS2)、2つの点P1及びP2の決定された3D座標に基づいてスケール仮想グリッドを計算するステップ(ステップS3)、及び計算されたグリッドをX線投影画像、好ましくは第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像のうちの少なくとも1つの上でユーザに投影及び表示するステップ(ステップS4)を有する。
【0010】
スケール仮想グリッド」という用語は、本発明の文脈において広く理解されるべきであり、スケールを有する矩形及び歪んだグリッドを有する。「スケール」という用語は、また、仮想グリッドのメトリックとして理解されるべきであり、ユーザ/観察者が少なくとも2つの投影画像によって撮像された所望の解剖学的構造のX線画像から、距離などの測定値を直接的に導出することを可能にする。したがって、観察者がX線画像内の距離を推定する必要がなく、これは、分析精度の向上を意味する。代わりに、スケールの分析が、アルゴリズムによって実行されることもできる。また、ユーザによって測定値を決定することと、アルゴリズムによって測定値を決定することとの組み合わせも、もちろん可能である。測定値を決定又は導出することは、特に、長さ又は距離測定値を決定又は導出することを含むことに留意されたい。本発明において使用されるスケール仮想グリッドの更なる詳細及び実施形態は、実施形態の文脈において、及び、例えば、図5及び6に示される実施形態の詳細な説明において、以下に説明される。
【0011】
画像、特にX線投影画像のコレジストレーション(co-registration)は、最新技術であり、画像取得及び評価において広く使用されている。このようなコレジストレーションされた画像の提供は、例えば、医用データベース、他の撮像装置などの外部ソースのコレジストレーションされたX線投射画像の使用、並びに、アルゴリズムを用いる、及び/又は本明細書に記載の方法を実行するシステムによる自己実行コレジストレーションを有することができる。コレジストレーションされたX線投影画像の提供の更なる説明は、特定の実施形態の文脈、及び、例えば、図3に示される態様の詳細な説明において、以下に説明される。
【0012】
当業者には明らかであるように、画像レジストレーション(registration)は、異なる画像/データセットを1つの座標系に変換するプロセスである。画像/データは、異なるセンサ、異なる時間、又は異なる視点からの複数の写真及び/又はデータとすることができる。これは、コンピュータビジョン、医用撮像、並びに衛星からの画像及びデータの編集及び分析に使用される。レジストレーションは、これらの異なる測定から得られた画像/データを比較又は統合することができるようにするために必要である。したがって、本明細書で使用される、コレジストレーションされたX線投影画像は、1つの座標系に変換された画像である。
【0013】
撮像されるべき所望の解剖学的対象は、任意の幾何学的形状を有することができる。点P1及びP2の規定及びそれらの3D座標の決定は、所望の対象の解剖学的構造の分析に関心を有するユーザ自身によって、又は代替的に又はアルゴリズムとの組み合わせによって実行されることができる。そのようなアルゴリズムは、2つの点P1及びP2並びにそれらの3D座標の決定を規定するのに、患者データ及び/又は解剖学的構造データベースを使用し得る。ユーザは、例えば、第1の画像における大腿骨頭を自動的に識別するように、すなわち、第2の画像に対するP1及びその3D座標並びにP2を自動的に決定するように、ユーザ入力提供してもよい。
【0014】
一般的に言えば、3D座標の知見は、X線投影画像における長さ/距離の正確な決定を可能にし、2つの点P1及びP2の間の距離だけではない。2つの点P1及びP2を規定する可能な方法の更なる説明は、特定の非限定的な実施形態及び、例えば、図4の実施形態の詳細な説明の文脈において、以下に提供される。
【0015】
以下の詳細な記述から明らかになるように、一実施形態では、3つの点P1、P2及びP3が、規定され、それらの3D座標が、グリッドを計算するために決定される。
【0016】
更に、スケール仮想グリッドの計算は、特定の実施形態の記載における以下の説明から明らかになるように、様々な数学的方法によって実行されることができる。例では、制御点ci及び交差線dijが、スケール仮想グリッドを決定するために様々な異なる方法で計算されることができる。
【0017】
計算されたグリッドを、第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像のうちの少なくとも1つ上でユーザに投影及び表示することは、例えばCTのHMIを使用する、1つ又は複数/様々なディスプレイ、及び/又は拡張現実技術を使用する静的スクリーン及びポータブルスマートグラス上で実行されることができる。
【0018】
本発明のこの態様は、CT撮像中に所望の解剖学的構造上に配置される対象の使用が、既知のサイズの対象の平面内に平行に位置する領域についてのみ正確な測定データを提供し、既知のサイズの対象が、X線検出器に平行な平面内に位置しなければならないという、本発明者らの洞察に基づく。したがって、既知のサイズの対象の平面の外側の距離のすべての測定値は、既知のサイズの対象がX線検出器に平行な平面内に置かれる場合、不可避の不正確さにつながる。これらの欠点は、本発明によって克服される。例えば、本発明の特に好ましい実施形態では、解剖学的構造の任意の視点に対して既知のサイズの追加的な対象を使用することなく、X線投影画像内の距離を測定することが、可能である。測定される関心領域内の距離は、測定精度を失うことなく、検出器に平行な平面の外側に位置することができる。したがって、本発明に従って計算されたグリッドの使用により、医師は、明示的な較正ステップなしに、X線投影画像から信頼できる測定値を常に導出することができる。
【0019】
本発明の文脈では、以下の指標規約が使用されることに留意されたい。jは画像指標を表し、iは基準点指標を表し、mは交差線dij上の制御点指標を表す。これは、以下の説明から明らかになるであろう。
【0020】
例示的な実施形態によれば、スケール仮想グリッドを計算するステップ(ステップS3)は、規定された点P1及びP2を結ぶ線上の少なくとも2つの制御点ci; i=1,2,...を計算するステップ(ステップS3a)と、各コレジストレーションされた画像に対して交差線dij; i=1,2,...; j=1,2,...を計算するステップ(ステップS3b)とを有し、各交差線dijは、制御点ciにおける規定された点P1及びP2を結ぶ線と交差し、各交差線dijは、画像Ijが撮られた検出器と平行であり、好ましくは、各交差線dijは、規定された2つの点P1及びP2を結ぶ線と垂直である。
【0021】
好ましい実施形態では、各交差線dij上で制御点kijmを計算するステップ(S3c)であって、制御点kijmは、各画像Ijに対してスケール仮想グリッドを規定する。
【0022】
各交差線dijが、対応する画像Ijを生成していた検出器と平行である場合、グリッドのスケールは、等距離であり、拡大率を変化させない。グリッドを計算するこの方法に基づいて構築される更なる詳細な実施形態は、例えば、図5及び6の文脈で説明される特定の実施形態から推測されることができる。
【0023】
代わりに、グリッドは、交差線dijが位置する平面を規定する3つの選択された点P1、P2及びP3で規定されることもできる。交差線dijは、規定された点P1及びP2を接続する線に対して垂直であるが、検出器に対して平行ではない。これは、関心領域が対象の特殊な平面に配置される場合に有利であることができる。
【0024】
換言すると、グリッドを規定する別の方法は、2つのX線画像内の第3の解剖学的点P3を規定/選択することである。P3は、P1及びP2と共に、平面を規定する。次いで、ciを規定するのに、上記で詳しく説明され、以下で更に説明される、ステップS1乃至S3aを使用する。次いで、3つの点P1、P2及びP3によって規定される平面内に交差線dijを一意的に構築することができる。このようなdij交差線は、P12 線上で垂直であるが、前述の実施形態の場合のように、もはや検出器と平行ではない。このアプローチでは、グリッドは、本開示から当業者に明らかであるように、較正され、P123によって規定される平面に取り付けられる。
【0025】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、方法は、第1のコレジストレーションされたX線投影画像I1上の制御点ki1mによって規定されるスケール仮想グリッドを投影し、ユーザに対して表示するステップと、第2のコレジストレーションされたX線投影画像I2上の制御点ki2mによって規定されるスケール仮想グリッドを投影し、ユーザに対して表示するステップとを有する。
【0026】
換言すると、この実施形態では、計算されたグリッドは、ディスプレイ上でユーザによって使用されるように第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像I1及びI2の上に置かれる。したがって、ユーザ/観察者は、コレジストレーションされたX線投影画像I1及びI2の両方における関心領域の分析のためのスケール情報を有する。
【0027】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、本方法は、2つの点P1及びP2間の3D空間内の距離を計算するステップと、計算された距離を使用して、少なくとも2つの制御点kijm間の距離を決定するステップとを有する。
【0028】
グリッドのスケールは、全ての制御点kijm間の距離の決定により、横方向及び縦方向に計算される。2つの隣接する制御点kijm間の距離は、任意の値を有することができるが、好ましくは等距離の値を有する。人間が、等距離のグリッドサイズを有する、より容易なグリッドを認識又は分析することができる場合がありうる。
【0029】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、方法は、少なくとも2つの制御点kijmの間の決定された距離を、制御点kijmとともに画像Ij上でユーザに表示するステップを有する。
【0030】
制御点kijm間の距離は、グリッドを表し、スケール及び/又はメトリックとして観察者に役立つと理解され得る。制御点kijm間の決定された距離を、制御点kijmと一緒に画像Ij上でユーザに対して表示することの更なる記述は、以下の図5に記載され図示される実施形態から容易に推測されることができる。
【0031】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像は、異なる視点からの患者の所望の解剖学的構造を示す。
【0032】
異なる視点は、関心領域の様々な情報を可能にし、例えば、ある視点で隠されている情報は、別の視点で可視である。異なる視点は、コレジストレーションされたX線投影画像における点P1又はP2の必要なアライメントのための基礎であり、これは、空間における点P1及びP2の3D座標の決定に更に役立つ。異なる視点の更なる説明は、以下の実施形態及び図4の詳細な説明に見出されることができる。
【0033】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、方法は、X線撮像装置を6自由度で位置特定するステップを有し、提供された第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像は、前記X線撮像装置を用いて生成された。
【0034】
X線撮像装置の位置特定又は位置特定することは、仮想グリッドを生成するために更に処理されるX線投影画像のコレジストレーションに対する必要条件である。X線撮像装置は、当技術分野において周知であり、例が、以下に簡潔に述べられる。この実施形態では、X線撮像装置は、6自由度で互いに依存して移動することができる線源及び対応する検出器を有する。これは、光源と検出器との間に固定された幾何学的制約があることを意味する。解剖学的対象は、X線源とX線検出器との間に配置される。したがって、X線撮像装置の画像を、6自由度を有するX線撮像装置の位置の情報とアラインすることが可能である。
【0035】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、位置特定は、リップルマーカを使用して、X線撮像装置の光学追跡を使用して、X線撮像装置の内部エンコーダを使用して、及び/又は他の画像ベースのマーカを使用して実行される。
【0036】
したがって、同一の目的、すなわち、空間におけるX線撮像装置の位置特定のための異なる機会が存在し、これは、冗長性を通じた保護のために単独で又は組み合わせて使用されることができる。
【0037】
この方法の別の例示的な実施形態では、3D空間において所望の解剖学的構造の2つの点P1及びP2を規定するステップ(ステップS2)は、第1のX線投影画像において所望の解剖学的構造の第1のランドマークを識別するステップ(ステップS2a)と、第1のランドマークが第1のX線投影画像を生成するために使用されたX線源とX線検出器との間にある第1の線を決定するステップ(ステップS2b)と、第2のX線投影画像において所望の解剖学的構造の第2のランドマークを識別するステップ(ステップS2c)と、第2のランドマークが第2のX線投影画像を生成するために使用されたX線源とX線検出器との間にある第2の線を決定するステップ(ステップS2d)と、決定された第1の線及び第2の線の交点の3D座標を計算するステップ(ステップS2e)であって、計算された3D座標は、3D空間において点P1を規定する、ステップと、第1のX線投影画像における所望の解剖学的構造の第3のランドマークを識別するステップ(ステップS2f)と、第3のランドマークが第1のX線投影画像を生成するのに使用されたX線源とX線検出器との間に位置する第3の線を決定するステップ(ステップS2g)と、第2のX線投影画像における所望の生体構造の第4のランドマークを識別するステップ(ステップS2h)と、第4のランドマークが第2のX線投影画像を生成するために使用されたX線源とX線検出器との間に位置する第4の線を決定するステップ(ステップS2i)と、決定された第3の線及び第4の線の交点の3D座標を計算するステップ(ステップS2j)であって、計算された3D座標が、3D空間における点P2を規定する、ステップとを有する。
【0038】
この実施形態の前記ステップ、特に、前記ランドマークを識別するステップ及び前記線を決定するステップは、例えばHMIを介したユーザ入力に基づいて、手動で実行されることができるが、例えば画像処理アルゴリズムを使用して純粋に自動的に実行されることもできることに留意されたい。もちろん、両方の代替的な方法の組み合わせも、本発明から逸脱することなく使用されることができる。更に、どのようにして3D空間における所望の解剖学的構造の2つの点のP1及びP2が前記ランドマークの識別及び前記線の決定を使用して規定されることができるかの特に詳細な実施形態は、例えば図4及び対応する記述から推測されることができる。
【0039】
別の例示的な実施形態では、方法は、決定された第1の線を第2のX線投影画像上に投影するステップ、及び/又は決定された第3の線を第2のX線投影画像上に投影するステップを有する。
【0040】
2つの点P1及びP2を規定するステップは、当業者には明らかであるように、幾何学的ツールとしての線に限定されないことに留意されたい。また、他の幾何学的形態、例えば、円、三角形なども、本方法を実行することが可能である。点を規定することの更なる説明は、図4の詳細な説明に見つけられることができ、ここでは、決定された第1の線の第2のX線投影画像に対する投影が、示されている。
【0041】
別の例示的な実施形態では、決定された第1及び/又は第3の線の投影が、例えば、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)上の制約として使用され、この制約は、、例えば前記HMI上で、第2のX線投影画像においてランドマークを識別するためのユーザ入力の可能性を制約する。
【0042】
制約制限は、P2を規定又は識別しながら、例えば、第1及び第2のX線投影画像におけるP1のアライメントのための解空間を制限しうる。したがって、制約は、HMIのユーザを支援し、可能なエラーレートを低減するか、又はグリッドのスケールの精度を高める。上記のように、HMIを介するユーザ入力を必要としない患者データ又は解剖学的データベースに基づくアルゴリズムによって、点P1及びP2の規定を自動化することも可能である。
【0043】
別の例示的な実施形態によれば、本方法は、X線撮像装置を用いて、好ましくは、X線源及びX線検出器を有する、モバイルCアームCTを用いて、第1及び第2のX線投影画像を生成するステップを有する。
【0044】
モバイルCアームCTは、最新技術から周知であり、ユーザが所望の対象の異なる視点の画像を容易に生成することを可能にする。第1及び第2のX線投影画像の生成に関する更なる説明は、図3に示される態様の詳細な説明に見つけられることができる。
【0045】
本発明の更なる態様によれば、X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するための装置が、提示される。装置は、患者の所望の解剖学的構造の少なくとも第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像Ijを受信し、X線投影画像及び所望の解剖学的構造における2つの点P1及びP2を計算し、それによって2つの点P1及びP2の3D座標を決定し、2つの点P1及びP2の決定された3D座標に基づいてスケール仮想グリッドを計算し、計算されたグリッドを第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像のうちの少なくとも1つ上に投影及びユーザに対して表示させるように構成された計算ユニットを有する。
【0046】
そのような装置は、例えば、X線源及びX線検出器をも有する、モバイルCアームCTなどのX線撮像装置の一部であることができるプロセッサであり得る。しかしながら、X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するための前記装置は、画像を入力として受信し、計算されたグリッドを出力として送る別個の構成要素であってもよい。更に、計算装置は、これ自体、計算されたグリッドを、少なくとも1つの、好ましくは両方のコレジストレーションされたX線投影画像上に投影し、ユーザに表示し得る。代わりに、計算装置は、例えば、プロジェクタ又はディスプレイなどの別の装置に、1つ又は両方又は複数のコレジストレーションされたX線投影画像上でユーザへの計算されたグリッドの投影及び表示を実行させる、例えば1つ又は複数の制御信号を生成し得る。
【0047】
本発明の更なる態様は、X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するためのシステムに関し、このシステムは、上述のX線投影画像のためのスケール仮想グリッドのための装置を有する。これは、また、受信された第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像を表示するように構成され、例えば、所望の解剖学的構造の表示された画像内のランドマークを識別するユーザからの入力信号を受信するように構成されたヒューマンマシンインタフェース(HMI)を有する。
【0048】
別の例示的な実施形態によれば、システムは、X線投影画像を生成するためのX線源及びX線検出器を有するX線撮像装置、好ましくはモバイルCアームCTを有する。
【0049】
システムの前述の部分は、中央に配置される又は互いに分散されることができることに留意されたい。中央は、システムの全ての部分が少なくとも有線接続されることを意味し、分散は、部分が他の場所にあり、無線ネットワークを介して互いに通信することができることを意味する。
【0050】
本発明の更なる態様は、プロセッサ又はコンピュータ上で実行されるとき、本明細書に記載されるようなX線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するための方法を実行するように構成されるプログラム要素に関する。
プログラム要素は、コンピュータプログラムの一部であってもよいが、それ自体でプログラム全体であることができる。例えば、プログラム要素は、本発明に到達するために既存のコンピュータプログラムを更新するために使用されてもよい。
本発明の更なる態様は、前述のように、そのようなプログラム要素が記憶されるコンピュータ可読媒体に関する。
コンピュータ可読媒体は、例えば、USBスティック、CD、DVD、データ記憶装置、ハードディスク、又は上記のようなプログラム要素が記憶されることができる任意の他の媒体などの記憶媒体と見なされ得る。
【0051】
以下において、本開示は、添付の図面を参照して例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】一実施形態による、X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するための方法のフロー図を示す。
図2】フロー図を用いてスケール仮想グリッドを計算するための方法の別の実施形態を示す。
図3】一実施形態によるX線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するためのシステムの概略図を示す。
図4】例示的な実施形態において、3D空間における所望の解剖学的構造の1つの点P1の規定及び点P1の3D座標の決定がどのように実行されるかを概略的に示す。
図5】一実施形態による、それぞれオーバーレイされたスケール仮想グリッドを有する例示的なX線投影画像を示す。
図6】一実施形態による、スケールの倍率の変化を有するそれぞれオーバーレイされたスケール仮想グリッドを有する例示的なX線投影画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
とりわけ、図面は、単に概略的な表現であり、本開示の実施形態を例示することにのみ役立つ。同一又は同等の構成要素は、原則として、同一の参照符号を提供される。
【0054】
図1は、本発明の実施形態による、X線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するための方法のフロー図を示す。ステップは、患者の所望の解剖学的構造の少なくとも第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像を提供するステップ(ステップS1)と、3D空間における所望の解剖学的構造の2つの点P1及びP2を規定し、2つの点P1及びP2の3D座標を決定するステップであって、それによってX線投影画像を使用するステップ(ステップS2)と、2つの点P1及びP2の決定された3D座標に基づいてスケール仮想グリッドを計算するステップ(ステップS3)と、計算されたグリッドを、第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像のうちの少なくとも1つ上に投影し、ユーザに表示するステップ(ステップS4)とを有する。
【0055】
換言すると、ステップS1において、異なる視点からの所望の解剖学的構造の少なくとも2つのコレジストレーションされたX線投影が、提供され、スケールグリッドを計算するために更に使用される。コレジストレーションされたX線投影は、以下のステップのためのデータ基礎として役立つ。コレジストレーションされたX線投影の異なる視点が、第2のステップS2のために、必要であり、2つの点が、コレジストレーションされたX線投影画像内の関心領域においてそれぞれ規定され、選択される。これらの2つの点の3D座標を決定するために、選択された各点と、他のコレジストレーションされたX線投影画像における対応する位置とのアライメントが、実行される。両方のコレジストレーションされたX線投影画像における各点のこの位置情報を用いて、所望の解剖学的構造の3D空間における各点の3D座標を決定することが、可能である。2つの点のこれらの3D座標は、ステップS3において設計される、解剖学的構造のスケールグリッドのためのベースとしての役割を果たす。最後のステップS3において、設計されたスケールグリッドは、コレジストレーションされたX線投影上に投影され、これは、コレジストレーションされたX線投影上に重ねられることを意味する。したがって、両方のコレジストレーションされたX線投影に重ね合わされた較正されたスケールグリッドがあり、これは、ユーザに表示される。
【0056】
スケール仮想グリッドの計算は、図2の文脈で説明される2つの実施形態で説明されるように、様々な数学的方法によって実行されることができることに留意されたい。更に、第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像のうちの少なくとも1つの上で、計算されたグリッドを投影し、ユーザに表示することは、1つ又は複数の/様々なディスプレイ上で、例えばCTのHMI、及び/又は拡張現実技術を使用する静的スクリーン及びポータブルスマートグラスを使用して実行されることができる。
【0057】
この方法は、CT撮像中に所望の解剖学的構造上に配置される対象の使用が、既知のサイズの対象の平面内に平行に位置する領域についての正確な測定データのみを提供し、既知のサイズの対象がX線検出器に平行な平面内に位置しなければならないという、本発明者らの洞察に基づく。したがって、既知のサイズの対象の平面の外側の距離のすべての測定は、既知のサイズの対象がX線検出器に平行な平面内に位置する場合、避けられない不正確さにつながる。これらの欠点は、図2の方法によって克服される。例えば、本発明の特に好ましい実施形態では、解剖学的構造の任意の視点に対して既知のサイズの追加の対象を使用することなく、X線投影画像内の距離を測定することが可能である。測定される関心領域内の距離は、測定精度を失うことなく、検出器に平行な平面の外側に位置することができる。したがって、図2の方法に従って計算されたグリッドの使用に伴って、医師は、明示的な較正ステップなしに、X線投影画像から信頼できる測定値を常に導出することができる。
【0058】
図2は、フロー図を用いてスケール仮想グリッドを計算するための方法の別の実施形態を示す。この実施形態では、ステップS3は、更に、以下のサブステップ、すなわち、規定された点P1及びP2を結ぶ線上の少なくとも2つの制御点ci; i=1,2,...を計算するステップ(ステップS3a)と、各コレジストレーションされた画像に対して交差線dij; i=1,2,...; j=1,2,...を計算するステップ(ステップS3b)であって、各交差線dijは、制御点ciにおいて規定された点P1及びP2を結ぶ線に交差し、各交差線dijは、画像Ijが撮られた検出器と平行であり、好ましくは、各交差線dijは、規定された2つの点P1及びP2を結ぶ線に垂直である、ステップと、各交差線dij上で制御点kijmを計算するステップ(S3c)であって、制御点kijmは、各画像Ijについてスケール仮想グリッドを規定する、ステップと、に分割される。
【0059】
換言すると、線が、2つの点P1とP2との間に引かれ、この線は、グリッド内の中心線として働く。この線は、点ci によって規定される、部分セクションに更に分割される(ステップS3a)。これらの部分セクションは、一方向にグリッドサイズを規定する。算出された交差線dij は、点ciを通り、中心線に対して垂直であり、互いに並行である(S3b)。各交差線dijは、算出された点kijm を示す(S3c)。これらの点は、第2の方向におけるメッシュサイズを規定する。その結果、所望の生体構造のX線投影画像のための較正されたスケールグリッドを得る。
【0060】
代わりに、グリッドは、交差線dijが位置する平面を規定する3つの選択された点P1、P2及びP3で規定されることもできる。交差線dijは、規定された点P1及びP2を接続する線に対して垂直であるが、検出器に対しては平行ではない。これは、関心領域が対象の特殊な平面に配置される場合に有利であることができる。換言すると、グリッドを規定する別の方法は、2つのX線画像内の第3の解剖学的点P3を規定/選択することである。P3は、P1及びP2と共に、平面を規定する。次いで、ciを規定するために、上記で詳しく説明され、以下で更に説明されるステップS1乃至S3aを使用する。次いで、3つの点P1、P2及びP3によって規定される平面内に交差線dijを一意的に構築することができる。このようなdij交差線は、P12上で垂直であるが、前述の実施形態の場合のように、もはや検出器と平行ではない。このアプローチでは、グリッドは、本発明から当業者に明らかであるように、較正され、P123によって規定される平面に取り付けられる。
【0061】
図3は、好ましい実施形態によるX線投影画像のためのスケール仮想グリッドを計算するためのシステム10の概略図を示す。システム10は、Cアーム13上に取り付けられたX線源11及びX線検出器12を有するモバイルCアームCTを有する。Cアーム13は、6つの方向、すなわち3つの並進方向及び3つの回転方向に移動することができる。所望の解剖学的構造は、X線源11が所望の解剖学的構造上に放射線を放出することができ、対応するX線検出器12が所望の解剖学的構造によって影響される放出された放射線を検出することができるように、Cアームの中心に配置される。このようにして、所望の解剖学的構造のX線投影画像が、取得される。Cアーム13の位置の情報を用いて、X線投影画像は、様々な計算方法(図示せず)によってコレジストレーションされることができる。Cアームの6つの空間座標それぞれの位置の情報は、いわゆるリップルマーカ(図示せず)によって取得される。システムは、受信された第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像を表示するように構成され、所望の解剖学的構造の表示された画像内のランドマークを識別するためにユーザから入力信号を受信するように構成されたヒューマンマシンインタフェース(HMI)14を更に有する。ランドマークの性質及び使用は、図4に示される実施形態の説明から明らかになるであろう。
【0062】
このシステムは、更に、患者の所望の解剖学的構造の少なくとも第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像Ijを受信し、X線投影画像及び所望の解剖学的構造における2つの点P1及びP2を計算し、それによって2つの点P1及びP2の3D座標を決定するように構成された計算ユニット15を有する。計算ユニットは、2つの点P1及びP2の決定された3D座標に基づいて、スケール仮想グリッドを計算することができ、第1及び第2のコレジストレーションされたX線投影画像の少なくとも1つにおける、ユーザに対する計算されたグリッドの投影及び表示をもたらす。換言すれば、計算ユニット15は、グリッドの計算及び投影の制御、並びにユーザに対するグリッドの表示の全てのステップに関与している。
【0063】
図4は、3D空間における所望の解剖学的構造23の1つの点29を規定し、点29の3D座標を決定する概略図20を示す。第1のX線投影画像26における所望の解剖学的構造23の第1のランドマーク29を識別するステップ(ステップS2a)と、第1のX線投影画像26を生成するために使用されたX線源22とX線検出器24との間に第1のランドマーク29が位置する第1の線35を決定するステップ(ステップS2b)と、第2のX線投影画像27における所望の解剖学的構造23の第2のランドマーク28を識別するステップ(ステップS2c)と、第2のX線投影画像27を生成するために使用されたX線源21とX線検出器25との間に第2のランドマーク28が位置する第2の線31を決定するステップ(ステップS2D)と、決定された第1の線31及び第2の線35の交点の3D座標を計算するステップ(ステップS2e)であって、計算された3D座標が3D空間32における点P1を規定する、ステップとがある。
【0064】
換言すると、所望の解剖学的構造23は、X線源21、22と、対応するX線検出器24、25との間に位置する。線33、34、36及び37は、X線源21、22と対応するX線検出器24、25との間の光路に関する情報を与えるであろう。2つのX線源21、22及び対応するX線検出器24、25は、実際には、同じCアームCTの1つのX線源及び1つのX線検出器であり、これらは、単に、所望の解剖学的構造の視点において異なるだけである。X線検出器24の位置には、第1の視点からのX線投影画像26が、示されており、これは、X線投影画像がリップルマーカ32を介して得られる対応するX線源/X線検出器位置と常に関連することを明らかにする。実際には、ユーザは、X線投影画像26が表示されるHMI(図示せず)を介して点/ランドマーク29を選択する。次のステップにおいて、計算ユニット(図示せず)は、点/ランドマーク29とX線源22との間の第1の線35を計算する。次のステップでは、線33と線34との間に位置する第1の線35の一部が、第2のX線投影画像27上に投影される。第2のX線投影画像は、所望の解剖学的構造23の第2の視点におけるX線源21及びX線検出器25に対応する。第2のX線投影画像27上の投影された線30は、ユーザによるランドマーク/点28の選択のために、ランドマーク/点28が位置することができる制約として機能する。2つのランドマーク/点28、29は、異なる視点からのみ所望の解剖学的構造の同じ特徴を表す。第2のX線投影画像27におけるランドマーク/点28の選択後、線31が、X線源21とランドマーク/点28との間で計算される。3D空間におけるランドマーク/点の3D座標は、線31及び35の交点から導出される。
【0065】
図5は、オーバレイされたスケール仮想を有するX線投影画像40の例示的なセクションを示す。X線投影画像40のセクションは、2つの異なる視点から同じ所望の対象を示す第1のX線投影画像41及び第2のX線投影画像42を有する。所望の対象は、グリッド51、61の下にそれぞれ位置する。更に、オーバレイされた配向線48、62を有するインプラント46、58が、表示される。点43、55及び点44、56は、関心領域を規定し、スケールグリッドの構築に使用される、ユーザ入力からの選択された点を表す。線49、63は、点43、55及び44、56によって規定される。スケールグリッド50は、交差線及び長手方向線を有し、横方向50、59及び縦方向51、60においてミリメートルスケールを有する。点43、44、及び47は、第2のX線投影画像42におけるユーザの配向支援としても機能し、配向線54、53及び52の上面図を表す。その結果、ユーザがX線投影画像に対応する視点の変化を想像するのが、より容易である。
【0066】
図6は、X線投影画像71、72の例示的なセクション70を、スケールの倍率の変化を有するオーバレイされたスケール仮想グリッドと共に示す。更に、インプラントも、また、両方のX線投影画像71、72に表示される。グリッドは、上述のように、線75を規定し、更にスケールグリッド構成のために使用される2つの点73、74を有する。図5とは逆に、グリッド76は、その拡大率を下側78から上側79に変化し、これは、グリッドが等距離のグリッドサイズを有しないことを意味する。これは、検出器(図示せず)に平行ではない点73、74の選択によって引き起こされる。
【0067】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する際に当業者によって理解され、及び実施されることができる。請求項において、「有する」という語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されるいくつかの項目又はステップの機能を満たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布されてもよいが、インターネット又は他の有線又は無線電気通信システム等を介して他の形態で配布されてもよい。請求項におけるいかなる参照符号も、請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0068】
10 システム
11、21、22 X線源
12、24、25 X線検出器
13 Cアーム
14 HMI
15 計算ユニット
20 一つの点を規定する概略図
23 対象
26、27、41、42、71、72 X線投影画像
28、29、38、43、44、47、55、56、57、73、74 点、ランドマーク、交差点
30 投影線
31、35 線
32 リップルマーカ
33、34、36、37 光路
40、70 X線投影画像のセクション
45、50、59、60、78、79 スケール
46、58、77 インプラント
48、62 配向線インプラント
49、75 中心線
51、61、76 グリッド
52、53、54 配向線
図1
図2
図3
図4
図5
図6