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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】期間内の降雨流出回数の適応分割方法
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/00 20060101AFI20231013BHJP
   G01W 1/10 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G01W1/00 Z
G01W1/10 P
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023066119
(22)【出願日】2023-04-14
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】202210504031.5
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523054492
【氏名又は名称】中国長江電力股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】呉 碧瓊
(72)【発明者】
【氏名】曹 輝
(72)【発明者】
【氏名】湯 正陽
(72)【発明者】
【氏名】姚 華明
(72)【発明者】
【氏名】張 海栄
(72)【発明者】
【氏名】王 驍鵬
(72)【発明者】
【氏名】張 東杰
(72)【発明者】
【氏名】王 錦
(72)【発明者】
【氏名】曾 志強
(72)【発明者】
【氏名】賈 本軍
(72)【発明者】
【氏名】劉 楊合
(72)【発明者】
【氏名】任 玉峰
(72)【発明者】
【氏名】謝 帥
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113642794(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109785979(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114219252(CN,A)
【文献】特開2000-276235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00 - 1/18
G01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
期間内の降雨流出回数の適応分割方法であって、
既知領域の連続的な降雨流出データを収集するステップS1と、
ピークと谷を計算して認識するステップS2と、
降雨の回数を分割し、降雨強度閾値及び降雨間隔時間閾値を設定し、降雨の開始及び終了時間を認識し、毎回の累積降雨量を計算するステップS3と、
降雨流出の回数を分割し、時間窓閾値を設定し、降雨の開始及び終了時間に基づいて、対応する回数の洪水の開始及び終了時間を認識するステップS4と、
1回の洪水のピークの数を認識し、1回の洪水におけるピークと谷との差に基づいて、洪水のピークの数を特定するステップS5と、
相関係数を計算するステップS6であって、1回の降雨流出の累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数を計算するステップS6と、
パラメータを最適化させるステップS7であって、最適化の評価指標は、ステップS6において累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数が最大であり、且つ洪水のピークの数が増えるにつれて相関係数が低減することを満たすことであるステップS7と、
選別指標として累積降雨量又は最大の洪水ピーク流量又は洪水継続時間又は流量の最大上昇幅を設定し、指標閾値を設定し、選別指標及び指標閾値を満たす降雨流出プロセスを選別するステップS8とを含
前記降雨流出データは面積降水量及び流出データであり、
前記パラメータは降雨閾値パラメータP min 、降雨の最大間隔時間閾値パラメータT stop 、時間閾値パラメータT pro 、時間閾値パラメータT bre 、及び割合閾値パラメータQ diff を含み、
前記ステップS2は、
流量データに対してピークと谷のマーキングを行い、ピーク流量とピーク時点、及び谷流量と谷時点を記録し、下式に従ってピーク流量とピーク時点を判断し、
q’ t-1 <q’ 且つ q’ >q’ t+1
式では、q’は平滑化流量であり、q’ t-1 、q’ 、q’ t+1 はt-1、t、t+1時点での平滑化流量であり、t時点はピーク時点であり、該時点に対応する元の流量はピーク流量であり、
下式に従って谷流量と谷時点を判断し、
q’ t-1 >q’ 且つ q’ <q’ t+1
t時点は谷時点であり、該時点に対応する元の流量は谷流量であるステップS22を含み、
前記ステップS3は、
期間内の降雨データの充填処理を行い、無降雨時点に0mmの降雨量を充填するステップS31と、
降雨の開始及び終了時間を認識するステップ32であって、期間内の降雨閾値パラメータP min 及び降雨の最大間隔時間閾値パラメータT stop を設定し、期間内の降雨の連続的なT stop 時間がP min 値よりも小さい場合、2回の降雨として識別し、連続的な降雨がP min 値よりも小さく、時間がT stop 値よりも小さい場合、1回の降雨として識別し、計算式は以下のとおりであり、
diff=t -t i-1
式では、tは降雨がP min よりも大きい時点であり、t とt i-1 は該時点と前の隣接する時点を表し、diffがT stop よりも大きい場合、t i-1 は1回前の降雨の終了時点であり、t は今回の降雨の開始時点であるステップS32と、
毎回の累積降雨量を統計し、1回の降雨開始時点から降雨終了時点までの降雨量を加算し、開始時点と終了時点の降雨量を含み、計算式は以下のとおりであり、
sum =Σp
式では、p は同一回の期間内の降雨量であるステップS33と、
毎回の降雨の開始時間、終了時間、累積降雨量を記録し、時間順に符号化し、P 、p strt 、p endt 、p sum は、n回目の降雨及びそれに対応する開始時間、終了時間、累積降雨量をそれぞれ表すステップS34とを含み、
前記ステップS4は、
時間閾値パラメータT pro を設定し、自然流域に対して、ある降雨の開始時間後のT pro 時間内に流量谷がある場合、最後の1つの流量谷を今回の降雨に対応する洪水開始時間とし、水利工事がある流域又は外的影響要因がある流域に対して、一部の降雨の開始時間後のT pro 時間に流量谷がない場合、降雨の開始時間前の最も近い谷時間を洪水開始時間とするステップS41と、
時間閾値パラメータT bre を設定し、降雨終了時間からT bre 時間後の1番目の流量谷が今回の降雨に対応する洪水終了時間であり、洪水の開始時間と終了時間との間の流量プロセスを今回の降雨に対応する流量変化プロセスとし、1回の降雨及びそれに対応する回数の洪水を1回の降雨流出プロセスとするステップS42と、
1回の降雨流出プロセスにおける流量の最大上昇幅を計算し、すなわち流量最大値から洪水開始時間に対応する流量値を引き、以下の計算式を入力し、
up =Q max -Q str
式では、Q max は1回の降雨流出における最大値であり、Q str は1回の降雨流出の開始流量であるステップS43と、
毎回の降雨流出プロセスの降雨開始時間p strt 、降雨終了時間p endt 、累積降雨量p sum 、洪水開始時間Q strt とその流量Q str 、洪水終了時間Q endt とその流量Q end 、該期間内の流量最大値Q max 、流量の最大上昇幅Q up 及びすべてのピークQ n_i peak 、谷Q n_i valley を記録するステップS44とを含む、
ことを特徴とする期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【請求項2】
前記ステップS1は、
既知領域に含まれる、分割する必要があり且つ連続して途切れない流量データ及び時間配列を収集するステップS11と、
ステップS11における対応する集水区域の面積降水量及び時間配列を取得し、時間ステップサイズが同じであり、且つデータが連続して途切れないことを要求し、分割する必要があるデータの前後にバッファ期間を設定するステップS12とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【請求項3】
前記ステップS2は
ーク時点とそれに対応するピーク流量、及び谷時点とそれに対応する谷流量を時間順に記録し、符号化するステップS23を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【請求項4】
前記ステップS5は、
単一ピークの洪水を認識するステップS51であって、1回の降雨流出プロセスにおいて、1つのみのピークがある場合、単一ピークの洪水として識別するステップS51と、
二重以上のピークの洪水を認識するステップS52であって、1回の降雨流出プロセスにおいて、複数のピークがある場合、割合閾値パラメータQdiffを設定し、谷と両側の隣接するピークとの差が両側のピーク値にそれぞれ占める割合がQdiffを超える場合、マルチピークの洪水ピークであり、そうでない場合、単一ピークの洪水であり、式は以下のとおりであり、
(Qi-1 peak-Q valley)/Qi-1 peak>=Qdiff 且つ (Qi+1 peak-Q valley)/Qi+1 peak>=Qdiff
式では、Q valleyは1回の降雨流出の谷流量であり、Qi-1 peak及びQi+1 peakはそれぞれ両側の隣接するピーク流量であり、上記式の関係を満たすと、有効谷と記録し、有効谷の数が1である場合、二重ピークの洪水であり、有効谷の数が2である場合、三重ピークの洪水であり、有効谷の数が3である場合、四重ピークの洪水であり、このように類推するステップS52とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【請求項5】
前記ステップS6において累積降雨量と流量の最大上昇幅の相関係数を計算し、線形相関又は非線形相関の方法を用い、線形相関の計算式は以下のとおりであり、
【数1】
式では、r(X,Y)は2組の同じ数のX、Yデータの相関係数であり、Var[X]はXデータの分散であり、Var[Y]はYデータの分散であり、Cov[X,Y]は、XとYの共分散であり、
非線形相関の方法はSpearmanランク相関を用い、式は以下のとおりであり、
【数2】
式では、pは2組の同じ数のX、YデータのSpearmanランク相関係数であり、dは2組のデータのランクの差、すなわちx、yを大きさ順に並べる番号の差であり、nはデータの数である、ことを特徴とする請求項1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【請求項6】
前記ステップS7において、パラメータの最適化方法は、グリッド探索最適化方法又は投影追跡最適化方法を含み、
前記グリッド探索最適化方法は、パラメータ配列において徹底的な探索を行い、各状況を訓練することによって、最適なパラメータを探し、
前記投影追跡最適化方法は、高次元データを低次元サブ空間に投影することによって、元の高次元データの構造又は特徴を反映できる投影を探し、高次元データを研究して分析する目的を達成し、以下のステップ(1)~(5)を含み、
(1)サンプルデータを正規化し、
【数3】
(2)線形投影を行い、
異なる角度からデータを観察し、データ特徴を最も掘削できる最適な投影方向を探し、複数の初期投影方向a(a1,、…)をランダムに抽出し、その投影指標の大きさを計算し、最大指標の投影の解をその最適な投影方向として決定し、
サンプルiの1次元空間の投影方向である(a1,2,)における投影特徴値を以下のように定義し、
=Σj=1 ij
(3)目標関数を探し、
目標関数をQ(a)、クラス間距離をs(a)、クラス内密度をd(a)として定義し、
Q(a)=s(a)d(a)
クラス間距離はサンプル配列の投影特徴値分散で計算し、
【数4】
ここでi=12…nであり、
投影特徴値間の距離は、rik|z-z|(i、k=1…n)であり、それでは、
d(a)=Σi=1 Σk=1 (R-rik)f(R-rik
ここでf(t)はステップ信号であり、
【数5】
Rは局所のプロット密度を推定する窓幅パラメータであり、幅内に少なくとも1つのプロットを含む原則に従って、その値はサンプルデータ構造に関連し、
max(rik)<R<2m
i,k=1,2,..n
(4)投影方向を最適化させ、
最適な投影方向を探す問題を以下の最適化問題に変換し、
maxQ(a)=s(a)d(a)
Σj=1 =1
(5)統合評価及びクラスタリング分析を行い、
の差異レベルでサンプル群に対してクラスタリング分析を行い、最適な投影方向に基づいて、各評価指標の統合情報を反応する投影特徴値zの差異レベルを計算し、最適な投影係数a=a(a1,2,…a)を求めることができる、ことを特徴とする請求項1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水文予報の分野に関し、特に期間内の降雨流出回数の適応分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある程度の降雨によって川の断面流量が変動すると、降雨が必ずしも流量を変動させるとは限らない。逆に、川の流量の変動は降雨によるものである可能性があり、上流の流量の変動やダムの開門などの原因によるものである可能性がある。現在、連続的な水文資料から1回の洪水を抽出するのは比較的容易であるが、完全な降雨流出の抽出は、主に人工的に経験的に認識され、効率が低いか、あるいは1回の洪水に対応する降雨を厳格に抽出することができず、抽出結果の正確性が低い。
【0003】
公開番号CN109785979Aの発明特許出願には、洪水降雨流出プロセスの定義方法が開示され、該方法は、洪水ピークの流量の数学認識方法を与えるが、洪水及び降雨の開始終了時間に対して、いずれも具体的な認識方法を提供しておらず、人工的に判定する必要がある。公開番号CN112561214Aの発明特許出願には、洪水回数を自動的に認識する方法及びシステムが開示されており、該発明は、降雨プロセスの開始終了位置を具体的に探す方法を提供しておらず、降雨プロセスと洪水プロセスとを関連付けていないため、実施例3において、分割結果の3回目及び5回目の洪水の持続時間が長すぎてしまう。公開番号CN110929956Bの発明特許出願には、機械学習に基づく洪水のタイムリーな予報方案の好適な方法が開示されており、該発明には、以下のことが記述されている。降雨と洪水とを関連付ける方法は、降雨イベントの質量中心が洪水イベントに関連する所定の時間窓に属すると、降雨イベントと洪水イベントが相関イベントであると考えるが、降雨イベントが凹み変形であり、その質量中心が時間窓に入ることが困難であり、且つ該特許には、時間窓の時間長を如何に設定するかが記述されていない。
【0004】
降雨流出回数は、流域の降雨流出を研究する主要データであり、水文予報の基礎資料であるため、降雨流出回数を合理的且つ正確に抽出できる方法を研究し、人工的経験を科学法則にまとめ、コンピュータ言語を用いて自動的で大量に処理し、降雨流出回数を迅速且つ効率的に分割することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、期間内の降雨流出回数の適応分割方法を提供し、関連する洪水と降雨とが1回の完全な降雨流出を形成し、降雨流出の回数を分割する正確率を向上させ、且つ適応度が高く、完全に自動化を実現でき、迅速且つ効率的に降雨流出回数を分割できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術課題を解決するために、本発明の用いる技術的解決手段は以下のとおりである。上記技術課題を解決するために、本発明の用いる技術的解決手段は以下のとおりである。期間内の降雨流出回数の適応分割方法であって、
既知領域の連続的な降雨流出データを収集するステップS1と、
ピークと谷を自動的に計算して認識するステップS2と、
降雨の回数を自動的に分割し、降雨強度閾値及び降雨間隔時間閾値を設定し、降雨の開始及び終了時間を認識し、毎回の累積降雨量を計算するステップS3と、
降雨流出の回数を自動的に分割し、時間窓閾値を設定し、降雨の開始及び終了時間に基づいて、対応する回数の洪水の開始及び終了時間を認識するステップS4と、
1回の洪水のピークの数を認識し、1回の洪水におけるピークと谷との差に基づいて、洪水のピークの数を特定するステップS5と、
相関係数を計算するステップS6であって、1回の降雨流出の累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数を計算するステップS6と、
パラメータを最適化させるステップS7であって、最適化の評価指標は、ステップS6において累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数が最大であり、且つ洪水のピークの数が増えるにつれて相関係数が低減することを満たすことであるステップS7と、
要件を満たす降雨流出プロセスを選別するステップS8とを含む。
【0007】
前記ステップS1は、
既知領域に含まれる、分割する必要があり且つ連続して途切れない流量データ及び時間配列を収集するステップS11と、
ステップS11における対応する集水区域の面積降水量及び時間配列を取得し、時間ステップサイズが同じであり、且つデータが連続して途切れないことを要求し、分割する必要があるデータの前後にバッファ期間を設定するステップS12とを含む。
【0008】
好適な方案では、前記ステップS2は、
鋸歯状特徴が明らかな流量プロセスに対して平滑化処理を行い、平滑な流量プロセスを直接使用するステップS21と、
流量データに対してピークと谷のマーキングを行い、ピーク流量とピーク時点、及び谷流量と谷時点を記録し、下式に従ってピーク流量とピーク時点を判断し、
q’t-1<q’ 且つ q’>q’t+1
式では、q’は平滑化流量であり、q’t-1、q’、q’t+1はt-1、t、t+1時点での平滑化流量であり、t時点はピーク時点であり、該時点に対応する元の流量はピーク流量であり、
下式に従って谷流量と谷時点を判断し、
q’t-1>q’ 且つ q’<q’t+1
t時点は谷時点であり、該時点に対応する元の流量は谷流量であるステップS22と、
ピーク時点とそれに対応するピーク流量、及び谷時点とそれに対応する谷流量を時間順に記録し、符号化するステップS23とを含む。
【0009】
好適な方案では、前記ステップS21において、平滑化処理は、Savitzky-Golayフィルターを用い、計算式は以下のとおりであり、
フィルターの平滑化窓の幅がn=2m+1であると仮定し、各測定データX=(x,x,.....,x)はk-1次多項式を用いて窓内のデータをフィッティングし、xは多項式を用いてフィッティングすることができ、
p(x)=a+a+a +...+ak-1 k-1
パラメータm、kの決定評価指標は、決定可能係数R又はNash-Sutcliffe効率係数(NSE)を含み、R又はNSEが大きいほど、パラメータが好適であり、決定可能係数Rの計算式は以下のとおりであり、
【数1】
Nash-Sutcliffe効率係数(NSE)の計算式は以下のとおりであり、
【数2】
式では、yは観測値であり、
【数3】
は観測値の平均値であり、
【数4】
はフィッティング値であり、y predはフィッティング値である。
【0010】
好適な方案では、前記ステップS3は、
期間内の降雨データの充填処理を行い、無降雨時点に0mmの降雨量を充填するステップS31と、
降雨の開始及び終了時間を認識するステップ32であって、期間内の降雨閾値パラメータPmin及び降雨の最大間隔時間閾値パラメータTstopを設定し、期間内の降雨の連続的なTstop時間がPmin値よりも小さい場合、2回の降雨として識別し、連続的な降雨がPmin値よりも小さく、時間がTstop値よりも小さい場合、1回の降雨として識別し、計算式は以下のとおりであり、
diff=t-ti-1
式では、tは降雨がPminよりも大きい時点であり、tとti-1は該時点と前の隣接する時点を表し、diffがTstopよりも大きい場合、ti-1は1回前の降雨の終了時点であり、tは今回の降雨の開始時点であるステップS32と、
毎回の累積降雨量を統計し、1回の降雨開始時点から降雨終了時点までの降雨量を加算し、開始時点と終了時点の降雨量を含み、計算式は以下のとおりであり、
sum=Σp
式では、pは同一回の期間内の降雨量であるステップS33と、
毎回の降雨の開始時間、終了時間、累積降雨量を記録し、時間順に符号化し、P、p strt、p endt、p sumは、n回目の降雨及びそれに対応する開始時間、終了時間、累積降雨量をそれぞれ表すステップS34とを含む。
【0011】
好適な方案では、前記ステップS4は、
時間閾値パラメータTproを設定し、自然流域に対して、ある降雨の開始時間後のTpro時間内に流量谷がある場合、最後の1つの流量谷を今回の降雨に対応する洪水開始時間とし、水利工事がある流域又は外的影響要因がある流域に対して、一部の降雨の開始時間後のTpro時間に流量谷がない場合、降雨の開始時間前の最も近い谷時間を洪水開始時間とするステップS41と、
時間閾値パラメータTbreを設定し、降雨終了時間からTbre時間後の1番目の流量谷が今回の降雨に対応する洪水終了時間であり、洪水の開始時間と終了時間との間の流量プロセスを今回の降雨に対応する流量変化プロセスとし、1回の降雨及びそれに対応する回数の洪水を1回の降雨流出プロセスとするステップS42と、
1回の降雨流出プロセスにおける流量の最大上昇幅を計算し、すなわち流量最大値から洪水開始時間に対応する流量値を引き、以下の計算式を入力し、
up=Q max-Q str
式では、Q maxは1回の降雨流出における最大値であり、Q strは1回の降雨流出の開始流量であるステップS43と、
毎回の降雨流出プロセスの降雨開始時間p strt、降雨終了時間p endt、累積降雨量p sum、洪水開始時間Q strtとその流量Q str、洪水終了時間Q endtとその流量Q end、該期間内の流量最大値Q max、流量の最大上昇幅Q up及びすべてのピークQn_i peak、谷Qn_i valleyを記録するステップS44とを含む。
【0012】
好適な方案では、洪水のピークの数を特定するステップS5は、
単一ピークの洪水を認識するステップS51であって、1回の降雨流出プロセスにおいて、1つのみのピークがある場合、単一ピークの洪水として識別するステップS51と、
二重以上のピークの洪水を認識するステップS52であって、1回の降雨流出プロセスにおいて、複数のピークがある場合、割合閾値パラメータQdiffを設定し、谷と両側の隣接するピークとの差が両側のピーク値にそれぞれ占める割合がQdiffを超える場合、マルチピークの洪水ピークであり、そうでない場合、単一ピークの洪水であり、式は以下のとおりであり、
(Qi-1 peak-Q valley)/Qi-1 peak>=Qdiff 且つ (Qi+1 peak-Q valley)/Qi+1 peak>=Qdiff
式では、Q valleyは1回の降雨流出の谷流量であり、Qi-1 peak及びQi+1 peakはそれぞれ両側の隣接するピーク流量であり、上記関係を満たすと、有効谷と記録し、有効谷の数が1である場合、二重ピークの洪水であり、有効谷の数が2である場合、三重ピークの洪水であり、有効谷の数が3である場合、四重ピークの洪水であり、このように類推するステップS52とを含む。
【0013】
好適な方案では、前記ステップS6において累積降雨量と流量の最大上昇幅の相関係数を計算し、線形相関又は非線形相関の方法を用い、線形相関の計算式は以下のとおりであり、
【数5】
式では、r(X,Y)は2組の同じ数のX、Yデータの相関係数であり、Var[X]はXデータの分散であり、Var[Y]はYデータの分散であり、Cov[X,Y]は、XとYの共分散であり、
非線形相関の方法はSpearmanランク相関を用い、式は以下のとおりであり、
【数6】
式では、pは2組の同じ数のX、YデータのSpearmanランク相関係数であり、dは2組のデータのランクの差、すなわちx、yを大きさ順に並べる番号の差であり、nはデータの数である。
【0014】
好適な方案では、前記ステップS7において、パラメータの最適化方法は、グリッド探索最適化方法又は投影追跡最適化方法を含み、
前記グリッド探索最適化方法は、パラメータ配列において徹底的な探索を行い、各状況を訓練することによって、最適なパラメータを探し、
前記投影追跡最適化方法は、高次元データを低次元サブ空間に投影することによって、元の高次元データの構造又は特徴を反映できる投影を探し、高次元データを研究して分析する目的を達成し、以下のステップ(1)~(5)を含み、
(1)サンプルデータを正規化し、
【数7】
(2)線形投影を行い、
異なる角度からデータを観察し、データ特徴を最も掘削できる最適な投影方向を探し、複数の初期投影方向a(a1,、…)をランダムに抽出し、その投影指標の大きさを計算し、最大指標の投影の解をその最適な投影方向として決定し、
サンプルiの1次元空間の投影方向である(a1,2,)における投影特徴値を以下のように定義し、
=Σj=1 ij
(3)目標関数を探し、
目標関数をQ(a)、クラス間距離をs(a)、クラス内密度をd(a)として定義し、
Q(a)=s(a)d(a)
クラス間距離はサンプル配列の投影特徴値分散で計算し、
【数8】
ここでi=12…nであり、
投影特徴値間の距離は、rik|z-z|(i、k=1…n)であり、それでは、
d(a)=Σi=1 Σk=1 (R-rik)f(R-rik
ここでf(t)はステップ信号であり、
【数9】
Rは局所のプロット密度を推定する窓幅パラメータであり、幅内に少なくとも1つのプロットを含む原則に従って、その値はサンプルデータ構造に関連し、
max(rik)<R<2m
i,k=1,2,..n
(4)投影方向を最適化させ、
最適な投影方向を探す問題を以下の最適化問題に変換し、
maxQ(a)=s(a)d(a)
Σj=1 =1
(5)統合評価及びクラスタリング分析を行い、
の差異レベルでサンプル群に対してクラスタリング分析を行い、最適な投影方向に基づいて、各評価指標の統合情報を反応する投影特徴値zの差異レベルを計算し、最適な投影係数a=a(a1,2,…a)を求めることができる。
【0015】
好適な方案では、前記ステップS8において要件を満たす降雨流出プロセスを選別し、選別指標及び指標閾値を設定し、選別指標は、累積降雨量又は最大の洪水ピーク流量又は洪水継続時間又は流量の最大上昇幅を用いる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による期間内の降雨流出回数の適応分割方法であって、対応する回数の流出プロセスに対応する降雨を正確に分割し、降雨流出回数を分割する正確率を向上させ、且つ適応程度が高く、自動化を完全に実現し、降雨流出回数を迅速且つ効果的に分割することができる。分割結果は、水文学の研究に幅広く用いることができ、水文モデルのパラメータの決定に用いると、水文モデルパラメータの決定効率及び正確率を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、図面及び実施例を併せて本発明について更に説明する。
【0018】
図1】本発明の方法フローチャートである。
図2】実施例で選択された集水区域の流量プロセス及び該流域の表面降雨プロセスである。
図3】実施例において表1における番号1の降雨流出プロセス図である。
図4】実施例において表1における番号2の降雨流出プロセス図である。
図5】実施例において表1における番号3の降雨流出プロセス図である。
図6】実施例において表1における番号4の降雨流出プロセス図である。
図7】実施例において表1における番号5の降雨流出プロセス図である。
図8】実施例において表1における番号6の降雨流出プロセス図である。
図9】実施例において表1における番号7の降雨流出プロセス図である。
図10】実施例において表1における番号8の降雨流出プロセス図である。
図11】グリッド探索最適化方法を採用して行う相関係数の計算データの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例1:ある集水区域を例にして説明し、期間内の降雨流出回数の適応分割方法であって、図1に示すように、以下のステップを含む。
【0020】
既知領域の連続的な降雨流出データを収集するステップS1は、ステップS11とステップS12とを含む。
【0021】
S11において、ある既知領域に含まれる、分割する必要があり且つ連続的に途切れない流量データ及び時間配列を収集し、該集水区域には、分割する必要がある、時間(h)をスケールとする2016年6月2日~7月30日の連続的な流出データがあり、該集水区域内には大きなダムが分布している。
【0022】
S12において、S11ステップにおいて対応する集水区域の面積降水量及び時間配列を取得し、時間ステップサイズが同じであり、且つデータが連続的に途切れないことを要求し、時間スケールは、時間(h)である。
【0023】
前記ステップS11及びS12において、分割結果の精度を維持するために、分割する必要があるデータの前後にバッファ期間を設定する。バッファ期間の長さは、分割する必要があるデータの前後1日であるため、図2に示すように、降雨流出データの時間を2016年6月1日~7月31日に分割する。
【0024】
ピークと谷を自動的に計算して認識するステップS2は、具体的に以下のステップを含む。
【0025】
S21において、鋸歯状特徴が明らかな流量プロセスに対して平滑化処理を行い、平滑な流量プロセスを直接使用する。
【0026】
本実施例において、平滑化処理は、Savitzky-Golayフィルターを採用し、該方法は、本質的に最小二乗法に基づく多項式平滑化フィルタリングであり、計算式は以下のとおりであり、
フィルターの平滑化窓の幅がn=2m+1であると仮定し、各測定データX=(x,x,.....,x)はk-1次多項式を用いて窓内のデータをフィッティングし、xは多項式を用いてフィッティングすることができ、
p(x)=a+a+a +...+ak-1 k-1
パラメータm、kの決定評価指標は、決定可能係数R又はNash-Sutcliffe効率係数(NSE)を含み、R又はNSEが大きいほど、パラメータが好適であり、決定可能係数Rの計算式は以下のとおりであり、
【数10】
Nash-Sutcliffe効率係数(NSE)の計算式は以下のとおりであり、
【数11】
式では、yは観測値であり、
【数12】
は観測値の平均値であり、
【数13】
はフィッティング値であり、y predはフィッティング値であり、
又はNSE値が高いほど、パラメータm、kの値の信頼性の高いことを表す。本実施例においてパラメータの最終値は、45、10、Rで、NSE値は、それぞれ0.99、0.99である。
【0027】
S22において、流量データに対してピークと谷のマーキングを行い、ピーク流量とピーク時点、及び谷流量と谷時点を記録し、下式に従ってピーク流量とピーク時点を判断し、
q’t-1<q’ 且つ q’>q’t+1
式では、q’は平滑化流量であり、q’t-1、q’、q’t+1はt-1、t、t+1時点での平滑化流量であり、t時点はピーク時点であり、該時点に対応する元の流量はピーク流量であり、
下式に従って谷流量と谷時点を判断し、
q’t-1>q’ 且つ q’<q’t+1
t時点は谷時点であり、該時点に対応する元の流量は谷流量である。
【0028】
S23において、ピーク時点とそれに対応するピーク流量、及び谷時点とそれに対応する谷流量を時間順に記録し、符号化する。
【0029】
S3において、降雨の回数を自動的に分割し、降雨強度閾値及び降雨間隔時間閾値を設定し、降雨の開始及び終了時間を認識し、毎回の累積降雨量を計算する。ステップS3は、
期間内の降雨データの充填処理を行い、無降雨時点に0mmの降雨量を充填するステップS31と、
降雨の開始及び終了時間を認識するステップ32であって、期間内の降雨閾値パラメータPmin及び降雨の最大間隔時間閾値パラメータTstopを設定し、期間内の降雨の連続的なTstop時間がPmin値よりも小さい場合、2回の降雨として識別し、連続的な降雨がPmin値よりも小さく、時間がTstop値よりも小さい場合、1回の降雨として識別し、計算式は以下のとおりであり、
diff=t-ti-1
式では、tは降雨がPminよりも大きい時点であり、tとti-1は該時点と前の隣接する時点を表し、diffがTstopよりも大きい場合、ti-1は1回前の降雨の終了時点であり、tは今回の降雨の開始時点であるステップS32と、
毎回の累積降雨量を統計し、1回の降雨開始時点から降雨終了時点までの降雨量を加算し、開始時点と終了時点の降雨量を含み、計算式は以下のとおりであり、
sum=Σp
式では、pは同一回の期間内の降雨量であるステップS33と、
毎回の降雨の開始時間、終了時間、累積降雨量を記録し、時間順に符号化し、P、p strt、p endt、p sumは、n回目の降雨及びそれに対応する開始時間、終了時間、累積降雨量をそれぞれ表すステップS34とを含む。
【0030】
S4において、降雨流出の回数を自動的に分割し、時間窓閾値を設定し、降雨の開始及び終了時間に基づいて、対応する回数の洪水の開始及び終了時間を認識する。前記ステップS4は、以下のステップを含む。
【0031】
S41において、時間閾値パラメータTproを設定し、自然流域に対して、ある降雨の開始時間後のTpro時間内に流量谷がある場合、最後の1つの流量谷を今回の降雨に対応する洪水開始時間とし、水利工事がある流域又は外的影響要因がある流域に対して、一部の降雨の開始時間後のTpro時間に流量谷がない場合、降雨の開始時間前の最も近い谷時間を洪水開始時間とする。
【0032】
本実施例において、ダムの影響がある集水区域では、ある降雨の開始時間後のTpro時間内に流量谷がある場合、最後の1つの流量谷を今回の降雨に対応する洪水開始時間とし、一部の降雨の開始時間後のTpro時間に流量谷がない場合、降雨の開始時間前の最も近い谷時間を洪水開始時間とする。
【0033】
S42において、時間閾値パラメータTbreを設定し、降雨終了時間からTbre時間後の1番目の流量谷が今回の降雨に対応する洪水終了時間であり、洪水の開始時間と終了時間との間の流量プロセスを今回の降雨に対応する流量変化プロセスとし、1回の降雨及びそれに対応する回数の洪水を1回の降雨流出プロセスとする。
【0034】
S43において、1回の降雨流出プロセスにおける流量の最大上昇幅を計算し、すなわち流量最大値から洪水開始時間に対応する流量値を引き、以下の計算式を入力し、
up=Q max-Q str
式では、Q maxは1回の降雨流出における最大値であり、Q strは1回の降雨流出の開始流量である。
【0035】
S44において、毎回の降雨流出プロセスの降雨開始時間p strt、降雨終了時間p endt、累積降雨量p sum、洪水開始時間Q strtとその流量Q str、洪水終了時間Q endtとその流量Q end、該期間内の流量最大値Q max、流量の最大上昇幅Q up及びすべてのピークQn_i peak、谷Qn_i valleyを記録する。
【0036】
S5において、1回の洪水のピークの数を認識し、1回の洪水におけるピークと谷との差に基づいて、洪水のピークの数を特定する。
【0037】
単一ピークの洪水を認識する:1回の降雨流出プロセスにおいて、1つのみのピークがある場合、単一ピークの洪水として識別する。
【0038】
二重以上のピークの洪水を認識する:1回の降雨流出プロセスにおいて、複数のピークがある場合、割合閾値パラメータQdiffを設定し、谷と両側の隣接するピークとの差が両側のピーク値にそれぞれ占める割合がQdiffを超える場合、マルチピークの洪水ピークであり、そうでない場合、単一ピークの洪水であり、式は以下のとおりであり、
(Qi-1 peak-Q valley)/Qi-1 peak>=Qdiff 且つ (Qi+1 peak-Q valley)/Qi+1 peak>=Qdiff
式では、Q valleyは1回の降雨流出の谷流量であり、Qi-1 peak及びQi+1 peakはそれぞれ両側の隣接するピーク流量であり、上記関係を満たすと、有効谷と記録し、有効谷の数が1である場合、二重ピークの洪水であり、有効谷の数が2である場合、三重ピークの洪水であり、有効谷の数が3である場合、四重ピークの洪水であり、このように類推する。
【0039】
S6において、相関係数を計算し、1回の降雨流出の累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数を計算する。
【0040】
好適な方案において、前記ステップS6において累積降雨量と流量の最大上昇幅の相関係数を計算し、線形相関又は非線形相関の方法を用い、線形相関の計算式は以下のとおりであり、
【数14】
式では、r(X,Y)は2組の同じ数のX、Yデータの相関係数であり、、Var[X]はXデータの分散であり、Var[Y]はYデータの分散であり、Cov[X,Y]は、XとYの共分散であり、
非線形相関の方法はSpearmanランク相関を用い、式は以下のとおりであり、
【数15】
式では、pは2組の同じ数のX、YデータのSpearmanランク相関係数であり、dは2組のデータのランクの差、すなわちx、yを大きさ順に並べる番号の差であり、nはデータの数である。
【0041】
S7において、パラメータを最適化させ、最適化の評価指標は、ステップS6において累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数が最大であり、且つ洪水のピークの数が増えるにつれて相関係数が低減することを満たすことである。
【0042】
前記ステップS7において、パラメータ最適化方法は、グリッド探索最適化方法又は投影追跡最適化方法又は他の方法を含む。
【0043】
本実施例において、投影追跡最適化方法を用い、高次元データを低次元サブ空間に投影することによって、元の高次元データの構造又は特徴を反映できる投影を探し、高次元データを研究して分析する目的を達成し、以下のステップ(1)~(5)を含み、
(1)サンプルデータを正規化し、
【数16】
(2)線形投影を行い、
異なる角度からデータを観察し、データ特徴を最も掘削できる最適な投影方向を探し、複数の初期投影方向a(a1,、…)をランダムに抽出し、その投影指標の大きさを計算し、最大指標の投影の解をその最適な投影方向として決定し、
サンプルiの1次元空間の投影方向である(a1,2,)における投影特徴値を以下のように定義し、
=Σj=1 ij
(3)目標関数を探し、
目標関数をQ(a)、クラス間距離をs(a)、クラス内密度をd(a)として定義し、
Q(a)=s(a)d(a)
クラス間距離はサンプル配列の投影特徴値分散で計算し、
【数17】
ここでi=12…nであり、
投影特徴値間の距離は、rik|z-z|(i、k=1…n)であり、それでは、
d(a)=Σi=1 Σk=1 (R-rik)f(R-rik
ここでf(t)はステップ信号であり、
【数18】
Rは局所のプロット密度を推定する窓幅パラメータであり、幅内に少なくとも1つのプロットを含む原則に従って、その値はサンプルデータ構造に関連し、
max(rik)<R<2m
i,k=1,2,..n
(4)投影方向を最適化させ、
最適な投影方向を探す問題を以下の最適化問題に変換し、
maxQ(a)=s(a)d(a)
Σj=1 =1
(5)統合評価及びクラスタリング分析を行い、
の差異レベルでサンプル群に対してクラスタリング分析を行い、最適な投影方向に基づいて、各評価指標の統合情報を反応する投影特徴値zの差異レベルを計算し、最適な投影係数a=a(a1,2,…a)を求めることができる。最後期間内の降雨閾値パラメータPmin、降雨最大間隔時間閾値パラメータTstop、時間閾値パラメータTpro及びTbre、割合閾値パラメータQdiffを0.2mm、15h、14h、10h、1/3として決定する。この時、降雨流出回数の分布精度が最適である。
【0044】
S8において、要件を満たす降雨流出プロセスを選別する。選別指標及び指標閾値を設定し、選別指標は、累積降雨量又は最大の洪水ピーク流量又は洪水継続時間又は流量の最大上昇幅を用いる。
【0045】
本実施例において、降雨プロセスの大きさに従って、要件を満たす対応する回数のイベントを選別し、累積降雨量の最小閾値を5mmとすると、選別結果は、8回の降雨流出プロセスであり、表1に示すように、選別結果は、図3~10に示す。
【0046】
表1 降雨流出回数の分割結果の統計表
【表1】
【0047】
実施例2:実施例1との相違点は、前記ステップS7において、パラメータ最適化方法は、パラメータ配列において徹底的な探索を行い、各状況を訓練することによって、最適なパラメータを探すグリッド探索最適化方法を採用することである。
【0048】
迅速に計算を行い、収束性を加速するために、流域の水文特性に基づいて、期間内の降雨閾値パラメータPmin、降雨最大間隔時間閾値パラメータTstop、時間閾値パラメータTpro及びTbre、割合閾値パラメータQdiffの5つのパラメータの値範囲をそれぞれ0.1~0.3、14~17、13~15、9~11、1/2~1/4とし、変化ステップサイズをそれぞれ0.1、1、1、1、1/n(nの値が2、3、4である)とし、探索方案としてランダム探索を採用する。従って、合計324種類のパラメータの組み合わせがある。累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの合計相関係数が最大であり、且つ洪水のピークの数が増えるにつれて相関性が減少するように目標関数を設定する。
【0049】
目標関数:R(P sum,Q up)が最大であり、R単一ピーク(P sum,Q up)≧R二重ピーク(P sum,Q up)であり、R相関性の計算式は、以下のとおりである。
【0050】
【数19】
図11に示すように、324組のパラメータに対して相関性計算を行い、目標値を満たす対応するパラメータを戻す。222組目のパラメータの場合、累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数は、最大約0.89であり、対応するする単一ピークの洪水の累積降雨量と流量の最大上昇幅の相関係数、及び二重ピークの洪水の累積降雨量と流量の最大上昇幅の相関係数は、それぞれ0.91及び0.85であり、単一ピークの相関係数が二重ピークの相関係数よりも大きいことを満たす。従って、5つのパラメータの値が0.2mm、15h、14h、10h、1/3である場合、降雨流出回数の分布精度が最適である。
【0051】
(付記)
(付記1)
期間内の降雨流出回数の適応分割方法であって、
既知領域の連続的な降雨流出データを収集するステップS1と、
ピークと谷を自動的に計算して認識するステップS2と、
降雨の回数を自動的に分割し、降雨強度閾値及び降雨間隔時間閾値を設定し、降雨の開始及び終了時間を認識し、毎回の累積降雨量を計算するステップS3と、
降雨流出の回数を自動的に分割し、時間窓閾値を設定し、降雨の開始及び終了時間に基づいて、対応する回数の洪水の開始及び終了時間を認識するステップS4と、
1回の洪水のピークの数を認識し、1回の洪水におけるピークと谷との差に基づいて、洪水のピークの数を特定するステップS5と、
相関係数を計算するステップS6であって、1回の降雨流出の累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数を計算するステップS6と、
パラメータを最適化させるステップS7であって、最適化の評価指標は、ステップS6において累積降雨量p sumと流量の最大上昇幅Q upの相関係数が最大であり、且つ洪水のピークの数が増えるにつれて相関係数が低減することを満たすことであるステップS7と、
要件を満たす降雨流出プロセスを選別するステップS8とを含む、ことを特徴とする期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0052】
(付記2)
前記ステップS1は、
既知領域に含まれる、分割する必要があり且つ連続して途切れない流量データ及び時間配列を収集するステップS11と、
ステップS11における対応する集水区域の面積降水量及び時間配列を取得し、時間ステップサイズが同じであり、且つデータが連続して途切れないことを要求し、分割する必要があるデータの前後にバッファ期間を設定するステップS12とを含む、ことを特徴とする付記1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0053】
(付記3)
前記ステップS2は、
鋸歯状特徴が明らかな流量プロセスに対して平滑化処理を行い、平滑な流量プロセスを直接使用するステップS21と、
流量データに対してピークと谷のマーキングを行い、ピーク流量とピーク時点、及び谷流量と谷時点を記録し、下式に従ってピーク流量とピーク時点を判断し、
q’t-1<q’ 且つ q’>q’t+1
式では、q’は平滑化流量であり、q’t-1、q’、q’t+1はt-1、t、t+1時点での平滑化流量であり、t時点はピーク時点であり、該時点に対応する元の流量はピーク流量であり、
下式に従って谷流量と谷時点を判断し、
q’t-1>q’ 且つ q’<q’t+1
t時点は谷時点であり、該時点に対応する元の流量は谷流量であるステップS22と、
ピーク時点とそれに対応するピーク流量、及び谷時点とそれに対応する谷流量を時間順に記録し、符号化するステップS23とを含む、ことを特徴とする付記1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0054】
(付記4)
前記ステップS21において、平滑化処理は、Savitzky-Golayフィルターを用い、計算式は以下のとおりであり、
フィルターの平滑化窓の幅がn=2m+1であると仮定し、各測定データX=(x,x,.....,x)はk-1次多項式を用いて窓内のデータをフィッティングし、xは多項式を用いてフィッティングすることができ、
p(x)=a+a+a +...+ak-1 k-1
パラメータm、kの決定評価指標は、決定可能係数R又はNash-Sutcliffe効率係数(NSE)を含み、R又はNSEが大きいほど、パラメータが好適であり、決定可能係数Rの計算式は以下のとおりであり、
【数20】
Nash-Sutcliffe効率係数(NSE)の計算式は以下のとおりであり、
【数21】
式では、yは観測値であり、
【数22】
は観測値の平均値であり、
【数23】
はフィッティング値であり、y predはフィッティング値である、ことを特徴とする付記3に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0055】
(付記5)
前記ステップS3は、
期間内の降雨データの充填処理を行い、無降雨時点に0mmの降雨量を充填するステップS31と、
降雨の開始及び終了時間を認識するステップ32であって、期間内の降雨閾値パラメータPmin及び降雨の最大間隔時間閾値パラメータTstopを設定し、期間内の降雨の連続的なTstop時間がPmin値よりも小さい場合、2回の降雨として識別し、連続的な降雨がPmin値よりも小さく、時間がTstop値よりも小さい場合、1回の降雨として識別し、計算式は以下のとおりであり、
diff=t-ti-1
式では、tは降雨がPminよりも大きい時点であり、tとti-1は該時点と前の隣接する時点を表し、diffがTstopよりも大きい場合、ti-1は1回前の降雨の終了時点であり、tは今回の降雨の開始時点であるステップS32と、
毎回の累積降雨量を統計し、1回の降雨開始時点から降雨終了時点までの降雨量を加算し、開始時点と終了時点の降雨量を含み、計算式は以下のとおりであり、
sum=Σp
式では、pは同一回の期間内の降雨量であるステップS33と、
毎回の降雨の開始時間、終了時間、累積降雨量を記録し、時間順に符号化し、P、p strt、p endt、p sumは、n回目の降雨及びそれに対応する開始時間、終了時間、累積降雨量をそれぞれ表すステップS34とを含む、ことを特徴とする付記1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0056】
(付記6)
前記ステップS4は、
時間閾値パラメータTproを設定し、自然流域に対して、ある降雨の開始時間後のTpro時間内に流量谷がある場合、最後の1つの流量谷を今回の降雨に対応する洪水開始時間とし、水利工事がある流域又は外的影響要因がある流域に対して、一部の降雨の開始時間後のTpro時間に流量谷がない場合、降雨の開始時間前の最も近い谷時間を洪水開始時間とするステップS41と、
時間閾値パラメータTbreを設定し、降雨終了時間からTbre時間後の1番目の流量谷が今回の降雨に対応する洪水終了時間であり、洪水の開始時間と終了時間との間の流量プロセスを今回の降雨に対応する流量変化プロセスとし、1回の降雨及びそれに対応する回数の洪水を1回の降雨流出プロセスとするステップS42と、
1回の降雨流出プロセスにおける流量の最大上昇幅を計算し、すなわち流量最大値から洪水開始時間に対応する流量値を引き、以下の計算式を入力し、
up=Q max-Q str
式では、Q maxは1回の降雨流出における最大値であり、Q strは1回の降雨流出の開始流量であるステップS43と、
毎回の降雨流出プロセスの降雨開始時間p strt、降雨終了時間p endt、累積降雨量p sum、洪水開始時間Q strtとその流量Q str、洪水終了時間Q endtとその流量Q end、該期間内の流量最大値Q max、流量の最大上昇幅Q up及びすべてのピークQn_i peak、谷Qn_i valleyを記録するステップS44とを含む、ことを特徴とする付記1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0057】
(付記7)
前記ステップS5は、
単一ピークの洪水を認識するステップS51であって、1回の降雨流出プロセスにおいて、1つのみのピークがある場合、単一ピークの洪水として識別するステップS51と、
二重以上のピークの洪水を認識するステップS52であって、1回の降雨流出プロセスにおいて、複数のピークがある場合、割合閾値パラメータQdiffを設定し、谷と両側の隣接するピークとの差が両側のピーク値にそれぞれ占める割合がQdiffを超える場合、マルチピークの洪水ピークであり、そうでない場合、単一ピークの洪水であり、式は以下のとおりであり、
(Qi-1 peak-Q valley)/Qi-1 peak>=Qdiff 且つ (Qi+1 peak-Q valley)/Qi+1 peak>=Qdiff
式では、Q valleyは1回の降雨流出の谷流量であり、Qi-1 peak及びQi+1 peakはそれぞれ両側の隣接するピーク流量であり、上記関係を満たすと、有効谷と記録し、有効谷の数が1である場合、二重ピークの洪水であり、有効谷の数が2である場合、三重ピークの洪水であり、有効谷の数が3である場合、四重ピークの洪水であり、このように類推するステップS52とを含む、ことを特徴とする付記1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0058】
(付記8)
前記ステップS6において累積降雨量と流量の最大上昇幅の相関係数を計算し、線形相関又は非線形相関の方法を用い、線形相関の計算式は以下のとおりであり、
【数24】
式では、r(X,Y)は2組の同じ数のX、Yデータの相関係数であり、Var[X]はXデータの分散であり、Var[Y]はYデータの分散であり、Cov[X,Y]は、XとYの共分散であり、
非線形相関の方法はSpearmanランク相関を用い、式は以下のとおりであり、
【数25】
式では、pは2組の同じ数のX、YデータのSpearmanランク相関係数であり、dは2組のデータのランクの差、すなわちx、yを大きさ順に並べる番号の差であり、nはデータの数である、ことを特徴とする付記1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0059】
(付記9)
前記ステップS7において、パラメータの最適化方法は、グリッド探索最適化方法又は投影追跡最適化方法を含み、
前記グリッド探索最適化方法は、パラメータ配列において徹底的な探索を行い、各状況を訓練することによって、最適なパラメータを探し、
前記投影追跡最適化方法は、高次元データを低次元サブ空間に投影することによって、元の高次元データの構造又は特徴を反映できる投影を探し、高次元データを研究して分析する目的を達成し、以下のステップ(1)~(5)を含み、
(1)サンプルデータを正規化し、
【数26】
(2)線形投影を行い、
異なる角度からデータを観察し、データ特徴を最も掘削できる最適な投影方向を探し、複数の初期投影方向a(a1,、…)をランダムに抽出し、その投影指標の大きさを計算し、最大指標の投影の解をその最適な投影方向として決定し、
サンプルiの1次元空間の投影方向である(a1,2,)における投影特徴値を以下のように定義し、
=Σj=1 ij
(3)目標関数を探し、
目標関数をQ(a)、クラス間距離をs(a)、クラス内密度をd(a)として定義し、
Q(a)=s(a)d(a)
クラス間距離はサンプル配列の投影特徴値分散で計算し、
【数27】
ここでi=12…nであり、
投影特徴値間の距離は、rik|z-z|(i、k=1…n)であり、それでは、
d(a)=Σi=1 Σk=1 (R-rik)f(R-rik
ここでf(t)はステップ信号であり、
【数28】
Rは局所のプロット密度を推定する窓幅パラメータであり、幅内に少なくとも1つのプロットを含む原則に従って、その値はサンプルデータ構造に関連し、
max(rik)<R<2m
i,k=1,2,..n
(4)投影方向を最適化させ、
最適な投影方向を探す問題を以下の最適化問題に変換し、
maxQ(a)=s(a)d(a)
Σj=1 =1
(5)統合評価及びクラスタリング分析を行い、
の差異レベルでサンプル群に対してクラスタリング分析を行い、最適な投影方向に基づいて、各評価指標の統合情報を反応する投影特徴値zの差異レベルを計算し、最適な投影係数a=a(a1,2,…a)を求めることができる、ことを特徴とする付記1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【0060】
(付記10)
前記ステップS8において要件を満たす降雨流出プロセスを選別し、選別指標及び指標閾値を設定し、選別指標は、累積降雨量又は最大の洪水ピーク流量又は洪水継続時間又は流量の最大上昇幅を用いる、ことを特徴とする付記1に記載の期間内の降雨流出回数の適応分割方法。
【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、期間内の降雨流出回数の適応分割方法を提供する。
【解決手段】この方法は、既知領域の連続的な降雨流出データを収集するステップS1と、ピークと谷を自動的に計算して認識するステップS2と、降雨の回数を自動的に分割し、降雨の開始及び終了時間を認識し、毎回の累積降雨量を計算するステップS3と、降雨流出の回数を自動的に分割し、降雨の開始及び終了時間に基づいて、対応する回数の洪水の開始及び終了時間を認識するステップS4と、1回の洪水のピークの数を認識し、1回の洪水におけるピークと谷との差に基づいて、洪水のピークの数を特定するステップS5と、1回の降雨流出の累積降雨量と流量の最大上昇幅の相関係数を計算するステップS6と、パラメータを最適化させるステップS7と、要件を満たす降雨流出プロセスを選別するステップS8とを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11