(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】支援情報を提供する方法、デバイス間通信システム、第2のデバイス、コンピュータプログラム、及び処理回路
(51)【国際特許分類】
H04W 76/14 20180101AFI20231013BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20231013BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20231013BHJP
H04W 4/46 20180101ALN20231013BHJP
【FI】
H04W76/14
H04W92/18
H04W48/16 132
H04W48/16 131
H04W4/46
(21)【出願番号】P 2023510180
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2021025535
(87)【国際公開番号】W WO2022030161
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-10-31
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】チョチーナ、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】シェハタ、モハメド
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/033088(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0037343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス間通信システムにおいて第1のデバイスと第2のデバイスのターゲットグループとの間の少なくとも1つの通信チャネルの品質に関する支援情報を提供する方法であって、前記方法は、
前記ターゲットグループの前記第2のデバイスの中の少なくとも1つのデバイスに関連する通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、前記ターゲットグループの前記第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することと、
選択された少なくとも1つの候補について、前記第1のデバイスに支援情報を伝送することであって、前記支援情報は、前記第1のデバイスと前記少なくとも1つの候補との間の通信チャネルの品質を少なくとも表すことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記品質は、少なくとも前記通信チャネルのネットワークリソースに関連し、前記ネットワークリソースは、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスのターゲットグループにデータを送信するために使用されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支援情報は、2ビット以上で構成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記通信条件は、マルチアクセスエッジコンピューティングデバイスによって前記ターゲットグループの第2のデバイスのそれぞれに関連付けられたパケット優先度レベルを含み、
決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準は、前記パケット優先度レベルに更に基づいている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲットグループの少なくとも1つの第2のデバイスについて、前記第2のデバイスによって受信された情報に基づいて、前記少なくとも1つの第2のデバイスに関する前記通信条件を取得することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記通信条件は、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間の距離に関連し、前記ターゲットグループの前記第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することは、
前記ターゲットグループの前記第2のデバイスを複数のサブグループにクラスター化することであって、各サブグループは、それぞれの地理的領域に関連付けられ、各サブグループは、関連付けられた前記それぞれの地理的領域に分散された前記第2のデバイスから形成されることと、
前記それぞれの地理的領域に関連する少なくとも1つの基準に基づいて少なくとも1つのサブグループを選択することと、
前記少なくとも1つのサブグループの各々から、少なくとも1つの追加の基準に基づいて少なくとも1つの候補を選択することと、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のデバイスによって発信され、前記第2のデバイスによって受信される情報は、ペイロードを含み、
前記通信条件を取得することは、前記第2のデバイスにおいて、前記ペイロードの復号化を試みることと、前記通信条件として、前記ペイロードの復号化の試みが成功したか失敗したかを判定することと、を含み、
決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、前記ターゲットグループの前記第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することは、前記ペイロードの復号化の試みに失敗した前記第2のデバイスの中から前記少なくとも1つの候補を選択することを含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記通信条件は、前記ターゲットグループの第2のデバイスにそれぞれ関連付けられたユーザ識別子を含み、
決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準は、前記ユーザ識別子に更に基づいている、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準は、前記第1のデバイスによって決定され、前記第1のデバイスによって発信され、前記第2のデバイスによって受信される情報は、前記少なくとも1つの決定された基準を示すメタデータを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準は、前記ターゲットグループの第2のデバイスによってローカルに決定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、前記ターゲットグループの前記第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することは、
第1の選択段階中に、第2のデバイスのサブグループを選択することと、
後続の選択段階中に、前記決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、前記第2のデバイスのサブグループの中から少なくとも1つの候補を選択することと、
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
デバイス間通信システムであって、前記デバイス間通信システムは、第1のデバイスと、第2のデバイスのターゲットグループとを備え、
前記デバイス間通信システムは、前記ターゲットグループの前記第2のデバイスの中から、前記ターゲットグループの少なくとも1つのデバイスに関連する通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、少なくとも1つの候補を選択するように構成され、
選択された少なくとも1つの候補は、前記第1のデバイスに支援情報を伝送するように更に構成され、前記支援情報は、前記第1のデバイスと前記少なくとも1つの候補との間の通信チャネルの品質を少なくとも表す、
デバイス間通信システム。
【請求項13】
第2のデバイスであって、請求項12に記載のデバイス間通信システムの第2のデバイス。
【請求項14】
1つ以上の記憶された命令シーケンスを含むコンピュータプログラムであって、前記命令シーケンスは、処理ユニットがアクセス可能であり、前記処理ユニットによって実行されると、前記処理ユニットに請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
メモリに動作可能に接続された処理ユニットを備えた処理回路であって、前記処理回路は、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、処理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気通信の分野に属する。
【0002】
特に、デバイス間通信システムにおいて、第1のデバイスに支援情報を提供する方法を開示する。第1のデバイスは、第2のデバイスのターゲットグループにデータを送信する。上記に対応するデバイス間通信システム、かかるシステムの第2のデバイス、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータプログラム、及び処理回路が更に開示される。
【背景技術】
【0003】
本開示のフレームワークは、デバイス間車両システムにおけるリソース割り振りを強化することである。本発明は、3GPP NR V2Xのモード2(a)のフレームワークにおいて説明するが、この特定のフレームワークに限定されるものではない。V2X通信は、ブロードキャスト(1つの車両から全ての周囲車両へ)、グループキャスト(1つの車両から周囲車両のセットへ)、及びユニキャスト(1つの車両から別の車両へ)の通信サービスをサポートしている。本開示は、主に、グループキャスト及びブロードキャストのシナリオを対象とする。
【0004】
最先端のシナリオとして、以下の3GPPシナリオを考慮した。
車両は、V2V通信のために物理サイドリンク(PC5インターフェース)チャネルを使用する。
リソース割り振りは、3GPP NR V2Xモード2(a)に基づいて実行され、送信機(TX)は、ローカルチャネルセンシング情報に基づいて自律的にリソースを選択する。
【0005】
ここで、本開示に関連する主要な最先端の障害について、その文脈を完全に理解するために簡単に説明する。
【0006】
図1に示すように、3GPP NR V2Xモード2(a)等のセンシングベースのリソース割り振りでは、隠れノード問題が主要な問題の1つとなっている。この例では、送信機TX10が自身の通信範囲全体に情報を発信し、発信された情報は受信機RX20a、20bによって受信されると考えられる。隠れノード問題とは、いくつかのノード30が所与の受信機RX20bのセンシング範囲内にはあるが、送信機TX10のセンシング範囲内にはない場合に生じるものである。この場合、TXは、そのセンシング手順において隠れノードを認識していないため、隠れノードによって既に使用されているリソースを選択する場合がある。そのため、RX側でのパケット衝突が生じ、性能劣化につながる可能性がある。
【0007】
近年、ユニキャスト伝送における隠れノード問題に対して幾つかの解決策が提案されており、これらは、非特許文献1及び非特許文献2に開示されている。
【0008】
これは、受信機がセンシング情報に基づいてリソース割り振りを実行できるようにし、同じ物理リソースを使用して、このリソース割り振りの決定を送信機にフィードバックすることによって行われる。提案されたメカニズムは、
図2に示すように3つのステップに基づいており、以下のように要約される。
第1のステップはスケジューリング要求101である。送信機TX10は、サイドリンクスケジューリング要求SRを使用して受信機RX20に支援情報を求める。このSRには、ID、バッファ状態、リソース割り振り情報等に関連する情報が含まれる。また、SRは、TXセンシング情報からのスケジューリング許可SGのための好ましいリソースについての情報を含もことができる。
【0009】
次のステップは、スケジューリング許可102である。RXは、データ伝送に使用するために、そのセンシング情報から少なくとも好ましいリソースをシグナリングするSGで応答する。
【0010】
最後のステップは、スケジューリング割り当て103を含んでおり、データ伝送104へと進む。TXは、RXによって割り振られたSGからの伝送パラメータを使用して、又は自身の決定を行うための支援情報としてSGを使用して、スケジューリング割当てSA及びデータをRXに伝送する。
【0011】
このメカニズムには、Rxの支援をフィードバックするために多数のオーバーヘッドビットが必要となる。そのため、この文献において提案されている解決策は、ユニキャスト通信のみに限定されるものであり、必要なオーバーヘッド及びスペクトルリソースが大きいため、グループキャスト通信に直接的に拡張することはできない。したがって、NR V2Xモード2(a)の隠れノードの問題は、対処すべき必要がある未解決の問題として残されている。
【0012】
3GPP NR V2Xモード2(a)のリリース16では、距離に基づくグループキャスト通信のためのハイブリッド自動再送要求(HARQ)フィードバックメカニズムの選択肢が存在している。これは、距離ベースのHARQフィードバックメカニズムと称されるもので、
図3に示している。距離ベースのHARQフィードバックメカニズムは、非特許文献3に更に詳述されている。
【0013】
このメカニズムでは、TX10は、サイドリンク制御情報(SCI)においてその位置情報(ゾーンID)及びその通信範囲を送信する。次いで、RX20a、20bは、この情報を復号化して使用して、これらのRX20a、20bがTXの通信範囲内22にあるか否かを把握する。次に、
図3に示すように、通信範囲外21にある地理的領域内のRX20aに対しては、HARQフィードバックは伝送されない。ただし、通信範囲内22の地理的領域内のRX20bについては、RXの挙動は以下の通りとなる。
当該RXが、SCIを復号化することができ、ユーザ情報データパケットを搬送する対応するトランスポートブロックTBも復号化することができる場合、何も送信しない(肯定応答ACKを送信せず、サイレントのままである)。
当該RXがSCIを復号化することができるが、対応するTBを復号化することができない場合、再伝送を求めるために、否定応答NACKがフィードバックとしてTXに送り返される。
【0014】
このメカニズムの主な目的は、HARQフィードバックを多重化するために使用されるスペクトルリソースが乏しいため、TXにフィードバック情報を送信するRXの数を減少させることである。HARQフィードバックのACK/NACK報告が1ビットしか必要としない場合であっても、グループ内に多数の車両があれば、全てのRX車両からのフィードバック報告を多重化する際に深刻な問題が発生する可能性がある。したがって、この解決策では、HARQフィードバックを与えるために最も適切な車両(セキュリティへの影響が大きい可能性があるため、最も近い車両)を選択することによって、HARQフィードバック情報を送信する必要がある車両の数を減少させることが提案されている。
【0015】
3GPP NRモード2(a)リソース割り振りに関する提案の冒頭で、センシングに依存しないV2Vにおける自律的リソース割り振りのための解決策が提案されている。この解決策は、
図4に示すように、リソースプールを複数のスペクトルチャンク(ミニリソースプール)に分割し、このスペクトルチャンクを隣接する地理的エリア31、32、33に割り当てることに基づいている。次いで、各地理的エリア内で、(各サブゾーンエリアがおおよそ1台の車両を有することができるように)より小さい寸法を有するサブゾーン320に分割される。さらに、これらのサブゾーン320は、所与の地理的エリアに対応するミニリソースプール42の別個の伝送リソース420に割り当てられる。全体の手順は、
図4に要約されており、非特許文献4により詳細に説明されている。
【0016】
この地理的(ゾーニング)ベースのリソース割り振りでは、センシングを必要とすることなく、V2V通信用の分散方式での無衝突伝送が保証される。そのため、電力効率の良いメカニズムと考えることができるが、所与の地理的エリアにおいて車両の密度が小さい場合には、大量のリソース浪費につながる可能性があるため、リソース効率の悪いメカニズムとなる。かかる場合、スペクトルの残りの部分を使用する他のユーザが存在しない場合であっても、車両は、その地理的エリアに割り振られたスペクトルのごく一部を使用する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【文献】Intel, "R1-1812492: Further Considerations on Sidelink Unicast, Groupcast, and Broadcast Modes for NR V2X Communication" 3GPP RAN WG1 95, Spokane, USA, November 2018
【文献】Vivo, "R1-1906139: Discussions on mode 2 resource allocation mechanism" 3GPP RAN WG1 97, Reno, USA, May 2019
【文献】Qualcomm, "R4-1913820: On NR V2X Distance-Based HARQ for Groupcast" 3GPP RAN WG4 93, Reno, USA, November 2019
【文献】Intel, "R1-160431: Support of geo-based transmission schemes for V2V communication" 3GPP RAN WG1 84, St Julian's, Malta, February 2016
【発明の概要】
【0018】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。本明細書で開示する概念の追加の特徴及び利点を、以下に説明する。
【0019】
本発明の目的は、上記の制限を克服することである。
【0020】
したがって、ここでは、デバイス間通信システムにおける第1のデバイスと第2のデバイスのターゲットグループとの間の少なくとも1つの通信チャネルの品質に関する支援情報を提供する方法であって、方法は、
ターゲットグループの第2のデバイスの中の少なくとも1つのデバイスに関連する通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、ターゲットグループの第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することと、
少なくとも1つの選択された候補について、第1のデバイスに支援情報を伝送することであって、当該支援情報は、第1のデバイスと当該少なくとも1つの候補との間の通信チャネルの品質を少なくとも表すことと、
を含む、方法が開示される。
【0021】
「通信チャネル」とは、1つ以上の発信機と複数の受信機との間の通信を可能にするチャネルを意味する。第1のデバイスは、以下では「発信機」とも称される少なくとも1つの発信機モジュールを備えることができ、第2のデバイスのターゲットグループはそれぞれ、以下では「受信機」とも称される少なくとも1つの受信機モジュールを備えることができる。
【0022】
開示される方法によって、最小限のリソースを使用して隠れノード問題を解決するために、ブロードキャスト又はグループキャストの通信サービスにおいて発信機に正確な支援情報を提供することができる。
【0023】
より正確には、発信機に支援情報を提供することにより、グループキャスト又はマルチキャストのシナリオに対する隠れノード問題に対処することが可能になる。
【0024】
さらに、全ての受信機からではなく、限られた数の選択された候補から支援情報を伝送することにより、通信システムに固有である制限、又は規格によって課される制限を考慮することができる。例えば、V2V通信システムのための3GPP規格には、オーバーヘッド及びスペクトル不足に対する制約が含まれている。
【0025】
したがって、本発明は、V2V通信に適用可能であり、より詳細には、NR 3GPP V2Xに適用可能である。
【0026】
さらに、通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて少なくとも1つの候補を選択することにより、発信機に伝送される支援情報の精度の最適化及び冗長性の最小化が可能となる。
【0027】
発信機が支援情報を受信した後に実行されるアクションに対応するダウンストリームアプリケーションの例を以下に示す。
【0028】
第1のデバイスは、例えば、第2のデバイスのターゲットグループにデータを送信するために、支援情報に従って伝送チャネルを割り振ることによって構成されてもよい。
【0029】
サービス品質は、支援情報に基づいて決定される。次に、決定されたサービス品質は、例えば、閾値と比較される。この比較の結果に基づいて、例えば、サービス品質が十分であると見なされた場合にはデバイス間通信システムを使用してデータを送信することを進めることが可能となり、又は、サービス品質が非常に劣化していると考えられる場合には別の利用可能な通信システムに切り替えることが可能となる。
【0030】
「通信条件」とは、通信チャネルを使用した、第1のデバイスと、第2のデバイスのターゲットグループの1つ以上の第2のデバイスとの間の通信の品質に影響を及ぼし得る任意の条件を意味する。
【0031】
かかる通信条件は、種々の手段によって取得可能である。特定の例では、かかる通信条件は、第2のデバイスによって受信された情報に基づいて取得されてもよい。かかる通信条件は、第1のデバイスから、ターゲットグループの1つ以上の第2のデバイスから、及び/又は第1のデバイス及び第2のデバイスとは異なるリモートエンティティから取得されてもよい。かかる通信条件は、通信チャネルを用いて取得されてもよいし、異なる通信チャネルを用いて取得されてもよいし、ローカルに予め設定されていてもよい。
【0032】
第1のデバイスによって第2のデバイスに伝送された情報に基づいて取得される通信条件の例としては、以下の通信条件が挙げられる。
第1のデバイスによって発信された情報の一部として受信される通信条件、又は
第1のデバイスによって発信された情報の少なくとも一部に基づいて決定又は計算される通信条件、又は
第1のデバイスによって発信された情報を受信した際に、(第1のデバイス、第2のデバイス、リモートネットワークエンティティのうちの)任意のエンティティから取得される通信条件(この場合、当該情報の受信は、単に、通信条件を決定又は要求するための機能的トリガーとして使用されてもよい)。
【0033】
通信条件がどのように決定されるかについての例を以下に示す。
【0034】
例えば、当該通信条件は、第2のデバイスにおいてローカルに決定されてもよい。
【0035】
代替的に、当該通信条件は、予め設定されていてもよく、例えば所与の規格に従って組み込まれてもよく、第2のデバイスに利用可能であってもよい。
【0036】
代替的に、当該通信条件は、第1のデバイスにおいて、又はリモートネットワークエンティティ、例えば基地局若しくはマルチアクセスエッジコンピューティングノード(MEC)等のネットワークサービスをローカルに実装する別のエンティティにおいて、リモートに決定されてもよい。決定された後、当該通信条件は、次いで、第2のデバイスに伝送されるか、又は利用可能となる。
【0037】
「通信チャネルの品質」とは、ネットワークリソースの利用可能性の程度、例えば当該リソースが利用可能であるか否か、又は干渉レベル、又は信号対雑音比等を意味する。干渉は、例えば、同じリソースを使用して発信する隠れノードの存在によって、又は信号伝播に影響を及ぼす環境条件によって引き起こされる可能性がある。
【0038】
「ネットワークリソース」とは、データを送信するために第1のデバイスによって使用される通信チャネルの任意の小区画を意味する。ネットワークリソースは、例えば、特定の時間間隔に特定の周波数でデータを送信することに対応する時間-周波数リソースであってもよい。ネットワークリソースは、空間成分及び/又は直交符号若しくは偏波成分を更に含むことができ、特定のプロトコルに更に対応することができ、あるいはその各々を識別するために当業者に知られている他の任意の固有の特徴を示すことができる。
【0039】
通信チャネルの品質を表す支援情報は、例えば、第1のデバイスによって使用されることで、デバイス間通信システムを用いた通信を最適化することができる。例えば、第1のデバイスは、かかる指示に基づいて、最良の利用可能な時間-周波数リソースを評価するおよび割り振ることができ、及び/又は隠れノードによって既に使用されている他の時間-周波数リソースを除外し、割り振りを解除することができる。
【0040】
かかる指示は、デバイス間通信システムの輻輳のレベルが監視され、輻輳のレベルが所定の閾値と比較して高すぎる場合に適切なアクションが実行されるために、例えば、第1のデバイスによって使用されてもよい。かかるアクションの例として、例えば視覚信号、音声信号及び/又は電磁信号を通じて警報を発信することが挙げられる。かかるアクションの例として、デバイス間通信システムを使用して発信することを停止すること、及び/又は並列通信システムを自動的に展開すること若しくは並列通信システムに切り替えることが更に挙げられる。
【0041】
一例では、品質は、少なくとも当該通信チャネルのネットワークリソースに関連し、当該ネットワークリソースは、第1のデバイスから第2のデバイスのターゲットグループにデータを送信するためには使用されていない。
【0042】
これにより、例えば、第1のデバイスに、第1のデバイスによって通信チャネルを用いた初期伝送のために最初に使用されていなかった潜在的なネットワークリソースが再伝送のために更に使用されるか否かについての指示を提供することが可能となる。
【0043】
一例では、支援情報は、2ビット以上で構成される。
【0044】
限られた数の候補のみに支援情報の伝送を可能にすることによって、いくつかの候補又は各候補は、少なくとも1つの通信チャネルの全体的な品質について第1のデバイスに最適に通知するために、2ビット以上、有用な場合には数十ビット等、相当量の支援情報を伝送することが可能となる場合がある。
【0045】
一例では、
通信条件は、マルチアクセスエッジコンピューティングデバイスによってターゲットグループの第2のデバイスにそれぞれ関連付けられたパケット優先度レベルを含み、
決定された通信条件又は決定された通信条件のそれぞれに関連する少なくとも1つの基準は、それぞれのパケット優先度レベルに更に基づいている。
【0046】
MECデバイスは、通信システムを介して、ネットワークサービスをローカルに実装することができ、特定の時間間隔を、予め定義されたパケット優先度レベルを介して各デバイスとの異なるタイプの通信にそれぞれ割り振ることができる。
【0047】
パケット優先度レベルとは、最良の支援情報を発信機に提供するために、例えば、受信機の通信能力又は受信機のニーズに従って受信機をクラスター化することを可能にする基準の一例である。
【0048】
一例では、本方法は、ターゲットグループの少なくとも1つの第2のデバイスについて、当該第2のデバイスによって受信された情報に基づいて、当該第2のデバイス又はターゲットグループの別の第2のデバイスに関する通信条件を取得することを更に含む。通信条件は、例えば、グループ内の別の第2のデバイスによって発信されてもよい。例えば、別の第2のデバイスは、送信機からのパケットの受信においてエラーを検出すると、NACKメッセージを送信機に送信し、当該第2のデバイスは、これを聴取する。かかるNACKメッセージの存在を検出することに基づいて、当該第2のデバイスは、ターゲットグループ内の別の第2のデバイスに関する通信条件を取得する。
【0049】
通信条件は、例えば、第1のデバイスによって発信されてもよい。さらに、通信条件は、当該第2のデバイスに関連していてもよい。例えば、通信条件は、第1のデバイスと第2のデバイスとの間の距離を表してもよく、当該距離は、第1のデバイス及び第2のデバイスのそれぞれの位置に基づいて計算可能である。第1のデバイスの位置は、例えば、第1のデバイスによって発信されたメタデータに基づいて決定されてもよく、第2のデバイスの位置は、ジオロケーションセンサ等の任意の既知の手段を介して第2のデバイスがアクセス可能であってもよい。
【0050】
より一般的には、「候補」とは、第1のデバイスに支援情報を伝送するための候補として選択されるターゲットグループの所与の第2のデバイスを意味する。
【0051】
当該所与の第2のデバイスは、
当該所与の第2のデバイスに関連する通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、及び/又は
ターゲットグループの別の第2のデバイスに関連する通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、
候補として選択することができる。
【0052】
例えば、第1のデバイスと第2のデバイスのターゲットグループとの間の通信チャネルの品質は、所与のサブグループの全ての第2のデバイスについて類似していてもよい。この場合、当該サブグループの中で、特定の第2のデバイスをマスターデバイスとして選定することができる。マスターデバイスは、次いで、マスターデバイスに関連する通信条件に基づいて、かつ潜在的に更に別の基準に基づいて、かかるサブグループの任意の他の第2のデバイスを選定することができる。選定されたデバイスは、次いで、第1のデバイスへの支援情報の提供を担当することができる。
【0053】
一例では、本方法は、少なくとも1つの候補を選択する前に、第1のデバイスによって第2のデバイスのターゲットグループに送信されたデータパケットを取得することを更に含み、当該データパケットは、第2のネットワークリソースに関する支援情報についての要求を含む。本明細書では、データパケットとは、制御シグナリングフォーマットで制御情報を搬送し得る情報メッセージ、又はユーザデータフローでユーザ情報を搬送し得る情報メッセージの任意の伝送を指す。
【0054】
そのようにすることで、第1のデバイスは、センシングされる所与のネットワークリソースを第2のデバイスに通知することができ、その結果、少なくとも1つの選択された候補が、特に、その所与のネットワークリソースの品質を表す支援情報を第1のデバイスに提供することができる。例えば、第1のデバイスは、(例えば、半二重制約に起因して)自身ではセンシングすることができない時間領域リソースのみに関連する支援情報を要求してもよい。例えば、通信条件は、データパケットをターゲットグループに送信するために送信機によって使用される伝送時間を含む。別の例では、通信条件は、送信機がセンシングを実行することができないか、又は実行しない予定の、送信機によって設定された時間又は時間インジケータのセットを含む。
【0055】
かかる例に関連する別の利点は、近い将来における通信チャネルの品質の正確な予測を得るために、第1のデバイスが、特に、第1のデバイスが向かっている位置にあるデバイスに支援を求めることができることである。
【0056】
支援情報は、隠れノードに関連するセンシング情報に加えて、発信機による情報の発信と受信機による当該情報の受信との間の伝送時間を更に示すことができる。
【0057】
受信機によって送信される支援情報の一部として、かかる伝送時間を、特に発信機が半二重制約を有する場合に、発信機に提供することが有益である。実際、この特定の場合では、発信機の技術的制限として、所与のリソースを使用して同時に伝送し、そのリソースをセンシングすることは不可能である。その結果、発信機は、特定の時間間隔に制限されたセンシングウィンドウを有する。
【0058】
この技術的制限を補償するために、第2のデバイスが、発信される支援情報の一部として、第1のデバイスのセンシングウィンドウの外側の時間間隔でセンシングされた上記の伝送時間等のセンシング関連支援情報を示すことが可能である。
【0059】
一例では、通信条件は、第1のデバイスと当該第2のデバイスとの間の距離に関連し、ターゲットグループの第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することは、
ターゲットグループの第2のデバイスを複数のサブグループにクラスター化することであって、各サブグループは、それぞれの地理的領域に関連付けられ、各サブグループは、関連付けられたそれぞれの地理的領域に分散された第2のデバイスから形成されることと、
それぞれの地理的領域に関連する少なくとも1つの基準に基づいて少なくとも1つのサブグループを選択することと、
少なくとも1つのサブグループの各々から、少なくとも1つの追加の基準に基づいて少なくとも1つの候補を選択することと、
を含む。
【0060】
地理的位置に基づいてデバイスをクラスター化することにより、同様の電磁場に供される可能性が高いデバイスを再グループ化することが可能となる。したがって、所与のクラスターのデバイスによって生成される支援情報は、類似している可能性が高い。
【0061】
したがって、所与のクラスターのデバイスの中から1つの候補が選択される。次いで、当該クラスターのデバイスが、当該クラスターに関連付けられた地理的領域に関連する基準に関して関連する支援情報を提供する可能性がある場合、選択された候補は、当該クラスターの全てのデバイスを表す支援情報を単一の報告として発信することができる。
【0062】
そのようにすることで、限られた数の通信チャネルを用いながら、効率的な支援情報を第1のデバイスに提供することができる。
【0063】
一例では、
第1のデバイスは、第1のデバイスの周囲に延在する内側通信範囲を有し、
第1のデバイスは、内側通信範囲から外側に延在する外側通信範囲を更に有し、
第1のデバイスによって発信され、当該第2のデバイスによって受信される情報は、第1のデバイスの地理的位置に関連し、内側通信範囲及び/又は外側通信範囲の範囲を更に示すメタデータを含み、
少なくとも1つのサブグループを選択することは、
メタデータに基づいてサブグループをフィルタリングして、第1のデバイスの外側通信範囲の少なくとも一部と重複する地理的ゾーンに関連付けられた全てのサブグループを事前選択することと、次いで、
事前選択されたサブグループの中から少なくとも1つのサブグループを選択することと、
を含む。
【0064】
グループキャスト又はブロードキャストのシナリオにおいて利用可能な通信チャネル(すなわち、隠れノードによる発信において未使用のチャネル)を第1のデバイスに最適に通知するために、支援情報を発信するデバイスは、隠れノード及び第1のデバイスの両方から大きな電力を受信するが、第1のデバイスは、隠れノードから大きな電力を受信しないように選択される。したがって、支援情報を発信する第2のデバイスは、第1のデバイスの近くにはない、すなわち、第2のデバイスは、第1のデバイスの周りに延在する内側通信範囲に属さない。
【0065】
一例では、本方法は、各候補にそれぞれの時間-周波数リソースを関連付けることを更に含み、生成された支援情報を第1のデバイスに伝送することは、候補ごとに、当該候補に関連付けられたそれぞれの時間-周波数リソースにおいて実装される。
【0066】
利用可能な時間-周波数リソースは、ターゲットグループ内の第2のデバイスの数に関して不足している可能性があるが、候補の数が十分に小さい場合、各候補にそれぞれの時間-周波数リソースを割り振ることが可能である。
【0067】
そのようにすることで、第1のデバイスは、支援情報を発信するために使用された時間-周波数リソースのみに基づいて、受信された支援情報の発信元を識別することができる。この単純な識別方法により、概して、オーバーヘッドを最小限に抑えることが可能となる。
【0068】
一例では、第1のデバイスによって発信され、当該第2のデバイスによって受信される情報は、ペイロードを含み、
当該通信条件を決定することは、当該第2のデバイスにおいて、ペイロードの復号化を試みることと、当該通信条件として、試みが成功したか失敗したかを判定することとを含み、
決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、ターゲットグループの第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することは、ペイロードを復号化する試みに失敗した第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することを含む。
【0069】
この例では、第2のデバイスがNACKを送信することでHARQフィードバックを提供する場合は常に、当該第2のデバイスを支援情報を送信するための候補として選択することができる。
【0070】
かかる基準は、発信機によって使用される通信チャネルの途絶を検出することに基づいている。この途絶は、例えば、同じ通信チャネルを使用して通信する隠れノードの存在に起因するか、又は当該通信チャネルを用いた伝送を禁止する他のローカル通信条件に起因する。
【0071】
かかる場合、更なる途絶を回避するために、発信機によって最初に使用されたものとは異なる通信チャネル、又は異なる通信システムを使用することによって、支援情報を発信機に向けて発信することが適切である場合がある。
【0072】
一例では、
通信条件は、ターゲットグループの各第2のデバイスにそれぞれ関連付けられたユーザ識別子を含み、
決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準は、それぞれのユーザ識別子に更に基づいている。
【0073】
各ユーザ識別子は、対応テーブルにおいて、発信機とそれぞれの受信機との間の通信条件に関する特定の情報に関連付けることができる。
【0074】
ユーザ識別子に基づいて発信機によって集中的に実行される候補選択の一例を、本明細書で開示する。対応テーブルが発信機に利用可能である場合、発信機は、ユーザ識別子のリストを含む情報を発信し、発信された情報を通じて、支援情報を生成する候補としてどの受信機が選択されるかを具体的に要求するように構成される可能性がある。
【0075】
より一般的な一例では、決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準は第1のデバイスによって決定され、第1のデバイスによって発信され、かつ当該第2のデバイスによって受信される情報は、当該少なくとも1つの決定された基準を示すメタデータを含む。
【0076】
ユーザ識別子に基づいて各受信機によってローカルに実行される候補選択の一例を、本明細書で開示する。対応テーブルが受信機に利用可能である場合、各受信機が、発信機との自身の通信条件について対応テーブルを確認し、これらの通信条件に基づいて、受信機が発信機に向けて支援情報を生成する候補であるか否かを自己決定する可能性がある。
【0077】
より一般的な一例では、決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準は、ターゲットグループの各第2のデバイスによってローカルに決定される。
【0078】
候補を選択する方法を説明する上記のすべての例は、候補の数が各段階で減少する多段階選択プロセスを通して順次実行されてもよい。
【0079】
一例では、決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、ターゲットグループの第2のデバイスの中から少なくとも1つの候補を選択することは、
第1の選択段階中に、第2のデバイスのサブグループを選択することと、
後続の選択段階中に、決定された通信条件又は各決定された通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、第2のデバイスのサブグループの中から少なくとも1つの候補を選択することと、
を含む。
【0080】
例えば、事前選択は、地理的クラスター化に関連する基準に基づいてもよく、複数の事前選択された候補をもたらしてもよい。代替的に、事前選択は、MECデバイスにアクセス可能か又はMECデバイスからアクセス可能であり、それぞれの第2のデバイスに関連するパケット優先度レベルに基づいて実行されてもよい。
【0081】
次いで、更に少ない数の候補を取得するために、HARQフィードバックに関連する基準に基づいて、事前選択された候補の中から後続の選択が実施されてもよい。
【0082】
当然ながら、候補を選択する方法を説明する上記のすべての例は、相互に組み合わされてもよい。
【0083】
例えば、複数の事前選択はそれぞれ、単一の基準に基づいて実施されてもよい。この結果、事前選択が実施されるたびに、それぞれの基準に従って事前選択された候補の対応するリスト又はランキングが取得される。
【0084】
次いで、例えば、各基準の相対的な重要度の均衡をとるコスト関数を使用して、決定された全てのリストから、発信機への支援情報を生成するための候補のより小さな結合又は集約されたリストを抽出することが可能である。
【0085】
また、デバイス間通信システムであって、システムは、第1のデバイスと、第2のデバイスのターゲットグループとを備え、
デバイス間通信システムは、ターゲットグループの第2のデバイスの中から、ターゲットグループの第2のデバイスの中の少なくとも1つのデバイスに関連する通信条件に関連する少なくとも1つの基準に基づいて、少なくとも1つの候補を選択するように構成され、
選択された少なくとも1つの候補は、第1のデバイスに支援情報を伝送するように更に構成され、当該支援情報は、第1のデバイスと当該少なくとも1つの候補との間の通信チャネルの品質を少なくとも表す、
デバイス間通信システムも開示される。
【0086】
上記のデバイス間通信システムの第2のデバイスも開示する。
【0087】
処理ユニットによって実行されると、処理ユニットに上記の方法のいずれかを実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体も開示する。
【0088】
1つ以上の記憶された命令シーケンスを含むコンピュータプログラムであって、命令シーケンスは、処理ユニットがアクセス可能であり、処理ユニットによって実行されると、処理ユニットに上記の方法のいずれかを実行させる、コンピュータプログラムも開示する。
【0089】
メモリに動作可能に接続された処理ユニットを備えた処理回路であって、処理回路は、上記の方法のいずれかを実行するように構成されている、処理回路も開示する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図2】既知のユニキャスト支援フレームワークを示す図である。
【
図3】既知のグループキャストのためのHARQベースのフィードバックを示す図である。
【
図4】既知のゾーニングベースのリソース割り振りを示す図である。
【
図5】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図5は、所与のメカニズムによる候補選択の一例を示す図である。
【
図6】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図6は、ゾーニングベースの候補選択の一例を示す図である。
【
図7a】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図7aは、地理的ゾーン及びサブゾーンに基づく候補選択の一例を示す図である。
【
図7b】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図7bは、地理的ゾーン及びサブゾーンに基づく候補選択の一例を示す図である。
【
図8】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図8は、サービス品質又はネットワーク輻輳に関連する情報に従って受信機をクラスター化することに基づく候補選択の一例を示す図である。
【
図9b】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図9bは、本開示の一例による支援情報を示す図である。
【
図10a】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図10aは、グループキャストのシナリオにおける送信機ベースの支援情報の一例を示す図である。
【
図10b】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図10bは、グループキャストのシナリオにおける送信機ベースの支援情報の一例を示す図である。
【
図11a】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図11aは、グループキャストのシナリオにおけるMECベースの支援情報の一例を示す図である。
【
図11b】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図11bは、グループキャストのシナリオにおけるMECベースの支援情報の一例を示す図である。
【
図12a】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図12aは、グループキャストのシナリオにおける協調受信機決定ベースの支援情報の一例を示す図である。
【
図12b】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図12bは、グループキャストのシナリオにおける協調受信機決定ベースの支援情報の一例を示す図である。
【
図12c】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図12cは、グループキャストのシナリオにおける協調受信機決定ベースの支援情報の一例を示す図である。
【
図13】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図13は、多段階候補選択の一例における距離に基づく大まかな候補選択の一例を示す図である。
【
図14】本開示に関するものであり、特に、受信機の中から、送信機に向けて支援情報を発信するための候補を選択する種々の方法に関する。
図14は、多段階候補選択の一例における距離に基づく絞り込み候補選択の一例を示す図である。
【
図15】受信機のターゲットグループにデータを送信するための送信機を構成する方法の一例を示す図である。
【
図16】上記の方法を実行するように構成された処理回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
現在の最先端技術では、隠れノード問題を解決するために、支援補助型のリソース割り振り方式が提案されている。しかしながら、この方式はユニキャスト伝送のみに限定されている。この方式をグループキャストに直接拡張することは、現在の3GPPオーバーヘッド及びスペクトルの制約の下では不可能である。したがって、グループキャスト通信において、RXからTXへ支援情報を伝送するために必要なオーバーヘッド及びスペクトルリソースを低減するためのメカニズムを導入する必要がある。
【0092】
車両のグループ内で、支援情報の伝送を担当する候補車両を限定的に選択する新規の方法を、本明細書で開示する。
【0093】
次に、
図15を参照する。
図15は、本開示の例示的な方法をその文脈に関して示す。
【0094】
送信機TX1のユーザ機器UEは、受信機RX2のユーザ機器UEのターゲットグループにデータを伝送する(TRANS DATA(S1))。この段階では、各受信機2がデータを正常に復号化することができるか否かは送信機1には把握されていない。実際、送信機又は受信機の環境における隠れノード3を含む種々の干渉源が、データの伝播を変化させる可能性がある。
【0095】
ターゲットグループの複数の受信機2の各々について、少なくとも1つの通信条件が、送信機1、1つ以上の受信機2、又はマルチアクセスエッジコンピューティングノード等のリモートエンティティを含む1つ以上のエンティティによって取得される(OBT COM COND(S2))。この通信条件は、上記のデータ伝送時における特定の受信機に関するものである。この通信条件は、受信機に関連する地理的位置、ソフトウェア又はハードウェアパラメータ、識別子、ローカル環境等に関連する。
【0096】
次いで、1つ以上のエンティティは、取得された通信条件に基づいて1つ以上の候補RX2aを選択する(SELEC CAND(S3))ことに進む。以降に示す複数の例では、候補選択がどのように実行されるかをより詳細に説明する。
【0097】
次いで、候補RX2a又は各候補RX2aは、支援情報をTX1に送り返す(FEED ASSIST(S4))。上記の選択により、候補の数を最小化しつつ、可能な限り豊富で多様な支援情報をTXに提供することが可能になる。
【0098】
支援情報に基づいて、送信機1は、受信機2による受信を改善するために、データの再伝送を改善して準備することができる(RETRANS DATA(S5))。
【0099】
次に、
図16を参照する。
図16は、上記の方法の候補選択を実行するように構成された処理回路の一例を示す。処理回路は、メモリMEM200に動作可能に結合されたプロセッサCPU100を備える。メモリは、コンピュータプログラムの1つ以上の命令シーケンスを記憶する。これらの1つ以上のシーケンスは、処理ユニットがアクセス可能であり、処理ユニットによって実行されると、処理ユニットに上記の方法の候補選択を実行させる。
【0100】
現在の(リリース16)3GPP NR V2Xモード2(a)では、グループキャスト通信サービスについて、リソースの輻輳を回避するために、距離ベースの基準に基づいて選択されたグループ内の最小数の車両からのHARQフィードバックを必要とするHARQフィードバックメカニズムが存在する。この解決策は上記で説明済みである。この場合、フィードバックがただ1つのACK/NACKビットであっても、HARQフィードバックを送信する車両の数を最小限に抑える必要があることが判明している。
【0101】
支援情報は、単純なACK/NACKビットよりも本質的に豊富である。例えば、支援情報は、数十ビットからなるセンシング報告であってもよい。
【0102】
結果として、上記のHARQフィードバックメカニズムと比較して、支援情報の伝送を担当する車両は更に少なくなる。しかしながら、これらの報告は、送信機が強化された再伝送の決定を行うのに十分な多様性を有している必要があることに留意されたい。
【0103】
ここで
図5を参照する。
図5は、グループキャスト又はブロードキャストのシナリオにおいて、支援情報の伝送を担当する1つ以上のRXの選択を示しており、この選択は所与のメカニズムに基づいている。
【0104】
したがって、デバイス間通信システムにおいて、少なくとも1つのRXのグループの一部である所与の受信機RX2から送信機TX1に支援情報を伝送するか否かを決定するためのメカニズムが提案される。
【0105】
目的は、送信機において、隠れノードのグローバルな全体像を得るために、支援情報としてセンシング情報を提供する最も適切なユーザを選択すると同時に、かかる支援情報を得るために使用されるリソースを最小限に抑えることである。
【0106】
以降では、RXの選択に関して、かつセンシング情報を送信するために使用されるリソースの選択に関して、様々な実施形態を提案する。
【0107】
RXの選択は、当該TXと当該グループの少なくとも1つのメンバー(当該所与のRXと同じ又は異なる)との間の通信条件に関する情報に基づく。
【0108】
この選択は、本開示の核心と見なされるべきものであり、以降で詳細に説明する。RXのプールは入力として使用される。絞り込みプロセスをRXのプールに適用して、支援情報を伝送するRXの数を低減して選択する。
【0109】
この候補選択は、複数のサブメカニズム又はサブルーチンに基づいて(例えば、距離及びゾーニング情報に基づいて、上位層IDに基づいて、通信条件に基づいて等)実行されてもよい。
【0110】
さらに、意思決定は、集中型の手法に基づいて、又は分散型/自律型の手法に基づいて、更には両者の混合に基づいて実装されてもよい。
【0111】
以降、例とともに、可能なメカニズムのより詳細な説明を提供する。
【0112】
本明細書において、支援情報に関する詳細が提供される。所与のRXによってTXに伝送される支援情報は、主にRXセンシング情報に基づく。これは、例えば、必須の選択若しくは必須の回避、又は選択若しくは回避されることが推奨される候補の時間周波数リソースのセットのインデックスを包含する支援報告を送信することによって達成されてもよい。
【0113】
一例では、支援情報には、RX側でセンシングされた最良の[X]個のリソースの報告が含まれる。したがって、TXは、選択されたRXからの支援情報に基づいて、再伝送に適した平均的に良好なリソースを識別することができる。これにより、再伝送が成功する可能性が改善される。ユニキャストのシナリオでは1つのRXしか存在しないため、この解決策はかかるシナリオにおいて効率的である。したがって、TXは、再伝送のためにこの単一のRXによって推奨されたリソースを使用することができる。しかしながら、かかる手法は、複数の選択されたRXが再伝送のために支援報告をTXに伝送するグループキャストのシナリオではより複雑になる可能性がある。この場合、選択された中の異なるRXからの支援情報には、異なるネットワークリソースの推奨が含まれる可能性がある。したがって、TXにとって、1つのリソースに対する1回の再伝送で全てのRXを満足させる方法は明確ではない。
【0114】
一例では、支援情報には、RX側でセンシングされた最悪の[X]個のリソースの報告が含まれる。したがって、TXは、選択されたRXからの支援情報に基づいて、再伝送に適さないリソースを廃棄することができ、それにより、隠れノードによって破損されたとフラグ付けされていないリソース上への再伝送が成功する可能性を改善することができる。この種の支援情報は、先述の例と比較してグループキャストのシナリオにより適している。この場合、異なるRX UEによる最悪のX個のリソースは全て、TX側でリソースプールから除去することができ、それにより、全てのRX UEは、(支援を送信したRXのいずれによっても最悪のリソースとして示されていない)残りのリソースのうちの1つに対する単一の再伝送で満足することができる。このように、RXセンシング情報をTXへの支援として使用することで、隠れノード問題の回避に大きく貢献し、グループキャスト通信の性能を向上し得る可能性があることは明らかである。
【0115】
本明細書において、通信条件に関する詳細が提供される。TXから情報を受信するRXのセットから、支援情報を伝送するRXの数が低減して選択される。この選択は、各々が通信条件に関連する複数の基準に基づいて行われてもよい。
【0116】
候補RXを選択するための基準の一例は、TX-RX距離(例えば、ゾーニング)に関連する。RXの一部、又は各RXの地理的ゾーンを把握することは、同じゾーン内のRXがクラスターを形成するように、RXを地理的クラスター/サブグループにグループ化するのに非常に有益である。
【0117】
かかるクラスターでは、全てのRXが類似した、又は高度に相関したセンシング情報を有している可能性が非常に高い。したがって、ゾーンごとに伝送される1つ又は少数のRX支援情報は、全てのRXが支援情報を伝送する場合と同程度の関連情報をTXに提供することができる。
【0118】
そのため、距離ベースのRX UE候補選択を実行することが可能である。
【0119】
所与のRXは、TX通信範囲内にあるか否かを確認することによって、RX支援をTXに送信する候補であるか否かの確認を開始することができる。これは、RX自身の位置、並びに(例えば、SCI上で)TXから過去に受信され、RXによって復号化されたTX位置情報及び通信範囲を使用することによって行うことができる。
【0120】
所与のRXがこの条件を満たす場合、そのRXは、TXに支援報告を伝送するための候補RXとして識別される。したがって、TX UEと同じセンシング情報を有する(近すぎる)RX UE、又はTX UEの近傍にあるイベントによって影響を受けない(遠すぎる)RX UEを候補プールから破棄することができるため、支援情報の信頼性を改善することができる。
【0121】
この任意選択の距離ベースの候補選択が実装されない場合、全てのRX UEは、同じ単一のクラスター内にあるか、又は同じ単一の地理的ゾーン内にあると見なされる。
【0122】
補足的な特徴として、TX UEは、選択される候補の数をより良く制御して選択を改善するために、候補選択のための最小距離及び/又は最大距離を設定することができる。
【0123】
補足的な特徴として、TXは、場合によっては最小距離/最大距離の設定に加えて、複数のゾーンを設定することができる。ここで、
図6を参照する。
図6は、ゾーニングベースの候補選択を示す。
【0124】
図6では、TX1は、外側通信範囲内の車両のみが支援情報を送信する候補RX2となるように、候補選択のための最小距離及び最大距離を調整する。次に、外側通信範囲に延在するゾーンのみが選択される。この例では、8つの選択されたゾーンがTXの外側通信範囲に対応しており、これらの8つの選択されたゾーンは、TXの内側通信範囲に対応する単一の非選択ゾーンを囲んでいる。内側通信範囲に位置するRXは、TX1と類似したセンシング情報を有する非候補RX2cとなる。外側通信範囲よりも遠くに位置するRXもまた、TX1の近傍のイベントによって十分に影響を受けないため、非候補RX2dとなる。
【0125】
各選択されたゾーン内で、1つ又は少数のRXが、支援情報をTXに伝送するために選択される可能性がある。
【0126】
候補RXを選択するための基準の別の例は、NACKの発生に関連する。
【0127】
3GPP V2Xユニキャスト伝送では、HARQフィードバックは、TXがデータを正しく復号化した場合にACKをTXに送信することと、正しく復号化しなかった場合にNACKを送信することと、に基づいている。しかしながら、グループキャスト伝送の場合、現在、以下の2つの選択肢が存在する。
第1の選択肢として、グループ内の各RX UEは、データを正しく復号化した場合に、TXにACKを送信し、そうでない場合、NACKを送信する。
第2の選択肢として、データを復号化することに失敗したRX UEのみがNACKをTXに送信するが、ACKはRXによって送信される必要はない。
【0128】
グループキャスト伝送の場合、第2の選択肢の方がより効率的であることがわかる。これは、再伝送を考慮する場合、TXは、再伝送が必要であるか否かを判定するために、1つ又はいくつかのRXがNACKを送信したか否かのみを把握するためである。
【0129】
同様に、グループキャストにおいてRX支援情報をTXに送信する場合、データを復号化することが困難なRX UE(すなわち、NACKを送信したRX)から支援報告を得ることのみが重要となる。実際に、かかるRXからの支援情報は、かかるRXが再伝送されたデータを正しく復号化できるように、再伝送のための最も適切なネットワークリソースをどのように選択するかを判定するために最も役立つと考えられる。したがって、技術的記載全体を通して、NACKの発生は、所与のRX UEがTXに支援報告を送信するための候補であるか否かを判定するための関連する基準であると想定される。
【0130】
例えば、現時点において、送信機TX1は、複数のRXからNACKを受信する可能性があると考えられる。NACKの発生を候補RXを選択するための基準とすることによって、NACKを送信した全てのRXを、この場合、候補RX2と見なすことができる。
【0131】
候補RX2の数は、クラスター内の当該RXの位置に関連する基準等、候補RXを選択するための基準の別の例に基づいて更に低減することができる。ゾーン情報を把握することは、隣接する候補RXをクラスターにグループ化するのに重要であるが、サブゾーン情報(すなわち、所与の地理的ゾーン内の、又はRXの所与のクラスター間の各RXの正確な位置)を把握することは、クラスターのどのRXが支援情報の送信を担当するかを選択又は選定するのに有益である。
【0132】
例えば、上述したようなNACKの発生に基づいて取得された候補RXの選択を絞り込んで、TXへの支援情報の送信を担当する候補RXのより少ないリストを取得してもよい。例えば、ゾーン内のサブゾーンを、ランク付けしてもよく、リソースを送信するためのゾーンの暗黙的又は明示的なマッピングを予め決定してもよい。各ゾーンからの単一のRX UE2aを、当該マッピングに基づいて選択してもよい。次いで、選択されたRX2aは、その優先順位に基づいて所与の時間に所与の周波数リソース上で支援情報を送信することができるが、当該ゾーンからの他の全てのRX UEは支援情報を送信しない。これにより、異なるユーザからの支援情報間の衝突を回避する。このように、自律的な方法でユーザ選択を行うことができる。
【0133】
次に、
図7a及び
図7bを参照する。
図7a及び
図7bは、1つ以上のRXにおけるNACKの発生に基づく候補選択の一例を示す。
【0134】
図7aでは、4つの地理的ゾーンが表されており、それぞれが、3×3の格子状として表される9つの地理的サブゾーンを含む。
【0135】
TX1は、4つのゾーンの各々がTX1の外側通信範囲の異なる部分をカバーするように、全4つのゾーンの間に表されている。TXは、RXのターゲットグループにデータを送信する。
【0136】
ターゲットグループのいくつかのRX2は、4つのゾーンのうちの1つにおけるそれぞれのサブゾーン内に表されている。
【0137】
簡略化のため、以下のように考える。
TX1によって送信されたデータを復号化することが困難なRXのみが表される。
多くとも1つのRXが各サブゾーン内に位置する。
【0138】
TX1によって送信されたデータを復号化することが困難な各RXは、NACKをTX1に送信し、一方で、同じゾーン内に位置する他のRXによって発信された他のNACKもリッスンする。
【0139】
所与のRXについて、(この例では、同じ地理的ゾーン内のRXを指定する)他の隣接RXによるNACKの発生の数を把握することは、他のRX内での優先度に基づいて、支援を送信する必要があるか否かを決定するのに有用である。
【0140】
図7bでは、所与のゾーン内のサブゾーンの優先度を順序付ける一例が、所定のマッピングとして表されている。
【0141】
このマッピングに続いて、NACKを送信した各RXは、以下の決定を行うことができる。
所与のゾーン内での自身の優先度ランク。
同じゾーン内でより高い優先度ランクを有する別のRXもNACKを発信したか否か。
同じゾーン内でより高い優先度ランクを有する他のRXもNACKを発信していない場合にのみ、支援情報を伝送する。
【0142】
そのようにすることで、
所与のゾーン内のどのRXもTXにNACKを送信していない場合、所与のゾーン内のどのRXもTXに支援情報を送信することができない。
所与のゾーン内の単一のRXがTXにNACKを送信した場合、RXはTXに支援情報を送信することができる。
所与のゾーン内の複数のRX2がTXにNACKを送信した場合、そのうち最も高い優先度ランクを有する単一のRX2aのみが、TX1に支援情報を伝送することができる。
【0143】
NACKの発生は、TXが更に長期統計を実行する目的で使用することができる。実際に、TX側では、各フィードバックリソース上のNACKの到着を観測することは有益である。この場合、TXが同じリソース上で多数のNACKが到着したことを観測すると、このリソースをHARQフィードバックに使用しているRXが助けを必要としていると推論することができる。かかる場合、TXは、この特定のRX又は潜在的に関連するセンシング情報を有するものとして識別された別のRX UE(例えば、同じゾーンからの別のRX)を、支援情報のために指定することができる。TX UEはまた、支援情報が必要とされるゾーンを指定し、ゾーン内のUEに、どのRX UEがどの時間に支援情報を与えるべきかを自律的に決定させることができる。
【0144】
候補RXを選択するための基準の別の例は、受信機又は受信機のグループに関連付けられた識別子に関連する。各RXは、ユーザ識別子、機器識別子等の固有の識別子IDを有することができる。RXのグループは、クラスター化のために使用される同一の識別子を共有する。7層OSIモデルによれば、識別子は、物理層識別子又は上位層識別子のいずれかである可能性がある。識別子は、ネットワーキングのために、例えば、TXとRXとの間の通信のために、又はマルチアクセスエッジコンピューティングのために使用される。RX又はRXのグループのIDは、全ての候補RXから一部のRXをランダムに又は確率的に選択して支援情報を送信するための関連基準である。これは、RX IDにランダムプロセスを適用して、このRXが支援情報を送信するべきか否かを確認することによって行うことができる。例えば、RX UEが支援情報を送信すべきか否かを決定するために条件(MID mod 2==0)(ここで、MIDはRX UEの上位層IDである)を使用することで、RX UEの平均50%が支援情報を送信することが保証される。同様に、条件(MID mod 4==0)を使用することで、RX UEの平均25%が支援情報を送信することが保証される。
【0145】
候補RXを選択するための基準の別の例は、待ち時間、ジッター、パケット損失率等のサービス品質(QoS)パラメータ、及び/又は輻輳情報に関連する。QoS及び/又は輻輳情報は、類似又は相関する複数のRXをクラスター化するのに有益である。繰り返しとなるが、これは、候補RXセットを複数のクラスターに分割するのに役立つものであり、各クラスターは、類似の情報又は高度に相関する情報を有する。したがって、後でクラスターごとに1つのRXのみが選択され、TXに支援を送信することができる。
【0146】
次に、
図8を参照する。
図8は、QoS/輻輳ベースのRX UEのクラスター化及び選択を示す。この例では、送信機TX1は、RX2のターゲットグループにデータを送信する。ターゲットグループの一部のRX2cは、TX1の内側通信範囲内にあり、TX1と類似したセンシング情報を有するものとする。さらに、他の送信機3が、TX1が自身でセンシングできない隠れノードとして存在すること、又はTX1の通信範囲内にあり、したがってTX1によってセンシングされるノード3aとして存在することが考えられる。時間-周波数センシング情報は、RXのターゲットグループの種々のRX又はRXのグループについて表される。所与のRX又はRXのグループにおいて、各薄灰色の四角形は、データを送信するためにTX1によって現在使用されているリソースに対応する。所与のRX又はRXのグループにおいて、各濃灰色の四角形は、データを送信するためにTX1によって使用されない可能性があるリソースに対応するが、これは、当該所与のRX又はRXのグループにおいて著しい干渉をもたらすためである。同じ隠れノード3に同様に供されているRXは、同様の輻輳レベル及び同様の干渉特性を有するように見える。かかる特徴をRX UEのクラスター化に利用することによって、クラスターごとに1つの支援報告で、TXが再伝送のための効率的な決定を行って、隠れノードによって使用されるネットワークリソースを回避できるようになる。
【0147】
支援情報に含まれるデータの別の例は、TXから支援情報を送信するRXへのデータの伝送時間である。特に、TXは、半二重制約を有している場合がある。この特定の場合では、TXは、伝送中にリソースをセンシングすることができないため、そのセンシングウィンドウに穴が生じる。これは、1つ以上のRXが、隠れノード又は干渉に関連するセンシング情報に加えて、TXがネットワークリソースをセンシングできなかった時間における伝送時間の指示を含む支援情報をTXに提供することで、補償することができる。したがって、TXは、自身のセンシングウィンドウ内の穴を埋めるセンシング関連支援情報を取得することができる。多様なセンシング関連支援情報をTXに提供するために、伝送時間は、クラスター化のための、又は支援情報の発信を担当する候補を選択するための基準の別の例である。
【0148】
どのRXが支援情報をTXに送信すべきかの選択決定を強化するために、上述の基準の各々が別々に又は組み合わせて使用されてもよいことは明らかである。決定プロセスで使用されるパラメータの数が増加するにつれて、決定はより最適化される。しかしながら、これはまた、かかる追加情報を搬送するために必要とされるオーバーヘッドの増加につながり、候補RX自体の間、又は候補RXとTXとの間でより多くのシグナリングが必要となる可能性がある。原則として、シグナリングは、3GPP NR V2Xモード2(a)等の実際の実装形態のシナリオにおいて最小化する必要がある。
【0149】
以降、本開示の柔軟性及び捕捉されるトレードオフを明確にするために、これらのパラメータのうちの一部を集中方式又は分散方式のいずれかで使用するための複数の例を提供する。
【0150】
所与のRXから支援情報を伝送するか否かを決定すること(又は、換言すれば、候補選択メカニズム)は、集中型手法又は分散型手法のいずれかを使用して、異なるネットワークノードによって実装することができる。
【0151】
例えば、各所与のRX UEは、TX UE又は別のRX UEからのいかなる入力もなしに、支援情報を送信するべきか否かを自律的な方法で自身について決定してもよく、それにより、余分なシグナリング又は遅延なしに選択メカニズムを実行してもよい。例として、各RX UEが以下に基づいて実行する決定が挙げられる。
-自身の位置情報(ゾーン又はサブゾーンに関連する位置等)、及び/又は
-ユーザ機器識別子等の自身のユーザ機器固有情報。
【0152】
例えば、RX UEの所与のクラスター又はグループからの各RX UEは、分散方式で(すなわち、同じグループ内の他のRX UEのステータスに基づいて、又は同じグループのRX UE間の交換に基づいて)、グループからのどのUEが所与の時間に支援情報の送信を担当するかを決定することができる。かかる場合、RX UE間にある種の協調が存在するため、支援を送信するために所与のRX UEを選択/選定する決定は、協調的な情報に基づいており、完全に自律的な決定ではないことから、先述の例と比較してより良好な選択が保証される。上記で提示された
図7は、グループ内の他のRX UEからのNACKを観測することに基づいて、又はクラスター/ゾーン内のローカルPC5 V2V交換を介して、同じクラスター/ゾーン内に位置するRX UE間で行われる選定プロセスの例を示している。
【0153】
例えば、TX UEは、どのRX UEが支援を送信するべきかを決定してもよく、次いで、その選択されたRX UEに通知する。この例は、先述の例と比較してより良い選択を達成することができるが、これは、この場合この解決策が完全に分散又は半分散ではなく、完全に集中化されるからである。TXは、全ての候補RXからTXに過去に伝送された任意の情報又は情報の組み合わせを使用して、集約情報に基づいて集中的に、支援情報の送信を担当するRX UEのサブセットを選択することができる。選択決定は、例えば、地理的情報及び/又は長期統計に基づいていてもよい。
【0154】
例えば、各RX UEは、TX UEから受信された支援に基づいて支援情報を伝送すべきかどうかを決定してもよい。この例では、各UEにおける決定は、完全に自律的ではなく、むしろTXからの追加情報に基づいている。意思決定における支援であるこの追加情報は、完全に自律的な意思決定と比較して、グローバルな観点から支援を送信するためのRX UE選択の性能を向上させる。例えば、TXは、各RX UEに、そのゾーンIDに基づいて支援を送信するその確率について通知してもよい。次いで、各RX UEは、RXによってローカルに把握されているそのゾーンIDに基づいて、更に各ゾーンIDについてTXによって送信された確率支援情報に基づいて、支援情報を送信するか否かを決定することができる。
【0155】
例えば、RX UEは、MEC支援に基づいて支援情報を送信するべきかどうかを決定してもよい。MECデバイスは、先述の例におけるTXと同様に集中ユニットとして動作して、支援情報の送信を担当するRX UEを選択してもよく、又は候補RX UEが支援情報を送信すべきか否かを自身で決定するのに役立ってもよい。集中型の選択を実行するためにTXではなくMECデバイスを使用する主な利点は、シグナリング遅延及びオーバーヘッドの両方が低減されることである。実際に、RX UEとMECデバイスとの間のネットワークリンクは、RX UEとTXとの間のリンクから独立して維持することができる。したがって、MEC側での意思決定は、TXからRXへの初期伝送を待機することなく、かつ任意の更なるシグナリング交換なしに行うことができる。
【0156】
支援報告が送信されるリソースのセットは、利用可能な、又は潜在的に利用可能なネットワークリソースのより大きなセットの中から選択することができる。
【0157】
3GPP NR V2Xの現在のリリース(リリース16)では、ユニキャスト伝送及びグループキャスト伝送におけるRXからTXへの報告のために2つの異なるチャネル上で搬送される2つのタイプの信号が存在する。これらの信号は、物理サイドリンクフィードバックチャネル(PSFCH)上で搬送されるサイドリンクフィードバック制御情報(SFCI)、及び物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH)上で搬送されるチャネル状態情報参照信号(CSI-RS)である。
【0158】
本開示では、支援報告は、伝送されるビット数に依存する新しいフォーマットを用いて、PSFCH等の制御チャネルによって搬送することができる。実際に、導入する必要がある追加ビットのサイズは、送信される支援情報のサイズに大きく依存する。例えば、支援情報は、主にセンシング関連であり、リソースの全て又はサブセットのインデックスを含み、適切な規則によって、当該リソースが空いていること、又は当該リソースがビジーであることのいずれかを示してもよい。したがって、この支援情報のサイズに基づいてビットの数が変化し得るため、異なるPSFCHサイズが必要とされる。
【0159】
本開示では、支援報告はまた、データチャネルによって搬送することができる。現在、CSI-RSは、ユニキャスト伝送のためにのみ存在しているため、CSI-RSは1つのRXに完全に割り当てられている。本開示では、低減された数のRXのみが支援情報を送信するために選択されるので、PSSCH上で搬送されるCSI-RSの使用をグループキャスト伝送に拡張することが提案される。したがって、以降で説明するように、適切な多重化方式を使用して、低減された数の選択されたRX UE間でCSI-RSを共有することが可能となる。
【0160】
本開示では、支援報告はまた、データチャネルと制御チャネルとの組み合わせを使用して搬送することができる。例えば、所与のRX UEは、データチャネルを使用して支援報告を提供しようとしていることを、制御チャネルを介してTXに通知してもよい。例えば、所与のRX UEは、制御チャネルを介して、当該支援報告を送信するためにどのデータチャネルリソースが使用されるかに関する指示をTXに提供してもよい。TXが通知を受けると、RX UEは、当該データチャネルを介して支援報告の送信を進めることができる。
【0161】
支援報告の多重化は、当該報告を送信するRXを選択する提案された方法によって明らかに改善される可能性がある。実際に、支援報告を伝送するRXの数を低減して選択することで、TX通信範囲内の全てのRX及び/又はNACKの発生を伴うTX通信範囲内の全てのRXが支援報告を送信する必要がある現行技術水準におけるベースラインのケースと比較して、スペクトル及びオーバーヘッドの制約が明らかに緩和される。その利点を明確にするために、
図9a及び
図9bに一例を示す。
【0162】
図9aは、最先端の場合を示している。この場合、例えば隠れノード3の存在に起因してNACKが発生したTX1通信範囲内の全てのRX2も支援報告を送信する。NACKが発生していないTX1通信範囲内のRX2cは、支援報告を送信しない。この例では、支援を送信するか否かの決定は、RX側でローカルに行われる。リソースの多重化により、RX上位層IDに基づいて支援が搬送される。したがって、リソースグリッドは、グループ内の全てのRXの数にわたって分割され、これにより、数ビットの支援情報を搬送し得る各RXに割り当てられた小さいリソースブロックがもたらされる。したがって、各RXによって伝送される支援情報は非常に限定的なものとなる。
【0163】
図9bは、本開示による例示的なケースを示している。候補選択がTX1で集中化され、支援情報を送信するRX2が選択される場合、リソースグリッドは、支援を搬送する、低減された数の選択されたRX2でのみ分割することができる。これにより、これらのRXには、現行技術水準の場合と比較してより広いスペクトルリソースが割り当てられる。したがって、選択された各RXによってより多くの支援情報を伝送することができ、スペクトルがより効率的な方法で使用される。別の例では、本開示によるRX選定は、分散方式で適用される。この場合、最大で、TX通信範囲内のゾーンごとに1つのRXが支援を送信することが知られている。したがって、この場合、スペクトルリソースは、TX伝送範囲内のゾーンの数(例えば、
図9bに表されるシナリオでは8つのゾーン)にわたって分割される。この解決策は、集中型の解決策ほどスペクトル効率が良くないが、現行技術水準の場合と比較してスペクトル効率が極めて優れている。実際、TX範囲内のゾーンの数は、通常TX範囲内のRXの数よりも極めて少ない。
【0164】
支援情報を提供するためのリソース選択は、種々の方法で行うことができる。
【0165】
例えば、周波数領域リソースは、支援情報を提供するRXが位置するゾーン又はサブゾーンに関連する情報に基づいて選択されてもよい。単一の、又は限られた数のRX UEが、かかるタイプのリソース選択を通して支援情報を送信することができる。
【0166】
例えば、より多数のRX UEが支援情報を連続的に送信することができるように、場合によっては初期伝送後の予め定義された又は構成された時間ウィンドウ内で、時間領域リソースが選択されてもよい。支援情報を提供するために所与のRXに割り振られるタイムスロットは、所定の規則に基づいて(例えば、ゾーン又はサブゾーンに基づいて)選択されてもよく、又は純粋に確率に基づくか、若しくはUE IDに基づく等、ランダムな選択であってもよい。
【0167】
周波数領域多重化、時間領域多重化及び空間領域多重化の組み合わせが実行されてもよい。例えば、周波数領域多重化は、ゾーニングに基づいて、又はサービスタイプ若しくは優先度タイプ等の別のグループ化基準に基づいて実行されてもよい。この多重化により、RXのターゲットグループの中の各クラスターについて、それぞれの周波数領域リソースを割り振ることが可能となる。さらに、時間領域多重化を実行して、所与のクラスターの各RXについて、それぞれの時間領域リソースを割り振ることができる。したがって、各候補RXには、TXによる明確な識別のために単一の時間周波数ネットワークリソースを割り振ることができる。
【0168】
以下では、様々な実装形態が様々なシナリオにおいて説明される。
【0169】
例示的な実施形態では、支援情報を送信するための候補選択は、TXにおいて実装されるか、又はTXによって支援される。一般的な方法では、TXは、自身のセンシング情報のみに基づいて初期伝送を送信し、制御情報を復号化することができるが伝送のデータ部分を復号化することができないユーザからNACKフィードバックを受信する。これは、全てのUEによって行われてもよいし、従来技術で説明されているような距離ベースの制限下のUEによって行われてもよい。したがって、TX UEは、特定の数のセンシング情報を収集して、最も有益な支援情報を提供できるRX UEを更に決定することができる。かかるセンシング情報には、例えば、頻繁かつ相関するNACKの発生挙動を有するUEに関する長期統計、及び/又はゾーニング情報等のRX UE位置についての暗黙的若しくは明示的な情報が含まれてもよい。
【0170】
例えば、TXは、1つのUEのNACKの発生が別のUEのNACKの発生に高度に相関する場合、その2つのUEのうちの1つから支援を得ることのみが必要とされると決定してもよい。実際に、NACKの発生の相関は、無線リンクの品質に影響を及ぼす同じ要因に由来する可能性が最も高く、2つのUEに対して1回だけ報告する必要がある。このことは、そのNACKの発生の相関に従ってクラスター化されたUEのグループについて、1つの報告のみに拡張することができる。
【0171】
特定の例では、NACKフィードバックは、ゾーンに基づいて周波数領域において多重化することができる。換言すれば、所与のゾーン内のUEはそれぞれ、該UEの位置に関連する特定の周波数リソース中でNACKフィードバックを提供することができる。したがって、RX UEによるNACKフィードバックのために使用されるリソースは、隠れノード問題によって影響を受けるゾーンの位置を表す。
【0172】
これらの要素は、当該TXと当該グループの少なくとも1つのメンバーとの間の通信条件に関する情報を構成する。
【0173】
したがって、TX UEは、この情報に基づいて、最初に伝送されたデータの一部として、又は後の段階で(例えば、HARQフィードバックを受信した後)、UE又はUEのグループを直接指定することによって、候補選択を実行又は支援することができる。
【0174】
このために、TX UEは、支援情報を伝送する特定のRX UEを決定することができる。この場合、選択決定はTX UEによって実行され、選択されたRX UEはTXによって通知される。RX UEは、HARQ NACKを提供するUEのうちの1つであり得るか、又はTX UEによって識別される別のUEである。
【0175】
TX UEは、1つ又は複数のRX UEが支援情報を提供するUEのグループを決定することができ、例えば、TX UEは、グループID、ゾーンID、サービスタイプ等によってかかるグループを示すことができる。指定されたグループからの1つ又はいくつかのUEのみが支援情報を提供する場合、決定ステップは、示されたRX UEにおいて、どのUEを最終的に選択すべきか、及び支援情報の伝送を担当するかを決定する更なるサブステップを含むことができる。この絞り込み選択は、例えば、上述したようにグループ間で分散方式で実行されてもよい。例えば、指定されたグループ内の複数の/全てのUEは、支援情報を提供してもよく、該UEは、支援情報を提供するためのリソース選択(例えば、上記で説明したように異なる支援報告を時間/周波数領域多重化する方法)を更に実行してもよい。
【0176】
図10aおよび
図10bは、上記の例によるグループキャストにおける送信機ベースの支援情報の伝送を示している。TX1は、その初期伝送の一部として、所与のクラスター2のRX UEに関連付けられた識別子を示すことによって、支援情報を求める。次いで、当該クラスターの1つのRX2aが、当該クラスターの間で自律的に又は分散的に選択される。選択されたRX2aは、要求された支援情報をTX1に送り返すが、クラスターの他のRX(2b)は支援情報を送信しない。
【0177】
任意選択の実装形態の変形例では、MEC(モバイルエッジコンピューティング又はマルチアクセスエッジコンピューティング)ユニットによって、又はMECユニットから受信された情報に基づいて、決定が行われる。一般的な方法では、パケット優先度、並びにアプリケーションパケットのトラフィック、セッションパラメータ、サービス品質、サービスタイプ、アプリケーションタイプごとのUEグループ化等に関する他の全ての関連情報を、MECノードにおいて制御することができる。したがって、MECノードは、特定の数の情報を収集して、最も有益な支援情報を提供し得るRX UEを決定するか、又は決定を支援することができる。
【0178】
例えば、特定のトラフィック優先度を有する、又は特定のQoS要求を有する、又はより大きなNACK普及に関連付けられた特定の位置を有するユーザ又はユーザのグループを決定することが可能である。したがって、かかるユーザ又はユーザのグループからの支援情報は、全体的なネットワーク性能を改善するのに特に有用である。かかる場合、MECユニットは、支援情報を伝送するRXの選択に介入することができる。
【0179】
一例では、アプリケーション層によって指定されたユーザのみが、前述の方法のいずれかに基づく更なる候補選択のための候補となる。
【0180】
例えば、アプリケーション層によって指定されたユーザのみが、別のトリガー(例えば、NACKの発生等)に基づいて支援情報を送信してもよい。
【0181】
例えば、VRU(交通弱者)は、安全のために、そのACK又はNACKステータスにかかわらず、常に支援情報を送信してもよい。
【0182】
一例では、ユーザ又はユーザのグループは、アプリケーション依存トポロジーに基づいて決定することができる。ここで、MECユニットは、別のエンティティによって実行される選択の基礎となる通信条件に関する情報を定義することに介入することができる。例えば、通信条件に関する情報が、少なくとも複数のゾーンと、候補選択のためのTX UEに対する最小-最大距離とで構成されると仮定する。ゾーンの数は、MECユニットによってアプリケーションに依存して決定されてもよい。例えば、隊列走行用途の場合、MECユニットは、ゾーンの数を2(正面/後方)に設定し、最小距離/最大距離をハイウェイ通信範囲及びユーザ密度に依存するように決定してもよい。例えば、交差道路用途の場合、MECユニットは、交差点に向かう/交差点から離れる車両の方向を更に考慮することによって、2つの交差道路の各レーンにそれぞれ対応するゾーンの数を8に設定してもよい。MECユニットは、都市シナリオの通信範囲及びユーザ密度に応じて、最小距離/最大距離を更に設定してもよい。
【0183】
次に、
図11a及び
図11bを参照する。
図11a及び
図11bは、グループキャストにおけるMECベースの支援情報伝送方式の一例を示す。MECユニットは、TX1通信範囲内の異なるRXクラスター2を識別し、各クラスターのRXに、支援情報をTX1に送信する要求を送信する。次いで、各クラスター2において、候補RX2aが要求された支援情報をTX1に送信し、他のRXがTX1に支援情報を送信しないように、単一の候補RX2aの選択が自律的に又は分散方式で実行される。
【0184】
別の実装形態の変形例では、支援情報の伝送を担当するRXの選択は、いかなる集中型ユニット(TX、MEC等)にも依存せずに、完全に分散した方法でRXによって実行することができる。
【0185】
TXは、現在の3GPP V2Xモード2(a)と同様に、自身のセンシング情報のみに基づいて初期伝送を送信し、次いでNACKを受信する。
【0186】
各RXは、TXと当該RXとの間の通信条件に関連する情報をローカルに取得する。情報は、例えば、距離、ゾーニング、NACKの発生等に関連していてもよい。次いで、候補RXの選択は、取得された情報に関連する基準に基づいて、RX UE自体によって実装される。したがって、選択は、距離ベースであるか、ゾーニングベースであるか、又はNACKの発生等に基づく。結果として、支援報告は、ローカルバイナリ決定に基づいてTXに送信される。これらのバイナリ決定は各ノードで別々に行われるため、候補選択は完全に分散される。
【0187】
これらのバイナリ決定は、各RX側で利用可能な任意のローカル情報に依存する。特定の例では、上位層ID及びゾーンIDにそれぞれ関連する2つの基準が使用される。例えば、各RXノードがグループ内の全てのRXについて上位層によって定義された一意のIDを有すると仮定し、同じ地理的ゾーン内の複数のRXが同じゾーンIDを共有すると仮定すると、ゾーンID(共有)と上位層ID(一意)との両方の組み合わせを使用することが有益である。したがって、バイナリ決定は、或る程度、支援報告を送信するRXが異なるゾーン内に拡散されることを保証し、それにより、或る程度冗長性を回避し、報告の多様性を保証することができる。この手法は、上述の集中型の解決策と比較して最適な選択には至らないが、RXと中央ユニットとの間のシグナリング及びオーバーヘッドを最小限に抑えることに関しては、明確な利点が得られる。
【0188】
次に、
図12a、
図12b、及び
図12cを参照する。
図12a、
図12b、及び
図12cは、分散型RXベースの候補選択が選定ベースのメカニズムに依存する例示的な実施形態を示す。選定は、中央ユニットの介入なしにRXのサブグループによって実行される。選定とは、先述の例のように完全に分散型の選択ではなく、半分散型の選択である。この選定は、本明細書でより詳細に説明する。
【0189】
TX1は、(現在の3GPP V2Xモード2(a)と同様に)自身のセンシング情報のみに基づいて初期伝送を送信し、NACKを待機する。TXは、NACKをフィードバックするために使用される時間周波数リソースを割り当てるための特定の構成を更に定義する。時間周波数リソースは、現行技術水準で知られているように、当該RXに関連付けられた地理的ゾーン及びサブゾーン情報に基づいて、ターゲットグループのRX(2)に割り当てることができる。
【0190】
次いで、ターゲットグループのRXは、初期伝送を復号化しようと試みる。その後、メッセージを正しく復号化したRXからのアクションは必要とされない。逆に、初期伝送の復号化に失敗したRXは、候補選択のために距離ベースの制限を自律的に確認する必要がある。次いで、初期伝送を復号化することに失敗し、潜在的な候補となる各RXは、その地理的ゾーン及びサブゾーンインデックスに基づいて、ローカルに決定された所与の時間周波数リソースに従ってNACKを送信する。RXが全二重能力を有すると仮定すると、各RXは、自身のNACKを送信しながら、他のNACKを同時にリッスンする。したがって、各RXは、NACKを送信した同じゾーン内のRXの数だけでなく、同じゾーン内の当該RXの位置又はサブゾーンも把握することができる。この情報は、時間周波数リソースをリッスンし、該リソースをゾーン及びサブゾーンインデックスに変換して戻すのみで取得される。
【0191】
TXは、受信機からNACKを受信する。一方、NACKを送信したRXは、ゾーン上の自身の位置と、NACKを有する同じゾーン内の他のRXの位置とに基づいて、支援情報を送信するか否かを更に決定する。これは、
図12bに示されるようなサブゾーン優先度マップを使用して行うことができる。このようにして、RXは、そのサブゾーン及び同じゾーン内の他のRXのサブゾーンに基づいて、最高の優先度を有する(したがって、選定され(2a)、支援情報を送信する)か否か(したがって、選定されず(2b)、支援を送信しない)を把握する。
【0192】
各ゾーンの選定されたRX(2a)は、支援情報をTXに送信して、TXが再伝送のために適切なネットワークリソースを選択するのに役立つ。
【0193】
選定は、グループの一部として互いを識別したユーザ間の更なるD2D交換に基づいて実行することができる。選定は、グループの一部として互いを識別したユーザのランダムな選択に基づいて実行することができる。選定は、例えば、全てのUEが異なる時間/周波数スロットで支援報告を送信することを可能にする、支援情報を伝送するためのリソース選択の規則によって置き換えられてもよい。
【0194】
次に、
図13及び
図14を参照する。
図13及び
図14は、RXを選択して支援情報をTXに送信するためのメカニズムの2つの連続する段階を示す。
【0195】
この例示的な実施形態では、所与のRXが支援情報を提供することを決定するために、以下のような3つの条件を満たす必要があると考えられる。
RXは、TX通信範囲内にある必要がある。
RXは、TX通信範囲の外側部分内にある必要がある。
RXは、他の隣接RX又は候補RXよりも特別な特性又は特定の優先度を有する必要がある。
【0196】
メカニズムの第1の段階は、
図13に示される距離ベースの大まかな候補選択である。
【0197】
この段階の間、所与のRX2は、TX通信範囲内にあるか否かを最初に確認することによって、TX1にRX支援を送信する候補であるか否かの確認を開始する。次いで、RXは、SCI上でTXによって既に送信され、RXによって復号化された、自身の位置及びTXのゾーン情報及びTXの通信範囲を使用して、TX通信範囲の外側範囲内にあるか否かの確認を開始する。所与のRXがこれらの条件を満たす場合、該RXは、TXに支援報告を送信するための候補RXとして宣言される。したがって、このRXを第2の段階に昇格させることができる。TX1の通信範囲外のRX2dは除外され、TX1の内側通信範囲内のRX2cも除外される。
【0198】
第2の段階は、第1の段階を生き残ったRXを入力として採用する絞り込み候補選択である。第2の段階の出力では、支援情報を送信するRXの数を低減して選択される。この例では、第1の段階は距離ベースであり、各RXにおいて自律的に実行されるが、第2の段階は、複数のメカニズムに基づいて(例えば、距離及びゾーニング情報に基づいて、上位層IDに基づいて、通信条件に基づいて等)実行することができる。さらに、第2の段階は、集中型手法に基づいて、又は分散型若しくは自律型手法に基づいて実行することができる。リソース選択の更なるステップを適用することもできる。例えば、候補ユーザは、時間領域多重化を使用して、構成された、又は予め構成された時間経過内に支援情報を送信してもよい。