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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】乗物装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B62M 1/00 20100101AFI20231016BHJP
   B60T 1/14 20060101ALI20231016BHJP
   B60T 7/08 20060101ALI20231016BHJP
   B62K 17/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B62M1/00
B60T1/14
B60T7/08 Z
B62K17/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022072436
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2022-06-15
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000219990
【氏名又は名称】東京オートマック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉山 治久
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105882862(CN,A)
【文献】実開昭63-008073(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0096823(US,A1)
【文献】特開平07-329863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 1/00
B62K 3/00
B62K 17/00
B60T 7/08
A63C 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーを載せて進行する乗物装置であって、左右に設けられてそれぞれ前後方向に移動可能な踏み台部と、前記踏み台部に設けられる車輪部とを備え、前記車輪部は、前方向にのみ回転可能となっており、
前記左右の踏み台部の間に設けられ前記車輪部の進行を補助する補助輪部を備え、
前記前後方向の少なくともいずれか一方に回転可能に設けられたハンドル部と、前記ハンドル部の前記前後方向の回転動作により前記補助輪部の回転を抑えるブレーキ部と、前記踏み台部が設けられる基盤部を備え、
前記基盤部の左右方向の両端部に、前記前後方向に延びる長溝が設けられ、前記踏み台部が前記長溝に沿って移動可能に構成され、
前記踏み台部と前記車輪部を連結する連結部を備え、
前記連結部は、前記長溝のうち前記左右の縁部にわたって嵌められて前記長溝に沿って移動可能な連結本体部と、
前記踏み台部と前記車輪部とにわたって設けられ前記連結本体部に挿通された連結挿通部とを備える乗物装置。
【請求項3】
請求項1に記載の乗物装置の使用方法であって、
前記踏み台部に足を乗せ前記踏み台部と前記車輪部を前記前後方向に移動させることにより進行する乗物装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物装置およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが乗った状態で進行するような乗物装置が利用されている。乗物装置としては、例えば、本体部と車輪を備えるスケートボードなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなスケートボードは、ユーザが本体部に片足を乗せ他方の足で地面を蹴ることより、車輪が回転して進むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3221298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなスケートボードでは、片足で立って他方の足で地面を蹴るため、片足のみの運動で前進力は弱く、また片足に多くの負担がかかるという問題がある。
【0005】
以上を鑑みて、本発明は、両足のキック力により容易に進行することができる乗物装置およびその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、ユーザを乗せて進行する乗物装置であって、左右に設けられてそれぞれ前後方向に移動可能な踏み台部と、前記踏み台部に設けられる車輪部とを備え、前記車輪部は、前方向にのみ回転可能となっている。
【発明の効果】
【0007】
本願の一観点によれば、両足のキック力により容易に進行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態としての乗物装置を示す側面図である。
図2図1の乗物装置の一部を省略して示す正面図である。
図3図1の乗物装置を示す上面図である。
図4図1の車輪部等を拡大して示す部分拡大図である。
図5図4の符号Aで示す領域を示す拡大図である。
図6図2の車輪部等を拡大して示す部分拡大図である。
図7図1のハンドル部等を拡大して示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態における乗物装置およびその使用方法について説明する。
図1は、乗物装置1を示す側面図である。
図2は、乗物装置1を示す正面図である。なお、図2においては、後述する基盤部2の一部およびブレーキ部6等を省略している。
図3は、乗物装置1を示す上面図である。
乗物装置1は、板状の基盤部2を備えている。
基盤部2は、長手方向に延びる長方形状とされている。この長手方向が乗物装置1の奥行方向Dであり、前後方向となる。なお、基盤部2の進行方向が前方向D1となり、その反対方向が後方向D2となる。
基盤部2の短手方向の両端部には、奥行方向Dに延びる一対の長溝2Aが形成されている。この短手方向が乗物装置1の幅方向Wであり、左右方向となる。長溝2Aは、その一端から他端にわたって基盤部2を貫通する貫通孔である。長溝2Aの先端部には、ダンパー2Eが設けられている。
【0010】
それぞれの長溝2Aには、ユーザが足を乗せるための踏み台部3が設けられている。
踏み台部3は、奥行方向Dに延ばされて板状に形成された踏み台本体部3Cを備えている。踏み台本体部3Cの奥行方向Dの両端には、一対の前縁部3Fおよび後縁部3Rが設けられている。前縁部3Fは、前方向D1に凸となる円弧形状とされており、踏み台本体部3Cから高さ方向Hに起ち上げられている。後縁部3Rは、後方向D2に凸となる円弧形状とされており、踏み台本体部3Cから高さ方向Hに起ち上げられている。このような構成のもと、前縁部3Fと後縁部3Rとの間においてそれぞれの踏み台本体部3Cの上面にユーザの足が乗せられるようになっている。
【0011】
踏み台本体部3Cの下面には、図4および図5に示すように、車輪部4を連結するための一対の連結部9が設けられている。
連結部9は、奥行方向Dに2つ設けられた円筒状の連結本体部9Aを備えている。連結本体部9Aの上端と下端には、大径円板部9Bが設けられている。すなわち、連結本体部9Aの高さ方向Hの中央部は、上下端の大径円板部9Bの間において周方向の全周にわたって延びる凹部9Cとされている。この凹部9Cに長溝2Aの縁部2Cが設けられている。すなわち、長溝2Aのうち幅方向Wの縁部2Cにわたって凹部9Cが若干のすき間を持って嵌められている。連結本体部9Aの筒孔内には、軸受9Dを介して段付きまたはカラースペーサ9E2付きの連結柱部9E(連結挿通部)が通されている。
【0012】
連結柱部9Eは、段付きの円柱状に形成されており、連結本体部9Aの筒穴内に取り付けられた軸受9Dの内輪を介して連結柱部9Eの段付き部まで挿通されている。内輪の下端部は、後述する天面部9F1に当たるリング式のカラースペーサ9E2が嵌められている。
連結柱部9Eの基端部は踏み台本体部3Cの下面に取り付けられている。連結柱部9Eの先端部は、U字連結部9Fの天面部9F1に通されてナット9Gによって固定されている。U字連結部9Fは、奥行方向Dから見てU字状に形成されており、天面部9F1に2つの連結柱部9Eが通されて固定されている。U字連結部9Fの一対の側面部9F2は幅方向Wに対向しており、これら側面部9F2の間には、幅方向Wに延びU字連結部9Fに固定されている固定軸部4Aを介して車輪部4が設けられている。すなわち、連結柱部9Eの先端部は、U字連結部9Fを介して車輪部4に取り付けられている。
これにより、踏み台部3から下方に荷重がかかったとしても、その荷重は、基盤部2にはかからずに、連結柱部9EおよびU字連結部9Fを介して車輪部4にかかるようになっている。
【0013】
車輪部4は、連結部9を介して踏み台部3に取り付けられている。車輪部4は、車輪本体部4Bと、この車輪本体部4Bに設けられた左右のラジアルベアリング4Cと、車輪回転規制部100を備えている。
車輪本体部4Bは、例えば樹脂などからなるものである。
車輪回転規制部100は、ラチェット機構11と、ワンウェイクラッチ12とを備えている。
ラチェット機構11は、車輪本体部4Bを一方向にのみ回転させるように規制するものである。ラチェット機構11は、歯車11Aと歯止め11Bとを備えている。歯車11Aは、車輪本体部4Bと一体的に設けられている。すなわち、歯車11Aは、車輪本体部4Bの側面部に設けられており、車輪本体部4Bの回転動作に応じて回転するようになっている。歯止め11Bは、U字連結部9Fに設けられている。このような構成のもと、車輪本体部4Bが一方向即ち前方向に回転するときは、歯止め11Bが歯車11Aを乗り越えていくため、車輪本体部4Bの回転動作を許容し、一方、車輪本体部4Bが他方向に回転しようとすると、歯止め11Bが歯車11Aに噛み合わされるため、その回転動作を規制するようになっている。
【0014】
ワンウェイクラッチ12は、車輪本体部4Bを一方向にのみ回転させるように規制するものである。ワンウェイクラッチ12は、外輪とカムとを備えている。外輪は車輪本体部4Bに設けられており、カムは内輪を兼ねた固定軸部4Aと外輪との間に設けられている。このような構成のもと、車輪本体部4Bが一方向に回転するときは、カムが回転して車輪本体部4Bの回転動作を許容し、一方、車輪本体部4Bが他方向に回転しようとすると、カムが外輪と内輪との間で噛み合わされるため、その回転動作を規制するようになっている。なお、ワンウェイクラッチ12の構成は、例えばスプラグ式またはカム式など適宜変更可能であることは言うまでもない。
これらラチェット機構11およびワンウェイクラッチ12により、車輪部4は、図4において右方向にのみ回転するようになっており、基盤部2が進行する前方向D1にのみ回転するようになっている。
【0015】
また、U字連結部9Fには、乗り越え機構14が設けられている。乗り越え機構14は、車輪本体部4Bが前方向D1におかれた障害物を乗り越えるためのものである。乗り越え機構14は、U字連結部9Fと一体の連結板部14Aと、巻回部14Bと、ベルト部14Cとを備えている。連結板部14Aは、天面部9F1に設けられており、天面部9F1の下方から前方向D1にわたって延ばされている。連結板部14Aの前方部には一対の巻回部14Bが設けられている。これら一対の巻回部14Bのうち、一方の巻回部14Bは、連結板部14Aの前方部上方に取り付けられ、他方の巻回部14Bは、一方の巻回部14Bに対して後方向D2の斜め下方に設けられている。これら一対の巻回部14Bにわたってベルト部14Cが巻かれている。
【0016】
また、基盤部2の前方部には、高さ方向Hに盛り上げられた隆起部2Bが設けられている。隆起部2Bの下面には、補助連結部5Cを介して、前輪の役割をする補助車輪部7(補助輪部)が設けられている。補助車輪部7は、車輪本体部4Bより大径とされており、正面視して幅方向Wにおける一対の車輪本体部4Bの中央部に設けられている。補助車輪部7は、一方向および他方向の両方向に回転可能になっている。
【0017】
また、隆起部2Bには、T字状に形成されたハンドル部5が設けられている。
ハンドル部5は、ハンドル本体部5Aと、取手部5Bと、補助連結部5Cとを備えている。
ハンドル本体部5Aは、高さ方向Hに延ばされて柱状に形成されており、隆起部2Bを介して補助連結部5Cに取り付けられている。すなわち、補助連結部5Cには、幅方向Wに延ばされた連結軸部5C1が設けられており、この連結軸部5C1によってハンドル本体部5Aが幅方向Wに延びる連結軸部5C1の軸線を回転中心として回転するようになっている。つまり、ハンドル本体部5Aは、前方向D1および後方向D2のいずれにも回転するようになっている。また、ハンドル本体部5Aは、高さ方向Hに延びる軸線を回転中心としても回転可能になっており、ハンドル本体部5Aを高さ方向Hに延びる軸線を回転中心として回転させると、補助連結部5Cを介して補助車輪部7が上面視して左右回りに回転するようになっている。
取手部5Bは、ユーザが手で把持するものである。この取手部5Bは、幅方向Wに延ばされて柱状に形成されており、その長手方向の中央部がハンドル本体部5Aの先端部に取り付けられている。
【0018】
ハンドル部5には、ブレーキ部6が設けられている。
ブレーキ部6は、図6に示すように、車輪ブレーキ6Aと接地ブレーキ6Bとを備えている。
車輪ブレーキ6Aは、側面視してU字状に形成された車輪ブレーキ連結部6A1と、車輪本体部7Bの外周面または側面に接触可能な一対の車輪ブレーキ本体部6A2とを備えている。
車輪ブレーキ連結部6A1のU字状の中央部がハンドル本体部5Aに取り付けられており、車輪ブレーキ連結部6A1の各先端部は、車輪本体部7Bの前方向D1および後方向D2の上方にそれぞれ配されている。
車輪ブレーキ本体部6A2は、車輪ブレーキ連結部6A1の各先端部に設けられている。そのため、車輪ブレーキ本体部6A2は、車輪本体部4Bの前方向D1および後方向D2の上方にそれぞれ配されている。
【0019】
また、接地ブレーキ6Bは、接地ブレーキ連結部と、地面に接地可能で強い回転力を与えなければ回らない丸形や多角形の棒状ブレーキシューを備えた接地ブレーキ本体部6B2とを備えている。
接地ブレーキ連結部6B1は、ハンドル本体部5Aに取り付けられ、ハンドル本体部5Aから車輪本体部7Bの後方向D2にかけて延ばされている。
接地ブレーキ本体部6B2は、接地ブレーキ連結部6B1の先端部に設けられている。
このような構成のもと、ハンドル本体部5Aが前方向D1に回転すると、ハンドル本体部5Aが前方向D1側の地面に向かって傾けられ、そのため車輪ブレーキ連結部6A1を介して前方側の車輪ブレーキ本体部6A2が車輪本体部7Bの外周面または側面に接触するようになっている。
一方、ハンドル本体部5Aが後方向D2に回転すると、ハンドル本体部5Aが後方向D2側の地面に向かって傾けられ、まず接地ブレーキ連結部6B1を介して接地ブレーキ本体部6B2が地面に接触する。さらに、ハンドル本体部5Aが後方向D2側に回転すると、車輪ブレーキ連結部6A1を介して後方側の車輪ブレーキ本体部6A2が車輪本体部7Bの外周面または側面に接触する。
【0020】
また、基盤部2の後方部には、着座部10が設けられている。着座部10は、ユーザが座るためのものである。この着座部10は、着座支持部10Aと、着座本体部10Bとを備えている。
着座支持部10Aは、基盤部2の後方部において高さ方向Hに柱状に延ばされている。着座支持部10Aは、高さ寸法が変更可能に構成されている。
着座本体部10Bは、クッション部材を有しており、着座支持部10Aの先端部に取り付けられている。
また、基盤部2の後方部の下面には、補助車輪部16(補助輪部)が設けられている。補助車輪部16は、車輪本体部4Bよりも小径とされており、後方部において幅方向Wの中央部に設けられている。補助車輪部16は、一方向および他方向の両方向に回転可能になっている。
【0021】
次に、本発明の実施形態における乗物装置1の利用方法について説明する。
まず、ユーザが、取手部5Bを把持しながら、踏み台部3に足を乗せる。すなわち、ユーザは、左足を左側の踏み台本体部3Cに乗せ、右足を右側の踏み台本体部3Cに乗せる。
このような立っている状態から、ユーザは、右側の踏み台本体部3Cを踏みながら右足を前方向D1に押し出す。このとき、右側の車輪本体部4Bは前方向D1にのみ回転可能であることから、右側の踏み台部3は、前方向D1にスライド移動していく。すなわち、車輪本体部4Bは前方向D1に回転しながら、連結部9が長溝2Aに沿ってスライド移動することにより、右側の踏み台部3が前方向D1にスライド移動する。そして、右側の踏み台部3が右側のダンパー2Eに当たることにより基盤部2を前方向D1側に押し出す。
【0022】
このとき、ユーザは取手部5Bを把持しているので、ユーザの中心が前方向D1に移動したことにより、ユーザの把持している取手部5Bに前方向D1に前進する力が自然と加わり、前方向D1側に取手部5Bを介して基盤部2を前方向D1側に押し出す力が働く。そして、次に右足を後方向D2に蹴るようにして右側の踏み台部3を後方向D2にスライド移動させる。すると、右側の車輪本体部4Bは、ラチェット機構11およびワンウェイクラッチ12によって後方向D2への回転が規制されていることから、後方向D2には回転せず、車輪本体部4Bの外周面と地面との摩擦により、基盤部2を前方向D1側に押し出す動作を邪魔しない。これにより、基盤部2が前方向D1に進行する。
そして、次に左側の踏み台本体部3Cを踏みながら歩くときの動作と同じように左足を前方向D1に押し出す。このとき、左側の車輪本体部4Bは前方向D1にのみ回転可能であることから、左側の踏み台部3は、前述と同様に前方向D1にスライド移動して左側のダンパー2Eにあたるときもある。そして、基盤部2が前方向D1に進行していき、そのため右側の踏み台部3が基盤部2の後方向D2に配される。
このように、右足と左足を踏みながら地面から見て前進のみ移動させて、左右の踏み台部3を前進のみ移動させることにより、見かけ上ユーザを乗せたまま基盤部2が前方向D1に進行する。このとき、基盤部2の進行を補助車輪部7,16が前方向D1に回転して案内する。
【0023】
なお、乗物装置1が前方向D1に進行しているときに、高さ方向Hに延びる軸線を中心としてユーザが取手部5Bを回転させると、補助車輪部7が上面視して左右回りに回転して、基盤部2の進行方向を左右に案内する。
また、乗物装置1が前方向D1に進行しているときに、ユーザが取手部5Bを前方向D1側に押し出すと、ハンドル本体部5Aが連結軸部5C1を回転中心として前方向D1に倒されていく。すると、補助車輪部7に対して前方向D1に配された車輪ブレーキ本体部6A2が補助車輪部7の外周面または側面に接触し、摩擦により補助車輪部7にブレーキをかける。
一方、ユーザが取手部5Bを後方向D2側に引くと、ハンドル本体部5Aが連結軸部5C1を回転中心として後方向D2に倒されていく。すると、補助車輪部7に対して後方向D2側に配された接地ブレーキ本体部6B2が先に地面に接触し、摩擦により補助車輪部7にブレーキをかける。この接地ブレーキ本体部6B2は、下り坂などで乗物装置1のスピードを抑える役割をする。すなわち、自動車であればエンジンブレーキの役割をする。さらに取手部5Bを後方向D2側に引くと、接地ブレーキ本体部6B2が地面に接触した後に補助車輪部7に対して後方向D2に配された車輪ブレーキ本体部6A2が補助車輪部7の外周面または側面に接触し、摩擦により補助車輪部7にブレーキをかける。
また、乗物装置1が前方向D1に進行しているときに、前方向D1に石などの障害物があると、ベルト部14Cが障害物を乗り越えるように回転し、乗り越え機構14を介して車輪部4が持ち上げられていき障害物を乗り越えていく。
なお、下り坂や乗物装置1の慣性スピードでよいときは、ユーザは着座本体部10Bに腰掛けながら乗ることができる。
【0024】
以上より、本実施形態における乗物装置1によれば、踏み台部3と車輪部4とを備え、車輪部4が前方向D1にのみ回転可能となっていることから、両足を踏み台部3に乗せた状態で両足をユーザから見て前後に移動させるだけで踏み台部3を前後に移動させることができ、ユーザを乗せて安定して容易に進行することができる。
また、補助車輪部7,16が設けられていることから、左右の車輪部4の進行を補助することができ、進行時の安定感を向上させることができる。
また、ハンドル部5とブレーキ部6とが設けられていることから、ハンドル部5を前後方向に傾けるだけで、補助車輪部7に容易にブレーキをかけることができる。
【0025】
また、基盤部2の左右方向の両端部に長溝2Aが設けられ、踏み台部3が長溝2Aに沿って移動可能に構成されていることから、踏み台部3の前後の移動を容易にすることができる。
また、連結部9が連結本体部9Aと連結柱部9Eとを備えていることから、踏み台部3が長溝に沿って小さな摩擦抵抗で移動可能になるように踏み台部3と車輪部4とを連結することができるだけでなく、踏み台部3から下方への荷重を車輪部4にのみかかるようにし基盤部2にはかからないようにすることができる。そのため、進行時の安定感を向上させることができるだけでなく、耐久性を向上させることができる。なお、連結部9が、連結本体部9Aの筒穴内に設けられた軸受9D(ラジアルベアリング)を備えることから、筒穴内に連結柱部9Eを挿通させた状態で適切に保持することができる。
また、車輪部4が、ラチェット機構11とワンウェイクラッチ12とを備えていることから、仮に2つの機構のいずれかが働かなかったとしても、車輪部4を一方向のみに回転させることができ、進行時の安定性を向上させることができる。
また、ブレーキ部6が、接地ブレーキ6Bと車輪ブレーキ6Aとを備えていることから、ハンドル部5を傾けるだけで先に接地ブレーキ6Bによるブレーキをかけ、ハンドル部5をさらに傾けることにより車輪ブレーキ6Aによるブレーキをかけることができる。そのため、ハンドル部5の操作により2段階でブレーキをかけることができ、ユーザの操作感を向上させることができる。
また、乗物装置1の前述の使用方法によれば、乗物装置1と同様の効果を奏することができる。
【0026】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、補助車輪部7,16が設けられるとしているが、これに限ることはなく、補助車輪部7,16の少なくともいずれか一方が設けられていればよい。また、補助車輪部7,16のいずれも設けられていなくてもよい。
また、補助車輪部7,16が前方部と後方部に設けられ、幅方向Wの中央部に設けられているとしているが、これに限ることはなく、その設置位置は適宜変更可能である。例えば、補助車輪部7,16が、前方部と後方部との間に設けられていてもよいし、幅方向Wのうち左方向または右方向に偏心して設けられていてもよいし、幅方向Wのうち車輪部4の外方に設けられていてもよい。
また、補助車輪部7,16の設置数も適宜変更可能である。例えば、1つであってもよいし、3つ以上あってもよい。
また、補助車輪部7,16が、一方向および他方向の両方向に回転可能になっているとしているが、これに限ることはなく、一方向のみに回転可能であってもよい。
【0027】
また、ハンドル部5が設けられるとしているが、これに限ることはなく、ハンドル部5が設けられていなくてもよい。また、ハンドル部5が前後方向に回転可能としているが、これに限ることはなく、前後方向の少なくともいずれか一方に回転するようになっていてもよいし、いずれにも回転しなくてもよい。
また、ブレーキ部6が設けられるとしているが、その構成は適宜変更可能である。例えば、一対の車輪ブレーキ本体部6A2および接地ブレーキ本体部6B2の少なくともいずれか一つが設けられていればよい。また、ブレーキ部6が設けられていなくてもよい。
また、基盤部2が設けられるとしているが、これに限ることはなく、基盤部2が設けられていなくてもよい。
また、長溝2Aが設けられて踏み台部3が長溝2Aに沿って移動可能とされているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、踏み台部3が基盤部2の縁部に上面から下面にわたって設けられていてもよいし、基盤部2が枠部とされその内方空間において踏み台部3と車輪部4とが連結されるようにしてもよい。
また、連結部9が、連結本体部9Aと連結柱部9Eとを備えるとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、踏み台部3の荷重が基盤部2にかかるようになっていてもよい。
【0028】
また、車輪回転規制部100が、ラチェット機構11とワンウェイクラッチ12とを備えるとしているが、これに限ることはなく、これらラチェット機構11またはワンウェイクラッチ12の少なくともいずれか一方を備えていればよい。また、車輪回転規制部100による回転の規制の構成は、機械的な構成だけでなく、電気的、磁気的、化学的な構成であってもよい。
また、乗り越え機構14が設けられるとしているが、その構成は適宜変更可能である。また、これら乗り越え機構14の少なくともいずれか一方が設けられていてもよいし、いずれも設けられていなくてもよい。また、補助車輪部7に乗り越え機構が設けられていてもよい。
また、着座部10が設けられるとしているが、その構成は適宜変更可能である。また、着座部10が設けられていなくてもよい。
【0029】
既述の実施形態に関し、さらに以下の付記を示す。
(付記1)
ユーザを乗せて進行する乗物装置であって、
左右に設けられてそれぞれ前後方向に移動可能な踏み台部と、
前記踏み台部に設けられる車輪部とを備え、
前記車輪部は、前方向にのみ回転可能となっている乗物装置。
【0030】
(付記2)
前記左右の踏み台部の間に設けられ前記車輪部の進行を補助する補助輪部を備える付記1に記載の乗物装置。
【0031】
(付記3)
前記前後方向の少なくともいずれか一方に回転可能に設けられたハンドル部と、
前記ハンドル部の前記前後方向の回転動作により前記補助輪部の回転を抑えるブレーキ部と
を備える付記2に記載の乗物装置。
【0032】
(付記4)
前記踏み台部が設けられる基盤部を備え、
前記基盤部の左右方向の両端部に、前記前後方向に延びる長溝が設けられ、前記踏み台部が前記長溝に沿って移動可能に構成されている付記1から付記3のいずれか一項に記載の乗物装置。
【0033】
(付記5)
前記踏み台部と前記車輪部とを連結する連結部を備え、
前記連結部は、前記長溝のうち前記左右の縁部にわたって嵌められて前記長溝に沿って移動可能な連結本体部と、前記踏み台部と前記車輪部とにわたって設けられ前記連結本体部に挿通された連結挿通部とを備える付記4に記載の乗物装置。
【0034】
(付記6)
前記ブレーキ部は、前記ハンドル部の前記前後方向の回転動作により、先に地面に接触する接地ブレーキと、前記接地ブレーキが地面に接触した後に前記補助輪部に接触する車輪ブレーキとを備える付記3に記載の乗物装置。
【0035】
(付記7)
付記1に記載の乗物装置の使用方法であって、前記踏み台部に足を乗せ前記踏み台部を前記前後方向に移動させることにより進行する乗物装置の使用方法。
【符号の説明】
【0036】
1 乗物装置
2 基盤部
2A 長溝
3 踏み台部
4 車輪部
5 ハンドル部
6 ブレーキ部
7 補助車輪部(補助輪部)
9 連結部
9A 連結本体部
9E 連結柱部(連結挿通部)
16 補助車輪部(補助輪部)
D1 前方向
【要約】
【課題】両足のキック力により容易に進行することができる乗物装置を提供すること。
【解決手段】ユーザを乗せて進行する乗物装置1であって、左右に設けられてそれぞれ前後方向に移動可能な踏み台部3と、前記踏み台部3に設けられる車輪部4とを備え、前記車輪部4は、前方向D1にのみ回転可能となっている。この乗物装置1において、両足を踏み台部3に乗せた状態で両足を前後に移動させるだけで踏み台部3を地面から見て前進のみ移動させることができ、ユーザを乗せて安定して容易に進行することができる。
【選択図】図1
図1
図2
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図7