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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】洗浄水タンク装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/24 20060101AFI20231016BHJP
   E03D 5/10 20060101ALI20231016BHJP
   E03C 1/05 20060101ALI20231016BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
E03D1/24
E03D5/10
E03C1/05
F03B17/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019202292
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021075876
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】北浦 秀和
(72)【発明者】
【氏名】林 信宏
(72)【発明者】
【氏名】志牟田 晃大
(72)【発明者】
【氏名】黒石 正宏
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-311073(JP,A)
【文献】特開2011-226243(JP,A)
【文献】特開2005-083085(JP,A)
【文献】実開平03-074151(JP,U)
【文献】特開2009-257061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0041370(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/24
E03D 1/34
E03D 1/36
E03D 5/10
E03C 1/05
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、
上記水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を上記水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、
上記排水口を開閉し、上記水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、
供給された水道水の水流により電力を生成する発電機と、
この発電機によって生成された電力により作動する電磁弁と、
この電磁弁の作動を制御する制御部と、
上記発電機により生成された電力を蓄積する蓄電部と、
上記電磁弁の作動に基づいて、上記貯水タンク内への給水、停止を制御する給水制御装置と、
供給された水道水の給水圧を利用して、上記排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部と、を有し、
上記制御部は、上記蓄電部に蓄積された電力が所定量以下になると、上記電磁弁を制御して、上記発電機に水道水を流し、上記発電機に電力を生成させる蓄電制御を実行するように構成され、上記蓄電制御においては、上記排水弁水圧駆動部により上記排水弁が開弁されることなく、上記発電機によって電力が生成されることを特徴とする洗浄水タンク装置。
【請求項2】
水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、
上記水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を上記水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、
上記排水口を開閉し、上記水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、
供給された水道水の水流により電力を生成する発電機と、
この発電機によって生成された電力により作動する電磁弁と、
この電磁弁の作動を制御する制御部と、
上記発電機により生成された電力を蓄積する蓄電部と、
上記電磁弁の作動に基づいて、上記貯水タンク内への給水、停止を制御する給水制御装置と、を有し、
上記制御部は、上記蓄電部に蓄積された電力が所定量以下になると、上記電磁弁を制御して、上記発電機に水道水を流し、上記発電機に電力を生成させる蓄電制御を実行するように構成され、上記制御部は、上記蓄電制御においては、上記水洗便器の通常の洗浄よりも多くの洗浄水を上記発電機に供給することを特徴とする洗浄水タンク装置。
【請求項3】
上記貯水タンクはオーバーフロー管を有し、上記蓄電制御によって供給された水道水は、上記オーバーフロー管を通って上記水洗便器へ流出する請求項記載の洗浄水タンク装置。
【請求項4】
上記制御部は、使用者の操作に基づく上記水洗便器の通常の洗浄が行われ、上記排水弁が閉弁された後、連続して上記蓄電制御を実行する請求項3記載の洗浄水タンク装置。
【請求項5】
上記制御部は、上記蓄電部に蓄積された電力が所定量以下になると、自動的に上記蓄電制御を実行する請求項1乃至3の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項6】
さらに、人体検知センサを有し、上記制御部は、上記人体検知センサが使用者を検知していないとき、自動的に上記蓄電制御を実行する請求項5記載の洗浄水タンク装置。
【請求項7】
水洗便器装置であって、
請求項1乃至の何れか1項に記載の洗浄水タンク装置と、
この洗浄水タンク装置から供給される洗浄水により洗浄される上記水洗便器と、
を有することを特徴とする水洗便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水タンク装置に関し、特に、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10-311073号公報(特許文献1)には、便器用タンク装置が記載されている。この便器用タンク装置には、給水管に接続された電磁弁が設けられ、この電磁弁の流出側には発電機のタービンが設けられている。電磁弁を介してタンク本体内に水が供給されると、タービンが回転され、発電機が電力を生成する。生成された電力は、電磁弁制御回路のバッテリに充電され、電磁弁は、このバッテリに蓄積された電力により作動される。また、電磁弁制御回路には、水位センサからの信号が入力され、水位センサによって検出されたタンク本体内の水位が低下すると、電磁弁制御回路は電磁弁を作動させ、タンク本体内への給水が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-311073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の便器用タンク装置においては、バッテリに蓄積された電力が低下すると、電磁弁を作動させることができなくなるという問題がある。即ち、特許文献1記載の便器用タンク装置では、便器が使用されたとき、タンク本体への給水が行われ、この給水により電力が生成される。このため、便器が使用されないときはバッテリへの充電が行われず、長期間便器が使用されない場合には、バッテリに蓄積された電力が不足する虞がある。特許文献1記載の便器用タンク装置においては、便器の使用に関わらず、水位センサが常にバッテリの電力を消費していると共に、バッテリの自己放電によっても電力が失われる。このため、便器が長期間使用されない場合には、バッテリのメンテナンスが必要となる、という問題がある。
【0005】
従って、本発明は、洗浄水タンク装置に備えられた蓄電部が電力不足に陥るのを抑制することができる洗浄水タンク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、水洗便器への洗浄水の供給を行う洗浄水タンク装置であって、水洗便器に供給すべき洗浄水を貯留すると共に、貯留した洗浄水を水洗便器へ排出するための排水口が形成された貯水タンクと、排水口を開閉し、水洗便器への洗浄水の供給、停止を行う排水弁と、供給された水道水の水流により電力を生成する発電機と、この発電機によって生成された電力により作動する電磁弁と、この電磁弁の作動を制御する制御部と、発電機により生成された電力を蓄積する蓄電部と、電磁弁の作動に基づいて、貯水タンク内への給水、停止を制御する給水制御装置と、を有し、制御部は、蓄電部に蓄積された電力が所定量以下になると、電磁弁を制御して、発電機に水道水を流し、発電機に電力を生成させる蓄電制御を実行するように構成されていることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、貯水タンク内に貯留された洗浄水が、排水弁を開弁することにより、排水口を介して水洗便器へ排出され、水洗便器が洗浄される。発電機は供給された水道水の水流により電力を生成し、生成された電力により電磁弁が作動されると共に、電力は蓄電部に蓄積される。また、制御部は電磁弁の作動を制御すると共に、給水制御装置は、電磁弁の作動に基づいて、貯水タンク内への給水、停止を制御する。さらに、制御部は、蓄電部に蓄積された電力が所定量以下になると、電磁弁を制御して、発電機に水道水を流し、発電機に電力を生成させる蓄電制御を実行する。
【0008】
このように構成された本発明によれば、蓄電部に蓄積された電力が所定量以下になると、制御部は蓄電制御を実行し、発電機に電力を生成させるので、蓄電部に蓄積された電力が不足するのを回避することができる。これにより、水洗便器が長期間使用されない場合等においても、蓄電部が電力不足に陥るのを抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、さらに、供給された水道水の給水圧を利用して、排水弁を駆動する排水弁水圧駆動部を有し、蓄電制御においては、排水弁水圧駆動部により排水弁が開弁されることなく、発電機によって電力が生成される。
【0010】
このように構成された本発明においては、排水弁水圧駆動部が、供給された水道水の給水圧を利用して排水弁を駆動する。一方、蓄電制御においては、発電機に水道水が流されるが、排水弁水圧駆動部によって排水弁が開弁されることはない。このため、上記のように構成された本発明によれば、蓄電制御の実行により排水弁が開弁されて、貯水タンク内の洗浄水が大流量で水洗便器に流入することはなく、不意の洗浄水の供給により使用者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、貯水タンクはオーバーフロー管を有し、蓄電制御によって供給された水道水は、オーバーフロー管を通って水洗便器へ流出する。
【0012】
このように構成された本発明においては、蓄電制御の実行により、発電機を通って貯水タンク内に流入した洗浄水は、オーバーフロー管を通って水洗便器へ流出する。このため、特別な流路を設けることなく貯水タンク内の洗浄水を水洗便器へ逃がすことができ、貯水タンク内の水位を適正に維持することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、制御部は、使用者の操作に基づく水洗便器の通常の洗浄が行われ、排水弁が閉弁された後、連続して蓄電制御を実行する。
このように構成された本発明においては、使用者が水洗便器を使用した後、水洗便器の通常洗浄を実行すると、通常洗浄の終了後、排水弁が閉弁される。蓄電制御は、この通常洗浄の終了後、排水弁が閉弁された後、連続して実行される。このため、蓄電制御の実行によって水道水が貯水タンク内に流入していることが使用者によって認識されにくく、使用者に違和感を与えるのを抑制することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、制御部は、蓄電部に蓄積された電力が所定量以下になると、自動的に蓄電制御を実行する。
このように構成された本発明によれば、蓄電部に蓄積された電力が所定量以下になると、蓄電制御が自動的に実行されるので、使用者は、何ら操作を行うことなく、蓄電部に蓄積された電力が不足するのを回避することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、さらに、人体検知センサを有し、制御部は、人体検知センサが使用者を検知していないとき、自動的に蓄電制御を実行する。
このように構成された本発明によれば、人体検知センサが使用者を検知していないとき、蓄電制御が自動的に実行されるので、蓄電制御の実行により使用者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、制御部は、蓄電制御においては、水洗便器の通常の洗浄よりも多くの洗浄水を発電機に供給する。
このように構成された本発明によれば、蓄電制御において、水洗便器の通常の洗浄よりも多くの洗浄水が発電機に供給されるので、発電機により十分な電力を生成することができ、蓄電部に蓄積された電力の不足を効果的に防止することができる。
【0017】
また、本発明は、水洗便器装置であって、本発明の洗浄水タンク装置と、この洗浄水タンク装置から供給される洗浄水により洗浄される水洗便器と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の洗浄水タンク装置によれば、洗浄水タンク装置に備えられた蓄電部が電力不足に陥るのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗便器装置全体を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた給水制御装置を示す断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置において、蓄電制御の実行タイミングを決定するために、コントローラにおいて実行されるフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による水洗便器装置を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置を備えた水洗便器装置全体を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。図3は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置に備えられた給水制御弁を示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施形態による水洗便器装置1は、水洗便器である水洗便器本体2と、この水洗便器本体2の後部に載置された、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4から構成されている。本実施形態の水洗便器装置1は、使用後に、壁面に取り付けられたリモコン装置6を操作するか、便座に設けられた人体検知センサである人感センサ8が使用者の離座を検知した後、所定時間経過することにより、水洗便器本体2のボウル部2aの洗浄が行われるように構成されている。本実施形態による洗浄水タンク装置4は、リモコン装置6又は人感センサ8からの指示信号に基づいて、内部に貯留されている洗浄水を水洗便器本体2に排出し、この洗浄水によりボウル部2aを洗浄するように構成されている。なお、本実施形態では人感センサ8は便座に設けられているが、本発明はこの形態に限るものではなく、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できる位置に設けられていればよく、例えば、水洗便器本体2や洗浄水タンク装置4に設けることもできる。また、人感センサ8は、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できるものであればよく、例えば、赤外線センサやマイクロ波センサを人感センサ8として使用することができる。
【0022】
図2に示すように、洗浄水タンク装置4は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する貯水タンク10と、この貯水タンク10に設けられた排水口10aを開閉するための排水弁12と、この排水弁12を駆動する排水弁水圧駆動部14と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置4は、排水弁水圧駆動部14の下流側の水路に設けられた発電機16と、排水弁水圧駆動部14及び貯水タンク10内への給水を制御する給水制御装置18と、給水制御装置18と排水弁水圧駆動部14の間の水路に設けられた流調弁19と、給水制御装置18に取り付けられ、発電機16によって生成された電力により作動する電磁弁20と、を内部に有する。
【0023】
貯水タンク10は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留するように構成されたタンクであり、その底部には貯留した洗浄水を水洗便器本体2へ排出するための排水口10aが形成されている。また、貯水タンク10内において、排水口10aの下流側にはオーバーフロー管10bが接続されている。このオーバーフロー管10bは、排水口10aの近傍から垂直に立ち上がり、貯水タンク10内に貯留されている洗浄水の水面よりも上方まで延びている。従って、オーバーフロー管10bの上端から流入した洗浄水は、排水口10aをバイパスして、水洗便器本体2へ直接流出する。
【0024】
排水弁12は、排水口10aを開閉するように配置された弁体であり、排水弁12が上方に引き上げられることにより開弁され、貯水タンク10内の洗浄水が水洗便器本体2に排出されて、ボウル部2aが洗浄される。
【0025】
排水弁水圧駆動部14は、水道から供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁12を駆動するように構成されている。具体的には、排水弁水圧駆動部14は、給水制御装置18から供給された水が流入するシリンダ14aと、このシリンダ14a内に摺動可能に配置されたピストン14bと、シリンダ14aの下端から突出して排水弁12を駆動するロッド15と、を有する。さらに、シリンダ14aの内部にはスプリング14cが配置されており、ピストン14bを下方に向けて付勢していると共に、ピストン14bにはパッキン14eが取り付けられ、シリンダ14aの内壁面とピストン14bの間の水密性が確保されている。また、ロッド15の途中には、クラッチ機構22が設けられており、このクラッチ22により、ロッド15は上部ロッド15aと下部ロッド15bに切り離される。
【0026】
シリンダ14aは円筒形の部材であり、その軸線を鉛直方向に向けて配置されると共に、内部にピストン14bを摺動可能に受け入れている。また、シリンダ14aの下端部には、駆動部給水路である流入管24aが接続されており、給水制御装置18から流出した水がシリンダ14a内に流入するようになっている。このため、シリンダ14a内のピストン14bは、シリンダ14aに流入した水により、スプリング14cの付勢力に抗して押し上げられる。
【0027】
一方、シリンダ14aの下端部には流出孔も設けられており、駆動部排水路である流出管24bは、この流出孔を介してシリンダ14aの内部と連通している。従って、シリンダ14a下部に接続された流入管24aからシリンダ14a内に水が流入すると、ピストン14bは、流入した水の水勢により、第1の位置であるシリンダ14aの下部から上方へ押し上げられる。そして、シリンダ14aに流入した水は流出孔から流出管24bを通って流出する。また、シリンダ14aから延びる流出管24bの先端部には流出管分岐部24cが設けられている。流出管分岐部24cにおいて分岐した流出管24bは、その一方が貯水タンク10内に水を流出させ、他方がオーバーフロー管10bの中に水を流出させるように構成されている。従って、シリンダ14aから流出した水の一部は、オーバーフロー管10bを通って水洗便器本体2に排出され、残りは貯水タンク10内に貯留される。
【0028】
ロッド15は、ピストン14bの下面に接続された棒状の部材であり、シリンダ14aの底面に形成された貫通孔14fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びている。また、ロッド15の下端には排水弁12が接続されており、ロッド15は、ピストン14bと排水弁12を連結している。このため、シリンダ14aに水が流入してピストン14bが押し上げられると、ピストン14bに接続されたロッド15が排水弁12を上方に吊り上げ、排水弁12が開弁される。
【0029】
また、シリンダ14aの下方から突出するロッド15と、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁との間には、隙間14dが設けられ、シリンダ14aに流入した水の一部は、この隙間14dから流出する。隙間14dから流出した水は、貯水タンク10内に流入する。なお、この隙間14dや、シリンダ14aの流出孔は比較的流路断面積が狭く、流路抵抗が大きい。このため、隙間14dや流出孔から水が流出する状態であっても、水勢が強い場合には、流入管24aからシリンダ14aに流入する水によりシリンダ14a内の圧力が上昇し、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bが押し上げられる。
【0030】
さらに、ロッド15の途中には、クラッチ機構22が設けられている。クラッチ機構22は、ロッド15(排水弁12)が所定距離吊り上げられると、ロッド15を上部ロッド15aと下部ロッド15bに切り離すように構成されている。クラッチ機構22が切り離された状態では、下部ロッド15bは、ピストン14b及び上部ロッド15aの上部の動きに連動しなくなり、下部ロッド15bは排水弁12と共に、浮力に抵抗しながら重力により降下する。
【0031】
また、排水弁12の近傍には、排水弁フロート機構26が設けられている。この排水弁フロート機構26は、ロッド15が所定距離吊り上げられ、クラッチ機構22により下部ロッド15bが切り離された後、下部ロッド15b及び排水弁12が降下して、排水口10aを閉弁させるのを遅延させるように構成されている。具体的には、排水弁フロート機構26は、フロート部26aと、このフロート部26aと連動した係合部26bと、を有する。
【0032】
係合部26bは、クラッチ機構22により切り離されて降下してきた下部ロッド15bと係合し、下部ロッド15b及び排水弁12が降下して、排水口10aに着座するのを阻止するように構成されている。次いで、貯水タンク10内の水位低下と共にフロート部26aが下降し、貯水タンク10内の水位が所定水位まで低下すると、フロート部26aが係合部26bを回動させて、係合部26bと下部ロッド15bの係合が解除される。係合が解除されることにより、下部ロッド15b及び排水弁12は降下して、排水口10aに着座する。これにより、排水弁12の閉弁が遅延され、適正量の洗浄水が、排水口10aから排出されるようになっている。
【0033】
一方、発電機16は、排水弁水圧駆動部14の下流側に設けられた流出管24bの途中に設けられており、排水弁水圧駆動部14から流出し、流出管分岐部24cに流入する水の流れに基づいて、電力を生成するように構成されている。具体的には、発電機16は水車(図示せず)を備えており、流出管24b内の水流により、この水車が回転駆動されることにより電力が生成される。発電機16によって生成された電力は、発電機16に接続されたコントローラ28に送られ、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ28aに充電される。なお、水洗便器本体2の1回の洗浄により生成され、蓄積される電力は、1回の洗浄で電磁弁20を作動させるために消費される電力よりも多く、洗浄で使用する電力を発電機16の発電電力で賄うことができる。従って、本実施形態の洗浄水タンク装置4は、自己の発電した電力を使用して、水洗便器本体2への洗浄水の供給を行っている。
【0034】
また、給水制御装置18と排水弁水圧駆動部14の間の流入管24aには、バキュームブレーカ30及び流調弁19が設けられている。
バキュームブレーカ30により、給水制御装置18側が負圧になった場合には、流入管24aに外気が吸引され、排水弁水圧駆動部14側からの水の逆流が防止される。
【0035】
流調弁19は、バキュームブレーカ30の下流側に設けられ、排水弁水圧駆動部14に流入する水の流量を調整するように構成されている。また、流調弁19は、コントローラ28からの制御信号に基づいて、通過させる流量が変更できるように構成されている。本実施形態では、通常の便器洗浄時においては、流調弁19を通過する流量は実質的に絞られることはなく、後述する蓄電制御の実行時においては、流調弁19を通過する水の流量が絞られる。
【0036】
次に、給水制御装置18は、電磁弁20の作動に基づいて排水弁水圧駆動部14への給水を制御すると共に、貯水タンク10への給水、停止を制御するように構成されている。即ち、給水制御装置18は、水道に接続された給水管32と、排水弁水圧駆動部14に接続された流入管24aとの間に接続されており、コントローラ28からの指示信号に基づいて、給水管32から供給された水の、排水弁水圧駆動部14への供給、停止を制御する。本実施形態においては、給水制御装置18から流出した水は、全量が流入管24aを通って排水弁水圧駆動部14に供給される。排水弁水圧駆動部14に供給された水の一部は、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間14dから流出して貯水タンク10へ流入する。また、排水弁水圧駆動部14に供給された水の多くは、流出管24bを通ってシリンダ14aから流出し、流出管分岐部24cにおいて貯水タンク10に流入する部分と、オーバーフロー管10bを介して水洗便器本体2に流入する部分に分岐される。
【0037】
なお、本実施形態においては、制御部であるコントローラ28には、回路基板(図示せず)及び蓄電部であるキャパシタ28aが内蔵されている。この回路基板には、発電機16からの交流電力を直流に変換する整流回路が設けられ、整流回路からの直流電流によってキャパシタ28aが充電され、キャパシタ28aからの電力によって、回路基板上に設けられた電磁弁制御回路が作動する。
【0038】
また、水道から供給された水は、貯水タンク10の外側に配置された止水栓32a、この止水栓32aの下流側の、貯水タンク10の中に配置された定流量弁32bを介して給水制御装置18に供給される。止水栓32aは、メンテナンス時等に洗浄水タンク装置4への水の供給を停止させるために設けられており、通常は開栓された状態で使用される。定流量弁32bは、水道から供給された水を、所定流量で給水制御装置18に流入させるために設けられており、水洗便器装置1の設置環境に関わらず一定流量の水が給水制御装置18に供給されるように構成されている。
【0039】
また、給水制御装置18には電磁弁20が取り付けられており、この電磁弁20の作動に基づいて、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水が制御される。具体的には、リモコン装置6や人感センサ8からの信号をコントローラ28が受信し、コントローラ28は電磁弁20に電気信号を送り、これを作動させる。電磁弁20は、発電機16によって生成され、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ28aに充電されていた電力によって作動される。
【0040】
一方、給水制御装置18には、給水弁フロート34も接続されており、貯水タンク10内の貯水水位を所定水位L1に設定するように構成されている。給水弁フロート34は貯水タンク10内に配置されており、貯水タンク10の水位上昇と共に上昇して、水位が所定水位L1まで上昇すると、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水を停止させるように構成されている。
【0041】
次に、図3を参照して、給水制御装置18の構成を説明する。
図3に示すように、給水制御装置18は、給水管32及び流入管24aが接続された本体部36と、この本体部36の中に配置された主弁体38と、この主弁体38が着座する弁座40と、給水弁フロート34によって回動されるアーム部42と、このアーム部42の回動によって移動されるフロート側パイロット弁44と、を有する。
【0042】
また、給水制御装置18に取り付けられた電磁弁20は、駆動力を発生させるためのソレノイドコイル46と、このソレノイドコイル46によって駆動されるプランジャー48と、このプランジャー48に取り付けられた電磁弁側パイロット弁50と、閉弁時において電磁弁側パイロット弁50を主弁体38に押しつけるコイルスプリング52と、を有する。
【0043】
本体部36は、下部に給水管32の接続部、一側に流入管24aの接続部が設けられた部材であり、流入管24aの反対側の側面には、電磁弁20が取り付けられるように構成されている。また、本体部36の内部には、弁座40が形成されており、この弁座40は、接続部に接続された流入管24aに連通するようになっている。さらに、本体部36の内部には、弁座40を開閉するように主弁体38が配置されており、開弁時においては、給水管32から流入した水道水が、弁座40を通って、流入管24aに流出するように構成されている。
【0044】
主弁体38は、概ね円板状のダイヤフラム式の弁体であり、弁座40に対して着座、離座できるように、本体部36の中に取り付けられている。また、主弁体38の中央には、電磁弁20の電磁弁側パイロット弁50によって開閉されるパイロット弁口38aが設けられ、主弁体38の周縁部にはブリード穴38bが設けられている。また、本体部36内には、主弁体38に対して、弁座40の反対側(図3において左側)に、圧力室36aが形成されている。即ち、圧力室36aは、本体部36の内壁面と主弁体38によって画定され、この圧力室36a内の圧力が高くなると、この圧力によって主弁体38が弁座40に押しつけられて、弁座40に着座する。
【0045】
一方、電磁弁20は、弁座40に対向するように、本体部36に取り付けられており、電磁弁側パイロット弁50を、本体部36の圧力室36a内に進退させることができるように構成されている。即ち、電磁弁20中央部には、プランジャー48が摺動可能に配置され、このプランジャー48の周囲には、ソレノイドコイル46が設けられている。また、プランジャー48の先端には電磁弁側パイロット弁50が取り付けられ、この電磁弁側パイロット弁50はコイルスプリング52の付勢力によって主弁体38のパイロット弁口38aに押しつけられ、これを閉弁している。従って、通常時においては、電磁弁側パイロット弁50は、コイルスプリング52の付勢力によりパイロット弁口38aを閉弁させている。一方、ソレノイドコイル46に通電されると、ソレノイドコイル46とプランジャー48の間に作用する電磁力により、電磁弁側パイロット弁50がパイロット弁口38aから引き離され、パイロット弁口38aが開弁される。
【0046】
さらに、本体部36内に設けられた圧力室36aには、これに連通するように、圧力通路36bが上方に向けて延びており、この圧力通路36bの上端には、フロート側パイロット弁口44aが設けられている。このフロート側パイロット弁口44aは、上方に向けて開口しており、フロート側パイロット弁44によって開閉されるように構成されている。
【0047】
一方、給水弁フロート34はアーム部42によって支持されており、このアーム部42は、支持軸42aにより回動可能に支持されている。さらに、アーム部42にはフロート側パイロット弁44が連結されており、アーム部42の回動と共にフロート側パイロット弁44が上下方向に移動されるように構成されている。これにより、貯水タンク10内の水位が所定水位L1まで上昇している状態では給水弁フロート34が上方に押し上げられ、これに伴いフロート側パイロット弁44が下方に移動され、フロート側パイロット弁口44aに着座して、これを閉弁させている。一方、貯水タンク10内の洗浄水が排水され、貯水タンク10内の水位が低下すると、給水弁フロート34が下方に下がり、フロート側パイロット弁44が上方に移動して、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。
【0048】
この構成により、貯水タンク10内の水位が所定水位L1にあり、電磁弁20のソレノイドコイル46に通電されていない、便器洗浄の待機時においては、主弁体38のパイロット弁口38a、及び本体部36のフロート側パイロット弁口44aは、共に閉弁状態となっている。
【0049】
また、給水管32から本体部36内に流入した水道水は、弁座40の周囲の環状の空間に流入し、ここから主弁体38のブリード穴38bを通って圧力室36a内に流入する。ここで、主弁体38のパイロット弁口38aが電磁弁側パイロット弁50によって閉弁され、且つフロート側パイロット弁口44aがフロート側パイロット弁44によって閉弁されている状態では、ブリード穴38bから圧力室36aに流入した水道水が流出する経路がなく、圧力室36a内の圧力が上昇する。このように圧力室36a内の圧力が上昇すると、この圧力により主弁体38が弁座40に向けて(図3における右側に)押圧され、主弁体38により弁座40が閉弁される。なお、便器洗浄の待機中の、弁座40が閉弁された状態では、主弁体38のパイロット弁口38aはコイルスプリング52の付勢力によって閉弁され、フロート側パイロット弁口44aは給水弁フロート34の浮力によって閉弁されているので、電磁弁20によって電力が消費されることはない。
【0050】
一方、電磁弁20のソレノイドコイル46に通電が行われると、プランジャー48に作用する電磁力により、電磁弁側パイロット弁50がパイロット弁口38aから引き離され、圧力室36a内の水がパイロット弁口38aから流出して、圧力室36a内の圧力が低下する。これにより、主弁体38が弁座40から引き離されるように(図3における左側に)移動され、弁座40が開弁される。また、貯水タンク10内の水位が所定水位L1よりも低下している状態においては、給水弁フロート34が下がって、フロート側パイロット弁44が上方に移動して、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。このように、主弁体38のパイロット弁口38a又はフロート側パイロット弁口44aの何れか一方でも開弁されている状態では、圧力室36a内の圧力が上昇することはないため、弁座40は開弁される。
【0051】
次に、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置4、及びそれを備えた水洗便器装置1の作用を説明する。
まず、上記のように便器洗浄の待機状態においては、貯水タンク10内の水位が所定水位L1にあり、電磁弁20のソレノイドコイル46への通電は行われていない。この状態では、主弁体38のパイロット弁口38a、及び本体部36のフロート側パイロット弁口44aは、共に閉弁状態となり、弁座40は主弁体38によって閉弁されている。次に、使用者がリモコン装置6(図1)の洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、便器洗浄の指示信号をコントローラ28(図2)に送信する。なお、本実施形態の水洗便器装置1においては、人感センサ8(図1)によって使用者の離座が検知された後、リモコン装置6の洗浄ボタンが押されることなく、所定時間経過した場合にも、便器洗浄の指示信号がコントローラ28に送信される。
【0052】
便器洗浄の指示信号を受信すると、コントローラ28は、電磁弁20のソレノイドコイル46(図3)に通電を行い、電磁弁側パイロット弁50を主弁体38のパイロット弁口38aから離座させる。これにより、圧力室36a内の圧力が低下し、主弁体38が弁座40から離座して、弁座40が開弁される。この結果、給水管32から給水制御装置18(図2)に供給された水道水は、給水制御装置18から流出して流入管24a内を流れる。
【0053】
さらに、流入管24a内を流れた水は、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14a内に流入する。シリンダ14a内に流入した水は、スプリング14cの付勢力に抗してピストン14bを押し上げる。これにより、ピストン14bに連結されたロッド15、このロッド15に連結された排水弁12も引き上げられ、排水弁12が排水口10aから離間する。即ち、排水弁12は、給水管32を介して給水された水道水の給水圧により駆動され、開弁される。
【0054】
排水弁12が開弁されると、貯水タンク10内に貯留されていた洗浄水(水道水)が、排水口10aを通って水洗便器本体2のボウル部2aに排出され、ボウル部2aが洗浄される。また、貯水タンク10内の洗浄水が排出されると、貯水タンク10内の水位が所定水位L1よりも低下するので、給水弁フロート34が下がる。これにより、アーム部42(図3)が回動し、フロート側パイロット弁44がフロート側パイロット弁口44aから離座し、フロート側パイロット弁口44aが開弁される。
【0055】
なお、フロート側パイロット弁口44aが開弁した状態では、主弁体38のパイロット弁口38aが閉弁されても、圧力室36a内の圧力が上昇することはないため、弁座40から主弁体38が離座した状態(開弁状態)を維持することができる。このため、コントローラ28はソレノイドコイル46に通電して主弁体38を開弁させた後、所定時間経過して、貯水タンク10内の水位が低下すると、ソレノイドコイル46への通電を停止させる。これにより、電磁弁側パイロット弁50は、コイルスプリング52の付勢力によりパイロット弁口38aに押しつけられるが、貯水タンク10内の水位が低下した状態では、フロート側パイロット弁口44aが開弁されているため、主弁体38は弁座40から離座したままになる。即ち、コントローラ28は、ソレノイドコイル46に短時間通電するだけで、長時間主弁体38を開弁させることができ、僅かな電力消費で1回の便器洗浄を実行することができる。
【0056】
一方、流入管24aから排水弁水圧駆動部14のシリンダ14aに流入した水はピストン14bを上方に押し上げ、流出管24bを通ってシリンダ14aから流出する。流出管24bを通って流出した水は、発電機16の水車(図示せず)を回転させて電力を生成する。生成された電力は、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ28aに充電される。発電機16を通過した水は、流出管分岐部24cにおいて分岐され、貯水タンク10内、及びオーバーフロー管10b内に夫々流入する。また、流入管24aからシリンダ14aに流入した水の一部は、シリンダ14aの貫通孔14fの内壁とロッド15の間の隙間14dから流出し、この水は、貯水タンク10に流入する。
【0057】
また、ピストン14bが押し上げられ、これに伴いロッド15及び排水弁12が所定位置まで引き上げられると、クラッチ機構22が、下部ロッド15b及び排水弁12を、上部ロッド15aから切り離す。これにより、上部ロッド15aはピストン14bと共に上方に押し上げられたままになる一方、下部ロッド15b及び排水弁12は、自重により降下する。しかしながら、切り離された下部ロッド15bは、排水弁フロート機構26の係合部26bと係合し、下部ロッド15b及び排水弁12の降下が阻止される。これにより、貯水タンク10の排水口10aは開弁されたままとなり、貯水タンク10からの排水が継続される。
【0058】
ここで、貯水タンク10内の水位が、所定水位L1よりも低い第2の所定水位L2まで低下すると、排水弁フロート機構26のフロート部26aが下降し、これが係合部26bを移動させる。これにより、下部ロッド15bと係合部26bとの係合が解除され、下部ロッド15b及び排水弁12は再び降下し始める。その後、排水弁12が貯水タンク10の排水口10aを閉弁させ、水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。排水口10aが閉弁された後も、給水制御装置18内の弁座40は開弁された状態にあるため、給水管32から供給された水が排水弁水圧駆動部14内に流入し、排水弁水圧駆動部14から流出した水は、流出管24bを通って貯水タンク10内に流入するので、貯水タンク10内の水位が上昇する。
【0059】
貯水タンク10内の水位が所定水位L1まで上昇すると、給水弁フロート34が上昇し、アーム部42を介してフロート側パイロット弁44が下降され、フロート側パイロット弁口44aが閉弁される。これにより、フロート側パイロット弁口44a及び主弁体38のパイロット弁口38aが閉弁されるので、圧力室36a内の圧力が上昇し、主弁体38が弁座40に着座する。この結果、給水制御装置18から排水弁水圧駆動部14への給水が停止され、発電機16による電力の生成が終了する。また、排水弁水圧駆動部14のピストン14bは、スプリング14cの付勢力により押し下げられる。ピストン14bと共に上部ロッド15aが押し下げられると、クラッチ機構22により切り離されていた上部ロッド15aと下部ロッド15bが再び連結される。このため、次回、便器洗浄が実行された時は、上部ロッド15a及び下部ロッド15bは、ピストン14bにより共に引き上げられる。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置1は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
【0060】
次に、図4を参照して、コントローラ28により実行される蓄電制御を説明する。
図4は、蓄電制御の実行タイミングを決定するために、コントローラ28において実行されるフローチャートである。蓄電制御は、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ28aに蓄積された電力(電荷)が不足することのないよう、コントローラ28によって所定のタイミングで実行される。なお、図4に示すフローチャートは、コントローラ28の作動中、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0061】
まず、図4のステップS1においては、キャパシタ28aの充電残量が所定量Vよりも多いか否かが判断される。キャパシタ28aに蓄積された電力(充電残量)が所定量Vよりも多い場合にはステップS2に進み、蓄電制御を実行することなく(ステップS2)、図4に示すフローチャートの1回の処理を終了する。なお、本実施形態において、所定量Vは、電磁弁20を作動させ、便器洗浄を1回実行することができる電力よりも大きい充電残量に設定されている。これにより、キャパシタ28aに蓄積された電力が不足して、便器洗浄不能な状態に陥るのを防止している。
【0062】
一方、ステップS1において、キャパシタ28aの充電残量が所定量V以下であると判断された場合にはステップS3に進み、ここでは、蓄電制御の待機状態が設定される。
次いで、ステップS4においては、水洗便器装置1の使用者により、便器洗浄操作が行われたか否かが判断される。使用者により便器洗浄操作が行われた場合には、ステップS5に進み、便器洗浄操作が行われていない場合にはステップS6に進む。
【0063】
ステップS6においては、ステップS3において蓄電制御の待機状態が設定された後、所定時間経過したか否かが判断される。蓄電制御の待機状態が設定された後、所定時間経過した場合にはステップS7に進み、所定時間経過していない場合にはステップS4に戻る。従って、ステップS3において蓄電制御の待機状態が設定された後、使用者により便器洗浄操作が実行されるまでは、ステップS4→S6→S4の処理が繰り返し実行される。
【0064】
ステップS3において蓄電制御の待機状態が設定された後、所定時間経過する前に使用者により便器洗浄操作が実行された場合には、図4に示すフローチャートにおける処理はステップS5に進み、ここでは、通常の便器洗浄が実行された後、蓄電制御が実行される。なお、蓄電制御が実行されると、ステップS3において設定された蓄電制御の待機状態はリセットされる。ステップS5において、コントローラ28は、まず、電磁弁20に制御信号を送り、通常の便器洗浄を実行する。上述したように、蓄電制御の待機状態にあっても、キャパシタ28aには、便器洗浄のために電磁弁20を1回作動させるには十分な電力が残っているため、通常の便器洗浄を実行することができる。ここで実行される通常の便器洗浄は、上述した便器洗浄と同様である。
【0065】
通常の便器洗浄は、水洗便器本体2のボウル部2aを洗浄するために、排水弁12が1回開弁され、これが閉弁された後、貯水タンク10内の洗浄水の水位が所定水位L1に復帰し、フロート側パイロット弁口44aが閉弁されることにより終了する。ここで、コントローラ28において蓄電制御の待機状態が設定されている場合には、通常の便器洗浄により開弁された排水弁12が閉弁された後、連続して蓄電制御が実行される。
【0066】
コントローラ28は、蓄電制御において、まず、流調弁19に信号を送り、流調弁19の開度を小さくする。次いで、コントローラ28は、電磁弁20に信号を送り、電磁弁側パイロット弁50(図3)を主弁体38のパイロット弁口38aから離座させ、主弁体38を開弁させる。これにより、給水管32(図2)から供給された水道水は、給水制御装置18、流調弁19を通って、排水弁水圧駆動部14に流入する。ここで、蓄電制御中においては、流調弁19の開度が絞られているため、排水弁水圧駆動部14のシリンダ14aに流入する水道水の水勢は、通常の便器洗浄時よりも弱くされている。このため、流入管24aからシリンダ14aに流入した水道水は、ピストン14bを殆ど押し上げることなく、流出管24bに流出する。
【0067】
シリンダ14aから流出管24bに流出した水道水は、流出管24bに設けられた発電機16の水車(図示せず)を回転させて電力を生成し、生成された電力は、コントローラ28に内蔵されたキャパシタ28aに蓄積される。このように、蓄電制御においては、排水弁水圧駆動部14により排水弁12が開弁されることなく、発電機16によって電力が生成される。発電機16において電力の生成に使用された水は、流出管分岐部24cによって分岐され、一部が貯水タンク10に流入し、残りがオーバーフロー管10bに直接流入する。
【0068】
また、本実施形態においては、1回の蓄電制御において発電機16に供給される水道水は、1回の通常の便器洗浄において発電機16に供給される水道水よりも多くされている。このため、1回の蓄電制御により多くの電力を生成することができ、十分な電力(電荷)をキャパシタ28aに蓄積することができる。また、流調弁19によって調整される流量は、発電機16によって効率良く発電を行うことができる流量に設定されているため、蓄電制御により供給された水道水の総量に対して、より多くの電力を生成することができる。
【0069】
さらに、蓄電制御により供給された水道水が貯水タンク10に流入することにより、貯水タンク10内の水位が所定水位L1を超えて、オーバーフロー管10bの上端よりも高くなると、一旦貯水タンク10内に流入した水が、オーバーフロー管10bを通って水洗便器本体2に排出される。このように、蓄電制御により供給された水道水は、流出管分岐部24cを介して直接、又は一旦貯水タンク10内に流入した後、間接的にオーバーフロー管10bを通って水洗便器本体2に排出される。これにより、貯水タンク10内の水位が適正な水位に維持される。また、蓄電制御により供給された水が、排水口10aを通って一時に、大流量で水洗便器本体2に排出されることがないため、不意に大流量の洗浄水が水洗便器本体2に流れ込み、使用者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0070】
一方、図4のステップS3において、蓄電制御の待機状態が設定された後、使用者により便器洗浄操作が実行されることなく所定時間経過した場合には、図4のフローチャートにおける処理はステップS7に進む。ステップS7においては、人感センサ8により、水洗便器装置1の近傍に(トイレ室内に)居る人が検知されているか否かが判断される。人感センサ8により人が検知されていない場合にはステップS8に進み、ここでは蓄電制御が自動的に実行され、図4のフローチャートの1回の処理を終了する。また、蓄電制御が実行されると、ステップS3において設定された蓄電制御の待機状態はリセットされる。ステップS8において実行される蓄電制御は、ステップS5において通常の便器洗浄の後に実行される蓄電制御と同一であるので、説明を省略する。
【0071】
また、ステップS7において、人感センサ8により人が検知されている場合には、図4のフローチャートにおける処理はステップS4に戻る。以降、フローチャートにおいてはステップS7→S4→S6→S7の処理が繰り返され、人感センサ8により人が検知されなくなると、ステップS8における蓄電制御が実行される。このように、人感センサ8により人が検知されている状態では、蓄電制御が自動的に実行開始されることがないため、給水が自動的に開始されることにより、使用者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0072】
本発明の第1実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、キャパシタ28aに蓄積された電力が所定量以下になると(図4のステップS1→S3)、コントローラ28は蓄電制御を実行し(ステップS5又はS8)、発電機16に電力を生成させるので、キャパシタ28aに蓄積された電力が不足するのを回避することができる。これにより、水洗便器装置1が長期間使用されない場合等においても、キャパシタ28aが電力不足に陥るのを抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、蓄電制御においては、発電機16に水道水が流されるが、排水弁水圧駆動部14によって排水弁12が開弁されることはない。このため、蓄電制御の実行により排水弁12が開弁されて、貯水タンク10内の洗浄水が大流量で水洗便器本体2に流入することはなく、不意の洗浄水の供給により使用者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0074】
さらに、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、蓄電制御の実行により、発電機16を通って貯水タンク10内に流入した洗浄水は、オーバーフロー管10bを通って水洗便器本体2へ流出する。このため、特別な流路を設けることなく貯水タンク10内の洗浄水を水洗便器本体2へ逃がすことができ、貯水タンク10内の水位を適正に維持することができる。
【0075】
また、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、通常洗浄の終了後、排水弁が閉弁された後、連続して蓄電制御が実行される(図4のステップS5)。このため、蓄電制御の実行によって水道水が貯水タンク10内に流入していることが使用者によって認識されにくく、使用者に違和感を与えるのを抑制することができる。
【0076】
さらに、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、キャパシタ28aに蓄積された電力が所定量以下になると、蓄電制御が自動的に実行される(図4のステップS8)ので、使用者は、何ら操作を行うことなく、キャパシタ28aに蓄積された電力が不足するのを回避することができる。
【0077】
また、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、人感センサ8が使用者を検知していないとき、蓄電制御が自動的に実行される(図4のステップS7→S8)ので、蓄電制御の実行により使用者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0078】
さらに、本実施形態の洗浄水タンク装置4によれば、蓄電制御において、水洗便器本体2の通常の洗浄よりも多くの洗浄水が発電機16に供給されるので、発電機16により十分な電力を生成することができ、キャパシタ28aに蓄積された電力の不足を効果的に防止することができる。
【0079】
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗便器装置を説明する。
本実施形態の洗浄水タンク装置は、給水制御装置が2つの主弁体を有し、排水弁水圧駆動部への水の供給と、貯水タンク内への水の供給が別系統で行われる点が、上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第2実施形態の、第1実施形態とは異なる部分のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図5は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の概略構成を示す断面図である。
【0080】
図5に示すように、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置104は、水洗便器である水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留する貯水タンク110と、この貯水タンク110に設けられた排水口110aを開閉するための排水弁112と、この排水弁112を駆動する排水弁水圧駆動部114と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置104は、主として排水弁水圧駆動部114への給水を制御する排水制御弁118と、排水制御弁118に取り付けられた電磁弁120と、を有する。また、洗浄水タンク装置104は、主として貯水タンク110への給水を制御する給水制御装置である給水制御弁119と、給水制御弁119に取り付けられた第2の電磁弁121と、給水制御弁119の下流側の水路に設けられた発電機116と、を有する。
【0081】
貯水タンク110は、水洗便器本体2に供給すべき洗浄水を貯留するように構成され、底部には排水口110aが形成されている。また、排水口110aの下流側にはオーバーフロー管110bが接続され、貯水タンク110内に貯留されている洗浄水の水面よりも上方まで延びている。排水弁112は、排水口110aを開閉するように配置された弁体であり、上方に引き上げられることにより洗浄水が水洗便器本体2に排出されて、ボウル部2aが洗浄される。
【0082】
排水弁水圧駆動部114は、水道から供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁112を駆動するように構成されている。具体的には、排水弁水圧駆動部114は、排水制御弁118を介して供給された水が流入するシリンダ114aと、ピストン114bと、排水弁112を駆動するロッド115と、を有する。さらに、シリンダ114aの内部にはスプリング114cが配置されており、ピストン114bを下方に向けて付勢していると共に、ピストン114bにはパッキン114eが取り付けられ、シリンダ114aの内壁面とピストン114bの間の水密性が確保されている。また、ロッド115の途中には、クラッチ機構122が設けられており、このクラッチ122により、ロッド115は上部ロッド115aと下部ロッド115bに切り離される。
【0083】
シリンダ114aは円筒形の部材で、ピストン114bを摺動可能に受け入れており、その下端部には、駆動部給水路である流入管124aが接続されている。排水制御弁118から流出した水はシリンダ114a内に流入し、ピストン114bは、シリンダ114aに流入した水により、スプリング114cの付勢力に抗して押し上げられる。
【0084】
一方、シリンダ114aの上端部には、駆動部排水路である流出管124bが接続されている。ピストン114bが流出管124bの接続部よりも上方まで押し上げられた状態では、シリンダ114aに流入した水は流出管124bを通って流出する。流出管124bは、シリンダ114aから下方に向けて延び、貯水タンク110内に水を流出させる。従って、シリンダ114aから流出した水は、全量が貯水タンク110内に貯留される。
【0085】
ロッド115は、ピストン114bの下面に接続され、シリンダ114aの底面に形成された貫通孔114fを通って、シリンダ14aの中から下方に突出するように延びて、下端が排水弁112に接続されている。このため、ピストン114bが押し上げられると、ロッド115が排水弁112を上方に吊り上げ、排水弁112が開弁される。
【0086】
また、シリンダ114aの下方から突出するロッド115と、シリンダ114aの貫通孔114fの内壁との間には、隙間114dが設けられ、シリンダ114aに流入した水の一部は、この隙間114dから流出する。隙間114dから流出した水は、貯水タンク110内に流入する。
さらに、ロッド115の途中には、クラッチ機構122が設けられており、これにより、ロッド115(排水弁112)が所定距離吊り上げられると、ロッド115が上部ロッド115aと下部ロッド115bに切り離される。
【0087】
また、排水弁112の近傍には、排水弁フロート機構126が設けられている。この排水弁フロート機構126は、ロッド115が所定距離吊り上げられ、クラッチ機構122により下部ロッド115bが切り離された後、下部ロッド115bの及び排水弁112が降下して、排水口110aを閉弁させるのを遅延させるように構成されている。具体的には、排水弁フロート機構126は、フロート部126aと、このフロート部126aと連動した係合部126bと、を有する。
【0088】
係合部126bは、クラッチ機構122により切り離されて降下してきた下部ロッド115bと係合し、下部ロッド115b及び排水弁112が降下して、排水口110aに着座するのを阻止するように構成されている。次いで、貯水タンク110内の水位が所定水位まで下降すると、フロート部126aが係合部126bを回動させて、係合が解除される。係合が解除されることにより、下部ロッド115b及び排水弁112は降下して、排水口110aに着座する。これにより、排水弁112の閉弁が遅延され、適正量の洗浄水が、排水口110aから排出されるようになっている。
【0089】
また、排水制御弁118と排水弁水圧駆動部114の間の流入管124aには、バキュームブレーカ130が設けられている。さらに、コントローラ128にはフロートスイッチ129が接続されており、このフロートスイッチ129は、貯水タンク110内に配置されて貯水タンク110内の水位が所定水位L1に到達したことを検知する。
【0090】
次に、排水制御弁118は、電磁弁120の作動に基づいて排水弁水圧駆動部114への給水を制御するように構成されている。即ち、排水制御弁118は、水道に接続された給水管132から、給水管分岐部133において分岐された第1分岐管133aに接続されている。排水制御弁118は、第1分岐管133aの下流側に接続されており、コントローラ128からの指示信号に基づいて、第1分岐管133aから流入した水の、排水弁水圧駆動部114への供給、停止を制御する。本実施形態においては、排水弁水圧駆動部114に供給された水の一部は、シリンダ114aの貫通孔114fの内壁とロッド115の間の隙間114dから流出して貯水タンク110へ流入する。また、排水弁水圧駆動部114に供給された水の多くは、流出管124bを通ってシリンダ114aから流出し、貯水タンク110に流入する。
【0091】
また、水道から供給された水は、貯水タンク110の外側に配置された止水栓132a、この止水栓132aの下流側の定流量弁132bを介して給水管分岐部133に到達し、給水管分岐部133において分岐された第1分岐管133aから排水制御弁118に供給される。
【0092】
また、排水制御弁118には電磁弁120が取り付けられており、この電磁弁120の作動に基づいて、排水制御弁118から排水弁水圧駆動部114への給水が制御される。具体的には、リモコン装置6や人感センサ8からの信号をコントローラ128が受信し、コントローラ128は電磁弁120に電気信号を送り、これを作動させる。
【0093】
即ち、電磁弁120は、コントローラ128から送られた信号に基づいて、排水制御弁118に内蔵された電磁弁側パイロット弁118aを移動させ、排水制御弁118の主弁体118bのパイロット弁口を開閉するように構成されている。これにより、電磁弁120の作動に基づいて、排水制御弁118の主弁体118bが開閉され、排水弁水圧駆動部114への給水、停止が制御される。なお、本実施形態においては電磁弁120として、一旦通電を行うことにより、電磁弁側パイロット弁118aが移動され、通電を停止してもその状態が維持される双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されている。このタイプの電磁弁120では、反対方向にもう一度通電を行うと、電磁弁側パイロット弁118aを元の位置に復帰させることができる。
【0094】
一方、給水管分岐部133において分岐された第2分岐管133bは、給水制御弁119に接続されている。
給水制御弁119は、第2分岐管133bから供給された水を、タンク給水管125aに流出させるように構成されている。タンク給水管125aに流入した水は、タンク給水管分岐部125bにおいて2つに分岐され、一方が貯水タンク110内に、他方がオーバーフロー管110b内に流出する。
【0095】
また、発電機116は、給水制御弁119とタンク給水管分岐部125bを接続するタンク給水管125aの途中に設けられており、水の流れに基づいて、電力を生成するように構成されている。発電機116によって生成された電力は、発電機116に接続されたコントローラ128に送られ、コントローラ128に内蔵されたキャパシタ128aに充電される。さらに、給水制御弁119と発電機116の間には、バキュームブレーカ131が設けられている。これにより、第2分岐管133b側が負圧になった際、タンク給水管125a側から給水管132に水が逆流するのを防止することができる。
【0096】
給水制御弁119は、給水弁本体部119aと、この給水弁本体部119aの中に配置された主弁体119bと、第2の電磁弁側パイロット弁119cと、を備えている。また、給水制御弁119には、第2の電磁弁121が接続されており、この第2の電磁弁121によって第2の電磁弁側パイロット弁119cが移動されるように構成されている。即ち、第2の電磁弁側パイロット弁119cは、給水弁本体部119aに設けられたパイロット弁口(図示せず)を開閉することにより、給水弁本体部119a内に設けられた圧力室内の圧力を制御するように構成されている。なお、上述した電磁弁120及び第2の電磁弁121は、発電機116によって生成され、コントローラ128に内蔵されたキャパシタ128aに充電されていた電力によって作動される。
【0097】
第2の電磁弁121は、コントローラ128の制御信号に基づいて、第2の電磁弁側パイロット弁119cを移動させるように構成されている。フロートスイッチ129が、貯水タンク110内の水位が所定水位L1まで上昇したことを検知すると、コントローラ128は、第2の電磁弁121に信号を送り、第2の電磁弁側パイロット弁119cを移動させる。これにより、第2の電磁弁側パイロット弁119cが、給水弁本体部119aのパイロット弁口(図示せず)を閉弁させる。パイロット弁口が閉弁されると、給水弁本体部119a内の圧力室の圧力が上昇して主弁体119bが移動され、給水制御弁119が閉弁される。
【0098】
次に、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置104、及びそれを備えた水洗便器装置の作用を説明する。
まず、便器洗浄の待機状態においては、貯水タンク110内の水位が所定水位L1にあり、電磁弁120への通電は行われていない。この状態では、排水制御弁118の主弁体118bのパイロット弁口は閉弁状態となり、排水制御弁118は閉弁されている。また、給水制御弁119の主弁体119bのパイロット弁口も閉弁状態となり、給水制御弁119も閉弁されている。次に、使用者がリモコン装置6(図1)の洗浄ボタンを押すと、リモコン装置6は、便器洗浄の指示信号をコントローラ128(図5)に送信する。
【0099】
便器洗浄の指示信号を受信すると、コントローラ128は、電磁弁120に通電を行い、電磁弁側パイロット弁118aを主弁体118bのパイロット弁口から離座させる。これにより、排水制御弁118の圧力室内の圧力が低下し、主弁体118bが弁座から離座して、開弁される。なお、本実施形態においては、電磁弁120として、双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されているので、電磁弁側パイロット弁118aを一旦開弁させた後は、通電を停止しても、開弁状態が維持される。排水制御弁118が開弁されると、給水管132から給水管分岐部133、第1分岐管133aを介して排水制御弁118に供給された水道水は、排水制御弁118を通って流入管124aに流入する。
【0100】
さらに、流入管124a内に流入した水は、排水弁水圧駆動部114のシリンダ114a内に流入し、ピストン114bを押し上げる。これにより、ピストン114bに連結されたロッド115及び排水弁112も引き上げられ、排水口110aが開弁されて、水洗便器本体2のボウル部2aが洗浄される。
【0101】
一方、流入管124aから排水弁水圧駆動部114のシリンダ114aに水が流入し、ピストン114bがシリンダ114aの上部まで押し上げられると、シリンダ114a内の水は、流出管124bを通って流出するようになる。流出管124bを通って流出した水は、貯水タンク110内に夫々流入する。また、流入管124aからシリンダ114aに流入した水の一部は、シリンダ114aの貫通孔114fの内壁とロッド115の間の隙間114dから流出し、この水は、貯水タンク110に流入する。
【0102】
また、ピストン114bが押し上げられ、これに伴いロッド115及び排水弁112が所定位置まで引き上げられると、クラッチ機構122が、下部ロッド115b及び排水弁112を、上部ロッド115aから切り離す。これにより、上部ロッド115aはピストン114bと共に上方に押し上げられたままになる一方、下部ロッド115b及び排水弁112は、自重により降下する。しかしながら、切り離された下部ロッド115bは、排水弁フロート機構126の係合部126bと係合し、下部ロッド115b及び排水弁112の降下が阻止される。これにより、貯水タンク110の排水口110aは開弁されたままとなり、貯水タンク110からの排水が継続される。
【0103】
ここで、貯水タンク110内の水位が、所定水位L1よりも低い第2の所定水位L2まで低下すると、排水弁フロート機構126のフロート部126aが低下し、これが係合部126bを移動させる。これにより、下部ロッド115bと係合部126bとの係合が解除され、下部ロッド115b及び排水弁112は再び降下し始める。その後、排水弁112が貯水タンク110の排水口110aを閉弁させ、水洗便器本体2への洗浄水の排出が停止される。また、排水弁112が開弁された後、コントローラ128は、電磁弁120に信号を送り、電磁弁側パイロット弁118aを主弁体118bのパイロット弁口に着座させる。これにより、排水制御弁118の主弁体118bが閉弁され、排水制御弁118を介する給水が停止される。
【0104】
一方、貯水タンク110内の洗浄水が排出されると、貯水タンク110内の水位が所定水位L1よりも低下し、フロートスイッチ129がこれを検知する。貯水タンク110内の水位が低下したことが検知されると、コントローラ128は第2の電磁弁121に信号を送り、第2の電磁弁側パイロット弁119cを主弁体119bのパイロット弁口から離座させる。この結果、給水制御弁119の給水弁本体部119aの中の圧力室内の圧力が低下し、主弁体119bが弁座から離座する。給水制御弁119が開弁されると、給水管132から給水管分岐部133、第2分岐管133bを介して給水制御弁119に供給された水道水は、給水制御弁119を通って、タンク給水管125a内に流入する。タンク給水管125aに流入した水は、発電機116の水車(図示せず)を回転させて電力を生成する。生成された電力は、コントローラ128に内蔵されたキャパシタ128aに充電される。即ち、排水制御弁118の主弁体118bが閉弁された後、供給された水は、全量が給水制御弁119、発電機116を通って貯水タンク110内に流入し、発電に利用される。発電機116から流出した水は、タンク給水管分岐部125bで分岐され、一部がオーバーフロー管110bに流入し、残りが貯水タンク110に流入する。また、給水制御弁119を通った水の一部はタンク給水管125aを通って貯水タンク110内に流入するので、貯水タンク110内に流入し、貯水タンク110内の水位が上昇する。
【0105】
貯水タンク110内の水位が所定水位L1まで上昇すると、フロートスイッチ129がこれを検出し、コントローラ128に送信する。コントローラ128は、フロートスイッチ129によって貯水タンク110内の水位が所定水位L1に到達したことが検知されると、第2の電磁弁121に再び通電を行う。これにより、第2の電磁弁121は、第2の電磁弁側パイロット弁119cを給水制御弁119の主弁体119bに向けて移動させ、主弁体119bのパイロット弁口を閉弁させる。この結果、給水制御弁119内の圧力室の圧力が上昇して主弁体119bを移動させ、給水制御弁119は閉弁状態にされる。以上により、貯水タンク110への給水が停止される。
【0106】
給水制御弁119が閉弁されると、給水制御弁119から貯水タンク110内への給水が停止され、発電機116による電力の生成が終了する。また、排水弁水圧駆動部114のピストン114bは、スプリング114cの付勢力により押し下げられる。ピストン114bと共に上部ロッド115aが押し下げられると、クラッチ機構122により切り離されていた上部ロッド115aと下部ロッド115bが再び連結される。このため、次回、便器洗浄が実行された時は、上部ロッド115a及び下部ロッド115bは、ピストン114bにより共に引き上げられる。以上により、一回の便器洗浄が終了し、水洗便器装置は、便器洗浄の待機状態に復帰する。
【0107】
また、本実施形態の洗浄水タンク装置104においても、コントローラ128は、図4に示すフローチャートに基づいて蓄電制御を実行するように構成されている。図4のステップS5、S8で実行される蓄電制御において、コントローラ128は、第2の電磁弁121に制御信号を送り、給水制御弁119を開弁させる。これにより、給水制御弁119を介して発電機116に水道水が流れ、電力が生成される。生成された電力は、コントローラ128のキャパシタ128aに蓄積される。また、蓄電制御により発電機116を通過した水の一部はオーバーフロー管110bに流入し、残りは貯水タンク110内へ流入する。さらに、貯水タンク110内の水位が所定水位L1を超え、オーバーフロー管110bの上端よりも高くなると、貯水タンク110内の水はオーバーフロー管110bを通って水洗便器本体に排出される。
【0108】
本発明の第2実施形態の洗浄水タンク装置によれば、主として排水弁112を開弁させるための排水制御弁118と、貯水タンク110内への給水、及び発電機116による発電を行うための給水制御弁119が別系統で設けられている。このため、排水弁112を開弁させることなく、独立して発電機116による発電を行うことができる。
【0109】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に、種々の変更を加えることができる。例えば、上述した第1実施形態においては、発電機16が流出管24bに設けられていたが、発電機16を流入管24aに設けることもできる。
【0110】
また、上述した実施形態においては、発電機によって生成された電力を蓄積する蓄電部としてキャパシタが使用されていたが、キャパシタに代えて蓄電池等、任意の蓄電装置を蓄電部とすることができる。さらに、上述した実施形態においては、ピストンと排水弁の間にクラッチ機構が設けられていたが、クラッチ機構を省略することもできる。また、上述した実施形態においては、排水弁水圧駆動部に設けられたピストンは鉛直方向に駆動されていたが、例えば、ピストンが水平方向に駆動されるように本発明を構成することもできる。この場合には、ピストンが移動する方向を、排水弁を駆動する方向の動きに変換する機構を設けるのが良い。さらに、上述した実施形態においては、シリンダ底面の貫通孔とロッドとの間に隙間が設けられていたが、貫通孔とロッドの間は水密にされていても良い。また、排水弁水圧駆動部のピストンに代えて、給水圧で回転される機構により排水弁が駆動されるように本発明を構成することもできる。さらに、上述した実施形態においては、給水制御装置は、電磁弁によって駆動されるパイロット弁により主弁体が開閉されていたが、電磁弁により主弁体が直接開閉されるように本発明を構成することもできる。
【符号の説明】
【0111】
1 水洗便器装置
2 水洗便器本体(水洗便器)
2a ボウル部
4 洗浄水タンク装置
6 リモコン装置
8 人感センサ(人体検知センサ)
10 貯水タンク
10a 排水口
10b オーバーフロー管
12 排水弁
14 排水弁水圧駆動部
14a シリンダ
14b ピストン
14c スプリング
14d 隙間
14e パッキン
14f 貫通孔
15 ロッド
15a 上部ロッド
15b 下部ロッド
16 発電機
18 給水制御装置
19 流調弁
20 電磁弁
22 クラッチ機構
24a 流入管(駆動部給水路)
24b 流出管(駆動部排水路)
24c 流出管分岐部
26 排水弁フロート機構
26a フロート部
26b 係合部
28 コントローラ(制御部)
28a キャパシタ(蓄電部)
30 バキュームブレーカ
32 給水管
32a 止水栓
32b 定流量弁
34 給水弁フロート
36 本体部
36a 圧力室
36b 圧力通路
38 主弁体
38a パイロット弁口
38b ブリード穴
40 弁座
42 アーム部
42a 支持軸
44 フロート側パイロット弁
44a フロート側パイロット弁口
46 ソレノイドコイル
48 プランジャー
50 電磁弁側パイロット弁
52 コイルスプリング
104 洗浄水タンク装置
110 貯水タンク
110a 排水口
110b オーバーフロー管
112 排水弁
114 排水弁水圧駆動部
114a シリンダ
114b ピストン
114c スプリング
114d 隙間
114e パッキン
114f 貫通孔
115 ロッド
115a 上部ロッド
115b 下部ロッド
116 発電機
118 排水制御弁
118a 電磁弁側パイロット弁
118b 主弁体
119 給水制御弁(給水制御装置)
119a 給水弁本体部
119b 主弁体
119c 第2の電磁弁側パイロット弁
120 電磁弁
121 第2の電磁弁
122 クラッチ機構
124a 流入管(駆動部給水路)
124b 流出管(駆動部排水路)
125a タンク給水管
125b タンク給水管分岐部
126 排水弁フロート機構
126a フロート部
126b 係合部
128 コントローラ
128a キャパシタ
129 フロートスイッチ
130 バキュームブレーカ
131 バキュームブレーカ
132 給水管
132a 止水栓
132b 定流量弁
133 給水管分岐部
133a 第1分岐管
133b 第2分岐管
図1
図2
図3
図4
図5