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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】給油装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/84 20100101AFI20231016BHJP
   B67D 7/06 20100101ALN20231016BHJP
【FI】
B67D7/84 B
B67D7/06 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021163233
(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公開番号】P2023054414
(43)【公開日】2023-04-14
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】加野 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】清野 貴之
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05083846(US,A)
【文献】特開2006-009445(JP,A)
【文献】米国特許第04986445(US,A)
【文献】特開平09-040095(JP,A)
【文献】特開2019-156407(JP,A)
【文献】実開平06-035565(JP,U)
【文献】実開昭60-152529(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/84
E05D 11/06
E05D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング本体内に給油機構を備え、該給油機構を収納するケースの前面を覆うフロントパネルを備える給油装置において、
前記フロントパネルは、ノズル掛けを備える上部パネルと、該上部パネルの下方に位置する下部パネルからなり、
前記上部パネルは、ヒンジにより前記ハウジング本体に開閉自在に取付けられ
前記ハウジング本体は、突出部を有するストッパーを備え、
前記上部パネルは、該上部パネルを開いた際に前記ストッパーの突出部に係合するスリットを有する案内部材を備え、
該案内部材は、前記上部パネルの開動作のある時点で前記ハウジング本体の収納部より突出した後、ヒンジを介して回動し、前記上部パネルの全開時に前記スリットが前記ストッパーの突出部に係合し、
前記上部パネルを閉じる際には、前記スリットと前記ストッパーの突出部の係合を解き、前記上部パネルの閉動作中に、該案内部材の上面に設けられた突出部の上面が前記ハウジング本体の一部と当接しながら移動し、
前記案内部材は、前記上部パネルが閉じている際には、前記ハウジング本体の収納部に収納されることを特徴とする給油装置。
【請求項2】
前記上部パネルの裏面には、該上部パネルの長手方向に補強部材が延設されていることを特徴とする請求項1に記載の給油装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油装置に関し、特に、ハウジング本体内に給油機構を備え、該給油機構を収納するケースの前面を覆うフロントパネルのパネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
給油所に設置され、燃料油を車両へ供給する給油装置は、各種の燃料油に対応するため複数の給油機構が組み込まれている。このような給油装置の本体は、例えば特許文献1に記載のように、下部の本体ケースに給油ポンプや流量計等の給油機構が収納され、上部の表示器ケースに給油量表示器や給油設定データを入力するためのキーパット等の電気機器が収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-335695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は有効であるが、前記給油機構を収納した下部の本体ケースの前面は、1枚の大きなフロントパネルで覆われているため、組立作業の作業効率を高める妨げとなっていた。
【0005】
また、給油機構の下部に配置される給油ポンプの吸入口と、地下タンクからの立上り配管とを連結する際や、給油ポンプのフィルタ掃除又は交換、給油ポンプの駆動ベルトの点検又は交換を行う際に、フロントパネルを90度開いた状態で作業を行う必要があるため、給油に訪れた顧客の車両を隣接する給油装置へ誘導する際に、フロントパネルが支障となるおそれもあった。
【0006】
さらに、営業前に行われる日常点検の際に、給油機構及び配管からの漏洩や異音の点検を給油機構の前面の開口上部より目視で行えるにもかかわらず、大きなフロントパネルを開いて行うのは煩雑であった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、組立作業性、保守作業性に優れたパネル構造を備えた給油装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、ハウジング本体内に給油機構を備え、該給油機構を収納するケースの前面を覆うフロントパネルを備える給油装置において、前記フロントパネルは、ノズル掛けを備える上部パネルと、該上部パネルの下方に位置する下部パネルからなり、前記上部パネルは、ヒンジにより前記ハウジング本体に開閉自在に取付けられ、前記ハウジング本体は、突出部を有するストッパーを備え、前記上部パネルは、該上部パネルを開いた際に前記ストッパーの突出部に係合するスリットを有する案内部材を備え、該案内部材は、前記上部パネルの開動作のある時点で前記ハウジング本体の収納部より突出した後、ヒンジを介して回動し、前記上部パネルの全開時に前記スリットが前記ストッパーの突出部に係合し、前記上部パネルを閉じる際には、前記スリットと前記ストッパーの突出部の係合を解き、前記上部パネルの閉動作中に、該案内部材の上面に設けられた突出部の上面が前記ハウジング本体の一部と当接しながら移動し、前記案内部材は、前記上部パネルが閉じている際には、前記ハウジング本体の収納部に収納されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、フロントパネルが上部パネルと下部パネルとを備えるため、作業用途に応じて必要なパネルを開けるだけで済むので作業性が向上すると共に、パネルが上下に分割されているので軽量化され、組立性及び操作性も向上する。
また、上部パネルを開いた際にストッパーの突出部とスリットが係合することで、上部パネルが風等で煽られることなく開状態を安定して保持することができる。
さらに、前記案内部材が前記上部パネルの開動作のある時点で前記ハウジング本体の収納部より突出した後、ヒンジを介して回動し、前記上部パネルの全開時に前記スリットが前記ストッパーの突出部に係合することで、上部パネルの開動作に連動して上部パネルの移動制限を自動的に行うことができる。
また、前記上部パネルの閉動作中に、該案内部材の上面に設けられた突出部の上面が前記ハウジング本体の一部と当接しながら移動することで、案内部材が安定した状態で収納部に移動する。
さらに、前記案内部材が、前記上部パネルが閉じている際には、前記ハウジング本体の収納部に収納されていることで、ストッパーの突出部とスリットが常に係合していないので、上部パネルの開閉をスムーズに行うことができる。
【0014】
また、前記上部パネルの裏面に、該上部パネルの長手方向に補強部材を延設することで、上部パネルが横長であっても捻れによる歪みを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、組立作業性、保守作業性に優れたパネル構造を備えた給油装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る給油装置の一実施の形態を示す正面図である。
図2】(a)は、図1に示す給油装置のフロントパネルの上部パネルを開く途中の状態を示す斜視図であって、(b)は(a)のA部拡大図である。
図3】(a)は、図1に示す給油装置のフロントパネルの上部パネルを全開した状態を示す斜視図であって、(b)は(a)のB部拡大図である。
図4図2及び図3に示す上部パネルの裏面図である。
図5図1に示す給油装置の表示器ケース及び電気機器ケースを示す分解斜視図である。
図6図5に示す表示器ケース及び電気機器ケースの組立斜視図である。
図7図1に示す給油装置のハウジング本体のフレーム構造を示す斜視図である。
図8】本発明に係る給油装置の他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る給油装置の一実施の形態を示し、この給油装置1は、給油ノズル22(22A~22C)を一端に有する給油ホース21(21A~21C)と、給油ノズル22が掛けられるノズル掛け23(23A~23C)と、表示器24と、キーパッド25等とを備える。また、図示及び説明を省略するが、給油装置1には、ノズルSW(スイッチ)、流量計、給油ポンプ、給油モータ、流量パルス発信器等の一般的な給油機構が設けられる。
【0019】
表示器24は、ハウジング本体2の上部の表示器ケース3に収納され、表示器ケース3は樹脂パネル7で覆われている。表示器ケース3内に通信モジュール(不図示)が配設され、この通信モジュールの信号(消耗品使用時間・回数、積算表計、給油履歴に関する信号)が送信される。
【0020】
表示器ケース3の下方には、給油設定を行う電気機器(キーパッド25等)を収納する電気機器ケース4が設けられ、電気機器ケース4の前面には電気機器パネル8が設けられる。
【0021】
ハウジング本体2内の下部に給油機構が設置され、電気機器ケース4の下方の給油機構を収納する給油機構ケース5の前面を覆うフロントパネルは、ノズル掛け23(23A~23C)を備える上部パネル9と、上部パネル9の下方に位置する下部パネル10からなる。
【0022】
図2は、上部パネル9を開く途中の状態(全開となる前の状態)を示し、図3は、上部パネル9が全開となった状態を示す。図2(b)、図3(b)に示すように、上部パネル9はヒンジ12によってハウジング本体2に開閉自在に取付けられ、上部パネル9には、ボルト19によってブラケット15が取り付けられている。ブラケット15には、ヒンジ16を介して板状の案内部材13が連結され、案内部材13は付勢手段(不図示)によって下方へ付勢されている。案内部材13の先端部にはスリット13aが形成される。案内部材13のヒンジ16側の端部には、突出部13bが上方に向かって突出する。
【0023】
ハウジング本体2(給油機構ケース5)には、板状のストッパー14が取り付けられている。ストッパー14からは、上方に向かって突出部14aが突出する。ハウジング本体2の収納部(上部パネル9が閉じている際に案内部材13をハウジング本体2内に収納する空間)2aには、平面状の載置部17が設けられる。
【0024】
図4に示すように、上部パネル9の板状本体9aにはノズル掛け23(23A~23C)が設けられる。上部パネル9の右端部にはスリット9bが形成され、スリット9bを介して上部パネル9をハウジング本体2に引っ掛けて支持する。上部パネル9は横長となるため、捻れによる歪みを防止するため上部パネル9の長手方向に帯板状の補強部材9c~9eが延設される。
【0025】
次に、上部パネル9の開閉動作について、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0026】
上部パネル9が閉じている際には、案内部材13が収納部2a(図2(b)参照)に収納され、案内部材13の底面が載置部17上に載置された状態となっている。この状態から上部パネル9を徐々に開くと、案内部材13の底面が載置部17上を移動し、さらに移動して案内部材13の底面が載置部17から離れると、案内部材13の底面はストッパー14の突出部14aの頂上部に当接し、その状態で開方向(上面視で時計回り)へ移動する。この間、案内部材13は下方に付勢されているので、案内部材13の底面は載置部17又は突出部14aの頂上部と当接した状態を維持しながら移動する。そして、上部パネル9が全開になったときに、図3(b)に示すように、突出部14aが案内部材13のスリット13aと係合し、上部パネル9が全開の状態でハウジング本体2に固定される。
【0027】
上部パネル9を閉じる際には、図3(b)の状態から案内部材13を下方から持ち上げ、スリット13aと突出部14aの係合を解き、その状態で上部パネル9を閉じると、案内部材13も上部パネル9と共に閉方向(上面視で反時計回り)に移動し、最終的に収納部2a(図2(b)参照)に収納される。案内部材13が収納部2aに収納される際に、突出部13bの上面がハウジング本体2の一部(不図示)と当接しながら移動することで案内部材13が安定した状態で収納部2aに移動する。
【0028】
表示器ケース3及び電気機器ケース4は、図5に示すように、金属製のコ字状の2つの金属フレーム3aと、金属製の結合部3bとを、図6に示すように一体に組み合わせて構成され、図7に示すように、電気機器から生じる静電気は、コ字状の金属フレーム3a及び結合部3b、金属製のボルト3c、金属製のサイドフレーム2b及び接地アース18を介して放電する。
【0029】
図8は、本発明に係る給油装置の他の実施形態を示し、この給油装置30は、給油ノズル32(32A~32C)を一端に有する給油ホース31(31A~31C)と、給油ノズル32が掛けられるノズル掛け33(33A~33C)と、表示器34と、操作パネル35等と、一般的な給油機構を備えるセルフタイプのものであって、このような給油装置30であっても、上記給油装置1と同様の構成を適用することができる。
【0030】
また、上記実施の形態では、ハウジング本体2内に給油ポンプを備える給油装置1、30について記載したが、地下タンク内に油中ポンプを備える場合には、給油機構ケース5内の下部パネル10を開いた箇所で信号線をジョイントボックス(登録商標)内で配線し、フィルタの掃除又は交換を行う。また、上部パネル9を開いて、配管からの漏洩や異音の確認を行う。
【0031】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0032】
1、30 給油装置
2 ハウジング本体
3 表示器ケース
4 電気機器ケース
5 給油機構ケース
7 樹脂パネル
8 電気機器パネル
9 上部パネル
10 下部パネル
12 ヒンジ
13 案内部材
14 ストッパー
15 ブラケット
16 ヒンジ
17 載置部
18 接地アース
19 ボルト
21、31 給油ホース
22、32 給油ノズル
23、33 ノズル掛け
24、34 表示器
25 キーパッド
35 操作パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8