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特許7366353抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片の組成物及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片の組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20231016BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20231016BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20231016BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231016BHJP
   A61K 33/44 20060101ALI20231016BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20231016BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231016BHJP
   C07K 16/44 20060101ALI20231016BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20231016BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/46
A61K39/395 N
A61P39/02
A61P13/12
A61K33/44
G01N33/531 A
G01N33/53 S
C07K16/44
C12P21/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020558504
(86)(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 CN2019083286
(87)【国際公開番号】W WO2019201311
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】62/659,256
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520402236
【氏名又は名称】リードジーン バイオメディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヨンチュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】カオ,チーフイ
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-265457(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126230(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C07K 16/44
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補性決定領域(CDR)‐H1、CDR‐H2及びCDR‐H3を含む重鎖可変(VH)ドメインと、
可変領域CDR‐L1、CDR‐L2及びCDR‐L3を含む軽鎖可変(VL)ドメインと、
を備え、
ある単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片のCDRは以下のアミノ酸配列を有し、
SEQ ID NO:1のCDR‐H1、
SEQ ID NO:2のCDR‐H2、
SEQ ID NO:3のCDR‐H3、
SEQ ID NO:6のCDR‐L1、
SEQ ID NO:7のCDR‐L2、及び
SEQ ID NO:8のCDR‐L3、又は、
別の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片のCDRは以下アミノ酸配列を有する、
SEQ ID NO:11のCDR‐H1、
SEQ ID NO:12のCDR‐H2、
SEQ ID NO:13のCDR‐H3、
SEQ ID NO:16のCDR‐L1、
SEQ ID NO:17のCDR‐L2、及び
SEQ ID NO:18のCDR‐L3、
抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記単離された抗体又はその抗原結合断片は、全長免疫グロブリン分子、単鎖可変断片(scFv)、可変断片(Fv)、Fab断片、Fab'断片多特異的結合分子、又は単離された、キメラ、ヒト化、合成、組換え抗体又はその抗原結合断片の組み合わせである請求項1に記載の抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
体外表面表示システムから、前記単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を選別する請求項1~2の何れか1項に記載の抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記単離された抗体又はその抗原結合断片は、化学的に修飾され又は薬学的に許容可能な担体と混合される請求項1~3の何れか1項に記載の抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を用いて、被験者から収集した未処理の生物試料におけるインドキシル硫酸を検出し又はその濃度を確定するインドキシル硫酸の検出用の免疫測定法。
【請求項6】
前記生物試料は、血液、血清、血漿、腹水、尿及び生検標本を含む請求項5に記載の免疫測定法。
【請求項7】
前記生物試料は、アルブミンを含む請求項5に記載の免疫測定法。
【請求項8】
請求項1~4の何れか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を含み、必要とする患者のインドキシル硫酸を除去するための体外で生体液を浄化するためのシステムに使用されるための組成物。
【請求項9】
前記単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、固相に共役される請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~4の何れか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を含む患者におけるインドキシル硫酸の除去又は低減用の薬物組成物。
【請求項11】
単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に組み合わせられた医療用吸着剤を更に含む請求項10に記載の前記患者におけるインドキシル硫酸の除去又は低減用の薬物組成物。
【請求項12】
前記医療用吸着剤は、活性炭吸着剤を含む請求項11に記載の前記患者におけるインドキシル硫酸の除去又は低減用の薬物組成物。
【請求項13】
抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片をコード化する単離されたポリヌクレオチド断片であって、
ある単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、
SEQ ID NO:4に示すVHドメイン、
SEQ ID NO:9に示すVLドメインのポリペプチド配列を含み、
又は、
別の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、
SEQ ID NO:14に示すVHドメイン、及び
SEQ ID NO:19に示すVLドメインのポリペプチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド断片。
【請求項14】
抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片をコード化する単離されたポリヌクレオチド断片であって、
ある単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、
SEQ ID NO:1のCDR‐H1、
SEQ ID NO:2のCDR‐H2、
SEQ ID NO:3のCDR‐H3、
SEQ ID NO:6のCDR‐L1、
SEQ ID NO:7のCDR‐L2、及び
SEQ ID NO:8のCDR‐L3、の配列を含み、又は、
別の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、
のCDRのアミノ酸配列は、
SEQ ID NO:11のCDR‐H1、
SEQ ID NO:12のCDR‐H2、
SEQ ID NO:13のCDR‐H3、
SEQ ID NO:16のCDR‐L1、
SEQ ID NO:17のCDR‐L2、及び
SEQ ID NO:18のCDR‐L3、の配列を含む、
単離されたポリヌクレオチド断片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿毒症毒素、インドキシル硫酸(IS)に対して特異性を持つ抗原結合断片を公開し、より具体的に、ISの特異的認識用の単離されたモノクローナル抗体及び/又は抗原結合断片及びそれらのIS関連疾患の治療診断への用途に関する。
【背景技術】
【0002】
尿毒症は、多種の尿毒症毒素が生体内での病的蓄積を特徴とし、且つこのような衰弱性病症により永続的な腎機能喪失を引き起こし、次第にCKDの各段階まで進展し、最終的に生命にかかわる末期腎疾患(ESRD)になる。尿毒症患者は、更に、神経系、消化系、循環系及び骨格系に関わる様々な臨床徴候及び症状(1)を有する。尿毒症及びそれに起因する合併症は、一般的に、透析治療(血液透析及び腹膜透析を含む)により制御されるが、患者が腎不全を発症する場合、電解質がひどく異常となり且つ廃物がすでに危険の程度に溜まるので、患者は、生き続けるために腎移植が必要である。しかしながら、このような治療の選択は、ドナー腎臓の不足、手術関連の死亡リスク及び後での器官拒絶の予防に必要な終生免疫抑制により制限される。
【0003】
数百種の潜在的な尿毒症毒素が同定されている。前記尿毒症毒素は、それらの物理化学的特性又はそれらの透析における行為によって、(a)水溶性の、非タンパク結合性の小化合物(分子量<300D、例えば、尿素)、(b)主にペプチドであり、分子量が300D~12000Dである大きな中分子、及び(c)タンパク質に結合される小化合物という3つの種類に大まかに分けられる(2)。血清タンパク質(例えば、アルブミン)との結合により、これらのタンパク質に結合される化合物の透析クリアランスが制限される。そのため、血液透析を受けた患者において、これらの毒素の平均レベルが次第に累積して正常レベルの10倍及び20倍まで達することもある。
【0004】
IS及びp-クレゾール硫酸塩(PCS)は、アルブミンに結合される2つの原型の毒素であり、且つ何れも食物由来のトリプトファン及びチロシンが胃腸管における細菌叢によって発酵されたものである。いくつの群によると、CKD患者の一方でのIS及びPCSの血清レベルと他方での全死亡率及び心血管疾患(CVD)との間に、病理学的関連性があることが判明される。そのため、IS及びPCSは、腎機能及び疾患進展を予測するバイオマーカーだけではなく、治療的取扱いのターゲットである可能性もある(3、4)。
【0005】
AST‐120(Kremezin、Kureha Corporation,Tokyo,Japan)は、経口投与される球形吸着炭であり、様々な小分子の尿毒症毒素を吸着することができる。それは、腸でISの前駆体であるインドールを吸収することで、ISの生合成を抑制する。そのため、血清及び尿におけるIS濃度を間接的に減少させる(5)。AST‐120のCKD進展に対する緩徐化効果を証明するために、前向き無作為化臨床研究を複数回実行したが、まとめて言えば、AST‐120を中等度から重度のCKDに罹患している患者に加えるという標準的療法の利益は、これらの試験によるデータによりサポートされない(6、7)。
【0006】
IS検出及び測定の分析化学的方法(例えば、液体クロマトグラフ質量分析スペクトル(LC‐MS)及び高性能液体クロマトグラフィ(HPLC))は、高コストの装置、複雑な試料調製、大試料量を要求するため、大量の生物試料の計測に使用するには適さない(8)。それに対して、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)は、実行が簡単で、且つ試薬が比較的安価である。複雑な試料前処理を行うことでELISA操作を自動的に行うことができるようにして、より精確且つ再現可能な結果、より速い応答時間及びより少ない労働コストを提供する。HoshiらによりISを定量測定可能な競合的ELISA方法が開発されたが、前記方法に用いられるモノクローナル抗体(mAb)9A2F6の結合活性はウシ又はヒトの血清アルブミンにより抑制される(9、10)。試料の脱タンパク質化は、実験手順を実行する前に特に好ましく又は要求されることであり、これにより、前記分野の実験室又は産業上の利用可能性に損傷を与える可能性がある。
【0007】
以上をまとめると、本分野において最近進歩があるが、定性的または定量的免疫測定を改善するための方法が相変わらず実質的に必要とされ、単離された抗IS mAbはなければならない機能性成分である。その同時に、前記免疫測定の実行は、分析される生物試料から一般的に発見される血漿タンパク質(特にアルブミン)に敏感ではない。IS関連疾患を治療するように被験者からISを効果的に除去するための方法が依然として望まれている。これらの方法は、被験者に有効量の単離された抗IS mAbを投与し、又は単離された抗IS mAbを物理的支持体にカップリングすることで、生物試料におけるISを前記単離された抗IS mAbに互いに接触させるように捕捉及び除去することを含む。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様は、ISに特異的結合され、且つ代替的に「抗IS mAb」と呼ばれる単離されたモノクローナル抗体(mAb)及び/又はその抗原結合断片を提供する。
【0009】
さらに、本発明の別の態様は、前述のように、単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片の一部または全部を含む多重特異性結合分子を提供する。
【0010】
また、インドキシル硫酸を検出して、被験者から収集した生物試料におけるインドキシル硫酸の濃度を確定するための免疫測定法を提供する。
【0011】
また、インドキシル硫酸を除去するデバイス組成物を提供する。
【0012】
また、被験者からインドキシル硫酸を除去する薬物組成物を提供する。
【0013】
また、前述のように、インドキシル硫酸を認識する、単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片をコード化するポリヌクレオチドセグメントを提供する。
【0014】
また、本発明の別の態様は、エピトープ、及びL‐トリプトファン、インドール及び3‐インドール酢酸以外のインドキシル硫酸に対するスキャッチャード(Scatchard)結合親和力を有する単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片を提供する。
【0015】
前記態様に鑑みて、本発明は、単離されたモノクローナル抗体(mAb)及び/又はその抗原結合断片を提供する。前記単離されたモノクローナル抗体(mAb)及び/又はその抗原結合断片は、重鎖可変(VH)ドメインと、軽鎖可変(VL)ドメインと、を含む。VHドメインは相補性決定領域(CDR)‐H1、CDR‐H2及びCDR‐H3を含むが、VLドメインは可変領域CDR‐L1、CDR‐L2及びCDR‐L3を含む。一実施形態において、CDRのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:11の何れかから選ばれてよいCDR‐H1、SEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:12の何れかから選ばれてよいCDR‐H2、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:13の何れかから選ばれてよいCDR‐H3、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:16の何れかから選ばれてよいCDR‐L1、SEQ ID NO:7又はSEQ ID NO:17の何れかから選ばれてよいCDR‐L2、SEQ ID NO:8又はSEQ ID NO:18の何れかから選ばれてよいCDR‐L3の1つ又は複数の配列を含む。
【0016】
一実施形態において、単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片は、全長免疫グロブリン分子、単鎖可変断片(scFv)、可変断片(Fv)、Fab断片、Fab'断片、単一ドメイン抗体(dAb)、多特異的結合分子、又は単離されたヒト、キメラ、ヒト化、合成、組換え抗体及び/又はその抗原結合断片の如何なる組み合わせである。
【0017】
一実施形態において、単離されたモノクローナル抗体及び/又はその断片は、体外表面表示システムから選別できる。
【0018】
一実施形態において、単離された抗体及び/又はその断片は、化学的に修飾され又は薬学的に許容可能な担体と混合され得る。
【0019】
他の態様に鑑みて、本発明は、前述のような単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片の一部または全部を含む多特異的結合分子をさらに提供する。
【0020】
一実施形態において、多特異的結合分子はインドキシル硫酸と特異的に結合する。
【0021】
他の態様に鑑みて、本発明は、前記のような単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片を含み、被験者から収集した生物試料におけるインドキシル硫酸濃度を確定するインドキシル硫酸の検出用の免疫測定法をさらに提供する。
【0022】
一実施形態において、生物試料は、血液、血清、血漿、腹水、尿及び生検標本を含む。
【0023】
一実施形態において、生物試料は、アルブミンを含む。
【0024】
他の態様に鑑みて、本発明は、前記のような単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片を含む、インドキシル硫酸を除去するデバイス組成物をさらに提供する。
【0025】
一実施形態において、単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片は、固相に共役される。
【0026】
他の態様に鑑みて、本発明は、前記のような単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片を含む、被験者におけるインドキシル硫酸の除去又は低減用の薬物組成物をさらに提供する。
【0027】
一実施形態において、単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片に組み合わせられた医療用吸着剤をさらに含む。
【0028】
一実施形態において、医療用吸着剤は活性炭吸着剤を含む。
【0029】
他の態様に鑑みて、本発明は、抗インドキシル硫酸の単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片をコード化する単離されたポリヌクレオチドセグメントをさらに提供し、単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、VHドメイン及びVLドメインの1つ又は複数のポリペプチド配列を含む。一実施形態において、VHドメインは、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:14として示され、VLドメインは、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:19として示される。
【0030】
他の態様に鑑みて、本発明は、インドキシル硫酸を認識する単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片をコード化する単離されたポリヌクレオチドセグメントをさらに提供する。一実施形態において、単離されたモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:11の何れかから選ばれるCDR‐H1、SEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:12の何れかから選ばれるCDR‐H2、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:13の何れかから選ばれるCDR‐H3、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:16の何れかから選ばれるCDR‐L1、SEQ ID NO:7又はSEQ ID NO:17の何れかから選ばれるCDR‐L2、及びSEQ ID NO:8又はSEQ ID NO:18の何れかから選ばれるCDR‐L3の1つ又は複数のポリペプチド配列を含む。
【0031】
他の態様に鑑みて、本発明は、更に、エピトープ、及びL‐トリプトファン、インドール及び3‐インドール酢酸以外のインドキシル硫酸に対するスキャッチャード結合親和力を有する単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片を提供する。
【0032】
上記単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片を適用すると、前記単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片がISを特異的認識するので、アルブミンの存在下でのISの検出の感度及びダイナミックレンジの表現が優れ、これにより、様々な用途に用いられることができ、例えば、インドキシル硫酸の検出用の免疫測定法、及びエピトープ及びL‐トリプトファン、インドール及び3‐インドール酢酸等以外のインドキシル硫酸に対するスキャッチャード結合親和力を有する単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片に用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
特許又は願書に少なくとも1つのカラー図面を含む。本特許又は特許出願公開のカラー図面付きのコピーは、請求して必要の費用を払った後で、特許局により提供される。本公開は、下記添付図面を参照して実施形態の下記の詳細な説明を読むことで、より十分に理解される。
図1A】幾つかの単離された抗ISモノクローナル抗体(mAb)LG303のIS‐BSAに対する滴定曲線を示す。
図1B】幾つかの単離された抗ISモノクローナル抗体(mAb)LG332のIS‐BSAに対する滴定曲線を示す。
図2A】異なる濃度のISの存在下で、幾つかの単離された抗IS mAb LG303及びLG332のIS‐BSAに対するB/B%を表す棒グラフを示す。
図2B】異なる濃度のL‐トリプトファンの存在下で、幾つかの単離された抗IS mAb LG303及びLG332のIS‐BSAに対するB/B%を表す棒グラフを示す。
図2C】異なる濃度のインドールの存在下で、幾つかの単離された抗IS mAb LG303及びLG332のIS‐BSAに対するB/B%を表す棒グラフを示す。
図2D】異なる濃度の3‐インドール酢酸の存在下で、幾つかの単離された抗IS mAb LG303及びLG332のIS‐BSAに対するB/B%を表す棒グラフを示す。
図3】競合ELISAで単離された抗IS mAb LG332のブランク限界(LoB)及び検出限界(LoD)を表す標準曲線を示し、連続した濃度のISでLG332のLoD及びLoBを検査する。
図4】CKD動物モデルの実験対策に対するフロー図を示す。
図5A】テスト動物の腎臓切片のヘマトキシリン及びエオジン(H&E)により染色された組織学画像を示す。
図5B】テスト動物の心臓切片のヘマトキシリン及びエオジン(H&E)により染色された組織学画像を示す。
図6】コラーゲンを検出するためのテスト動物の腎臓及び心臓切片のシリウスレッドで染色された組織学画像を示す。
図7】コラーゲンIV型抗体を使用するテスト動物の腎臓及び心臓切片の免疫組織化学(IHC)画像を示す。
図8】α‐平滑筋アクチン(α‐SMA)抗体によって繊維化増大領域を検出するテスト動物の腎臓及び心臓切片のIHC画像を示す。
図9】M30抗体によって細胞アポトーシスイベントを検出するテスト動物の腎臓及び心臓切片のIHC画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、以下の詳細な説明により明らかになり、添付図面に合わせて前記詳細な説明を行い、同じ添付図面の符号は同じ素子に関連する。
【0035】
本明細書で引用される全ての刊行物も、それぞれ個々の刊行物または特許出願が特異的かつ個別に参照により組み入れられると示された場合と同じ程度に参照により本明細書に組み入れられるものとする。組み込まれた参考文献における用語の定義または使用が、本明細書中で提供されるその語の定義と矛盾するかまたは反対である場合、本明細書中で提供されるその語の定義が適用され、参考文献中のその語の定義は適用されない。
【0036】
本明細書を解釈するために、下記定義が適用され、適当である時に、単数形で用いた用語は複数形を含み、その逆も可能である。詳細な説明全体において、別の定義が述べられる。
【0037】
本明細書に用いられるように、上下文で不適切ではない限り、「一」、「1つ」、「当該」及び「前記」という用語は、「1つ又は複数の」を表し且つ複数を含むように定義される。
【0038】
本発明は、慢性腎不全疾患(CKD)患者の合併症の尿毒症の診断及び治療におけるタンパク質結合尿毒症毒素であるインドキシル硫酸(IS)に対するモノクローナル抗体(mAb)及び/又は断片による検出及び取り除く方法を公開する。診断上の使用については、生物試料におけるISを定性的及び定量的検出するための免疫測定法を提供する。被験者の体内で循環するISを効果的に除去するために、前記被験者に有効用量の抗IS mAbを投与すること、生物試料を抗IS mAbに共役される固相支持体を通過させてISを吸収すること、の2つの対策を採用する。前記生物試料は、血液、血清、血漿、腹水、尿、生検標本等であってよい。被験者から収集したそれらの生物試料が一般的に多種の血漿タンパク質を含むため、上記抗IS mAbの結合活性の性能は、如何なる血漿タンパク質、特に最も豊富なアルブミンにより干渉されるべきではない。ISがCKD及びいくつかの他の腎臓病を悪化させると考えられるが、本発明の適用は腎臓病学に限定されない。
【0039】
「被験者」の用語は、ヒト及び非ヒト動物を含む。非ヒト動物は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類及び爬虫類を含む。別記しない限り、「患者」又は「被験者」の用語は、本明細書で交換可能に使用される。
【0040】
「核酸」の用語は、本明細書において「ポリヌクレオチド」の用語と交換可能に使用され、且つ一本鎖または二本鎖形態のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びその重合体を指す。この用語は、合成、天然、及び非天然であり、参照核酸と類似な結合特性を有し、且つ参照ヌクレオチドと類似の様式で代謝される既知のヌクレオチド類似体又は修飾骨格残基又は連結を含有する核酸を含む。このような類似体の例示としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2‐O‐メチルリボヌクレオチド、ペプチド‐核酸(PNA)を含んでよいが、それらに限定されない。
【0041】
別記しない限り、特定の核酸配列は、明示された配列だけではなく、更に、その保存的修飾された変異体(例えば、縮重コドンの置換)及び相補的配列をも黙示的に含む。具体的に、下記のように、縮重コドンの置換は、1つ又は複数の選択された(又は全ての)コドンの第3の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基により置換される配列の生成によって達成されることができる。
【0042】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」の用語は、本明細書で交換可能に使用され、アミノ酸残基の重合体を指すことに用いられる。前記用語は、天然に存在するアミノ酸重合体及び非天然に存在するアミノ酸重合体にだけではなく、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的類似体であるアミノ酸重合体にも適用される。別記しない限り、特定のポリペプチド配列は、更に、その保存的修飾された変異体を黙示的に含む。
【0043】
「抗体」の用語とは、完全型免疫グロブリン分子又はその機能的断片である。天然に存在する抗体は、普通、一般的に少なくとも2つの重(H)鎖及び少なくとも2つの軽(L)鎖から構成されるテトラマーを含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記する)及び重鎖定常領域からなり、前記重鎖定常領域は一般的に3つのドメイン(CH1、CH2及びCH3)から構成される。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4サブタイプ)、IgA(IgA1及びIgA2サブタイプ)、IgM及びIgEを含む任意のアイソタイプであってよい。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記する)及び軽鎖定常領域(CL)から構成される。軽鎖は、κ鎖及びλ鎖を含む。VHドメインとVLドメインとの組み合わせは一般的に抗原認識を担当し、CHドメインは免疫グロブリンと宿主組織又は因子の結合を媒介することができ、前記宿主組織又は因子は免疫システムの様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1の成分(C1q)を含む。VH及びVLドメインは、更に、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域、及びフレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存的である領域に細分されることができ、前記CDRと前記FRとは散在して組み入れられる。各VH及びVLは、アミノ末端からアルボキシ末端に向かってFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と互いに作用する結合ドメインを含む。
【0044】
「抗体断片」又は「その特異的結合断片」の用語とは、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、Fd断片、Fv断片及びジスルフィド連結したFv断片、単鎖抗体分子(scFv)、(scFv)2(又は二量体抗体(diabodies)とも呼ばれる)、(scFv)3(又は三量体抗体(triabodies)とも呼ばれる)、(scFv)4(又は四量体抗体(tetrabodies)とも呼ばれる)、単一ドメイン抗体(dAb)、ミニ抗体、ナノ抗体、及び各抗体断片からなる多重特異性抗体を含む、完全な抗体の構造の全体又は一部であってよい。また、抗体及び/又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗原結合断片からなる多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体又はマウス抗体を指してもよい。
【0045】
本明細書に用いられるような「抗体薬物複合体(ADC)」又は「免疫複合体」の用語とは、抗体又はその抗原結合断片と別の試薬(例えば、化学治療剤、毒素、免疫治療剤、画像化プローブ等)との連結である。連結基は、共有結合、又は例えば、静電力による非共有の相互作用であってよい。抗体薬物複合体を形成するために、本分野の既知の様々なリンカーを使用してよい。また、抗体薬物複合体は、免疫複合体コードするポリヌクレオチドから発現可能な融合タンパク質の形態によって提供されてよい。本明細書で用いられるように、「融合タンパク質」とは、各々のタンパク質(ペプチド及びポリペプチドを含む)を最初にコード化する2つ以上の遺伝子又は遺伝子断片の結合により発生するタンパク質である。融合遺伝子の翻訳により、各元のタンパク質からの機能特性を有する単一タンパク質が発生する。
【0046】
「単離された」の用語とは、免疫グロブリン、抗体又はポリヌクレオチドが具体的な状況に応じて自然に発生する可能性のある物理環境と異なる物理環境に存在することである。
【0047】
「エピトープ」又は「抗原決定基部位」は、抗原分子の一部であり、抗体の抗原結合ドメインとの特異性相互作用を担当する。抗原結合ドメインは、1つ又は複数の抗体可変ドメインによって提供されてよい。複数回の組換え及び選別作業によってmAbの単離されたVHドメイン及びVLドメインから機能的抗原結合性断片を単離させることができる。
【0048】
「相補性決定領域」(「CDR」)の用語は、抗体における可変鎖の限定部分であり、前記限定部分において、これらの分子はそれらの特異性抗原に結合される。本公開において、重鎖におけるCDR領域は一般的にCDR‐H1、CDR‐H2及びCDR‐H3と呼ばれるが、軽鎖におけるCDR領域は一般的にCDR‐L1、CDR‐L2及びCDR‐L3と呼ばれる。それらは、アミノ末端からアルボキシ末端への方向で順に番号付けされる。
【0049】
本明細書で用いられるように、「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」の用語とは、単一分子組成物の抗体分子の製剤である。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性及び親和力を表す。
【0050】
単離されたモノクローナル抗体及び/又はその抗原結合断片とは、cDNA由来、組換えRNA由来又は如何なる他の合成由来又はこれらの由来のある組み合わせにより発生するタンパク質又はペプチド、及びこのようなタンパク質及びポリペプチドであり、前記タンパク質及びポリペプチドはその由来又は誘導供給源により、(1)自然界に存在するタンパク質に付随していなく、(2)同じ起源の他のタンパク質を含まなく、例えば、ネズミ類のタンパク質を含まなく、(3)様々な種由来の細胞により発現され、又は(4)自然界に存在しない。
【0051】
本明細書における「抗IS mAb」は、特異的結合ISの抗体形態及び/又は断片を表す一般用語である。
【0052】
また、本発明は、更に、単離された抗IS mAb及び/又はその断片の発生方法を提供する。また、上記単離された抗IS mAbは、LG303及びLG332の2つの単離されたmAbとして例示され、前記LG303及びLG332はそれぞれそれらを分泌する2つのハイブリドーマ細胞株で名付けされる。
【0053】
また、本発明は、更に、重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインから構成される上記抗IS mAbの可変ドメインをコード化するポリヌクレオチド配列を提供する。例えば、抗体VHドメインのSEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:15並びに抗体VLドメインのSEQ ID NO:10及びSEQ ID NO:20は、それぞれLG303及びLG332に対応する。
【0054】
本発明は、更に、上記ポリヌクレオチド配列から翻訳されるアミノ酸配列を提供する。例えば、抗体VHドメインのSEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:14並びに抗体VLドメインのSEQ ID NO:9及びSEQ ID NO:19は、それぞれLG303及びLG332に対応する。更に、上記抗体のVHドメイン内の相補性決定領域(CDR)‐H1、CDR‐H2及びCDR‐H3並びにVLドメイン内のCDR‐L1、CDR‐L2及びCDR‐L3も同定される。
【0055】
1つの具体的な実施形態において、上記CDRのLG303及びLG332に対応するアミノ酸配列については、下記で説明する。それらは、CDR‐H1のSEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:11、CDR‐H2のSEQ ID NO:2及びSEQ ID NO:12、CDR‐H3のSEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:13、CDR‐L1のSEQ ID NO:6及びSEQ ID NO:16、CDR‐L2のSEQ ID NO:7及びSEQ ID NO:17、CDR‐L3のSEQ ID NO:8及びSEQ ID NO:18である。
【0056】
「配列同一性百分率」又は「同源性」の用語は、最大の配列同一性百分率を達成させて保存された核酸置換を取り除くするように配列をアラインしてギャップを導入(必要がある場合)した後の、候補配列における参照配列におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドと同じであるアミノ酸残基又はヌクレオチドの百分率と定義される。手動以外、本分野で知られる局所相同性アルゴリズム又はこれらのアルゴリズムを使用するコンピュータプログラム(例えば、BLAST P)によって、比較される配列の最適アラインメントを発生させてもよい。
【0057】
また、配列表に、下記ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を列記する。
【0058】
また、本発明は、更に、IS関連疾患の診断試薬として上記単離された抗IS mAbを使用する方法を提供する。
【0059】
また、本発明は、更に、IS関連疾患の治療試薬として上記単離された抗IS mAbを使用する方法を提供する。
【0060】
また、本発明は、更に、体外生体液を浄化するためのIS置換試薬として上記単離された抗IS mAbを使用する方法を提供する。
【0061】
また、本発明は、更に、免疫測定法、デバイス組成物又は薬物組成物に上記単離された抗IS mAbを使用する方法を提供する。
【0062】
また、本発明は、更に、前記免疫測定法、デバイス組成物及び薬物組成物の開発方法を提供する。
【0063】
また、本発明は、更に、生物試料におけるISを定性的及び定量的検出するための上記単離された抗IS mAbを含む免疫測定法を提供する。
【0064】
また、本発明は、更に、上記免疫測定法によってIS関連疾患を診断する方法を提供する。
【0065】
また、本発明は、更に、被験者のISを体外除去し、又は被験者の生体液の尿毒症の負担を減らすための上記単離された抗IS mAbを含むデバイス組成物を提供する。
【0066】
また、本発明は、更に、有効量の上記単離された抗IS mAbを含む薬物組成物を投与することでISを除去し又は尿毒症の負担を減らす方法を提供する。
【0067】
一実施形態において、上記単離された抗IS mAbを免疫測定法又はデバイス組成物に用いる場合、前記単離された抗IS mAbを物理的支持用の固相と共役させてよい。
【0068】
一実施形態において、前記薬物組成物は、CKDに付随する腎不全又はCVDのリスクを軽減する必要のある被験者に用いられてよい。
【0069】
一実施形態において、前記薬物組成物は、経口投与の球形吸着炭、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンジオテンシン受容体遮断剤(ARB)及び活性ビタミンDである他の薬物に組み合わせて使用されてよい。
【0070】
本明細書に用いられる「デバイス組成物」の用語とは、特定のデバイスで達成するための組成物である。一実施形態において、前記デバイス組成物は、血液透析又は血漿交換システムに結合されてCKDに付随する腎不全又はCVDのリスクを軽減する必要のある被験者に用いられてよい。
【0071】
一実施形態において、前記デバイス組成物は、第1の浄化画分及び第2の浄化画分に分けられる体外血液を浄化するための装置に結合されてよい。タンパク質に結合される毒素及び/又は血漿に溶解される毒素を除去することで、第2の浄化画分を発生させる。
【0072】
一実施形態において、測定される生物試料(又は流体)は、血液、血清、血漿、腹水、尿及び生検標本を含む。
【0073】
一実施形態において、測定される生物試料は、血漿タンパク質、つまりアルブミンを含む。
【0074】
本公開によるある例示的な実施形態は下記の通りであるが、これらの実施形態は本発明に対する制限として考えられるべきではない。本発明の精神や範囲から逸脱せずに、当業者は、様々な修正や改変を加えることができる。

ISの特異的結合用の組成物
【0075】
本公開の一実施形態によると、IS結合分子を提供する。前記実施形態において、結合分子は、ISの特異的認識/結合が可能な単離されたmAb及び/又はその抗原結合断片(以下、「抗IS mAb」と呼ばれる)であってよい。前記抗IS mAbは、重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインを含み、前記VHドメインは相補性決定領域(CDR)‐H1、CDR‐H2及びCDR‐H3を含み、且つ前記VLドメインは可変領域CDR‐L1、CDR‐L2及びCDR‐L3を含む。CDRのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:11の何れかから選ばれるCDR‐H1、SEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:12の何れかから選ばれるCDR‐H2、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:13の何れかから選ばれるCDR‐H3、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:16の何れかから選ばれるCDR‐L1、SEQ ID NO:7又はSEQ ID NO:17の何れかから選ばれるCDR‐L2、及びSEQ ID NO:8又はSEQ ID NO:18の何れかから選ばれるCDR‐L3のような配列の1つ又は複数の配列を含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、抗IS mAbのVHドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:14であり、又はSEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:14と少なくとも80%、90%、95%又は99%(又はその間の如何なる百分率)の同一性を有するように示す如何なる配列であってよい。同様に、いくつかの実施形態において、抗IS mAbのVLドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:19であり、又はSEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:19と少なくとも80%、90%、95%又は99%(又はその間の如何なる百分率)の同一性を有するように示す如何なる配列であってよい。

ISの検出や定量及び臨床診断用の免疫測定法
【0077】
「免疫測定法」の用語とは、試料における分析物を検出する方法であり、前記方法は、試料を前記分析物に特異的結合される抗体に接触させること、及び前記抗体と前記分析物との結合を検出することを含む。本明細書に記載の免疫測定法は、mAbによる抗原‐抗体反応を利用する様々なタイプの免疫学又は生物学的診断技術に適用されてよい。このような測定方法は、放射免疫測定、免疫組織化学測定、インサイチュハイブリダイゼーション測定、競合結合測定、ウェスタンブロッティング分析及びELISA測定を含むが、それらに限定されない。また、このような測定技術は、(a)蛍光抗体又は化学的染色方法の使用、前記方法においてmAbと抗原との連結の存在が視覚観察されるように、mAbは色素(例えば、蛍光色素)で標識され、(b)蛍光色素の代わりに酵素を使用してmAbを標識する酵素‐抗体方法、(c)タンパクで標識された二次抗体によって抗原等の量を計測するELISA方法、(d)mAbを同位体標識する放射免疫測定方法、及び(e)抗原‐抗体反応による凝集反応を利用する免疫沈降法を含む。
【0078】
本発明は、正常及び異常なレベルの確定を含む、生物試料におけるISレベルを検出するための定量又は定性的免疫測定法に関する。ある実施形態において、生物試料は、血液、血清、血漿、腹水、尿、生検標本等であってよい。また、血漿タンパク質(つまりアルブミン)の存在下で生物試料を分析してよい。別の実施形態において、本発明の提供する免疫測定法は、上記単離された抗IS mAbを含み、且つ被験者から収集した生物試料の濃度によって推定される疾患又は疾病の診断に用いられることができる。前記生理病理学的状態又は臨床症状の一例示としては、尿毒症又はCKDであってよい。

IS除去用のデバイス組成物
【0079】
本公開の一実施形態によると、ISの除去又は低減用のデバイス組成物を提供する。いくつかの実施形態において、上記単離された抗IS mAbを物理的支持用の固相と共役させ、前記固相は、例えば、アガロース、ガラス、プラスチック又は磁性樹脂ビーズ、透析膜及び中空繊維管である。また、単離された抗IS mAbに共役した透析膜又は中空繊維管は、血液透析又は血漿交換システムに結合されてよい。
【0080】
米国特許第8206591 B2号には、患者血液におけるアルブミンに結合される尿毒症毒素の除去方法が説明される。前記方法は、アルブミンに結合される尿毒症毒素が置換物質により置換されるように、置換物質を血液に導入することを含む。その後、血液が患者に戻る前に、体外の腎代替処理によって結合されていない尿毒症毒素を除去する。置換物質は、例えば、上記単離された抗IS mAbである。前記方法は、経口投与の球形吸着炭、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンジオテンシン受容体遮断剤(ARB)及び活性ビタミンDの他の薬物に組み合わせて使用されることが推奨される。
【0081】
より具体的な実施形態において、還元的アミノ化反応を実行することで抗IS mAbをアガロースビーズにカップリングさせ、mAbの共役されたビーズを空カラムに充填してIS除去カラムを形成する。蠕動ポンプによって生体液を前記IS除去カラムを2回通過させる。未処理及び処理された血漿試料に対して定量的な質量スペクトル分析(液体クロマトグラフィ/タンデム質量分析、LC‐MS/MS)を行って、IS除去率を評価する。IS除去率の百分率(%)は、([IS、未処理]‐[IS、既処理])/[IS、未処理×100%から計算される。

被験者におけるISの除去又は低減用の薬物組成物
【0082】
本公開の一実施形態によると、被験者におけるISを除去又は低減するための薬物組成物を提供する。抗IS mAbの投与用量及びスケジュールは、IS関連疾患を治療する臨床分野における当業者により容易に確定されてよい。1種以上の適用において、所望の結果を取得するように、所望の用量を投与してよい。本発明の実施形態による薬物組成物は、単位剤形として提供されてよい。薬物組成物は、投与するための如何なる好適な薬理学的担体で投与されてよい。前記薬物組成物は、ヒト又は動物の患者において尿毒症の病症の予防、緩和、防護又は治愈を達成可能な如何なる形態として投与されてもよい。本発明の実施形態によって使用するために、単離された抗IS mAbを、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤、及び活性成分としての単離された抗IS mAb及び/又はその断片を含む薬物組成物として提供してよい。前記組成物は、ISの細胞毒性又は尿毒症毒素の細胞生物学的受容体への天然結合に拮抗(完全に又は部分的に)する十分量の抗IS mAbを含んでおり、例えば、患者におけるこのような拮抗を要求するアニオントランスポーター(OAT)(10)又は炭化水素受容体(AhR)(11)である。薬物組成物は、上記単離された抗IS mAbの少なくとも1つの単離された抗IS mAbを含んでよい。また、前記薬物組成物は、経口投与の球形吸着炭、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ARB)及び活性ビタミンDの他の薬物に組み合わせて使用されてよい。いくつかの実践において、前記薬物は、例えば、AST‐120のような活性炭吸収剤であってよい。

単離された抗IS mAbの可変領域のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列
【0083】
本公開の一実施形態によると、更に、上記単離された抗IS mAb及び/又はその抗原結合断片をコード化するポリヌクレオチド配列又はセグメントを提供する。いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:4のVHドメインをコード化するポリヌクレオチド配列とは、SEQ ID NO:5に示すDNA配列、又はSEQ ID NO:5と少なくとも80%、90%、95%又は99%(又はその間の如何なる百分率)の同一性を共有する如何なるポリヌクレオチド配列である。その同時に、SEQ ID NO:9のVLドメインをコード化するポリヌクレオチド配列とは、SEQ ID NO:10に示すDNA配列、又はSEQ ID NO:10と少なくとも80%、90%、95%又は99%(又はその間の如何なる百分率)の同一性を共有する如何なるポリヌクレオチド配列である。
【0084】
或いは、前記実施形態の単離された核酸において、SEQ ID NO:14のVHドメインをコード化するポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:15に示す配列、又はSEQ ID NO:15と少なくとも80%、90%、95%又は99%(又はその間の如何なる百分率)の同一性を有するように示す如何なるヌクレオチド配列を含む。その同時に、SEQ ID NO:19のVLドメインをコード化する核酸断片は、SEQ ID NO:20に示す配列、又はSEQ ID NO:20と少なくとも80%、90%、95%又は99%(又はその間の如何なる百分率)の同一性を有するように示す如何なるヌクレオチド配列を含む。
【0085】
前記実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、前記のようなアミノ酸配列をコード化するポリヌクレオチド配列と基本的に同一である。基本的に同一である配列は、サイレント変異された配列を含む、誘発された配列を含んでもよい。変異は、1つ又は複数のヌクレオチド残基の変更、1つ又は複数のヌクレオチド残基の欠失、又は1つ又は複数の追加ヌクレオチド残基の挿入を含んでよい。核酸コドンの縮重により、基本的に同一である配列は、更に、本明細書の公開したアミノ酸配列における如何なる特定のアミノ酸の位置で同一のアミノ酸をコード化する様々なヌクレオチド配列を含んでよい。抗IS mAb及び/又はその抗原結合断片をコード化するポリヌクレオチド配列は、本分野における如何なる既知の方法によって取得されてよい。例えば、抗体のヌクレオチド配列が既知されるものであれば、化学合成されたオリゴヌクレオチドから前記抗体をコード化したポリヌクレオチドを組み立ててよい。これは、例えば、抗体をコード化する配列部分を含む重複するオリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニール及び連結、及びその後のPCRによる連結されるオリゴヌクレオチドの増幅に関する(12)。
【0086】
一般的に、抗IS mAb及び/又はその抗原結合断片をコード化するポリヌクレオチド配列は発現担体に組換えられてよく、前記発現担体において前記ポリヌクレオチド配列はオープンリーディングフレームのセグメントであってよい。いくつかの実践において、上記実施形態で提供されるように、発現担体を被験者又は宿主細胞に導入してISを特異的認識するタンパク質生産物を発生させる。より詳しくは、前記実施形態のポリヌクレオチドセグメントは組換えDNA又はRNAであり、且ついくつかの状況において、前記ポリヌクレオチドセグメントは非コード調節素子又は内含子によって単離されてよい。好ましくは、単離された核酸は、cDNA分子である。scFv遺伝子を作成するために、コード化されたVH及びVLのDNA断片を例えば、コード化されたアミノ酸配列(Gly4‐Ser)3(SEQ ID NO:21)の断片のような別のコード化された可撓性リンカーの断片に操作可能に連結して、VH配列及びVL配列が連続した単鎖タンパクとして発現できるようにし、VL領域とVH領域は前記可撓性リンカーによって共役される。ファージディスプレイ技術によって取得した抗体については、ライブラリーの様々なファージクローンからコード化された上記実施形態により提供される抗IS抗体の単離された核酸(13)を回収することができる。公開されたポリヌクレオチドは、例えば、抗体cDNAライブラリー、又は前記抗体を発現する如何なる組織又は細胞から(例えば、発現抗体の選択されたハイブリドーマ細胞から)単離されたcDNAライブラリーのような如何なる他の好適な核酸供給源から発生してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、公開された如何なるポリヌクレオチド配列を発現担体に組み込んで、所望のプロモータの制御で発現してよい。様々なヒト及び動物細胞タイプに発現するための好適な担体は、本分野で既知される。好適な宿主細胞としては、HEK293、CHO、ピキアパストリス、SF9、大腸菌BL21及び/又は他のヒト又は非ヒト細胞株を含んでよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、培養される細胞が発現担体における前記核酸を発現するたびに、一時的に又は安定的に発現するにも拘らず、本明細書では抗IS mAb及び/又はその抗原結合断片の発生方法を公開する。

5/6腎摘除(5/6 Nx)ラットの慢性腎不全疾患(CKD)のモデル及び治療
【0088】
片側尿管閉塞(UUO)、ドキソルビシン(ADR)腎臓病及び5/6 Nxは、CKDの代表的な動物モデルである。UUOモデルは、尿細管を迅速且つ完全的に閉塞して、炎症性浸潤、尿細管細胞のアポトーシス、筋線維芽細胞(線維芽細胞)の活性化、フィブロネクチン及びI型コラーゲンの沈着を含む異なる病理学的病期及び繊維化の間の特徴を示す。ADR腎臓病は、現在ヒト糸球体疾患の常用のシミュレーションモデルであり、顕性アルブミン尿、尿細管円柱、尿細管崩壊、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS、進行性巣状分節性硬化とも呼ばれる)及び糸球体硬化症、重度の腎間質及び炎症の形成を特徴とする。5/6 Nxモデルは、動脈高血圧症、タンパク尿及び糸球体硬化症を特徴とする。これらの利用可能な実験モデルにおいて、ラットの5/6 Nxは、進行性腎疾患の研究に最も一般的に用いられる。これは、前記実験手順の特徴は、ヒトで観察されたCKDに共通するからである。5/6 Nxは、新しい療法をテストするためにも作成され、臨床に関連していると証明された(14、15)。
【0089】
よくCKDと病理学的に関連する尿細管間質線維症は、持続的炎症性浸潤、細胞骨格タンパクα‐平滑筋アクチン(α‐SMA)を発現する筋線維芽細胞の出現に伴う間葉細胞の数の増大、尿細管萎縮及び上皮細胞のアポトーシス、傍尿細管毛細血管の完全な破壊、及び細胞外基質(ECM)の溜まりを含む多くの共通特徴を示す(16)。正常な腎臓において、異なるコラーゲン分子の発生は、区画化されたものであり、尿細管上皮細胞(TEC)はIV型コラーゲンを発生させる主要な細胞であり、常駐型線維芽細胞はI型及びIII型コラーゲンを発生させる。尿細管間質線維症では、ECMの拡張は間質コラーゲンの溜まりをマーカーとし、且つ常駐型線維芽細胞はα‐SMA陽性の筋線維芽細胞に分化転換する。また、一般的に糸球体及び尿細管基底膜に位置するIV型コラーゲンの発現は制限されないようになり、且つ間質にも観察される。カスパーゼ切断サイトケラチン18(M30)の領域差異は、前記サイトケラチンが近位尿細管細胞から放出されて、且つ有足細胞が5/6 Nxラットの腎障害により誘導されるアポトーシスを経過するため、治療スケジュールの薬力学的バイオマーカーと見られてよい。そのため、過剰なECMの沈着用のI型及びIV型コラーゲン、糸球体硬化症評価用のα‐SMA及び糸球体細胞のアポトーシス指数用のM30によって組織学的染色及び専門的なIHC検査を行うことで、抗IS mAbの介入したIS関連の組織萎縮に対する影響を説明すべきである。
【0090】
上記単離された抗IS mAb及び/又はその抗原結合断片の特性及び具体的な実践を説明するために、以下、幾つかの実施例を示す。

実施例
実施例1:抗原性IS複合体の調製
【0091】
ハプテンのISから完全抗原を調製するために、前記ISのカリウム塩(サンタクルス生物技術公司(Santa Cruz Biotechnology))を、Imject(商標) Blue Carrier(商標)タンパク(BCP、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社(Thermo Scientific))、ウシ血清アルブミン(BSA、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)及びDADPA(ジアミノジプロピルアミン)により架橋されるセファロースビーズ(CarboxyLink(商標)カップリングゲル、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)の一連の担体に材料と化学的カップリングさせた。簡単にいうと、1mLのPBSにおける10mgのISと3つの担体材料を同じ調製(PBSでは10mg/mLである)でそれぞれ試験管において混合させた。前記2mLの混合物に0.25mLの37%のホルムアルデヒド又は50%のグルタルアルデヒドを加えて、50℃で72時間インキュベートした(マンニッヒ型反応(17))。カップリング反応後に、Sephadex G‐25樹脂(GE医療(GE Healthcare))カラムを使用してクロマトグラフィー方法によってIS‐担体タンパク複合体を精製し、またブラッドフォード試薬(Bradford reagent)(バイオラド社(Bio‐Rad))によって前記IS‐担体タンパク複合体の濃度を測定した。IS‐DADPAアガロース複合体に対して、カップリングしたゲルビーズを脱イオン水によって3回洗浄し、また5mLのPBSで再溶解した。

実施例2:ハイブリドーマ技術による抗IS mAbの生成
【0092】
上記のように調製した抗原性IS複合体を使用し、また2つの免疫経路を採用してマウス(8~10週齢のメスのBALB/c)を免疫化する。その1つの免疫経路は、一般的な腹腔内(IP)免疫であった。この経路において、IS‐BCP/IS‐BSA複合体(100μLのPBSにおいて50μgである)又はIS‐DADPAアガロース複合体(100μL)を、等体積の完全フロイントアジュバント(CFA、シグマアルドリッチ社(Sigma‐Aldrich))又は不完全フロイントアジュバント(IFA、シグマアルドリッチ社)に混合させた。各マウスは、4週間内で、1回目の初回免疫及び3回の追加免疫を含んで4回免疫化された。もう一つの経路は、直接な脾臓免疫であった。まず、34Gの針で5μLのPBSにおける5μgのIS‐BCP複合体を5匹のマウスの脾臓に注射した。抗原反応の誘発に成功すると、これらのマウスに対して、後で皮下(SC)注射によってIS‐BCP複合体(200μLのIFAにおいて50μgである)で3回追加免疫した。骨髄腫細胞と融合する前に、ISの結合する脾細胞をIS複合体の被覆された10cmの培養プレート(Nunc(商標)、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)に付着させて富化させ、且つISと結合していない脾細胞を培地洗浄で洗い流した。この2つの経路において、毎回の免疫作用の前に、ELISA又はフローサイトメトリーによってマウスの血清力価を監視し、且つ所望の力価に達すると、ハイブリドーマ選別を行うように、マウスを屠殺した。選別の基準は、単一クローンを構築するように(限界希釈)その上澄液に遊離形ISの分布を認識可能な細胞を採取するが、それらのIS複合体のみを認識するが遊離形ISに対して反応性を有しなく又は未共役の担体に対して反応性を有する細胞破棄すべきであった。単離されたハイブリドーマ細胞株をBALB/cマウスの腹部内に注射して、得られた腹水を収集した。所望の抗体を抽出するように、プロテインAカラムによるアフィニィークロマトグラフィー(GE医療)によって収集した腹水を精製した。精製された抗体の最大濃度は、10mg/mLであった。

実施例3:競合的ELISAによるmAb特異性のテスト
【0093】
本明細書に記載の競合的ELISAにおいて、遊離する分析物又は固定の捕集剤を引き受けるように、抗IS mAb又はIS複合体は、交換可能に使用された。この2つの反応物の指定された作用は、実験設計に依存していた。
【0094】
遊離する分析物として抗IS mAbを使用する(IS複合体をマイクロタイタープレートに被覆する)場合、抗マウスIgG.Fcγ断片の二次抗体(例えば、HRP共役のヤギIgG)をレポーターとして使用してよかった。プレート被覆用のIS複合体の濃度範囲は、50ng/mL~50μg/mLであった。抗IS mAbは、10pg/mL~10μg/mLの範囲で使用されてよい。
【0095】
抗IS mAbが捕集剤として固定される場合、標準曲線を作成するように、IS分析物を酵素レポーターと共役させてよく、つまりこのような状況でHRPであった。被覆は、1ng/mL~50μg/mLの間の濃度で効果的に実行されることができる。IS‐HRP複合体は、前節に示されるマンニッヒ型によって付加されて調製されてよく、且つ作業濃度範囲は10ng/mL~10μg/mLであった。1pg/mL~500μg/mLの参照IS基準物質を使用して、標準曲線を作成してよい。
【0096】
mAb候補物の特異性を予備テストするために、競合的ELISAにおいて、前記mAb候補物のIS、インドール、L‐トリプトファン及び3‐インドール酢酸(全ての化合物もシグマアルドリッチ社に由来する)に対する活性を比較した。ELISAプレート(Corning Costar)の各ウェルを4℃でIS‐BSA複合体(0.5μg/mL、100μL/ウェル)によって一晩被覆し、37℃で300μLの3%のBSA含有のPBST(0.05%のTWEEN(登録商標)20含有のPBS)によって1時間封止した後で、PBSTで3回洗浄した。20μg/mL化合物の加えられた粗精製されたmAb候補物(16‐128ng/mL)の2倍段階希釈列及び上記ブロッキング緩衝液におけるブランク対照を抗原で被覆された各ウェルに加えた。室温下で30~60分間インキュベートした後で、ウェルを吸引して300μLのPBSTで3回洗浄した。その後、PBSTにおいて1:5000で使用される二次抗体、100μLのHRP共役のヤギIgG抗マウスIgG(偉喬生醫公司(Leadgene Biomedical))を各ウェルに注いで、室温下で更に30分間インキュベートした。TMB(3,3',5,5'‐テトラメチルベンジジン)基質溶液(KPL)を加えて発色させる前に、各ウェルをPBSTで6回洗浄した。色が匹敵するレベルに発色すると、0.1Nの硫酸を加えることで反応を停止させ、450nmで吸光度を計測するマイクロタイタープレート(分子計器社(Molecular Devices))によってmAb候補物の活性を分析した。テスト候補物の相対結合活性の百分率は、B/B0×100%[(混合化合物のウェルの平均吸光度)/(ブランク対照ウェルの平均吸光度)]によって計算した。テスト候補物とISの結合活性がインドール、L‐トリプトファン及び3‐インドール酢酸における競合物により有意に競合されると、前記テスト候補物(基準:BIS/B0<30%、B競合物/B0>70%)を選択すべきではなかった。

実施例4:抗ISのmAbの2つ単一クローンの特徴付け
【0097】
連続した2回のスクリーニングによって、数十種類の候補物から、ISに対して素敵な親和力及び特異性を有する2つのモノクローナル抗体LG303及びLG332を選択した。図1A及び図1Bに、LG303及びLG332の滴定曲線及び推定Kd(平衡解離定数)を示し、且つこの2つのmAbの何れもISに対するスキャッチャード結合親和力を示した。
【0098】
マウスmAbアイソタイピングキット(サーモフィッシャーサイエンティフィック社(Thermo Fisher))によってそれらのアイソタイプを同定し、前記キットはそれぞれLG303をIgG1/κに、またLG332をIgG2a/κに帰属させた。カップリングされた逆転写PCR及びマウスIgプライマーセット(メルクミリポア社(Merck Millipore))によって、ハイブリドーマ細胞のmRNA抽出物から抗体可変領域の遺伝子配列を解析した。LG303 VHドメインのポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO:5)をポリペプチド配列SEQ ID NO:4に翻訳し、且つ前記ポリペプチド配列の3つのCDR配列はSEQ ID NO:1(CDR‐H1)、SEQ ID NO:2(CDR‐H2)及びSEQ ID NO:3(CDR‐H3)であった。LG303 VLドメインのポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO:10)をポリペプチド配列SEQ ID NO:9に翻訳し、且つ前記ポリペプチド配列の3つのCDR配列はSEQ ID NO:6(CDR‐L1)、SEQ ID NO:7(CDR‐L2)及びSEQ ID NO:8(CDR‐L3)であった。LG332 VHドメインのポリヌクレオチド配列(SEC ID NO:15)をポリペプチド配列SEQ ID NO:14に翻訳し、その中の3つのCDR領域はSEQ ID NO:11(CDR‐H1)、SEQ ID NO:12(CDR‐H2)及びSEQ ID NO:13(CDR‐H3)の配列を有していた。LG332 VLドメインのポリヌクレオチド配列(SEQ ID NO:20)をポリペプチド配列SEQ ID NO:19に翻訳し、3つのCDR領域はSEQ ID NO:16(CDR‐L1)、SEQ ID NO:17(CDR‐L2)及びSEQ ID NO:18(CDR‐L3)の配列を有していた。
【0099】
競合的ELISAによって、精製されたLG303 mAb及びLG332 mAb(100ng/mL)の結合特異性を改めて検査し、前記競合的ELISAは抗IS mAbをプレートに被覆し、IS‐HRP複合体を分析物として使用した。図2A(IS)、図2B(L‐トリプトファン)、図2C(インドール)及び図2D(3‐インドール酢酸)には、0.125μg/mL、5μg/mL、20μg/mL及び100μg/mLの濃度の4つの化合物競合でのLG303及びLG332の結合活性の比較を示した。その結果、LG303及びLG332は、ISに対する高特異的結合を有し、L‐トリプトファン及びその他の代表的な生化学的代謝の生産物に対して有意な反応はなかったことが判明された。

実施例5:生物試料におけるISの検出
【0100】
特に干渉する血漿タンパク質が存在する場合、単離された抗IS mAbが生物試料においてその抗原ターゲットを検出できるかを確定するために、異なる濃度のISをヒト血清及び血漿に導入して競合的ELISAによって評価した。それに対して、ここで、LG332を捕捉抗体として各ウェルの表面に被覆した。図3を参照すると、標準曲線が示され、LG332のLoB及びLoDが表され、且つそのLoDは約25.2ng/mLであった。
【0101】
表1にヒト血清及び血漿におけるLG332の回収率を表し、前記回収率によると、我々の抗IS mAbの結合活性がヒト血漿タンパク質(例えば、アルブミン)により干渉されないことが判明され、ヒト血漿タンパク質は血流で循環するISを吸収すると考えられていた。
【0102】
実施例6:生物試料におけるISの除去
【0103】
それらが血漿からISを除去できるかを検査するように、LG303及びLG332をグリオキサールアガロースゲル(コロイド科学溶液公司の生物科学ビーズ支社(BioScience Bead Division of Colloidal Science Solutions,Inc.))カラムに共役させた。この実施例において、ISを約40μg/mLまでの濃度で2名の健康なドナーからの血漿試料に組み込んで、IS及びPCSの合計のLC‐MS/MS定量を長庚記念醫院(台湾桃園)の実験医学科(Department of Laboratory Medicine,Chang Gung Memorial Hospital (Taoyuan,Taiwan))によって行った。表2及び表3を参照すると、LG332は、LG303よりも良好なIS除去率を表した。予期せぬことに、抗IS mAbの治療の後で、別の重要なタンパク質結合尿毒症毒素PCSの濃度も減らした。PCS及びISがヒト血清アルブミンにおける同じ結合部位を競合する(18)ため、血清アルブミンに結合される殆どのISが抗IS mAbにより置換される場合、この2つの有害物質の間の可能な不明関係は依然として調査中であった。
【0104】
【0105】

実施例7:抗IS mAbの5/6 Nxラットモデルでの効果
【0106】
上記のように、血液透析は、タンパク質結合尿毒症毒素を効果的に除去できなかった。前記実験動物モデルの多くの病理生理学的特徴がヒトで観察されたCKDの共有するものであるため、5/6 Nxラットにおいて、抗IS mAbの治療用途での潜在力を研究してよかった。そのため、それらは、差異を研究するための好適な被験者と考えられ、前記差異は、例えば、抗IS mAbの腎臓又は他の組織病変の形態に対する影響であった。
【0107】
簡単にいうと、オスのSprague Dawley(登録商標)ラット(体重が約300gである)を、健康対照、5/6 Nx、対照抗体を有する5/6 Nx、LG303を有する5/6 Nx、LG332を有する5/6 Nx を含む5つの群に分けた。全ての実験は、国立台湾成功大学(台湾台南)の生物化学と分子生物学科(the Department of Biochemistry and Molecular Biology of National Cheng Kung University (Tainan,Taiwan))により行われた。健康対照以外に、全ての動物群については、何れも0週目に腎臓手術を行って一週間休息させた。左腎を露出し、上下両極をポリグリコール酸縫合糸で結紮した後で、右腎摘除を行った。その後、腹膜及び皮膚を縫合して、動物を再びその各々のケージに置いた。ラット群によると、1週目~5週目の期間中に、kg体重あたり10mgの抗体で抗体を週に1回腹腔内注射した。実験終了の時に、動物を過剰なペントタールナトリウムで安楽死させ、左心室にリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4、0.1M)を注いでから、ホルムアルデヒド固定液を注入した。腎臓を取り出して、結合組織を取り除いてパラフィンワックスに埋め込んだ。腎臓及び心血管組織の組織学的分析としては、立衆バイオテクノロジー社(台湾台北)(Litzung Biotechnology Inc. (Taipei,Taiwan))によってサービスを提供した。
【0108】
本発明の一実施形態による動物モデルの実験手順を示すフロー図である図4を参照されたい。図4に示すように、ラットは、5/6 Nx又は偽対照を受けた。ラットを一週間休息させた後、前記のように、対照マウスIgG、LG303及びLG332を注射した。42日目(6週目)に、ラットを屠殺し、組織生検標本を収集して分析した。
【0109】
テスト動物のヘマトキシリン及びエオジン(H&E)により染色された腎臓(図5A)及び心臓(図5B)の部分を示す図5A図5Bを参照されたい。図5Aにおいて、黄色矢印は糸球体硬化症を示し、赤色矢印は尿細管の空胞を示し、薄青色の矢印は間質繊維化を示し、且つ緑色矢印は炎症促進細胞浸潤を示した。図5Bにおいて、緑色矢印は心筋細胞の再配列を示し、且つ黄色矢印は免疫細胞浸潤を示した。図5A図5Bの組織学的結果において、LG303により処理された実験群は他の実験群よりも少ない病理学的変化を示すことが発見された。図5Aに示すように、5/6 Nxラットは、糸球体硬化症、拡大した尿細管空胞、間質繊維化及び免疫細胞浸潤を罹患していた。対照IgG及びLG332で治療されるラットにおいて、現象が5/6 Nxラットに類似であった。興味深いことに、LG303が5/6 Nxラットに有益である可能性があることが発見された。本明細書では、炎症促進細胞浸潤及び他の病理学的変化が著しく減らしたことが発見された。また、対照IgG及びLG332に比べると、LG303で治療された後、心臓再配列が低減した(図5Bに示すように)。
【0110】
LG303の5/6 Nxラットでの抗繊維化効果を更に同定するように、これらの心臓及び腎臓組織の生検標本をシリウスレッドで染色した。コラーゲン発現模式を観察するように、テスト動物のシリウスレッドで染色された腎臓及び心臓部分を示す図6を参照されたい。IV型コラーゲン抗体を使用するテスト動物の腎臓及び心臓切片を示すIHC画像であり、特定のコラーゲン観察を行うように、IV型コラーゲン抗体によってラットの腎臓及び心臓切片に対してIHCを実行した図7を参照されたい。対照抗体及び健常な擬似の与えられた動物群に比べると、図6及び図7により、抗IS mAb処理のされたラットはECM I型コラーゲン及びIV型コラーゲンの発現が減少する趨勢にあることが判明された。図8は、α‐SMA抗体を使用するテスト動物の腎臓及び心臓切片を示すIHC画像であり、前記α‐SMA抗体は線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化転換(赤色矢印の指す暗褐色領域)を同定することに用いられる。図8に示すように、抗IS mAbによりα‐SMAの発現が明らかに減少したが、LG303の性能がLG332の性能よりも優れていた。LG303のLG332に対する優勢は、図6及び図7で可視化された過剰なコラーゲン沈着に対する活性抑制と一致であった。
【0111】
図9は、M30抗体を使用したテスト動物における腎障害による腎臓及び心臓病変を示す組織病理図であり、前記M30抗体はアポトーシスイベントを検出することに用いられた(赤色矢印により指される)。M30の免疫染色によると、心臓ではなく腎臓からの切片のみに、アポトーシス細胞死が同定され、且つ抗IS mAbは糸球体細胞、特に上皮細胞における予期しないアポトーシスの発生を阻止した。一旦、このようなmAbが臨床に適用されると、CKD患者の腎機能を保留又は救済することができる。
【0112】
まとめて言えば、上記の実験結果は、選ばれたCKD動物モデルにおいて、単離された抗IS mAbの投与が腎臓及び心臓の細胞に対して顕著な抗繊維化及び抗アポトーシスエフェクターを果たすことを支持する。また、これらの結果は、前途有望であり、特異性mAbによってISを中和させることで、IS関連の病理症状を軽減できることも判明した。
【0113】
以上、特定の実施形態を参照して本発明について説明してきたが、前記の公開内容に多種の修正、様々な改変及び取り替えを加えることを図っており、且つ理解すべきなのは、いくつかの状況で、説明された本発明の範囲や精神から逸脱せずに、対応的に他の特徴を使用しないで、本発明の実施形態のいくつかの特徴を採用する。そのため、本発明の精神や特許請求の範囲は、上記で説明された例示的な実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0114】
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図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9