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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】パレット用梱包装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/02 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
B65B13/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019092969
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020186043
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000107697
【氏名又は名称】ストラパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌弘
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-025707(JP,A)
【文献】特開平05-294318(JP,A)
【文献】特開平04-142217(JP,A)
【文献】特開平06-032322(JP,A)
【文献】特開昭51-120889(JP,A)
【文献】特開昭61-104914(JP,A)
【文献】特開平07-040916(JP,A)
【文献】特開平06-247204(JP,A)
【文献】特開昭56-048909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形枠状のバンド案内アーチに案内されたバンドを該バンド案内アーチの内周方向に脱落させて,該バンド案内アーチの内側に配置された被梱包物の外周に巻回して梱包する梱包機と,側面にフォーク挿込口が形成されたパレット及び該パレット上に積載された物品から成る被梱包物を,前記梱包機の梱包位置に搬送するコンベアを備え,前記パレット上に積載された物品を前記パレットと共にバンド掛けして梱包する,パレット用梱包装置において,
前記梱包機の前記バンド案内アーチの下辺をスライドアーチによって形成し,該スライドアーチを,前記バンド案内アーチの側辺を成す垂直アーチの下端間を連結する前進位置と,該垂直アーチの下端間を開放する後退位置間を水平方向に進退移動可能と成すと共に,
前記コンベアを,前記スライドアーチの進退移動方向に対し直交方向を搬送方向とするコンベア本体と,前記コンベア本体を載置する基台と,前記基台上で前記コンベア本体を昇降させるコンベア本体昇降機構により構成し,
前記コンベア本体昇降機構による前記コンベア本体の下降時,前記コンベア本体上に載置された前記パレットの前記フォーク挿込口が,前進した前記スライドアーチを挿入可能な高さとなるよう前記コンベア本体の下降位置を設定すると共に,
前記コンベア本体昇降機構による前記コンベア本体の上昇時,前記コンベア本体の上面に設けたスライドアーチ挿入凹部が,前進した前記スライドアーチを挿入可能な高さとなるように前記コンベア本体の上昇位置を設定し
前記コンベアの前記基台上に,前記被梱包物を載置して回転させる回転体と,前記回転体を旋回させる旋回手段,及び,前記回転体を昇降させる回転体用昇降機構を載置すると共に,前記コンベア本体に,該コンベア本体を上下方向に貫通して前記回転体の通過を許容する,回転体通路を形成し,
前記回転体用昇降機構による前記回転体の上昇時,前記回転体の底面が,下降位置にある前記コンベア本体の上面よりも上方に配置されるよう前記回転体の上昇位置を設定すると共に,
前記回転体用昇降機構による前記回転体の下降時,前記回転体の上面が,下降位置にある前記コンベア本体の上面よりも低い位置で,かつ,上昇位置にある前記コンベア本体の前記スライドアーチ挿入凹部よりも低い位置となるよう,前記回転体の下降位置を設定したことを特徴とする,パレット用梱包装置。
【請求項2】
前記回転体を平面視十字状に形成すると共に,前記コンベア本体を,平面視格子状に配置された4つのコンベアユニットによって形成し,前記4つのコンベアユニット間の間隔に,前記回転体通路を形成したことを特徴とする請求項記載のパレット用梱包装置。
【請求項3】
前記コンベア本体昇降機構が,前記基台と前記コンベア本体とを連結するシザースリンク機構を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のパレット用梱包装置。
【請求項4】
前記梱包機に,梱包時,前記パレット上の前記物品を上方より下方に向かって押圧するプレス手段を設けたことを特徴とする請求項1~いずれか1項記載のパレット用梱包装置。
【請求項5】
前記コンベアに,前記コンベア本体を上昇位置にロックするロック機構と,前記コンベア本体を下降させる際,前記ロック機構によるロックを解除するロック解除機構を設けたことを特徴とする請求項1~いずれか1項記載のパレット用梱包装置。
【請求項6】
前記ロック機構を,前記基台と前記コンベア本体とを連結するオーバーセンタリンケージ機構により構成したことを特徴とする請求項記載のパレット用梱包装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,パレット用梱包装置に関し,より詳細には,被梱包物にバンドを巻回して梱包する梱包機と,この梱包機の梱包位置に,パレット上に載置された物品を被梱包物として搬送するコンベアを備え,前記物品を,パレットと共にバンド掛けして一体的に梱包する,所謂「パレット梱包」に使用する梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱等で個包装された物品や,シート状,板状の物品,その他の物品を,側面にフォークリフトのフォークを挿し込むフォーク挿込口を備えたパレット上に多段に積載し,この積載された物品を,パレットと共にバンド掛けして一体的に包装する,前述の「パレット梱包」が広く行われている。
【0003】
このようなパレット梱包を行うことで,複数の物品の荷積みや荷下ろし作業をパレット単位で行うことができ,各物品をバラ荷の状態で取り扱う場合に比較して輸送時の作業性が大幅に向上する。
【0004】
このパレット梱包におけるバンド掛けの方法としては,パレットのフォーク挿込口にバンドを通して巻回する,所謂「内掛け」と呼ばれる方法と,パレットの底面にバンドを通して巻回する,所謂「外掛け」と呼ばれる方法があり,通常,一のパレット梱包に対し,外掛けと内掛けを併用した梱包が行われる。
【0005】
このように,一のパレット梱包に内掛けと外掛けの双方でバンドを巻回できるようにするために,内掛け用の梱包機と,外掛け用の梱包機を,コンベアを介して連結したパレット用梱包装置が提案されており,これにより,一方の梱包機でバンドを内掛け(又は外掛け)した被梱包物を,コンベアで他方の梱包機まで搬送してバンドを外掛け(又は内掛け)することで,前述した内掛けと外掛けを併用したパレット梱包が可能となる。
【0006】
また,前述のパレット用梱包装置に,更にターンテーブルを設け,図12に示すように一の梱包機でパレットのフォーク挿込口にバンドBを通した内掛けを行った被梱包物Wを,ターンテーブル上に搬送して水平方向に90°回転させた後,更に他方の梱包機に搬送して,パレットの底面にバンドBを通した外掛けを行うことで,内掛けと外掛けを交叉方向に行ってバンドを井桁状に巻回できるようにしたものも提案されている。
【0007】
また,二台の梱包機を必要とする前述のパレット用梱包装置に対し,一台の梱包機で内掛けと外掛け双方を行うことができるようしたものも提案されている。
【0008】
このような梱包機100の一例として,後掲の特許文献1には,図10に示すように上アーチ130,130を介して,バンド送り,引き締め,切断及び溶着を行うコントロール部110を左右アーチ114,115に昇降自在に設け,前記左右アーチ114,115とパレット113のフォーク挿込口内に挿脱自在に設けた二本のスライドアーチ117とを連結離脱自在に設けると共に,前記スライドアーチ117の下方に固定アーチ118を設け,該固定アーチ118の両端に設けた回動アーチ124を介して,固定アーチ118と左右アーチ114,115とを連結離脱自在に設けた梱包機100が提案されている(特許文献1の特許請求の範囲)。
【0009】
上記構成を備えた特許文献1に記載の梱包機100では,一台の梱包機100によって固定アーチ118を使用して行う外掛けと,スライドアーチ117を使用して行う内掛けの双方を行うことができるように構成されている。
【0010】
この特許文献1には,更に図11に示すように,前述の梱包機100と,ターンテーブル121を備えた搬送装置(コンベア)112を組み合わせて成るパレット用梱包装置が開示されており(特許文献1の第2図参照),この梱包装置では,梱包機100で内掛け(又は外掛け)を行ったパレット113を,一旦,梱包機100の機枠140外に搬出してターンテーブル121上に移動させ,このターンテーブル121上でパレット113を水平方向に90°回転させた後,再度梱包機100の機枠140内に搬入して外掛け(又は内掛け)を行うことで,図12に示したような井桁状のバンド掛けを行うことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開昭56-48909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上で説明した特許文献1に記載の梱包機100では,一台の梱包機100で内掛けと外掛けのいずれの方法によってもバンド掛けを行うことができる。
【0013】
しかし,このような外掛け,内掛け双方のバンド掛けを可能とするために,特許文献1に記載の梱包機100は,スライドアーチ117と固定アーチ118を設けると共に,固定アーチ118の両端に設けた回動アーチ124を介して,固定アーチ118と左右アーチ114,115とを連結離脱自在とした構造を採用することから,部品点数が多く,構造及び動作が複雑となることで,組立時の工数が多く製造コストが嵩むだけでなく,保守・点検時における点検項目も増える等の煩雑さを有する。
【0014】
そのため,より単純な構造の梱包機を使用して,一台の梱包機で外掛けと内掛けの双方を行うことができるようにすることが望ましい。
【0015】
また,前掲の特許文献1に記載された梱包機100と搬送装置(コンベア)112の組合せによって構成されたパレット用梱包装置(図11参照)では,図12に示したような井桁状のバンド掛けを行うためには,先ずパレット113を梱包機100の機枠140内に搬入してバンドを内掛け(又は外掛け)した後,一旦,パレット113を梱包機100の機枠140外に搬出してターンテーブル121上で水平方向に90°回転させ,その後,再度,パレット113を梱包機100の機枠140内に搬入してバンドの外掛け(又は内掛け)を行う作業が必要となる。
【0016】
そのため,梱包機100とターンテーブル121間でパレット113を往復移動させるために要する時間が梱包の際の作業時間に加算されることで,一回の井桁状のバンド掛けが完了するまでに要する時間が長く,作業効率が悪い。
【0017】
また,梱包機100によるバンドの巻回と,ターンテーブル121によるパレット113の回転を別々の場所で行っているため,装置全体が大型化し,設置スペースの確保が困難な狭小な工場施設等では,この種のパレット用梱包装置の導入が困難となる。
【0018】
なお,図11に示したパレット用梱包装置においても,梱包機の機枠内に配置されているコンベア上にターンテーブルを設置することができれば,バンドの巻回とパレットの回転を,いずれも同じ場所で行うことができ,梱包機とターンテーブル間でパレットを往復移動させるために要していた時間分,梱包作業時間を短縮することができると共に,コンベアの長さを短くできることで,装置の全体構成を小型化して狭い設置スペースにも設置することができる。
【0019】
しかし,パレットに対しバンドを外掛けするためには,バンドをパレットの底面に通してやる必要があるため,梱包位置におけるコンベアには,凹溝を設けて,この凹溝内に固定アーチ118を収容する構成が採用される。
【0020】
そのため,梱包位置におけるコンベア112上にターンテーブル121を設けると,固定アーチ118とパレット113の底面間にターンテーブル121が介在することで,バンドの外掛けが不可能となる。
【0021】
そこで本発明は,上記従来技術の欠点を解消するために成されたものであり,梱包機側ではなく,コンベア側の構造を工夫することで,従来,外掛け又は内掛けのいずれか一方のみの梱包しか行うことができなかった単純な構造の梱包機を使用した場合であっても,外掛け及び内掛け双方を行うことを可能としたパレット用梱包装置を提供することを第1の目的とする。
【0022】
また,本発明の別の目的は,コンベア上の,バンドの巻回が行われる位置でパレットの水平回転についても行うことができるようにすることで,コンベアの全長を短くすることができ,比較的狭い設置スペース内に配置することができると共に,ターンテーブルの位置にパレットを移動させるために要していた時間を不要として梱包に要する作業時間を大幅に短縮することができるパレット用梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0024】
上記目的を達成するために,本発明のパレット用梱包装置10は,
矩形枠状のバンド案内アーチ21に案内されたバンドを該バンド案内アーチ21の内周方向に脱落させて,該バンド案内アーチ21の内側に配置された被梱包物Wの外周に巻回して梱包する梱包機20と,側面にフォーク挿込口91が形成されたパレット90及び該パレット90上に積載された物品から成る被梱包物Wを,前記梱包機20の梱包位置に搬送するコンベア30を備え,前記パレット90上に積載された物品を前記パレット90と共にバンド掛けして梱包する,パレット用梱包装置10において,
前記梱包機20の前記バンド案内アーチ21の下辺をスライドアーチ21d,21dによって形成し,該スライドアーチ21d,21dを,前記バンド案内アーチ21の側辺を成す垂直アーチ21a,21bの下端間を連結する前進位置と,該垂直アーチ21a,21bの下端間を開放する後退位置間を水平方向に進退移動可能と成すと共に,
前記コンベア30を,前記スライドアーチ21d,21dの進退移動方向に対し直交方向を搬送方向とするコンベア本体31と,前記コンベア本体31を載置する基台32と,前記基台32上で前記コンベア本体31を昇降させるコンベア本体昇降機構50により構成し,
前記コンベア本体昇降機構50による前記コンベア本体31の下降時,前記コンベア本体31上に載置された前記パレット90の前記フォーク挿込口91が,前進した前記スライドアーチ21d,21dを挿入可能な高さHとなるよう前記コンベア本体31の下降位置を設定すると共に,
前記コンベア本体昇降機構50による前記コンベア本体31の上昇時,前記コンベア本体31の上面に設けたスライドアーチ挿入凹部315が,前進した前記スライドアーチ21d,21dを挿入可能な高さHとなるように前記コンベア本体31の上昇位置を設定し
前記コンベア30の前記基台32上に,前記被梱包物Wを載置して回転させる回転体61と,前記回転体61を旋回させる旋回手段(モータ63),及び,前記回転体61を昇降させる回転体用昇降機構を載置すると共に,前記コンベア本体31に,該コンベア本体31を上下方向に貫通して前記回転体61の通過を許容する,回転体通路36を形成し,
前記回転体用昇降機構による前記回転体61の上昇時,前記回転体61の底面が,下降位置にある前記コンベア本体31の上面よりも上方に配置されるよう前記回転体61の上昇位置を設定すると共に,
前記回転体用昇降機構による前記回転体61の下降時,前記回転体61の上面が,下降位置にある前記コンベア本体31の上面よりも低い位置で,かつ,上昇位置にある前記コンベア本体31の前記スライドアーチ挿入凹部315よりも低い位置となるよう,前記回転体61の下降位置を設定したことを特徴とする(請求項1)。
【0026】
この場合,前記回転体61を平面視十字状に形成すると共に,前記コンベア本体31を,平面視格子状に配置された4つのコンベアユニット31a~31dによって形成し,前記4つのコンベアユニット31a~31d間の間隔に,前記回転体通路36を形成するものとしても良い(請求項)。
【0027】
前記コンベア本体昇降機構50は,前記基台32と前記コンベア本体31(図示の実施形態では,コンベア本体31を載置する昇降枠51)とを連結するシザースリンク機構52を備えるものとしても良い(請求項)。
【0028】
更に,前記梱包機20に,梱包時,前記パレット90上の前記物品を上方より下方に向かって押圧するプレス手段24を設けることができる(請求項)。
【0029】
また,前記コンベア30に,前記コンベア本体31を上昇位置にロックするロック機構70と,前記コンベア本体31を下降させる際,前記ロック機構70によるロックを解除するロック解除機構80を設けることができる(請求項)。
【0030】
この場合,前記ロック機構70を,前記基台32と前記コンベア本体31(図示の実施形態では,コンベア本体31を載置する昇降枠51)とを連結するオーバーセンタリンケージ機構により構成することができる(請求項)。
【発明の効果】
【0031】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のパレット用梱包装置10では,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0032】
梱包機20による梱包位置に被梱包物Wを搬送するコンベア30を,コンベア本体31と,前記コンベア本体31を載置する基台32と,前記コンベア本体31を前記基台32上で昇降させるコンベア本体昇降機構50により形成し,前記コンベア本体昇降機構50によるコンベア本体31の下降時,前記コンベア本体31に載置したパレット90のフォーク挿込口91が前進したスライドアーチ21d,21dを挿入可能な高さHとなるよう前記コンベア本体31の下降位置を設定すると共に,前記コンベア本体昇降機構50による前記コンベア本体31の上昇時,前記コンベア本体31の上面に設けたスライドアーチ挿入凹部315が前進した前記スライドアーチ21d,21dを挿入可能な高さHとなるよう前記コンベア本体31の上昇位置を設定したことで,梱包機20単体では,内掛け又は外掛けのいずれか一方のバンド掛けにしか対応し得ない,単純な構造の梱包機20を使用して,コンベア本体31の上昇時には外掛け,下降時には内掛けでバンド掛けを行うことができた。
【0033】
前記コンベア30の基台32上に,回転体61と,前記回転体61を旋回させるモータ等の旋回手段,及び前記回転体61を昇降させる回転体用昇降機構を載置すると共に,前記コンベア本体31に,前記回転体61の上下方向への通過を許容する回転体通路36を形成し,前記回転体用昇降機構による前記回転体61の上昇時,前記回転体61の底面が,下降位置にある前記コンベア本体31の上面に対し上方位置となるよう設定すると共に,前記回転体用昇降機構による前記回転体61の下降時,前記回転体61の上面が,下降位置にある前記コンベア本体31の上面位置よりも低い位置で,かつ,上昇位置にある前記コンベア本体31の上面に設けたスライドアーチ挿入凹部315よりも低い位置となるように設定したことで,コンベア本体31が下降しているときに被梱包物Wを載置した回転体61を上昇させて回転させることで,被梱包物Wを回転体61と共に水平方向に旋回させることができ,また,回転体61の下降時,コンベア本体31を上昇させることで,回転体61をスライドアーチ挿入凹部315よりも低い位置,従って,前進したスライドアーチ21d,21dよりも低い位置に配置することができ,これにより回転体61がバンドを外掛けする際の邪魔にならないようにすることができ,バンド掛けを行う位置のコンベア30上に回転体を設けた構成でありながら,被梱包物Wに対し,内掛け及び外掛けの双方を行うことができた。
【0034】
その結果,本発明のパレット用梱包装置10では,梱包機20によるバンド掛けと,回転体61による被梱包物Wの水平方向への回転を,被梱包物Wを移動させることなく同一位置で行うことができ,梱包作業を短時間で完了させることができると共に,装置全体を小型化することができた。
【0035】
特に,前記回転体61を平面視十字状に形成すると共に,前記コンベア本体31を,平面視格子状に配置した4つのコンベアユニット31a~31dによって形成し,前記4つのコンベアユニット31a~31d間の間隔に,前記回転体通路36を形成した構成では,回転体通路36を形成しても,コンベア本体31上におけるローラの欠落部分を最小限に抑えることができ,その結果,コンベアの搬送機能を損なうことなく,被梱包物Wをコンベア上で回転させる機構を付与することができた。
【0036】
前記コンベア本体昇降機構50が,前記基台32と前記コンベア本体31(図示の実施形態では,コンベア本体31を載置する昇降枠51)とを連結するシザースリンク機構52を備えた構成では,コンベア本体31を安定した姿勢で昇降させることができる昇降機構を,比較的簡単な構成により実現することができた。
【0037】
前記梱包機20に,梱包時,前記パレット90上の前記物品を上方より下方に向かって押圧するプレス手段24を設けたことで,物品同士を密に接触させた状態でパレット梱包を行うことができ,荷崩れ等を起こしにくい状態に梱包することができた。
【0038】
前記コンベア本体31を上昇位置にロックするロック機構70と,ロック解除機構80を設けた構成では,コンベア本体31の不慮の下降,特に前述したプレス手段24を備えた構成ではプレス時における下降を好適に防止することができた。
【0039】
前記ロック機構を,前記基台32とコンベア本体31(図示の例ではコンベア本体31を載置する昇降枠51)間を連結するオーバーセンタリンケージ機構71によって構成したことで,簡単な構造でありながら確実に機能するロック機構70を採用することができただけでなく,プレス手段24によるプレス時の圧力は,コンベア本体昇降機構50とは別に設けたロック機構70が受けることとなるため,プレス手段24による加圧によりコンベア本体31の昇降用に設けたエアシリンダ53や空気圧回路等の構成に大きな負荷がかかることを防止できた。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明のパレット用梱包装置を備えた梱包ラインの平面図。
図2図1中のII-II線矢示方向より見た本発明のパレット用梱包装置の概略説明図。
図3】本発明のパレット用梱包装置のコンベアの斜視図。
図4】コンベア本体を取り外した状態のコンベアの斜視図。
図5】コンベアの動作説明図であり,(A)はコンベア本体及び回転体共に下降させた状態,(B)は,コンベア本体を下降させ,回転体を上昇させた状態,(C)は,回転体を下降させてコンベア本体を上昇させた状態。
図6】回転体を上昇させ,この回転体を45°程度回転した状態のコンベアの斜視図。
図7】ロック機構の説明図(正面図)であり(A)はコンベア本体の下降時,(B)はコンベア本体の上昇時。
図8】ロック機構の説明図(斜視図)であり(A)はコンベア本体の下降時,(B)はコンベア本体の上昇時。
図9】本発明のパレット用梱包装置による梱包方法の説明図。
図10】従来のパレット用梱包機の説明図(特許文献1の図3に対応)。
図11】従来のパレット用梱包装置の説明図(特許文献1の図2に対応)。
図12】被梱包物に対し,バンドの内掛けと外掛けを井桁状に行う方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下,添付図面を参照しながら本発明のパレット用梱包装置について説明する。
【0042】
〔パレット用梱包装置の全体構造〕
図1中の符号10は,本発明のパレット用梱包装置であり,このパレット用梱包装置10は,パレット90と,該パレット90上に積載された物品とを被梱包物Wとし,前記物品をパレット90と共にバンド掛けして梱包する梱包機20と,この梱包機20による梱包位置に被梱包物Wを搬送するコンベア30を備えている。
【0043】
図1は,前述した本発明のパレット用梱包機10を備えた梱包ライン1の全体構造を示したもので,この梱包ライン1には,本発明のパレット用梱包装置10の他に,パレット用梱包装置10に対し被梱包物Wを搬入する搬入コンベア30’と,パレット用梱包機10でバンド掛けによる梱包が完了した被梱包物Wを搬出するための搬出コンベア30’’が設けられていると共に,パレット用梱包装置10に導入する前の被梱包物Wの最上部に,バンドBの食い込みを防止するための天板を載置する天板供給装置40を備えている。
【0044】
〔梱包機〕
本発明のパレット用梱包装置10の構成要素である前述の梱包機20は,図2に示すように被梱包物Wの外周にバンドBを案内する矩形状のバンド案内アーチ21と,このバンド案内アーチ21内にバンドBを導入し,導入したバンドを引き戻してバンド案内アーチ21の内周側に脱落させて被梱包物Wの外周に巻回して締め付けると共に,バンド端の溶着と切断を行う梱包ユニット22を備えている。
【0045】
このうちのバンド案内アーチ21は,内向きに開口するコ字状のチャネル材の開口部(図示せず)を,揺動可能なフラップ(図示せず)によって閉塞した構造を有し,バンド案内アーチ21内にバンドBを通すことで,バンドBを被梱包物Wの外周に配置することができるように構成されていると共に,バンドBの引き戻しによってバンドBによって形成したループを狭めると,前述のフラップを倒してバンドBがバンド案内アーチ21の内周側に脱落し,バンド案内アーチ21の内側に配置された被梱包物Wの外周に巻回することができるように構成されている。
【0046】
図2に示すように,このバンド案内アーチ21の側辺を成す垂直アーチ21a,21bと,上辺を成す水平アーチ21cが,コンベア30上を跨ぐように門型に配置されていると共に,このバンド案内アーチ21の下辺が,進退移動可能なスライドアーチ21d,21dによって構成され,該スライドアーチ21d,21dの進退移動によって,垂直アーチ21a,21bの下端間を開閉することができるように構成されている。
【0047】
図示の実施形態では,前述のスライドアーチ21d,21dを左右に二分割し,紙面右側のスライドアーチ21dと,紙面左側のスライドアーチ21dがともに後退した位置では被梱包物Wが垂直アーチ21a,21b間を通過可能であるが,スライドアーチ21a,21bが共に前進して両スライドアーチの先端間が連結されることで,垂直アーチ21a,21bの下端間を連結できるように構成している。
【0048】
もっとも,パレット用梱包装置10の規模等によっては,このスライドアーチ21d,21dは,2分割されていない単一のスライドアーチによって構成するものとしても良い。
【0049】
図示の実施形態において,梱包機20は,バンド案内アーチ21が取り付けられた門型の機枠23を備え,この機枠23内を昇降するプレス手段24を設けることで,梱包時,プレス手段24の下降によって被梱包物Wを上方から下方に向かって押圧した状態で梱包することができるよう構成している。
【0050】
本実施形態では,前述したバンド案内アーチ21の上辺を成す水平アーチ21cを,垂直アーチ21a,21bとの連通状態を維持したまま,プレス手段24と共に機枠23内で昇降移動することができるように構成している。
【0051】
なお,図2中の符号22は,被梱包物Wの外周にバンドBを巻き付ける梱包ユニットであり,前述したスライドアーチ21d,21dが前進して垂直アーチ21a,21b下端間が連結されている時に,バンドリール25より引き出したバンドBをバンド案内アーチ21内へ送り出し,バンド案内アーチ21内を一周して梱包ユニット22まで戻ってきたバンドBの先端を把持すると共に,送り出したバンドBを引き戻す。
【0052】
これにより,バンド案内アーチ21内に導入されて被梱包物Wの周りに矩形のループ状に配置されていたバンドBのループが絞られて,バンドBがバンド案内アーチ21より,その内周側に脱落することで,バンド案内アーチ21の内側に配置された被梱包物Wの外周に対するバンドBの巻き付けと,引き締めを行うことができるように構成されている。
【0053】
このバンドBの引き戻し時,梱包ユニット22はバンドの引き戻しを行いつつ被梱包物Wの側面と接触する位置まで前進し,この位置で,被梱包物Wに巻回したバンドBの端部の切断と溶着を行うことで,被梱包物Wに対しバンドBをたるみなく巻回することができるように構成されている。
【0054】
〔コンベア〕
梱包機20による梱包が行われる位置に被梱包物Wを搬送する前述のコンベア30は,一例として図3に示すように前述のスライドアーチ21d,21dの進退移動方向に対し直交方向を搬送方向とするローラコンベアから成るコンベア本体31と,前記コンベア本体31を載置する基台32と,前記基台32上で前記コンベア本体31を昇降させるコンベア本体昇降機構50を備えている。
【0055】
前述のコンベア本体31は,図3に示すように,二本のガイドレール311,311間に複数のローラ312を回転可能に取り付けたローラコンベアから成るコンベアユニット31a~31dにより構成されており,本実施形態にあっては,4つのコンベアユニット31a~31dを,所定間隔を介して平面視格子状となるように配置し,各コンベアユニット31a~31d間に形成された十字状の間隔によって,後述する回転体61を通過させる回転体通路36を形成している。
【0056】
コンベア本体31を構成する各コンベアユニット31a~31dのそれぞれには,コンベア本体31の上昇時に前進するスライドアーチ21d,21dと干渉する位置のガイドレール311に切欠313が設けられていると共に,この切欠313の形成位置に対応する位置においてローラ312,312間の間隔314が広げられており,この切欠313と広げられたローラ間間隔314によって,前記コンベア本体31の上面に,スライドアーチ21d,21dを挿入可能な,スライドアーチ挿入凹部315が形成されている。
【0057】
前述のコンベア本体31を載置する基台32は,図4に示す実施形態では,平面視において矩形枠状を成し,この基台上32に,昇降枠51を介して前述のコンベア本体31が搭載されている。
【0058】
この基台32の側面と,昇降枠51の側面は,シザースリンク機構52によって連結されていると共に,基台32上には,前述の昇降枠51を押し上げる4つのエアシリンダ53(図4には1つのみ表示)が載置されており,このエアシリンダ53に対する作動エアの導入により,コンベア本体31を載置した昇降枠51が,基台32上を昇降することができるように構成されている。
【0059】
従って,図4に示した実施形態では,昇降枠51,シザースリンク機構52,及びエアシリンダ53によって,基台32上でコンベア本体31を昇降させる,コンベア本体昇降機構50が形成されている。
【0060】
このコンベア本体昇降機構50によるコンベア本体31の下降位置は,図5(A)に示すように,前記コンベア本体31上に載置されたパレット90のフォーク挿込口91にスライドアーチ21d,21dが挿入可能な高さHに設定され,図10及び図11を参照して説明した既知のパレット用梱包機100におけるフォーク挿込口(91)に進退するスライドアーチ117とパレット113と同様の位置及び構造であるが,図5(C)に示すようにコンベア本体31の上昇時には,前記コンベア本体31の上面に設けたパレット90の底面側に,スライドアーチ挿入凹部315が,前進したスライドアーチ21d,21dを挿入可能な高さHとなるように設定されている。
【0061】
従って,コンベア本体31の下降時にスライドアーチ21d,21dを前進させることで,スライドアーチ21d,21dをパレット90の挿込口91内に挿入してバンド掛け(内掛け)を行うことができると共に,コンベア本体31の上昇時にスライドアーチ21d,21dを前進させると,前記コンベア本体31の上面に設けたスライドアーチ挿入凹部315内にスライドアーチ21d,21dを挿入してバンド掛け(外掛け)できるように構成されている。
【0062】
〔回転体〕
前述したコンベア30の基台32上には,更に,被梱包物Wを載置した状態で上昇すると共に回転する回転体61と,前記回転体を旋回させる旋回手段(モータ63),及び,前記回転体61を昇降させる回転体用昇降機構が搭載されている。
【0063】
本実施形態では,この回転体61を平面視十字状に形成し,前記したコンベア本体31を構成する各コンベアユニット31a~31d間に設けた間隔によって形成された平面視十字状の回転体通路36を介して,回転体61がコンベア本体31を上下方向に通過することができるように構成している。
【0064】
前述の回転体61の底面側には,該回転体61を水平方向に回転させるモータ63が前述した旋回手段として設けられており,該モータ63を載置するモータ台64を,基台32上に設けた4つのエアシリンダ62(図6において1つのみ図示)によって昇降させることにより,モータ台64と共にモータ63及び回転体61を昇降させる,回転体用昇降機構が構成されている。
【0065】
この回転体用昇降機構による回転体61の昇降は,図5(B)に示すように,回転体61の上昇時,回転体61の底面を,下降位置にあるコンベア本体31の上面よりも高所となるまで上昇させることができるように構成されており,これにより,被梱包物Wを載置した状態で,回転体61をコンベア本体31上で水平方向に旋回させることができるようにしている。
【0066】
また,回転体61の下降時,前記回転体61の上面が,図5(A)に示すように下降位置にある前記コンベア本体31の上面よりも低い位置で,かつ,図5(C)に示すように,上昇位置にある前記コンベア本体31に設けた前記スライドアーチ挿入凹部315よりも低い位置となるよう構成されている。
【0067】
このように,コンベア本体31の下降時,回転体61の上面がコンベア本体31の上面よりも低い位置にあることで,コンベア本体31に設けたローラ312による被梱包物Wの搬送時,回転体61はパレット90の底面と接触することなく円滑に被梱包物Wの搬送を行うことができると共に,コンベア本体31の上昇時には,回転体61の上面がスライドアーチ挿入凹部315よりも低い位置にあることで,スライドアーチ挿入凹部315に対するスライドアーチ21d,21dの挿入を回転体61が邪魔することなく,また,スライドアーチ21d,21dとパレット90の底面間に回転体61が介在することもないため,回転体61がバンドBを外掛けする際の邪魔になることもない。
【0068】
〔ロック機構〕
前述のコンベア30には,更に,前記コンベア本体31を上昇位置にロックするロック機構70と,前記ロック機構70によるロックを解除するロック解除機構80を設けており,これにより,バンドBの外掛けを行う際,コンベア本体31が上昇した状態でプレス手段24によって被梱包物Wを押圧した場合であっても,コンベア本体31が下降し,あるいは,コンベア本体昇降機構50に大きな負担がかかることを防止できるようにしている。
【0069】
このロック機構の構成例を図7及び図8に示す。
【0070】
本実施形態にあっては,前述のロック機構70を,基台32と昇降枠51間を連結するオーバーセンタリンケージ機構71と,このオーバーセンタリンケージ機構71におけるリンク同士の連結点がセンタ位置を超える位置(図7中,センタ位置を示す一点鎖線に対し紙面左側)に向かって付勢する付勢手段72(本実施形態ではガススプリング)によって構成すると共に,前述のロック解除機構80を,ロック機構によるロックを解除する時,リンクの連結点がセンタ位置に対し下降位置側(図7中,センタ位置を示す一点鎖線に対し紙面右側)に移動させる流体シリンダ(エアシリンダ)によって構成している。
【0071】
本実施形態では,図7及び図8に示すように,ベースプレート73上に突設された連結突起74と,該連結突起74に一端711a側を軸支された第1リンク711と,該第1リンク711の他端711b側に中間位置が軸支され,他端712b側を昇降枠51に軸着された第2リンク712,及び,前記第1リンク711の側面に取り付けた規制板713を備え,図7(A)及び図8(A)に示す下降位置と,図7(B)及び図8(B)に示す上昇位置間で姿勢を変化させるオーバーセンタリンケージ機構71と,このオーバーセンタリンケージ機構71を,上昇位置方向に常時付勢する,付勢手段72,本実施形態ではガススプリングによってロック機構70を形成している。
【0072】
そして,このロック機構70によるロックの解除時,作動圧力の導入によって前記オーバーセンタリンケージ機構71の連結点がセンタ位置を超えるまで下降位置側に引っ張る流体シリンダ(実施例においてエアシリンダ)をロック解除手段80として備えている。
【0073】
すなわち,図示の構成では,コンベア本体31の上昇時,昇降枠51の上昇に伴って,これに連結された第2リンク712の他端712bが引き上げられると共に,ガススプリング72による押圧によって,第1リンク711は連結点を中心として図7(A)の紙面反時計回り方向に,第2リンク712は時計回り方向に,第2リンク712の一端712a側が規制板713に衝突して停止するまで回動し,図7(B)に示す上昇位置に係止される。
【0074】
第2リンク712の一端712a側が規制板713と衝突して回動を停止する位置は,第1リンク711と第2リンク712の連結点が,第1リンク711の一端711a側の軸着点と,第2リンク712の他端712b側の軸着点を結んだセンタ位置〔図7(B)中の一点鎖線参照〕を僅かに超えた位置(オーバーセンタ)となるように設定することにより,オーバーセンタリンケージ機構71は,コンベア本体31上に載置された被梱包物Wの重みや,プレス手段24による下方への押圧力が加わった場合であっても,折り畳まれることなく,伸張した状態を維持することで,コンベア本体31は上昇位置にロックされる。
【0075】
一方,コンベア本体31を下降させる際には,コンベア本体昇降機構50を構成するエアシリンダ53内の圧縮空気を放気しつつ,ロック解除機構であるエアシリンダ80によって第1リンク711と第2リンク712の連結点が,センタ位置〔図7(B)中の一点鎖線参照〕を超えて下降位置側(紙面右側)に移動するようにオーバーセンタリンケージ機構71を引っ張ることで,コンベア本体31や昇降枠51,被梱包物W等の重みによってガススプリング72の付勢力に抗してオーバーセンタリンケージ機構71が下降位置に折れ曲がる。
【0076】
このように,コンベア本体31を上昇位置に固定できるようにすることで,コンベア本体31を上昇させた状態でプレス手段24による押圧を行う等した場合であっても,コンベア本体31が意図せずに下降してしまうことを防止でき,また,コンベア本体昇降機構50に大きな負荷がかかることを防止できる。
【0077】
〔作用等〕
以上で説明した各部の動作は,例えば被梱包物Wの搬送位置を検知したセンサからの検知信号をトリガーとして自動で開始及び停止するように構成することができる。
【0078】
本発明のパレット用梱包装置10を備えた図1の梱包ライン1に対し,搬入位置より被梱包物Wを搬入して搬入コンベア30’上を搬送すると,被梱包物Wの上部には,天板供給装置40の前で天板が載置された後,本発明のパレット用梱包装置10に搬送される。
【0079】
本発明のパレット用梱包装置10のコンベア30には,前述したようにコンベア本体31を昇降するコンベア本体昇降機構50が設けられているが,被梱包物Wの搬送時には,コンベア本体昇降機構50は,コンベア本体31を下降させた状態にあり,コンベア30は搬入コンベア30’や搬出コンベア30’’と高さを一致させている〔図9(A)参照〕。
【0080】
そして,被梱包物Wが,本発明のパレット用梱包装置10のコンベア30上に搬送され,梱包機20による梱包位置に至ると,コンベア30は,被梱包物Wの搬送を停止すると共に,スライドアーチ21d,21dが前進を開始して,パレット90の側面に設けたフォーク挿込口91内に挿入される。
【0081】
また,機枠23に設けたプレス手段24が下降を開始して被梱包物Wの上面を下方に向かって押圧する。
【0082】
この状態で,梱包ユニット22がバンド案内アーチ21にバンドBを供給すると共に,バンド案内アーチ21内を通過して一周したバンドBの先端を把持すると,バンドBの引き戻しを開始し,これにより,バンド案内アーチ21よりその内周側に脱落したバンドBがバンド案内アーチの内側に配置された被梱包物Wに巻回され,バンド端の切断と溶着によって被梱包物Wに対し,パレット90のフォーク挿込口91を通してバンド掛けを行う,内掛けが行われる〔図9(B)参照〕。
【0083】
このバンドBの内掛けは,パレット90の側面に形成された2つのフォーク挿込口91のそれぞれを介して行われ,これにより,1つの被梱包物Wに対し,二カ所,バンドBの内掛けが行われる(図12参照)。
【0084】
このようにして,バンドBの内掛けが行われると,プレス手段24が上昇して被梱包物Wに加えられていた押圧力が除去されると共に,スライドアーチ21d,21dが後退してパレット90のフォーク挿込口91からスライドアーチ21d,21dが抜き取られる。
【0085】
回転体61を備えた本発明のパレット用梱包装置10の構成では,このプレス手段24の上昇と,スライドアーチ21d,21dの後退後,コンベア本体31を下降位置に維持したまま,回転体用昇降機構が,回転体61を上昇させると,回転体通路36内に収容されていた回転体61が,コンベア本体31の上面よりも高い位置に上昇し〔図5(B),図6参照〕,コンベア本体31上に載置されていた被梱包物Wを持ち上げる〔図9(C)参照〕。
【0086】
この状態で,モータ63により回転体61を水平方向に回転させることで,回転体61上に載置された被梱包物Wを水平方向に90°回転させる〔図9(D)参照〕。
【0087】
その後,コンベア本体昇降機構50によって昇降枠51を上昇させて,この昇降枠51上に載置されたコンベア本体31を所定の上昇位置まで上昇させた後〔図9(E)〕,回転体61を下降させて回転体用通路36内に収容する〔図9(F)参照〕。
【0088】
このように,コンベア本体31を上昇させた状態で回転体61を下降させると,回転体61は,コンベア本体31に設けた回転体通路内36内を移動して,回転体61の上面がコンベア本体31の上面に設けたスライドアーチ挿入凹部315よりも低い位置に配置される〔図5(C)参照〕。
【0089】
また,このコンベア本体31の上昇により,このコンベア本体31を載置した昇降枠51に第2リンク712の他端712bが連結されているオーバーセンタリンケージ機構71が,図7(A)及び図8(A)に示した下降位置から,図7(B)及び図8(B)に示す上昇位置に変形する。
【0090】
これにより,オーバーセンタリンケージ機構71に下向きの力が加わると,第2リンク712は,図7(B)中,連結点を中心に時計回り方向に回動しようとするが,このような回動は,第2リンク712の一端712a側が規制板713と突合することにより規制されていることで,昇降枠51,従って,コンベア本体31は下降することなく,上昇位置にロックされる。
【0091】
このようにして,コンベア本体31が上昇し,ロック機構70により上昇位置にロックされると共に,回転体61の下降が終了すると,スライドアーチ21d,21dが前進してコンベア本体31の上面に設けたスライドアーチ挿入凹部315内に挿入される。
【0092】
このとき,前述の回転体61は,スライドアーチ挿入凹部315よりも低位置に配置されているため,スライドアーチ挿入凹部315に対するスライドアーチ21d,21dの挿入や,挿入後のスライドアーチ21d,21dより脱落したバンドのパレット90底面に対する巻回が回転体61によって妨げられることはない。
【0093】
このようにして,スライドアーチ挿入凹部315に対するスライドアーチ21d,21dの挿入後,プレス手段24の下降により被梱包物Wの上面が押圧される。
【0094】
このように,被梱包物Wを下向きに押圧する力が加わった場合であっても,このときの荷重はロック機構70が支えているため,コンベア本体昇降機構50を構成するエアシリンダ53等に対し,大きな負担がかかることが防止される。
【0095】
この状態で,梱包ユニット22によるバンド案内アーチ21に対するバンドBの導入と,バンドB先端の把持,引き戻し,溶着及び切断が行われ,被梱包物Wに対し,バンドBの外掛けが行われる〔図9(F)参照〕。
【0096】
このような外掛けを二カ所行って,図12に示すように被梱包物Wに対する井桁状のバンド掛けが完了すると,プレス手段24が上昇すると共に,スライドアーチ21d,21dが後退してスライドアーチ挿入凹部315より抜き取られる。
【0097】
その後,コンベア本体昇降機構50を構成するエアシリンダの排気バルブを開くと共に,ロック解除機構であるエアシリンダ80がオーバーセンタリンケージ機構71を,連結点がセンタ位置を超えるまで下降位置側に引っ張ることで,ロック機構70によるロックが解除され,コンベア本体31は,その自重,昇降枠51の重さ,及び被梱包物Wの重さにより所定の下降位置に至るまで下降する〔図9(G)参照〕。
【0098】
このようにして,コンベア本体31の下降が完了した後,コンベア30は被梱包物Wの搬送を再開し,井桁状にバンド掛けがされた被梱包物Wは,搬出用コンベア30’’に受け渡されて搬出される〔図9(H)参照〕。
【0099】
なお,以上の説明では,本発明のパレット用梱包装置10を,内掛けと外掛けのバンドを井桁状に巻回する場合について説明したが,本発明のパレット用梱包装置10は,被梱包物Wに対し内掛又は外掛けのいずれか一方のみを行う梱包に使用するものとしても良く,また,被梱包物Wを水平方向に旋回させることなく,外掛けと内掛けを被梱包物Wの同一面に対し行う梱包に使用するものとしても良い。
【0100】
このように,本発明のパレット用梱包装置10では,コンベア30側の構成を工夫したことで,梱包機単体では,内掛け又は外掛けのいずれか一方のバンド掛けにしか対応し得ない,単純な構造の梱包機を使用して,コンベア本体31の上昇時には外掛け,下降時には内掛けでバンド掛けを行うことができた。
【0101】
また,本発明の構成では,被梱包物Wに対するバンド掛けと,被梱包物Wの水平方向の旋回を同一位置で行うことができるようにしたことで,バンドの内掛けと,外掛けを交叉する方向に井桁状に行う場合であっても,梱包に要する時間を可及的に短くすることができると共に,装置の小型化が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 梱包ライン
10 パレット用梱包装置
20 梱包機
21 バンド案内アーチ
21a,21b 垂直アーチ
21c 水平アーチ
21d スライドアーチ
22 梱包ユニット
23 機枠
24 プレス手段
25 バンドリール
30 コンベア
30’ 搬入コンベア
30’’ 搬出コンペア
31 コンベア本体
31a~31d (ローラ)コンベアユニット
311 ガイドレール
312 ローラ
313 切欠
314 広げられたローラ間間隔
315 スライドアーチ挿入凹部
32 基台
36 回転体通路
40 天板供給装置
50 コンベア本体昇降機構
51 昇降枠
52 シザースリンク機構
53 エアシリンダ
61 回転体
62 エアシリンダ
63 モータ
64 モータ台
70 ロック機構
71 オーバーセンタリンケージ機構
711 第1リンク
711a 一端(第1リンクの)
711b 他端(第1リンクの)
712 第2リンク
712a 一端(第2リンクの)
712b 他端(第2リンクの)
713 規制板
72 付勢手段(ガススプリング)
73 ベースプレート
74 連結突起
80 ロック解除機構(エアシリンダ)
90 パレット
91 フォーク挿込口
100 梱包機
110 コントロール部
112 搬送装置(コンベア)
113 パレット
114,115 左右アーチ
117 スライドアーチ
118 固定アーチ
121 ターンテーブル
124 回動アーチ
130 上アーチ
140 機枠
W 被梱包物
B バンド
H スライドアーチを挿入可能な高さ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12