(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
H02K 21/24 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
H02K21/24 M
(21)【出願番号】P 2020200026
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】397030123
【氏名又は名称】アシスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】上野 陽久
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102227092(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105515229(CN,A)
【文献】国際公開第2009/034990(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111884456(CN,A)
【文献】特開平11-004553(JP,A)
【文献】特開2015-173584(JP,A)
【文献】国際公開第2003/065549(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/032312(WO,A1)
【文献】特開2009-247046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
第1のコア及び第2のコアと、前記第1のコアに巻かれた前記回転体の駆動用の駆動コイルと、前記第2のコアに巻かれた充電コイルと、前記第1のコアと第2のコアを磁気的に連結する連結部と、を備えた複数個のコイルユニットと、
前記コイルユニットの駆動コイルに電流を流して、前記第1のコアに電磁石を形成するための電源装置と、
S極とN極を有する複数個の永久磁石であって、前記回転体に備えられ、電磁石が形成された前記第1のコアと前記S極またはN極からなる駆動用磁極との間で作用して、前記回転体の回転駆動力を発生させ、前記回転駆動力が発生して回転体が回転したときに、前記コイルユニットにおける前記充電コイルと前記駆動用磁極とは異なる極性の充電用磁極との間で作用して、充電コイルに誘導起電力を生じさせる複数個の永久磁石と、
を備え、
前記充電コイルに生じた誘導起電力に基づく電力を前記電源装置に還元し
、
前記第1のコアに電磁石を形成する際に駆動コイルに流す電流によって前記第1のコアに発生した磁束を、前記連結部を介して前記第2のコアに導くことによって、前記充電コイルに補助的な誘導起電力を生じさせ
、
前記コイルユニットにおける前記第1のコアの前記回転体側の端部に、前記永久磁石の駆動用磁極と反発する態様で、反発用永久磁石が備えられていることを特徴とする回転装置。
【請求項2】
回転体と、
第1のコア及び第2のコアと、前記第1のコアに巻かれた前記回転体の駆動用の駆動コイルと、前記第2のコアに巻かれた充電コイルと、前記第1のコアと第2のコアを磁気的に連結する連結部と、を備えた複数個のコイルユニットと、
前記コイルユニットの駆動コイルに電流を流して、前記第1のコアに電磁石を形成するための電源装置と、
S極とN極を有する複数個の永久磁石であって、前記回転体に備えられ、電磁石が形成された前記第1のコアと前記S極またはN極からなる駆動用磁極との間で作用して、前記回転体の回転駆動力を発生させ、前記回転駆動力が発生して回転体が回転したときに、前記コイルユニットにおける前記充電コイルと前記駆動用磁極とは異なる極性の充電用磁極との間で作用して、充電コイルに誘導起電力を生じさせる複数個の永久磁石と、
を備え、
前記充電コイルに生じた誘導起電力に基づく電力を前記電源装置に還元し、
前記第1のコアに電磁石を形成する際に駆動コイルに流す電流によって前記第1のコアに発生した磁束を、前記連結部を介して前記第2のコアに導くことによって、前記充電コイルに補助的な誘導起電力を生じさせ、
前記充電コイルの前記回転体側の端部の位置は、前記第2のコアの前記回転体側の端部の位置よりも回転体側に突出している
ことを特徴とする回転装置。
【請求項3】
前記回転体は回転プレートであり、前記永久磁石は、それぞれ前記回転プレートの半径方向の2カ所の位置において、周方向に間隔を開けて環状に配設されており、
前記コイルユニットは、それらの各駆動コイルが、前記回転プレートの一方の環状配置の永久磁石の駆動用磁極に対向し、各充電コイルが、前記回転プレートの他方の環状配置の永久磁石の充電用磁極に対向するように配置されている請求項1
または2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記永久磁石は、駆動用磁極が前記回転プレートの厚さ方向の一面に現れ、充電用磁極が厚さ方向の他面に現れるように配置され、前記コイルユニットは、前記回転プレートの厚さ方向の両側に配置されている請求項
3に記載の回転装置。
【請求項5】
前記コイルユニットは、前記回転プレートの回転軸心を中心として点対称位置に複数対配置されており、点対称のコイルユニット同士が同期して動作する請求項
3または
4に記載の回転装置。
【請求項6】
全ての前記コイルユニットが同一のタイミングで永久磁石に正対しないように、コイルユニットの周方向の間隔と永久磁石の周方向の間隔が非同期に設定されることにより、前記回転プレートの回転駆動力を連続的に発生可能となされている請求項
3~
5のいずれかに記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、永久磁石を備えた回転体を電源装置の電源により回転駆動させる際に、充電コイルに誘導起電力を生じさせて前記電源を充電しながら回転体を回転させる回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の回転装置として、特許文献1には、回転時に永久磁石がコアから受ける抵抗が小さく、ロータの回転負荷トルクを減少させて発電効率を向上させ、ステータコイル間の干渉を防ぎ、コイル毎に生じた電力を加算して大きな発電出力を得るために、回転軸に取り付けられたロータと、ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なるように永久磁石が複数配置された第一界磁部と、永久磁石の端面に固着された第一磁束遮断部材と、端部に第一磁束遮断部材とギャップを介して対向する第一対向面を有し各々が磁気的に絶縁された複数のコアと、コアに巻回されたコイル毎又は同位相の交流起電力が発生するコイル群毎に変圧器又は整流器に接続されたステータコイルと、を備えた発電機と、ステータコイルと変圧器又は整流器との間に並列に接続されステータコイルを短絡する第一のリレースイッチと、変圧器又は整流器の出力電圧を入力して蓄電する蓄電池と、を備えた回転装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、1台の電気回転機で1個のロータを共用して電動態様と発電態様とを同時に採って、持続的に発電することができるようにした電気回転機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-288336号公報
【文献】特開2015-173584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された回転装置は、エネルギ損失が大きく、効率の面で改善の余地があった。
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、エネルギ損失を低減し効率を向上できる回転装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)回転体と、
第1のコア及び第2のコアと、前記第1のコアに巻かれた前記回転体の駆動用の駆動コイルと、前記第2のコアに巻かれた充電コイルと、前記第1のコアと第2のコアを磁気的に連結する連結部と、を備えた複数個のコイルユニットと、
前記コイルユニットの駆動コイルに電流を流して、前記第1のコアに電磁石を形成するための電源装置と、
S極とN極を有する複数個の永久磁石であって、前記回転体に備えられ、電磁石が形成された前記第1のコアと前記S極またはN極からなる駆動用磁極との間で作用して、前記回転体の回転駆動力を発生させ、前記回転駆動力が発生して回転体が回転したときに、前記コイルユニットにおける前記充電コイルと前記駆動用磁極とは異なる極性の充電用磁極との間で作用して、充電コイルに誘導起電力を生じさせる複数個の永久磁石と、
を備え、
前記充電コイルに生じた誘導起電力に基づく電力を前記電源装置に還元すると共に、誘導起電力に基づく電流が充電コイルに流れることにより前記第2のコアに発生した磁束を、前記連結部を介して前記第1のコアに導くことによって、前記第1のコアと前記永久磁石の間に回転体に対する補助的な回転駆動力を発生させ、
前記第1のコアに電磁石を形成する際に駆動コイルに流す電流によって前記第1のコアに発生した磁束を、前記連結部を介して前記第2のコアに導くことによって、前記充電コイルに補助的な誘導起電力を生じさせることを特徴とする回転装置。
(2)前記回転体は回転プレートであり、前記永久磁石は、それぞれ前記回転プレートの半径方向の2カ所の位置において、周方向に間隔を開けて環状に配設されており、
前記コイルユニットは、それらの各駆動コイルが、前記回転プレートの一方の環状配置の永久磁石の駆動用磁極に対向し、各充電コイルが、前記回転プレートの他方の環状配置の永久磁石の充電用磁極に対向するように配置されている前項(1)に記載の回転装置。
(3)前記永久磁石は、駆動用磁極が前記回転プレートの厚さ方向の一面に現れ、充電用磁極が厚さ方向の他面に現れるように配置され、前記コイルユニットは、前記回転プレートの厚さ方向の両側に配置されている前項(2)に記載の回転装置。
(4)前記コイルユニットは、前記回転プレートの回転軸心を中心として点対称位置に複数対配置されており、点対称のコイルユニット同士が同期して動作する前項(2)または(3)に記載の回転装置。
(5)全ての前記コイルユニットが同一のタイミングで永久磁石に正対しないように、コイルユニットの周方向の間隔と永久磁石の周方向の間隔が非同期に設定されることにより、前記回転プレートの回転駆動力を連続的に発生可能となされている前項(2)~(4)のいずれかに記載の回転装置。
(6)前記コイルユニットにおける前記第1のコアの前記回転体側の端部に、前記永久磁石の駆動用磁極と反発する態様で、反発用永久磁石が備えられている前項(1)~(5)のいずれかに記載の回転装置。
(7)前記充電コイルの前記回転体側の端部の位置は、前記第2のコアの前記回転体側の端部の位置よりも回転体側に突出している前項(1)~(6)のいずれかに記載の回転装置。
【発明の効果】
【0008】
前項(1)に記載の発明によれば、コイルユニットの駆動コイルに電源装置から電流を流して、第1のコアに電磁石を形成することにより、回転体に備えられた複数個の永久磁石のS極またはN極からなる駆動用磁極と第1のコアとの間で回転駆動力を発生させ、回転体は回転駆動される。回転体が回転したときに、複数個の永久磁石の充電用磁極が作用して、コイルユニットの充電コイルに誘導起電力が生じる。充電コイルに生じた誘導起電力に基づく電力は電源装置に還元される。また、誘導起電力に基づく電流が充電コイルに流れることにより第2のコアに発生した磁束を、連結部を介して第1のコアに導くことによって、第1のコアを磁化し第1のコアと永久磁石の間に回転体に対する補助的な回転駆動力を発生させる。一方、第1のコアに電磁石を形成する際に駆動コイルに流す電流によって第1のコアに発生した磁束を、連結部を介して第2のコアに導くことによって、充電コイルに補助的な誘導起電力を生じさせる。
【0009】
このように、充電コイルに生じた誘導起電力に基づいて第2のコアに発生した磁束を利用して、第1のコアと永久磁石の間に回転体に対する補助的な回転駆動力を発生させ、第1のコアに電磁石を形成する際の駆動コイルの電流によって第1のコアに発生した磁束を利用して、充電コイルに補助的な誘導起電力を生じさせるから、第1のコアや第2のコアに生じた磁束を無駄なく有効に利用することができる。その結果、エネルギ損失を抑制して効率を向上することができる。
【0010】
前項(2)に記載の発明によれば、回転プレートの回転により充電コイルに生じた誘導起電力に基づいて第2のコアに発生した磁束や、駆動コイルの電流によって第1のコアに発生した磁束を、無駄なく有効に利用することができる構成を、確実に実現することができる。
【0011】
前項(3)に記載の発明によれば、回転プレートの厚さ方向の両側で、充電コイルに生じた誘導起電力に基づいて第2のコアに発生した磁束や、駆動コイルの電流によって第1のコアに発生した磁束を、無駄なく有効に利用することができ、さらにエネルギ損失を低減して効率の向上を図ることができる。
【0012】
前項(4)に記載の発明によれば、コイルユニットは、回転プレートの回転軸心を中心として点対称位置に複数対配置されており、点対称のコイルユニット同士が同期して動作するから、回転駆動力のさらなるに増大や発電効率の向上を図ることができる。
【0013】
前項(5)に記載の発明によれば、全てのコイルユニットが同一のタイミングで永久磁石に正対しないように、コイルユニットの周方向の間隔と永久磁石の周方向の間隔が非同期に設定されているから、回転プレートの回転駆動力を連続的に発生可能となる。
【0014】
前項(6)に記載の発明によれば、コイルユニットにおける第1のコアの回転体側の端部に、永久磁石の磁極と反発する態様で、反発用永久磁石が備えられているから、永久磁石と第1のコアとの間に生じる吸着力を抑制することができ、吸着力が回転体の回転を妨げる方向に作用するのを防止することができる。
【0015】
前項(7)に記載の発明によれば、充電コイルの回転体側の端部の位置は、第2のコアの回転体側の端部の位置よりも回転体側に突出しているから、充電コイルの発電量をより多く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る回転装置の概略構成を示す正面断面図である。
【
図5】コイルユニットの回転プレートに対する位置関係を説明するための断面図である。
【
図7】(A)(B)は充電コイルの端部を第2のコアの端面よりも退入させた場合と突出させた場合とで、作用する磁束の量が異なることを説明するための、充電コイル部分の断面図である。
【
図9】複数個のコイルユニットの間隔を磁石ユニットの間隔と同期させ、かつ第1のコアの先端に反発用磁石を取り付けていない状態で、回転プレートが回転したときの第1のコアと磁石ユニット(永久磁石)の間で作用する力関係を説明するためのシーケンス図である。
【
図10】複数個のコイルユニットの間隔を磁石ユニットの間隔に対してずらし、かつ第1のコアの先端に反発用磁石を取り付けていない状態で、回転プレートが回転したときの第1のコアと磁石ユニット(永久磁石)の間で作用する力関係を説明するためのシーケンス図である。
【
図11】複数個のコイルユニットの間隔を磁石ユニットの間隔に対してずらし、かつ第1のコアの先端に反発用磁石を取り付けた状態で、回転プレートが回転したときの第1のコアと磁石ユニット(永久磁石)の間で作用する力関係を説明するためのシーケンス図である。
【
図12】複数個のコイルユニットの間隔を磁石ユニットの間隔に対してずらし、かつ第1のコアの先端に反発用磁石を取り付け、更に駆動コイルに電流を流した状態で、回転プレートが回転したときの第1のコアと磁石ユニット(永久磁石)の間で作用する力関係を説明するためのシーケンス図である。
【
図13】(A)は、複数個のコイルユニットの間隔を磁石ユニットの間隔に対してずらした状態で、各駆動コイルに電流を流すタイミングを示す図、(B)は、複数個のコイルユニットの間隔を磁石ユニットの間隔に同期させた状態で、各駆動コイルに電流を流すタイミングを示す図である。
【
図14】この発明のさらに他の実施形態を示すもので、(A)は回転プレートにおける磁石ユニットの配置状態の一部を示す正面図、(B)はコイルユニットの断面図である。
【
図15】この発明のさらに他の実施形態を示すもので、回転プレートにおける磁石ユニットの配置状態の一部を示す正面図である。
【
図16】この発明のさらに他の実施形態を示すもので、(A)は回転プレートの上部部分の正面図、(B)はコイルユニットの配置部分の側面断面図である。
【
図17】この発明のさらに他の実施形態を示すもので、回転装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る回転装置の概略構成を示す正面断面図、
図2は同じく側面断面図である。
【0018】
回転装置1は、筐体2と、筐体2内に収容された回転体としての円形の回転プレート10を備え、この回転プレート10は回転プレート10の中心部を厚さ方向に貫通する回転軸11に軸着されている。また、回転軸11は筐体2の両側板2a、2aを貫通して回転可能に支承されており、これにより回転プレート10が筐体2内で回転軸11を中心に回転可能となっている。
【0019】
回転プレート10には、
図3に詳細に示すように、半径方向の2カ所の位置において、それぞれ複数の磁石ユニット20、30が周方向に沿って等間隔で環状に埋め込まれており、回転プレート10に内外2重の環状の永久磁石帯200、300が形成されている。各永久磁石帯200、300を形成する複数の磁石ユニット20、30のそれぞれは、
図4に示すように、複数個(例えば3個)の円板状の永久磁石21、31を備えており、各永久磁石21、31は各磁石ユニット20、30において、予め設定された例えば三角形の頂点に位置する配置で埋め込まれている。なお、複数個の永久磁石21、31により磁石ユニット20、30を構成したが、1個の永久磁石21、31で構成されていても良く、磁石ユニット20、30の形状、永久磁石21、31の数や形状等は限定されない。また、磁石ユニット20と磁石ユニット30とで、その形状や永久磁石21、31の数や形状を変更しても良いし、磁石ユニット20同士あるいは磁石ユニット30同士においても、その形状や永久磁石21、31の数や形状を異なるものに設定しても良い。
【0020】
各永久磁石21、31は厚さ方向の一面側が駆動用磁極である例えばN極に、他面側が充電用磁極である例えばS極に着磁されている。そして、内外2重の環状の永久磁石帯200、300のうち、外側の永久磁石帯200については、回転プレート10の厚さ方向の一面(表面)側に例えばN極が臨み、回転プレートの他面(裏面)側に例えばS極が臨むように、回転プレート10に埋め込まれている。一方、内側の永久磁石帯300については、回転プレート10の一面側にS極側が臨み、他面側にN極側が臨むように、回転プレート10に埋め込まれている。つまり、回転プレート10の表裏両面において、外側の永久磁石帯200と内側の永久磁石帯300とで、現れる磁極が逆になっている。
【0021】
筐体2内には複数個のコイルユニット40が収容されている。
【0022】
図5は、コイルユニット40の回転プレート10に対する位置関係を説明するための、コイルユニット40の取付部位近傍の側面断面図である。コイルユニット40は、コア部41と駆動コイル42と充電コイル43を備えている。コア部41は断面円形のL形の第1のコア411と、同じく断面円形のL形の第2のコア412と、第1のコア411及び第2のコア412を連結して一体化する断面円形の連結部413により、全体がコ字形に形成されている。
【0023】
第1のコア411、第2のコア412及び連結部413は、いずれも磁束を通す電磁鋼板等の鉄系材料によって形成されている。従って、第1のコア411に発生した磁束を連結部413を介して第2のコア412に導き、逆に、第2のコア412に発生した磁束を連結部413を介して第1のコア411に導くことができるようになっている。なお、第1のコア411、第2のコア412及び連結部413を、同一部材で一体形成しても良い。
【0024】
駆動コイル42は、第1のコア411にそのL形形状に沿って巻回される一方、充電コイル43は、第2のコア412にそのL形形状に沿って巻回されている。そして、第1のコア411の先端部が、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30に近接して対向配置され、第2のコア412の先端部が、外側の永久磁石帯200の磁石ユニット20に近接して対向配置された状態で、筐体2に固定されている。
【0025】
このような構成のコイルユニット40の複数個(この実施形態では3個)が、
図1に示すように、回転プレート10の表面側の上部の位置において回転プレート10の周方向に等間隔で配置されている。各コイルユニット40の周方向の間隔は、外側の磁石帯200の各磁石ユニット20の周方向の間隔や、内側の磁石帯300の各磁石ユニット30の周方向の間隔と同期していても良いが、磁石ユニット20、30の間隔とは非同期に設定して、全てのコイルユニット40の第1のコア411が磁石ユニット30に同じタイミングで正対しないようにするのが、回転プレート10の回転駆動力を連続的に発生しうることから望ましい。この点については後述する。
【0026】
また、回転プレート10の下部においても、上部のコイルユニット40と同数のコイルユニット40が、回転プレート10の周方向に、上部のコイルユニット40の間隔と同じ等間隔で配置されている。これら回転プレート10の下部の各コイルユニット40と上部の各コイルユニット40は、回転プレート10の回転軸心Cを中心として、点対称位置に配置されている。
【0027】
さらに、各コイルユニット40における第1のコア411の先端部(回転プレート10側の面)には、第1のコア411と対向する内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30における永久磁石31の磁極と反発する態様で、円板状の反発用永久磁石44が備えられている。つまり、反発用永久磁石44は、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30における永久磁石31の磁極と同じ極性の磁極が回転プレート10側となり、異なる極性の磁極が第1のコア411側となる向きで、第1のコア411に一体に取り付けられている。
【0028】
この反発用永久磁石44は、詳細な作用については後述するが、電磁鋼板等の鉄系材料からなる第1のコア411と永久磁石31との間に発生する吸着力を打ち消す役割を果たす。一方、同じく鉄系材料からなる第2のコア412には反発用永久磁石が設けられないため、第2のコア412の先端部と永久磁石21との距離(隙間)が近いと、両者の間に吸着力が発生する。この吸着力は永久磁石21の磁力の強さによっても変わるが、回転プレート10の回転を妨げる損失となる。かといって、吸着力を抑制するため、第2のコア412の先端部と磁石ユニット20の距離を大きくすると、磁石ユニット20の永久磁石21から充電コイル43に作用する磁力が弱くなり、発電効率が低下する。
【0029】
そこで、この実施形態では、
図6に示すように、充電コイル43を第2のコア412の先端部から回転プレート10側にXの量だけ突出するように巻いている。これにより、
図7(A)のように、第2のコア412の先端部が露出している場合の磁石ユニット20の永久磁石21との距離L1よりも、同図(B)のように、充電コイル43の先端部と磁石ユニット20の永久磁石21との距離L2を小さくでき、充電コイル43に作用する永久磁石21からの磁束21aが無効になる量を少なくでき、第2のコア412と永久磁石21の間の吸着力の発生を抑制しながら、充電コイル43の出力電圧を上げ、発電効率を確保することが可能となる。
【0030】
なお、充電コイル43の回転プレート10側の先端は、反発用永久磁石44の回転プレート10側の先端よりも回転プレート10側に突出していても良いし、同程度であっても良い。
【0031】
また、
図2及び
図5に示すように、回転プレート10の厚さ方向の裏面側にも、表面側のコイルユニット40と同じ位置に複数個のコイルユニット40が配置されている。
【0032】
即ち、第1のコア411に巻回された駆動コイル42は、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット20に対向して配置され、第2のコア412に巻回された充電コイル43は、外側の永久磁石帯200の磁石ユニット30に対向して配置されている。なお、各コイルユニット40における第1のコア411の先端部(回転プレート10側の面)に、第1のコア411と対向する内側の永久磁石帯300の永久磁石31の磁極と反発する態様で、円板状の反発用永久磁石44が備えられている点、充電コイル43の回転プレート10側の端部の位置が、第2のコア412の回転プレート10側の端部の位置よりも回転プレート10側に突出するように、充電コイル43が第2のコア412に巻かれている点については、回転プレート10の表側のコイルユニット40と同様である。
【0033】
ただし、回転プレートの表裏で磁石ユニット30の永久磁石31の磁極が異なっているため、反発用磁石44の磁極は、回転プレート10の表面側のコイルユニット40の第1のコア411に取り付けられた反発用永久磁石44の磁極とは逆の極性になっている。
【0034】
図8は回転装置1の電気系統を示す回路図である。なお、
図8では回転プレート10は省略されている。
【0035】
駆動コイル42には、電源53から駆動回路51を介して駆動信号が入力される。この駆動信号によって、駆動コイル42に駆動電流が流れ、第1のコア411が電磁石となり、後述するように回転プレート10が回転する。駆動信号はパルス信号でも良いし、交流信号でも良く、第1のコア411が磁石ユニット30の永久磁石31と反発する電磁石となる信号であれば良い。回転プレート10の回転力は、回転軸11を介して各種の負荷に伝達される。
【0036】
回転プレート10が回転すると、後述するように、充電コイル43に誘導起電力が発生する。発生した誘導起電力は、充電回路52を介して電源53を充電する。
【0037】
次に、内外の環状の永久磁石帯200、300を形成する複数個の磁石ユニット20、30と、コイルユニット40の周方向の位置関係について説明する。
【0038】
この実施形態では、内外の永久磁石帯200、300における磁石ユニット20、30は、限定はされないが、
図3に示すようにθ3=22.5度の角度で等間隔に16箇所、回転プレート10に埋め込まれている。一方、回転プレート10の表側及び裏側のコイルユニット40のうち、上側の3個のコイルユニット40は
図1に示すように、中央のコイルユニット40bを基準にして左側のコイルユニット40aがθ1=-(45°+α)、右側のコイルユニット40cが、θ2=45°+αの角度で、それぞれ配置されている。また、下側の3個のコイルユニット40の間隔も同様である。従って、全てのコイルユニット40の第1のコア411(駆動コイル42)及び第2のコア412(充電コイル43)が同時に、内外二重の永久磁石帯200、300の磁石ユニット20、30にそれぞれ正対することはなく、3個のコイルユニット40の内、1つのコイルユニット40の第1のコア411及び第2のコア412が永久磁石帯200、300の各磁石ユニット20、30に正対しているときは、他の2つのコイルユニット40の第1のコア411及び第2のコア412は、永久磁石帯200、300の各磁石ユニット20、30に対して周方向にずれて対向する構成となっている。
【0039】
図9は、上側の3個のコイルユニット40(40a、40b、40c)において、中央のコイルユニット40bを基準0°として、両側のコイルユニット40a、40cがθ1=-45°、θ2=45°の角度で配置されている場合であって、駆動コイル42を駆動せず、かつ第1のコア411の先端に反発用磁石44を取り付けていない状態で、回転プレート10が回転したときの第1のコア411と永久磁石ユニット30(永久磁石31)の間で作用する力関係を説明するためのシーケンス図である。
【0040】
図9上段の図は、環状に配置された磁石ユニットを直線配置で表示したものであり、回転プレート10は右方向(矢印R方向)に回転している。下段の図は、上段の図から回転プレート10が磁石ユニット30の1個分回転した状態を示している。また、黒丸印は第1コア411の端面を示している。
【0041】
図9において、3個のコイルユニット40a、40b、40cの間隔は45°であり、磁石ユニット30の間隔22.5°の2倍である。従って、3個のコイルユニット40a、40b、40cにおける3個の第1のコア411a、411b、411cは、同じタイミングで、磁石ユニット30に1個置きに正対する。今、これら3個の第1コア411a、411b、411cを、
図9上段の図のように、それぞれ磁石ユニット30b、30d、30fの回転方向先端側の端部が通過しているものとする。
【0042】
第1のコア411a、411b、411cは鉄系材料で構成されているから、磁石ユニット30(30b、30d、30f)における永久磁石31の駆動用磁極(例えばN極)との間で吸着力を生じる。吸着力を生じる範囲は、各第1のコア411a、411b、411cの端面を磁石ユニット30b、30d、30fが通過する範囲、つまり、同図上段の図のように、磁石ユニット30b、30d、30fの回転方向先端側の端部が第1のコア411a、411b、411cの端面を通過した後、下段の図のように、磁石ユニット30b、30d、30fの回転方向後端側の端部が第1のコア411a、411b、411cの端面を通過するまでである。
図9に、吸着力を生じる範囲を吸着範囲として示す。
【0043】
図10は、上側の3個のコイルユニット40a、40b、40cについて、中央のコイルユニット40bとその両側のコイルユニット40a、40cが、θ1=-(45°+α)、θ2=45°+αの角度でそれぞれ配置された状態で、回転プレート10が回転したときの第1のコア411a、411b、411cと磁石ユニット30(永久磁石31)の間で作用する力関係を説明するためのシーケンス図である。
【0044】
図10の上段の図と下段の図は、
図9の上段の図と下段の図の関係と同じであり、黒丸印は第1コア411a、411b、411cの端面を示している。
【0045】
同図上段の図のように、中央のコイルユニット40bにおける第1コア411bを磁石ユニット30dの回転方向先端側の端部が通過しているものとする。左右のコイルユニット40a、40cは、中央のコイルユニット40bに対して±(45°+α)、の間隔で配置されているから、中央のコイルユニット40bの第1のコア411bを磁石ユニット30dの回転方向先端側の端部が通過しているときに、右側のコイルユニット40cの第1のコア411cには、磁石ユニット30fが到達しておらず、左側のコイルユニット40aの第1のコア411aを磁石ユニット30bの中間部が通過中である。
【0046】
同図下段の図のように、中央のコイルユニット40bにおける第1コア411bを磁石ユニット30dの回転方向後端側の端部が通過しているときに、右側のコイルユニット40cの第1のコア411cを磁石ユニット30fの中間部が通過中であり、左側のコイルユニット40aの第1のコア411aを磁石ユニット30bは既に通過している。
【0047】
このため、各コイルユニット40a、40b、40cにおける第1コア411a、411b、411cと磁石ユニット30b、30d、30fの永久磁石31との間で作用する吸着力の範囲は、
図10に示す通りとなる。このような吸着力は、ゴギングトルクの原因となり、駆動損失となる。
【0048】
そこで、この実施形態では前述したように、磁石ユニット30と対向する各コイルユニット40a、40b、40cにおける第1のコア411a、411b、411cの先端部に、反発用永久磁石44を取り付けることで、第1のコア411a、411b、411cと磁石ユニット30の永久磁石31との間に作用する吸着力を反発力に変えている。ただし、反発力を弱いものとするために、反発用永久磁石44は弱い磁力のものとする。
【0049】
図11に、各第1のコア411a、411b、411cの先端部に反発用永久磁石44を取り付けるとともに、上側の3個のコイルユニット40a、40b、40cについて、中央のコイルユニット40bとその両側のコイルユニット40a、40cとが、θ1=-(45°+α)、θ2=45°+αの角度でそれぞれ配置された状態で、回転プレート10が回転したときの各第1のコア411a、411b、411cと永久磁石31との間に作用する力関係を説明するためのシーケンス図である。
【0050】
この状態では、
図10に示した吸着範囲が反発力範囲に変わるが、各コイルユニット40a、40b、40cに反発力範囲が発生しているタイミングは、
図10に示した吸着力が発生するタイミングと同じである。
【0051】
このタイミングにおいて、左側のコイルユニット40aの第1のコア411aと磁石ユニット30bの永久磁石31との間には、A点において永久磁石31が逃げる方向つまり回転プレート10の回転方向の反発力が発生する。中央のコイルユニット40bの第1のコア411bと永久磁石31との間には、B点において永久磁石31が逃げる方向つまり回転プレート10の回転方向の大きな反発力が発生する。右側のコイルユニット40cの第1のコア411cと永久磁石31との間には、C点において永久磁石31と第1のコア411cとがぶつかる方向つまり回転プレート10の回転方向と逆の反発力が発生する。
【0052】
このように、C点においてのみ、第1のコア411cに永久磁石31が近づくため、反発力の方向が逆になるが、A点及びB点での回転方向の反発力により、C点での逆向きの反発力が打ち消されて、回転方向の反発力が残ることになる。左右のコイルユニット40a、40cは中央のコイルユニット40bに対して、±(45°+α)ずらして配置されているため、常時、回転プレート10の回転方向の反発力が作用することになる。
【0053】
加えて、駆動コイル42には、第1のコア411a、411b、411cの先端が磁石ユニット30における永久磁石31の磁極と同一極性となるように駆動電流が流されて、第1のコア411a、411b、411cは電磁石として動作する。第1のコア411a、411b、411cを電磁石として動作させる期間は、
図12に示すように、各第1のコア411a、411b、411cを磁石ユニット30が通過する期間である。各第1のコア411a、411b、411cの間隔と磁石ユニット30の間隔とはずれており、各第1のコア411a、411b、411cと磁石ユニット30とは同時に正対しないから、第1のコア411a、411b、411cを電磁石として動作させる期間も、
図13(A)に示すようにタイミングがずれることになる。このため、反発用磁石44により磁石ユニット30に対する吸着力が存在しない(磁気抵抗が無い)状態で、各第1のコア411a、411b、411cが電磁石として動作することによる反発力が加わる結果、回転プレート10の回転方向により強い反発力が発生し、この反発力によって回転プレート10は連続的に回転駆動される。
【0054】
しかも、この実施形態では、回転プレート10の上部側のコイルユニット40a、40b、40cのみならず、回転プレート10の下部側のコイルユニット40も、上部側の各コイルユニット40a、40b、40cに同期して動作するから、より一層強い反発力が発生する。
【0055】
ちなみに、各第1のコア411a、411b、411cの間隔が磁石ユニット30の間隔の2倍の場合は、各第1のコア411a、411b、411cと磁石ユニット30とは同時に正対するから、第1のコア411a、411b、411cを電磁石として動作させる期間も
図13(B)に示すように同じタイミングとなる。このため、反発力が発生しない期間Tが生じることから、回転プレート10に対する回転駆動力が小さい値となる。従って、この実施形態のように、各第1のコア411a、411b、411cの間隔と磁石ユニット30の間隔をずらして、各第1のコア411a、411b、411cと磁石ユニット30とが同時に正対しないコイルユニット40の配置とするのが良い。
【0056】
さらに、この実施形態では、回転プレート10の表面側のみならず裏面側にも、表面側のコイルユニット40と同じ配置でコイルユニット40が備えられているから、回転プレート10の表裏両面で回転プレート10の回転方向に大きな反発力、つまり回転プレート10の回転駆動力が継続的に発生し、回転プレート10は連続的に回転する。
【0057】
一方、回転プレート10の回転により、各コイルユニット40の第2のコア412には、外側の永久磁石帯200における各磁石ユニット20の永久磁石21が、順に近付き、対向し、離間していく。各第2のコア412には、各磁石ユニット20の永久磁石21からの磁束が横切るように作用し、この磁束変化に応じて、充電コイル43には誘導起電力が発生する。この際に、充電コイル43の回転プレート10側の端部は、第2のコア412の端部よりも回転プレート10側に突出しているから、磁石ユニット20の永久磁石21からの磁束21aのうち充電コイル43に作用する磁束の量を多く確保でき、充電コイル43の大きな起電力を確保することができる。充電コイル43は電源装置50の充電回路52に接続されており、発生した誘導起電力により充電回路52を介して電源53が充電される。
【0058】
また、発生した誘導起電力によって充電コイル43に電流が流れると、
図5に示すように、この電流によって第2のコア412には磁束43aが発生し、この磁束43aは連結部413を介して第1のコア411に導かれ、第1のコア411の先端部は、第1のコア411が臨む磁石ユニット30の永久磁石31に対して反発するように磁化される。従って、この反発力の合計によって回転プレート10の回転駆動力が補助され、ますます効率よく回転プレート10を回転駆動することができる。つまり、充電コイル43に発生した起電力に基づいて、第2のコア412で発生した磁束43aを第1のコア411側で利用することができるから、エネルギ損失を可及的に抑制でき、効率を向上することができる。
【0059】
また、駆動コイル42に電流を流して、第1のコア411を電磁石として動作させるときに、
図5に示すように、第1のコア411に発生した磁束42aは連結部413を介して第2のコア412に導かれる。この第2のコア412に導かれた磁束42aに応じて、充電コイル43には補助的な誘導起電力が発生する。この誘導起電力によっても電源53が充電される。つまり、駆動コイル42への通電により発生した磁束42aを第2のコア412側で利用することができるから、さらにエネルギ損失を可及的に抑制でき、効率を向上することができる。
[第2の実施形態]
図14はこの発明の第2の実施形態を示すもので、
図14(A)は回転プレート10における磁石ユニットの配置状態の一部を示す正面図、同図(B)はコイルユニット40の断面図である。この実施形態では、第1の実施形態に較べて、外側の永久磁石帯200の磁石ユニット20に加え新たな磁石ユニット22が配置され、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30に加え新たな磁石ユニット32が配置されており、磁石ユニットの数が増加している。
【0060】
即ち、第1の実施形態における外側の永久磁石帯200に配置された磁石ユニット20の隣り合うもの同士の周方向の中間位置に、磁石ユニット22が配置され、従って磁石ユニット20及び磁石ユニット22の合計数は、第1の実施形態の磁石ユニット20の合計数の2倍になっている。しかも、磁石ユニット22の永久磁石23の厚さ方向の極性が、磁石ユニット20の永久磁石21の厚さ方向の極性とは逆の極性となっている。
【0061】
さらに、内側の永久磁石帯300についても、第1の実施形態における内側の永久磁石帯300に配置された磁石ユニット30の隣り合うもの同士の周方向の中間位置に、磁石ユニット32が配置され、従って磁石ユニット30及び磁石ユニット32の合計数は、第1の実施形態の磁石ユニット30の合計数の2倍になっている。しかも、磁石ユニット32の永久磁石33の厚さ方向の極性が、磁石ユニット30の永久磁石31の厚さ方向の極性とは逆の極性となっている。
【0062】
なお、
図14では、永久磁石21、33の極性をシングルハッチングで、永久磁石23、31の極性をダブルハッチングで示すことで、永久磁石21と23の極性、永久磁石31と33の極性がそれぞれ異なっていることを示している。
【0063】
一方、各コイルユニット40は、第1のコア411に取り付けられた反発用永久磁石44の構成のみが第1の実施形態とは相違している。即ち、第1のコア411は、回転プレート10の回転に伴い、内側の永久磁石帯300の各磁石ユニット30及び32と順に接近、正対、離間を繰り返すことになる。しかし、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30の永久磁石31と磁石ユニット32の永久磁石33は極性が逆であるから、反発用永久磁石44として、両面多極着磁により、厚さ方向の両面のそれぞれにN極とS極のうちの一方の磁極44aと他方の磁極44bが形成された構成のものが使用されている。これによって、一方の磁極44aが磁石ユニット32の永久磁石33に対して反発し、他方の磁極44bが磁石ユニット30の永久磁石31に対して反発するように構成されている。なお、反発用永久磁石44の厚さ方向の各面に形成される磁極44a、44bのそれぞれの数は、1個でも良いし2個以上であっても良い。
【0064】
この第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、各コイルユニット40と磁石ユニット30の永久磁石31の間での反発力による駆動力に加えて、各コイルユニット40と磁石ユニット32の永久磁石33との間でも反発力による駆動力が発生するから、より大きな回転駆動力を得ることができる。また、第1の実施形態と同様に、磁石ユニット20の永久磁石21による充電コイル43の発電出力に加えて、磁石ユニット22の永久磁石23による充電コイル43の発電出力が発生するから、より大きな発電出力を得ることができる。
[第3の実施形態]
図15はこの発明の第3の実施形態を示すもので、回転プレート10における磁石ユニットの配置状態の一部を示す正面図である。この実施形態では、第1の実施形態に較べて、外側の永久磁石帯200の磁石ユニット20に加え新たな磁石ユニット22が配置されており、外側の永久磁石帯200の磁石ユニットの数が増加している。
【0065】
即ち、第1の実施形態における外側の永久磁石帯200に配置された磁石ユニット20の隣り合うもの同士の周方向の中間位置に、磁石ユニット22が配置され、従って磁石ユニット20及び磁石ユニット22の合計数は、第1の実施形態の磁石ユニット20の合計数の2倍になっている。しかも、磁石ユニット22の永久磁石23の厚さ方向の極性が、磁石ユニット20の永久磁石21の極性とは逆の極性となっている。
【0066】
なお、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30の配置及び厚さ方向の極性は、第1の実施形態と同じである。また、コイルユニット40の構成及び数も第1の実施形態と同じである。
【0067】
この実施形態では、各コイルユニット40と磁石ユニット30の永久磁石31との反発力による駆動力は第1の実施形態と同じであるが、外側の永久磁石帯200の磁石ユニットの数が磁石ユニット22の分だけ増加しているから、充電コイル43による発電出力を増大することができる。
[第4の実施形態]
図16(A)はこの発明の他の実施形態を示す要部の正面図、同図(B)は回転プレート10を断面で示す要部の側断面図である。この実施形態では、コイルユニット40は、第1のコア411と第2のコア412が、回転プレート10の厚さ方向の両側から対向できるように間隔を開けて配置され、第1のコア411と第2のコア412の回転プレート10と反対側の端部同士を、下向きコ字形の連結部413で連結すると共に、第1のコア411に駆動コイル42が、第2のコア412に充電コイル43が、それぞれ巻回されている。第1のコア411、第2のコア412及び連結部413の材料は、第1実施形態における第1のコア411、第2のコア412及び連結部413の材料と同じである。
【0068】
一方、回転プレート10には、外周近くにおいて、複数個の磁石ユニット20が等間隔で埋め込まれることにより、環状の永久磁石帯が形成されている。各磁石ユニット20は、1個または複数個の永久磁石21を有し、回転プレート10の厚さ方向の表面側に駆動用磁極(例えばN極)、裏面側に充電用磁極(例えばS極)が現れている。
【0069】
回転プレート10の上部において、複数個(この例では3個)のコイルユニット40a、40b、40cが配置されている。各コイルユニット40a、40b、40cは、それぞれの第1のコア411が回転プレート10の表面側の磁石ユニット20における永久磁石21の駆動用磁極に対向し、第2のコア412が回転プレート10の裏面側の永久磁石21の充電用磁極に対向するように、回転プレート10の周縁部を跨いだ状態で、等間隔で配置されている。また、各コイルユニット40a、40b、40cの間隔と磁石ユニット20の間隔の関係は、第1の実施形態と同様である。
【0070】
また、図示は省略したが、回転プレート10の下部側にも、複数個(この例では3個)のコイルユニット40が配置されている。上部側のコイルユニット40と下部側のコイルユニット40は、回転軸心Cを中心に点対称位置に配置され、各点対称のコイルユニット40同士が同期して動作するものとなされている。
【0071】
また、各コイルユニット40の第1のコア411の先端には、対向する回転プレート10側の永久磁石21の磁極と反発する態様で反発用永久磁石44が取り付けられている。
【0072】
この第2の実施形態に係る回転装置1においても、各コイルユニット40の駆動コイル42に通電するタイミングは第1の実施形態と同じである。従って、第1のコア411と磁石ユニット20における永久磁石21との間に、回転プレート10の回転方向の反発力が継続的に発生し、この反発力によって回転プレート10は回転する。
【0073】
また、回転プレート10の回転により充電コイル43には誘導起電力が発生し、発生した誘導起電力により充電回路52を介して電源53が充電される点、発生した誘導起電力によって充電コイル43に電流が流れると、第1のコア411の先端部が磁化されて、回転プレート10の回転駆動力を補助する方向の反発力を生じる点、駆動コイル42に電流を流して、第1のコア411を電磁石として動作させるときに、充電コイル43に誘導起電力が発生する点、については第1の実施形態と同じである。従って、この第2の実施形態によっても、エネルギ損失を可及的に抑制でき、効率を向上することができる。
[第5の実施形態]
図17は、この発明のさらに他の実施形態を示すもので、回転装置1の側断面図である。この実施形態では、回転プレート10の回転を補助するために、回転プレート10の回転軸11は例えばDCモータ等のモータ60に連結されている。このモータ60により、特に回転始動時に回転プレート10をスムーズに回転起動させることができる。なお、回転プレート10の回転起動後もモータ60を継続駆動すると、モータ60の回転速度と回転プレート10の回転速度がほぼ同期した状態では、モータ60の消費電力はゼロに近くなる。回転プレート10の回転軸11に大きな負荷が加わったときには、モータ60と回転装置1とで負荷を分担すれば良い。
【0074】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0075】
例えば、磁石ユニット20、22、30、32の個数や配置、コイルユニット40の個数や配置、さらには各磁石ユニットの永久磁石21、23、31、33の形状、個数、磁極の強さ(磁束密度の大きさ)等は、上記実施形態に限定されることはなく、要求される回転装置の出力容量などに応じて適宜変更が可能である。具体的には、出力容量の変更は、永久磁石21、23、31、33の磁束密度の変更、磁石ユニット20、22、30、32の数の変更、コイルユニットの数の変更、のうちの少なくともいずれかにより行うことができる。例えば、永久磁石21、23、31、33の磁束密度を上げ、磁石ユニット20、22、30、32の数を増やし、コイルユニットの数を増やすことで、出力容量を増大することができる。
【0076】
また、第1~第5の実施形態では、回転体が回転プレート10である場合を示したが、回転体は周方向に回転可能な円柱状または円筒状のドラムであっても良く、ドラムの長さ方向の異なる位置においてドラムの表面に周方向に複数個の磁石ユニットを取り付けて、複数個の環状の永久磁石帯を形成し、第1の実施形態と同様に、複数個のコイルユニットを2つの永久磁石帯に跨がる態様で配置し、コイルユニットの駆動コイルが巻かれた第1のコアを一方の永久磁石帯の磁石ユニットに対向配置し、第2のコアに巻かれた充電コイルを他方の永久磁石帯の磁石ユニットに対向配置させても良い。この場合も、第1の実施形態と同様に、コイルユニットの間隔と磁石ユニットの間隔を非同期配置にし、全てのコイルユニットが同時に磁石ユニットに正対しないようにして、回転ドラムに連続的な回転力を発生させたり、第1のコアの先端に反発用永久磁石を取り付けることが望ましい。
【0077】
また、回転装置1の回転軸11に負荷を接続する他、回転装置1を発電装置として用い、電源53の電力を回転装置1以外の負荷に供給しても良い。
【0078】
また、第1~第5の実施形態では、駆動コイル42及び第1のコア411が、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30側に位置し、誘導コイル43及び第2のコア412が、外側の永久磁石帯200の磁石ユニット20側に位置する配置としたが、駆動コイル42及び第1のコア411が、外側の永久磁石帯200の磁石ユニット20側に位置し、誘導コイル43及び第2のコア412が、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30側に位置する配置としても良い。また、駆動コイル42及び第1のコア411が、内側の永久磁石帯300の磁石ユニット30側に位置するコイルユニット40と、外側の永久磁石帯200の磁石ユニット20側に位置するコイルユニット40が混在していても良い。
【符号の説明】
【0079】
1 回転装置
2 筐体
2a 側板
10 回転プレート
11 回転軸
200、300 永久磁石帯
20、22、30、32 磁石ユニット
21、23、31、33 永久磁石
40、40a、40b、40c コイルユニット
41 コア部
42 駆動コイル
42a 磁束
43 充電コイル
43a 磁束
44 反発用永久磁石
44a 磁束
50 電源装置
51 駆動回路
52 充電回路
53 電源
411、411a、411b、411c 第1のコア
412 第2のコア
413 連結部