(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】温度制御される材料の輸送のためのドローン構造体
(51)【国際特許分類】
B64D 9/00 20060101AFI20231016BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20231016BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231016BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20231016BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20231016BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20231016BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20231016BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20231016BHJP
【FI】
B64D9/00
B64C27/08
B64C39/02
B64D27/24
B64F1/36
B65D81/38 Z
F25D11/00 101D
B64U101:64
(21)【出願番号】P 2020529839
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(86)【国際出願番号】 IB2018056012
(87)【国際公開番号】W WO2019030707
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】102017000092580
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520045309
【氏名又は名称】エイービーゼロ エスアールエルエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トートラ,ジゥゼッペ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】カンナ,アンドレア
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180914(US,A1)
【文献】特開2017-105242(JP,A)
【文献】特表2016-531042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0323930(US,A1)
【文献】特開2017-077879(JP,A)
【文献】特開2014-059860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0120094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 9/00
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 27/24
B64F 1/36
B65D 81/38
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御温度で荷物を輸送するためのシステムであって、前記システムは、少なくとも1つのドローン構造体(200)を含み、前記ドローン構造体(200)は、
- 前記ドローン構造体(200)を移動するために配置された少なくとも1つのモータ(210)と;
- 電気エネルギーを送るために配置されたエネルギー利用装置と;
- 断熱容器(100)であって、
- 少なくとも1つの層の断熱材を含む断熱箱体(110)と;
- 前記断熱箱体(110)内部の温度T
intの値を計測するために構成された少なくとも1つの内部温度センサと;
- 前記断熱箱体(110)外部の温度T
extの値を計測するために構成された少なくとも1つの外部温度センサと;
- 前記温度T
intの値を調整又は一定に保持するために配置されたサーマルユニットと;を含む:断熱容器(100)とを含み、
前記システムは、
- 飛行業務の取得であって、
- 前記ドローン構造体(200)の着陸位置と;
- 前記着陸位置に到達するための制限時間t
maxと;
- 前記飛行業務中に前記温度T
intの値を保持する条件と;を含む:飛行業務の取得と;
- 前記温度T
intとT
extの値の取得と;
- 前記エネルギー利用装置で利用可能なエネルギーE
resの値の取得と;
- 前記ドローン構造体(200)を前記制限時間t
maxで前記着陸位置に着陸させるための前記少なくとも1つのモータ(210)に与えるエネルギーE
engの値の計算と;を実行する:のに適する制御装置を含み、
前記システムは、前記制御装置がまた、
- 前記飛行業務中に保持する前記温度T
intの値に関する前記条件を順守するために、前記サーマルユニットに与えるエネルギーE
termの値の計算と;
- 前記飛行業務を完了するために要する全エネルギーE
mis=E
eng+E
termの値の計算と;
- 前記エネルギーE
resとE
misの値の比較と;を実行する:のにも適していることにより特徴付けられ:
- E
res≧E
misの場合、前記制御装置は、
- 前記少なくとも1つのモータ(210)に前記飛行業務を進めるよう指令し;
- 特に、警報灯及び/又は警報音及び/又は遠隔伝送により
、エネルギーが十分であることを示す信号を送信し;
- オペレータ及び/又は遠隔制御装置による指令を待機する;動作の少なくとも1つを実行し:
- E
res<E
misの場合、前記制御装置は、
- 所定のアルゴリズムにしたがって、前記飛行業務を変更し;
- 前記全エネルギーE
misの値を低減するための戦略を実行し、次いで前記エネルギーE
resとE
misの値の新たな比較を実行し;
- 特に、警報灯及び/又は警報音及び/又は遠隔伝送により
、エネルギーが不十分であることを示す信号を送信し;
- 前記業務を中止し;
- オペレータ及び/又は遠隔制御装置による指令を待機する:動作の少なくとも1つを実行する:方法で、前記制御装置はプログラムされることにより特徴付けら
れ、
前記全エネルギーE
mis
の値の低減の前記戦略は、前記断熱容器(100)上に存在し、気流が前記断熱材の層に直接接することができるよう配置された少なくとも1つの注入口を開けることを含む、制御温度で荷物を輸送するためのシステム。
【請求項2】
ドローン(200)の少なくとも2つの構造体が与えられ、前記制御装置は、各ドローン構造体(200)の前記エネルギー利用装置で利用可能なエネルギーE
resの値の取得を実行するよう配置され、前記E
misの値で取得されるエネルギーE
resの各値を比較し、前記E
misの値により近いエネルギーE
resの値を有するドローン構造体(200)を選択する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記断熱箱体(110)は、内部を少なくとも2つの区画に分割して、前記サーマルユニットは、各前記区画内に独立して前記温度T
intの値を制御するのに適する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
地理的位置特定システムは、前記断熱容器(100)の位置を遠隔で提供するのに適するように与えられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つのソーラーパネルは、前記エネルギー利用装置に電気エネルギーを供給するように配置されて与えられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記断熱容器(100)は、前記ドローン構造体(200)に取り外し可能な方法で封入される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記エネルギー利用装置は、前記断熱容器(100)に不可欠な補助エネルギー源を含む、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記断熱容器(100)は、施錠及び解錠するための装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の温度条件下で保存を要する、有機材料等の特殊材料の輸送に関する。
【0002】
特に本発明は、輸送中、上記記載の温度条件を保証可能なドローン構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
近年の技術改良の進歩に伴い、ドローン輸送による商品数が大幅に増加している。この傾向は、ドローンが、都市部及び都市外部の両域で、より高速で安価な輸送を実現し、人間のオペレータの搭乗が不要な事実による。特に、この種の輸送は、都市部の交通渋滞を回避し、運行地域が未舗装でも迅速に運用され、自然又は人工の遮蔽構造物の影響を受けず、建物に入る等が可能になる。
【0004】
このため、ドローン輸送は現在、郵便部門での開発が著しく、一般的には、小型荷物の配送を目的とする開発も進んでいる。
【0005】
したがって、ドローンにより、有機材料、又は一般的には、医療用素材を輸送する必要性が認知され始め、輸血等の緊急介入の有効性を増す目的で、輸送速度を利用することが可能である。
【0006】
ルワンダで血液輸送システムを運用した米企業のZipline社、それ以外では、実験室試料を2つの病院間で輸送するシステムを試行するスイスポストによる2件の実施例がある。
【0007】
しかし両件とも、輸送材料を特定の熱的条件に維持することが、主な技術的課題である。この課題は、断熱容器を使用し、平均飛行時間が短時間で済むことである程度は解決される。
【0008】
しかしながら、商品により維持が必須な熱的条件は、関連規則が定める場合が多く、確実な方法で、かつ現在の断熱容器が保証する条件よりも高い信頼性での保証が欠かせない。さらに、外部温度により、荷物周囲の温度の降下速度が大きく変わりうるため、ドローンは、気候条件が全く異なっても動作可能が必須であることが多く、適切な温度を確実に維持することが一層困難になる。
【0009】
さらに、この種の輸送の自立性は、運行中の電気エネルギー源の容量増加に加え、最適化と飛行中のエネルギー発電の技術向上の後押しにより増している。したがって、ドローンの飛行時間と距離が今後数年間で安定して増加するのは容易に予想され、荷物を厳密な熱的条件に維持する上記の課題が際立ってくる。
【0010】
近隣ネットワーク内でドローンによる市販品輸送のための方法、装置及びシステムを開示する、US2014180914A1は、可能な解決策を記載する。該システムは、温度制御モジュールにより、荷物を所定温度又は湿度に保持して輸送することが可能である。さらに、開示ドローンは、ドローンが運行可能な最大距離又は到着に要する時間をユーザに示すことができる。
【0011】
しかしながら、US2014180914A1開示の装置は、サーマルユニット、すなわち温度維持を理由に、消費関数等のパラメータを評価しない。これにより該システムは、ドローンが、血液又は臓器等のヒト有機材料輸送の場合等、確立した規定が求める熱的条件を確実に順守する上で、業務が完了可能かどうかを予測することはできない。
【発明の概要】
【0012】
したがって、本発明の特徴は、外的気候条件に関わらず、輸送荷物を所定の温度値に確実に維持するためのドローン構造体を提供することである。
【0013】
さらに本発明の特徴は、設定済みの業務パラメータを、遠隔で一定になるよう確実に監視できるようなドローン構造体を提供することである。
【0014】
これら及びその他の目的は、制御温度で荷物を輸送するためのシステムにより達成され、該システムは、少なくとも1つのドローン構造体を含み、該ドローン構造体は、
- ドローン構造体を移動するために配置された少なくとも1つのモータと;
- 電気エネルギーを送るために配置されたエネルギー利用装置と;
- 断熱容器であって、
- 少なくとも1つの層の断熱材を含む断熱箱体と;
- 断熱箱体内部の温度Tintの値を計測するために構成された少なくとも1つの内部温度センサと;
- 断熱箱体外部の温度Textの値を計測するために構成された少なくとも1つの外部温度センサと;
- 内部温度Tintの値を調整又は一定に保持するために配置されたサーマルユニットと;を含む:断熱容器を含み、
該システムは、
- 飛行業務の取得であって、
- ドローン構造体の着陸位置と;
- 着陸位置に到達するための制限時間tmaxと;
- 飛行業務中に温度Tintの値を保持する条件と;を含む:飛行業務の取得と;
- 温度TintとTextの値の取得と;
- エネルギー利用装置で利用可能なエネルギーEresの値の取得と;
- ドローン構造体を制限時間tmaxで着陸位置に着陸させるための該少なくとも1つのモータに与えるエネルギーEengの値の計算と;を実行するのに適する制御装置を含み、
その主な特徴は、制御装置が、
- 飛行業務中に保持する温度Tintの値に関する条件を順守するために、サーマルユニットに与えるエネルギーEtermの値の計算と;
- 飛行業務を完了するために要する全エネルギーEmis=Eeng+Etermの値の計算と;
- エネルギーEresとEmisの値の比較と;を実行する:のに適しており、
- Eres≧Emisの場合、制御装置は、
- 該少なくとも1つのモータに飛行業務を進めるよう指令し;
- 特に、警報灯及び/又は警報音及び/又は遠隔伝送により、エネルギーが十分であることを示す信号を送信し;
- オペレータ及び/又は遠隔制御装置による指令を待機する;動作の少なくとも1つを実行し:
- Eres<Emisの場合、制御装置は、
- 所定のアルゴリズムにしたがって、飛行業務を変更し;
- 全エネルギーEmisの値を低減するための戦略と以下のエネルギーEresとEmisの値の新たな比較を実行し;
- 特に、警報灯及び/又は警報音及び/又は遠隔伝送により、エネルギーが不十分であることを示す信号を送信し;
- 業務を中止し;
- オペレータ及び/又は遠隔制御装置による指令を待機する;動作の少なくとも1つを実行する:方法で、制御装置はプログラムされる。
【0015】
このように、ドローン構造体は、先行技術とは反対に、荷物が維持される温度を監視し、可能なら修正もできる。さらに、ドローン構造体は、飛行中のエネルギーが、所望の熱的条件の維持を保証する程度に十分であり、これらの条件が満たされる場合のみ業務が実行可能かどうかを、リアルタイムで評価することができる。
【0016】
このように、用途、業務の種類及び/又は輸送荷物の種類によって、制御装置に異なる程度の自主性を与えることで、問題を解決することも可能である。
【0017】
特に、ドローンの少なくとも2つの構造体は、与えられ、制御装置は、Emisの値で取得されるエネルギーEresの各値を比較し、該Emisの値に最も近いエネルギーEresの値を有するドローン構造体を選択するための、各ドローン構造体のエネルギー利用装置で利用可能なエネルギーEresの値の取得を実行するのに適する。
【0018】
利点として、全エネルギーEmisの値の低減の戦略は、
- 断熱容器上に存在し、気流が断熱材の層に直接接することができるよう配置された少なくとも1つの注入口を開け;
- 飛行高度を変更し;
- 垂直飛行速度を変更し;
- 温度の所定値に関して、低温の気流を探す:ことを選択して、又は組み合わせて含む。
【0019】
利点として、断熱箱体は、内部を少なくとも2つの区画に分割して、サーマルユニットは、各区画内に独立して温度Tintの値を制御するのに適する。このように、荷物が断熱容器全体ではなく1区画のみを占める場合、荷物を所望の温度に保持するのに要するエネルギーEtermの値を低減することが可能である。
【0020】
特に、地理的位置特定システムは、断熱容器の位置を遠隔で提供するために与えられる。
【0021】
利点として、少なくとも1つのソーラーパネルは、エネルギー利用装置に電気エネルギーを供給するように配置されて与えられる。
【0022】
特に、断熱容器は、ドローン構造体に取り外し可能な方法で封入される。このように、ドローン構造体から断熱容器を容易に取り外し、業務完了後により容易に輸送して、常に荷物を所望の温度に保持することが可能である。さらに、この側面により、異なる断熱容器を有するドローン構造体を再利用して、業務間の時間を低減することが可能である。
【0023】
特に、エネルギー利用装置は、断熱容器に不可欠な補助エネルギー源を含む。これにより、ドローン構造体の残りの部分からそれを取り外した時でも、容器内の所望の温度をさらに維持しやすくする。
【0024】
利点として、断熱容器は、開口部を施錠及び解錠するための装置を含む。これにより、例えば、未許可の人が荷物にアクセスできないようにする。
【0025】
特に、システムは、地上局を含み、各ドローン構造体は、該地上局に無線接続され、ドローン構造体のすべての飛行条件に関するデータを定期的に送信する。より詳細には、データは、ドローンの位置、断熱容器と封入荷物の状態、ドローンセンサが検知する環境パラメータ、エネルギー源の状態等に関する送信データでありうる。この情報はリアルタイムで使用可能で、荷物輸送を監視し、可能であれば業務のパラメータを修正して、飛行業務の設定中に予期されない不具合が起こる場合でも、輸送の品質規格を保証する。
【0026】
このように、血液輸送の場合等、システムは、輸送中やその前後において、血液そのものの品質に関する入手可能な情報を分析できる。情報は、速やかに、必要な、局所的又は遠隔で保管される特定の規定を含有する、データベースと比較し、特定の動作(例:機械的攪拌又は特定のアクチュエータの活性化)の活性化が可能になり、規定にしたがって満たされるパラメータに基づいて制御(センサ活性化、温度設定、情報送信の作動)を行う。
【0027】
利点として、システムは、輸送貨物の重さを評価し、それを登録データと比較して、実際の情報の一貫性を実証し、情報も考慮してエネルギー計算を行う。
【0028】
本発明の別の側面によれば、制御温度で荷物を輸送するための断熱容器は、請求項に記載され、該断熱容器は、ドローン構造体に取り外し可能な方法で封入されるように配置され、該ドローン構造体は、
- ドローン構造体を移動するために配置された少なくとも1つのモータと;
- 電気エネルギーを送るために配置されたエネルギー利用装置と;を含み:
該断熱容器は、
- 制御装置と;
- 少なくとも1つの層の断熱材を含む断熱箱体と;
- 断熱箱体内部の温度Tintの値を計測するために構成された少なくとも1つの内部温度センサと;
- 断熱箱体外部の温度Textの値を計測するために構成された少なくとも1つの外部温度センサと;
- 温度Tintの値を調整又は一定に保持するために配置されたサーマルユニットと;を含み:
その主な特徴は、制御装置が、
- 飛行業務の取得であって、
- ドローン構造体の着陸位置と;
- 着陸位置に到達するための制限時間tmaxと;
- 飛行業務中に温度Tintの値を保持する条件と;を含む:飛行業務の取得と;
- 温度TintとTextの値の取得と;
- エネルギー利用装置で利用可能なエネルギーEresの値の取得と;
- ドローン構造体を制限時間tmaxで着陸位置に着陸させるための少なくとも1つのモータに与えるエネルギーEengの値の計算と;
- 飛行業務中に保持する温度Tintの値に関する条件を順守するために、サーマルユニットに与えるエネルギーEtermの値の計算と;
- 飛行業務を完了するために要する全エネルギーEmis=Eeng+Etermの値の計算と;
- エネルギーEresとEmisの値の比較と;を実行するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のさらなる特徴及び/又は利点は、添付図面を参照して、例示目的であって限定はしない、以下記載の例示的実施形態により明らかになるであろう:
【
図1】-
図1は、本発明に係るドローン構造体の、可能な例示的実施形態の斜視図を示す;
【
図2】-
図2は、本発明に係る断熱容器の、可能な例示的実施形態の斜視図を示す;
【
図3】-
図3は、制御装置による処理情報の工程の論理図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1と
図2を参照して、ある例示的実施形態において、本発明に係るドローン構造体200は、ドローン自体を移動するために配置された6つのモータ210と、電気エネルギーを供給するために配置されたエネルギー利用装置と、制御装置と、を含む。
【0031】
さらに、ドローン構造体200は、断熱材からなる断熱箱体110を有する断熱容器100と、断熱箱体110内部で温度Tintの値を計測するように構成された少なくとも1つの内部温度センサと、断熱箱体110外部で温度Textの値を計測するように構成された少なくとも1つの外部温度センサとを含む。さらに、容器100は、温度Tintの値を調整又は一定に保持するために配置されたサーマルユニットを含む。
【0032】
図3を参照して、制御装置は、荷物を制御温度で輸送可能かを評価可能で、あるパラメータのリアルタイム値を考慮し、規定と飛行業務を確実に順守する。
【0033】
特に、制御装置は、
- ドローン200の着陸位置と;
- 着陸位置に到達するための制限時間tmaxと;
- 飛行業務中に温度Tintの値を保持する条件と;を特定する:飛行業務を、入力値として受信し、この条件は、効力を有する規定等に基づいて与えられる。
【0034】
飛行業務を考慮すると、制御装置は、ドローン200を制限時間tmaxで着陸位置に着陸させるためのモータ210に与えるエネルギーEengを計算可能である。さらに、各温度センサによりTintとTextの値を取得して、制御装置は、サーマルユニットに与えるエネルギーEterm値を処理可能で、飛行業務中に保持する温度Tintの値に関する条件を順守する。このように、制御装置は、飛行業務を完了するのに要する全エネルギーの値を計算可能である:
Emis=Eeng+Eterm
【0035】
制御装置は、エネルギー利用装置に存在する残余エネルギーEresの値を最終的に取得する。主電源の他、補助電源も容器100に搭載して利用可能であれば、制御装置もまた、Eresの値を増加させる残余エネルギー値Eauxを取得する。
【0036】
これまでの処理を鑑みて、制御装置は、業務が完了可能か否かを最終的に評価し、EresとEmisの値を比較する。
【0037】
条件Eres≧Emisの場合、制御装置は、業務を自動的に継続し、210エンジンに対応する指令を発し、又は光伝送又は遠隔伝送等のいずれかにより、エネルギーが十分であることを示す信号を送信し、オペレータ又は他の制御装置からの指令を待機するようプログラム可能である。
【0038】
それ以外の条件Eres<Emisの場合、制御装置は、
- 所定のアルゴリズムにしたがって、飛行業務を変更し;
- 全エネルギーEmisの値を低減するための戦略、例えば、飛行高度を変更し、容器100の気流の注入口を開け、ドローンの垂直速度を変更し、低温気流を探すこと等の実行と;
- エネルギーが不十分であることを示す信号の送信とオペレータ又は別の制御装置による指令の待機と;
- 業務の中止と;を含む:様々な操作を実行するようプログラム可能である。
【0039】
このように、制御装置は、血液、臓器又は特定の温度範囲内で保管が必須な実験室材料等の荷物の輸送規定を常に確実に順守する。
【0040】
前述の通り、ある例示的な特定の実施形態の記載事項は、概念視点に係る本発明を十分に開示するため、現在の知見を適用することで、発明者以外も、様々な適用例において、調査をさらに行うことなく、また本発明から逸脱することなく、特定の例示的実施形態を修正及び/又は適応することが可能で、したがって、そのような適応や修正は、特定の実施形態と等価であると考える必要があると意図される。このため、本明細書記載の異なる機能を実現するための手段及び材料は、本発明の分野から逸脱することなく、異なる性質を有するものであろう。本明細書記載の言い回し又は専門用語は、記述目的であって、限定を目的とするものではないことを理解されたい。