(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】除菌脱臭装置
(51)【国際特許分類】
F24F 8/80 20210101AFI20231016BHJP
F24F 8/167 20210101ALI20231016BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20231016BHJP
B60H 3/06 20060101ALI20231016BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20231016BHJP
A61L 9/18 20060101ALI20231016BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
F24F8/80 120
F24F8/167
B60H3/00 Z
B60H3/00 F
B60H3/06 E
B01J35/02 J
A61L9/18
A61L9/00 C
(21)【出願番号】P 2021149288
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】518199621
【氏名又は名称】カルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】染井 潤一
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210337514(CN,U)
【文献】特開平11-180141(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0102739(KR,A)
【文献】実開昭62-131914(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第106379141(CN,A)
【文献】特開平11-165037(JP,A)
【文献】特開2001-301451(JP,A)
【文献】特開2001-095902(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0111855(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0240119(US,A1)
【文献】特開2020-044506(JP,A)
【文献】特開2020-171406(JP,A)
【文献】特開2020-171405(JP,A)
【文献】特表2017-503708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 3/00
B01J 35/02
A61L 9/18
A61L 9/00
B60H 3/06
F24F 8/167
F24F 8/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒と、
前記光触媒に光を照射するライトと、
前記光触媒と接触するように空気を流すためのファンと、
前記光触媒と前記ライトと前記ファンとを収容するケースと、
前記ケースを車両のサンバイザーに着脱自在に取り付けるための固定装置と、を備え
、
前記ケースには、前記ファンによって流れる空気の吸い込み口と吹き出し口とが形成され、
前記ライトは、前記ケースの内側から外側に向けて前記光触媒に光を発し、
前記光触媒には、前記空気が通過する複数の孔が形成され、
前記光触媒は、前記ライトから吹き出し口への向きに対して、傾いて保持される、除菌脱臭装置。
【請求項2】
前記固定装置は、前記ケースを前記サンバイザーの面と平行に回動可能に構成される、請求項1に記載の除菌脱臭装置。
【請求項3】
前記光触媒は、前記ケースの前記固定装置側から取り出し可能である、請求項1または2に記載の除菌脱臭装置。
【請求項4】
前記固定装置は、側面視において略U字状の弾性のフック部材を含み、
前記フック部材によって前記サンバイザーを挟み込むことによって前記ケースが前記サンバイザーに取り付けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の除菌脱臭装置。
【請求項5】
前記固定装置は、前記サンバイザーを周回して、前記ケースを前記サンバイザーに取り付けるバンドを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の除菌脱臭装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌脱臭装置に関し、特に光触媒を利用した除菌脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、空気の除菌や脱臭などを行うための光触媒装置が知られている。たとえば、特開2014-219130号公報(特許文献1)には、光触媒を利用した冷蔵庫が開示されている。特開2014-219130号公報(特許文献1)によると、冷気通路を構成する背面パネルの貯蔵室側に光触媒が露出するように光触媒を担持した触媒基台を取り付け、触媒基台に向けて光を照射するように冷気通路を構成する内箱内面に発光ダイオードを設けた。背面パネルの一部に触媒基台を設け、内箱に設けた発光ダイオードによって光触媒を励起するようにしたので、触媒基台の大きさが任意に設定でき十分な触媒面積を確保することができる。このため、容積の大きい貯蔵室の臭気成分を効果的に脱臭したり、除菌することが可能となる。更には、光触媒の触媒作用によって発生する二酸化炭素によって貯蔵室の酸素濃度を低減することができるので、野菜類の呼吸作用を抑制して野菜類を新鮮な状態で長く保管することができるという効果も奏するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、車両内の空気を除菌したり脱臭したりすることができる除菌脱臭装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に従うと、光触媒と、光触媒に光を照射するライトと、光触媒と接触するように空気を流すためのファンと、光触媒とライトとファンとを収容するケースと、ケースを車両のサンバイザーに着脱自在に取り付けるための固定装置と、を備える除菌脱臭装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、車両内の空気を除菌したり脱臭したりすることができる除菌脱臭装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置の下前方斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置の上後方斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置の左側面図である。
【
図4】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置の平面図である。
【
図7】第1の実施の形態にかかる光触媒ユニットの前方斜視図である。
【
図8】第1の実施の形態にかかるケースの上方斜視図である。
【
図9】第1の実施の形態にかかる固定装置と調整部材との下方斜視図である。
【
図10】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置の回転後の上方斜視図である。
【
図11】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置から光触媒ユニットを取り出す途中の上方斜視図である。
【
図12】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置から光触媒ユニットを取り出す途中の側面断面図である。
【
図13】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置から光触媒ユニットを取り出した後の上方斜視図である。
【
図14】第1の実施の形態にかかる除菌脱臭装置から光触媒ユニットを取り出した後の側面断面図である。
【
図15】第2の実施の形態にかかる除菌脱臭装置の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また以下では、説明のために、
図3における紙面の右方向を前方向または正面方向といい、紙面の左方向を後方向または背面方向といい、上方向を上方向といい、下方向を下方向といい、紙面の奥方向を右方向といい、紙面の手前方向を左方向という。
[第1の実施の形態]
【0009】
図1から
図3を参照して、本実施の形態にかかる除菌脱臭装置100は、自動車などのサンバイザー190に着脱自在に取り付けられて、運転手や搭乗者や車内に向けて除菌および脱臭した空気を流すものである。特に本実施の形態においては、サンバイザー190を未使用の状態において、すなわちサンバイザー190を天井に沿わせている状態において、除菌脱臭装置100は、背面から空気を吸い込んで、内部の光触媒によって除菌および脱臭し、前部の下面から当該除菌および脱臭された空気を前下方に向けて噴き出すものである。
【0010】
次に、本実施の形態にかかる除菌脱臭装置100の構成について詳述する。
図4から
図6に示すように、除菌脱臭装置100は、ケース110の内側に、主に、光触媒ユニット120や、LEDライト130や、ファン140などを収容する。ケース110は、下カバー111と、上カバー112とによって構成される。
【0011】
下カバー111の後部には、吸い込み口111Xが形成され、ケース110の前下部には吹き出し口111Yが形成される。
【0012】
ケース110の内部の後部、すなわち吸い込み口111Xの内側には、光触媒ユニット120が取り付けられる。光触媒ユニット120は、光触媒フィルタ121と、保持フレーム122と、物理フィルタ123とから構成される。
【0013】
光触媒フィルタ121は、多数の孔やスリットなどが形成されている。光触媒フィルタ121を構成する光触媒は、その表面に吸着した空気中の酸素と水分とを光反応によって分解し、反応性の高いスーパーオキサイドアニオン(O2
-)とOHラジカル(・OH)とを生成する。そして、スーパーオキサイドアニオン(O2
-)とOHラジカル(・OH)とは、臭気成分を分解したり、雑菌を除去したり、エチレンガスを分解して食品などの鮮度低下を抑制したりすることができる。なお、光触媒フィルタ121としては、例として、酸化亜鉛(ZnO)、硫化カドミウム(CdS)、三酸化タングステン(WO3)、二酸化チタン(TiO2)等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
図5から
図7に示すように、保持フレーム122は、光触媒フィルタ121の周囲、すなわち、上面と下面と左面と右面とを取り囲み、光触媒フィルタ121を支持する。本実施の形態においては、保持フレーム122は、光触媒フィルタ121を斜めに傾けた状態で保持するものである。すなわち、光触媒フィルタ121は、形成された複数の孔の軸線方向が、除菌脱臭装置100の前後方向や、車両の前後方向から斜め上にズレた状態で、保持フレーム122に保持される。本実施の形態においては、光触媒フィルタ121の穴は、後上方から前下方に向けて形成されている。これによって、後述するLEDライト130の光が、直接的に、吸い込み口111Xから外部に照射される可能性を低減し、その結果、対向車の運転手にLEDライト130の光が直接的に照射される可能性が低減される。
【0015】
本実施の形態においては、光触媒フィルタ121の上流側には、物理的なフィルタ123が保持フレーム122に保持されている。
【0016】
後述するように、本実施の形態においては、光触媒ユニット120は、除菌脱臭装置100から簡単に取り外すことができる。
【0017】
図5および
図6に戻って、光触媒ユニット120の前方には、LEDライト130が設けられる。LEDライト130は、後方に配置される光触媒フィルタ121に向けて、光を照射する。
【0018】
LEDライト130の前方には、ファン140が配置される。本実施の形態においては、シロッコファン140が利用される。ファン140は、回転するプロペラ141によって、ケース142の下方または上方から空気を吸い込んで、当該空気をケース142の前方に吹き出させる。
【0019】
ファン140の前下方には、吹き出し口111Yが設けられる。本実施の形態においては、吹き出し口111Yには、風向き変更用のルーバー115が設けられる。ルーバー115は、左端と右端が回動可能に下カバー111に取り付けられており、吹き出し口111Yから吹き出す空気の方向を、前方から下方まで変更することができる。
【0020】
上カバー112の上面には、固定装置150が取り付けられる。固定装置150には、プレート部材151や、クリップ160や、ベルト170が含まれる。
【0021】
クリップ160は、プレート部材151の後端部に取り付けられる。クリップ160は、側面視において略U字状に構成されており、サンバイザー190の後部を挟みこむことによって固定装置150やケース110をサンバイザー190に固定するものである。
【0022】
ベルト170は、プレート部材151の前端部に取り付けられる。ベルト170は、サンバイザー190に巻き付くことによって固定装置150やケース110をサンバイザー190に固定するものである。本実施の形態においては、ベルト170の先端は、クリップ160の先端部171(
図3を参照)に連結される。連結方法は、カラビナや面ファスナーなど、特に限定されない。
【0023】
特に、本実施の形態においては、固定装置150は、ケース110を水平方向に回動可能に保持する。具体的には、固定装置150は、上カバー112に平行な、プレート部材151と、ケース110の回動角度を調節するための調節部材152と、プレート部材151を回動可能に上カバー112に取り付けるための抑え部材153と、プレート部材151を挟んだ状態で抑え部材153を上カバー112に固定するためのビス154とを含む。より詳細には、抑え部材153をビス154で上カバー112に固定した状態において、つまり、ビス154を締め付けた状態において、抑え部材153と上カバー112との間に生じる隙間が、プレート部材151の中心部分の厚みよりも大きくなるように構成されている。
【0024】
これによって、ビス154と抑え部材153と上カバー112とに対して、プレート部材151が回動可能となる。換言すれば、プレート部材151やサンバイザー190に対して、上カバー112やケース110が、水平方向に、回動可能となる。
【0025】
より詳細には、
図8および
図9に示すように、上カバー112の上面には、ビス154の孔を中心にして、複数の凹部154X,154X・・・が形成されている。
【0026】
逆に、プレート部材151には、調節部材152が取り付けられている。調節部材152には、ビス154の孔を中心にして、複数の凸部152X,152Xが形成されている。複数の凸部152X,152Xは、調節部材152やプレート部材151に対して、弾性的に連結されている。すなわち、複数の凸部152X,152X・・・の各々は、凹部154X,154X・・・に入り込む方向に付勢されている。
【0027】
これよって、ユーザは、プレート部材151や調節部材152やサンバイザー190に対して、ケース110を自由に回動させたり、凸部152X,152X・・・が凹部154X,154X・・・に勘合する位置で固定したりすることができる。なお、ケース110を回動させている間は、凸部152X,152X・・・が凹部154X,154X・・・を乗り越えるたびに、上記の弾性的な抵抗が生じるとともに、カチカチと音が生じる。
【0028】
また、本実施の形態においては、
図1から
図6に示すように、ケース110の吸い込み口111Xから吹き出し口111Yへの方向を、ベルト170の長手方向に合わせている場合は、光触媒ユニット120の上方に、クリップ160が位置する。
【0029】
しかしながら、ケース110を、固定装置150に対して、90度、右または左に回動すると、
図10に示すように、光触媒ユニット120の上方が開放される。
【0030】
この状態において、
図11から
図14に示すように、ユーザは、保持フレーム122を挟むことによって、光触媒ユニット120を上方に引きだすことができる。
【0031】
より詳細には、
図7に示すように、保持フレーム122の左右には、中央に向けてたわむ把持部122X,122Xが形成される。把持部122X,122Xには、上カバー112に引っ掛けるためのツメ122Y,122Yが形成される。そして、
図8に示すように、上カバー112のうちの、光触媒ユニット120の左右には、把持部122X,122Xを指でつかむための、凹部122Z、122Zが形成されている。
【0032】
これによって、ユーザは、プレート151に対してケース110を回動させることによって、平面視においてクリップ160と光触媒ユニット120との位置が重ならないようしてから、把持部122X,122Xを挟むことによってツメ122Y,122Yを上カバー112から解除して、把持部122X,122Xを挟んだままで光触媒ユニット120ごと上カバー112から引き出す。
【0033】
ユーザは、保持フレーム122の把持部122X,122Xをつかんだままで、水道水などで、光触媒フィルタ121を洗浄することができる。
[第2の実施の形態]
【0034】
上記の実施の形態においては、クリップ160およびベルト170によって、除菌脱臭装置100やケース110をサンバイザー190に取り付けるものであった。しかしながら、除菌脱臭装置100やケース110をサンバイザー190に取り付ける構成は、上記の実施の形態のものに限定されない。
【0035】
たとえば、クリップ160のみによって、除菌脱臭装置100やケース110をサンバイザー190に取り付けてもよい。
【0036】
あるいは、ベルト170のみによって、除菌脱臭装置100やケース110をサンバイザー190に取り付けてもよい。
【0037】
あるいは、
図15に示すように、幅を変更可能なスライド装置180B,180Bによって、除菌脱臭装置100やケース110をサンバイザー190に取り付けてもよい。
[まとめ]
【0038】
上記の実施の形態においては、光触媒と、光触媒に光を照射するライトと、光触媒と接触するように空気を流すためのファンと、光触媒とライトとファンとを収容するケースと、ケースを車両のサンバイザーに着脱自在に取り付けるための固定装置と、を備える、除菌脱臭装置が提供される。
【0039】
好ましくは、固定装置は、ケースをサンバイザーの面と平行に回動可能に構成される。
【0040】
好ましくは、光触媒は、ケースの固定装置側から取り出し可能である。
【0041】
好ましくは、固定装置は、側面視において略U字状の弾性のフック部材を含む。フック部材によってサンバイザーを挟み込むことによってケースがサンバイザーに取り付けられる。
【0042】
好ましくは、固定装置は、サンバイザーを周回して、ケースをサンバイザーに取り付けるバンドを含む。
【0043】
好ましくは、ケースには、ファンによって流れる空気の吸い込み口と吹き出し口とが形成される。ライトは、ケースの内側から外側に向けて光触媒に光を発する。光触媒には、空気が通過する複数の孔が形成される。光触媒は、ライトから吹き出し口への向きに対して、斜めに傾いて保持される。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
100 :除菌脱臭装置
110 :ケース
111 :下カバー
111X :吸い込み口
111Y :吹き出し口
112 :上カバー
115 :ルーバー
120 :光触媒ユニット
121 :光触媒フィルタ
122 :保持フレーム
123 :フィルタ
130 :LEDライト
140 :ファン
150 :固定装置
151 :プレート部材
152 :調節部材
152X :凸部
153 :部材
154 :ビス
154X :凹部
160 :クリップ
170 :ベルト
180B :スライド装置
190 :サンバイザー