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特許7366454リング加工方法、装飾用リングおよびリング加工用補助部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】リング加工方法、装飾用リングおよびリング加工用補助部材
(51)【国際特許分類】
   A44C 27/00 20060101AFI20231016BHJP
   A44C 9/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A44C27/00
A44C9/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022083443
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2022-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505110985
【氏名又は名称】バンビジュエリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋二
(72)【発明者】
【氏名】内藤 陽一
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-001269(JP,A)
【文献】登録実用新案第3009581(JP,U)
【文献】特開2002-101926(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1011281(KR,B1)
【文献】米国特許第03877249(US,A)
【文献】特表平07-504825(JP,A)
【文献】特開2015-202313(JP,A)
【文献】特開平11-300510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 27/00
A44C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾用のリングを加工するリング加工方法であって、
内層及び外層からなる二層リングに環状の補助部材を当接させて旋盤チャックにセットするリングセット工程と、
切削バイト側にセットされた傾いた二層リングを旋回させてその外層を切削バイトで切削するリング切削工程と、
を備え、
厚みを変えてテーパー状に形成された補助部材の端面を二層リングの端面に当接することで、切削する二層リングの外層のカット加工又は/及び溝加工を斜めラインにすることを特徴としたリング加工方法。
【請求項2】
二層リングの位置を決めるガイドとして、補助部材の複数箇所に目印を設けることを特徴とした請求項1記載のリング加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のリング加工方法によって製造された装飾用リング。
【請求項4】
装飾用のリングを加工するリング加工方法に用いる補助部材であって、
当該補助部材は、環状に形成して、旋盤チャックにセットして切削バイトで切削されるリングに当接する端面を、厚みを変えてテーパー状に形成したことで、旋回させた二層リングの切削によるカット加工又は/及び溝加工を斜めラインにすることを特徴としたリング加工用補助部材。
【請求項5】
当接するリングの位置を決めるガイドとして、補助部材の複数箇所に目印を設けることを特徴とした請求項4記載のリング加工用補助部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、装飾用のリングに装飾を施すためのリング加工技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
装飾用のリングに装飾を施す装飾方法として、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1では、ダイヤバイトにて指輪本体10の外周面11に、周方向に沿ってダイヤバイトカットを施す工程と、指輪本体10の内側に位置して該指輪を固定する回転軸14と、前記指輪本体10の外側に位置し、外周面に、周方向に沿って連続した模様15を有する回転体16とで、前記指輪本体10を回転させ、前記回転体16を該指輪本体10に押し圧することにより、前記指輪本体10と前記回転体16は反対方向に回転して前記指輪本体10の外周面11に、周方向に沿って前記回転体16の有する模様15と同じ模様13を刻設させる工程と、からなる装飾方法が開示されている(符号は、特許文献1のもの)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-230632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1などの従来の技術には無い新規な方法で優れた装飾用リングを提供すべく、種々研究・開発を行い、ついに本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の発明は、装飾用のリングを加工するリング加工方法であって、内層及び外層からなる二層リングに環状の補助部材を当接させて旋盤チャックにセットするリングセット工程と、切削バイト側にセットされた二層リングの外層を切削バイトで切削するリング切削工程と、を備え、厚みを変えてテーパー状に形成された補助部材の端面を二層リングに当接することで、切削する二層リングの外層のカット加工又は/及び溝加工を斜めラインにすることを特徴としたものである。
第2の発明は、二層リングの位置を決めるガイドとして、補助部材の複数箇所に目印を設けることを特徴とした第1の発明に係るリング加工方法である。
第3の発明は、第1又は第2の発明に係るリング加工方法によって製造された装飾用リングである。
第4の発明は、装飾用のリングを加工するリング加工方法に用いる補助部材であって、当該補助部材は、環状に形成して、旋盤チャックにセットして切削バイトで切削されるリングに当接する端面を、厚みを変えてテーパー状に形成したことで、切削によるカット加工又は/及び溝加工を斜めラインにすることを特徴としたリング加工用補助部材である。
第5の発明は、当接するリングの位置を決めるガイドとして、補助部材の複数箇所に目印を設けることを特徴とした第4の発明に係るリング加工用補助部材である。
【発明の効果】
【0006】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)旋盤チャックにセットされる二層リングに、厚みを変えてテーパー状に形成された補助部材の端面を当接することで、二層リングが傾斜した状態でセットされることになる。そして、これらを一緒に旋盤で旋回させ切削バイトで切削すると、二層リングの外層に斜めのカットライン(エッジ部分)や溝状ライン(中央部分)を加工(表現)できる。
(2)補助部材の厚みを調整することで、二層リングに加工する斜めラインの角度を自由に変更することもできる。
(3)二層リングの外層に斜めラインを加工することで、内層が外観上に現れて、外層と内層のコンビネーションによるデザイン性の広がり、多様性に寄与する。
(4)二層リングの位置を決めるガイドとして、補助部材の複数箇所に目印を設けることで、簡易且つ確実に二層リングへ斜めラインを加工できる。
(5)補助部材は、二層リングだけでなく、単層リングや三層以上の複層リングなどにも幅広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本願発明に係る補助部材を説明する説明図。
図2】本願発明に係るリング加工方法(第1実施形態)を説明する説明図(1)。
図3】本願発明に係るリング加工方法(第1実施形態)を説明する説明図(2)。
図4】本願発明に係るリング加工方法(第1実施形態)を説明する説明図(3)。
図5】本願発明に係るリング加工方法(第1実施形態)を説明する説明図(4)。
図6】本願発明に係る装飾用リング(第1実施形態)を説明する説明図。
図7】本願発明に係るリング加工方法(第2実施形態)を説明する説明図。
図8】本願発明に係る装飾用リング(第2実施形態)を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本願発明に係る補助部材を示す説明図である(正面図、平面図、側面図、斜視図)。
図1に図示する補助部材10は、環状の部材で、厚みを均一ではなく変えることにより、その端面11をテーパー状に形成している(正面図、側面図、斜視図を参照)。
また、補助部材10には、位置決めのためのガイドとして、4ヵ所に目印12となる切り込みを設けている。
【0009】
図2図5は、本願発明に係るリング加工方法の第1実施形態を図示したものである。
まず、図2は、内層21及び外層22からなる二層リング20のみを旋盤チャック50にセットした状態を図示している。
【0010】
これに対して、図3は、図1で図示した補助部材10のテーパー状に形成された端面11を二層リング20に当接させて、二層リング20と補助部材10を旋盤チャック50にセットした状態を図示している。これによれば、図3に図示する二層リング20が旋盤チャックに対して傾いてセットされることが理解できる。なお、このセットの際に、補助部材10に設けられた目印12を利用すると、位置決めがしやすくなる。
【0011】
次に、図4は、図3でセットされた二層リング20に対して、切削バイト60を当てて外層22を切削した状態を図示している。傾いた二層リング20を旋回させて、その外層22のエッジ部分を切削すると、エッジラインが斜めのカットライン23になる。また、切削した部分の下に内層21が現れる。なお、補助部材10の厚みを変更することで、カットライン23の角度を調整することができる。
【0012】
更に、図5は、図4で切削された二層リング20を一旦外し、切削されていない反対側を切削するように旋盤チャック50にセットし直して切削した状態を図示している。こうすると、外層22のエッジライン(カットライン23,23)が平行になり、内層21に対して外層22が傾斜して(斜めに)積層しているデザインになる。
【0013】
図6は、第1実施形態のリング加工方法で製造(加工)した二層リング20を示す説明図である。
図示するように、外層22の左右のエッジラインが斜めに平行しており、エッジラインの外側の下層に内層21が現れる。第1実施形態のリング加工方法によれば、ストレートな内層21にたすき掛けしたような外層22を積層させた二層リング20を旋盤加工によって極めて簡単且つ確実に製造(加工)できる。
【0014】
図7は、本願発明に係るリング加工方法の第2実施形態を図示したものである。
第2実施形態では、図3で旋盤チャック50にセットした二層リング20(補助部材10の当接あり)に対して、切削バイト60で外層22を溝加工した状態を図示している。
二層リング20は補助部材10と当接しているので、溝加工した溝ライン24は二層リング10(外層22)を傾斜するようになる。
【0015】
図8は、第2実施形態のリング加工方法で製造(加工)した二層リング20を示す説明図である。
図示するように、二層リング20を周方向に溝加工した溝ライン24が、傾斜して形成される。第2実施形態のリング加工方法によれば、周方向に傾斜する溝ライン24を設けた内層21及び外層22からなる二層リング20を旋盤加工によって極めて簡単且つ確実に製造(加工)できる。なお、補助部材10の厚みを変更することで、溝ライン24の角度を調整することができる。
【0016】
なお、以上は、二層リング20にカットライン23,23又は溝ライン24をそれぞれ単独に設けたものを説明しているが、1の二層リング20にカットリング23,23と溝ライン24とを設けてもよい。
また、補助部材10は、内層及び外層からなる二層リング(コンビ材)だけでなく、その他のリングにも利用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本願発明に係るリング加工方法や補助部材は、装飾用のリングに限らず、広くリング状の部材に利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
10 補助部材
11 端面
12 目印
20 二層リング
21 内層
22 外層
23 カットライン
24 溝ライン
50 旋盤チャック
60 切削バイト
【要約】
【課題】 従来の技術には無い新規な方法で優れた装飾用リングを提供することにある。
【解決手段】 旋盤チャック50にセットされた補助部材10と二層リング20とに対して、切削バイト60を当てて二層リングの外層22を切削する。傾いた二層リング20を旋回させて、その外層22のエッジ部分を切削すると、エッジラインが斜めのカットライン23になる。また、切削した部分の下に内層21が現れる。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8