(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】プレス装置、及びプレス鋼板製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 28/02 20060101AFI20231016BHJP
B30B 13/00 20060101ALI20231016BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20231016BHJP
B21D 43/04 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B21D28/02 F
B30B13/00 B
B21D43/00 E
B21D43/04 Z
(21)【出願番号】P 2022086477
(22)【出願日】2022-05-27
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】393023950
【氏名又は名称】大垣精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187791
【氏名又は名称】山口 晃志郎
(72)【発明者】
【氏名】鄭 日権
(72)【発明者】
【氏名】谷 清和
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-143793(JP,A)
【文献】実開昭60-108440(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00 - 43/04
B21D 28/02
B30B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向の搬送方向に間欠的に搬送される帯状の鋼板材が、所定の形状に打ち抜かれてプレス鋼板が形成されるプレス装置であって、
前記鋼板材を所定の形状に打ち抜くために、前記搬送方向と直交する上下方向において相対的に移動可能な上金型及び下金型と、
前記鋼板材を搬送するための搬送装置と、
前記搬送方向及び前記上下方向と直交する方向を幅方向とし、
前記幅方向に対向して対で配置され、前記鋼板材の該幅方向の端部にそれぞれ接離可能な押圧装置を備え、
前記上下方向において、前記上金型が、前記下金型に対して最も上側に離間する位置を上死点とし、
前記上下方向において、前記上金型におけるパンチと、前記下金型におけるダイとによって前記鋼板材を打ち抜く位置を打ち抜き位置とし、
前記押圧装置は、前記鋼板材の該幅方向の端部に接触可能な接触部を備え、
前記接触部は、前記上下方向において所定の接触長を有し、前記接触長の間において前記幅方向に対して直線状に傾斜し、
一対の前記押圧装置が前記幅方向において対向すると、
一方の前記接触部と他方の前記接触部との間の前記幅方向の距離は、
前記接触長において、前記上下方向の上側の距離よりも下側の距離の方が長く、
前記接触部の下側位置は前記下金型の上面位置と一致するよう形成され、
前記接触部の下側に、下金型上面の一部、又は前記下金型上面の高さに一致する部材が形成され、
前記押圧装置は、
前記上金型と前記下金型が前記打ち抜き位置にあるとき、前記鋼板材から離間し、
前記上金型が前記上死点にあるとき、
前記接触部によって、前記鋼板材の端部を前記幅方向の内側方向、及び前記上下方向の下側方向に押圧し、前記鋼板材
は、前記幅方向の中央部が上側に凸になるように、前記鋼板材の前記幅方向の端部を押圧された状態
で搬送されるプレス装置。
【請求項2】
前記押圧装置は、
前記幅方向に移動可能な可動部と、
前記可動部の移動を案内する案内部と、
前記可動部を前記幅方向に押圧する弾性部材と、
前記弾性部材を受ける受け部と、
前記可動部を作動する作動カム部を備え、
前記可動部と、前記案内部と、前記弾性部材と、前記受け部は前記下金型に備えられ、
前記作動カム部は、前記上金型に備えられ、
前記接触部は、前記可動部の前記幅方向の内側の端部に形成され、
前記上金型が前記上死点にあるとき、
前記可動部は、前記弾性部材によって押圧されて、前記接触部が前記鋼板材の前記幅方向の端部を押圧し、
前記上金型が前記下金型に対して相対的に下降するとき、
前記可動部は、前記作動カム部によって移動されて、前記接触部が前記幅方向の外側へ移動し、
前記上金型と前記下金型が前記打ち抜き位置にあるとき、前記接触部は前記鋼板材から離間した状態である請求項
1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記接触部は押圧ローラであり、
前記押圧ローラは、円錐台状であって上側の外径よりも下側の外径が小さく形成され、
外周面は前記幅方向において直線状に所定角度傾斜し、
前記押圧ローラによって前記鋼板材の前記幅方向の端部が押圧されるとき、
前記鋼板材の前記幅方向の端部は、前記押圧ローラによって前記幅方向
の内側、及び前記上下方向の下側に向かって押圧される請求項
2に記載のプレス装置。
【請求項4】
前記接触部は、前記可動部の先端部に一体的に形成される接触子であり、
前記接触子は、前記上下方向の下側から上側に向かうに従って、前記幅方向の内側へ倒れる方向に所定角度傾斜し、
前記接触子によって前記鋼板材の前記幅方向の端部が押圧されるとき、
前記鋼板材の前記幅方向の端部は、前記接触子によって前記幅方向
の内側、及び前記上下方向の下側に向かって押圧される請求項
2に記載のプレス装置。
【請求項5】
プレス装置を使用し、一方向の搬送方向に間欠的に搬送される帯状の鋼板材を打ち抜き形成してプレス鋼板を製造するプレス鋼板製造方法であって、
前記プレス装置は、
前記鋼板材を所定の形状に打ち抜くために、前記鋼板材の前記搬送方向と直交する上下方向において相対的に移動可能な上金型及び下金型と、
前記鋼板材を搬送するための搬送装置と、
前記搬送方向及び前記上下方向と直交する方向を幅方向とし、前記幅方向に対向して配置され、前記鋼板材の該幅方向の端部にそれぞれ接離可能な押圧装置を備え、
前記押圧装置は、前記鋼板材の該幅方向の端部に接触可能な接触部を備え、
前記接触部は、前記上下方向において所定の接触長を有し、前記接触長の間において前記幅方向に対して直線状に傾斜し、
一対の前記押圧装置が前記幅方向において対向すると、
一方の前記接触部と他方の前記接触部との間の前記幅方向の距離は、
前記接触長において、前記上下方向の上側の距離よりも下側の距離の方が長く、
前記接触部の下側位置は前記下金型の上面位置と一致するよう形成され、
前記接触部の下側に、下金型上面の一部、又は前記下金型上面の高さに一致する部材が形成され、
前記搬送装置によって、前記鋼板材の所定の位置を、最終プレス工程位置まで搬送する第一工程と、
前記上金型を前記下金型に対して相対的に下降させ、前記押圧装置を前記鋼板材から離間させる第二工程と、
さらに、前記上金型を前記下金型に対して相対的に下降させ、前記押圧装置が前記鋼板材から離間した後に、前記鋼板材を打ち抜いてプレス鋼板を製造する第三工程と、
前記上金型を前記下金型に対して相対的に上昇させ、前記押圧装置
の前記接触部が前記鋼板材の前記幅方向の端部
を、前記幅方向の内側方向、及び前記上下方向の下側方向に押圧させ、前記鋼板材の前記幅方向における中央部が上側に凸になるようにする第四工程を備え、
前記第一工程は、前記第四工程によって前記鋼板材の前記幅方向における中央部が凸になった状態で行われ、
前記第一工程から前記第四工程までが繰り返し行われるプレス鋼板製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、順送型のプレス装置、及びプレス装置を用いたプレス鋼板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレス装置、及びプレス加工方法について以下の課題があり、対応するための発明がなされている。従来の課題を説明する。プレス製品としてプレス鋼板を製造する場合、使用する鋼板材の幅は拡大し、しかも、鋼板材の厚みは薄肉化している。鋼板材は剛性が低下しており、プレス装置内で順送りする際に下方に撓んで、送り途中で下金型のダイ、或いは打ち抜いたプレス鋼板に引っ掛かることで搬送不良が発生し、最悪の場合はプレス装置の破損につながるという問題があった。
【0003】
図15及び
図16を参照して従来の課題を説明する。
図15は、順送型のプレス装置において、最終プレス工程を説明する概念図である。最終プレス工程位置Pにおいて、プレス鋼板107が打ち抜かれて下側に移動し、鋼板材110はさらに順方向に搬送される。このとき、鋼板材110はブランク部108が形成されている。一般的に、鋼板材110は廃却部分を減らすために、幅方向においてブランク部108が占める割合が大きくなる。すると、特に最終プレス工程後の鋼板材110は剛性が低下し、撓みやすい。
【0004】
図16は、最終プレス工程後に鋼板材110を順方向に搬送する状態を示す。例として、プレス鋼板107が電磁モータ用のステータの場合、円環状に串歯部107aを有する。鋼板材110は、ブランク部108の周辺において撓みやすく、下金型のダイ、或いはプレス加工されたプレス鋼板107に引っ掛かる場合がある。特にプレス鋼板107が串歯部107aを有する場合、
図16のG部において、鋼板材110のブランク部108が下側に撓み、串歯部107aに引っ掛かる場合が多くなる。なお、以上説明した各要素の符号は、本発明の要素と区別するために、同様の機能を有する要素には、本発明の要素の符号に100を加えた符号で記載している。
【0005】
以上説明した課題に対して、従来例として、特許文献1に記載の提案があった。例えば、特許文献1に記載のプレス装置は、
図17及び
図18に示すように、加工ステーションが複数並べて設けられた下金型105と、下金型105に対向して下金型105の上方に配置され、上下動する上金型104とを有する。順送りされる鋼板材110を各加工ステーションで上金型104のパンチ137と下金型105のダイ141とによって順次打ち抜いて所望形状のプレス鋼板107を形成した後、プレス鋼板107を積層する(積層のプレス鋼板を形成する)プレス装置101である。なお、特許文献1には、プレス装置101が打ち抜き金型装置、鋼板材110が板材、プレス鋼板107が鉄心片と記載されているが、本発明の要素の名称を合わせるため、上記のように記載する。
【0006】
図17及び
図18を参照して、特許文献1の発明を説明する。プレス装置101の下金型105には、鋼板材110を順送りする際に鋼板材110を下金型105の上面位置115から上昇させるリフタ部が設けられる。リフタ部は、各加工ステーションの外周領域に複数配置される第1のリフタ119を有する第1のリフタ群と、プレス鋼板107の外形抜き用打ち抜き孔144が形成されたダイ141の上面又はダイ141を保持するダイホルダ143の上面に配置される第2のリフタ121を有する第2のリフタ群とを備えている。さらに、第2のリフタ121は、外形抜き用打ち抜き孔144の内周に沿って環状に配置されていることが好ましいと記載されている。
【0007】
これによれば、第2のリフタ121が、外形抜き用打ち抜き孔144が形成されたダイ141の上面又はダイ141を保持するダイホルダ143の上面に配置されているので、鋼板材110において、プレス鋼板107のブランク部108の周囲を常に支持することができ、鋼板材110からプレス鋼板107が打ち抜かれて鋼板材110の剛性が低下した領域の撓み量を小さくして、鋼板材110と外形抜き用打ち抜き孔144との引っ掛かりを防止することができる、と記載されている。
【0008】
また、プレス装置101において、第2のリフタ121が、外形抜き用打ち抜き孔144の内周に沿って環状に配置されている場合、鋼板材110において、プレス鋼板107のブランク部108の近傍を直接支持することができ、外形抜き用打ち抜き孔144の上方に存在する鋼板材110の撓み量を確実に減少させることができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、以下の課題がある。
図19及び
図20を参照して説明する。
図19に示すように、プレス装置101の最終プレス工程位置Pにおいてプレス鋼板107が打ち抜かれ、鋼板材110が下流側へ搬送されると、ブランク部108がプレス鋼板107上を通過する。その際に、第2のリフタ121は、ブランク部108の周囲から外れ、ブランク部108に近い位置で鋼板材110を支持するのは、格子状にハッチングされた第2のリフタ121と第1のリフタ119のみである。なお、第2のリフタ121が鋼板材110を支持する位置は、鋼板材110が搬送されるのに伴って変化する。
【0011】
すると、
図20に示すように、例え鋼板材110が第2のリフタ121によって支持されていても、鋼板材110が搬送されるに従って、幅方向の中央部は下側への撓みが大きくなる。この場合、
図19に示すように、例えばプレス鋼板107が内周に串歯部107aを有する場合、鋼板材110が下側に撓んでブランク部108が串歯部107aの内側に引っかかる恐れがある。
【0012】
本発明の目的は、プレス鋼板を打ち抜き後に搬送される鋼板材のブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることを低減するプレス装置、及びプレス鋼板製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の態様に係るプレス装置は、一方向の搬送方向に間欠的に搬送される帯状の鋼板材が、所定の形状に打ち抜かれてプレス鋼板が形成され、前記鋼板材を所定の形状に打ち抜くために、前記搬送方向と直交する上下方向において相対的に移動可能な上金型及び下金型と、前記鋼板材を搬送するための搬送装置と、前記搬送方向及び前記上下方向と直交する方向を幅方向とし、前記幅方向に対向して対で配置され、前記鋼板材の該幅方向の端部にそれぞれ接離可能な押圧装置を備え、前記上下方向において、前記上金型が、前記下金型に対して最も上側に離間する位置を上死点とし、前記上下方向において、前記上金型におけるパンチと、前記下金型におけるダイとによって前記鋼板材を打ち抜く位置を打ち抜き位置とし、前記押圧装置は、前記上金型と前記下金型が前記打ち抜き位置にあるとき、前記鋼板材から離間し、前記上金型が前記上死点にあるとき、前記鋼板材の前記幅方向の中央部が上側に凸になるように、前記鋼板材の前記幅方向の端部を押圧された状態で前記鋼板材が搬送される。
【0014】
これによれば、プレス装置の押圧装置は、上金型と下金型が打ち抜き位置にあるとき、鋼板材から離間するので、鋼板材に歪みが無い状態でプレス鋼板を打ち抜くことができる。さらに、押圧装置は、上金型が上死点にあるとき、鋼板材の幅方向の中央部が上側に凸になるように、鋼板材の幅方向の端部を押圧する。よって、鋼板材が搬送されるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0015】
また、前記プレス装置は、前記押圧装置が、前記鋼板材の該幅方向の端部に接触可能な接触部を備え、前記接触部は、前記上下方向において所定の接触長を有し、前記接触長の間において前記幅方向に対して直線状に傾斜し、一対の前記押圧装置が前記幅方向において対向すると、一方の前記接触部と他方の前記接触部との間の前記幅方向の距離は、前記接触長において、前記上下方向の上側の距離よりも下側の距離の方が長くてもよい。
【0016】
この場合、プレス装置の押圧装置は、接触部が接触長の間において記幅方向に対して直線状に傾斜する。一方の接触部と他方の接触部との間の幅方向の距離は、接触長において、上下方向の上側よりも下側の方が長い。鋼板材は幅方向の端部において下側に誘導されるので、押圧装置によって幅方向の端部が押圧されると幅方向の中央部が上側に凸となる。よって、鋼板材は、鋼板材が搬送されるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0017】
また、前記プレス装置の前記押圧装置は、前記上金型及び前記下金型における最終プレス工程位置に対して、前記搬送方向の下流側に一対の第一押圧装置を備え、上流側に一対の第二押圧装置を備えてもよい。
【0018】
この場合、押圧装置は、最終プレス工程位置の下流側及び上流側に備えられるので、より確実に鋼板材の幅方向の中央部を上側に凸にすることができる。よって、鋼板材が搬送されるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0019】
また、前記プレス装置は、前記第一押圧装置に対して前記搬送方向の下流側に隣接し、前記鋼板材の前記幅方向を案内する一対の第一案内部と、前記第二押圧装置に対して前記搬送方向の上流側に隣接し、前記鋼板材の前記幅方向を案内する一対の第二案内部を備えてもよい。
【0020】
この場合、二つの対の押圧装置を挟み、上流側と下流側にそれぞれ案内部が備えられるので、鋼板材は幅方向及び上下方向への蛇行が低減される。さらに、二つの対の押圧装置が、鋼板材を幅方向から均等に押圧することができるので、幅方向の中央部をより確実に凸にできる。よって、鋼板材が搬送されるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0021】
また、前記プレス装置は、前記押圧装置が、前記幅方向に移動可能な可動部と、前記可動部の移動を案内する案内部と、前記可動部を前記幅方向に押圧する弾性部材と、前記弾性部材を受ける受け部と、前記可動部を作動する作動カム部を備え、前記可動部と、前記案内部と、前記弾性部材と、前記受け部は前記下金型に備えられ、前記作動カム部は、前記上金型に備えられ、前記接触部は、前記可動部の前記幅方向の内側の端部に形成され、前記上金型が前記上死点にあるとき、前記可動部は、前記弾性部材によって押圧されて、前記接触部が前記鋼板材の前記幅方向の端部を押圧し、前記上金型が前記下金型に対して相対的に下降するとき、前記可動部は、前記作動カム部によって移動されて、前記接触部が前記幅方向の外側へ移動し、前記上金型と前記下金型が前記打ち抜き位置にあるとき、前記接触部は前記鋼板材から離間した状態でもよい。
【0022】
この場合、押圧装置の接触部は、上金型が上下方向に移動することに伴って幅方向に移動するので、鋼板材の幅方向の端部に接離できる。よって、接触部は移動のために駆動源を必要とせず、上金型と連動して鋼板材の幅方向の端部との接離を行うことができる。上金型が下金型に対して相対的に下降するとき、接触部が幅方向の外側へ移動して鋼板材の幅方向の端部から離間するので、鋼板材に歪みが無い状態でプレス鋼板を打ち抜くことができる。また、上金型が上死点にあるとき、押圧装置が、鋼板材を幅方向から押圧することができるので、幅方向の中央部をより確実に凸にできる。さらに、鋼板材が搬送されるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0023】
また、前記プレス装置は、前記接触部が押圧ローラであり、前記押圧ローラは、円錐台状であって上側の外径よりも下側の外径が小さく形成され、外周面は前記幅方向において直線状に所定角度傾斜し、前記押圧ローラによって前記鋼板材の前記幅方向の端部が押圧されるとき、前記鋼板材の前記幅方向の端部は、前記押圧ローラによって前記幅方向、及び前記上下方向の下側に向かって押圧されてもよい。
【0024】
この場合、接触部は円錐台状の押圧ローラであり、上側の外径よりも下側の外径が小さく形成されるので、鋼板材の幅方向の端部がめくれ上がることを防止し、幅方向の中央部が上側に凸となるように押圧できる。よって、鋼板材が搬送されるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0025】
また、前記プレス装置は、前記接触部が、前記可動部の先端部に一体的に形成される接触子であり、前記接触子は、前記上下方向の下側から上側に向かうに従って、前記幅方向の内側へ倒れる方向に所定角度傾斜し、前記接触子によって前記鋼板材の前記幅方向の端部が押圧されるとき、前記鋼板材の前記幅方向の端部は、前記接触子によって前記幅方向、及び前記上下方向の下側に向かって押圧されてもよい。
【0026】
この場合、接触子は、接触長において上下方向の下側から上側に向かうに従って、幅方向の内側へ倒れる方向に所定角度傾斜するので、鋼板材の幅方向の端部がめくれ上がることを防止し、幅方向の中央部が上側に凸となるように押圧できる。よって、鋼板材が搬送されるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0027】
本発明の第二の態様に係るプレス鋼板製造方法は、プレス装置を使用し、一方向の搬送方向に間欠的に搬送される帯状の鋼板材を打ち抜き形成してプレス鋼板を製造するプレス鋼板製造方法であって、前記プレス装置は、前記鋼板材を所定の形状に打ち抜くために、前記鋼板材の前記搬送方向と直交する上下方向において相対的に移動可能な上金型及び下金型と、前記鋼板材を搬送するための搬送装置と、前記搬送方向及び前記上下方向と直交する方向を幅方向とし、前記幅方向に対向して配置され、前記鋼板材の該幅方向の端部にそれぞれ接離可能な押圧装置を備え、前記搬送装置によって、前記鋼板材の所定の位置を、最終プレス工程位置まで搬送する第一工程と、前記上金型を前記下金型に対して相対的に下降させ、前記押圧装置を前記鋼板材から離間させる第二工程と、さらに、前記上金型を前記下金型に対して相対的に下降させ、前記押圧装置が前記鋼板材から離間した後に、前記鋼板材を打ち抜いてプレス鋼板を製造する第三工程と、前記上金型を前記下金型に対して相対的に上昇させ、前記押圧装置を前記鋼板材の前記幅方向の端部に押圧させ、前記鋼板材の前記幅方向における中央部が上側に凸になるようにする第四工程を備え、前記第一工程は、前記第四工程によって前記鋼板材の前記幅方向における中央部が凸になった状態で行われ、前記第一工程から前記第四工程までが繰り返し行われる。
【0028】
これによれば、第二工程及び第四工程によって、接触部が、上金型と連動して鋼板材の幅方向の端部との接離を行うことができる。よって、プレス鋼板製造方法は、鋼板材に歪みが無い状態でプレス鋼板を打ち抜くことができる。また、第四工程は、上金型を下金型に対して相対的に上昇させて上死点に位置させることにより、接触部が、上金型と連動して鋼板材の幅方向の端部を押圧することができる。鋼板材の幅方向の中央部は、接触部の押圧により、上側に凸になる。よって、プレス鋼板製造方法は、鋼板材を搬送させるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0029】
また、前記プレス鋼板製造方法は、前記押圧装置が、前記幅方向に移動可能な可動部と、前記可動部の移動を案内する案内部と、前記可動部を前記幅方向に押圧する弾性部材と、前記弾性部材を受ける受け部と、前記可動部を作動する作動カム部と、前記鋼板材の該幅方向の端部に接触可能な接触部を備え、前記可動部と、前記案内部と、前記弾性部材、及び前記受け部は前記下金型に備えられ、前記作動カム部は、前記上金型に備えられ、前記第二工程は、前記上金型を前記下金型に対して相対的に下降させることによって、前記作動カム部が前記可動部を作動して前記接触部を前記鋼板材から離間させる工程を含み、前記第四工程は、前記上金型を前記下金型に対して相対的に上昇させることによって、前記作動カム部が上昇し、前記可動部は、前記弾性部材に押圧されて移動し、前記接触部が、前記鋼板材の前記幅方向の端部を押圧する工程を含んでもよい。
【0030】
この場合、第二工程は、上金型を下金型に対して相対的に下降させることによって、作動カム部が可動部を作動して接触部を鋼板材から離間させる。よって、第二工程は、上金型と連動して鋼板材の幅方向の端部との接離を行うことができる。
【0031】
また、第四工程は、上金型を下金型に対して相対的に上昇させることによって、接触部が、鋼板材の幅方向の端部を押圧する。接触部が鋼板材を幅方向から押圧することができるので、幅方向の中央部をより確実に凸にできる。よって、鋼板材が搬送されるとき、ブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明のプレス装置1を幅方向に切断した部分断面図であり、上金型4が打ち抜き位置にあるときを示す。
【
図2】本発明のプレス装置1を幅方向に切断した部分断面図であり、上金型4が上死点にあるときを示す。
【
図3】本発明の第一実施形態のプレス装置1aの上金型4aを上下方向の下側から見た平面方向の図である。
【
図4】本発明の第一実施形態のプレス装置1aの下金型5aを上下方向の上側から見た平面方向の図である。
【
図5】
図4の断面I-Iを示す断面図であり、(a)は上金型4aが上死点にある状態を示し、(b)は上金型4aが上死点から下降し始めた状態を示す。
【
図6】
図4の断面I-Iを示す断面図であり、(a)は
図5(b)からさらに上金型4が下降した状態を示し、(b)は上金型4aと下金型5aが打ち抜き位置にある状態を示す。
【
図7】
図5(a)のうち接触部20である押圧ローラ20aの部分拡大図である。
【
図8】
図4に対して、押圧装置2aが第一押圧装置21cと第二押圧装置22cの場合を示した図である。
【
図9】
図8の断面II-IIを拡大して示した押圧ローラ20cの部分拡大図である。
【
図10】本発明の第二実施形態のプレス装置1bの上金型4bを上下方向の下側から見た平面方向の図である。
【
図11】本発明の第二実施形態のプレス装置1bの下金型5bを上下方向の上側から見た平面方向の図である。
【
図12】
図11の断面III-IIIを示す断面図であり、(a)は上金型4bが上死点にある状態を示し、(b)は上金型4bが上死点から下降し始めた状態を示す。
【
図13】
図11の断面III-IIIを示す断面図であり、(a)は
図5(b)からさらに上金型4bが下降した状態を示し、(b)は上金型4bと下金型5bが打ち抜き位置にある状態を示す。
【
図14】
図12(a)のうち接触部20である接触子20bの部分拡大図である。
【
図15】最終プレス工程位置Pにおいて、鋼板材10、110を打ち抜いてプレス鋼板7、107を形成する状態の説明図である。
【
図16】従来例を説明する図であり、鋼板材110からプレス鋼板107を打ち抜いた後、鋼板材110を下流側に搬送する状態を示す。
【
図17】従来例を説明する図であり、最終プレス工程位置Pにおいて鋼板材110からプレス鋼板107を打ち抜く状態を示し、上金型104を取り除いた平面図である。
【
図19】従来例を説明する図であり、最終プレス工程位置Pにおいて鋼板材110からプレス鋼板107を打ち抜いた後、鋼板材110を下流側へ搬送する状態を示し、上金型104を取り除いた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照し、本発明を具現化したプレス装置1、及びプレス鋼板製造方法を説明する。なお、発明を実施するための形態、及び参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。本発明はこれらに限定されるものではない。図面に記載されている構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0034】
<<各実施形態のプレス装置1に共通する構成と効果>>
<各実施形態のプレス装置1に共通する構成>
本発明の第一の態様に係るプレス装置1の構成を説明する。まず、
図1から
図7までを参照して、全ての実施形態に共通するプレス装置1の全体構成を説明する。プレス装置1は、一方向の搬送方向に間欠的に搬送される帯状の鋼板材10が、所定の形状に打ち抜かれてプレス鋼板7を形成するいわゆる順送型のプレス金型装置である。プレス装置1は、鋼板材10を所定の形状に打ち抜くために、搬送方向と直交する上下方向において相対的に移動可能な上金型4及び下金型5と、鋼板材10を搬送するための搬送装置6を備える。搬送方向及び上下方向と直交する方向を幅方向とする。
図1等に示すように、幅方向において、下流側から見て右側と左側を定義する。幅方向に対向して対で配置され、鋼板材10の幅方向の端部11にそれぞれ接離可能な押圧装置2を備える。
【0035】
図1から
図4までを参照して、プレス装置1の上金型4と下金型5の構成を説明する。
図3及び
図4に示すように、上金型4にガイド穴39が形成され、下金型5にガイドポスト42が備えられ、上金型4はガイド穴39が下金型5のガイドポスト42に案内されながら上下方向に移動する。
図1及び
図2に示すように、上金型4は、上金型4の上下方向への移動に伴って上下方向に移動するパンチ37とストリッパ38を備える。
【0036】
図1に示すように、パンチ37は、下金型5のダイホルダ43に固定されたダイ41の外形打ち抜き穴44に対して押下し、鋼板材10を打ち抜いてプレス鋼板7を形成する。このとき、上金型4は下死点にある。ストリッパ38は、パンチ37とは独立して上下方向に移動する。パンチ37が鋼板材10を打ち抜くとき、予めストリッパ38が鋼板材10を押さえ、その後パンチ37がダイ41に押下して鋼板材10からプレス鋼板7を打ち抜く。プレス鋼板7を打ち抜いた後、先にパンチ37が上昇し、その後ストリッパ38が上昇する。上下方向において、上金型4におけるパンチ37と、下金型5におけるダイ41とによって鋼板材10を打ち抜く位置を打ち抜き位置とする。詳細は後述するように、押圧装置2は、上金型4と下金型5が打ち抜き位置にあるとき、鋼板材10から離間する。
【0037】
上下方向において、上金型4が、下金型5に対して最も上側に離間する位置を上死点とする。
図2は、上金型4が上昇し、上死点にある状態を示す。上金型4が上死点にあるとき、搬送装置6によって鋼板材10が搬送される。搬送装置6は、帯状の鋼板材10の下流側から引き出すプル動作と、上流側から押し出すプッシュ動作とを行いながら搬送を行う。具体的な構成の説明と図示は省略するが、
図4等に示す矢印の方向に鋼板材10を搬送する。詳細は後述するが、上金型4が上死点にあるとき、鋼板材10の幅方向の中央部が上側に凸になるように、押圧装置2が鋼板材10の幅方向の端部11を押圧する。
【0038】
図1から
図4までに示すように、上金型4が下降するとき、上金型4のパイロットピン35は、鋼板材10のパイロット穴7bを通して下金型5bのパイロットピン穴36に挿入される。逆に、上金型4が上昇するときは、上金型4のパイロットピン35がパイロットピン穴36及びパイロット穴7bから抜ける。この動作は、上金型4が上下方向に昇降する度に行われる。鋼板材10は、搬送装置6によって間欠的に搬送されるが、上記のパイロットピン35の抜き差しは、鋼板材10の位置を精度よく位置決めするためのものである。
【0039】
また、
図1、
図2、及び
図4、
図11に示すように、下金型5はリフト装置9を備える。リフト装置9は、最終プレス工程位置Pの上流側と下流側とに、幅方向に対向するように対で備えられる。なお、
図1等において最終プレス工程位置Pは、最終プレス工程におけるパンチ37とダイ41の中心位置を示す。
図1及び
図2に示すように、リフト装置9はリフター13とリフター弾性部材12を備える。リフト装置9は、鋼板材10が搬送されるときに、搬送抵抗を低減するため鋼板材10を下金型5から上下方向の上側へ浮かせる働きをする。リフター13は、リフター弾性部材12によって常時上下方向の上側へ押し上げられている。
図1に示すように、上金型4が押下された状態では、リフター13は上金型4によって押し下げられる。
図2に示すように、上金型4が上死点にあるときは、リフター13が鋼板材10を押し上げた状態である。
図4及び
図11に示すように、リフト装置9は、最終プレス工程位置Pにおけるパンチ37及びダイ41から離間した位置に備えられる。
【0040】
<各実施形態のプレス装置1に共通する構成の効果>
以上説明したプレス装置1に共通する構成によれば、以下の効果を奏する。プレス装置1の押圧装置2は、上金型4と下金型5が打ち抜き位置にあるとき、鋼板材10から離間するので、鋼板材10に歪みが無い状態でプレス鋼板7を打ち抜くことができる。さらに、押圧装置2は、上金型4が上死点にあるとき、鋼板材10の幅方向の中央部が上側に凸になるように、鋼板材10の幅方向の端部11を押圧する。よって、鋼板材10が搬送されるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0041】
上述したように、プレス装置1はリフト装置9を備える。鋼板材10が搬送装置6によって搬送されるとき、リフター13が鋼板材10を押し上げるので、リフト装置9の周辺においては、穴等が打ち抜かれた鋼板材10が下金型5に引っ掛かる可能性は少ない。しかしながら、最終プレス工程位置Pの周辺は、リフト装置9が無いため、特にブランク部8が大きい鋼板材10は剛性が低く、下側に撓む場合が多い。さらに、プレス鋼板7が電磁モータ用のステータの場合、
図4等に示すように串歯部7aが形成されるので、鋼板材10のブランク部8が引っ掛かる可能性が高くなる。これに対して、本発明のプレス装置1は、最終プレス工程位置Pの周辺において、鋼板材10における幅方向の中央部を上側凸にする構成を有するので、鋼板材10が搬送中にプレス鋼板7に引っ掛かることによる搬送不良を低減できる。
【0042】
<押圧装置2の概要構成>
次に、押圧装置2の概要構成を説明する。
図7、
図9、及び
図14に示すように、押圧装置2は、鋼板材10の幅方向の端部11に接触可能な接触部20を備える。接触部20は、上下方向において所定の接触長23を有する。接触部20は、接触長23の間において幅方向に直線状に傾斜する。一対の押圧装置2が幅方向において対向すると、一方の接触部20と他方の接触部20との間の幅方向の距離は、接触長23において、上下方向の上側の距離L1よりも下側の距離L2の方が長い。
【0043】
図7、
図9、及び
図14を参照して、詳細に説明する。接触部20は、幅方向において上側が幅方向の内側に倒れるように傾斜している。後述するように、
図7及び
図9に示す例では接触部20が円錐台状の押圧ローラ20aであり、上側の外径が下側の外径よりも大きく形成される。
図14に示す例では、接触部20が接触子20bであり、上側が内側へ倒れるように傾斜した面、又は線で形成される。
【0044】
次に、押圧装置2における接触部20によって、鋼板材10の幅方向の端部11を押圧する状態を説明する。
図7、
図9、及び
図14に示すように、上金型4が上死点にあるとき、鋼板材10の幅方向の端部11は、接触部20によって幅方向の内側方向、及び上下方向の下側方向に押圧される。鋼板材10は、下金型5に対して幅方向の中央部が離間するように上側に凸になる。接触部20のそれぞれが傾斜して形成されるため、鋼板材10の幅方向の端部11は、接触部20によって矢印Bの方向へ押圧される。
【0045】
次に、押圧装置2が配置される位置を説明する。
図4、
図8、及び
図11に示すように、押圧装置2は、上金型4及び下金型5における最終プレス工程位置Pに対して、搬送方向の上流側に一対の第一押圧装置21を備え、下流側に一対の第二押圧装置22を備える。第一押圧装置21と第二押圧装置22はそれぞれ対で構成され、
図4及び
図11に示すように幅方向において対向する位置にあるので、押圧装置2は計四箇所に備えられる。なお、上流側に二対の第一押圧装置21を備え、下流側に二対の第二押圧装置22を備えてもよい。
【0046】
<押圧装置2の概要構成の効果>
以上説明した押圧装置2の概要構成によれば、以下の効果を奏する。
図7、
図9、及び
図14に示すように、プレス装置1の押圧装置2は、接触部20が接触長23の間において幅方向に直線状に傾斜し、一方の接触部20と他方の接触部20との間の幅方向の距離は、上下方向の上側の距離L1よりも下側の距離L2の方が長い。鋼板材10は、接触部20の傾斜により幅方向の端部11において矢印Bの方向へ誘導されるので、押圧装置2によって幅方向の端部11が押圧されるとき、幅方向の端部11が上側にめくれ上がることが低減されて幅方向の中央部が上側に凸となる。よって、鋼板材10が搬送されるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0047】
また、
図4、
図8、及び
図11に示すように、押圧装置2は、最終プレス工程位置Pの上流側及び下流側に備えられるので、より確実に鋼板材10の幅方向の中央部を上側に凸にすることができる。よって、鋼板材10が搬送されるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0048】
<押圧装置の詳細な構成>
次に、押圧装置2の詳細な構成を説明する。
図5及び
図12に示すように、押圧装置2は、幅方向に移動可能な可動部26と、可動部26の移動を案内する案内部27と、可動部26を幅方向に押圧する弾性部材28と、弾性部材28を受ける受け部30と、可動部26を作動する作動カム部29を備える。可動部26と、案内部27と、弾性部材28と、受け部30は、下金型5に備えられる。作動カム部29は、上金型4に備えられる。可動部26は、幅方向に延びる板状の部材である可動プレート26a、26bが弾性部材28である圧縮コイルバネによって、常時幅方向の内側へ向かって押圧されている。弾性部材28である圧縮コイルバネの一方は、下金型5に固定される受け部30によって支持される。案内部27は、可動部26を挟むように幅方向に平行なレール状に形成される。案内部27は、ボルト27aによって下金型5に固定される。
図5等に示すように、鋼板材10の幅を幅10Wと記載する。
【0049】
図5(a)等に示すように可動部26は、一部が開口する作動カム穴26dと傾斜面である受動カム部26hが形成される。作動カム部29は、上金型4が下降すると下側先端である作動部29aが可動部26の受動カム部26hを押しながら作動カム穴26dに挿入される。作動カム部29の作動部29aは、上金型4が下降するとき、受動カム部26hの傾斜と相まって可動部26を幅方向の外側へ移動させるよう傾斜面が形成される。
図6(b)及び
図13(b)に示すように、上金型4と下金型5が上下方向において打ち抜き位置にあるとき、作動カム部29は、作動部29aが作動カム穴26dを抜けて基部29bが作動カム穴26dに嵌まる状態となり、可動部26の幅方向への移動が規制される。
【0050】
接触部20は、可動プレート26a、26bのうち幅方向の内側の端部に形成される。
図5(a)等に示すように、上金型4が上死点にあるとき、作動カム部29は可動部26から上下方向に離間し、可動部26が弾性部材28によって押圧されて、接触部20が鋼板材10の幅方向の端部11を押圧する。上金型4が下金型5に対して相対的に下降するとき、可動部26及び接触部20は、作動カム部29によって幅方向の外側へ移動する。上金型4と下金型5が打ち抜き位置にあるとき、接触部20は鋼板材10から離間した状態である。
【0051】
図5(a)、
図12(a)に示すように、上金型4が上死点にあるとき、押圧装置2が、鋼板材10を幅方向から押圧する。このとき、作動カム部29の作動部29a可動プレート26a、26bの受動カム部26hから離間し、弾性部材28が可動プレート26a、26bを幅方向の内側へ押圧する。可動プレート26a、26b先端の接触部20は、弾性部材28の弾性力によって鋼板材10の幅方向の端部11に押圧される。鋼板材10は、幅方向の中央部が上側に凸に変形される。
【0052】
<押圧装置の詳細な構成の効果>
以上説明したように、押圧装置2の詳細な構成により以下の効果を奏する。
図5、
図6、及び
図12、
図13に示すように、押圧装置2の接触部20は、上金型4が上下方向に移動することに伴って幅方向に移動する。よって、接触部20は移動のために駆動源を必要とせず、上金型4の上下方向への移動と連動して、鋼板材10の幅方向の端部11との接離を行うことができる。
【0053】
上金型4が下金型5に対して相対的に下降するとき、接触部20が幅方向の外側へ移動して鋼板材10の幅方向の端部11から離間するので、プレス装置1は、鋼板材10に歪みが無い状態でプレス鋼板7を打ち抜くことができる。このとき、可動部26は、作動カム部29の基部29bが作動カム穴26dに嵌まることによって移動が規制されるので、接触部20は鋼板材10の幅方向の端部11から離間した状態が維持される。また、上金型4が上死点にあるとき、押圧装置2が、鋼板材10を幅方向から押圧することができるので、幅方向の中央部を凸にできる。よって、鋼板材10が搬送されるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0054】
<案内部の構成と効果>
次に、鋼板材10の搬送を案内する案内部について説明する。
図1、
図2、
図4、
図8、及び
図11に示すように、プレス装置1は、第一押圧装置21に対して搬送方向の上流側に隣接し、鋼板材10の幅方向を案内する一対の第一案内部31と、第二押圧装置22に対して搬送方向の下流側に隣接し、鋼板材10の幅方向を案内する一対の第二案内部32を備える。
図1及び
図2に示すように、第一案内部31は、案内面31aと庇部31bが形成され、第二案内部32は、案内面32aと庇部32bが形成される。
【0055】
鋼板材10は、幅方向が案内面31aと案内面32aとによって案内される。
図1に示すように、上金型4と下金型5とが上下方向において打ち抜き位置に、或いは下死点にあるとき、鋼板材10は上下方向がストリッパ38によって下金型5へ押された状態である。
図2に示すように、上金型4が上死点にあるとき、鋼板材10はリフト装置9によって上側に押し上げられ、上面側が庇部31bと庇部32bとに接触して上下方向への移動が規制される。
【0056】
以上説明した案内部の構成によれば、以下の効果を奏する。プレス装置1は、二つの対の押圧装置2を挟む上流側と下流側にそれぞれ第一案内部31と第二案内部32が備えられるので、鋼板材10は幅方向及び上下方向への蛇行が低減される。さらに、二つの対の押圧装置2が、鋼板材10を幅方向から均等に押圧することができるので、幅方向の中央部をより確実に凸にできる。よって、鋼板材10が搬送されるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0057】
<第一実施形態のプレス装置1aの構成>
次に、
図3から
図7までを参照して、本発明の第一の態様に係る第一実施形態のプレス装置1aを説明する。後述するように、他の実施形態である第二実施形態のプレス装置1bとは、押圧装置2aの構成が異なる。第一実施形態のプレス装置1aにおける押圧装置2aは、第一押圧装置21aと第二押圧装置22aである。それぞれの接触部20は押圧ローラ20aである。
図7等に示すように、押圧ローラ20aは、円錐台状であって上側の外径よりも下側の外径が小さく形成され、外周面は幅方向において所定角度θ傾斜する。鋼板材10の幅方向の端部11は、押圧ローラ20aによって矢印Bの方向である幅方向、及び上下方向の下側に向かって押圧される。
【0058】
図7を参照して、押圧ローラ20aの構成を詳細に説明する。押圧ローラ20aは、可動プレート26aの幅方向の内側先端において、上下方向に取り付けられた軸26eの周りに回転可能に取り付けられる。可動プレート26aは、幅方向の内側先端部の上下に庇26gが形成され、押圧ローラ20aの上下方向への移動を規制する。押圧ローラ20aの上下方向の下端位置は、下金型上面15の高さと一致するよう形成される。そのため、下金型5の一部は、下側の庇26gを逃がすために、凹部16が形成される。凹部16は、ダイ41を避けた位置に形成される。このため、
図4に示すように、押圧装置2aの押圧ローラ20aの移動範囲は、下金型5のダイ41の範囲を避けた位置に配置される。なお、
図5及び
図6は、第一押圧装置21aについて記載しているが、第二押圧装置22aも同様の構成である。
【0059】
次に、
図8及び
図9を参照して、別の例である第一押圧装置21c及び第二押圧装置22cの構成を説明する。
図8に示すように、第一押圧装置21c及び第二押圧装置22cは、第一押圧装置21aと第二押圧装置22aに比べて、搬送方向における互いの間隔が短く形成される。
図9に示すように、押圧ローラ20aは第一押圧装置21a及び第二押圧装置22aと同様であるが、可動プレート26cの形状が異なる。庇26gは、上側のみに形成され、下側には無いので、押圧ローラ20aが下金型上面15に直接接触する。この構成により、下金型5には凹部16が無く、第一押圧装置21cと第二押圧装置22cとをダイ41に近接させることができる。
【0060】
<第一実施形態のプレス装置1aの効果>
以上説明したプレス装置1aの構成によれば、以下の効果を奏する。
図7等に示すように、プレス装置1aの接触部20は円錐台状の押圧ローラ20aである。押圧ローラ20aは、上側の外径よりも下側の外径が小さく形成され、外周面は幅方向において直線状に所定角度θ傾斜する。押圧ローラ20aは、所定角度θの傾斜により、鋼板材10の幅方向の端部11がめくれ上がることを防止し、幅方向の中央部が上側に凸となるように押圧できる。また、押圧ローラ20aの上側と下側に庇26gが形成されるので、接触長23の範囲で鋼板材10が上下方向に移動することを規制できる。よって、鋼板材10が搬送されるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。さらに、押圧ローラ20aは軸26eの周りに回転可能なので、鋼板材10の幅方向の端部11が接触しても磨耗による損傷を低減することができる。
【0061】
<第二実施形態のプレス装置1bの構成>
次に、
図10から
図14までを参照して、本発明の第一の態様に係る第二実施形態のプレス装置1bを説明する。
図14等に示すように、プレス装置1bの押圧装置2bにおける接触部20は、可動プレート26bの先端部に形成される接触子20bである。接触子20bは、接触長23において上下方向の下側から上側に向かうに従って、幅方向の内側へ倒れる方向に所定角度θ傾斜する。
図14に示すように、接触子20bによって鋼板材10の幅方向の端部11が押圧されるとき、鋼板材10の幅方向の端部11は、接触子20bによって矢印Bの方向である幅方向、及び上下方向の下側に向かって押圧される。
【0062】
図14に示すように、可動部26の可動プレート26bは、幅方向の内側先端部が接触子20bである。接触長23の下端は下金型上面15の高さ位置である。接触子20bは、上下方向の上側に庇26gが形成される。
図7に示す第一実施形態のプレス装置1aとは異なり、プレス装置1bは下金型上面15に凹部16を形成する必要が無い。よって、
図11に示すように、押圧装置2bは下金型5のダイ41の領域においても配置することができる。なお、接触子20bは鋼板材10の幅方向の端部11が摺動するので、磨耗が少ない超硬材を使用することが望ましい。なお、
図12及び
図13は、第一押圧装置21bについて記載しているが、第二押圧装置22bも同様の構成である。
【0063】
<第二実施形態のプレス装置1bの効果>
以上説明したプレス装置1bの構成によれば、以下の効果を奏する。
図14に示すように、プレス装置1bの押圧装置2bにおける接触子20bは、接触長23において上下方向の下側から上側に向かうに従って、幅方向の内側へ倒れる方向に所定角度θ傾斜する。接触子20bは、所定角度θ傾斜することによって鋼板材10の幅方向の端部11がめくれ上がることを防止し、幅方向の中央部が上側に凸となるように押圧できる。また、接触子20bの上側に庇26gが形成され、下側は下金型上面15の高さなので、接触長23の範囲で鋼板材10が上下方向に移動することを規制できる。さらに、押圧装置2bは、接触子20bの移動範囲が、下金型5のダイ41の領域にも配置できるので、最終プレス工程位置Pにより近い位置に配置可能である。よって、鋼板材10が搬送されるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0064】
<プレス鋼板製造方法の説明>
次に、本発明の第二の態様に係るプレス鋼板製造方法を説明する。プレス鋼板製造方法は、プレス装置1を使用し、一方向の搬送方向に間欠的に搬送される帯状の鋼板材10を、打ち抜き形成してプレス鋼板7を製造する製造方法である。プレス装置1は、すでに説明したように、以下の構成である。プレス装置1は、鋼板材10を所定の形状に打ち抜くために、鋼板材10の搬送方向と直交する上下方向において相対的に移動可能な上金型4及び下金型5と、鋼板材10を搬送するための搬送装置6を備える。さらに、搬送方向及び上下方向と直交する方向を幅方向とし、幅方向に対向して配置され、鋼板材10の幅方向の端部11にそれぞれ接離可能な押圧装置2を備える。
【0065】
プレス鋼板製造方法は、搬送装置6によって、鋼板材10の所定の位置を、最終プレス工程位置Pまで搬送する第一工程を備える。次に、
図5(b)及び
図12(b)に示すように、上金型4を下金型5に対して相対的に下降させ、押圧装置2を鋼板材10から離間させる第二工程を備える。次に、
図6(a)及び
図13(a)に示すように、さらに上金型4を下金型5に対して相対的に下降させ、押圧装置2が鋼板材10から離間した後に、
図6(b)及び
図13(b)に示すように、鋼板材10を打ち抜いてプレス鋼板7を製造する第三工程を備える。次に、
図5(a)及び
図12(a)に示すように、上金型4を下金型5に対して相対的に上昇させ、押圧装置2を鋼板材10の幅方向の端部11に押圧させ、鋼板材10の幅方向における中央部が上側に凸になるようにする第四工程を備える。プレス鋼板製造方法は、第一工程から第四工程までを繰り返して行い、連続的にプレス鋼板7を製造する方法である。
【0066】
次に、
図4から
図6までを参照して、プレス装置1aを例に、プレス鋼板製造方法の工程を詳細に説明する。なお、
図11から
図13までに示すプレス装置1bは、同様の工程なので説明は省略する。
図4に示すように、第一工程は、鋼板材10において最終プレス工程の前工程までの打ち抜きを完了した部分を、最終プレス工程位置Pまで搬送する工程である。
【0067】
図5(a)は、第一工程において鋼板材10が搬送されるときの状態を示す。上金型4は上死点にあり、作動カム部29は受動カム部26hに対して上昇した状態である。このとき、後述する第四工程によって、可動部26は圧縮コイルバネである弾性部材28によって幅方向の内側に押圧されている。鋼板材10は、幅方向の中央部が上側に凸となった状態で搬送される。
【0068】
図5(b)は、第二工程において上金型4が下金型5に対して下降する途中段階を示す。作動カム部29が下降し、作動部29aによって受動カム部26hが作用され、可動部26が幅方向の外側に移動する。このとき、押圧ローラ20aが鋼板材10の幅方向の端部11から離間し始める。このタイミングに合わせてリフト装置9のリフター13がリフター弾性部材12の作用によって上昇し、鋼板材10を上側へ押し上げる。
【0069】
図6(a)は、
図5(b)の状態からさらに上金型4が下金型5に対して下降し、押圧ローラ20aが鋼板材10の幅方向の端部11から離間した状態を示す。このとき、鋼板材10は、リフト装置9のリフター13によって上昇されるが、可動部26の庇26gによって上昇位置が規制される。
【0070】
図6(b)は、第三工程の状態を示し、最終プレス工程位置Pにおいて、パンチ37がダイ41に挿入されてプレス鋼板7の外形を打ち抜く状態を示す。作動カム部29は、基部29bが可動部26の作動カム穴26dに嵌まり、可動部26が幅方向へ移動することを規制する。このとき、押圧ローラ20aが鋼板材10の幅方向の端部11から離間した状態が維持される。最終プレス工程位置Pの周辺は鋼板材10が下金型上面15に沿う状態となり、パンチ37とダイ41とによって、鋼板材10に歪みの無い状態でプレス鋼板7が打ち抜かれる。打ち抜かれたプレス鋼板7は、パンチ37の下降に伴って下金型上面15よりも下側に押下され、上下方向においてプレス鋼板7の上面が、下金型上面15と同一高さとなるか、或いは低くなる。最終プレス工程は、プレス鋼板7の外形を打ち抜く工程である。なお、
図1に示すように、プレス鋼板7の上下方向の下側は、ダイ41の内周面とスクイズリング45によって支持される。
【0071】
第三工程が終了すると、上金型4を上死点まで上昇させる。上金型4が上昇するのに伴って、上述した
図6(b)の状態から
図5(b)の状態に移行し、
図5(a)の状態となる。この工程が第四工程である。第四工程によって、可動部26は圧縮コイルバネである弾性部材28によって幅方向の内側に押圧される。すなわち、弾性部材28の弾性力によって接触部20である押圧ローラ20aが鋼板材10の幅方向の端部11に押圧される。
図7を参照して説明したように、接触部20の傾斜によって鋼板材10の幅方向の端部11はめくれ上がること無く押圧されるので、幅方向の中央部が上側に凸となる。第一工程は、第四工程によって鋼板材10の幅方向における中央部が凸になった状態で行われる。すなわち、第四工程が行われた状態で、鋼板材10を搬送する第一工程に移る。以上説明した第一工程から第四工程までが繰り返し行われる。
【0072】
<プレス鋼板製造方法の効果>
以上説明したプレス鋼板製造方法によれば、以下の効果を奏する。
図6等に示すように、プレス鋼板製造方法の第二工程は、上金型4を下金型5に対して相対的に下降させることによって、接触部20を鋼板材10から離間させる。よって、プレス鋼板製造方法は、鋼板材10に歪みが無い状態でプレス鋼板7を打ち抜くことができる。
【0073】
また、
図5等に示すように、第四工程は、上金型4を下金型5に対して相対的に上昇させて上死点に位置させることにより、接触部20が、上金型4と連動して鋼板材10の幅方向の端部11を押圧することができる。鋼板材10の幅方向の中央部は、接触部20の押圧により、上側に凸になる。よって、プレス鋼板製造方法は、鋼板材10を搬送させるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【0074】
<プレス鋼板製造方法の詳細な説明と効果>
さらに、第二工程と第四工程を詳細に説明する。プレス鋼板製造方法に使用する押圧装置2は以下の構成でもよい。すなわち、
図5等に示すように、押圧装置2は、幅方向に移動可能な可動部26と、可動部26の移動を案内する案内部27と、可動部26を幅方向に押圧する弾性部材28と、弾性部材28を受ける受け部30と、可動部26を作動する作動カム部29と、鋼板材10の幅方向の端部11に接触可能な接触部20を備える。
【0075】
図5等に示すように、可動部26と、案内部27と、弾性部材28、及び受け部30は下金型5に備えられ、作動カム部29は、上金型4に備えられる。
図5(b)及び
図12(b)に示すように、第二工程は、上金型4を下金型5に対して相対的に下降させることによって、作動カム部29が可動部26を作動し、接触部20を鋼板材10から離間させる工程を含む。また、
図5(a)及び
図12(a)に示すように、第四工程は、上金型4を下金型5に対して相対的に上昇させることによって、作動カム部29が上昇し、可動部26は、弾性部材28に押圧されて移動し、接触部20が、鋼板材10の幅方向の端部11を押圧する工程を含む。
【0076】
以上説明したように第二工程と第四工程によれば、以下の効果を奏する。
図6等に示すように、第二工程は、上金型4を下金型5に対して相対的に下降させることによって、作動カム部29が可動部26を作動して接触部20を鋼板材10から離間させる。よって、第二工程は、上金型4と連動して、接触部20が鋼板材10の幅方向の端部11との接離を行うことができる。
【0077】
また、
図5等に示すように、第四工程は、上金型4を下金型5に対して相対的に上昇させることによって、作動カム部29が可動部26から離間し、接触部20が、鋼板材10の幅方向の端部11を押圧する。上金型4が上昇する動作に連動して、接触部20が鋼板材10を幅方向から押圧することができるので、幅方向の中央部をより確実に凸にできる。よって、鋼板材10が搬送されるとき、ブランク部8が、打ち抜かれたプレス鋼板7に引っかかることによる搬送不良を低減できる。
【符号の説明】
【0078】
1、1a、1b プレス装置
2、2a、2b 押圧装置
4、4a、4b 上金型
5、5a、5b 下金型
6 搬送装置
7 プレス鋼板
10 鋼板材
11 端部
20 接触部
20a 押圧ローラ
20b 接触子
21、21a、21b 第一押圧装置
22、22a、22b 第二押圧装置
23 接触長
26 可動部
27 案内部
28 弾性部材
29 作動カム部
31 第一案内部
32 第二案内部
37 パンチ
41 ダイ
L1、L2 距離
P 最終プレス工程位置
θ 所定角度
【要約】
【課題】プレス鋼板を打ち抜き後に搬送される鋼板材のブランク部が、打ち抜かれたプレス鋼板に引っかかることを低減するプレス装置、及びプレス鋼板製造方法を提供する。
【解決手段】プレス装置1は、一方向の搬送方向に間欠的に搬送される帯状の鋼板材10が、所定の形状に打ち抜かれてプレス鋼板7を形成する。プレス装置1は、鋼板材10を所定の形状に打ち抜くために、上金型及び下金型5と、鋼板材10を搬送するための搬送装置6を備える。幅方向に対向して対で配置され、鋼板材10の幅方向の端部11にそれぞれ接離可能な押圧装置2を備える。押圧装置2は、上金型と下金型5が打ち抜き位置にあるとき、鋼板材10から離間し、上金型が上死点にあるとき、鋼板材10の幅方向の中央部が上側に凸になるように、鋼板材10の幅方向の端部11を押圧する。
【選択図】
図4