(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】乾燥装置、乾燥方法及び凍結乾燥物の製造方法
(51)【国際特許分類】
F26B 3/347 20060101AFI20231016BHJP
F26B 5/04 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
F26B3/347
F26B5/04
(21)【出願番号】P 2022164408
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2022140329の分割
【原出願日】2022-09-02
【審査請求日】2022-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508067736
【氏名又は名称】マイクロ波化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】尾池 智幸
(72)【発明者】
【氏名】村田 孝信
(72)【発明者】
【氏名】木谷 径治
(72)【発明者】
【氏名】金城 隆平
(72)【発明者】
【氏名】菅野 雅皓
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0389050(US,A1)
【文献】特開2001-304769(JP,A)
【文献】特開2008-066292(JP,A)
【文献】国際公開第2009/050893(WO,A1)
【文献】特開2021-060153(JP,A)
【文献】特開2014-119140(JP,A)
【文献】実公昭39-005966(JP,Y1)
【文献】特開2017-204439(JP,A)
【文献】特開2013-221667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0200475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 3/347
F26B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結された複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって乾燥させるための乾燥装置であって、
マイクロ波を発生させる1または2以上のマイクロ波発生器と、
前記1または2以上のマイクロ波発生器によって発生された2以上のマイクロ波が内部に導入されるチャンバと、
前記2以上のマイクロ波
の周波数を繰り返し変化させ、かつ、前記2以上のマイクロ波の位相差を繰り返し変化させる制御部と
を備える。
【請求項2】
請求項1記載の乾燥装置であって、
前記チャンバ内に設けられ、前記複数の乾燥対象物を近傍に配置可能な第1の温調部をさらに備える。
【請求項3】
請求項2記載の乾燥装置であって、
前記複数の乾燥対象物の乾燥時に、前記温調部の温度を前記複数の乾燥対象物のうちの少なくともいずれかより低い温度に調整する温度調整部をさらに備える。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか記載の乾燥装置であって、
前記チャンバの内部に接続され、前記複数の乾燥対象物から発生した水蒸気を凝結させて除去するためのコールドトラップと、
前記コールドトラップを介して前記チャンバの内部を減圧する真空ポンプと
をさらに備える。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか記載の乾燥装置であって、
前記複数の乾燥対象物は、食品または薬品である。
【請求項6】
凍結された複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって乾燥させるための乾燥方法であって、
減圧下のチャンバ内に存在する前記複数の乾燥対象物に2以上のマイクロ波を照射する工程と、
前記2以上のマイクロ波
の周波数を繰り返し変化させ、かつ、前記2以上のマイクロ波の位相差を繰り返し変化させる工程と
を含む。
【請求項7】
請求項6に記載の乾燥方法であって、
前記2以上のマイクロ波を照射する前に、前記チャンバが備える第1の温調部の近傍に前記複数の乾燥対象物を配置する工程をさらに含む。
【請求項8】
請求項6または7に記載の乾燥方法であって、
前記2以上のマイクロ波の照射の開始から所定時間の経過までは第1のパターンで前記周波数または前記周波数及び前記位相差を周期的に変化させ、それ以降は前記第1のパターンと異なる第2のパターンで前記周波数または前記周波数及び前記位相差を周期的に変化させる。
【請求項9】
凍結された複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって乾燥させて凍結乾燥物を製造する凍結乾燥物の製造方法であって、
減圧下のチャンバ内に存在する前記複数の乾燥対象物に対して2以上のマイクロ波を照射中に前記2以上のマイクロ波
の周波数を繰り返し変化させ、かつ、前記2以上のマイクロ波の位相差を繰り返し変化させて前記複数の乾燥対象物を乾燥させる工程を含む。
【請求項10】
請求項9に記載の凍結乾燥物の製造方法であって、
前記2以上のマイクロ波を照射する前に、前記チャンバが備える第1の温調部の近傍に前記複数の乾燥対象物を配置する工程をさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結された乾燥対象物をマイクロ波の照射によって乾燥させるための乾燥装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棚式の凍結乾燥では、凍結された乾燥対象物を乾燥棚に載置し、減圧して氷を昇華させると共に、その昇華によって奪われる熱を乾燥棚からの伝熱によって供給することによって乾燥対象物を乾燥させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
凍結乾燥は減圧下で行われるため、乾燥室内の空間では熱が伝わらない。そのため、従来の乾燥方法では乾燥対象物を乾燥棚に接触させ、乾燥棚からの伝熱によって乾燥を進行させていた。しかしながら、乾燥棚からの伝熱では、乾燥棚と接触しない乾燥対象物の内部まで乾燥させるには多くの時間がかかっていた。また、乾燥が進むと、氷が昇華して乾燥対象物内に空洞となる部分ができ、空洞は熱が伝わらないため、乾燥がさらに進行しにくいという問題があった。
【0004】
一方、乾燥処理においてマイクロ波を用いることによって、乾燥対象物内の氷を選択的に加熱することができ、乾燥時間を短縮可能と考えられるものの、複数の乾燥対象物を均一に乾燥させることが困難であり、商業的に用いるには品質が不十分であった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、凍結された減圧下の複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって均一に乾燥させることができる乾燥装置、乾燥方法及び凍結乾燥物の製造方法を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による乾燥装置は、凍結された複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって乾燥させるための乾燥装置であって、マイクロ波を発生させる1または2以上のマイクロ波発生器と、1または2以上のマイクロ波発生器によって発生された1または2以上のマイクロ波が内部に導入されるチャンバと、1または2以上のマイクロ波の少なくともいずれかの周波数を繰り返し変化させる制御部と、を備える、ものである。
【0007】
また、本発明の一態様による乾燥装置では、チャンバ内に配置された1または2以上の温調部をさらに備え、複数の乾燥対象物は、1または2以上の温調部の近傍に配置されてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様による乾燥装置では、複数の乾燥対象物の乾燥時に、温調部の温度を複数の乾燥対象物のうちの少なくともいずれかより高い温度に調整する温度調整部をさらに備えてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様による乾燥装置では、複数の乾燥対象物の乾燥時に、温調部の温度を複数の乾燥対象物のうちの少なくともいずれかより低い温度に調整する温度調整部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様による乾燥装置では、制御部は、1または2以上のマイクロ波の少なくともいずれかの周波数を周期的に変化させてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様による乾燥装置では、チャンバには2以上のマイクロ波が内部に導入され、制御部は、2以上のマイクロ波の位相差を繰り返し変化させてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様による乾燥装置では、チャンバの内部に接続され、複数の乾燥対象物から発生した水蒸気を凝結させて除去するためのコールドトラップと、コールドトラップを介してチャンバの内部を減圧する真空ポンプとをさらに備えてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様による乾燥装置では、複数の乾燥対象物は、食品または薬品であってもよい。
【0014】
また、本発明の一態様による乾燥方法は、凍結された複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって乾燥させるための乾燥方法であって、減圧下のチャンバ内に存在する複数の乾燥対象物に1または2以上のマイクロ波を照射する工程と、1または2以上のマイクロ波の少なくともいずれかの周波数を繰り返し変化させる工程とを含む、ものである。
【0015】
また、本発明の一態様による凍結乾燥物の製造方法は、凍結された複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって乾燥させて凍結乾燥物を製造する凍結乾燥物の製造方法であって、減圧下のチャンバ内に存在する複数の乾燥対象物に対して1または2以上のマイクロ波を照射中に1または2以上のマイクロ波の少なくともいずれかの周波数を繰り返し変化させて複数の乾燥対象物を乾燥させる工程を含む、ものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、凍結された減圧下の複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって乾燥させる際に、マイクロ波の周波数を照射中に繰り返し変化させることによって、複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって均一に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による乾燥装置の構成を示す模式図
【
図2】同実施形態による乾燥装置の外観を示す斜視図
【
図3】同実施形態による温調棚に載置された複数の乾燥対象を示す平面図
【
図4】同実施形態による周波数、位相差、電力の変化の一例を示す図
【
図5】同実施形態によるシミュレーション結果を示す図
【
図6】同実施形態によるシミュレーション結果を示す図
【
図7】同実施形態によるシミュレーション結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による乾燥装置、乾燥方法及び凍結乾燥物の製造方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による乾燥装置は、凍結された減圧下の複数の乾燥対象物にマイクロ波を照射して乾燥させる際に、少なくともマイクロ波の周波数を繰り返し変化させることによって、複数の乾燥対象物を時間平均で均一に乾燥させるものである。ここで、「周波数を繰り返し変化させる」ことは、以下で例示するように「周波数を周期的に変化させる」ことを含むが、これに限られない。また、本明細書において「周波数を周期的に変化させる」とは、一定時間ごとに周波数を同様に変化させることをいい、一定時間が必ずしも厳格に同一であることは要さず、また、一定時間ごとの周波数の変化が必ずしも厳格に同一であることは要さない。位相差を繰り返し変化させる場合についても同様である。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による乾燥装置1のチャンバ13の内部構造を示す模式図であり、
図2は、乾燥装置1の外観を示す斜視図である。
図1の例において、乾燥装置1は、マイクロ波を発生させる1または2以上のマイクロ波発生器11と、マイクロ波発生器11で発生されたマイクロ波が内部に導入されるチャンバ13と、マイクロ波発生器11を制御する制御部14とを備える。マイクロ波発生器11は、マイクロ波の伝送手段12を介してチャンバ13に接続されている。また、チャンバ13の内部を減圧する真空ポンプ16が、乾燥処理時に乾燥対象物5から発生した水蒸気を凝結させて除去するためのコールドトラップ15を介してチャンバ13に接続されている。乾燥装置1は、必要に応じて、チャンバ13内に配置された1または2以上の温調棚17をさらに備えてもよく、温調棚17の温度を調整する温度調整部18をさらに備えてもよい。なお、
図2では、制御部14、コールドトラップ15、真空ポンプ16、及び温度調整部18は省略している。
【0020】
本実施形態による乾燥装置1では、凍結された乾燥対象物5を乾燥させる処理が少なくとも行われるが、その前段の凍結の処理、すなわち凍結乾燥における対象物の予備凍結の処理も行われてもよい。したがって、乾燥装置1のチャンバ13内に存在する凍結された乾燥対象物5は、例えば、チャンバ13内で凍結されたものであってもよく、または、他の装置で凍結され、チャンバ13内に入れられたものであってもよい。本実施形態では、前者の場合について主に説明する。
【0021】
マイクロ波発生器11は、例えば、半導体素子を用いてマイクロ波を発生させてもよい。半導体素子を用いてマイクロ波を発生させるとは、一例として、半導体素子を用いてマイクロ波を発振させることであってもよく、半導体素子を用いてマイクロ波を増幅することであってもよい。マイクロ波の周波数の帯域は、例えば、915MHz、2.45GHz、5.8GHzの付近であってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数帯域であってもよい。また、マイクロ波発生器11は、発生させるマイクロ波の周波数を変化させることができるものとする。一例として、マイクロ波発生器11は、13.553MHzから13.567MHzの範囲内、26.957MHzから27.283MHzの範囲内、40.66MHzから40.70MHzの範囲内、902MHzから928MHzの範囲内、2.40GHzから2.50GHzの範囲内、5.725GHzから5.875GHzの範囲内、24.00GHzから24.25GHzの範囲内で周波数を変化させることができてもよい。また、複数のマイクロ波発生器11で発生された複数のマイクロ波、または一つのマイクロ波発生器11で発生されたマイクロ波を分岐した複数のマイクロ波の位相差を変更できてもよい。この位相差は、例えば、伝送手段12からチャンバ13内へのマイクロ波の導入位置における位相差であってもよい。複数のマイクロ波の位相差の変更は、例えば、複数のマイクロ波の少なくとも1つのマイクロ波の位相を移相器によって移相することによって行われてもよい。また、複数のマイクロ波発生器11によってマイクロ波を発生させる場合には、複数のマイクロ波の位相差の変更は、例えば、少なくとも1つのマイクロ波発生器11の発生タイミングを変化させることによって行われてもよい。このように、マイクロ波発生器11は、必要に応じて、マイクロ波を分岐する分岐手段を有していてもよく、移相器を有していてもよく、マイクロ波の発生タイミングを変更可能なものであってもよい。
【0022】
乾燥装置1が有するマイクロ波発生器11の個数は、
図1、
図2で示されるように2個であってもよく、3個以上であってもよく、または1個であってもよい。乾燥装置1が2個以上のマイクロ波発生器11を有する場合には、各マイクロ波発生器11は、例えば、異なる周波数のマイクロ波を発生させてもよく、同じ周波数のマイクロ波を発生させてもよい。
【0023】
伝送手段12によって、マイクロ波発生器11によって発生されたマイクロ波が、チャンバ13の内部に導入される。伝送手段12は、例えば、
図1、
図2で示されるように導波管であってもよく、同軸ケーブルであってもよい。伝送手段12が導波管である場合には、伝送手段12のチャンバ13側の端部または他の箇所に、マイクロ波発生器11の側からチャンバ13内への空気の流入を阻止するマイクロ波透過性の気密窓が設けられてもよい。この気密窓は、例えば、マイクロ波透過性材料によって構成されてもよい。マイクロ波透過性材料は特に限定されないが、例えば、石英、ガラス、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、セラミックなどであってもよい。伝送手段12が同軸ケーブルである場合には、伝送手段12のチャンバ13側の端部にアンテナが接続されており、そのアンテナからチャンバ13にマイクロ波が放射されてもよい。
【0024】
チャンバ13の内部空間には、複数の乾燥対象物5が存在する。乾燥対象物5は、一例として、チャンバ13内に入れられた対象物がチャンバ13内で凍結された乾燥対象物であってもよく、他の装置で凍結されてチャンバ13内に入れられた乾燥対象物であってもよい。チャンバ13内に存在する複数の乾燥対象物5は、一例として、
図1で示されるように1または2以上の温調棚17に載置されていてもよく、または、その他の状態でチャンバ13内に存在していてもよい。後者の場合には、例えば、複数の乾燥対象物5がチャンバ13の内壁面に直接、載置されていてもよく、マイクロ波透過性の容器に入れられていてもよい。より一般に、棚に限らず、温度調節が可能な温調部を用いてもよい。
【0025】
乾燥対象物5は、凍結乾燥における乾燥の対象となる物であれば特に限定されないが、例えば、食品または薬品であってもよく、他の乾燥対象物であってもよい。乾燥対象物5は、凍結されたものである。食品は、例えば、スープなどの液状のものであってもよく、野菜、果物、肉、魚介類などの固体であってもよい。液状のものが凍結された乾燥対象物5は、例えば、マイクロ波透過性の容器に入っていてもよい。その容器の材料は、例えば、マイクロ波透過性の樹脂であってもよい。医薬品である乾燥対象物5は、例えば、バイアルなどのマイクロ波透過性の容器に入っていてもよい。また、乾燥対象物5は、ナノチューブまたはナノ粒子を含有する有機材料または無機材料であってもよい。
【0026】
チャンバ13の内部空間には、マイクロ波発生器11によって発生されたマイクロ波が、伝送手段12を介して導入されるため、チャンバ13の内部空間の形状は、マイクロ波の一部の箇所への集中を低減できる形状、例えば、できるだけ角を有さない形状が好適である。その観点から、チャンバ13の内部空間は、例えば、円柱形状の空間であってもよく、角の丸まっている直方体形状の空間であってもよい。本実施形態では、一例として、
図2で示されるように、チャンバ13が、円柱形状の内部空間を有しており、軸方向の一端が開口している本体部21と、本体部21の開口部を開閉可能に塞ぐことができる扉部22とを備えてもよい。軸方向とは、チャンバ13の内部空間である円柱形状の中心軸の方向のことである。本体部21は、円筒形状の側面21aと、側面21aの軸方向の一端側を塞ぐ円盤形状の底面21bとを含む。この場合には、例えば、底面21b側から軸方向に沿ってマイクロ波が導入されてもよい。また、側面21a側からマイクロ波が導入されてもよい。チャンバ13の内部空間では、通常、マイクロ波がマルチモードで複数の乾燥対象物5に照射される。なお、チャンバ13の形状及び大きさは、従来の凍結乾燥で用いられるチャンバと同様の形状及び大きさであってもよい。また、チャンバ13内での乾燥処理は、通常、バッチ式で行われる。
【0027】
チャンバ13は、内部空間からマイクロ波が漏洩しないようにするため、マイクロ波を通過しない壁を有していることが好適である。したがって、チャンバ13の壁は、マイクロ波反射性の材料によって構成されてもよい。マイクロ波反射性の材料は、例えば、金属であってもよい。金属は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などであってもよい。
【0028】
制御部14は、マイクロ波発生器11を制御することによって、減圧下のチャンバ13内に存在する複数の乾燥対象物5に時間平均で均等にマイクロ波が照射されるようにマイクロ波の周波数を繰り返し変化させることができる。制御部14は、例えば、2以上のマイクロ波の位相差をさらに繰り返し変化させてもよく、各マイクロ波の電力、すなわちパワーも変化させてもよい。本実施形態では、周波数及び位相差をともに周期的に変化させ、制御部14がマイクロ波の周波数を変化させる周期と、位相差を変化させる周期とが同じである場合について主に説明するが、両周期は異なっていてもよい。また、制御部14は、マイクロ波の位相差を変化させずに、周波数のみを変化させてもよい。この場合、マイクロ波発生器11は単一のマイクロ発生器で足り、コスト低減の利点がある。マイクロ波の周波数及び位相差の変化の詳細については後述する。また、制御部14は、マイクロ波発生器11、真空ポンプ16、及び温度調整部18の動作タイミングを制御してもよい。制御部14は、例えば、乾燥処理の開始時点において、圧力センサによって測定されたチャンバ13内の圧力が所定の値未満となった際に、マイクロ波発生器11によるマイクロ波の発生、及び温度調整部18による温調棚17の温度の調整を開始させてもよい。
【0029】
コールドトラップ15は、チャンバ13の内部に接続され、減圧下での乾燥対象物5の乾燥時に、乾燥対象物5から発生した水蒸気を凝結させて除去する。真空ポンプ16は、乾燥対象物5の乾燥時に、コールドトラップ15を介してチャンバ13の内部を減圧する。
【0030】
温調棚17は、チャンバ13内に配置され、複数の乾燥対象物5が載置される。チャンバ13内に複数の温調棚17が存在する場合には、一例として、上下方向に複数の温調棚17が配列されてもよい。温調棚17の温度が温度調整部18によって調整される場合には、温調棚17は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの熱伝導率の高い金属によって構成されてもよい。
図3は、複数の乾燥対象物5の載置された温調棚17の一例を示す平面図である。
図3で示されるように、例えば、9個の乾燥対象物5-1~5-9が、温調棚17の上面に、3×3のマトリクス状に並べて配置されてもよい。
【0031】
温度調整部18が温調棚17の温度を調整する方法は限定されないが、例えば、温度調整部18が目的とする温度の熱媒体を温調棚17の内部に循環させることによって、温調棚17の温度調整が行われてもよい。温度調整部18は、乾燥対象物5の乾燥時に、例えば、温調棚17の温度を乾燥対象物5より高い温度に調整してもよい。乾燥対象物5の乾燥時における温調棚17の温度は、例えば、従来の凍結乾燥と同じ温度であってもよく、それよりも低い温度であってもよい。一方、温度調整部18は、乾燥対象物5の乾燥時に、例えば、温調棚17の温度を乾燥対象物5より低い温度に調整してもよい。温度調整部18が温調棚17の温度を乾燥対象物5より高い温度に調整するのか、低い温度に調整するのかについては、例えば、測定された乾燥対象物5の温度に基づいて決定されてもよく、あらかじめ行われたシミュレーションまたは実験の結果に応じて決定されてもよい。なお、温調棚17の温度を乾燥対象物5より高い温度または低い温度に調整するとは、例えば、温調棚17の温度を複数の乾燥対象物5のうちの少なくともいずれかより高い温度または低い温度に調整することであってもよい。また、温度調整部18は、例えば、乾燥の前段の予備凍結時に、温調棚17を、対象物を凍結させるための温度に調整してもよい。
【0032】
コールドトラップ15、真空ポンプ16、温調棚17、及び温度調整部18は、従来の凍結乾燥と同様のものであってもよい。なお、マイクロ波照射による乾燥時には、従来の凍結乾燥よりも多くの蒸気が発生する。したがって、より短時間で乾燥処理を完了させるために、より高性能のコールドトラップ15及び真空ポンプ16を使用してもよい。
【0033】
次に、マイクロ波の周波数及び位相差の制御について説明する。制御部14は、例えば、
図4(a)、
図4(b)で示されるように、周波数及び位相差を制御してもよい。
図4(a)、
図4(b)では、周期T1ごとに周波数及び位相差が同様に変化している。一例として、
図3の9個の乾燥対象物5-1~5-9のうち、乾燥対象物5-1~5-3には、周期T1の初めの1/3の期間にマイクロ波が集中して照射され、乾燥対象物5~4-5-6には、周期T1の真ん中の1/3の期間にマイクロ波が集中して照射され、乾燥対象物5-7~5-9には、周期T1の終わりの1/3の期間にマイクロ波が集中して照射されてもよい。このように、周期T1ごとに、乾燥対象物5-1~5-9のそれぞれにマイクロ波が時間平均で均等に照射されることによって、複数の乾燥対象物5-1~5-9を均一に乾燥させることができるようになる。
【0034】
図4(a)、
図4(b)では、一例として、1つの周期において3段階に周波数及び位相差が変化される場合について示しているが、1つの周期において周波数及び位相差は2段階に変化されてもよく、4段階以上に変化されてもよい。また、
図4(a)、
図4(b)では、一例として、周波数及び位相差の変化の各段階の時間が均等である場合について示しているが、各段階の時間は均等でなくてもよい。周期T1の時間の長さは特に限定されないが、例えば、1秒から1分の範囲の時間であってもよく、その他の時間であってもよい。周期T1は、複数の乾燥対象物5の温度のばらつきが大きくならない程度に短いことが好適である。また、周期T1ごとの周波数及び位相差の変化のパターンは、乾燥対象物5の種類ごとに変更されてもよい。
【0035】
なお、周期T1における周波数及び位相差の変化は、例えば、シミュレーションまたは実験に基づいて、複数の乾燥対象物5のそれぞれに均等にマイクロ波が照射されるように決められてもよい。シミュレーションを行う場合には、複数の乾燥対象物5の間でマイクロ波の吸収の程度が均等になるように周波数または周波数及び位相差の変化が決定されてもよい。また、実験を行う場合には、各乾燥対象物5の乾燥の程度が均等になるように周波数または周波数及び位相差の変化が決定されてもよい。複数の乾燥対象物5に「時間平均で均等にマイクロ波が照射される」とは、周波数及び位相差を変化させないときと比較して、複数の乾燥対象物5の間でマイクロ波の吸収のばらつきが小さいことをいう。吸収のばらつきは、実験的には、複数の乾燥対象物5の間の重量変化のばらつきによって評価することが可能である。
【0036】
また、乾燥対象物5の乾燥の進行に応じて、乾燥対象物5の内部に含まれる水分量が変化し、チャンバ13内のマイクロ波の電磁界分布も変化することになる。したがって、乾燥対象物5の乾燥の程度に応じて、周波数または周波数及び位相差の変化のパターンを変化させてもよい。例えば、乾燥処理の開始から所定時間の経過までは第1のパターンで周波数または周波数及び位相差を周期的に変化させ、それ以降は第2のパターンで周波数または周波数及び位相差を周期的に変化させてもよい。
【0037】
制御部14は、
図4(c)で示されるように、時間の経過に応じてマイクロ波発生器11で発生されるマイクロ波の電力(パワー)が大きくなるように制御してもよい。乾燥処理の初期段階において大きな電力のマイクロ波を乾燥対象物5に照射すると、乾燥対象物5の温度が急激に上昇し、氷が融解し、品質に影響を及ぼす可能性がある。したがって、氷が融解しないように、マイクロ波の電力を徐々に上げることが好適である。なお、
図4(c)では、一例として、周期T1ごとにマイクロ波の電力を上昇させる場合について示しているが、そうでなくてもよい。他の期間ごとにマイクロ波の電力を上昇させてもよい。制御部14は、例えば、チャンバ13の内部で測定された温度に基づいてマイクロ波発生器11を制御してもよい。一例として、温調棚17の温度が測定されてもよく、乾燥対象物5の温度が測定されてもよい。チャンバ13内の温度は、例えば、赤外線光ファイバー方式の温度計などを用いて測定されてもよい。なお、乾燥対象物5の温度を測定する際には、複数の乾燥対象物5のうち、特定の乾燥対象物5に温度計を挿入して温度を測定してもよい。減圧下で乾燥対象物5を乾燥させる際には、制御部14は、乾燥対象物5の温度が所定の温度を超えないようにマイクロ波発生器11で発生されるマイクロ波の電力を制御してもよい。このような制御の結果として、
図4(c)で示されるように、マイクロ波の電力が徐々に大きくなるように制御されてもよい。
【0038】
次に、本発明の一実施形態による乾燥装置1のシミュレーション結果について説明する。本シミュレーションでは、電磁場解析ソフトウェア(Ansys HFSS ver.19.2)を用いて、
図2で示されるように、内径が700(mm)、内部空間の長さが1000(mm)であるステンレス製の円筒形状のチャンバ13の軸方向の一端における2箇所からチャンバ13内にマイクロ波を導入する乾燥装置1において、チャンバ13内に配置された各乾燥対象物5のマイクロ波吸収量(W/m
3)を算出した。凍結された乾燥対象物5としては、上半分の乾燥が進行したものをモデルとして用いた。具体的には、乾燥対象物5の上半分の複素誘電率の実部及び虚部を、下半分の複素誘電率の実部及び虚部より小さい値に設定した。本シミュレーションでは、0度の位相差において、周波数を2.41GHzから2.49GHzまで0.02GHzずつ変化させて乾燥対象物5のマイクロ波吸収量を算出し、2.45GHzの周波数において、位相差を-170度から180度まで10度ずつ変化させて乾燥対象物5のマイクロ波吸収量を算出した。そして、算出結果から、マイクロ波の吸収量が複数の乾燥対象物5について均等になる3個の算出結果を選択した。
図5~
図7は、本シミュレーションにおける選択結果を示す図である。
図5、
図7では、周波数のみを変更しており、
図6では、周波数及び位相差を変更している。また、
図5、
図6では、
図3で示されるように、1つの温調棚17に9個の乾燥対象物5を3×3のマトリクス状に載置し、
図7では、上下に並んだ3つの温調棚17にそれぞれ3個の乾燥対象物5を載置した。本シミュレーションでは、温調棚17は、アルミニウム製の板状の部材として、温調棚17の温度は調整しなかった。また、乾燥対象物5が載置されている最上段の温調棚17の上方に、乾燥対象物5の載置されていない棚を配置した。
図5~
図7では、図中の左側に伝送手段12である導波管が存在している。なお、
図5~
図7において、マイクロ波の吸収量のより多いところがより白く表示されるようになっている。また、
図5~
図7において、マイクロ波の吸収量の多い乾燥対象物5を破線の太線で囲っている。なお、9個の乾燥対象物5の複素誘電率を同じ値に定めれば、値が異なっても同様のシミュレーション結果が得られた。
【0039】
図5で示されるように、マイクロ波の位相差を変化させることなく、マイクロ波の周波数を変化させることによって、マイクロ波の吸収量の多い乾燥対象物5が変わることが分かる。したがって、例えば、マイクロ波の周波数を、2.41GHz、2.45GHz、2.43GHzの順に周期的に変化させることによって、温調棚17に載置された9個の乾燥対象物5を均等に加熱して乾燥することができる。
【0040】
また、
図6で示されるように、マイクロ波の周波数と位相差とを変化させることによっても、マイクロ波の吸収量の多い乾燥対象物5が変わることが分かる。したがって、例えば、マイクロ波の周波数及び位相差を、2.45GHz;-40度、2.45GHz;0度、2.43GHz;0度の順に周期的に変化させることによって、温調棚17に載置された9個の乾燥対象物5を、周波数のみを変化させた場合よりも均等に加熱して乾燥することができる。
【0041】
また、
図7で示されるように、3段の温調棚17に乾燥対象物5を載置した場合にも、マイクロ波の位相差を変化させることなく、マイクロ波の周波数を変化させることによって、マイクロ波の吸収量の多い乾燥対象物5の載置されている温調棚17が順番に変わることが分かる。したがって、例えば、マイクロ波の周波数を、2.42GHz、2.48GHz、2.49GHzの順に周期的に変化させるとによって、3個の温調棚17に3個ずつ載置された合計9個の乾燥対象物5を均等に加熱して乾燥することができる。
【0042】
これらのシミュレーション結果から、複数の乾燥対象物5を均等に乾燥させるため、少なくともマイクロ波の周波数を周期的に変化させることが好適であり、マイクロ波の周波数と位相差とを周期的に変化させることがさらに好適であることが分かる。
【0043】
次に、本発明の一実施形態による乾燥装置1の動作の一例について説明する。ここでは、乾燥処理の前段の凍結処理も含めて説明する。まず、作業者は、
図2で示されるチャンバ13の扉部22を開けて、チャンバ13の内部空間の温調棚17の上面に複数の対象物を載置する。この対象物は、凍結乾燥の対象となる物であり、例えば、食品または薬品であってもよい。次に、作業者が扉部22を閉めて、処理を開始する旨の指示を制御部14に入力すると、制御部14は、温調棚17の温度を所定の低温に調整するように温度調整部18に指示を出す。その指示に応じて、温度調整部18は、温調棚17の温度を、例えば、-50℃などの低温に維持する。
【0044】
所定の時間が経過して対象物の凍結が完了すると、制御部14は、真空ポンプ16の動作を開始させ、チャンバ13の内部を減圧する。なお、真空ポンプ16による減圧は、コールドトラップ15を介して行われるため、コールドトラップ15は、例えば、真空ポンプ16による減圧の開始時に動作を開始してもよい。その後、チャンバ13内が所定の低圧(例えば、20Paなど)になると、制御部14は、温調棚17の温度を一次乾燥の設定温度に調整するように温度調整部18に指示を出す。その指示に応じて、温度調整部18は、温調棚17の温度を、例えば、-20℃などの一次乾燥の設定温度に維持する。なお、この時点において、乾燥対象物5の温度は、例えば、-40℃などの温調棚17より低い温度であってもよい。また、制御部14は、マイクロ波発生器11によるマイクロ波の発生を開始させ、マイクロ波の周波数及び位相差が周期的に変化するように2個のマイクロ波発生器11を制御する。温調棚17からの伝熱とマイクロ波の照射によって、低圧下で乾燥対象物5に含まれる氷が昇華することによって奪われたエネルギーを乾燥対象物5に供給することができ、乾燥対象物5の温度が低下することを防止して、氷の昇華を促進することができる。また、温調棚17に載置された複数の乾燥対象物5のそれぞれに均等にマイクロ波が照射されるため、複数の乾燥対象物5が同時に均一に乾燥されることになる。
【0045】
乾燥対象物5の内部の氷がなくなると、マイクロ波の照射、及び温調棚17からの伝熱によって供給されるエネルギーによって乾燥対象物5の温度が上昇する。そのため、制御部14は、乾燥対象物5の温度が上昇し始めると、マイクロ波発生器11によるマイクロ波の発生を停止させると共に、温調棚17の温度を二次乾燥の設定温度に調整するように温度調整部18に指示を出す。その指示に応じて、温度調整部18は、温調棚17の温度を、例えば、30℃などの二次乾燥の設定温度に維持する。この二次乾燥によって、結合水を除去する。なお、二次乾燥にもマイクロ波照射を用いてもよい。所定の方法で二次乾燥の完了を検知すると、制御部14は、真空ポンプ16を停止させ、チャンバ13内を常圧に戻す。そして、チャンバ13内が常圧となった後に、作業者が扉部22を開けて、製造された凍結乾燥物を取り出す。なお、チャンバ13内を常圧に戻す際に、例えば、窒素ガスなどをチャンバ13内に供給してもよい。また、乾燥対象物5がバイアル瓶に入った薬品である場合には、チャンバ13内を常圧に戻す前の減圧下で打栓を行ってもよい。
【0046】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、減圧下のチャンバ13内に存在する乾燥対象物5にマイクロ波を照射することによって、温調棚17からの伝熱によるエネルギーの供給よりも効率よく乾燥対象物5にエネルギーを供給することができ、乾燥時間を短縮することができる。一例として、マイクロ波の照射を行わない棚式の凍結乾燥より、乾燥時間を1/2以下に短縮することも可能である。このように、短時間で乾燥させることができるため、乾燥対象物5の熱劣化を抑制することができ、例えば、食品である乾燥対象物5の味の劣化を抑制することができる。また、複数の乾燥対象物5に、周波数を繰り返し変化させたマイクロ波を照射することによって、複数の乾燥対象物5を同時に均一に乾燥させることもできる。また、複数のマイクロ波の位相差も繰り返し変化させることによって、マイクロ波を複数の乾燥対象物5により均等に照射することもできる。
【0047】
また、本発明の一実施形態によれば、乾燥対象物5の乾燥時に、温度調整部18によって、温調棚17の温度を乾燥対象物5より高い温度に調整することによって、マイクロ波の照射と、温調棚17からの伝熱とによって、乾燥対象物5により効率よくエネルギーを供給することができ、乾燥処理の時間を短縮することができる。特に、温調棚17が金属材料によって構成されている場合には、温調棚17は、マイクロ波を透過しないため、乾燥対象物5の底面からのマイクロ波の照射は行われないことになる。一方、温度調整された温調棚17からの伝熱によって、乾燥対象物5の底面からもエネルギーを供給することができ、乾燥の効率を高めることができる。
【0048】
また、本発明の一実施形態では、上記したように、温調部を用いてもよい。すなわち、乾燥装置1は、チャンバ13内に配置された1または2以上の温調部を備えてもよい。温調部は、例えば、上記した温調棚17であってもよく、または、複数の乾燥対象物5が載置されないものであってもよい。後者の場合には、一例として、複数の乾燥対象物5は、温度の調整されない載置棚に載置されてもよい。この場合でも、複数の乾燥対象物5は、1または2以上の温調部の近傍に配置されることが好適である。複数の乾燥対象物5が温調部の近傍に配置されるとは、温調部からの輻射熱の影響を受ける程度に温調部に近い位置に複数の乾燥対象物5が配置されることであってもよい。一例として、複数の乾燥対象物5は、温調部の上方、下方、または側方などに、温調部から離隔してまたは離隔せずに配置されてもよい。なお、温調部の温度は、温調棚17の温度と同様に温度調整部18によって調整されてもよい。
【0049】
また、以上の実施形態は、本発明を具体的に実施するための例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲及び均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
1 乾燥装置
5 乾燥対象物
11 マイクロ波発生器
12 伝送手段
13 チャンバ
14 制御部
15 コールドトラップ
16 真空ポンプ
17 温調棚
18 温度調整部
【要約】
【課題】凍結された減圧下の複数の乾燥対象物をマイクロ波照射によって均一に乾燥させることができる乾燥装置を提供する。
【解決手段】凍結された複数の乾燥対象物5をマイクロ波照射によって乾燥させるための乾燥装置1は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器11と、マイクロ波発生器11によって発生されたマイクロ波が内部に導入されるチャンバ13と、マイクロ波発生器11を制御することによって、減圧下のチャンバ内に存在する複数の乾燥対象物5に時間平均で均等にマイクロ波が照射されるようにマイクロ波の周波数を繰り返し変化させる制御部14とを備える。
【選択図】
図1