IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 資生堂ホネケーキ工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】固型シャンプー
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20231016BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231016BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231016BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20231016BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20231016BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q5/02
A61K8/44
C11D1/10
C11D3/20
C11D17/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023061283
(22)【出願日】2023-04-05
【審査請求日】2023-04-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000180807
【氏名又は名称】資生堂ホネケーキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】仁科 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】原田 昂輝
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-037542(JP,A)
【文献】特開2005-255669(JP,A)
【文献】特開2022-170733(JP,A)
【文献】特開2019-151715(JP,A)
【文献】特開平09-110671(JP,A)
【文献】特開2005-325246(JP,A)
【文献】特開2010-241904(JP,A)
【文献】特開2011-084484(JP,A)
【文献】特開2021-063110(JP,A)
【文献】国際公開第2022/044362(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
C11D 1/10
C11D 3/20
C11D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A´)ラウロイルアスパラギン酸、及び
ミリストイルアスパラギン酸と、
(B´)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、及びスクロースからなる群から選択される一種の多価アルコール、
若しくは、
ソルビトール、キシリトール、マルチトール、及びスクロースからなる群から選択される一種の多価アルコールとグリセリンとの組み合わせである多価アルコールと、
(C´)水と、(D´)揮発性アルコールと、
(E´)トリエタノールアミンと、
を含み、
上記(A´)~(E´)成分を加熱し均一溶解した後に冷却固化した未熟成固型シャンプーを、冷却固化後に1週間~3か月程度恒温恒湿室で溶媒を揮発除去する熟成工程をとり、揮発溶媒である水及び揮発性アルコールを熟成、揮散させることにより組成物中の揮発溶媒である水及び揮発性アルコールの総量が25質量%以下であり、
(A)ラウロイルアスパラギン酸 11.3~26.2質量%、及び
ミリストイルアスパラギン酸 11.2~26.5質量%と、
(B)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、及びスクロースからなる群から選択される一種の多価アルコール、
若しくは、
ソルビトール、キシリトール、マルチトール、及びスクロースからなる群から選択される一種の多価アルコールとグリセリンとの組み合わせである多価アルコール
15.0~21.7質量%と、
(C)水と、
(E)トリエタノールアミン 4~17.8質量%と、
を含むことを特徴とする熟成固型シャンプー。
【請求項2】
請求項1に記載の熟成固型シャンプーにおいて、
製造時の前記(A´)及び(E´)の総量が、組成中35~45質量%であることを特徴とする熟成固型シャンプー。
【請求項3】
請求項1に記載の熟成固型シャンプーにおいて、
製造時の前記(B´)が、組成中10~20質量%であることを特徴とする熟成固型シャンプー。
【請求項4】
請求項1に記載の熟成固型シャンプーにおいて、pHが7.5以下であることを特徴とする熟成固型シャンプー。
【請求項5】
請求項4に記載の熟成固型シャンプーにおいて、pHが6.0~7.0であることを特徴とする熟成固型シャンプー。
【請求項6】
請求項1に記載の熟成固型シャンプーにおいて、
製造時の(C´)水と及び(D´)揮発性アルコールの総量が20~45質量%であることを特徴とする熟成固型シャンプー。
【請求項7】
請求項1に記載の熟成固型シャンプーにおいて、
ラウロイルアスパラギン酸塩とミリストイルアスパラギン酸塩の質量比が70:30~30:70であることを特徴とする熟成固型シャンプー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固型シャンプー、特にアシルアスパラギン酸塩を用いた固型シャンプーの固化性改良に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪、身体の洗浄には一般的に洗浄性を重視してアニオン性界面活性剤が用いられる。脂肪酸石けんに代表されるアニオン性界面活性剤は、アルカリ性であるものが多く、肌に対する刺激性、特に頭髪洗浄に用いた場合には、洗髪後の頭髪の整髪性などに影響を与える場合もある。このため、アニオン性界面活性剤でありながら、弱酸性での使用も可能なアシルアミノ酸塩を洗浄成分として用いることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭55-25465号公報
【文献】特許第6328490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アシルアミノ酸塩はしっかりとした形態の固型洗浄料とすることが難しく、硬度が低く、しかも水分との接触により形態維持ができなくなることもあった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的はしっかりとした形態を保持することのできるアシルアミノ酸系固型洗浄料を提供することにある。特にアシルアスパラギン酸塩を用いた毛髪の洗浄料として、組成物の固化性や毛髪への影響等の観点から、良好な固型シャンプーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明にかかる熟成固型シャンプーは、
(A)アシルアスパラギン酸塩と、
(B)多価アルコールと、
(C)水と、(D)揮発性アルコールと、
を含み、揮発溶媒である水及び揮発性アルコールが25質量%以下であることを特徴とする熟成固型シャンプーである。
また前記記載の熟成固型シャンプーにおいて、硬度、使用時の軟化の観点から、
製造時の前記(A)アシルアスパラギン酸塩は、アシルアスパラギン酸とトリエタノールアミンから形成され、組成中35~45質量%であることが好適である。
また前記記載の熟成固型シャンプーにおいて、
製造時の前記(B)多価アルコールが、グリセリン及び糖アルコールからなる群より選択される一種または二種以上からなり、組成中10~20質量%であるが好適である。
また前記記載の熟成固型シャンプーにおいて、
製造時の前記(B)多価アルコール中、グリセリンが50質量%以上であることが好適である。
また前記記載の熟成固型シャンプーにおいて、pHが7.5以下であることが好適である。
また前記記載の熟成固型シャンプーにおいて、pHが6.0~7.0であることが好適である。
また前記記載の熟成固型シャンプーにおいて、
製造時の(C)水と及び(D)揮発性アルコールが20~45質量%であることが好適である。
また前記記載の熟成固型シャンプーにおいて、前記アシルアスパラギン酸は、
ラウロイルアスパラギン酸とミリストイルアスパラギン酸とからなり、ラウロイルアスパラギン酸塩とミリストイルアスパラギン酸塩の質量比が70:30~30:70であることが好適である。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる未熟性固型シャンプーは、硬度が高い。
また、本発明にかかる熟成固型シャンプーは、熟成工程を経ることで、さらに硬度が高く、整型性がよく、しかも水に接触しても崩壊しにくいという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
(A)アシルアスパラギン酸塩
本発明において主洗浄成分として用いられるアシルアミノ酸塩の中でも、固型シャンプーの固化性や毛髪への影響等の観点から、特にアシルアスパラギン酸塩が好ましく、アシルアスパラギン酸塩としては、ラウロイルアスパラギン酸、ミリストイルアスパラギン酸などのトリエタノールアミン塩が好適に用いられる。
ラウロイルアスパラギン酸を単独で用いた場合には、やや硬度が低くなる傾向にあり、ミリストイルアスパラギン酸を単独で用いた場合には、硬度は十分高くなるが、製造時に粘度が上昇し製造適性がやや低下する。
このため、両成分を併用する場合には、ラウロイルアスパラギン酸とミリストイルアスパラギン酸の質量比は70:30~30:70であることが好ましい。
また、対イオンはトリエタノールアミンが好ましく、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどを用いると硬度が著しく低下する傾向にある。
本発明において、アシルアスパラギン酸塩は、未熟性固型シャンプー中35~45質量%であることが好ましく、熟成固型シャンプー中では40~55質量%であることが好ましい。
また、対イオンによる中和度は、硬度を得る点で1.8以上であることが好ましく、弱酸性であることを考慮すると、2.0以下であることが好ましい。
【0008】
(B)多価アルコール
本発明において固化剤としても作用する多価アルコールは、グリセリン及び糖アルコールからなる群より選択される。
糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどが例示される。
本発明において多価アルコールはシャンプーの固化剤として機能し、特に好ましくはグリセリンである。一般的な多価アルコールであるプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコールなどには洗浄料の固化機能はなく、グリセリン、糖アルコールは極めて特異な固化能力を有するといえる。
本発明の多価アルコールのうち、特にグリセリンが好適に用いられ、多価アルコール中50質量%以上であることが好ましい。
また、本発明の多価アルコールは、未熟性固型シャンプー中、10~20質量%、特に14~19%であることが固化性の点で好ましく、10質量%未満あるいは20質量%を超えると固化性が著しく低下する。熟成固型シャンプー中では、12~24質量%、特に17~24質量%である。
【0009】
(C)水、(D)揮発性アルコール
本発明において、揮発性溶媒としては水、エタノールなどが好適に用いられる。
揮発性溶媒の配合量、特にエタノールの配合量により、前記アシルアスパラギン酸塩、多価アルコールの溶解性が変わり、特に製造時の粘度調整が可能となる。
その他、各種の副原料の配合も容易となる。
本発明において、揮発性溶媒の仕込み量(未熟成固型シャンプーにおける配合量)は、20~45質量%であることが好ましく、熟成工程を経ることにより20質量%以下程度まで低減させることができる。
【0010】
〈固型シャンプーの製造方法〉
上記(A)~(C) 成分を含む固型シャンプーを製造するにあたっては、製造釜に、水、多価アルコールを仕込み加熱溶解後、エタノール、界面活性剤等を加えて均一混合し枠に流しいれ、冷却する。その後、必要により所定の形状に切断、成形する。枠自体を成形形状とする、いわゆる個取りでもよい。
【0011】
本発明の固型シャンプーは、1%水溶液のpHが7.5以下、特に好ましくは5.5~7.0であると、肌に対するマイルドな感触が得られる。
なお、本発明の固型シャンプーは、仕込み成分に比較的大量の溶剤(エチルアルコール、水)を用いるため、冷却固化後に1週間~3か月程度、恒温恒湿室で溶媒の揮発除去を行う、いわゆる熟成工程をとることが好ましい。本発明にかかる熟成固型シャンプーは、未熟成固型シャンプーを熟成する工程を経ることで、さらに硬度が高く、整型性がよく、しかも水に接触しても崩壊しにくいという利点を有する。
この場合、仕込み時の溶媒量にもよるが、20質量%程度の減量が認められる。
【0012】
[その他の成分]
本発明にかかる固型シャンプーには、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、油分、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、着色剤、防腐剤、殺菌剤、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて製造することが出来る。
【0013】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);ココイルグリシン塩、ラウロイルグリシン塩等のアシルグリシン塩;硫酸化油(例えば、ロート油等);ラウロイルメチルアラニン塩などのアシルアラニン塩;POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0014】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0015】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等);ベタイン系界面活性剤(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン等)等が挙げられる。
【0016】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0017】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POE-ソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック類(プルロニックは登録商標);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド、コカミドメチルモノエタノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ラウリン酸ジエチレングリコール;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0018】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、糖アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0019】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0020】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0021】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、高重合ポリエチレングリコール等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオン性ポリマー等が挙げられる。
【0022】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0023】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノ;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン等が挙げられる。
【0024】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0025】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0026】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
ただし、表3の結果からも分かるように、当該固型シャンプーについて良好な硬度を得るためにはグリセリンを用いることが好ましい。またショ糖を用いたシャンプーは冷却により固化は可能であるものの硬度が低いうえに高温により黄色に変色する傾向が見られるため、ショ糖を用いることは好ましくない。
【0027】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0028】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0029】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0030】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0031】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0032】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0033】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0034】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);殺菌剤(例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0035】
さらに、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、フルクトース、マンノース、エリスリトール、トレハロース、キシリトール等の糖類等も適宜配合することができる。
【0036】
以下、本発明の好適な実施例について説明する。
なお、以下の実施例において、評価は以下の方法により行った。
【0037】
(1) 外観
試作24時間後、常温における外観を評価した。
〇:均一(固状)
△:不均一(固状)
×:不均一(液状)
【0038】
(2) 硬度
試作24時間後及び熟成終了後の固型シャンプーを常温においてレオメーター(2Φ)にて測定した。
なお、未熟成品(製造時)での最適硬度は120~250であり、熟成品では250以上、特に好ましくは400以上が望ましい。
【0039】
(3)凝固点
80℃で溶解状態のシャンプーを常温で静置し、固化する際の温度を測定した。
【0040】
(4) 高温安定性
所定条件下の熟成工程を経た固型シャンプーを60℃恒温槽で10日静置した後の外観を評価した。
〇:変化なし
△:やや黄変
×:黄変
【0041】
(5)起泡性
2%水溶液400mlを25℃、撹拌数4,300rpmでミキサー撹拌し、1分間撹拌後の液量(ml)で評価した。
◎:2000ml以上
〇:1500~2000ml
△:1000~1500ml
×:1000ml以下
【0042】
(6)毛髪ダメージ試験
所定条件下の熟成工程を経た固型シャンプーにて毛髪を洗浄し、洗浄前と洗浄後の毛髪を引張圧縮試験機にて荷重(N)を測定、ダメージ度を測定した。
ダメージ度(荷重比) : 洗浄前の毛髪荷重(N) / 洗浄後の毛髪荷重(N)
として算出し、ダメージ度(荷重比)が1に近いほど毛髪ダメージ度は小さいと判断する。
◎ : 0.9以上
〇 : 0.7~0.9
△ : 0.5~0.7
× : 0.5以下
【0043】
(7)連用試験による重量・外観変化
所定の条件下の熟成工程を経た固型シャンプーを掌でつつみ、温水(40℃)にて手の中で15回転がし泡立て(1回/1日、30日連続)、経時での重量、外観を評価した。
〇 : 問題なし
△ : やや問題あり(ふやけ、重量減少、泡立ち減少)
× : 問題あり(ふやけ、変形、著しい重量減少、泡立ち減少)
【0044】
まず、本発明者らは固型シャンプーの主洗浄成分について検討を行った。
結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1より明らかなように、pHを中性~弱酸性とすることができるアシルアミノ酸を用いた場合、アシルアミノ酸としてごく一般的なラウロイルグルタミン酸では、中和剤として強アルカリである水酸化ナトリウムを用いる必要があり、弱アルカリであるトリエタノールアミンでは固化が困難である一方、アシルアスパラギン酸を用いた場合には、グリセリンの存在を前提として、中和剤としてトリエタノールアミン用いると良好な固化性が得られることが理解される。
特にアシルアスパラギン酸トリエタノールアミンを主洗浄成分として用いると、一般的なグルタミン酸塩に比べて泡立ち、毛髪へのダメージ度、連用試験(ふやけ、変形)の点でも良好である。
【0047】
そこで本発明者らは、アシルアスパラギン酸トリエタノールアミンを主洗浄成分とした場合の、グリセリンによる固化性について検討を行った。
結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
前記表2より明らかなように、グリセリン濃度が5質量%以下、あるいは25質量%以上では固化性が不十分であることが解った。
固化性の観点から、グリセリンの未熟成固型シャンプー(仕込み量ベース)中で10~20質量%、特に好ましくは14~16質量%である。
【0050】
次に本発明者らは、グリセリン以外の多価アルコールの固化性について検討を行った。
結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
前記表3より明らかなように、アシルアスパラギン酸トリエタノールアミンを主洗浄料とした場合、化粧料、洗浄料に一般的に使われる多価アルコールであるプロピレングリコール、イソプレングリコールなどには固化性はほとんどなく、グリセリンによる固化性は特異的であることが解った。
【0053】
次に本発明者らは、糖アルコールを使用した際の固化性について検討を行った。
結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
前記表4より明らかなように、糖アルコールには、やや硬度が低いものの、グリセリンに準じた固化性が認められた。
さらに、多価アルコール中、グリセリンを50質量%以上用いていれば、ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコールに代替しても固化性に大きな影響を与えることはないことが解った。
【0056】
次に本発明者らは、アシルアスパラギン酸の対イオンについて検討を行った。
結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
表5より明らかなように、アシルアスパラギン酸トリエタノールアミンを主洗浄料とした場合、少量の水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを中和剤に用いると固型シャンプーの硬度は大きく低下する。
このため、本発明にかかる固型シャンプーの中和剤としては、トリエタノールアミンを用いることが必要である。
【0059】
次に本発明者らは、アシルアスパラギン酸トリエタノールアミンの配合量について検討を行った。
結果を表6に示す。
【0060】
【表6】
【0061】
表6より明らかなように、アシルアスパラギン酸トリエタノールアミンの未熟成固型シャンプー中における存在量は35~45質量%である場合に、仕上がり時及び熟成後の固化性が適度なものであった。
このことから、アシルアスパラギン酸トリエタノールアミンの未熟成固型シャンプー中における存在量は35~45質量%が好ましく、これは熟成固型シャンプーでは40~55質量%となる。
【0062】
次に本発明者らはアシルアスパラギン酸トリエタノールアミンの中和度について検討を行った。
結果を表7に示す。
【0063】
【表7】
【0064】
表7より明らかなように、中和度は1.8以上で固化するが、2.4になるとpHが7を超える。このため、アシルアスパラギン酸のトリエタノールアミンによる中和度は1.8~2.2が好ましい。
【0065】
次に本発明者らはアシルアスパラギン酸のアシル基に関し検討を行った。
結果を表8に示す。
【0066】
【表8】
【0067】
表8から明らかなように、ラウロイルアスパラギン酸はアシル基がC12、ミリストイルアスパラギン酸はアシル基がC14であり、ラウロイルアスパラギン酸のみで固型シャンプーを調製するとやや硬度が低い傾向にある。一方、ミリストイルアスパラギン酸のみで固型シャンプーを調製すると、硬度は問題ないが、製造時に粘度が高くなり、やや製造性が悪くなる。このため、ラウロイルアスパラギン酸とミリストイルアスパラギン酸の質量は70:30~30:70が好ましく、特に好ましくは60:40~40:60である。
【0068】
次に本発明者らは好適な熟成条件の検討を行った。
結果を表9に示す。
【0069】
【表9】
【0070】
表9より明らかなように、連用試験に未熟成の状態だと起泡性もやや劣り、連用試験では使用時にふやけ、変形、著しい重量減少(溶け減り)、起泡性の低下が確認された。
熟成することで、アルコール及び水といった揮発成分が揮発し、固型シャンプー中の総揮発分が30%程度になると起泡性が良好になり、また連用試験でもふやけ、変形等が低減され、総揮発分が25%以下で起泡性、連用試験ともに良好な結果となった。
このことから、起泡性、連用試験(ふやけ、変形、重量減少)の観点から、固型シャンプー中の総揮発分が25%~20%になるまで熟成することが好適である。
【0071】
以下表10に、本発明にかかる固型シャンプーの処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0072】
【表10】
【0073】
熟成前の未熟固型シャンプーは、硬度は十分であるものの溶け減り・摩擦溶解度・整形性に劣るものであったが、熟成することによって溶け減り・摩擦溶解度・整形性が大きく改善され、硬度が高く、整型性がよく、しかも水に接触しても崩壊しにくい(使用中の軟化がない)という利点を有する熟成固型シャンプーを得ることができた。
【要約】      (修正有)
【課題】しっかりとした形態を保持することのできるアシルアミノ酸系固型洗浄料を提供する。特にアシルアスパラギン酸塩を用いた毛髪の洗浄料として、組成物の固化性や毛髪への影響等の観点から、良好な固型シャンプーを提供する。
【解決手段】(A)アシルアスパラギン酸塩と、(B)多価アルコールと、(C)水と、(D)揮発性アルコールと、を含み、揮発溶媒である水及び揮発性アルコールが25質量%以下であることを特徴とする熟成固型シャンプー。また前記記載の熟成固型シャンプーにおいて、製造時の前記(A)アシルアスパラギン酸塩は、アシルアスパラギン酸とトリエタノールアミンから形成され、組成中35~45質量%であることを特徴とする熟成固型シャンプー。
【選択図】なし