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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】文書処理プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20231016BHJP
   G06Q 30/00 20230101ALI20231016BHJP
   G06Q 50/18 20120101ALI20231016BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06Q30/00
G06Q50/18
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023065890
(22)【出願日】2023-04-13
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2022198259
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年12月13日に、ウェブサイト(アドレス https://www.collabotips.com/)に掲載 〔刊行物等〕 令和4年12月13日に、ウェブサイト(アドレス https://app.collabotips.com/)に掲載 〔刊行物等〕 令和4年12月13日に、ウェブサイト(アドレス https://www.meritopartners.jp/20221213newsrelease.html/)に掲載 〔刊行物等〕 令和4年12月13日に、ウェブサイト(アドレス https://www.atpress.ne.jp/news/338587)に掲載
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511191129
【氏名又は名称】知念芳文
(74)【代理人】
【識別番号】100172306
【弁理士】
【氏名又は名称】知念 芳文
(72)【発明者】
【氏名】知念 芳文
【審査官】小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-81887(JP,A)
【文献】特開2020-144421(JP,A)
【文献】特開2010-231743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー端末から契約書の作成又は確認の審査対象となる契約書の情報を取得する情報取得ステップ、
前記情報取得ステップにおいて取得された前記契約書の情報の内容を解析して情報を抽出し、抽出情報として記憶部に格納する情報抽出ステップ、
前記契約書の類型を判定する契約書類型判定ステップ、
前記契約書内にある各条項の種類を判定する条項種類判定ステップ、及び
ユーザー端末に情報を出力する情報出力ステップを、コンピュータに実行させる文書処理プログラムであって、
前記契約書類型判定ステップにおいて、前記抽出情報を参照し、前記契約書の前記類型を判定し、判定した前記類型の契約類型説明情報を前記類型の説明テーブル及びダイアグラム情報から取得し、
前記条項種類判定ステップにおいて、前記抽出情報を参照し、前記契約書の前記各条項の種類を判定し、判定した前記各条項の種類に応じた注意点を条項種類別の説明テーブルから取得し、
前記情報出力ステップにおいて、前記各条項の種類に応じた注意点を前記ユーザー端末に表示させるよりも前又は当該表示と同時に、前記契約類型説明情報を前記ユーザー端末に表示させることを特徴とする文書処理プログラム。
【請求項2】
制御部、記憶部及び通信部を有する情報処理装置であって、
前記制御部は、ユーザー端末から契約書の作成又は確認の審査対象となる契約書の情報を取得する情報取得手段、
前記情報取得手段により取得された前記契約書の情報の内容を解析して情報を抽出し、抽出情報として前記記憶部に格納する情報抽出手段、
前記記憶部に記憶されたプログラムを実行し前記契約書の類型を判定する契約書類型判定手段、
前記プログラムを実行し、前記契約書内にある各条項の種類を判定する条項種類判定手段、及び
ユーザー端末に情報を出力する情報出力手段を備え、
前記契約書類型判定手段は、前記情報抽出手段の前記抽出情報を参照し、前記契約書の前記類型を判定し、判定した前記類型の契約類型説明情報を前記類型の説明テーブル及びダイアグラム情報から取得し、
前記条項種類判定手段は、前記情報抽出手段の前記抽出情報を参照し、前記契約書の前記各条項の種類を判定し、判定した前記各条項の種類に応じた注意点を条項種類別の説明テーブルから取得し、
前記情報出力手段は、前記各条項の種類に応じた注意点を前記ユーザー端末に表示させるよりも前又は当該表示と同時に、前記契約類型説明情報を前記ユーザー端末に表示させることを特徴とする情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書処理プログラム及び情報処理装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、契約書からキーワードを検出して契約者にリスクを事前に知らせる情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、契約書からテキスト情報及びレイアウト情報等の契約情報や契約書の締結主体や締結相手、契約類型等の付随情報を抽出及び解析して、自動的に契約書類型を抽出し、利用者の操作する端末の表示部に、その契約書の類型表示される情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0003】
特許文献1に開示された情報処理装置は、契約書の文書中から所定のキーワードを検出し、検出されたキーワードの中から契約する利用者にとっての重要箇所を認識して、重要箇所をリスクとともに提示して締結するか否かを利用者に判断させる。
特許文献2、3に開示された情報処理装置は、契約書のテキストデータ等から契約書類型を抽出し、その抽出した契約書類型を利用者の画面に表示し、その後、利用者に各条項の注意点を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/042548号 公報
【文献】特開2020-144844号公報
【文献】特開2020-190905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献1ないし3の情報処理装置では、契約書からキーワードや契約書類型を検出して、検出された契約書の名称のような契約書類型を特定する情報を利用者に知らせるものの、契約書類型を特定する情報のみでは、利用者としては、その契約書類型の取引全体における位置づけや当該契約類型の全体を俯瞰した注意点等を理解することが容易ではないという課題があることを発明者は発見した。
【0006】
そこで、本発明の目的は、利用者にとって審査対象の契約書類型の取引全体における位置づけや定型的な注意点等の契約書類型の理解を容易にすることにある。その目的の達成のため、本発明は、次項で述べる通り、契約書の内容に基づいてその契約書類型の取引全体における位置づけや定型的な注意点等の契約書類型の説明を提示する文書処理プログラム及び情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の文書処理プログラム及び情報処理装置を提供する。
【0008】
本発明の一つの側面としての文書処理プログラムは、
ユーザー端末から契約書の作成又は確認の審査対象となる契約書の情報を取得する情報取得ステップ、
前記情報取得ステップにおいて取得された前記契約書の情報の内容を解析して情報を抽出し、抽出情報として記憶部に格納する情報抽出ステップ、
前記契約書の類型を判定する契約書類型判定ステップ、
前記契約書内にある各条項の種類を判定する条項種類判定ステップ、及び
ユーザー端末に情報を出力する情報出力ステップを、コンピュータに実行させるプログラムであって、
前記契約書類型判定ステップにおいて、前記抽出情報を参照し、前記契約書の前記類型を判定し、判定した前記類型の契約類型説明情報を前記類型の説明テーブル及びダイアグラム情報から取得し、
前記条項種類判定ステップにおいて、前記抽出情報を参照し、前記契約書の前記各条項の種類を判定し、判定した前記各条項の種類に応じた注意点を条項種類別の説明テーブルから取得し、
前記情報出力ステップにおいて、前記各条項の種類に応じた注意点を前記ユーザー端末に表示させるよりも前又は当該表示と同時に、前記契約類型説明情報を前記ユーザー端末に表示させることを特徴とする。
本発明の他の側面としての情報処理装置は、制御部、記憶部及び通信部を有する情報処理装置であって、
前記制御部は、ユーザー端末から契約書の作成又は確認の審査対象となる契約書の情報を取得する情報取得手段、
前記情報取得手段により取得された前記契約書の情報の内容を解析して情報を抽出し、抽出情報として前記記憶部に格納する情報抽出手段、
前記記憶部に記憶されたプログラムを実行し前記契約書の類型を判定する契約書類型判定手段、
前記プログラムを実行し、前記契約書内にある各条項の種類を判定する条項種類判定手段、及び
ユーザー端末に情報を出力する情報出力手段を備え、
前記契約書類型判定手段は、前記情報抽出手段の前記抽出情報を参照し、前記契約書の前記類型を判定し、判定した前記類型の契約類型説明情報を前記類型の説明テーブル及びダイアグラム情報から取得し、
前記条項種類判定手段は、前記情報抽出手段の前記抽出情報を参照し、前記契約書の前記各条項の種類を判定し、判定した前記各条項の種類に応じた注意点を条項種類別の説明テーブルから取得し、
前記情報出力手段は、前記各条項の種類に応じた注意点を前記ユーザー端末に表示させるよりも前又は当該表示と同時に、前記契約類型説明情報を前記ユーザー端末に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、利用者は、審査対象の契約書の契約書類型の取引全体における位置づけや定型的な注意点等の契約書類型の理解が容易になる。特に、請求項1、2に記載の発明では、前記各条項の種類に応じた注意点を前記ユーザー端末に表示させるよりも前か当該表示と同時に、契約類型説明情報を前記ユーザー端末に表示させるため、利用者は、各条項の種類に応じた注意点を見るよりも前又は同時に、契約書類型説明情報を見ることになる。そのため、利用者は、契約書類型を理解してから、その後の各条項の種類に応じた注意点を読むので、当該注意点の理解が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、契約類型の説明のテーブルの構成を示す概略図である。
図3図3は、条項種類別の説明のテーブルの構成を示す概略図である。
図4図4は、情報処理装置に契約書のワークファイルをドラック&ドロップで入力する場面の概略図である。
図5図5は、情報処理装置の情報抽出中の待機画面の構成を示す概略図である。
図6図6は、秘密保持契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図7図7は、秘密保持契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図8図8は、秘密保持契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図9図9は、秘密保持契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図10図10は、秘密保持契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図11図11は、共同開契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図12図12は、開発委託契約書(一括発注)の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図13図13は、製造委託基本契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図14図14は、業務委託契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図15図15は、特許ライセンス契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図16図16は、情報処理装置2の動作例を示すフローチャートである。
図17図17は、ダイアグラムの変形例である。
図18図18は、各情報の表示処理の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、秘密保持契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
図20図20は、秘密保持契約書の契約類型について情報処理装置の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
(ユーザー端末と情報処理装置の構成)
図1は、実施の形態に係る情報処理装置2とユーザー端末1の構成例を示すブロック図である。
【0012】
ユーザー端末1は、一般的なパーソナルコンピューター(PC)やタブレット端末等である。つまり、ユーザー端末1は、CPU(CentralProcessingUnit)等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部10、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11、ネットワークを介して外部と通信する通信部12、液晶ディスプレイ等の表示部13、キーボード14とを備える。契約書審査を行う利用者は、このユーザー端末を利用してワードファイルやPDF等の電子情報の契約書を表示部13に表示させて、その内容を確認する。
【0013】
情報処理装置2は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部20と、HDDやフラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部21と、ネットワークを介して外部と通信する通信部22とを備える。情報処理装置2は、通信部22を介して利用者が操作するユーザー端末1と接続され、ユーザー端末1の要求信号に基づいて動作する。当該情報処理装置は、オンプレミス環境としてユーザー端末1等に直接接続されるものでも良いし、ユーザー端末1とは別に、クラウド上のサーバー等に接続されるものでもよい。
【0014】
制御部20は、記憶部21に記憶されている文書処理プログラムとしての情報抽出プログラム210、判定プログラム211等のプログラム(情報処理プログラム)を実行する。制御部20は、ユーザー端末1から審査対象となる契約書の入力を受け付ける情報取得手段200、契約書の内容(テキスト情報、レイアウト情報、修正履歴等)を抽出する情報抽出手段201、契約類型を判定する契約書類型判定手段202、条項種類を判定し条項種類判定手段203、及び、情報を出力する情報出力手段204を有する。
【0015】
契約書類型判定手段202は、記憶部21にある情報抽出プログラム210や判定プログラム211を実行し契約書の類型を判定する。
【0016】
条項種類判定手段203は、記憶部21にある情報抽出プログラム210や判定プログラム211を実行し、判定プログラムにより契約書内にある各条項の種類を判定する。なお本実施例において、「各条項の種類」とは、契約書内にある「第〇条」等のような条と項を全てまとめた条文単位でも良いし、それよりも細分化した項若しくは号の単位、又はさらに細分化した一つの文章ごとの単位の判定のいずれでもよく、特に限定されるものではなく、例えば各条項中の文言の注意点の判定等、契約書中の少なくとも一部の文字や文章を判定するものであっても良い。
【0017】
それぞれ判定する方法は、予め定めたキーワードに合致する情報及びそのキーワード付近に含まれる文字数字等を抽出するものであってもよいし、形態素解析、構文解析、意味解析、文脈解析を行い抽出するものであってもよいし、機械学習に基づくラベリングを行い抽出するものであってもよい。また、判定方法は、契約の際に用いられる情報であれば判定し、さらに利用者が設定する情報を判定してもよい。
【0018】
情報出力手段204は、情報抽出手段201が抽出した審査対象の契約書の内容、契約書類型判定手段202が判定した契約類型及びその説明情報、条項種類判定手段203が判定した条項の種類に応じた注意点等について、それぞれ文字、数字、及びグラフ等の図形を用いて表示可能な情報として、ユーザー端末1に出力する。
【0019】
記憶部21は、制御部20を上述した各手段200-203として動作させる情報抽出プログラム210及び判定プログラム211等、並びに、契約類型の説明テーブル212、条項種類別の説明テーブル213及びダイアグラム情報214等を記憶する。
【0020】
図2は、契約類型の説明テーブル212の構成を示す概略図である。
【0021】
契約書類型毎に、契約類型の説明、契約類型の注意点及び「位置」を示す符号(「1」ないし「5」)と取引のステップを示す文字が5個以内で記載されている。
例えば、「秘密保持契約書」についてみると、「取引類型の説明」項目は「営業先と情報交換し、取引可能性を検討するための契約書です。詳細なノウハウ授受は控え、公開情報を中心に情報交換して下さい。」と記憶され、「契約類型の注意点」項目は「貴社の強みの技術とノウハウを3つに区別し、管理しましょう。(1)秘密保持契約があっても、一切開示しない「社外秘」情報(2)特定の相手にだけ共有しても構わない情報(契約書で守る)(3)一般に公開しても差し支えない情報(公開前に特許出願を検討する)」と記憶され、「位置」項目は「1」の値が記憶され、取引のステップを示す「1」「2」「3」の項目には、テキスト情報として「取引の可否の検討」、「研究・開発」、「量産・販売」というテキストが、それぞれ「1」「2」「3」の列に記憶されており、「4」「5」の列にはテキスト情報は記憶されていない。この取引のステップの符号「1」ないし「5」は、値が小さいほどが取引の初期段階の契約書類型であることを示し、値が大きくなるにつれて取引が進んだ段階の契約書類型であることを示す。そして、「位置」の列にある値は、5個あるステップのうち、どのステップに当該契約類型の位置づけがあるのかを示す。つまり、図2における、「秘密保持契約書」の例では、取引のステップ(ビジネス全体における時系列的な位置)が3段階あり、そのうち「秘密保持契約書」は「1」の「取引の可否の検討」のステップにあることを意味している。なお、「位置」には、例えば、「業務委託契約書」にあるように複数の値を記憶してもよい。また、ステップは最低2個以上あれば、その数に上限は無い。但し、Webスクリーン等に表示することを考えると最大でも5、6個程度にすることが望ましい。なお、このテーブルは説明の便宜上のものであり、データベースのアルゴリズムは、これに限定されるものではないことは言うまでもない。他に一般的なデータベースのアルゴリズムやオープンソースソフトウェア等を適宜利用することができる。なお本実施例において、図2に示される情報の少なくとも一部は、契約書の類型に対応する契約書の位置づけに関する情報に相当する。
【0022】
図3は、条項種類別の説明テーブル213の構成を示す概略図である。
契約書の類型毎に、注意点となる契約条項の種類、その条項毎の注意点、注意点の補足説明、及び契約条項のサンプルが記憶されている。例えば、図3は、秘密保持契約書の契約類型の条項種別の説明テーブルの一部の一例である。条項の種類として、「契約の目的」、「秘密情報の定義」等が保存されている。そして、たとえば、「契約の目的」の「注意点」としては「本契約の「目的」から、相手の内製化リスク等を排除できていますか?」が記憶され、「注意点の補足説明」としては、「「目的」の記載が曖昧な場合、相手が単独で製品を内製化するリスクが高まりますので、「目的」の記載を限定しましょう。なお、「目的」の記載を確認する際、その文節の主語(甲、乙)にもご注意ください。」が記憶され、また、「条項のサンプル」としては、「目的(〇〇の取引の可能性に限定する例)甲及び乙は、○○の可能性の検討を目的として(以下「本目的」という。)、それぞれ自らの裁量により必要と認められる範囲で、相手方に対し、秘密情報(第○条第○項に定義する。)を開示する。」が記憶されている。なお、図3の条項種別の説明テーブルには記載がないが、審査対象の契約書に対応する条項が発見された場合の「発見した注意点」の情報と、審査対象の契約書の対応する条項が発見されない場合の「未発見の注意点」の情報とを、分けて、それぞれ説明テーブルを作成しておいても良い。
契約種別の説明テーブルは概念を理解しやするための、一例であり、当該テーブルをMySQL等の一般的によく使用されているデータベース管理システムで処理できる形式に成形して処理するものとしても良いし、他のデータベースの処理方法やオープンソースソフトウェア等を適宜適用することができるし、注意点の項目や内容も一例に過ぎない。
【0023】
次に、情報処理装置2の動作例を説明する。図16は、情報処理装置2の動作例を示すフローチャートである。図16の各ステップは、記憶部21に記憶されている情報抽出プログラム210又は判定プログラム211等の情報処理プログラム(文書処理プログラム)に従って制御部20により実行される。
【0024】
まず、利用者は、情報処理装置2にネットワークを介して接続されたユーザー端末1を操作し、情報処理装置2に対して審査対象となる契約書を入力する(S1)。契約書の入力方法は、ワードファイルで作成したテキスト及びレイアウトを含むデータを入力し、当該データに不足する自社締結部門、相手先、契約類型、自社立場、ステータス等の情報を追加で入力又は選択するものであってもよいし、ワードファイルで作成したテキスト及びレイアウトを含むデータのテキスト部分から不足するデータを抽出させるものであってもよいし、契約書を作成するアプリケーションやクラウド上で動作するアプリケーションにおいて予め入力されたテキスト及びレイアウトを含むデータ並びに当該データに付随するデータを入力するものであってもよい。また、ワードファイル以外のテキストワイルでも良いし、PDFやJpeg等のデータファイルをOCR等でテキスト化し、ワードファイルと同様にテキストファイルとして処理しても良い。
【0025】
情報処理装置2の情報取得手段200は、ユーザー端末1から審査対象の契約書の入力を受け付けて審査対象の契約書の内容である契約書情報を記憶部21の契約書データベース(不図示)に格納する(不図示)。なお、契約書データベースは、外部に記憶されるものであってもよい。
【0026】
次に、情報抽出手段201は、契約書情報の内容を解析して情報を抽出し、抽出情報として記憶部21に格納する(S2)。情報の抽出は、すべての情報が契約書の内容をテキスト解析して自動で行われるものであってもよいが、一部の情報が自動で抽出され、残りの情報が利用者によって追加又は選択等されようにしてもよい。なお、残りの情報を使用しない仕様にすることも可能であることは言うまでもない。
続いて、契約書類型判定手段202と条項種類判定手段203が、抽出情報を参照し、契約書類型や条項の種類等を判定し、判定した契約類型の類型説明情報を契約類型の説明テーブル212やダイアグラム情報214から取得する(ダイアグラムは契約類型によって変わらないことも有るので、そのような場合、都度に取得せずに固定するように設計変更してもよい)。同様に、条項種類判定手段203が判定した条項の種類に応じた注意点等を条項種類別の説明テーブル213から取得する(S3)。(図3に図示しないが)条項種別の説明テーブル213が「発見した注意点」の情報と「未発見の注意点」との情報を別に記憶している場合、抽出情報に対応する条項が発見された場合は、条項種類別の説明テーブル213から「発見した注意点」の情報を取得し、抽出情報に対応する条項が発見されない場合は、「未発見の注意点」の情報を、それぞれ取得する(S3)。
制御部20は、それぞれ文字、数字、及びグラフ等の図形を用いて表示可能な情報として、ユーザー端末1に出力する(S4)。そして、制御部20の情報出力手段204は、契約書の類型に対応する契約書の位置づけに関する情報(例えば、後述の図6に示される契約書類型説明欄135)と、条項種類判定手段203により判定された各条項に関する情報(例えば、後述の図7に示される「発見した注意点136」又は図9に示される「未発見の注意点138」)とを出力する。または、情報出力手段204は、ユーザー端末1に、契約書と共に、契約書の位置づけに関する情報を、各条項に関する情報よりも先に表示させる。即ち、契約書の位置づけに関する情報が最初に表示され、ユーザーの操作により、各条項に関する情報の表示に切り替わる。これによりユーザーは、契約書中の各条項の注意点等を確認する以前に、検出された契約書類型が取引やビジネス全体の中で時系列的にどの位置にあるかを確認することができる。
【0027】
図6は、情報処理装置2の情報抽出画面の構成を示す概略図である。
【0028】
画面130は、制御部20によって利用者の操作する端末の表示部13に表示される画面である。図6の通り、契約書情報の内容を表示する契約書情報表示欄131(利用者から見て左側にある。但し、一例であり、配置は任意に設計変更できる。)と、契約書の類型を選択するための契約類型選択欄132と、表示内容を「契約書の位置づけ」「発見した注意点」「未発見の注意点」のいずれか選択する表示選択欄133と、契約書の当事者及びその立場を選択するための立場選択欄134と、契約類型の説明を表示する契約書類型説明欄135とを有する。なお、図6の各欄の表示の並び(順番)は任意に設計変更してもよい。
契約書類型説明欄135では、契約類型の説明のテーブルの「秘密保持契約書」の行の取引のステップの「1」~「3」列に記載された「取引の可否の検討」「研究・開発」「量産・販売」とのテキスト文章(図2参照)が、ダイアグラム情報214から読みだされた長方形で右端が矢印のように三角形状をしているダイアグラムと併せて、左から右に表示されている。これを見た利用者は、「取引の可否の検討」→「研究・開発」→「量産・販売」という取引の流れがあることを理解することができる。チャート図は、左から右に書くと、利用者からみて時間的な取引のステップを理解しやすい。また、限られた表示スペースを有効に活用しやすい。但し、上から下に向かって並ぶように表示するように設計変更しても良い。
契約書類型説明欄135では、契約類型の説明のテーブル(図2)の「位置」列に「1」の値があるため、同行のステップ「1」列に記載がある「取引の可否の検討」のみ色が変わっている。つまり、例えば、同欄だけ赤色の背景とし、他はグレー色の背景とする。但し、「取引の可否の検討」を他のステップ2、3と区別して表示する方法は任意に設計することができる。色を変える方法は背景色を同じにして文字の色を変える方法もある。また、文字のサイズを変える方法、テキスト文章に星印(★)や米印(※)の目立つマークや目印を含める方法もある。
別実施例(変形例)として、図6では、各欄はすべて同時に表示されているが、別実施例(変形例)として、契約書の類型を選択するための契約類型選択欄132と契約類型の説明を表示する契約書類型説明欄135を時間的に先に表示し、利用者が契約書類型を確認した後で、表示選択欄133や立場選択欄134は最後に出すようにしても良い。また、利用者が選択する自社の立場により契約書類型説明欄135で表示する契約類型説明の表示内容を変える設計とする場合は、立場選択欄134は契約類型選択欄132と同じタイミングで表示をしてもよい。また、契約書の類型を選択するための契約類型選択欄132と契約類型の説明を表示する契約書類型説明欄135を時間的に先に表示し、利用者が契約書類型を確認した後で、契約書情報表示欄131を表示するようにしても良い。
また、契約書類型説明欄135は、ポップアップ表示や別ウィンドウとして、契約書類型説明欄135を別に表示しても良い。その場合、契約書の類型を選択するための契約類型選択欄132は契約書類型説明欄135と一緒のタイミングで表示することが望ましい。また、一緒のタイミングで、契約書の当事者及びその立場を選択するための立場選択欄134するように設計しても良い。一方、各条項の注意点は時間的に同時かそれよりも後に表示することが望ましい。例えば、利用者が審査対象の契約書のワードファイルをドラックアンドドロップで入力したときの待機画面(図5)の直後に表示するものを、図6とは別に、例えば、図19の通り、契約類型選択欄132、契約書類型説明欄135及び立場選択欄134を先に表示させるように設計しても良い。また、図19の若干の変形例として、立場選択欄134はいずれの立場も選択されていない状態とし、契約書類型説明欄135で表示する項目のうち、一部をだけ表示し他は非表示とし、利用者が立場を選択したのちに、残りの契約書類型説明欄135の情報を出すようにしてもよい。例えば、図20の通り、前半の数行程度の契約書の類型の説明文だけ表示し、契約類型の注意点を一旦非表示にする設計としてもよい。この場合、利用者は立場選択欄134において予め設定されている立場の種類の中から自社の立場を合った選択をする。すると、選択された立場に対応した契約類型の注意点を表示される(図19参照)。これにより、利用者が選択した自社の立場に基づき、残りの契約書類型説明欄135の情報を表示することができる。このとき、契約書情報表示欄131、表示選択欄133、発見した注意点136、未発見の注意点138は非表示として、次以降にステップで表示するようにしても良い。このようにすることで、利用者から見て、契約書の類型説明や立場選択が時間的に先に確認することになるため、その後に表示される契約書の各条項の注意点などの理解が容易になりやすい。なお、契約書情報表示欄131、表示選択欄133、発見した注意点136並びに未発見の注意点138の全部又は一部を同時に表示してもよいことは言うまでもない。
【0029】
また、各欄においてすでに表示されている内容は、情報抽出手段201によって抽出された契約書情報の内容を制御部20がテキスト解析して自動で抽出されたものであるが、抽出された項目は利用者によって変更されるものであってもよい。また、抽出されていない情報について利用者が入力、選択するものであってもよい。
【0030】
また、上記した抽出、選択項目は一例であり、その他の項目を抽出、選択できるようにしてもよいことはもちろんである。この他、情報抽出手段201は、契約の際に用いられる情報であれば他の情報を抽出してもよいし、さらに利用者が設定する情報を追加してもよい。
【0031】
ユーザー端末1に表示される内容を説明する。
ユーザー端末1は、利用者から入力された指示に基づいて、通信部12を通じて、情報処理装置2にアクセスし、情報取得手段200が起動する。そして、ユーザー端末1は、利用者から入力された情報に基づいて、審査対象となる契約書のワードファイル等を情報処理装置2に出力する。例えば、図4のように待機画面に対して、ユーザーが契約書のワードファイルをドラック&ドロップすることにより、契約書のワードファイルデータを出力する。(なお、ワードファイル以外にもテキストファイルを用いことや、PDFやJPEG等でもOCR等を行うことで同様のことができることはすでに述べた。)
情報処理装置2は、取得した審査対象の契約書のワードファイルの判定処理を行う間は、判定処理中であることを示す待機画面をユーザー端末1に出力する。この際、ユーザー端末1には、図5のような待機画面が表示される。
情報処理装置2では、情報抽出手段201から審査対象の契約書の内容を取得し、ユーザー端末1に出力する。また、契約書類型判定手段202が契約類型を判定し、契約書類型の説明テーブル212及びダイアグラム情報214から必要な情報を取得して契約書類型の説明情報をユーザー端末1に出力する。また、条項種類判定手段203が情報の種類を判定し、判定された情報の種類に応じた注意事項を条項種類別の説明テーブル213から取得して、その情報をユーザー端末1に出力する。
例えば、審査対象の契約書が秘密保持契約書であると自動判定された場合、図6のように、ユーザー端末1の表示部13に表示される。
図6では、利用者から見て左側の契約書情報表示欄131の領域に契約書の内容が表示される。また、利用者から見て右側の契約類型選択欄132に、判定された契約書の類型が表示される。ここでは秘密保持契約書が判定されたため、秘密保持契約書と表示される。なお、この欄はプルダウン方式等で他の契約類型を選択できるようになっている。
利用者から見て右側の表示選択欄133には「契約書の位置づけ」、「発見した注意点」、「未発見の注意点」を選択できるボタンが表示されており、「契約書の位置づけ」が先に選択され、表示されている。
利用者は、ユーザー端末1から、立場選択欄134のプルダウンメニューで、自社の立場を選択することができる。この立場の選択により、契約書類型説明欄135に表示される契約類型説明の表示内容が変わるように設計してもよい。
利用者がユーザー端末から「発見した注意点」や「未発見の注意点」を選択すると、情報処理装置2は、審査対象の契約書の判定された契約書類型において発見された注意点を図7図8のように表示する。
例えば、ユーザー端末1から「発見した注意点」を出力指示が来ると、図7を出力するようにテキスト文等の情報を情報処理装置2に出力する。その結果、例えば、図7のように表示される。
図7では、図6の契約書類型説明欄135は表示されず、替わりに発見された注意点136が表示される(なお、取引の位置づけのダイアグラムだけ、ウィンドウの上部等に表示して、利用者が常に確認できるようにするなどの設計変更も可能である)。この発見された注意点136は1個又は複数個表示される。なお、発見された注意点が無い場合は、発見された注意点が無い旨を表示する。
続いて、利用者がユーザー端末1から注意点の一つを選択すると、図8に示す通り、当該発見された注意点に対応する契約書の条項の個所が、契約書情報表示欄131の中でセルの背景色が変わる(なお、背景色を変える以外にも、文字の色を変えること、コーテーションマーク(「!」)等の目印を表示させること、そのコーテーションマーク等の目印の色を変えること等適宜に設計変更できる。)。このため利用者には、「発見の注意点」が審査対象の契約書のどこの条項に関するものであるかが分かる。また、同時に、図8に示す通り、発見した注意点136に対応する補足説明文137や契約条項のサンプル文137が表示される(なお、同時ではなく、別に補足説明の表示用のボタンを設けて、利用者が選択したことをもって補足説明文137や契約条項のサンプル文137を表示するようにしても良い。その表示は別ウィンドウ等でも良い)。そのため、ユーザーは、発見した注意点136の内容を更に理解することができ、修正に必要なサンプル条項も把握することができる。
また、ユーザー端末1から「未発見の注意点」を出力指示が来ると、図9を出力するようにテキスト文等の情報を情報処理装置2に出力する。その結果、例えば、図9のように表示される。
図9では、図6の契約書類型説明欄135は表示されず、替わりに未発見の注意点138が表示される。この未発見の注意点138は1個又は複数個表示される。なお、未発見の注意点が無い場合は、未発見の注意点が無い旨を表示する。
続いて、利用者がユーザー端末1から注意点の一つを選択すると、図10に示す通り、未発見の注意点138に対応する補足説明文139が表示される。なお、「未発見の注意点」については、審査対象の契約書に該当の条項が発見されたかったものであるため、契約書情報表示欄131には対応箇所の表示はされない。
なお、契約条項の注意点の表示方法については一例であり、他にも法令情報のボタンを増やしたりする等してクリック回数を増減させても良い。
また、利用者は、図7の「発見した注意点」と、図9の「未発見の注意点」とは、時間的に前後関係なく、自由にどちらも選択できるようになっている。一方、「契約書の位置づけ」の表示の順番も同様に任意に設計変更しても良いが、図6で説明した、契約類型選択欄132、契約書類型説明欄135、立場選択欄134は、図7図9のような契約条項の注意点を表示するよりも、時間的に先か少なくとも同時に表示するように設計することが望ましい。また、同時に表示する場合は、利用者から見て、左右の関係では、契約類型選択欄132、立場選択欄134、契約書類型説明欄135を契約条項の注意点よりも左側に、又は上下関係では契約類型選択欄132や契約書類型説明欄135を契約条項の注意点よりも上側に表示することが望ましい。これにより、利用者は、先に契約書類型の説明を読んだうえで、契約条項のチェックを行いやすくなるためである。
ところで、図6図19又は図20のタイミングにおいて、表示された契約書の類型を利用者が見て、契約書の類型が不適切と利用者が判断した場合、利用者は手動で他の類型の契約書を選択することができる。その場合、ユーザー端末1から選択された契約類型が情報処理装置2に出力される。情報処理装置2では、制御部20が、取得した契約書類型に対応した契約書の説明情報及び契約条項の注意事項等の説明情報を記憶部21から取得して、ユーザー端末1に出力する。その結果、ユーザー端末1では、利用者が選択した契約書類型に応じた説明文を表示する。
例えば、共同開発契約書の類型を選択すると図11のように表示される。その後は、共同開発契約書の類型に応じた、注意点が表示される。同様に、開発委託契約書(一括発注)、製造委託基本契約書、業務委託契約書、ライセンス契約書の類型を選択すると、それぞれの類型の説明文が表示される(図12ないし図15参照)。
図12は、審査対象の契約書が開発委託契約書(一括発注)の契約類型であると自動判定された場合、ユーザー端末1の表示部13に最初に表示される内容の概念図である。
図13は、審査対象の契約書が製造委託基本契約書の契約類型であると自動判定された場合、ユーザー端末1の表示部13に最初に表示される内容の概念図である。
図14は、審査対象の契約書が業務委託契約書の契約類型であると自動判定された場合、ユーザー端末1の表示部13に最初に表示される内容の概念図である。
図15は、審査対象の契約書がライセンス契約書の契約類型であると自動判定された場合、ユーザー端末1の表示部13に最初に表示される内容の概念図である。
【0032】
条項種類判定手段203は、契約書に含まれる少なくとも一部の文字(条項の見出しや条項中にある文言(テキスト)等)を判定し、情報出力手段204は、契約書の類型に関する情報(第1情報)と、契約書の類型に対応する契約書の位置づけに関する情報(第2情報)と、条項種類判定手段203により判定された文字(テキスト)等に関する情報(第3情報)とを出力する構成としてもよい。そして情報出力手段204は、ユーザー端末1に、契約書と共に第2情報を、第1情報及び第2情報のそれぞれよりも先に又は同時に表示させる。ここで、契約書の類型に関する情報(第1情報)は、例えば秘密保持契約書又は共同開発契約書等を示す情報であるが、契約書の類型を特定できる情報であれば他の情報であっても良い。文字に関する情報(第3情報)は、例えば「発見した注意点」、「未発見の注意点」等に関する情報であるが、条項種類判定手段203により判定された文字に関する情報であれば他の情報であっても良い。
【0033】
契約書の位置づけに関する情報(第2情報)は、特定された契約書類型がビジネス全体の中で時系列的にどの位置にあるかをユーザーに知らせる情報であり、時系列を示す図形情報(ダイアグラム)と図形情報の時系列に対応する文字情報(「取引の可否の検討」、「研究開発」、「量産・販売」等、ダイアグラム内のテキスト文字)とを含む。なお本実施例において、図形情報は、横に2つ以上の領域を設けて、その中にビジネスの取引の流れの例(「取引の可否の検討」、「研究開発」、「量産・販売」等)を、時系列に沿って、左から右に時間が流れるように表示されるが、これに限定されるものではない。例えば、ビジネスの取引の流れを上から下へ表示する等、時系列に沿った情報であることがわかれば他の表示方法を採用しても良い。また本実施例において、図形情報は、文字情報以外の情報を含んでいれば良く、文字情報を囲む線(縁)、下線、又は矢印等も図形情報に含まれる。図17(a)、(b)は、図形情報の変形例である。図17(a)は、文字情報を囲む線と矢印を含む図形情報の例を示す。図17(b)は、矢印を含む図形情報の例を示す。なお本実施例において、図形情報と文字情報とを分けて記憶させておく必要はない。例えば、契約書類型ごと(秘密保持契約書、共同開発契約書等ごと)に、表示するダイアグラムは通常は同じであるため、文字情報としてはなく、文字情報を含む図形情報を一枚の写真又はイラストにして、ユーザー端末1の表示画面に表示させても良い。
【0034】
図18は、本実施例の各情報の表示処理の一例を示すフローチャートであり、図16のステップS4の詳細を示す。まずステップS41において、制御部20は、契約書の類型に対応する契約書の位置づけに関する情報(例えば、図6に示される契約書類型説明欄135)をユーザー端末1に表示させる。次にステップS42において、制御部20は、ユーザー端末1において「発見した注意点」又は「未発見の注意点」の表示箇所がユーザーによりクリックされたか否かを判定する。なお、ここでは「発見した注意点」の表示箇所に関して説明するが、「未発見の注意点」の表示箇所についても同様である。ユーザーが「発見した注意点」の表示箇所をクリックしていない場合には、ステップS42の判定を繰り返す。一方、ユーザーが「発見した注意点」の表示箇所をクリックした場合には、ステップS43へ進む。ステップS43において、制御部20は、契約書の位置づけに関する情報の表示から、各条項に関する情報の表示へ切り替える。即ち制御部20は、各条項に関する情報(例えば、図7に示される「発見した注意点136」)を表示させる。次に、ステップS44において、制御部20は、ユーザー端末1において「契約書の位置づけ」の表示箇所がユーザーによりクリックされたか否かを判定する。ユーザーが「契約書の位置づけ」の表示箇所をクリックしていない場合には、ステップS44の判定を繰り返す。なお、「未発見の注意点」がクリックされた場合には、それに対応する条項に関する情報の表示へ切り替わる。一方、ユーザーが「契約書の位置づけ」の表示箇所をクリックした場合、ステップS41へ戻る。
【0035】
本実施例において、第2情報は、図6に示されるように、契約書の右側に第1情報と同時にユーザー端末1に表示される。また第2情報は、図18のステップS41のように、第3情報よりも先にユーザー端末1に表示される。即ち、第2情報が最初に表示され、ユーザーの操作により(ユーザー端末1において「発見した注意点」又は「未発見の注意点」の表示箇所をユーザーがクリックすることにより)、第1情報の表示(図6参照)から第3情報の表示(図7図9等参照)に切り替わる。換言すると、図7又は図9の表示よりも先に(ユーザーによる指示を受けていない状態で)、図6を表示させることが好ましい。これによりユーザーは、契約書中の各条項の注意点等を確認する前に、特定された契約書類型がビジネス全体の中で時系列的にどの位置にあるかを確認することができる。
【0036】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によれば、審査対象の契約書の契約書類型の取引全体における位置づけや定型的な注意点等の契約書類型の説明を提示する文書処理プログラム及び情報処理装置を提示することができる。
【0037】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0038】
上記実施例では、WEBブラウザを例にしたが、ワードファイル等にアドイン機能で同様のことを達成できる。
契約類型の6種類は例示であり、他の契約類型にも同様に適用できる。他の契約類型には、例えば、共同出願契約書、システム開発契約書、システム保守契約書、商標ライセンス契約書、商品化権契約書、広告出願契約書、フランチャイズ契約書、著作権ライセンス契約書、ソフトウェアライセンス契約書、ノウハウライセンス契約書、データ利用許諾書、データ提供契約書、売買取引基本契約書、販売代理店契約書、動産売買契約書、不動産売買契約書、特許譲渡契約書、商標権譲渡契約書、著作権譲渡契約書、投資契約書、株主間契約書、コンサルティング契約書、人材紹介契約書を含むが、これに限らず、あらゆる類型の契約書に適用できる。また、日本語に限らず、英語や中国語等の多言語にも適用できる。
また、契約書のチェックとは、契約の締結前だけではなく、契約の締結後に確認する場合にも適用することができる。
上記実施の形態では制御部20の各手段200~105の機能をプログラムで実現したが、各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD-ROM等の記録媒体に記憶して提供することもできる。また、上記実施の形態で説明した上記ステップの入れ替え、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 :ユーザー端末
2 :情報処理装置
10、20 :制御部
11、21 :記憶部
12、22 :通信部
14 :キーボード
130 :画面
131 :契約書情報表示欄
132 :契約類型選択欄
133 :表示選択欄
134 :立場選択欄
135 :契約書類型説明欄
136 :発見した注意点
137、139 :補足説明文、契約条項のサンプル文
138 :未発見の注意点
200 :情報取得手段
201 :情報抽出手段
202 :契約書類型判定手段
203 :条項種類判定手段
204 :情報出力手段
210 :情報抽出プログラム
211 :判定プログラム
212 :契約類型の説明テーブル
213 :条項素別の説明テーブル
214 :ダイアグラム情報

【要約】
【課題】契約書の内容に基づいてその契約書類型の取引全体における位置づけや定型的な注意点等の契約書類型の説明を提示する文書処理プログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【解決手段】契約書類型判定手段202は、情報抽出手段201の抽出情報を参照し、契約書類型を判定し、その判定した契約類型の契約類型説明情報を契約類型の説明テーブル212やダイアグラム情報214から取得し、条項種類判定手段203は、情報抽出手段201の抽出情報を参照し、契約書の条項の種類を判定し、その判定した条項の種類に応じた注意点等を条項種類別の説明テーブル213から取得し、情報出力手段204は、契約類型説明情報、ユーザー端末1に表示させることを特徴とする。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
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図18
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図20