(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】電気機器収納用箱
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20231016BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
F16C11/04 F
H05K5/03 C
(21)【出願番号】P 2019120728
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 吉範
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-257036(JP,A)
【文献】特開2012-237323(JP,A)
【文献】実開昭60-97868(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/04
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体本体側に固定される蝶番金具と、筐体本体に設けられた開口を塞ぐ扉側に固定される蝶番金具と、を備え、扉側に固定される蝶番金具の回動中心が扉よりも外側に位置することになる蝶番
、を備える電気機器収納用箱であって、
扉を閉めた状態におい
て蝶番の外側から着脱自在な規制部材を備え、
一方の蝶番金具の外側に設けた前記規制部材に対して、他方の蝶番金具側の部位が回動経路上で規制部材に当接することで、扉の開き角度を規制する蝶番
における筐体本体側の蝶番金具が、筐体本体の側板に対して内側に傾斜させた傾斜部を備え、規制部材が前記傾斜部に取り付けられる電気機器収納用箱。
【請求項2】
筐体本体側に固定される蝶番金具と、扉側に固定される蝶番金具と、のうちの一方の蝶番金具に規制部材を取り付ける孔部を備え、
規制部材を孔部に挿入するように取り付けることで、規制部材が他方の蝶番金具側の部位と当接可能となる請求項1に記載の
電気機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扉と筐体本体を備えた電気機器収納用箱が知られている。電気機器収納用箱の使用環境の変更などにより扉の回動角度を抑えるように規制したい場合、例えば特許文献1に示すように、扉と筐体本体との間にステーを設ければ、扉の回動角度を抑えるように規制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、扉と筐体本体ともにステーを固定するための機構を設けなければいけないので、加工数が増えたり、内部スペースが圧迫されたりする。また、ステーを取り付ける際などには、扉を開けた状態で作業をする必要がある。特に、扉が鎖錠されている場合、例えば作業者が電気機器収納用箱の所有者に許可を得て、鍵を受け取り、解錠をするなど、取り付け作業が手間となる場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、容易に蝶番の開く最大角度を変更できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、筐体本体側に固定される蝶番金具と、扉側に固定される蝶番金具と、を備え、扉側に固定される蝶番金具の回動中心が扉よりも外側に位置することになる蝶番であって、一方の蝶番金具の外側に設けた規制部材に対して、他方の蝶番金具側の部位が回動経路上で規制部材に当接することで、扉の開き角度を規制する蝶番とする。
【0007】
また、規制部材は、扉に取り付けられた状態の蝶番の外側から着脱自在であるものとすることが好ましい。
【0008】
また、上記蝶番における筐体本体側の蝶番金具が、筐体本体の側板に対して内側に傾斜させた傾斜部を備え、規制部材が前記傾斜部に取り付けられる電気機器収納用箱とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、容易に蝶番の開く最大角度を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】蝶番を備えた電気機器収納用箱の斜視図である。
【
図2】電気機器収納用箱の下部に位置する蝶番周りの部分拡大図である。ただし、規制部材を取り付ける前の状態を示している。
【
図3】電気機器収納用箱の下部に位置する蝶番周りの断面図である。ただし、扉が閉まった状態である。
【
図4】電気機器収納用箱の下部に位置する蝶番周りの断面図である。ただし、扉が開いた状態である。
【
図5】電気機器収納用箱の下部に位置する蝶番などの断面図である。ただし、ベース部と連結部を組み合わせて規制部材を構成した例を表している。
【
図6】部分的に立上可能な規制部材を備えた蝶番を示した斜視図である。ただし、蝶番は電気機器収納用箱に備えられている。
【
図7】
図6に示す規制部材の一部を立ち上げた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図6に示す蝶番などの断面図である。ただし、扉が閉まった状態である。
【
図9】
図6に示す蝶番などの断面図である。ただし、扉が開いた状態である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図4に示されていることから理解されるように、本実施形態の蝶番1は、筐体本体81側に固定される蝶番金具11と、扉82側に固定される蝶番金具12と、を備え、扉82側に固定される蝶番金具12の回動中心19が扉82よりも外側に位置することになるものである。また、この蝶番1は、一方の蝶番金具の外側に設けた規制部材2に対して、他方の蝶番金具側の部位が回動経路上で規制部材2に当接することで、扉82の開き角度を規制する。このため、容易に蝶番1の開く最大角度を変更することが可能となる。
【0012】
ここで、蝶番1を取り付けた電気機器収納用箱8について説明する。この電気機器収納用箱8は、サーバなどが収められる筐体本体81と、筐体本体81に設けられた開口を塞ぐことができる扉82を備えている。蝶番1は、この扉82と筐体本体81を連結しており、扉82は回動可能なものとなっている。ただし、本発明では、蝶番1を構成する要素である、筐体本体81側に固定される蝶番金具11と、扉82側に固定される蝶番金具11のうちの一方の蝶番金具の外側に突出するように設けた規制部材2に対して、他方の蝶番金具が回動経路上で規制部材2に当接する。このような構成とすることで、扉82が開き過ぎないように扉82の開き角度を規制する。なお、
図3に示す例では、筐体本体81側に固定される蝶番金具11は、筐体本体81に備えられた上下方向に延びる取付金具84に対して固定されている。
【0013】
実施形態の規制部材2は、蝶番金具よりも柔らかい材質の部材を用いており、規制部材2と蝶番金具が当接した際に蝶番金具に傷が生じにくいようにしている。より具体的には、規制部材2にゴムを用いれば、このようなことが可能になるが、樹脂など他の材質を用いても良い。ただし、規制部材2には、弾性変形可能な材質を用いることが好ましい。
【0014】
図1乃至
図4に示す例では、規制部材2を、筐体本体81側に固定される蝶番金具11に取り付けるものであり、この規制部材2に対して、扉82側に固定される蝶番金具12が回動経路上で当接することで、扉82が開くことができる角度を規制する。なお、この例の規制部材2は、蝶番金具11に備えられた孔部15に規制部材2を挿し込んで、取り付けるものであるため、取り外しが容易である。また、規制部材2の形状や大きさなどを変更すれば、扉82の開くことができる範囲を変更することができるため、状況にあわせて、扉82が開く角度を調整することがし易くなる。
【0015】
ところで、この例の規制部材2は、扉82に取り付けられた状態の蝶番1の外側から着脱自在である。したがって、扉82を閉めた状態で規制部材2の取り付けや取り外しができる。このため、規制部材2の取り付けや取り外し時に、扉82を開ける必要が無く、作業性が良くなる。特に、電気機器収納用箱8がサーバラックなどのようにセキュリティの確保が求められるものである場合には、扉82は施錠されており、誰もが開けられるものでは無い。このため、扉82が施錠されたままでも、規制部材2の取り付けや取り外しができる構成とすることで、解錠のための調整の必要性が無くなれば、扉82の開度調整を行うための余分な負担がなくなる。
【0016】
また、この例では、筐体本体81側に固定される蝶番金具11は、取り付けられる筐体本体81の側板86に対して内側に傾斜させた傾斜部14を備えたものとし、この傾斜部14に、規制部材2を取り付ける構成としている。より詳しくは、この傾斜部14に規制部材2を取り付ける孔部15を備えた構成としている。このため、傾斜部14に規制部材2を取り付けた場合でも、蝶番金具と規制部材2を組み合わせた蝶番1の縦と横の寸法を抑制することができる。例えば、
図3に示す例では、規制部材2は、筐体本体81側に固定される蝶番金具11の左右方向の端部よりも突出することは無く、この蝶番金具11の前後方向の端部よりも突出することは無い。なお、
図1から
図4に示す例では、傾斜部14に備えられた孔部15を用いて、規制部材2を蝶番部材11に取り付けているが、その他の手段を用いて規制部材2を蝶番1に取り付けるようにしても良い。例えば、両面テープや接着剤を用いて規制部材2を蝶番1に取り付けるようにしても良い。
【0017】
ところで、
図3に示す規制部材2は、一つの部材で構成されているが、複数の部材を組み合わせて構成しても良い。
図5に示す例では、蝶番金具11に設けられた孔部15に挿入されるビス状のベース部21の一端側に対して、連結部22を連結している。
図5に示す例では、ベース部21だけでも規制部材2として機能するが、扉82が開く角度を狭めるために、ベース部21に対して連結部22を取り付けている。なお、更に他の部材を連結するようにして、より一層、扉82が開く角度を狭めさせても良い。このように、複数の部材を連結させることで規制部材2としての形態を変化できるようにすれば、扉82の開く角度を調整したい場合に規制部材2全体を交換しなくても良くなる。
【0018】
また、
図3に示す例では、孔部15は蝶番金具に一つだけ設けていたが、
図6に示すことから理解されるように、一つの蝶番金具に複数の孔部15を設けても良い。この場合、規制部材2の取り付け位置を選択することで扉82の開く角度を調整することができる。なお、この場合は、筐体本体81側に固定される蝶番金具11に複数の孔部15を設けるようにするのが好ましい。この蝶番金具11の方が、扉82の最大開度を多段階に変更できるように複数の孔部15を設けることができるからである。
【0019】
この他にも、
図6及び
図7に示すことから理解されるように、蝶番金具に対して規制部材2の一部を移動不能に固定し、他の一部を移動可能として、扉82の開く角度を調整したい場合に、移動可能な部分の位置を調整するようにしても良い。例えば、規制部材2を
図6に示した状態のようにした場合には、
図8及び
図9に示すことから理解されるように、扉82を開くことで規制部材2が筐体本体81側に固定される蝶番金具11に当接するが、
図7に示した状態のようにした場合には、扉82を開いても規制部材2が筐体本体81側に固定される蝶番金具11に当接しない状態とすることができる。後者の場合は、前者の場合よりも、扉82の開度を大きくすることができる。
【0020】
また、規制部材2の一部を雄ねじ状とし、蝶番金具に設けられた雌ねじなどの孔部15にねじ込むようにして規制部材2を蝶番金具に取り付けるようにしても良い。この場合、規制部材2の回転量の調整により、規制部材2が差し込まれる深さを調整できるようにすることが好ましい。このようにすれば、蝶番金具から規制部材2が突出する突出量を所望のものにすることができるため、扉82の開度の調整が可能となる。
【0021】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、互いの蝶番金具に設けた規制部材同士が当接するようにしても良い。
【符号の説明】
【0022】
1 蝶番
2 規制部材
8 電気機器収納用箱
11 蝶番金具(筐体本体側に固定)
12 蝶番金具(扉側に固定)
14 傾斜部
15 孔部
81 筐体本体
82 扉
86 側板