(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】活性ガス生成装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
H05H1/24
(21)【出願番号】P 2023517797
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2022034306
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 謙資
(72)【発明者】
【氏名】有田 廉
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-007564(JP,A)
【文献】実開平07-001592(JP,U)
【文献】特開2014-094863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233059(US,A1)
【文献】国際公開第2005/005798(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガス供給空間と、
活性ガス出力空間と、
各々が平面視して矩形状の第1の平面領域を有する第1の数の高電圧電極構造体と、
各々が平面視して矩形状の第2の平面領域を有する第2の数の接地電極構造体と、
前記原料ガス供給空間と前記活性ガス出力空間との間に設けられる放電空間用構造体とを備え
た活性ガス生成装置であって、
前記放電空間用構造体は、
所定の形成方向に沿って設けられる複数の溝を有し、
前記複数の溝は互いに離散して設けられ、前記複数の溝はそれぞれ保持空間を有し、
前記第1の数の高電圧電極構造体と前記複数の溝のうち第1の数の溝とが対応し、前記第1の数の高電圧電極構造体はそれぞれ前記第1の数の溝のうち対応する溝の前記保持空間内で保持され、
前記第2の数の接地電極構造体と前記複数の溝のうち第2の数の溝とが対応し、前記第2の数の接地電極構造体はそれぞれ前記第2の数の溝のうち対応する溝の前記保持空間内で保持され、
前記第1の数の高電圧電極構造体と前記第2の数の接地電極構造体とは、前記所定の形成方向に沿って交互に配置され、前記第1の数の高電圧電極構造体それぞれの前記第1の平面領域と前記第2の数の接地電極構造体それぞれの前記第2の平面領域とが分離空間を挟んで対向し、
前記第1の数の高電圧電極構造体に交流電圧が印加され、前記第2の数の接地電極構造体が基準電位に設定され、前記分離空間は放電空間を含み、
前記放電空間において、前記原料ガス供給空間側の開口部がガス供給口となり、前記活性ガス出力空間側の開口部がガス噴出口となり、前記ガス供給口から前記ガス噴出口に向かう方向がガス流通方向として規定され
、
前記活性ガス生成装置は、
前記活性ガス出力空間内に設けられ、基板を載置する基板載置面を有する基板支持台をさらに備え、
前記ガス噴出口はスリット状を呈し、
前記ガス流通方向は前記基板載置面に対し垂直方向から所定の傾きを有する斜め方向に設定される、
活性ガス生成装置。
【請求項2】
請求項
1記載の活性ガス生成装置であって、
前記放電空間用構造体は内部を貫通した開口領域を含み、前記開口領域は前記所定の形成方向と交差する対向方向において互いに対向する一対の開口縁部を有し、
前記複数の溝はそれぞれ前記一対の開口縁部に設けられる一対の部分溝を含み、
前記保持空間は前記一対の部分溝に設けられ、各々が前記ガス流通方向に合致する空間形成方向に延在する一対の部分保持空間を含み、
前記第1の数の高電圧電極構造体それぞれの前記第1の平面領域の両端部が前記一対の部分保持空間内で保持され、
前記第2の数の接地電極構造体それぞれの前記第2の平面領域の両端部が前記一対の部分保持空間内で保持される、
活性ガス生成装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2記載の活性ガス生成装置であって、
前記高電圧電極構造体は、
第1の電極用誘電体膜と第1の電極用導電膜と第1の補助誘電体膜とからなる第1の複合構造を含み、前記第1の複合構造において前記第1の電極用誘電体膜、前記第1の電極用導電膜及び前記第1の補助誘電体膜の順で積層され、前記第1の電極用導電膜に前記交流電圧が印加され、
前記接地電極構造体は、
第2の電極用誘電体膜と第2の電極用導電膜と第2の補助誘電体膜とからなる第2の複合構造を含み、前記第2の複合構造において前記第2の電極用誘電体膜、前記第2の電極用導電膜及び前記第2の補助誘電体膜の順で積層され、前記第2の電極用導電膜が前記基準電位に設定される、
活性ガス生成装置。
【請求項4】
請求項
3記載の活性ガス生成装置であって、
前記放電空間用構造体は導電性を有し、前記放電空間用構造体に前記基準電位が付与され、
前記接地電極構造体の前記第2の複合構造において、前記第2の電極用導電膜は前記放電空間用構造体と電気的に接続される、
活性ガス生成装置。
【請求項5】
請求項
4記載の活性ガス生成装置であって、
前記接地電極構造体は、
前記第2の平面領域を有する単体電極用誘電体膜をさらに含み、
前記第2の数の溝は、前記複数の溝のうち前記所定の形成方向において最外に位置する最外溝を含み、
前記単体電極用誘電体膜は前記最外溝の前記保持空間内で保持され、かつ、前記第2の平面領域が前記放電空間用構造体と接触関係を有する、
活性ガス生成装置。
【請求項6】
原料ガス供給空間と、
活性ガス出力空間と、
各々が平面視して矩形状の第1の平面領域を有する第1の数の高電圧電極構造体と、
各々が平面視して矩形状の第2の平面領域を有する第2の数の接地電極構造体と、
前記原料ガス供給空間と前記活性ガス出力空間との間に設けられる放電空間用構造体とを備え、
前記放電空間用構造体は、
所定の形成方向に沿って設けられる複数の溝を有し、
前記複数の溝は互いに離散して設けられ、前記複数の溝はそれぞれ保持空間を有し、
前記第1の数の高電圧電極構造体と前記複数の溝のうち第1の数の溝とが対応し、前記第1の数の高電圧電極構造体はそれぞれ前記第1の数の溝のうち対応する溝の前記保持空間内で保持され、
前記第2の数の接地電極構造体と前記複数の溝のうち第2の数の溝とが対応し、前記第2の数の接地電極構造体はそれぞれ前記第2の数の溝のうち対応する溝の前記保持空間内で保持され、
前記第1の数の高電圧電極構造体と前記第2の数の接地電極構造体とは、前記所定の形成方向に沿って交互に配置され、前記第1の数の高電圧電極構造体それぞれの前記第1の平面領域と前記第2の数の接地電極構造体それぞれの前記第2の平面領域とが分離空間を挟んで対向し、
前記第1の数の高電圧電極構造体に交流電圧が印加され、前記第2の数の接地電極構造体が基準電位に設定され、前記分離空間は放電空間を含み、
前記放電空間において、前記原料ガス供給空間側の開口部がガス供給口となり、前記活性ガス出力空間側の開口部がガス噴出口となり、前記ガス供給口から前記ガス噴出口に向かう方向がガス流通方向として規定され、
前記第1の数の溝と前記第2の数の溝との組合せが第3の数の放電空間形成用溝と規定され、
前記複数の溝の一部が前記第3の数の放電空間形成用溝となる、
活性ガス生成装置。
【請求項7】
請求項
6記載の活性ガス生成装置であって、
前記複数の溝のうち、前記第3の数の放電空間形成用溝を除く溝が第4の数の不使用溝に分類され、
前記第4の数の不使用溝の前記保持空間及び前記第4の数の不使用溝に隣接する前記分離空間を塞ぐように配置されたブランク部品をさらに備える、
活性ガス生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放電空間において活性ガスを生成する活性ガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の代表的な活性ガス生成装置として、半導体成膜工程に用いる並行平板方式の誘電体バリア放電方式を用いた活性ガス生成装置がある。誘電体バリア放電方式を用いた従来の活性ガス生成装置として例えば特許文献1で開示された活性ガス生成装置がある。
【0003】
特許文献1で開示された従来の活性ガス生成装置において、高電圧側電極構成部に設けられる複数のガス供給孔及び接地側電極構成部に設けられる複数のガス噴出孔は、平面視して、複数のガス供給孔及び複数のガス噴出孔が互いに重複することなく配置されている。
【0004】
特許文献1で開示された活性ガス生成装置は、以下の第1及び第2の配置関係を有している。第1の配置関係は、複数のガス供給孔及び複数のガス噴出孔のいずれもが形成されない領域に放電空間が設けられる関係である。第2の配置関係は、複数のガス噴出孔それぞれは、複数のガス供給孔のうち平面視して隣接する4つのガス供給孔を有し、隣接する4つのガス供給孔それぞれから対応するガス噴出孔に至る4つの距離は全て同一距離となる関係である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の活性ガス生成装置は、接地側電極構成部に複数のガス噴出孔を設け、複数のガス噴出孔の周辺部の放電空間を経由した活性ガス(ラジカルを含んだガス)を複数のガス噴出孔から基板となるウェハーに供給している。
【0007】
すなわち、従来の活性ガス生成装置において、複数のガス供給孔から供給された原料ガスから放電空間内で活性ガスが生成された後、複数のガス噴出孔から活性ガスが下方のウェハーへと放出される。この際、放電空間内に生成された活性ガスは水平方向に拡散した後、再度絞られてガス噴出孔へと進むため、この過程で活性ガスおけるラジカルが失活してしまう。なお、放電空間は、高電圧側電極構成部と接地側電極構成部との間に設けられる電極間空間内に設けられる。
【0008】
このように、従来の活性ガス生成装置は、ガス噴出孔に活性ガスが進むに従い流通経路が絞られることにより活性ガスの失活を招き、高濃度な活性ガス供給することができないという第1の問題点があった。
【0009】
さらに、後段の成膜処理チャンバー内に供給された活性ガスは直下に配置されたウェハーの表面に対し垂直に吹き付けられる。このため、活性ガスがウェハーに衝突するタイミングで大きなラジカル失活を生じると共に、活性ガスの流速が著しく低下してしまう。その結果、限られた時間内にウェハー上に供給される活性ガスの距離が非常に短いものとなるという第2の問題点があった。以下、第2の問題点を詳述する。
【0010】
複数のガス噴出孔からウェハーに向けて供給される活性ガスは円柱状のあまり広がらないガス流束となってウェハーに到達するため、ごく限られた面積において活性ガスがウェハーに衝突し、衝突位置から周囲へと広がっていく。このような、活性ガスの流れではウェハーとの最初の衝突で活性ガスに多量の失活を引き起こすと同時に、活性ガスのガス流速を極端に低下させてしまう。このため、活性ガスが完全に失活してしまう前に処理が可能なウェハー面積が非常に限られたものとなる。
【0011】
この第2の問題点を考慮して、ウェハー上に成膜される薄膜の膜厚などの均一化を図るべく、ガス噴出孔の数を増やした改良構造が考えられる。改良構造において、ガス噴出孔の数を増加させると、ガス噴出孔に対応して設けられるガス供給孔の数も増加させる必要がある。
【0012】
しかしながら、上記改良構造における上述した電極間空間に関し、複数のガス供給孔と複数のガス噴出口のうち少なくとも一方に平面視して重複する空間は放電空間に設けることができない制約がある。この制約は上述した第1の配置関係を有することに起因する制約である。このように、上記改良構造は、ガス噴出孔とガス供給孔とが平面視して重複しない空間に形成される放電空間の大きさが、ガス供給孔及びガス噴出孔の孔数が増えるほど狭くなるという制約を有している。
【0013】
このように、上記改良構造においてガス噴出孔及びガス供給孔の形成数を増加させると、上記制約のため放電空間が狭まることになり、活性ガス中に含まれるラジカル濃度の低下を招いてしまう。したがって、上記改良構造は、ウェハーに対する処理時間の増大化を引き起こしてしまい、結果的に上記第2の問題点を解消できない。
【0014】
本開示では、少なくとも上記第1の問題点を解決し、高濃度な活性ガスを供給することができる活性ガス生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の活性ガス生成装置は、原料ガス供給空間と、活性ガス出力空間と、各々が平面視して矩形状の第1の平面領域を有する第1の数の高電圧電極構造体と、各々が平面視して矩形状の第2の平面領域を有する第2の数の接地電極構造体と、前記原料ガス供給空間と前記活性ガス出力空間との間に設けられる放電空間用構造体とを備え、前記放電空間用構造体は、所定の形成方向に沿って設けられる複数の溝を有し、前記複数の溝は互いに離散して設けられ、前記複数の溝はそれぞれ保持空間を有し、前記第1の数の高電圧電極構造体と前記複数の溝のうち第1の数の溝とが対応し、前記第1の数の高電圧電極構造体はそれぞれ前記第1の数の溝のうち対応する溝の前記保持空間内で保持され、前記第2の数の接地電極構造体と前記複数の溝のうち第2の数の溝とが対応し、前記第2の数の接地電極構造体はそれぞれ前記第2の数の溝のうち対応する溝の前記保持空間内で保持され、前記第1の数の高電圧電極構造体と前記第2の数の接地電極構造体とは、前記所定の形成方向に沿って交互に配置され、前記第1の数の高電圧電極構造体それぞれの前記第1の平面領域と前記第2の数の接地電極構造体それぞれの前記第2の平面領域とが分離空間を挟んで対向し、前記第1の数の高電圧電極構造体に交流電圧が印加され、前記第2の数の接地電極構造体が基準電位に設定され、前記分離空間は放電空間を含み、前記放電空間において、前記原料ガス供給空間側の開口部がガス供給口となり、前記活性ガス出力空間側の開口部がガス噴出口となり、前記ガス供給口から前記ガス噴出口に向かう方向がガス流通方向として規定される。
【発明の効果】
【0016】
本開示の活性ガス生成装置において、所定の形成方向に隣接関係にある高電圧電極構造体及び接地電極構造体と、隣接関係にある高電圧電極構造体,接地電極構造体間の放電空間とにより1単位の放電セルが構成される。したがって、第1の数及び第2の数のうち少なくとも一方を“2”以上に設定することにより、放電空間用構造体内に複数の放電セルを設けることができる。
【0017】
複数の放電セルそれぞれにおいて、原料ガス供給空間からガス供給口を介して供給される原料ガスが放電空間内で活性化されることにより活性ガスが生成される。活性ガスはガス噴出口から活性ガス出力空間に向けて噴出される。
【0018】
本開示の活性ガス生成装置は、ガス供給口からガス噴出口に至るガス流通経路の大部分を放電空間とすることができ、かつ、ガス流通経路に障害となる構造を設ける必要はない。このため、本開示の活性ガス生成装置は、放電空間内における活性ガスの流れはスムーズとなる分、活性ガスの失活を効果的に抑制することができる。
【0019】
その結果、本開示の活性ガス生成装置は高濃度な活性ガスを複数の放電セルそれぞれのガス噴出口から後段の活性ガス出力空間に供給することができる。
【0020】
加えて、本開示の活性ガス生成装置は、第1の数の高電圧電極構造体を第1の数の溝の保持空間内で保持し、第2の数の接地電極構造体を第2の数の溝の保持空間内で保持するという比較的簡単な構造で複数の放電セルを構成できるため、製造コストの低減化を図ることができる。
【0021】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施の形態の活性ガス生成装置の構造を示す説明図である。
【
図2】
図1の着目領域の詳細構造を示す説明図である。
【
図3】高電圧印加電極部の構造を示す説明図である。
【
図5】単体電極用誘電体膜の構造を示す説明図(その1)である。
【
図6】単体電極用誘電体膜の構造を示す説明図(その2)である。
【
図7】複数の溝における高電圧電極構造体及び接地電極構造体の保持形態を示す説明図(その1)である。
【
図8】複数の溝における高電圧電極構造体及び接地電極構造体の保持形態を示す説明図(その
2)である。
【
図9】発生器ベースフランジの全体構造を示す説明図である。
【
図10】
図9の着目領域の構造を示す説明図である。
【
図11】発生器ベースフランジの全体構造(初期状態)を示す斜視図である。
【
図12】発生器ベースフランジの全体構造(完成状態)を示す斜視図である。
【
図13】押圧部材の構造を模式的に示す説明図である。
【
図14】ブランク部品の使用例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施の形態>
図1は本実施の形態の活性ガス生成装置5の構造を示す説明図である。
図2は
図1の着目領域S1の詳細構造を示す説明図である。
図1及び
図2それぞれのXYZ直交座標系を記している。
【0024】
これらの図に示すように、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、発生器カバー51、チャンバー52、発生器ベースフランジ53、高周波電源100、第1の数の高電圧電極構造体13、及び第2の数の接地電極構造体14を主要構成要素として含んでいる。
【0025】
チャンバー52上に発生器ベースフランジ53が設けられ、発生器ベースフランジ53上に発生器カバー51が設けられる。放電空間用構造体である発生器ベースフランジ53は導電性を有している。
【0026】
発生器ベースフランジ53と発生器カバー51とにより、発生器ベースフランジ53の上方に原料ガスG1用の原料ガス供給空間61が設けられる。発生器ベースフランジ53とチャンバー52とにより、発生器ベースフランジ53の下方に活性ガスG2用の活性ガス出力空間62が設けられる。
【0027】
このように、本実施の形態の活性ガス生成装置5において、原料ガス供給空間61と活性ガス出力空間62との間に放電空間用構造体である発生器ベースフランジ53が設けられる。
【0028】
発生器ベースフランジ53は、所定の形成方向であるY方向に沿って設けられる複数の溝54を有する。複数の溝54はそれぞれ電極構造体を設置するための溝となる。
【0029】
図2に示すように、複数の溝54は互いに離散して設けられ、複数の溝54はそれぞれがガス流通方向FG(FG1,FG2)に沿って延在する保持空間S54を有している。
図2で示すガス流通方向FG1が原料ガスG1の流通方向であり、ガス流通方向FG2が活性ガスG2の流通方向となる。ガス流通方向FG1とガス流通方向FG2とは同一方向である。以下、ガス流通方向FG1及びFG2を総称する場合、単に「ガス流通方向FG」と称する。
【0030】
チャンバー52の活性ガス出力空間62内に基板支持台であるウェハー支持台57が設けられ、ウェハー支持台57は上部の基板載置面57Sを有している。ウェハー支持台57は基板となるウェハー7を基板載置面57S上に載置することができる。
【0031】
後述するように、第1の数の高電圧電極構造体13と複数の溝54うち第1の数の溝とが対応し、第1の数の高電圧電極構造体13はそれぞれ前記第1の数の溝54のうち対応する溝54の保持空間S54内で保持される。
【0032】
同様に、第2の数の接地電極構造体14と複数の溝54のうち第2の数の溝54とが対応し、第2の数の接地電極構造体14はそれぞれ第2の数の溝54のうち対応する溝54の保持空間S54内で保持される。なお、後に詳述するように、第2の数の接地電極構造体には、接地電極構造体14以外の構造を有する単体電極用誘電体膜3や単体電極用誘電体膜4が含まれている。以下では、接地電極構造体14を代表させ、第2の数の接地電極構造体14として説明する。
【0033】
図2に示すように、第1の数の高電圧電極構造体13と前記第2の数の接地電極構造体14とは、Y方向に沿って交互に配置される。
【0034】
図2に示すように、第1の数の高電圧電極構造体13に高周波電源100から電極接続線L1を介して交流電圧が印加され、第2の数の接地電極構造体は発生器ベースフランジ53を介して基準電位である接地電位に設定される。発生器ベースフランジ53には接地電位が付与されている。
【0035】
図2に示すように、Y方向において隣接する高電圧電極構造体13と接地電極構造体14との間に分離空間S56が設けられ、分離空間S56の一部が放電空間6となる。
【0036】
放電空間6において、原料ガス供給空間61側の開口部がガス供給口6aとなり、活性ガス出力空間62側の開口部がガス噴出口6bとなる。ガス供給口6a及びガス噴出口6bは共にXY平面で平面視して縦長のスリット状を呈している。
【0037】
ガス供給口6aからガス噴出口6bに向かう方向がガス流通方向FGとなる。
図1及び
図2に示すように、ガス流通方向FGは、基板載置面57Sを基準とした垂直方向(Z方向)に対し、“0”でない有意な所定の傾きを有する斜め方向に設定されている。所定の傾きとして例えば30°~60°が考えられる。所定の傾きは、投入可能な原料ガスのガス流量、発生器ベースフランジ53の占有面積、及びチャンバー52の大きさ等に基づき決定される。
【0038】
本実施の形態の活性ガス生成装置5において、発生器カバー51及び発生器ベースフランジ53の組合せ構造により、活性ガスG2を生成する活性ガス生成機能を実現している。なお、発生器ベースフランジ53は第1の数の高電圧電極構造体13と第2の数の接地電極構造体14とを保持している。
【0039】
発生器カバー51の上部のガス供給用開口部50から原料ガス供給空間61内に原料ガスG1が供給され、原料ガス供給空間61内の原料ガスG1は、ガス供給口6aからガス流通方向FG1に沿って放電空間6内に供給される。放電空間6内に誘電体バリア放電を発生させることにより、放電空間6内で原料ガスG1から活性ガスG2(ラジカルを含むガス)が生成される。生成された活性ガスG2がガス噴出口6bからガス流通方向FG2に沿って活性ガス出力空間62内のウェハー7に吹き付けられる。
【0040】
ガス噴出口6bから噴出される活性ガスG2は、ウェハー7の表面に対し上述した斜め方向で吹き付けられる。このように、発生器カバー51及び発生器ベースフランジ53の組合せ構造により、活性ガス生成機能を実現することができる。
【0041】
図3は高電圧電極構造体13の構成要素である高電圧印加電極部1の構造を示す説明図である。
図3(a)は上面図であり、
図3(b)は
図3(a)のA-A断面図、
図3(c)は
図3(a)のB-B断面図、
図3(d)は下面図である。
図3(a)~
図3(d)それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0042】
なお、
図3及び後に説明する
図4~
図6において、積層する方向をZ方向、後述する矩形状の平面領域の長辺方向をX方向、短辺方向をY方向としている。したがって、
図3~
図6で示すXYZ直交座標系と、
図1及び
図2で示す活性ガス生成装置5のXYZ直交座標系とは一致していない。
【0043】
図3に示すように、高電圧印加電極部1は電極用誘電体膜10及び金属電極11を主要構成要素として含んでいる。電極用誘電体膜10は高電圧電極構造体13を構成する第1の電極用誘電体膜となり、金属電極11は高電圧電極構造体13を構成する第1の電極用導電膜となる。電極用誘電体膜10上に電極用導電膜である金属電極11が設けられる。金属電極11はスパッタ、蒸着、または印刷焼成によって電極用誘電体膜10上に形成される。
【0044】
金属電極11は本体領域11m及び突出領域11tからなり、本体領域11mはXY平面で平面視して矩形状の平面領域を有している。電極用誘電体膜10及び本体領域11mそれぞれの平面領域においてX方向が長辺方向となり、Y方向が短辺方向となる。突出領域11tは本体領域11mの中心部から+Y方向に延びて電極用誘電体膜10の長辺に達する。電極用誘電体膜10はXY平面において本体領域11mを含み、本体領域11mより広い面積を有している。
【0045】
図4は接地電極構造体14の構成要素である接地電位電極部2の構造を示す説明図である。
図4(a)は上面図であり、
図4(b)は
図4(a)のC-C断面図、
図4(c)は
図4(a)のD-D断面図、
図4(d)は下面図である。
図4(a)~
図4(d)それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0046】
図4に示すように、接地電位電極部2は電極用誘電体膜20及び金属電極21を主要構成要素として含んでいる。電極用誘電体膜20は接地電極構造体14を構成する
第2の電極用誘電体膜となり、金属電極21は接地電極構造体14を構成する第2の電極用導電膜となる。電極用誘電体膜20上に電極用導電膜である金属電極21が設けられる。金属電極21はスパッタ、蒸着、または印刷焼成によって電極用誘電体膜20上に形成される。
【0047】
金属電極21はXY平面で平面視して矩形状の平面領域を有している。電極用誘電体膜20及び金属電極21それぞれの平面領域においてX方向が長辺方向となり、Y方向が短辺方向となる。電極用誘電体膜10及び金属電極21それぞれの長辺の長さは同一に設定され、電極用誘電体膜20はY方向において金属電極21を含み、金属電極21より長い短辺を有している。
【0048】
図5は単体電極用誘電体膜3の構造を示す説明図である。
図5(a)は上面図であり、
図5(b)は
図5(a)のE-E断面図、
図5(c)は
図5(a)のF-F断面図である。
図5(a)~
図5(c)それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0049】
図5に示すように、単体電極用誘電体膜3は電極用誘電体膜30のみで構成され、電極用誘電体膜30(単体電極用誘電体膜3)はXY平面で平面視して矩形状の平面領域を有している。電極用誘電体膜30の平面領域においてX方向が長辺方向となり、Y方向が短辺方向となる。電極用誘電体膜30の両短辺の中央部に切欠部33が設けられる。
【0050】
電極用誘電体膜30の平面領域は電極用誘電体膜10の平面領域及び電極用誘電体膜20の平面領域と同程度の広さを有している。通常、電極用誘電体膜30の平面領域は電極用誘電体膜10及び20それぞれの平面領域と同一面積に設定することが望ましい。
【0051】
単体電極用誘電体膜3は以下の第1~第3の態様で用いられる。第1の態様は高電圧電極構造体13の補助構成要素として用いられる態様である。第2の態様は接地電極構造体14の補助構成要素として用いられる態様である。第3の態様は単体電極用誘電体膜3のみ独立して用いられる態様である。
【0052】
以下、説明の都合上、第1及び第2の態様で用いられる場合は「電極用誘電体膜30」と称し、第3の態様で用いられる場合に「単体電極用誘電体膜3」と称する。
【0053】
図6は単体電極用誘電体膜4の構造を示す説明図である。
図6(a)は上面図であり、
図6(b)は
図6(a)のG-G断面図、
図6(c)は
図6(a)のH-H断面図である。
図6(a)~
図6(c)それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0054】
図6に示すように、単体電極用誘電体膜4は電極用誘電体膜40のみで構成され、電極用誘電体膜40(単体電極用誘電体膜4)はXY平面で平面視して矩形状の平面領域を有している。電極用誘電体膜40の平面領域においてX方向が長辺方向となり、Y方向が短辺方向となる。
【0055】
電極用誘電体膜40の平面領域は電極用誘電体膜10の平面領域と同程度の広さを有している。電極用誘電体膜40の平面領域は電極用誘電体膜10の平面領域と同一面積に設定することが望ましい。
【0056】
図7及び
図8は複数の溝54における高電圧電極構造体13及び接地電極構造体140(14,3,4)の保持形態を示す説明図である。
【0057】
図7及び
図8に示すように、放電空間用構造体である発生器ベースフランジ53において、所定の形成方向であるY方向に沿って複数の溝54が設けられる。
図8に示すように、複数の溝54は互いに離散して設けられ、複数の溝54はそれぞれが保持空間S54を有している。
【0058】
図7(b)及び
図7(e)に示すように、高電圧電極構造体13は、電極用誘電体膜10と金属電極11と電極用誘電体膜30とからなる第1の複合構造を含んでいる。電極用誘電体膜10が第1の電極用誘電体膜となり、金属電極11が第1の電極用導電膜となり、電極用誘電体膜30が第1の補助誘電体膜となる。
【0059】
高電圧印加電極部1において、第1の補助誘電体膜となる電極用誘電体膜30は上述した第1の態様で用いられている。電極用誘電体膜10及び金属電極11の平面領域及び電極用誘電体膜30の平面領域が高電圧電極構造体13における第1の平面領域となる。
【0060】
上述した第1の複合構造において電極用誘電体膜10、金属電極11及び電極用誘電体膜30の順で積層され、金属電極11は高周波電源100から電極接続線L1(
図1,
図2参照)を介して交流電圧が印加される。
図3に示すように、金属電極11は突出領域11tを有しているため、突出領域11tが上方(
図1,
図2及び
図7の+Z方向)に位置するように、高電圧電極構造体13を溝54の保持空間S54内で保持させることができる。したがって、金属電極11の突出領域11tに電極接続線L1を接続することにより、比較的簡単に高周波電源100から交流電圧を金属電極11に印加することができる。
【0061】
図7(c)及び
図7(d)に示すように、接地電極構造体14は、電極用誘電体膜20と金属電極21と電極用誘電体膜30とからなる第2の複合構造を含んでいる。電極用誘電体膜20が第2の電極用誘電体膜となり、金属電極21が第2の電極用導電膜となり、電極用誘電体膜30が第2の補助誘電体膜となる。
【0062】
接地電位電極部2において、第2の補助誘電体膜となる電極用誘電体膜30は上述した第2の態様で用いられている。電極用誘電体膜20及び金属電極21の平面領域及び電極用誘電体膜30の平面領域が接地電極構造体14における第2の平面領域となる。
【0063】
上述した第2の複合構造において電極用誘電体膜20、金属電極21及び電極用誘電体膜30の順で積層され、金属電極21は、基準電位である接地電位が付与される発生器ベースフランジ53を介して接地電位に設定される。なお、電極用誘電体膜30は
図5に示すように、両短辺の中央に一対の切欠部33を有しているため、発生器ベースフランジ53に装着した金属ピン等の電気的接続手段を切欠部33を介して金属電極21に直接接触させることにより、接地電極構造体14を接地電位に設定することができる。
【0064】
図7(a)に示すように、単体電極用誘電体膜3が第3の態様として単独で用いられる。第3の態様で用いられる単体電極用誘電体膜3は接地電極構造体の一部として構成される。さらに、単体電極用誘電体膜4も接地電極構造体の一部として構成される。
【0065】
このように、第2の数の接地電極構造体は、接地電極構造体14、単体電極用誘電体膜3及び単体電極用誘電体膜4を含んでいる。以下、説明の都合上、接地電極構造体14、単体電極用誘電体膜3及び単体電極用誘電体膜4を総称して「接地電極構造体140」と称する場合がある。
【0066】
図5及び
図7(a)で示した単体電極用誘電体膜3、
図7(b)及び
図7(e)で示した高電圧電極構造体13、
図7(c)及び
図7(d)で示した接地電極構造体14、及び、
図6で示した単体電極用誘電体膜4が
図7(f)で示す発生器ベースフランジ53に設けられた複数の溝54の保持空間S54内で保持される。
【0067】
図7及び
図8に示すように、第1の数の高電圧電極構造体13と複数の溝54のうち第1の数の溝54とが対応し、第1の数の高電圧電極構造体13はそれぞれ第1の数の溝54のうち対応する溝54の保持空間S54内で保持される。
【0068】
同様に、第2の数の接地電極構造体140と複数の溝54のうち第2の数の溝54とが対応し、第2の数の接地電極構造体140はそれぞれ第2の数の溝54のうち対応する溝54の保持空間S54内で保持される。
【0069】
第1の数の高電圧電極構造体13と第2の数の接地電極構造体140とは、Y方向に沿って交互に配置され、第1の数の高電圧電極構造体13それぞれの第1の平面領域と第2の数の接地電極構造体140それぞれの第2の平面領域とが分離空間S56を挟んで対向する。
【0070】
第2の数の溝54は、複数の溝54のうちY方向に最外に位置する一対の最外溝54eを含んでいる。ここで、一対の最外溝54eそれぞれの保持空間S54を最外保持空間S54eとする。
【0071】
単体電極用誘電体膜3は+Y方向側の最外溝54eの最外保持空間S54e内で保持され、単体電極用誘電体膜4は-Y方向側の最外溝54eの最外保持空間S54e内で保持される。最外保持空間S54eの形成幅は単体電極用誘電体膜3(電極用誘電体膜30)の膜厚または単体電極用誘電体膜4(電極用誘電体膜40)の膜厚と同程度に設定される。単体電極用誘電体膜3及び単体電極用誘電体膜4の膜厚は通常、同一に設定される。一対の最外溝54e間で単体電極用誘電体膜3と単体電極用誘電体膜4とを使い分けることにより、活性ガス生成装置5の組立時の混乱を抑制することが期待できる。
【0072】
複数の溝54のうち一対の最外溝54eを除く保持空間S54の形成幅は高電圧電極構造体13の膜厚または接地電極構造体14の膜厚と同程度に設定される。高電圧電極構造体13の膜厚は、電極用誘電体膜10、金属電極11及び電極用誘電体膜30の膜厚の総和となる。接地電極構造体14の膜厚は、電極用誘電体膜20、金属電極21及び電極用誘電体膜30の膜厚の総和となる。高電圧電極構造体13及び接地電極構造体14の膜厚は通常、同一に設定される。
【0073】
接地電極構造体140の第2の平面領域となる単体電極用誘電体膜3の平面領域は発生器ベースフランジ53と接触関係を有する。ここで、発生器ベースフランジ53において、単体電極用誘電体膜3の平面領域と接触関係を有する領域を第1のフランジ接触領域とする。この第1のフランジ接触領域が単体電極用誘電体膜3に対応する電極用導電膜として機能する。
【0074】
同様に、接地電極構造体140の第2の平面領域となる単体電極用誘電体膜4の平面領域は発生器ベースフランジ53と接触関係を有する。ここで、発生器ベースフランジ53において、単体電極用誘電体膜4の平面領域と接触関係を有する領域を第2のフランジ接触領域とする。この第2のフランジ接触領域が単体電極用誘電体膜4に対応する電極用導電膜として機能する。
【0075】
各分離空間S56において、金属電極11と金属電極21とに挟まれる空間が放電空間6となる。すなわち、放電空間6は、分離空間S56内において金属電極11の平面領域と金属電極21の平面領域とが対向する領域を含んでいる。
【0076】
したがって、分離空間S56は放電空間6を含んでいる。ただし、+Y方向側の最外の分離空間S56において、金属電極11と上述した第1のフランジ接触領域とが対向する空間が放電空間6となる。同様に、-Y方向側の最外の分離空間S56において、金属電極11と上述した第2のフランジ接触領域とが対向する空間が放電空間6となる。
【0077】
活性ガス生成装置5の基本態様では、発生器ベースフランジ53に設けられた複数の溝54全ての保持空間S54内で第1の数の高電圧電極構造体13または第2の数の接地電極構造体140を保持している。
【0078】
ここで、第1の数の溝54と第2の数の溝54との組合せを第3の数の放電空間形成用溝54と規定される。基本態様では複数の溝54の総数が第3の数に一致する。
【0079】
例えば、第1の数を“13”とし、第2の数を“14”とした具体例を考える。基本態様の場合は、第3の数が“27”となり、複数の溝54の総数が“27”となる。
【0080】
基本態様では、一対の最外溝54eの最外保持空間S54e内に単体電極用誘電体膜3及び単体電極用誘電体膜4が挿入される。前述したように、発生器ベースフランジ53における第1及び第2のフランジ接触領域がそれぞれ電極用誘電体膜として機能する。
【0081】
そして、13個の溝54の保持空間S54内にて13個の高電圧電極構造体13が保持される。一方、12個の溝54の保持空間S54内にて12個の高電圧電極構造体13が保持される。この際、高電圧電極構造体13と接地電極構造体140(高電圧電極構造体13,単体電極用誘電体膜3または単体電極用誘電体膜4)とがY方向に沿って交互に配置される。
【0082】
したがって、最外溝54eに隣接する溝54(「溝54x」とする)の保持空間S54内にて高電圧電極構造体13が必ず保持され、溝54xに対し最外溝54eと反対方向で隣接する溝54の保持空間S54内にて接地電極構造体14が必ず保持される。以降、高電圧電極構造体13と接地電極構造体140とがY方向に沿って交互に配置される。
【0083】
隣接する高電圧電極構造体13及び接地電極構造体140と、隣接する高電圧電極構造体13,接地電極構造体140間の放電空間6とにより1単位の放電セルが構成することができる。したがって、基本態様に上記具体例を当てはめた場合、発生器ベースフランジ53内に総計26の放電セル(放電空間6)が構成されることになる。
【0084】
図9は発生器ベースフランジ53の全体構造を示す説明図である。
図9(a)が上面図であり、
図9(b)は
図9(a)のI-I断面図であり、
図9(c)が下面図である。
図10は
図9の着目領域S2及びS3の構造を示す説明図である。
【0085】
図11及び
図12はそれぞれ発生器ベースフランジ53の全体構造を示す斜視図であり、
図11は第1の数の高電圧電極構造体13と第2の数の接地電極構造体140とが保持される前の初期状態を示し、
図12は第1の数の高電圧電極構造体13と第2の数の接地電極構造体140とが保持された後の完成状態を示している。
図9~
図12それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0086】
図9及び
図11に示すように、放電空間用構造体である発生器ベースフランジ53は内部を貫通した開口領域55を含んでいる。
図9及び
図10に示すように、開口領域55は所定の形成方向であるY方向に直角に交差する対向方向であるX方向において互いに対向する一対の開口縁部55eを有している。
【0087】
図10に示すように複数の溝54はそれぞれ一対の部分溝541及び542で構成されている。すなわち、複数の溝54はそれぞれ一対の開口縁部55eに設けられる一対の部分溝541及び542を含んでいる。
【0088】
開口領域55の-X方向側の開口縁部55eに複数の部分溝541が設けられ、開口領域55の+X方向側の開口縁部55eに複数の部分溝542が設けられる。複数の部分溝541は-Z方向に向かい、垂直方向(Z方向)に対し所定の傾きを有して延在する部分保持空間S541を有している。同様に、複数の部分溝542はそれぞれ-Z方向に向かい所定の傾きを有して延在する部分保持空間S542を有している。このように、溝54の保持空間S54は、部分溝541及び542の部分保持空間S541及び部分保持空間S542を含んでいる。
【0089】
一対の部分保持空間S541及びS542それぞれの所定の傾きはガス流通方向FGに合致する空間形成方向に延在する空間の傾きに一致する。
【0090】
部分保持空間S541は-X方向側の開口縁部55eの下方に設けられた図示しない底部と、部分保持空間S541を挟む一対の溝側壁部位56と、部分保持空間S541に対応する-X方向側の開口縁部55eの露出面とにより囲まれる空間となる。
【0091】
同様に、部分保持空間S542は+X方向側の開口縁部55eの下方に設けられた図示しない底部と、部分保持空間S542を挟む一対の溝側壁部位56と、部分保持空間S542に対応する+X方向側の開口縁部55eの露出面とにより囲まれる空間となる。
【0092】
図10に示すように、-Y方向側の最外溝54eにおいて、単体電極用誘電体膜4における-X方向側の短辺領域が部分保持空間S541にて保持され、+X方向側の短辺領域が部分保持空間S542にて保持される。その結果、最外溝54eの保持空間S54にて単体電極用誘電体膜4が保持される。
【0093】
最外溝54eに隣接する溝54(「溝54α」とする)において、高電圧電極構造体13における-X方向側の短辺領域が部分保持空間S541にて保持され、+X方向側の短辺領域が部分保持空間S542にて保持される。その結果、溝54αの保持空間S54にて高電圧電極構造体13が保持される。
【0094】
溝54αに+Y方向側に隣接する溝54(「溝54β」とする)において、接地電極構造体14における-X方向側の短辺領域が部分保持空間S541にて保持され、+X方向側の短辺領域が部分保持空間S542にて保持される。その結果、溝54βの保持空間S54にて接地電極構造体14が保持される。
【0095】
以下、高電圧電極構造体13と接地電極構造体14とが交互に溝54の保持空間S54にて保持され、+Y方向側の最外溝54eの保持空間S54にて単体電極用誘電体膜3が保持される。
【0096】
このように、複数の溝54それぞれの内部空間が保持空間S54(S541及びS542)となり、第1の数の高電圧電極構造体13はそれぞれの第1の平面領域の両端部が一対の部分保持空間S541及びS542内で保持される。高電圧電極構造体13の第1の平面領域の両端部として、電極用誘電体膜10及び電極用誘電体膜30それぞれの一対の短辺領域が該当する。したがって、高電圧電極構造体13の第1の平面領域は一対の短辺領域を除く大部分が、開口領域55内で露出している。
【0097】
同様に、第2の数の接地電極構造体140はそれぞれの第2の平面領域の両端部が一対の部分保持空間S541及びS542内で保持される。第2の平面領域の両端部として例えば、接地電極構造体14の場合、電極用誘電体膜20、金属電極21及び電極用誘電体膜30それぞれの一対の短辺領域が該当する。また、第2の平面領域の両端部として例えば、単体電極用誘電体膜3の場合は単体電極用誘電体膜3(30)の一対の短辺領域が該当し、単体電極用誘電体膜4の場合は単体電極用誘電体膜4(40)の一対の短辺領域が該当する。
【0098】
したがって、接地電極構造体14の第2の平面領域の両面は、短辺側の両端部を除く大部分が開口領域55内で露出している。ただし、単体電極用誘電体膜3において、第1のフランジ接触領域と反対側の第2の平面領域の大部分が開口領域55内で露出し、単体電極用誘電体膜4において、第2のフランジ接触領域と反対側の第2の平面領域の大部分が開口領域55内で露出している。
【0099】
上述したように、一対の部分保持空間S541及びS542は-Z方向に向かい有意な所定の傾きを有しているため、チャンバー52の開口領域55において、
図10及び
図12で示す完成状態において、Y方向に隣接する高電圧電極構造体13と接地電極構造体140との間に設けられる分離空間S56も-Z方向に向かい所定の傾きを有することになる。
【0100】
したがって、分離空間S56内に形成される放電空間6において、ガス供給口6aからガス噴出口6bに向かうガス流通方向FGも-Z方向に向かい所定の傾きを有することになる。
【0101】
前述したように、基本態様における上述した具体例では、12個の溝54の保持空間S54にて12個の接地電極構造体14が保持される。この際、接地電極構造体14の金属電極21は溝側壁部位56と金属ピン等の電気的接続手段を介して接触している。すなわち、接地電極構造体14の上述した第2の複合構造において、第2の電極用導電膜である金属電極21は放電空間用構造体である発生器ベースフランジ53と電気的接続関係を有する。
【0102】
このような構成の活性ガス生成装置5において、高周波電源100から交流電圧が電極接続線L1を介して第1の数の高電圧電極構造体13の金属電極11に印加される。一方、接地電極構造体14の金属電極21は溝側壁部位56と金属ピン等を介して接触することにより、発生器ベースフランジ53を介して基準電位である接地電位に設定される。また、発生器ベースフランジ53には接地電位が付与されているため、上述した第1及び第2のフランジ接触領域は接地電位に設定される。
【0103】
その結果、発生器ベースフランジ53に設けられる複数の放電セルそれぞれの放電空間6内で誘電体バリア放電が発生する。
【0104】
したがって、ガス供給用開口部50から原料ガス供給空間61内に供給された原料ガスG1は放電空間6を通過する際に活性化され活性ガスG2となり、ガス流通方向FGに沿って、チャンバー52内の活性ガス出力空間62に供給され、ウェハー支持台57の基板載置面57S上に載置されたウェハー7に吹付けられる。その結果、ウェハー7の表面上における活性ガスG2による製造処理が実行される。
【0105】
なお、活性ガスG2は、放電空間6のガス噴出口6bからガス流通方向FGに沿って噴出される。ガス噴出口6bはスリット状を呈し、ガス流通方向FGは基板であるウェハー7の表面に対し垂直方向(+Z方向)から有意な所定の傾きを有する斜め方向に設定されている。
【0106】
図13は押圧部材70の構造を模式的に示す説明図である。
図13にXYZ直交座標系を記している。同図に示すように、押圧部材70は主要構成要素として部材本体71及び複数の押圧用突出領域72を含んでいる。
【0107】
複数の押圧用突出領域72は複数の溝54に1対1に対応するようにY方向に沿って、部材本体71の下方に設けられる。複数の押圧用突出領域72はそれぞれ下方に鋭角な先端部を有している。複数の押圧用突出領域72の形成間隔は、発生器ベースフランジ53における複数の溝54の形成間隔と同一に設定される。
【0108】
押圧部材70は、
図10及び
図12に示すように、発生器ベースフランジ53の複数の溝54によって第1の数の高電圧電極構造体13及び第2の数の接地電極構造体140が保持された完成状態後に用いられる。
【0109】
例えば、複数の押圧用突出領域72の先端部を高電圧電極構造体13または接地電極構造体140に当接させた状態で、押圧部材70に対し-Z方向に押圧力を付与することにより、複数の溝54の保持空間S54内に配置される第1の数の高電圧電極構造体13及び第2の数の接地電極構造体140を複数の押圧用突出領域72によって押圧することができる。
【0110】
その結果、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、第1の数の高電圧電極構造体13及び第2の数の接地電極構造体140を安定性良く複数の溝54の保持空間S54内で保持した状態で固定することができる。
【0111】
(主な効果)
本実施の形態の活性ガス生成装置5において、所定の形成方向であるY方向に隣接関係にある高電圧電極構造体13及び接地電極構造体140と、隣接関係にある高電圧電極構造体12,接地電極構造体140間の放電空間6とにより1単位の放電セルが構成される。したがって、第1の数及び第2の数のうち少なくとも一方を“2”以上に設定することにより、放電空間用構造体である発生器ベースフランジ53に複数の放電セルを設けることができる。
【0112】
複数の放電セルそれぞれにおいて、原料ガス供給空間61から放電空間6のガス供給口6aを介して供給される原料ガスG1が放電空間6内で活性化されることにより活性ガスG2が生成される。活性ガスG2は、放電空間6のガス噴出口6bから活性ガス出力空間62に向けて噴出される。
【0113】
本実施の形態の活性ガス生成装置5は、ガス供給口6aからガス噴出口6bに至るガス流通経路の大部分を放電空間6とすることができ、かつ、ガス流通経路に障害となる構造を設ける必要はない。このため、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、放電空間6内における活性ガスG2の流れはスムーズとなる分、活性ガスG2の失活を効果的に抑制することができる。
【0114】
すなわち、ガス流通方向FGに沿って流れる活性ガスG2は、放電空間6を経由し、ガス噴出口6bからウェハー7に到達するまで全く遮るものが無く、かつ、活性ガスG2が圧縮されることもない。このように、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、活性ガスG2のスムーズな流れを可能とする構造となっている。このような活性ガスG2の流れを実現することにより、活性ガスG2において余計なラジカルの失活を抑制している。
【0115】
その結果、本実施の形態の活性ガス生成装置5は高濃度な活性ガスG2を複数の放電セルそれぞれのガス噴出口6bから後段の活性ガス出力空間62に供給することができる。
【0116】
また、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、高電圧電極構造体13や接地電極構造体140にガス供給孔やガス噴出孔を設ける必要がない分、複数の放電セルそれぞれの放電空間6の体積を十分大きく確保することができる。
【0117】
加えて、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、第1の数の高電圧電極構造体13における短辺側の両端部を第1の数の溝54の保持空間S54内で保持し、第2の数の接地電極構造体140における短辺側の両端部を第2の数の溝54の保持空間S54内にて保持するという比較的簡単な構造で複数の放電セルを構成できるため、製造コストの低減化を図ることができる。
【0118】
以下、この点を詳述する。高電圧電極構造体13において、高電圧印加電極部1と電極用誘電体膜30とは単に溝54の保持空間S54内で保持しているだけである。同様に、接地電極構造体14において、接地電位電極部2と電極用誘電体膜30とは単に溝54の保持空間S54内で保持しているだけである。
【0119】
すなわち、高電圧電極構造体13は高電圧印加電極部1と電極用誘電体膜30との間で貼り合わせや把持機構といった余分な作業工程及び部品を必要としない。同様に、接地電極構造体14は接地電位電極部2と電極用誘電体膜30との間で貼り合わせや把持機構といった余分な作業工程及び部品を必要としない。
【0120】
このように、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、非常に簡易な構造で複数の放電セルを設けている。
【0121】
放電空間6のガス供給口6aからガス噴出口6bに向かうガス流通方向FGは基板載置面57Sに対し垂直方向(Z方向)に対し、“0”でない有意な所定の傾き(例えば、30°~60°)を有する斜め方向に設定される。このため、スリット状のガス噴出口6bから噴出される活性ガスG2は、基板載置面57S上に載置されたウェハー7の表面に対し有意な傾斜をもって接触し、その後、活性ガスG2はウェハー7の表面を滑らかに進む。
【0122】
このため、ガス噴出口6bから噴出される活性ガスG2の流速を低下させることなく、ウェハー7の表面上における活性ガスG2の衝突に伴う活性ガスG2の失活を抑制することができる。
【0123】
その結果、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、ウェハー7の表面における比較的広い領域に高濃度な活性ガスG2を所望の流速で供給することができる。
【0124】
このように、第1の数の高電圧電極構造体13及び第2の数の接地電極構造体140はウェハー7を載置する基板載置面57Sに対して斜め方向に設置されているため、ラジカルを含む活性ガスG2のガス流通方向FGはウェハー7の表面に対して傾斜をもって接触する。このため、垂直方向に沿った活性ガスG2の急激な衝突を防止して、活性ガスG2においてラジカルの余計な失活を防ぐと共に、活性ガスG2のガス流速の低下を防ぐことでより、ウェハー7の表面上において広い範囲の製造処理を可能としている。
【0125】
本実施の形態の活性ガス生成装置5において、複数の溝54それぞれが有する保持空間S54は各々がガス流通方向FGに合致する空間形成方向に延在する一対の部分保持空間S541及びS542を含んでいる。
【0126】
このため、本実施の形態の活性ガス生成装置5の発生器ベースフランジ53に設けられる複数の放電セルの放電空間6におけるガス流通方向FGを比較的簡単に斜め方向に設定することができる。
【0127】
本実施の形態の活性ガス生成装置5において、高電圧電極構造体13の第1の複合構造と接地電極構造体14の第2の複合構造との間に放電空間6が設けられる。
【0128】
したがって、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、放電空間6内に発生される誘電体バリア放電によって原料ガスG1を活性化させて活性ガスG2を生成することができる。
【0129】
誘電体バリア放電の特性上、放電空間6内の圧力は75Torr(10kPa)以上に設定する必要がある。本実施の形態の活性ガス生成装置5では、放電空間6と活性ガス出力空間62との間にオリフィスのような絞り機構がないため、放電空間6と同様に、活性ガス出力空間62の圧力も75Torr以上に設定することができる。なお、放電空間6内の圧力を75Torr以上に設定することは既存技術で可能である。
【0130】
したがって、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、活性ガス出力空間62内のウェハー7に対し高圧成膜処理を比較的簡単に適用することができる。
【0131】
接地電極構造体14の金属電極21は発生器ベースフランジ53の溝側壁部位56と電気的接続関係を有している。すなわち、接地電極構造体14の上述した第2の複合構造において、第2の電極用導電膜である金属電極21は、金属ピン等の電気的接続手段を介して放電空間用構造体である発生器ベースフランジ53と電気的に接続される。
【0132】
このため、本実施の形態の活性ガス生成装置5は、金属ピン等の電気的接続手段を用いて、比較的簡単に接地電極構造体14を接地電位に設定することができる。
【0133】
最外溝54eの保持空間S54に配置される単体電極用誘電体膜3または単体電極用誘電体膜4は、接地電位が付与される発生器ベースフランジ53における第1及び第2のフランジ接触領域を電極用導電膜として利用している。このため、Y方向に隣接関係にある高電圧電極構造体13及び単体電極用誘電体膜3(4)と、隣接関係にある高電圧電極構造体13,単体電極用誘電体膜3(4)間の放電空間6とによって最外放電セルを構成することができる。
【0134】
したがって、最外溝54eの最外保持空間S54e内で保持される接地電極構造体140を単体電極用誘電体膜3(4)のみで構成できる分、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0135】
(複数の溝54の選択的使用(変形態様))
上述した基本態様では、複数の溝54の全てを用いて第1の数の高電圧電極構造体13と第2の数の接地電極構造体140とを保持していた。基本態様以外に、複数の溝54の一部のみを用いて、第1の数の高電圧電極構造体13及び第2の数の接地電極構造体140を保持する変形態様が考えられる。以下、変形態様について詳述する。
【0136】
ここで、第1の数の溝54と第2の数の溝54との組合せを第3の数の実使用溝54uと規定する。変形態様では複数の溝54の一部が第3の数の実使用溝54uとなる。
【0137】
例えば、複数の溝54の総数が“27”の場合に、第1の数を“10”とし、第2の数を“11”とすると、第3の数が“21”となる。この場合、6個の溝54が高電圧電極構造体13も接地電極構造体140も挿入されない第4の数(“6”)の不使用溝54zとなる。
【0138】
このように、変形態様において、複数の溝54は第3の数の実使用溝54uと第4の数の不使用溝54zとに分類される。なお、基本態様では、前述したように複数の溝54は全て第3の数の実使用溝54uとなる。
【0139】
変形態様では、複数の溝54の一部を選択的に第3の数の実使用溝54uとすることにより、活性ガス出力空間62における活性ガスG2の供給領域を所望の広さに設定することができる。
【0140】
例えば、ウェハー7に対する処理領域が比較的小さい場合、第3の数を複数の溝54の総数より少なく設定することにより、処理領域に適した活性ガスG2の供給領域を設定することができる。
【0141】
このように、基本態様と変形態様とによって、実使用溝54uの第3の数を増減することができる。第3の数は状況に応じて増減が可能であるが、第3の数に関係なく、各放電セルの放電空間6の大きさは常に一定にある。したがって、ガス噴出口6bから噴出される活性ガスG2のラジカル密度は、第3の数に依存することなく一定であるため、ウェハー7に対する処理時間を変化させることなく、ウェハー7における成膜範囲等を変更することが可能となる。
【0142】
変形態様において、不使用溝54zの保持空間S54と不使用溝54zに隣接し、かつ放電空間6が設けられない不使用分離空間S56zを塞ぐことが望ましい。なお、不使用分離空間S56zは、不使用溝54zの保持空間S54内に高電圧電極構造体13または接地電極構造体140を保持した場合における放電空間6を含む仮想的な分離空間を意味する。
【0143】
図14は不使用溝54z用のブランク部品80の使用例を模式的に示す説明図である。同図に示すように、ブランク部品80は部品本体81及び一対の溝用突出部82を主要構成要素として含んでいる。
【0144】
一対の溝用突出部82のうち-X方向側の溝用突出部82は不使用溝54zの部分保持空間S541の形成幅と同一形成幅を有し、かつ、部分保持空間S541(溝側壁部位56)の形成長と同一形成長を有している。同様に、一対の溝用突出部82のうち+X方向側の溝用突出部82は、
図14では図示しない不使用溝54zの部分保持空間S542の形成幅と同一形成幅を有し、かつ、部分保持空間S542(溝側壁部位56)の形成長と同一形成長を有している。
【0145】
一方、部品本体81は、部分保持空間S541及び不使用分離空間S56zの総合形成幅と同一形成幅を有し、かつ、X方向で対向する溝側壁部位56,56間の距離と同一形成長を有している。
【0146】
したがって、一対の溝用突出部82が部分保持空間S541及びS542内に位置するように、発生器ベースフランジ53の開口領域55にブランク部品80を配置することにより、不使用溝54zの保持空間S54(部分保持空間S541及びS542)と不使用分離空間S56zとを塞ぐことができる。このため、活性ガス生成装置5の使用時に原料ガスG1等が不使用溝54zの保持空間S54及び不使用分離空間S56zを通過することはない。
【0147】
このように、活性ガス生成装置5の変形態様は、第4の数の不使用溝54zの保持空間S54及び第4の数の不使用分離空間S56zを塞ぐように配置されたブランク部品80をさらに備えている。
【0148】
なお、1単位のブランク部品80は1つの不使用溝54z及び不使用分離空間S56zに対応して設けられるため、第4の数の不使用溝54zに対応して第4の数のブランク部品80を配置する必要がある。
【0149】
実施の形態の変形態様は、ブランク部品80によって不使用溝54zの保持空間S54及び不使用分離空間S56zにおけるガスの流れを遮断するため、第4の数の不使用溝54zを設けても、濃度や流速を含む活性ガスG2の特性に悪影響を与えることはない。
【0150】
このように、複数の溝54の一部に第4の数の不使用溝54zを設定しても、第4の数の不使用溝54zに対応して第4の数のブランク部品80を配置することにより、活性ガスG2の特性に悪影響を与えることなく、容易にウェハー7に対する処理範囲を変えることができる。
【0151】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本開示がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0152】
1 高電圧印加電極部
2 接地電位電極部
3,4 単体電極用誘電体膜
5 活性ガス生成装置
7 ウェハー
10,20,30,40 電極用誘電体膜
11,21 金属電極
13 高電圧電極構造体
14,140 接地電極構造体
51 発生器カバー
52 チャンバー
53 発生器ベースフランジ
54 溝
54e 最外溝
56 溝側壁部位
57 ウェハー支持台
61 原料ガス供給空間
62 活性ガス出力空間
70 押圧部材
80 ブランク部品
100 高周波電源
541,542 部分溝
G1 原料ガス
G2 活性ガス
S54 保持空間
S56 分離空間
S541,S542 部分保持空間
【要約】
本開示は、高濃度な活性ガスを供給することができる活性ガス生成装置を提供することを目的とする。本開示の活性ガス生成装置(5)において、第1の数の高電圧電極構造体(13)はそれぞれ第1の数の溝(54)のうち対応する溝(54)の保持空間(S54)内で保持され、第2の数の接地電極構造体(14,3,4)はそれぞれ第2の数の溝(54)のうち対応する溝(54)の保持空間(S54)内で保持される。第1の数の高電圧電極構造体(13)と第2の数の接地電極構造体(14,3,4)とは、Y方向に沿って交互に配置され、第1の数の高電圧電極構造体(13)それぞれの第1の平面領域と第2の数の接地電極構造体(14,3,4)それぞれの第2の平面領域とが分離空間(S56)を挟んで対向する。