(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20231016BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20231016BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20231016BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20231016BHJP
C02F 1/04 20230101ALI20231016BHJP
C02F 1/20 20230101ALI20231016BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20231016BHJP
C02F 1/42 20230101ALI20231016BHJP
C02F 1/52 20230101ALI20231016BHJP
C02F 1/72 20230101ALI20231016BHJP
C02F 9/00 20230101ALI20231016BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D61/04
B01D61/08
B01D61/58
C02F1/04 D
C02F1/20 A
C02F1/28 F
C02F1/42 A
C02F1/52 K
C02F1/72 Z
C02F9/00
(21)【出願番号】P 2018172246
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2020-01-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂庭 忍
(72)【発明者】
【氏名】今田 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 健介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】今 雅夫
【合議体】
【審判長】井上 猛
【審判官】山本 佳
【審判官】池渕 立
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105621771号明細書(CN,A)
【文献】特開2008-100219号公報(JP,A)
【文献】特開2004-130233号公報(JP,A)
【文献】特開2018-140376号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/22,61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能な吸着剤が充填され、通過する被処理水中の水溶性有機物を、前記吸着剤により吸着除去する除去器と、
前記除去器を通過した被処理水を、逆浸透膜により第1濃縮水と第1透過水とに分離する第1逆浸透膜ユニットと、
前記第1逆浸透膜ユニットで分離された第1濃縮水を、逆浸透膜により第2濃縮水と第2透過水とに分離する第2逆浸透膜ユニットと、
前記第2逆浸透膜ユニットで分離された第2濃縮水に熱処理を施すことで、前記第2濃縮水に含まれる水分を蒸発させる熱処理装置と
、
前記熱処理装置の排熱によって温められた冷却水が所定値の温度を超えた場合に、この冷却水を前記吸着剤の再生のために前記除去器に送るための送水ポンプと
を具備する水処理装置。
【請求項2】
前記除去器は、前記第2逆浸透膜ユニットの前段にも設けられ、
前記第2逆浸透膜ユニットは、前記前段に設けられた除去器を通過した第1濃縮水を逆浸透膜により分離する請求項1記載の水処理装置。
【請求項3】
前記除去器は、前記熱処理装置の前段にも設けられ、
前記熱処理装置は、前記前段に設けられた除去器を通過した第2濃縮水に熱処理を施す請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記除去器へ再生液、及び洗浄水を供給する経路を具備する請求項1乃至3のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項5】
前記第1透過水は、前記再生液、及び洗浄水の生成に用いられる請求項4記載の水処理装置。
【請求項6】
前記第1逆浸透膜ユニットの前段に設けられる除去器へ供給された再生液、及び洗浄水が排出される再生廃液を、前記熱処理装置の前段に設けられる除去器へ供給する経路を具備する請求項4
又は5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記除去器へ供給された再生液、及び洗浄水が排出される再生廃液に対し、少なくとも2種類の水処理を実施する処理槽をさらに具備する請求項4
又は5に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記除去器へ供給された再生液、及び洗浄水が排出される再生廃液に対して酸化処理を実施する酸化処理槽と、
前記酸化された再生廃水と、供給される供給水とを混同させて凝集処理を実施する凝集処理槽と、
前記凝集処理後の水に対して生物処理を実施する生物処理槽と、
前記生物処理後の水に対して少なくとも固形分を除去する前処理を施し、前記前処理後の水を前記被処理水として前記第1逆浸透膜ユニットの前段に設けられる除去器へ送出する前処理装置と
をさらに具備する請求項4乃至
6のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項9】
前記除去器へ供給された再生液、及び洗浄水が排出される再生廃液に対して酸化処理を実施する酸化処理槽と、
前記酸化された再生廃水と、供給される供給水とを混同させて凝集処理を実施する凝集処理槽と、
前記凝集処理後の水に対して生物処理を実施する生物処理槽と、
前記生物処理後の水に対して固形分を除去する前処理を施し、前記前処理後の水を前記被処理水として前記第1逆浸透膜ユニットの前段に設けられる除去器へ送出する前処理装置と、
前記第1逆浸透膜ユニットの前段に設けられる除去器を通過した被処理水に対して硬度成分を除去する軟水器と、
前記硬度成分を除去した被処理水に対して炭酸成分を除去する脱気装置と
をさらに具備する請求項4乃至
6のいずれかに記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健全な水循環を実現するための法規制が強化されている。ZLD(Zero Liquid Discharge)は、水質汚染リスクの低減と、排水の再生及び再利用の視点から、工場内で水を再生して利用すると共に、さらに工場から外部に出される排水を0にまで低減することで水環境保全を図るコンセプトである。
【0003】
ところで、逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜を用いた脱塩・濃縮技術は、RO膜プロセスに対し、被処理水を加圧導入し、膜透過した水(脱イオン水)と、濃縮水とを得る基本プロセスから構成されている。本基本プロセスは脱イオン水を取得し、被処理水を濃縮する目的には優れる一方、濃縮水側にはイオン分に加え、被処理水に由来する水溶性有機物も移行する。ZLDを達成しようとすると、水溶性有機物が溶存する濃縮液に対する、蒸発濃縮等の熱処理が必要である。しかしながら、水溶性有機物が溶存する濃縮液に対して蒸発濃縮操作を実施する場合、蒸発濃縮の安定運転のために添加されるスケール防止剤、及び発泡防止剤等の水溶性有機物添加剤の効果が抑制されるリスクが高まる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで目的は、蒸発濃縮処理の対象となる濃縮水への水溶性有機物の移行を抑えることが可能な水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、水処理装置は、除去器、第1逆浸透膜ユニット、第2逆浸透膜ユニット、熱処理装置、及び送水ポンプを備える。除去器は、再生可能な吸着剤が充填され、通過する被処理水中の水溶性有機物を、前記吸着剤により吸着除去する。第1逆浸透膜ユニットは、前記除去器を通過した被処理水を、逆浸透膜により第1濃縮水と第1透過水とに分離する。第2逆浸透膜ユニットは、前記第1逆浸透膜ユニットで分離された第1濃縮水を、逆浸透膜により第2濃縮水と第2透過水とに分離する。熱処理装置は、前記第2逆浸透膜ユニットで分離された第2濃縮水に熱処理を施すことで、前記第2濃縮水に含まれる水分を蒸発させる。送水ポンプは、前記熱処理装置の排熱によって温められた冷却水が所定値の温度を超えた場合に、この冷却水を前記吸着剤の再生のために前記除去器に送る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る水処理装置の機能構成を表すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される除去器がメリーゴーランド形式を採用して設けられる水処理装置の機能構成を表すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される水処理装置のその他の構成を表すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示される水処理装置のその他の構成を表すブロック図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る水処理装置の機能構成を表すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図5に示される水処理装置のその他の機能構成を表すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図5に示される水処理装置のその他の機能構成を表すブロック図である。
【
図8】
図8は、
図5に示される水処理装置のその他の機能構成を表すブロック図である。
【
図9】
図9は、
図5に示される水処理装置のその他の機能構成を表すブロック図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る水処理装置の機能構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る水処理装置1の機能構成の例を表すブロック図である。
図1に示される水処理装置1は、第1逆浸透膜ユニット100、第2逆浸透膜ユニット200、除去器300、昇圧ポンプ400-1,400-2、及び蒸発濃縮器500を備える。
【0010】
除去器300は、例えば、被処理水中の有機物を吸着除去する水処理メディアを内包する吸着塔である。除去器300は、例えば、第1逆浸透膜ユニット100の前段に設けられる。除去器300は、固定床、移動床、及び流動床いずれの形式で実現しても構わない。
【0011】
除去器300に充填される吸着剤は、例えば、被処理水中の水溶性有機成分に応じて選定される。例えば、被処理水中に荷電型有機物が含まれる場合には、逆電荷を有する吸着剤が選定される。また、吸着剤は、例えば、吸着する有機物のサイズに応じた細孔サイズを有する吸着剤が選定される。また、例えば、被処理水中に疎水型水溶性有機物が含まれる場合には、疎水性の吸着剤が選定される。
【0012】
また、吸着剤は、例えば、薬液再生可能な吸着剤により実現される。例えば、アルカリ剤等で再生処理可能な吸着剤が選定される。また、再生薬剤量削減の観点から、温水、及び蒸気等の熱を利用した再生促進が可能な素材を利用した吸着剤を選定することも望ましい。また、吸着剤は、粒径が一定範囲の均質性を持つものから選定されることが望ましい。運転時の流出防止策等を管理対策することが可能となるからである。
【0013】
除去器300で適用可能な吸着剤としては、例えば、スチレン-ジビニルベンゼン共重合多孔体、アクリル-ジビニルベンゼン共重合多孔体、及びフェノール-ホルムアルデヒド縮合物多孔体等が挙げられる。除去器300で有機物が除去された被処理水は、昇圧ポンプ400-1で予め設定された圧力へ昇圧され、第1逆浸透膜ユニット100へ供給される。なお、予め設定した圧力とは、例えば、少なくとも浸透圧よりも高い圧力である。
【0014】
除去器300には、除去器300を迂回可能なバイパス経路3001が設けられている。例えば、除去器300の前段に設けられる装置の稼働率が低い等の理由により被処理水中に溶存している有機物が少ない場合、例えば、バルブ等が操作されることで被処理水がバイパス経路3001へ導出される。被処理水中に溶存している有機物の量は、例えば、除去器300の入口、及び/又は出口に配置される水質計器(図示せず)により測定した水質に基づいて取得される。なお、水質計器としては、例えば、紫外-可視分光度計、及び蛍光式分光光度計等が用いられる。これにより、被処理水中に溶存している有機物が多いときのみ被処理水を除去器300へ供給することが可能となり、吸着剤を効率的に使用することが可能となる。
【0015】
なお、
図1では、除去器300が1つである場合を示しているが、これに限定されない。除去器300は、複数設けられていても構わない。例えば、固定床形式の場合、複数の除去器300により並列多段構成をとってもよいし、直列多段構成として通水順を通水流路変更で対応するメリーゴーランド形式をとってもよい。
【0016】
図2は、除去器300がメリーゴーランド形式を採用して設けられる水処理装置1の構成例を表すブロック図である。
図2に示される水処理装置1では、除去器300-1~300-3が直列して接続され、除去器300-4が待機となっている。除去器300-1~300-4の、例えば、入口、及び/又は出口には水質計器が配置されている。最上位に配置される除去器300-1に設けられる水質計器の測定結果に基づき、除去器300-1の吸着剤を再生するべきだと判断されると、除去器300-1が待機となり、除去器300-4が直列接続に加えられる。このとき、例えば、除去器300-2,300-3,300-4の順で被処理水が通過するように、供給経路が切り替えられる。待機となった除去器300-1には、例えば、再生液が供給され、吸着剤の再生処理が実施される。このように、十分に使用した最上位の除去器300を経路から外して再生処理を実施し、再生処理後の除去器を経路の最下位に配置することで、吸着剤を効率的に使用することが可能となる。また、除去器300を再生する場合であっても、昇圧ポンプ400-1を停止させる必要はない。
【0017】
第1逆浸透膜ユニット100は、高圧に昇圧されて供給された被処理水を、溶存塩類が除去された透過水と、溶存塩類が濃縮された濃縮水とに分離するユニットである。第1逆浸透膜ユニット100は、第2逆浸透膜ユニット200の前段に設けられる。第1逆浸透膜ユニット100は、例えば、圧力容器101、及び圧力容器101内に設置される逆浸透膜エレメント102を備える。逆浸透膜エレメント102は、逆浸透膜1021を備えている。逆浸透膜1021としては、例えば、スパイラル状、及び中空糸状等の膜が用いられる。なお、
図1では、圧力容器101内に1つの逆浸透膜エレメント102が設置されているように表されているが、圧力容器101内に設置される逆浸透膜エレメント102の数は複数であっても構わない。
【0018】
第1逆浸透膜ユニット100は、逆浸透膜1021により分離された高圧の濃縮水を後段へ送出し、逆浸透膜1021により分離された透過水を排出する。第1逆浸透膜ユニット100から送出された濃縮水は、昇圧ポンプ400-2で予め設定された圧力へ昇圧され、第2逆浸透膜ユニット200へ供給される。なお、第1逆浸透膜ユニット100から送出された濃縮水が、例えば、少なくとも浸透圧よりも高い圧力を有している場合には、昇圧ポンプ400-2を設ける必要はない。
【0019】
なお、
図1では、第1逆浸透膜ユニット100が圧力容器101を1つ有する場合を例に示している。しかしながら、これに限定されない。圧力容器101は、被処理水中の溶質濃度、及び被処理水の処理量に応じて複数設けられても構わない。このとき、圧力容器101は、並列配置、直列多段配置、及びこれらの複合形態等の種々の構成をとることが可能である。
【0020】
また、第1逆浸透膜ユニット100には、運転圧、及び装置規模に応じ、動力回収装置が設けられていても構わない。動力回収装置は、第1逆浸透膜ユニット100から送出される、高圧の濃縮水から圧力エネルギーを回収する装置である。
【0021】
また、第1逆浸透膜ユニット100には、被処理水質に応じ、スケール防止剤、酸化還元機能を有するスライム防止剤、洗浄剤、及び/又は洗浄水等の導入経路が設けられていても構わない。このとき、例えば、第1逆浸透膜ユニット100の入口に水質計を配置する。そして、この水質計器により測定される水質に基づいて導入経路を操作することで、スケール防止剤、及びスライム防止剤の添加操作、及び第1逆浸透膜ユニット100の洗浄操作を実施する。
【0022】
第2逆浸透膜ユニット200は、高圧に昇圧されて供給された濃縮水を、溶存塩類が除去された透過水と、溶存塩類がさらに濃縮された濃縮水とに分離するユニットである。第2逆浸透膜ユニット200は、蒸発濃縮器500の前段に設けられる。第2逆浸透膜ユニット200は、例えば、圧力容器201、及び圧力容器201内に設置される逆浸透膜エレメント202を備える。逆浸透膜エレメント202は、逆浸透膜2021を備えている。なお、
図1では、圧力容器201内に1つの逆浸透膜エレメント202が設置されているように表されているが、圧力容器201内に設置される逆浸透膜エレメント202の数は複数であっても構わない。
【0023】
第2逆浸透膜ユニット200は、逆浸透膜2021により分離された高圧の濃縮水を後段へ送出し、逆浸透膜2021により分離された透過水を排出する。第2逆浸透膜ユニット200から送出された濃縮水は、蒸発濃縮器500へ供給される。なお、第2逆浸透膜ユニット200は、濃縮液内部循環を形成するようにしてもよい。すなわち、第2逆浸透膜ユニット200から送出された濃縮水の一部を循環させ、第2逆浸透膜ユニット200へ供給してもよい。
【0024】
蒸発濃縮器500は、水溶性有機物を含む濃縮液に対する熱処理プロセスを実施する熱処理装置の一例であり、例えば、蒸発濃縮を実施する装置である。蒸発濃縮器500は、第2逆浸透膜ユニット200から供給される濃縮水に由来する水分を蒸発させ、蒸発残渣と蒸発水とを発生させる。蒸発濃縮器500は、例えば、蒸発缶を利用した構成、加熱用蒸気を利用した構成、及びスプレードライヤ等の既往のシステムを利用した構成等により実現される。蒸発缶としては、例えば、単純効用缶、及び多段効用缶が用いられてもよい。加熱用蒸気を利用した構成としては、例えば、TVR(Thermo-Vapor Recompression)形式、MVR(Mechanical Vapor Recompression)形式、及びヒートポンプ等を利用した構成が挙げられる。なお、蒸発濃縮器500は、蒸発残渣の生成に応じ、遠心分離機、及び固液分離器の追加構成を取ってもよい。また、蒸発濃縮促進のため、消泡剤、及びスケール防止剤等の薬液添加機構を設けても構わない。
【0025】
次に、以上のように構成された水処理装置1の動作を説明する。
まず、水溶性有機物を含む被処理水が除去器300に供給される。除去器300に供給された被処理水は、除去器300を通過し、除去器300の内部に充填されている吸着剤と接触する。これにより、被処理水に溶解されている有機物が吸着剤に吸着される。除去器300を通過した被処理水は、昇圧ポンプ400-1により昇圧され、第1逆浸透膜ユニット100へ供給される。
【0026】
第1逆浸透膜ユニット100へ供給された被処理水は、逆浸透膜1021で、透過水と、濃縮水とに分離される。逆浸透膜1021で分離された濃縮水は、昇圧ポンプ400-2により昇圧され、第2逆浸透膜ユニット200へ供給される。逆浸透膜1021で分離された透過水は排出される。
【0027】
第2逆浸透膜ユニット200へ供給された濃縮水は、逆浸透膜2021で、透過水と、さらに濃縮された濃縮水とに分離される。逆浸透膜2021で分離された濃縮水は、蒸発濃縮器500へ供給される。逆浸透膜2021で分離された透過水は排出される。
【0028】
蒸発濃縮器50へ供給された濃縮水は水分が蒸発され、蒸発残渣と蒸発水とに分離される。
【0029】
以上のように、第1の実施形態では、第1逆浸透膜ユニット100の前段に除去器300を設けるようにしている。これにより、被処理水中の溶質のうち、第1逆浸透膜ユニット100への水溶性有機物の導入が軽減されることになり、逆浸透膜1021への有機物の付着、及び水溶性有機物に由来する生分解成分に基づいた膜面上での微生物繁殖が抑制される。このため、逆浸透膜処理が適切に運用されることになる。また、第1逆浸透膜ユニット100でスライム防止剤を添加する場合、被処理水中の水溶性有機物との酸化還元による薬液成分浪費を抑制することが可能となる。また、蒸発濃縮器500へ導入される水溶性有機物が抑制されるため、蒸発濃縮器500での水溶液有機物に起因する発泡等が抑制され、かつ水溶性有機物から構成される消泡剤、及びスケール防止剤の薬液成分の機能を適切に利用することが可能となる。
【0030】
また、第1の実施形態では、除去器300に充填される吸着剤として、例えば、薬液再生可能な吸着剤を用いるようにしている。これにより、例えば、水溶性有機物対策が活性炭吸着塔のみの場合と比較し、除去器300のランニングコストを低下させることが可能となる。
【0031】
なお、
図1では、第1逆浸透膜ユニット100の前段に除去器300が設けられる場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。除去器300は、第2逆浸透膜ユニット200の前段、及び/又は蒸発濃縮器500の前段に設けられていても構わない。
【0032】
図3は、
図1に示される水処理装置1のその他の構成例を表すブロック図である。
図3に示される水処理装置1によれば、除去器300-2が第2逆浸透膜ユニット200の前段に設けられている。除去器300-1に充填される吸着剤と、除去器300-2に充填される吸着剤とは、同じものであってもよいし、異なっていても構わない。
【0033】
図3に示される水処理装置1において、第1逆浸透膜ユニット100の逆浸透膜1021で分離された濃縮水は、除去器300-2へ供給される。除去器300-2に供給された濃縮水は、除去器300-2を通過し、除去器300-2の内部に充填されている吸着剤と接触する。除去器300-2を通過した濃縮水は、昇圧ポンプ400-2により昇圧され、第2逆浸透膜ユニット200へ供給される。これにより、被処理水中の溶質のうち、第2逆浸透膜ユニット200への水溶性有機物の導入がさらに軽減される。
【0034】
図4は、
図1に示される水処理装置1のその他の構成例を表すブロック図である。
図4に示される水処理装置1によれば、除去器300-2が第2逆浸透膜ユニット200の前段に設けられ、除去器300-3が蒸発濃縮器50の前段に設けられている。除去器300-1~300-3に充填される吸着剤は、同じものであってもよいし、それぞれ異なっていても構わない。
【0035】
図4に示される水処理装置1において、第2逆浸透膜ユニット200の逆浸透膜2021で分離された濃縮水は、除去器300-3へ供給される。除去器300-3に供給された濃縮水は、除去器300-3を通過し、除去器300-3の内部に充填されている吸着剤と接触する。除去器300-3を通過した濃縮水は、蒸発濃縮器50へ供給される。これにより、蒸発濃縮器50へ導入される水溶性有機物がさらに抑制される。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、除去器300に吸着剤を再生させるための再生液を供給する経路と、洗浄水を供給する経路とが設けられた水処理装置1aについて説明する。
図5は、第2の実施形態に係る水処理装置1aの機能構成の例を表すブロック図である。
図5に示される水処理装置1aは、第1逆浸透膜ユニット100、第2逆浸透膜ユニット200、除去器300-1~300-3、昇圧ポンプ400-1,400-2、蒸発濃縮器500、再生液タンク600、再生液導入経路601、第1送水ポンプ602、洗浄水タンク700、洗浄水導入経路701、及び第2送水ポンプ702を備える。
【0037】
再生液タンク600は、再生液を蓄えるためのタンクである。再生液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、及び水酸化カリウム水溶液等のアルカリ金属塩の水溶液が用いられる。再生液導入経路601は、再生液タンク600に蓄えられている再生液を除去器300-1~300-3へ導入するための経路である。第1送水ポンプ602は、再生液タンク600に蓄えられている再生液を、再生液導入経路601へ送出する。
【0038】
洗浄水タンク700は、洗浄水を蓄えるためのタンクである。洗浄水導入経路701は、洗浄水タンク700に蓄えられている洗浄水を除去器300-1~300-3へ導入するための経路である。第2送水ポンプ702は、洗浄水タンク700に蓄えられている洗浄水を、洗浄水導入経路701へ送出する。
【0039】
次に、以上のように構成された水処理装置1aにおいて、除去器300-1~300-3の吸着剤が再生される際の動作を説明する。なお、ここで説明する動作は、図示しない制御装置の制御に従って実施されてもよいし、オペレータの制御に従って実施されてもよい。
【0040】
例えば、除去器300-1~300-3の入口、及び/又は出口に水質計器が配置されている。少なくともいずれかの水質計器の測定結果が例えば所定の閾値を超える場合、除去器300-1への被処理水の供給が停止される。除去器300-1への被処理水の供給が停止されると、測定結果が閾値を超えた除去器300と対応する第1送水ポンプ602が駆動される。これにより、再生液タンク600に蓄えられている再生液が、再生液導入経路601を介し、測定結果が閾値を超えた除去器300へ供給される。再生液が供給された除去器300の内部では、吸着剤に吸着された有機物が再生液により洗浄される。除去器300に供給された再生液は、廃液経路から排出される。
【0041】
除去器300から再生液が排出されると、再生液が排出された除去器300と対応する第2送水ポンプ702が駆動される。これにより、洗浄水タンク700に蓄えられている洗浄水が、洗浄水導入経路701を介し、再生液が排出された除去器300へ供給される。洗浄水が供給された除去器300の内部では、再生液のアルカリ成分が洗浄水により洗浄される。除去器300に供給された洗浄水は、廃液経路から排出される。除去器300から洗浄水が排出されると、除去器300の再生処理が終了となり、除去器300-1への被処理水の供給が再開される。なお、除去器300-1~300-3の吸着剤の再生処理は、同時に実施されても構わない。
【0042】
以上のように、第2の実施形態では、水処理装置1aは、除去器300へ再生液を供給するための再生液タンク600、再生液導入経路601、及び第1送水ポンプ602と、洗浄水を供給するための洗浄水タンク700、洗浄水導入経路701、及び第2送水ポンプ702とを有している。これにより、再生が必要な除去器を一括して管理することが可能となる。
【0043】
なお、
図5に示される水処理装置1aは、
図4の水処理装置1に、再生液タンク600、再生液導入経路601、第1送水ポンプ602、洗浄水タンク700、洗浄水導入経路701、及び第2送水ポンプ702が加えられた構成となっている。第2の実施形態に係る水処理装置1aは、この構成に限定されない。例えば、
図1乃至
図3の水処理装置1に再生液タンク600、再生液導入経路601、第1送水ポンプ602、洗浄水タンク700、洗浄水導入経路701、及び第2送水ポンプ702が加えられた構成となっていても構わない。
【0044】
また、第2の実施形態では、水処理装置1aが再生液を供給するための再生液導入経路601と、洗浄水を供給するための洗浄水導入経路701とを独立して備える場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。水処理装置1aでは、再生液導入経路601と、洗浄水導入経路701とが共有されていても構わない。
【0045】
また、第2の実施形態では、水処理装置1aが、除去器300-1~300-3をそれぞれ1台有する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。除去器300-1~300-3は、複数台ずつ設けられていても構わない。
図6は、
図5に示される水処理装置1aのその他の機能構成の例を表すブロック図である。
図6に示される水処理装置1aでは、除去器301-1~301-3が、除去器300-1~300-3とそれぞれ並列して設けられている。なお、除去器301-1~301-3は、除去器300-1~300-3とそれぞれメリーゴーランド形式をとっていても構わない。
【0046】
図6は、除去器300-1~300-3へ前段から被処理水が供給され、待機中の除去器301-1~301-3へ再生液、及び洗浄水が供給される場合を示している。なお、
図6では図面の簡略化のため、除去器300-1~300-3へ接続される再生液導入経路601、及び洗浄水導入経路701を図示していない。
【0047】
図6のように構成された水処理装置1aにおいて、除去器300-1~300-3,301-1~301-3の吸着剤が再生される際の動作は例えば以下である。すなわち、例えば、被処理水を通過させている除去器300-1の水質計器が異常値を計測した場合、バルブ等が操作されることで除去器301-1へ被処理水が導出される。これにより、除去器300-1への被処理水の供給が停止され、除去器301-1を被処理水が通過することになる。そして、被処理水の供給が停止された除去器300-1へは、再生液、及び洗浄水が供給され、吸着剤の再生処理が実施される。なお、被処理水の供給が停止されている除去器300が複数ある場合、停止されている複数の除去器300の吸着剤の再生処理が同時に実施されても構わない。
【0048】
このように、除去器を複数ずつ設けることにより、一方の除去器で被処理水中の有機物を吸着しつつ、他方の除去器の吸着剤に対して再生処理を実施することが可能となる。すなわち、被処理水の供給を停止させることなく、除去器の吸着剤の再生処理を実施することが可能となる。
【0049】
また、第2の実施形態に係る水処理装置1aの構成は、
図5及び
図6に限定されない。例えば、蒸発濃縮器500から除去器300-1~300-3,301-1~301-3へ、熱導入経路が設けられていても構わない。
図7は、
図5に示される水処理装置1aのその他の機能構成の例を表すブロック図である。
図7に示される水処理装置1aには、熱導入経路501、及び第3送水ポンプ502が設けられている。なお、
図7では図面の簡略化のため、除去器300-1~300-3へ接続される熱導入経路501を図示していない。
【0050】
熱導入経路501は、蒸発濃縮器500を冷却するための水を除去器300-1~300-3,301-1~301-3へ導入するための経路である。第3送水ポンプ502は、蒸発濃縮器500の排熱で温められた水を熱導入経路501へ送出する。
【0051】
第3送水ポンプ502は、所定のタイミングで熱導入経路501へ水を送出する。所定のタイミングとは、例えば、他方の除去器への導出に経路が切り替えられたとき、第1送水ポンプ602が再生液を再生液導入経路601へ送出したとき、第2送水ポンプ702が洗浄水を洗浄水導入経路701へ送出したとき、及び蒸発濃縮器500の排熱で温められた水の温度が所定値を超えたとき等である。
【0052】
除去器300-1~300-3,301-1~301-3に充填される吸着剤は、被処理水中の水溶性有機成分、有機物のサイズ、及び加温操作による洗浄効果の向上の有無に応じて選定される。
【0053】
このように、蒸発濃縮器500からの排熱を利用して除去器へ供給する水の温度を上げることにより、水を昇温させるエネルギーを省くことが可能となる。また、昇温された水で吸着剤の再生処理を促進させることにより、再生液等の薬剤消費量を抑えることが可能となる。
【0054】
なお、
図7では、蒸発濃縮器500の排熱で温められた水が熱導入経路501を経て除去器300-1~300-3,301-1~301-3へ導入される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。蒸発濃縮器500の排熱は、再生液、及び/又は洗浄水の温度を上昇させるのに用いられても構わない。
【0055】
また、例えば、第1逆浸透膜ユニット100の排水経路が、再生液タンク600、洗浄水タンク700、及び熱導入経路501と接続していても構わない。
図8は、
図5に示される水処理装置1aのその他の機能構成の例を表すブロック図である。
図8に示される水処理装置1aには、水補給経路103、及び第4送水ポンプ104が設けられている。
【0056】
水補給経路103は、第1逆浸透膜ユニット100の逆浸透膜1021により分離されて排出された透過水を、再生液タンク600、洗浄水タンク700、及び熱導入経路501へ供給するための経路である。第4送水ポンプ104は、第1逆浸透膜ユニット100から排出された透過水を、水補給経路103へ送出する。
【0057】
このように、第1逆浸透膜ユニット100から排出される透過水を再生液タンク600、及び洗浄水タンク700へ供給することで、例えば、再生液、及び洗浄水を、透過水を用いて生成することが可能となる。また、第1逆浸透膜ユニット100から排出される透過水を、熱導入経路501へ供給することで、例えば、熱導入経路501における熱媒体を、透過水を利用して賄うことが可能となる。これにより、水処理装置1aへの水補給量を削減することが可能となる。
【0058】
また、例えば、除去器300-1,301-1の排水経路が、除去器300-3,301-3と接続していても構わない。
図9は、
図5に示される水処理装置1aのその他の機能構成の例を表すブロック図である。
図9に示される水処理装置1aには、第2再生液導入経路603、及び第5送水ポンプ604が設けられている。
【0059】
第2再生液導入経路603は、除去器300-1,301-1から排出された再生液を除去器300-3,301-3へ導入するための経路である。第5送水ポンプ604は、除去器300-1,301-1から排出された再生液を、第2再生液導入経路603へ送出する。
【0060】
図9のように構成された水処理装置1aにおいて、除去器300-3,301-3の吸着剤が再生される際の動作は例えば以下である。例えば、除去器300-1~300-3へ被処理水が供給され、除去器301-1~301-3は待機状態にあるものとする。このとき、例えば、オペレータからの指示、又は所定時間への到達等をトリガとして除去器301-1~301-3の吸着剤の再生処理が開始される。
【0061】
再生処理が開始されると、除去器301-1,301-2と対応する第1送水ポンプ602-1,602-2、及び第5送水ポンプ604が駆動される。第1送水ポンプ602-1,602-2が駆動されることにより、再生液タンク600に蓄えられている再生液が、再生液導入経路601-1を介して除去器301-1へ供給され、再生液導入経路601-2を介して除去器301-2へ供給される。再生液が供給された除去器301-1,301-2の内部では、吸着剤に吸着された有機物が再生液により洗浄される。除去器301-1,301-2に供給された再生液は、廃液経路から排出される。
【0062】
また、第5送水ポンプ604が駆動されることにより、除去器301-1から排出された再生液が第2再生液導入経路603を介して除去器301-3へ供給される。再利用された再生液が供給された除去器301-3の内部では、吸着剤に吸着された有機物が洗浄される。
【0063】
第5送水ポンプ604が駆動されてから予め設定された時間が経過すると、第5送水ポンプ604は停止され、第1送水ポンプ602-3が駆動される。第1送水ポンプ602-3が駆動されることにより、再生液タンク600に蓄えられている再生液が、再生液導入経路601-3を介して除去器301-3へ供給される。再生液が供給された除去器301-3の内部では、吸着剤に吸着された有機物が再生液により洗浄される。
【0064】
このように、除去器300-1,301-1から排出された再生液で除去器300-3,301-3をまず洗浄する。そして、その後に再生液タンク600に蓄えられている再生液で除去器300-3,301-3を洗浄する。後段で用いられる除去器300-3,301-3の吸着剤の方が、前段で用いられる除去器300-1,301-1の吸着剤よりも吸着している有機物が少ないことがある。第2の実施形態に係る水処理装置1aは、除去器300-1,300-2,300-3,301-1,301-2,301-3の吸着剤を再生させつつ、再生液の供給量を削減することが可能となる。
【0065】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、除去器300-1,300-2,300-3,301-1,301-2,301-3から排出される再生廃水中の有機物を処理する水処理装置1bについて説明する。
図10は、第3の実施形態に係る水処理装置1bの機能構成の例を表すブロック図である。
図10に示される水処理装置1bは、第1逆浸透膜ユニット100、第2逆浸透膜ユニット200、除去器300-1~300-3,301-1~301-3、昇圧ポンプ400-1,400-2、蒸発濃縮器500、再生液タンク600、再生液導入経路601、第1送水ポンプ602、洗浄水タンク700、洗浄水導入経路701、第2送水ポンプ702、熱導入経路501、第3送水ポンプ502、再生廃液導入経路302、第6送水ポンプ303、酸化処理槽801、凝集処理槽802、及び生物処理槽803を備える。
【0066】
再生廃液導入経路302は、除去器300-1~300-3,301-1~301-3から排出された再生液及び洗浄水等の再生廃液を酸化処理槽801へ導入するための経路である。第6送水ポンプ303は、除去器300-1~300-3,301-1~301-3から排出された再生廃液を、再生廃液導入経路302へ送出する。
【0067】
酸化処理槽801は、再生廃液に由来する水溶性有機物を酸化させるための槽である。酸化処理槽801は、例えば、オゾン法、フェントン法、オゾン-過酸化水素法、UV(Ultra Violet)法、塩素法、塩素電解法、及びこれらの酸化手段の組み合わせた方法を用いて実現される。除去器300-1~300-3,301-1~301-3から再生廃液導入経路302を介して供給される再生廃液は、酸化処理槽801で酸化され、再生廃液に含まれる水溶性有機物が、例えば、親水化、及び/又は低分子化される。
【0068】
凝集処理槽802は、再生廃液に由来する水溶性有機物を凝集させて沈降させた後、除去するための槽である。凝集処理槽802では、例えば、鉄塩又はアルミニウム塩を含む無機系凝集剤、又は高分子凝集剤が添加される。高分子凝集剤を添加する場合には、pH調整剤又は凝集助剤を添加してもよい。凝集処理槽802は、例えば、有機物を凝集させてフロックを形成させるための凝集槽と、凝集されて沈降されたフロックを除去するための沈殿槽とを有する。凝集槽、及び沈殿槽は複数多段に設けてよい。凝集槽には、フロックを効率的に形成させるための撹拌機構が設けられていてもよい。酸化処理槽801から送出される再生廃液に含まれる水溶性有機物のうち、凝集剤吸着・共沈作用を有する成分は、凝集処理槽802で除去される。
【0069】
なお、凝集処理槽802には、炭酸ガス、及び/又は炭酸イオン成分等の導入経路が設けられていても構わない。これにより、凝集処理槽802において、液中の硬度成分の沈殿物、及びシリカ成分の沈殿物を除去することが可能となり、液中の硬度成分、及びシリカ成分の低減を図ることが可能となる。
【0070】
生物処理槽803は、再生廃液に由来する水溶性有機物を、分解し除去するための槽である。生物処理槽803は、例えば、好気槽、及び/又は嫌気槽を有する。また、生物処理槽803は、有機物負荷に応じて生物担体法、バイオリアクター法、及び膜分離法等を適用しても構わない。酸化処理槽801、及び凝集処理槽802で除去されなかった残留成分は、生物処理槽803での生物処理により分解されて除去される。
【0071】
なお、
図10では、水処理装置1bが酸化処理槽801、凝集処理槽802、及び生物処理槽803を備える場合を例に説明したが、これに限定されない。水処理装置1bは、酸化処理槽801、凝集処理槽802、及び生物処理槽803のうち、少なくとも2種類を備えていればよい。
【0072】
以上のように、第3の実施形態では、酸化処理槽801、凝集処理槽802、及び生物処理槽803等の再生廃液処理槽のうち、少なくとも2種類を備え、これらの再生廃液処理槽により、除去器300から排出される再生廃液を処理するようにしている。これにより、2種類以上の異なる処理手段で再生廃液を処理することが可能となるため、再生廃液中の有機物を適切に処理することが可能となる。
【0073】
なお、
図10に示される水処理装置1bは、
図7の水処理装置1aに、再生廃液導入経路302、第6送水ポンプ303、酸化処理槽801、凝集処理槽802、及び生物処理槽803が加えられた構成となっている。第3の実施形態に係る水処理装置1bは、この構成に限定されない。例えば、
図1乃至
図4の水処理装置1、並びに、
図5、
図6、
図8、及び
図9の水処理装置1aに再生廃液導入経路302、第6送水ポンプ303、酸化処理槽801、凝集処理槽802、及び生物処理槽803が加えられた構成となっていても構わない。
【0074】
また、第3の実施形態に係る水処理装置1bの構成は、
図10に限定されない。例えば、水処理装置1bは、再生廃液を処理した処理水を、被処理水として除去器300-1~300-3、又は除去器301-1~301-3に取り込んでも構わない。
図11は、
図10に示される水処理装置1bのその他の機能構成の例を表すブロック図である。
図11に示される水処理装置1bには、凝集処理槽802へ供給水を導入する導入経路804と、膜処理装置805、軟水器806、及び脱気装置807とをさらに備えている。膜処理装置805、軟水器806、及び脱気装置807は、生物処理槽803の後段に設けられている。
【0075】
導入経路804により導入される供給水は、酸化された再生廃水と凝集処理槽802で混同され、凝集処理槽802で合一して処理される。凝集処理槽802で処理された処理水は、生物処理槽803、膜処理装置805、軟水器806、及び脱気装置807でさらに処理され、被処理水として除去器300-1、又は除去器301-1へ送出される。
【0076】
膜処理装置805は、生物処理槽803で処理された処理水をろ過する。膜処理装置805は、例えば、精密ろ過(MF:Microfiltration)膜、限外ろ過(UF:Ultrafiltration)膜、及びMBR(Membrane Bioreactor)法等の膜分離技術を用いて実現される。なお、生物処理槽803で膜分離活性汚泥法等が導入されている場合には、膜処理装置805の少なくとも一部が、生物処理槽803で含まれるようにしても構わない。
【0077】
軟水器806は、膜処理装置805でろ過されたろ過水に含まれる硬度成分をナトリウムイオンに置換して軟水を製造する。軟水器806は、例えば、陽イオン交換樹脂を用いて実現される。陽イオン交換樹脂は、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂、又はこれらの組み合わせから構成される。なお、軟水器806の処理系統のうち少なくとも1系統以上は、マクロポーラス型樹脂を用いて実現されることが望ましい。マクロポーラス型樹脂を用いることにより、マクロポーラス型樹脂の細孔の一部により、有機物を吸着することが可能となる。
【0078】
脱気装置807は、軟水器806で軟水化された液中の溶解炭酸成分を除去する。脱気装置807は、例えば、軟水化された液中の溶存炭酸成分を分離可能な手段から選定される。例えば、脱気装置807は、散気塔、及びガス分離膜等を用いて実現される。脱気装置807で溶存炭酸成分が除去された液体は、被処理水として除去器300-1、又は除去器301-1へ供給される。
【0079】
このように、導入経路804を介して供給される供給水と、酸化された再生廃水とは、凝集処理槽802で合一して処理される。このため、凝集処理槽802では、導入経路804を介して供給される供給水に含まれるアルカリ性沈殿成分が、アルカリ薬剤に由来する再生廃液の酸化処理水と混合されることになる。すなわち、アルカリ性沈殿成分をアルカリ剤として利用することが可能となる。
また、供給水由来の有機物が生物処理槽803で処理されるようになっている。酸化処理槽801で酸化された再生廃液のみが生物処理槽803へ供給される場合、生物処理槽803は、再生廃液の発生頻度に応じた生物処理の負荷変動に対応しなければならない。供給水由来の有機物が生物処理槽803で処理されることにより、生物処理の負荷変動が低減され、生物処理槽803の管理が容易となる。
【0080】
また、導入経路804により導入される供給水と、酸化された再生廃水とは、凝集処理槽802、生物処理槽803、膜処理装置805、軟水器806、及び脱気装置807を経て被処理水として除去器300-1、又は除去器301-1へ供給され、残存している有機物が除去される。これにより、逆浸透膜におけるスケールの発生原因となる成分を事前に除去し、被処理水の蒸発濃縮処理を適切に運用しつつ、除去器300-1~300-3,301-1~301-3による浄化処理を合理化させることが可能となる。また、第1、第2逆浸透膜ユニット100,200、及び蒸発濃縮器500で用いられる薬液を有効利用することが可能となる。
【0081】
なお、
図11では、膜処理装置805、軟水器806、及び脱気装置807の前処理装置を備え、除去器300-1,301-1へ、固形分、硬度成分、及び炭酸成分を除去する前処理を施した被処理水を供給する例を示している。しかしながら、除去器300-1,301-1の前段に設けられる装置はこれらに限定されない。膜処理装置805、軟水器806、及び脱気装置807のうち、いずれかが設けられなくても構わないし、他の装置が設けられても構わない。また、除去器300-1,301-1の前段に膜処理装置805が設けられ、軟水器806、及び脱気装置807は、除去器300-1,301-1の後段へ設けられていても構わない。
【0082】
図12は、
図10に示される水処理装置1bのその他の機能構成の例を表すブロック図である。
図12に示される水処理装置1bでは、軟水器806a、及び脱気装置807aが、除去器300-1,301-1の後段に設けられている。
図12で示されるように、軟水器806a、及び脱気装置807aを除去器300-1,301-1の後段に配することにより、軟水器806aに充填されるイオン交換樹脂への有機物付着を抑制することが可能となる。また、軟水器806a、及び脱気装置807aを介した液を第1逆浸透膜ユニット100へ導入する場合、高pH環境での膜スケール成分が低減されているため、逆浸透膜を、中性以上の環境で運用することも可能となる。
【0083】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、水処理装置1,1a,1bは、蒸発濃縮処理の対象となる濃縮水への水溶性有機物の移行を抑えることができる。また、逆浸透膜処理、及び蒸発濃縮処理の被処理水に対して有機物の負荷を軽減できるため、被処理水の濃縮操作が適切に運用され、使用薬剤の浪費を削減することができる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
1,1a,1b…水処理装置
50…蒸発濃縮器
100…第1逆浸透膜ユニット
101…圧力容器
102…逆浸透膜エレメント
1021…逆浸透膜
103…水補給経路
104…第4送水ポンプ
200…第2逆浸透膜ユニット
201…圧力容器
202…逆浸透膜エレメント
2021…逆浸透膜
300,300-1~300-4…除去器
3001…バイパス経路
301-1~301-3…除去器
302…再生廃液導入経路
303…第6送水ポンプ
400-1,400-2…昇圧ポンプ
500…蒸発濃縮器
501…熱導入経路
502…第3送水ポンプ
600…再生液タンク
601,601-1~601-3…再生液導入経路
602,602-1~602-3…第1送水ポンプ
603…再生液導入経路
604…第5送水ポンプ
700…洗浄水タンク
701…洗浄水導入経路
702…第2送水ポンプ
801…酸化処理槽
802…凝集処理槽
803…生物処理槽
804…導入経路
805…膜処理装置
806,806a…軟水器
807,807a…脱気装置