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特許7366534食道に対する心臓カテーテルの近接の推定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】食道に対する心臓カテーテルの近接の推定
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/095 20060101AFI20231016BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A61M25/095
A61B18/14
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018232295
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2019103808
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】15/840,980
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0202678(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0078325(US,A1)
【文献】特開2009-162921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/095
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
プロセッサであって、前記プロセッサが、
患者の食道の少なくとも一部と心臓の少なくとも一部を撮影した1つ以上の医用画像を受信し、
前記患者の前記心臓内の組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを適用する1つ以上の電極の、鉛直軸を有する座標系での位置を受信し、
前記1つ以上の電極の前記位置を、受信した前記1つ以上の医用画像に登録し、
かつ、
前記登録した位置と前記1つ以上の医用画像に基づいて、前記鉛直軸に沿った前記患者の前記食道前記電極の間のそれぞれの垂直距離のうち、1つ以上の最小垂直距離のサブセットを計算するように構成されている、プロセッサと、
前記最小垂直距離のそれぞれの値をユーザーに提示するように構成されている、出力デバイスと、を含む、装置。
【請求項2】
前記最小垂直距離のサブセットが単一の最小垂直距離からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記最小垂直距離のサブセットに応答して、前記1つ以上の電極のRFアブレーションパラメータを調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサ及び前記出力デバイスが、それぞれ所定の割合で又は要求によって、前記1つ以上の最小垂直距離を計算し、前記最小垂直距離の前記それぞれの値をユーザーに提示するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記1つ以上の電極に連結された位置センサの推定される位置及び向きに基づいて、前記1つ以上の電極の前記位置を計算するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、同日に出願された「Graphical User Interface(GUI)for Displaying Estimated Cardiac Catheter Proximity to the Esophagus」と題する代理人整理番号第1002-1702号の米国特許出願に関連し、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般に、侵襲的な医療装置及び処置方法、具体的には、生体内のアブレーションプローブの位置のモニタリングに関する。
【背景技術】
【0003】
生体内に置かれた物体に関するリアルタイムの空間情報を取得するためのシステムは、侵襲的治療のモニタリングに利用されることが多い。モニタリングは、別の撮像様式によって撮られた医用画像への空間情報の登録を伴う場合がある。例えば、米国特許出願公開第2008/0085042号は、被検者の体内の器官付近の第1の三次元(3D)画像を受信することと、器官付近の第1の3D画像で管状構造の幾何学的モデルを生成することと、を含む、撮像のための方法を記載している。侵襲性プローブを器官に挿入し、侵襲性プローブを使用して、器官を含む第2の3D画像を捕捉する。侵襲性プローブを使用して、1つ以上の点を管状構造の表面上で特定し、1つ以上の点を幾何学的モデルに一致させることによって、第2の3D画像を第1の3D画像に登録する。
【0004】
別の例として、米国特許出願公開第2007/0225593号は、可視化システムによって撮像されたときの食道の可視化を向上させるためのデバイスを記載している。このデバイスは、可視化システムによって撮像されたときに明瞭に視認される材料を含む構造を含む。この構造は、食道に挿入されたときに、可視化システムによって撮像されたときの表面の可視化品質を向上させるため、食道の内面に適合するように膨張するよう、構成されている。構造に取り付けられたコードは、食道からのデバイスの除去を補助するため、食道から延出するように構成されている。
【0005】
米国特許第8,456,182号には、体電極を患者の身体とガルバニック接触させて配置することと、マッピング電極を有するマッピングツールを身体の複数の領域に配置することと、を含む方法が記載されている。この方法は、位置測定システムを使用して複数の領域のそれぞれの異なる位置のマッピングツールを追跡することと、各領域につき、領域内の異なる位置における体電極とマッピング電極との間に、それぞれの較正電流セットを発生させることと、を更に含む。各領域につき、それぞれの較正電流セットと異なる位置との間で、それぞれの関係が導出され、異なるそれぞれの関係及び検査ツールの電流に応じて検査ツールの位置を決定するのに使用される。
【0006】
米国特許出願公開第2006/0116576号には、心臓に対して医療用プローブをナビゲートするためのシステム及び方法が記載されている。目的の解剖学的領域(処置の標的となる組織、又は処置の標的ではない組織など)を表す印(点又は線など)は、解剖学的身体の表示図上に示される。医療用プローブ及び印の位置は、三次元座標システム内、及びこれらの位置に基づいて判定される医療用プローブと印との間の近接内で決定される。この近接は、次いで、例えば、グラフィックス、テキスト、又は可聴音を使用して、ユーザーに示され得る。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0049817号は、位置情報のみを使用するのではなく、マップ及び画像内の生理的又は機能的情報を使用した、三次元画像のセグメンテーションと、電子解剖学マップへの画像の登録と、を伴う、画像にマップを登録するためのシステム及び方法を記載している。本発明の典型的な用途は、予め獲得した又はリアルタイムの三次元画像への心臓の電気解剖学的マップの登録を伴う。電気解剖学的マップ内の健康組織より典型的に低い電圧を呈する心臓内の瘢痕組織などの特徴を、三次元画像及びマップ上で局在化し、正確に描写することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、プロセッサと出力デバイスとを含む装置を提供する。プロセッサは、患者の心臓内の組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを適用する1つ以上の電極の、垂直軸を有する座標系での心臓内における位置を受信するように構成されている。プロセッサは更に、受信した位置に基づいて、垂直軸に沿った患者の食道より上方の電極のそれぞれの高さのうち、1つ以上の最小高さのサブセットを計算するように構成されている。出力デバイスは、最小高さの指標をユーザーに提示するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、最小高さのサブセットは、単一の最小高さからなる。
【0010】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、最小高さのサブセットに応答して1つ以上の電極のRFアブレーションパラメータを調整するように構成されている。
【0011】
一実施形態では、プロセッサ及び出力デバイスは、それぞれ所定の割合で又は要求によって、1つ以上の最小高さを計算し、最小高さの指標をユーザーに提示するように構成されている。
【0012】
別の実施形態では、プロセッサは、食道の少なくとも一部及び心臓の少なくとも一部を画像化する1つ以上の医用画像を受信するように、かつ位置及び医用画像に基づいて最小高さのサブセットを計算するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、出力デバイスは、最小高さのそれぞれの値をユーザーに提示するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の電極に連結された位置センサの推定される位置及び向きに基づいて、1つ以上の電極の位置を計算するように構成されている。
【0015】
本発明の実施形態による、プロセッサにおいて、患者の心臓内の組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを適用する1つ以上の電極の、垂直軸を有する座標系での心臓内における位置を受信することを含む方法が、追加的に提供される。受信した位置に基づいて、垂直軸に沿った患者の食道より上方の電極のそれぞれの高さのうち、1つ以上の最小高さのサブセットが計算される。最小高さの指標がユーザーに提示される。
【0016】
本発明の別の実施形態は、プロセッサと出力デバイスとを含む装置を提供する。プロセッサは、患者の心臓内の組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを適用する1つ以上の電極の、垂直軸を有する座標系での心臓内における位置を受信するように構成されている。プロセッサは、患者の心臓内の組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを適用する1つ以上の電極の、垂直軸を有する座標系での心臓内における位置を受信し、受信した位置に基づいて、垂直線に沿って患者の食道より上方の電極のそれぞれの高さのうち、1つ以上の最小高さのサブセットを計算し、かつ、食道より上方の電極及びそれぞれの高さを可視化するグラフィカルユーザーインターフェースを生成するように更に構成されている。出力デバイスは、グラフィカルユーザーインターフェースをユーザーに提示するように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェースは、1つ以上の電極の幾何学的配置を表示する図形を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電極の幾何学的配置は、食道に対する電極の実際の物理的配置を可視化する。
【0019】
一実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェースは、電極ごとにそれぞれの識別子を表示する。
【0020】
別の実施形態では、プロセッサは、所定の割合で又は要求によって、グラフィカルユーザーインターフェースを更新するように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、食道の少なくとも一部及び心臓の少なくとも一部を画像化する1つ以上の医用画像を受信し、かつ位置及び医用画像に基づいて最小高さのサブセットを計算するように構成されている。プロセッサは、最小高さのサブセットのうち、それぞれの高さの値を推定し、かつグラフィカルユーザーインターフェースを生成するように更に構成され、グラフィカルユーザーインターフェースは、計算された高さのそれぞれに対して推定された値を表示する。
【0022】
本発明の実施形態による、プロセッサにおいて、患者の心臓内の組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを適用する1つ以上の電極の、垂直軸を有する座標系での心臓内における患者の心臓内での位置を受信することが、追加的に提供される。受信した位置に基づいて、垂直軸に沿った患者の食道より上方の電極のそれぞれの高さのうち、1つ以上の最小高さのサブセットが計算される。食道より上方の電極及びそれぞれの高さを可視化する、グラフィカルユーザーインターフェースが生成される。グラフィカルユーザーインターフェースは、ユーザーに表示される。
【0023】
本発明は、以下の発明を実施するための形態を図面と併せて考慮すると、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、2つのカテーテルに基づく位置追跡及びアブレーションシステムの概略描写図である。
図1B】本発明のいくつかの実施形態による、2つのカテーテルに基づく位置追跡及びアブレーションシステムの概略描写図である。
図2A】本発明の一実施形態による、肺静脈の小孔に位置付けられたアブレーションカテーテルの詳細と、その食道との関連と、を示した概略断面図である。
図2B】本発明の一実施形態による、肺静脈の小孔に位置付けられたアブレーションカテーテルの詳細と、その食道との関連と、を示した概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態による、食道より上方のアブレーション電極の高さを推定するための方法を概略的に示したフローチャートである。
図4】本発明の実施形態による、食道より上方のアブレーション電極の推定高さを提示するグラフィカルユーザーインターフェースを示す、概略描写図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
概略
心臓の左心房に対する食道の近接は、心房細動の治療に使用する肺動脈の分離手技などの、左心房における標的組織のカテーテルアブレーションにおいて問題を引き起こし得る。食道は左心房の後側にあり、右若しくは左肺動脈、又は心臓の後側壁に隣接している左心房に対して、様々な経路を通る。したがって、アブレーションが左心房の後側で行われるときに起こる高温により、食道が損傷するリスクがある。
【0026】
この種の損傷を予防するために可能な1つの方法として、食道が加熱していることの指標を示す、温度センサが装備された食道プローブを使用する。しかし、一部の場合には、この指標には時間がかかることがあり、遅すぎて損傷を予防することができないことがある。また、食道プローブは、患者に不快感をもたらし、それ自体の損傷を引き起こし、概して手順を複雑にし得る。
【0027】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、食道内にいずれの物体も挿入することなく、心臓アブレーション中に食道を熱損傷から保護するシステム及び方法を提供する。開示される実施形態では、その遠位端にある1つ以上の高周波(RF)アブレーション電極を含む、カテーテルなどの医療器械が、左心房に挿入される。患者が仰臥していることが分かっているため、アブレーション電極の垂直(z軸)位置は、必ず食道組織より上方になる。
【0028】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーション電極をそれらの相対的高さに基づいて分類する。これらの導出された食道より上方の相対的高さに基づいて、プロセッサは、下方のアブレーション電極からの熱的損傷を防ぐよう、自動的に(及び/又は医師が手動で)アブレーション手順を調整し得る。一実施形態では、プロセッサは、電極の相対的高さの分類リストに応答して、個々の電極の特定のRFアブレーションパラメータを調整するように更に構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーション電極と食道との間の最小垂直距離を推定する。この距離は、食道損傷の危険性を評価するための単純かつ有効なメトリックとして使用される。プロセッサは典型的に、医師に最小垂直距離を示し、一方、医師は、そのような損傷を防止するようにアブレーション手順を調整することができる。
【0030】
以降の説明では、簡略化のため、用語「高さ」は、主に用語「垂直距離」又は「z軸距離」の代わりに使用される。3つの用語はすべて、互換的に使用される。
【0031】
いくつかの実施形態では、最小高さを推定する手順は、プロセッサが患者の食道の解剖学的構造を捕捉する医用画像を受信することから開始される。次いで、付帯的熱損傷の危険性が考慮される食増組織の位置が、受信した医用画像上に印付けられる。
【0032】
最小高さ推定手順は、プロセッサが左心房内のアブレーション電極位置を受信することに続く。いくつかの実施形態では、電極位置を取得することは、位置追跡及びアブレーションシステムによって補助される。
【0033】
プロセッサは次いで、受信した医用画像に電極の位置を登録する。画像登録は、本明細書では、異なるデータセットを1つの座標系に変換する工程として定義される。
【0034】
プロセッサは次いで、印付けられた危険性のある食道組織より上方の登録された電極位置のうちの1つ以上の高さを計算する。最小高さ(すなわち、食道と最も近いアブレーション電極との間の垂直距離)が、医師に示される。
【0035】
上に述べたように、医師は、アブレーション治療を計画する過程で高さ情報を使用することを考慮することができる。医師は、例えば、食道より上方の最小高さを有する電極の電気エネルギーの適用の電力レベル及び/又は持続時間を制限することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、最小高さ閾値が設定される。閾値を下回る高さを有するアブレーション電極は、アブレーション治療を計画する過程において、例えば、電気エネルギーの適用の電力レベル及び/又は持続時間を制限するために考慮される。
【0037】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、ディスプレイ上にアブレーション電極の配置を提示する図形を含む、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を医師に表示する。図形は、典型的には食道に対する電極位置を示し、いくつかの実施形態では、危険性のある食道組織より上方のそれぞれの高さを提供する。GUIは更に、食道に最も近い1つ以上の電極を強調表示し、かつ/又は、ディスプレイ上の電極配置をその高さに応じて更新する。医師は、電極のうちの1つ以上を不活性化するなど、図形を利用して更なる意思決定を行うことができる。代替的に又は追加的に、プロセッサは、図形によって提示された情報を使用して、1つ以上のアブレーションパラメータを自動的に調整(又は調整することを提案)し得る。一実施形態では、プロセッサは、医師に対して、許容されるRF電力に関する警告及び/又は値制限を発行する。
【0038】
開示された技術の確実性は、医用画像の獲得中及びアブレーション手順中の同様の患者の姿勢に由来する。いずれの場合も、患者はじっと仰臥し、食道は一貫して心臓より下方に位置付けられ、画像登録は距離推定のための実行可能なアプローチになる。また、カテーテル室は通常、X線透視装置又は他の撮像設備を備えており、その場で必要な医用画像を獲得することの可能性が開かれている。
【0039】
開示された技術は、いずれかの種類の物体を食道に挿入する必要性を排除するという点で、他の可能なソリューションを上回る明確な利点を有する。このように、例えば、開示される技術は、心臓アブレーション手順中に取られる侵襲性アクティビティの数を軽減する。開示される技術はまた、食道プローブが引き起こし得る患者の不快感及び潜在的損傷を回避する。
【0040】
システムの説明
図1A及び図1Bは、本発明の実施形態による、カテーテルに基づく2つの位置追跡及びアブレーションシステムの概略描写図である。
【0041】
図1Aは、磁気検知カテーテルに基づく位置追跡及びアブレーションシステム20aを示す。システム20aは、医師30によって血管系を介して患者28の心臓26にナビゲートされるシャフト遠位端22を有する、カテーテル21を備える。図示されている例では、医師30は、カテーテルの近位端近くの遠隔操縦器32を使用して、シャフト遠位端22の遠位端を操作しながら、シース23からシャフト遠位端22を挿入する。挿入口25に示されるとおり、シャフト遠位端22は、シャフト遠位端22及びバルーン50内に入れられている磁気センサ51を備える(このバルーンは、収縮状態でシース23から挿入され、次に、心臓26内で膨張される)。
【0042】
本明細書に記載されている実施形態において、カテーテル21は、心臓26の組織のアブレーションに使用される。図示されている実施形態は、心臓組織のアブレーション用のバルーンカテーテルの使用に具体的に関するが、本明細書に記載されているシステム20aの素子及び方法は、代替として、輪状物、バスケット及び多重アームカテーテルなどの、他の種類の多重電極カテーテルを使用する、アブレーションの制御に適用されてもよい。
【0043】
カテーテル21の近位端は、制御コンソール24aに接続されている。コンソール24aは、カテーテル21からの信号を受信するとともに、カテーテル21を介してエネルギーを印加して心臓26内の組織をアブレーションし、更にシステム20aの他の構成要素を制御するための好適なフロントエンド及びインターフェース回路38を備えた、プロセッサ39、通常は汎用コンピュータを備える。コンソール24aはまた、磁場発生装置36を駆動するよう構成されているドライバ回路34を備えている。
【0044】
シャフト遠位端22の挿入中に、バルーン50は、畳み込まれた構成で維持される。シャフト遠位端22が、一旦、心臓26内の標的位置に到達すると、医師30はバルーン50を膨張させる。コンソール24aは、例えば、心臓内のバルーン50の位置を測定するために、外部磁場発生装置36からの磁場に応答した磁気センサ51からの信号を受信する。磁場発生装置36は、例えば、患者が寝ているテーブル29の下に、患者28の外部の既知の位置に置かれる。これらの位置信号は、位置追跡システムの座標システムにおける膨張バルーン50の位置を示す。
【0045】
外部磁場を使用するこの位置検知の方法は、様々な医療用途で、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar、Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、それらの開示はすべて参照により本明細書に組み込まれている。
【0046】
いくつかの実施形態では、プロセッサ39は、患者の食道解剖学的構造の少なくとも一部及び心臓の解剖学的構造の少なくとも一部を捕捉した医用画像を受信するように構成されている。プロセッサ39は、医師30が危険性のある食道組織を識別することを補助するよう、受信した画像にセグメンテーションアルゴリズムを適用して食道を描写するように更に構成されてもよい。代替実施形態では、心臓の解剖学的構造も描画されてもよい。プロセッサ39は、磁気センサ51から位置信号を受信し、電極52の位置を導出し、かつ電極52の位置を受信した医用画像に登録するように構成されてもよい。プロセッサ39は、次いで、食道に最も近い電極のうちの1つ以上の、危険性のある食道組織より上方の推定高さを計算し得る。更に、プロセッサ39は、GUIを使用して、例えば、モニタ27などの好適な出力デバイスに距離情報を提示するように構成されてもよい。
【0047】
任意の実施形態では、プロセッサ39は、磁気センサ51からの信号に基づいてシャフト遠位端22の向きを推定し、推定された向きに応答して食道に対するアブレーション電極の位置を更に推定し、かつGUIを使用して図形41の形状でモニタ27上に電極52の配置を表示するように更に構成されている。
【0048】
典型的には、プロセッサ39は汎用コンピュータを備え、コンピュータには、本明細書に記載する機能を実行するソフトウェアがプログラムされている。このソフトウェアは、ネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードされ得るか、又は代替として、又は更には、磁気メモリ、光学メモリ又は電子メモリなどの、非一過性の有形媒体上で提供及び/又は記憶されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、追加的又は代替的に、位置追跡及びアブレーションシステムは、Active Current Location(ACL)サブシステム37を備え、これを使用して電極52を識別し、食道より上方の電極52の高さを推定してもよい。
【0050】
図1Bは、本発明の実施形態による、カテーテルに基づく位置追跡及びアブレーションシステム20bに含まれるACLサブシステム37の概略描写図である。図1Bに例示されているとおり、ACLサブシステム37は、胸部領域の患者の皮膚に取り付けられる、外部検知電極49を備えている。検知電極49は、アブレーション電極52によって注入された電流信号に応答して、位置信号を生成する。検知電極49から受信する信号に基づいて、コンソール24bは、例えば、プロセッサ39を使用して、アブレーション電極52の位置を推定し、電極52のうちの1つ以上と危険な状態にある食道組織との間の距離を更に推定する。このように、ACLサブシステム37は、アブレーション電極52自体を用いて、位置信号に関連する電極52の位置を取得する。
【0051】
ACL方法は通常、校正ステップを必要とし、その場合、異なる検知校正カテーテルが左心房に挿入され、校正に必要とされるデータセットを獲得してから引っ込められる。ACLを使用して電極位置を検知する方法は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムなど、様々な医療用途に実装されており、米国特許第8,456,182号、同第7,756,576号、同第7,869,865号、同第7,848,787号、及び同第7,848,789号に詳細に記載されており、それらの開示はすべて参照により本明細書に組み込まれている。位置追跡特徴の他に、システム20a及び20bは、アブレーションを計画及び実行するために必要な同一の構成要素を共有する。あるいは、本発明の原理は、超音波又はインピーダンスをベースとする位置検知などの、当該技術分野において既知の他の位置検知技術を使用して、必要な変更を加えた後に実施してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、システム20a及び20bは、推定された電極距離を取得するように構成された、プロセッサ39などのプロセッサが完全装備されている。別の実施形態では、画像登録のような処理ステップの少なくとも一部に必要なハードウェア及びソフトウェアは、市販の画像処理ソフトウェアが装備された市販のワークステーションを含む。いくつかの実施形態では、コンソール24a及び24bは、食道より上方の電極52の配置及び高さを示す図形41をモニタ27上にグラフィカルに提示するように構成されている。
【0053】
構成されるプロセッサは、処置室設備に不可欠な部分、例えば、Cアーム撮像様式の一部であってもよい。あるいは、構成されるプロセッサは、病院のいずれの場所に位置してもよく、結果は、画像保管通信システム(PACS)などの病院の通信システムによって医師に送信される。
【0054】
食道に対するバルーンカテーテルの近接の推定
図2A及び図2Bは、本発明の一実施形態による、肺静脈の小孔に位置付けられた膨張バルーンの詳細と、その食道との関連と、を示した概略断面図である。
【0055】
図2Aは、仰臥している患者の小孔44と食道40との間の解剖学的関係を示す側面図である。図に示されている縦軸(z軸)は、台29より上方の高さを表す。医師30は、受信した医用画像で患者の実際の解剖学的構造を視診することができる。見られるように、小孔44は、食道40より上方にある(患者が仰臥しているため)。付帯的熱損傷の危険があると考えられる食道の位置は、受信した医用画像内に印付けられる。印付けは、自動的に、例えば、セグメンテーションアルゴリズムによって行われてもよく、医師30によって手動で行われてもよい。
【0056】
図2Aはまた、心臓26内の肺静脈の小孔44に物理的に接触して位置付けられたバルーン50の前面図を提示する。膨張したバルーン50は、小孔組織55をアブレーションするため、その外表面の周りに配置されたアブレーション電極52を含む。
【0057】
距離60A、60B及び60Cの組は、それぞれ電極52A、52B及び52Cと、危険性のある食道組織42と間のz軸に沿った距離を示す。いくつかの実施形態では、電極52の位置は、医用画像上で直接取得され、登録される。
【0058】
例えば、上記のACL方法を用いる場合、電極52の近似位置は、ACLサブシステム自体によって直接検出される。プロセッサ39(いくつかの実施形態で用いられる)は、電極52の位置を受信した医用画像に登録する。上記のように、危険性のある食道組織42の位置などの食道位置は、受信した医用画像上で印付けられる。プロセッサ39は次いで、受信した医用画像上の、それぞれの電極位置と食道組織42との間の垂直長さとして推定距離60を計算する。本例では、距離60Aは、最小であり、最も近い電極52Aと危険性のある食道組織42との間にある。
【0059】
一部の場合、例えば、ACLサブシステムが使用できないとき、電極52の位置は直接取得できない。いくつかの実施形態では、上記のように、アブレーションシステム20aは、左心房内の電極52のうちの1つ1つの位置及び向きを識別するため、磁気センサ51(図1A及び図2Bを参照のこと)を使用する。システム20aは、例えば、推定されるシャフト遠位端22の向きによって示されるように、z軸に対する膨張バルーン50の回転角度に基づいて、これらの位置及び向きを測定し得る。本例では、電極52Aは、最も下方、例えば食道に最も近い電極として、かつ、食道40に直接面している可能性が最も高い電極として識別される。
【0060】
このように、いくつかの実施形態では、以下に記載するとおり、距離60を導出するために、システムはまず、バルーン形状に関する及び食道組織42に対する電極52の向きに関する、電極ごとの距離58を計算する必要がある。
【0061】
図2Bは、別の視点から、小孔44及び食道40の解剖学的関係を概略的に示している。見られるように、磁気センサ51は、シャフト遠位端22に取り付けられる。上のシステム20aの説明部分で詳述したように、磁気センサ51が生成する位置信号は、位置追跡及びアブレーションシステム20aの座標系におけるその位置の測定を可能にする。すなわち、食道組織42より上方の磁気センサ51の高さを容易に導出することができる。
【0062】
プロセッサ39(いくつかの実施形態で用いられる)は、既知のバルーン形状を使用して、磁気センサ51に対する電極52のそれぞれの距離58及び相対的向きを計算する。一例として、図2Aは、シャフト遠位端22(磁気センサ51を含む)と電極52A、52B及び52Cとの間の距離58A、58B及び58Cをそれぞれ示している。
【0063】
図2A及び図2Bに示すシャフト遠位端22を水平に位置付けている例では、距離58は、バルーン50の中心より上方又は下方の電極の最大高さを示している。見られるように、電極52Aは、バルーンの中心より下方(すなわち、磁気センサ51の垂直位より下方)の距離58Aに位置している。距離58Aは、バルーン50の最大横半径であるので、電極52Aと食道組織42との間の距離60Aが最小限となる。一方、電極52Cは、バルーン50の略頂部にあり、距離58C(およそバルーンの半径)を電極52Cと食道組織42との間の合計長さ60Cに寄与している。
【0064】
同時に、電極52Bは、シャフト遠位端22と略同じ高度にあり、58Bがわずかに補正され、組織42より上方の52Bの高さが、シャフト遠位端22の(すなわち、磁気センサ51の)測定された高さに非常に近いものになっている。
【0065】
プロセッサ39は、この時点で、システム20aの座標系における電極52の位置を提供し、電極52を受信した医用画像に登録することができる。最後に、電極52と食道組織42との間の推定距離60が、上に説明したように計算される。
【0066】
図2A及び図2Bに示す例の構成は、概念を明確化する目的のみで選択されている。任意の他の好適な構成は、代替的な実施形態において用いることができる。例えば、1つ以上の電極52と1つ以上の印付けられた食道位置との間の距離など、多数の距離を推定することができる。いくつかのバルーンの向きでは、電極52のうちの2つ以上が、食道に最も近くなり得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、ある所定の閾値を下回る距離の範囲が考慮され、その所定の閾値を下回る高さを有する、アブレーション電極の部分的なサブセットが生成され得る。アブレーション治療を計画する過程において、電極群は、ある最小(閾値)高さを下回る高さを有するものとして考慮される。
【0068】
いくつか実施形態では、アブレーション電極の相対的高さのみが導出される(すなわち、アブレーション電極は、実際の距離の定量的な推定に頼ることなく、それらの相対的高さによって識別され、分類される)。
【0069】
図2A及び図2Bでは、シャフト遠位端22は、簡略化のために、水平方向を向くように例示されている。なお、一般に、シャフト遠位端22は、空間内に任意の方向を有していてもよい。このように、距離60の計算は、通常、シャフト遠位端22と垂直軸との間の角度に依存する予測値を計算することを含む。
【0070】
システム20は、輪状の多重電極カテーテル(例えば、Biosense Webster Inc.により作製されているLasso(登録商標)カテーテル)又は多分岐型多重電極カテーテル(例えば、Biosense Webster Inc.により作製されているPentaRay(登録商標))などの他の種類のアブレーションデバイスを備えてもよい。医用画像は、Cアーム透視診断法、CT、又はMRIのような様々な撮像様式によって獲得され得る。
【0071】
図3は、本発明の一実施形態による、食道より上方のRFアブレーション電極の高さを推定するための方法を概略的に示したフローチャートである。この手順は、プロセッサ39が、アップロードステップ70において、患者の食道及び心臓解剖学的構造の少なくとも一部を含む医用画像を受信することから開始される。
【0072】
医師30は次いで、印付けステップ72において、受信した医用画像上で危険性のある食道組織42の位置を印付ける。前進ステップ74において、医師30は、カテーテルのシャフト遠位端22を患者の心臓内に前進させ、バルーン50を膨張させて、左心房内の標的組織に位置付ける。
【0073】
登録ステップ74において、医師39は、電極52の位置を計算し、電極52の位置を受信した医用画像に登録する。印付けは、例えば、セグメンテーションアルゴリズムによって行われてもよく、医師30によって手動で実行されてもよい。
【0074】
推定ステップ78において、プロセッサ39は、危険性のある食道組織42の印付けられた位置より上方のそれぞれの登録された電極52の推定高さを計算する。プロセッサ39は、電極52と危険性のある食道組織42との間の最小高さを選択する。プロセッサ39は、この最小高さを、例えばモニタ27上で、医師30に示す。
【0075】
任意の実施形態では、GUIは、表示ステップ80において、食道組織42に対する電極52の配置をモニタ27上に表示する。GUIは、例えば、円の上に概略的に配置された電極配置図形41を示し、危険性のある食道組織42などの印付けられた食道位置へのそれぞれ対応の距離を提供する。
【0076】
計画ステップ82では、医師30は、電極ID及び距離情報を使用して、電極のうちの1つ以上の最大電流及び温度などのアブレーションパラメータを設定する。一部の場合、医師30は、例えば図2の電極52aのような、食道に最も近い電極のうちの1つ以上に対するRF電力を無効にすることができる。
【0077】
図3の例のフローチャートは、概念を明確化する目的のみで示されている。代替的な実施形態では、開示される技術は、異なる及び/又は追加のステップを使用してもよい。例えば、医師は、カテーテル室内に位置する、CアームX線透視装置などの撮像装置から新規の医用画像を獲得し、次いで、更新された電極距離を取得し、治療を適用する前にアブレーションパラメータのうちの1つ以上を再設定することができる。
【0078】
一部の実施形態では、開示された技術は、Digital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)フォーマットの医用画像を使用する。DICOMフォーマットの医用画像は、CアームX線透視装置、CT、又はMRIなどの非侵襲的撮像様式によって、アブレーション手順の前に獲得されてもよい。
【0079】
本明細書に記載の実施形態のいくつかは、主に、DICOM画像の処理を扱っているが、本明細書に記載の方法及びシステムは、Medical Imaging NetCDF(MINC)などの医用画像の他のフォーマットでも使用され得る。
【0080】
図4は、本発明の実施形態による、食道より上方のアブレーション電極52の配置及び推定高さを提示する図形41を示す、概略描写図である。図41は、プロセッサ39によってモニタ27上に表示される。
【0081】
いくつかの実施形態では、電極52は、図形41内でフィールド90に表示された整数番号92によって識別される。フィールド90には、食道より上方の電極52のそれぞれの推定高さ96を表示するフィールド94が付属している。フィールド94は、例えば、高さ96をセンチメートル及び/又はミリメートルで表示し得る。垂直軸は、図形41では「z」矢印95として印付けられ、医師は、どの電極が垂直方向の下方にあるか、すなわち食道に近いかを認識することができる。
【0082】
一実施形態では、プロセッサ37は、所定の割合で及び/又は医師30の要求に応じて、図形41を更新する。図形内の電極フィールド90及び94の配置は、食道に対する電極の実際の配置を反映する。例えば、シャフト遠位端22の半回転を伴うバルーンカテーテル操作の場合、食道に最も近いもの(例えば、最下部)として図4に最初に示されている電極6及び7は、挿入口99に見られるように、それぞれ電極1及び2と場所を交換している。実際、見られるように、半回転によってすべての電極(4及び9を除く)で食道より上方の高さ96が変化した。
【0083】
図4に示す例のGUIは、概念を明確化する目的のみで選択されている。代替的な実施形態では、GUIは、医師に警告するための色又は点滅などの様々な強調表示の特徴を含んでもよい。任意の実施形態では、GUIは、医師に提示される医用画像に同様に描画されてもよい。一実施形態では、GUIは、任意の数値を電極配置に関連付けることなく、それらの近接に従ってディスプレイ上に電極配置を示し、所定の割合で更新し得る。
【0084】
本明細書に記載の実施形態は、主に心臓アブレーション手順を扱っているが、本明細書に記載の方法及びシステムは、神経学的手順のように、標的組織と熱損傷の危険性がある隣接組織との間に先験的に既知の空間関係が存在する、他の用途においても使用され得る。
【0085】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0086】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
プロセッサであって、前記プロセッサが、
患者の心臓内の組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを適用する1つ以上の電極の、垂直軸を有する座標系での前記心臓内における位置を受信し、かつ、
前記受信した位置に基づいて、前記垂直軸に沿った前記患者の食道より上方の前記電極のそれぞれの高さのうち、1つ以上の最小高さのサブセットを計算するように構成されている、プロセッサと、
前記最小高さの指標をユーザーに提示するように構成されている、出力デバイスと、を含む、装置。
(2) 前記最小高さのサブセットが単一の最小高さからなる、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記プロセッサが、前記最小高さのサブセットに応答して、前記1つ以上の電極のRFアブレーションパラメータを調整するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記プロセッサ及び前記出力デバイスが、それぞれ所定の割合で又は要求によって、前記1つ以上の最小高さを計算し、前記最小高さの指標をユーザーに提示するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記プロセッサが、
前記食道の少なくとも一部と、前記心臓の少なくとも一部と、を画像化する1つ以上の医用画像を受信し、かつ、
前記位置及び前記医用画像に基づいて、前記最小高さのサブセットを計算するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0087】
(6) 前記出力デバイスが、前記最小高さのそれぞれの値をユーザーに提示するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記プロセッサが、前記1つ以上の電極に連結された位置センサの推定される位置及び向きに基づいて、前記1つ以上の電極の前記位置を計算するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(8) 方法であって、
プロセッサにおいて、患者の心臓内の組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを適用する1つ以上の電極の、垂直軸を有する座標系での前記心臓内における位置を受信することと、
前記受信した位置に基づいて、前記垂直軸に沿った前記患者の食道より上方の前記電極のそれぞれの高さのうち、1つ以上の最小高さのサブセットを計算することと、
前記最小高さの指標をユーザーに提示することと、を含む、方法。
(9) 前記最小高さのサブセットが単一の最小高さからなる、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記最小高さのサブセットに応答して、前記1つ以上の電極のRFアブレーションパラメータを調整することを含む、実施態様8に記載の方法。
【0088】
(11) 前記最小高さを計算し、前記最小高さの指標をユーザーに提示することが、所定の割合で又は要求によって、前記最小高さを計算し、前記最小高さの指標をユーザーに提示することを含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記食道の少なくとも一部と、前記心臓の少なくとも一部と、を画像化する1つ以上の医用画像を受信することと、
前記位置及び前記医用画像に基づいて、前記最小高さのサブセットを計算することと、を含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記指標を提示することが、前記最小高さのそれぞれの値を前記ユーザーに提示することを含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記1つ以上の電極に連結された位置センサの推定される位置及び向きに基づいて、前記1つ以上の電極の前記位置を計算することを含む、実施態様8に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4