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特許7366560産業用マニピュレータ用のダブテールツールチェンジャー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】産業用マニピュレータ用のダブテールツールチェンジャー
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
B25J15/04 A
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019052162
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2019166632
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】102018000003869
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102019000002615
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515189966
【氏名又は名称】ジマティック エセ.エッレ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】GIMATIC S.r.l.
【住所又は居所原語表記】Via Enzo Ferrari 2/4 25030 Roncadelle (BS) Italia
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ ベランディ
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0175075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-外部ハンドリングシステム(例えばロボットアーム)に拘束されるための第1のプレート(2,2’,2”)と、
-ツールに拘束されるための第2のプレート(3)であって、前記第2のプレート(3)は前記第1のプレート(2,2’,2”)中で規定されたポケットに挿入でき、前記第1のプレート(2,2’,2”)および前記第2のプレート(3)は断面が相補的形状を有し且つ蟻継ぎ結合を規定する、第2のプレート(3)と、
-前記第1のプレート(2,2’,2”)の前記ポケット中に前記第2のプレート(3)をロックするためのロック手段であって、前記第2のプレート(3)に推力を加え且つ前記第1のプレート(2,2’,2”)からの前記第2のプレート(3)の解放を防止するロック位置と、前記第2のプレート(3)を前記第1のプレート(2,2’,2”)から分離できるアンロック位置との間で移動可能な少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)を含むロック手段と、を含むダブテールツールチェンジャー(1,1’,1”)であって、
前記第2のプレート(3)は、縦挿入方向に沿って前記第1のプレート(2,2’,2”)中で規定されたポケットに挿入でき、
前記少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)に結合され且つユーザによって加えられた外力に応じて第1の方向に沿って変位されうる少なくとも1つの推力エレメント(6,7,6’,6”)を前記ロック手段が含むこと、および、前記第2のプレートに対する少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)の位置が、前記第1の方向に沿って前記少なくとも1つの推力エレメント(6,7,6’,6”)がとる位置のみに依存すること、および、
前記少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)の前記ロック位置に対応する第1の縦位置に前記少なくとも1つの推力エレメント(6,7,6’,6”)を保持するロック位置と、前記少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)の前記アンロック位置に対応する第2の縦位置に前記少なくとも1つの推力エレメント(6,7,6’,6”)を保持するアンロック位置との間で前記ユーザによって移動可能な駆動レバー(9,20’,20”)をダブテールツールチェンジャー(1,1’,1”)がさらに含むこと、
を特徴とするダブテールツールチェンジャー(1,1’,1”)。
【請求項2】
記少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)は、前記縦挿入方向に対して横の方向に沿って移動可能である、請求項1に記載のツールチェンジャー(1,1’,1”)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの推力エレメント(6,7,6’,6”)の変位の前記第1の方向は、前記縦挿入方向に実質的に平行であるか、または、前記挿入の縦方向に対して横の方向である、請求項2に記載のツールチェンジャー(1,1’,1”)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)は、1つだけであり且つ前記第1のプレート(2,2’,2”)の少なくとも半分の長さに沿って延びるかまたは実質的にその全長に沿って延びる、請求項1~のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1,1’,1”)。
【請求項5】
少なくとも1つのバネ(5a~5d,14’a~14’b)または同等の弾性エレメントが、前記各々のロック位置に向かう前記フローティングエレメント(5,5’)の前記移動に反発する、請求項1~のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1,1’)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの推力エレメント(6,7,6’)は、各々の斜面で前記フローティングエレメント(5,5’)に当接する、請求項1~のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1,1’)
【請求項7】
前記フローティングエレメント(5,5’)は、1つだけの斜面(51’)または2つの斜面(51,52)を有する、請求項に記載のツールチェンジャー(1,1’)。
【請求項8】
前記推力エレメント(6,7)は2つであり、前記フローティングエレメント(5)の対応する斜面(51,52)に沿った推力エレメント(6,7)の斜面(61,71)のスライドによって前記2つの推力エレメント(6,7)が互いに近づくようにまたは離れるように移動するように、前記推力エレメント(6,7)がそれぞれ斜面(61,71)を有する、請求項に記載のツールチェンジャー(1)。
【請求項9】
前記ユーザによって前記駆動レバー(9)に与えられた位置に応じて、前記2つの推力エレメント(6,7)は互いに近づくようにまたは離れるように移動でき、前記駆動レバー(9)が前記ロック位置にあるとき、前記推力エレメント(6,7)は各々の近接位置にあり且つ前記フローティングエレメント(5)は前記ロック位置にあり、前記駆動レバー(9)が前記アンロック位置にあるとき、前記推力エレメント(6,7)は各々の間隔を置いた位置にあり且つ前記フローティングエレメント(5)は前記アンロック位置にある、請求項に記載のツールチェンジャー(1)。
【請求項10】
前記2つの推力エレメント(6,7)は、前記縦挿入方向に平行に、少なくとも1つのロッド(14a,14b)に、スライド式に且つ縦方向にマウントされ、
近づくように移動する前記2つの推力エレメント(6,7)に対して少なくとも1つのバネ(17a,17b)がその圧縮によって反発するように、少なくとも1つのバネ(17a,17b)または同等の弾性エレメントが、前記少なくとも1つのロッド(14a,14b)に取り付けられ且つ前記2つの推力エレメント(6,7)間に置かれる、請求項または請求項に記載のツールチェンジャー(1)。
【請求項11】
前記推力エレメント(6’)は、1つだけであり且つ単一の斜面(71’)を有する、請求項に記載のツールチェンジャー(1’)。
【請求項12】
前記推力エレメント(6’)は、前記第1のプレート(2’)の停止サイド(12’)に近づくようにまたはそれから離れるように縦方向に移動し、且つ、その斜面(71’)が前記フローティングエレメント(5’)の前記斜面(51’)に沿うようにスライドし、少なくとも1つのバネ(17’)または同等の弾性エレメントが、前記停止サイド(12’)に近づくように移動する前記推力エレメント(6’)に反発する、請求項11に記載のツールチェンジャー(1’)。
【請求項13】
前記推力エレメント(6’)は、前記ユーザによって前記駆動レバー(20’)に与えられた位置に応じて移動し、前記駆動レバー(20’)が前記ロック位置にあるとき、前記推力エレメント(6’)は前記停止サイド(12’)の近接位置にあり且つ前記フローティングエレメント(5’)は前記ロック位置にあり、前記駆動レバー(20’)が前記アンロック位置にあるとき、前記推力エレメント(6’)は前記停止サイド(12’)に対して遠い位置にあり且つ前記フローティングエレメント(5’)は前記各々のアンロック位置にある、請求項12に記載のツールチェンジャー(1’)。
【請求項14】
前記駆動レバー(20’)と前記推力エレメント(6’)との間に、前記推力エレメント(6’)にある専用のシート中でスライドするスライダ(31’)が存在する、請求項13のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1’)
【請求項15】
前記スライダ(31’)および前記推力エレメント(6’)は、少なくとも1つのゴムエレメント(41’a,41’b)または同等のエラストマーエレメントが収容される少なくとも1つのシートを規定する、請求項14に記載のツールチェンジャー(1’)
【請求項16】
前記駆動レバー(9,20’)は、好ましくは不可逆タイプのカムプロファイル(10,21’)を有する、請求項15のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1,1’)。
【請求項17】
第1の縦方向に沿って前記第1のプレート(2”)の停止サイド(12”)に近づくようにまたはそれから離れるように移動する前記推力エレメント(6”)の変位を前記第2のプレート(3)に近づくまたはそれから離れる前記フローティングエレメント(5”)の横方向の変位に変換する少なくとも1つのジョイント(55”,56”)によって、前記推力エレメント(6”)が前記フローティングエレメント(5”)に接続される、請求項1~のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1”)。
【請求項18】
前記ジョイント(55”,56”)は、第1のジョイント(55”)および第2のジョイント(56”)を含み、且つ、ピン(57”)によって前記推力エレメント(6”)および前記フローティングエレメント(5”)に固定される、請求項17に記載のツールチェンジャー(1”)。
【請求項19】
前記推力エレメント(6”)、前記フローティングエレメント(5”)、前記第1のジョイント(55”)および前記第2のジョイント(56”)は一緒に四節回転機構(8”)を形成し、駆動レバー(20”)が前記ロック位置にあるとき、前記推力エレメント(6”)は前記停止サイド(12”)に対して近い位置にあり且つ前記フローティングエレメント(5”)は前記ロック位置にあり、駆動レバー(20”)が前記アンロック位置にあるとき、前記推力エレメント(6”)は前記停止サイド(12”)に対して遠い位置にあり且つ前記フローティングエレメント(5”)は前記各々のアンロック位置にある、請求項18に記載のツールチェンジャー(1”)。
【請求項20】
駆動レバー(20”)と、前記駆動レバー(20”)を前記推力エレメント(6”)に接続する第3のジョイント(58”)とを含み、前記駆動レバー(20”)が前記ロック位置にあるとき、前記推力エレメント(6”)は前記停止サイド(12”)に対して近い位置にあり且つ前記フローティングエレメント(5”)は前記ロック位置にあり、前記駆動レバー(20”)が前記アンロック位置にあるとき、前記推力エレメント(6”)は前記停止サイド(12”)に対して遠い位置にあり且つ前記フローティングエレメント(5”)は前記各々のアンロック位置にある、請求項18または請求項19に記載のツールチェンジャー(1’)。
【請求項21】
前記推力エレメント(6”)の前記変位をガイドし且つ前記第2のプレート(3)の任意の寸法許容差を相殺するバネ(65”)または同等の弾性エレメントを含む、請求項1720のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1”)。
【請求項22】
前記駆動レバー(20’)の位置を検知し、対応する信号を外部制御ユニットに送るセンサ(24’)を含む、請求項21のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1’)
【請求項23】
前記少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)が前記ロック位置にあるときに前記第2のプレート(3)を引っ掛けることができるフック端(13a,13’a,13”a)を有する歯(13,13’,13”)を前記少なくとも1つのフローティングエレメント(5,5’,5”)が備える、請求項1~22のいずれか1項に記載のツールチェンジャー(1,1’,1”)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用マニピュレータのロボットアームにツール(EOAT、アームエンドツーリング(End of Arm Tooling))を拘束するために用いられるタイプのダブテールツールチェンジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
産業オートメーションの分野において、ロボットマニピュレータの使用(例えば、操作されるか機械加工されるピースに動作するためにツールが結合できる電動関節アーム)は周知である。必要に応じて、ツールは、操作される物体をつかむグリッパーとすることができる(ペンチ、パンチ、吸着盤など)。
【0003】
多くの場合、マニピュレータは、交換可能なツールをマウントするように設計されている。この場合、各々のマニピュレータへのツールの機能的な接続のためのメカニカルインタフェースとして作動する装置が、一般に使用される。これらのツールチェンジャーは、英語の頭字語”quick changer”によって特定される。
【0004】
原則として、ツールチェンジャーは、ロボットアームに固定できる第1の部分と、ツールに固定できる第2の部分とを含む。第1の部分と第2の部分とは、可逆的に互いに拘束できる。すなわち、これらの2つの部分の結合は、ツールが、ロボットアームにつなぎ留められること、および、それからリリースされることを可能にする。
【0005】
これらの装置は、ツールとマニピュレータとの適切な結合を保証するだけでなく、オペレータに対して、できるだけ迅速でリスクがないツール交換を可能にし、また、ロボットアームが作動中であるときにツールが誤ってリリースされないことを保証する。
【0006】
特別なタイプのツールチェンジャーは、いわゆるダブテールツールチェンジャーからなり、2つのプレート、すなわち、ロボットアームに拘束されるための第1のプレート(従ってロボット側プレートと規定される)と、ツールに拘束されるための第2のプレート(従って、ツール側プレートと規定される)とを含む。ツール側プレートは、蟻継ぎ断面(dovetail cross-section)を有する。ロボット側プレートは、ツール側プレートの断面に対して実質的に相補的な断面を有する。特別には、ロボット側プレートは、縦挿入方向に沿って挿入面をスライドすることによってツール側プレートを挿入できるポケットを規定する。
【0007】
換言すれば、2つのプレートは、対になった形状を有する。
簡潔にするために、以下では、ロボット側プレートを第1のプレートと呼び、ツール側プレートを第2のプレートと呼ぶこととする。
【0008】
2つのプレート間の形状の結合のおかげで、第2のプレートは、縦挿入方向に対して横の方向に移動することによっては第1のプレートを解放できず、挿入面に沿ってスライドすることによって第1のプレートを係合および解放することだけが可能である。
【0009】
より詳細には、第2のプレートが第1のプレートに拘束されず、従ってツールがロボットアームに拘束されない「開放(open)」として規定される状態、第2のプレートが第1のプレートへ挿入されるがロックされず、従って各々のツールと共に滑り出ることができる「中間(intermediate)」として規定される状態、および、第2のプレートが第1のプレートに挿入され、ロック手段によって一体となる「ロックされた(locked)」として規定される状態を特定できる。ロック状態は、ロボットアームに正しくロックされたツールに対応する。
【0010】
例えば、US特許出願第2003/0175075はダブテールツールチェンジャーについて記載しており、そのダブテールツールチェンジャーでは、2つのプレートは、ツールチェンジャーが中間状態にあるとき(すなわち第2のプレートが第1のプレートに挿入されるとき)、対向する歯のセットを第1のプレートおよび第2のプレートに設けることによって互いにロックされる。第1のプレートの適切な推力手段が駆動される場合、これらは第2のプレートに側面推力を加え、それによって、ツールチェンジャーがロック状態となるように、2つの歯のセットを互いに係合させる。このソリューションは最適なロックを保証するが、第1のプレートに第2のプレートを挿入するときに、2つのプレート間の大きなクリアランスを必要とする欠点を含んでいる。さらに、2つの歯のセットの係合は、第1のプレートに対する第2のプレートの縦位置の調整を最小にする。
【0011】
ASS Maschinenbau GmbHのカタログ9/2015(12ページ)は、「SWM」と呼ばれるダブテールツールチェンジャーについて記載している(http://ass-automation.com/katalog/english_new/index.html#p=U1)。この装置は、第1のプレートに置かれたロッククランプであって、ロッククランプが第2のプレートに圧力をかけない後方位置と、ロッククランプが第2のプレートにかける圧力が第1のプレートに第2のプレートをロックするのに充分である前方位置との間で移動可能であるロッククランプをサイドに含む。
【0012】
ほとんどすべてのダブテールツールチェンジャーは、ロッククランプを備える。通常、クランプは、オペレータによって使用できる調整ハンドルによって操作される。クランプは互いに独立しており、従って、調整ハンドルも互いに独立して使用でき、その結果、次の主な欠点をもたらす。オペレータは、急いだり不注意であったりするために、両方のロッククランプを締めずに、2本の調整ハンドルのうちの1つだけを操作することがある。その結果、ツールチェンジャーはロック状態になるが、第2のプレートは、第1のプレートに安全にロックされない。実際、1つのクランプでは、ロックしておく第2のプレートに充分な圧力をかけないかもしれない。第2のプレートは、非常に速く移動できるロボットアームの移動のせいで、第1のプレートから滑り出る可能性がある。この状況は、第2のプレートおよびそれにつなぎ留められたツールが誤って解放されること(ロボットアームのまわりで働くオペレータにとって明らかな安全上の問題を伴う)を引き起こしうる。
【発明の概要】
【0013】
従って、本発明の目的は、製造および使用が容易であり、いかなる使用条件でも第2のプレートが第1のプレートに有効にロックされることを保証するダブテールツールチェンジャーを提供することである。
【0014】
特別には、この発明の目的は、第2のプレートのロック手段が2本の異なる調整ハンドルの使用を必要としないダブテールツールチェンジャーを提供することである。
従って、本発明は、請求項1に記載のダブテールツールチェンジャーに関する。特別には、前記ツールチェンジャーは、外部ハンドリングシステム(ロボットアームなど)に拘束されるための第1のプレート(ロボット側)と、ツールに拘束されるための第2のプレート(ツール側)とを含む。好ましくは、前記第2のプレートは、前記第1のプレート中で規定されたポケットに、縦挿入方向に沿って挿入できる。前記第1および第2のプレートは、相補的且つ対になった断面形状を有し、蟻継ぎ結合(dovetailed coupling)を規定する。
【0015】
前記ツールチェンジャーは、前記第1のプレートの前記ポケットに前記第2のプレートをロックするためのロック手段をさらに含む。そして、前記ロック手段は、前記第2のプレートに推力を加え且つ前記第1のプレートからの前記第2のプレートの解放を防止するロック位置と、前記第2のプレートを前記第1のプレートから分離できるアンロック位置との間で、好ましくは前記縦挿入方向に対して横の方向に移動可能な少なくとも1つ(好ましくは1つだけ)のフローティングエレメントを含む。
【0016】
有利には、前記ロック手段は、前記フローティング部材を前記ロック位置に移動させるために、前記対応するフローティング部材に推力を加える機能を有する少なくとも1つの推力エレメントを含む。前記推力エレメントは、ユーザによって加えられた同じ力に応じて、すべて一緒に(別々にまたは選択的にではなく)、第1の方向(好ましくは第1の縦方向)に沿って変位されうる。換言すれば、前記推力エレメントは好ましくは、前記第1のプレートへの前記第2のプレートの挿入方向に平行な方向に沿って変位される。前記推力エレメントは、前記フローティングエレメントの横位置が前記推力エレメントの縦位置に一義的に依存するように、前記フローティングエレメントに結合される。
【0017】
このソリューションが有する重要な利点は、すべての推力エレメントに1つの力を同時に働かせることによって、前記第2のプレートを前記第1のプレートにロックできることである。従って、既知の技術とは異なり、ユーザは、複数の調整ハンドルを操作する必要がなく、ユーザは、1つの力ですべての推力エレメントを駆動し、それによってフローティングエレメント(または複数の場合には複数のフローティングエレメント)をまとめてロック位置へ押す。
【0018】
好ましくは、それぞれのフローティングエレメントの、前記各々のロック位置に向かう前記移動は、バネまたは同等の弾性エレメントによって反発される。
好ましい実施形態において、前記ツールチェンジャーは、前記第1のプレートの少なくとも半分の長さに沿って(より好ましくは、前記第1のプレートの対応する側面全体に沿って)延びる単一のフローティングエレメントを備える。この場合、単一のフローティングエレメントは、ユーザによってすべてをまとめて操作できる1つ以上の推力エレメントによって駆動される。
【0019】
好ましくは、前記ツールチェンジャーは、前記推力エレメント(または前記複数の推力エレメント)を前記フローティングエレメントに作用させる力を加えるために、前記ユーザによって正確に移動させることができる駆動レバー(activating lever)を含む。特別には、前記駆動レバーは、前記ユーザによって、前記少なくとも1つのフローティングエレメントの前記ロック位置に対応する第1の縦位置に前記少なくとも1つの推力エレメントを保持するロック位置と、前記少なくとも1つのフローティングエレメントの前記アンロック位置に対応する第2の縦位置に前記少なくとも1つの推力エレメントを保持するアンロック位置との間で移動可能である。
【0020】
好ましくは、前記駆動レバーは、前記推力エレメントまたは前記複数の推力エレメントを駆動するカムプロファイル(例えば不可逆タイプ)を有する。
第1の実施形態において、前記推力エレメントは、各々の斜面に沿って、前記フローティングエレメントに当接している。この実施形態では、2つの斜面を備えるフローティングエレメントが1つだけ存在し、且つ、2つの推力エレメントが存在し、それぞれの推力エレメントは、前記フローティングエレメントの対応する斜面に沿った推力エレメントの斜面のスライドによって2つの推力エレメントが互いに近づくようにまたは離れるように縦に移動するように配置された斜面を有する。
【0021】
好ましくは、この第1の実施形態において、前記ユーザによって前記駆動レバーに与えられた位置に応じて、前記2つの推力エレメントは、互いに近づくようにまたは離れるように移動しうる。前記駆動レバーが前記ロック位置にあるとき、前記推力エレメントは各々の近接位置にあり且つ前記フローティングエレメントは前記ロック位置にある。前記駆動レバーがアンロック位置にあるとき、前記推力エレメントは各々の離間した位置にあり且つ前記フローティングエレメントは前記アンロック位置にある。
【0022】
好ましくは、この第1の実施形態において、前記2つの推力エレメントは、前記縦挿入方向に平行に、少なくとも1つのロッド(好ましくは2つのロッド)に、スライド式に且つ縦方向にマウントされる。例えば、少なくとも1つのバネまたは同等の弾性エレメントが、前記ロッドに取り付けられ且つ前記2つの推力エレメント間に置かれる。前記バネは、その圧縮によって、前記2つの推力エレメントが近づくにつれて、それらの移動に反発する。
【0023】
第2の実施形態では、単一の斜面を有する推力エレメントが1つだけ存在する。この実施形態においても、前記推力エレメントは前記フローティングエレメントに当接する。
前記推力エレメントは、縦方向に移動し、その斜面が前記フローティングエレメントの前記斜面に沿うようにスライドする。前記推力エレメントは、前記第1のプレートの前記停止サイドに近づくようにまたはそれから離れるように縦方向に移動する。
【0024】
この実施形態では、前記推力エレメントは、前記ユーザによって前記アクチュエーティングレバー(actuating lever)に与えられた位置に応じて移動する。前記アクチュエーティングレバーが前記ロック位置にあるとき、前記推力エレメントは前記第1のプレートの前記停止サイドの近接位置にあり且つ前記フローティングエレメントは前記ロック位置にある。前記駆動レバーが前記アンロック位置にあるとき、前記推力エレメントは前記停止サイドに対して遠い位置にあり且つ前記フローティングエレメントは前記各々のアンロック位置にある。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つのバネまたは同等の弾性エレメントは、前記推力エレメントが前記停止サイドに近づくにつれてその移動に反発する。
好ましくは、すべての実施形態において、スライダが、前記アクチュエーティングレバーと前記推力エレメントとの間に配置される。前記スライダは、バネまたはエラストマーエレメントのような1つ以上の弾性エレメントによって反発される。好ましくは、前記スライダは、前記推力エレメント中の対向する溝の中でスライドする。前記アクチュエーティングレバーは、好ましくは対になったころがり面で、前記スライダに当接する。
【0026】
第3の実施形態において、前記推力エレメント(好ましくは1つだけ)は、前記フローティングエレメントに当接しないが、前記推力エレメントの縦の変位が前記フローティングエレメントの横の移動に変換されることを可能にする少なくとも1つのジョイント(好ましくは2つのジョイント)によって前記フローティングエレメントに接続される。実際には、前記フローティングエレメント、前記推力エレメントおよび前記2つのジョイントは一緒に、前記第1のプレートの停止サイドに近づくまたはそれから離れる縦の移動が前記第2のプレートに近づくようにまたはそれから離れるように移動する前記フローティングエレメントの横の変位に変換される四節回転機構を形成する。
【0027】
第4の実施形態において、前記推力エレメントは、前記第1のプレートの前記停止サイドに配置され、前記第2のプレートの前記第1のプレートへの前記縦挿入方向に対して横方向に移動可能であり、それによって、前記第1のプレートの左側に近づくかまたはそれから離れる。
【0028】
前記推力エレメントは、前記第1のプレートの右側に配置された前記フローティングエレメントに関節型レバーによって接続され、その結果、前記推力エレメントの横移動によって、前記ロックエレメントは、前記第2のプレートに近づくようにまたはそれから離れるように横方向に移動する。
【0029】
好ましくは、すべての実施形態において、前記フローティングエレメントは、前記フローティングエレメントが前記ロック位置にあるときに前記第2のプレートのエッジを引っ掛けることができるフック端を有する固いまたは柔軟な歯を備える。
【0030】
好ましくは、すべての実施形態は、前記駆動レバーの位置を検知し、対応する信号を外部制御ユニットに送るセンサを備える。例えば、センサは磁気タイプである。
記載されたすべての実施形態は、単一の駆動レバーのただ1つの移動によってユーザが第2のプレートを第1のプレートにロックすることを可能にする。これは、従来のソリューションとは異なり、安全性が改善されることを可能にし、それによって、マニピュレータから誤ってツールをリリースするリスクを減らす。
【0031】
さらに、本発明によるツールチェンジャーは、既知の技術によるソリューションに対して、使用がより容易であり、駆動に要する時間がより短い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のさらなる特性および利点は、添付の図面を参照して、好ましいが排他的でない、例示のためだけに示され限定的ではない実施形態についての以下の記載を読むことによってより明らかになるであろう。
図1】既知の技術分野によるダブテールツールチェンジャーの等角図である。
図2】本発明によるダブテールツールチェンジャーの第1の実施形態の等角図である。
図3図2に示されたツールチェンジャーの分解斜視図である。
図4図2に示されたツールチェンジャーの平面図(一部断面図)である。
図5】第1の使用構成における、図2に示されたツールチェンジャーの平面図である。
図6図5に示す第1の使用構成における、図2に示されたツールチェンジャーの断面図である。
図7】第2の使用構成における、図2に示されたツールチェンジャーの平面図である。
図8図7に示す第2の使用構成における、図2に示されたツールチェンジャーの断面図である。
図9】本発明によるツールチェンジャーの第2の実施形態の分解斜視図である。
図10図9に示されたツールチェンジャーの平面図(一部断面図)である。
図11図9に示されたツールチェンジャーの詳細の斜視図である。
図12図9に示されたツールチェンジャーの、第1の構成における詳細の斜視図である。
図13図9に示されたツールチェンジャーの、第2の構成における詳細の斜視図である。
図14】本発明に従って示されたツールチェンジャーの第3の実施形態の、第2の使用構成における平面図である。
図15図14に示されたツールチェンジャーの、第1の使用構成における平面図(一部断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、既知の技術による典型的なソリューション100を示し、ソリューション100は、ロボットアームに固定されるための第1のプレート101と、ツール(グリッパーまたは1組のツールなど)を支持するための第2のプレート102とを含む。
【0034】
第2のプレート102は、蟻継ぎ断面を有し(すなわち先細りのサイドを有し)、第1のプレート101に部分的に挿入されて示されている。挿入は、点線矢印によって示される縦方向に行われる。第1のプレート101は、肩として機能する左サイド103、完全に挿入されたときに第2のプレート102が当接する停止エレメント104、および、共に右サイド(すなわち左サイド103の反対)に位置する2つのロッククランプ105および106を備える。
【0035】
プレート101およびそのアタッチメント103~106はポケットを規定し、第2のプレート102をそれに挿入することおよびそれから引き出すことができる。第2のプレート102と、第1のプレート101およびそのアタッチメント103~106によって規定されるポケットとは、対になる且つ相補的な形状を有する。
【0036】
2つのクランプ105および106は、第2のプレート102の第1のプレート101への挿入方向に垂直な方向に沿って移動させることができる。特別には、2つのクランプ105および106は、前方位置(クランプが第2のプレート102を押してその位置を固定する)と、後方位置(第2のプレート102に圧力を加えず、第1のプレート101を自由に解放する)との間で交互に動くことができる。
【0037】
2つのクランプ105および106は、ネジに連動する調整ハンドル107および108によって手動で操作される。
上述したように、ハンドル107および108は、独立に操作される。従って、クランプ105または106を、第2のプレート102が解放される後方位置にクランプ106または105の他方が残っているときに、第2のプレート102がロックされる前方位置に移動できる。
【0038】
図2図8は、第1のプレート2および第2のプレート3を含む、本発明によるツールチェンジャー1の第1の実施形態を示す。
図2に示されるように、第1のプレート2は、左サイド4、右サイド(すなわち左サイド4に対して反対サイド)のフローティングエレメント5、および、第2のプレート3が挿入されるリアサイドの反対のフロントサイドを有し、フロントサイドは、それに拘束された停止エレメント16を有する。そして、フローティングエレメント5は、プレート2に面する左サイドと、反対の右サイドとを有する。フローティングエレメント5の左サイドには、第1のプレート2の右サイドに対して相補的な形状を有する溝がある。
【0039】
第1のプレート2、左サイド4、フローティングエレメント5および停止エレメント16は、点線矢印で示される縦方向に従って第2のプレート3が挿入されるポケットを画定する。第2のプレート3は、左サイド4、プレート2およびフローティングエレメント5によって規定される断面に対して相補的な蟻継ぎ断面を有する。
【0040】
図3を検討すれば分かるように、フローティングエレメント5は、断面に2つのプロファイルを有する。すなわち、第1のプレート2の右サイドが受け入れられる溝のような形状の第1のプロファイル、および、第2のプレート3の蟻継ぎ形状(dovetail shaped)の(すなわち先細りの)断面に対して実質的に相補的な第2の傾斜プロファイルである。
【0041】
フローティングエレメント5の右サイドには、2つの斜面51,52、すなわち互いに平行ではなく且つ第1のプレート2の左サイドおよび右サイドに対して平行ではない2つの表面が存在する。
【0042】
この第1の実施形態では、フローティングエレメント5の2つの斜面51,52のうちの1つと相互作用するための斜面61,71をそれぞれが備える2つの推力ブロック6,7が存在する。特別には、推力ブロック6,7の斜面61,71は、フローティングエレメント5の対応する斜面51,52と対になっており、それらの上をスライドするためのものである。フローティングエレメント5および推力ブロック6,7は、ロック装置の構成部品であり、符号21によってまとめて表される。
【0043】
より詳細に説明するように、フローティングエレメント5は、斜面61,71と斜面51,52との相互作用によって、推力ブロック6,7によって常に加えられる推力に応じて、第1のプレート2に近づくようにおよびそれから離れるように移動できる。
【0044】
第1のプレート2の右サイドは、対応するバネ5a~5dを備える少なくとも2つのガイドピン4a~4d(好ましくは図に示されるように4つのガイドピン)を一緒に、第1のプレート2の右サイドにあり且つ第2のプレート3の挿入方向に垂直であるブラインド穴41a~41dに挿入することによって収容することを可能にする。それぞれのガイドピン4a~4dは、これらのブラインド穴41a~41dのうちの1つに部分的に挿入され、一端が部分的にフローティングエレメント5に向かって突出している。バネ5a~5dは、ガイドピン4a~4dとブラインド穴41a~41dの底との間に置かれ、各々の軸に沿ったガイドピン4a~4dの変位に反発するように設計されている。
【0045】
上述したようにフローティングエレメント5が変位するときにスライド式にフローティングエレメント5をガイドするように(すなわちフローティングエレメント5が第1のプレート2に近づくようにまたはそれから離れるように変位するように)、フローティングエレメント5に面するガイドピン4a~4dの端は、フローティングエレメント5の左サイドにある専用の穴にスライド式に挿入される。換言すれば、フローティングエレメント5は、ガイドピン4a~4dに取り付けられ、その上を移動可能である。この拘束および移動が可能であるということから、エレメント5はフローティングと呼ばれる。
【0046】
フローティングエレメント5は、フローティングエレメント5の左サイドから突出し且つフック端13aを備える、図5および7に示される固い歯13を備える。歯13はフローティングエレメント5の一部であり、第1のプレート2に近づくようにまたはそれから離れるように移動する。第2のプレート3が第1のプレート2に挿入され且つフローティングエレメント5が前者に当接するとき、端13aは第2のプレート3を引っ掛け、それが、点線矢印によって示される方向と逆方向に沿って縦方向にリリースされるかもしれないことを防止する
図3に戻って、推力ブロック6,7の両方は、少なくとも1つのロッド(好ましくは2つのロッド14a,14b)にスライド式にマウントされることが分かる。特別には、ロッド14a,14bは、推力ブロック6,7の穴を貫通し、それぞれのロッド14a,14bは2つの推力ブロック6,7の間で共有される。ロッド14a,14bは、第2のプレート3の挿入方向に平行である。さらに、2つの推力ブロック6,7の間には、少なくとも1つの弾性エレメント(例えばバネなど)が存在する。示された例において、2つのバネ17a,17bは、それぞれ、ロッド14a,14bのうちの1つに取り付けられる。
【0047】
ツールチェンジャー1が正しくマウントされる場合、駆動で加えられた力によってバネ17a,17bの力に打ち克って互いに近づくように移動するように、および、バネ17a,17b自体によって加えられた推力によって互いから離れるように移動するように、2つの推力ブロック6,7は、第1の(実質的に縦の)方向に沿ってロッド14a,14bに沿って両方向に交互に移動可能である。
【0048】
推力ブロック6,7が滑り出ることを防止するストップナットのネジ止めを可能にするように、2つのロッド14a,14bの端はネジ切りされている。
推力ブロック6,7はさらに、好ましくは図3および4に示される鍔付頭ネジ(collar screw)8a,8bによって、フローティング方式で第1のプレート2に接続される。鍔付頭ネジ8a,8bは、第1のプレート2の右サイドにある対応するシート(seat)81a,81bとかみ合うネジ切りされた端部と、ネジ切りされた端部と鍔との間にあり且つ第1のプレート2の横面に対して平行にフローティングエレメント5を貫通するねじ切りされていない部分とを有する。推力ブロック6,7にあり且つ鍔付頭ネジ8a,8bが貫通するシートは、上記のように前記ロッド14a,14bに沿って推力ブロック6,7が移動可能なように、ロッド14a,14bに対して平行(すなわち第2のプレート3の挿入方向に平行)な方向に延びるスロット82a,82bである。
【0049】
推力ブロック7は、図に示されるように、カムプロファイル10とピン23におけるピボット点とを含む駆動レバー9に接している。
図3に示されるように、ピン23は、ロッド14a,14bの端にネジ止めされる2つの肩11a,11bによって支持される。
【0050】
図5および図7に注目して、アクチュエーティングレバー9と推力ブロック7とは、ピン23に近い表面15aとピン23から遠い表面15bとを有するカムプロファイル10に沿って相互作用することが分かる。近いおよび遠いという語句は、肩11a,11bを貫通する軸に対する、表面15a,15bの位置を表す。
【0051】
カムプロファイル10は、表面15aに沿ってまたは表面15bに沿って、推力ブロック7と相互作用できる。
ロッド14a,14bに沿って互いに近づくようにまたは離れるように交互に移動する推力ブロック6,7の上記特徴は、推力ブロック7と相互作用する界面に対してカムプロファイル10の表面15a,15bが所定の時にとる位置に依存する。カムプロファイル10の表面15aが推力ブロック7と接する場合、ロッド14a,14b上をスライドすることによって、推力ブロック6,7は互いから離れるように移動する。カムプロファイル10の表面15bが推力ブロック7と接する場合、ロッド14a,14b上をスライドすることによって、推力ブロック6,7は互いに近づくように移動する。
【0052】
これは、ロッド14a,14b上の推力ブロック6,7が利用可能な空間は、推力ブロック7と相互作用するカムプロファイル10の表面に応じて変化する、という事実による。
【0053】
特別には、図5に示されるように、推力ブロック7が、ピン23から遠いカムプロファイル10の表面15bと相互作用する場合、推力ブロック6,7が利用可能なロッド14a,14bに沿った空間が減少し、その結果、推力ブロック6,7は互いに近づくように移動する。反対に、図7に示されるように、カムプロファイル10の表面15aが推力ブロック7と相互作用する場合、推力ブロック6,7が利用可能なロッド14a,14bに沿った空間が増大し、その結果、バネ17a,17bによって加えられた推力によって推力ブロック6,7は離れるように移動する。
【0054】
ツールチェンジャー1の第1の実施形態の動作は単純であり、図5図8を参照して以下に説明する。
第2のプレート3が第1のプレート2にあるポケットに、点線矢印によって示された方向で停止エレメント16に当接するまで挿入されたとき、アクチュエーティングレバー9はオペレータによって保持され、ロック位置へ動かされて第2のプレート3を第1のプレート2にロックする。
【0055】
アクチュエーティングレバー9に位置するカムプロファイル10は、オペレータによって操作された場合だけ、アクチュエーティングレバー9がアンロック状態からロック状態に、および逆にスイッチできるように、形作られている(すなわち、それは不可逆タイプのプロファイルである)。
【0056】
図5および図6に示されるように、第2のプレート3を第1のプレート2に拘束するために、オペレータは矢印によって示される方向にアクチュエーティングレバー9を押し、それをロック位置(すなわち、点線矢印によって示される第2のプレート3の挿入方向に平行)に置く。
【0057】
このように、カムプロファイル10は、その表面15bに沿って推力ブロック7と相互作用し、それによって、各々の矢印によって示されるように、ロッド14a,14bに沿って互いに近づくように推力ブロック6,7を変位させる。推力ブロック6,7(第1のプレート2に対してフローティングとなるようにマウントされる)が、互いに近づくように変位されるときに、それらは、推力ブロック6,7の斜面61,71とフローティングエレメント5の斜面51,52との間のスライドする相互作用によってフローティングエレメント5に推力を加え、その結果、フローティングエレメント5は第1のプレート2に近づくように(対応する矢印によって示される方向に対して垂直に)移動する。
【0058】
そして、フローティングエレメント5は、その左サイド(つまり第2のプレート3に接するサイド)が図6に示されるy軸に対して距離dに位置するように、バネ4a~4dの反発力に打ち克って第1のプレート2に近づくように変位される。示される例において、この距離dは117mmである。y軸から距離dに位置するフローティングエレメント5は、第2のプレート3が第1のプレート2に対してロックされるように且つ滑り出ることがないように、第2のプレート3に推力を加える。
【0059】
フローティングエレメント5が第2のプレート3に対してこのロック位置にあるとき、歯13の端13aは、第2のプレート3のリアサイド(すなわち、停止エレメント16に当接するように移動するサイドとは反対のサイド)に接しており、点線矢印によって示される方向とは反対の方向に第2のプレートが引き出されることを防止する。
【0060】
フローティングエレメント5は、第2のプレート3を第1のプレート2に拘束するただ1つのロック装置であり、アクチュエーティングレバー9がロック位置に置かれた後にだけ、そのロック動作が起る。
【0061】
第2のプレート3は、第1のプレート2にしっかりと拘束され、オペレータがアンロック位置へアクチュエーティングレバー9を動かしたときにだけ分離でき、換言すれば、オペレータによって加えられる力は、アクチュエーティングレバー9をアンロック位置に動かして第2のプレート3を第1のプレート2から分離可能にするために必要とされる。
【0062】
図7および図8に示されるアンロック位置にアクチュエーティングレバー9が動かされるとき、それは、ピン23を貫通する軸に近いカムプロファイル10の表面15aに沿って推力ブロック7に接し、バネ17a,17bによって推力ブロック6,7に加えられる力およびバネ4a~4dによってフローティングエレメント5に加えられる力に反発する推力を加えない。従って、推力ブロック6,7は、各々の斜面61,71のそれぞれがフローティングエレメント5の斜面51,52のうちの1つの上をスライドするように、図7の各々の矢印の方向に、互いから離れるように移動する。
【0063】
アクチュエーティングレバー9がアンロック位置に押し込まれるとき、フローティングエレメント5は、第2のプレート3の挿入方向に対して垂直の方向に離れるように移動し、y軸(図8)に対して左エッジが距離D(図に示される例においては119mm、すなわち上記距離dよりも2mm長い)にある位置をとる。
【0064】
フローティングエレメント5がy軸に対してこの距離Dに位置するとき、すなわち、それが第2のプレート3に対してアンロック位置にあるとき、歯13の端13aは、第2のプレート3のリアサイドに接しておらず、その結果、オペレータがそれを、点線矢印の方向とは反対の縦方向に引き出すかもしれないことを妨げない。
【0065】
フローティングエレメント5を第1のプレート2から離れるように移動させることによって、第2のプレート3を、第1のプレート2から確かにアンロックして、第1のプレート2から、点線矢印の方向とは反対の縦方向に引き出すことができる。
【0066】
上記のツールチェンジャー1の、フローティングエレメント5および推力ブロック6~7を含むロック装置21とアクチュエーティングレバー9とは、共に、市販のツールチェンジャー装置(例えば図1に示される装置)を改装するために使用できる。この目的のために、ロック装置21およびアクチュエーティングレバー9は、既知の技術によるツールチェンジャーのロック手段(図1に示される例において、対応する別個の調整ハンドル107および108によって操作される2つの分離したクランプ105および106からなる)に取って代わる。
【0067】
本発明1の第1の実施形態は、図2図8に示される実施形態および対応する記載に限定されない。本発明の第1の実施形態は、図に示された実施形態と同等のバリエーションを含んでもよい。
【0068】
例えば、バリエーションは、逆の動きを得るために、図2図8に示される角度とは逆の角度によって推力ブロック6,7の斜面を整えることを含む。逆の傾きを備える斜面61,71を用いることによって、駆動レバー9のロック位置およびアンロック位置が逆になるが、装置の動作は概念的には変わらない。
【0069】
図9図13は、第1のプレート2’および第2のプレート3を含む、本発明による、ツールチェンジャー1’の第2の実施形態を示す。
図9および図10に注目すると、前述した第1の実施形態1と同様に、第1のプレート2’は、左サイド4’、サイド4’の反対の右サイド10’、および、点線矢印によって示される方向に第2のプレート3が挿入されるサイドの反対の停止サイド12’を含むことが分かる。
【0070】
第1のプレート2’の右サイド10’には、フローティングエレメント5’、推力シート6’およびカバー7’を含み、全体として参照符号8’によって表されるロック装置が存在する。
【0071】
フローティングエレメント5’は、第2のプレート3が第1のプレート2’に挿入されるときに、第2のプレート3の蟻継ぎ断面に実質的に相補的なプロファイルに沿って、その左サイドで第2のプレート3に接し、左サイドの反対の右サイドで推力シート6’に接する。フローティングエレメント5’および推力シート6’はそれぞれ、点線矢印によって示される第2のプレート3の挿入方向に平行ではない斜面であって且つそれに沿ってフローティングエレメント5’および推力シート6’が相互作用する斜面51’および71’を有する。
【0072】
前記フローティングエレメント5’は、フローティングエレメント5’の全厚さにわたって延びる(貫通する)少なくとも1つのスロット72’a(好ましくは2つのスロット72’aおよび72’b)を有する。スロット72’a,72’bは、第2のプレート3の挿入方向に対して垂直な方向に延びている。
【0073】
ピン9’a(好ましくは、第1のプレート2’の対応するブラインド穴11’aおよび11’bを垂直に塞ぐ2つのピン9’aおよび9’b)は、それぞれのスロット72’aおよび72’bに挿入される。それぞれのスロット72’aおよび72’bは、2つのバネ14’aおよび14’bのような少なくとも1つの弾性エレメントを収容する。これらのバネ14’aおよび14’bは、図10に示されるように、第2のプレート3の挿入方向に垂直に、対応するスロット72’a,72’bの長手サイドに沿って配置され、その結果、バネ14’a,14’bの一端は、対応するスロット72’a,72’bに挿入されたピン9’aおよび9’bに接し、他端は、スロット72’a,72’bの右の表面(すなわち推力シート6’に近い)に接する。
【0074】
フローティングエレメント5’は、フローティングエレメント5’の左サイドに対して平行に配置され且つフック端13’を備える歯13’を備え、フック端13’は、図12に示されるように、第2のプレート3が第1のプレート2’へ完全に挿入され且つフローティングエレメント5’が第2のプレート3に当接したときに第2のプレート3が引っ掛けられることを可能にする。
【0075】
前述したように、推力シート6’は、フローティングエレメント5’の右サイドに接する左サイドと、第1のプレート2’の右サイド10’に接する右サイドとを有する。
推力シート6’はさらに、貫通スロット82’を有する。
【0076】
スロット82’は、点線矢印によって示される方向と一致する第2のプレート3の挿入方向に平行な方向に、縦に延びる形を有する。ピン15’は、前記スロット82’に挿入され、第1のプレート2’の対応するブラインド穴16’を塞ぐ。バネ17’の一端がピン15’に接し、バネ17’の他端が停止サイド12’から遠いスロット82’の表面に接するように、スロット82’は、点線矢印で示される方向に平行なスロット82’に配置される少なくとも1つの弾性エレメント(バネ17’など)を受け入れる。
【0077】
フローティングエレメント5’および推力シート6’は、移動可能に第1のプレート2’にマウントされる。
これは、ピン9’a,9’b,15’が置かれるシートが、一方向に延び且つ前記ピン9’a,9’b,15’(各々のブラインド穴11’a,11’b,16’中で第1のプレート2’に対して静止しているままである)に対するフローティングエレメント5’および推力シート6’の移動を可能にするスロット72’a,72’b,82’である、という事実による特徴である。
【0078】
特別には、スロット72’a,72’bの形状は横に(すなわち第2のプレート3の挿入方向に対して垂直の方向に)延びているため、フローティングエレメント5’は、第2のプレート3に対して近づくようにまたは離れるように横方向に移動できる。一方、スロット82’aの形状は縦に(すなわち第2のプレート3の挿入方向に対して平行な方向に)延びているため、推力シート6’は、停止サイド12’に対して近づくようにまたは離れるように縦方向に移動できる。
【0079】
第2のプレート3および停止サイド12にそれぞれ近づくように移動するフローティングエレメント5’および推力シート6’によって、フローティングエレメント5’および推力シート6’が離れるように移動(それらの移動は、各々のバネ14’a,14’b,17’が広がるときにフローティングエレメント5’および推力シート6’に及ぼす力によってガイドされる)するときに、対応するスロット72’a,72’b,82’に配置された各々のバネ14’a,14’b,17’が圧縮される。
【0080】
推力シート6’が移動するとき、それは、その斜面71’が、フローティングエレメント5’の斜面51’に沿って接するようにスライドする。
第1のプレート2’の右サイド10’に拘束されるカバー7’はフローティングエレメント5’および推力シート6’を、正しい位置(すなわちツールチェンジャー1’の適正な動作を保証する位置)に保持する。
【0081】
停止エレメント12’から遠い推力シート6’の一部は、推力シート6’とアクチュエーティングレバー20’との界面に配置され且つエラストマーエレメント(好ましくは2つのエラストマーエレメント(運動機構全体の遊びおよび許容差を相殺する機能を有するゴムエレメント41’aおよび41’bなど))を収容できる少なくとも1つのシート(好ましくは2つのシート)を推力シート6’の遠いプロファイルと共に形成するスライダ31’、および、第2のプレート3に接する。スライダ31’は、推力シート6’の穴にスライドして入る。
【0082】
アクチュエーティングレバー20’は、カムプロファイル21’、ピン22’、および、第1のプレート2’の溝25’に配置できるセンサ24’によってアクチュエーティングレバー20’がロック状態にあるかアンロック状態にあるかをオペレータに知らせることを可能にするエレメント(マグネット23など)を含む。
【0083】
アクチュエーティングレバー20’は、ピン22’によって第1のプレート2’に拘束され、カムプロファイル21’に沿ってスライダ31’に接する。
アクチュエーティングレバー20’のカムプロファイル21’は、不可逆のカムプロファイルであり、すなわち、オペレータによって操作された場合だけ、アクチュエーティングレバー20’がアンロック状態からロック状態に、および逆にスイッチできるように、形作られている。
【0084】
ツールチェンジャー1の第1の実施形態について記載したように、カムプロファイル21’は、近い部分21’aと遠い部分21’bとを有する。近いおよび遠いという語句は、ピン22’を通る軸に対する位置に応じて選択される。
【0085】
カムプロファイル21’の近い部分21’aおよび遠い部分21’bは、アクチュエーティングレバー20’の位置に応じて、交互にスライダ31’と相互作用する。第1のプレート2’に第2のプレート3をロックするためにアクチュエーティングレバー20’がオペレータによってロック位置に押し込まれるとき、カムプロファイル21’の遠い部分21’bがスライダ31’と相互作用する。一方、第2のプレート3が第1のプレート2’から引き出されることを可能にするためにアクチュエーティングレバー20’がアンロック位置にあるとき、近い部分21’aがスライダ31’と相互作用する。
【0086】
スライダ31’がアクチュエーティングレバー20’と推力シート6’との界面にあるので、アクチュエーティングレバー20’によってスライダ31’に加えられた推力はさらに、推力シート6’に伝達される。
【0087】
カムプロファイル21’が遠い部分21’bに沿ってスライダ31’と相互作用するとき、カムプロファイル21’はピン15’に近づくように移動し、それによって、バネ17’がその圧縮によってアクチュエーティングレバー20’の推力を相殺する位置まで、停止サイド12’に向かって推力シート6’を押す。一方、カムプロファイル21’が近い部分21’aに沿ってスライダ31’と相互作用するとき、それは、延びるバネ17’が推力シート6’に加える推力によって推力シート6’が停止サイド12’から離れるように移動できるように、ピン15’から離れるように移動する。
【0088】
推力シート6’は、第2のプレート3の挿入方向に実質的に平行な第1の方向に沿って停止サイド12’から離れるようにまたはそれに近づくように移動し、それにより、フローティングエレメント5’と推力シート6’との各々の斜面51’および71’に沿った相互作用によって、第2のプレート3から離れるようにまたはそれに近づくように、第2のプレート3の挿入方向に対して垂直の方向にフローティングエレメント5’を変位させる。
【0089】
前記第2のプレート3に対して近づくまたは離れる変位の終わりにおいてフローティングエレメント5’がとる位置に応じて、第2のプレート3は第1のプレート2’にロックされるかまたはそれからアンロックされる。
【0090】
ツールチェンジャー1’のロックシステムは効率的であり且つアクチュエーティングレバー20’だけの操作によって簡単に駆動できるが、ツールチェンジャー1’を使用する際のより高い安全性を確保してロボットアームの動作中に第1のプレート2’から第2のプレート3が誤って滑り出ることを防止するための構成部品を装置1’は備えることができる。
【0091】
前述したように、ロボットアームの移動の間に第1のプレート2’から第2のプレート3が滑り出すことを防止するために、フローティングエレメント5’が第2のプレート3にそのロック動作を加えるときに第2のプレート3を引っ掛けることができるフック端13’aを有する歯13’を、フローティングエレメント5’は備える。
【0092】
アクチュエーティングレバー20’がアンロック位置にあるとき(図13)、第1のプレート2’から前記第2のプレート3を引き出すことができるように、歯13’のフック端13’aが第2のプレート3を引っ掛けないことを図13は示す。対照的に、アクチュエーティングレバー20’がロック位置にあるとき(図12)、端13’aは、第2のプレート3を引っ掛けて、ロボットアームの動作中に第2のプレート3が誤って第1のプレート2’からリリースされることを防止する。
【0093】
ツールチェンジャー1’の安全な使用を保証する他の構成部品は、ロボットアームが移動を開始することを許可する前にオペレータによってアクチュエーティングレバー20’がロック位置に実際に置かれたかどうかをチェックすることを可能にするマグネットセンサコントロールシステムである。
【0094】
実際には、アクチュエーティングレバー20’には、アクチュエーティングレバー20’がロック位置にあるかアンロック位置にあるかに応じて第1のプレート2’の溝25’に挿入されるセンサ24’に対する位置が異なるマグネット23’が存在する。
【0095】
アクチュエーティングレバー20’がアンロック位置にある場合、マグネット23’は、センサ24’から間隔を置き、センサ24’はマグネット23’を検知せず、ロボットアームがスタートすることを許可しない。一方、アクチュエーティングレバー20’がロック位置にある場合、マグネット23’は、センサ24’の近傍にあり、センサ24’はマグネット23’を検知し、ロボットアームがスタートすることを許可する。
【0096】
ツールチェンジャー1’のこの第2の実施形態の動作は、単純であり、図10を参照して以下に説明する。
図10は、第1のプレート2’に第2のプレート3をロックするために、オペレータによってアクチュエーティングレバー20’がロック位置に置かれるときのツールチェンジャー1’の構成部品の位置を実線で示す。
【0097】
オペレータによってアクチュエーティングレバー20’がロック位置に回転されたときに、それはy’軸と角度d’(図10に示される例においては13°)をなす。前記アクチュエーティングレバー20’は、カムプロファイル21’の遠い部分21’bに沿ってスライダ31’と相互作用し、スライダ31’を押し、それによってさらに、停止サイド12’に近づくように推力シート6’を押す。推力シート6’は、アクチュエーティングレバー20’の推力をバネ17’が相殺する位置まで停止サイド12’に近づくように変位される。
【0098】
アクチュエーションレバー20’によって推力シート6’に加えられる推力は、推力シート6’とフローティングエレメント5’との各々の斜面71’,51’に沿った相互作用によって、フローティングエレメント5’に伝達される。そして、フローティングエレメント5’は、推力シート6’に加えられた推力によって、第1のプレート2’への第2のプレート3の挿入方向に垂直に、第2のプレート3に近づくように変位され、それによってバネ14’a,14’bが圧縮される。
【0099】
フローティングエレメント5’は、第2のプレート3を第1のプレート2’に拘束する唯一のロック手段であり、ロック動作を単に横方向(すなわち挿入方向に垂直)にだけ働かせるのではなく、フローティングエレメント5’が備える歯13’のフック端13’aによって、縦方向(すなわち第1のプレート3の挿入方向に平行)にも働かせる。実際には、フローティングエレメント5’が第2のプレート3に近づくように移動するにつれて、同時に、図12の矢印によって示されるように、フック端13’aは第2のプレート3に近づくように移動して第2のプレート3を引っ掛け、それによって、ロボットアームの動作中に第1のプレート2’から第2のプレート3が誤ってリリースされる可能性を防止する。
【0100】
アクチュエーティングレバー20’がひとたびロック位置に置かれると、フローティングエレメント5’は常に、第2のプレート3を第1のプレート2’に拘束し、ロック位置にあるアクチュエーティングレバー20’上でマグネット23’がセンサ24’によって検知されたときに、センサ24’は、ロボットアームが移動することを可能にするコントロールユニットに通知する。
【0101】
アクチュエーティングレバー20’のカムプロファイル21’は、第2のプレート3が第1のプレート2’から自由になるようにオペレータがアクチュエーティングレバー20’をアンロック位置に回転することを必要とするように形作られ、換言すれば、オペレータがアクチュエーティングレバー20’をアンロック位置へ配置するまで、第2のプレート3は第1のプレート2’に拘束され続ける。
【0102】
一方、図10は、第2のプレート3を第1のプレート2’からアンロックするために、オペレータによってアクチュエーティングレバー20’がアンロック位置に置かれるときのツールチェンジャー1’の構成部品の位置を点線で示す。
【0103】
オペレータによってアクチュエーティングレバー20’がアンロック位置に回転されたときに、それはY’軸と角度D’(図10に示される例においては64°)をなす。そして、前記アクチュエーティングレバー20’は、近い部分21’aに沿ってスライダ31’と相互作用し、前記スライダ31’および従って推力シート6’のいずれにも推力を加えない。さらに、カムプロファイル21’はピン15’に対して遠い位置に変位され、その結果、バネ17’によって推力シート6’に加えられた推力によって、推力シート6’が停止サイド12’から離れるように移動することを可能にする。
【0104】
第1のプレート2’に第2のプレート3を挿入する方向に平行な方向に沿って停止サイド12’から離れるように推力シート6’が変位する間、推力シート6’は、その斜面71’がフローティングエレメント5’の斜面51’に沿うようにスライドし、フローティングエレメント5’に対して、第2のプレート3の挿入方向に垂直に推力を加えない。従って、前記フローティングエレメント5’は、バネ14’a,14’bによってそれに加えられる力によって第2のプレート3から離れるように変位できる。
【0105】
フローティングエレメント5’は第2のプレート3から離れるように変位され、プレート3に対してフローティングエレメント5’によるロック動作は行われず、その結果、プレート3はそれ以上第1のプレート2’に拘束されない。さらに、フローティングエレメント5’が第2のプレート3から遠ざかるように変位されるため、フローティングエレメント5’が備える歯13’の端13’aは、図13の矢印で示されるように、第2のプレート3から離れるように平行移動し、その結果、点線矢印の方向とは反対の方向に、第2のプレート3が第1のプレート2’から引き出されることを可能にする。
【0106】
アクチュエーティングレバー20’がひとたびアンロック位置に置かれると、アクチュエーティングレバー20’上のマグネット23’はセンサ24’によって検知されず、対応するコントロールユニットは、第1のプレート2’が存在するロボットアームの移動を許可しない。
【0107】
図14および図15は、一緒にダブテール結合を規定する第1のプレート2”および第2のプレート3を含むダブテールツールチェンジャー1”の第3の実施形態を示す。
上述した2つの実施形態と同様に、ツールチェンジャー1”は、左サイド4”、サイド4”の反対の右サイド10”、および停止サイド12”を含み、それらすべてが一緒に、図14および図15の点線矢印によって示される方向に沿って第2のプレート3を挿入できるポケットを画定する。
【0108】
第1のプレート2”の右サイド10”には、ロック装置8”(すなわち、必要に応じて、第2のプレート3が第1のプレート2”にロックされまたはそれからアンロックされることを可能にする組立体)が設けられる。特別には、ロック装置8”は、フローティングエレメント5”と、推力シート6”と、図14の符号55”および56”で表される第1および第2のジョイントとを含む四節回転機構8”として構成される。
【0109】
フローティングエレメント5”は、第2のプレート3の縦挿入方向に対して横の方向に沿って、第2のプレート3に対して近づくようにまたは離れるように移動しうる。換言すれば、フローティングエレメント5”は、フローティングエレメント5”が第2のプレート3と当接するロック位置と、フローティングエレメント5”が第2のプレート3から分離され且つ第2のプレート3が第1のプレート2”から引き出されることを可能にするアンロック位置との間で移動可能である。
【0110】
フローティングエレメント5”は、横方向に延びる形状を有し且つフローティングエレメント5”にある2つのスロット72”および72”bのネジ9”および9”bまたはピンによって、第1のプレート2”に固定される。ネジ9”aおよび9”bは、フローティングエレメント5”が第1のプレート2”上を横方向に移動することを可能にするように、スロット72”aおよび72”bによって規定される空間の一部のみを占める。
【0111】
実際には、図14に示されるように、フローティングエレメント5”がアンロック位置にあるとき(すなわち第2のプレート3から分離しているとき)、ネジ9”aおよび9”bは、スロット72”aおよび72”bのうちの第2のプレート3に近い部分を占める。一方、フローティングエレメント5”が、図15に示されるようにロック位置にあるとき(すなわち第2のプレート3に当接するとき)、ネジ9”aおよび9”bは、スロット72”aおよび72”bのうちの第2のプレート3から遠い部分を占める。
【0112】
図15において各々の符号によって示されるように、第2のプレート3に対するフローティングエレメント5”のロック機能は、フック端13”aを備える歯13”によっても行われる。フローティングエレメント5”がロック位置にあるときにフック端13”aが第2のプレート3を引っ掛け且つ第2のプレート3が誤ってリリースされることを防止することを助けるように、歯13”は、第2のプレート3が挿入され且つ引き出される第1のプレート2”のサイドにおいて、フローティングエレメント5”の左サイドに形成される。
【0113】
図15においてより理解できるように、フローティングエレメント5”がロック位置にあるとき、フック端13”aは第1のプレート2”のポケットに向かって突出し、一方、図14に示されるように、フローティングエレメント5”がアンロック位置にあるとき、フック端13”aは引っ込められ、第2のプレート3を止めることができない。
【0114】
上述したように、アクチュエーティングレバー20”を用いたオペレータによる推力シート6”の縦方向の移動に応じて、フローティングエレメント5”は横方向に移動しうる(以下に記載する)。
【0115】
推力シート6”の左にはガイドエレメント53”が置かれ、右には、第1のプレート2”の右サイド10”が置かれる。実際には、ガイドエレメント53”および右サイド10”は、推力シート6”が、停止サイド12”に対して遠い位置(図14に示される)と近い位置(図15に示される)との間で第1の方向にスライドする空間を規定し、ここで記載する実施形態の第1の方向は、第1のプレート2”のポケットへの第2のプレート3の挿入方向に平行な縦方向である。
【0116】
実際には、推力シート6”は、アクチュエーティングレバー20”を介してオペレータによって与えられた操作に応じて縦方向に交互に移動する。
ガイドエレメント53”および第1のプレート2”の右サイド10”があるため、推力シート6”は横方向に移動できない。
【0117】
ツールチェンジャー1”はさらに、弾性エレメントと特別にはバネ65”とを含み、バネ65”は、図15に示され、推力シート6”に配置され、第1のプレート2”に挿入できる第2のプレート3の異なる幅が相殺されることを可能にする。換言すれば、第2のプレート3は、異なる幅を有しても、第1のプレート2”に挿入でき、バネ65”は、四節回転機構8”が常に、フローティングエレメント5”によって、挿入された第2のプレート3に当接するように移動できることを保証する。
【0118】
上述したように、推力シート6”およびフローティングエレメント5”は、四節回転機構8”を形成するように、第1および第2のジョイント55”および56”によって接続され、四節回転機構8”は、ロック機構として働き且つ推力シート6”の縦移動をフローティングエレメント5”の横移動に変えることを可能にする。
【0119】
換言すれば、図15の符号57”で表されるピンまたはトラニオンによって、推力シート6”に固定される第1の端とフローティングエレメント5”に固定される第2の端とを有するジョイント55”,56”によって、推力シート6”はフローティングエレメント5”に結合される。これらのピン57”は、推力シート6”の縦移動に応じて、ジョイント55”,56”がピン57”に対して回転することを可能にする。
【0120】
四節回転機構8”の動作の詳細に入る前に、推力シート6”はさらに、図14の符号58”によって表される第3のジョイントによって、アクチュエーティングレバー20”に接続されることに注意すべきである。
【0121】
ピン59”aおよび59”bによって、第3のジョイント58”の第1の端は推力エレメント6”に固定され、第2の端はレバー20”に固定される。特別には、ピン59”aは推力シート6”に配置され、図14の符号60”によって表され且つ推力シート6”に縦方向にあるスロットに挿入される。一方、ピン59”bは、アクチュエーティングレバー20”に、その第1の端部20”aにおいて固定される。
【0122】
そして、アクチュエーティングレバー20”は、アクチュエーティングレバー20”のピボットピンとしても機能するピン22”によって第1のプレート2”に拘束される。
実際には、アクチュエーティングレバー20”は、第1の端部20”aが停止サイド12”に対して遠い位置にあるアンロック位置(図14に示される)と、第1の端部20”aが停止サイド12”に対して近い位置にあるロック位置(図15に示される)との間でオペレータによって回転できる。
【0123】
アクチュエーティングレバー20”は、第1のプレート2”の右サイド10”に配置され且つ外部制御システムに接続されるセンサ(図示せず)と相互作用するためのマグネット(図示せず)を備える第2の端部20”bをさらに含む。
【0124】
これに照らして、上述の四節回転機構8”の動作が一層よく理解される。
実際には、図14の第1の例に注目すると、アクチュエーティングレバー20”がアンロック位置にあるとき、その第1の端部20”aは第1のプレート2”の停止サイド12”に対して遠い位置にあり、同様に、推力シート6”は停止サイド12”に対して遠い位置にあることが分かる。
【0125】
この構成において、フローティングエレメント5”はアンロック位置(すなわち第2のプレート3に当接しない)にあり且つ推力シート6”に対して近い位置にある。
図14に見られるように、アクチュエーティングレバー20”の第2の端部20”bは、第1のプレート2”の右サイド10”に対して遠い位置にあり、従って、上述したマグネットとセンサとは互いに相互作用しない。
【0126】
図15に示すように、オペレータがアンロック位置からロック位置に駆動レバー20”を回転させるとき、ピン59”aは、推力シート6”を押すバネ65”に圧を加える。実際には、ピン59”aにおいてアクチュエーティングレバー20”によって加えられた力が、推力エレメント6”に挿入されたピン57”に伝達され、停止サイド12”に近い位置に推力エレメント6”を変位させるように、推力エレメント6”に挿入されたピン59”aとピン57”との間にバネ65”が配置される。
【0127】
推力シート6”は、停止サイド12”に向かって移動することによって、フローティングエレメント5”をロック位置に変位させる。
実際には、推力シート6”は、四節回転機構8”を形成するように、第1および第2のジョイント55”および56”によってフローティングエレメント5”に接続されるため、停止サイド12”に向かう推力シート6”の縦方向の移動は、フローティングエレメント5”が第2のプレート3に当接してロックするまで、フローティングエレメント5”を第2のプレート3に向かって横方向に変位させる。
【0128】
アクチュエーティングレバー20”がロック位置に完全に回転したときの構成部品の最終位置は、図15に最もよく示される。
この図は、アクチュエーティングレバー20”が正しくロック位置にあるとき、
推力エレメント6”は停止サイド12”に対して近い位置にあり、フローティングエレメント5”は、ロック位置(すなわち第2のプレート3に当接する)にあることを示す。
【0129】
さらに、駆動レバー20”の第2の端部20”bは、第1のプレート2”の右サイド10”に当接し、駆動レバーに置かれたマグネットは、センサに対して近い位置にある。このように、センサは、マグネットの存在を検知し、駆動レバー20”がロック位置にあることを伝えるために外部制御ユニットに信号を送る。
【0130】
この構成において、第2のプレート3をポケットに保持し且つ第2のプレート3が誤ってリリースされることを防止するために、フック端13”aは、第1のプレート2”によって規定されるポケットに向かって突出する。
【0131】
第2のプレート3をアンロックすることを可能にするためには、アクチュエーティングレバー20”をアンロック位置に回転させ、それによって、推力シート6”を遠い位置に戻しフローティングエレメント5”をアンロック位置に戻すだけでよい。
【0132】
図示しない第4の実施形態においても、フローティングエレメントは第1のプレートの右サイドに配置され、フローティングエレメントが第2のプレートに当接してそれを第1のプレートにロックしておくロック位置と、フローティングエレメントが第2のプレートから分離し、第2のプレートを第1のプレートから引き出すことができるアンロック位置との間を横方向に交互に移動しうる。
【0133】
しかしながら、第3の実施形態とは異なり、ここに記載する第4の実施形態では、推力シートおよび各々のアクチュエーティングレバーは第1のプレートの停止サイド(すなわち第2のプレートが第1のプレートのポケットへ挿入されるときに第2のプレートが当接するサイド)に配置される。
【0134】
従って、アクチュエーティングレバーを介してオペレータによって与えられた操作に応じて、推力シートは、第1のプレートの左サイドに対して遠い位置と第1のプレートの左サイドに対して近い位置との間で、第1の(実質的に横方向の)方向に沿って交互に移動しうる。
【0135】
アクチュエーティングレバーは、ツールチェンジャー1”を参照して述べた方式と同じ方式で推力シートに接続される。実際には、アクチュエーティングレバーは、推力シートを遠い位置に保持するアンロック位置と、推力シートを近い位置に保持するロック位置との間で移動可能である。
【0136】
そして、推力シートは、推力シートの交互移動をフローティングエレメントに伝達する関節型レバーによってフローティングエレメントに接続される。
換言すれば、レバーは、推力シートの横方向の交互の変位を、フローティングエレメントの横方向の交互の移動に変換する。
【0137】
実際には、フローティングエレメントをアンロック位置に保持する位置であって第1のプレートの左サイドに対して遠い位置と、フローティングエレメントをロック位置に保持する(すなわち第2のプレートに当接する)位置であって左サイドに対して近い位置との間で、推力シートを移動させることができる。
【0138】
上述した実施形態は、第2のプレートが単一の外力によって第1のプレートにロックされることを可能にする。
換言すれば、第2のプレートを第1のプレートにロックまたはそれからアンロックするための2つの別個の調整ハンドル107,108を備える既知の技術のツールチェンジャー100を参照して述べたものとは異なり、ツールチェンジャー1,1’,1”は、第2のプレートをロックおよびアンロックする単一のアクチュエーティングレバー,20,20”を備え、推力エレメント(または複数の推力エレメント)とフローティングエレメントとを単一の外力によって同時に動かすことを可能にする。
【0139】
特別には、ツールチェンジャー1および1’と比較して、ツールチェンジャー1”は、推力エレメント(すなわち推力シート)とフローティングエレメントとの間の移動の伝達を改善することを可能にする。実際には、ツールチェンジャー1および1’の場合、推力エレメントはフローティングエレメントに当接し、移動の伝達は各々の斜面上を互いにスライドすることによって行われるが、一方、ツールチェンジャー1”では、推力エレメントは、フローティングエレメントに当接しないが、2つのジョイントによってそれに接続される。
【0140】
これは、これらの構成部品間の摩擦を抑制し、第2のプレートを第1のプレートにロックおよびそれからアンロックする操作を容易にし、推力エレメントおよびフローティングエレメントの摩耗を最小限にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15