IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特許7366579硬化性不飽和結晶性ポリエステル粉末およびその作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】硬化性不飽和結晶性ポリエステル粉末およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/16 20060101AFI20231016BHJP
   C08G 63/52 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
C08J3/16 CFD
C08G63/52
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019079904
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2019199596
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】15/982,689
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム・ファルジア
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・ホーキンス
(72)【発明者】
【氏名】ガーリノ・ジー・サクリパンテ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ジー・ザルツ
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-068214(JP,A)
【文献】国際公開第2018/015553(WO,A1)
【文献】特表2012-521467(JP,A)
【文献】特開平06-263882(JP,A)
【文献】特開2000-327793(JP,A)
【文献】特開昭63-108030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28;99/00
C08G 63/00-64/42
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を作製するためのプロセスであって、
式I
【化1】

を有するエチレン性不飽和モノマー(式中、pおよびqはそれぞれ独立して、0~8であり、zは、1~5である)、
第1のジオールモノマー、および
第2のジオールモノマーを含む不飽和ポリエステル樹脂を提供することと、
前記不飽和ポリエステル樹脂および油を含む混合物を、ホットメルト押出機を使用して、前記不飽和ポリエステル樹脂の融点温度(Tm)より高い温度で混合および加熱し、微粒子複合体を形成するために前記混合物に圧力を加えることと、
前記微粒子複合材料中に存在する油の量を減少させるために、前記微粒子複合材料を有機溶媒で洗浄することと、
前記微粒子を形成するために前記有機溶媒を除去することと、を含み、
前記微粒子が、平均体積直径および平均数直径の両方において、6~100ミクロンの範囲のサイズを有し、体積平均粒度分布指標GSDvが1.3~2.0、数平均粒度分布指標GSDnが1.4~2.5であり、
前記不飽和ポリエステル樹脂対前記油の重量比が、0.5:2.0~1.5:0.5の範囲内にある、プロセス。
【請求項2】
前記エチレン性不飽和モノマーが、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、イタコン酸、3-ヘキサン二酸、2-ヘプテン二酸、2-オクテン二酸、グルタコン酸、2-デセン二酸、トラウマチン酸、ムコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ならびにそれらのエステルおよび混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
記不飽和ポリエステル樹脂対前記油の重量比が、1.0:1.6~1.1:1.0である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記油が、ケシの実油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、綿実油、大豆油、ベニバナ油、コーン油、ヒマワリ種子油、キャノーラ油、鉱油、長鎖パラフィン油、液体ワセリン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとのコポリマー、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン、およびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和モノマーが、前記不飽和ポリエステル樹脂の3~95モルパーセント(mol%)で存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第1のジオールモノマーが、前記不飽和ポリエステル樹脂の1~50モルパーセント(mol%)で存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第2のジオールモノマーが、前記不飽和ポリエステル樹脂の5~50モルパーセント(mol%)で存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1のジオールモノマーの前記第2のジオールモノマーに対するモル比が、80:20~65:35である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記不飽和ポリエステル樹脂が、50℃~70℃の結晶化温度(Tc)を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記不飽和ポリエステル樹脂が、75℃~110℃の溶融温度(Tm)を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記加熱温度が、7~150℃である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記プロセスが、微粒子複合体を形成するために、ホットメルト押出機を使用して、前記不飽和ポリエステル樹脂、油、および熱開始剤を前記不飽和ポリエステル樹脂の融点(Tm)より高い温度で混合および加熱して、得られた混合物に圧力を加えることを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記不飽和ポリエステル樹脂および油を含む混合物を、ホットメルト押出機を使用して、前記不飽和ポリエステル樹脂の融点(Tm)より高い温度で混合および加熱して、微粒子複合体を形成するために前記混合物に圧力を加えることの後に得られた前記微粒子を熱開始剤と接触させることをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記熱開始剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、有機過酸化物、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]四塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-メチル-]N-2-プロペニルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)-2-メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記微粒子が、平均体積直径および平均数直径の両方において、15~75ミクロンの範囲のサイズを有し、幾何学的標準偏差が1.3~2.0である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
微粒子を作製するためのプロセスであって、
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、イタコン酸、3-ヘキサン二酸、2-ヘプテン二酸、2-オクテン二酸、グルタコン酸、2-デセン二酸、トラウマチン酸、ムコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ならびにそれらのエステルおよび混合物から誘導されるエチレン性不飽和モノマー、
第1のジオールモノマー、および
第2のジオールモノマーを含む不飽和ポリエステル樹脂を提供することと、
前記不飽和ポリエステル樹脂、油、および熱開始剤を含む混合物を、ホットメルト押出機を使用して、前記不飽和ポリエステル樹脂の融点温度(Tm)より高い温度で混合および加熱し、微粒子複合体を形成するために前記混合物に圧力を加えることと、
前記微粒子複合材料中に存在する油の量を減少させるために、前記微粒子複合材料を有機溶媒で洗浄することと
前記微粒子を形成するために、前記有機溶媒を除去することと、を含み、
前記微粒子が、平均体積直径および平均数直径の両方において、6~100ミクロンの範囲のサイズを有し、体積平均粒度分布指標GSDvが1.3~2.0、数平均粒度分布指標GSDnが1.4~2.5であり、
前記不飽和ポリエステル樹脂対前記油の重量比が、0.5:2.0~1.5:0.5の範囲内にある、プロセス。
【請求項17】
記不飽和ポリエステル樹脂対前記油の重量比が、1.0:1.6~1.1:1.0である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記エチレン性不飽和モノマーが、誘導フマル酸である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記油が、ケシの実油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、綿実油、大豆油、ベニバナ油、コーン油、ヒマワリ種子油、キャノーラ油、鉱油、長鎖パラフィン油、液体ワセリン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとのコポリマー、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン、およびそれらの混合物から選択される、請求項16に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3D(3次元)印刷用の結晶性ポリエステル(CPE)微粒子を調製するプロセスに関する。より具体的には、本実施形態は、選択的レーザー焼結(SLS)3D印刷用の大きな球形粒子(>20ミクロン)を有する結晶性ポリエステル(CPE)微粒子を調製するプロセスを提供する。
【0002】
積層造形法(3D印刷)のための選択的レーザー焼結(SLS)技術は、ラスター化レーザーを使用してポリマー粉末の床上を「走査」し、それを焼結して層状に固体形状を形成する。SLSに使用される材料は、典型的には粉末ポリマーであり、単独でも複合形態でもよい。下流の用途の様々なニーズを満たす仕様および機能を選択することで、SLSプロセスを介した3D印刷用の新素材を開発する原動力を提供する。
【0003】
選択的レーザー焼結(SLS)3D印刷技術は、ポリマー粉末の連続層を焼結するための電源としてレーザーを使用することによってプラスチック部品を製造する。この技術を広範囲の工業的範囲から制限する問題は、適用可能なポリマーの種類が狭いことである。今日まで、主に結晶性ポリアミド(PA)、例えばPA-11またはPA-12、ならびにPA-6、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、およびポリエーテルブロックアミド(PEBA)などの他の材料へのいくつかの限られた用途からなるこの技術に対してわずかな市販のポリマーしかうまく適用されなかった。非晶質樹脂、エラストマー、またはポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)などの他のより柔軟な材料、ならびに3D部品の材料特性を広げるのに重要な高性能材料は、使用することができない。この制限は、材料が結晶性でなければならず、かつ温度差が約30℃~50℃の鋭い融点および再結晶点を有していなければならない制限された要件に起因している。
【0004】
SLSシステムでは、COレーザビームを使用して、薄層に堆積したポリマー粒子を選択的に融合または焼結させる。最上粉末層中のポリマー粒子の局部的な完全合体、およびその下の層中の予め焼結した粒子との接着が必要である。これは、SLS処理で通常使用される結晶性または半結晶性ポリマーについて、結晶化温度(Tc)が可能な限り長い間、または少なくともいくつかの焼結層を処理する間、抑制されるべきであることを暗示する。したがって、処理温度は、所与のポリマーの溶融(Tm)と結晶化(Tc)との間で正確に制御されなければならない。過冷却ポリマー溶融物のこの準安定熱力学的領域は、所与のポリマーについての「焼結ウィンドウ」と呼ばれる。Tcの開始点とTmの開始点との間の焼結ウィンドウは、約30℃~約40℃である。図1は、PA-12SLS粉末の示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを実証する。(出典:Schmid,et.al.,「Polymer Powders for Selective Laser Sintering(SLS)」、ETH-Zurich,2014。)
【0005】
SLS用途を成功させるために望ましいポリマー特性としては、SLS材料/粉末の粒子形状および表面が挙げられる。ポリマー粒子がより球状であるほど、それらはより自由流動性を示す。典型的には、比較的非球形の粒子は、流動性および充填効率に悪影響を及ぼす可能性がある。これは、SLS材料がローラーまたはブレードシステムによってSLS機の部品床上に分配され、圧縮されないので、SLS材料にとって望ましい特性である。今日まで、Appl.Sci.2017,7,462に記載されている沈殿プロセスによって製造される、ナイロンPA-12などの現在入手可能な市販のSLS粉末は、典型的には非球状、いわゆる「ポテト状」粒子である。極低温粉砕から得られた粒子はまた、極低温粉砕粉末の自由流動性がSLS機において低密度および劣った部分床面を生成するので、SLS処理には不適切である。
【0006】
そのため、現在使用されているポリアミド(PA-6、PA-11、およびPA-12)よりも剛性または柔軟な材料が必要とされている。さらに、より低い電力要件が3Dプリンタに必要とされるように、より低い温度(TcおよびTm)を有するポリマー材料、ならびにそのようなポリマー材料を作製するプロセスが必要とされている。
【0007】
いくつかの態様において、本明細書の実施形態は、
式Iを有するエチレン性不飽和モノマー、
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、pおよびqはそれぞれ独立して、0~8であり、zは、1~5である)第1のジオールモノマー、および
第2のジオールモノマーを含む不飽和ポリエステル樹脂を提供することと、不飽和ポリエステル樹脂および油を含む混合物を不飽和ポリエステル樹脂の融点温度(Tm)より高い温度で混合および加熱し、混合物に圧力を加えて微粒子複合体を形成することと、微粒子複合材料を有機溶媒で洗浄して、微粒子複合材料中に存在する油の量を減少させることと、有機溶媒を除去して微粒子を形成することとを含む、微粒子を作製するためのプロセスに関する。
【0010】
いくつかの態様において、本明細書の実施形態は、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、イタコン酸、3-ヘキサン二酸、2-ヘプテン二酸、2-オクテン二酸、グルタコン酸、2-デセン二酸、トラウマチン酸、ムコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ならびにそれらのエステルおよび混合物から誘導されるエチレン性不飽和モノマー、第1のジオールモノマー、ならびに第2のジオールモノマーを含む不飽和ポリエステル樹脂を提供することと、不飽和ポリエステル樹脂、油、および熱開始剤を含む混合物を不飽和ポリエステル樹脂の融点温度(Tm)より高い温度で混合および加熱し、混合物に圧力を加えて微粒子複合体を形成することと、微粒子複合材料を有機溶媒で洗浄して、微粒子複合材料中に存在する油の量を減少させることと、有機溶媒を除去して微粒子を形成することとを含む、微粒子を作製するプロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】2014年6月8日~12日に米国オハイオ州クリーブランドで開催されたSchmid,M.、Amado,A.、Wegener,Kの第30回ポリマー加工協会国際会議から複製された、PA-12SLS粉末の示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを示す図である。
図2】本開示の特定の実施形態による架橋結晶性ポリエステル(CPE)微粒子の形成を示す図である。
図3】様々な種類のポリマーのヤング率(E)/温度の関係の概略図である(Wisanrakkit and Gillham,J.Appl.Polym.Sci.,42,2453(1991)。
図4】本開示の特定の実施形態による結晶性ポリエステル樹脂1の示差走査熱量測定(DSC)データを示す図である。
図5】本開示の特定の実施形態による結晶性ポリエステル樹脂2の示差走査熱量測定(DSC)データを示す図である。
図6】押出粒子プロセスおよび対照プロセスの両方で作製されたCPE微粒子と比較した市販のナイロンPA11およびナイロンPA12の体積および数D50を示す図である。
図7】対照法で作製されたCPE微粒子ならびに市販のナイロンPA11およびPA12の嵩密度、粒子密度、および気孔率を比較した図である。
図8a-8c】図8a及び8bは、対照プロセスにより製造されたCPE粒子の球形度および分布を示すSEM画像である。図8cは、押出粒子プロセスにより製造されたCPE粒子の球形度および分布を示す光学顕微鏡図である。
図8d-8f】対照プロセスを使用して1:1.33(CPE対PDMS)から作製されたCPE微粒子、対照プロセスを使用して1:1.66(CPE対PDMS)から作製されたCPE微粒子、および押出粒子プロセスを使用して1:1(CPE対PDMS)から作製されたCPE微粒子の粒度分布データをそれぞれ示す図である。
図9a-9b】CPE微粒子へのVazo67開始剤の適用が、示差走査熱量測定(DSC)実験中の第1の加熱後に熱架橋反応をもたらすことを示す。
図9c-9d】熱開始剤を適用しない場合のCPE微粒子の対照の示差走査熱量測定(DSC)実験を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書の実施形態は、選択的レーザー焼結(SLS)3-D印刷技術において使用するための不飽和ポリエステル樹脂を作製するプロセスを提供する。
【0013】
本実施形態によれば、結晶性ポリエステル(CPE)微粒子(本明細書では用語「微粒子」と同義)を作製するプロセスは、油環境内で不飽和ポリエステル樹脂を溶融させるために加熱および加圧することによって行われ得、これは、不飽和ポリエステル樹脂が、油で囲まれているか、または油と混合されていることを意味する。用語「微粒子」は、一般に、平均体積直径および平均数直径の両方において、約6~約100ミクロン、約15~約75ミクロン、または約20~約60ミクロンの範囲のサイズを有する粒子を指し、従来のコールターカウンター(例えば、Microsizer II)によって測定したとき、幾何学的標準偏差(GSD vおよびn、用語「狭い粒度分布」と交換可能に使用される)が約2.5~約1.4、または約2.0~約1.3、または1.3以下の範囲である。
【0014】
GSDは、(D84/D50)の体積による上位幾何学的標準偏差(GSD)(粗レベル)および(D50/D16)の数による幾何学的標準偏差(GSD)(微粉レベル)を指す。全トナー粒子の50%の累積百分率が達成される粒径を体積D50と定義し、84%の累積百分率が達成される粒径を体積D84と定義する。上述のこれらの体積平均粒度分布指標GSDvは、累積分布でD50およびD84を使用することによって表すことができ、体積平均粒度分布指標GSDvは、(体積D84/体積D50)で表される。上述のこれらの数平均粒度分布指標GSDnは、累積分布でD50およびD16を使用することによって表すことができ、数平均粒度分布指標GSDnは、(数D50/数D16)で表される。GSD値が1.0に近いほど、粒子間に存在するサイズ分散は少ない。微粒子についての上述のGSD値は、微粒子が狭い幾何学的標準偏差または狭い粒度分布を有するように作製されることを示す。
【0015】
実施形態において、CPE微粒子を作製するプロセスは、ホットメルト押出機を使用することによって行われ得る。
【0016】
本開示のプロセスは、不飽和ポリエステル樹脂を油と接触させて混合物を形成することを含む。この油は、ポリマーを凝集させてコアセルベート液滴を形成させ、それが周囲温度まで冷却する間に微粒子に最終的に硬化させるポリマー溶媒およびコアセルベート化物質として役立つ。微粒子が完全に硬化した後、油は、油混和性溶媒で洗い流し得る。ポリマー濃度、ポリマーの分子量、および温度に依存する、油の臨界体積分率を超えると、油と結晶性ポリエステルとの間で相分離が起こる。実施形態において、油は、非シリコーン油であり、これは、ケシの実油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、綿実油、大豆油、ベニバナ油、コーン油、ヒマワリ種子油、およびキャノーラ油などの不飽和油、または鉱油、長鎖パラフィン油、および液体ワセリンなどの飽和油であり得る。実施形態において、油は、シリコーン油である。実施形態において、油は、シリコーン油と非シリコーン油との混合物である。シリコーン油の具体例としては、ジオルガノポリシロキサン、有機官能性シロキサン、シリコーンポリエーテル、シリコーンアルキルワックス、フェニルシリコーン、フルオロシリコーン、直鎖状シロキサン、環状シロキサン、アミノ官能性オリゴシロキサン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ジオルガノポリシロキサンの例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとのコポリマー、およびそのようなOH末端を有するポリマーまたはコポリマーの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖状シロキサンの例としては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。環状シロキサンの例としては、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態において、油は、ジオルガノポリシロキサンを含む。実施形態において、油は、ポリジメチルシロキサンを含む。
【0017】
平均体積直径および平均数直径の両方において、約5~約100ミクロンの所望の粒度範囲内で、1.3~2.0の狭い幾何学的サイズ分布(GSD)を有するCPE微粒子を形成するためには、不飽和ポリエステル樹脂対油の重量比が、約0.5:2.0~約1.5:0.5、約0.75:1.8~約1.25:0.75、約1.0:1.6~約1.1:1.0、約0.25:1.0~約1.0:0.33、約0.42:1.0~約1.0:0.6、または約0.63:1.0~約1.0:0.90の特定の範囲内であることが望ましい。重量比は、不飽和ポリエステル樹脂および油を含有する混合物に圧力を加える前に存在する不飽和ポリエステル樹脂の量と油の量との重量比を指す。
【0018】
実施形態において、このプロセスは、不飽和ポリエステル樹脂と油とを混合することを含む。不飽和ポリエステル樹脂は、ホットメルト押出機に供給する前に、室温または高温で、油、任意の熱開始剤、および他の任意の添加剤と予備混合してもよい。不飽和ポリエステル樹脂、油、任意の熱開始剤、および他の任意の添加剤を別々にホットメルト押出機に添加してもよい。
【0019】
実施形態において、このプロセスは、不飽和ポリエステル樹脂と油とを含有する混合物を加熱することを含む。不飽和ポリエステル樹脂、油、および任意の熱開始剤の混合物は、混合前または混合中に、不飽和ポリエステル樹脂の融点(Tm)より高い温度で加熱され得る。実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂、油、および任意の熱開始剤の混合物は、約75~約150℃、約95~約130℃、または約100~約120℃の温度で加熱され得る。
【0020】
不飽和ポリエステル樹脂、油、任意の熱開始剤、および他の任意の添加剤の混合物は、毎分約50回転(「rpm」)~約1500rpm、実施形態において約250rpm~約1000rpm、または約225rpm~約500rpmの速度で押出機内で混合され得る。混合または接触は、約1分~約60分、約5分~約30分、または約10分~約20分で実施され得る。この強力な混合は、不飽和ポリエステル樹脂、油、任意の熱開始剤、および他の任意の添加剤の分子レベルの混合を達成するのを助ける。この種の分子混合は、混合物を均一な形状および密度を有する微粒子複合体に変換することができる。このプロセスは、約0~約50メートル-グラム(mg)の圧力を微粒子複合体に加えること、実施形態において、材料をオリフィスまたはダイを通して押し進めて微粒子を形成することを含む。単位「メートル-グラム」は、重力に対して1グラムを1メートルの距離上げるのにかかる力を指す。実施形態において、微粒子は、室温(すなわち、20℃~25℃)に冷却される。
【0021】
そのような微粒子複合体は、75℃~150℃の温度で測定して1,000~100,000cPの粘度を有し得る。実施形態において、微粒子複合体は、75℃~150℃の温度で測定して1,000~100,000cPの粘度を有し得る。実施形態において、微粒子複合体は、20℃~30℃の温度で測定して、5,000~250,000cP、10,000~100,000cP、または50,000~100,000cPの粘度を有し得る。
【0022】
そのような微粒子複合体は、0.8~約1.30の密度を有し得る。そのような微粒子複合体は、Sysmex FPIA-2100(フロー粒子画像解析装置)によって測定されるとき、少なくとも0.950の平均円形度を有し得る。
【0023】
このプロセスは、微粒子から油の量を除去または減少させるために微粒子を洗浄することを含む。洗浄は、微粒子を酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、メタノール、およびそれらの混合物などの有機溶媒と接触させることによって実行され得る。実施形態において、このプロセスは、洗浄工程後に、例えば濾紙を通して濾過することによって、または遠心分離によって、微粒子から有機溶媒を除去することを含む。
【0024】
熱開始剤
実施形態において、熱開始剤は、洗浄工程後に微粒子の表面に添加され得る。上述したように、熱開始剤はまた、押出プロセス中(すなわち加熱および混合工程中)にCPEと組み合わせられ得る。実施形態において、熱開始剤は、溶解温度の半減期より短い半減期を示す。本明細書で使用されるとき、半減期は、所与の温度で元の熱開始剤含有量を50%減少させるのに必要な時間である。本明細書で使用するとき、溶解温度は、不飽和ポリエステル樹脂、油、任意の熱開始剤、および他の任意の添加剤の混合物を加熱するための押出機内部の最高温度である。溶解温度が混合物中の熱開始剤の半減期温度を超える場合、CPEは、押出中に時期尚早に架橋し、これらの微粒子のSLS印刷中には架橋しない。
【0025】
熱開始剤は、特に限定されない。好適な熱開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、および過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤、有機過酸化物を含む有機可溶性開始剤、およびVAZO64(商標)などのバゾ過酸化物を含むアゾ化合物、または[2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)もしくはAIBNとしても知られる2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)]、VAZO88(商標)、[1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)もしくは1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)]、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル(Vazo(商標)67)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。使用され得る他の好適な水溶性開始剤としては、アゾアミジン化合物、例えば、2-メチル2-2’-アゾビスプロパンニトリル、2-2’-アゾビスイソブチルアミド無水物、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)、二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]四塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-メチル-]N-2-プロペニルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)-2-メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0026】
CPE微粒子への熱開始剤の添加は、熱架橋によってCPE微粒子を強化する。図2は、特定の実施形態において、CPE微粒子を開始剤またはCPE微粒子表面上への開始剤のコーティングで架橋するプロセスを示す。
【0027】
不飽和結晶性ポリエステル(CPE)
SLS印刷に最適な材料は、結晶質であり、鋭い融点を持っている。不飽和結晶性ポリエステル(CPE)(「不飽和ポリエステル」または「不飽和ポリエステル樹脂」と同義で使用される)は、市販のPA-12のように非常に類似したDSCプロファイルを有するが、より低い温度にシフトした。CPEのより低い粘度は、改善された仕上げを有する印刷物を可能にし、研磨または化学的表面処理を排除する。上述したように、不飽和CPEを熱開始剤で架橋して熱硬化性樹脂を形成することができる。架橋不飽和CPEは、その非架橋対応物と比較して、より大きい強度および改善された機械的特性を有する。図3は、架橋ポリマーおよび未架橋ポリマーの典型的なヤング率(E)/温度の関係の概略図を示す。
【0028】
実施形態の不飽和CPEは、式Iの二酸(エチレン性不飽和モノマー)、および式IIの少なくとも2つの脂肪族ジオールから誘導され得る。
【0029】
式IIIの不飽和ポリエステルを調製するための一般的な合成スキームを以下に示す。
【0030】
【化2】
【0031】
【化3】
【0032】
実施形態において、実施形態の不飽和CPEは、フマル酸、および式IIの少なくとも2つの脂肪族ジオールから誘導され得る。
【0033】
実施形態において、実施形態の不飽和CPEは、フマル酸、ならびに2つの脂肪族ジオール、例えば1,4-ブタンジオール(1,4-BD)および1,6-ヘキサンジオール(1,6-HD)から誘導され得る。フマル酸、ならびに1,4-BDおよび1,6-HDから不飽和ポリエステルを調製するための合成スキームを以下に示す。
【0034】
【化4】
【0035】
エチレン性不飽和モノマーの例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、イタコン酸、3-ヘキセン二酸、2-ヘプテン二酸、2-オクテン二酸、グルタコン酸、2-デセン二酸、トラウマチン酸、ムコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ならびにそれらのエステルおよび無水物、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも2つの異なる脂肪族ジオール(すなわち、第1のジオールモノマーおよび第2のジオールモノマー)と反応して式IIIの不飽和ポリエステルを形成する。
【0037】
2つの脂肪族ジオールは、分子中の炭素原子数が異なり、第1のジオールモノマーは、2~5個の炭素原子を含有し(m1=2~5)、第2のジオールモノマーは、6~10個の炭素原子を含有する(m2=6~10)。実施形態において、第1のジオールモノマーは、2~4個の炭素原子、または3~4個の炭素原子を含有する。実施形態において、第2のジオールモノマーは、6~9個の炭素原子、または6~8個の炭素原子を含有する。脂肪族ジオールの例としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、2,2,3-トリメチルヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコール)、ヘキサン-2,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
実施形態において、任意の脂肪族ジオールの炭素鎖は、任意の炭素原子で任意に置換されてもよい。そのような任意の置換は、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0039】
第1のジオールモノマー(式II、式中、m1=2~5)と第2のジオールモノマー(式II、式中、m2=6~10)とのモル比を変え、これらのモノマーをエチレン性不飽和モノマー(式I)と反応させることにより、様々な溶融温度および再結晶温度を有する一連の不飽和ポリエステル樹脂(式III)を作製することができる。第1のジオールモノマー対第2のジオールモノマーのモル比は、80:20~約60:50、75:25~65:35、好ましくは70:30であり得る。
【0040】
第2のモノマーに対する第1のモノマーのモル比が高いほど、得られる不飽和ポリエステル樹脂の融点は低い。
【0041】
実施形態において、第1のジオールモノマーは、不飽和ポリエステル樹脂の約30~約90モルパーセント(mol%)、約40~約80mol%、または約50~約75mol%で存在する。
【0042】
実施形態において、第2のジオールモノマーは、不飽和ポリエステル樹脂の約5~約50モルパーセント(mol%)、約10~約40mol%、または約15~約35mol%で存在する。
【0043】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、約50℃~約70℃の結晶化温度(Tc)を有する。
【0044】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、約75℃~約110℃の溶融温度(Tm)を有する。
【0045】
低融点不飽和ポリエステル樹脂は、第1のモノマー含有量を増加させることによって得ることができるが、不飽和ポリエステル樹脂の再結晶温度は、58℃超であることが望ましい。再結晶温度が58℃未満である場合、トナー粒子は、高温にさらされると互いに固着し、ブロッキング(または凝集)を引き起こす。ブロッキングは、高温に供されたトナーが軟化してトナー粒子が凝固する現象である。
【0046】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂を熱開始剤の存在下で熱的に硬化(架橋)させることができるように、少なくとも25モルパーセント(実施形態において、少なくとも30モルパーセント、少なくとも35モルパーセント、少なくとも40モルパーセント、少なくとも45モルパーセント、または少なくとも50モルパーセント)のエチレン性不飽和モノマー(二酸)から誘導されることが望ましい。実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、30モルパーセント~95モルパーセント、40モルパーセント~90モルパーセント、50モルパーセント~85モルパーセント、60モルパーセント~80モルパーセント、65モルパーセント~80モルパーセント、または70モルパーセント~80モルパーセントのエチレン性不飽和モノマーから誘導される。
【0047】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、10モルパーセント~50モルパーセント、20モルパーセント~45モルパーセント、または30モルパーセント~45モルパーセントの第1のモノマーから誘導される。
【0048】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、5モルパーセント~50モルパーセント、10モルパーセント~50モルパーセント、または25モルパーセント~40モルパーセントの第2のモノマーから誘導される。
【0049】
120℃における不飽和CPE樹脂の粘度は、100~600ポアズ、または200~500ポアズであり得る。不飽和CPE樹脂の酸価は、3~20、または5~20KOH/gであり得る。
【0050】
実施形態において、エチレン性不飽和モノマー(フマル酸など)、第1のモノマー(1,4-ブタンジオールなど)、および第2のモノマー(1,6-ヘキサンジオールなど)を含む(またはそれらから誘導される)不飽和ポリエステル樹脂が提供される。さらなる実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、49モルパーセント~51モルパーセントのエチレン性不飽和モノマー(例えば、フマル酸)、25モルパーセント~45モルパーセントの第1モノマー(例えば、1,4-ブタンジオール)、および10モルパーセント~30モルパーセントの第2のモノマー(例えば、1,6-ヘキサンジオール)から誘導され得る。さらなる実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、49モルパーセント~51モルパーセントのエチレン性不飽和モノマー(例えば、フマル酸)、30モルパーセント~40モルパーセントの第1モノマー(例えば、1,4-ブタンジオール)、および10モルパーセント~30モルパーセントの第2のモノマー(例えば、1,6-ヘキサンジオール)から誘導され得る。
【0051】
不飽和CPE粒子は、Sysmex FPIA3000フロー粒子画像解析装置により測定して、約0.950~約0.975、約0.980~約0.990、または0.980超の円形度を有し得る。平均粒度は、コールターカウンター(Multisizer III)により測定して、狭いサイズ分布(体積および数の両方)で5~120ミクロン、15~75ミクロン、または20~60ミクロンの範囲である。
【0052】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、約10メガパスカル~約100メガパスカルの範囲の降伏応力を有する。
【0053】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、約1%~約10%の範囲の降伏歪みを有する。
【0054】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、約0.5~約5ギガパスカルの範囲のヤング率を有する。
【0055】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、約10%~約100%の範囲の破断歪みを有する。
【0056】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、約10メガパスカル~約100メガパスカルの範囲の破断応力を有する。
【0057】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂(すなわち、未硬化不飽和ポリエステル樹脂)は、約75℃~約110℃の溶融温度を有する。
【0058】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、約50℃~約70℃の結晶化温度(Tc)を有する。
【0059】
実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂の融点温度(Tm)より高い硬化温度で熱開始剤を用いて硬化され得る。実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂の融点温度(Tm)より高い硬化温度で、油および熱開始剤と混合および加熱されて、微粒子複合体を形成し得る。実施形態において、硬化温度は、不飽和ポリエステル樹脂の融点よりも約10℃~約30℃、約20℃~約30℃、または約10℃~約15℃高い範囲である。一実施形態において、硬化は、不飽和ポリエステル樹脂と熱開始剤とを含む混合物にCOレーザーを適用することによって実行することができる。実施形態において、不飽和ポリエステル樹脂と熱開始剤とを含む混合物に圧力を加えてもよい。
【0060】
不飽和ポリエステル樹脂を熱開始剤で硬化した後、架橋性を有する微粒子複合体が形成される。微粒子複合体は、体積平均直径で約3ミクロン~約100ミクロン、または実施形態において、体積平均直径で約4ミクロン~約90ミクロン、または実施形態において、体積平均直径で約10ミクロン~約80ミクロンの粒度を有し得る。
【0061】
実施形態において、硬化不飽和ポリエステル樹脂は、約10メガパスカル~約100メガパスカルの範囲の降伏応力を有する。
【0062】
実施形態において、硬化不飽和ポリエステル樹脂は、約1%~約10%の範囲の降伏歪みを有する。
【0063】
実施形態において、硬化不飽和ポリエステル樹脂は、約0.5~約5ギガパスカルの範囲のヤング率を有する。
【0064】
実施形態において、硬化不飽和ポリエステル樹脂は、約10%~約100%の範囲の破断歪みを有する。
【0065】
実施形態において、硬化不飽和ポリエステル樹脂は、約10メガパスカル~約100メガパスカルの範囲の破断応力を有する。
【0066】
以下の実施例は、本開示の実施形態を例示するために提示されている。これらの実施例は、例証に過ぎないことを意図し、本開示の範囲を限定することを意図していない。また、部分およびパーセンテージは、特に指示がない限り、重量によるものである。本明細書に使用されるとき、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
【0067】
一般的な樹脂合成
実施例1および2は、本明細書に開示された実施形態によるポリエステル樹脂の調製および特徴付けを記載している。
【0068】
実施例1(結晶性不飽和ポリエステル(CPE)-樹脂1)
機械式撹拌機、蒸留装置、および底部排出バルブを装備した2リットルのBuchi反応器に、フマル酸(5.00モル)、1,4-ブタンジオール(1.27モル)、および1,6-ヘキサンジオール(3.83モル)を装填した。混合物を窒素下で1時間かけて165℃に加熱した。バッチ温度が120℃に達したときに撹拌を開始した。次にバッチ温度が191℃に達するまで反応温度を毎分0.5℃上昇させた。粘度測定は、ブルックフィールド粘度計を用いて120℃(100rpm)で行い、次いで粘度が315Paに達するまで定期的にサンプリングした。反応混合物を金属容器に排出し、一晩室温に冷却させた。図4は、本実施形態による不飽和ポリエステル樹脂の特性を確認する結晶性不飽和ポリエステル樹脂1の示差走査熱量測定(DSC)データを示す(DSCデータは、0℃~150℃~0℃を10℃/分の速度でQ2500示差走査熱量計(TA Instruments)で得た。
【0069】
実施例2(結晶性不飽和ポリエステル(CPE)-樹脂2)
結晶性不飽和ポリエステル(CPE)樹脂2を、実施例1に記載の条件を使用して実施例1の手順により調製した。
【0070】
実施例3~6は、樹脂1および2からの不飽和結晶性ポリエステル(CPE)微粒子の調製を記載する(実施例1および2)。図5は、本実施形態による不飽和ポリエステル樹脂の特性を確認する結晶性不飽和ポリエステル樹脂2の示差走査熱量測定(DSC)データを示す(DSCデータは、0℃~150℃~0℃を10℃/分の速度でQ2500示差走査熱量計(TA Instruments)で得た。
【0071】
実施例3
本開示の実施形態によるホットメルト押出による油中のCPE微粒子の調製
微粒子の調製には、Haake小型二軸スクリュー押出機を使用した。油の量を変えながら、30グラムのCPEを全バッチに対して一定に保った。(実施例1または2のいずれかから調製した)およびポリジメチルシロキサン(PDMS)例えば、1:1のCPE対PDMS油の場合、CPEの量は、30グラムであり、PDMS油の量も30グラムであった。CPEとPDMS油とを予め混合し、Haake押出機によって供給した。CPE対ポリジメチルシロキサン(PDMS)の特定の比、および各押出実験についてのパラメータ(温度、回転速度、時間、およびシステムトルク)を以下の表1に要約する。押出後、CPE微粒子をアルミニウムパン上に排出し、室温に冷却した。CPE/油スラリーを約200mlの酢酸エチルと共にビーカーに入れ、オーバーヘッドスターラーで約20分間混合した。Whatman#1 90mm濾紙を使用して、不要なPDMS/酢酸エチル混合物を真空濾過によって除去し、CPE微粒子を収集した。この洗浄手順をもう1回繰り返した。最終濾過後、次いで、「清浄な」微粒子(すなわち生成物)を、換気フードにおいてアルミニウムパン内で一晩、風乾して、あらゆる残留酢酸エチルを蒸発させた。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
実施例4
ホットメルト押出を使用しない油中のCPE微粒子の調製(対照法)
ホットメルト押出を使用せずに油中のCPE微小球を調製するためにCPE樹脂1を使用した。アルミニウムパンに、30.0gのCPE樹脂1および40gのPDMS油(18~22KcStポリ(ジメチルシロキサン)ヒドロキシ末端油を添加した。これらの材料を設定温度200℃のホットプレート上で連続的に加熱し、混合した。樹脂と油とが均一な相になるまで、混合を15分間継続した。パンを加熱から取り外し、撹拌せずに室温まで冷却させた。粒子/油スラリーを200gの酢酸エチルを添加したビーカーに移し、内容物をスパチュラで手で撹拌してスラリーを酢酸エチルと混合した。次いで、スラリーをWhatman#3濾紙上に濾過により収集した。粒子を濾紙から収集し、酢酸エチルでさらに5回洗浄/すすぎ/濾過した。粒子を、24~48時間、換気フード下の皿中で風乾させた。図9aおよび9bに見られるように、バッチ8の試料を3%のVazo67(2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル))開始剤と混合して架橋について試験した。約10gのバッチ8微粒子を、その10時間半減期の67℃(153°F)未満で0.03gのVazo67と混合した。
【0075】
別のバッチを上記と全く同じように調製したが、より低い樹脂対油比を使用した。これらの微粒子は、30gの樹脂と共に50gの18~22KcStポリ(ジメチルシロキサン)ヒドロキシ末端油を使用して調製した。
【0076】
【表3】
【0077】
本開示の実施形態に従って記載された押出粒子プロセス(実施例3)と対照プロセス(実施例4)とを比較すると、押出粒子プロセスは、より少ない微粉およびより高い数カウントを有する微粒子を製造することが観察された。図6は、押出粒子プロセスおよび対照プロセスの両方で作製されたCPE微粒子と比較した市販のナイロンPA11およびナイロンPA12の体積および数D50を示す。
【0078】
上記の実施例3および4に記載されたプロセスは、内部空隙または細孔の形跡のない微粒子をもたらした。図7は、対照法で作製されたCPE微粒子ならびに市販のナイロンPA11およびPA12の嵩密度、粒子密度、および気孔率を比較する。
【0079】
図8aおよび8bは、対照プロセスにより製造されたCPE粒子の球形度および分布を示すSEM画像である。図8cは、押出粒子プロセスによって製造されたCPE粒子の球形度および分布を示す光学顕微鏡図である。これらの図は、押出粒子プロセスによって製造されたCPE粒子が、形状がやや「ポテト様」であり、対照プロセスによって製造されたものよりも少ない微粉を含有することを示す。図8d~fは、対照プロセスを使用して1:1.33(CPE対PDMS)から作製されたCPE微粒子、対照プロセスを使用して1:1.66(CPE対PDMS)から作製されたCPE微粒子、および押出粒子プロセスを使用して1:1(CPE対PDMS)から作製されたCPE微粒子の粒度分布データをそれぞれ示す。
【0080】
実施例5
Si誘導結合プラズマ(ICP)による残留PDMS油の試験
酢酸エチルで洗浄後、いくつかの微粒子試料をシリカ含有量についてICP分析にかけた。試料中に存在するSiの量は、どの程度の量のPDMSがCPE微粒子の後に残っているかの近似値を示す。微粒子の表面上に3%のVazo67を有する熱開始剤実施例4バッチ8を含有する粒子中に約55ppmのSiが存在することが見出されたが、熱開始剤実施例4バッチ8を含まない粒子中に92ppmのSiが見出された。92ppmのSiを含有する試料については、約0.242gのPDMSのみが1000gの粒子内に存在すると推定され、これはCPE微粒子の表面上に存在し、粒子マトリックス内には存在しないと予想される。
【0081】
実施例6
熱架橋によるCPE微粒子の強化
図9aは、CPE微粒子へのVazo67開始剤の適用が、示差走査熱量測定(DSC)実験中の第1の加熱後に熱架橋反応をもたらすことを示す。図9bは、CPE微粒子を第2の時間加熱した後、CPE微粒子が架橋され、熱サイクル中に自由に流動することができなかったので融点が分からなかったことを示す。図9cは、開始剤なしのCPE微粒子の第1の加熱および冷却を示し、典型的な融点および結晶化ピークが観察された。図9dは、同じCPE微粒子の第2の加熱およびその融点を示しており、架橋が存在しなかったことを示している。
【0082】
実施例7
SLS印刷
乾燥粉末材料の実施例4バッチ8を、Sharebot SnowWhite SLSプリンタ(「SnowWhite」)での予備焼結試験にかけ、これが乾燥粉末のベースライン性能を決定した。SnowWhiteは、COレーザーを使用して熱可塑性樹脂粉末を層ごとに焼結させるプロフェッショナルな3Dプリンタである。レーザーは、コンピュータ支援設計(CAD)モデルを使用して生成された所望の物体の断面を走査することによって材料を選択的に融合する。第1の層が走査された後、粉末床は、下げられ、新しい粉末材料がその上に転がされ、次の層が部品が完成するまで走査される。他の積層造形技術と比較した粉末ベースのシステムの主な利点は、印刷用支持体の排除および材料の再利用性である。
【0083】
SnowWhiteでのSLS印刷の手順は、次の通りである。
1.CPE微粒子の層をアルミニウム板上に塗布した。
2.40ミルギャップ(~1mm)のバーコーターを使用してCPE微粒子(粉末)を均一にした。
3.試験した特定の材料について粉末床温度を適宜調整した。
4.ビルドチャンバ温度を23℃(周囲温度を反映する)に設定したが、機器によって制御しなかった。
5.印刷プロセスの前に温度が安定するように、ビルド前の待機時間を1200秒に設定した。
6.レーザー速度を1200mm/sまたは1600mm/sのいずれかに設定した。
7.レーザー出力を変え、30または60%のいずれかに設定した。最大レーザー出力は、100%粉末として定義され、温度への変換はない。
8.チャンバ、粉末、および加工物は、チャンバから取り出す前に冷却させた。
【0084】
実施例8
検出能
CPE微粒子構造は、核磁気共鳴(NMR)によって決定することができ、一旦Vazo67などの熱開始剤を添加すると、架橋構造は、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)などの熱分析ツールによってより明らかになる。TGAは、試料の組成およびその熱安定性についての情報を与えることができ、一方DSCは、測定された試料の温度を上昇させるのに必要な熱量の変化を温度の関数として測定する。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して分子の振動特性を調べることができる。これは、試料に存在する化学結合の種類を決定するために使用されるが、分子は、その構造に特徴的な特定の周波数の赤外線を吸収し、それらをより高い振動エネルギーレベルまで励起するという事実を活用する。
本開示に係る態様には以下の態様も含まれる。
<1> 微粒子を作製するためのプロセスであって、式I
【化5】

を有するエチレン性不飽和モノマー(式中、pおよびqはそれぞれ独立して、0~8であり、zは、1~5である)、第1のジオールモノマー、および第2のジオールモノマーを含む不飽和ポリエステル樹脂を提供することと、前記不飽和ポリエステル樹脂および油を含む混合物を、前記不飽和ポリエステル樹脂の融点温度(Tm)より高い温度で混合および加熱し、微粒子複合体を形成するために前記混合物に圧力を加えることと、前記微粒子複合材料中に存在する油の量を減少させるために、前記微粒子複合材料を有機溶媒で洗浄することと、前記微粒子を形成するために前記有機溶媒を除去することと、を含む、プロセス。
<2> 前記エチレン性不飽和モノマーが、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、イタコン酸、3-ヘキサン二酸、2-ヘプテン二酸、2-オクテン二酸、グルタコン酸、2-デセン二酸、トラウマチン酸、ムコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ならびにそれらのエステルおよび混合物からなる群から選択される、<1>に記載のプロセス。
<3> 前記油の前記不飽和ポリエステル樹脂に対する重量比が、約1.0:1.6~約1.1:1.0である、<1>に記載のプロセス。
<4> 前記油が、ケシの実油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、綿実油、大豆油、ベニバナ油、コーン油、ヒマワリ種子油、キャノーラ油、鉱油、長鎖パラフィン油、液体ワセリン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとのコポリマー、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン、およびそれらの混合物から選択される、<1>に記載のプロセス。
<5> 前記エチレン性不飽和モノマーが、前記不飽和ポリエステル樹脂の約30~約95モルパーセント(mol%)で存在する、<1>に記載のプロセス。
<6> 前記第1のジオールモノマーが、前記不飽和ポリエステル樹脂の約10~約50モルパーセント(mol%)で存在する、<1>に記載のプロセス。
<7> 前記第2のジオールモノマーが、前記不飽和ポリエステル樹脂の約5~約50モルパーセント(mol%)で存在する、<1>に記載のプロセス。
<8> 前記第1のジオールモノマーの前記第2のジオールモノマーに対するモル比が、約80:20~約60:50である、<1>に記載のプロセス。
<9> 前記不飽和ポリエステル樹脂が、約50℃~約70℃の結晶化温度(Tc)を有する、<1>に記載のプロセス。
<10> 前記不飽和ポリエステル樹脂が、約75℃~約110℃の溶融温度(Tm)を有する、<1>に記載のプロセス。
<11> 前記加熱温度が、約75~約150℃である、<1>に記載のプロセス。
<12> 0~約50メートルグラム(mg)の圧力である、<1>に記載のプロセス。
<13> 前記プロセスが、微粒子複合体を形成するために、前記不飽和ポリエステル樹脂、油、および熱開始剤を前記不飽和ポリエステル樹脂の融点(Tm)より高い温度で混合および加熱することを含む、<1>に記載のプロセス。
<14> 前記押出ステップ後に得られた前記微粒子を熱開始剤と接触させることをさらに含む、<1>に記載のプロセス。
<15> 前記熱開始剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、有機過酸化物、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]四塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-メチル-]N-2-プロペニルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)-2-メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、<13>に記載のプロセス。
<16> 前記微粒子が、約6~約100ミクロンの平均粒径を有し、幾何学的標準偏差が1.3~2.0である、<1>に記載のプロセス。
<17> 微粒子を作製するためのプロセスであって、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、イタコン酸、3-ヘキサン二酸、2-ヘプテン二酸、2-オクテン二酸、グルタコン酸、2-デセン二酸、トラウマチン酸、ムコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ならびにそれらのエステルおよび混合物から誘導されるエチレン性不飽和モノマー、第1のジオールモノマー、および第2のジオールモノマーを含む不飽和ポリエステル樹脂を提供することと、前記不飽和ポリエステル樹脂、油、および熱開始剤を含む混合物を、前記不飽和ポリエステル樹脂の融点温度(Tm)より高い温度で混合および加熱し、微粒子複合体を形成するために前記混合物に圧力を加えることと、前記微粒子複合材料中に存在する油の量を減少させるために、前記微粒子複合材料を有機溶媒で洗浄することと、前記微粒子を形成するために、前記有機溶媒を除去することと、を含む、プロセス。
<18> 前記油の前記不飽和ポリエステル樹脂に対する重量比が、約1.0:1.6~約1.1:1.0である、<17>に記載のプロセス。
<19> 前記エチレン性不飽和モノマーが、誘導フマル酸である、<17>に記載のプロセス。
<20> 前記油が、ケシの実油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、綿実油、大豆油、ベニバナ油、コーン油、ヒマワリ種子油、キャノーラ油、鉱油、長鎖パラフィン油、液体ワセリン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとのコポリマー、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン、およびそれらの混合物から選択される、<17>に記載のプロセス。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a-8c】
図8d-8f】
図9a-9b】
図9c-9d】