(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】椅子型マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A61H7/00 322Z
(21)【出願番号】P 2019111175
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 毅
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3727648(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3218228(JP,U)
【文献】米国特許第06003940(US,A)
【文献】中国実用新案第203000089(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0366746(US,A1)
【文献】実開平04-093647(JP,U)
【文献】特開平11-113675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、
前記座部の後方に傾倒可能な背凭れ部と、
被施療者の前腕を肘関節が伸びた状態で収納して施療する前腕施療部と、
前記座部の左右両側方上方に配置される肘掛け部と、
を備え、
前記前腕施療部は前記背凭れ部の左右両側面に取り付けられ、
前記背凭れ部が前記座部の後方に傾倒するときに、前記背凭れ部と前腕施療部との相対位置の固定が可能であ
り、
前記背凭れ部が前記座部の後方に傾倒するときに、前記座部と前記肘掛け部との相対位置が変化せず、かつ、前記背凭れ部及び前腕施療部と前記肘掛け部との相対位置が変化する、
椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記前腕施療部の長手方向と前記背凭れ部の長手方向との鋭角側の交差角が30°以内である、請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記背凭れ部に対する前記前腕施療部の長手方向位置を調整可能な第1調整部を備える、請求項1または請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記背凭れ部に対する前記前腕施療部の左右方向位置を調整可能な第2調整部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記背凭れ部に対する前記前腕施療部の所定方向位置を調整可能な第3調整部を備え、
前記所定方向は、左右方向及び前記前腕施療部の長手方向に垂直である、請求項1~4のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記被施療者が前記背凭れ部に凭れている状態で前記被施療者の腹側から背側に向かう方向において、
前記背凭れ部の前記被施療者の背中が接する面と前記前腕施療部の前記被施療者の前腕背側が接する面とが同列に並ぶ、又は、前記背凭れ部の前記被施療者の背中が接する面、前記前腕施療部の前記被施療者の前腕背側が接する面の順に並ぶ、請求項1~
5のいずれかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記背凭れ部は、左右両側面に前記前腕施療部が取り付けられる第1部分と、前記第1部分より上部に位置する第2部分と、を備え、
前記第1部分の左右方向幅は、前記第2部分の左右方向幅より小さい、請求項1~
6のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前腕施療部を備えた椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前腕施療部を肘掛け部に配置した椅子型マッサージ機が種々開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-87571号公報
【文献】特開2012-125650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案されている椅子型マッサージ機では、被施療者が前腕を肘掛け部に載せない限り前腕施療部が被施療者の前腕に対して施療を行えないので、被施療者の肘関節が曲がった状態でしか前腕施療部が被施療者の前腕に対して施療を行えない。つまり、特許文献1で提案されている椅子型マッサージ機では、被施療者の肘関節が伸びた状態(腕がリラックスした状態)で前腕施療部が被施療者の前腕に対して施療を行うことができない。
【0005】
また、特許文献1で提案されている椅子型マッサージ機にリクライニング機能を付与すると、背凭れ部を倒した場合に被施療者の前腕が座部及び肘掛け部に対して後方に移動するため被施療者の前腕に対する施療位置が手首側にずれてしまう。
【0006】
特許文献2で提案されている椅子型マッサージ機は、背凭れ部の傾倒と前腕施療部の後方移動とを連動させる機構によって上記のずれを緩和することができる。しかしながら、背凭れ部の傾倒と前腕施療部の後方移動とを連動させる機構は複雑な構造になるため、マッサージ機の重量及びコストを大幅に増加させる要因となる。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑み、被施療者の肘関節が伸びた状態で被施療者の前腕に対して施療を行うことができる椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書中に開示されている椅子型マッサージ機は、座部と、前記座部の後方に傾倒可能な背凭れ部と、被施療者の前腕を施療する前腕施療部と、を備え、前記前腕施療部は前記背凭れ部の左右両側面に取り付けられる構成(第1の構成)である。
【0009】
上記第1の構成の椅子型マッサージ機において、前記背凭れ部が前記座部の後方に傾倒するときに、前記背凭れ部と前腕施療部との相対位置の固定が可能である構成(第2の構成)にしてもよい。
【0010】
上記第1又は第2の構成の椅子型マッサージ機において、前記背凭れ部に対する前記前腕施療部の長手方向位置を調整可能な第1調整部を備える構成(第3の構成)にしてもよい。
【0011】
上記第1~第3いずれかの構成の椅子型マッサージ機において、前記背凭れ部に対する前記前腕施療部の左右方向位置を調整可能な第2調整部を備える構成(第4の構成)にしてもよい。
【0012】
上記第1~第4いずれかの構成の椅子型マッサージ機において、前記背凭れ部に対する前記前腕施療部の所定方向位置を調整可能な第3調整部を備え、前記所定方向は、左右方向及び前記前腕施療部の長手方向に垂直である構成(第5の構成)にしてもよい。
【0013】
上記第1~第5いずれかの構成の椅子型マッサージ機において、前記座部の左右両側方上方に配置される肘掛け部を備える構成(第6の構成)にしてもよい。
【0014】
上記第1~第6いずれかの構成の椅子型マッサージ機において、前記被施療者が前記背凭れ部に凭れている状態で前記被施療者の腹側から背側に向かう方向において、前記背凭れ部の前記被施療者の背中が接する面と前記前腕施療部の前記被施療者の前腕背側が接する面とが同列に並ぶ、又は、前記背凭れ部の前記被施療者の背中が接する面、前記前腕施療部の前記被施療者の前腕背側が接する面の順に並ぶ構成(第7の構成)にしてもよい。
【0015】
上記第1~第7いずれかの構成の椅子型マッサージ機において、前記背凭れ部は、左右両側面に前記前腕施療部が取り付けられる第1部分と、前記第1部分より上部に位置する第2部分と、を備え、前記第1部分の左右方向幅は、前記第2部分の左右方向幅より小さい構成(第8の構成)にしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本明細書中に開示されている椅子型マッサージ機によれば、被施療者の肘関節が伸びた状態で被施療者の前腕に対して施療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】一実施例に係る椅子型マッサージ機の背凭れ部及び前腕施療部の断面模式図
【
図5】変形例に係る椅子型マッサージ機の背凭れ部及び前腕施療部の断面模式図
【
図6】他の変形例に係る椅子型マッサージ機の背凭れ部及び前腕施療部の正面模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1~
図3は一実施例に係る椅子型マッサージ機1(以下、「マッサージ機1」と称す)の斜視図である。
図1は、背凭れ部3が座部2の後方に倒れていない状態(起立状態)であって被施療者H1が前腕施療部4L及び4Rではなく肘掛け部6L及び6Rを使用している様子を示している。
図2は、背凭れ部3が起立状態であって被施療者H1が肘掛け部6L及び6Rではなく前腕施療部4L及び4Rを使用している様子を示している。
図3は、背凭れ部3が最も座部2の後方に倒れている状態(フルリクライニング状態)であって被施療者H1が肘掛け部6L及び6Rではなく前腕施療部4L及び4Rを使用している様子を示している。
【0020】
以下の説明において、背凭れ部3が倒れていない状態のマッサージ機1に着座した被施療者H1から見て前側(正面側)を「前側」といい、背凭れ部3が倒れていない状態のマッサージ機1に着座した被施療者H1から見て後側(背面側)を「後側」という。また、背凭れ部3が倒れていない状態のマッサージ機1に着座した被施療者H1から見て上側(頭側)を「上側」といい、背凭れ部3が倒れていない状態のマッサージ機1に着座した被施療者H1から見て下側(脚側)を「下側」という。また、背凭れ部3が倒れていない状態のマッサージ機1に着座した被施療者H1から見て右側を「右側」といい、背凭れ部3が倒れていない状態のマッサージ機1に着座した被施療者H1から見て左側を「左側」という。
【0021】
マッサージ機1は、座部2と、背凭れ部3と、左右一対の前腕施療部4L及び4Rと、左右一対のベース部5L及び5Rと、左右一対の肘掛け部6L及び6Rと、オットマン7と、を備える。
【0022】
座部2は、被施療者H1の臀部及び大腿部を支持する。
【0023】
背凭れ部3は、被施療者H1の肩、腰、及び背中を支持する。背凭れ部3は、左右方向に沿って延びるリクライニング回転軸回りに回転可能である。すなわち、背凭れ部3は、座部2の後方に傾倒可能である。背凭れ部3には、施療子を有するマッサージユニット(不図示)が設けられる。マッサージユニットは、背凭れ部3に設けられるガイドレール(不図示)によって案内されて背凭れ部3の長手方向に昇降する。なお、ガイドレールを座部2の後部にまで延長し、マッサージユニットが座部2及び背凭れ部3の長手方向に昇降するようにしてもよい。マッサージユニットは、施療子と、施療子に揉み動作を行わせる揉み駆動機構と、施療子にたたき動作を行わせるたたき駆動機構と、を備える。
【0024】
前腕施療部4Lは背凭れ部3の左側面に取り付けられ、前腕施療部4Rは背凭れ部3の右側面に取り付けられる。これにより、背凭れ部3が座部2の後方に倒れていない状態であっても背凭れ部3が座部2の後方に倒れている状態であっても、被施療者H1は、肘関節が伸びた状態で前腕施療部4L及び4Rによる前腕の施療をうけることができる。前腕施療部4L及び4Rの長手方向と背凭れ部3の長手方向とは、被施療者H1の肘関節が伸びた状態で前腕施療部4L及び4Rによる前腕の施療が可能な程度に揃っていればよい。例えば、前腕施療部4L及び4Rの長手方向と背凭れ部3の長手方向との交差角(鋭角側の交差角)を30°以内にすることが望ましく、10°以内にすることがより望ましい。
【0025】
また、上記の通り、前腕施療部4L及び4Rが背凭れ部3の左右側面に取り付けられるので、背凭れ部3が座部2の後方に傾倒するときに、背凭れ部3と前腕施療部4L及び4Rとの相対位置の固定が可能である。したがって、背凭れ部3を座部2の後方に倒した場合に被施療者H1の前腕に対する施療位置が手首側にずれることを防止することができる。
【0026】
前腕施療部4Lの凹部は、被施療者H1の左前腕及び左手を収納する。前腕施療部4Lは、必ずしも被施療者H1の左前腕及び左手の全部を収納していなくてもよく、被施療者H1の左前腕の少なくとも一部を収納していればよい。前腕施療部4Lの凹部にはエアバッグ(不図示)が設けられる。前腕施療部4Lの凹部に設けられるエアバッグの膨縮によって被施療者H1の左前腕及び左手がマッサージされる。前腕施療部4Lは、必ずしも被施療者H1の左前腕及び左手の全部をマッサージ可能な構成でなくてもよく、被施療者H1の左前腕の少なくとも一部をマッサージ可能な構成であればよい。
【0027】
前腕施療部4Rの凹部は、被施療者H1の右前腕及び右手を収納する。前腕施療部4Rは、必ずしも被施療者H1の右前腕及び右手の全部を収納していなくてもよく、被施療者H1の右前腕の少なくとも一部を収納していればよい。前腕施療部4Rの凹部にはエアバッグ(不図示)が設けられる。前腕施療部4Rの凹部に設けられるエアバッグの膨縮によって被施療者H1の右前腕及び右手がマッサージされる。前腕施療部4Rは、必ずしも被施療者H1の右前腕及び右手の全部をマッサージ可能な構成でなくてもよく、被施療者H1の右前腕の少なくとも一部をマッサージ可能な構成であればよい。
【0028】
なお、前腕施療部4L及び4Rが被施療者H1の前腕及び手に対して行う施療は、マッサージに限定されず、物理的手段を用いて行われる施療であればよい。したがって、前腕施療部4L及び4Rが被施療者H1の前腕及び手に対して行う施療は、例えば、前腕及び手に熱を与える施療、被施療部に電気刺激を与える施療等であってもよい。前腕施療部4L及び4Rは、例えば、施療子、エアバッグ、振動子、ヒーター、電極パッド等を単独又は複数の組み合わせで含む構成であってもよい。
【0029】
前腕施療部4L及び4Rの各凹部は、被施療者H1が背凭れ部3に凭れている状態で被施療者H1の腹側から背側に向かう方向に向かって凹む。
【0030】
ベース部5Lは、座部2の左側に立設して設けられ、肘掛け部6Lを支持する。ベース部5Rは、座部2の右側に立設して設けられ、肘掛け部6Rを支持する。したがって、肘掛け部6Lは座部2の左側方上方に配置され、肘掛け部6Rは座部2の右側方上方に配置される。肘掛け部6L及び6Rは前腕施療部4L及び4Rの位置や形状の影響を受けないため、肘掛け部6L及び6Rの位置や形状を肘掛けとして適した位置や形状に設計することができる。
【0031】
オットマン7は、被施療者H1の下腿部及び足を収容する。オットマン7は、左右方向に沿って延びる回転軸回りに回転可能に、座部2を支持するフレーム部材の上部前端に取り付けられる。
【0032】
オットマン7にはエアバッグが設けられる。オットマン7に設けられるエアバッグの膨縮によって被施療者の下腿部及び足がマッサージされる。
【0033】
なお、本実施例とは異なり、エアバッグ以外の施療手段をオットマン7に設けてもよく、施療手段をオットマン7に設けてなくてもよい。
【0034】
次に、背凭れ部3並びに前腕施療部4L及び4Rに関してさらに説明する。
【0035】
マッサージ機1は、背凭れ部3に対する前腕施療部4Lの長手方向位置を調整可能な左側第1調整部(不図示)と、背凭れ部3に対する前腕施療部4Rの長手方向位置を調整可能な右側第1調整部(不図示)と、を備える。左側第1調整部及び右側第1調整部を設けることで、被施療者H1の前腕に対する施療位置を被施療者H1の身長に応じて調整することができる。
【0036】
左側第1調整部及び右側第1調整部としては、例えば公知のスライド機構を用いることができる。なお、左側第1調整部の調整による背凭れ部3と前腕施療部4Lとの相対位置変化は、前腕施療部4Lの長手方向のみの変化に限定されず、前腕施療部4Lの長手方向成分を含む方向の変化であればよい。同様に、右側第1調整部の調整による背凭れ部3と前腕施療部4Rとの相対位置変化は、前腕施療部4Rの長手方向のみの変化に限定されず、前腕施療部4Rの長手方向成分を含む方向の変化であればよい。
【0037】
マッサージ機1は、背凭れ部3に対する前腕施療部4Lの左右方向位置を調整可能な左側第2調整部(不図示)と、背凭れ部3に対する前腕施療部4Rの左右方向位置を調整可能な右側第2調整部(不図示)と、を備える。左側第2調整部及び右側第2調整部を設けることで、被施療者H1の前腕に対する施療位置を被施療者H1の横幅に応じて調整することができる。
【0038】
左側第2調整部及び右側第2調整部としては、例えば公知のスライド機構を用いることができる。なお、左側第2調整部の調整による背凭れ部3と前腕施療部4Lとの相対位置変化は、前腕施療部4Lの左右方向のみの変化に限定されず、前腕施療部4Lの左右方向成分を含む方向の変化であればよい。同様に、右側第2調整部の調整による背凭れ部3と前腕施療部4Rとの相対位置変化は、前腕施療部4Rの左右方向のみの変化に限定されず、前腕施療部4Rの左右方向成分を含む方向の変化であればよい。
【0039】
マッサージ機1は、背凭れ部3に対する前腕施療部4Lの所定方向位置を調整可能な左側第3調整部(不図示)と、背凭れ部3に対する前腕施療部4Rの所定方向位置を調整可能な右側第3調整部(不図示)と、を備える。ここで、上記所定方向は、左右方向及び前腕施療部4L及び4Rの長手方向に垂直である方向である。本実施例では、上記所定方向は、前腕施療部4L及び4Rの各凹部の凹み方向と略平行である。左側第3調整部及び右側第3調整部を設けることで、被施療者H1の胸の張り具合を被施療者H1の好みに応じて調整することができる。なお、左側第3調整部及び右側第3調整部を設ける代わりに、又は、左側第3調整部及び右側第3調整部を設けることに加えて、前腕施療部4L及び4Rの各凹部に被施療者H1の前腕背側に接するエアバッグを設けてもよい。当該エアバッグの膨らみ具合を調整することにより、左側第3調整部及び右側第3調整部の調整と同様の効果を得ることができる。
【0040】
左側第3調整部及び右側第3調整部としては、例えば公知のスライド機構を用いることができる。なお、左側第3調整部の調整による背凭れ部3と前腕施療部4Lとの相対位置変化は、上記所定方向のみの変化に限定されず、上記所定方向成分を含む方向の変化であればよい。同様に、右側第3調整部の調整による背凭れ部3と前腕施療部4Rとの相対位置変化は、上記所定方向のみの変化に限定されず、上記所定方向成分を含む方向の変化であればよい。
【0041】
図4は、背凭れ部3並びに前腕施療部4L及び4Rを前腕施療部4L及び4Rの長手方向に垂直な面で切った断面を示す模式図である。本実施例では、
図4に示すように、被施療者H1が背凭れ部3に凭れている状態で被施療者H1の腹側から背側に向かう方向D1において、背凭れ部3の被施療者H1の背中が接する面F1と前腕施療部4L及び4Rの被施療者H1の前腕背側が接する面F2及びF3とが同列に並ぶ。これにより、施療中に被施療者H1が巻き肩になることを防止でき、肩こりの解消等に有効である。
【0042】
本実施例とは異なり、
図5に示すように、被施療者H1が背凭れ部3に凭れている状態で被施療者H1の腹側から背側に向かう方向D1において、背凭れ部3の被施療者H1の背中が接する面F1、前腕施療部4L及び4Rの被施療者H1の前腕背側が接する面F2及びF3の順に並ぶようにしてもよい。なお、方向D1において面F2と面F3とは同列である。これにより、施療中に被施療者H1が胸を反らすことができ、肩こりの解消等に有効であるとともに大胸筋をストレッチすることもできる。
【0043】
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0044】
上述した実施例では背凭れ部3の左右方向幅は背凭れ部3の長手方向位置にかかわらず略一定であるが、例えば、
図6に示すように、左右両側面に前腕施療部4L及び4Rが取り付けられる背凭れ部3の第1部分P1の左右方向幅W1を、第1部分P1より上部に位置する背凭れ部3の第2部分P2の左右方向幅W2より小さくしてもよい。
【0045】
図6に示す構成によると、例えば、被施療者の左肩ぐうをマッサージするエアバッグの設置位置と被施療者の右肩ぐうをマッサージするエアバッグの設置位置との左右方向距離を、被施療者の左前腕外側をマッサージするエアバッグの設置位置と被施療者の右前腕外側をマッサージするエアバッグの設置位置との左右方向距離よりも狭くしなくとも、被施療者の肩ぐうをマッサージするエアバッグを背凭れ部3の第2部分P2に設置することができる。これにより、被施療者が腕を広げた姿勢をとらなくても、肩ぐう及び前腕外側に対する施療が可能となる。
【0046】
また例えば、上述した実施例とは異なり、腕施療部4Lの凹部が右方向に向かって凹み、腕施療部4Rの凹部が左方向に向かって凹むようにしてもよい。この場合、被施療者H1は腕を左右に広げることで腕施療部4L及び4Rから腕を抜き出すことができるので、腕施療部4L及び4Rからの腕の抜き出し動作が楽になる。
【符号の説明】
【0047】
1 一実施例に係る椅子型マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4L、4R 前腕施療部
5L、5R ベース部
6L、6R 肘掛け部
7 オットマン