(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/75 20230101AFI20231016BHJP
G03B 9/02 20210101ALI20231016BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231016BHJP
G03B 19/07 20210101ALI20231016BHJP
H04N 23/45 20230101ALI20231016BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20231016BHJP
H04N 23/611 20230101ALI20231016BHJP
【FI】
H04N23/75
G03B9/02 C
G03B17/02
G03B19/07
H04N23/45
H04N23/56
H04N23/611
(21)【出願番号】P 2019116454
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-05-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】中野 龍三
(72)【発明者】
【氏名】西川 信宏
(72)【発明者】
【氏名】池▲崎▼ 勇喜
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-015661(JP,A)
【文献】特開2010-213057(JP,A)
【文献】特開2016-224968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/75
G03B 9/02
G03B 17/02
G03B 19/07
H04N 23/45
H04N 23/56
H04N 23/611
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域を撮像してメモリに記憶させる第1撮像部と、
前記第1領域を含み前記第1領域より広い第2領域を撮像可能な第2撮像部と、
前記第1撮像部と被写体との間に配置され、開口量を調整可能な絞り機構と、
前記絞り機構の開口量を調整する絞り制御部と、を備え、
前記絞り制御部は、前記第2領域内であって前記第1領域外の第3領域における被写体の状態または状態変化に応じて前記絞り機構の開口量を調整
し、
前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とが同じ位置である、
撮像装置。
【請求項2】
前記第3領域は、前記第1領域を囲むように配置される、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第3領域は、前記第1領域のいずれかの辺側に位置する領域である、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記絞り制御部は、前記第3領域における被写体のジェスチャに応じて前記絞り機構の開口量を調整する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体に赤外線を照射する赤外線照射部をさらに備え、
前記第2撮像部は被写体から入射する赤外線を撮像する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、カメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラが搭載されたスマートフォンなどの携帯型電子機器が普及している。このような携帯型電子機器におけるカメラは、従来と比較して高機能、かつ高画質での撮像が可能になっているが、さらなる高機能及び高画質が求められている。また、携帯型電子機器はタッチパネルを備えた構成になっているため、タッチ操作に対応した種々の構成が開発されている。例えば、特許文献1には、タッチ操作が可能なデジタルカメラ等の電子機器において、意図しないタッチによる動作を防止するための機能を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、携帯型電子機器で撮像する画質がさらに向上しており、従来よりも精細な画像を取得することをユーザが期待している。しかしながら、上記従来の構成では、タッチパネルを操作した際の画像のぶれの防止、及び撮像方向がずれてしまうことを十分に抑制できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
第1領域を撮像可能な第1撮像部(40)と、
前記第1領域とは異なる第2領域を撮像可能な第2撮像部(50)と、
前記第1撮像部と被写体との間に配置され、開口量を調整可能な絞り機構(43)と、
前記絞り機構の開口量を調整する絞り制御部(431)と、を備え、
前記絞り制御部は、前記第2領域内であって前記第1領域外の第3領域における被写体の状態または状態変化に応じて前記絞り機構の開口量を調整する、
撮像装置である。
【0007】
上記構成の撮像装置によれば、絞り機構を備え光量調整機能を有する撮像装置において、ユーザが装置に触れて操作することなく絞り機構の開口量を調整することが可能となる。これにより、ユーザが装置に触れて操作することに起因する撮像時の画像のぶれを抑制することができる。また、意図せず撮像方向がずれてしまうことを抑制することなどが可能となる。
【0008】
上記撮像装置において、好ましくは、
前記第2領域が前記第1領域より広い。
【0009】
上記構成の撮像装置によれば、第2領域で検知されたジェスチャ等に応じて絞り機構の開口量を調整可能となる。また、ジェスチャ等により撮像装置を操作中であっても、操作している状態が見えない画像を取得することが可能となる。
【0010】
上記撮像装置において、好ましくは、
前記第3領域は、前記第1領域を囲むように配置される。
【0011】
上記構成の撮像装置によれば、ユーザのジェスチャ等を、撮像記録領域の周辺の領域で検知する構成となるため、ユーザがジェスチャ等により撮像装置を操作中であっても操作している状態が見えない画像を取得することを容易にすることができる。
【0012】
上記撮像装置において、好ましくは、
前記第3領域は、前記第1領域のいずれかの辺側に位置する領域である。
【0013】
上記構成の撮像装置によれば、ユーザのジェスチャ等を、撮像記録領域の外側の領域で検知する構成となるため、ユーザがジェスチャ等により撮像装置を操作中であっても操作している状態が見えない画像を取得することを容易にすることができる。
【0014】
上記撮像装置において、好ましくは、
前記絞り制御部は、前記第3領域における被写体のジェスチャに応じて前記絞り機構の開口量を調整する。
【0015】
上記構成の撮像装置によれば、ユーザのジェスチャを検出して操作可能な構成とすることができる。
【0016】
上記撮像装置において、好ましくは、
被写体に赤外線を照射する赤外線照射部をさらに備え、
前記第2撮像部は被写体から入射する赤外線を撮像する。
【0017】
上記構成の撮像装置によれば、ユーザのジェスチャ等を検出する領域が暗い場合であっても、ジェスチャによる操作を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態のスマートフォンの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、スマートフォン1の撮像処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、撮像領域及び記録領域の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、撮像領域及び記録領域の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、撮像領域及び記録領域の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、撮像領域及び記録領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の撮像装置は、例えば、タッチパネルを用いて操作及び撮像が可能なスマートフォン1において、絞り機構を有する第1カメラモジュールと、絞り機構を有さない第2カメラモジュールとを有する構成である。スマートフォン1は、撮像の際、第2カメラモジュールでユーザのジェスチャを検知して第1カメラモジュールの絞り機構の絞り量を調整可能な構成としている点を、特徴のひとつとする。
【0020】
本発明の撮像装置について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
2.変形例
3.本発明の特徴
4.補足事項
【0021】
<1.実施形態>
本実施形態では、撮像装置の具体例としてスマートフォンを挙げて説明する。ただし、本発明の撮像装置はスマートフォンに限定されるものではなく、タブレット機器、ノートPC、及びその他の撮像機能を有する電子機器にも適用可能である。
【0022】
<スマートフォン1の構成>
図1は、本実施形態のスマートフォン1の構成を示す図である。
図1に示されるように、スマートフォン1は、プロセッサ10、メモリ11、ディスプレイ20、ディスプレイ制御部21、タッチパネル30、タッチパネル制御部31、第1カメラモジュール40、及び第2カメラモジュール50を含んで構成される。
【0023】
後述するように、第1カメラモジュール40は主に被写体を撮像して記録するために用いられ、第2カメラモジュール50は撮像によりユーザのジェスチャを検出して絞り機構を作動させるために用いられる。よって、第1カメラモジュール40はユーザのニーズに合わせて高画質な画像を取得可能な構成となっているが、第2カメラモジュール50はジェスチャ検出に十分であれば高画質な構成とする必要はない。
【0024】
図3は、第1カメラモジュール40により画像が取得される記録領域B1と、第2カメラモジュール50により画像が取得される撮像領域A1とを示す図である。
図3に示されるように、第2カメラモジュール50が撮像可能な撮像領域A1は、第1カメラモジュール40が撮像可能な記録領域B1の全体を含む広い領域になっている。ジェスチャ検出は、記録領域B1の外側であって、撮像領域A1の内側の領域での撮像結果に基づいて行われる。具体的な処理は後述する。
【0025】
<第1カメラモジュール40>
第1カメラモジュール40は、第1制御部41、第1撮像素子42、絞り機構43、及びレンズ(図示省略)を含んで構成される。絞り機構43は、羽根制御部431、羽根駆動部432、及び絞り羽根433を含んで構成される。第1カメラモジュール40は、本発明の「第1撮像部」の一具体例である。
【0026】
<第1制御部41>
第1制御部41は、第1撮像素子42を含む第1カメラモジュール40の各部を制御する。第1制御部41は、第1撮像素子42から入力された電気信号を画像データに変換してプロセッサ10に出力する。また、第1制御部41は、カメラモジュール40における撮像等の処理を制御する。
【0027】
<第1撮像素子42>
第1撮像素子42は、例えばCMOSセンサまたはCCDなどの光電変換素子であって、レンズを介して照射された光を検知して電気信号に変換し、第1制御部41に出力する。第1撮像素子42と、撮像対象となる被写体との間には、1枚以上のレンズ(図示省略)、絞り羽根433、及びNDフィルタ(図示省略)が配置される。また、第1撮像素子42と被写体との間には、撮像のためのシャッタ羽根が配置されてもよい。
【0028】
レンズは、被写体側から入射してきた光を屈折させながら第1撮像素子42側に進行させる。NDフィルタは、第1撮像素子42側に進行する光の光量の一部を遮蔽する。NDフィルタは、後述の絞り羽根433と同様に、被写体から第1撮像素子42に向かう光路に、移動自在に配置される。NDフィルタは、第1制御部41により制御されることで、光路に挿入され、または光路から抜去される。
【0029】
<絞り機構43>
絞り機構43は、羽根制御部431、羽根駆動部432、及び絞り羽根433を含んで構成される。
【0030】
<羽根制御部431>
羽根制御部431は、羽根駆動部432の作動を制御する。羽根制御部431は、本発明の「絞り制御部」の一構成例である。羽根絞り制御部431は、たとえばドライバICなどであり、後述するプロセッサ10の命令に基づいて羽根駆動部432に対して通電などの制御を行う。なお、他の実施例では、プロセッサ10と羽根制御部431との組み合わせを「絞り制御部」の他の構成例としてもよい。
【0031】
<羽根駆動部432>
羽根駆動部432は、例えばVCM(Voice Coil Motor)などのモータであって、絞り羽根433を駆動する。羽根駆動部432は、VCM以外の駆動機構であってもよい。
【0032】
<絞り羽根433>
絞り羽根433は、被写体から第1撮像素子42に向かう光路に配置される。絞り羽根433は、複数の羽根部材を含んで構成される。絞り羽根433は、複数の羽根部材により形成された開口部の開口量を調整することで、絞り量を調整可能に構成される。絞り羽根433の開口部の開口量は、羽根制御部431が羽根駆動部432を作動させることで調整される。絞り羽根433が作動して開口部の開口量が小さくなると、通過する光量が減少し、第1撮像素子42に照射される光量が減少する。逆に絞り羽根433が作動して開口部の開口量が大きくなると、通過する光量が増加し、第1撮像素子42に照射される光量が増加する。絞り羽根433は、少なくとも最小絞り状態及び最大絞り状態の2つの状態をとる。最小絞り状態では絞り羽根433の開口量が最小となり、最大絞り状態では絞り羽根433の開口量が最大となる。絞り羽根433の開口部の開口量は、最小絞り状態と最大絞り状態との2状態に限定されてもよいし、無段階で調整可能な構成であってもよい。なお、以下の説明では、絞り羽根433が作動して開口部の開口量を小さくすることを「絞り羽根433(または絞り機構43)を絞る」と表現することがある。同様に、絞り羽根433が作動して開口部の開口量を大きくすることを「絞り羽根433(または絞り機構43)を開く」ということがある。
【0033】
<第2カメラモジュール50>
第2カメラモジュール50は、第2制御部51、第2撮像素子52、及びレンズ(図示省略)を含んで構成される。第1カメラモジュールと比較すると、第2カメラモジュールは絞り機構43を含まない構成となっている点で相違し、その他の構成は略同様である。第2カメラモジュール50は、本発明の「第2撮像部」の一具体例である。
【0034】
<第2制御部51>
第2制御部51は、第2撮像素子52を含む第2カメラモジュール50の各部を制御する。第2制御部51は、第2撮像素子52から入力された電気信号を画像データに変換してプロセッサ10に出力する。また、第2制御部51は、カメラモジュール50における撮像等の処理を制御する。
【0035】
<第2撮像素子52>
第2撮像素子52は、例えばCMOSセンサまたはCCDなどの光電変換素子であって、レンズを介して照射された光を検知して電気信号に変換し、第2制御部51に出力する。第2撮像素子52と、撮像対象となる被写体との間には、1枚以上のレンズ(図示省略)、及びNDフィルタ(図示省略)が配置される。また、第2撮像素子52と被写体との間には、撮像のためのシャッタ羽根が配置されてもよい。
【0036】
ただし、第2カメラモジュール50は主にジェスチャ検出にのみ用いられるため、赤外線を検知する赤外線カメラであってもよい。この場合、スマートフォン1は赤外線を照射する赤外線照射部を有し、第2撮像素子52は、被写体から反射された赤外線を撮像する。
【0037】
<プロセッサ10>
プロセッサ10は、メモリ11、ディスプレイ制御部21、タッチパネル制御部31、第1カメラモジュール40の第1制御部41、絞り機構43の羽根制御部431、及び第2カメラモジュール50の第2制御部51を含むスマートフォン1の全体の処理を制御する。プロセッサ10は、例えば半導体集積回路で形成されたCPU(中央演算装置)などである。プロセッサ10はスマートフォン1での各種処理を行うが、本明細書では、実施形態における特徴的な処理についての説明を行い、その他の既知の処理については説明を省略する。プロセッサ10の具体的な作動については後述する。
【0038】
<メモリ11>
メモリ11は、書き換え可能なRAMなどであって、プロセッサ10の処理により種々の情報を記憶し、記憶した情報を出力することができる。メモリ11は、プロセッサ10と同一の半導体集積回路の一部であってもよいし、プロセッサ10とは別構成であってもよい。メモリ11は、例えば、スマートフォン1で行われる種々の処理に関するソフトウェア、及び画像データ等を記憶する。
【0039】
<ディスプレイ20、ディスプレイ制御部21>
ディスプレイ20は、板状に形成されたスマートフォンの一方側の面に配置された表示装置であって、ユーザに視認可能な態様で画像を表示する。ディスプレイ20は、液晶表示装置または有機EL表示装置等であるが、これらに限定されるものではない。ディスプレイ制御部21は、ディスプレイ20に表示される画像を制御する。
【0040】
<タッチパネル30、タッチパネル制御部31>
タッチパネル30は、ディスプレイ20の表面に配置されたフィルム等を含んで構成され、ユーザが接触したことを検知可能に構成される。タッチパネル30は、入力検出機構の一例である。タッチパネル30は、検出されたユーザの操作を、タッチパネル制御部31を介してプロセッサ10に出力する。タッチパネル制御部31は、タッチパネル30の動作を制御する。
【0041】
<撮像処理>
図2は、本実施形態のスマートフォン1で実行される撮像処理の特徴部分を示すフローチャートである。
【0042】
ユーザがスマートフォン1を操作して撮像処理が開始すると、プロセッサ10は、第1カメラモジュール40及び第2カメラモジュール50を起動する。起動前は、第1カメラモジュール40及び第2カメラモジュール50はスタンバイ状態またはスリープ状態になっている。
【0043】
プロセッサ10は、少なくとも、第1カメラモジュール40により取得された被写体の画像をディスプレイ20に表示する。すなわち、第1カメラモジュール40により取得可能な画像は
図3に示された記録領域B1であるので、ディスプレイ20にはこの記録領域B1の画像が表示される。なお、第2カメラモジュール50により取得された被写体の画像である、撮像領域A1の画像がディスプレイ20に表示されてもよい。
【0044】
<S100>
プロセッサ10は、第1カメラモジュール40が撮像可能な領域である記録領域B1の外側であって、第2カメラモジュール50が撮像可能な撮像領域A1の内側の領域で、ユーザ等によるジェスチャを検出する(S100)。
【0045】
すなわち、ジェスチャ検出の対象となる領域は、ディスプレイ20に表示された表示画像の外周部分、または表示画像の外側となる。したがって、例えば被写体となるユーザは、ディスプレイ20の外周部分のジェスチャ検出が行われる領域に手を伸ばし、手指の形態を変化させることで絞り量を調整する。例えば、指を1本伸ばした状態で絞り機構43を絞り、5本の指を伸ばした状態で絞り機構43を開く処理などが可能である。また、ユーザが自己ではなく他者や風景を撮像する場合には、撮像領域A1に入るようにユーザが手を伸ばして操作を行うことも可能である。
【0046】
<S101>
ジェスチャが検出されたら(S100でY)、プロセッサ10は、羽根制御部431及び羽根駆動部432を介して絞り羽根433を駆動し、絞り羽根433の開口部の開口量を調整することで絞り量を調整する。ジェスチャ検出により絞り量の調整は、撮像されるまで繰り返し行われる。
【0047】
<S200>
ジェスチャが検出されずにユーザによる撮像操作が行われた場合には(S200でY)、プロセッサ10は第1カメラモジュール40の第1制御部41を介して第1撮像素子42による撮像を行う。撮像により取得された画像は、プロセッサ10によってメモリ11に記録される。
【0048】
上記の撮像処理によって、タッチパネル30に触れずに絞り機構43の絞り羽根433の絞り量を調整しながら、撮像を行うことが可能となる。
【0049】
なお、他の実施形態では、撮影操作もジェスチャによって実行可能な構成としてもよい。さらに、タッチパネル30、すなわちスマートフォン1に直接触れることなく、音声入力などによって撮影操作を実行可能な構成としてもよい。
【0050】
なお、
図3に示す撮像領域A
1と記録領域B
1とは、第1カメラモジュール40よりも第2カメラモジュール50の方が、画角を狭くすることで実現可能である。この場合、例えば、第1カメラモジュール40では狭角(望遠)のレンズを採用し、第2カメラモジュール50では広角レンズを採用する。ただし、他の手段を用いて2つのカメラモジュールの撮影範囲を後述するように変化させてもよい。
【0051】
<2.変形例>
本実施形態のスマートフォン1では、上記の実施形態とは異なる領域でジェスチャ検出を行って、絞り量を調整しながら撮像することが可能である。
【0052】
例えば、
図4に示されるように、第2カメラモジュール50により撮像可能な撮像領域A2が、第1カメラモジュール40により撮像可能な記録領域B2よりも上下方向で長くなるようにしてもよい。この場合、記録領域B2の上下におけるジェスチャ検出が行われることとなる。
【0053】
また、
図5に示されるように、第2カメラモジュール50により撮像可能な撮像領域A3が、第1カメラモジュール40により撮像可能な記録領域B3よりも左右方向で長くなるようにしてもよい。この場合、記録領域B2の左右におけるジェスチャ検出が行われることとなる。
【0054】
また、
図6に示されるように、第1カメラモジュール40により撮像可能な記録領域B4と、第2カメラモジュール50により撮像可能な撮像領域A4とが略同じ広さであって、双方が互いに左右にずれるようにしてもよい。
図6の例では、撮像領域A4が記録領域B4の左側にずれているため、記録領域B4の左側においてジェスチャ検出が行われる。
【0055】
このように、記録領域と撮像領域とが互いに異なる領域にすることで、ジェスチャ検出を行う場所については撮像により記録されないようにしつつ、被写体を撮像することができる。特に、
図3に示す実施例に対して、
図4~
図6の実施例では、ジェスチャを検出する撮像領域A
1を小さくして、画像を記録する範囲、つまり撮影領域
B1を広くすることが出来る。
【0056】
なお、他の実施形態では、撮像領域Aによってジェスチャが撮影されている状態、すなわちジェスチャを認識している状態を、スマートフォン1の発光部(図示省略)などにより通知する構成としてもよい。発光部としては、例えばLEDなどが採用される。このような構成にすると、たとえば、絞り量が変化しない場合に、ユーザは、自身のジェスチャが間違っているのか、ジェスチャが適切に撮影されていないのかの判断が出来るようになる。また、他の実施形態では、上記の発光部に代えて、ディスプレイ20にインジケータなどの所定の画像を表示するようにしてもよい。
【0057】
<3.本発明の特徴>
以上、実施形態及び変形例を例示して説明した本発明は、以下のような特徴を有する。
【0058】
上記スマートフォン1では、変形例でも説明したように、記録領域と撮像領域とが異なる領域になっており、記録領域外であって撮像領域内におけるジェスチャを検出し、検出結果に応じて絞り機構43の開口量を調整する構成としている。この構成により、絞り機構43を備え光量調整機能を有するスマートフォン1において、ユーザがタッチパネル30に触れて操作することなく絞り機構43の開口量を調整することが可能な構成になっている。これにより、ユーザがスマートフォン1に触れて操作することに起因する撮像時の画像のぶれを抑制することができる。また、意図せず撮像方向がずれてしまうことを抑制することなどが可能となる。
【0059】
なお、ジェスチャとはユーザの動きだけを指すものではなく、ユーザを含む被写体の動作または状態を広く含むものである。具体的には、検出時点でのユーザまたは被写体となる人物の手などの状態であってもよい。
【0060】
また、必ずしもジェスチャのみに限定されるものではなく、人物及び物体の動作または状態に応じて動作する構成としてもよい。例えば、記録領域外であって撮像領域内にある、物体、文字、または2次元コードなどに応じて絞り機構43の開口量を調整する構成であってもよい。
【0061】
また、上記スマートフォン1では、撮像領域が記録領域よりも広い構成とすることができる(実施形態及び変形例の
図3~
図5参照)。このような構成によれば、撮像領域で検知されたジェスチャ等に応じて絞り機構43の開口量を調整可能となる。また、ジェスチャ等によりスマートフォン1を操作中であっても、操作している状態が見えない画像を取得することが可能となる。
【0062】
また、上記スマートフォン1では、ジェスチャ検出を行う領域が、記録領域を囲む領域となる構成とすることができる(実施形態の
図3参照)。このような構成によれば、ユーザのジェスチャ等を、記録領域の周辺の領域で検知する構成となるため、ユーザがジェスチャ等によりスマートフォン1を操作中であっても操作している状態が見えない画像を取得することを容易にすることができる。
【0063】
また、上記スマートフォン1では、ジェスチャ検出を行う領域が、記録領域のいずれかの辺側に位置する領域となる構成とすることができる(変形例の
図4及び
図5参照)。このような構成によれば、ユーザのジェスチャ等を、記録領域の外側の領域で検知する構成となるため、ユーザがジェスチャ等によりスマートフォン1を操作中であっても操作している状態が見えない画像を取得することを容易にすることができる。
【0064】
また、上記スマートフォン1では、羽根制御部431は、記録領域外であって撮像領域内における被写体のジェスチャに応じて絞り機構43の開口量を調整する構成としている。この構成により、ユーザのジェスチャを検出して操作可能な構成となっている。
【0065】
また、上記スマートフォン1では、第2カメラモジュール50が赤外線カメラであってもよい。この場合、スマートフォン1は、被写体に赤外線を照射する赤外線照射部を備える構成となる。このような構成によれば、ユーザのジェスチャ等を検出する領域が暗い場合であっても、ジェスチャによる操作を適切に検出可能な構成となる。
【0066】
<4.補足事項>
以上、本発明の複数の実施形態についての具体的な説明を行った。これらの実施形態は、あくまで本発明の一構成例及び一作動例としての具体例であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0067】
例えば、実施形態における記録領域及び撮像領域は、それぞれが第1カメラモジュール40及び第2カメラモジュール50による撮像可能領域であると説明したが、記録領域は第1カメラモジュール40の撮像可能領域より狭くてもよいし、同様に、撮像領域は第2カメラモジュール50の撮像可能領域より狭くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の撮像装置は、ぶれや撮像方向のずれを抑制しながら撮像可能なスマートフォン等に搭載される撮像装置として好適に適用される。
【符号の説明】
【0069】
1…スマートフォン
10…プロセッサ
11…メモリ
20…ディスプレイ
21…ディスプレイ制御部
30…タッチパネル
31…タッチパネル制御部
40…第1カメラモジュール
41…第1制御部
42…第1撮像素子
43…絞り機構
431…羽根制御部
432…羽根駆動部
433…絞り羽根
50…第2カメラモジュール
51…第2制御部
52…第2撮像素子
A1、A2、A3、A4…撮像領域
B1、B2、B3、B4…記録領域