(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20231016BHJP
E04B 2/72 20060101ALI20231016BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20231016BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20231016BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20231016BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231016BHJP
F21S 4/28 20160101ALI20231016BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20231016BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231016BHJP
F21Y 107/70 20160101ALN20231016BHJP
【FI】
E04H1/12 301
E04B2/72 Z
A47K4/00
F21V33/00 200
F21S8/02 100
F21S2/00 230
F21S4/28
F21Y103:10
F21Y115:10
F21Y107:70
(21)【出願番号】P 2019159219
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 徳彦
(72)【発明者】
【氏名】今村 竜太
(72)【発明者】
【氏名】小川 朋位
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-218875(JP,A)
【文献】特開2003-027756(JP,A)
【文献】特開2014-185462(JP,A)
【文献】特開2016-079557(JP,A)
【文献】実開平07-019517(JP,U)
【文献】特開2005-054543(JP,A)
【文献】特開2011-111756(JP,A)
【文献】特開2013-112958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 2/72
A47K 4/00
F21V 33/00
F21S 8/00
F21S 8/02
F21S 2/00
F21S 4/28
F21Y 103/10
F21Y 107/70
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室空間を取り囲む壁面を形成する壁パネルと、
前記壁面に沿って側方から照明光を照射する照明装置とを備え、
前記壁パネルは、前記浴室空間の第1壁面を形成する第1壁パネルと、前記第1壁面と交差する方向に延びて設けられて前記浴室空間の第2壁面を形成する第2壁パネルと、を有しており、
前記照明装置は、前記第1壁面と前記第2壁面とのコーナー部における前記第2壁面のみに配置され、前記第1壁面の側方から前記第1壁面に沿った照明光を照射し、
前記
第1壁面は、前記照明光を受けたときに明暗が生じるように形成されている
浴室ユニット。
【請求項2】
前記壁パネルの下方に配置されて前記浴室空間の床面を形成する床部材と、
前記壁パネルの上方に配置されて前記浴室空間の天井面を形成する天井パネルとを備え、
前記照明装置は、前記床面から前記天井面までの間で上下方向に長尺状に延びる発光面を有している
請求項1に記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記壁面は凹凸状に形成されている
請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記壁面は、前記照明光を受けた時の反射率及び吸収率の少なくとも一方が部分的に異なる形態で形成されている
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には従来の浴室ユニットが開示されている。この浴室ユニットは、浴室の壁面に間接照明装置が設けられている。間接照明装置は、壁面に沿って照明光を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、間接照明装置は発光面が浴室に露出していない。このため、照明による効果は間接照明による演出効果のみである。
【0005】
本開示は、照明光の照射による機能性の向上を図ることができる浴室ユニットを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る浴室ユニットは、浴室空間を取り囲む壁面を形成する壁パネルと、前記壁面に沿って側方から照明光を照射する照明装置とを備え、前記壁面は、前記照明光を受けたときに明暗が生じるように形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】浴室ユニットを平面方向に沿って切断した断面を示す要部拡大図である。
【
図6】照明装置の光源ユニットを示す斜視図である。
【
図10】他の実施形態に係る壁面を説明するための説明図である。
【
図11】他の実施形態に係る壁面を説明するための説明図である。
【
図12】他の実施形態に係る壁面を説明するための説明図である。
【
図13】他の実施形態に係る浴室ユニットを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
図1及び
図2に示すように、浴室ユニット1は、浴槽が設けられておらず、オーバーヘッドシャワーとして構成されたシャワー装置2が設けられたシャワーユニットである。
図1に示すように、浴室ユニット1は、縦方向(上下方向)に長い略直方体形状の浴室空間Sを形成している。浴室空間Sは、平面視において一方向に長い略矩形状をなしている。浴室ユニット1は、洗面室Wに隣接して設けられている。浴室ユニット1は、隣接する洗面室Wの空間に比べて小さな浴室空間Sを形成している。具体的には、本実施形態に係る浴室空間Sは、間口約1200mm、奥行き約800mm、高さ約2200mmの狭小空間である。
【0009】
図1及び
図2に示すように、浴室ユニット1は、四方の壁面のうちの洗面室Wと隣接する壁面に浴室ドア3が設けられている。以下の説明において、この浴室ドア3の設けられた壁面を壁面Eと表記する。浴室ユニット1の他の壁面については、浴室ドア3が設けられた壁面Eを基準にして平面視における時計回りに、それぞれ壁面A,B,Cと表記する。以下の説明において、「前方」とは、特に説明がない限り、壁面に対しての浴室空間S側を意味する。浴室ドア3は、壁面A側に上下方向に延びる回動軸が設定された内開きのドアである。浴室ドア3は、ドア枠内側の略全体に透光性部材が嵌め込まれている。壁面Eの浴室ドア3と壁面Cとの間には、浴室ドア3と同様の透光性部材が嵌め込まれた固定窓4が設けられている。すなわち、浴室ドア3の開放時の開口は、壁面Cから離れた位置に形成される。本実施形態では、浴室ドア3及び固定窓4の透光性材料として透明なガラスを採用している。浴室空間Sと洗面室Wの空間は、浴室ドア3及び固定窓4を通して一方から他方を視認可能に設けられている。
【0010】
図2及び
図3に示すように、壁面Eと、この壁面Eに対向する壁面Bは、浴室空間Sの平面視における矩形状の2つの長辺をそれぞれ形成する。壁面Eに対して交差する方向に延びる壁面A及び壁面Cは、互いに対向し、平面視における矩形状の2つの短辺を形成する。壁面Cにはシャワー装置2の操作部2Aが配置されている。シャワー装置2のシャワーヘッド2Bは、操作部2Aから壁面Cに沿って上方に延びるとともに天井面30Aに沿って対抗する壁面A側に延びた配管から垂下して設けられている。
【0011】
図1、
図2、及び
図3に示すように、浴室ユニット1は、床部材10と、複数(図中4つ)の壁パネル21,22,23,24と、天井パネル30と、照明装置40と、を備えている。床部材10は浴室空間Sの床面10Aを形成する部材である。床面10Aには排水口(図示せず)に向かって湯水が流れるように勾配が付けられている。
【0012】
図3に示すように、複数の壁パネル21,22,23,24は、浴室空間Sの壁面E,A,B,Cをそれぞれ形成する。各壁パネル21,22,23,24は、床面10Aを囲うように床部材10の周縁部から立ち上がって配置されている。これら複数の壁パネル21,22,23,24のうち、壁パネル21は、浴室ドア3、固定窓4、枠等を有して構成されている。壁パネル22,23,24は、鋼板製の表面パネルの裏面に石膏ボードを貼り合わせて形成されている。壁パネル22,23,24のうち、壁面Aを形成する壁パネル22、及び壁面Cを形成する壁パネル24の各表面は、一様な平滑面で形成されている。壁面Bを形成する壁パネル23の表面は、壁パネル22,24の各表面とは異なる態様で形成されている。壁パネル23の表面は、照明装置40からの照明光を受けたときに明暗が生じるように形成されている。
【0013】
天井パネル30は、複数の壁パネル21,22,23,24の上方に配置され、浴室空間Sの天井面30Aを形成する(
図1参照)。天井パネル30は、壁パネル22,23,24と同様に、鋼板製の表面パネルの裏面に石膏ボードを貼り合わせて形成されている。
【0014】
図2及び
図3に示すように、照明装置40は壁面のコーナー部に配置されている。本実施形態の場合、照明装置40は、四方の壁面E,A,B,Cによって形成される4つのコーナー部EA,AB,BC,CEのうちの壁面Cと壁面Bとのコーナー部BCに設けられている。具体的には、照明装置40は、壁面Cの壁面B側のコーナー部BCに設けられている。照明装置40は発光面40Aを有している。発光面40Aは浴室空間Sに露出している。具体的には、発光面40Aは、何物にも隠されずに、浴室ユニット1の使用者が浴室空間Sのいずれの位置に立っていても視認可能に、浴室空間Sに露出している。発光面40Aは、床面10Aから天井面30Aまでの間で上下に長尺状に延びている。照明装置40は、この発光面40Aによって浴室空間Sに直接光を照射する。発光面40Aは、壁面Cに略平行であり、壁面Bに対して略直交する方向に拡がる。このような発光面40Aからの光は、壁面C側から壁面Bに沿って照射される。すなわち、照明装置40からの光は、壁面Bに対して、壁面Bの側方から壁面Bに沿って照射される。照明光を照射された壁面Bは、他の壁面E,A,Cに比べて明るく浮かび上がる。
【0015】
照明装置40は、後述するフレーム51にスライド嵌合することによって取り付けられる。照明装置40は前面の発光面40Aを浴室空間S側に向けてフレーム51に取り付けられる。フレーム51に取り付けられた状態において、照明装置40の発光面40Aは、壁面Cと実質的に同一面をなす。なお、本開示における「実質的に同一面」とは、照明装置の発光面と壁面との間に5mm以内の僅かな段差が生じているものも含むことを意図するものであり、完全な同一面をなすことのみを意図するものではない。
【0016】
照明装置40は、浴室ユニット1の床面10Aから天井面30Aまでの距離、すなわち浴室空間Sの高さの90%以上の長さを有して形成されている。具体的には、照明装置40は、発光面40Aが浴室空間Sの高さの90%以上の長さで形成されている。これによって、照明装置40は、浴室空間Sの高さの略全体に渡って照明光を照射可能である。
【0017】
図4及び
図5に示すように、照明装置40は、光源ユニット41と、この光源ユニット41を収納する筐体42と、前面が発光面40Aとなる形態で筐体42の前面側に取り付けられる透光カバー43とを有して構成されている。なお、
図4において、照明装置40は透光カバー43が省略されて表されている。照明装置40は、筐体42と透光カバー43とを組み合わせることによって縦長の筒状をなし、その内部空間に光源ユニット41を収納している。光源ユニット41は、筐体42に対して複数のクリップ44によって固定されている。
【0018】
光源ユニット41は全体として細長い形状をなしている。
図6に示すように、光源ユニット41は、基板41A、複数のLEDチップ41B、及びフレーム41Cを有して構成されている。基板41Aは、長尺状のフレキシブルプリント配線基板である。複数のLEDチップ41Bは、基板41A上に長手方向に所定間隔で並んで実装されている。フレーム41Cは、凹溝が形成された断面略U字形状をなしている。基板41Aは、フレーム41Cの凹溝の底部に配置されている。フレーム41Cの凹溝には透明なポッティング剤41Dが充填されている。これによって、フレーム41Cに対して基板41A及びLEDチップ41Bが固定されるとともに、基板41A及びLEDチップ41Bの防水及び絶縁が施される。
【0019】
筐体42はアルミニウムの押し出し成形によって形成されている。筐体42は長手方向に略一様な断面形状を有している。具体的には、筐体42は、
図7に示すように、前面側が開口する断面凹状に形成されている。筐体42は、底板部42A及び一対の側板部42Bを有している。底板部42Aは、フレーム51に固定された状態における筐体42の後端部に位置している(
図5参照)。底板部42Aは、筐体42の長手方向及び左右方向(幅方向)に平行に延びる平板状に形成されている。一対の側板部42Bは、基端側が底板部42Aの両側部にそれぞれ接続され、先端側が底板部42Aから離れる方向(前方)に延びてそれぞれ形成されている。一対の側板部42Bは、先端側(筐体42の前方側)の間隔が広くなる形態でクランク状に屈曲した断面を有してそれぞれ形成されている。側板部42Bの先端面は、筐体42の幅方向中心側(内側)に向かうにつれて基端側に向かって傾斜する形態で形成されている。
【0020】
図7に示すように、筐体42は、保持部42C、延出部42D、リブ部42E、係止部42F、及び係合部42Gを有している。これら保持部42C、延出部42D、リブ部42E、係止部42F、及び係合部42Gは、筐体42の幅方向の中心に対称にそれぞれ一対設けられている。一対の保持部42Cは、底板部42Aの前面から前方に突出して形成されている。一対の保持部42Cは、筐体42の幅方向中心から所定間隔を空けて設けられている。一対の保持部42Cは光源ユニット41を保持する。詳細には、一対の保持部42Cは、光源ユニット41の幅に比べてわずかに広い幅で底板部42Aの前面に突出している。光源ユニット41はこれら一対の保持部42Cの間に嵌め込まれる。
【0021】
一対の延出部42Dは、底板部42Aの両側部に連なって外側方にそれぞれ延びて形成されている。一対の延出部42Dには、長手方向に並んで形成された複数の切欠き部42Hがそれぞれ形成されている。これら切欠き部42Hには、筐体42がフレーム51に取り付けられた際に、フレーム51側の係合爪51Aが係合する(
図5参照)。
【0022】
一対のリブ部42Eは、一対の側板部42Bの各外側面から外側方向にそれぞれ延びて形成されている。リブ部42Eは、照明装置40がフレーム51に固定された際に、その後面がフレーム51の開口端に当接する(
図5参照)。各リブ部42Eは、筐体42の前面側の端部に比べて後端寄りに控えた位置に設けられている。リブ部42Eは、筐体42がフレーム51に取り付けられた際にフレーム51の前端が当接する。
図5に示すように、リブ部42Eは、照明装置40が壁面Cに配置された際、照明装置40と隣接する壁パネル23,24との間の目地の底面を形成し、この目地に埋め込まれるシリコンシーラントSSを受ける。
【0023】
一対の係止部42Fは、一対の側板部42Bの各内側面から内側方向に延びて形成されている。一対の係止部42Fには長手方向の複数箇所に複数の切欠き(図示せず)が形成されている。この切欠きには光源ユニット41を筐体42に固定するためのクリップ44が嵌め込まれる。
【0024】
一対の係合部42Gは、クランク状の断面をなす一対の側板部42Bの各内側面のうち、前方側を向いた面から前方に向かって延びて形成されている。一対の係合部42Gは、透光カバー43が筐体42に取り付けられた際に、後述する透光カバー43の被係合部43Bが係合する。係合部42Gの先端は外側方向に爪状に突出して形成されている。係合部42Gの先端は被係合部43Bの先端と係合する。
【0025】
透光カバー43は、樹脂の射出成形によって形成されている。
図5及び
図8に示すように、透光カバー43は、筐体42と同様に、長手方向に略一様な断面形状を有している。透光カバー43は、後面側が開口する断面凹状に形成されている。透光カバー43は、筐体42に取り付けられることによって、筐体42とともに光源ユニット41を収納する内部空間を形成する。樹脂製である透光カバー43は、アルミニウム製の筐体42との熱膨張差を考慮して、筐体42に比べて短く形成されている。このため、通常状態(常温状態)の照明装置40において、透光カバー43の上下端は、後述する下キャップ45及び上キャップ46との間に隙間が生じている。この隙間は、透光カバー43と筐体42との間の空間に結露等によって生じた水分を抜くための水抜きとしても機能する。
【0026】
透光カバー43は透光性を有している。透光カバー43は、光源ユニット41からの光を透過する。透光カバー43は非透明である。透光カバー43が筐体42に取り付けられた状態において、筐体42と透光カバー43とによって形成される内部空間は透光カバー43の前面側からは視認不能である。
【0027】
図8に示すように、透光カバー43は、前板部43A及び一対の被係合部43Bを有している。前板部43Aは、筐体42に取り付けられた状態における透光カバー43の前端部に位置する。前板部43Aは、透光カバー43が筐体42に取り付けられた状態において、筐体42の底板部42Aから所定の間隔をあけて配置される。前板部43Aの前面は、幅方向の中心が側縁部に比べてほんの僅か前方に位置する形態の曲面形状をなしている。前板部43Aの前面は照明装置40の発光面40Aである。前板部43Aの両側縁は、筐体42の側板部42B先端の傾斜面に対応して傾斜して形成されている。
【0028】
一対の被係合部43Bは、基端側(前端側)が前板部43Aの後面に接続され、先端側(後端側)が後方に向かって突出して形成されている。各被係合部43Bの先端は、係合部42Gの先端の爪状の部位に対応して形成されている。被係合部43Bの先端は内側方向に突出する爪状に形成されている。一対の被係合部43Bは、透光カバー43が筐体42に取り付けられた状態において筐体42の一対の係合部42Gに各々係合している(
図5参照)。この状態において、一対の被係合部43Bと筐体42の側板部42Bとの間の隙間にはシール部材P1が介在する。これによって、透光カバー43と筐体42との間の側縁部における水密性が確保されている。
【0029】
図4に示すように、照明装置40の下端部には下キャップ45が設けられている。下キャップ45は、筐体42の下端面に下方からビス止めされて固定されている。下キャップ45は、上端側の幅及び前後長さが下端側の幅及び前後長さに比べて縮小された段差状に形成されている。下キャップ45は、縮小された上端側の部分が筐体42及び透光カバー43の間の空間に挿入され、下端側の部分が筐体42及び透光カバー43の外形形状に沿うように下方に延びる形態のいわゆるインロー状に筐体42に接続されている。接続方向(上下方向)における下キャップ45と筐体42との間には止水パッキン(図示せず)が介在している。下キャップ45の上端部には光源ユニット41の下端が載置される。透光カバー43の裏面(後面)と下キャップ45との間には止水パッキンP2が介在している。
【0030】
図4に示すように、照明装置40の上端部には上キャップ46が設けられている。上キャップ46は、筐体42の上端面に上方からビス止めされて固定されている。上キャップ46の下端部は、筐体42と透光カバー43との間に形成される空間に挿入される。上キャップ46は、筐体42の上端面に当接する部分が平板状に形成され、下端側の部分が筐体42及び透光カバー43の間の空間に挿入される。上キャップ46と透光カバー43の裏面(後面)との間には止水パッキンP2が介在している。上キャップ46は、照明装置40の内部空間と外部空間とを連通する貫通孔(図示せず)を形成している。この貫通孔は、上キャップ46を上下に貫通して形成されており、光源ユニット41の配線経路として機能する。
【0031】
床部材10の四隅には、浴室ユニット1の躯体を構成する4つの柱部材50が立てられている(
図5参照)。4つの柱部材50のうちの1つにはフレーム51が隣接して立てられている。これら柱部材50及びフレーム51は、板状の鋼材を折り曲げてそれぞれ形成されている。フレーム51は照明装置40を固定する。フレーム51は、壁面B側に位置する2つの柱部材50のうち、浴室ドア3に最も遠い柱部材50に固定されている。本実施形態に係るフレーム51は、
図5に示すように、柱部材50の壁面C側に隣接して配置されている。
【0032】
図5に示すように、フレーム51は、前面が開口する断面略U字形状に形成されている。フレーム51は係合爪51Aを有している。係合爪51Aは、フレーム51の底面の長手方向に並んで複数設けられている。係合爪51Aは、フレーム51の底面から前方に突出して上下方向に延びる形態で形成されている。係合爪51Aは、照明装置40の筐体42の延出部42Dに形成された切欠き部42Hに挿通され、照明装置40を固定する。具体的には、延出部42Dは、筐体42がフレーム51に取り付けられる際、底板部42Aとともに、フレーム51の底面に当接する。各切欠き部42Hには、延出部42Dの後面側から係合爪51Aが挿入される。各切欠き部42Hの長手方向の長さは係合爪51Aの上下長さに比べて長く形成されている。切欠き部42Hに係合爪51Aを挿入し、照明装置40全体を下方にスライドさせると、係合爪51Aが延出部42Dに下方から係合する。このように、照明装置40は、切欠き部42Hと係合爪51Aとの係合によってフレーム51に固定される。
【0033】
上述のように、発光面40Aは、壁面Cと実質同一面上に配置されている。詳細には、本実施形態の場合、発光面40Aは、上述の「実質同一面」の範囲で、壁面Cに比べて前方に位置している。
【0034】
上述のように、照明装置40は、浴室空間Sの高さの90%以上の上下長さで形成されている。照明装置40は、下キャップ45及び上キャップ46を含めた長さにおいて、浴室空間Sの高さに比べて短く形成されている。これによって、照明装置40をフレーム51にスライド係合させる際のスライド代が確保される。照明装置40をフレーム51に固定した後の状態において、照明装置40の上部にはスペーサ47が嵌め込まれる。これによって、照明装置40は、フレーム51に対してスライド不能な状態に保持される。
【0035】
上述のように、壁面Bを形成する壁パネル23の表面は、壁パネル22,24の各表面とは異なる態様で形成されている。壁パネル23の表面は、照明装置40からの照明光を受けたときに明暗が生じるように形成されている。具体的には、壁パネル23の表面は凹凸状に形成されている。このため、壁パネル23によって形成される浴室空間Sの壁面Bは、
図9に示すように、照明装置40からの照明光を受けたときに凹凸による明暗が際立って表現される。具体的には、凸状の部分の一面側(照明装置40が配置されている側)において照明光を受光し、他面側(照明装置40が配置されている側とは反対側)において凸状の部分の影を形成する。このように、壁面Bは照明光による明暗を生じさせ、浴室空間Sの広がりの演出と質の向上に寄与する。なお、本実施形態の場合、壁パネル23の表面は、石を模したざらざらの不規則な凹凸の装飾を採用している。
【0036】
次に、浴室ユニット1の作用効果について説明する。浴室ユニット1は、壁パネル23及び照明装置40を備えている。壁パネル23は、浴室空間Sの壁面Bを形成する。照明装置40は、壁面Bに沿って側方から照明光を照射する。壁面Bは、照明装置40の照明光を受けたときに明暗が生じるように形成されている。
【0037】
浴室ユニット1は、照明装置40から照明光を照射すると、壁面Bに明暗が生じる。このように、壁面Bに明暗が生じることによって、使用者に浴室空間Sの広がりを感じさせることができる。したがって、浴室ユニット1は、照明光の照射による機能性の向上を図ることができる。
【0038】
浴室ユニット1は床部材10及び天井パネル30を備える。床部材10は、浴室空間Sの床面10Aを形成しており、周縁部から壁パネル21,22,23,24が立ち上がる。天井パネル30は、壁パネル21,22,23,24の上方に配置されて浴室空間Sの天井面30Aを形成する。照明装置40は、発光面40Aを有している。発光面40Aは、浴室空間Sの床面10Aから天井面30Aまでの間で上下方向に長尺状に延びている。
【0039】
浴室ユニット1は、床面10Aと天井面30Aとの間で上下に長尺状に延びた発光面40Aから縦方向に長い光が発光される。これによって、限られた狭い空間である浴室空間Sにおいて、使用者に空間の広がりを感じさせることができる。特に、浴室ユニット1は、縦長の浴室空間Sにおいて縦長の光を発光することによって高さが強調され、空間の広がりを感じさせることができる。
【0040】
照明装置40は、浴室空間Sの壁面Cから縦方向に長い光を照射するので、床面10A上に立った状態の浴室ユニット1の使用者に対して、側方から全身を照らす照明光を効率よく照射することができる。例えば、天井に取り付けられて下方に向けて照明光を照射する通常の照明の場合、オーバーヘッドシャワーのシャワーヘッド等が照明の下方に配置されているとシャワーヘッド等の影が生じてしまう。本実施形態のように側方(水平方向)から光を照射する場合には、オーバーヘッドシャワーの影を生じさせることなく使用者を照らすことが可能である。このように、浴室ユニット1では、照明装置40から縦方向に長い照明光を側方から照射することによって、使用者の全身を照らす照明光を効率よく照射することができる。
【0041】
浴室空間Sの壁面Bを形成する壁パネル23の表面は、不規則な凹凸状に形成されている。照明装置40によって壁面Bに沿って側方から照明光を照射すると、照明光を受けた壁面Bには凹凸による不規則な明暗が際立って生じる。このように、浴室ユニット1は、壁面Bを形成する壁パネル23の表面に凹凸を形成するとともに、壁面Bに対して側方から照明光の照射するようにしたことによって、壁面Bに明暗のグラデーションを効果的に出現させることができる。
【0042】
浴室ユニット1は、壁面Bを形成する壁パネル23の表面に石目を模したシートによる装飾を施している。このため、浴室空間Sに石の質感によるシャープな雰囲気を演出することができるとともに、壁面Bと他の壁面E,A,Cとの質感の違いによる演出効果を得ることができる。
【0043】
照明光を照射された壁面Bは、他の壁面E,A,Cに比べて明るく浮かび上がる。このため、壁面Bと他の壁面E,A,Cとの明るさの違いによる演出効果を得ることができる。
【0044】
浴室ユニット1は、浴室空間Sの壁面Eに浴室ドア3が設けられており、照明装置40は、壁面Eに対向する壁面Bに光を照射する。このように、浴室ユニット1は、浴室ドア3が設けられた壁面Eに対向する壁面Bに対して照明光を照射するので、直接的に照明光を照射された壁面Bは他の壁面E,A,Cに比べて明るく照らされる。これによって、浴室ドア3からの奥行きを広く感じさせることができる。このように、浴室ユニット1は、浴室ドア3から入室しようとする使用者に対して浴室空間Sの広がりを更に強く感じさせることができる。
【0045】
浴室ユニット1は縦長の狭小な浴室空間Sを有するシャワーユニットである。浴室ユニット1は、縦長の発光面40Aを有する照明装置40が浴室ドア3から最も遠いコーナー部BCに配置されている。このため、浴室ユニット1の使用者に、浴室空間Sの縦方向の長さと奥行きを更に大きく感じさせることができる。
【0046】
浴室ユニット1は、シャワー装置2を備えており、シャワー装置2の操作部2Aは壁面Cに設けられている。照明装置40は、壁面Cの壁面B側のコーナー部BCに設けられて壁面Bに照明光を照射する。このような構成によって、浴室ユニット1は、シャワー装置2の操作部2Aの影を壁面Bに映し出すことなく、壁面Bを明るく照らすことができる。
【0047】
照明装置40の発光面40Aの上下方向の長さは、浴室空間Sの床面10Aから天井面30Aまでの距離の90%以上の長さで形成されている。このように、照明装置40の発光面40Aが浴室空間Sの高さの略全体に渡る長さで形成されていることによって、浴室空間Sの使用者に対して縦方向の長さを大きく感じさせる効果を十分に発揮することができる。
【0048】
浴室ユニット1は、浴室ドア3のドア枠内側の略全体に透光性部材としての透明なガラスが嵌め込まれて構成されている。これによって、隣接する洗面室Wの空間から浴室空間Sを視認可能である。そして、照明装置40から照明光を照射すると、洗面室Wから最も奥側に位置する壁面Bが明るく照らされる。これによって、浴室ユニット1は、いわゆるサバンナ効果を生じさせることができる。すなわち、浴室ユニット1は、安心感のある空間として浴室空間Sを演出することができる。
【0049】
浴室ユニット1は、照明装置40によって、浴室ドア3の対向壁の壁面である壁面Bが横方向から満遍なく照らされる。このように、浴室ユニット1は、浴室ドア3に対向する壁面Bが側方から明るく照らされることによって、いわゆるウォールウォッシャー効果を得ることができる。すなわち、浴室ユニット1の使用者に、浴室空間Sを明るく、広く感じさせることができる。
【0050】
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態1の開示に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も含まれる。
【0051】
(1)照明装置の構成は実施形態1に示したに限定されない。例えば、光源ユニットの構成、筐体、透光カバー等の各部材の形状や有無、取付形態等は適宜選択することができる。
【0052】
(2)照明装置は、浴室ユニットの床面から天井面までの長さの略全体に渡る長さで設けられていてもよい。例えば、照明装置は、浴室ユニットの床面から天井面までの長さと略同等の上下長さで形成された発光面を有する構成であってもよい。これによって、床面から天井面まで途切れることなく照明光を照射することができる。
【0053】
(3)照明装置の配置は実施形態1に示した配置に限定されない。照明装置は、浴室ドアが設けられた壁面に対向する壁面に配置する等、実施形態1とは異なる壁面に配置されてもよい。
【0054】
(4)浴室ドアの配置、開閉形態等は実施形態1の形態に限定されない。浴室ドアは、実施形態1に示した開き戸に限定されず、例えば、折り戸、引き戸等であってもよい。開き戸の場合には、内開きに限定されず、外開きであってもよい。
【0055】
(5)浴室空間の形状は実施形態1に示した形状に限定されない。例えば、浴室空間は、平面視略正方形であってもよいし、壁面の少なくとも一部が曲面状に形成されていてもよい。浴室空間の大きさも実施形態1に示した大きさに限定されない。浴室空間は、例えば、高さが2000mmから2200mm程度であることができる。浴室空間の平面視における大きさは、例えば、800mm×800mm、900mm×1400mm、800mm×1600mm等であることができる。
【0056】
(6)壁面の形態は実施形態1の形態に限定されない。例えば、
図10に示すように、壁パネル23の表面に突き鑿や釿による削り跡を模した凹凸の表面加工と木目調のシートによる装飾を施した形態であってもよい。この場合、照明光を受けたときの明暗の出現による演出に加えて、木の質感や削り跡によって温かみのある空間を演出することができる。
【0057】
(7)壁面の形態は実施形態1の形態に限定されない。例えば、
図11に示すように、照明光を受けて明部Nと暗部Mとが規則的に生じる形態であってもよい。
【0058】
(8)壁面は、例えば、白色の部位と黒色の部位等の色の違う部位の組み合わせによって明暗を生じさせる形態であってもよいし、鏡面と非鏡面等、光を反射する部位と吸収する部位との組み合わせによって明暗を生じさせる形態であってもよい。このように、壁面は、照明光の反射率や吸収率が部分的に異なる形態で形成されていることによって、照明光を受けたときに明暗が生じる構成であってもよい。
【0059】
(9)壁面は、例えば、
図12に示すように、一面が凹凸状に形成された基層B1上に透明な表層B2を形成した形態、いわゆるインナーエンボスとしてもよい。この場合、凹凸による明暗を発生可能でありながら表面を平滑に形成することができ、演出性と清掃性を両立することができる。
【0060】
(10)浴室ユニットは、実施形態1に示したようなシャワーユニットに限定されない。例えば、
図13に示すように、浴室ユニットは浴槽BTを備えていてもよい。この場合、照明装置は、例えば、床面高さ以上の高さに位置する浴槽の上端から天井面までの間で、上下方向に延びて設けられている形態であってもよい。
【0061】
(11)壁パネルは、実施形態1に示したような床部材の周縁部から立ち上がる形態に限定されない。例えば、浴室ユニットが浴槽を備える場合(
図13参照)には、壁パネルは、浴槽の周縁部から立ち上がる形態であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…浴室ユニット、10A…床面、23…壁パネル、30A…天井面、40…照明装置、40A…発光面、B…壁面、S…浴室空間