(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】ドライブ装置、半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H03K 17/687 20060101AFI20231016BHJP
G05F 3/26 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H03K17/687 A
G05F3/26
(21)【出願番号】P 2019182029
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鬼松 大
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-11049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F3/16-3/30
H02M1/08-1/096
H03K17/687-17/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象トランジスタの制御電極の電圧を制御することで前記対象トランジスタの状態を制御するドライブ装置において、
前記対象トランジスタがオン状態となるべきオン制御区間においてアクティブとなる第1制御信号に基づき、前記オン制御区間の開始から所定時間だけアクティブとなる第2制御信号を生成する信号生成回路と、
前段回路及び前記対象トランジスタの制御電極に接続されるドライブトランジスタを有し、前記第2制御信号がアクティブとなる区間において、前記前段回路に所定の電流を流すことを通じ前記ドライブトランジスタにてドライブ電流を発生させ前記ドライブ電流を前記対象トランジスタの制御電極に供給することで前記対象トランジスタをターンオンさせる電流供給回路と、
前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記オン制御区間の終了まで、前記対象トランジスタの制御電極の電圧を、前記対象トランジスタをオン状態とするための電圧に保つ電圧保持回路と、を備え、
前記電流供給回路は、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記前段回路における前記所定の電流を遮断
し、
前記電流供給回路は、第1カレントミラー回路及び第2カレントミラー回路を有し、
前記第1カレントミラー回路の出力側に前記ドライブトランジスタが配置され、
前記前段回路は、前記第2カレントミラー回路の入力側及び出力側に配置される第1トランジスタ及び第2トランジスタと、前記第1カレントミラー回路の入力側に配置されるプリドライブトランジスタと、を有し、
前記第2トランジスタと前記プリドライブトランジスタは互いに直列接続され、
前記電流供給回路は、
前記第2制御信号がアクティブとなる区間において、前記第1トランジスタに所定の定電流を流すことで前記プリドライブトランジスタにて前記定電流に比例するプリドライブ電流を発生させ、これによって前記ドライブトランジスタにて前記ドライブ電流を発生させ、
前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記定電流を遮断し、これによって前記プリドライブ電流も遮断する
、ドライブ装置。
【請求項2】
前記電圧保持回路は、所定電圧の印加端と前記対象トランジスタの制御電極との間に挿入された電圧保持トランジスタを有して、前記第1制御信号及び前記第2制御信号に基づき、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記オン制御区間の終了まで、前記電圧保持トランジスタをオン状態とし、
前記電圧保持トランジスタがオン状態となることで前記所定電圧が前記対象トランジスタの制御電極に加わるとき、前記対象トランジスタはオン状態となる
、請求項1に記載のドライブ装置。
【請求項3】
第2所定電圧の印加端と前記対象トランジスタの制御電極との間に挿入されたオフ用トランジスタを有するオフ用回路を更に備え、
前記第1制御信号により前記オン制御区間と前記対象トランジスタがオフ状態となるべきオフ制御区間とが設定され、
前記オフ用回路は、前記オフ制御区間において前記オフ用トランジスタをオン状態とし、
前記オフ用トランジスタがオン状態となることで前記第2所定電圧が前記対象トランジスタの制御電極に加わるとき、前記対象トランジスタはオフ状態となる
、請求項2に記載のドライブ装置。
【請求項4】
前記所定時間の長さは前記オン制御区間の長さよりも短い
、請求項1~3の何れかに記載のドライブ装置。
【請求項5】
前記対象トランジスタは電界効果トランジスタにて構成される
、請求項1~4の何れかに記載のドライブ装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載のドライブ装置を1以上備えて構成される
、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置と、
前記半導体装置によって状態が制御される1以上の対象トランジスタと、を備えた
、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブ装置、半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
対象トランジスタの制御電極(例えばゲート)の電圧を制御することで対象トランジスタの状態を制御するドライブ装置が、様々な電子機器において利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9に参考構成に係るドライブ装置901を示す。
図9のドライブ装置901は、Pチャネル型のMOSFETとして構成されたトランジスタ911及び912と、Nチャネル型のMOSFETとして構成されたトランジスタ913~915と、定電流源921及びスイッチ922を備え、Nチャネル型のMOSFETとして構成された対象トランジスタM900のゲート電圧V
Gを制御することで対象トランジスタM900の状態を制御する。ドライブ装置901ではカレントミラー回路CMa及びCMbが形成されている。カレントミラー回路CMaにおいて、トランジスタ911が電流の出力側に配置され、トランジスタ912が電流の入力側に配置されている。カレントミラー回路CMbにおいて、トランジスタ913が電流の出力側に配置され、トランジスタ914が電流の入力側に配置されている。トランジスタ912及び913は互いに直列接続されている。
【0005】
図10に、ドライブ装置901のタイミングチャートを示す。ハイアクティブの制御信号G_ONがハイレベルとされると、定電流源921からの定電流I
CCが電流Iaとしてトランジスタ914に流れ、これによって電流Iaに比例する電流Ibがトランジスタ912及び913に流れ、更に、電流Ibに比例する電流Icがトランジスタ911に流れる。この電流Icにより対象トランジスタM900のゲート電圧V
Gが上昇することで対象トランジスタM900がターンオンする。その後、制御信号G_ONがローレベルとなると、トランジスタ915のターンオンすることでゲート電圧V
Gがグランドレベルまで低下し、対象トランジスタM900がターンオフする。
【0006】
図10からも分かるように、ドライブ装置901では対象トランジスタM900がオンとされるべき区間において継続的に電流Ia及びIbが流れるため、その分の電力消費が発生する。ドライブ装置において消費電力の低減が重要であることは言うまでもない。
【0007】
本発明は、消費電力の低減に寄与するドライブ装置、半導体装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るドライブ装置は、対象トランジスタの制御電極の電圧を制御することで前記対象トランジスタの状態を制御するドライブ装置において、前記対象トランジスタがオン状態となるべきオン制御区間においてアクティブとなる第1制御信号に基づき、前記オン制御区間の開始から所定時間だけアクティブとなる第2制御信号を生成する信号生成回路と、前段回路及び前記対象トランジスタの制御電極に接続されるドライブトランジスタを有し、前記第2制御信号がアクティブとなる区間において、前記前段回路に所定の電流を流すことを通じ前記ドライブトランジスタにてドライブ電流を発生させ前記ドライブ電流を前記対象トランジスタの制御電極に供給することで前記対象トランジスタをターンオンさせる電流供給回路と、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記オン制御区間の終了まで、前記対象トランジスタの制御電極の電圧を、前記対象トランジスタをオン状態とするための電圧に保つ電圧保持回路と、を備え、前記電流供給回路は、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記前段回路における前記所定の電流を遮断する構成(第1の構成)である。
【0009】
上記第1の構成に係るドライブ装置において、前記電流供給回路は、カレントミラー回路を有し、前記カレントミラー回路の入力側に前記前段回路を構成するプリドライブトランジスタが配置され、前記カレントミラー回路の出力側に前記ドライブトランジスタが配置され、前記電流供給回路は、前記第2制御信号がアクティブとなる区間において、前記プリドライブトランジスタにプリドライブ電流を流すことを通じ前記ドライブトランジスタにて前記ドライブ電流を発生させ、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記プリドライブ電流を遮断する構成(第2の構成)であっても良い。
【0010】
上記第1の構成に係るドライブ装置において、前記電流供給回路は、第1カレントミラー回路及び第2カレントミラー回路を有し、前記第1カレントミラー回路の出力側に前記ドライブトランジスタが配置され、前記前段回路は、前記第2カレントミラー回路の入力側及び出力側に配置される第1トランジスタ及び第2トランジスタと、前記第1カレントミラー回路の入力側に配置されるプリドライブトランジスタと、を有し、前記第2トランジスタと前記プリドライブトランジスタは互いに直列接続され、前記電流供給回路は、前記第2制御信号がアクティブとなる区間において、前記第1トランジスタに所定の定電流を流すことで前記プリドライブトランジスタにて前記定電流に比例するプリドライブ電流を発生させ、これによって前記ドライブトランジスタにて前記ドライブ電流を発生させ、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記定電流を遮断し、これによって前記プリドライブ電流も遮断する構成(第3の構成)であっても良い。
【0011】
上記第1~第3の構成の何れかに係るドライブ装置において、前記電圧保持回路は、所定電圧の印加端と前記対象トランジスタの制御電極との間に挿入された電圧保持トランジスタを有して、前記第1制御信号及び前記第2制御信号に基づき、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記オン制御区間の終了まで、前記電圧保持トランジスタをオン状態とし、前記電圧保持トランジスタがオン状態となることで前記所定電圧が前記対象トランジスタの制御電極に加わるとき、前記対象トランジスタはオン状態となる構成(第4の構成)であっても良い。
【0012】
上記第4の構成に係るドライブ装置において、第2所定電圧の印加端と前記対象トランジスタの制御電極との間に挿入されたオフ用トランジスタを有するオフ用回路を更に備え、前記第1制御信号により前記オン制御区間と前記対象トランジスタがオフ状態となるべきオフ制御区間とが設定され、前記オフ用回路は、前記オフ制御区間において前記オフ用トランジスタをオン状態とし、前記オフ用トランジスタがオン状態となることで前記第2所定電圧が前記対象トランジスタの制御電極に加わるとき、前記対象トランジスタはオフ状態となる構成(第5の構成)であっても良い。
【0013】
上記第1~第5の構成の何れかに係るドライブ装置において、前記所定時間の長さは前記オン制御区間の長さよりも短い構成(第6の構成)であっても良い。
【0014】
上記第1~第6の構成の何れかに係るドライブ装置において、前記対象トランジスタは電界効果トランジスタにて構成される構成(第7の構成)であっても良い。
【0015】
本発明に係る半導体装置は、上記第1~第7の構成の何れかに係るドライブ装置を1以上備える構成(第8の構成)である。
【0016】
本発明に係る電子機器は、上記第8の構成に係る半導体装置と、前記半導体装置によって状態が制御される1以上の対象トランジスタと、を備えた構成(第9の構成)である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、消費電力の低減に寄与するドライブ装置、半導体装置及び電子機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るドライブ装置及びその周辺回路の構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係り、2つの制御信号の関係図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るドライブ装置のタイミングチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る電子機器用の半導体回路システムの概略全体構成図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係り、半導体回路システムが電子機器に搭載される様子を示した図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る電子機器の外観斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の外観斜視図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る前段回路を示す図である。
【
図9】参考構成に係るドライブ装置及びその周辺回路の構成図である。
【
図10】
図9のドライブ装置のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、素子又は部位等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、素子又は部位等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“GATE_ON”によって参照される第1制御信号は(
図1参照)、第1制御信号GATE_ONと表記されることもあるし、制御信号GATE_ON又は信号GATE_ONと略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0020】
まず、本発明の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本発明の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グランドから見た電位を表す。
【0021】
レベルとは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。
【0022】
或る任意の注目した信号について、注目した信号がハイレベルであるとき、当該注目した信号の反転信号はローレベルをとり、注目した信号がローレベルであるとき、当該注目した信号の反転信号はハイレベルをとる。
【0023】
任意の信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジと称し、ローレベルからハイレベルへの切り替わりのタイミングをアップエッジタイミングと称する。同様に、任意の信号又は電圧において、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジと称し、ハイレベルからローレベルへの切り替わりのタイミングをダウンエッジタイミングと称する。
【0024】
ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の信号について、当該信号のレベルがハイレベルとなる区間をハイレベル区間と称し、当該信号のレベルがローレベルとなる区間をローレベル区間と称する。ハイレベル又はローレベルの電圧レベルをとる任意の電圧についても同様である。
【0025】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通状態となっていることを指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通状態(遮断状態)となっていることを指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解して良い。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。
【0026】
任意のスイッチを1以上のFET(電界効果トランジスタ)にて構成することができ、或るスイッチがオン状態のときには当該スイッチの両端間が導通する一方で或るスイッチがオフ状態のときには当該スイッチの両端間が非導通となる。
【0027】
以下、任意のトランジスタ又はスイッチについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。任意のトランジスタ又はスイッチについて、オフ状態からオン状態への切り替わりをターンオンと表現し、オン状態からオフ状態への切り替わりをターンオフと表現する。
【0028】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るドライブ装置1及びその周辺回路の構成図である。
【0029】
ドライブ装置1には、ドライブ装置1に対して制御信号GATE_ONを供給する制御回路2及びドライブ装置1に対して電源電圧VCC1及びVCC2を供給する電源回路3が接続されている。但し、制御回路2及び電源回路3の内、少なくとも一方はドライブ装置1に内蔵されていると解しても良い。電源電圧VCC1及びVCC2は正の直流電圧であり、例えば、夫々、10V、3Vである。
【0030】
また、ドライブ装置1に設けられた端子GATE_DRVに対して対象トランジスタM0及びコンデンサC0が接続されており、対象トランジスタM0には負荷装置LDが接続されている。
図1の例において、対象トランジスタM0はNチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)として構成されている。
【0031】
ドライブ装置1は、対象トランジスタM0のゲート電圧を制御することで対象トランジスタM0の状態(オン/オフ状態)を制御する。故に、ドライブ装置1はゲートドライブ装置又はゲートドライバとも称される。対象トランジスタM0のドレインには、図示されない電源回路にて生成される正の直流の負荷駆動電圧Vaが印加される。対象トランジスタM0のソースとグランドとの間に負荷装置LDが設けられる。端子GATE_DRVに対し対象トランジスタM0のゲートが接続される。コンデンサC0は対象トランジスタM0のゲートとグランドとの間に挿入される。尚、コンデンサC0は削除され得る。以下、対象トランジスタM0のゲート電圧(ゲートの電位)を、記号“VGATE”にて参照する。
【0032】
対象トランジスタM0のゲート電圧VGATEがハイレベルであるとき、対象トランジスタM0はオン状態となり、負荷駆動電圧Va(例えば5V)から対象トランジスタM0での電圧降下(例えば数10ミリボルト)を差し引いた電圧VDDが負荷装置LDに加わる。即ち、負荷駆動電圧Vaに基づく電力が対象トランジスタM0を介して負荷装置LDに供給され、負荷装置LDは負荷駆動電圧Va(換言すれば電圧VDD)に基づいて駆動する。対象トランジスタM0のゲート電圧VGATEにおけるハイレベルは、実質的に電源電圧VCC1(例えば10V)のレベルと一致しており、負荷駆動電圧Vaと対象トランジスタM0のゲート閾値電圧との和よりも、電源電圧VCC1の方が高い。
【0033】
対象トランジスタM0のゲート電圧VGATEがローレベルであるとき、対象トランジスタM0はオフ状態となり、負荷駆動電圧Vaに基づく電力の負荷装置LDへの供給は遮断される(換言すれば負荷駆動電圧Vaは負荷装置LDに供給されない)。対象トランジスタM0のゲート電圧VGATEにおけるローレベルは、実質的にグランドのレベルと一致する。
【0034】
ドライブ装置1の内部構成について説明する。ドライブ装置1は、1ショットパルス生成回路10、電流供給回路20、電圧保持回路30及びオフ用回路40を備えると共に、外部端子として端子GATE_DRVを備える。
【0035】
電流供給回路20は、ドライブトランジスタとしてのトランジスタM1と、前段回路60と、を備える。前段回路60は、プリドライブトランジスタとしてのトランジスタM2と、トランジスタM3、M4及びM7と、定電流源61と、スイッチ62と、インバータ回路63と、を備える。電圧保持回路30は、電圧保持トランジスタとしてのトランジスタM5と、NAND回路31と、を備える。オフ用回路40は、オフ用トランジスタとしてのトランジスタM6と、インバータ回路41と、備える。
図1の例では、トランジスタM1、M2及びM5がPチャネル型のMOSFETとして構成され、トランジスタM3、M4、M6及びM7がNチャネル型のMOSFETとして構成されている。
【0036】
1ショットパルス生成回路10は、第1制御信号である制御信号GATE_ONに基づいて第2制御信号DRV_ONを生成する。第2制御信号DRV_ONは、所定時間t
PLSだけハイレベルとなる1ショットパルス信号である。
図2に第1及び第2制御信号の関係を示す。第1制御信号及び第2制御信号は、夫々に、ハイレベル及びローレベルの何れかの信号レベルをとるデジタル信号である。
【0037】
第1制御信号GATE_ONは、対象トランジスタM0がオン状態となるべきオン制御区間を設定及び指定する信号であり、ここでは、第1制御信号GATE_ONがハイレベルであるときに第1制御信号GATE_ONがアクティブ(アサート状態)になるものとする。換言すれば、オン制御区間において第1制御信号GATE_ONはアクティブとなり、第1制御信号GATE_ONのハイレベル区間がオン制御区間に相当する。ローレベルの第1制御信号GATE_ONはノンアクティブ(ネゲート状態)であり、第1制御信号GATE_ONのローレベル区間は、対象トランジスタM0がオフ状態となるべきオフ制御区間に相当する。第1制御信号GATE_ONは、上述のオン制御区間及びオフ制御区間を設定及び指定する信号であると解することができる。
【0038】
1ショットパルス生成回路10は第2制御信号DRV_ONを原則としてローレベルとする。但し、1ショットパルス生成回路10は、第1制御信号GATE_ONにアップエッジが生じると、第1制御信号GATE_ONのアップエッジに同期して第2制御信号DRV_ONにもアップエッジを生じさせ、第2制御信号DRV_ONを所定時間tPLSだけハイレベルに保った後、第2制御信号DRV_ONにダウンエッジを生じさせる。
【0039】
第2制御信号DRV_ONは、トランジスタM1を通じ対象トランジスタM0をオンさせるための電流を対象トランジスタM0のゲートに供給することを制御する信号である。そして、第1制御信号GATE_ONと同様、第2制御信号DRV_ONにおいてもハイレベルに対しアクティブの状態(アサート状態)が割り当てられている。このため、第2制御信号DRV_ONは、オン制御区間の開始から所定時間tPLSだけアクティブとなる制御信号(パルス信号)であると言える。後述の説明から明らかとなるように、第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間にてトランジスタM1を通じ対象トランジスタM0をオンさせるための電流が対象トランジスタM0のゲートに供給され、その電流は第2制御信号DRV_ONのローレベル区間では供給されない。
【0040】
第2制御信号DRV_ONのパルス幅に相当する所定時間tPLSの長さは、1つのオン制御区間の長さより随分と短い。例えば、1つのオン制御区間の長さは数ミリ秒以上であって、数秒~数100秒以上となることもある。これに対し、所定時間tPLSの長さは数マイクロ秒又はサブマイクロ秒オーダーである。勿論、これらの数値は一例に過ぎない。
【0041】
第1制御信号GATE_ONに基づき上述の特性を有する第2制御信号DRV_ONを生成できる限り、1ショットパルス生成回路10の構成は任意である。例えば、所定周波数を有するクロック信号に同期して動作するロジック回路を用い、第1制御信号GATE_ONのアップエッジに同期して、所定クロック分だけハイレベルとなるデジタル信号を第2制御信号DRV_ONとして生成することができる。或いは、アナログ回路にて第2制御信号DRV_ONを生成しても良い。
【0042】
図1を再度参照し、ドライブ装置1における、1ショットパルス生成回路10以外の回路構成の接続関係を説明する。
【0043】
電源電圧VCC1の印加端(電源電圧VCC1が印加される端子)に対し、トランジスタM1、M2及びM5のソースが共通接続される。トランジスタM1、M5及びM6の各ドレインは端子GATE_DRVに共通接続される(即ち、対象トランジスタM0のゲートに共通接続される)。トランジスタM6のソースはグランドに接続される。
【0044】
トランジスタM1のゲートと、トランジスタM2のゲート及びドレインと、トランジスタM3のドレインは、互いに共通接続される。トランジスタM3のゲートと、トランジスタM4のゲート及びドレインと、トランジスタM7のドレインは、互いに共通接続される。トランジスタM3、M4及びM7の各ソースはグランドに接続される。電源電圧VCC2の印加端(電源電圧VCC2が印加される端子)とスイッチ62の一端との間に定電流源61が挿入される。スイッチ62の他端はトランジスタM4のドレインに接続される。
【0045】
インバータ回路63の入力端に第2制御信号DRV_ONが供給され、インバータ回路63の出力端はトランジスタM7のゲートに接続される。また、スイッチ62は第2制御信号DRV_ONによって状態が制御される。インバータ回路41の入力端に第1制御信号GATE_ONが供給され、インバータ回路41の出力端はトランジスタM6のゲートに接続される。NAND回路31には第1制御信号GATE_ON及び第2制御信号DRV_ONが入力され、NAND回路31の出力端はトランジスタM5のゲートに接続される。
【0046】
トランジスタM1及びM2によりカレントミラー回路CM1が構成される。カレントミラー回路CM1の電流の入力側にトランジスタM2が配置され、カレントミラー回路CM1の電流の出力側にトランジスタM1が配置される。トランジスタM3及びM4によりカレントミラー回路CM2が構成される。カレントミラー回路CM2の電流の入力側にトランジスタM4が配置され、カレントミラー回路CM2の電流の出力側にトランジスタM3が配置される。トランジスタM2及びM3は互いに直列接続される。
【0047】
トランジスタM4を介して流れる電流(詳細にはトランジスタM4のドレイン及びソース間に流れる電流)を電流I1と称する。トランジスタM2及びM3を介して流れる電流(詳細にはトランジスタM2及びM3の夫々のドレイン及びソース間に流れる電流)を電流I2と称する。トランジスタM1を介して流れる電流(詳細にはトランジスタM1のドレイン及びソース間に流れる電流)を電流I3と称する。
【0048】
ドライブ装置1の動作を説明する。スイッチ62は、第2制御信号DRV_ONがハイレベルであるときにオン状態となり、第2制御信号DRV_ONがローレベルであるときにオフ状態となる。インバータ回路63は第2制御信号DRV_ONの反転信号をトランジスタM7のゲートに供給する。このため、トランジスタM7は、第2制御信号DRV_ONがハイレベルであるときにオフ状態となり、第2制御信号DRV_ONがローレベルであるときにオン状態となる。
【0049】
定電流源61は一定の電流値を有する定電流ICONSTを発生させる。第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間では、スイッチ62がオン状態となることで、定電流源61で発生した定電流ICONSTが電流I1としてトランジスタM4のドレイン及びソース間に流れる。第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間において、トランジスタM4に電流I1(ICONST)が流れるため、電流I1に比例した電流I2(従って定電流ICONSTに比例した電流I2)がトランジスタM2及びM3に流れ、更に、その電流I2に比例した電流I3(従って定電流ICONSTに比例した電流I3)がトランジスタM1に流れる。
【0050】
ここでは、トランジスタM3及びM4間のソース面積比の調整並びにトランジスタM1及びM2間のソース面積比の調整を通じ、電流I2は電流I1の16倍に設定され且つ電流I3は電流I2の35倍に設定されているものとする。故に例えば、第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間において、電流I1が0.625μAであれば、電流I2、I3は、夫々、10μA、350μAとなる。勿論、これらの数値は様々に変形可能である。尚、
図1の回路構成から理解されるよう、第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間であっても、端子GATE_DRVの電圧が電源電圧VCC1に達した後には、電流I3は流れない。
【0051】
第2制御信号DRV_ONのローレベル区間では、スイッチ62がオフ状態となるため、定電流源61による定電流はトランジスタM4に流れず(即ち“I1=0”となる)、故に、電流I2及びI3も流れない。また、第2制御信号DRV_ONのローレベル区間では、トランジスタM7がオン状態となることでトランジスタM3及びM4の夫々のゲート-ソース間がトランジスタM7により短絡される。
【0052】
NAND回路31は、第1制御信号GATE_ONと第2制御信号DRV_ONの反転信号との否定論理積信号をトランジスタM5のゲートに供給することで、信号GATE_ONがハイレベル且つ信号DRV_ONがローレベルとなる区間においてのみトランジスタM5をオン状態とする。故に、信号GATE_ONがローレベルであるときにはトランジスタM5はオフ状態とされ、信号DRV_ONがハイレベルであるときにもトランジスタM5はオフ状態とされる。
【0053】
インバータ回路41は、第1制御信号GATE_ONの反転信号をトランジスタM6のゲートに供給することで、第1制御信号GATE_ONのローレベル区間においてトランジスタM6をオン状態とし、第1制御信号GATE_ONのハイレベル区間においてトランジスタM6をオフ状態とする。
【0054】
図3はドライブ装置1のタイミングチャートである。
図3のタイミングチャートを参照して、ドライブ装置1の動作を更に詳細に説明する。時間の進行につれて、タイミングT
1、T
2、T
3、T
4が、この順番で訪れるものとする。タイミングT
1より前では、信号GATE_ON及びDRV_ONが共にローレベルに維持されている。故に、タイミングT
1より前では、スイッチ62のオフ及びトランジスタM7のオンにより“I1=I2=I3=0”であり、トランジスタM5のオフ及びトランジスタM6のオンにより“V
GATE=0”とされて対象トランジスタM0はオフである。
【0055】
タイミングT1にて第1制御信号GATE_ONがローレベルからハイレベルに切り替わる。そうすると、第2制御信号DRV_ONもタイミングT1にてローレベルからハイレベルに切り替わる。タイミングT1から所定時間tPLSだけ後のタイミングT3にて、第2制御信号DRV_ONのレベルはハイレベルからローレベルに戻り、以後、第1制御信号GATE_ONに再びアップエッジが生じるまでローレベルに維持される。
【0056】
タイミングT
1及びT
3間では、トランジスタM5~M7が全てオフである。そして、第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間であるタイミングT
1及びT
3間では、トランジスタM4に電流I1(I
CONST)が流れるため、電流I1に比例した電流I2(従って定電流I
CONSTに比例した電流I2)がトランジスタM2及びM3に流れ、更に、その電流I2に比例した電流I3(従って定電流I
CONSTに比例した電流I3)がトランジスタM1に流れる。但し、上述したように、第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間であっても、端子GATE_DRVの電圧(即ちゲート電圧V
GATE)が電源電圧VCC1に達した後には、電流I3は流れない。
図3の例では、タイミングT
1より後のタイミングT
2にてゲート電圧V
GATEが電源電圧VCC1に達することが想定されている。
【0057】
より詳細に述べると、電流I1及びI2はタイミングT1及びT3間において継続的に流れる。電流I3については、タイミングT1から流れ始めるが、この電流I3によりタイミングT1を起点にゲート電圧VGATEが0Vから単調増加してタイミングT2にて電源電圧VCC1に達すると、電流I3の流れは止まる。電流I3によりタイミングT3までにゲート電圧VGATEが電源電圧VCC1に達するよう、所定時間tPLS、又は、電流I1~I3の値が設計されている。タイミングT3以後は、第1制御信号GATE_ONに再びアップエッジが生じるまで電流I1~I3は流れない。
【0058】
ゲート電圧VGATEが0Vから電源電圧VCC1に向けて増大する過程でトランジスタM0がターンオンする。タイミングT3にてトランジスタM5がターンオンすることで、ゲート電圧VGATEが電源電圧VCC1のレベルにて固定される。このため、タイミングT1及びT2間で対象トランジスタM0がターンオンした後は、後述のタイミングT4に至るまで対象トランジスタM0がオン状態に維持される。また、タイミングT3にてトランジスタM7がターンオンするため、トランンジスタM3及びM4のゲート-ソース間電圧がタイミングT3にて即座に0Vに向けて低下してトランンジスタM3及びM4がターンオフする。このため、タイミングT3を境に電流I1及びI2が即座にゼロへと減少する。
【0059】
タイミングT4において、第1制御信号GATE_ONがハイレベルからローレベルに切り替わる。これを受けて、タイミングT4において、トランジスタM5がターンオフし且つトランジスタM6がターンオンする。トランジスタM6がターンオンすることで、対象トランジスタM0のゲート電荷がトランジスタM6を通じて速やかにグランドに向けて引き抜かれ、ゲート電圧VGATEが速やかに0Vに向けて低下することで対象トランジスタM0がターンオフする。
【0060】
図9の参考構成に係るドライブ装置901との対比において、本実施形態に係るドライブ装置1では、対象トランジスタM0のゲートへの電流供給により対象トランジスタM0がターンオンした後、電流I1及びI2(
図9では電流Ia及びIb)が遮断される(即ち、“I1=I2=0”とされる)。故に、その分だけ、電力消費が低減される。所定時間t
PLSを十分に短いとして無視すれば、各オン制御区間において、実質的に“(VCC2×I1)+(VCC1×I2)”分の電力消費が低減されることになり、極めて有益である。特に後述されるよう、ドライブ装置を複数チャネル分備えた構成においては、消費電力の低減効果が顕著となる。
【0061】
尚、対象トランジスタM0のゲート電圧VGATEを急峻に立ち上げると、その急峻な電圧変化に伴って発生するノイズが他の回路動作に悪影響を及ぼすことがある。また、ゲート電圧VGATEを急峻に立ち上げるとゲート電圧VGATEにオーバーシュートが発生しやすくなり、対象トランジスタM0のゲート耐圧を超えるようなオーバーシュートが発生すると、対象トランジスタM0が破壊するおそれもある。これらの事情から、ドライブ装置1では、対象トランジスタM0をターンオンさせる際に、一定の電流I3を対象トランジスタM0のゲートに供給してゲート電圧VGATEを緩やかに上昇させるスルーレート制御を実行している。
【0062】
ドライブ装置1において、対象トランジスタM0をターンオフさせる際には、トランジスタM6のターンオンにより即座にゲート電圧V
GATEを0Vへと低下させているが、対象トランジスタM0をターンオフさせる際にもスルーレート制御を実行するようにしても良い。即ち例えば、ドライブ装置1において、第1制御信号GATE_ONのダウンエッジタイミングを起点としてゲート電圧V
GATEが0Vとなるまで対象トランジスタM0のゲートからグランドに向け一定の電流を流す回路を、
図1のオフ用回路40の代わりに設けておいても良い。
【0063】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態並びに後述の第3及び第4実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2~第4実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2~第4実施形態にも適用される。第2実施形態の記載を解釈するにあたり、第1及び第2実施形態間で矛盾する事項については第2実施形態の記載が優先されて良い(後述の第3及び第4実施形態についても同様)。矛盾の無い限り、第1~第4実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
【0064】
図4は本発明の第2実施形態に係る電子機器用の半導体回路システムSYSの概略全体構成図である。
図5に示す如く半導体回路システムSYSは電子機器EEに搭載される。
図6に電子機器EEの外観の一例を示す。
図6に示される電子機器EEはノート型のパーソナルコンピュータであるが、半導体回路システムSYSが搭載される電子機器EEの種類は任意である。例えば、電子機器EEは、スマートホンやタブレットのような情報端末、ゲーム機器、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カーナビゲーションシステムやドライブレコーダ等の車載機器であって良い。
【0065】
図4の半導体回路システムSYSは、半導体装置100を備えると共に、対象トランジスタM0及びコンデンサC0の組をnチャネル分備える。ここで、nは2以上の整数である。半導体装置100は、n個のドライブ装置1を備えると共に、各ドライブ装置1に対して制御信号GATE_ONを供給する制御回路2と、各ドライブ装置1に対して電源電圧VCC1及びVCC2を供給する電源回路3と、を備える。電源回路3は制御回路2の電源電圧も生成する。n個のドライブ装置1は、nチャネル分のドライブ装置1であり、第1~第nチャネルのドライブ装置1と称されることもある。
【0066】
制御回路2は、例えば、半導体装置100に外部接続された上位制御回路(不図示)からの信号に基づいて、各ドライブ装置1に対する制御信号GATE_ONを生成する。半導体装置100に含まれるnチャネル分のドライブ装置1に対するnチャネル分の制御信号GATE_ONは、互いに異なりうる。即ち例えば、第1チャネルのドライブ装置1に対する制御信号GATE_ONのハイレベル区間と、第2チャネルのドライブ装置1に対する制御信号GATE_ONのハイレベル区間とは異なりうる(但し一致することもある)。
【0067】
電源回路3は、例えば、電子機器EEに搭載されたバッテリの出力電圧に基づき、或いは、図示されないACアダプタの出力電圧に基づき、電源電圧VCC1及びVCC2を含む各電源電圧を生成する。
【0068】
第1~第nチャネルのドライブ装置1の夫々に対し、個別に端子GATE_DRVが設けられる。第1チャネルのドライブ装置1に接続される端子GATE_DRVに対し、第1チャネルに対応する対象トランジスタM0及びコンデンサC0が接続され、第2チャネルのドライブ装置1に接続される端子GATE_DRVに対し、第2チャネルに対応する対象トランジスタM0及びコンデンサC0が接続される。他のチャネルについても同様である。各チャネルにおいて、端子GATE_DRV、対象トランジスタM0、コンデンサC0及び負荷装置LDの接続関係は、第1実施形態で述べたものと同じである。
【0069】
nチャネル分のドライブ装置1は、制御回路2からのnチャネル分の制御信号GATE_ONに基づき、nチャネル分の対象トランジスタM0を個別にオン、オフすることができる。負荷装置LDは、電子機器EEを構成する任意のハードウェアであり、例えば、表示装置、ハードディスクの駆動用モータ、スピーカ、ロジック回路、半導体集積回路である。異なるチャネル間で負荷装置LDの種類は異なりうる。
【0070】
図7に半導体装置100の外観を示す。半導体装置100は、半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品である。半導体装置100の筐体に複数の外部端子が露出して設けられており、その複数の外部端子には、n個の端子GATE_DRV(即ちnチャネル分の端子GATE_DRV)が含まれる。この他、電源電圧VCC1及びVCC2の元となる電圧を受けるための電圧入力端子や、上位制御回路との通信を行うための通信用端子などが、上記複数の外部端子に含まれる。尚、
図7に示される半導体装置100の外部端子の数及び半導体装置100の外観は例示に過ぎず、半導体装置100の筐体の種類は任意である。
【0071】
尚、第2実施形態では、ドライブ装置1を複数チャネル分備えた半導体装置100を上述したが、ドライブ装置1を1チャネル分だけ備えた半導体装置100を構成することも可能である(即ちn=1とすることも可能である)。
【0072】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。
図1に示した前段回路60は、
図8のように表すこともできる。
図8の前段回路60は、プリドライブトランジスタとしてのトランジスタM2と、定電流源66と、から成る。定電流源66は、トランジスタM2とグランドとの間に挿入され、第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間においてのみ一定の電流I2をトランジスタM2に供給する(即ちトランジスタM2のドレイン及びソース間に流す)。定電流源66は第2制御信号DRV_ONのローレベル区間において電流I2を流さないように構成されている。故に、第2制御信号DRV_ONのローレベル区間において、“I2=0”であり、結果、“I3=0”となる。
【0073】
図1に示される定電流源61、スイッチ62、トランジスタM3、M4及びM7、並びに、インバータ回路63から成るブロックは、定電流源66の構成例であり、上述の定電流源66の機能が実現される限り、定電流源66の構成は任意である。
【0074】
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態では、幾つかの応用技術、変形技術等を説明すると共に、第1~第3実施形態にて具体化された本発明について考察する。
【0075】
ドライブ装置1の各回路素子は半導体集積回路の形態で形成され、当該半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで、ドライブ装置1が構成される。但し、複数のディスクリート部品を用いて、ドライブ装置1内の回路と同等の回路を構成するようにしても良い。ドライブ装置1内に含まれるものとして上述した幾つかの回路素子は、ドライブ装置1外に設けられてドライブ装置1に外付け接続されても良い。同様に、半導体装置100の各回路素子は半導体集積回路の形態で形成され、当該半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで、半導体装置100が構成される。但し、複数のディスクリート部品を用いて、半導体装置100内の回路と同等の回路を構成するようにしても良い。半導体装置100内に含まれるものとして上述した幾つかの回路素子は、半導体装置100外に設けられて半導体装置100に外付け接続されても良い。
【0076】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。
【0077】
各実施形態に示されたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示であり、Nチャネル型のFETがPチャネル型のFETに変更されるように、或いは、Pチャネル型のFETがNチャネル型のFETに変更されるように、FETを含む回路の構成は変形され得る。
【0078】
例えば、対象トランジスタM0はPチャネル型のMOSFETであっても良い。但し、この場合には、オン制御区間及びオフ制御区間における対象トランジスタM0のゲート電圧VGATEの高低関係や電流I3の向きなどが第1実施形態で示したものと逆になる。即ち、対象トランジスタM0をPチャネル型のMOSFETとする場合、第1制御信号GATE_ONのローレベル区間において対象トランジスタM0のゲート電圧VGATEを十分に高くして対象トランジスタM0をオフ状態とし、電流制御回路20は、第2制御信号DRV_ONのハイレベル区間においてゲート電圧VGATEが低下する向きに電流I3を流すことで対象トランジスタM0をターンオンさせ、電圧保持回路30は、信号GATE_ONがハイレベル且つ信号DRV_ONがローレベルとなる区間においてゲート電圧VGATEをグランド電位に保つことで対象トランジスタM0をオン状態に維持することになる。
【0079】
上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0080】
但し、上述の対象トランジスタM0は、MOSFETを含むFET又はIGBTなどの電圧制御型のトランジスタであると良い。電圧制御型トランジスタは、ゲート-ソース間電圧に応じてドレイン-ソース間が導通状態又は非導通状態に制御される(換言すればドレイン-ソース間に流れる電流が制御される)トランジスタである、或いは、ゲート-エミッタ間電圧に応じてコレクタ-エミッタ間が導通状態又は非導通状態に制御される(換言すればコレクタ-エミッタ間に流れる電流が制御される)トランジスタである。
【0081】
本発明の一側面に係るドライブ装置Wは、対象トランジスタ(M0)の制御電極の電圧を制御することで前記対象トランジスタの状態を制御するドライブ装置(1)において、前記対象トランジスタがオン状態となるべきオン制御区間においてアクティブとなる第1制御信号(GATE_ON)に基づき、前記オン制御区間の開始から所定時間だけアクティブとなる第2制御信号(DRV_ON)を生成する信号生成回路(10)と、前段回路(60)及び前記対象トランジスタの制御電極に接続されるドライブトランジスタ(M1)を有し、前記第2制御信号がアクティブとなる区間において、前記前段回路に所定の電流を流すことを通じ前記ドライブトランジスタにてドライブ電流(I3)を発生させ前記ドライブ電流を前記対象トランジスタの制御電極に供給することで前記対象トランジスタをターンオンさせる電流供給回路(20)と、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記オン制御区間の終了まで、前記対象トランジスタの制御電極の電圧を、前記対象トランジスタをオン状態とするための電圧(VCC1)に保つ電圧保持回路(30)と、を備え、前記電流供給回路は、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記前段回路における前記所定の電流を遮断することを特徴とする。
【0082】
図1の半導体装置1において、1ショットパルス生成回路10は前記信号生成回路の例である。前記前段回路における前記所定の電流を遮断するとは、前記前段回路において前記所定の電流の流れを遮断(停止)することを指す。
【0083】
具体的には例えば、前記ドライブ装置Wにおいて、前記電流供給回路は、カレントミラー回路(CM1)を有し、前記カレントミラー回路の入力側に前記前段回路を構成するプリドライブトランジスタ(M2)が配置され、前記カレントミラー回路の出力側に前記ドライブトランジスタ(M1)が配置され、前記電流供給回路は、前記第2制御信号がアクティブとなる区間において、前記プリドライブトランジスタにプリドライブ電流(I2)を流すことを通じ前記ドライブトランジスタにて前記ドライブ電流(I3)を発生させ、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記プリドライブ電流を遮断すると良い。
【0084】
或いは具体的には例えば、前記ドライブ装置Wにおいて、前記電流供給回路は、第1カレントミラー回路(CM1)及び第2カレントミラー回路(CM2)を有し、前記第1カレントミラー回路の出力側に前記ドライブトランジスタ(M1)が配置され、前記前段回路は、前記第2カレントミラー回路の入力側及び出力側に配置される第1トランジスタ(M4)及び第2トランジスタ(M3)と、前記第1カレントミラー回路の入力側に配置されるプリドライブトランジスタ(M2)と、を有し、前記第2トランジスタと前記プリドライブトランジスタは互いに直列接続され、前記電流供給回路は、前記第2制御信号がアクティブとなる区間において、前記第1トランジスタに所定の定電流(I1=ICONST)を流すことで前記プリドライブトランジスタにて前記定電流に比例するプリドライブ電流(I2)を発生させ、これによって前記ドライブトランジスタにて前記ドライブ電流を発生させ、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記定電流を遮断し、これによって前記プリドライブ電流も遮断しても良い。
【0085】
前記定電流の遮断とは、前記定電流の流れの遮断を意味し、詳細には、前記第1トランジスタに対する前記定電流の供給を遮断することを意味する。前記プリドライブ電流の遮断とは、前記プリドライブ電流の流れの遮断を意味し、詳細には、前記プリドライブトランジスタに対する前記プリドライブ電流の供給を遮断することを意味する。
図1の半導体装置1において、電流I2はプリドライブ電流の例であり、電流I3はドライブ電流の例である。
【0086】
また例えば、前記ドライブ装置Wにおいて、前記電圧保持回路(30)は、所定電圧(VCC1)の印加端と前記対象トランジスタの制御電極との間に挿入された電圧保持トランジスタ(M5)を有して、前記第1制御信号及び前記第2制御信号に基づき、前記第2制御信号がアクティブとなる区間の後、前記オン制御区間の終了まで、前記電圧保持トランジスタをオン状態とし、前記電圧保持トランジスタがオン状態となることで前記所定電圧が前記対象トランジスタの制御電極に加わるとき、前記対象トランジスタはオン状態となると良い。
【0087】
そして例えば、第2所定電圧の印加端と前記対象トランジスタの制御電極との間に挿入されたオフ用トランジスタ(M6)を有するオフ用回路(40)を更に備え、前記第1制御信号により前記オン制御区間と前記対象トランジスタがオフ状態となるべきオフ制御区間とが設定され、前記オフ用回路は、前記オフ制御区間において前記オフ用トランジスタをオン状態とし、前記オフ用トランジスタがオン状態となることで前記第2所定電圧が前記対象トランジスタの制御電極に加わるとき、前記対象トランジスタはオフ状態となると良い。
【0088】
図1の半導体装置1においては、グランドの電圧(即ち0V)が前記第2所定電圧に相当するが、前記第2所定電圧はグランドの電圧と異なる電圧(例えば、グランドの電圧よりも若干高い電圧、又は、負の電圧)であっても構わない。
【0089】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 ドライブ装置
2 制御回路
3 電源回路
10 1ショットパルス生成回路
20 電流供給回路
30 電圧保持回路
40 オフ用回路
60 前段回路
100 半導体装置
M0 対象トランジスタ
M1 トランジスタ(ドライブトランジスタ)
M2 トランジスタ(プリトランジスタ)
M5 トランジスタ(電圧保持トランジスタ)
M6 トランジスタ(オフ用トランジスタ)
GATE_ON 制御信号(第1制御信号)
DRV_ON 制御信号(第2制御信号)