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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】シートへの転写方法、及び転写装置
(51)【国際特許分類】
   B44C 1/17 20060101AFI20231016BHJP
   B05C 1/02 20060101ALI20231016BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B44C1/17 E
B05C1/02 102
B05C13/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019187498
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2020093530
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2018230546
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516188940
【氏名又は名称】杉山 洋治
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】杉山 洋治
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-280211(JP,A)
【文献】特開2014-124941(JP,A)
【文献】特開2017-226159(JP,A)
【文献】特開2018-118452(JP,A)
【文献】特開2010-221403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 1/16-1/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体シートに第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布した後、紫外線を照射することなく前記第一紫外線硬化型樹脂塗料を乾燥し、積層された前記基体シートの各々に対し、ステンレス版上に第二紫外線硬化型樹脂塗料を塗布し、前記第二紫外線硬化型樹脂塗料上に、予め鏡面加工、マット加工、ホログラム加工の何れかを施し、紫外線を照射することで前記第二紫外線硬化型樹脂塗料を硬化して作成した転写用基体を用いて、転写する転写方法であって、
前記第一紫外線硬化型樹脂塗料が乾燥した状態の前記基体シートの端部を搬送ロール上に設けられた爪部に掴んだ状態で支持、搬送する工程と、
前記転写用基体が固定された転写用ロールを、前記第一紫外線硬化型樹脂塗料が伸縮する温度まで加熱した状態で、前記搬送ロールに圧接し、前記転写用基体を前記基体シートに密着させることで、前記第二紫外線硬化型樹脂塗料上に施された前記鏡面加工、マット加工、ホログラム加工の何れかが、前記第一紫外線硬化型樹脂塗料に圧接され、転写される工程と、
前記基体シートを前記転写用ロールから剥がす工程と、
前記基体シートを前記転写用ロールから剥がした後、前記転写による凹凸が形成された前記第一紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して硬化させる工程と、を含む、
ことを特徴とする転写方法。
【請求項2】
前記基体シート上の前記第一紫外線硬化型樹脂塗料を予め加熱しておいた状態で、前記転写用ロールと密着させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の転写方法。
【請求項3】
前記第一紫外線硬化型樹脂塗料は、前記基体シートの全面に塗布されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写方法。
【請求項4】
請求項1に記載の転写方法を実施するための転写装置であって、
前記基体シート上に前記第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する機構と、
前記搬送ロール上に設けた前記爪部に、前記第一紫外線硬化型樹脂塗料が塗布された前記基体シートの端部を掴んだ状態で支持、搬送する機構と、
前記爪部の位置を感知し、前記転写用基体が固定された前記転写用ロールを、前記搬送ロールに圧接させる機構と、
前記転写用ロールを前記第一紫外線硬化型樹脂塗料が伸縮する温度まで加熱する機構と、
前記転写用ロールから前記基体シートを剥がす機構と、
前記第一紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射する機構と、を備える、
ことを特徴とする転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の印刷物等の基体シートの同じ位置に同じ模様や柄などを転写することができるシートへの転写方法、及び転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の印刷物に対し、その表面または裏面あるいは両面に鏡面加工やマット加工やホログラム加工などによる模様や柄などを施す方法として、外周面に鏡面加工やマット加工やホログラム加工などの模様や柄を施したロールを圧接させることにより、ロール表面の模様や柄を転写させる方式が既に知られている。
この転写方法は、いわば彫刻ロールや金属板などで作成された版を用いるものであり、エッチング版やマスター版といわれる転写版の作成といった一連の作製工程に膨大なコストと時間がかかるものであった。
【0003】
そこで、近年、ロール自体に鏡面加工やマット加工やホログラム加工などの模様や柄を施す代わりに、熱可塑性樹脂塗料や紫外線硬化型樹脂塗料などの鏡面加工やマット加工やホログラム加工などの模様や柄を表層に形成したフィルム(長尺形態)を使用する方法が見出された。すなわちフィルムをロールの外周面に巻き付け、あらかじめ被転写面に熱可塑性樹脂塗料や紫外線硬化型樹脂塗料などを塗布し、乾燥あるいは未硬化の状態で、搬送ロールまたは搬送ベルト上の被転写物の塗布面にフィルムの模様や柄の転写を施したい面を圧接しながら加熱、あるいは紫外線を照射したのち、フィルムを巻き取り、あるいは循環させるなどの方法で印刷物から引きはがした簡易的な転写を施す方法が見出された。この方法は、フィルム(長尺形態)を版(転写用フィルム)として用いるため、ロールの外周面に巻き付けるフィルム(長尺形態)を交換するだけで、ロール形態(長尺形態)または枚葉シート(枚葉形態)の印刷物に容易に別の模様や柄などを転写する加工を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5103457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のような、ロール形態(長尺形態)で転写加工を施した印刷物の状態で各種の印刷や紙面加工を経てロール形態(長尺形態)のまま完成品となることは殆どなく、通常は、各種の印刷や紙面加工または完成品において枚葉シート(枚葉形態)に断裁されて使用されることが多く、フィルムの表面に形成した模様や柄の寸法や位置の問題から枚葉シート(枚葉形態)毎に正確に所定の位置に所定の模様や柄などを転写することは困難であった。
【0006】
なお、ロール形態(長尺形態)は、前述のとおり連続的にフィルム(長尺形態)を圧接する転写加工の後にフィルムの巻き方向に形成された単独の、または複数の連続模様や柄ごとの開始地点と終了地点の寸法に合わせて規則的に枚葉シート(枚葉形態)に断裁すれば、枚葉シート毎に正確に同じ位置に同じ模様や柄が形成されることになる。また、フィルムの表面に模様や柄を専用に作製することで、各種の印刷や紙面加工または完成品の寸法と一致した所定の位置に所定の模様や柄などが転写された枚葉シート(枚葉形態)を得られることが可能である。
【0007】
しかし、前述のように、転写加工を施したロール形態(長尺形態)のままで各種の印刷や表面加工または完成品において行うことは殆どなく、また、要望する枚葉シートの寸法と一致した専用の模様や柄を作製することは、膨大なコストと時間を要する。このため、通常は、あらかじめフィルムメーカーがフィルムの表面に単独の、または複数の連続模様や柄を加工した市販のフィルムを利用して、上述したような転写加工を施すことが多く、この前述のようなフィルム(長尺形態)を使用して転写加工を施したロール形態(長尺形態)を所定の位置に所定の模様や柄になるように前述のような手段で断裁した枚葉シートは、希望する各種の印刷や紙面加工または完成品の寸法に対して、必要な寸法よりも小さい、あるいは大き過ぎて余白部分といわれる使用できない箇所が出てしまう場合があった。このことからコストを意識すると、フィルムの模様や柄に対しての各種の印刷や紙面加工または完成品の必要な寸法に制約を受けてしまう。
さらに、前述のいずれの方法で枚葉シートに断裁したのちに、各種の印刷や紙面加工または完成品までの各工程間の位置合わせの統一基準となる直角断裁と呼ばれる加工を施す必要があり、この加工時点で、枚葉シート毎の模様や柄の位置ずれを起こす危険性があった。
また、このように前述の手段で作製された枚葉シートは、工業的には使い道があまりないものであった。
さらに、枚葉シート(枚葉形態)の印刷物の転写加工の場合、前述のとおり既に各メーカーより、鏡面やマットやホログラムなどの模様や柄が施されたフィルムが市販されているが、特に、ホログラムフィルムは、海外メーカー製品が国内市場に多く流通しており、前述の転写方法あるいは各種の印刷や表面加工あいは完成品において使用している日本国内の各製紙メーカーが販売する既成の枚葉シートの寸法と一致しない場合が多く、前述のロール形態(長尺形態)と同様に希望の枚葉シート(枚葉形態)の寸法と一致した専用の模様や柄を作製することは、膨大なコストと時間を要する。
【0008】
そこで、フィルムの模様や柄の寸法に合うように既成の枚葉シートを断裁し、または特別な寸法に枚葉シートを抄紙してフィルムの模様や柄の寸法に合わせる方法を採り、さらに、センサーなどで枚葉シートとフィルムの同調をさせる転写加工を試みたものの、特にマットやホログラムなどの模様や柄は一致しない場合が多かった。
【0009】
しかし、前述のような不具合があったにもかかわらず、解決策を見出すことができず、市場などからも鏡面やマットやホログラムの単独、または複数の連続模様や柄あるいは複合模様や柄を複数の枚葉シート毎に、所定の位置に所定の模様や柄を同時に加工することが可能な解決策が強く要望されていた。
【0010】
本発明者らは、各種の印刷物等の基体シートの同じ位置に同じ模様や柄などを転写することができるシートへの転写方法を提案した(特許文献)。
この発明は、熱可塑性樹脂塗料を利用するため、フィルム転写方式で使用している紫外線硬化型樹脂塗料の硬度を得ることが出来なかった。また、これまでの伸縮性のない紫外線硬化型樹塗料では、紫外線硬化後の被膜はべたつきがないが、被膜の伸縮性がないために熱可塑性樹脂塗料と同じような転写をすることが出来ず、または紫外線を照射して硬化させなければ、未乾燥の状態でべたつきが残ってしまい紙同士を重ねて積むこともできない。さらに、熱硬化型樹脂塗料と同じような転写することが出来なかったため、紫外線硬化型樹脂塗料を使用することが出来なかった。
【0011】
そこで、本発明は、紫外線硬化型樹脂塗料を使用しても、紙同士を重ねて積むことができ、かつ、基体シート上に転写用ロールの模様や柄を転写する作業においてズレが生じることを回避できるシートへの転写方法、及びこの転写方法に使用できる転写装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る転写方法は、基体シートに第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する工程と、第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布した後、搬送ロール上に設けられた爪部に、基体シートの端部を掴んだ状態で支持、搬送する工程と、爪部の位置を感知し、予め鏡面加工、マット加工、ホログラム加工の何れかを施したフィルム又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を、外周に貼り付け固定された転写用ロールを、少なくとも第一紫外線硬化型樹脂塗料が伸縮する温度まで加熱した状態で、搬送ロールに圧接することで、基体シートに密着させる工程と、基体シートを転写用ロールから剥がす工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る転写方法は、転写用ロールには、フィルム又は形成被膜が全面又は部分的に貼り付け固定されている、或いはフィルム又は形成被膜が全面又は部分的に重ねて貼り付け固定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る転写方法は、基体シート上の第一紫外線硬化型樹脂塗料を予め加熱しておいた状態で、転写用ロールと密着させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る転写方法は、基体シートに塗布する前、又は基体シートを転写用ロールに密着させる前に、第一紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射し、第一紫外線硬化型樹脂を硬化させることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る転写方法は、基体シートを転写用ロールから剥がした後に、第一紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射し、第一紫外線硬化型樹脂を硬化させることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る転写装置は、基体シート上に第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する機構と、搬送ロール上に設けた爪部に、第一紫外線硬化型樹脂塗料が塗布された基体シートの端部を掴んだ状態で支持、搬送する機構と、搬送ロールの爪部の位置を感知し、予め鏡面加工、マット加工、ホログラム加工の何れかを施したフィルム又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を、外周に貼り付け固定された転写用ロールを、搬送ロールに圧接させる機構と、転写用ロールを、少なくとも第一紫外線硬化型樹脂塗料が伸縮する温度まで加熱する機構と、転写用ロールから基体シートを剥がす機構と、基体シートを冷却する機構と、第一紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射する機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るシートの転写方法は、搬送ロール上に設けた爪部に、基体シートの端部を掴んだ状態で支持、搬送するため、圧接する箇所への正確な搬送が実施され、爪部を感知して転写用ロールの回転駆動を同調させることにより、各種の印刷物等の基体シートの同じ位置に同じ模様や柄などを転写することができる。また、必要に応じて凹凸柄を形成することもできるため、例えば、多面付けの印刷シートであっても、所定の位置に所定の模様や柄が正確に転写されるため、極めて歩留まりがよい加工を行うことができる。
さらに、使用する転写用ロールは、その外周に、鏡面加工、マット加工、ホログラム加工の何れかを施した転写用フィルム又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を、貼り付け固定したものであるため、貼り付ける転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を適宜変更することにより、異なる加工にも速やかに対応することができる。
【0019】
本発明に係るシートの転写方法は、転写用ロールが、鏡面加工、マット加工、ホログラム加工の何れかを施した転写用フィルム又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を、全面又は部分的に貼り付け固定するか、全面又は部分的に重ねて貼り付け固定している場合には、転写用フィルムや第二紫外線硬化型樹脂塗料形成被膜の厚みの分だけ段差が形成され、この段差が凸凹形状の型押しとなるため、模様や柄などを形成する転写加工により鏡面、マット、ホログラムが転写される上に凹凸柄や模様を形成することができる。
【0020】
本発明に係るシートの転写方法は、基体シートに塗布する前、又は基体シートを転写用ロールに密着させる前に、第一紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射し、第一紫外線硬化型樹脂を硬化させる。そうすると、硬化又は乾燥した第一紫外線硬化型樹脂塗料を予め加熱された状態で、転写用ロールと密着される。そのため、転写用ロールを支持する熱ロールに通常必要とされる温度よりも低い温度で、転写することができる。
【0021】
本発明に係る転写方法は、基体シートを転写用ロールから剥がした後に、第一紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射し、第一紫外線硬化型樹脂を硬化させる。例えば、基体シートに転写後の第一紫外線硬化型樹脂塗料に、再び紫外線を照射することで、より硬度を高くすることができる。
【0022】
本発明に係るシートの転写装置は、基体シートに第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布後、硬化する、乾燥する何れかまたは全部の機構と、搬送ロール上に設けた爪部による支持、搬送する機構と、転写用ロールを圧接させる機構と、転写用ロールを加熱する機構と、転写用ロールから基体シートを剥がす機構と、基体シートを冷却する機構と、紫外線を照射して硬化させる機構、から構成されるため多くが公知の汎用機構をそのまま流用することができ、コストをかけることなく、容易に転写加工を実施できる。
【0023】
本発明のシートの転写方法、転写装置により製造された製品は、基体シートとして各種印刷物や各種フィルムシートを適用でき、その表面装飾加工として各種の鏡面加工、マット加工、ホログラム加工、エンボス加工を施すことができ、さらに、第一紫外線硬化型樹脂塗料の硬度を得られ産業上の広範囲の利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態における搬送ロール上における基体シートの状態を示す側断面図であり、基体シートが爪部に掴まれる直前の状態を示す側断面図である。
図2】本発明の実施形態における搬送ロール上における基体シートの状態を示す側断面図であり、基体シートが爪部に掴まれた状態を示す側断面図である。
図3】本発明の実施形態における搬送ロール上における基体シートの状態を示す側断面図であり、基体シートが爪部に掴まれて転写用ロールに圧接される状態を示す側断面図である。
図4】本発明の実施形態における搬送ロール上における基体シートの状態を示す側断面図であり、基体シートが爪部から開放された状態を示す側断面図である。
図5】本発明の実施形態における搬送ロール上における基体シートの状態を示す側断面図であり、開放された基体シートが支持ロールに移って配送される状態を示す側断面図である。
図6】本発明の一実施例である転写方法を連続的に示す第1番目の模式図である。
図7】本発明の一実施例である転写方法を連続的に示す第2番目の模式図である。
図8】本発明の一実施例である転写方法を連続的に示す第3番目の模式図である。
図9】本発明の一実施例である転写方法を連続的に示す第4番目の模式図である。
図10】本発明の一実施例である転写方法を連続的に示す第5番目の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態に係るの転写方法は、基体シートに第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する前、又は塗布した後に、硬化、乾燥の何れか、又は、硬化及び乾燥を行う工程(工程A)と、搬送ロール上に設けた爪部に、第一紫外線硬化型樹脂塗料が塗布された基体シートの端部を掴んだ状態で支持、搬送する工程(工程B)と、搬送ロールの爪部の位置を感知し、予め鏡面加工、マット加工、又はホログラム加工を施した、フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を外周に貼り付け固定した転写用ロールを、少なくとも第一紫外線硬化型樹脂塗料が伸縮する温度まで加熱した状態で、搬送ロールに圧接させる工程(工程C)と、基体シートを転写用ロールから剥がすと共に冷却する工程(工程D)と、基体シートの転写面上に紫外線を照射する工程(工程E)とを含むものである。
なお、基体シートに塗布する紫外線硬化型樹脂塗料を「第一紫外線硬化型樹脂塗料」、転写用ロールの外周に貼り付けられる形成被膜の紫外線硬化型樹脂塗料を「第二紫外線硬化型樹脂塗料」、第一紫外線硬化型樹脂塗料と第二紫外線硬化型樹脂塗料を併せて、「紫外線硬化型樹脂塗料」とする。
【0026】
本実施形態に係る転写装置は、基体シートに第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する前、又は塗布した後に、硬化、乾燥の何れか、又は硬化及び乾燥する機構(機構a)と、搬送ロール上に設けた爪部に、第一紫外線硬化型樹脂塗料が塗布された基体シートの端部を掴んだ状態で支持、搬送する機構(機構b)と、搬送ロールの爪部の位置を感知し、予め鏡面加工、マット加工、又はホログラム加工の何れかを施したフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を外周に貼り付け固定した転写用ロールを、搬送ロールに圧接させる機構(機構c1)と、転写用ロールを第一紫外線硬化型樹脂塗料が伸縮する温度まで加熱する機構(機構c2)と、転写用ロールから基体シートを剥がす機構(機構d1)と、基体シートを冷却する機構(機構d2)と、基体シートの被転写面(第一紫外線硬化型樹脂塗料)に紫外線を照射して硬化させる機構(機構e)を含むものである。
【0027】
次に、工程Aから工程Eについて、説明する。
まず、工程Aでは、基体シートに第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する。この第一紫外線硬化型樹脂塗料は、塗布した後、艶、マット、ホログラムの何れかが転写できるものが望ましい。紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して硬化させるための紫外線波長領域は、紫外線波長200~380nmの領域が望ましく、水銀方式やLED方式でも硬化方法に適当な紫外線硬化型樹脂塗料が望ましい。
【0028】
積算光量は、使用する紫外線硬化型樹脂塗料に硬化させるのに適当な積算光量に調整すればよい。または、基体シートに塗布後紫外線を照射して硬化させることなく乾燥する第一紫外線硬化型樹脂塗料に転写した後、紫外線を照射することで紫外線を照射することなく乾燥させたとき以上の硬度を得られることのできるものが望ましい。紫外線を照射前は太陽光や室内の蛍光灯などの生活上の紫外線に反応して硬化しないものが望ましい。
基体シートとは、紙、合成紙、非木材紙、フィルムの何れか一種から選ばれる基材を対象とするものであって、その表面に各種の印刷を施したものを適用でき、一枚のシートに多面の印刷面を形成した多面付け印刷シートでもよい。
【0029】
紫外線硬化型樹脂塗料とは、紫外線硬化型樹脂をバインダとして、基体シートに塗布して紫外線を照射して硬化した後、硬化せず乾燥した後、又は、硬化及び乾燥した後は、べたつきがなく積層しても塗布した基体シート同士を汚すことなく、転写が可能な伸縮性を有するものを指す。その他、基体シートに塗布後紫外線を照射して硬化させることなく硬化、乾燥した後はべたつきがなく、積層しても基体シート同士を汚すことなく、転写が可能な伸縮性があり、艶、マット、ホログラムの何れかを転写した後、必要であれば転写した被転写面に紫外線を照射して硬化させることにより、紫外線を照射することなく、乾燥した以上の硬度を得る各種の塗料(インキ)も紫外線硬化型樹脂に含まれる。
既に各種塗料(インキ)メーカーより多種の塗料(インキ)が販売されているので、それを用いてもよい。また基体シートに塗布後、硬化する、乾燥する何れかまたは全部の紫外線硬化型樹脂塗料に熱可塑性樹脂塗料などを混合しても良い。
【0030】
そして、この工程Aを実施する機構a、すなわち基本シートに、第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布する機構としては、公知の印刷機(塗工機)を用いて行えばよく、ほぼ全面に塗布するベタ印刷でも、部分的に印刷するポイント印刷でもよく、例えば多面付けシートであれば、各印刷面にそれぞれ塗布するようにしてもよい。塗布後は、硬化、乾燥の何れか、又は硬化及び乾燥をすることで、べたつきのない、伸縮性のある第一紫外線硬化型樹脂塗料を形成することが出来る。このときの第一紫外線硬化型樹脂塗料は、べたつきのない伸縮性のある転写が可能な状態である。乾燥装置として公知の紫外線、赤外線、風力などを利用した、硬化、乾燥の何れか、又は硬化及び乾燥に適当な装置を用いて行う。
【0031】
基体シートは、第一紫外線硬化型樹脂塗料が塗布されていればよく、第一紫外線樹脂塗料の上に印刷があっても良い(例:アルミ銀インキ、4色インキ)し、第一紫外線硬化型樹脂塗料の上に蒸着層があっても良い。
また、基体シートの前後の長さは転写用ロールと搬送ロールの爪部を除いた外周面以内で、基体シートの幅は転写用ロールと搬送ロールに収まる長さであればよく、基体シート繰り出しベルトコンベアと排紙部は転写用ロールと搬送ロールにタイミングを合わせて確実に繰り出すための適当サイズに合わせるのが望ましい。
さらに、基体シートの厚みは、適当に搬送ロールに繰り出され、きれいに巻き付く柔軟性のある厚みが望ましい。
【0032】
次に、工程Bでは、搬送ロール上に設けた爪部に、工程Aにて第一紫外線硬化型樹脂塗料が塗布された基体シートの端部を掴んだ状態で支持、搬送する。
そして、基体シート上に、基体シートを掻き出しロールを押し付けて送り出す従来の方式では微妙なズレを生じ、基体シートの厚みのギャップやスリップなどによっても、基体シートがロール間に挟み込まれる時に位置が微妙にズレるが、この工程Bでは、搬送ロール上に設けた爪部に基体シートの前端を掴んで搬送するため、ズレを生ずることがなく、搬送ロールの爪部の位置が基体シートの前端と一致する。
そして、この工程Bを実施する機構b、すなわち搬送ロール上に設けた爪部に、工程Aにて塗布した後、硬化、乾燥させた第一紫外線硬化型樹脂塗料が塗布された基体シートの端部を掴んだ状態で支持、搬送する機構としては、後述する実施例にて用いた特定の印刷機(塗工機)を用いて行えばよい。
【0033】
続いて、工程Cでは、搬送ロールの爪部の位置を感知し、予め鏡面加工やマット加工やホログラム加工などの何れかを施したフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を外周に貼り付け固定した転写用ロールを、少なくとも第一紫外線硬化型樹脂塗料が伸縮する温度まで加熱した状態で、搬送ロールに圧接させる。その結果、転写用ロールのフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料に基体シート上の第一紫外線硬化型樹脂塗料の塗布層に圧接させる。
転写用ロールは、既に予め用意されたものであり、公知の方法にて製造した鏡面フィルム、マットフィルム、ホログラムフィルムなどをロール(転写用ロールとなる熱ロール)の外周全面又は部分的に貼り付け固定して用いることができる。その際、適宜選択した1種又は複数種類のフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を1つの転写用ロールに貼り付け固定してもよく、例えば、ある部分には鏡面加工を施したフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を、別のある部分にはマット加工を施したフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を、さらに別のある部分にはホログラム加工を施したフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を貼り付け固定して転写用ロールとしてもよい。転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜としては、転写しようとする模様や柄(鏡面やマットやホログラムなど)が紫外線硬化型樹脂で形成されているフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料を使用することが望ましく、耐熱温度160℃、8時間(160℃の温度で8時間の連続作業で問題が生じない)を確認している。
【0034】
そして、工程Bにて説明したように、爪部の位置が基体シートの前端と一致するので、この爪部の位置を感知して転写用ロールの回転駆動を同調させることにより、基体シートの所定の位置に所定の模様や柄の転写を施したい位置に対して、転写用ロール上の基体シートの所定の位置に所定の模様や柄の転写加工をする転写用フィルムと凸凹状に一体状に密着させることができる。こうして加熱した転写用ロールを基体シートに塗布後硬化、乾燥させた第一紫外線硬化型樹脂塗料の塗布層に密着させると、塗布層が伸縮して転写用ロールの表面形状に一体状に密着する。
【0035】
この工程Cを実施する機構c1、すなわち搬送ロールの爪部の位置を感知し、転写用ロールを搬送ロールに圧接させる機構としては、後述する実施例にて用いた特定の印刷機(塗工機)を用いて行えばよい。
【0036】
また、転写用ロールに貼り付ける転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜は、転写する際に印刷済みの基体シートのインキや基体シートに塗布後、硬化、乾燥、又は硬化及び乾燥した第一紫外線硬化型樹脂塗料が転写用フィルムに転移することを防止するために、表面に転写効果を損なわない厚みの蒸着層や塗料層を設けても良い。
【0037】
さらに、転写用フィルム、又は第の紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜は、前述のようにロール(転写用ロールとなる熱ロール)の外周全面に貼り付け固定しても、部分的に貼り付け固定してもよい。部分的に貼り付け固定する場合、幾何学的又は模様や柄状に切り抜いたフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を、または切り抜いた残りのフィルム、第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜(くり抜き形状のフィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜)を貼り付け固定しても良い。あるいは、転写用ロールの外周面に転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を全面に、または部分的に貼り付け固定した後、貼り付け固定した転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜に部分的に切り込みを形成し、転写用ロールの外周面から引き剥がして、転写用ロールの外周面に必要な部分だけを残しても良い。前述のいずれか手段を用いた転写用ロールの外周面に貼り付け固定されている転写用フィルムによって、基体シート上には凹凸が形成される。すなわち転写用ロールに貼り付け固定された切り抜き形状の転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜の厚さ分の段差が形成され、切り抜き転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜が基体シート上には凹形状となり、転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜の縁部に接する下層が凸形状となる転写加工を形成することができる。同様に、くり抜き形状の転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜は、基体シート上には、くり抜き部分が凸形状となり、転写用ロールの外周面に貼り付け固定されている残り部分が凹形状となる転写加工を形成することができる。
また、転写用ロールは、転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜の転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を積層させることによっても転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜の積層厚み分だけ段差を形成するため、基体シート上に凸凹形状の転写模様や柄の転写加工に利用するようにしてもよい。
【0038】
転写フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜の固定方法は、特に限定するものではなく、接着剤、粘着剤などで良く、例えば接着剤として、耐熱性に優れた紫外線硬化型樹脂を用いてもよい。また転写用ロールの外円周面に収まるように万力を装着できるように転写用ロールを加工して万力などで固定しても良く、金属製やプラスチック製などからできたベース板に貼り付けたのち、万力で装着しても良い。
【0039】
このように、転写用ロールとして、各種の鏡面、マット、ホログラムなどの転写用フィルム、又は第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜を貼り付け固定して所望の模様や柄などを転写することができる上に、転写用フィルムを全面、又は部分的に貼り付け固定するか、あるいは、全面又は部分的に重ねて貼り付け固定することにより、凸凹形状の転写模様や柄も同時に形成することができる。
【0040】
さらに、転写用ロールは、温度調整可能な加熱機構を備えるものであればその具体的構成を限定するものではなく、熱媒を循環する等の外付けの加熱装置により加熱されるものでも、加熱機構を内蔵するものでも良く、例えばハードクロムメッキ仕上げ品などの金属メッキ光沢ロールを好適に用いることができる。あるいは転写用ロール外から加熱装置にて加熱用ロールの表面を加熱するようにしてもよい。この転写用ロールの加熱方法は、蒸気や電気、オイルなどが考えられるが、特に限定するものではない。
加熱温度は、使用する紫外線硬化型樹脂塗料の特性によって異なり、少なくとも第一紫外線硬化型樹脂塗料が伸縮する温度に加熱しておけばよい。
【0041】
さらに、工程Dでは、転写用ロールから剥がすと共に、基体シートを冷却することにより、基体シート上の所望の位置に所望の模様や柄が転写された製品を得る。
この工程Dを実施する機構d1、すなわち転写用ロールから基体シートを剥がす機構としては、それぞれ既に市販されている公知の装置機構を用いて行えばよい。例えば、機構d1としては、それ以上の転写用ロールへの密着を阻害する邪魔板などを用いて行うようにしてもよい。また、機構d2、すなわち基体シートを冷却する機構としては、冷風を吹き付ける方法があるが、転写用ロールから剥がした直後に冷風を吹き付けるロールを配して冷却することが望ましく、冷却ゾーンを通過させて積層体を冷却するようにしてもよい。
【0042】
工程Eを実施する機構e、すなわち基体シートに凹凸柄が転写された被転写面に紫外線を照射する機構としては、それぞれ既に市販されている公知の装置機構を用いて行えばよい。工程Dを実施する機構d2、すなわち基体シートの冷却ゾーンに紫外線照射装置を設置してもよい。または、繰り出し機構と集積機構を備えた紫外線照射機構でもよい。水銀やLED方式など紫外線硬化型樹脂塗料が硬化する機構を適当に選択すればよい。
【0043】
さらに、工程Bから工程Eについて図1から図5を用いて以下に補足する。なお、これらの図1から図5には、基体シートに第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布後、硬化等する工程Aや基体シートを冷却する機構d2、紫外線を照射する機構eについては記載していない。
【0044】
まず、搬送ロール1は、通常は、ゴムでできたブランケットなどが巻き付けてあるが、転写用フィルム(PPラミネート紙などの表面硬度のあるものやアルミ蒸着を施した面をホログラム面にしたPPラミネート紙)の固さに必要に応じてプラスチックなどの材質に変えてもよい。また、部分的に表面に凸凹形状が形成されていても良い。
転写用ロール2は、熱ロールの外周面に予め製造した転写用フィルム(ホログラムフィルム)を星形等の模様形状にくり抜き、複数箇所に貼り付け固定したものを用いた。また、意図的に転写用フィルムの一部を重ね合わせて貼り付け固定した。この転写用ロール2と搬送ロール1はギヤチェーン3でつながれ、同速度で回転するように制御されている。
【0045】
基体シートを繰り出す方法は、搬送ロール1と送り込むためのコンベアベルト4の速度が同調していて、搬送ロールの回転軸端部に固定されている搬送ロールと同速度で回転しているカムに連動して、転写用ロールと搬送ロール間に基体シートを正確に送り込むための搬送ロールに取り付けられた爪部に繰り出すために適正な角度と適正な位置に調整した停止板の下降状態によって、停止板の基体シートの先端の接触面とコンベアベルト4上の基体シート6の先端が直線状態で接触して停止し、あるいは停止板の基体シート6の先端の接触面とコンベアベルト4上の基体シートの先端が先端直線上の2接点以上で接触して停止し、この間に前後左右の位置を決めた後、搬送ロールに取り付けられた爪部5が、基体シート6の所定の前端を所定の寸法で掴むためのタイミングを合わせる位置に回転しながら到達したとき、搬送ロール回転軸端に固定され同速度して回転しているカムの形状に連動して停止板が上昇し、ベルトコンベア上で停止していた基体シート6は、コンベアベルト4の回転力によって再び前進を始め、搬送ロールの方向に繰り出される。コンベアベルト4上の基体シートが、先端から後端に向かって停止板下方を通過したのち、停止板は、カムの形状に連動して再び下降し、基体シートの接触面とコンベアベルト4上の次の基体シート6の先端と接触して基体シートを停止させる状態になる。
【0046】
基体シート6の搬送スピードの調整は、搬送ロール1の回転速度の調整であって、転写用ロール2と同速度で回転(逆回転)するように調整され、当初基体シートは、後に適切に爪部まで送り出されるようにコンベアベルト4上に全面または、後端の部分が乗っている。なお、コンベアベルトは、表面がゴムやプラスチック樹脂素材などでできており、停止板に停止させられた基体シート6が、停止していることができる表面状態であり、停止板が上昇し再前進したときに搬送できる表面状態である。
そして、基体シート6は、コンベアベルト4上に基体シートが搬送される適当な強さで接触するように取り付けられた複数のコロの間に挟まれながらまっすぐに前進し、または、コンベアベルト4に図示しない吸引口が開いていて、コンベアベルト4に図示しない吸引装置が取り付けられ、コンベアベルト4に吸着しながら前進、搬送され、搬送ロール1の回転軸の片側端に固定され同速度で回転しているカムの形状に連動して上下運動を繰り返している下降中の停止板の基体シート先端部の接触する面に基体シート6の先端がタイミングを合わせて接触し、コンベアベルト4上をスリップしながら停止する。
【0047】
ここで、下降中の停止板の基体シートと接触する面に基体シートの先端が接触して停止するコンベアベルト4上の接触点を起点として、このコンベアベルト4上の基体シートが前進し、直線延長線上の搬送ロール1外周面との接点を終点にした長さと、基体シート6が搬送ロール1の爪部5に前端を掴まれるために必要な長さ(5~10mm程度)を足した同寸法が、基体シート6のコンベアベルト4上の基体シートが前進して直線延長線上の搬送ロール1の外周面との接点を起点として手前外周面の位置に搬送ロール1の爪部5の固定側部分が回転しながら到達したとき、搬送ロールと同回転していたカムの形状に連動して停止板が上昇する。
【0048】
この時、コンベアベルト4上でスリップしながら停止していた基体シート6は、停止板の上昇によりコンベアベルト4の推進力を得て、搬送ロール1方向に再び前進する。前進した基体シート6は、搬送ロール1の回転速度と同速度でコンベアベルト4の力によってまっすぐ前進し、コンベアベルト4上の基体シート6が前進する直線延長線上の搬送ロール1外周面との接点に爪部5がさしかかったとき、搬送ロール1と基体シート6は、同速状態で回転かつ前進状態のまま、開口状態の爪部5に基体シート6が掴まえられるために必要な長さが挿入され、搬送ロールの固定されている片側爪に接触し、回転かつ前進しながら、開閉する爪部5が取り付けられている爪部5軸の片側端に取り付けられているクラッチレバーが、枚葉シートを排紙ロール7に爪部5が到達したときに転写加工が施された基体シートを開口して排紙する位置の、本体端に取り付けられたクラッチバーにより爪部5が開口する位置まで回転し停止したままの状態で搬送ロールは回転して、爪部5に基体シート6の搬送ロール1の爪部5に前端を掴まれるために必要な長さ(5~10mm)が、挿入、接触し、回転かつ前進している基体シート6の前端を挟み込むことが可能な位置にある本体端に取り付けられているクラッチバーにクラッチレバーが接触回転し、開口状態にあった爪部5が、搬送ロール1の外円周内に収まるように閉口、格納される。
これにより基体シート6の前端が爪部5に挟み込まれ、基体シート6の爪部に挿入された前端が固定され、先端から後端に向かって搬送ロール1に巻き付きながら位置を固定される。したがって、搬送ロール1に爪部5にて位置を固定された基体シート6は、搬送ロール1の回転に伴い、転写用ロール2と搬送ロール1の接触面に前進(搬送)させられるため、ズレを生ずることなく転写加工が行われる。
【0049】
基体シート6は、搬送ロール1に巻き付きながら転写用ロール2と搬送ロール1との間を加圧及び加熱されながら通過した後、排紙ロール7に向かう。そして、排紙ロール7に爪部5が到達したとき、再びクラッチレバーがクラッチバーに接触して開口位置に回転し、爪部5が開口した位置で停止した状態のまま搬送ロール1は回転しながら基体シート6の固定は、先端から後端に向かって解かれていく。
基体シート6が移される排紙ロール7には、適宜吸着機構を内蔵させるようにしてもよく、冷却装置を備えるようにしてもよい。また、冷風を吹き付ける方式の冷却装置を転写加工(転写用ロールとの接触部分)の直後に設けるようにしてもよい。
【0050】
なお、基体シート6の左右方向の位置を定めるためには、予め模様や柄などを施したい基体シート6の位置と、転写用ロール2の位置を計測しておき、基体シート6の左右何れかの端部をガイドレールなど用いて合わせておいても良いし、停止板に停止させた後、左右位置合わせ装置を使用して、先端が停止中に合わせても良い。
また、図示していないが、必要に応じて、ベルトコンベア4上部に設けられた加温装置とコンベア4の下部に設けられた加温装置を使用することで、基体シート6表面、裏面を加熱することができる。基体シート6を加熱することで、基体シート6に(転写)模様が形成されやすくなる。また、基体シート6のカールを矯正してまっすぐにのばすことで、位置がなるべくずれないようにできる。
さらに、基体シート6が、停止位置から再前進する時には、ずれないようにガイドで抑えておいても良い。基体シート6が搬送ロール1に接触した時に、はじかれたりしないように基体シート上面をガイドで抑えても良い。基体シート6を連続的に流す時は、一般的な紙積み装置などを使用して先頭の基体シート6を最上にくるようにして下段の基体シート6をずらしながらタイミングを合わせて流しても良いし、流す基体シート6前後の紙が重ならないようなタイミングで搬送しても良い。
【0051】
前述のように予め転写用ロール2と搬送ロール1はギヤチェーン3でつながれ、同速度で回転しており、転写用ロール2と搬送ロール1の間の模様や柄などを施したい基体シート6を通過させ、転写開始前後左右位置から、基体シート6面上の望む位置にズレを生ずることなく正確に模様や柄を転写することができる。
このように転写用ロール2と搬送ロール1の加圧時と加温時に双方の外周がほぼ同径になるようにすることが望ましく、一回転したときに回転開始点が常に同位置になり、必ず転写開始から終了した後に必ず転写開始地点に戻る位置、すなわち転写ロールと搬送ロール1の開始位置と終了位置がずれないように調整する。
【0052】
このように、搬送ロール1の爪部5に掴まれ、かつ先端の位置が固定された基体シート6は、搬送ロール1の外円周に沿うように巻き付きつきながら転写用ロール2と搬送ロール1の圧接箇所間を通過しながら基体シート6先端から後端に向かって順次加圧かつ加熱されながら基体シート6が通過し、直後に図示しない冷却装置で冷却された後、爪部5による固定を開放して基体シート6を排紙ロール7に移し、この排紙ロール7により搬送する。
【0053】
排紙ロール7に運ばれた基体シート6は、排紙ロール7上に沿って排出される。また、爪部5を開口して基体シート6を放した爪部5は、開口したまま、次の基体シート6を掴みに行く。
【0054】
排出された基体シート6上の凹凸が転写された被転写面に塗布した第一紫外線硬化型樹脂塗料の転写後は、必要であれば紫外線を再び照射する。
基体シート6に転写後の第一紫外線硬化型樹脂塗料に、再び紫外線を照射することで、より硬度を高くすることができる。
また、基体シート6に塗布した後、紫外線を照射することなく硬化等した第一紫外線硬化型樹脂塗料に転写後、再び紫外線を照射することで、より硬度を高くすることができる。
【0055】
上記の実施形態では、基体シート6に第一紫外線硬化型樹脂塗料を塗布した後に、第一紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させる方法について説明したが、第一紫外線硬化型樹脂塗料を基体シート6に塗布する前に、硬化させておくこともできる。予め第一紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させた状態で、基体シート6に塗布することで、硬化又は乾燥した第一紫外線硬化型樹脂塗料が予め加熱された状態で、転写用ロールと密着される。そうすると、転写用ロールを支持する熱ロールに通常必要とされる温度よりも低い温度で、転写することができる。
【実施例
【0056】
[実施例1]
図6から図10に示した転写装置を用いて以下の製造を行った。
【0057】
[工程A]
基体シートとして、枚葉紙北越製紙社製パーフェクトW四六判26.5kgを半切に断裁した後、ビーエヌテクノロジー社製熱乾燥装置付き枚葉シートフレキソ印刷機に版深220線30μのアニロックスロールと樹脂版を使用し、25m/分の速度でトクシキ社製基体シートに塗布後紫外線を照射することなく硬化、乾燥させる第一紫外線硬化型樹脂塗料を部分塗布し、熱乾燥装置で紫外線硬化型塗料の乾燥被膜が残留固形量2g/mになった枚葉シートを用いた。
【0058】
[工程B及び工程C]
搬送ロールとして、DIN(ドイツ工業規格)5305仕様準拠であるトルーテスト社製ゴム硬度測定器でショアーA硬度78のゴムブランケットを円周に巻き付け密着させたロールを用いた。
ホログラム柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面側に東洋インキ社製紫外線硬化型塗料FDFC―150ワニスを3g/m(無希釈)塗布し、未硬化のまま、自社試作のホログラムフィルムのホログラム面を密着後硬化させた後、ホログラムフィルムを引き剥がした紫外線硬化型塗料からなるホログラム層を形成した転写用フィルムを、所定位置に星形のくりぬき部分を形成した。
マット柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面側に東洋インキ社製紫外線硬化型塗料FDFC―150ワニスを3g/m(無希釈)塗布し、未硬化のまま、フタムラ化学工業社製FOR-Mのマットフィルムのマット面を密着後硬化させた後、マットフィルムを引き剥がした紫外線硬化型塗料からなるマット層を形成した転写用フィルムを、円形状に切り抜いて用いた。
転写用ロールとして、ホログラム柄用の転写用フィルムのホログラム面と反対側の面にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量8g/mになるよう塗布し、常温の転写用ロールに貼り合わせ密着させた。
続いてマット柄用の転写用フィルムのマット面と反対側にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量8g/mになるよう塗布し、転写用ロールのホログラム転写用フィルムのホログラム面に貼り合わせ密着させた。
そして、搬送ロールから基体シートを繰り出し、60℃に加熱した転写用ロールとの間に10m/分の速度で2000N/cmの圧力で、ベルトコンベア上のヒーターで基体シートの表面温度30℃に加温しながら圧接して転写加工を行った。
【0059】
[工程D]
基体シートの表面温度50℃に冷却しながら基体シート先端より後端に向かって搬送ロールから引きはがした。
【0060】
[工程E]
基体シートの転写された面上にビーエヌテクノロジー社製紫外線照射装置付きフレキソコーター機で120W/cm20m/分の速度で紫外線を照射した。
【0061】
その結果、100枚以上の基体シートの転写加工を行ったところ、各基体シートの同じ位置に全く同じホログラム柄及びマット柄を転写することができた。詳しくは星形状の鏡面部分が所定位置に凸状転写柄に再現され、円形状のマット面部分が所定の印刷部分に重なるように凹状転写柄に再現されていた。次に、基体シートに塗布後硬化、乾燥して転写後に紫外線を照射することで紫外線を照射することなく硬化、乾燥させた以上の硬度を得た。
【0062】
[実施例2]
図6から図10に示した転写装置を用いて以下の製造を行った。
【0063】
[工程A]
基体シートとして、枚葉紙北越製紙社製パーフェクトW四六判26.5kgを半切に断裁した後、ビーエヌテクノロジー社製熱乾燥装置付き枚葉シートフレキソ印刷機に版深220線30μmのアニロックスと樹脂版を使用し、20m/分の速度で基体シートに紫外線樹脂塗料を部分塗布し、熱乾燥装置と紫外線硬化装置を使用して乾燥、硬化させた第一紫外線硬化型樹脂塗料の乾燥被膜が残留固形量1.5g/mになった枚葉シートを用いた。
【0064】
[工程B及び工程C]
搬送ロールとして、DIN(ドイツ工業規格)5305仕様準拠であるトルーテスト社製ゴム硬度測定器でショアーA硬度78のゴムブランケットを円周に巻き付け密着させたロールを用いた。
ホログラム柄用の転写用紫外線硬化型樹脂塗料(第二紫外線硬化型樹脂塗料)の形成被膜として、東洋インキ社製紫外線硬化型をステンレス板に塗布し、未硬化のまま、自社試作のホログラムフィルムのホログラム面を密着させ、星形に紫外線遮蔽をしてその上から紫外線を照射して硬化させた後、ホログラムフィルムを引き剥がし、未硬化の塗料を除去して所定位置に星形のくりぬき部分の紫外線硬化型樹脂塗料(第二紫外線硬化型樹脂塗料)の被膜を形成した。
マット柄用の転写用紫外線硬化型樹脂塗料(第二紫外線硬化型樹脂塗料)の形成被膜として、東洋インキ社製紫外線硬化型樹脂塗料を転写用版の紫外線硬化型樹脂塗料のホログラムの形成被膜の上に塗布し、未硬化のまま、フタムラ化学工業社製FOR-Mのマットフィルムのマット面を密着後円形に硬化させるために紫外線を遮蔽して硬化させた後、マットフィルムを引き剥がして未硬化塗料を除去後、円形のマット層を形成した第二紫外線硬化型樹脂塗料の被膜を形成した。
転写用ロールとして、転写用の紫外線硬化型樹脂塗料(第二紫外線硬化型樹脂塗料)の形成被膜のあるステンレス板を万力で固定した。
そして、搬送ロールから基体シートを繰り出し、65℃に加熱した転写用ロールとの間に10m/分の速度で2000N/cmの圧力で、ベルトコンベア上のヒーターで基体シートの表面温度40℃に加温しながら圧接して転写加工を行った。
【0065】
[工程D]
基体シートの表面温度50℃に冷却しながら基体シート先端より後端に向かって搬送ロールから引きはがした。
【0066】
[工程E]
基体シートに塗布後転写前に紫外線を照射することなく加熱で溶媒乾燥して転写後に紫外線を照射して硬化させる第一紫外線硬化型樹脂塗料の転写した被転写面にビーエヌテクノロジー社製紫外線照射装置付きフレキソコーター機で紫外線を120W/cm20m/分の速度で照射した。
【0067】
その結果、100枚以上の基体シートの転写加工を行ったところ、各基体シートの同じ位置に全く同じホログラム柄及びマット柄を転写することができた。詳しくは星形状の鏡面部分が所定位置に凸状転写柄に再現され、円形状のマット面部分が所定の印刷部分に重なるように凹状転写柄に再現されていた。次に、転写された基体シートに塗布後硬化、乾燥して転写後に紫外線を照射することにより紫外線を照射することなく硬化、乾燥させた以上の硬度を得た。
【0068】
[実施例3]
図6から図10に示した転写装置を用いて以下の製造を行った。
【0069】
[工程A]
基体シートとして、枚葉紙北越製紙社製パーフェクトW四六判26.5kgを半切に断裁した後、ビーエヌテクノロジー社製熱乾燥装置付き枚葉シートフレキソ印刷機に版深220線30μmのアニロックス版を使用し、15m/分の速度で基体シートに紫外線硬化型樹脂塗料(第一紫外線硬化型樹脂塗料)を部分塗布後、紫外線照射装置で硬化、乾燥させた残留固形量2.5g/mになった枚葉シートを用いた。
【0070】
[工程B及び工程C]
搬送ロールとして、DIN(ドイツ工業規格)5305仕様準拠であるトルーテスト社製ゴム硬度測定器でショアーA硬度78のゴムブランケットを円周に巻き付け密着させたロールを用いた。
ホログラム柄用の転写用紫外線硬化型樹脂塗料(第二紫外線硬化型樹脂塗料)として、東洋インキ社製紫外線硬化型スクリーンインキをステンレス版に塗布し、未硬化のままその上に自社試作の紫外線透過型透明ホログラムフィルムのエンボス面を塗料に密着させ、その上から紫外線を照射して硬化させた後、ホログラムフィルムを引き剥がした紫外線硬化型塗料(第二紫外線硬化型樹脂塗料)からなるホログラム層を形成した転写用版の所定位置に星形のくりぬき部分を形成した。
マット柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面に東洋インキ社製紫外線硬化型塗料FDFC―80ワニスを2.5g/m(無希釈)塗布し、未硬化のまま、フタムラ化学工業社製FOR-Mのマットフィルムのマット面を密着後硬化させた後、マットフィルムを引き剥がした紫外線硬化型塗料からなるマット層を形成した転写用フィルムを、円形状に切り抜いて用いた。
転写用フィルムのマット面と反対側にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量4g/mになるよう塗布し、転写用ロールのホログラムの第二紫外線硬化型樹脂塗料の形成被膜が形成された転写用版のホログラム面の上に貼り合わせた。
転写用ロールとして、ステンレス版を万力で固定した。
そして、搬送ロールから基体シートを繰り出し、70℃に加熱した転写用ロールとの間に20m/分の速度で2000N/cmの圧力で、ベルトコンベア上のヒーターで基体シートの表面温度50℃に加温しながら圧接して転写加工を行った。
【0071】
[工程D]
基体シートの表面温度60℃に冷却しながら基体シート先端より後端に向かって搬送ロールから引きはがした。
【0072】
上記の工程で行った結果、100枚以上の基体シートの転写加工を行ったところ、各基体シートの同じ位置に全くホログラム柄及びマット柄を転写することができた。詳しくは星形状の鏡面部分が所定位置に凸状転写柄に再現され、円形状のマット面部分が所定の印刷部分に重なるように凹状転写柄に再現されていた。
【0073】
[実施例4]
図6から図10に示した転写装置を用いて以下の製造を行った。
【0074】
[工程A]
基体シートとして、王子製紙社製OKトップコート110g/mを半切りに断裁したのち、東洋紡社製PETフィルムコスモシャインA4100を貼り合わせ、その上にビーエヌテクノロジー社製紫外線照射装置付き枚葉シートフレキソ印刷機にて基体シートにトクシキ社製紫外線硬化型樹脂塗料(第一紫外線硬化型樹脂塗料)を塗布して硬化、乾燥させて残留固形量1.5g/mを塗布した枚葉シートを用いた。
【0075】
[工程B及び工程C]
搬送ロールとして、DIN(ドイツ工業規格)5305仕様準拠であるトルーテスト社製ゴム硬度測定器でショアーA硬度78のゴムブランケットを円周に巻き付け密着させたロールを用いた。
ホログラム柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面側に東洋インキ製紫外線硬化型塗料FDFC―150ワニスを膜厚3g/m(無希釈)塗布し、未硬化のままその上に自社試作のホログラムフィルムのホログラム面を密着後硬化後ホログラムフィルムを引きはがした紫外線硬化型塗料からなるホログラム層を形成した転写用フィルムを、所定位置に星形のくりぬき部分を形成した。
マット柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面側に東洋インキ社製紫外線硬化型塗料FDFC―150ワニスを2.5g/m(無希釈)塗布し、未硬化のまま、フタムラ化学工業社製FOR-Mのマットフィルムのマット面を密着後硬化させた後、マットフィルムを引き剥がした紫外線硬化型塗料からなるマット層を形成した転写用フィルムを、円形状に切り抜いて用いた。
転写用ロールとして、転写用フィルムのホログラム面と反対側の面にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量9g/mになるよう塗布し、常温の転写用ロールに貼り合わせ密着固定させた。
転写用フィルムのマット面と反対側にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量9g/mになるよう塗布し、転写用ロールのホログラム転写用フィルムのホログラム面に貼り合わせ密着させた。
そして、搬送ロールから基体シートを繰り出し、75℃に加熱した転写用ロールとの間にベルトコンベア上のヒーターで枚葉シートの表面温度50℃に加温しながら圧接して転写加工を行った。
【0076】
[工程D]
基体シートの表面温度70℃に冷却しながら基体シート先端より後端に向かって搬送ロールから引きはがした。
【0077】
[工程E]
基体シートの被転写面にビーエヌテクノロジー社製紫外線照射装置付き枚葉シートフレキソ印刷機で紫外線120W/cmを28m/分の速度で照射した。
【0078】
その結果、100枚以上の基体シートの転写加工を行ったところ、各基体シートの同じ位置に全く同じホログラム柄及びマット柄を転写することができた。紫外線硬化型樹脂塗料を得ることが出来た。詳しくは星形状の鏡面部分が所定位置に凸状エンボス柄に再現され、円形状のマット面部分が所定の印刷部分に重なるように凹状エンボス柄に再現されていた。基体シートに塗布後硬化、乾燥して転写後紫外線を照射して硬化させることで塗布後硬化、乾燥させた被転写面以上の硬度を得ることが出来た。
【0079】
[実施例5]
図6から図10に示した転写装置を用いて以下の製造を行った。
【0080】
[工程A]
基体シートとして、枚葉紙北越製紙社製パーフェクトW四六判26.5kgを半切に断裁した後、ビーエヌテクノロジー社製熱乾燥装置付き枚葉シートフレキソ印刷機に版深220線30μmのアニロックス版を使用し、25m/分の速度で基体シートに塗布後転写前に紫外線を照射して硬化させる十条ケミコ社製紫外線硬化型樹脂塗料(第一紫外線硬化型樹脂塗料)FP-38にT&KTOKA社製熱可塑性樹脂塗料を1.5:1で混合した塗料を部分塗布し、転写前に塗布面に紫外線を照射して硬化させて乾燥被膜が残留固形量1.5g/mになった。次に基体シートに塗布後転写前に紫外線を照射することなく加熱で溶媒乾燥して転写後に紫外線を照射して硬化させる第一紫外線硬化型樹脂塗料を部分塗布し、加熱で溶媒乾燥して残留固形量が1.5g/mになった。さらにその上に小森社製印刷機で油性オフセット印刷した枚葉シートを用いた。
【0081】
[工程B及び工程C]
搬送ロールとして、DIN(ドイツ工業規格)5305仕様準拠であるトルーテスト社製ゴム硬度測定器でショアーA硬度78のゴムブランケットを円周に巻き付け密着させたロールを用いた。
ホログラム柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面側に東洋インキ社製紫外線硬化型塗料FDFC-80ワニスを2.5g/m(無希釈)塗布し、未硬化のままその上に自社試作のホログラムフィルムのホログラム面を密着後硬化させた後、ホログラムフィルムを引き剥がした紫外線硬化型塗料からなるホログラム層を形成した転写用フィルムを、所定位置に星形のくりぬき部分を形成した。
マット柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面側に東洋インキ社製紫外線硬化型塗料FDFC―80ワニスを2.5g/m(無希釈)塗布し、未硬化のまま、フタムラ化学工業社製FOR-Mのマットフィルムのマット面を密着後硬化させた後、マットフィルムを引き剥がした紫外線硬化型塗料からなるマット層を形成した転写用フィルムを、円形状に切り抜いて用いた。
転写用ロールとして、転写用フィルムのホログラム面と反対側の面にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量7g/mになるよう塗布し、常温の転写用ロールに貼り合わせ密着させた。
転写用フィルムのマット面と反対側にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量7g/mになるよう塗布し,転写用ロールのホログラム転写用フィルムのホログラム面に貼り合わせ密着させた。
そして、搬送ロールから基体シートを繰り出し、80℃に加熱した転写用ロールとの間に20m/分の速度で2000N/cmの圧力で、ベルトコンベア上のヒーターで基体シートの表面温度40℃に加温しながら圧接して転写加工を行った。
【0082】
[工程D]
基体シートの表面温度70℃に冷却しながら基体シート先端より後端に向かって搬送ロールから引きはがした。
【0083】
[工程E]
基体シートの基体シートに塗布後転写前に紫外線を照射する第一紫外線硬化型樹脂塗料の既転写面上にビーエヌテクノロジー社製紫外線照射装置付き枚葉シートフレキソ印刷機で紫外線を120W/cmで28m/分の速度で照射した。
その結果、100枚以上の基体シートの転写加工を行ったところ、各基体シートの同じ位置に全く同じホログラム柄及びマット柄を転写することができた。詳しくは星形状の鏡面部分が所定位置に凸状エンボス柄に再現され、円形状のマット面部分が所定の印刷部分に重なるように凹状エンボス柄に再現されていた。基体シートに塗布後硬化、乾燥して転写後に紫外線を照射することにより基体シートに塗布した後硬化、乾燥した被転写面以上の硬度を得た。
【0084】
[比較例1]
搬送ロール上に爪部が形成されない以外は、前述の装置とほぼ同様の転写装置を用いて以下の製造を行った。
【0085】
[工程A]
基体シートとして、枚葉紙北越製紙社製パーフェクトW四六判26.5kgを半切に断裁した後、ビーエヌテクノロジー社製枚葉シートフレキソ印刷機に版深220線30μmのアニロックスロールを使用し、20m/分の速度でトクシキ社製紫外線硬化型樹脂塗料(第一紫外線硬化型樹脂塗料)を部分塗布し、硬化、乾燥後残留固形量1.5g/mになった枚葉シートを用いた。
【0086】
[工程B及び工程C]
搬送ロールとして、DIN(ドイツ工業規格)5305仕様準拠であるトルーテスト社製ゴム硬度測定器でショアーA硬度78のゴムブランケットを円周に巻き付け密着させたロールを用いた。
ホログラム柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面側に東洋インキ社製紫外線硬化型塗料FDFC―150ワニスを膜厚3g/m(無希釈)塗布し、未硬化のままその上に自社試作のホログラムフィルムのホログラム面を密着後硬化後、ホログラムフィルムを引きはがした紫外線硬化型塗料からなるホログラム層を形成した転写用フィルムを、所定位置に星形のくりぬき部分を形成した。
マット柄用の転写用フィルムとして、東レ社製PETフィルムP025番フィルム厚12μmの易接着面側に東洋インキ社製紫外線硬化型塗料FDFC―150ワニスを3g/m(無希釈)塗布し、未硬化のまま、フタムラ化学工業社製FOR-Mのマットフィルムのマット面を密着後硬化させた後、マットフィルムを引き剥がした紫外線硬化型塗料からなるマット層を形成した転写用フィルムを、円形状に切り抜いて用いた。
転写用ロールとして、転写用フィルムのホログラム面と反対側の面にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量8g/mになるよう塗布し、常温の転写用ロールに貼り合わせて密着させた。
転写用フィルムのマット面と反対側にコニシ社製ボンドG17を乾燥後残留固形量8g/mになるよう塗布し、転写用ロールのホログラム転写用フィルムのホログラム面に貼り合わせ密着させた。
そして、搬送ロールから基体シートを繰り出し、80℃に加熱した転写用ロールとの間に10m/分の速度で2000N/cmの圧力で、ベルトコンベア上のヒーターで基体シートの表面温度50℃に加温しながら圧接して転写加工を行った。
【0087】
[工程D]
基体シートの表面温度60℃に冷却しながら基体シート先端部より後端部に向かって搬送ロールから引きはがした。
【0088】
その結果、基体シートの搬送のタイミングが少しずつ異なるため、一見同じような位置に見えても比較すると、全く異なる位置にホログラム模様や柄が転写されてしまった。また、エンボス柄についても異なる位置に形成されてしまった。
【0089】
[比較例2]
搬送ロール上に爪部が形成されない以外は、前述の装置とほぼ同様の装置を用いて以下の製造を行った。
【0090】
[工程A]
基体シートとして、枚葉紙北越製紙社製パーフェクトW四六判26.5kgを半切に断裁した後、ビーエヌテクノロジー社製枚葉シートフレキソ印刷機に版深220線30μmのアニロックスロールを使用し、20m/分の速度で基体シートに東洋インキ社製紫外線硬化型樹脂塗料(第一紫外線硬化型樹脂塗料)FDPCA80を2.5g/mになるように塗布し紫外線を照射せずに未硬化状態の枚葉シートを用いた。
熱乾燥で溶媒乾燥を試みたが、乾燥することができず、べたつきがあるため積層することが出来ず、転写することさえできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
基体シートとして各種印刷物や各種フィルムシートを適用し、その表面装飾加工として各種の鏡面加工、マット加工、又はホログラム加工、或いはエンボス加工を施すことにより、例えば雑誌等を含む各種書籍類(カバー、帯、表紙、見返し、内容頁(本文)頁、サック、付録などを含む)、各種カード類(玩具、ゲームを含む)、各種文房具類(クリアファイル、下敷きなど)、各種証券類(商品券、株券、債券、保険証券、手形帳、小切手帳など)、各種POP材、各種包装製品、傘布類などの極めて多くの製品として広範囲の利用が期待される。なお、ほんの一部のみを例示したが、これらに限定するものではなく、各種印刷物や各種フィルムシートを組み立て半製品とする各種製品に適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 搬送ロール
2 転写用ロール
3 ギアチェーン
4 コンベアベルト
5 爪部
6 基体シート
7 排紙ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10