(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/10 20060101AFI20231016BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B65D33/10
B65D33/38
(21)【出願番号】P 2019189095
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】大竹 洋平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 実智昭
(72)【発明者】
【氏名】竹内 順子
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149437(JP,A)
【文献】特開2015-113128(JP,A)
【文献】特開2015-009856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0119676(US,A1)
【文献】特開2011-235965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋本体に注ぎ口部が形成可能にされた包装袋であって、
袋本体の外面に取手用シートが接合されて設けられ、内容物が充填された開封前の該袋本体における幅方向中央を通って上下方向に延びる中心軸を挟んで注ぎ口部に対する反対側の外面に前記取手用シートが設けられ、
前記取手用シートは、袋本体の外面に接合された状態で、該袋本体の外面との間に手指を挿入し得る差し込み部を形成し、
前記取手用シートは、相対する2つの外辺部のそれぞれに沿う2個の接合部を備えるとともに、それらの2つの外辺部に交差する少なくとも1つの他の外辺部に沿う他の接合部を備え、それらの相対する2個の接合部と他の接合部のそれぞれが袋本体の外面に接合され、
それらの全ての接合部に沿う非接合部により空洞状差し込み部が形成され、
前記取手用シートは、前記他の接合部を備える前記他の外辺部に沿う一部を小非接合部とし、
袋本体の外面に接合された状態で、小非接合部が該袋本体の外面との間に少なくとも1本の指を挿入し得る孔状差し込み部を形成する包装袋。
【請求項2】
前記取手用シートは、相対する2つの外辺部のそれぞれに沿う2個の接合部を備えるとともに、それらの2つの外辺部に交差する少なくとも1つの他の外辺部に沿う他の接合部を備え、それらの相対する2個の接合部と他の接合部のそれぞれが袋本体の外面に接合され、
それらの全ての接合部に沿う非接合部により空洞状差し込み部が形成され、
前記取手用シートは、全ての接合部に沿う非接合部の内部に、前記他の接合部に沿うスリットを設け、このスリットを空洞状差し込み部への手指の挿入口とする請求項
1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記取手用シートは、袋本体の長手方向に沿った長手状をなす請求項1
又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記注ぎ口部が袋本体における中心軸上にはない請求項1乃至
3のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓シート等からなる包装袋は、袋本体の柔軟性に優れるため、内容物が増加するに伴い、内容物を注ぎ出すときの把持性が低下する。従来の包装袋では、そのような把持性を向上するため、袋本体に取手を設けることとしている。
【0003】
特許文献1に記載の包装袋は、袋本体において、内容物を保護する表裏シートのシール部を広く取り、このシール部に取手孔を切開し、使用者の手指を取手孔に通して袋本体を把持可能にしている。
【0004】
特許文献2に記載の包装袋は、袋本体において、内容物を保護する表裏シートの内面の一部に内容物を保護する内装シートを重ね合わせ、内装シートが接合された表裏シートに開口を設け、使用者の手指を開口に通して袋本体を把持可能にしている。
【0005】
特許文献3、4に記載の包装袋は、袋本体における中心軸上に取手を設けるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-134626号公報
【文献】特開2015-113128号公報
【文献】特許3516031号公報
【文献】特開平10-53257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の包装袋では、内容物を保護する表裏シートのシール部を広く取ることから、高機能シート材料の使用量が多くなり、高価になる。
【0008】
特許文献2に記載の包装袋では、内容物を保護する表裏シートに同じく内容物を保護する内装シートを重ね合わせることから、高機能シート材料の使用量が多くなるし、製袋工程が複雑になり、高価になる。
【0009】
特許文献3、4に記載の包装袋は、袋本体における中心軸上に取手を設けているため、取手を持ち上げたときに柔軟な袋本体がその幅方向で無秩序に変形し易く、注ぎ口を一定の方向に定め難く、内容物の注ぎ出し性を損なうおそれがある。
【0010】
本発明の課題は、包装袋において、内容物を注ぎ出し易くする取手を簡易に設けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、袋本体に注ぎ口部が形成可能にされた包装袋であって、袋本体の外面に取手用シートが接合されて設けられ、内容物が充填された開封前の該袋本体における幅方向中央を通って上下方向に延びる中心軸を挟んで注ぎ口部に対する反対側の外面に前記取手用シートが設けられ、前記取手用シートは、袋本体の外面に接合された状態で、該袋本体の外面との間に手指を挿入し得る差し込み部を形成し、前記取手用シートは、相対する2つの外辺部のそれぞれに沿う2個の接合部を備えるとともに、それらの2つの外辺部に交差する少なくとも1つの他の外辺部に沿う他の接合部を備え、それらの相対する2個の接合部と他の接合部のそれぞれが袋本体の外面に接合され、それらの全ての接合部に沿う非接合部により空洞状差し込み部が形成され、前記取手用シートは、前記他の接合部を備える前記他の外辺部に沿う一部を小非接合部とし、袋本体の外面に接合された状態で、小非接合部が該袋本体の外面との間に少なくとも1本の指を挿入し得る孔状差し込み部を形成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、包装袋において、内容物を注ぎ出し易くする取手を簡易に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は
比較例1の包装袋を示す模式正面図である。
【
図2】
図2は取手用シートを示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【
図3】
図3は
比較例1の包装袋の使用状態を示す模式図である。
【
図4】
図4は
実施例1の包装袋を示す模式正面図である。
【
図5】
図5は取手用シートを示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【
図6】
図6は
実施例1の包装袋の使用状態を示す模式図である。
【
図7】
図7は
実施例2の包装袋を示す模式正面図である。
【
図8】
図8は取手用シートを示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【
図9】
図9は
実施例3の包装袋を示す模式正面図である。
【
図10】
図10は取手用シートを示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(
比較例1)(
図1乃至
図3)
図1に示した包装袋10は、例えば、柔軟性を有する可撓袋(パウチ)であり、液体洗剤等を内容物とする。但し、内容物は、粉粒体等の固形物、ゲル状等の半固形物であっても良い。
【0015】
包装袋10は、本比較例では、表面シート11、裏面シート12、底ガゼットシート13を備えた袋本体10Aによりスタンディングパウチを構成する(尚、「表」と「裏」は便宜的な記載にすぎない)。但し、袋本体10Aは、表面シート及び裏面シートのみを備えたピロー袋、サイドガゼットシートを備えたサイドガゼット袋、1枚のシートで形成されたピロー袋、他の形態からなるものでも良い。
【0016】
包装袋10の袋本体10Aでは、表面シート11と裏面シート12の間に底ガゼットシート13が挿入され、この状態で各シート11、12、13の外縁部同士が接合された上縁シール部14、下縁シール部15、両側サイドシール部16(16A、16B)が形成される。包装袋10の袋本体10Aは、表面シート11と裏面シート12が接合された上縁シール部14の一端側を斜め状にした斜め部17とされ、この斜め部17に注ぎ口部18を有する。
【0017】
本比較例において、注ぎ口部18は、斜め部17に取付けられたスパウト18Aと、スパウト18Aに被着されたキャップ18Bとで構成される。スパウト18Aは、表面シート11と裏面シート12の間に挟着され、上縁シール部14によりそれらのシート11、12に接合される。
【0018】
包装袋10の袋本体10Aは、注ぎ口部18が設けられる側を上部とし、底ガゼットシート13が設けられる側を下部とし、表面シート11及び裏面シート12の面に沿って上下方向に直交する方向を横方向というものとし、本比較例においては、横方向よりも上下方向に長い。
【0019】
尚、袋本体10Aを構成する各シートは、通常、耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性、バリア性等の内容物を保護し得る樹脂フィルム等の各種シート材料から構成できる。
【0020】
包装袋10は、
図1に示す如く、袋本体10Aの外面、本
比較例では表面シート11又は裏面シート12の外面に取手用シート20が接合されて設けられる。取手用シート20は、使用前の待機段階にある包装袋10の袋本体10Aにおいて、内容物が充填された開封前の当該袋本体10Aにおける幅方向中央を通って上下方向に延びる中心軸Lを挟んで注ぎ口部18に対する反対側の外面に設けられる。尚、本
比較例では、取手用シート20を袋本体10の片面に貼っているが、両面に貼っても良い。
【0021】
ここで、本比較例では、包装袋10が、袋本体10Aによりスタンディングパウチを構成しており、使用前段階では、底ガゼットシート13が設けられる下部を作業台等に載置された正立状態で待機される。使用者はこの正立状態で待機段階にある包装袋10に設けられている取手用シート20が形成する取手20Aを手指でつかんで袋本体10Aを傾け、その内容物を該袋本体10Aが有する注ぎ口部18から容器1等に供給可能にするものとされている。
【0022】
即ち、取手用シート20は、袋本体10Aの外面に接合された状態で、該袋本体10Aの外面との間に手指を挿入し得る差し込み部20Bを形成するものとされる。取手用シート20において、空洞状差し込み部20Bを形成する部分が取手20Aとして用いられるものになる。
【0023】
取手用シート20は、具体的には、袋本体10Aの長手方向に沿って長い矩形状をなすものとされ、相対する2つの短尺状外辺部21、22及び相対する長尺状外辺部23、24を有する。そして、取手用シート20は、袋本体10Aにおいて注ぎ口部18に対する反対側に位置する一方のサイドシール部16Aに沿う外面に設けられ、2つの長尺状外辺部23、24のうちの一方の長尺状外辺部23を上記サイドシール部16Aにより近い側に配置するものとしている。
【0024】
取手用シート20は、
図2に示す如く、該取手用シート20の裏面において2つの短尺状外辺部21、22のそれぞれに沿う2個の接合部21A、22Aを備え、それらの2個の接合部21A、22Aのそれぞれが袋本体10Aにおいて上述の中心軸Lを挟んで注ぎ口部18に対する反対側の外面(袋本体10Aの一方のサイドシール部16Aに沿う外面)に接合され、それらの2個の接合部21A、22Aに挟まれて袋本体10Aの外面に接合されることのない非接合部25により上述の空洞状差し込み部20Bが形成される。
【0025】
即ち、取手用シート20において、袋本体10Aの外面に接合される部分は接着剤Kが塗布された接合部21A、22Aとされる。他方、袋本体10Aの外面との間に手指を挿入し得る空洞状差し込み部20Bを形成する部分は、粘着剤が当初から塗布されない、又は接合部21A、22Aとなる部分と一緒に塗布された粘着剤が働かなくなるように糊殺し処理された非接合部25とすることで、上記空洞状差し込み部20Bを形成して取手20Aを設けることができる。
【0026】
尚、取手用シート20は、接着剤を用いる以外に、ヒートシール、超音波等により接合されても良い。
【0027】
本比較例では、袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート20が右手用とされ、袋本体10Aの裏面シート12に接合された取手用シート20が左手用とされる。
【0028】
従って、使用者は、例えば右手用の取手用シート20を用いるとき、
図3に示す如く、正立状態で待機段階にある包装袋10の袋本体10Aに設けた注ぎ口部18のキャップ18Bを取り外した後、右手の親指と他の4本指のそれぞれとで袋本体10Aの表裏シート11、12を外方からつかみ、他の4本指の指先を袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート20が形成している空洞状差し込み部20Bに挿入する。このとき、使用者は、上記他の4本指の各指先をU字状に折り曲げ、それらの指先を上記取手用シート20において空洞状差し込み部20Bを形成している2つの長尺状外辺部23、24のうち、上述の一方のサイドシール部16Aから遠い側の長尺状外辺部24の側から該空洞状差し込み部20Bに挿入し、該取手用シート20の裏面側から該長尺状外辺部24の近辺にそれらの指先を引っ掛けて該取手用シート20を取手20Aとして用いる。
【0029】
本比較例では、使用者が取手20Aに指先を引っ掛けた袋本体10Aを持ち上げると、内容物が充填されている袋本体10Aはその重心に作用する重力が取手20Aまわりに及ぼす回転モーメントにより、その重心まわりに傾動し、これによって下向きとなる注ぎ口部18のスパウト18Aから注ぎ出される内容物が容器1に向けて供給されるようになっている。
【0030】
尚、包装袋10の表面シート11に接合された取手用シート20を左手用として用いることもできる。この場合には、左手の親指と他の4本指のそれぞれとで袋本体10Aの表裏シート11、12を外方からつかみ、親指の指先を袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート20が形成している空洞状差し込み部20Bに挿入する。このとき、使用者は、上記親指の指先をU字状に折り曲げ、その指先を上記取手用シート20において空洞状差し込み部20Bを形成している2つの長尺状外辺部23、24のうち、上述の一方のサイドシール部16Aから遠い側の長尺状外辺部24の側から該空洞状差し込み部20Bに挿入し、該取手用シート20の裏面側から該長尺状外辺部24の近辺にその指先を引っ掛けて該取手用シート20を取手20Aとして用いる。
【0031】
従って、本比較例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)取手用シート20が袋本体10Aの外面に単に接合されて取手20Aを形成するものであるから、取手用シート20として内容物を保護するような高機能シート材料を採用する必要がなく、製袋工程も単純になり、内容物を注ぎ出し易くする取手20Aを簡易に設けることができる。
【0032】
(b)取手用シート20が袋本体10における中心軸Lを挟んで注ぎ口部18に対する反対側の外面に取手用シート20を設けた。従って、使用者が取手用シート20によって形成される取手20Aに手指を掛けて袋本体10Aを持ち上げると、注ぎ口部18が袋本体10Aにおける該中心軸Lよりも下側に位置付けられるものになり、この注ぎ口部18からスムースに内容物が注ぎ出し可能になる。
【0033】
(c)取手用シート20の取手20Aは、袋本体10Aの外面に接合された状態で、該袋本体10Aの外面との間に手指を挿入し得る空洞状差し込み部20Bを形成することで、手指を確実かつ容易に掛けることができる。
【0034】
(d)上述(c)の取手用シート20として、相対する2つの短尺状外辺部21、22のそれぞれに沿って相対する2個の接合部21A、22Aを備え、それらの2個の接合部21A、22Aのそれぞれが袋本体10Aの外面に接合され、それらの2個の接合部21A、22Aに挟まれる非接合部25により手指を掛け易い空洞状差し込み部20Bを簡易かつ安価に形成できる。
【0035】
(e)取手用シート20が、袋本体10Aの長手方向に沿った長手状をなすものとすることにより、使用者の親指以外の4本指等の全幅を挿入し得る広幅の空洞状差し込み部20Bを安定的に形成できる。
【0036】
尚、取手用シート20は、透明材料から構成することで、袋本体10Aのデザインや能書(印字)を邪魔しないものにできる。
【0037】
(
実施例1)(
図4乃至
図6)
図4に示した
実施例1に係る包装袋10が、
比較例1に係る包装袋10と実質的に異なる点は、取手用シート20の形態を取手用シート30に変更したことにある。尚、取手用シート30が袋本体10Aに対して設けられる位置は、
比較例1に係る包装袋10におけると同様である。
【0038】
取手用シート30は、
図4及び
図5に示す如く、袋本体10Aの長手方向に沿って長い矩形状をなすものとされ、相対する2つの短尺状外辺部31、32及び相対する長尺状外辺部33、34を有する。そして、取手用シート30は、袋本体10Aにおいて注ぎ口部18に対する反対側に位置する一方のサイドシール部16Aに沿う外面に設けられ、2つの長尺状外辺部33、34のうちの一方の長尺状外辺部33を上記サイドシール部16Aにより近い側に配置するものとしている。
【0039】
取手用シート30は、該取手用シート30の裏面において相対する2つの短尺状外辺部31、32のそれぞれに沿う2個の接合部31A、32Aを備えるとともに、それらの2つの短尺状外辺部31、32に交差する長尺状外辺部33に沿う他の接合部33Aを備える。そして、取手用シート30は、それらの相対する2個の接合部31A、32Aと他の接合部33Aのそれぞれが袋本体10Aにおいて前述の中心軸Lを挟んで注ぎ口部18に対する反対側の外面(袋本体10Aの一方のサイドシール部16Aに沿う外面)に接合される。取手用シート30は、それらの接合部31A、32A、33Aに沿っていて袋本体10Aの外面に接合されることのない非接合部35により空洞状差し込み部30Bを形成する。
【0040】
本実施形態の取手用シート30は、相交差する3つの外辺部31乃至33のそれぞれに接合部31A乃至33Aを備えることで、袋本体10Aに対する接合強度が大きくなる。
【0041】
更に、本実施形態の取手用シート30は、上記他の接合部33Aが沿う長尺状外辺部33に沿う一部、本実施形態では該外辺部33の中間部に沿う部分を小非接合部36としている。
【0042】
即ち、取手用シート30は、袋本体10Aの外面に接合された状態で、非接合部35が該袋本体10Aとの間に手指を挿入し得る空洞状差し込み部30Bを形成する。更に、取手用シート30は、小非接合部36が該袋本体10Aとの間に少なくとも1本の指、本実施形態では親指を挿入し得る孔状差し込み部30Cを形成し、この孔状差し込み部30Cを空洞状差し込み部30Bへの当該親指の挿入口とする。こうして、取手用シート30は、空洞状差し込み部30Bと孔状差し込み部30Cを形成する部分が取手30Aとして用いられるものになる。
【0043】
取手用シート30は、袋本体10Aの表面シート11及び/又は裏面シート12に接合されて用いることができるものの、袋本体10Aの表面シート11又は裏面シート12のいずれか一方にのみ接合された当該単一の取手用シート30を右手用と左手用の双方に兼用できる。
【0044】
即ち、袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート30を右手用として用いるときには、
図3で前述したと同様にして袋本体10Aをつかんだ右手の親指以外の4本指の指先を、取手用シート30の2つの長辺状外辺部33、34のうち、一方のサイドシール部16Aから遠い側の長尺状外辺部34の側から該空洞状差し込み部30Bに挿入し、該取手用シート30の裏面側から該長尺状外辺部34の近辺にそれらの指先を引っ掛けて該取手用シート30を右手用の取手30Aとして用いることができる。
【0045】
他方、袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート30を左手用として兼用するときには、
図6に示す如く、左手の親指と他の4本の指のそれぞれとで袋本体10Aをつかみ、その左手の親指を取手用シート30が形成している孔状差し込み部30Cから空洞状差し込み部30Bに挿入し、当該空洞状差し込み部30Bに挿入された親指の人差し指寄りの側面部を該孔状差し込み部30Cの側傍の接合部33Aに該空洞状差し込み部30Bの内側から当てて引っ掛ける。使用者はこのようにして左手の手指で袋本体10Aをつかみ、該左手の親指を空洞状差し込み部30Bの内側から接合部33Aに引っ掛けることにて該取手用シート30を左手用の取手30Aとして用いることができる。
【0046】
従って、本実施形態によれば、単一の取手用シート30を右手用と左手用に兼用し得る取手30Aを構成できる。
【0047】
(
実施例2)(
図7、
図8)
図7、
図8に示した
実施例2に係る包装袋10が、
実施例1に係る包装袋10と実質的に異なる点は、取手用シート30の形態を取手用シート40に変更したことにある。尚、取手用シート40が袋本体10Aに対して設けられる位置は、
実施例1に係る包装袋10におけると同様である。
【0048】
取手用シート40は、
図8に示す如く、取手用シート30と同様の矩形状をなし、取手用シート30における短尺状長辺部31、32及び長尺状外辺部33、34と同様の短尺状外辺部41、42及び長尺状外辺部43、44を有する。
【0049】
取手用シート40は、取手用シート30が外辺部31乃至33に沿って備えた接合部31A乃至33Aと同様の接合部41A乃至43Aを備える他、長尺状外辺部44に沿う他の接合部44Aを備え、それらの接合部41A乃至44Aのそれぞれが袋本体10Aにおいて前述の中心軸Lを挟んで注ぎ口部18に対する反対側の外面(袋本体10Aの一方のサイドシール部16Aに沿う外面)に接合される。
【0050】
取手用シート40は、それらの接合部41A乃至44Aに囲まれていて袋本体10Aの外面に接合されていない非接合部45により空洞状差し込み部40Bを形成する。このとき、取手用シート40は、非接合部45の内部に、接合部44Aに沿うスリット46を設け、このスリット46を空洞状差し込み部40Bへの手指の挿入口40Cとする。
【0051】
本実施形態の取手用シート40は、全周に渡る4つの外辺部41乃至44のそれぞれに接合部41A乃至44Aを備えたことで、袋本体10Aに対する接合強度が大きくなる。
【0052】
更に、取手用シート40は、接合部43Aを備える長尺状外辺部43に沿う一部に、取手用シート30における小非接合部36と同様の小非接合部47を設けている。
【0053】
即ち、取手用シート40は、袋本体10Aの外面に接合された状態で、非接合部45が該袋本体10Aとの間に手指を挿入し得る空洞状差し込み部40Bを形成し、スリット46がそれらの手指の空洞状差し込み部40Bへの挿入口40Cを形成する。
【0054】
また、取手用シート40は、小非接合部47が袋本体10Aとの間に少なくとも1本の指、本実施形態では親指を挿入し得る孔状差し込み部40Dを形成し、この孔状差し込み部40Dを空洞状差し込み部40Bへの当該親指の挿入口とする。こうして、取手用シート40は、空洞状差し込み部40Bと手指の挿入口40Cと孔状差し込み部40Dを形成する部分が取手40Aとして用いられるものになる。
【0055】
取手用シート40は、取手用シート30と同様に、袋本体10Aの表面シート11及び/又は裏面シート12に接合されて用いることができるものの、袋本体10Aの表面シート11又は裏面シート12のいずれか一方にのみ接合された当該単一の取手用シート40を右手用と左手用の双方に兼用できる。
【0056】
即ち、袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート40を右手用として用いるときには、
図3で前述したと同様にして袋本体10Aをつかんだ右手の親指以外の4本指の指先を、スリット46からなる手指の挿入口40C経由で空洞状差し込み部40Bに挿入し、該取手用シート40を右手用の取手40Aとして用いることができる。
【0057】
他方、袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート40を左手用として兼用するときには、
図6で前述したと同様にして、左手の親指と他の4本指のそれぞれとで袋本体10Aをつかみ、その左手の親指を取手用シート40が形成している孔状差し込み部40Dから空洞状差し込み部40Bに挿入し、該取手用シート40を左手用の取手40Aとして用いることができる。
【0058】
(
実施例3)(
図9、
図10)
図9に示した
実施例3に係る包装袋10が、
実施例2に示した包装袋10と実質的に異なる点は、取手用シート40の形態を取手用シート50に変更したことにある。尚、取手用シート50が袋本体10Aに対して設けられる位置は、
実施例2に係る包装袋10におけると同様である。
【0059】
取手用シート50は、
図10に示す如く、取手用シート40と同様の矩形状をなし、取手用シート40における短尺状外辺部41、42及び長尺状外辺部43、44と同様の短尺状外辺部51、52及び長尺状外辺部53、54を有する。
【0060】
取手用シート50は、取手用シート40における接合部41A、42A、44Aと同様の接合部51A、52A、54Aを備え、それらの接合部51A、52A、54Aのそれぞれが袋本体10Aにおいて前述の中心軸Lを挟んで注ぎ口部18Aに対する反対側の外面(袋本体10Aの一方のサイドシール部16Aに沿う外面)に接合される。尚、取手用シート50は、長尺用外辺部53に沿う部分には接合部を備えない。
【0061】
取手用シート50は、それらの接合部51A、52A、53Aに沿って袋本体10Aの外面に接合されることのない非接合部55により空洞状差し込み部50Bを形成する。このとき、取手用シート50は、非接合部55の内部に、接合部54Aに沿うスリット56を設け、このスリット56を空洞状差し込み部50Bへの手指の挿入口50Cとする。
【0062】
更に、取手用シート50は、接合部54Aを備える長尺状外辺部54に沿う一部に、取手用シート40における小非接合部47と同様の小非接合部57を設けている。
【0063】
即ち、取手用シート50は、袋本体10Aの外面に接合された状態で、非接合部55が該袋本体10Aとの間に手指を挿入し得る空洞状差し込み部50Bを形成し、スリット56がそれらの手指の空洞状差し込み部50Bへの挿入口50Cを形成する。
【0064】
また、取手用シート50は、小非接合部57が袋本体10Aとの間に少なくとも1本の指、本実施形態では親指を挿入し得る孔状差し込み部50Dを形成し、この孔状差し込み部50Dを空洞状差し込み部50Bへの当該親指の挿入口とする。こうして、取手用シート50は、空洞状差し込み部50Bと手指の挿入口50Cと孔状差し込み部50Dを形成する部分が取手50Aとして用いられるものになる。
【0065】
取手用シート50は、取手用シート40と同様に、袋本体10Aの表面シート11及び/又は裏面シート12に接合されて用いることができるものの、袋本体10Aの表面シート11又は裏面シート12のいずれか一方にのみ接合された当該単一の取手用シート50を右手用と左手用の双方に兼用できる。
【0066】
即ち、袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート50を右手用として用いるときには、
図3で前述したと同様にして袋本体10Aをつかんだ右手の親指以外の4本指の指先をスリット56からなる手指の挿入口50C経由で空洞状差し込み部50Bに挿入し、該取手用シート50を右手用の取手50Aとして用いることができる。
【0067】
他方、袋本体10Aの表面シート11に接合された取手用シート50を左手用として兼用するときには、
図6で前述したと同様にして、左手の親指と他の4本指のそれぞれとで袋本体10Aをつかみ、その左手の親指を取手用シート50が形成している空洞状差し込み部50Bに挿入し、更にその親指の指先を該取手用シート50が形成している孔状差し込み部50Dから該孔状差し込み部50Dの外方へ突き出し、突き出した親指の人差し指寄りの側面部を該孔状差し込み部50Dの側傍の接合部54Aに該空洞状差し込み部50Bの外側から当てて引っ掛ける。使用者はこのようにして左手の手指で袋本体10Aをつかみ、該左手の親指を空洞状差し込み部50Bの外方から接合部54Aに引っ掛けることにて該取手用シート50を左手用の取手50Aとして用いることができる。
【0068】
尚、取手用シート50を左手用として兼用する他の使用態様として左手の親指を取手用シート50の外面に当て、この左手の親指の指先をU字状に折り曲げて用いることもできる。即ち、この親指の折り曲げた指先を該取手用シート50において空洞状差し込み部50Bを形成している2つの長辺状外辺部53、54のうち、前述の一方のサイドシール部16Aから遠い側の長尺状外辺部54の側から孔状差し込み部50D経由で空洞状差し込み部50Bに挿入し、この親指の折り曲げ部分を該長辺状外辺部54に引っ掛けることで、該取手用シート50を左手用の取手50Aとして用いることができる。
【0069】
また、袋本体10Aに対する取手用シート20の接合位置は、袋本体10Aの長手に沿う方向だけでなく、斜めでも、横向きでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、包装袋において、内容物を注ぎ出し易くする取手を簡易に設けることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 包装袋
10A 袋本体
18 注ぎ口部
30、40、50 取手用シート
30A、40A、50A 取手
30B、40B、50B 空洞状差し込み部
31、32、33、34、41、42、43、44、51、52、53、54 外辺部
31A、32A、33A、41A、42A、43A、44A、51A、52A、54A 接合部
35、45、55 非接合部
30C、40D、50D 孔状差し込み部
40C、50C 手指の挿入口
46、56 スリット
36、47、57 小非接合部
L 中心軸