(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】ホルダの取付け方法及びこのホルダを備えたカウンタ
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A47K10/36 Z
A47K10/36 B
(21)【出願番号】P 2019202350
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 万美子
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-040851(JP,U)
【文献】登録実用新案第3031308(JP,U)
【文献】特開2012-070940(JP,A)
【文献】特開2000-126048(JP,A)
【文献】特開平08-131359(JP,A)
【文献】特開2008-245807(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0033406(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/34-10/38
A47K 10/20-10/22
A47K 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設置するように設計されたホルダを、前記壁面に取り付けた部材に対して、前記壁面から離れた位置に接続部材を介して取り付けること、
を含
み、
前記接続部材は、
前記部材の底面に固定される第1接続部と、
前記第1接続部の一端から垂下して、前記ホルダが取り付けられる第2接続部と、
を備えており、
前記第2接続部は、前記壁面から離間し、且つ前記壁面から離れた側の前記部材の端面よりも前記壁面側に位置しているホルダの取付け方法。
【請求項2】
前記部材は、カウンタ本体である請求項1に記載のホルダの取付け方法。
【請求項3】
前記ホルダは、紙巻器である請求項1から請求項2までのいずれか1項に記載のホルダの取付け方法。
【請求項4】
壁面に取り付けられるカウンタ本体と、
前記カウンタ本体に取り付けられる接続部材と、
前記壁面に設置するように設計され、前記接続部材に取り付けられることによって、前記壁面から離れて配置されたホルダと、
を備え、
前記接続部材は、
前記
カウンタ本体の底面に固定される第1接続部と、
前記第1接続部の一端から垂下して、前記ホルダが取り付けられる第2接続部と、
を備えて
おり、
前記第2接続部は、前記壁面から離間し、且つ前記壁面から離れた側の前記カウンタ本体の端面よりも前記壁面側に位置しているカウンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はホルダの取付け方法及びこのホルダを備えたカウンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トイレットペーパーホルダを壁面に取り付ける際に用いる連結部が開示されている。連結部はトイレ内に設置された便座を挟んで互いに対向する左側及び右側の少なくとも一方の壁に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連結部を壁面以外の面(上下方向に拡がっていない面、例えば、下を向いた面等)に取り付けてしまうと、連結部に取り付けたトイレットペーパーホルダの姿勢は使用できない姿勢になってしまうと考えられる。従って、特許文献1の連結部は壁面以外の部材に取り付けるとトイレットペーパーホルダを使用できなくなるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、壁面に設置される用途で設計されたホルダを壁面以外の部材に良好に取り付けることができるホルダの取付け方法、及びこのホルダを備えたカウンタを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つ目の開示のホルダの取付け方法は、壁面に設置するように設計されたホルダを、前記壁面に取り付けた部材に対して、前記壁面から離れた位置に接続部材を介して取り付けること、を含む。
【0007】
2つ目の開示のカウンタは、壁面に取り付けられるカウンタ本体と、前記壁面に設置するように設計され、前記カウンタ本体に取り付けられることによって、前記壁面から離れて配置されたホルダと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のカウンタを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の紙巻器を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の紙巻器を上方から見た平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の紙巻器の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
以下、本開示のホルダの製造方法及びこのホルダを備えたカウンタを具体化した実施形態1について
図1から5を参照しつつ説明する。以下の説明において、
図2における左方、右方にあらわれる向きを、上方、下方と定義する。
【0010】
〔カウンタの構成〕
【0011】
カウンタ10は、
図1に示すように、部材であるカウンタ本体10A、接続部材30、及びホルダである紙巻器50を備えている。カウンタ10は、洗面室に設置される手洗い用のカウンタである。カウンタ本体10Aは、四角形状をなした平板である。カウンタ本体10Aは、例えば、中質繊維板(MDF)、パーティクルボード、ランバーコア、プライウッド、フラッシュ構造材、及びハニカムコア材等の木質の材料が用いられる。カウンタ本体10Aは、壁面W1にねじS1を用いて取り付けられたブラケット90に対して、ねじS2を用いてねじ留めされている。つまり、カウンタ本体10Aは、ブラケット90を介して壁面W1に取り付けられる。
【0012】
接続部材30は、板金を曲げ加工することによって形成されている。接続部材30は、
図2に示すように、第1接続部30A、及び第2接続部30Bを有している。第1接続部30Aは一方向に長い平板状である。第2接続部30Bは、第1接続部30Aの長手方向の一端に連続しており、第1接続部30Aに対して直角をなして伸びている。第1接続部30Aには、板厚方向に貫通して複数の貫通孔30Cが形成されている。第2接続部30Bには、板厚方向に貫通して雌ねじが形成された一対のねじ孔30Dが形成されている。
【0013】
接続部材30は、壁面W1に取り付けられたカウンタ本体10Aの底面に第1接続部30Aの一方の面を当接させて、貫通孔30Cを介してカウンタ本体10Aの底面に対してねじS2を締め込むことによってカウンタ本体10Aに固定されている。第1接続部30Aは、カウンタ本体10Aの短辺方向に長手方向を合わせて、第2接続部30Bが連続する一端を壁面W1から離れた側に向けている。接続部材30は、カウンタ本体10Aに取り付けられている。接続部材30がカウンタ本体10Aに取り付けられた状態において、第2接続部30Bは、第1接続部30Aの一端から垂下している。
【0014】
第2接続部30Bには、連結部材50Qが取り付けられている。連結部材50Qは、角柱状をなしており、一端にフランジ部50Tが設けられている(
図5参照。)。連結部材50Qには、雌ねじが形成されたねじ穴50Rが中心軸に直交する方向に形成されている(
図5参照。)。フランジ部50Tには、中心軸方向に貫通して一対の貫通孔50Sが形成されている(
図5参照。)。連結部材50Qは、貫通孔50Sを介してねじS3を第2接続部30Bのねじ孔30Dに締め込むことによって第2接続部30Bに取り付けられている。
【0015】
紙巻器50は、ロールペーパーPの中心軸を横方向にした姿勢でロールペーパーPを保持する。紙巻器50は、上下方向(上下は、
図2における、左側、右側である。)に拡がる壁面に設置するように設計されている。紙巻器50は、
図3から5に示すように、基部50A、支持アーム50B、及び紙切り部50Cを有している。基部50Aは、円柱状をなし、一端部に径方向に拡がる鍔部50Dが設けられている。基部50Aの一端部には中心軸に沿って、一端から他端に向けて第1挿通穴50Eが形成されている。基部50Aの中央部には、中心軸に直交する方向に第2挿通穴50Fが形成されている(
図3、5参照。)。第2挿通穴50Fは、第1挿通穴50Eに連通している(
図5参照。)。基部50Aの他端部には、中心軸に直交する方向に貫通して貫通孔50Gが形成されている(
図4参照。)。
【0016】
支持アーム50Bは金属製の棒を曲げ加工して形成されている。支持アーム50Bは、連結部50H、中間部50J、保持部50K、及び抜止部50Lを有している。連結部50Hは、一方向に伸びており基部50Aの貫通孔50Gに挿通されて基部50Aに対して動かないようにねじによって連結されている。ただし、ねじは図示しない。中間部50Jの一端部は、連結部50Hの一端部に連結している。中間部50Jは、連結部50Hに対して直行する方向に伸び、且つ基部50Aの中心軸に交差する方向に伸びている。保持部50Kの一端部は中間部50Jの他端部に連結している。保持部50Kは、連結部50Hに対して平行に並んで伸びている。抜止部50Lの一端部は、保持部50Kの他端部に連結している。
【0017】
抜止部50Lは、中間部50Jに対して平行に並んで伸びている。抜止部50Lの中心軸方向の長さはロールペーパーPの中心部に形成された貫通孔Hの直径よりも小さい(
図3参照。)。基部50Aの中心軸方向における保持部50Kと鍔部50Dとの寸法は、連結部50Hと鍔部50Dとの寸法よりも大きい(
図4参照。)。保持部50Kは、抜止部50L側からロールペーパーPの貫通孔Hが挿通され、ロールペーパーPを保持する。ロールペーパーPは、抜止部50Lによって保持部50Kからの脱落を阻止される。
【0018】
紙切り部50Cは、板金を曲げ加工して形成したものである。紙切り部50Cは、紙切り板50M、及び係止部50Nを有している。紙切り板50Mは一方向に緩やかに湾曲して形成されている。係止部50Nは、一部が中心軸方向に切りかかれた円筒状に形成されている。係止部50Nの中心軸方向に切りかかれた一方の端縁は、紙切り板50Mの直線状をなす端縁に連続している。係止部50Nの中心軸方向に切りかかれた他方の端縁は、紙切り板50Mに連続する係止部50Nの一方の端縁に近づくように紙切り板50Mの湾曲した内側に向けて伸びている(
図5参照。)。係止部50Nの中心軸方向において、係止部50Nの中央部、及び係止部50Nが連続する紙切り板50Mの端部の中央部には切り欠かれて切欠部50Pが形成されている(
図4参照。)。切欠部50Pは、基部50Aの他端部に配置されている。切欠部50Pによって分断された係止部50Nは、基部50Aを横方向から挟み込むように配置されている。係止部50Nは、連結部50Hに回動自在に挿通している(
図4、5参照。)。紙切り板50Mの湾曲した内側の面は、保持部50Kの外周面に向かい合っている(
図3参照。)。
【0019】
こうして形成された紙巻器50は、鍔部50Dを第2接続部30Bの一方の面に当接させるようにして接続部材30に連結されている。具体的には、第2接続部30Bの一方の面に取り付けられた連結部材50Qに対して、基部50Aの第1挿通穴50Eが挿通されている(
図5参照。)。鍔部50Dは、第2接続部30Bの一方の面に当接している。連結部材50Qのねじ穴50Rは、第2挿通穴50Fに連通している。第2挿通穴50Fを介してねじS4をねじ穴50Rに締め込むことによって、紙巻器50は、接続部材30の第2接続部30Bに取り付けられている(
図5参照。)。この状態において、保持部50Kは、連結部50Hよりも下方に位置している。こうして、紙巻器50は、カウンタ本体10Aにおける壁面W1から離れた位置に接続部材30を介して取り付けられている。
【0020】
〔ホルダの取付け方法〕
次に、カウンタ10へのホルダの取付け方法について説明する。
【0021】
カウンタ本体10Aは、壁面W1にねじS1を用いて取り付けられたブラケット90に対してねじS2を用いてねじ留めされている(
図1参照。)。
【0022】
次に、接続部材30を取り付けることと、壁面W1に設置するように設計された紙巻器50を接続部材30に取り付けることとを実行する。
【0023】
具体的には、紙巻器50を取り付ける施工業者(以下、施工業者ともいう)は、カウンタ本体10Aの底面に第1接続部30Aの一方の面を当接させて、ねじS2によって接続部材30をカウンタ本体10Aの底面に取り付ける。詳しくは、第1接続部30Aは、
図1、2に示すように、壁面W1に他端を接触した状態にされ、カウンタ本体10Aの短辺方向に長手方向を合わせて、第2接続部30Bが連続する一端を壁面W1から離れた側に配置する。第1接続部30Aの他端を壁面W1に接触させるのは、接続部材30の姿勢を壁W1に沿わせるためである。施工の事情に合わせて、第1接続部30Aを壁面W1から離してもよい。接続部材30がカウンタ本体10Aの底面に取り付けられた取付状態において、第2接続部30Bは、第1接続部30Aの一端から垂下している。
【0024】
次に、施工業者は、ねじS3を用いて連結部材50Qを第2接続部30Bの一方の面に対してねじ留めする。具体的には、施工業者は、第2接続部30Bの一方の面に連結部材50Qを当接させつつ、連結部材50Qのフランジ部50Tに形成された貫通孔50Sを介して第2接続部30Bに形成されたねじ孔30Dに対してねじS3を締め込む(
図5参照。)。次に、施工業者は、基部50Aの第1挿通穴50Eに連結部材50Qを挿通する。次に、施工業者は、第2挿通穴50Fを介してねじS4をねじ穴50Rに締め込む。こうして、紙巻器50はカウンタ本体10Aに取り付けられる。
【0025】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0026】
本開示のホルダの取付け方法は、壁面W1に設置するように設計された紙巻器50を、壁面W1に取り付けたカウンタ本体10Aに対して、壁面W1から離れた位置に接続部材30を介して取り付けることを含む。これによって、接続部材30を介して壁面W1から離れた位置のカウンタ本体10Aに紙巻器50を取り付けることができるため、カウンタ本体10Aの所望の位置に紙巻器50を取り付けることができる。
【0027】
本開示のホルダの取付け方法に用いられる部材は、カウンタ本体10Aである。これによって、接続部材30によって、カウンタ本体10Aにおける壁面W1から離れた位置に紙巻器50を取り付けることができるため、カウンタ本体10Aの所望の位置に紙巻器50を取り付けることができる。
【0028】
本開示のホルダの取付け方法に用いられるホルダは、紙巻器50である。これによって、カウンタ本体10Aにおいて、使用者がロールペーパーPを使い易い位置になるように紙巻器50を取り付けることができる。
【0029】
本開示のホルダの取付け方法に用いられる接続部材30は、壁面W1に取り付けられたカウンタ本体10Aの底面に固定される第1接続部30Aと、第1接続部30Aの一端から垂下して、紙巻器50が取り付けられる第2接続部30Bとを備える。これによって、第1接続部30Aをカウンタ本体10Aの底面に取り付ける向きによらず、第2接続部30Bは垂下した状態が維持され、第2接続部30Bに取り付けられた紙巻器50の姿勢を使用可能な姿勢に維持することができる。
【0030】
本開示のカウンタ10は、壁面W1に取り付けられるカウンタ本体10Aと、壁面W1に設置するように設計され、カウンタ本体10Aに取り付けられることによって、壁面W1から離れて配置された紙巻器50とを備える。この構成によれば、壁面W1に設置される用途で設計された紙巻器50をカウンタ本体10Aの所望の位置に取り付けているため、紙巻器50の位置が壁面W1によって限定されることなく、使用者が使用し易い位置に紙巻器50を配置することができる。
【0031】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、接続部材をカウンタ本体に取り付けて、接続部材に紙巻器を取り付けている。これに限らず、接続部材に紙巻器を取り付けて、紙巻器を取り付けた状態の接続部材をカウンタ本体に取り付けてもよい。
(2)実施形態1では、カウンタ本体の底面に接続部材を取り付けている。これに限らず、カウンタ本体の側面や上面に接続部材を取り付けてもよい。
(3)実施形態1では、ホルダとして紙巻器を例示している。これに限らず、ホルダとしてタオルをかけるタオルホルダや、リモコン用のホルダであってもよい。
(4)実施形態1では、部材としてカウンタを例示している。これに限らず、部材として壁面に取り付ける収納箱を用い、収納箱の底面に接続部材を介してホルダを取り付けてもよい。
(5)カウンタの設置場所は、洗面室に限られず、例えば、玄関などでもよい。
(6)カウンタの用途は、手洗いに限られず、例えば、洗面用などでもよい。
【0032】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0033】
10…カウンタ、10A…カウンタ本体(部材)、30…接続部材、30A…第1接続部、30B…第2接続部、50…紙巻器(ホルダ)