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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】ブロワ
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20231016BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
F04D27/00 101N
F04D27/00 E
F04D29/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019207434
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021080849
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中 慎輔
(72)【発明者】
【氏名】座間 亮二
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/176735(WO,A1)
【文献】特開2016-140575(JP,A)
【文献】特開2014-148951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00
F04D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロワであって、
モータと、
前記モータの回転により回転軸を中心にして回転する遠心ファンと、
前記モータと前記遠心ファンとを収容しており、前記遠心ファンの回転に伴い吸気口から吐出口に空気を案内するケーシングと、
作業者によって押し込まれるトリガと、
前記モータの駆動を制御する制御基板と、を備えており、
前記制御基板は、前記トリガの押し込み量に応じて前記モータの回転数を調整する通常モードと、前記通常モードでの前記トリガの前記押し込み量が最大量である場合の前記モータの最大回転数よりも低い目標回転数に前記モータの回転数を調整する緩和モードと、を備え
前記制御基板が前記緩和モードにある場合、前記トリガの前記押し込み量が前記最大量まで増加するとともに、前記モータの前記回転数が前記目標回転数まで徐々に増加する、ブロワ。
【請求項2】
前記制御基板の前記通常モードと前記緩和モードとを切り替えるスイッチをさらに備えている、請求項1記載のブロワ。
【請求項3】
前記スイッチは、前記モータが駆動することを許容するオン状態と、前記モータが駆動することを禁止するオフ状態とを切り替える主電源スイッチであり、
前記スイッチが長押しされる場合、前記制御基板の前記通常モードと前記緩和モードとが切り替わる、請求項に記載のブロワ。
【請求項4】
前記制御基板が前記緩和モードにあることを表示可能な表示部をさらに備えている、請求項1からのいずれか一項に記載のブロワ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ブロワに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸引ブロワが開示されている。吸引ブロワは、モータと、遠心ファンと、ケーシングと、吸引ノズルと、開閉調節板と、を備えている。遠心ファンは、モータの回転により回転軸を中心にして回転する。ケーシングは、モータと遠心ファンを収容している。また、ケーシングは、遠心ファンの回転に伴い吸引口から吐出口に空気を案内する。吸引ノズルは、ケーシングの吸引口に挿通される。吸引ノズルの側面には長孔が形成されている。開閉調節板は、長孔の開口面積を調整する。吸引ノズルの先端開口を地面に向けた状態でモータを駆動させることによって、地面上の落ち葉等が吸引ノズルの先端開口から吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-91914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地面上には、落ち葉以外に小石等が落ちており、吸引ブロワでは、一般的に、地面上の落ち葉等とともに小石が吸引されることが多い。上記の吸引ブロワでは、落ち葉は吸引しつつ、小石の吸引を抑制するために、作業毎に毎回長孔の開閉調整板をスライドさせて開口面積を調整する必要がある。このため、毎回の作業において、安定して小石の吸引を抑制することができない。本明細書では、安定して小石の吸引を抑制することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、ブロワを開示する。ブロワは、モータと、遠心ファンと、ケーシングと、トリガと、制御基板と、を備えている。遠心ファンは、モータの回転により回転軸を中心にして回転する。ケーシングは、モータと遠心ファンとを収容しており、遠心ファンの回転に伴い吸気口から吐出口に空気を案内する。トリガは、作業者によって押し込まれる。制御基板は、モータの駆動を制御する。制御基板は、トリガの押し込み量に応じてモータの回転数を調整する通常モードと、通常モードでのトリガの押し込み量が最大量である場合のモータの最大回転数よりも低い目標回転数にモータの回転数を調整する緩和モードと、を備えている。
【0006】
上記の構成では、緩和モードにおけるモータの目標回転数は、通常モードにおけるモータの最大回転数よりも低い。このため、緩和モードにおける遠心ファンの回転数は、通常モードにおける遠心ファンの回転数よりも低い。この結果、緩和モードにおけるブロワの吸引力は、通常モードにおけるブロワの吸引力よりも小さい。これにより、緩和モードでは、通常モードよりも小石の吸引を抑制することができる。この結果、制御基板が緩和モードを実行することによって、安定して小石の吸引を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例の送風モードにおけるブロワ2の斜視図である。
図2】第1実施例のブロワ2のトリガ24とクルーズバルブ26とセンサ32の斜視図である。
図3】第1実施例の送風モードにおけるブロワ2の水平断面図である。
図4図3の連通孔84近傍を拡大した図である。
図5】第1実施例の送風モードにおけるブロワ2の横断面図である。
図6】第1実施例の送風モードにおけるブロワ2のサイドケーシング8を取り外したときの左側面図である。
図7】第1実施例の吸引モードにおけるブロワ2の斜視図である。
図8】第1実施例のブロワ2の制御基板66が実行する通常モードと緩和モードにおけるトリガ押し込み量とモータ回転数との関係を示すグラフである。
図9】第2実施例のブロワ2の制御基板66が実行する通常モードと緩和モードにおけるトリガ押し込み量とモータ回転数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブロワは、ケーシングと、モータと、遠心ファンと、制御基板と、を備えていてもよい。ケーシングは、開口を介して連通する第1収容室と第2収容室とを内部に有してもよい。モータは、第1収容室に配置されており、回転軸が開口に挿通していてもよい。遠心ファンは、第2収容室に配置されており、モータの駆動により回転軸を中心にして回転してもよい。制御基板は、第1収容室に配置されており、モータの駆動を制御してもよい。ケーシングは、第1収容室と第2収容室とを連通しており、開口から離れて配置されている連通孔をさらに有してもよい。
【0009】
上記の構成では、第2収容室の圧力が第1収容室の圧力よりも高くなる場合、空気は、連通孔を通過して第2収容室から第1収容室に流れるとともに、開口を通過して第1収容室から第2収容室に流れる。このため、第2収容室の圧力が第1収容室の圧力よりも高くなる場合でも、第1収容室を空気が流れるようになり、制御基板は、その空気によって十分に冷却される。この結果、制御基板が高温となることを抑制することができる。
【0010】
1つまたはそれ以上の実施形態において、連通孔は、回転軸方向に関して、遠心ファンと重なり合って配置されていてもよい。
【0011】
上記の構成では、遠心ファンは径方向外側に向けて空気を送り出す。このため、連通孔を、回転軸方向に関して、遠心ファンと重なり合って配置することによって、遠心ファンによって送り出された空気が、連通孔を通過し第2収容室から第1収容室に流れることを抑制することができる。これにより、ブロワの吹き出し流量の低下を抑制することができる。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブロワは、モータに電力を供給するバッテリをさらに備えていてもよい。
【0013】
上記の構成では、外部電源が存在しない作業区域でも、ブロワを使用することができる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バッテリは、制御基板に近接して配置されていてもよい。
【0015】
上記の構成では、バッテリと制御基板とを接続する配線の長さを短くすることができる。これにより、配線の取り回しを良くすることができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブロワは、第1収容室に配置されており、第1収容室を流れる空気を案内する放熱フィンをさらに備えていてもよい。放熱フィンは、制御基板上に配置されていてもよい。
【0017】
上記の構成では、空気は、放熱フィンに案内されて、制御基板上を流れる。これにより、制御基板を効率良く冷却することができる。この結果、制御基板が高温となることを抑制することができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブロワは、回転軸方向に関して、開口と遠心ファンとの間に配置されている冷却ファンをさらに備えていてもよい。冷却ファンは、遠心ファンとともに回転してもよい。
【0019】
上記の構成では、冷却ファンが回転すると、冷却ファンの近傍の空間の圧力が低くなる。これにより、開口を介して第1収容室から第2収容室に空気を効率良く流すことができる。このため、第1収容室を流れる空気の流量が増加し、制御基板が効率良く冷却される。この結果、制御基板が高温となることを抑制することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ケーシングは、遠心ファンによって送り出された空気をケーシングの外部に吐出する吐出口を有していてもよい。ブロワは、吐出口から吐出された空気が流れる送風ノズルをさらに備えていてもよい。送風ノズルは、長尺ノズルであってもよい。
【0021】
一般的に、送風ノズルとして長尺ノズルが使用される場合、遠心ファンが回転している状態において、第2収容室の圧力が高くなる。このため、ブロワが連通孔を備えていない構成では、第2収容室の圧力が第1収容室の圧力よりも高くなる場合、開口を通過して第1収容室から第2収容室に空気が流れ難くなることがある。この結果、制御基板が十分に冷却されずに高温となるおそれがある。上記の構成では、連通孔が第1収容室と第2収容室とを連通しているので、送風ノズルとして長尺ノズルが使用される場合でも、第1収容室を十分な空気が流れ、制御基板が十分に冷却される。このため、制御基板が高温となることを抑制することができる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、制御基板は、第1収容室を連通孔からモータに向かって流れる空気の流れ流路に配置されていてもよい。
【0023】
上記の構成では、空気は、制御基板上を流れる。これにより、制御基板を効率良く冷却することができる。この結果、制御基板が高温となることを抑制することができる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブロワは、モータを収容するモータハウジングをさらに備えていてもよい。モータハウジングは、モータハウジングの内部に吸気するモータ吸気口を有していてもよい。制御基板は、連通孔とモータ吸気口とを結ぶ仮想線上に配置されていてもよい。
【0025】
上記の構成では、制御基板は、連通孔とモータ吸気口の間の最短距離上に配置されている。このため、制御基板を効率良く冷却することができる。この結果、制御基板が高温となることを抑制することができる。
【0026】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブロワは、モータと、遠心ファンと、ケーシングと、トリガと、制御基板と、を備えていてもよい。遠心ファンは、モータの回転により回転軸を中心にして回転してもよい。ケーシングは、モータと遠心ファンとを収容しており、遠心ファンの回転に伴い吸気口から吐出口に空気を案内してもよい。トリガは、作業者によって押し込まれてもよい。制御基板は、モータの駆動を制御してもよい。制御基板は、トリガの押し込み量に応じてモータの回転数を調整する通常モードと、通常モードでのトリガの押し込み量が最大量である場合のモータの最大回転数よりも低い目標回転数にモータの回転数を調整する緩和モードと、を備えていてもよい。
【0027】
上記の構成では、緩和モードにおけるモータの目標回転数は、通常モードにおけるモータの最大回転数よりも低い。このため、緩和モードにおける遠心ファンの回転数は、通常モードにおける遠心ファンの回転数よりも低い。この結果、緩和モードにおけるブロワの吸引力は、通常モードにおけるブロワの吸引力よりも小さい。これにより、緩和モードでは、通常モードよりも小石の吸引を抑制することができる。この結果、制御基板を緩和モードにすることによって、安定して小石の吸引を抑制することができる。
【0028】
1つまたはそれ以上の実施形態において、制御基板が緩和モードにある場合、トリガの押し込み量が最大量まで増加するとともに、モータの回転数が目標回転数まで徐々に増加してもよい。
【0029】
上記の構成では、トリガの押し下げ量によって、吸気口に吸引される空気の流量が変化する。このため、作業区域の状態に応じて、モータの回転数、即ち吸気口に吸引される空気の流量を自由に調整することができる。
【0030】
1つまたはそれ以上の実施形態において、制御基板が緩和モードにある場合、トリガの押し込み量によらず、モータの回転数が目標回転数で一定であってもよい。
【0031】
上記の構成では、トリガの押し込み量によらず、遠心ファンの回転数が一定となり、吸引する力を一定にすることができる。これにより、作業者は、ブロワを使用して、容易に吸引作業を行うことができる。
【0032】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブロワは、制御基板の通常モードと緩和モードとを切り替えるスイッチをさらに備えていてもよい。
【0033】
上記の構成では、作業者は、スイッチを押す簡単な操作によって、通常モードと緩和モードを切り替えることができる。
【0034】
1つまたはそれ以上の実施形態において、スイッチは、モータが駆動することを許容するオン状態と、モータが駆動することを禁止するオフ状態とを切り替える主電源スイッチであってもよい。スイッチが長押しされる場合、制御基板の通常モードと緩和モードとが切り替わってもよい。
【0035】
上記の構成では、作業者は、主電源スイッチによって、ブロワのオン状態とオフ状態の切替操作と、通常モードと緩和モードの切替操作を行うことができる。このため、通常モードと緩和モードを切り替える切替スイッチを別途設置せずに済む。
【0036】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブロワは、制御基板が緩和モードにあることを表示可能な表示部をさらに備えていてもよい。
【0037】
上記の構成では、作業者は、表示部に表示される表示によって、制御基板が緩和モードにあるか否かを容易に確認することができる。
【0038】
(第1実施例)
図1から図8を参照して、第1実施例のブロワ2を説明する。ブロワ2は、手持ち式のブロワである。ブロワ2は、送風モードと吸引モードとを備えている。ブロワ2が送風モードで使用される場合、ブロワ2は、地面上の落ち葉等を吹き飛ばすことができる。ブロワ2が吸引モードで使用される場合、ブロワ2は、地面上の落ち葉等を吸引して収集することができる。以下では、モータ62の回転軸62aが延びる方向を左右方向と呼び、左右方向に直交する方向を前後方向と呼び、左右方向および前後方向に直交する方向を上下方向と呼ぶ。
【0039】
図1から図6には、送風モードで使用される場合のブロワ2の構成が図示されている。ブロワ2は、ケーシング4と、複数個(本実施例では2個)のバッテリBと、主電源スイッチ42と、表示部44と、トリガ24と、クルーズバルブ26と、センサ32(図2参照)と、を備えている。ケーシング4は、メインケーシング6と、サイドケーシング8と、前方接続部10と、後方接続部12と、メイングリップ14と、脚部材16と、を備えている。メインケーシング6は、ボリュートケーシングとして形成されている。サイドケーシング8は、メインケーシング6の左側面にねじによって固定されている。サイドケーシング8の前面には、複数個の吸気口20が形成されている。吸気口20は、サイドケーシング8を厚み方向に貫通している。
【0040】
前方接続部10は、メインケーシング6の前方上部から上方向に延びている。後方接続部12は、メインケーシング6の後方上部から上方向に延びている。メイングリップ14は、前方接続部10の後方上部から後方接続部12の前方上部の間に延びている。即ち、メイングリップ14の前端部は、前方接続部10の後方上部に接続しており、メイングリップ14の後端部は、後方接続部12の前方上部に接続している。メイングリップ14は、メインケーシング6の上方に配置されている。メイングリップ14は、作業者によって把持される。メイングリップ14は、導電性材料を有している。導電性材料とは、例えば導電性エラストマである。脚部材16は、メインケーシング6の下部に固定されている。ブロワ2が地面に載置された状態において、脚部材16のみが地面に接触する。脚部材16は、サブグリップ18を備えている。サブグリップ18は、ブロワ2が地面に載置された状態において、地面から離間する。これにより、作業者は、載置面に載置されたブロワ2を持ち上げる場合、一方の手でメイングリップ14を把持し、他方の手でサブグリップ18を把持することができる。
【0041】
メインケーシング6の前面には、2個のバッテリBが取り外し可能に取り付けられる。2個のバッテリBは、電気的に直列接続されている。なお、変形例では、2個のバッテリBは、電気的に並列接続されていてもよい。バッテリBは、例えばリチウムイオンバッテリである。
【0042】
主電源スイッチ42と表示部44とは、サイドケーシング8とメインケーシング6とによって形成される中面40に配置されている。中面40は、上方を向いている。中面40は、メイングリップ14の左側下方に配置されている。主電源スイッチ42は、作業者によってメイングリップ14を把持した手と反対の手で操作される。これにより、主電源スイッチ42がメイングリップ14を把持した手で誤操作されることを抑制することができる。主電源スイッチ42は、ブロワ2のオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチである。ブロワ2がオフ状態にある場合、後述するモータ62の駆動が禁止される。これにより、トリガ24が押し込み操作されても、モータ62は駆動しない。一方、ブロワ2がオン状態にある場合、モータ62の駆動が許容される。これにより、トリガ24が押し込み操作されると、モータ62は駆動する。表示部44には、ブロワ2の状態が表示される。本実施例では、表示部44は、2個の表示窓44a、44bを備えている。表示窓44aには、ブロワ2がオン状態にある場合に、その旨が表示される。表示窓44bには、後述する制御基板66が緩和モードM2にある場合に、その旨が表示される。表示部44は、例えば、LEDパネルである。なお、変形例では、表示部44は、光が点灯する構成であってもよい。
【0043】
トリガ24とクルーズバルブ26とは、メイングリップ14に回動可能に取り付けられている。図2に示すように、トリガ24は、トリガ操作部28と、押し部30と、を備えている。トリガ操作部28と押し部30とは、一体的に形成されている。トリガ操作部28は、作業者によって押し込み操作される部分である。トリガ操作部28は、左右方向に延びる回動軸を中心にして回動する。押し部30は、トリガ操作部28の回動によって、センサ32のスイッチ32aを押す。ブロワ2がオン状態にある場合、センサ32のスイッチ32aが押されると、後述するモータ62が駆動する。トリガ操作部28の押し込み量に応じて、押し部30によるセンサ32のスイッチ32aの押し込み量が変化する。
【0044】
クルーズバルブ26は、バルブ操作部34と、中間部36と、ストッパ38と、を備えている。バルブ操作部34は、メイングリップ14の外側に配置されている(図1参照)。バルブ操作部34は、作業者によって操作される。バルブ操作部34は、左右方向に延びる回動軸を中心にして回動する。バルブ操作部34は、所望の回動位置で固定可能である。中間部36は、バルブ操作部34に連結している。図示省略しているが、中間部36は、メイングリップ14の内部に配置されている。中間部36は、バルブ操作部34と一体となって回動する。ストッパ38は、中間部36の外周縁から右方向に向かって延びている。ストッパ38は、トリガ24の押し部30と当接可能である。バルブ操作部34を前方に向かって回動させると、ストッパ38が回動し、押し部30と当接する。この状態から、バルブ操作部34がさらに前方に向かって回動すると、ストッパ38は、押し部30とともに前方に向かって回動する。バルブ操作部34が所望の回動位置で固定されると、ストッパ38が固定される。ストッパ38は、押し部30が後方に向かって移動することを抑制する。これにより、センサ32のスイッチ32aの押し込み量が、所定の値以下とならない。
【0045】
図3に示すように、ケーシング4は、ファン収容室50と、モータ収容室52と、吸気口54と、空気流路56と、吐出口58(図5参照)と、を有する。ファン収容室50は、メインケーシング6の内部に画定されている。モータ収容室52は、メインケーシング6とサイドケーシング8とによって画定されている。モータ収容室52は、ファン収容室50の左側に配置されている。ファン収容室50とモータ収容室52は、メインケーシング6の左側面に形成された開口59を介して連通している。吸気口54は、メインケーシング6の右側面に配置されている。吸気口54は、メインケーシング6の右側面を貫通している。吸気口54は、ファン収容室50に連通している。空気流路56は、ファン収容室50に連通している。図5に示すように、空気流路56は、左右方向に延びる軸の周りを螺旋状に延びている。ブロワ2を右方向に見たとき、空気流路56は、内側から外側に向かって反時計回りに延びている。吐出口58は、空気流路56に連通している。吐出口58は、メインケーシング6の前面上部に配置されている。
【0046】
図3に示すように、ブロワ2は、カバー60と、モータ62と、モータハウジング64と、制御基板66と、金属板67と、遠心ファン70と、冷却ファン72と、ブレード74と、をさらに備えている。カバー60は、メインケーシング6の右側面に配置されている。カバー60は、上下方向に延びる回動軸を中心にして、メインケーシング6に対して回動可能である。カバー60は、吸気口54を覆っている。カバー60には、多数の小開口が形成されている。
【0047】
モータハウジング64と、モータ62と、制御基板66は、モータ収容室52に配置されている。モータハウジング64は、ねじによってメインケーシング6の左側面に固定されている。モータハウジング64は、メインケーシング6の開口59を覆っている。モータハウジング64は、モータ吸気口78と、モータ吐出口79と、を有する。モータ吸気口78は、モータハウジング64の左側面64aに配置されている。モータ吸気口78は、モータハウジング64の左側面64aを貫通している。モータ吐出口79は、モータハウジング64の右側面64bに配置されている。モータ吐出口79は、モータハウジング64の右側面64bを貫通している。モータハウジング64の右側面64bは、メインケーシング6の左側面と対向している。
【0048】
モータ62は、モータハウジング64の内部に配置されている。モータ62は、例えば、ブラシレスモータである。なお、変形例では、モータ62は、ブラシ付きモータであってもよい。バッテリBの電力によって、モータ62の回転軸62aが回転する。モータ62の回転軸62aは、左右方向に延びている。回転軸62aは、メインケーシング6の開口59に挿通されている。回転軸62aの左端部は、モータ収容室52に配置されており、回転軸62aの右端部は、ファン収容室50に配置されている。
【0049】
制御基板66は、バッテリBに近接した位置に配置されている。制御基板66は、モータ62とセンサ32に電気的に接続されている。制御基板66は、トリガ24の押し込み操作によってセンサ32のスイッチ32aが押されると、モータ62を駆動させる。制御基板66は、スイッチ32aの押し込み量に応じて、モータ62の回転数を調整する。
【0050】
図4に示すように、金属板67は、メインケーシング6の左側面と制御基板66との間に配置されている。なお、図4では、図面を見易くするために、拡大した部分の周縁が四角で囲まれている。金属板67は、図示省略の配線を介して、メイングリップ14に接続されている。
【0051】
図3に示すように、遠心ファン70と、冷却ファン72と、ブレード74は、ファン収容室50に配置されている。遠心ファン70は、樹脂材料から成る。遠心ファン70は、モータ62の回転軸62aの右端部近傍に嵌合している。冷却ファン72は、樹脂材料から成る。左右方向に関して、冷却ファン72は、遠心ファン70とメインケーシング6の開口59の間に配置されている。冷却ファン72は、遠心ファン70の裏面に配置されている。遠心ファン70の裏面は、メインケーシング6の左側面に対向している。ブレード74は、モータ62の回転軸62aの右端部に嵌合している。
【0052】
図6に示すように、ブロワ2は、放熱フィン68をさらに備えている。放熱フィン68は、制御基板66上に配置されている。放熱フィン68は、複数個のフィンを備えている。複数個のフィンは、互いに隙間を有して配置されている。放熱フィン68は、左右方向に延びている。
【0053】
メインケーシング6は、連通孔84をさらに有する。連通孔84は、細長い形状を有する。ブロワ2を右方向に見ると、連通孔84は、放熱フィン68と重なり合っている。図3に示すように、連通孔84は、メインケーシング6の左側面を貫通している。連通孔84は、ファン収容室50とモータ収容室52とを連通している。連通孔84は、メインケーシング6の開口59よりも回転軸62aの径方向外側に離れて配置されている。連通孔84は、遠心ファン70の周縁部よりも回転軸62aの径方向内側に配置されている。左右方向に関して、連通孔84は、遠心ファン70と重なり合って配置されている。連通孔84は、制御基板66と放熱フィン68の近傍に配置されている。連通孔84とモータハウジング64のモータ吸気口78とを結ぶ仮想線上に、制御基板66が配置されている。
【0054】
図5に示すように、ブロワ2は、固定ノズル80と、送風ノズル82と、をさらに備えている。固定ノズル80は、吐出口58に挿通されている。固定ノズル80は、長手方向に延びる円筒である。固定ノズル80には、吐出口58を通過した空気が流れる。
【0055】
送風ノズル82は、固定ノズル80の先端部に取り外し可能に取り付けられている。送風ノズル82は、長尺ノズルである。送風ノズル82は、例えば、雨どい用のノズルである。雨どい用のノズルは、建物に取り付けられた雨どいに蓄積した落ち葉等を吹き飛ばすときに使用される。送風ノズル82は、例えば2m以上の長さを有する。送風ノズル82は、長手方向に延びた後、その先端部近傍において、湾曲して延びている。
【0056】
次に、送風モードで使用する場合のブロワ2の送風動作を説明する。ブロワ2が送風モードで使用される場合、メイングリップ14が作業者によって把持される。作業者によってトリガ24が押し込まれてモータ62が回転すると、遠心ファン70と、冷却ファン72と、ブレード74が、回転軸62aの周りを回転する。これにより、空気が吸気口54から左方向に向かって流れて、ファン収容室50に流入する。ファン収容室50に流入した空気は、遠心ファン70によって、回転軸62aの径方向外側に向かって送り出される。その空気は、メインケーシング6に案内され、空気流路56を通過して吐出口58からメインケーシング6の外部に吐出する。その後、空気は、固定ノズル80、送風ノズル82を通過し、送風ノズル82の先端開口から吹き出る。これにより、例えば、送風ノズル82の先端開口が雨どいを向いている場合、雨どいに蓄積した落ち葉が吹き飛ばされる。また、作業者のクルーズバルブ26の操作によって、クルーズバルブ26のバルブ操作部34が前方に向かって回動して所定の位置で固定されると、センサ32のスイッチ32aが所定量押された状態に維持される。これにより、作業者がトリガ24を離した状態でも、雨どいに蓄積した落ち葉が吹き飛ばされる。
【0057】
モータ62の駆動によって遠心ファン70が回転している間、空気流路56の圧力と連通孔84近傍のファン収容室50の圧力が高くなる。これにより、連通孔84近傍のファン収容室50の圧力が連通孔84近傍のモータ収容室52の圧力よりも高くなる。このため、空気が、図3の矢印Fiに示されるように、連通孔84を通過し、ファン収容室50からモータ収容室52に流れる。冷却ファン72の回転により、ファン収容室50の開口59近傍の圧力が負圧となっているので、連通孔84を通過した空気は、モータ収容室52を流れ、開口59を通過してファン収容室50に流れる。具体的には、まず、連通孔84を通過した空気は、放熱フィン68に案内されて、制御基板66上を流れる。なお、この空気は、制御基板66上を流れている間に、吸気口20を通過してブロワ2の外部からモータ収容室52に流れる空気(即ち、図3に示される矢印Fgの方向に流れる空気)と合流する。次に、空気は、図3に矢印Fmとして示されるように、モータ吸気口78に向かって流れてモータハウジング64の内部に吸気される。次いで、空気は、図3に矢印Foとして示されるように、モータ吐出口79と開口59を通過し、モータ収容室52からファン収容室50に流れる。その後、冷却ファン72によって回転軸62aの径方向外側に向かって送り出された空気の少なくとも一部は、連通孔84を通過し、ファン収容室50からモータ収容室52に流れる。これにより、連通孔84、開口59を介してファン収容室50とモータ収容室52との間に、空気の循環流路が形成される。この結果、空気の循環流路に配置されている制御基板66が冷却される。
【0058】
図7を参照して、吸引モードで使用する場合のブロワ2の構成を説明する。吸引モードで使用する場合のブロワ2の構成部品の一部は、送風モードで使用する場合のブロワ2の構成部品の一部と異なる。図7に示すように、ブロワ2は、固定ノズル80と送風ノズル82に代えて、吸引ノズル92と、ジョイント94と、フレキシブルノズル96と、ダスト袋98と、を備えている。吸引ノズル92は、カバー60が開いた状態で、吸気口54(図7では図示省略)の周縁のメインケーシング6に取り付けられている。
【0059】
図示省略しているが、ジョイント94は、吐出口58に挿通されている。フレキシブルノズル96は、ジョイント94の先端部に取り付けられている。ダスト袋98は、フレキシブルノズル96の他端部に取り付けられている。
【0060】
また、ブロワ2は、ハーネス100をさらに備えている。ハーネス100の両端部は、ケーシング4に取り外し可能に取り付けられている。ハーネス100は、両端部の間の任意の位置で、ダスト袋98に取り外し可能に取り付けられている。
【0061】
吸引モードで使用する場合のブロワ2の吸引動作を説明する。ブロワ2が吸引モードで使用される場合、メイングリップ14とサブグリップ18が作業者によって把持される。また、ハーネス100が作業者に肩掛けされる。作業者によってトリガ24が押し込まれてモータ62が回転すると、遠心ファン70と、冷却ファン72と、ブレード74が、回転軸62aの周りを回転する。この状態から、吸引ノズル92の先端開口が地面に向くと、地面上の落ち葉が吸引ノズル92から、吸気口54、ファン収容室50、空気流路56、吐出口58、ジョイント94、フレキシブルノズル96を順に通過して、ダスト袋98の内部に収集される。落ち葉は、ブレード74によって粉砕される。送風モードで使用する場合のブロワ2でも、上述したように、連通孔84、開口59を介してファン収容室50とモータ収容室52との間に、空気の循環流路が形成される。
【0062】
本実施例では、図8に示すように、制御基板66は、通常モードM1と緩和モードM2とを実行可能である。通常モードM1は、作業者によって主電源スイッチ42が押されて、ブロワ2がオフ状態からオン状態に切り替わったときに設定されるモードである。制御基板66が通常モードM1にある状態で主電源スイッチ42が所定の秒数以上長押しされると、制御基板66は、通常モードM1から緩和モードM2に切り替わる。このとき、表示部44の表示窓44b(図1参照)が点灯する。また、制御基板66が緩和モードM2にある状態で主電源スイッチ42が所定の秒数以上長押しされると、制御基板66は、緩和モードM2から通常モードM1に切り替わる。このとき、表示部44の表示窓44bが消灯する。なお、所定の秒数は、例えば1秒以上であり、本実施例では2秒である。
【0063】
通常モードM1は、主に、ブロワ2を送風モードで使用する場合に使用される。図8に示すように、制御基板66が通常モードM1にある場合、トリガ24が押し込まれていないとき、即ち、トリガ24の押し込み量0%であるとき、センサ32のスイッチ32aの押し込み量が0%であり、モータ62の回転数はゼロである。トリガ24の押し込み量が0%から最大の100%に増加するとともに、即ち、センサ32のスイッチ32aの押し込み量が0%から100%に増加するとともに、モータ62の回転数が最大回転数R1まで徐々に増加する。これにより、ブロワ2が送風モードで使用される場合、トリガ24の押し込み量が高いほど、送風ノズル82の先端開口から吹き出る空気の流量が高くなる。
【0064】
緩和モードM2は、主に、ブロワ2を吸引モードで使用する場合に使用される。制御基板66が緩和モードM2にある場合、トリガ24が押し込まれていないとき、即ち、トリガ24の押し込み量0%であるとき、センサ32のスイッチ32aの押し込み量が0%であり、モータ62の回転数はゼロである。トリガ24の押し込み量が0%から最大の100%に増加するとともに、即ち、センサ32のスイッチ32aの押し込み量が0%から100%に増加するとともに、モータ62の回転数が目標回転数R2まで徐々に増加する。これにより、ブロワ2が吸引モードで使用される場合、トリガ24の押し込み量が高いほど、吸引ノズル92の先端開口に吸引される空気の流量が高くなる。このため、トリガ24の押し込み量が高いほど、吸引物を吸引する力が高くなる。なお、目標回転数R2は、通常モードM1における最大回転数R1の例えば70%以下である。変形例では、目標回転数R2は、最大回転数R1の例えば50%以下である。
【0065】
緩和モードM2において、モータ62が目標回転数R2で回転している場合、ブロワ2は、落ち葉等の比較的に軽い吸引物(例えば5g以下の吸引物)を吸引する一方、小石等の比較的に重い吸引物(例えば5g以上の吸引物)を吸引しない。緩和モードM2において、モータ62が目標回転数R2で回転している場合、ブロワ2の吸込み仕事率は、50から100Wである。ここで、吸込み仕事率は、吸込み空気量と、吸込み圧力と、所定の係数を乗算することによって算出される数値である。
【0066】
本実施例では、ブロワ2は、ケーシング4と、モータ62と、遠心ファン70と、制御基板66と、を備えている。ケーシング4は、開口59を介して連通するモータ収容室52とファン収容室50とを内部に有する。図3に示すように、モータ62は、モータ収容室52に配置されており、回転軸62aが開口59に挿通している。遠心ファン70は、ファン収容室50に配置されており、モータ62の駆動により回転軸62aを中心にして回転する。制御基板66は、モータ収容室52に配置されており、モータ62の駆動を制御する。ケーシング4は、モータ収容室52とファン収容室50とを連通しており、開口59から離れて配置されている連通孔84をさらに有している。この構成では、ファン収容室50の圧力がモータ収容室52の圧力よりも高くなる場合、空気は、連通孔84を通過してファン収容室50からモータ収容室52に流れるとともに、開口59を通過してモータ収容室52からファン収容室50に流れる。このため、ファン収容室50の圧力がモータ収容室52の圧力よりも高くなる場合でも、モータ収容室52を空気が流れるようになり、制御基板66は、その空気によって十分に冷却される。この結果、制御基板66が高温となることを抑制することができる。
【0067】
また、図3に示すように、連通孔84は、回転軸62aの方向に関して、遠心ファン70と重なり合って配置されている。この構成では、遠心ファン70は径方向外側に向けて空気を送り出す。このため、連通孔84を、回転軸62aの方向に関して、遠心ファン70と重なって配置することによって、遠心ファン70によって送り出された空気が、連通孔84を通過しファン収容室50からモータ収容室52に流れることを抑制することができる。これにより、ブロワ2の吹き出し流量の低下を抑制することができる。
【0068】
また、ブロワ2は、モータ62に電力を供給するバッテリBをさらに備えている。この構成では、外部電源が存在しない作業区域でも、ブロワ2を使用することができる。
【0069】
また、バッテリBは、制御基板66に近接して配置されている。この構成では、バッテリBと制御基板66とを接続する配線の長さを短くすることができる。これにより、配線の取り回しを良くすることができる。
【0070】
ブロワ2は、モータ収容室52に配置されており、モータ収容室52を流れる空気を案内する放熱フィン68をさらに備えている。放熱フィン68は、制御基板66上に配置されている。この構成では、空気は、放熱フィン68に案内されて、制御基板66上を流れる。これにより、制御基板66を効率良く冷却することができる。この結果、制御基板66が高温となることを抑制することができる。
【0071】
また、図3に示すように、ブロワ2は、回転軸62aの方向に関して、開口59と遠心ファン70との間に配置されている冷却ファン72をさらに備えている。冷却ファン72は、遠心ファン70とともに回転する。この構成では、冷却ファン72が回転すると、冷却ファン72の近傍の空間の圧力が低くなる。これにより、開口59を介してモータ収容室52からファン収容室50に空気を効率良く流すことができる。このため、モータ収容室52を流れる空気の流量が増加し、制御基板66が効率良く冷却される。この結果、制御基板66が高温となることを抑制することができる。
【0072】
また、図5に示すように、ケーシング4は、遠心ファン70によって送り出された空気をケーシング4の外部に吐出する吐出口58を有する。ブロワ2は、吐出口58から吐出された空気が流れる送風ノズル82をさらに備えている。送風ノズル82は、長尺ノズルである。一般的に、送風ノズルとして長尺ノズルが使用される場合、遠心ファン70が回転している状態において、ファン収容室50の圧力が高くなる。このため、ブロワ2が連通孔84を備えていない構成では、ファン収容室50の圧力がモータ収容室52の圧力よりも高くなる場合、開口59を通過してモータ収容室52からファン収容室50に空気が流れ難くなることがある。この結果、制御基板66が十分に冷却されずに高温となるおそれがある。上記の構成では、連通孔84がモータ収容室52とファン収容室50とを連通しているので、送風ノズル82として長尺ノズルが使用される場合でも、モータ収容室52を十分な空気が流れ、制御基板66が十分に冷却される。このため、制御基板66が高温となることを抑制することができる。
【0073】
また、図3に示すように、制御基板66は、モータ収容室52を連通孔84からモータ62に向かって流れる空気の流れ流路に配置されている。この構成では、空気は、制御基板66上を流れる。これにより、制御基板66を効率良く冷却することができる。この結果、制御基板66が高温となることを抑制することができる。
【0074】
また、図3に示すように、ブロワ2は、モータ62を収容するモータハウジング64をさらに備えている。モータハウジング64は、モータハウジング64の内部に吸気するモータ吸気口78を有する。制御基板66は、連通孔84とモータ吸気口78とを結ぶ仮想線上に配置されている。この構成では、制御基板66は、連通孔84とモータ吸気口78の間の最短距離上に配置されている。このため、制御基板66を効率良く冷却することができる。この結果、制御基板66が高温となることを抑制することができる。
【0075】
本実施例では、ブロワ2は、モータ62と、遠心ファン70と、ケーシング4と、トリガ24と、制御基板66と、を備えている。遠心ファン70は、モータ62の回転により回転軸62aを中心にして回転する。ケーシング4は、モータ62と遠心ファン70とを収容しており、遠心ファン70の回転に伴い吸気口54から吐出口58に空気を案内する。トリガ24は、作業者によって押し込まれる。制御基板66は、モータ62の駆動を制御する。図8に示すように、制御基板66は、トリガ24の押し込み量に応じてモータ62の回転数を調整する通常モードM1と、通常モードM1でのトリガ24の押し込み量が最大量である場合のモータ62の最大回転数R1よりも低い目標回転数R2にモータ62の回転数を調整する緩和モードM2と、を備えている。この構成では、緩和モードM2におけるモータ62の目標回転数R2は、通常モードM1におけるモータ62の最大回転数R1よりも低い。このため、緩和モードM2における遠心ファン70の回転数は、通常モードM1における遠心ファン70の回転数よりも低い。この結果、緩和モードM2におけるブロワ2の吸引力は、通常モードM1におけるブロワ2の吸引力よりも小さい。これにより、緩和モードM2では、通常モードM1よりも小石の吸引を抑制することができる。この結果、制御基板66を緩和モードM2にすることによって、安定して小石の吸引を抑制することができる。
【0076】
また、図8に示すように、制御基板66が緩和モードM2にある場合、トリガ24の押し込み量が最大量まで増加するとともに、モータ62の回転数が目標回転数R2まで徐々に増加する。この構成では、トリガ24の押し下げ量によって、吸気口54に吸引される空気の流量が変化する。このため、作業区域の状態に応じて、モータ62の回転数、即ち吸気口54に吸引される空気の流量を自由に調整することができる。
【0077】
また、ブロワ2は、制御基板66の通常モードM1と緩和モードM2とを切り替えるスイッチ42をさらに備えている。この構成では、作業者は、主電源スイッチ42を押す簡単な操作によって、通常モードM1と緩和モードM2を切り替えることができる。
【0078】
また、スイッチ42は、モータ62が駆動することを許容するオン状態と、モータ62が駆動することを禁止するオフ状態とを切り替える主電源スイッチ42である。主電源スイッチ42が長押しされる場合、制御基板66の通常モードM1と緩和モードM2とが切り替わる。この構成では、作業者は、主電源スイッチ42によって、ブロワ2のオン状態とオフ状態の切替操作と、通常モードM1と緩和モードM2の切替操作を行うことができる。このため、通常モードM1と緩和モードM2を切り替える切替スイッチを別途設置せずに済む。
【0079】
また、ブロワ2は、制御基板66が緩和モードM2にあることを表示可能な表示部44をさらに備えている。この構成では、作業者は、表示部44に表示される表示によって、制御基板66が緩和モードM2にあるか否かを容易に確認することができる。
【0080】
また、図4に示すように、金属板67は、メインケーシング6の左側面と制御基板66との間に配置されている。金属板67は、図示省略の配線を介して、メイングリップ14に接続されている。ブロワ2では、遠心ファン70が回転すると、メインケーシング6に静電気が蓄積する。このため、例えば、メインケーシング6の左側面と制御基板66との間に金属板67等の金属材料が配置されていない場合、メインケーシング6に蓄積した静電気によって、制御基板66が誤動作することがある。上記の構成では、メインケーシング6に蓄積した静電気は、金属板67から、配線、メイングリップ14、メイングリップ14を把持する作業者の身体を介して地面に移動する。これにより、制御基板66が静電気の影響により誤動作することを抑制することができる。
【0081】
(対応関係)
モータ収容室52が「第1収容室」の一例であり、ファン収容室50が「第2収容室」の一例である。
【0082】
(第2実施例)
図9を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点を説明し、第1実施例と同様の点については説明を省略する。第2実施例では、制御基板66が実行する緩和モードM3が、第1実施例の緩和モードM2と異なる。図9に示すように、制御基板66が緩和モードM3にある場合、トリガ24の押し込み量によらず、モータ62の回転数が目標回転数R3で一定である。また、トリガ24が押し込まれていない場合でも、モータ62の回転数が目標回転数R3で一定である。このため、制御基板66が緩和モードM3にある場合、トリガ24の押し込み量によらず、遠心ファン70の回転数が一定となる。なお、目標回転数R3は、通常モードM1における最大回転数R1の例えば70%以下である。変形例では、目標回転数R3は、最大回転数R1の例えば50%以下である。
【0083】
本実施例では、図9に示すように、制御基板66が緩和モードM3にある場合、トリガ24の押し込み量によらず、モータ62の回転数が目標回転数R3で一定である。この構成では、トリガ24の押し込み量によらず、遠心ファン70の回転数が一定となり、吸引する力を一定することができる。これにより、作業者は、ブロワ2を使用して、容易に吸引作業を行うことができる。
【0084】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0085】
一実施形態に係る連通孔84は、遠心ファン70よりも回転軸62aの径方向外側に配置されていてもよい。
【0086】
一実施形態に係るブロワ2は、放熱フィン68を備えていなくてもよい。
【0087】
一実施形態に係るブロワ2は、外部電源にコードを介して電気的に接続されてもよい。
【0088】
一実施形態に係る冷却ファン72は、モータ収容室52に配置されていてもよい。
【0089】
一実施形態に係るブロワ2は、主電源スイッチ42の他に、制御基板66を通常モードM1と緩和モードM2とに切り替える切替スイッチを備えていてもよい。切替スイッチは、ボタン式であってもよく、ダイヤル式であってもよい。
【0090】
一実施形態に係るブロワ2では、制御基板66が緩和モードM3にある場合、トリガ24が押し込まれていないときには、モータ62の回転数がゼロであってもよい。
【0091】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0092】
2 :ブロワ
4 :ケーシング
6 :メインケーシング
8 :サイドケーシング
20 :吸気口
24 :トリガ
26 :クルーズバルブ
42 :主電源スイッチ
44 :表示部
50 :ファン収容室(第2収容室)
52 :モータ収容室(第1収容室)
54 :吸気口
58 :吐出口
59 :開口
62 :モータ
62a :回転軸
64 :モータハウジング
66 :制御基板
67 :金属板
68 :放熱フィン
70 :遠心ファン
72 :冷却ファン
78 :モータ吸気口
79 :モータ吐出口
82 :送風ノズル
84 :連通孔
92 :吸引ノズル
B :バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9