(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】光制御装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20231016BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20231016BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20231016BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231016BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1345
G02F1/1347
F21S2/00 400
G02F1/1343
(21)【出願番号】P 2019210699
(22)【出願日】2019-11-21
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(72)【発明者】
【氏名】三井 雅志
(72)【発明者】
【氏名】黒川 多惠
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-086539(JP,A)
【文献】特開2010-230887(JP,A)
【文献】特開2007-264321(JP,A)
【文献】特開平02-113224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1343
G02F 1/1345
G02F 1/1347
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御電極を備えた第1液晶セルと、
第2制御電極を備えた第2液晶セルと、を備え、
前記第2液晶セルは、前記第1液晶セルに重畳し、
前記第1制御電極及び前記第2制御電極は、透明電極であり、
前記第1制御電極は、第1方向に対して第1角度で交差する第1セグメントと、前記第1方向に対して第2角度で交差する第2セグメントと、前記第1方向に対して第3角度で交差する第3セグメントと、を備え、
前記第2制御電極は、前記第1方向に対して第4角度で交差する第4セグメントと、前記第1方向に対して第5角度で交差する第5セグメントと、前記第1方向に対して第6角度で交差する第6セグメントと、を備え、
前記第1乃至第6角度は、互いに異なる角度である、光制御装置。
【請求項2】
前記第1角度と前記第4角度との差分、前記第2角度と前記第5角度との差分、及び、前記第3角度と前記第6角度との差分は、ほぼ同等である、請求項
1に記載の光制御装置。
【請求項3】
前記第1乃至第3角度は、少なくとも1つの第1鋭角と、少なくとも1つの第1鈍角とを含み、
前記第4乃至第6角度は、少なくとも1つの第2鋭角と、少なくとも1つの第2鈍角とを含んでいる、請求項
2に記載の光制御装置。
【請求項4】
前記第1鈍角は、前記第1鋭角の整数倍であり、
前記第2鈍角は、前記第2鋭角の整数倍である、請求項
3に記載の光制御装置。
【請求項5】
前記第1液晶セルにおいて、前記第1セグメントの長さの総和、前記第2セグメントの長さの総和、及び、前記第3セグメントの長さの総和は、ほぼ同等であり、
前記第2液晶セルにおいて、前記第4セグメントの長さの総和、前記第5セグメントの長さの総和、及び、前記第6セグメントの長さの総和は、ほぼ同等である、請求項
1乃至
4のいずれか1項に記載の光制御装置。
【請求項6】
さらに、前記第1液晶セルと前記第2液晶セルとを接着する透明な接着層を備えている、請求項
1乃至
5のいずれか1項に記載の光制御装置。
【請求項7】
前記第1液晶セルは第1液晶層を備え、前記第2液晶セルは第2液晶層を備え、
前記第1液晶層における初期配向方向は、前記第2液晶層における初期配向方向と交差している、請求項
1乃至
6のいずれか1項に記載の光制御装置。
【請求項8】
第1有効領域に設けられた複数の第1制御電極と、前記第1有効領域に隣接する第2有効領域に設けられた複数の第2制御電極と、を備えた第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備え、
前記第1制御電極及び前記第2制御電極は、透明電極であり、
前記第1制御電極は、前記第2制御電極から離間し、
前記第1制御電極は、第1方向に対して第1角度で交差する第1セグメントと、前記第1方向に対して第2角度で交差する第2セグメントと、前記第1方向に対して第3角度で交差する第3セグメントと、を備え、
前記第2制御電極は、前記第1方向に対して第4角度で交差する第4セグメントと、前記第1方向に対して第5角度で交差する第5セグメントと、前記第1方向に対して第6角度で交差する第6セグメントと、を備え、
前記第1乃至第6角度は、互いに異なる角度である、光制御装置。
【請求項9】
前記第1基板は、さらに、
周辺領域において前記第1方向に並んだ複数の第1給電線と、
前記周辺領域において第2方向に並んだ複数の第2給電線と、を備え、
前記第1制御電極は、前記周辺領域に延出し、前記第1給電線と電気的に接続され、
前記第2制御電極は、前記周辺領域に延出し、前記第2給電線と電気的に接続されている、請求項
8に記載の光制御装置。
【請求項10】
光源と、
前記光源から出射された光を制御するように構成された請求項1乃至
9のいずれかに記載の光制御装置と、
を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光制御装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源から出射された光の経路を制御する液晶レンズが種々提案されている。一例では、複数の円弧電極と、円弧電極に接続された引出電極とを備える液晶レンズが開示されている。また、他の例では、複数の液晶レンズが重なり、一方の液晶レンズの帯状電極と、他方の液晶レンズの帯状電極とがずれて重なり、疑似的に帯状電極を微細配置する技術が知られている。それぞれの帯状電極に接続される引出電極は、液晶レンズが形成される有効領域に設けられ、液晶レンズを形成するための電界を乱す一因となりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-317879号公報
【文献】特開2010-230887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、無効領域を縮小することが可能な光制御装置及び照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の光制御装置は、
有効領域に設けられた複数の第1制御電極と、周辺領域に設けられた複数の給電線と、を備えた第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備え、前記第1制御電極は、透明電極であり、前記第1制御電極は、前記有効領域において、第1方向に対して第1角度で交差する第1セグメントと、前記第1方向に対して第2角度で交差する第2セグメントと、前記第1方向に対して第3角度で交差する第3セグメントと、を備え、前記第1制御電極は、前記周辺領域に延出し、前記給電線と電気的に接続され、前記第1乃至第3角度は、互いに異なる角度である。
本実施形態の照明装置は、
第1制御電極を備えた第1液晶セルと、第2制御電極を備えた第2液晶セルと、を備え、前記第2液晶セルは、前記第1液晶セルに重畳し、前記第1制御電極及び前記第2制御電極は、透明電極であり、前記第1制御電極は、第1方向に対して第1角度で交差する第1セグメントと、前記第1方向に対して第2角度で交差する第2セグメントと、前記第1方向に対して第3角度で交差する第3セグメントと、を備え、前記第2制御電極は、前記第1方向に対して第4角度で交差する第4セグメントと、前記第1方向に対して第5角度で交差する第5セグメントと、前記第1方向に対して第6角度で交差する第6セグメントと、を備え、前記第1乃至第6角度は、互いに異なる角度である。
本実施形態の照明装置は、
第1有効領域に設けられた複数の第1制御電極と、前記第1有効領域に隣接する第2有効領域に設けられた複数の第2制御電極と、を備えた第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された第1液晶層と、を備え、前記第1制御電極及び前記第2制御電極は、透明電極であり、前記第1制御電極は、前記第2制御電極から離間し、前記第1制御電極は、第1方向に対して第1角度で交差する第1セグメントと、前記第1方向に対して第2角度で交差する第2セグメントと、前記第1方向に対して第3角度で交差する第3セグメントと、を備え、前記第2制御電極は、前記第1方向に対して第4角度で交差する第4セグメントと、前記第1方向に対して第5角度で交差する第5セグメントと、前記第1方向に対して第6角度で交差する第6セグメントと、を備え、前記第1乃至第6角度は、互いに異なる角度である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態の照明装置100の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1液晶セル10の一構成例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1液晶セル10に形成される液晶レンズLL1を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1液晶セル10の一構成例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、第1制御電極E1の各セグメントにおける光の変調作用を説明するための図である。
【
図6】
図6は、光制御装置200の一構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、光制御装置200を構成する第1液晶セル10及び第2液晶セル20の他の構成例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第2制御電極E2の他の構成例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
【
図12】
図12は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の照明装置100の一構成例を示す図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。本実施形態においては、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面を見ることを平面視という。
【0009】
照明装置100は、光源LSと、光源LSから出射された光を制御するように構成された光制御装置200と、制御部CTと、を備えている。光源LSは、第3方向Zに向かって光を出射する。光源LSから出射される光は、例えば、自然光である。光制御装置200は、第3方向Zにおいて光源LSに重畳している。光制御装置200は、第1液晶セル10と、第2液晶セル20と、を備えている。第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、実質的に同一の構成要素を有するものであってもよいし、異なる構成要素を有するものであってもよい。
【0010】
第1液晶セル10は、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、第1液晶層LC1と、を備えている。第1基板SUB1は、絶縁基板11と、絶縁基板11上に設けられた複数の第1制御電極E1と、第1制御電極E1を覆う配向膜AL1と、を備えている。第2基板SUB2は、絶縁基板12と、絶縁基板12上に設けられた第1共通電極C1と、第1共通電極C1を覆う配向膜AL2と、を備えている。第1共通電極C1は、複数の第1制御電極E1に対向している。
第2液晶セル20は、第3基板SUB3と、第4基板SUB4と、第2液晶層LC2と、を備えている。第3基板SUB3は、絶縁基板21と、絶縁基板21上に設けられた複数の第2制御電極E2と、第2制御電極E2を覆う配向膜AL3と、を備えている。第4基板SUB4は、絶縁基板22と、絶縁基板22上に設けられた第2共通電極C2と、第2共通電極C2を覆う配向膜AL4と、を備えている。第2共通電極C2は、複数の第2制御電極E2に対向している。
【0011】
絶縁基板11及び12、及び、絶縁基板21及び22は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透明基板である。
第1制御電極E1、第2制御電極E2、第1共通電極C1、及び、第2共通電極C2は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。第1制御電極E1及び第2制御電極E2の具体的な形状等については、後述する。
【0012】
配向膜AL1乃至AL4は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。例えば、配向膜AL1の配向処理方向AD1及び配向膜AL2の配向処理方向AD2は、いずれも第1方向Xに平行であり、互いに逆向きである。また、配向膜AL3の配向処理方向AD3及び配向膜AL4の配向処理方向AD4は、いずれも第2方向Yに平行であり、互いに逆向きである。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
【0013】
第1液晶層LC1は、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間において配向膜AL1及びAL2によって保持され、第1方向Xに沿って初期配向した液晶分子LM1を有している。第2液晶層LC2は、第3基板SUB3と第4基板SUB4との間において配向膜AL3及びAL4によって保持され、第2方向Yに沿って初期配向した液晶分子LM2を有している。つまり、液晶分子LM1の初期配向方向は、液晶分子LM2の初期配向方向に交差している。なお、初期配向とは、液晶層に電圧が印加されていない状態での液晶分子の配向に相当し、あるいは、液晶層を挟持する一対の配向膜による配向規制力による液晶分子の配向に相当する。これらの第1液晶層LC1及び第2液晶層LC2は、例えば、正の誘電率異方性を有しているが、負の誘電率異方性を有していてもよい。
【0014】
第2液晶セル20は、第3方向Zにおいて第1液晶セル10の上に重畳している。絶縁基板12と絶縁基板21とは、透明な接着層ADによって互いに接着されている。接着層ADの屈折率は、絶縁基板12及び21の屈折率と同等である。一方で、絶縁基板11の外面11A及び絶縁基板22の外面22Aは、それぞれ空気層に接している。外面22Aには、必要に応じて、外光による液晶層の劣化を抑制する紫外線カット層が設けられてもよいし、液晶分子の配向ムラの影響を緩和するための拡散層が設けられてもよいし、外面22Aが艶消し処理されてもよい。
【0015】
制御部CTは、光源制御部LCTと、電圧制御部DCT1及びDCT2と、を備えている。光源制御部LCTは、例えば光源LSを駆動する電流値を制御する。電圧制御部DCT1は、第1液晶セル10において第1制御電極E1及び第1共通電極C1に印加すべき電圧を制御する。電圧制御部DCT2は、第2液晶セル20において第2制御電極E2及び第2共通電極C2に印加すべき電圧を制御する。
【0016】
このような光制御装置200は、光源LSが絶縁基板11の外面11Aと向かい合うように設けられる。つまり、外面11Aは、自然光の入射面となる。第1液晶セル10は、主として、入射した自然光のうちの第1偏光成分(P偏光)POL1を変調するものである。
図1に示す座標系において、第1偏光成分POL1とは、第1方向Xに振動面を有する直線偏光である。第2液晶セル20は、主として、第1液晶セル10を透過した第2偏光成分(S偏光)POL2を変調するものである。第2偏光成分POL2とは、第2方向Yに振動面を有する直線偏光である。
【0017】
ここでの変調とは、液晶層に形成される屈折率分布型レンズ(以下、液晶レンズと称する)により、液晶層を透過する偏光成分を屈折、集束または発散することをいう。集束または発散の度合い(変調率)は、液晶層に印加される電圧によって制御される。つまり、第1液晶セル10における第1偏光成分の変調率は、電圧制御部DCT1によって制御され、第2液晶セル20における第2偏光成分の変調率は、電圧制御部DCT2によって制御される。電圧制御部DCT1及び電圧制御部DCT2は、同一の電圧条件で制御してもよいし、異なる電圧条件で制御してもよい。また、電圧制御部DCT1及び電圧制御部DCT2の各々は、凸レンズ型の液晶レンズ、凹レンズ型の液晶レンズ、あるいは、その他の形状の液晶レンズを形成するような電圧条件で制御してもよい。
【0018】
図2は、第1液晶セル10の一構成例を示す断面図である。ここでは、第1液晶セル10について説明するが、第2液晶セル20も第1液晶セル10と同様の断面構造を有しており、その説明については省略する。
第1液晶セル10は、透過する偏光成分を変調する有効領域A11と、有効領域A11の外側の周辺領域A12と、を有している。第1基板SUB1において、複数の第1給電線PL1、及び、コモン配線CL1は、周辺領域A12に設けられ、絶縁膜ILによって覆われている。複数の第1制御電極E1は、有効領域A11に設けられ、絶縁膜ILの上に位置し、配向膜AL1によって覆われている。第1制御電極E1、給電線PL1、及び、コモン配線CL1は、
図1に示した電圧制御部DCT1に電気的に接続されている。
【0019】
第2基板SUB2において、遮光層BMは、周辺領域A12に設けられている。遮光層BMで囲まれた内側の領域が有効領域A11に相当する。第1共通電極C1は、有効領域A11の略全面に位置するとともにその一部が周辺領域A12にも延在した単一の平板電極である。第1共通電極C1は、有効領域A11において、第1液晶層LC1を介して複数の第1制御電極E1と対向している。第1共通電極C1は、周辺領域A12において、複数の給電線PL1及びコモン配線CL1と対向している。
第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、周辺領域A12において、シールSEによって接着されている。シールSEは、導通材CDを備えている。導通材CDは、コモン配線CL1と第1共通電極C1との間に介在し、コモン配線CL1と第1共通電極C1とを電気的に接続している。
【0020】
図3は、第1液晶セル10に形成される液晶レンズLL1を説明するための図である。
図3においては、説明に必要な構成のみを図示している。なお、説明を省略するが、第2液晶セル20においても、
図3を参照して説明する液晶レンズLL1と同様の液晶レンズLL2を形成することができる。
【0021】
図3の(A)は、第1制御電極E11乃至E15と、第1共通電極C1との間に電位差が生じていないオフ状態(OFF)を示している。第1液晶層LC1に含まれる液晶分子LM1は、配向膜AL1及びAL2の配向規制力により、初期配向している。
【0022】
図3の(B)は、第1制御電極E11乃至E15と、第1共通電極C1との間に電位差が形成されたオン状態(ON)を示している。電圧制御部DCT1は、第1制御電極E11乃至E15、及び、第1共通電極C1にそれぞれ所定の電圧を供給する。第1液晶層LC1は、上記の通り、正の誘電率異方性を有している。このため、液晶分子LM1は、電界が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向する。
【0023】
第1制御電極E11及びE15の各々と第1共通電極C1とが対向する領域には、第3方向Zに沿った電界が形成されるため、液晶分子LM1は、その長軸が第3方向Zに沿うように配向する。第1制御電極E13と第1共通電極C1とが対向する領域には、ほとんど電界が形成されず、液晶分子LM1は、初期配向状態に維持される。第1制御電極E12と第1共通電極C1とが対向する領域には、第1制御電極E11と第1共通電極C1とが対向する領域と、第1制御電極E13と第1共通電極C1とが対向する領域との中間の配向状態が形成される。第1制御電極E14と第1共通電極C1とが対向する領域には、第1制御電極E15と第1共通電極C1とが対向する領域と、第1制御電極E13と第1共通電極C1とが対向する領域との中間の配向状態が形成される。
【0024】
液晶分子LM1は、屈折率異方性Δnを有している。このため、第1液晶層LC1は、液晶分子LM1の配向状態に応じた屈折率分布を有する。あるいは、第1液晶層LC1は、第1液晶層LC1の第3方向Zに沿った厚さをdとしたとき、Δn・dで表されるリタデーションの分布を有する。図中に点線で示した液晶レンズLL1は、このような屈折率分布、または、リタデーションの分布によって形成されるものである。
【0025】
図3の(A)に示すオフ状態では、第1液晶層LC1は、ほぼ均一な屈折率分布を有し、液晶レンズが形成されていない。このため、第1偏光成分POL1は、変調されることなく第1液晶層LC1を透過する。
図3の(B)に示すオン状態では、上記の通り、第1液晶層LC1は、液晶レンズLL1を有する。このため、第1偏光成分POL1は、第1液晶層LC1を透過する際に変調される。
【0026】
図4は、第1液晶セル10の一構成例を示す平面図である。なお、
図4においては、第1液晶セル10の主要部のみを図示している。
複数の給電線PL1は、周辺領域A12において、第1方向Xに並んでいる。これらの給電線PL1の各々は、端子部A13に延出している。端子部A13は、詳述しないが、給電線PL1の各々と接続された複数の端子を備え、フレキシブル配線基板などと電気的に接続される。
複数の第1制御電極E1は、ほぼ同一の形状を有し、有効領域A11において、第2方向Yに並んでいる。複数の第1制御電極E1の各々は、周辺領域A12に延出し、給電線PL1のいずれかと電気的に接続されている。
【0027】
第1制御電極E1の形状について説明する。例えば、第1液晶セル10の一辺の延出方向に平行な第1方向Xを基準としたとき、第1制御電極E1は、第1方向Xに対して異なる角度で交差する複数のセグメントを備えている。なお、第1方向Xに対する各セグメントのなす角度θは、X-Y平面において、第1方向Xを基準として反時計回りの角度として定義する。
【0028】
図4において拡大して示す例では、第1制御電極E1は、有効領域A11において、第1セグメントSG1と、第2セグメントSG2と、第3セグメントSG3と、を備えている。第1セグメントSG1は、第1方向Xに対して第1角度θ1で交差する方向に延出している。第2セグメントSG2は、第1方向Xに対して第2角度θ2で交差する方向に延出している。第3セグメントSG3は、第1方向Xに対して第3角度θ3で交差する方向に延出している。第1角度θ1、第2角度θ2、及び、第3角度θ3は、互いに異なる角度である。一例では、第1角度θ1は60°であり、第2角度θ2は0°であり、第3角度θ3は120°である。他の例では、第1角度θ1は30°であり、第2角度θ2は0°であり、第3角度θ3は150°である。
【0029】
これらの第1角度θ1、第2角度θ2、及び、第3角度θ3は、少なくとも1つの鋭角と、少なくとも1つの鈍角とを含んでいる。上記の例では、第1角度θ1は鋭角であり、第3角度θ3は鈍角である。
【0030】
また、鈍角は、鋭角の整数倍である。上記の一例では、第3角度θ3(=120°)は、第1角度θ1(60°)の2倍に相当し、上記の他の例では、第3角度θ3(=150°)は、第1角度θ1(30°)の5倍に相当する。
【0031】
有効領域A11において、第1セグメントSG1の長さL1の総和、第2セグメントSG2の長さL2の総和、及び、第3セグメントSG3の長さL3の総和は、ほぼ同等であることが望ましい。例えば、長さL1乃至L3が等しい場合、第1制御電極E1が備える第1セグメントSG1の個数、第2セグメントSG2の個数、及び、第3セグメントSG3の個数は、等しい。
【0032】
図5は、第1制御電極E1の各セグメントにおける光の変調作用を説明するための図である。
図5の(A)は、複数の第1セグメントSG1が略等ピッチで並んで構成されるセグメント群GP1の変調作用を示している。
図5の(B)は、複数の第2セグメントSG2が略等ピッチで並んで構成されるセグメント群GP2の変調作用を示している。
図5の(C)は、複数の第3セグメントSG3が略等ピッチで並んで構成されるセグメント群GP3の変調作用を示している。
【0033】
図4に示した第1液晶セル10において、第1液晶層LC1の液晶分子LM1が第1方向Xに初期配向している場合、第1偏光成分POL1は、セグメント群GP1乃至GP3の各々を透過した際に、各セグメントの延出方向に対してほぼ直交する方向に発散される。
例えば、
図5の(A)に示すように、第1セグメントSG1が第1方向Xに対して60°の第1角度θ1の方向に延出している場合、セグメント群GP1を透過する第1偏光成分POL1は、X-Y平面において、150°-330°方位に発散される。
図5の(B)に示すように、第2セグメントSG2が第1方向Xに対して0°の第2角度θ2の方向に延出している場合、セグメント群GP2を透過する第1偏光成分POL1は、X-Y平面において、90°-270°方位に発散される。
図5の(C)に示すように、第3セグメントSG3が第1方向Xに対して120°の第3角度θ3の方向に延出している場合、セグメント群GP3を透過する第1偏光成分POL1は、X-Y平面において、30°-210°方位に発散される。
したがって、
図5の(D)に示すように、第1偏光成分POL1は、X-Y平面において6方位に発散される。
【0034】
図6は、光制御装置200の一構成例を示す図である。なお、
図6においては、説明に必要な主要部のみを図示している。第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、第3方向Zにおいて重畳している。
第1液晶セル10の構成については、
図4を参照して説明した通りである。
第2液晶セル20は、実質的に第1液晶セル10と同様に構成されている。第2液晶セル20は、透過する偏光成分を変調する有効領域A21と、有効領域A21の外側の周辺領域A22と、を有している。第3方向Zにおいて、有効領域A21は有効領域A11に重畳し、周辺領域A22は周辺領域A12に重畳している。
【0035】
複数の給電線PL2は、周辺領域A22において、第1方向Xに並んでいる。これらの給電線PL2の各々は、端子部A23に延出し、フレキシブル配線基板などと電気的に接続される。複数の第2制御電極E2は、ほぼ同一の形状を有し、有効領域A21において、第2方向Yに並んでいる。複数の第2制御電極E2の各々は、周辺領域A22に延出し、給電線PL2のいずれかと電気的に接続されている。第2制御電極E2の形状は、第1制御電極E1の形状と同一であり、説明を省略する。このような第2制御電極E2は、一例では、平面視において第1制御電極E1に重畳している。
なお、第2制御電極E2は、平面視において第1制御電極E1に対して第1方向X及び第2方向Yの少なくとも一方向にずれて配置されてもよいし、平面視において第1制御電極E1に対してθ方向にずれて配置されてもよい。
【0036】
第1液晶セル10における配向膜AL1の配向処理方向AD1及び配向膜AL2の配向処理方向AD2は、第2液晶セル20における配向膜AL3の配向処理方向AD3及び配向膜AL4の配向処理方向AD4と互いにほぼ直交している。但し、配向処理方向AD1乃至AD4は、図示した例に限らない。
光制御装置200に入射する自然光は、第1偏光成分POL1及び第2偏光成分POL2を含んでいる。第1偏光成分POL1及び第2偏光成分POL2のうちの一方の偏光成分は、
図5を参照して説明したように、主として第1液晶セル10で複数の方位に変調され、同様に、他方の偏光成分は、主として第2液晶セル20で複数の方位に変調される。
【0037】
このような光制御装置200によれば、自然光のうちの一方の偏光成分を主として変調するための第1液晶セル10、及び、自然光のうちの他方の偏光成分を主として変調するための第2液晶セル20は、配向処理方向以外は、同一仕様で構成することができる。このため、第1液晶セル10及び第2液晶セル20を重畳することで、自然光を変調(集束または発散)する光制御装置200を提供することができる。
【0038】
また、第1液晶セル10の第1制御電極E1は周辺領域A12において給電線PL1と電気的に接続され、また、第2液晶セル20の第2制御電極E2は周辺領域A22において給電線PL2と電気的に接続されている。このため、有効領域A11及びA12には、給電線PL1及びPL2のいずれも設けられず、第1制御電極E1及び第2制御電極E2の欠損部が存在しない。したがって、有効領域A11及びA12において、液晶レンズの形成に寄与しない無効領域を縮小することができる。
【0039】
また、第1制御電極E1及び第2制御電極E2の各々は、直線状に延出した複数のセグメントによって構成され、各セグメントの延出方向にほぼ直交する方向に偏光成分を変調することができる。これにより、所望の液晶レンズを形成することができる。一例では、第1制御電極E1及び第2制御電極E2がN種類のなす角度で交差するN個のセグメントを備えている場合、各セグメントの第1方向Xに対するなす角度は(180°/N)のピッチに設定されることが望ましい。これにより、複数の方位において均一な配光が実現できる。
【0040】
また、各セグメントの長さの総和がほぼ同等であるため、各セグメント群による偏光成分の変調度合を同等に揃えることができる。
【0041】
図7は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
図7に示す構成例は、
図6に示した構成例と比較して、第2制御電極E2が第1制御電極E1と交差するように設けられた点で相違している。
【0042】
複数の給電線PL2は、周辺領域A22において、第2方向Yに並んでいる。複数の第2制御電極E2は、ほぼ同一の形状を有し、有効領域A21において、第1方向Xに並んでいる。複数の第2制御電極E2の各々は、周辺領域A22に延出し、給電線PL2のいずれかと電気的に接続されている。
【0043】
第2制御電極E2の形状について説明する。第2制御電極E2は、第1方向Xに対して異なる角度で交差する複数のセグメントを備えている。
図7において拡大して示す例では、第2制御電極E2は、有効領域A21において、第4セグメントSG4と、第5セグメントSG5と、第6セグメントSG6と、を備えている。第4セグメントSG4は、第1方向Xに対して第4角度θ4で交差する方向に延出している。第5セグメントSG5は、第1方向Xに対して第5角度θ5で交差する方向に延出している。第6セグメントSG6は、第1方向Xに対して第6角度θ6で交差する方向に延出している。第4角度θ4、第5角度θ5、及び、第6角度θ6は、互いに異なる角度である。また、
図4を参照して説明した第1制御電極E1における第1角度θ1、第2角度θ2、及び、第3角度θ3は、第4角度θ4、第5角度θ5、及び、第6角度θ6のいずれとも異なる角度である。
一例では、第4角度θ4は120°であり、第5角度θ5は90°であり、第6角度θ6は60°である。
【0044】
また、第1制御電極E1と第2制御電極E2との関係に着目すると、第1角度θ1と第4角度θ4との差分、第2角度θ2と第5角度θ5との差分、及び、第3角度θ3と第6角度θ6との差分は、ほぼ同等である。例えば、第1角度θ1(=30°)と第4角度θ4(=120°)との差分、第2角度θ2(=0°)と第5角度θ5(=90°)との差分、及び、第3角度θ3(=150°)と第6角度θ6(=60°)との差分は、いずれも90°である。また、これらの角度の組み合わせの場合、第1液晶セル10及び第2液晶セル20は実質的に同一仕様で構成することができ、一方のセルを他方のセルに対して90°回転させた状態で重畳することで光制御装置200を提供することができる。
このような例は、第1制御電極E1及び第2制御電極E2が合わせて6種類のなす角度で交差する6個のセグメントを備えている場合に相当し、各セグメントの第1方向Xに対するなす角度は(180°/6=30°)のピッチに設定されている。
【0045】
また、第4角度θ4、第5角度θ5、及び、第6角度θ6は、少なくとも1つの鋭角と、少なくとも1つの鈍角とを含んでいる。上記の例では、第6角度θ6は鋭角であり、第4角度θ4は鈍角である。
また、鈍角は、鋭角の整数倍である。上記の一例では、第4角度θ4(=120°)は、第5角度θ5(60°)の2倍に相当する。
【0046】
有効領域A21において、第4セグメントSG4の長さL4の総和、第5セグメントSG5の長さL5の総和、及び、第6セグメントSG6の長さL6の総和は、ほぼ同等であることが望ましい。例えば、長さL4乃至L6が等しい場合、第2制御電極E2が備える第4セグメントSG4の個数、第5セグメントSG5の個数、及び、第6セグメントSG6の個数は、等しい。
【0047】
第1液晶セル10における配向膜AL1の配向処理方向AD1及び配向膜AL2の配向処理方向AD2は、第2液晶セル20における配向膜AL3の配向処理方向AD3及び配向膜AL4の配向処理方向AD4と互いにほぼ直交している。
【0048】
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0049】
図8は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
ここでは、光制御装置200を構成する第1液晶セル10について説明するが、第2液晶セル20は、図示した第1液晶セル10と同一仕様で構成されている。但し、第1液晶セル10における配向処理方向AD1及びAD2は、上記の構成例と同様に、第2液晶セル20における配向処理方向AD3及びAD4とは異なる。
【0050】
第1液晶セル10は、第1有効領域A111と、第2有効領域A112と、を有している。第1有効領域A111及び第2有効領域A112は、例えば第1方向Xに隣接している。複数の第1制御電極E1は、第1有効領域A111に設けられ、第2方向Yに並んでいる。複数の第2制御電極E2は、第2有効領域A112に設けられ、第1方向Xに並んでいる。第1制御電極E1の各々は、第2制御電極E2から離間している。
図8に示す例では、第1有効領域A111と第2有効領域A112との境界線Bは、点線で示すように、第2制御電極E2に沿って非直線状に形成されている。
【0051】
第1制御電極E1は、
図4を参照して説明した構成例と同様に、第1セグメントSG1と、第2セグメントSG2と、第3セグメントSG3と、を備えている。第2制御電極E2は、
図7を参照して説明した構成例と同様に、第4セグメントSG4と、第5セグメントSG5と、第6セグメントSG6と、を備えている。これらの各セグメントSG1乃至SG6は、互いに異なる方向に延出している。
【0052】
複数の第1給電線PL1は、周辺領域A12において第1方向Xに並んでいる。第1制御電極E1の各々は、周辺領域A12に延出し、第1給電線PL1のいずれかと電気的に接続されている。複数の第2給電線PL2は、周辺領域A12において第2方向Yに並んでいる。第2制御電極E2の各々は、周辺領域A12に延出し、第2給電線PL2のいずれかと電気的に接続されている。
【0053】
このように、第1液晶セル10は、3個のセグメントSG1乃至SG3を備えた第1制御電極E1と、3個のセグメントSG4乃至SG6を備えた第2制御電極E2とをそなえている。このため、第1液晶セル10および第2液晶セル20を透過する偏光成分は、X-Y平面において、12方位に発散される。これにより、より多くの方位において均一な配光が実現できる。
【0054】
図9は、光制御装置200を構成する第1液晶セル10及び第2液晶セル20の他の構成例を示す断面図である。
図9の(A)に示す構成例では、第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、同一仕様で構成される一方で、第2制御電極E2が第1制御電極E1に対してずれた状態で重畳している。
図9の(B)に示す構成例では、第1液晶セル10の第1共通電極C1が省略され、第2液晶セル20の第2共通電極C2が省略されている。このような構成例では、第1液晶セル10において隣接する第1制御電極E1の間に電界を形成するいわゆる横電界方式で液晶レンズを形成し、同様に、第2液晶セル20においても隣接する第2制御電極E2の間の電界によって液晶レンズを形成する。
図9の(C)に示す構成例では、第1液晶セル10の第1共通電極C1が第1制御電極E1と同様の形状を有するようにパターニングされ、また、第2液晶セル20の第2共通電極C2が第2制御電極E2と同様の形状を有するようにパターニングされている。
これらの構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0055】
図10は、第2制御電極E2の他の構成例を示す平面図である。
図7に示した構成例では、第4セグメントSG4、第5セグメントSG5、及び、第6セグメントSG6がこの順に並び、第2制御電極E2の繰り返し単位を構成しているが、第2制御電極E2の形状はこれに限定されない。
【0056】
図10の(A)に示す構成例では、第5セグメントSG5、第5セグメントSG5、第4セグメントSG4、第6セグメントSG6、第4セグメントSG4、及び、第6セグメントSG6がこの順に並び、第2制御電極E2の繰り返し単位を構成している。
図10の(B)に示す構成例では、第5セグメントSG5、第4セグメントSG4、第6セグメントSG6、第5セグメントSG5、第6セグメントSG6、及び、第4セグメントSG4がこの順に並び、第2制御電極E2の繰り返し単位を構成している。
図10の(C)に示す構成例では、第6セグメントSG6、第4セグメントSG4、第5セグメントSG5、第5セグメントSG5、第4セグメントSG4、及び、第6セグメントSG6がこの順に並び、第2制御電極E2の繰り返し単位を構成している。
【0057】
図10の(D)に示す構成例では、第4セグメントSG4、第5セグメントSG5、及び、第6セグメントSG6がこの順に並び、第2制御電極E2の繰り返し単位を構成している。但し、第4セグメントSG4は、第1方向Xに対して第4角度(θ4±Δθ)で交差する方向に延出している。第5セグメントSG5は、第1方向Xに対して第5角度(θ5±Δθ)で交差する方向に延出している。第6セグメントSG6は、第1方向Xに対して第6角度(θ6±Δθ)で交差する方向に延出している。一例では、Δθは、第1制御電極E1及び第2制御電極E2がN種類のなす角度で交差するN個のセグメントを備えている場合、(90°/N)で与えられる。
そして、例えば、第1の繰り返し単位においてはΔθが5°に設定され、第2の繰り返し単位においてはΔθが10°に設定され、第3の繰り返し単位においてはΔθが15°に設定されるなどして、X-Y平面におけるより多くの方位において均一な配向を実現することができる。
【0058】
いずれの構成例においても、繰り返し単位は、各セグメントの長さの総和が同等となるように形成されている。第2制御電極E2は、上記の構成例を組み合わせて構成されてもよい。なお、ここで説明した第2制御電極E2の構成例については、第1制御電極E1にも適用可能である。
【0059】
図11は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
図11の(A)及び(B)は、第1液晶セル10に設けられた第1制御電極E1の複数のセグメントと、第2液晶セル20に設けられた第2制御電極E2の複数のセグメントとの組み合わせを示している。
図11における角度は、第1方向Xに対して交差する角度を示している。
図11の(A)に示す構成例では、第1制御電極E1は、15°の方位に延出したセグメント、45°の方位に延出したセグメント、及び、75°の方位に延出したセグメントを備えている。第1制御電極E1における各セグメントの方位のピッチは、30°である。第2制御電極E2は、0°の方位に延出したセグメント、30°の方位に延出したセグメント、60°の方位に延出したセグメント、及び、90°の方位に延出したセグメントを備えている。第2制御電極E2における各セグメントの方位のピッチも、30°である。
図11の(B)に示す構成例では、第1制御電極E1は、30°の方位に延出したセグメント、60°の方位に延出したセグメント、及び、90°の方位に延出したセグメントを備えている。第2制御電極E2は、0°の方位に延出したセグメント、30°の方位に延出したセグメント、60°の方位に延出したセグメント、及び、90°の方位に延出したセグメントを備えている。
これらの構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0060】
図12は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
図12に示す構成例では、光制御装置200は、第1液晶セル10及び第2液晶セル20を備えている。ここでは、第1液晶セル10の有効領域A11及び第1制御電極E1と、第2液晶セル20の有効領域A21及び第2制御電極E2とをそれぞれ示している。
有効領域A11は、有効領域A21と実質的に同一である。つまり、有効領域A11及びA21は、同一の輪郭を有しており、また、第1制御電極E1の形状が第2制御電極E2の形状に一致している。例えば有効領域A11及びA21は、正12角形の輪郭を有している。第1制御電極E1は、第1セグメントSG1、第2セグメントSG2、及び、第3セグメントSG3を備えている。第2制御電極E2は、第1セグメントSG1に一致する第4セグメントSG4、第2セグメントSG2に一致する第5セグメントSG5、及び、第3セグメントSG3に一致する第6セグメントSG6を備えている。
【0061】
有効領域A11の輪郭のうち、第2セグメントSG2と平行な一辺を基準線BL1として表記する。基準線BL1は、第1方向Xに平行である。有効領域A21の輪郭のうち、第5セグメントSG5と平行な一辺を基準線BL2として表記する。基準線BL2は、第1方向Xに対して30°の角度で交差している。つまり、有効領域A21は、X-Y平面において、有効領域A11を30°回転させたものに相当する。有効領域A21の輪郭は、第1方向Xに平行な一辺OS2を含んでいる。一辺OS2は、基準線BL2に隣接している。
第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、有効領域A21の一辺OS2が有効領域A11の基準線BL1に重畳するように配置される。なお、有効領域A11における配向処理方向AD1及びAD2は第1方向Xに対して直交し、有効領域A21における配向処理方向AD3及びAD4は第1方向Xに平行である。
【0062】
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、有効領域A11及びA21は、同一のフォトマスクを用いたパターニングによって形成することができる。このため、第1液晶セル10及び第2液晶セル20を製造するのに際して別々のフォトマスクを用意する場合と比較して、製造コストを削減することができる。
【0063】
図13は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
図13に示す構成例では、光制御装置200は、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40を備えている。第3液晶セル30及び第4液晶セル40は、上記の第1液晶セル10及び第2液晶セル20と同様に構成されている。ここでは、第1液晶セル10の有効領域A11と、第2液晶セル20の有効領域A21と、第3液晶セル30の有効領域A31と、第4液晶セル40の有効領域A41とをそれぞれ示している。
有効領域A11、A21、A31、A41は、実質的に同一であり、同一の輪郭を有している。また、有効領域A11の第1制御電極E1の形状、有効領域A21の第2制御電極E2の形状、有効領域A31の第3制御電極E3の形状、及び、有効領域A41の第4制御電極E4の形状は、一致している。
【0064】
ここで、有効領域A11の基準線BL1、有効領域A21の基準線BL2、有効領域A31の基準線BL3、及び、有効領域A41の基準線BL4に着目する。有効領域A21は、X-Y平面において、有効領域A11を90°回転させたものに相当する。有効領域A31は、X-Y平面において、有効領域A11を180°回転させたものに相当する。有効領域A41は、X-Y平面において、有効領域A11を270°回転させたものに相当する。
有効領域A11における配向処理方向AD1及びAD2、及び、有効領域A21における配向処理方向AD3及びAD4は、第1方向Xに平行である。有効領域A31における配向処理方向AD5及びAD6、及び、有効領域A41における配向処理方向AD7及びAD8は、第1方向Xに対して直交している。
【0065】
このような光制御装置200において、第1偏光成分POL1及び第2偏光成分POL2のうちの一方の偏光成分は、主として第1液晶セル10及び第2液晶セル20によって変調され、他方の偏光成分は、主として第3液晶セル30及び第4液晶セル40によって変調される。
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0066】
図14は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
図14に示す構成例では、光制御装置200は、第1液晶セル10、第2液晶セル20、及び、第3液晶セル30を備えている。ここでは、第1液晶セル10の有効領域A11と、第2液晶セル20の有効領域A21と、第3液晶セル30の有効領域A31とをそれぞれ示している。
有効領域A11、A21、A31は、実質的に同一であり、同一の輪郭を有している。また、有効領域A11の第1制御電極E1の形状、有効領域A21の第2制御電極E2の形状、及び、有効領域A31の第3制御電極E3の形状は、一致している。
【0067】
ここで、有効領域A11の基準線BL1、有効領域A21の基準線BL2、及び、有効領域A31の基準線BL3に着目する。有効領域A21は、X-Y平面において、有効領域A11を30°回転させたものに相当する。有効領域A31は、X-Y平面において、有効領域A11を60°回転させたものに相当する。
有効領域A11における配向処理方向AD1及びAD2は、第1方向Xに平行である。有効領域A21における配向処理方向AD3及びAD4は、第1方向Xに対して直交している。有効領域A31における配向処理方向AD5及びAD6は、第1方向Xに対して135°で交差している。
【0068】
このような光制御装置200において、第1偏光成分POL1及び第2偏光成分POL2のうちの一方の偏光成分は、主として第1液晶セル10によって変調され、他方の偏光成分は、主として第2液晶セル20によって変調されるとともに、双方の偏光成分は、第3液晶セル30でも変調される。
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0069】
上記の各構成例では、有効領域が多角形の場合について説明したが、円形であってもよい。複数の液晶セルを重ねて位置合わせする際、有効領域が多角形あるいは円形に形成されていることで、位置合わせが容易となる。
【0070】
また、各液晶セルにおいて、液晶層を挟持する一対の配向膜は、同一方向で且つ逆向きに配向処理されているが、これに限らず、互いに交差するように配向処理されてもよい。液晶モードとしては、水平配向モード、垂直配向モード、ツイスト配向モードなど、いずれでもよい。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、無効領域を縮小することが可能な光制御装置及び照明装置を提供することができる。
【0072】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0073】
100…照明装置 200…光制御装置
10…第1液晶セル 20…第2液晶セル
SUB1…第1基板 PL1…給電線 E1…第1制御電極
SG1…第1セグメント SG2…第2セグメント SG3…第3セグメント
SUB2…第2基板 LC1…第1液晶層
SUB3…第3基板 PL2…給電線 E2…第2制御電極
SG4…第4セグメント SG5…第5セグメント SG6…第6セグメント
SUB4…第4基板 LC2…第2液晶層