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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】光制御装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20231016BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20231016BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231016BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1347
F21S2/00 400
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019223755
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021092686
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 多惠
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(72)【発明者】
【氏名】三井 雅志
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0277012(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105572885(CN,A)
【文献】特開2019-003094(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0096194(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1347
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成された第1乃至第3電極と、第4電極と、を備えた第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、第1方向に並び、
前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1方向とは異なる方向に並び、
前記第4電極は、前記第1乃至第3電極に隣接し
前記第1乃至第4電極は、円環状に形成され、
前記第4電極は、前記第1乃至第3電極よりも小さい、光制御装置。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1方向に直交する第1対称軸に関して線対称であり、
前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1対称軸とは異なる第2対称軸に関して線対称である、請求項1に記載の光制御装置。
【請求項3】
前記第1基板は、さらに、前記第1乃至第3電極の各々の内側に、同心円状に形成された複数の電極を備えている、請求項に記載の光制御装置。
【請求項4】
前記第1基板は、さらに、前記第1電極及び前記第2電極と交差する第1導電線と、前記第3電極と交差する第2導電線と、前記第1導電線及び前記第2導電線と前記第1乃至第4電極との間に設けられた絶縁膜と、を備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1導電線と電気的に接続され、
前記第3電極は、前記第2導電線と電気的に接続され、
前記第4電極は、前記第1導電線と前記第2導電線との間に位置し、前記第1乃至第3電極とは異なる電位となるように構成されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の光制御装置。
【請求項5】
前記第1乃至第3電極は、多角形状に形成され、
前記第4電極は、前記第1電極とは異なる多角形状に形成された部分を有している、請求項1または2に記載の光制御装置。
【請求項6】
前記第1乃至第3電極は、十二角形状に形成され、
前記第4電極は、三角形状に形成された部分を有している、請求項に記載の光制御装置。
【請求項7】
前記第1乃至第3電極は、八角形状に形成され、
前記第4電極は、四角形状に形成された部分を有している、請求項に記載の光制御装置。
【請求項8】
前記第1乃至第3電極は、多角形状に形成され、
前記第4電極は、前記第1電極と前記第2電極との間、及び、前記第1電極と前記第3電極との間にそれぞれ延出した部分を有している、請求項1または2に記載の光制御装置。
【請求項9】
前記第1乃至第3電極は、六角形、四角形、及び、三角形のいずれかの多角形状に形成されている、請求項に記載の光制御装置。
【請求項10】
前記第4電極は、前記第1乃至第3電極をそれぞれ囲む環状に形成された環状部を有している、請求項乃至のいずれか1項に記載の光制御装置。
【請求項11】
前記第1電極を囲む前記環状部の形状は、前記第1電極の形状と相似である、請求項10に記載の光制御装置。
【請求項12】
入射した自然光のうちの第1偏光成分を制御する第1液晶セルと、
入射した自然光のうちの第2偏光成分を制御する第2液晶セルと、を備え、
前記第2液晶セルは、前記第1液晶セルに重畳し、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、環状に形成された第1乃至第3電極と、第4電極と、を備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、第1方向に並び、
前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1方向とは異なる方向に並び、
前記第4電極は、前記第1乃至第3電極に隣接している、光制御装置。
【請求項13】
第1電極部及び第2電極部を有する第1蛇行電極と、第3電極部を有する第2蛇行電極と、前記第1蛇行電極と前記第2蛇行電極との間に位置する第3蛇行電極と、を備えた第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、
前記第1電極部及び前記第2電極部は、第1方向に並び、
前記第1電極部及び前記第3電極部は、前記第1方向とは異なる方向に並び、
前記第1電極部及び前記第2電極部は、前記第3電極部に向かって凸状に形成され、
前記第3電極部は、前記第1電極部及び前記第2電極部に向かって凸状に形成され、
前記第3蛇行電極は、前記第1乃至第3電極部に囲まれた第4電極部を有している、光制御装置。
【請求項14】
前記第1乃至第3電極部は、円弧状に形成されている、請求項13に記載の光制御装置。
【請求項15】
前記第1乃至第3電極部の各々は、前記第4電極部に隣接する直線状の部分を有している、請求項13に記載の光制御装置。
【請求項16】
前記第1基板は、さらに、
前記第1電極と交差し、前記第2電極と一体的に形成された第1導電線と、
前記第2電極と交差し、前記第1電極と一体的に形成された第2導電線と、
前記第2電極及び前記第1導電線と前記第1電極及び前記第2導電線との間に設けられた絶縁膜と、を備え、
前記第1導電線及び前記第2導電線は、平面視において、重畳している、請求項1乃至のいずれか1項に記載の光制御装置。
【請求項17】
光源と、
前記光源から出射された光を制御するように構成された請求項1乃至16のいずれかに記載の光制御装置と、
を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光制御装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶セルを用いた光制御装置が提案されている。このような光制御装置は、主として、一偏光成分を集束させたり発散させたりするものである。一例では、複数の輪帯電極と、各輪帯電極に抵抗分割され電圧を印加するための電圧降下抵抗電極と、を備えた液晶レンズが提案されている。また、他の例としては、扇状の複数の分割領域に配置された透明電極を備えた液晶レンズも提案されている。
液晶セルを用いた光制御装置においては、液晶レンズの形成に寄与しない無効領域を縮小することが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-76926号公報
【文献】特開2016-57541号公報
【文献】特表2013-515969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、無効領域を縮小することが可能な光制御装置及び照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の光制御装置は、
環状に形成された第1乃至第3電極と、第4電極と、を備えた第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、第1方向に並び、前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1方向とは異なる方向に並び、前記第4電極は、前記第1乃至第3電極に隣接している。
本実施形態の光制御装置は、
入射した自然光のうちの第1偏光成分を制御する第1液晶セルと、入射した自然光のうちの第2偏光成分を制御する第2液晶セルと、を備え、前記第2液晶セルは、前記第1液晶セルに重畳し、前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、環状に形成された第1乃至第3電極と、第4電極と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、第1方向に並び、前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1方向とは異なる方向に並び、前記第4電極は、前記第1乃至第3電極に隣接している。
本実施形態の光制御装置は、
第1電極部及び第2電極部を有する第1蛇行電極と、第3電極部を有する第2蛇行電極と、前記第1蛇行電極と前記第2蛇行電極との間に位置する第3蛇行電極と、を備えた第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、前記第1電極部及び前記第2電極部は、第1方向に並び、前記第1電極部及び前記第3電極部は、前記第1方向とは異なる方向に並び、前記第1電極部及び前記第2電極部は、前記第3電極部に向かって凸状に形成され、前記第3電極部は、前記第1電極部及び前記第2電極部に向かって凸状に形成され、前記第3蛇行電極は、前記第1乃至第3電極部に囲まれた第4電極部を有している。
本実施形態の照明装置は、
光源と、前記光源から出射された光を制御するように構成された上記の光制御装置と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態の照明装置100の一構成例を示す図である。
図2図2は、第1液晶セル10の一構成例を示す断面図である。
図3図3は、第1液晶セル10に形成される液晶レンズLL1を説明するための図である。
図4図4は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
図5図5は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。
図6図6は、第1制御電極E1による光の発散作用を説明するための図である。
図7図7は、第1液晶セル10の一構成例を示す平面図である。
図8図8は、図7に示した第1基板SUB1の導電線CD13に沿った断面図である。
図9図9は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。
図10図10は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図11図11は、図10に示した第4電極E41を示す平面図である。
図12図12は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図13図13は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図14図14は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図15図15は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図16図16は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図17図17は、図16に示した第1制御電極を備えた第1液晶セル10を示す平面図である。
図18図18は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図19図19は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。
図20図20は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の照明装置100の一構成例を示す図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。本実施形態においては、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面を見ることを平面視という。
【0009】
照明装置100は、光源LSと、光源LSから出射された光を制御するように構成された光制御装置200と、制御部CTと、を備えている。光源LSは、第3方向Zに向かって光を出射する。光源LSから出射される光は、例えば、自然光である。光制御装置200は、第3方向Zにおいて光源LSに重畳している。光制御装置200は、第1液晶セル10と、第2液晶セル20と、を備えている。第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、実質的に同一の構成要素を有するものであってもよいし、異なる構成要素を有するものであってもよい。
【0010】
第1液晶セル10は、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、第1液晶層LC1と、を備えている。第1基板SUB1は、絶縁基板11と、絶縁基板11上に設けられた複数の第1制御電極E1と、第1制御電極E1を覆う配向膜AL1と、を備えている。第2基板SUB2は、絶縁基板12と、絶縁基板12上に設けられた第1共通電極C1と、第1共通電極C1を覆う配向膜AL2と、を備えている。第1共通電極C1は、複数の第1制御電極E1に対向している。
第2液晶セル20は、第3基板SUB3と、第4基板SUB4と、第2液晶層LC2と、を備えている。第3基板SUB3は、絶縁基板21と、絶縁基板21上に設けられた複数の第2制御電極E2と、第2制御電極E2を覆う配向膜AL3と、を備えている。第2制御電極E2は、第3方向Zにおいて第1制御電極E1に重畳するように形成されている。第4基板SUB4は、絶縁基板22と、絶縁基板22上に設けられた第2共通電極C2と、第2共通電極C2を覆う配向膜AL4と、を備えている。第2共通電極C2は、複数の第2制御電極E2に対向している。
【0011】
絶縁基板11及び12、及び、絶縁基板21及び22は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透明基板である。
第1制御電極E1、第2制御電極E2、第1共通電極C1、及び、第2共通電極C2は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。第1制御電極E1及び第2制御電極E2の具体的な形状等については、後述する。
【0012】
配向膜AL1乃至AL4は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。例えば、配向膜AL1の配向処理方向AD1及び配向膜AL3の配向処理方向AD3は、いずれも第1方向Xに平行である。また、配向膜AL2の配向処理方向AD2及び配向膜AL4の配向処理方向AD4は、いずれも第2方向Yに平行である。つまり、第1液晶セル10において配向処理方向AD1は配向処理方向AD2に直交し、第2液晶セル20において配向処理方向AD3は配向処理方向AD4に直交している。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
【0013】
第1液晶層LC1は、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間において配向膜AL1及びAL2によって保持され、90°ツイスト配向した液晶分子LM1を有している。同様に、第2液晶層LC2は、第3基板SUB3と第4基板SUB4との間において配向膜AL3及びAL4によって保持され、90°ツイスト配向した液晶分子LM2を有している。これらの第1液晶層LC1及び第2液晶層LC2は、例えば、正の誘電率異方性を有している。
【0014】
第2液晶セル20は、第3方向Zにおいて第1液晶セル10の上に重畳している。絶縁基板12と絶縁基板21とは、透明な接着層ADによって互いに接着されている。接着層ADの屈折率は、絶縁基板12及び21の屈折率と同等である。一方で、絶縁基板11の外面11A及び絶縁基板22の外面22Aは、それぞれ空気層に接している。
【0015】
制御部CTは、光源制御部LCTと、電圧制御部DCT1及びDCT2と、を備えている。光源制御部LCTは、例えば光源LSを駆動する電流値を制御する。電圧制御部DCT1は、第1液晶セル10において第1制御電極E1及び第1共通電極C1に印加すべき電圧を制御する。電圧制御部DCT2は、第2液晶セル20において第2制御電極E2及び第2共通電極C2に印加すべき電圧を制御する。
【0016】
このような光制御装置200は、光源LSが絶縁基板11の外面11Aと向かい合うように設けられる。つまり、外面11Aは、自然光の入射面となる。第1液晶セル10は、入射した自然光のうちの第1偏光成分を変調するとともに第2偏光成分に変換し、入射した自然光のうちの第3偏光成分を変調することなく第4偏光成分に変換する機能を有するものである。第2液晶セル20は、第1液晶セル10を透過した第2偏光成分を変調することなく、第1液晶セル10を透過した第4偏光成分を変調する機能を有するものである。
【0017】
ここでの変調とは、液晶層に形成される屈折率分布型レンズ(以下、液晶レンズと称する)により、液晶層を透過する偏光成分を集束または発散することをいう。集束または発散の度合い(変調率)は、液晶層に印加される電圧によって制御される。つまり、第1液晶セル10における第1偏光成分の変調率は、電圧制御部DCT1によって制御され、第2液晶セル20における第4偏光成分の変調率は、電圧制御部DCT2によって制御される。電圧制御部DCT1及び電圧制御部DCT2は、同一の電圧条件で制御してもよいし、異なる電圧条件で制御してもよい。また、電圧制御部DCT1及び電圧制御部DCT2の各々は、凸レンズ型の液晶レンズ、凹レンズ型の液晶レンズ、あるいは、その他の形状の液晶レンズを形成するような電圧条件で制御してもよい。
また、上記の通り、第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、実質的に同一の構成要素を有するものであり、同等の旋光能を有している。本実施形態では、第1液晶セル10及び第2液晶セル20は、いずれも、入射した偏光成分(直線偏光)の偏光面を90°回転させる旋光能を有している。つまり、第1偏光成分の偏光面は第2偏光成分の偏光面と直交し、第3偏光成分の偏光面は第4偏光成分の偏光面と直交する。第1偏光成分及び第3偏光成分が互いに直交する場合、第1偏光成分及び第4偏光成分は、同一の偏光面を有し、また、第2偏光成分及び第3偏光成分は、同一の偏光面を有するものである。
光の進行方向が第3方向Zに沿う場合に、第1方向Xに沿った偏光面を有する偏光成分を第1偏光(P偏光)POL1と称し、第2方向Yに沿った偏光面を有する偏光成分を第2偏光(S偏光)POL2と称する。例えば、第1偏光成分及び第4偏光成分は第1偏光POL1であり、第2偏光成分及び第3偏光成分は第2偏光POL2である。
【0018】
図2は、第1液晶セル10の一構成例を示す断面図である。ここでは、第1液晶セル10について説明するが、第2液晶セル20も第1液晶セル10と同様の断面構造を有しており、その説明については省略する。
第1液晶セル10は、透過する偏光成分を変調する有効領域A11と、有効領域A11の外側の周辺領域A12と、を有している。第1基板SUB1において、複数の第1給電線PL1、及び、コモン配線CL1は、周辺領域A12に設けられ、絶縁膜ILによって覆われている。複数の第1制御電極E1は、有効領域A11に設けられ、絶縁膜ILの上に位置し、配向膜AL1によって覆われている。第1制御電極E1、給電線PL1、及び、コモン配線CL1は、図1に示した電圧制御部DCT1に電気的に接続されている。
【0019】
第2基板SUB2において、第1共通電極C1は、有効領域A11の略全面に位置するとともにその一部が周辺領域A12にも延在した単一の平板電極である。第1共通電極C1は、有効領域A11において、第1液晶層LC1を介して複数の第1制御電極E1と対向している。第1共通電極C1は、周辺領域A12において、複数の給電線PL1及びコモン配線CL1と対向している。
第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、周辺領域A12において、シールSEによって接着されている。シールSEは、導通材CDを備えている。導通材CDは、コモン配線CL1と第1共通電極C1との間に介在し、コモン配線CL1と第1共通電極C1とを電気的に接続している。
【0020】
図3は、第1液晶セル10に形成される液晶レンズLL1を説明するための図である。図3においては、説明に必要な構成のみを図示している。なお、説明を省略するが、第2液晶セル20においても、図3を参照して説明する液晶レンズLL1と同様の液晶レンズLL2を形成することができる。
【0021】
図3の(A)は、第1制御電極E11乃至E15と、第1共通電極C1との間に電位差が生じていないオフ状態(OFF)を示している。第1液晶層LC1に含まれる液晶分子LM1は、配向膜AL1及びAL2の配向規制力により、ツイスト配向している。
【0022】
図3の(B)は、第1制御電極E11乃至E15と、第1共通電極C1との間に電位差が形成されたオン状態(ON)を示している。電圧制御部DCT1は、第1制御電極E11乃至E15、及び、第1共通電極C1にそれぞれ所定の電圧を供給する。第1液晶層LC1は、上記の通り、正の誘電率異方性を有している。このため、液晶分子LM1は、電界が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向する。
【0023】
第1制御電極E11及びE15の各々と第1共通電極C1とが対向する領域には、第3方向Zに沿った電界が形成されるため、液晶分子LM1は、その長軸が第3方向Zに沿うように配向する。第1制御電極E13と第1共通電極C1とが対向する領域には、ほとんど電界が形成されず、液晶分子LM1は、初期配向状態(ツイスト配向した状態)に維持される。第1制御電極E12と第1共通電極C1とが対向する領域には、第1制御電極E11と第1共通電極C1とが対向する領域と、第1制御電極E13と第1共通電極C1とが対向する領域との中間の配向状態が形成される。第1制御電極E14と第1共通電極C1とが対向する領域には、第1制御電極E15と第1共通電極C1とが対向する領域と、第1制御電極E13と第1共通電極C1とが対向する領域との中間の配向状態が形成される。
【0024】
液晶分子LM1は、屈折率異方性Δnを有している。このため、第1液晶層LC1は、液晶分子LM1の配向状態に応じた屈折率分布を有する。あるいは、第1液晶層LC1は、第1液晶層LC1の第3方向Zに沿った厚さをdとしたとき、Δn・dで表されるリタデーションの分布を有する。図中に点線で示した液晶レンズLL1は、このような屈折率分布、または、リタデーションの分布によって形成されるものである。
【0025】
第1液晶セル10において、第1液晶層LC1が液晶レンズLL1を有し、第2液晶セル20において、第2液晶層LC2が液晶レンズLL2を有する場合について説明する。光源LSは、第1偏光POL1及び第2偏光POL2を含む自然光を放射する。
第1液晶セル10において、自然光のうちの第1偏光(第1偏光成分)POL1は、液晶レンズLL1によるレンズ作用を受けるとともに、その偏光面が90度回転して第2偏光(第2偏光成分)POL2に変換される。また、自然光のうちの第2偏光(第3偏光成分)POL2は、液晶レンズLL1によるレンズ作用を受けることなく透過し、その偏光面が90度回転して第1偏光(第4偏光成分)POL1に変換される。
第2液晶セル20において、第1液晶セル10を透過した第2偏光(第2偏光成分)POL2は、液晶レンズLL2によるレンズ作用を受けることなく透過し、その偏光面が90度回転して第1偏光POL1に変換される。また、第1液晶セル10を透過した第1偏光(第4偏光成分)POL1は、液晶レンズLL2によってレンズ作用を受けるとともに、その偏光面が90度回転して第2偏光POL2に変換される。
つまり、光源LSから放射された自然光のうち、第1偏光POL1は、主として第1液晶セル10においてレンズ作用を受け、光源LSから放射された自然光のうち、第2偏光POL2は、主として第2液晶セル20においてレンズ作用を受ける。
【0026】
図4は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。図4に示す構成例は、図1に示した構成例と比較して、第1液晶層LC1の液晶分子LM1及び第2液晶層LC2の液晶分子LM2がホモジニアス配向(水平配向)している点で相違している。例えば、配向膜AL1の配向処理方向AD1及び配向膜AL2の配向処理方向AD2は、いずれも第1方向Xに平行であり、互いに逆向きである。また、配向膜AL3の配向処理方向AD3及び配向膜AL4の配向処理方向AD4は、いずれも第2方向Yに平行であり、互いに逆向きである。このため、第1液晶セル10においては、液晶分子LM1は第1方向Xに沿って初期配向し、また、第2液晶セル20においては、液晶分子LM2は第2方向Yに沿って初期配向している。つまり、液晶分子LM1の初期配向方向は、液晶分子LM2の初期配向方向に交差している。このような構成例でも、第1液晶層LC1及び第2液晶層LC2の各々に印加する電圧を制御することで、上記の構成例と同等に機能する液晶レンズを形成することができる。
【0027】
図5は、光制御装置200の他の構成例を示す図である。図5に示す構成例は、図1に示した構成例と比較して、第1液晶セル10の第1共通電極C1が省略され、第2液晶セル20の第2共通電極C2が省略された点で相違している。このような構成例では、第1液晶セル10において隣接する第1制御電極E1の間に電界を形成するいわゆる横電界方式で液晶レンズを形成し、同様に、第2液晶セル20においても隣接する第2制御電極E2の間の電界によって液晶レンズを形成する。なお、液晶分子LM1及び液晶分子LM2の初期配向については、図1に示した構成例のようなツイスト配向であってもよいし、図4に示した構成例のような水平配向であってもよい。
【0028】
図6は、第1制御電極E1による光の発散作用を説明するための図である。なお、ここでは、第1制御電極E1による作用について説明するが、第2制御電極E2が第1制御電極E1と同一形状に形成された場合において、第2制御電極E2においても第1制御電極E1と同様の作用が発揮されるものである。
【0029】
図6の上段(A)に示す例の電極群EGAは、直線状の複数の第1制御電極E1によって構成されている。複数の第1制御電極E1は、同一形状を有し、略等ピッチで並んでいる。隣接する第1制御電極E1の間、もしくは、第1制御電極E1と図示しない第1共通電極との間で電界が形成されていないオフ状態(OFF)において、電極群EGAに入射した偏光成分POLは、ほとんど発散されることなく透過する。隣接する第1制御電極E1の間、もしくは、第1制御電極E1と図示しない第1共通電極との間で電界が形成されたオン状態(ON)においては、図3の(B)を参照して説明したような液晶レンズが形成され、電極群EGAに入射した偏光成分POLは、第1制御電極E1の延出方向に対してほぼ直交する方向(あるいは、複数の第1制御電極E1が並ぶ方向)に発散される。図示した例では、複数の第1制御電極E1が一方向に並んでおり、偏光成分POLは、一方位に発散されている。
【0030】
図6の中段(B)に示す例の電極群EGBは、環状の複数の第1制御電極E1によって構成されている。図示した例では、第1制御電極E1の各々は、多角形状の一例である六角形状に形成されている。複数の第1制御電極E1の形状は相似であり、内側の第1制御電極E1は外側の第1制御電極E1より小さい。オン状態(ON)において、電極群EGBに入射した偏光成分POLは、第1制御電極E1の各辺の延出方向に対してほぼ直交する方向に発散される。図示した例では、第1制御電極E1の各々が6つの辺を有しており、偏光成分POLは六方位に発散されている。
【0031】
図6の下段(C)に示す例の電極群EGCは、環状の複数の第1制御電極E1によって構成されている。図示した例では、第1制御電極E1の各々は、円形状に形成されている。複数の第1制御電極E1の形状は相似であり、内側の第1制御電極E1は外側の第1制御電極E1より小さい。オン状態(ON)において、電極群EGCに入射した偏光成分POLは、複数の第1制御電極E1が並ぶ方向に発散される。図示した例では、偏光成分POLは、全方位に発散されている。
【0032】
図7は、第1液晶セル10の一構成例を示す平面図である。なお、図7においては、第1液晶セル10の主要部のみを図示している。
第1液晶セル10の第1基板SUB1は、複数の給電線PL11乃至PL14と、複数の導電線CD11乃至CD18と、複数の電極群EG1乃至EG3と、を備えている。給電線PL11乃至PL14、及び、導電線CD11乃至CD18は、同一層に設けられている。導電線CD11乃至CD18と電極群EG1乃至EG3との間には、後述する絶縁膜が介在している。図7において、2層の導電層が重畳する位置の四角は、絶縁膜の下方に位置する導電層と絶縁膜の上方に位置する導電層とが絶縁膜を貫通するコンタクトホールにおいて互いに電気的に接続された接続部を示している。
【0033】
給電線PL11乃至PL14は、周辺領域A12において、第1方向Xに並んでいる。これらの給電線PL11乃至PL14の各々は、端子部A13に延出している。端子部A13は、詳述しないが、給電線PL11乃至PL14の各々と接続された複数の端子を備え、フレキシブル配線基板などと電気的に接続される。
導電線CD11乃至CD18は、有効領域A11において、第1方向Xに沿って延出し、第2方向Yに並んでいる。また、導電線CD11乃至CD18は、周辺領域A12に延出し、給電線PL11乃至PL14のいずれかと電気的に接続されている。例えば、導電線CD13は、給電線PL14と一体的に形成されている。また、導電線CD11は、接続線CN11を介して給電線PL11と電気的に接続されている。同様に、導電線CD12は接続線CN12を介して給電線PL13と接続され、導電線CD14は接続線CN13を介して給電線PL12と接続されている。これらの接続線CN11乃至CN13は、電極群EG1乃至EG3と同一層に設けられた導電層である。
【0034】
電極群EG1乃至EG3の各々は、同心円状に形成された複数の第1制御電極E1によって構成されている。電極群EG1は、8個の第1制御電極E11乃至E18によって構成されている。第1制御電極E11乃至E17は、いずれも円環状に形成され、同等の幅を有している。また、電極群EG1のほぼ中心に位置する第1制御電極E18は、円形状に形成されている。第1制御電極E11乃至E17は、半径方向において略等ピッチで第1制御電極E18に向かって並んでいる。第1制御電極E11及びE15は、導電線CD11と電気的に接続されている。第1制御電極E12及びE16は、導電線CD14と電気的に接続されている。第1制御電極E13及びE17は、導電線CD12と電気的に接続されている。第1制御電極E14及びE18は、導電線CD13と電気的に接続されている。
電極群EG2も電極群EG1と同様に、8個の第1制御電極E21乃至E28によって構成されている。第1制御電極E21及びE25は、導電線CD11と電気的に接続されている。第1制御電極E22及びE26は、導電線CD14と電気的に接続されている。第1制御電極E23及びE27は、導電線CD12と電気的に接続されている。第1制御電極E24及びE28は、導電線CD13と電気的に接続されている。
導電線CD11乃至D14は、第1制御電極E11乃至E18、及び、第1制御電極E21乃至E28と交差している。
【0035】
電極群EG3も電極群EG1と同様に、8個の第1制御電極E31乃至E38によって構成されている。第1制御電極E31及びE35は、導電線CD15と電気的に接続されている。第1制御電極E32及びE36は、導電線CD18と電気的に接続されている。第1制御電極E33及びE37は、導電線CD16と電気的に接続されている。第1制御電極E34及びE38は、導電線CD17と電気的に接続されている。
導電線CD15乃至D18は、第1制御電極E31乃至E38と交差している。
【0036】
なお、各電極群を構成する第1制御電極の個数は、図示した例に限らない。
【0037】
これらの電極群EG1乃至EG3は、X-Y平面において、最密構造を形成するように配置されている。換言すると、第1制御電極E18、E28、E38は、正三角形の頂点に位置するように設けられている。電極群EG1及びEG2は、第1方向Xに並んでいる。電極群EG1及びEG3は、X-Y平面において、第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向(あるいは、第1方向X及び第2方向Yと交差する方向)D2に並んでいる。電極群EG2及びEG3は、X-Y平面において、第1方向X、第2方向Y、及び、方向D2のいずれとも異なる方向D3に並んでいる。方向D2は図中に一点鎖線で示し、方向D3は図中に二点鎖線で示している。
【0038】
このような構成例において、例えば、第1制御電極E11は第1電極に相当し、第1制御電極E21は第2電極に相当し、第1制御電極E31は第3電極に相当する。また、導電線CD11は第1導電線に相当し、導電線CD15は第2導電線に相当する。
D、第2電極E21、及び、第3電極E31に着目すると、第1電極E11及び第2電極E21は、第1方向Xに直交する第1対称軸B1に関して線対称である。また、第1電極E11及び第3電極E31は、第1対称軸B1とは異なる第2対称軸B2に関して線対称である。第2対称軸B2は、方向D2に直交している。
【0039】
第4電極E41は、第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31によって囲まれた内側に位置している。つまり、第4電極E41は、最密構造を形成するように配置された電極群EG1乃至EG3の隙間に設けられ、第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31に隣接している。第4電極E41は、第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31のいずれよりも小さい円環状に形成されている。第4電極E41の電位は、隣接する電極の電位とは異なるように設定される。
【0040】
また、第4電極E41は、導電線CD11乃至CD14のうち最も電極群EG3に近接した導電線CD14と、導電線CD15乃至CD18のうち最も電極群EG1及びEG2に近接した導電線CD15との間に位置している。この第4電極E41は、第1制御電極E32と電気的に接続されている。つまり、第4電極E41の電位は、第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31のいずれの電位とも異なる。電極E42は、第4電極E41の内側に位置し、導電線CD14と電気的に接続されている。電極E42の電位は、第4電極E41の電位とは異なる。
【0041】
図8は、図7に示した第1基板SUB1の導電線CD13に沿った断面図である。給電線PL11乃至PL14、及び、導電線CD13は、絶縁基板11の上に設けられ、絶縁膜ILによって覆われている。第1制御電極E11乃至E18は、絶縁膜ILの上に設けられ、配向膜AL1によって覆われている。図示した例では、導電線CD13は、給電線PL14に直接接続されている。また、第1制御電極E14及びE18は、絶縁膜ILを貫通するコンタクトホールにおいて導電線CD13に接続されている。
給電線PL11乃至PL14は、例えば金属材料によって形成されている。第1制御電極E11乃至E18は、上記の通り、透明導電材料によって形成されている。導電線CD13は、例えば、透明導電材料によって形成されているが、金属材料によって形成されてもよい。
【0042】
図7及び図8においては、第1液晶セル10の一構成例について説明したが、第2液晶セル20も同様に構成されている。
【0043】
このような本実施形態によれば、隣接する第1制御電極に異なる電圧が印加される、あるいは、第1制御電極及び第1共通電極に異なる電圧が印加されることによって液晶レンズが形成され、各電極群に入射した偏光成分が全方位に散乱され、また、複数の電極群で囲まれた隙間に入射した偏光成分も全方位に散乱される。したがって、有効領域において、液晶レンズの形成に寄与しない無効領域を縮小することができる。
また、無効領域を透過する光が低減され、有効領域に入射した光を効率よく散乱させることができる。
【0044】
さらに、導電線CD11乃至CD14は電極群EG1及びEG2のほぼ中心を通るように設けられ、導電線CD15乃至CD18は電極群EG3のほぼ中心を通るように設けられている。このため、電極群EG1乃至EG3で囲まれた隙間に導電線が設けられた場合と比較して、導電線からの漏れ電界による液晶分子の配向乱れを抑制することができる。したがって、各電極群において所望の液晶レンズが形成される。
【0045】
次に、他の構成例について説明する。
【0046】
図9は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。図9において、右上がりの斜線で示した部材は、給電線PL11乃至PL18と同様に、図8の絶縁基板11と絶縁膜ILとの間の導電層である。また、図9において、右下がりの斜線で示した部材は、第1制御電極E11乃至E18などと同様に、図8の絶縁膜ILと配向膜AL1との間の導電層である。
【0047】
電極群EG1において、第1制御電極E11乃至E18は、給電線PL11乃至PL18のいずれかと電気的に接続されている。例えば、第1制御電極E11は、複数の導電線CD111及びCD112を介して、給電線PL11と電気的に接続されている。導電線CD111は、第1制御電極E11と同一層に位置する導電層である。導電線CD112は、第1制御電極E11とは異なる層に位置し、給電線PL11と同一層に位置する導電層である。導電線CD111は、その一端部で給電線PL11と電気的に接続され、その他端部で導電線CD112と電気的に接続されている。導電線CD112は、その一端部で導電線CD111と電気的に接続され、その他端部で第1制御電極E11と電気的に接続されている。なお、第1制御電極E11と給電線PL11との接続に関しては、導電線CD111を省略し、導電線CD112が給電線PL11と一体的に形成されてもよい。
【0048】
電極群EG2において、第1制御電極E21乃至E28は、それぞれ第1制御電極E11乃至E18と電気的に接続されている。例えば、第1制御電極E21は、導電線CD113を介して第1制御電極E11と電気的に接続されている。
【0049】
第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31で囲まれた第4電極E41は、導電線CD123に接続されている。導電線CD123は、第1制御電極E12と第1制御電極E22とを電気的に接続する導電線である。第4電極E41は、第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31とは異なる電圧が印加される電極に相当する。第4電極E41の電位は、隣接する電極(第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31)の電位とは異なる。
【0050】
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、各電極群に重畳する導電線が短縮され、導電線からの漏れ電界を抑制することができる。また、導電線の配線長を短縮することができ、導電線の負荷を軽減することができる。また、導電線と第1制御電極との交差部を低減することができ、寄生容量を低減することができる。
【0051】
図10は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
電極群EG1乃至EG3の各々は、環状に形成された複数の第1制御電極E1によって構成されている。電極群EG1は、5個の第1制御電極E11乃至E15によって構成されている。第1制御電極E11乃至E15は、いずれも多角形状に形成され、図示した例では、いずれも十二角形状に形成されている。第1制御電極E11乃至E15の各々の形状は相似であり、内側の電極ほど小さい。
電極群EG2も電極群EG1と同様に、5個の第1制御電極E21乃至E25によって構成されている。図示を省略するが、第1制御電極E11乃至E15は、それぞれ第1制御電極E21乃至E25と電気的に接続されている。電極群EG3も電極群EG1と同様に、5個の第1制御電極E31乃至E35によって構成されている。第1制御電極E31乃至E35は、それぞれ第1制御電極E11乃至E15と同電位である。これらの電極群EG1乃至EG3は、図7に示した構成例と同様に、最密構造を形成するように配置されている。
【0052】
第4電極E41は、第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31に隣接している。第4電極E41は、環状に形成された環状部411乃至414を有している。環状部411は第1電極E11を含む電極群EG1を囲み、環状部412は第2電極E21を含む電極群EG2を囲み、環状部413は第3電極E31を含む電極群EG3を囲んでいる。環状部414は、第1電極E11、第2電極E21、及び、第3電極E31に囲まれている。環状部414は、第1電極E11などとは異なる多角形状に形成された部分に相当する。環状部414の内側の電極E5は、三角形状に形成され、第4電極E41とは異なる電位である。第4電極E41の形状について、さらに図11を参照しながら説明する。
【0053】
図11は、図10に示した第4電極E41を示す平面図である。環状部411乃至413は、それぞれ十二角形状に形成され、互いに一辺を共有するように一体化されている。環状部411の形状は第1電極E11の形状と相似であり、環状部412の形状は第2電極E21の形状と相似であり、環状部413の形状は第3電極E31の形状と相似である。
環状部414は、環状部411乃至413のそれぞれの一辺によって三角形状に形成された部分に相当する。
【0054】
図10及び図11に示す構成例によれば、各電極群に入射した偏光成分が12方位に散乱され、また、複数の電極群で囲まれた隙間に入射した偏光成分が3方位に散乱される。
【0055】
図12は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
電極群EG1は、第1制御電極E11乃至E16によって構成されている。第1制御電極E11乃至E16は、いずれも環状且つ多角形状に形成され、図示した例では、いずれも八角形状に形成されている。第1制御電極E11乃至E16の各々の形状は相似であり、内側の電極ほど小さい。電極群EG1と同様に、電極群EG2は第1制御電極E21乃至E26によって構成され、電極群EG3は第1制御電極E31乃至E36によって構成されている。
【0056】
これらの電極群EG1乃至EG3は、図7に示した構成例と同様に、最密構造を形成するように配置されている。電極群EG1及びEG2は第1方向Xに並び、電極群EG1及びEG3は第2方向Yに並んでいる。
【0057】
第4電極E41において、環状部411乃至413は八角形状に形成され、環状部414は四角形状に形成されている。環状部411は第1電極E11を含む電極群EG1を囲み、環状部412は第2電極E21を含む電極群EG2を囲み、環状部413は第3電極E31を含む電極群EG3を囲んでいる。環状部411の形状は第1電極E11の形状と相似であり、環状部412の形状は第2電極E21の形状と相似であり、環状部413の形状は第3電極E31の形状と相似である。
環状部414の内側の電極E51は、四角形状に形成され、第4電極E41とは異なる電位である。電極E51の内側の電極E52は、四角形状に形成され、電極E51とは異なる電位である。
【0058】
図12に示す構成例によれば、各電極群に入射した偏光成分が8方位に散乱され、また、複数の電極群で囲まれた隙間に入射した偏光成分が4方位に散乱される。
【0059】
図13は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
電極群EG1は、第1制御電極E11乃至E15によって構成されている。第1制御電極E11乃至E15は、いずれも環状且つ多角形状に形成され、図示した例では、いずれも六角形状に形成されている。第1制御電極E11乃至E15の各々の形状は相似であり、内側の電極ほど小さい。電極群EG1と同様に、電極群EG2は第1制御電極E21乃至E25によって構成され、電極群EG3は第1制御電極E31乃至E35によって構成されている。
【0060】
これらの電極群EG1乃至EG3は、図7に示した構成例と同様に、最密構造を形成するように配置されている。電極群EG1乃至EG3が六角形の外形を有する場合、電極群EG1乃至EG3がほぼ一定の間隔で隣接し、その間隔より大きな隙間は形成されない。
【0061】
第4電極E41において、環状部411乃至413は、六角形状に形成されている。環状部411は第1電極E11を含む電極群EG1を囲み、環状部412は第2電極E21を含む電極群EG2を囲み、環状部413は第3電極E31を含む電極群EG3を囲んでいる。環状部411の形状は第1電極E11の形状と相似であり、環状部412の形状は第2電極E21の形状と相似であり、環状部413の形状は第3電極E31の形状と相似である。
他の観点では、第4電極E41は、第1電極E11と第2電極E21との間に延出した直線状の部分41Aと、第1電極E11と第3電極E31との間に延出した直線状の部分41Bと、第2電極E21と第3電極E31との間に延出した直線状の部分41Cと、を有している。
【0062】
図13に示す構成例によれば、各電極群に入射した偏光成分が6方位に散乱される。また、複数の電極群の間にほとんど無効領域が形成されないため、有効領域に入射したほとんどの偏光成分を6方位に散乱することができる。
【0063】
図14は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
電極群EG1は、第1制御電極E11乃至E16によって構成されている。第1制御電極E11乃至E16は、いずれも環状且つ多角形状に形成され、図示した例では、いずれも四角形状に形成されている。第1制御電極E11乃至E16の各々の形状は相似であり、内側の電極ほど小さい。電極群EG1と同様に、電極群EG2は第1制御電極E21乃至E26によって構成され、電極群EG3は第1制御電極E31乃至E36によって構成されている。
【0064】
第4電極E41は、格子状に形成されている。環状部411乃至413は、四角形状に形成されている。他の観点では、第4電極E41は、第1電極E11と第2電極E21との間に延出した直線状の部分41Aと、第1電極E11と第3電極E31との間に延出した直線状の部分41Bと、を有している。
【0065】
図14に示す構成例によれば、各電極群に入射した偏光成分が4方位に散乱される。また、複数の電極群の間にほとんど無効領域が形成されないため、有効領域に入射したほとんどの偏光成分を4方位に散乱することができる。
【0066】
図15は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
電極群EG1は、第1制御電極E11乃至E16によって構成されている。第1制御電極E11乃至E16は、いずれも環状且つ多角形状に形成され、図示した例では、いずれも三角形状に形成されている。第1制御電極E11乃至E16の各々の形状は相似であり、内側の電極ほど小さい。電極群EG1と同様に、電極群EG2は第1制御電極E21乃至E26によって構成され、電極群EG3は第1制御電極E31乃至E36によって構成されている。
【0067】
第4電極E41において、環状部411乃至413は、三角形状に形成されている。他の観点では、第4電極E41は、第1電極E11と第2電極E21との間に延出した直線状の部分41Aと、第1電極E11と第3電極E31との間に延出した直線状の部分41Bと、を有している。
【0068】
図15に示す構成例によれば、各電極群に入射した偏光成分が3方位に散乱される。また、複数の電極群の間にほとんど無効領域が形成されないため、有効領域に入射したほとんどの偏光成分を3方位に散乱することができる。
【0069】
図16は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図16に示す構成例は、上記の各構成例と比較して、第1制御電極E1が蛇行電極である点で相違している。複数の蛇行電極E111乃至E114は、概ね第1方向Xに沿って延び、互いに交差することなく第2方向Yに並んでいる。同様に、複数の蛇行電極E211乃至E214は、概ね第1方向Xに沿って延び、互いに交差することなく第2方向Yに並んでいる。各蛇行電極は、図16において下向きの凸状に形成された電極部と、図16において上向きの凸状に形成された電極部とを有し、これらの電極部が交互に並んで互いに接続されることで構成されるものである。
【0070】
例えば、蛇行電極E111は、第1電極部E11及び第2電極部E21を有する第1蛇行電極に相当する。また、蛇行電極E211は、第3電極部E31を有する第2蛇行電極に相当する。第1電極部E11及び第2電極部E21は、第1方向Xに並び、第3電極部E31に向かって凸状(図16において下向きの凸状)に形成されている。第3電極部E31は、第1電極部E11及び第2電極部E21に向かって凸状(図16において上向きの凸状)に形成されている。図16に示す例では、第1電極部E11、第2電極部E21、及び、第3電極部E31は、円弧状に形成されている。
【0071】
蛇行電極E311は、蛇行電極E111と蛇行電極E211との間に位置する第3蛇行電極に相当する。蛇行電極311は、蛇行電極E111及びE211とは異なる電圧が印加される電極である。蛇行電極E311は、第1電極部E11、第2電極部E21、及び、第3電極部E31に囲まれた第4電極部E41を有している。第4電極部E41は、第1電極部E11、第2電極部E21、及び、第3電極部E31にそれぞれ沿うように円弧状に形成された部分によって構成されている。
電極E51は、第4電極部E41の内側に位置し、第3電極部E31と電気的に接続されている。
【0072】
このような構成例では、第1方向Xに並んだ電極部が互いに接続されており、隣接する電極部を接続するための導電線が不要となる。
【0073】
図17は、図16に示した第1制御電極を備えた第1液晶セル10を示す平面図である。
蛇行電極E111乃至E114、蛇行電極E211乃至E214、及び、蛇行電極E311は、有効領域A11において途切れることなく第1方向Xに沿って延びている。つまり、有効領域A11には、上記の構成例で説明した導電線が設けられていない。また、蛇行電極E111乃至E114、蛇行電極E211乃至E214、及び、蛇行電極E311は、周辺領域A12まで延び、給電線PL11乃至PL15のいずれかと電気的に接続されている。
【0074】
図16及び図17に示す構成例によれば、有効領域A11に導電線が設けられていないため、導電線からの漏れ電界による液晶分子の配向乱れが防止される。したがって、所望の液晶レンズが形成される。
また、このような構成例は、例えば図7に示した円形状の電極群EGのそれぞれについて、上半分の半円形状の部分に対して、下半分の半円形状の部分を第1方向Xに電極群EGの半径相当の距離だけずらしたものに相当する。したがって、図16及び図17に示す構成例においても、図7に示した構成例と同様の散乱特性が得られる。
【0075】
図18は、第1制御電極の他の構成例を示す平面図である。
図18に示す構成例は、図16に示した構成例と比較して、蛇行電極の各電極部が多角形状に形成された点で相違している。
【0076】
例えば、蛇行電極E111において、第1電極部E11及び第2電極部E21は、図18において下向きに凸の略角括弧状に形成されている。より具体的には、例えば第1電極部E11は、直線状の部分として、3つのセグメントSG11乃至SG13を有している。セグメントSG11は第1方向Xに沿って延出し、セグメントSG12はセグメントSG11の一端部に繋がり、セグメントSG13はセグメントSG11の他端部に繋がっている。セグメントSG12及びSG13の各々は、第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に延出している。セグメントSG11とセグメントSG12とのなす角度θ1、及び、セグメントSG11とセグメントSG13とのなす角度θ2は、いずれも鈍角であり、一例では、角度θ1及びθ2はほぼ同等である。第2電極部E21も、第1電極部E11と同様の3つのセグメントSG21乃至SG23によって構成されている。
蛇行電極E211において、第3電極部E31は、図18において上向きに凸の略角括弧状に形成されている。第3電極部E31において、セグメントSG31はセグメントSG11とほぼ平行であり、セグメントSG32はセグメントSG12とほぼ平行であり、セグメントSG33はセグメントSG13とほぼ平行である。
【0077】
蛇行電極E311は、第1電極部E11、第2電極部E21、及び、第3電極部E31に囲まれた第4電極部E41を有している。第4電極部E41は、第1電極部E11、第2電極部E21、及び、第3電極部E31にそれぞれ沿う三角形状に形成されている。換言すると、第1電極部E11、第2電極部E21、及び、第3電極部E31の各々は、第4電極部E41に隣接する直線状の部分として、セグメントSG13、セグメントSG22、及び、セグメントSG31を有している。
【0078】
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0079】
図19は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。
第1基板SUB1は、有効領域A11のほぼ全域に亘って形成された透明電極TEを備えている。透明電極TEは、周辺領域A12において、給電線PLと電気的に接続されている。透明電極TEは、2種類の開口部OP1及びOP2を有している。図示した例では、開口部OP1及びOP2は、いずれも円形状に形成されているが、いずれも多角形状に形成されてもよいし、開口部OP1と開口部OP2とで形状が異なっていてもよい。開口部OP1の径は、開口部OP2の径より大きい。
【0080】
複数の開口部OP1は、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に並んでいる。また、複数の開口部OP2は、開口部OP1とは異なる位置において、マトリクス状に並んでいる。他の観点では、1つの開口部OP2は、4つの開口部OP1で囲まれた内側に位置している。
【0081】
開口部OP1の内側には、開口部OP1と同心円状に形成された円環状の電極CEが設けられている。電極CEは、透明電極TEと同様の透明導電材料によって形成されている。電極CEには、透明電極TEとは異なる電圧が印加され、上記の構成例と同様の液晶レンズが形成される。
【0082】
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0083】
図20は、第1液晶セル10の他の構成例を示す平面図である。
第1液晶セル10の第1基板SUB1は、複数の給電線PL11及びPL12と、複数の導電線CD11及びCD12と、複数の電極群EG1及びEG2と、を備えている。
電極群EG1において、隣接する制御電極は異なる層に設けられている。例えば、第1制御電極E11、E13、E15、E17は、同一層に位置し、図8に示した絶縁基板11と絶縁膜ILとの間に設けられている。また、第1制御電極E12、E14、E16、E18は、同一層に位置し、図8に示した絶縁膜ILと配向膜AL1との間に設けられている。
電極群EG2においても、隣接する制御電極は異なる層に設けられている。但し、第1制御電極E21は、隣接する第1制御電極E11とは異なる電位となるように構成されている。例えば、第1制御電極E22、E24、E26、E28は、図8に示した絶縁基板11と絶縁膜ILとの間に設けられている。また、第1制御電極E21、E23、E25、E27は、図8に示した絶縁膜ILと配向膜AL1との間に設けられている。
【0084】
給電線PL11及びPL12は、例えば、絶縁基板11と絶縁膜ILとの間に位置する導電層である。
導電線CD11は、導電線CD12とは異なる層に設けられている。例えば、導電線CD11は絶縁基板11と絶縁膜ILとの間に設けられ、導電線CD12は絶縁膜ILと配向膜AL1との間に設けられている。このため、導電線CD11及びCD12は、平面視において、互いに重畳するように配置されている。
【0085】
導電線CD11は、第1制御電極E11、E13、E15、E17、E22、E24、E26、E28と同一層に位置し、これらの第1制御電極と一体的に形成されている。また、導電線CD11は、給電線PL11と一体的に形成され、互いに電気的に接続されている。また、導電線CD11は、第1制御電極E12、E14、E16、E18、E21、E23、E25、E27と交差している。
導電線CD12は、第1制御電極E12、E14、E16、E18、E21、E23、E25、E27と同一層に位置し、これらの第1制御電極と一体的に形成されている。また、導電線CD12は、給電線PL11と交差し、給電線PL12と電気的に接続されている。また、導電線CD12は、第1制御電極E11、E13、E15、E17、E22、E24、E26、E28と交差している。
【0086】
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、各制御電極と導電線とを接続するためのコンタクトホールが不要となる。また、導電線CD11は、導電線CD12とは異なる層に設けられているため、平面視において、導電線CD11及びCD12が互いに重畳するように配置することができる。これにより、導電線の設置面積を低減することができ、導電線からの漏れ電界による液晶分子の配向乱れが抑制される。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、無効領域を縮小することが可能な光制御装置及び照明装置を提供することができる。
【0088】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0089】
100…照明装置 200…光制御装置 10…第1液晶セル 20…第2液晶セル
SUB1…第1基板 E1…第1制御電極 SUB2…第2基板 LC1…第1液晶層
SUB3…第3基板 E2…第2制御電極 SUB4…第4基板 LC2…第2液晶層
E11…第1電極 E21…第2電極 E31…第3電極 E41…第4電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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