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特許7366776放送制御装置、放送システム、及び放送制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】放送制御装置、放送システム、及び放送制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 27/00 20060101AFI20231016BHJP
   H04R 3/12 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H04R27/00 C
H04R3/12 A
H04R27/00 J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020014806
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122092
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】埜中 靖夫
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-240587(JP,A)
【文献】特開2002-044792(JP,A)
【文献】特開2009-303134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 27/00
H04R 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内に配置された複数のスピーカーからの音声出力を制御する放送制御装置であって、
所定時間ごとに取得される前記施設内の人物の現在位置を、各人の氏名と対応付けて管理するデータベースと、
前記施設の訪問者から前記施設内の呼出対象者を特定する氏名を含む受付情報を取得する受付情報取得部と、
前記施設内における前記呼出対象者の現在の位置を示す対象者位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記施設内に配置されるスピーカーの位置情報に基づき、前記対象者位置情報に対応する一以上のスピーカーを選択するスピーカー選択部と、
選択された前記スピーカーから音声を出力させる音声出力制御部と、
を備え、
前記位置情報取得部は、前記データベースを参照して、前記受付情報に含まれる氏名と一致する氏名の呼出対象者の現在位置を前記対象者位置情報として取得し、
前記位置情報取得部が前記呼出対象者の現在位置を取得できないときは、前記訪問者に対して前記スピーカー以外による代替の呼出方法を提示するようエラー情報を送出する、放送制御装置。
【請求項2】
前記音声出力制御部は、呼出対象者を特定する氏名に基づきメッセージを生成し、前記メッセージに応じた音声を選択された前記スピーカーから出力させる、
請求項1に記載の放送制御装置。
【請求項3】
前記スピーカー選択部は、前記施設の空間におけるスピーカーの配置又は前記空間の広さに応じて、選択するスピーカーの数を変更する、
請求項1又は2に記載の放送制御装置。
【請求項4】
前記スピーカー選択部は、前記空間の騒音レベルに応じて、選択するスピーカーの数を変更する、
請求項3に記載の放送制御装置。
【請求項5】
前記受付情報は、二次元バーコードをバーコードリーダーにより読み取られることにより生成され、
前記二次元バーコードは、コンピューター端末から入力された氏名をエンコードしたものである、
請求項1から4のいずれかに記載の放送制御装置。
【請求項6】
施設内に配置された複数のスピーカーからの音声出力を制御する放送制御装置であって、
呼出対象者を特定する対象者特定情報を含む受付情報を取得する受付情報取得部と、
前記施設内における前記呼出対象者の現在の位置を示す対象者位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記施設内に配置されるスピーカーの位置情報に基づき、前記対象者位置情報に対応する一以上のスピーカーを選択するスピーカー選択部と、
選択された前記スピーカーから音声を出力させる音声出力制御部と、
を備え、
前記受付情報は、異なる複数の呼出対象者を特定する対象者特定情報と、前記複数の呼出対象者間の優先度を示す情報とを含み、
前記位置情報取得部は、前記受付情報を参照し、前記優先度の高い方の第1呼出対象者の現在の位置を示す対象者位置情報を取得できなかった場合は、前記優先度の低い方の第2呼出対象者の現在の位置を示す対象者位置情報を取得する、放送制御装置。
【請求項7】
施設内に配置された複数のスピーカーからの音声出力を制御する放送制御装置であって、
呼出対象者を特定する対象者特定情報を含む受付情報を取得する受付情報取得部と、
前記施設内における前記呼出対象者の現在の位置を示す対象者位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記施設内に配置されるスピーカーの位置情報に基づき、前記対象者位置情報に対応する一以上のスピーカーを選択するスピーカー選択部と、
選択された前記スピーカーから音声を出力させる音声出力制御部と、
を備え、
前記スピーカー選択部は、前記対象者位置情報に対応する一以上のスピーカーを選択した際、当該選択されたスピーカーが使用中である場合、当該選択されたスピーカーに隣接する一以上の隣接スピーカーを選択する、放送制御装置。
【請求項8】
前記スピーカー選択部が前記隣接スピーカーを選択した場合、前記音声出力制御部は、出力する音声の音量を上げる、
請求項7に記載の放送制御装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の放送制御装置と、
前記放送制御装置からの指令に応じて音声を出力する複数のスピーカーと、
を備える、放送システム。
【請求項10】
請求項1に記載の放送制御装置と、
前記放送制御装置からの指令に応じて音声を出力する複数のスピーカーと、
前記放送制御装置に接続可能であり、前記訪問者による入力操作に応じて前記受付情報を生成する受付装置と、
を備える放送システム。
【請求項11】
施設内に配置された複数のスピーカーからの音声出力を制御する放送制御方法であって、
所定時間ごとに取得される前記施設内の人物の現在位置を、各人の氏名と対応付けてデータベースに記録して管理するステップ
前記施設の訪問者から前記施設内の呼出対象者を特定する氏名を含む受付情報を取得するステップ
前記データベースを参照して、前記施設内における、前記受付情報に含まれる氏名と一致する氏名の呼出対象者の現在の位置を示す対象者位置情報を取得するステップ
前記施設内に配置されるスピーカーの位置情報に基づき、前記対象者位置情報に対応する一以上のスピーカーを選択するステップ、
選択された前記スピーカーから音声を出力させるステップ及び
対象者位置情報を取得するステップにおいて前記呼出対象者の現在位置を取得できないときは、前記訪問者に対して前記スピーカー以外による代替の呼出方法を提示するようエラー情報を送出するステップ、
を含む、放送制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構内放送を行う放送制御装置、放送システム、及び放送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送する音声情報の特性(緊急であるか否かを表す情報)及び構内100の各エリア(部屋)a,b,c内のユーザの活動内容に応じて、構内放送する音声情報を出力する。会社や工場等の構内100に設置され、構内放送する音声情報の特性(緊急であるか否かを表す情報)及び構内100の各エリア(部屋)a,b,c内のユーザの活動内容に応じて、構内放送する音声情報を出力する会社や工場等の構内100に設置され、構内放送する音声情報の特性(緊急であるか否かを表す情報)及び構内100の各エリア(部屋)a,b,c内のユーザの活動内容に応じて、構内放送する音声情報を出力する会社や工場等の構内100に設置され、構内放送する音声情報の特性(緊急であるか否かを表す情報)及び構内100の各エリア(部屋)a,b,c内のユーザの活動内容に応じて、構内放送する音声情報を出力する会社や工場等の建物やその敷地を含む施設内に設置された放送システムであって、構内放送するための音声情報の特性(緊急であるか否かを表す情報)や施設のエリア内の利用者の活動内容に応じて、音声情報を出力する放送システムが知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-258466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施設内において放送により呼び出しを行う場合、どこにいるか分からない呼出対象者が放送内容を確実に聞くようにするため、構内全体に一斉に放送する。しかし、かかる一斉放送は、呼出対象者以外の者にとっては関係のない無駄な放送であり、呼出対象者以外の者は煩わしさを感じる。
【0005】
上述した観点に鑑み、本開示の目的は、構内放送において無駄のない効率的な呼び出し放送を実現可能な放送制御装置、放送システム、及び放送制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一の観点によれば、放送制御装置は、施設内に配置された複数のスピーカーからの音声出力を制御する放送制御装置であって、受付情報取得部と、位置情報取得部と、スピーカー選択部と、音声出力制御部とを備える。受付情報取得部は、呼出対象者を特定する対象者特定情報を含む受付情報を取得する。位置情報取得部は、施設内における呼出対象者の現在の位置を示す対象者位置情報を取得する。スピーカー選択部は、施設内に配置されるスピーカーの位置情報に基づき、対象者位置情報に対応する一以上のスピーカーを選択する。音声出力制御部は、選択されたスピーカーから音声を出力させる。
【0007】
本開示の他の観点によれば、放送システムは、上記放送制御装置と、放送制御装置からの指令に応じて音声を出力する複数のスピーカーとを備える。
【0008】
本開示の更に別の観点によれば、放送制御方法は、施設内に配置された複数のスピーカーからの音声出力を制御する放送制御方法であって、呼出対象者を特定する対象者特定情報を含む受付情報を取得すること、施設内における呼出対象者の現在の位置を示す対象者位置情報を取得すること、施設内に配置されるスピーカーの位置情報に基づき対象者位置情報に対応する一以上のスピーカーを選択すること、及び選択されたスピーカーから音声を出力させること、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る放送制御装置、放送システム、及び放送制御方法によれば、構内放送において無駄のない効率的な呼び出し放送を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る放送システムを含むネットワークの全体構成を示す。
図2図2は、一実施形態に係る放送制御装置の構成を示す。
図3図3は、受付情報を取得するための入力インターフェースの例を示す。
図4図4(a)は、アテンダントの現在の位置情報を取得するための利用者位置情報の例を示し、図4(b)は、放送制御装置が扱うスピーカーの位置情報の例を示す。
図5図5(a)及び(b)は、音声メッセージのテンプレートの例を示す。
図6図6は、主に放送制御装置の動作を示すフローチャートである。
図7図7は、放送システムの動作を説明するための図である。
図8図8は、変形例1に係る放送制御装置の動作を説明するための図である。
図9図9は、変形例2に係る放送制御装置の動作を説明するための図である。
図10図10は、一実施形態に係るスピーカーの構成を示す。
図11図11は、他の実施形態に係るスピーカーの構成を示す。
図12図12は、他の実施形態に係る放送制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
図1及び図2に示す放送制御装置10は、受付装置70より受付情報を取得する。受付情報は、ビジター(呼出者の一例)の入力操作により受付装置70に入力される。受付情報は、少なくともアテンダント(呼出対象者の一例)の識別情報を含む。受付情報を取得した放送制御装置10は、位置検知装置30に要求して、受付情報において指定されたアテンダントの現在の位置情報を取得する。放送制御装置10は、アテンダントの位置情報に対応する位置にあるスピーカー20を選択し、選択したスピーカー20より、当該アテンダント向けの呼び出しメッセージを音声出力する。これにより、施設100内において当該アテンダントの位置の近傍のスピーカー20からのみ当該アテンダントの呼び出しメッセージが出力される。
【0012】
なお、以下の説明において、「ビジター」は、施設100を訪問する者であり、「アテンダント」はビジターにより指定された呼出対象者である。「利用者」は、施設100において放送システム1を利用する会社、団体のメンバーや個人等であって、予め識別情報が登録された者を意味する。アテンダントは利用者の中から指定される。
【0013】
以下、放送制御装置10及び放送制御装置10を含む放送システム1の構成及びその機能について説明する。
【0014】
1-1.構成
1-1-1.放送システム1
図1に示す放送システム1は、放送制御装置10と、複数のスピーカー20とを備える。放送制御装置10は、LANやWAN等を介して各スピーカー20と通信可能に接続され、放送用の音声信号を各スピーカー20に送信する。
【0015】
1-1-2.スピーカー20
各スピーカー20は、施設100内に複数設置される。スピーカー20は、放送制御装置10に接続され、放送制御装置10からの指令に応じて音声を出力する。例えば、図10に示すように、スピーカー20は、IPアドレスを有するネットワーク接続部21と、D/A変換部22と、アンプ23とを有する。放送制御装置10から送信される音声信号は、指定されたIPアドレスを有するスピーカー20のネットワーク接続部21で受信され、D/A変換部22を介してアナログ信号に変換され、アンプ23を介して出力される。
【0016】
1-1-3.受付装置70
放送制御装置10はまた、受付装置70に、LANやWAN、及び/又はインターネットを介して通信可能に接続される。
【0017】
受付装置70は、例えば、ビジターが使用するスマートフォン等の携帯端末や、デスクトップ型、ラップトップ型、タブレット型等のパーソナルコンピュータである。受付装置70は、例えば、図3に示すように、呼び出す対象であるアテンダントの氏名やビジターの氏名等の入力情報を入力するための入力インターフェースを提供する表示装置71に接続される。ビジター又は応対する受付担当者が表示装置71から入力情報を入力すると、アテンダント及びビジターを特定する情報を含む受付情報が生成され、放送制御装置10に送信される。受付装置70は、自身の記憶部又は他の記憶装置にあるデータベース等を参照して、入力されたアテンダントの氏名に対応するアテンダントの識別情報を取得してもよい。なお、放送制御装置10に送信される受付情報は、アテンダントの識別情報のみを含んでいてもよい。
【0018】
ビジターは、自身のコンピューター端末を用いて、上記入力情報を入力してもよい。この入力により生成された受付情報は、ビジターのコンピューター端末に送信され、記憶媒体にデータとして保存されるか、或いは二次元バーコードとして発行されてもよい。具体的には、ビジターのコンピューター端末にて、図3と同様の入力インターフェースが提供され、アテンダントの氏名やビジターの氏名の入力が促される。受付情報が二次元バーコードとして発行される場合、入力に応じて、アテンダント及びビジターを特定する情報が生成され、当該情報をエンコードした二次元バーコードが生成される。生成された二次元バーコードのデータは、ビジターのコンピューター端末に内蔵された内部記憶媒体、又は同コンピューター端末に装着された外部記憶媒体に記憶される。その後、コンピューター端末は、ユーザー操作による表示指示を受けて、データが読み出され、コンピューター端末の表示部に二次元バーコードが表示されるようにしてもよい。或いは、生成された二次元バーコードのデータは、ユーザー操作による印刷指示を受けて、コンピューター端末に接続されたプリンターに送信され、紙に印刷された二次元バーコードが出力されるようにしてもよい。
【0019】
この場合、受付装置70は、バーコードリーダーを含み、ビジターが来訪時に持参した自身のコンピューター端末の表示部に表示された二次元バーコード、又は紙に印刷された二次元バーコードを読み取る。この読み取りに応じて、受付情報が放送制御装置10に送信される。
【0020】
図3に示す入力インターフェースは、図示されたものに限定されず、例えばアテンダントの所属先(部署名)等を入力できるようにしてもよい。或いは、利用者のリストを表示して選択画面に沿って入力するインターフェースが提供されてもよい。
【0021】
入力インターフェースは更に、複数のアテンダントの氏名を入力できるようにしてもよい。この場合、入力された複数のアテンダント間において優先度を設定入力できるようにしてもよい。例えば、先に入力したアテンダントを呼び出す優先度を、後に入力したアテンダントを呼び出す優先度より高く設定する。設定又は入力された優先度を示す情報は、複数のアテンダントの氏名等アテンダントを特定する情報とともに受付情報に含まれる。二次元バーコードを発行する場合、複数のアテンダントを特定する情報と優先度の情報とをエンコードした二次元バーコードが発行される。
【0022】
1-1-4.位置検知装置30
放送制御装置10はまた、位置検知装置30に、LANやWAN、及び/又はインターネットを介して通信可能に接続される。
【0023】
位置検知装置30は、施設100内の人物の位置を検知する装置である。位置検知装置30は、例えば、施設100内の各所に設置されたリーダー40によって各人が保持するRFIDタグ50を読み取ることによって位置を検知する。なお、位置検知装置30はさまざまな位置検知方法を採ることができる。例えば、施設100内の各所に設置されたWi-Fi(登録商標)のアクセスポイントによって、各人が保持するスマートフォン等の受信端末からの電波の強さや到達時間の違いから位置を検出する装置を用いてもよい。或いは、施設100内の各所に設置されたBLE(Bluetooth(登録商標) low energy)のスキャナを用いて、各人が保持するスマートフォンやタグからの信号を検知する装置を用いてもよい。
【0024】
位置検知装置30は、施設100内の人物の現在位置を所定時間ごとに取得し、図4(a)に示す利用者位置情報130を生成し更新する。利用者位置情報130は、例えば、利用者の識別情報、氏名、及び現在の位置情報を含む。位置検知装置30は、放送制御装置10からの要求に応じて、利用者位置情報130から当該アテンダントの現在の位置情報を取得し、放送制御装置10に送信する。
【0025】
1-1-5.放送制御装置10
図2に示すように、放送制御装置10は、制御部11、RAM12、ROM14、記憶部13、及び通信部17を備える。
【0026】
制御部11は、CPU等を含み、ROM14や記憶部13に記憶されたアプリケーションプログラムをRAM12に読み出して実行することにより、放送制御装置10の各機能を実行する。制御部11は、とりわけ、受付情報取得部111、アテンダント位置情報取得部112、スピーカー選択部113、及び音声出力制御部114の機能を実行する。
【0027】
受付情報取得部111(受付情報取得部の一例)は、受付情報を取得する。受付情報は、上述したように、受付装置70から通信部17を介して取得される。受付情報は、ビジターを特定するビジター特定情報(ビジターの氏名、受付装置70によりビジターに割り当てられた識別情報等)と、ビジターにより指定されたアテンダントを特定するアテンダント特定情報(アテンダントの識別情報等)とを含む。なお、受付情報取得部111は、受付情報として、アテンダント特定情報のみを取得してもよい。
【0028】
アテンダント位置情報取得部112(位置情報取得部の一例)は、アテンダントの現在の位置を示すアテンダント位置情報を取得する。アテンダント位置情報取得部112は、位置検知装置30に対し、取得されたアテンダント特定情報を含むアテンダント位置情報要求を送信する。位置検知装置30は、図4(a)に示す利用者位置情報130から、該当するアテンダントの現在の位置情報をアテンダント位置情報取得部112に返す。
【0029】
スピーカー選択部113(スピーカー選択部の一例)は、図4(b)に示すスピーカー位置情報131を参照して、アテンダント位置情報取得部112により取得されたアテンダントの現在の位置情報に対応するスピーカー20を選択する。スピーカー位置情報131は、各スピーカー20の識別情報と、各スピーカー20に割り当てられたIPアドレスと、各スピーカー20の位置情報とを含む。
【0030】
図4(b)に示すスピーカー位置情報131は、全て又は一部において、一つの位置情報に対して複数のスピーカー20が対応付けられていてもよい。例えば、スピーカー20の位置情報が所定のエリア毎で規定されている場合、当該エリアに位置する複数のスピーカー20が選択され、音声メッセージが出力される。
【0031】
図4(b)に示すスピーカー位置情報131において規定される位置情報と、図4(a)に示す利用者位置情報130において規定される現在位置情報とは、一致しない場合もある。その場合、記憶部13は、スピーカー20の位置情報と利用者の位置情報との対応テーブルを別途記憶しておき、同対応テーブルを参照してアテンダントの現在の位置情報に対応する位置情報を有するスピーカー20を選択するようにしてもよい。
【0032】
音声出力制御部114(音声出力制御部の一例)は、取得されたアテンダント特定情報に基づき音声メッセージを生成する。音声メッセージは、例えば、記憶部13に予め記憶されたメッセージテンプレート132を用いて生成される。図5(a)に示すメッセージテンプレート132の「アテンダント名」に、アテンダント特定情報により特定されるアテンダントの氏名を挿入して、音声メッセージを自動的に生成する。なお、図5(b)に示すメッセージテンプレート132aのように、ビジター特定情報により特定されるビジター名を含む音声メッセージを生成してもよい。生成された音声メッセージは、選択されたスピーカー20のIPアドレスに向けて送信される。
【0033】
記憶部13は、半導体メモリやHDD等により構成され、上述したスピーカー位置情報131やメッセージテンプレート132を記憶する。なお、記憶部13は、データベースを含む別の記憶装置として備えられていてもよい。
【0034】
通信部17は、ネットワークに接続するためのインターフェースであり、例えば無線通信用のアンテナや有線で接続可能なネットワークカードである。通信部17は、ネットワークを介してスピーカー20、位置検知装置30及び受付装置70に接続される。
【0035】
1-2.動作
図6を参照しながら、主に図2に示す放送制御装置10の動作について説明する。
【0036】
放送制御装置10の受付情報取得部111により、受付情報が受信された場合(S101のYes)は、受付情報を取得する(S102)。アテンダント位置情報取得部112により、受付情報に含まれるアテンダント特定情報に基づき、指定されたアテンダントの位置情報を位置検知装置30に要求する(S103)。例えば、指定されたアテンダントは「山田太郎」(識別情報100001)とする。
【0037】
位置検知装置30は、図4(a)に示す利用者位置情報130を参照して、当該アテンダント「山田太郎」の現在の位置情報「a0001」を取得し、アテンダント位置情報取得部112に返す。この結果、アテンダント位置情報取得部112は指定されたアテンダントの現在の位置情報を受信する(S104のYes)。
【0038】
アテンダント位置情報取得部112はアテンダントの現在の位置情報を受信できなかった場合(S104のNo)、エラー情報を受付装置70に送信する(S105)。アテンダントの現在の位置情報を受信できなかった場合とは、例えば、位置検知装置30が当該アテンダントの位置情報を検知できなかった場合、或いは該当するアテンダントの登録情報がなかった場合等である。エラー情報を受信した受付装置70は、ビジターに対し再入力を促すメッセージや、代替の呼び出し方法(内線による呼び出し等)を提示するメッセージを表示装置71(図3)により表示したり、ビジターのコンピューター端末に送信するようにするようにしてもよい。
【0039】
アテンダントの現在の位置情報が受信された場合、スピーカー選択部113により、図4(b)に示すスピーカー位置情報131が参照され(S106)、当該アテンダントの現在の位置情報に対応する位置情報を有するスピーカー20が選択される(S107)。例えば、当該アテンダント「山田太郎」の現在位置「a0001」に対応する位置にあるスピーカー「20-0001」が選択される。
【0040】
音声出力制御部114により、図5(a)に示すメッセージテンプレート132や図5(b)に示すメッセージテンプレート132aを用いて、当該アテンダントに向けた音声メッセージが生成される(S108)。例えば、「山田太郎さんにご案内します。お客様がお待ちです。至急本館玄関までお越しください。」とのメッセージが生成される。生成された音声メッセージは、ステップS107で選択されたスピーカー「20―0001」のIPアドレス「************0001」に向けて送信され、同スピーカー20から出力される(S109)。
【0041】
以上の動作により、図7に示すように、指定されたアテンダント「山田太郎」の現在位置近傍のスピーカー「20-0001」のみから呼び出しのメッセージが出力される。この結果、当該アテンダントのいない場所においては、呼出し放送はなされず、関係のない利用者は煩わしさを感じることはない。
【0042】
更に、上記動作は、例えば、複数のアテンダントを同時に呼び出すことができる。つまり、複数のアテンダントを呼び出すための受付情報が並行して受信された場合であって当該複数のアテンダントが異なる位置にいれば、図7に示すように並行して異なるアテンダントを呼び出すことができる。
【0043】
一つの受付情報に複数のアテンダントが含まれる場合、以下の動作を実行する。放送制御装置10は、受付情報を取得すると(S101~102)、優先度の高い方のアテンダント(以下、第1アテンダントとする)の特定情報に基づきアテンダントの位置を特定する(S103~S104)。第1アテンダントの位置が特定できない場合(S104のNo)、優先度の低い方のアテンダント(以下、第2アテンダントとする)の特定情報に基づきアテンダントの位置を特定し(S103~S104)、特定された位置に基づきスピーカー20を選択し(S106~S107)、同スピーカー20から特定された第2アテンダントの呼出放送を行う(S108~S109)。このように主のアテンダントだけでなく予備のアテンダントも呼び出せるようにすることで、一方のアテンダントが不在である等の理由でビジターの対応ができない場合でも、予備のアテンダントを呼び出してビジターの対応に当たらせることができる。
【0044】
1-3.特徴等
上記実施形態に係る放送制御装置10においては、施設100内における一又は複数の空間に配置されるスピーカー20の位置情報に基づき、呼出者であるビジターにより指定されたアテンダントの現在の位置情報に対応するスピーカー20を選択して、選択されたスピーカー20からのみアテンダントを呼び出す音声メッセージを出力する。このため、呼び出し対象者以外の者にとっては関係のない無駄となる放送を避け、呼び出し対象者以外の者に煩わしさを感じさせることなく、無駄のない効率的な呼び出し放送を実現することができる。
【0045】
また、放送制御装置10は、受付情報の受信に応じて、アテンダントの現在の位置情報を取得し、当該位置情報に対応するスピーカー20を選択し、自動的に生成した当該アテンダント向けの音声メッセージを出力する。これにより、訪問客を受け付けて呼び出す一連の作業が自動的且つ円滑に実行される。
【0046】
また、放送制御装置10は、ビジター自身が入力した受付情報に基づき自動的にアテンダントの呼出放送が行えるので、受付担当者が不要となり省人化に寄与する。
【0047】
1-4.変形例
1-4-1.変形例1
放送制御装置10は、施設100内の空間におけるスピーカー20の配置や空間の広さ(面積及び/又は天井の高さ等)に応じて、選択するスピーカー20の数を変更するようにしてもよい。例えば図8に示すように、空間101には3つのスピーカー20が配置され、空間101と同じ広さの空間102には5つのスピーカーが配置されているとする。或いは、空間101は空間102に比べ広いとする。空間101の場合、空間102に比べ、各スピーカー20がカバーしなければならないエリアが広いため、選択されたスピーカー20からの音声がアテンダントに十分に届かない可能性がある。
【0048】
これを防ぐため、放送制御装置10のスピーカー選択部113は、アテンダントの現在の位置が空間101にある場合は、取得したアテンダントの現在の位置情報に対応する位置のスピーカー20に加え、当該スピーカー20に近接する位置にある他のスピーカー20も自動的に選択する。これにより、呼び出されるアテンダントに対しスピーカー20からの音声がより確実に聞こえるようにすることができる。
【0049】
1-4-2.変形例2
放送制御装置10は、施設100内の空間における騒音レベルに応じて、選択するスピーカー20の数を変更するようにしてもよい。例えば図9に示すように、空間101は多数の利用者がいて騒音レベルが所定のレベルよりも大きく、空間102は騒音が小さいとする。空間101の場合、空間102に比べ騒音レベルが大きいことから、選択されたスピーカー20からの音声がアテンダントに十分に届かない可能性がある。
【0050】
これを防ぐため、放送制御装置10のスピーカー選択部113は、アテンダントの現在の位置が空間101にある場合は、空間101の騒音レベルを取得し、騒音が大きい(所定のレベル以上)と判定した場合は、取得したアテンダントの現在の位置情報に対応する位置のスピーカー20に加え、近接する位置にあるスピーカー20も自動的に選択する。なお、騒音は、各空間に設置されたマイク60により収音し、放送制御装置10の制御部11において騒音レベルを監視し、判定する。
【0051】
これにより、呼び出されるアテンダントに対しスピーカー20からの音声がより確実に聞こえるようにすることができる。
【0052】
2.その他実施形態
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、各実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0053】
(1)放送制御装置10には、図11に示すように、IPアドレスを持たずアナログ音声信号を入力し出力するスピーカー200を適用してもよい。その場合、放送制御装置10は、D/A変換器80を介してアンプ90に接続され、アンプ90の出力端子と各スピーカー200とがスピーカーラインで接続される。D/A変換器80によりアナログ信号に変換された音声信号を受信したアンプ90は、放送制御装置10が選択したスピーカー200を接続する出力端子に対し、音声信号を出力する。
【0054】
なお、アンプ90の各出力端子は複数のスピーカー200に接続されていてもよい。この場合、アテンダントを呼び出す音声メッセージは複数のスピーカー200から出力される。或いは、アンプ90は複数の他のアンプ(図示省略)に接続され、複数のアンプのそれぞれの出力端子にスピーカー200が接続される構成であってもよい。
【0055】
(2)位置検知装置30は、上述した位置検出方式以外の方式を用いるものであってもよい。例えば、施設100内に配置されたカメラで撮像した画像に基づき、顔認証等により各利用者の位置情報を取得するものであってもよい。
【0056】
(3)上記実施形態においては、放送制御装置10は自動的に音声メッセージを生成しスピーカー20より出力させていたが、マイクで収音した音声メッセージを出力するものであってもよい。この場合、例えば、放送制御装置10は、スピーカー20を選択すると、施設100の端末装置(受付の担当者が使用する端末、その他施設100内において放送システム1を利用する者の端末)に呼び出しを促す旨の通知を送信する。通知を受信した端末装置において、アテンダントを呼び出す音声がマイクから入力されると、放送制御装置10はその音声を選択したスピーカー20から出力させる。
【0057】
(4)上記実施形態において、選択されたスピーカー20が他の放送で使用中である場合は、放送制御装置10は、所定時間経過後、或いは他の放送の終了判定後に、呼び出しのための音声メッセージを出力するようにしてもよい。
【0058】
図12のフローチャートは、選択されたスピーカー20が他の放送で使用中である場合の動作を含む放送制御装置10の動作を示し、図6に示すステップS101~S108の処理後、ステップS109に至るまでの処理を示す。音声出力制御部114は、スピーカー選択部113により選択されたスピーカー20が他の放送で使用中か否かを判定し(S201)、使用中でなければ(S201のNo)、図6のステップS109を実行して選択されたスピーカー20から音声メッセージを出力する。
【0059】
一方、選択されたスピーカー20が使用中である場合(S201のYes)、音声出力制御部114は、音声出力せずにタイマー(図示省略)を起動し(S202)、所定時間の経過を待つ。所定時間経過前に、他の放送が終了した場合は(S203のYes)、図6のステップS109を実行して選択されたスピーカー20から音声メッセージを出力する。所定時間経過しても他の放送が終了しない場合(S204のYes)、スピーカー選択部113は、選択しているスピーカー20に隣接する別のスピーカー20を選択し(S205)、音声出力制御部114は、ステップS201からS204を繰り返す。
【0060】
なお、上記動作により、本来図6のステップS108で選択されたアテンダントに最も近いスピーカー20の代わりに、隣接するスピーカー20が選択されて音声出力される場合がある。この場合、選択された隣接するスピーカー20がアテンダントから離れていて聞こえにくい可能性がある。これを防ぐため、放送制御装置10は、ステップS205で隣接するスピーカー20を選択した場合、隣接するスピーカー20が選択されない場合に比べて、音声出力のボリューム(音量)を上げるようにしてもよい。
【0061】
(5)上記放送制御装置10を含む放送システム1は、病院において呼出者である患者や看護師等が呼出対象者である医師を呼び出すシステムとして適用してもよい。或いは、銀行等のサービス業の窓口に来訪した呼出者である顧客が、呼出対象者である担当者を呼び出すシステムとして適用してもよい。或いは、会社内において、呼出者である社員が他の社員を呼び出すシステムとして適用してもよい。
【0062】
(6)放送制御装置10の制御部11は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路で構成されるプロセッサを含んでもよい。また、制御部11は、CPU以外の、MPU、GPU、DSP、FPGA、ASIC等の種々のプロセッサで実現してもよい。プロセッサは、1つ又は複数のプロセッサで構成してもよい。
【0063】
(7)図6に示すフローチャートの処理の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えたり、並行して実行されたりすることができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0064】
(8)放送制御装置10により実行される放送制御方法、同方法を実行するコンピュータプログラム、及び同コンピュータプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体は、本開示の範囲に含まれる。コンピュータプログラムは電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して取得されてもよい。
【0065】
(9)本開示による放送制御装置10、位置検知装置30及び受付装置70の一部又は全ては、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。本明細書において、装置とは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味する場合を含み、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。また、全て又は一部の構成要素は、施設100以外の場所に設置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示は、施設内において利用される放送システムとして適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 :放送システム
10 :放送制御装置
11 :制御部
12 :RAM
13 :記憶部
14 :ROM
17 :通信部
20 :スピーカー
21 :ネットワーク接続部
22 :D/A変換部
23 :アンプ
30 :位置検知装置
40 :リーダー
50 :RFIDタグ
60 :マイク
70 :受付装置
71 :表示装置
80 :D/A変換器
90 :アンプ
100 :施設
101 :空間
102 :空間
111 :受付情報取得部
112 :アテンダント位置情報取得部
113 :スピーカー選択部
114 :音声出力制御部
130 :利用者位置情報
131 :スピーカー位置情報
132 :メッセージテンプレート
132a :メッセージテンプレート
200 :スピーカー


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12