(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】通信装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20231016BHJP
G01S 11/06 20060101ALI20231016BHJP
E05B 49/00 20060101ALN20231016BHJP
G01S 13/76 20060101ALN20231016BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S11/06
E05B49/00 K
G01S13/76
(21)【出願番号】P 2020031519
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】河野 裕己
(72)【発明者】
【氏名】新田 繁則
(72)【発明者】
【氏名】古田 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-278731(JP,A)
【文献】特開2009-085780(JP,A)
【文献】特開2014-227647(JP,A)
【文献】特開2000-073635(JP,A)
【文献】特表2019-528387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00-5/14
G01S 11/00-11/10
G01S 13/74-13/84
B60R 25/24
E05B 49/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
他の通信装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
前記他の通信装置が存在する位置を示す位置情報に対して求められる精度に基づいて、前記位置情報を取得するための位置情報取得処理を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記位置情報に対して求められる精度に対応する方法で前記無線通信部と前記他の通信装置との間で無線通信を
実行させ、実行された無線通信の結果に基づいて前記位置情報を取得することを含む処理を、前記位置情報取得処理として実行
し、
前記位置情報に対して求められる精度は、前回の前記位置情報取得処理において取得された前記位置情報により示される前記他の通信装置が存在した位置と、前記通信装置及び前記他の通信装置の少なくともいずれかの電池残量と、に基づいて設定される、通信装置。
【請求項2】
前記位置情報は、前記他の通信装置が存在する位置に応じたサービスを提供するために使用され、
前記位置情報に対して求められる精度は、前記サービスごとに設定される、請求項1
に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信装置は、車両に搭載され、
前記他の通信装置は、前記車両のユーザに携帯して使用される装置であり、
前記サービスは、前記車両の遠隔操作に関する、請求項
2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記サービスは、前記通信装置と前記他の通信装置との間の距離が所定距離以内である場合に提供され、
前記位置情報に対して求められる精度は、前記通信装置と前記他の通信装置との間の距離が前記所定距離となる前記他の通信装置の位置を含む第1の範囲において高く、前記第1の範囲よりも前記通信装置と前記他の通信装置との間の距離が近い第2の範囲及び前記第1の範囲よりも前記通信装置と前記他の通信装置との間の距離が遠い第3の範囲において低く設定される、
請求項2又は3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記位置情報取得処理において行われる無線通信は、前記位置情報を取得するための信号を繰り返し送信することを含み、
前記制御部は、前記位置情報を取得するための信号を繰り返し送信する際の送信間隔を制御する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記位置情報に対して求められる精度が低いほど、前記送信間隔を長くする、請求項
5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記位置情報取得処理において行われる無線通信は、複数の無線通信規格のうちいずれかを使用して行われ、
前記制御部は、前記位置情報取得処理において使用する前記無線通信規格を選択する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記位置情報取得処理において前記無線通信部による無線通信の結果に基づいて前記位置情報を取得することとして、信号の伝搬時間に基づいて前記位置情報を取得すること、又は信号の受信強度に基づいて前記位置情報を取得することの、いずれを行うかを選択する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項9】
通信装置であって、
他の通信装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
前記通信装置が存在する位置を示す位置情報を、前記位置情報に対して求められる精度に基づいて前記他の通信装置が取得するための位置情報取得処理を、前記他の通信装置から受信する信号に基づいて制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記位置情報に対して求められる精度に対応する方法で前記無線通信部と前記他の通信装置との間で無線通信を
実行させることを含む処理を、前記位置情報取得処理として制御
し、
前記位置情報に対して求められる精度は、前回の前記位置情報取得処理において取得された前記位置情報により示される前記通信装置が存在した位置と、前記通信装置及び前記他の通信装置の少なくともいずれかの電池残量と、に基づいて設定される、通信装置。
【請求項10】
前記位置情報取得処理において行われる無線通信は、前記位置情報を前記他の通信装置が取得するための信号を繰り返し受信する処理を含み、
前記制御部は、前記位置情報を前記他の通信装置が取得するための信号を繰り返し受信する際の受信待機間隔を制御する、請求項
9に記載の通信装置。
【請求項11】
通信装置を制御するコンピュータにより実行される制御方法であって、
他の通信装置との間で無線通信を行うことと、
前記他の通信装置が存在する位置を示す位置情報に対して求められる精度に基づいて、前記位置情報を取得するための位置情報取得処理を制御することと、
を含み、
前記位置情報取得処理を制御することは、
前記位置情報に対して求められる精度に対応する方法で前記通信装置と前記他の通信装置との間で無線通信を
実行させ、実行された無線通信の結果に基づいて前記位置情報を取得することを含む処理を、前記位置情報取得処理として実行することを含
み、
前記位置情報に対して求められる精度は、前回の前記位置情報取得処理において取得された前記位置情報により示される前記他の通信装置が存在した位置と、前記通信装置及び前記他の通信装置の少なくともいずれかの電池残量と、に基づいて設定される、
制御方法。
【請求項12】
通信装置を制御するコンピュータにより実行される制御方法であって、
他の通信装置との間で無線通信を行うことと、
通信装置が存在する位置を示す位置情報を、前記位置情報に対して求められる精度に基づいて前記他の通信装置が取得するための位置情報取得処理を、前記他の通信装置から受信する信号に基づいて制御することと、
を含み、
前記位置情報取得処理を制御することは、
前記位置情報に対して求められる精度に対応する方法で前記通信装置と前記他の通信装置との間で無線通信を
実行させることを含む処理を、前記位置情報取得処理として制御することを含
み、
前記位置情報に対して求められる精度は、前回の前記位置情報取得処理において取得された前記位置情報により示される前記通信装置が存在した位置と、前記通信装置及び前記他の通信装置の少なくともいずれかの電池残量と、に基づいて設定される、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、位置情報が様々な分野で利用されている。例えば、下記特許文献1では、自車両及び他車両の位置情報に基づいて、自車両の運転者に警告を発する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、GPS(Global Positioning System, Global Positioning Satellite)、路車間通信、及び測距センサを併用することで、自車両に対する他車両の位置情報が高精度に取得されていた。しかしながら、上記特許文献1では、位置情報の高精度化が盲目的に行われており、高精度化に伴う処理負荷の増大、遅延の増大、及び消費電力の増大といった不都合は無視されていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、適切な精度の位置情報を取得することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、他の通信装置との間で無線通信を行う無線通信部と、前記他の通信装置が存在する位置を示す位置情報に対して求められる精度に基づいて、前記位置情報を取得するための位置情報取得処理を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記無線通信部と前記他の通信装置との間で無線通信を行った結果に基づいて前記位置情報を取得することを含む処理を、前記位置情報取得処理として実行する、通信装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通信装置であって、他の通信装置との間で無線通信を行う無線通信部と、前記通信装置が存在する位置を示す位置情報を、前記位置情報に対して求められる精度に基づいて前記他の通信装置が取得するための位置情報取得処理を、前記他の通信装置から受信する信号に基づいて制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記無線通信部と前記他の通信装置との間で無線通信を行うことを含む処理を、前記位置情報取得処理として制御する、通信装置が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の通信装置との間で無線通信を行うことと、前記他の通信装置が存在する位置を示す位置情報に対して求められる精度に基づいて、前記位置情報を取得するための位置情報取得処理を制御することと、を含み、前記位置情報取得処理を制御することは、前記他の通信装置との間で無線通信を行った結果に基づいて前記位置情報を取得することを含む処理を、前記位置情報取得処理として実行することを含む、制御方法が提供される。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の通信装置との間で無線通信を行うことと、通信装置が存在する位置を示す位置情報を、前記位置情報に対して求められる精度に基づいて前記他の通信装置が取得するための位置情報取得処理を、前記他の通信装置から受信する信号に基づいて制御することと、を含み、前記位置情報取得処理を制御することは、前記他の通信装置との間で無線通信を行うことを含む処理を、前記位置情報取得処理として制御することを含む、制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、適切な精度の位置情報を取得することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るシステムにおいて実行される位置情報取得処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図3】本実施形態に係るシステムにおいて実行される位置情報取得処理の流れの他の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】本実施形態に係るシステムにおいて実行される位置情報取得処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図5】本実施形態に係る携帯機の位置情報に対して求められる精度の設定の一例を説明するための図である。
【
図6】本実施形態に係る携帯機の位置情報に対して求められる精度の設定の一例を説明するための図である。
【
図7】本実施形態に係る通信ユニットにおいて実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る携帯機において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る通信ユニットにおいて実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<1.構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、携帯機100、及び通信ユニット200を含む。本実施形態における通信ユニット200は、車両202に搭載される。車両202は、ユーザの利用対象の一例である。
【0014】
本発明には、被認証者側の通信装置(以下、第1の通信装置とも称する)と、認証者側の通信装置(以下、第2の通信装置とも称する)と、が関与する。
図1に示した例では、携帯機100が第1の通信装置の一例であり、通信ユニット200が第2の通信装置の一例である。
【0015】
システム1においては、ユーザ(例えば、車両202のドライバー)が携帯機100を携帯して車両202に近づくと、携帯機100と車両202に搭載された通信ユニット200との間で認証のための無線通信が行われる。そして、認証が成功すると、車両202のドア錠がアンロックされたりエンジンが始動されたりして、車両202がユーザにより利用可能な状態になる。システム1は、スマートエントリーシステムとも称される。以下、各構成要素について順に説明する。
【0016】
(1)携帯機100
携帯機100は、ユーザにより携帯して使用される任意の装置として構成される。任意の装置には、電子キー、スマートフォン、及びウェアラブル端末等が含まれる。
図1に示すように、携帯機100は、無線通信部110、記憶部120、及び制御部130を備える。
【0017】
-無線通信部110
無線通信部110は、車両202に搭載された通信ユニット200との間で、無線通信を行う機能を有する。無線通信部110は、車両202に搭載された通信ユニット200から無線信号を受信する。また、無線通信部110は、車両202に搭載された通信ユニット200へ無線信号を送信する。
【0018】
無線通信部110と通信ユニット200との間で行われる無線通信は、任意の無線通信規格に準拠して行われる。
【0019】
無線通信規格の一例として、UWB(Ultra-Wide Band)を用いた信号を送受信するものが挙げられる。UWBを用いた信号の無線通信において、インパルス方式を利用すれば、ナノ秒以下の非常に短いパルス幅の電波を使用することで電波の空中伝搬時間を高精度に測定することができ、伝搬時間に基づく測位及び測距を高精度に行うことができる。なお、UWBは、約3GHz~約10GHzの周波数帯域を指すことが多い。
【0020】
無線通信規格の他の一例として、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))が挙げられる。BLEは、低消費電力な無線通信規格として知られている。なお、BLEでは、2.4GHz帯の信号が送受信される。BLEは、信号の受信強度に基づく測距のために使用される場合がある。なお、受信強度とは、例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator)である。
【0021】
ここで、無線通信においては、搬送波の周波数が高いほど受信側の消費電力が高くなることが知られている。搬送波の周波数が高いほど受信側のサンプリング周波数が高くなるためである。よって、BLEは、UWBを用いる無線通信規格と比較して、受信側の消費電力が低い、と言える。
【0022】
無線通信部110は、例えば、UWB及びBLEでの通信が可能な通信インタフェースとして構成される。
【0023】
-記憶部120
記憶部120は、携帯機100の動作のための各種情報を記憶する機能を有する。例えば、記憶部120は、携帯機100の動作のためのプログラム、並びに認証のためのID(identifier)、パスワード、及び認証アルゴリズム等を記憶する。記憶部120は、例えば、フラッシュメモリ等の記憶媒体、及び記憶媒体への記録再生を実行する処理装置により構成される。
【0024】
-制御部130
制御部130は、携帯機100における処理を実行する機能を有する。例えば、制御部130は、無線通信部110を制御して車両202の通信ユニット200との通信を行う。また、記憶部120からの情報の読み出し及び記憶部120への情報の書き込みを行う。また、制御部130は、車両202の通信ユニット200との間で行われる認証処理を制御する。さらに、制御部130は、後述する位置情報取得処理を制御する。制御部130は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって構成される。
【0025】
(2)通信ユニット200
通信ユニット200は、車両202に対応付けて設けられる。ここでは、通信ユニット200が、車両202の車室内に設置される、又は通信モジュールとして車両202に内蔵される等、通信ユニット200は車両202に搭載されるものとする。
図1に示すように、通信ユニット200は、無線通信部210、記憶部220、及び制御部230を備える。
【0026】
-無線通信部210
無線通信部210は、携帯機100との間で、無線通信を行う機能を有する。無線通信部210は、携帯機100から無線信号を受信する。また、無線通信部210は、携帯機100へ無線信号を送信する。
【0027】
無線通信部210と携帯機100との間で行われる無線通信は、任意の無線通信規格に準拠して行われる。かかる無線通信規格としては、UWBを用いた信号を送受信するもの、及びBLEが挙げられる。無線通信部210は、例えば、UWB及びBLEでの通信が可能な通信インタフェースとして構成される。
【0028】
-記憶部220
記憶部220は、通信ユニット200の動作のための各種情報を記憶する機能を有する。例えば、記憶部220は、通信ユニット200の動作のためのプログラム、及び認証アルゴリズム等を記憶する。記憶部220は、例えば、フラッシュメモリ等の記憶媒体、及び記憶媒体への記録再生を実行する処理装置により構成される。
【0029】
-制御部230
制御部230は、通信ユニット200、及び車両202に搭載された車載機器の動作全般を制御する機能を有する。例えば、制御部230は、無線通信部210を制御して携帯機100との通信を行う。また、制御部230は、記憶部220からの情報の読み出し及び記憶部220への情報の書き込みを行う。また、制御部230は、携帯機100との間で行われる認証処理を制御する。さらに、制御部230は、後述する位置情報取得処理を制御する。また、制御部230は、車両202のドア錠を制御するドアロック制御部としても機能し、ドア錠のロック及びアンロックを行う。また、制御部230は、車両202のエンジンを制御するエンジン制御部としても機能し、エンジンの始動/停止を行う。なお、車両202に備えられる動力源は、エンジンの他にモータ等であってもよい。制御部230は、例えばECU(Electronic Control Unit)等の電子回路として構成される。
【0030】
<2.技術的特徴>
(1)位置情報取得処理
通信ユニット200(正確には、制御部230)は、位置情報取得処理を制御する。位置情報取得処理とは、携帯機100が存在する位置を示す位置情報を取得するための処理である。携帯機100(正確には、制御部130)は、通信ユニット200から受信する信号に基づいて、位置情報取得処理を制御する。即ち、携帯機100と通信ユニット200とは、協働して、携帯機100が存在する位置を示す位置情報を通信ユニット200が取得するための処理を行う。位置情報取得処理により、通信ユニット200は、携帯機100が存在する位置を示す位置情報を取得することが可能となる。
【0031】
携帯機100が存在する位置を示す位置情報を、以下では携帯機100の位置情報とも称する。本実施形態における携帯機100の位置情報は、通信ユニット200を基準とする携帯機100の相対的な位置情報である。具体的には、携帯機100の位置情報は、通信ユニット200(正確には、無線通信部210)と携帯機100(正確には、無線通信部110)との間の距離を示す情報である。
【0032】
位置情報取得処理は、無線通信部110と無線通信部210との間で無線通信を行うことを含む。また、位置情報取得処理は、制御部230が、無線通信の結果に基づいて携帯機100の位置情報を取得することを含む。位置情報取得処理として、信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理、及び信号の受信強度に基づく位置情報取得処理が行われ得る。以下、各々の位置情報取得処理について詳しく説明する。
【0033】
-信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理
位置情報取得処理において無線通信の結果に基づいて位置情報を取得することとして、信号の伝搬時間に基づいて携帯機100の位置情報を取得すること、が行われてもよい。伝搬時間とは、携帯機100と通信ユニット200との間で信号が送信されてから受信されるまでにかかる時間である。このような処理を、信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理とも称する。以下、信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理の流れの一例を、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0034】
図2は、本実施形態に係るシステム1において実行される位置情報取得処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、携帯機100及び通信ユニット200が関与する。なお、本シーケンスにおいては、測距用信号及びデータ信号が送受信される。測距用信号とは、測距のために送受信される信号である。測距用信号には、送信順に従って、第1、第2といったインデックスが付与される。測距用信号は、データを格納するペイロード部分を有さないフレームフォーマットで構成されていてもよいし、ペイロード部分を有するフレームフォーマットで構成されていてもよい。データ信号とは、データを搬送するための信号である。データ信号は、データを格納するペイロード部分を有するフレームフォーマットで構成されることが好ましい。
【0035】
図2に示すように、まず、通信ユニット200の無線通信部210は、第1の測距用信号を送信する(ステップS12)。次いで、携帯機100の無線通信部110は、通信ユニット200から第1の測距用信号を受信すると、第1の測距用信号の応答として第2の測距用信号を送信する(ステップS14)。このとき、携帯機100の制御部130は、携帯機100における第1の測距用信号の受信時刻から第2の測距用信号の送信時刻までの時間ΔT2を計測しておく。他方、通信ユニット200の制御部230は、携帯機100から第2の測距用信号を受信すると、通信ユニット200における第1の測距用信号の送信時刻から第2の測距用信号の受信時刻までの時間ΔT1を計測しておく。次に、携帯機100の無線通信部110は、時間ΔT2を示す情報を含むデータ信号を送信する(ステップS16)。そして、通信ユニット200の制御部230は、データ信号を受信すると、計測したΔT1、及びデータ信号に含まれる情報により示される時間ΔT2に基づいて、携帯機100と通信ユニット200との間の距離を計算する(ステップS18)。詳しくは、ΔT1-ΔT2の結果を2で割ることで片道の信号の伝搬時間が計算され、かかる伝搬時間に信号の速度を掛けることで、携帯機100と通信ユニット200との間の距離が計算される。
【0036】
図3は、本実施形態に係るシステム1において実行される位置情報取得処理の流れの他の一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、携帯機100及び通信ユニット200が関与する。なお、本シーケンスにおいては、測距用信号及びデータ信号に加えて、測距開始指示信号、及びACK(Acknowledgement)信号が送受信される。測距開始指示信号とは、測距用信号を送信するよう指示する信号である。ACK信号とは、受信側が送信側に対して正しく受信したことを知らせるための信号である。
【0037】
図3に示すように、まず、通信ユニット200の無線通信部210は、測距開始指示信号を送信する(ステップS22)。次いで、携帯機100の無線通信部110は、測距開始指示信号を受信すると、測距開始指示信号に対する応答として、ACK信号を送信する(ステップS24)。次に、携帯機100の無線通信部110は、第1の測距用信号を送信する(ステップS26)。次いで、通信ユニット200の無線通信部210は、携帯機100から第1の測距用信号を受信すると、第1の測距用信号の応答として第2の測距用信号を送信する(ステップS28)。
このとき、通信ユニット200の制御部230は、通信ユニット200における第1の測距用信号の受信時刻から第2の測距用信号の送信時刻までの時間ΔT2を計測しておく。他方、携帯機100の制御部230は、通信ユニット200から第2の測距用信号を受信すると、携帯機100における第1の測距用信号の送信時刻から第2の測距用信号の受信時刻までの時間ΔT1を計測しておく。次に、携帯機100の無線通信部110は、時間ΔT1を示す情報を含むデータ信号を送信する(ステップS30)。そして、通信ユニット200の制御部230は、データ信号を受信すると、計測したΔT2、及びデータ信号に含まれる情報により示される時間ΔT1に基づいて、携帯機100と通信ユニット200との間の距離を計算する(ステップS32)。
【0038】
なお、信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理においては、測距用信号は、UWBを用いた信号として送信されることが望ましい。上述したように、UWBを用いた信号の無線通信において、インパルス方式が利用される場合、伝搬時間に基づく測距を高精度に行うことができるためである。
【0039】
-信号の受信強度に基づく位置情報取得処理
位置情報取得処理において無線通信の結果に基づいて位置情報を取得することとして、信号の受信強度に基づいて携帯機100の位置情報を取得すること、が行われてもよい。このような処理を、信号の受信強度に基づく位置情報取得処理とも称する。以下、信号の受信強度に基づく位置情報取得処理の流れの一例を、
図4を参照しながら説明する。
【0040】
図4は、本実施形態に係るシステム1において実行される位置情報取得処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、携帯機100及び通信ユニット200が関与する。
図4に示すように、まず、携帯機100の無線通信部110は、測距用信号を送信する(ステップS42)。そして、通信ユニット200の制御部230は、
携帯機100から測距用信号を受信すると、測距用信号の受信強度を測定し、測定した受信強度に基づいて携帯機100と通信ユニット200との間の距離を計算する(ステップS44)。
【0041】
なお、信号の受信強度に基づく位置情報取得処理においては、測距用信号は、BLEの信号として送信されることが望ましい。上述したように、BLEは、UWBを用いる無線通信規格と比較して、受信側の消費電力が低いためである。
【0042】
(2)位置情報取得処理の制御
通信ユニット200(例えば、制御部230)は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度に基づいて、位置情報取得処理を制御する。詳しくは、通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が高い場合、高精度な位置情報が取得されるよう位置情報取得処理を制御する。他方、通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が低い場合、低精度な位置情報が取得されるよう位置情報取得処理を制御する。これにより、適切な精度の位置情報を取得することが可能となる。
【0043】
-携帯機100の位置情報に対して求められる精度
携帯機100の位置情報に対して求められる精度は、位置ごとに設定される。そして、通信ユニット200は、過去に取得された携帯機100の位置情報により示される携帯機100が存在した位置に対し設定された、携帯機100の位置情報に対して求められる精度に基づいて、位置情報取得処理を制御する。通信ユニット200は、位置情報取得処理を、繰り返し行う。そして、例えば前回の位置情報取得処理において取得された携帯機100の位置情報により示される携帯機100の位置に対して設定された精度に基づいて、次回の位置情報取得処理を制御する。これにより、携帯機100の最新の位置に応じた精度の位置情報を取得することが可能となる。
【0044】
なお、過去に取得された携帯機100の位置情報とは、前回の位置情報取得処理において取得された携帯機100の位置情報に限定されない。他の一例として、過去に取得された携帯機100の位置情報とは、直近の複数回の位置情報取得処理において取得された携帯機100の位置情報を平均等したものであってもよい。
【0045】
携帯機100の位置情報に対して求められる精度の設定は、典型的には通信ユニット200により実行される。もちろん、携帯機100が、携帯機100の位置情報に対して求められる精度の設定を実行してもよい。
【0046】
以下、携帯機100の位置情報に対して求められる精度の設定の一例を、
図5を参照しながら説明する。
【0047】
図5は、本実施形態に係る携帯機100の位置情報に対して求められる精度の設定の一例を説明するための図である。
図5に示した設定10A~10Cにおいて、領域11は、通信ユニット200からの距離が近距離である領域である。領域12は、通信ユニット200からの距離が中距離である領域である。領域13は、通信ユニット200からの距離が遠距離である領域である。各領域に付されたハッチングは、濃いほど携帯機100の位置情報に対して求められる精度が高いことを意味し、薄いほど携帯機100の位置情報に対して求められる精度が低いことを意味する。また、ハッチングが付されていない領域では、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が最も低いことを意味する。設定10Aは、通信ユニット200からの距離が近いほど、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が高い設定である。設定10Bは、通信ユニット200からの距離が遠いほど、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が高い設定である。設定10Cは、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が、領域11~13では等しく低く、領域11~13の各々の境界部分21~23では高い設定である。
【0048】
携帯機100の位置情報は、携帯機100が存在する位置に応じたサービスを提供するために使用される。そして、携帯機100の位置情報に対して求められる精度は、サービスごとに設定されてもよい。換言すると、通信ユニット200は、提供されるサービスに応じた、携帯機100の位置情報に対して求められる精度に基づいて、位置情報取得処理を制御してもよい。これにより、サービスごとに適切な精度の位置情報を取得することが可能となる。
【0049】
そのようなサービスとしては、例えば、車両202の遠隔操作に関するサービスが挙げられる。遠隔操作に関するサービスの一例として、車両202のドア錠をアンロックすることが挙げられる。かかるサービスでは、車両202から所定距離以内に携帯機100が近づいた場合、車両202のドア錠がアンロックされる。ここで、精度の高い位置情報に基づいて、ドア錠のアンロックが実行されることが望ましい。そのため、車両202のドア錠をアンロックするサービスにおいては、例えば
図5に示した設定10Aが採用される。同様の設定が採用され得るサービスとしては、車両202のエンジンを始動させることも挙げられる。
【0050】
ここで、サービスが実行される距離の領域を包含する領域に対して、携帯機100の位置情報に対し求められる精度が高く設定されることが望ましい。例えば、通信ユニット200から2m以内に携帯機100が近づいた場合にドア錠がアンロックされる場合、設定10Aにおける領域11は、通信ユニット200から2mの領域を含む、通信ユニット200から例えば3m以内の領域として設定されることが望ましい。これにより、ドア錠のアンロックが実行される距離に到達するよりも前から精度の高い位置情報を取得することができるので、ドア錠のアンロックを適切なタイミングで実行することができる。
【0051】
同様の理由から、車両202のドア錠をアンロックするサービスにおいて
図5に示した設定10Cが採用される場合、例えば領域11及び領域12の境界部分21が、通信ユニット200から2mの領域を含むよう設定されることが望ましい。この場合、サービスが実行される距離に到達する直前/直後において、精度の高い位置情報を集中的に取得することができる。
【0052】
遠隔操作に関するサービスの他の一例として、車両202のドア錠をロックすることが挙げられる。かかるサービスでは、車両202から所定距離以上に携帯機100が遠のいた場合、車両202のドア錠がロックされる。ここで、精度の高い位置情報に基づいて、ドア錠のロックが実行されることが望ましい。そのため、車両202のドア錠をロックするサービスにおいては、例えば
図5に示した設定10Bが採用される。本例においても、サービスが実行される距離の領域を包含する領域に対して、携帯機100の位置情報に対し求められる精度が高く設定されることが望ましい。例えば、通信ユニット200から10m以上携帯機100が遠のいた場合にドア錠がロックされる場合、設定10Bにおける領域13は、通信ユニット200から10mの領域を含む、通信ユニット200から例えば8m~12mの領域として設定されることが望ましい。これにより、ドア錠のロックが実行される距離に到達するよりも前から精度の高い位置情報を取得することができるので、ドア錠のロックを適切なタイミングで実行することができる。
【0053】
携帯機100の位置情報に対して求められる精度は、携帯機100及び通信ユニット200の少なくともいずれかの電池残量に基づいて設定されてもよい。例えば、電池残量が高いほど、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が高く設定される。また、電池残量が低いほど、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が低く設定される。後述するように、精度の高い位置情報を取得するためには、多くの電力が消費される。この点、電池残量に基づく設定により、電池を長持ちさせることが可能となる。携帯機100の位置情報に対して求められる精度を電池残量に基づいて設定する例を、
図6を参照しながら説明する。
【0054】
図6は、本実施形態に係る携帯機100の位置情報に対して求められる精度の設定の一例を説明するための図である。
図6では、
図5に示した設定10Aが採用されている状況下で、電池残量が低下した場合に採用され得る設定10D~10Fが図示されている。設定10Dは、領域13における携帯機100の位置情報に対して求められる精度を、設定10Aから低下させた設定である。設定10Eは、領域11~13の各々における携帯機100の位置情報に対して求められる精度を、設定10Aから低下させた設定である。設定10Fは、領域11~13の各々を設定10Aから縮小し、領域13の外部に領域13よりも低い精度が求められる領域14を設けた設定である。設定10D~10Fはいずれも、設定10Aと比較して携帯機100の位置情報に対して求められる精度が低くなっている。従って、設定10Aから設定10D~10Fのいずれかに設定を切り替えることで、電池をより長持ちさせることができる。
【0055】
-位置情報取得用信号の送信間隔の制御
位置情報取得処理において行われる無線通信は、位置情報取得用信号を繰り返し送信することを含む。位置情報取得用信号とは、携帯機100の位置情報を通信ユニット200が取得するための信号である。本実施形態における位置情報取得用信号は、例えば、
図2に示した例における第1の測距用信号、及び
図3に示した測距開始指示信号である。上述したように、通信ユニット200は、位置情報取得処理を繰り返し行う。そのため、通信ユニット200は、位置情報取得処理を行う度に、これらの位置情報取得用信号を送信する。
【0056】
そして、通信ユニット200は、位置情報取得用信号を繰り返し送信する際の送信間隔を制御する。換言すると、通信ユニット200は、位置情報取得処理の実行間隔を制御する。具体的には、通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度に基づいて、位置情報取得用信号を繰り返し送信する際の送信間隔を制御する。例えば、通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が低いほど、送信間隔を長くする。これにより、消費電力を抑制することができる。一方で、通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が高いほど、送信間隔を短くする。これにより、時間の観点で精度が高い(即ち、遅延が少ない)携帯機100の位置情報を取得することが可能となる。
【0057】
他方、携帯機100による位置情報取得処理において行われる無線通信は、位置情報取得用信号を繰り返し受信することを含む。換言すると、携帯機100による位置情報取得処理において行われる無線通信は、繰り返し位置情報取得用信号の受信待機を行うことを含む。そして、携帯機100は、位置情報取得用信号を繰り返し受信する際の受信待機間隔を制御する。
ここで、受信待機間隔とは、受信待機を終了してから次に受信待機を開始するまでの時間間隔である。具体的には、携帯機100は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が低いほど、受信待機間隔を長くする。これにより、消費電力を抑制することができる。
一方で、携帯機100は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が高いほど、受信待機間隔を短くする。これにより、時間の観点で精度が高い(即ち、遅延が少ない)携帯機100の位置情報を、通信ユニット200に取得させることが可能となる。
【0058】
なお、受信待機とは、所望の信号を取得して処理可能な状態とすることを指す。信号を取得して処理可能な状態とは、アンテナを介して受けた信号を処理装置に取り込めるように、アナログデジタル変換器などを動作させることでもよい。さらには、信号を取得して処理可能な状態とは、処理装置に取り込まれた信号に対して後続する各種の処理の実行を開始することでもよい。なお、信号を取得して処理可能な状態とは、処理装置への信号の取り込みを、アンテナを介して所望の信号を受けたことを検出した場合に実行されるように携帯機100が構成されている場合には、アンテナを介して所望の信号を受けることでもよい。
【0059】
なお、携帯機100は、求められる精度を示す情報を通信ユニット200から受信し、受信した情報に基づいて受信待機間隔を制御してもよい。また、携帯機100は、設定すべき受信待機間隔を通信ユニット200から指示されてもよく、通信ユニット200からの指示に従って受信待機間隔を制御してもよい。
【0060】
-無線通信規格及び位置情報計算のアルゴリズムの制御
位置情報取得処理において行われる無線通信は、複数の無線通信規格のうちいずれかを使用して行われてもよい。その場合、通信ユニット200は、位置情報取得処理において使用する無線通信規格を選択する。詳しくは、通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度に基づいて、位置情報取得処理において使用する無線通信規格を選択する。
【0061】
さらに、通信ユニット200は、前記位置情報取得処理において用いられる位置情報計算のアルゴリズムを選択してもよい。詳しくは、通信ユニット200は、信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理、又は信号の受信強度に基づく位置情報取得処理の、いずれを行うかを選択してもよい。通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度に基づいて、かかる選択を行う。
【0062】
例えば、通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも高い場合、高い精度で測距可能な無線通信規格及び位置情報計算のアルゴリズムを選択する。具体的には、通信ユニット200は、位置情報取得処理において行われる無線通信をUWBで行い、信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理を選択する。上述したように、UWBを用いた信号の無線通信において、インパルス方式が利用される場合、伝搬時間に基づく測距を高精度に行うことができる。従って、かかる選択を行うことで、高精度な携帯機100の位置情報を取得することが可能となる。
【0063】
例えば、通信ユニット200は、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも低い場合、消費電力を抑制可能な無線通信規格及び位置情報計算のアルゴリズムを選択する。具体的には、通信ユニット200は、位置情報取得処理において行われる無線通信をBLEで行い、信号の受信強度に基づく位置情報取得処理を選択する。上述したように、BLEは、UWBを用いる無線通信規格と比較して、受信側の消費電力が低い。また、信号の受信強度に基づく位置情報取得処理は、
図2及び
図3に示した信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理で行われていたような、時間の計測、計測結果の報告、及び伝搬時間の計算等を行う必要がないので、処理負荷が軽減され、消費電力も抑制される。従って、かかる選択を行うことで、消費電力を抑制することが可能となる。
【0064】
なお、携帯機100は、求められる精度を示す情報を通信ユニット200から受信し、受信した情報に基づいて無線通信規格及び位置情報計算のアルゴリズムを選択してもよい。また、携帯機100は、選択すべき無線通信規格及び位置情報計算のアルゴリズムを通信ユニット200から指示されてもよく、通信ユニット200からの指示に従って無線通信規格及び位置情報計算のアルゴリズムを選択してもよい。
【0065】
(3)処理の流れ
-位置情報取得用信号の送信間隔の制御
図7は、本実施形態に係る通信ユニット200において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、通信ユニット200は、位置情報取得処理を行う(ステップS102)。詳しくは、無線通信部210は、携帯機100との間で無線通信を行う。そして、制御部230は、無線通信部210による無線通信の結果に基づいて携帯機100の位置情報を取得する。次に、制御部230は、携帯機100の位置において、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも高いか否かを判定する(ステップS104)。なお、携帯機100の位置は、ステップS102の位置情報取得処理により通信ユニット200が取得した位置情報により示される。
【0066】
携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも高いと判定された場合(ステップS104:YES)、制御部230は、位置情報取得用信号の送信間隔として、後述するIN2よりも短いIN1を設定する(ステップS106)。即ち、制御部230は、次回の位置情報取得処理の実行タイミングを、IN1後に設定する。その後、処理は再度ステップS102に進み、IN1後に位置情報取得処理が実行される。
【0067】
携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも低いと判定された場合(ステップS104:NO)、制御部230は、位置情報取得用信号の送信間隔として、上述したIN1よりも長いIN2を設定する(ステップS108)。即ち、制御部230は、次回の位置情報取得処理の実行タイミングを、IN2後に設定する。その後、処理は再度ステップS102に進み、IN2後に位置情報取得処理が実行される。
【0068】
-位置情報取得用信号の受信待機間隔の制御
図8は、本実施形態に係る携帯機100において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、まず、携帯機100は、位置情報取得処理を行う(ステップS202)。詳しくは、無線通信部110は、通信ユニット200との間で無線通信を行う。次に、制御部130は、携帯機100の位置において、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも高いか否かを判定する(ステップS204)。なお、携帯機100の位置は、ステップS202の位置情報取得処理により通信ユニット200が取得した位置情報により示される。制御部130は、ステップS202の位置情報取得処理により通信ユニット200が取得した位置情報を通信ユニット200から受信し、受信した位置情報に基づいてかかる判定を行ってもよい。
【0069】
携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも高いと判定された場合(ステップS204:YES)、制御部130は、位置情報取得用信号の受信待機間隔として、IN2よりも短いIN1を設定する(ステップS206)。即ち、制御部130は、次回の位置情報取得処理の実行タイミングを、IN1後に設定する。その後、処理は再度ステップS202に進み、IN1後に位置情報取得処理が実行される。
【0070】
携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも低いと判定された場合(ステップS204:NO)、制御部130は、位置情報取得用信号の受信待機間隔として、IN1よりも長いIN2を設定する(ステップS208)。即ち、制御部130は、次回の位置情報取得処理の実行タイミングを、IN2後に設定する。その後、処理は再度ステップS202に進み、IN2後に位置情報取得処理が実行される。
【0071】
―無線通信規格及び位置情報計算のアルゴリズムの制御
図9は、本実施形態に係る通信ユニット200において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、まず、通信ユニット200は、位置情報取得処理を行う(ステップS302)。詳しくは、無線通信部210は、携帯機100との間で無線通信を行う。そして、制御部230は、無線通信部210による無線通信の結果に基づいて携帯機100の位置情報を取得する。次に、制御部230は、携帯機100の位置において、携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも高いか否かを判定する(ステップS304)。なお、携帯機100の位置は、ステップS302の位置情報取得処理により通信ユニット200が取得した位置情報により示される。
【0072】
携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも高いと判定された場合(ステップS304:YES)、制御部230は、次回の位置情報取得処理において、信号の伝搬時間に基づく位置情報取得処理を行い、無線通信をUWBで行うことを選択する(ステップS306)。その後、処理は再度ステップS302に進み、次回の位置情報取得処理においてUWBで無線通信が行われ、信号の伝搬時間に基づいて携帯機100の位置情報が取得される。
【0073】
携帯機100の位置情報に対して求められる精度が所定の閾値よりも低いと判定された場合(ステップS304:NO)、制御部230は、次回の位置情報取得処理において、信号の受信強度に基づく位置情報取得処理を行い、無線通信をBLEで行うことを選択する(ステップS308)。その後、処理は再度ステップS302に進み、次回の位置情報取得処理においてBLEで無線通信が行われ、信号の受信強度に基づいて携帯機100の位置情報が取得される。
【0074】
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、上記実施形態では、携帯機100の位置情報が、通信ユニット200と携帯機100との距離を示す情報であるものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。一例として、携帯機100の位置情報は、通信ユニット200を基準とする携帯機100が存在する位置の角度を示す情報であってもよい。通信ユニット200を基準とする携帯機100が存在する位置の角度とは、例えば、無線通信部210の位置を原点とする座標系において、原点と携帯機100が存在する位置とを結ぶ線と、座標軸と、がなす角である。なお、通信ユニット200は、複数のアンテナを有していてもよく、これら複数のアンテナの各々により受信された携帯機100からの信号の位相差に基づいて、かかる角度は推定され得る。他の一例として、携帯機100の位置情報は、通信ユニット200を基準とする携帯機100が存在する座標を示す情報であってもよい。携帯機100が存在する座標は、例えば、測距結果と角度推定結果とに基づいて推定され得る。
【0076】
例えば、上記実施形態では、送信間隔を制御する対象となる位置情報取得用信号として、
図2に示した例における第1の測距用信号、及び
図3に示した例における測距開始指示信号を挙げたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、携帯機100から信号が送信されることをトリガとして開始される位置情報取得処理に関して言えば、携帯機100から送信される信号の送信間隔が制御されてもよい。そのような信号としては、例えば、
図4に示した例における測距用信号が挙げられる。この場合、通信ユニット200は、携帯機100が送信する信号の送信間隔を示す情報を携帯機100に送信することで、携帯機100による信号の送信間隔を制御する。
【0077】
例えば、上記実施形態では、通信ユニット200が携帯機100の位置情報を取得する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。携帯機100及び通信ユニット200の役割は逆であってもよい。一例として、携帯機100が、通信ユニット200が存在する位置を示す位置情報を取得してもよい。また、携帯機100及び通信ユニット200の役割が動的に交換されてもよい。また、通信ユニット200同士で位置情報取得処理が行われてもよい。
【0078】
例えば、上記実施形態では、本発明がスマートエントリーシステムに適用される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明は、信号を送受信することで位置情報を取得する任意のシステムに適用可能である。例えば、携帯機、車両、スマートフォン、ドローン、家、及び家電製品等うち任意の2つの装置を含むペアに、本発明は適用可能である。その場合、ペアのうち一方が他方の位置情報を取得する。なお、ペアは、2つの同じ種類の装置を含んでいてもよいし、2つの異なる種類の装置を含んでいてもよい。
【0079】
例えば、上記実施形態では、無線通信規格としてUWBを用いるもの及びBLEを挙げたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、無線通信規格として、赤外線を用いるものが使用されてもよい。
【0080】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0081】
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1:システム、100:携帯機、110:無線通信部、120:記憶部、130:制御部、200:通信ユニット:202:車両、210:無線通信部、220:記憶部、230:制御部