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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】補強装置を備える燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/03 20060101AFI20231016BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B60K15/03 B
F02M37/00 301J
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020086510
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021008261
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】19177664.0
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518148098
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ テクノロジー センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,アルベルト ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュワッガー,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエリス,ヘリット
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0232226(US,A1)
【文献】特開2018-053878(JP,A)
【文献】特表2018-535868(JP,A)
【文献】特開2014-141246(JP,A)
【文献】特開2018-114794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0325822(US,A1)
【文献】実開昭61-196819(JP,U)
【文献】実開平02-078422(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/00 - 15/10
F02M 37/00 - 37/54
B65D 25/02
B21D 53/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(10)であって、
対向する少なくとも2つの壁部を有するタンク壁(14)と、
対向する前記2つの壁部間に位置する補強装置と
を備え、
前記補強装置は、少なくとも1つの接続支柱(16)を有し、
前記接続支柱(16)は、各端部に、プロフィル部(18)を有し、
前記タンク壁(14)に作用する押す力を前記接続支柱(16)が吸収するように、前記プロフィル部(18)は、応力に耐える態様で、前記タンク壁(14)の対向する前記2つの壁部のそれぞれにおいて1つの相補プロフィル部(20)と係合し、
対向する前記各壁部のうちの1つの壁部の領域内に開口(12)を有し、
前記開口(12)を通して前記燃料タンク(10)の内部へ前記接続支柱(16)を挿入した後に、前記接続支柱(16)の長手方向に見たときに前記補強装置を前記開口(12)から前記相補プロフィル部(20)の一方に向かう方向である横方向に移動させることにより各プロフィル部(18)が前記タンク壁(14)の前記相補プロフィル部(20)と接続するように、
該プロフィル部(18)は、前記補強装置の端部において、前記横方向に移動することにより前記相補プロフィル部(20)と嵌め合うよう形成されており、
前記タンク壁(14)の対向する前記2つの壁部の前記相補プロフィル部(20)は、アンダカット部分を有し、
前記アンダカット部分は、対向する前記各壁部が成形要素により前記燃料タンク(10)の外側から成形される間に作成される
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料タンク(10)であって、
前記タンク壁(14)は、熱可塑性材料製であり、
前記成形要素は、前記燃料タンク(10)を製造するためのブロー成型金型用のインサート(40)であり、
前記燃料タンク(10)がブロー成形される際に、前記インサート(40)には、前記各壁部がかぶせられる
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料タンク(10)であって、
前記インサート(40)は、
平坦な板部分(42)と、
略きのこ形の断面を有し、且つ、前記板部分(42)に対して法線方向に延在するプロフィル成形部分(44)と
を有する
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料タンク(10)であって、
前記プロフィル成形部分(44)は、20mm~120mmの間の高さを有する
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料タンク(10)であって、
前記少なくとも1つの接続支柱(16)の前記プロフィル部(18)の端部は、案内要素を有し、
前記案内要素は、前記タンク壁(14)の対向する前記各壁部の前記相補プロフィル部(20)に前記プロフィル部(18)を押し付けることを容易にする
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料タンク(10)であって、
前記少なくとも1つの接続支柱(16)の前記プロフィル部(18)の端部は、止め具要素(36)を有し、
前記止め具要素(36)は、片方の側において、前記タンク壁(14)の対向する前記各壁部の前記相補プロフィル部(20)に前記プロフィル部(18)を押し付けることを限定する
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の燃料タンク(10)であって、
前記少なくとも1つの接続支柱(16)の前記プロフィル部(18)の端部は、取り外し可能な固定要素(30、50)を有し、
前記固定要素(30、50)は、前記タンク壁(14)の対向する前記各壁部の前記相補プロフィル部(20)から前記プロフィル部(18)が外れないようにする
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項8】
請求項7に記載の燃料タンク(10)であって、
前記固定要素(50)は、前記プロフィル部(18)の側部に重なり、且つ、前記側部に弾装可能な固定ブラケット(50)として設計される
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の燃料タンク(10)であって、
前記少なくとも1つの接続支柱(16)は、前記プロフィル部(18)の端部の間に延在し且つ壁厚が2mm~20mmである平坦な本体を有し、
前記本体は、その平坦面に対して交差方向に前記プロフィル部(18)を越えて延在する複数の補強リブ(38)を備える
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の燃料タンク(10)であって、
前記接続支柱(16)の長手方向に見たときに、
前記相補プロフィル部(20)の一方から前記タンク壁(14)の外縁までの距離よりも前記相補プロフィル部(20)の一方から前記開口(12)までの距離が短く、
前記相補プロフィル部(20)の他方から前記タンク壁(14)の外縁までの距離よりも、前記相補プロフィル部(20)の他方から対向する前記壁部に投影される開口輪郭までの距離が短い、
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項11】
請求項10に記載の燃料タンク(10)であって、
前記距離が、100mm未満であり、好ましくは50mm未満である
ことを特徴とする燃料タンク。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の燃料タンク(10)であって、
複数の接続支柱(16)が、前記開口(12)の周りに、互いから等しい又は等しくない角距離のところに位置する
ことを特徴とする燃料タンク(10)。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の燃料タンク(10)を製造する方法であって、
前記燃料タンク(10)を、熱可塑性材料から、ブロー成型金型で成形するステップであって、
対向する前記各壁部に少なくとも2つの前記相補プロフィル部が作成され、前記各壁部のうちの1つに前記開口(12)が作成されるステップと、
前記燃料タンク(10)を、前記ブロー成型金型から取り外すステップと、
前記燃料タンク(10)の内部に、前記開口(12)を介して、少なくとも1つの前記接続支柱(16)を手動で又は機械的に挿入するステップであって、
前記少なくとも1つの接続支柱(16)は、前記横方向に移動することにより前記相補プロフィル部と嵌め合うよう形成されている前記プロフィル部(18)を前記各端部に有し、
前記プロフィル部(18)は、応力に耐える態様で、前記各壁部の前記相補プロフィル部のうちの1つと連結可能であるステップと、
前記接続支柱(16)を前記横方向に移動させることにより、前記接続支柱(16)の前記プロフィル部(18)を、前記各壁部の前記相補プロフィル部と手動で又は機械的に連結するステップと
を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記各壁部の前記相補プロフィル部は、アンダカット部分を有し、
前記アンダカット部分に、前記少なくとも1つの接続支柱(16)の前記プロフィル部(18)は、前記横方向に押し付けられる
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する少なくとも2つの壁部を有するタンク壁と、これら対向する2つの壁部の間に位置する補強装置とを備える燃料タンクに関する。さらに、本発明は、このような燃料タンクを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の他の多くの部品と同様に、燃料タンクも、機械的強度を維持しつつ総重量を可能な限り小さくする取り組みが増えつつある。運転操作のために増加した内圧に曝されることのある燃料タンク内では、タンク外壁の形状を安定させるために、補強装置が使用される。この補強装置は、例えば圧力や応力を受けることのできる補強体によってタンクの上方壁部と下方壁部とを互いに連結するものである。このような補強体は、特に、タンク内に位置する燃料送出モジュールがある所に配置される。その理由は、モジュールの領域内では、内圧がかかるタンクの投影面が比較的大きいことによりタンク壁への力が大きくなるからである。公知の補強装置は、特に、タンク壁に締結される態様で使用されるため、体積が比較的大きい。そのため、タンクの利用可能な体積が減ってしまうという不都合が生じる。燃料送出モジュールがある所に配置されることも、タンク内の空間利用について問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したことに基づき、本発明の目的は、可能な限り省スペースの燃料タンク用補強装置を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために、請求項1及び請求項15に記載した特徴を組み合わせたものを提案する。本発明の有利な実施形態及び改良は、従属請求項から生じるものとする。
【0005】
本発明によれば、補強装置が少なくとも1つの接続支柱を有し、この接続支柱が各端部にプロフィル部を有する。タンク壁に作用する押す力を接続支柱が吸収するように、プロフィル部は、応力に耐える態様で、タンク壁の対向する2つの壁部において相補プロフィル部と係合する。好ましくは、この場合、タンク壁の対向する2つの壁部の相補プロフィル部は、アンダカット部分を有する。好適には、アンダカット部分は、対向する各壁部が成形要素によりタンクの外側から成形される際に作成される。通常、タンク壁は熱可塑性材料製である。そして、有利なことに、成形要素は、タンクを製造するためのブロー成型金型用のインサートであり、タンクがブロー成形される際にこのインサートが吹き付けられる。タンク内へ補強要素を溶接することは先行技術から公知であるが、これと比較して、本発明は、機械的に負荷が少なめであるという利点を有する。溶接部に負荷がかかると、補強要素とタンク壁との間の溶接の継ぎ目が断裂するいわゆる剥離効果が生じることがある。さらに、工程に関連する困難さがある。というのも、完成したタンク内へ補強要素を後から溶接することは、スペースの問題で困難であるか、又は、タンク内のどこに付けたいかによっては不可能であるからである。材料費が同じであるとすれば、本発明による解決法では、溶接工程と比較して、特に応力領域において、力を吸収する能力が高くなる。
【0006】
インサートは、好ましくは、平坦な板部分と、略きのこ形の断面を有し、且つ、板部分に対して法線方向に延在するプロフィル成形部分とを有する。このインサートは、タンクの製造後はタンク壁上に留まる。板部分の外側が平坦であるため、インサートは、タンクの外殻から突き出ない、又は、タンクの外殻より僅かにしか突き出ない。タンクの内部にアンダカット部分ができるおかげで、プロフィル成形部分は、好適には、タンク壁の壁厚によっては20mm~120mmの間の高さを有する。
【0007】
接続支柱をタンク壁に連結するために、本発明の好適な実施形態における少なくとも1つの接続支柱のプロフィル部の端部は、案内要素を有し、この案内要素は、タンク壁の対向する各壁部の相補プロフィル部にプロフィル部を押し付けることを容易にする。
【0008】
有利なことに、少なくとも1つの接続支柱のプロフィル部の端部は、さらに止め具要素を有し、この止め具要素は、片方の側において、タンク壁の対向する各壁部の相補プロフィル部にプロフィル部を押し付けることを限定してもよい。
【0009】
接続支柱の締結がタンク壁から意図せず弛緩しないようにするために、本発明の有利な実施形態において、少なくとも1つの接続支柱のプロフィル部の端部が、好ましくは取り外し可能な固定要素を有し、この固定要素は、タンク壁の対向する各壁部の相補プロフィル部からプロフィル部が外れないようにすることが実現される。固定要素は、好ましくは、プロフィル部の側部に重なり、且つ、プロフィル部に弾装可能な固定ブラケットとして設計される。固定ブラケットは、プロフィル部の片側で塑性ヒンジを介して接続することができるため、接続支柱と共にタンクの内部へ挿入することができる。そして、プロフィル部が相補プロフィル部に押し付けられたら、その固定位置へと枢動される。
【0010】
少なくとも1つの接続支柱は、その体積を小さくするべきであり、その一方で、機械的に十分に安定してタンク壁の内側及び外側に作用する圧縮力を吸収するようにしなければならない。従って、少なくとも1つの接続支柱は、好ましくは、プロフィル部の端部の間に延在し且つ壁厚が2mm~20mmの平坦な本体を有し、更なる補強のために、この本体は、その平坦面に対して交差方向にプロフィル部を越えて延在する複数の補強リブを備えることができる。
【0011】
タンクは、全体として、燃料送出モジュールを装着するための開口を有する。好ましくは、相補プロフィル部の一方は、開口から短い距離のところに位置し、他方は、対向する壁部に投影される開口輪郭から短い距離のところに位置する。接続支柱及びタンク壁内のプロフィル部が比較的コンパクトな設計であることを前提とすれば、少なくとも1つの接続支柱を、以前の補強装置におけるよりも開口及び燃料送出モジュールに接近させて設置することが可能であり、このことが、それらの補強効果を助長する。好ましくは、少なくとも1つの接続支柱と燃料送出モジュールとの間の距離は、100mm未満であり、好ましくは50mm未満である。全体として、2つの、3つの、又はさらにそれ以上のこのような接続支柱が、開口の周りの、互いから等しい又は等しくない角距離のところで燃料送出モジュールの周りに位置する。
【0012】
前述の種類の補強装置を備える燃料タンクを製造するための、本発明による方法は、
燃料タンクを、熱可塑性材料から、ブロー成型金型で成形するステップであって、
対向する各壁部に少なくとも2つの連結部分が作成され、各壁部のうちの1つに開口が作成されるステップと、
燃料タンクを、ブロー成型金型から取り外すステップと、
燃料タンクの内部に、開口を介して、少なくとも1つの接続支柱を手動で又は機械的に挿入するステップであって、
少なくとも1つの接続支柱は、プロフィル部を各端部に有し、
プロフィル部は、応力に耐える態様で、各壁部の連結部分のうちの1つと連結可能であるステップと、
接続支柱のプロフィル部を、各壁部の連結部分と手動で又は機械的に連結するステップと
を含むことを特徴としている。
【0013】
好ましくは、この場合の各壁部の連結部分はアンダカット部分を有し、このアンダカット部分に、少なくとも1つの接続支柱のプロフィル部が、接続支柱の長手方向延長部に対して交差方向に押し付けられる。以下で、図面に略示する例示的な実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1a~図1cは、補強装置を備えた燃料タンクの断面図、上面図、及び底面図を示す。
図2】タンク壁上の接続支柱の締結箇所の断面図を示す。
図3】接続支柱の据付工程を説明するための、タンク開口の領域におけるタンクの断面図を示す。
図4図4a及び図4bは、接続支柱の、タンク壁への確実な締結の2つの変形例を示す。
図5図5a~図5cは、接続支柱のプロフィル部の詳細図を示す。
図6図6a~図6cは、接続支柱用固定要素の変形例を示す。
図7図7a~図7dは、タンク壁上に相補プロフィル部を作成するためのブロー成型金型用インサートの、異なる図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す燃料タンク10は、そのタンク壁14内に開口12を備え、開口12は、燃料タンク10が据付位置にあるとき頂部にある。この開口は、略ポット状の燃料送出モジュール(詳細は不図示)を装着することが主に意図されているものである。3つの接続支柱16が、上方壁部と下方壁部との間に延在する。これらの接続支柱は、タンク10を補強し、これによって、内側又は外側からタンク壁14に作用する圧縮力を吸収する。この3つの接続支柱16は、開口12をタンク底部に投影した円筒形投影部の周面の周りに位置する。
【0016】
図2は、タンク壁14における接続支柱16の締結領域の詳細図を示す。このため、接続支柱16は、その各端部領域にプロフィル部18を有し、このプロフィル部は、タンク壁14の相補プロフィル部20に重なっている。適用要件によっては、これらのプロフィル部18は、設計上同様であってもよく、又は、寸法が異なってもよい。タンク壁14の相補プロフィル部20は、インサート40により形成される。このインサート40は、ブロー成型金型でタンク10が成形される前に、当該ブロー成型金型内に配置されており、そして、タンク外形の成形中は、壁材料により部分的に取り囲まれる。
【0017】
図3は、開口12の領域におけるタンク10の断面図を示す。タンク10に接続支柱16を取り付けるために、開口12を通してタンク10の内部へ接続支柱16を挿入する(矢印22)。そして、接続支柱16のプロフィル部18をタンク壁14の相補プロフィル部20に押し込んでこの相補プロフィル部と重なるような態様で、接続支柱16を横に移動する(矢印24)。接続支柱16のプロフィル部18とタンク壁14の相補プロフィル部20との間は、嵌め合い式接続である。このため、接続支柱16の長手方向における引っ張る力及び押す力として、即ち、相補プロフィル部20を支持するタンク壁14の、対向する壁部間の接続方向における引っ張る力及び押す力として、内側又は外側からタンク壁に作用する力は、接続支柱16により吸収することができる。接続支柱16に作用する押す力の吸収をよりよくするために、プロフィル部18は広がった足部26を備える。この足部26は、タンク壁14の内側で支持してもよい(図2)。
【0018】
図4は、相補プロフィル部20から不必要に外れないように接続支柱16を固定するため採りうる2つの方法を示す。図4aでは、タンク壁14の相補プロフィル部20は、接続支柱16の装着後にタンク10内に取り付けられる燃料送出モジュールのすぐ近傍に位置する。この燃料送出モジュールの周面を破線28で表す。接続支柱16が燃料送出モジュールの近くにあるため、接続支柱16が燃料送出モジュールの方向へずれることが防止され、これによって接続支柱16の締結が確実になる。接続支柱16を取り外すには、おそらく、タンク10からまず燃料送出モジュールを取り外さなければならない。接続支柱16に触れるにはいずれの場合もこのことが必要になるだろう。図4bの変形例では、接続支柱16のプロフィル部18は板ばね30を有し、この板ばね30は、接続支柱16のプロフィル部18がタンク壁14の相補プロフィル部20上に完全に押し付けられている場合、相補プロフィル部20の後縁32に寄り掛かっている。
【0019】
図5は、接続支柱16のプロフィル部18の詳細図を示す。図5aは、接続支柱16のプロフィル部18がタンク壁14の相補プロフィル部20に取り付けられたところを示す。傾斜先端縁34により、プロフィル部18が相補プロフィル部20に押し付けられる際の位置決めが容易になる。この傾斜先端縁34の反対側となるプロフィル開口の他端に止め具36が設けられる。この止め具36により、プロフィル部18が所望の最終組立位置よりも相補プロフィル部20を越えて押し付けられないようにする。接続支柱16は、プロフィル部18の端部間に延在する平坦な本体として実質的に設計されている。特に、押す力をより良好に吸収できるようにするために、接続支柱16は複数の補強リブ38を有し、この複数の補強リブ38は、好適には、接続支柱16の長さ部分全体に亘って延在し、即ち、プロフィル部18の領域にも延在している。
【0020】
図6は、接続支柱16のプロフィル部18の領域を、異なる図において示す。接続支柱16用固定要素が設けられており、これは固定ブラケット50として設計されている。この固定ブラケット50は、プロフィル部18のプロフィル開口に重なるものであり、2つのスナップ式側方開口52を有する。接続支柱16が一旦取り付けられると、固定ブラケット50は、プロフィル部18の側面にある相補的ロック式ラグ54に弾装される。
【0021】
図7は、インサート40の様々な図を示す。インサート40は、平坦な板部分42と、この板部分42から略垂直に突出するプロフィル成形部分44とを有する。このプロフィル成形部分44は、ほぼきのこ形の断面を有し、これにより、相補プロフィル部20のアンダカット部分の成形がこのように容易になる。プロフィル成形部分44と板部分42との間のウェブ様の接続領域に、開放部46が設けられており、これらの開放部46は、タンク壁14の材料をインサート40にかぶせて成形する際に、さらなる嵌め合い式接続を確実にする。
【0022】
要約すると以下のようになります。本発明は、燃料タンク10であって、対向する少なくとも2つの壁部を有するタンク壁14と、対向する2つの壁部間に位置する補強装置とを備える燃料タンク10に関する。さらに、本発明は、このような燃料タンクを製造する方法に関する。本発明によれば、補強装置は少なくとも1つの接続支柱16を有し、接続支柱16は各端部にプロフィル部18を有する。プロフィル部18は、タンク壁14に作用する押す力を接続支柱16が吸収するように、応力に耐える態様で、タンク壁14の対向する2つの壁部のそれぞれにおいて1つの相補プロフィル部20と係合する。本発明による、補強装置を備える燃料タンク10を製造する方法は、以下のようなステップを含むことを特徴とする。燃料タンク10を、熱可塑性材料から、ブロー成型金型で成形するステップであって、対向する各壁部に少なくとも2つの連結部分が作成され、各壁部のうちの1つに開口が作成されるステップ。燃料タンク10を、ブロー成型金型から取り外すステップ。燃料タンク10の内部に、開口12を介して、少なくとも1つの接続支柱16を手動で又は機械的に挿入するステップであって、少なくとも1つの接続支柱16は、プロフィル部18を各端部に有し、プロフィル部18は、応力に耐える態様で、各壁部の連結部分のうちの1つと連結可能であるステップ。接続支柱16のプロフィル部18を、各壁部の連結部分と手動で又は機械的に連結するステップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7