(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20231016BHJP
【FI】
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2020515469
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2019017132
(87)【国際公開番号】W WO2019208538
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2018083893
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】大野 陽平
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 雄一朗
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068532(JP,A)
【文献】特開2015-000040(JP,A)
【文献】特開2018-046787(JP,A)
【文献】特開2003-009664(JP,A)
【文献】特開2012-133422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物が生育する圃場の領域である作物領域に対するセンサの測定値に基づいて算出される
前記作物の生育状況を表す指標及び当該測定値の測定時期を対応付けて記録する指標記録部と、
前
記作物領域に関して行われた少なくとも1の作業内容及び作業時期を対応付けて記録する作業記録部と、
前記指標記録部に記録された前記指標に基づいて、前記作物領域のうち、指定された作物領域の前記指標の時系列変化を表す第1グラフと、他の作物領域の前記指標の時系列変化を表す第2グラフとを生成する生成部と、
前記第1グラフと前記第2グラフとの間の所定の時間間隔毎の前記指標の差分を示す値を算出し、前記算出された値を用いて、前記指定された作物領域と前記指標の時系列変化の類似度が所定レベル以上の
他の作物領域
を特定し、前記特定された他の作物領域に関して行われた作業内容を前記作業記録部に記録されている前記少なくとも1の作業内容から抽出する抽出部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記類似度が前記所定レベル以上の複数の作物領域に関して行われた複数の作業内容を抽出し、前記複数の作物領域の各々と前記指定された作物領域との前記指標の時系列変化の前記類似度が高い順に、前記複数の作業内容に優先順位を定め、前記優先順位が定められた前記複数の作業内容を示すデータを、前記指定された作物領域の作業者が利用するユーザ端末に送信し、
前記ユーザ端末は、前記データにより示される前記複数の作業内容を前記優先順位が高い順に並べて表示部に表示し、
前記抽出部は、生育開始からの経過期間、作業履歴又は生育中の作物の種類が前記指定された作物領域と共通する作物領域について前記作業記録部に記録されている作業内容
の優先順位を他の作業内容
の優先順位よりも高くなるように定め、又は前記共通する作物領域と前記指定された作物領域との前記指標の時系列変化の前記類似度を、当該類似度が高くなるように補正した上で前記複数の作業内容に前記優先順位を定める
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、収量が多かった作物領域ほど
高くなるように前記類似度を補正する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記指定された作物領域の現在の時期に対応する時期からの生育の進み具合が大きい作物領域
ほど高くなるように前記類似度を補正する
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記センサは、飛行体に設けられたイメージセンサであり、
前記指標は、前記飛行体が前
記作物領域の上空を飛行して撮影された画像に基づき算出され、
前記抽出部は、前記指標の精度が高くなる撮影条件で撮影された作物領域
ほど高くなるように前記類似度を補正し、
前記撮影条件は、撮影時の前記飛行体の高度、日射強度の大きさ又は撮影時の露出量であり、
前記抽出部は、前記高度が低いほど、前記日射強度が大きい天気であるほど又は前記露出量が適正値に近いほど前記指標の精度が高くなる撮影条件と判断する
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前
記作物領域の気象条件を示す情報を記録する条件記録部を備え、
前記抽出部は、記録された前記情報が示す気象条件が前記指定された作物領域の気象条件に近い作物領域
ほど高くなるように前記類似度を補正する
請求項1から
5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記作業記録部に記録されている前
記作物領域への作業を行う第1作業者と前記指定された作物領域への作業を行う第2作業者との関係を表す関係情報を記録する関係記録部を備え、
前記抽出部は、所定の関係を表す前記関係情報が記録されている前記第1作業者
が作業を行う作物領域と前記指定された作物領域との前記指標の時系列変化の前記類似度を、当該類似度が高くなるように補正する
請求項1から
6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記抽出部により抽出された前記作業内容に含まれる作業用の数値から代表値を算出し、当該代表値
を表すデータを前記指定された作物領域の作業者
が利用するユーザ端末に送信する第1通知部を備え
、
前記ユーザ端末は、前記データにより表される前記代表値を表示部に表示し、
前記作業用の数値は、散布する肥料の量、農薬の量、又は散水する時間の長さを含む
請求項1から
7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
少なくとも1の作業者により作業内容毎に当該作業内容の通知の可否を示す
可否情報が入力された少なくとも1のユーザ端末から送信された前記可否情報を取得する可否取得部と、
前記抽出部により抽出された1以上の作業内容のうち
前記可否情報により通知可能であること
が示される作業内容
を表すデータを前記指定された作物領域の作業者
が利用するユーザ端末に送信する第2通知部を備え
、
前記ユーザ端末は、前記データにより表される前記作業内容を表示部に表示する
請求項1から
8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記センサは、飛行体に設けられたイメージセンサであり、
前記飛行体は、それぞれ異なる複数の時期に前記作物領域の上空を飛行して前記イメージセンサにより前記作物領域の画像を撮影し、
前記イメージセンサにより撮影された前記画像に基づいて、前記複数の時期の各々について前記指標を算出する算出部をさらに備え、
前記指標記録部は、前記算出部により算出された前記指標の履歴を記録し、
前記生成部は、前記指標記録部に記録された前記指標の履歴に基づいて、前記第1グラフ及び前記第2グラフを生成する
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物に関する作業の内容の決定を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
作物に関する作業の内容の決定を支援する技術が知られている。特許文献1には、作物を撮影した画像データから算出される換算葉色値等の観察されるデータに基づいて、肥料の量の決定等の施肥管理やその他の農作業を含む肥培管理を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作物に関する作業を行う際には、過去の作業内容(他人が行ったものでも自分が行ったものでもよい)を参考にできると便利である。しかし、特許文献1の技術では、作業者が作業を行う圃場に関する情報(観察されるデータ)を参考にすることはできるが、過去の作業内容を参考にすることは考慮されていない。
そこで、本発明は、作物に関する作業において過去の作業内容を参考にする仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも1の作物領域に対するセンサの測定値に基づいて算出される作物の生育状況を表す指標及び当該測定値の測定時期を対応付けて記録する指標記録部と、前記少なくとも1の作物領域に関して行われた少なくとも1の作業内容及び作業時期を対応付けて記録する作業記録部と、前記指標記録部に前記指標が記録されている前記少なくとも1の作物領域のうちの、指定された作物領域と前記指標の時系列変化の類似度が所定レベル以上の作物領域に関して行われた作業内容を前記作業記録部に記録されている前記少なくとも1の作業内容から抽出する抽出部とを備える情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作物に関する作業において過去の作業内容を参考にする仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例に係る農業支援システムの全体構成を表す図
【
図4】農業支援システムが実現する機能構成を表す図
【
図11】作業内容記録処理における各装置の動作手順の一例を表す図
【
図12】生育情報記録処理における各装置の動作手順の一例を表す図
【
図13】提示処理における各装置の動作手順の一例を表す図
【
図17】変形例のNDVIの時系列変化の一例を表す図
【
図22】変形例で表示された作業内容の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施例
図1は実施例に係る農業支援システム1の全体構成を表す。農業支援システム1は、作物の生育状況を表す指標を活用して、圃場(稲、野菜及び果物等の作物を生育する場所)での作業を行う者を支援するシステムである。生育状況を表す指標とは、作物の生育段階の進み具合(例えば収穫に適した時期か否か)と、サイズ及び病気の有無等の状況(活性度ともいう)との一方又は両方を表す指標である。
【0009】
本実施例では、後述するNDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化差植生指数)が用いられ、飛行体によって上空から撮影された圃場の画像を用いてその圃場の作物の生育状況を表す指標が算出される。飛行体は圃場を撮影可能であれば何でもよく、本実施例ではドローンが用いられる。農業支援システム1は、ネットワーク2と、サーバ装置10と、ドローン20と、ユーザ端末30とを備える。
【0010】
ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10が有線通信で(無線通信でもよい)アクセスしており、ドローン20及びユーザ端末30が無線通信(ユーザ端末30は有線通信でもよい)でアクセスしている。
【0011】
ユーザ端末30は、本システムのユーザ(例えば圃場で作業を行う作業者)が利用する端末であり、例えばスマートフォン、ノートパソコン又はタブレット端末等である。ドローン20は、本実施例では、1以上の回転翼を備え、それらの回転翼を回転させて飛行する回転翼機型の飛行体である。ドローン20は、飛行しながら上空から圃場を撮影する撮影機能を備えている。ドローン20は、例えば作業者によって圃場まで持ち運ばれ、撮影飛行開始の操作が行われることで飛行及び撮影を行う。
【0012】
サーバ装置10は、作業者の支援に関する処理を行う情報処理装置である。サーバ装置10は、例えば、ドローン20により撮影された圃場の映像から前述したNDVIを算出する処理を行う。NDVIは、植物の緑葉が赤色の可視光を多く吸収して近赤外領域の波長(0.7μm~2.5μm)の光を多く反射するという性質を利用して作物の生育状況を数値で表す。
【0013】
サーバ装置10は、算出したNDVIに基づいて作物の生育状況を表す生育情報を記録すると共に、作業者が行った作業内容を記録する。この作業内容は、例えばユーザ端末30に作業者が入力することで記録される。サーバ装置10は、記録したこれらの情報から、作業者が作業を行う圃場と作物の生育状況が似ていた圃場における過去の作業内容を抽出し、作業者に提示する。作業者は、提示された作業内容を参考にして、自分が作業を行う圃場の作物への散水、肥料散布及び農薬散布等のタイミングを判断することができる。
【0014】
図2はサーバ装置10及びユーザ端末30のハードウェア構成を表す。サーバ装置10及びユーザ端末30は、いずれも、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、入力装置15と、出力装置16と、バス17という各装置を備えるコンピュータである。なお、ここでいう「装置」という文言は、回路、デバイス及びユニット等に読み替えることができる。また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。
【0015】
プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及びデータ等を、ストレージ13及び/又は通信装置14からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。
【0016】
各種処理を実行するプロセッサ11は1つでもよいし、2以上であってもよく、2以上のプロセッサ11は、同時又は逐次に各種処理を実行してもよい。また、プロセッサ11は、1以上のチップで実装されてもよい。プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0017】
メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及びRAM(Random Access Memory)等の少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ及びメインメモリ(主記憶装置)等と呼ばれてもよい。メモリ12は、前述したプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及びデータ等を保存することができる。
【0018】
ストレージ13は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。
【0019】
ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及び/又はストレージ13を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。通信装置14は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0020】
入力装置15は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置16は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカなど)である。なお、入力装置15及び出力装置16は、一体となった構成(例えば、タッチスクリーン)であってもよい。また、プロセッサ11及びメモリ12等の各装置は、情報を通信するためのバス17を介して互いにアクセス可能となっている。バス17は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0021】
図3はドローン20のハードウェア構成を表す。ドローン20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、飛行装置25と、センサ装置26と、撮影装置27と、バス28という各装置を備えるコンピュータである。なお、ここでいう「装置」という文言は、回路、デバイス及びユニット等に読み替えることができる。また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。
【0022】
プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、通信装置24及びバス28は、
図2に表す同名の装置と同種のハードウェア(性能及び仕様等は同じとは限らない)である。通信装置24は、ネットワーク2との無線通信に加え、ドローン同士の無線通信を行うこともできる。飛行装置25は、モータ及びローター等を備え、自機を飛行させる装置である。飛行装置25は、空中において、あらゆる方向に自機を移動させたり、自機を静止(ホバリング)させたりすることができる。
【0023】
センサ装置26は、飛行制御に必要な情報を取得するセンサ群を有する装置である。センサ装置26は、自機の位置(緯度及び経度)を測定する位置センサと、自機が向いている方向(ドローンには自機の正面方向が定められており、その正面方向が向いている方向)を測定する方向センサと、自機の高度を測定する高度センサと、自機の速度を測定する速度センサと、3軸の角速度及び3方向の加速度を測定する慣性計測センサ(IMU(Inertial Measurement Unit))とを備える。
【0024】
撮影装置27は、レンズ271及びイメージセンサ272等を有し、イメージセンサ272で撮影した画像をデジタルデータで記録するいわゆるデジタルカメラである。このイメージセンサ272は、可視光に加えて、NDVIの算出に必要な近赤外領域の波長の光にも感度を有する。撮影装置27は、自機(ドローン20)の筐体の下部に取り付けられ、撮影方向が固定されており、自機の飛行中に鉛直下方を撮影する。
【0025】
なお、サーバ装置10及びドローン20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及び、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0026】
農業支援システム1が備えるサーバ装置10及びドローン20には、本システムで提供されるプログラムが記憶されており、各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで以下に述べる機能群が実現される。
図4は農業支援システム1が実現する機能構成を表す。サーバ装置10は、作業内容記録部101と、作物画像取得部102と、指標算出部103と、指標マップ生成部104と、生育情報記録部105と、作業内容抽出部106と、類似度算出部107と、グラフ記憶部108とを備える。
【0027】
ドローン20は、飛行制御部201と、飛行部202と、センサ測定部203と、撮影部204とを備える。ユーザ端末30は、入力受付部301と、作業内容表示部302とを備える。入力受付部301は、圃場で生育する作物に関して行われる作業内容等の入力を受け付ける。作業者は、圃場での作業を行う前又は行った後に、ユーザ端末30を操作して作業を行う圃場を識別する情報(例えば圃場ID(Identification))と、圃場で生育している作物の名称と、作業内容及び作業日時とを入力する。
【0028】
作業内容とは、例えば、散水、肥料散布及び農薬散布等の作業項目と、散水量(散水時間)、肥料の量、農薬の量、散布位置及び散布時間帯等の作業詳細と、作業で用いる農具及び農作業用機械等の機器情報とのうち少なくとも1つ以上を含む情報である。なお、これらの入力内容は毎回全て入力する必要はなく前回と同じものは入力を不要にしてもよい。また、選択肢から選べるようにして入力の手間を軽減してもよい。
【0029】
本実施例では、1つの圃場では基本的に1つの種類の作物を育てているものとする。ただし、1つの圃場で同時に異なる種類の複数の作物を育てている場合があってもよい。その場合は、例えば作物が共通する領域を1つの圃場として扱い、それらの圃場毎に圃場IDが定められればよい。作物が異なれば作業内容も異なるから、作業者は、作物毎(圃場毎)に作業内容を入力する。入力受付部301は、入力された圃場ID、作物名称、作業内容及び作業日時を示す入力データをサーバ装置10に送信する。
【0030】
サーバ装置10の作業内容記録部101は、送信されてきた入力データが示す圃場ID、作物名称、作業内容、作業日時及び作業者IDを互いに対応付けて記録する。これらを記録することで、作業内容記録部101は、圃場IDが示す圃場の作物領域に関して行われた作業内容及び作業時期(作業日時によって示される)を対応付けて記録する。作業内容記録部101は本発明の「作業記録部」の一例である。
【0031】
図5は記録された作業内容の一例を表す。
図5の例では、作業内容記録部101は、圃場ID、作物名称、作業日時、作業項目、作業詳細、機器情報をそれぞれ対応付けて記録している。例えば「HA01」という圃場IDには、「トウモロコシ」を育てたときの作業内容が記録され、「HA02」という圃場IDには、「稲」を育てたときの作業内容が記録されている。なお、「トウモロコシ」の作物名称を分けているのは、生育期間が異なっていることを表している(1つ目の「トウモロコシ」は2017年の作業内容に、2つ目の「トウモロコシ」は2016年の作業内容に対応付けられている)。
【0032】
ここまでは作業内容を記録する記録処理に関する機能及び動作について説明した。記録処理は、作業者が作業内容を入力する度に行われる。作業内容の入力は作業の度に行われることが望ましいが、作業日時が対応付けられていて作業時期が分かるようになっていれば、複数回の作業内容がまとめて入力されてもよい。その場合は、複数回の作業内容を記録する記録処理が行われる。
【0033】
一方、ドローン20による圃場の撮影は、毎日行われる必要はないが、数日から1週間に一度程度行われることが望ましい。作業者は、そのくらいの頻度で圃場にドローン20を持ち込んで撮影飛行開始の操作を行う。ドローン20の飛行制御部201は、自機の飛行を制御する機能であり、例えば、この撮影飛行開始の操作が行われると、飛行制御を開始する。
【0034】
飛行制御部201は、例えば、作業者がユーザ端末30等を用いて予め登録した圃場の地理的な範囲を示す圃場範囲情報(例えば圃場の外縁を示す緯度及び経度の情報)を記憶しておき、その圃場範囲情報に基づいて、圃場全体の上空を一定の高度で飛行する飛行経路で自機を飛行させる制御を行う。この場合の飛行経路は、例えば長方形の圃場であれば、圃場の一方の辺からその辺に対向する他方の辺まで波状の軌跡を描いて飛行する経路である。
【0035】
他にも、圃場の外縁に沿って飛行して、1周したら内側に経路をずらして渦巻き状の軌跡を描いて飛行する経路であってもよく、要するに圃場の全体を万遍なく飛行する飛行経路であればよい。飛行部202は、自機を飛行させる機能であり、本実施例では、飛行装置25が備えるモータ及びローター等を動作させることで自機を飛行させる。センサ測定部203は、センサ装置26が備える各センサ(位置センサ、方向センサ、高度センサ、速度センサ、慣性計測センサ)による測定を行う。
【0036】
センサ測定部203は、自機の位置、方向、高度、速度、角速度、加速度を所定の時間間隔で繰り返し測定し、測定したそれらの情報を示すセンサ情報を飛行制御部201に供給する。飛行制御部201は、供給されたセンサ情報に基づいて飛行部202を制御し、前述した飛行経路に沿って自機を飛行させる。センサ測定部203は、測定した位置、方向、高度及び速度を示すセンサ情報を撮影部204に供給する。
【0037】
撮影部204は、撮影装置27を用いて被写体を撮影する機能である。撮影部204は、飛行制御部201が上記のとおり圃場の上空を飛行する制御を行っているときには、その圃場を被写体として撮影する。撮影部204は、圃場を撮影することで、その圃場において作物が生育している領域も撮影することになる。撮影部204により撮影される圃場の領域は本発明の「作物領域」の一例である。
【0038】
撮影装置27のイメージセンサ272は上記のとおり近赤外領域の波長の光にも感度を有するので、撮影部204が撮影した静止画像を形成する各画素は、可視光の赤色を示すピクセル値(R)と共に、近赤外領域の波長の光を示すピクセル値(IR)によって表される。撮影部204は、供給されたセンサ情報に基づいて、圃場内の全ての領域が含まれるように、複数の静止画像を撮影する。
【0039】
図6は圃場の撮影方法の一例を表す。
図6では、ドローン20が圃場A1の上空を波状の軌跡を描いて飛行する際の経路B1が表されている。撮影部204は、センサ情報が示す高度及び撮影装置27の画角から圃場(地上0m地点)の撮影範囲(画角に含まれる圃場の範囲)を算出する。そして、撮影部204は、センサ情報が示す速度及び方向から現時点の撮影範囲と前回の撮影範囲とが重複する面積の割合(例えば撮影範囲の面積を100%とした場合の重複面積のパーセンテージで表す)が閾値未満になったときに次の撮影を行う。
【0040】
撮影部204は、
図6の例であれば、最初に撮影領域C1を撮影し、次に撮影領域C1と少し重なった撮影領域C2を撮影する。また、撮影部204は、自機(ドローン20)の折り返しの際に、算出した撮影範囲の大きさを飛行制御部201に通知する。飛行制御部201は、通知された大きさの撮影範囲が例えば
図6の撮影領域C4及びC5のように重複する距離だけ経路をずらして折り返す。
【0041】
撮影部204は、この方法での撮影を繰り返すことで、
図6に表す撮影領域C1からC32までを撮影した静止画像、すなわち、撮影範囲が少しずつ重複した複数の静止画像を撮影する。なお、
図6の例では圃場A1が複数の撮影範囲を丁度収められる大きさ及び形になっていたが、そうなっていなくてもよい。その場合は、撮影範囲同士の重複部分を広くしたり、圃場の外部を含めて撮影したりすることで、圃場内の全ての領域がいずれかの静止画像に含まれるようになる。
【0042】
なお、撮影部204による撮影方法はこれに限らない。例えば撮影の際の飛行速度及び飛行高度が決まっていれば、撮影範囲が
図6に表すように重複する時間の間隔が予め算出されるので、その時間の間隔で撮影が行われてもよい。また、圃場の地図と撮影位置とが予め決められていれば、撮影部204は、その決められた位置を飛行しているときに撮影すればよい。これら以外にも、ドローンを用いて地上を撮影するための周知の方法が用いられてもよい。
【0043】
ドローン20が備える各部の動作は、上述した農作業者による撮影飛行開始の操作が行われることで開始される。各部の動作が開始されると、ドローン20は圃場の上空を設定された飛行経路で飛行し、撮影部204は、前述のとおり繰り返し撮影を行う。撮影部204は、撮影を行うと、撮影した静止画像と、撮影に関する撮影情報(撮影したときの位置、方位、高度及び時刻と撮影した圃場の圃場ID(作業者が予め登録しておく)とを示す情報)とを示す画像データを生成してサーバ装置10に送信する。
【0044】
サーバ装置10の作物画像取得部102は、送信されてきた画像データを受け取ることで、その画像データが示す静止画像を、ドローン20が撮影した作物領域の画像として取得する。また、作物画像取得部102は、受け取った画像データが示す撮影情報も取得し、取得した静止画像と共に指標算出部103に供給する。
【0045】
指標算出部103は、作物画像取得部102により取得された作物領域の画像に基づいてその画像に写る作物の生育状況を表す指標を算出する。指標算出部103は、上述したNDVIを、生育状況を表す指標として算出する。指標算出部103は、例えば、静止画像の画素毎に、上述した赤色のピクセル値(R)及び近赤外領域の波長の光のピクセル値(IR)をNDVI=(IR-R)/(IR+R)という式に代入してNDVIを算出する。
【0046】
指標算出部103は、算出したNDVIを対応する画素を示す画素IDに対応付けて示す指標情報を生成し、撮影情報と共に指標マップ生成部104に供給する。指標情報及び撮影情報は、作物領域の画像が取得される度に、すなわちドローン20が圃場の画像を撮影する度に供給される。指標マップ生成部104は、指標算出部103により算出された指標(NDVI)に基づいて圃場の作物の生育状況を示す指標マップを生成する。
【0047】
指標マップとは、圃場内の各位置又は各領域における指標(NDVI)を地図上で表す情報である。まず、指標マップ生成部104は、各画素に対応する圃場上の位置におけるNDVIを表す画素単位のNDVIマップを生成する。
図7は画素単位のNDVIマップの一例を表す。
図7の例では、
図6に表す圃場A1の画素単位のNDVIマップM1が表されている。
【0048】
NDVIマップM1は、左上角の画素D1と、左下角の画素D2と、右上角の画素D3と、右下角の画素D4とを角に持つ長方形のマップである。画素D1に表された「0.3」は、
図6に表す左上角の撮影領域C1の画像の左上角の画素におけるNDVIであり、画素D2に表された「-0.5」は、
図6に表す左下角の撮影領域C4の画像の左下角の画素におけるNDVIである。
【0049】
画素D4に表された「0.2」は、
図6に表す右下角の撮影領域C29の画像の右下角の画素におけるNDVIであり、画素D3に表された「0.3」は、
図6に表す右上角の撮影領域C32の画像の右上角の画素におけるNDVIである。NDVIマップM1には、隣接する撮影領域の重複部分を示す画素が含まれている。指標マップ生成部104は、これらの画素については、各撮影領域を撮影した静止画像からそれぞれ算出されたその画素(圃場A1の同一地点を示す画素)のNDVIの平均値を用いている。
【0050】
NDVIマップM1は、ドローン20が撮影領域C32を撮影して各部が上記動作を行うことで完成する。指標マップ生成部104は、本実施例では、こうして生成した画素単位のNDVIマップM1から、圃場A1を区分する複数の領域毎の作物の生育状況を表す領域単位のNDVIマップを生成する。
図8は領域単位のNDVIマップの一例を表す。
図8に表すNDVIマップM2では、
図6に表す撮影領域C1~C32に対応する区分領域E1~E32が表されている。
【0051】
各区分領域は、NDVIの平均値の大きさに応じて模様が付けられている。例えば区分領域E1、E2及びE8等はNDVIの平均値が0.6以上であることを示す模様が付けられている。同様に、区分領域E7及びE9等はNDVIの平均値が0.2以上0.6未満であることを示す模様が付けられ、区分領域E3及びE4等はNDVIの平均値が-0.2以上0.2未満であることを示す模様が付けられている。
【0052】
指標マップ生成部104は、生成した画素単位のNDVIマップ及び領域単位のNDVIマップを、これらのマップの元になった画像の撮影情報及び撮影日時に対応付けて生育情報記録部105に供給する。生育情報記録部105は、作物領域に対するセンサの測定値に基づいて算出される作物の生育状況を表す指標及びその測定値の測定時期を対応付けて、生育情報として記録する。生育情報記録部105は本発明の「指標記録部」の一例である。
【0053】
生育情報記録部105は、本実施例では、ドローン20が撮影した画像が表すピクセル値を撮影装置27のイメージセンサ272の測定値として用いて、それらのピクセル値から算出されたNDVIを表す指標マップと、撮影日時及び撮影情報とを対応付けて記録することで、生育情報の記録を行う。また、生育情報記録部105は、作業内容記録部101を参照して、撮影情報が示す圃場IDに対応付けられている作物名称を読み出してその撮影情報に対応付けて、生育情報として記録する。サーバ装置10には、こうして圃場毎の作業内容と生育情報とが記録されていく。
【0054】
続いて、作業者が作業を行う圃場と作物の生育状況が似ていた圃場における過去の作業内容を抽出し、作業者に提示する処理に関する機能及び動作を説明する。ユーザは、ユーザ端末30に対して、自分が作業を行う圃場を指定し、指定した圃場において参考になる過去の作業内容を表示させる表示操作を行う。ユーザ端末30の作業内容表示部302は、この表示操作を受け付けると、ユーザによって指定された圃場(作業者が作業を行う圃場のこと)の圃場IDと作業内容の要求を示す要求データをサーバ装置10に送信する。
【0055】
サーバ装置10の作業内容抽出部106は、送信されてきた要求データを受け取ると、要求された作業内容、すなわち、要求データが示す圃場IDの圃場において参考になる過去の作業内容を、作業内容記録部101に記録されている作業内容から抽出する。作業内容抽出部106は本発明の「抽出部」の一例である。作業内容抽出部106は、要求データが示す圃場IDの圃場で現在生育中の作物領域のNDVIの時系列変化と、その他の作物領域のNDVIの時系列変化との類似度を示す値の算出を類似度算出部107に要求する。
【0056】
図9はNDVIの時系列変化の一例を表す。
図9では、作物の生育が開始されてから経過した時間を横軸に、NDVIを縦軸にしたグラフによってNDVIの時系列変化が表されている。例えば曲線FA11、FA12、FA13は、圃場A11、A12、A13で過去に算出されたNDVIの圃場全体の平均値の時系列変化を表している。これらの時系列変化は、圃場における作物の成長曲線を表している。これらの時系列変化は、それぞれ傾き、ピーク(NDVIの最大値)及びピークの時期が異なっているが、いずれも同じ作物の成長曲線を表しているものとする。
【0057】
グラフ記憶部108は、
図9に表すようなNDVIの時系列変化を表すグラフを生成して記憶する。グラフ記憶部108は、生育情報記録部105に記録された生育情報から、同じ圃場の同じ作物の生育開始から終了までのNDVIマップを読み出し、その作物の各生育段階における圃場全体のNDVIの平均値を算出する。そして、グラフ記憶部108は、例えばスプライン曲線又はベジェ曲線等を用いて
図9に表すように滑らかな曲線で時系列変化を表すグラフを生成する。
【0058】
なお、グラフ記憶部108は、撮影日とNDVIの平均値とを示す点をプロットし、各点を直線で結ぶグラフを生成してもよい。いずれの場合でも、グラフ記憶部108は、任意の生育時間に対応するNDVIを求めることが可能なようにNDVIが算出されていない期間を補間したグラフを生成する。グラフ記憶部108は、こうして生成したグラフを圃場ID及び生育期間(生育開始日及び収穫日で表される期間)に対応付けて記憶する。
【0059】
グラフ記憶部108は、同じ圃場でも年が変われば別のグラフを生成し、同じ年でも複数回作物を育てる場合はその度に異なるグラフを生成する。また、グラフ記憶部108は、上述したように1つの圃場で複数種類の作物が育てられる場合には、作物が共通する領域を1つの圃場として扱い、それらの圃場毎にグラフを生成する。グラフ記憶部108は、定期的に又は生育情報記録部105に生育情報が記録される度にグラフを生成及び更新して、常に最新のグラフを記憶する。
【0060】
類似度算出部107は、前述のとおりユーザによって指定された圃場(作業者が作業を行う圃場)とそれ以外の圃場との指標の時系列変化の類似度を示す値を算出する。類似度算出部107は、まず、指定された圃場の圃場IDに対応付けられ且つ作物が生育途中のグラフ(生育が終了していれば作業内容を参考にする必要がないため)をグラフ記憶部108から読み出す。
図9には、このとき読み出されるグラフの曲線FA1が表されている。曲線FA1は、圃場A1で現在生育中の作物についての50日間のNDVIの時系列変化を表している。
【0061】
類似度算出部107は、例えば、指定された圃場のグラフと、比較相手のグラフとについて1日毎のNDVIの補間値を算出し、それらの差分の平均値を、類似度を示す値として算出する。この場合、値が小さいほど類似度が高いことを表す。なお、この方法に限らず、その他のグラフの類似度を評価する周知の技術が用いられてもよい。類似度算出部107は、いずれかの方法を用いて、グラフ記憶部108に記憶されている全てのグラフについて類似度の値(類似度を示す値)を算出する。
【0062】
類似度算出部107は、こうして算出した類似度の値を、比較相手のグラフの圃場ID及び生育期間に対応付けて作業内容抽出部106に供給する。作業内容抽出部106は、供給された類似度の値のうち閾値未満の類似度の値に対応付けられている圃場ID及び生育期間を特定する。例えば
図9の例であれば、曲線FA1と曲線FA12との類似度の値は閾値未満であり、曲線FA1と曲線FA11及びFA13との類似度の値は閾値以上になるとする。
【0063】
その場合、作業内容抽出部106は、圃場A12の圃場ID及び曲線FA12の元になる画像が撮影された時期に該当する生育期間を特定する。こうして特定された圃場ID及び生育期間は、指定された圃場で生育している作物とNDVIの時系列変化が似ている圃場とその圃場で生育した作物の生育期間とを表している。
【0064】
作業内容抽出部106は、作業内容記録部101を参照し、特定した圃場IDと、特定した生育期間に含まれる作業日時とに対応付けられた情報(作業名称、作業項目、作業詳細、機器情報)を抽出する。このように、作業内容抽出部106は、まず、生育情報記録部105に指標(NDVI)が記録されている作物領域のうちから、ユーザによって指定された圃場の作物領域と指標の時系列変化の類似度が所定レベル以上(類似度の値が閾値未満)となる作物領域を特定する。
【0065】
そして、作業内容抽出部106は、作業内容記録部101に記録されている作業内容から、特定した作物領域に関して行われた作業内容を抽出する。作業内容抽出部106は、こうして抽出した作業内容と、特定した圃場IDが示す圃場の名称及び生育期間とを示す応答データをユーザ端末30に送信する。作業内容抽出部106は、例えば、生育期間における全ての作業内容と、指定された圃場の現在までの生育時間(
図9の例では50日間)とを示す応答データを送信する。
【0066】
作業内容表示部302は、送信されてきた応答データが示す情報を、要求した作業内容として表示する。
図10は表示された作業内容の一例を表す。
図10の例では、作業内容表示部302は、「作業計画参考画面」に、「以下の作業内容が参考になりそうです。」という文字列と、「BB」という圃場で「トウモロコシ」を育てる際に行われた2017年及び2015年の作業内容と、「CC」という圃場で「トウモロコシ」を育てる際に行われた2017年の作業内容とが表示されている。作業内容表示部302は、応答データが示す生育時間(
図9の例では50日間)の前後に行われた作業内容を表示している。
【0067】
このようにして、作業内容抽出部106は、指定された作物領域の作業者に、抽出した作業内容(特にその作物領域の現在の生育状況に近い生育状況である時期に行われた作業内容)を通知する。これにより作業者は、現在の生育状況での作業内容を決めるにあたり、表示された作業内容、すなわち似た生育状況の作物に対して過去に行われた作業内容を参考にすることができる。なお、作業内容表示部302は、
図10の例では応答データが示す情報の一部を表示しているが、ユーザの操作によりその他の情報(これまでの作業内容及びこれからの作業内容等)を表示してもよい。
【0068】
農業支援システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、作業内容を記録する作業内容記録処理、生育情報を記録する生育情報記録処理、作業の参考になる作業内容をユーザに提示する提示処理を行う。
図11は作業内容記録処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、ユーザにより作業内容の入力が行われることを契機に開始される。
【0069】
まず、ユーザ端末30(入力受付部301)は、圃場で生育する作物に関して行われる作業内容等の入力を受け付け(ステップS11)、入力された内容を示す入力データをサーバ装置10に送信する(ステップS12)。サーバ装置10(作業内容記録部101)は、送信されてきた入力データが示す作業内容等を記録する(ステップS13)。
【0070】
図12は生育情報記録処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、ユーザによりドローン20の撮影飛行開始の操作が行われることを契機に開始される。まず、ドローン20(飛行制御部201、飛行部202及びセンサ測定部203)は、記憶している圃場範囲情報に基づき圃場上空での飛行を開始する(ステップS21)。次に、ドローン20(撮影部204)は、圃場上空からの各撮影領域の撮影を開始する(ステップS22)。
【0071】
ドローン20(撮影部204)は、撮影を行う度に、撮影した静止画像と、撮影情報(撮影したときの位置、方位及び高度を示す情報)とを示す画像データを生成してサーバ装置10に送信する(ステップS23)。サーバ装置10(作物画像取得部102)は、送信されてきた画像データが示す静止画像を作物領域の画像として取得する(ステップS24)。次に、サーバ装置10(指標算出部103)は、取得された作物領域の画像に基づいてその画像に写る作物の生育状況を表す指標(NDVI)を算出する(ステップS25)。
【0072】
続いて、サーバ装置10(指標マップ生成部104)は、算出された指標に基づいて圃場の作物の生育状況を示す指標マップを生成する(ステップS26)。次に、サーバ装置10(生育情報記録部105)は、生成された指標マップを生育情報として記録する(ステップS27)。そして、サーバ装置10(グラフ記憶部108)は、記録された生育情報に基づいて、NDVIの時系列変化を表すグラフを生成して記憶する(ステップS28)。
【0073】
図13は提示処理における各装置の動作手順の一例を表す。この動作手順は、ユーザによりドローン20の撮影飛行開始の操作が行われることを契機に開始される。まず、ユーザ端末30(作業内容表示部302)は、ユーザによって指定された圃場について参考になる過去の作業内容を表示させる表示操作を受け付け(ステップS31)、作業内容の要求を示す要求データをサーバ装置10に送信する(ステップS32)。要求データを受け取ると、サーバ装置10(類似度算出部107)は、指定された圃場とそれ以外の圃場との指標の時系列変化の類似度の値を算出する(ステップS33)。
【0074】
次に、サーバ装置10(作業内容抽出部106)は、類似度が所定レベル以上となる作物領域に関して行われた作業内容を抽出する(ステップS34)。そして、サーバ装置10(作業内容抽出部106)は、抽出した作業内容等を示す応答データを生成し(ステップS35)、その応答データをユーザ端末30に送信する(ステップS36)。ユーザ端末30(作業内容表示部302)は、送信されてきた応答データが示す作業内容を表示する(ステップS37)。
【0075】
本実施例では、上記のとおりサーバ装置10に記録された過去の作業内容から、指定された圃場と作物の生育状況が似ている圃場において過去に行われた作業内容が抽出されてユーザに提示される。このように、本実施例によれば、作物に関する作業において過去の作業内容を参考にする仕組みを提供することができる。また、例えば同じ生育状況でも、早くから生育したがしばらく成長が停滞している作物と、最近急に成長した作物とでは、必要とされる作業が異なっている可能性が高い。
【0076】
本実施例では、上記のとおり、作物の生育状況が似ている圃場の作業内容を抽出する際に、現時点での生育状況だけなく、生育が開始してから現時点までの成長曲線が似た圃場の作業内容が抽出される。これにより、現時点での生育状況だけが似ている圃場の作業内容を抽出する場合に比べて、より必要とされる作業が似ている可能性が高い圃場で行われた作業内容をユーザに提示することができる。
【0077】
(2)変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせてもよい。その際は、各変形例について優先順位を付けて(各変形例を実施すると競合する事象が生じる場合にどちらを優先するかを決める順位付けをして)実施してもよい。
【0078】
(2-1)抽出における優先度付け
作業内容抽出部106は、作業内容を抽出する際に、優先度を付けて抽出を行ってもよい。優先度付けをした抽出の方法には大きく分けて2通りある。1つ目は、抽出方法自体は変えずに、抽出された作業内容に優先順位(優先度が高いものほど優先順位が高い)を付ける方法である。これを優先順位付け抽出方法という。
【0079】
この優先順位付け抽出方法を用いれば、ユーザに提示する際に例えば優先度が高いものから順番に並べて表示して、類似度が所定レベル以上の作物領域に関して行われた作業内容の中でもどの作業内容がより参考になるのかをユーザに伝えることができる。2つ目は、作業内容の優先度によって類似度(類似度の値)自体を補正する方法である。これを優先度補正抽出方法という。
【0080】
この優先度補正抽出方法を用いると、例えば実施例で述べた差分の平均値が閾値以上であっても、優先度が高い作業内容については差分の平均値が小さく補正されて閾値未満になる、つまり抽出されるようになる場合がある。反対に、差分の平均値が閾値未満であっても、優先度が低い作業内容については差分の平均値が大きく補正されて閾値以上になる、つまり抽出されなくなる場合がある。以下では具体例を挙げながら各方法について説明する。
【0081】
作業内容抽出部106は、例えば、生育中の作物の種類がユーザによって指定された作物領域と共通する作物領域への作業内容(その作業領域について作業内容記録部101に記録されている作業内容)を他の作業内容よりも優先度を上げて抽出する。
図10の例では、同じ作物(トウモロコシ)の圃場の作業内容が抽出されているが、指定された圃場と成長曲線が似ていれば他の作物の圃場の作業内容が抽出される場合もある。
【0082】
図14A~14Dは抽出された作業内容の一例を表す。
図14A~14Dの例では、圃場BB、DD、EE、GGで「トウモロコシ」を育てる際に行われた作業内容と、圃場CCで「モロコシ」を育てる際に行われた作業内容と、圃場FFで「大麦」を育てる際に行われた作業内容とが類似度の値が閾値未満(1.5未満)であり類似度が所定レベル以上と判断されて抽出されている。
【0083】
図14Aでは、作業内容抽出部106が、優先順位付け抽出方法を用いて、算出された類似度の値が小さい(実施例と同様に値が小さいほど類似度が高いものとする)方から順番に各圃場の作業内容の優先順位を定めている。ここで、指定された圃場の作物の種類が「トウモロコシ」であるものとする。その場合、作業内容抽出部106は、例えば
図14Bに表すように、指定された圃場と作物の種類が同じ全ての圃場の優先順位を作物の種類が異なる他の圃場よりも高くして定めている。
【0084】
なお、作業内容抽出部106は、「トウモロコシ」の圃場同士では類似度が高い方から順番に優先順位を定め、それ以外の作物の圃場同士でも類似度が高い方から順番に優先順位を定めている。また、作業内容抽出部106は、
図14Cに表すように、指定された圃場と作物の種類が同じ圃場の類似度の値を補正(この例では0.8倍に補正)した上で優先順位を定めてもよい。その結果、「トウモロコシ」の圃場の作業内容は優先順位がそれぞれ上がっている。
【0085】
また、作業内容抽出部106は、
図14Dに表すように、さらに優先度補正抽出方法を用いて、指定された圃場と作物の種類が同じ圃場の類似度の値を補正(この例では0.8倍に補正)した上で類似度が所定レベル以上であるか否かを判断してもよい。
図14Dの例では、補正前の類似度の値が1.6(補正後は1.28)だった圃場HHと、補正前の類似度の値が1.8(補正後は1.44)だった圃場IIの作業内容が新たに抽出されている。以上のとおり優先度を用いることで、指定された圃場と同じ作物が育てられている圃場での作業内容がそれ以外の圃場での作業内容よりも参考にされやすいようにすることができる。
【0086】
(2-2)作業履歴
上記変形例では優先度を決める条件として作物の種類が用いられたが、これに限らない。作業内容抽出部106は、例えば、作業履歴がユーザによって指定された作物領域と共通する作物領域への作業内容を他の作業内容よりも優先度を上げて抽出してもよい。作業内容抽出部106は、例えば
図9の曲線FA1が成長曲線を表す圃場A1が指定された場合、50日目までの作業履歴を比較する。
【0087】
作業内容抽出部106は、例えば各作業項目の作業回数(散水回数、肥料散布回数及び農薬散布回数等)の差分の平均値が閾値未満である場合に作業履歴が共通すると判断する。なお、作業回数の代わりに又はそれに加えて、作業詳細(散水量(散水時間)、肥料の量、農薬の量、散布位置及び散布時間帯等)の差分を考慮してもよい(全ての差分を合算して平均値を算出する等)。また、機器情報(農具及び農作業用機械等)が共通しているか否かを考慮してもよい。
【0088】
いずれの場合も、作業内容抽出部106は、作業履歴が全て完璧に一致していなくても、それらの差分及び相違点が所定の基準未満であれば作業履歴が共通すると判断する。作業内容抽出部106は、共通する作業履歴の圃場を判断すると、後は上記変形例と同様に優先順位付け抽出方法及び優先度補正抽出方法の少なくとも一方を用いて作業履歴を抽出する。これにより、指定された圃場と作業履歴が共通する圃場での作業内容がそれ以外の圃場での作業内容よりも参考にされやすいようにすることができる。
【0089】
(2-3)類似度を示す値の算出方法
類似度を示す値の算出方法は実施例で述べた方法に限らない。類似度算出部107は、例えば実施例ではユーザによって指定された圃場の現時点での生育期間が50日間であれば、他の時系列変化についても生育開始から50日間の時系列変化を比較したが、比較する期間を変動させてもよい。類似度算出部107は、例えば生育開始を比較期間の開始としなくてもよい。
【0090】
具体的には、例えば11日目から60日目までの50日間の時系列変化を比較してもよい。これは、例えば最初の10日間の気温及び降水量等の環境が生育に厳しい状況で、10日目を過ぎてから実質的な生育が開始されたような場合に、その作業内容を参考にすることができる。また、類似度算出部107は、長さが異なる期間同士を比較してもよい。具体的には、1日目から60日目までの60日間の時系列変化を50日間の時系列変化に変換してから比較してもよい。
【0091】
これは、上記環境が低調で通常なら50日間で成長するところ60日間要するような場合における作業内容を参考にすることができる。これらの比較方法を用いる場合、類似度算出部107は、類似度が最も高くなる比較期間の開始日又は比較期間を用いて類似度の値を算出する。これにより、比較期間が固定されている場合に比べて、気温及び降水量等の環境が異なる期間に生育した作物に対する作業内容でも参考にされやすいようにすることができる。
【0092】
(2-4)経過期間
上記変形例のように比較する期間を変動させて類似度の値を算出する場合に、作業内容抽出部106は、生育開始からの経過期間がユーザによって指定された作物領域と共通する作物領域への作業内容を他の作業内容よりも優先度を上げて抽出してもよい。この場合、作業内容抽出部106は、比較期間を変動させずに類似度の値が算出されて且つその値が示す類似度が所定レベル以上となる圃場(作物領域)については、生育開始からの経過期間が指定された作物領域と共通すると判断する。
【0093】
後は、作業内容抽出部106は、上記変形例と同様に優先順位付け抽出方法及び優先度補正抽出方法の少なくとも一方を用いて作業履歴を抽出する。これにより、比較期間が固定されている場合に比べて気温及び降水量等の環境が異なる期間に生育した作物に対する作業内容でも参考にされやすいようにしつつ、指定された圃場における作物の生育期間と共通の生育期間における成長曲線の類似度が高い圃場での作業内容がそれ以外の圃場での作業内容よりも参考にされやすいようにすることができる。
【0094】
(2-5)収穫量
圃場(作物領域)での収穫量を考慮して作業内容が抽出されてもよい。この場合、作業内容抽出部106は、収量が多かった作物領域での作業内容ほど優先度を上げて抽出する。本変形例では、ユーザ(作業者)が収穫終了後に収穫量を作業内容に対応付けて登録する操作をユーザ端末30に対して行う。ユーザ端末30が登録内容をサーバ装置10に送信すると、作業内容記録部101は、登録された収穫量を作業内容に対応付けて記録する。
【0095】
図15は記録された収穫量の一例を表す。
図15の例では、作業内容記録部101は、「HA01」という圃場IDの圃場でのトウモロコシの収穫量として「G1t(G1トン)」及び「G2t」等(時期が異なる収穫量)を記録し、「HA02」という圃場IDの圃場での稲の収穫量として「G3t」等を記録している。作業内容抽出部106は、作物の種類と収穫量と補正係数とを対応付けた補正テーブルを用いて優先度を判断する。
【0096】
図16は補正係数の一例を表す。
図16の例では、「トウモロコシ」という作物の種類では、「G11未満」、「G11以上G12未満」、「G12以上」という収穫量に「1.0」、「0.9」、「0.8」という補正係数が対応付けられており、稲等の他の作物についても同様に収穫量と補正係数が対応付けられている。作業内容抽出部106は、実施例で述べたように特定した圃場ID及び特定した生育期間に含まれる作業日時に対応付けられた情報として、作物名称及び収穫量も抽出する。
【0097】
作業内容抽出部106は、抽出した作物名称が表す作物の種類及び収穫量に補正テーブルで対応付けられている補正係数を各類似度の値に乗算する。
図16の例では、収穫量が多いほど小さな補正係数が乗算されて類似度を示す値(差分の平均値)が小さくなるから、成長曲線の類似度(類似する度合い)自体は高くなる。これにより、収穫量が多い圃場での作業内容ほど参考にされやすいようにすることができる。
【0098】
(2-6)生育の進み具合
作業後の作物の生育の進み具合を考慮して作業内容が抽出されてもよい。この場合、作業内容抽出部106は、ユーザによって指定された作物領域の現在の時期に対応する時期からの生育の進み具合が大きい作物領域での作業内容ほど優先度を上げて抽出する。生育の進み具合が大きい作物領域では、作業者は、生育が順調だった状態からさらに生育を促進させたか、又は生育が順調でなかった状態から生育状況を改善させたと考えられる。
【0099】
図17は本変形例のNDVIの時系列変化の一例を表す。
図17では、
図9と同様のグラフによってNDVIの時系列変化が表されている。曲線FA21、FA22、FA23は、圃場A21、A22、A23におけるNDVIの時系列変化を表している。これらの曲線は、説明を分かりやすくするため、圃場A1の曲線FA1と50日目までの時系列変化の類似度が一致しているものとする。
【0100】
ただし、50日目以降は、NDVIの伸びが曲線FA21において最も大きく、FA22がその次で、FA23において最も小さくなっている。なお、この例では、生育開始から50日目が指定された作物領域の現在の時期に対応する時期として用いられている。それ以外にも、例えば上述した比較期間を変動させる場合は、例えば10日目から60日目又は1日目から60日目が比較期間であればいずれも60日目(つまり比較期間の終わりの時期)が対応する時期となる。
【0101】
作業内容抽出部106は、例えば、所定の期間が経過したときのNDVIが大きいほど生育の進み具合が大きいと判断する。
図17の例では、10日間が経過したときの圃場A21、A22、A23におけるNDVIがそれぞれn21、n22、n23(n21>n22>n23)となっている。50日目のNDVIをいずれもn20とすると、各圃場のNDVIの伸びは(n21-n20)、(n22-n20)、(n23-n20)で表される。
【0102】
作業内容抽出部106は、このNDVIの伸びと補正係数とを対応付けた補正テーブルを用いて優先度を判断する。
図18は本変形例の補正テーブルの一例を表す。
図18の例では、「N21未満」、「N21以上N22未満」、「N22以上」というNDVIの伸びに「1.0」、「0.9」、「0.8」という補正係数が対応付けられている。
【0103】
作業内容抽出部106は、グラフ記憶部108に記憶されている曲線FA21、FA22、FA23のグラフを参照してNDVIの伸びを算出し、算出したNDVIの伸びに補正テーブルで対応付けられている補正係数を各類似度の値に乗算する。これにより、指定された作物領域の現在の時期に対応する時期に行われた作業により生育が大きく進んだ圃場での作業内容ほど参考にされやすいようにすることができる。
【0104】
(2-7)NDVIの精度
実施例では、ドローン20が作物領域の上空を飛行して撮影された画像に基づいて、すなわち、ドローン20に設けられたイメージセンサの測定値に基づいてNDVIが算出された。こうして算出されるNDVIは、撮影条件によってその精度が変化する。例えば撮影時のドローン20の飛行高度が高いほど1画素が表す作物領域が広くなるので、作物以外のもの(地面等)が含まれやすくなり、NDVIの精度が低くなる。
【0105】
また、日射強度が弱いほど反射光が少なくなりNDVIの精度が低くなる。例えばIR=20、R=10の場合もIR=200、R=100の場合も、NDVIは10÷30又は100÷300で0.333・・・である。これらのピクセル値に10ずつ誤差が生じた場合、IR=30、IR=20だとNDVI=10÷50=0.2となり、IR=210、R=110だとNDVI=100÷320=0.312・・・となる。
【0106】
このように、NDVIは、IR、Rのピクセル値が小さい(反射光が少ない)ほど、これらのピクセル値のわずかな誤差がNDVIの大きな誤差となって現れる。本変形例では、ユーザ(作業者)が、例えば撮影飛行をさせた日の作業内容に対応付けて撮影条件(飛行高度又は天気等)を登録する。作業内容記録部101は、登録された撮影条件を作業日時に対応付けて記録する。
【0107】
作業内容抽出部106は、NDVIの精度が高くなる撮影条件で撮影された作物領域での作業内容ほど優先順位を上げて抽出する。作業内容抽出部106は、この撮影条件と補正係数とを対応付けた補正テーブルを用いて優先度を判断する。
図19A及び19Bは本変形例の補正テーブルの一例を表す。
図19Aの例では、「H31未満」、「H31以上H32未満」、「H32以上」という撮影条件(飛行高度)に「0.8」、「0.9」、「1.0」という補正係数が対応付けられている。
【0108】
また、
図19Bの例では、「4-9月の晴れ」、「10-3月の晴れ」、「4-9月の曇り/雨」、「10-3月の曇り/雨」という撮影条件(先の撮影条件ほど日射強度が強い)に「0.7」、「0.8」、「0.9」、「1.0」という補正係数が対応付けられている。作業内容抽出部106は、実施例で述べたように特定した圃場ID及び特定した生育期間に含まれる作業日時に対応付けられた情報として、撮影条件も抽出する。
【0109】
作業内容抽出部106は、抽出した撮影条件に補正テーブルで対応付けられている補正係数を各類似度の値に乗算する。
図19Aの補正テーブルを用いる場合、作業内容抽出部106は、飛行高度が低いほどNDVIの精度が高くなると判断する。また、
図19Bの補正テーブルを用いる場合、作業内容抽出部106は、日射強度が強い天気であるほどNDVIの精度が高くなると判断する。
【0110】
算出されるNDVIの精度が低いほど、成長曲線が似ていると思われた作物の実際の成長曲線が異なっていたということが起こりやすくなり、作業内容が参考にならないという可能性が高まる。本変形例では、上記のとおりNDVIの精度が高くなる撮影条件で撮影された作物領域での作業内容ほど優先順位を上げて抽出することで、そのような可能性を低く抑えることができる。
【0111】
なお、露出量が適切に設定されていれば、日射強度が多少異なっていても、適切な露光量で撮影がされてNDVIの精度を高くすることができる。ただし、露出量をユーザが設定して撮影する場合には、露出量が適切でない状態で撮影されることがある。また、撮影装置27が自動露出機能(被写体の明るさに応じて絞り値と露光時間の組み合わせを自動的に調整する機能)を有していても、その性能によっては例えば日照条件が変化した際に(撮影中に天気が変化したときなど)に適切でない露出量で撮影されることが起こり得る。
【0112】
そこで、作業内容抽出部106は、撮影条件として撮影時の露出量を用いて、露出量が適正値に近いほどNDVIの精度が高くなると判断してもよい。ここでいう適正値は、精度の高いNDVIを算出可能な画像が撮影される際の露出量のことである。NDVIは、上述したようにピクセル値が大きいほど精度が高くなるが、ホワイトアウトするほど明るくなるとIRとRの差が小さくなり0に近づいてしまう。
【0113】
本変形例では、例えば精度の高いNDVIを算出可能な画像の全体のピクセル値の平均値を実験により求めておき、作業内容抽出部106は、NDVIの算出に用いられた画像のピクセル値の平均値とその平均値との差分が小さいほど、露出量が適正値に近いと判断する。これにより、撮影時の日射強度に対して露出量が適切に設定された場合、すなわち、比較された成長曲線と実際の成長曲線が近い圃場における作業内容が抽出されやすいようにして、上記の可能性(抽出された作業内容が参考にならないという可能性)を低く抑えることができる。
【0114】
(2-8)気象条件
気象条件が近い圃場での作業ほど参考になりやすい。ここでいう気象条件とは、例えば生育期間中の平均日照時間、平均降水量及び平均気温等の条件である。そこで、各圃場の気象条件に基づいて優先度が判断されてもよい。本変形例では、ユーザ(作業者)が、圃場における前述した気象条件を示す条件情報を登録する。
【0115】
作業内容記録部101は、登録された条件情報(ユーザによって指定された作業対象の圃場(作物領域)における気象条件を示す情報)を圃場IDに対応付けて記録する。この場合の作業内容記録部101は本発明の「条件記録部」の一例である。記録される気象条件は、例えば月毎の条件(平均日照時間等)でもよいし、週毎、日毎、年毎の条件であってもよい。ただし、短い期間の気象条件が分かれば長期間での気象条件も求めることができるので、気象条件の期間の単位は短いほど望ましい。
【0116】
作業内容抽出部106は、作業内容記録部101に記録された条件情報が示す気象条件が指定された圃場(作物領域)の気象条件に近い作物領域での作業内容ほど優先度を上げて抽出する。作業内容抽出部106は、例えば月毎の平均日照時間が条件情報として記録されている場合は、指定された圃場及び比較対象の圃場の比較期間における平均日照時間を算出し、それらの差分を算出する。
【0117】
作業内容抽出部106は、この気象条件の違いを表す値(平均日照時間の差分)と補正係数とを対応付けた補正テーブルを用いて優先度を判断する。
図20A及び20Bは本変形例の補正テーブルの一例を表す。
図20Aの例では、「T41未満」、「T41以上T42未満」、「T42以上」という平均日照時間の差分に「0.8」、「0.9」、「1.0」という補正係数が対応付けられている。
【0118】
作業内容抽出部106は、実施例で述べたように特定した圃場ID及び特定した生育期間に含まれる作業日時に対応付けられた情報として、条件情報も抽出する。作業内容抽出部106は、抽出した条件情報が示す気象条件から上記の差分を算出し、算出した差分に補正テーブルで対応付けられている補正係数を各類似度の値に乗算する。これにより、指定された作物領域と気象条件が近い圃場での作業内容ほど参考にされやすいようにすることができる。
【0119】
なお、条件情報は、気象条件を直接示す情報に限らない。例えば圃場の位置情報が条件情報として記録されてもよい。圃場の位置情報が示す位置が近ければ、気象条件も近いと言えるからである。この場合、作業内容抽出部106は、
図20Bに表すようにこの気象条件の違いを表す値(圃場間の距離)と補正係数とを対応付けた補正テーブルを用いて優先度を判断する。
【0120】
図20Bの例では、「D51未満」、「D51以上D52未満」、「D52以上」という圃場間の距離に「0.8」、「0.9」、「1.0」という補正係数が対応付けられている。この場合、作業内容抽出部106は、抽出した条件情報が示す位置情報から上記の距離を算出し、算出した距離に補正テーブルで対応付けられている補正係数を各類似度の値に乗算する。これにより、指定された作物領域と気象条件が近い圃場での作業内容ほど参考にされやすいようにすることができる。
【0121】
(2-9)作業者同士の関係
作業者同士が身近な関係(友人、同じ農協の関係者及び近所等)にある場合、無関係な相手に比べると作業内容について直接問い合わせることが行いやすい。そこで、作業者同士の関係に基づいて優先度が判断されてもよい。本変形例では、ユーザ(作業者)が、作業者同士の関係を表す関係情報を予め登録しておく。
【0122】
登録する関係情報は、例えば、作業者自身(作業内容記録部101に記録されている作物領域への作業を行う作業者)の住所、所属する農協及び連絡可能な(連絡先を知っている)同業者等を表す情報である。作業内容記録部101は、登録された関係情報を圃場IDに対応付けて記録する。この場合の作業内容記録部101は本発明の「関係記録部」の一例である。各作業者がこの関係情報を登録することで、それらの関係情報は、各圃場(作物領域)への作業を行う作業者と指定された作物領域への作業を行う作業者との関係を表す情報となる。
【0123】
作業内容抽出部106は、所定の関係を表す関係情報が作業内容記録部101に記録されている作業者を所定の関係を表す関係情報が記録されていない作業者よりも作業内容の優先度を高くして抽出する。所定の関係とは、住所同士の距離が閾値未満の関係、所属する農協が同じという関係又は連絡可能な同業者である関係等である。作業内容抽出部106は、指定された圃場及び比較対象の圃場の圃場IDにそれぞれ対応付けられている関係情報を読み出して作業者の関係が所定の関係であるか否かを判断する。
【0124】
作業内容抽出部106は、作業者同士の関係と補正係数とを対応付けた補正テーブルを用いて優先度を判断する。
図21は本変形例の補正テーブルの一例を表す。
図21の例では、「連絡可能」、「近所、同じ農協」、「無関係」という作業者同士の関係に「0.8」、「0.9」、「1.0」という補正係数が対応付けられている。
【0125】
作業内容抽出部106は、前述したとおり判断した作業者同士の関係に補正テーブルで対応付けられている補正係数を各類似度の値に乗算する。「連絡可能」な作業者には連絡を取って作業内容を問い合わせることができるし、「近所、同じ農協」の作業者も、普段から会う機会があったり連絡先を誰かに聞くことができたりする可能性が高い。このように、本変形例によれば、作業内容について直接問い合わせることが行いやすい作業者の作業内容ほど参考にされやすいようにすることができる。
【0126】
(2-10)作業者への通知方法1
作業内容抽出部106は、実施例では、抽出した作業内容をそのまま通知した。この作業内容は作業者が登録した作業内容であり、内容によっては個人を特定することに繋がる可能性がある情報(いわゆる個人情報となる可能性がある情報)である。そこで、個人が特定されないように通知が行われてもよい。
【0127】
本変形例では、作業内容抽出部106は、抽出した作業内容に含まれる作業用の数値から代表値を算出し、その代表値により表される作業内容を、作物領域を指定したユーザ(作業者)に通知する。本変形例の作業内容抽出部106は本発明の「第1通知部」の一例である。作業用の数値とは、例えば散布する肥料の量、農薬の量及び散水する時間の長さ等である。作業内容抽出部106は、まず、抽出した作業内容のうち所定の期間において最も多く行われている作業項目を特定する。
【0128】
作業内容抽出部106は、特定した作業項目の作業詳細に含まれる作業用の数値の平均値、中央値又は最頻値等を代表値として算出する。また、作業内容抽出部106は、特定した作業項目の機器情報に含まれる作業用機器のうち最も多く用いられている作業用機器を特定する。作業内容抽出部106は、算出した代表値及び特定した作業用機器を作業内容として表す応答データを生成し、ユーザ端末30に送信する。
【0129】
図22は本変形例で表示された作業内容の一例を表す。
図22の例では、「以下は代表的な作業内容です。」という文字列と、「40~50日目」に「農薬α散布」を「△△リットル/10a」の量で「噴霧器」を用いて行われた事と、「50~60日目」に「農薬β散布」を「○○リットル/10a」の量で「ドローン」を用いて行われた事とが表示されている。これらの情報が通知されることで、個人情報が知られるおそれがなく過去に行われた作業内容を参考にすることができる。
【0130】
(2-11)作業者への通知方法2
上記変形例では、代表値等を通知することで個人情報が知られるおそれをなくしたが、作業内容からは必ずしも個人が特定されるとは限らないし、ユーザ同士であれば個人が特定されても気にしないユーザもいることが考えられる。そこで、作業内容を通知してよいことが確認された場合にのみ通知するようにしてもよい。
【0131】
本変形例では、ユーザ(作業者)が、作業内容を入力する際に、その作業内容の通知の可否を合わせて入力する。入力受付部301は、入力された通知の可否を示す情報(可否情報)を含む入力データをサーバ装置10に送信する。作業内容記録部101は、入力データに含まれる可否情報、すなわち作業者が定めた作業内容の通知の可否を示す情報を取得して記録する。この場合の作業内容記録部101は本発明の「可否取得部」の一例である。
【0132】
本変形例では、作業内容抽出部106は、抽出した作業内容のうち通知可能であることを示す可否情報が作業内容記録部101により取得された作業内容を、作物領域を指定したユーザ(作業者)に通知する。本変形例の作業内容抽出部106は本発明の「第2通知部」の一例である。また、作業内容抽出部106は、通知不可であることを示す可否情報が作業内容記録部101により取得された作業内容については作業者に通知しない。
【0133】
これにより、個人情報を知られることを嫌がる作業者の作業内容が他の作業者に知られることなく、過去に行われた作業内容を参考にすることができる。なお、作業内容抽出部106は、通知不可であることを示す可否情報が取得された作業内容について、全く通知しないのではなく、例えばそれらの作業内容が2以上ある場合には、それらについて例えば上記変形例のように代表値を算出し、最も多い作業内容、作業用機器を特定して、それらにより表される作業内容を通知してもよい。これにより、個人情報を知られることを嫌がる作業者の作業内容も多少の参考にすることができる。
【0134】
(2-12)作物領域の指定
実施例では、ユーザ(作業者)が圃場(作物領域)を指定したが、これに限らない。例えば、サーバ装置10が登録されている各ユーザの圃場を定期的に指定して、作業内容の抽出を行ってもよい。その場合、ユーザは、自分の圃場を指定することで、既に抽出された作業内容を閲覧することができる。
【0135】
(2-13)区分領域
指標マップ生成部104は、実施例では撮影範囲に対応する領域を区分領域として領域単位のNDVIマップを生成したが、区分領域はこれに限らない。例えば複数の撮影範囲を1つの区分領域としてもよいし、1つの撮影領域を複数に分割した分割領域に対応する領域を区分領域としてもよい。また、各区分領域の形及び大きさが統一されていてもよいし揃っていなくてもよい。
【0136】
(2-14)類似度
実施例では類似度が数値で表されたが、これに限らず、数値以外の情報で表されてもよい。例えば「高」、「中」、「低」又は「A」、「B」、「C」等の文字で表されてもよいし、符号及び記号等で表されてもよい。例えば「高」、「中」、「低」で表される場合、作業内容抽出部106は、類似度が「中」以上となる作物領域を類似度が所定レベル以上となる作物領域として特定すればよい。このように、類似度の高さの違いが比較可能に表され、類似度が所定レベル以上であるか否かを判断できるのであれば、どのような情報により類似度が表されてもよい。
【0137】
(2-15)飛行体
実施例では、自律飛行を行う飛行体として回転翼機型の飛行体が用いられたが、これに限らない。例えば飛行機型の飛行体であってもよいし、ヘリコプター型の飛行体であってもよい。また、自律飛行の機能も必須ではなく、割り当てられた飛行空域を割り当てられた飛行許可期間に飛行することができるのであれば、例えば遠隔から操縦者によって操作されるラジオコントロール型(無線操縦型)の飛行体が用いられてもよい。
【0138】
(2-16)指標算出の元情報
実施例では、ドローン20が飛行中に撮影した画像に基づいてNDVIが算出されたが、これに限らない。例えば作業者がデジカメを用いて手作業で撮影した画像又は圃場に設置された固定のデジカメが撮影した画像に基づいてNDVIが算出されてもよい。また、衛星から撮影された画像に基づいてNDVIが算出されてもよい。
【0139】
また、実施例では撮影装置27のイメージセンサ272の測定値を用いてNDVIが算出されたが、これに限らず、例えばハンディタイプのNDVI測定器の赤外線センサ等の測定値を用いてNDVIが算出されてもよい。NDVIの算出は、圃場(作物領域)の全体について行われることが望ましいが、一部について行われるだけでも、その圃場における作物の生育状況の傾向は現れるので、その圃場で行われた作業内容を参考にすることができる。
【0140】
(2-17)生育状況を表す指標
実施例では、生育状況を表す指標としてNDVIが用いられたが、これに限らない。例えば、葉色値(葉の色を示す値)、植被率(植被領域の単位面積あたりの占有率)、SPAD(葉緑素含量)、草丈又は茎数等が用いられてもよい。要するに、作物の生育状況を表しており、且つ、撮影された作物領域の画像から算出可能な値であれば、どのような値が生育状況を表す指標として用いられてもよい。
【0141】
(2-18)各部を実現する装置
図4等に表す各機能を実現する装置がそれらの図とは異なっていてもよい。例えばサーバ装置が備える全ての機能又は一部の機能をドローンが備えていてもよい。その場合はドローンのプロセッサが本発明の「情報処理装置」の一例となる。また、サーバ装置の機能をユーザ端末が実現してもよい。その場合はユーザ端末が本発明の「情報処理装置」の一例となる。
【0142】
また、各機能が行う動作を他の機能が行ってもよいし、新たな機能に行わせてもよい。例えば指標算出部103が行う動作(指標の算出動作)を指標マップ生成部104が行ってもよい。また、作業内容抽出部106が行う作業内容の通知を新たに設けた通知部が行ってもよい。また、サーバ装置が備える各機能を2以上の装置がそれぞれ実現してもよい。要するに、農業支援システム全体としてこれらの機能が実現されていれば、農業支援システムが何台の装置を備えていてもよい。
【0143】
(2-19)発明のカテゴリ
本発明は、上述したサーバ装置及びユーザ端末のような情報処理装置と、ドローンのような飛行体(ドローンは情報処理装置を兼ねる場合もある)の他、それらの装置及び飛行体を備える農業支援システムのような情報処理システムとしても捉えられる。また、本発明は、各装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【0144】
(2-20)処理手順等
本明細書で説明した各実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾がない限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0145】
(2-21)入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0146】
(2-22)ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0147】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0148】
(2-23)情報、信号
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0149】
(2-24)システム、ネットワーク
本明細書で使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0150】
(2-25)「に基づいて」の意味
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0151】
(2-26)「及び」、「又は」
本明細書において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
【0152】
(2-27)態様のバリエーション等
本明細書で説明した各実施例は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0153】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施例に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0154】
1…農業支援システム、10…サーバ装置、20…ドローン、30…ユーザ端末、101…作業内容記録部、102…作物画像取得部、103…指標算出部、104…指標マップ生成部、105…生育情報記録部、106…作業内容抽出部、107…類似度算出部、108…グラフ記憶部、201…飛行制御部、202…飛行部、203…センサ測定部、204…撮影部。