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  • 特許-有機エレクトロルミネッセンス素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/85 20230101AFI20231016BHJP
   C07D 249/18 20060101ALI20231016BHJP
   C07D 263/56 20060101ALI20231016BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20231016BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231016BHJP
   H10K 50/828 20230101ALI20231016BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231016BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20231016BHJP
【FI】
H10K50/85
C07D249/18 502
C07D263/56
C07D403/04
H10K50/10
H10K50/828
H10K59/10
H10K85/60
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020531342
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(86)【国際出願番号】 JP2019028088
(87)【国際公開番号】W WO2020017552
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2018134445
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】望月 俊二
(72)【発明者】
【氏名】平山 雄太
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/183625(WO,A1)
【文献】特開平11-035532(JP,A)
【文献】特表2007-518705(JP,A)
【文献】国際公開第2015/001726(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0181544(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107417668(CN,A)
【文献】特開2013-072087(JP,A)
【文献】特開平11-029556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/85
C07D 249/18
C07D 263/56
C07D 403/04
H10K 50/10
H10K 50/828
H10K 59/10
H10K 85/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極との間に発光層を含む有機層を有し、
前記第1電極の前記有機層と反対側の面にキャッピング層が積層され、
前記第1電極が、透明または半透明であり、
前記キャッピング層が、下記一般式(a-1)で表されるベンゾアゾール環構造を有するジアミン化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【化1】
(式(a-1)中、Aは下記一般式(b-1)で示されるR~R12の内、2カ所を結合部位とする2価基を表す。Ar~Arは各々、相互に同一でも異なっていてもよく、芳香族炭化水素基と縮合多環芳香族基と芳香族複素環基とから選ばれる置換基により置換もしくは無置換のフェニル基を表す。RおよびRは相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。mおよびnは0~2の整数を表し、pおよびqは0~4の整数を表す。また、mまたはnが0である場合、単結合としてAが窒素原子と結合していることを表す。mおよびnが1以上の整数である場合、Ar、Arおよびこれらの結合している窒素原子に隣接するベンゼン環、またはAr、Arおよびこれらの結合している窒素原子に隣接するベンゼン環は、窒素原子を介して、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、置換もしくは無置換のアミノ基、酸素原子または硫黄原子により結合して環を形成してもよい。pおよびqが2以上の整数である場合、同一のベンゼン環に複数個結合するRまたはRは相互に同一でも異なってもよく、また、置換した同一のベンゼン環に対して、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、置換もしくは無置換のアミノ基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。)
【化2】
(式(b-1)中、R~R12は相互に同一でも異なっていてもよく、結合部位としての連結基、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。Xは炭素原子または窒素原子を表す。Yは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれるいずれかを表す。但し、Xが炭素原子かつYが酸素原子の場合、Xが炭素原子かつYが硫黄原子である場合、またはXが窒素原子かつYが窒素原子である場合、YはR12を有さないものとする。)
【請求項2】
前記第1電極が陰極であり、
前記第2電極が陽極であり、
前記有機層が正孔輸送層と発光層と電子輸送層とを少なくとも含み、
前記電極、前記正孔輸送層、前記発光層、前記電子輸送層、前記陰極および前記キャッピング層をこの順に有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
前記一般式(b-1)が、下記一般式(b-2)、(b-3)または(b-4)であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化3】
(式(b-2)、(b-3)または(b-4)中、R13~R21は相互に同一でも異なっていてもよく、結合部位としての連結基、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【請求項4】
前記一般式(b-1)が、下記一般式(b-5)、(b-6)または(b-7)であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化4】
(式(b-5)、(b-6)または(b-7)中、R22~R26は相互に同一でも異なっていてもよく、結合部位としての連結基、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【請求項5】
前記一般式(b-1)が、下記一般式(b-8)、(b-9)または(b-10)であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化5】
(式(b-8)、(b-9)または(b-10)中、R27~R30は相互に同一でも異なっていてもよく、結合部位としての連結基、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【請求項6】
前記mと前記nの合計が、0、1または2であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記一般式(a-1)における-NArArと-NArArの二つのアミノ基骨格が、同一であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記ジアミン化合物は、濃度10-5mol/Lの吸収スペクトルにおける吸光度が、400nmから410nmの波長範囲で0.2以上であることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の有機エレトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記キャッピング層の厚さが、30nm~120nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記キャッピング層は、400nmおよび410nmの波長の光を透過させたときの屈折率が1.85以上である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
前記キャッピング層は、波長400nmおよび410nmの光の消衰係数が0.2以上である請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
前記Rおよび前記Rが、水素原子である、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称する場合がある。)およびその製造方法に関する。
本出願は、2018年07月17日に日本に出願された特願2018-134445に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発光性素子である。また、有機EL素子は、液晶素子に比べて明るく視認性に優れ、鮮明な表示が可能である。このことから、有機EL素子は、活発な研究がなされてきた。
【0003】
1987年にイーストマン・コダック社のC.W.Tangらは、各種の役割を各材料に分担した積層構造素子を開発した。このことにより、彼らは、有機材料を用いた有機EL素子を実用的なものにした。彼らは、電子を輸送できる蛍光体と正孔を輸送できる有機物とを積層し、両方の電荷を蛍光体の層の中に注入して発光させた。このことにより、有機EL素子は、10V以下の電圧で1000cd/m以上の高輝度が得られるようになった(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
現在まで、有機EL素子の実用化のために多くの改良がなされ、積層構造の各種の役割は、さらに細分化された。基板上に順次に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極を設け、底部から発光するボトムエミッション構造の電界発光素子によって、高効率と耐久性が達成されるようになってきた(例えば、非特許文献1参照)
【0005】
近年、高い仕事関数を持った金属を陽極に用い、上部から発光するトップエミッション構造の発光素子が用いられるようになってきた。画素回路を有する底部から光を取り出すボトムエミッション構造では、発光部の面積が制限されてしまう。これに対して、トップエミッション構造の発光素子では、上部から光を取り出すため、発光部からの光を画素回路が遮ることがない。このため、トップエミッション構造の発光素子は、発光部を広くとれる利点がある。トップエミッション構造の発光素子では、陰極にLiF/Al/Ag(例えば、非特許文献2参照)、Ca/Mg(例えば、非特許文献3参照)、LiF/MgAgなどの半透明電極が用いられる。
【0006】
このような発光素子では、発光層で発光した光が他の膜に入射する場合に、ある角度以上で入射すると、発光層と他の膜との界面で全反射されてしまう。このため、発光した光の一部しか利用できていなかった。近年、光の取り出し効率を向上させるために、屈折率の低い半透明電極の外側に、屈折率の高い「キャッピング層」を設けた発光素子が提案されている(例えば、非特許文献2および3参照)。
【0007】
トップエミッション構造の発光素子におけるキャッピング層の効果は、以下の通り認められた。Ir(ppy)を発光材料に用いた発光素子において、キャッピング層が無い場合は発光効率が38cd/Aであった。これに対し、キャッピング層として膜厚60nmのZnSeを使用した発光素子では、64cd/Aと約1.7倍の効率向上が認められた。また、半透明電極とキャッピング層の透過率の極大点と効率の極大点とは、必ずしも一致しないことが示されている。光の取り出し効率の最大点は、干渉効果によって決められることが示されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0008】
従来、キャッピング層の形成には、精細度の高いメタルマスクを用いることが提案されている。しかし、高温条件下での使用では、メタルマスクに熱による歪みが生じるため、位置合わせ精度が低下する問題点があった。ZnSeは、融点が1100℃以上と高い(例えば、非特許文献3参照)。このため、精細度の高いメタルマスクを用いても、ZnSeを蒸着する際にメタルマスクが歪むため、正確な位置に蒸着できず、発光素子そのものにも影響を与える可能性がある。更に、スパッタ法によってZnSeを成膜する場合でも、発光素子に影響を与えてしまう。このことから、無機物は、キャッピング層の構成材料として適していない。
【0009】
その他、屈折率を調整するキャッピング層として、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以下、Alqと省略する)を使用することが提案されている(例えば、非特許文献2参照)。Alqは、緑色発光材料または電子輸送材料として一般的に使用される有機EL材料として知られている。Alqは、青色発光材料に使用される450nm付近に弱い吸収を持つ。このため、Alqをキャッピング層として使用した青色発光素子では、色純度の低下および光の取り出し効率が低下する問題点があった。
【0010】
また、従来のキャッピング層を有する素子では、太陽光の波長400nmから410nmの光が通光し、素子内部の材料に影響を与えるため、色純度および光の取り出し効率が低下する問題点もあった。
【0011】
有機EL素子の素子特性を改善するために、キャッピング層には、特に、太陽光の波長400nmから410nmの光を吸収し、素子内部の材料に影響を与えないことが求められている。また、有機EL素子における光の取り出し効率を大幅に改善するために、キャッピング層の材料として、吸光係数が高く、屈折率が高く、薄膜の安定性および耐久性に優れる材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平8-048656号公報
【文献】特許第3194657号公報
【文献】国際公開第2014/009310号
【文献】国際公開第2013/038627号
【非特許文献】
【0013】
【文献】応用物理学会第9回講習会予稿集55~61ページ(2001)
【文献】Appl.Phys.Let.,78,544(2001)
【文献】Appl.Phys.Let.,82,466(2003)
【文献】J.Org.Chem.,71,1802(2006)
【文献】Aust.J.Chem.,45,371(1992)
【文献】J.Org.Chcm.,60,7508(1995)
【文献】Synth.Commun.,11,513(1981)
【文献】Appl.Phys.Lett.,98,083302(2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高輝度で発光効率および電力効率が良好で長寿命の有機EL素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは上記の目的を達成するために、以下に示すように、鋭意研究を行った。
すなわち、アリールアミン系材料が薄膜の安定性および耐久性に優れることに着目して、屈折率の高い特定のベンゾアゾール環構造を有するアミン化合物から、濃度10-5mol/Lの吸収スペクトルにおいて波長400nmから410nmにおける吸光度が高い材料を選別した。そして、この材料を、キャッピング層を構成する材料として用いた有機EL素子を作製し、素子の特性評価を鋭意行った。その結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の有機EL素子が提供される。
【0016】
1)第1電極と第2電極との間に発光層を含む有機層を有し、
前記第1電極の前記有機層と反対側の面にキャッピング層が積層され、
前記第1電極が、透明または半透明であり、
前記キャッピング層が、下記一般式(a-1)で表されるベンゾアゾール環構造を有するジアミン化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【0017】
【化1】
(式(a-1)中、Aは下記一般式(b-1)で示されるR~R12の内、2カ所を結合部位とする2価基を表す。Ar~Arは各々、相互に同一でも異なっていてもよく、下記一般式(b-1)で示されるR~R12の内、1カ所を結合部位とする1価基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。RおよびRは相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。mおよびnは0~2の整数を表し、pおよびqは0~4の整数を表す。また、mまたはnが0である場合、単結合としてAが窒素原子と結合していることを表す。mおよびnが1以上の整数である場合、Ar、Arおよびこれらの結合している窒素原子に隣接するベンゼン環、またはAr、Arおよびこれらの結合している窒素原子に隣接するベンゼン環は、窒素原子を介して、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、置換もしくは無置換のアミノ基、酸素原子または硫黄原子により結合して環を形成してもよい。pおよびqが2以上の整数である場合、同一のベンゼン環に複数個結合するRまたはRは相互に同一でも異なってもよく、また、置換した同一のベンゼン環に対して、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、置換もしくは無置換のアミノ基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。)
【0018】
【化2】
(式(b-1)中、R~R12は相互に同一でも異なっていてもよく、結合部位としての連結基、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。Xは炭素原子または窒素原子を表す。Yは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれるいずれかを表す。但し、Xが炭素原子かつYが酸素原子の場合、Xが炭素原子かつYが硫黄原子である場合、またはXが窒素原子かつYが窒素原子である場合、YはR12を有さないものとする。)
【0019】
2)前記第1電極が陰極であり、
前記第2電極が陽極であり、
前記有機層が正孔輸送層と発光層と電子輸送層とを少なくとも含み、
前記陽極、前記正孔輸送層、前記発光層、前記電子輸送層、前記陰極および前記キャッピング層をこの順に有することを特徴とする上記1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0020】
3)前記一般式(b-1)が、下記一般式(b-2)、(b-3)または(b-4)であることを特徴とする上記1)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0021】
【化3】
(式(b-2)、(b-3)または(b-4)中、R13~R21は相互に同一でも異なっていてもよく、結合部位としての連結基、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0022】
4)前記一般式(b-1)が、下記一般式(b-5)、(b-6)または(b-7)であることを特徴とする上記1)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0023】
【化4】
(式(b-5)、(b-6)または(b-7)中、R22~R26は相互に同一でも異なっていてもよく、結合部位としての連結基、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0024】
5)前記一般式(b-1)が、下記一般式(b-8)、(b-9)または(b-10)であることを特徴とする上記1)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0025】
【化5】
(式(b-8)、(b-9)または(b-10)中、R27~R30は相互に同一でも異なっていてもよく、結合部位としての連結基、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
【0026】
6)前記mと前記nの合計が、0、1または2であることを特徴とする上記1)~上記5)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0027】
7)前記一般式(a-1)における-NArArと-NArArの二つのアミノ基骨格が、同一であることを特徴とする上記1)~上記6)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0028】
8)前記ジアミン化合物は、濃度10-5mol/Lの吸収スペクトルにおける吸光度が、400nmから410nmの波長範囲で0.2以上であることを特徴とする上記1)~上記7)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0029】
9)前記キャッピング層の厚さが、30nm~120nmの範囲内であることを特徴とする、上記1)~上記8)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0030】
10)前記キャッピング層は、400nmおよび410nmの波長の光を透過させたときの屈折率が1.85以上である、上記1)~上記9)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0031】
11)前記キャッピング層は、波長400nmおよび410nmの光の消衰係数が0.2以上である上記1)~上記10)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
12)前記Rおよび前記Rが、水素原子である、上記1)~上記11)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0032】
本発明の有機EL素子は、高輝度で発光効率および電力効率が良好であり、しかも長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態の有機EL素子の一例を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本実施形態の目的は、有機EL素子の素子特性を改善することである。特に、太陽光の波長400nmから410nmの光を吸光し、素子内部の材料に影響を与えない有機EL素子とする。また、本実施形態の目的は、有機EL素子における光の取り出し効率を大幅に改善する。さらに、本実施形態の目的は、(1)吸光係数が高く、(2)屈折率が高く、(3)薄膜の安定性が良好であり、(4)耐久性に優れている、(5)耐光性に優れている、(6)青、緑、および赤色それぞれの波長領域において吸収を持たない材料から構成されるキャッピング層を備えた有機EL素子を提供することにある。
【0035】
キャッピング層に適した物理的な特性としては、(1)吸光係数が高いこと、(2)屈折率が高いこと、(3)蒸着が可能であること、(4)薄膜状態が安定であること、(5)ガラス転移温度が高いことを挙げることができる。
また、有機EL素子に適した物理的な特性としては、(1)400nmから410nmの光を吸収すること、(2)光の取り出し効率が高いこと、(3)色純度の低下が無いこと、(4)経時変化することなく光を透過すること、(5)長寿命であることをあげることができる。
【0036】
「有機EL素子」
本実施形態の有機EL素子は、第1電極と第2電極との間に発光層を含む有機層を有し、第1電極の有機層と反対側の面にキャッピング層が積層されたものである。
有機層は、発光層を含むものであり、発光層のみであってもよいし、発光層と、その他の有機層とが積層された積層構造を有するものであってもよい。有機層は、機能分離型構造の方が発光効率を向上させることが可能であるため、正孔輸送層と電子輸送層との間に発光層が配置されたものであることが好ましい。
【0037】
第1電極は、陽極または陰極である。第2電極は、第1電極が陽極である場合には陰極であり、第1電極が陰極である場合には陽極である。
キャッピング層は、第1電極の有機層と反対側の面だけでなく、第2電極の有機層と反対側の面にも設けられていてもよい。
キャッピング層に接して配置される第1電極は、透明または半透明である。このため、光の取り出し効率の高い有機EL素子となる。また、第2電極の有機層と反対側の面にもキャッピング層が設けられている場合、キャッピング層に接して配置される第2電極は、光の取り出し効率が高い有機EL素子となるため、透明または半透明であることが好ましい。第1電極および/または第2電極に用いられる透明または半透明の材料としては、例えば、MgAg合金などが挙げられる。
【0038】
本実施形態の有機EL素子の構造としては、例えば、トップエミッション構造の発光素子の場合、ガラス基板上に順次、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極およびキャッピング層が設けられた多層構造が挙げられる。さらに、陽極と正孔輸送層の間に正孔注入層を有するもの、正孔輸送層と発光層の間に電子阻止層を有するもの、発光層と電子輸送層の間に正孔阻止層を有するもの、電子輸送層と陰極の間に電子注入層を有するものが挙げられる。
【0039】
図1は、本実施形態の有機EL素子の一例を示した概略断面図である。図1に示す有機EL素子は、ガラス基板1上に、陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、陰極8、キャッピング層9が、この順に積層されたトップエミッション構造のものである。図1に示す有機EL素子では、第1電極が陰極8であり、第2電極が陽極である。また、図1に示す有機EL素子では、有機層が、正孔輸送層4と発光層5と電子輸送層6とを含む。
【0040】
これらの多層構造においては、有機層を何層か省略あるいは兼ねることが可能である。例えば、正孔注入層と正孔輸送層を兼ねた構成、正孔輸送層と電子阻止層を兼ねた構成、正孔阻止層と電子輸送層を兼ねた構成、電子輸送層と電子注入層を兼ねた構成とすること、などもできる。また、同一の機能を有する有機層を2層以上積層した構成とすることも可能である。例えば、正孔輸送層を2層積層した構成、発光層を2層積層した構成、電子輸送層を2層積層した構成、キャッピング層を2層積層した構成、などもできる。
【0041】
有機EL素子の各層の膜厚の合計は、200nm~750nm程度が好ましく、350nm~600nm程度がより好ましい。
【0042】
図1に示す有機EL素子におけるキャッピング層9は、ベンゾアゾール環構造を有する前記一般式(a-1)で表されるジアミン化合物を含有する。図1に示す有機EL素子において、キャッピング層9の他の層に使用する材料には特に制限はない。以下、有機EL素子の各層の材料について具体的に例を挙げて説明するが、各層の材料は、これらに限定されない。
【0043】
「キャッピング層」
本実施形態の有機EL素子において、前記キャッピング層の厚さは、30nmから120nmの範囲であることが好ましく、40nmから80nmの範囲であることがより好ましい。キャッピング層の厚さが30nm以上であると、キャッピング層を有することによる効果が顕著となるため好ましい。キャッピング層の厚さが120nm以下であると、キャッピング層の厚みが、有機EL素子の薄膜化に支障を来すことを抑制できるため好ましい。キャッピング層の膜厚が30nm~120nmである場合、良好な光の取り出し効率が得られる。
なお、キャッピング層の膜厚は、発光層に使用する発光材料の種類、キャッピング層以外の有機EL素子の各層の厚さなどに応じて、適宜変更することができる。
【0044】
本実施形態の有機EL素子においては、キャッピング層の屈折率が、該キャッピング層を透過する光の波長が450nm~750nmの範囲内において、1.85以上であることが好ましく、1.90以上であることがより好ましい。
キャッピング層の屈折率は、有機EL素子の光の取り出し効率の向上に関する指標となる。
【0045】
キャッピング層の屈折率は、隣接する電極の屈折率よりも大きいことが好ましい。即ち、キャッピング層によって、有機EL素子における光の取り出し効率は向上する。その効果は、キャッピング層とキャッピング層に接している材料との界面での反射率が大きい方が、光干渉の効果が大きいために有効である。そのため、キャッピング層の屈折率は、隣接する電極の屈折率よりも大きい方が好ましく、波長400nmおよび410nmの光の屈折率が1.70以上あることが好ましく、1.80以上がより好ましく、1.85以上であることが特に好ましい。
【0046】
本実施形態の有機EL素子のキャッピング層は、特に波長400nmおよび410nmの光を透過させたときの屈折率が2.10~3.00であることが好ましい。波長400nmおよび410nmの光を透過させたときの屈折率が2.10以上であるキャッピング層を有する有機EL素子は、光の取り出し効率が高く、高輝度で発光効率および電力効率が良好なものとなるため好ましい。
【0047】
また、本実施形態の有機EL素子のキャッピング層は、波長400nmおよび410nmの光の消衰係数が0.2~1.50であることが好ましい。波長400nmおよび410nmの光の消衰係数が0.2以上であるキャッピング層は、波長400nmおよび410nmの光を吸収する機能が良好である。したがって、上記消衰係数が0.2以上であるキャッピング層を備える有機EL素子は、耐光性が良好で色純度を長期にわたって保持できる。その結果、この有機EL素子は、輝度の劣化が抑制された寿命の長いものとなる。
【0048】
また、本実施形態の有機EL素子に備えられているキャッピング層は、1層の薄膜のみで形成されたものであってもよいし、材料の異なる2種類以上の薄膜が積層されたものであってもよい。
また、キャッピング層は、1種類の材料のみで形成されたものであってもよいし、2種類以上の材料を混合して含むものであっても良い。
【0049】
本実施形態の有機EL素子のキャッピング層は、ベンゾアゾール環構造を有する前記一般式(a-1)で表されるジアミン化合物を含有する。
上記ジアミン化合物は、蒸着法により成膜形成できる。また、上記ジアミン化合物は、蒸着法の他に、スピンコート法および/またはインクジェット法などの公知の方法によっても薄膜形成できる。
キャッピング層としては、上記ジアミン化合物を単独で成膜したものを用いてもよいし、他の材料と共に混合して成膜した単層を使用してもよい。キャッピング層は、上記ジアミン化合物を単独で成膜した層同士を複数積層した構造、他の材料と共に混合して成膜した層同士を複数積層した構造、または単独で成膜した層と混合して成膜した層とを積層した構造としてもよい。
【0050】
「一般式(a-1)で表される化合物」
本実施形態の有機EL素子に備えられているキャッピング層は、ベンゾアゾール環構造を有する上記一般式(a-1)で表されるジアミン化合物を含有する。
【0051】
一般式(a-1)で表されるジアミン化合物は、-NArArと-NArArの二つのアミノ基骨格を有している。しかも、一般式(a-1)で表されるジアミン化合物は、式中のAが式(b-1)で示されるベンゾアゾール環構造を有している。または、Ar~Arのうちいずれか1つ以上およびAが、式(b-1)で示されるベンゾアゾール環構造を有している。このため、一般式(a-1)で表されるジアミン化合物は、波長400nmから410nmの光の吸光度が高いものであり、波長400nmおよび410nmの光を透過させたときの屈折率および消衰係数の高い薄膜を形成できる。したがって、一般式(a-1)で表されるジアミン化合物を含有するキャッピング層を備える本実施形態の有機EL素子は、高輝度で発光効率および電力効率が良好で長寿命である。
【0052】
なお、上記一般式(a-1)で表されるジアミン化合物の有する二つのアミノ基骨格(-NArArおよび-NArAr)は、両方とも「-NH」で表されるアミノ基ではない。-NArArおよび-NArArは、それぞれ、第二級アミンから水素を1つ除去した「-NRR´(RおよびR´は置換基を示す。)」で表されるアミノ基骨格を有する。-NArArおよび-NArArの有する「-NRR´」で表されるアミノ基骨格は、-Nと、-Rおよび/または-R´とが環を形成しているものであってもよい。
【0053】
一般式(a-1)中のArからArで表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、およびカルボリニル基などの他に、炭素数6~30からなるアリール基、または炭素数2~20からなるヘテロアリール基などから選択される。
【0054】
一般式(a-1)中のArからArで表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのシリル基;メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基の他に、炭素数6~30からなるアリール基、または炭素数2~20からなるヘテロアリール基などをあげることができる。これらの置換基は、さらに、前記例示した置換基により置換されていても良い。また、これらの置換基と置換したベンゼン環、または同一のベンゼン環に複数置換された置換基同士が、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、置換もしくは無置換のアミノ基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0055】
一般式(a-1)、(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)、(b-5)、(b-6)、(b-7)、(b-8)、(b-9)および(b-10)中のRからR30で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基および2-ブテニル基などをあげることができる。これらの基同士は置換した同一のベンゼン環に対して、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、置換もしくは無置換のアミノ基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0056】
一般式(a-1)、(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)、(b-5)、(b-6)、(b-7)、(b-8)、(b-9)および(b-10)中のRからR30で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」における「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「アリールオキシ基」としては、具体的に、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n-プロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1-アダマンチルオキシ基、2-アダマンチルオキシ基、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基、フルオレニルオキシ基、およびビフェニルオキシ基などをあげることができる。これらの基同士は置換した同一のベンゼン環に対して、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、置換もしくは無置換のアミノ基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0057】
一般式(a-1)、(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)、(b-5)、(b-6)、(b-7)、(b-8)、(b-9)および(b-10)中のRからR30で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、上記一般式(a-1)中のArからArで表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0058】
一般式(a-1)、(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)、(b-5)、(b-6)、(b-7)、(b-8)、(b-9)および(b-10)中のRからR30で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、「置換アリールオキシ基」、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」、または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、上記一般式(a-1)中のArからArで表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0059】
一般式(a-1)で表されるジアミン化合物としては、前記一般式(a-1)における-NArArと-NArArの二つのアミノ基骨格は同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。-NArArと-NArArの二つのアミノ基骨格が同じである場合、合成が容易であるため好ましい。
【0060】
前記一般式(a-1)におけるArからArの内、少なくとも2個所は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基またはビフェニル基がより好ましい。
一般式(a-1)に含まれる二つのアミノ基骨格(-NArArと-NArAr)における置換基Ar~Arの全てが、無置換のフェニル基またはビフェニル基であることが好ましい。
【0061】
前記一般式(a-1)におけるmとnの合計は2以下(0、1または2)であることが好ましく、1以下(0または1)であることがより好ましく、mとnが共に0であることが最も好ましい。
【0062】
一般式(a-1)で表されるジアミン化合物は、Aとしての式(b-1)で示されるベンゾアゾール環構造におけるXが炭素または窒素であり、Yが酸素または窒素であることが好ましい。さらに、Xが窒素である場合、Yも窒素であることがより好ましい。また、Xが炭素である場合、Yが酸素であることがより好ましい。式(a-1)中のAとしての式(b-1)におけるXが炭素であってYが酸素である場合、消衰係数が0.2以上であり、かつ吸光度が大きいため、これを含むキャッピング層を有する有機EL素子は、より光取り出し効率が向上する効果が得られる。
【0063】
本実施形態の有機EL素子に好適に用いられる、ベンゾアゾール環構造を有する前記一般式(a-1)で表されるジアミン化合物の中で、好ましい化合物の具体例として、式(1)~(103)で表される化合物を以下に示す。なお、一般式(a-1)で表される化合物は、式(1)~(103)で表される化合物に限定されるものではない。
【0064】
【化6】
【0065】
【化7】
【0066】
【化8】
【0067】
【化9】
【0068】
【化10】
【0069】
【化11】
【0070】
【化12】
【0071】
【化13】
【0072】
【化14】
【0073】
【化15】
【0074】
【化16】
【0075】
【化17】
【0076】
【化18】
【0077】
キャッピング層の材料としては、式(1)~(103)で示される化合物の中でも、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物から選ばれるいずれか1種または2種以上を用いることが好ましい。
これらの化合物は、濃度10-5mol/Lでの波長400nm~410nmにおける吸光度が0.2以上であり、波長400nm~410nmの光を吸収する機能が良好である。
【0078】
また、これらの化合物を蒸着して形成した厚みが30nm~120nmの蒸着膜は、波長400nmおよび410nmの光を透過させたときの屈折率が2.10~3.00であり、消衰係数が0.2~1.50である膜となる。
したがって、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物から選ばれるいずれか1種または2種以上をキャッピング層の材料として用いることで、より一層、高輝度で発光効率および電力効率が良好であり、より長寿命である有機EL素子が得られる。
【0079】
一般式(a-1)で表される化合物としては、ガラス転移点(Tg)が、100℃以上であるものが好ましい。化合物のガラス転移点(Tg)は、薄膜状態の安定性の指標となる。化合物のガラス転移点(Tg)が100℃以上であると、安定性の良好な薄膜を形成できるため、キャッピング層の材料として好ましい。安定性の良好なキャッピング層を備える有機EL素子は、寿命が長く、好ましい。
【0080】
本実施形態における一般式(a-1)で表される化合物の融点およびガラス転移点(Tg)は、化合物の粉体を用いて高感度示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス製、DSC3100SA)によって測定して得たものである。
【0081】
一般式(a-1)で表される化合物としては、濃度10-5mol/Lでの波長400nm~410nmにおける吸光度が0.2~1.5であるものが好ましく、波長400nmにおける吸光度が0.6~1.5であるものがより好ましい。波長400nm~410nmにおける吸光度が0.2以上である化合物を含むキャッピング層は、波長400nmおよび410nmの光を吸収する機能が良好である。したがって、上記吸光度が0.2以上である化合物を含むキャッピング層を備える有機EL素子は、耐光性が良好で寿命の長いものとなる。
【0082】
一般式(a-1)で表される化合物の吸光度は、トルエン溶媒で濃度10-5mol/Lに調節し、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製、V -650)を用いて測定したものである。
【0083】
一般式(a-1)で表される化合物としては、吸光係数が80000~200000の範囲であるものが好ましい。化合物の吸光係数が上記範囲であると、光を吸収する機能の良好な薄膜を形成できるため、キャッピング層の材料として好ましい。
【0084】
一般式(a-1)で表される化合物の吸光係数は、以下に示す方法により求めた。まず、トルエン溶液で、5.0×10-6mol/L、1.0×10-5mol/L、1.5×10-5mol/L、2.0×10-5mol/Lの4種類の濃度に調節した化合物のサンプルを作成する。次に、各サンプルのピーク波長における吸光度を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製、V-650)を用いて測定する。その結果を用いて検量線を作成し、化合物の吸光係数を算出する。
【0085】
「一般式(a-1)で表される化合物の製造方法」
ベンゾアゾール環構造を有する一般式(a-1)で表されるジアミン化合物は、例えば、以下に示す方法により製造できる。
まず、式(b-1)で示されるベンゾアゾール環構造を形成するために、原料として用いるハロゲン化ベンゾアゾール誘導体を製造する。式(b-1)で示されるベンゾアゾール環構造に対応する構造を有するハロゲン化ベンゾアゾール誘導体は、例えば、それ自体公知の手法により合成できる(例えば、非特許文献4参照、非特許文献5参照)。
【0086】
以下に示す反応式において、X、X’およびX’’はいずれもハロゲンである。また、-N(Ar’)および-N(Ar’’)は、一般式(a-1)における-NArArまたは-NArArである。
【0087】
【化19】
【0088】
更に、合成したハロゲン化ベンゾアゾール誘導体と、例えばアリールアミンとを、銅触媒および/またはパラジウム触媒などを用いてカップリング反応させる。このことにより、ベンゾアゾール環構造を有する一般式(a-1)で表されるジアミン化合物を合成できる。
また、ハロゲン化ベンゾアゾール誘導体に代えて、ボロン酸誘導体、またはボロン酸エステル誘導体を用いて、ハロゲン化アリールアミンとカップリング反応させることにより、同様にしてベンゾアゾール環構造を有する一般式(a-1)で表されるジアミン化合物を合成できる(例えば、非特許文献6、7参照)。
【0089】
このようにして合成した一般式(a-1)で表される化合物は、カラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土等による吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法、昇華精製法などによって精製してから用いることが好ましい。
合成した一般式(a-1)で表される化合物の同定は、核磁気共鳴(NMR)分析にて行なうことができる。
【0090】
「陽極」
本実施形態の有機EL素子では、ガラス基板上に陽極が設けられている。陽極の材料としては、ITO(酸化インジウムスズ)や金のような仕事関数の大きな電極材料が用いられる。
陽極の製造方法としては、蒸着法など、公知の方法を用いることができる。
【0091】
「有機層」
本実施形態では、有機層として、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層が、この順で積層されたものを有する場合を例に挙げて説明する。
【0092】
(正孔注入層)
本実施形態の有機EL素子の正孔注入層の材料としては、分子中にトリフェニルアミン構造を3個以上、単結合またはヘテロ原子を含まない2価基で連結した構造を有するアリールアミン化合物、例えば、スターバースト型のトリフェニルアミン誘導体、種々のトリフェニルアミン4量体などの材料や銅フタロシアニンに代表されるポルフィリン化合物、ヘキサシアノアザトリフェニレンのようなアクセプター性の複素環化合物や塗布型の高分子材料を用いることができる。
【0093】
正孔注入層としては、これらの材料を単独で成膜したものを用いてもよいし、2種以上の材料を混合して成膜した単層を使用してもよい。正孔注入層は、上記の材料を単独で成膜した層同士を複数積層した構造、他の材料と共に混合して成膜した層同士を複数積層した構造、または単独で成膜した層と混合して成膜した層とを積層した構造としてもよい。
これらの材料は、蒸着法によって薄膜形成を行ってもよいし、蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行ってもよい。
【0094】
(正孔輸送層)
本実施形態の有機EL素子の正孔輸送層の材料としては、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)ベンジジン(以後、TPDと略称する)やN,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(α-ナフチル)ベンジジン(以後、NPDと略称する)、N,N,N’,N’-テトラビフェニリルベンジジンなどのベンジジン誘導体、1,1-ビス[4-(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(以後、TAPCと略称する)などを用いることが好ましい。正孔輸送層の材料としては、特に分子中にトリフェニルアミン構造を2個、単結合またはヘテロ原子を含まない2価基で連結した構造を有するアリールアミン化合物、例えば、N、N、N’、N’-テトラビフェニリルベンジジンなどを用いるのが好ましい。また、正孔輸送層の材料としては、分子中にトリフェニルアミン構造を3個以上、単結合、またはヘテロ原子を含まない2価基で連結した構造を有するアリールアミン化合物、例えば、種々のトリフェニルアミン3量体および4量体などを用いるのが好ましい。
【0095】
正孔輸送層としては、これらの材料を単独で成膜したものを用いても良いし、2種以上の材料を混合して成膜した単層を使用しても良い。正孔輸送層は、上記の材料を単独で成膜した層同士を複数積層した構造、他の材料と共に混合して成膜した層同士を複数積層した構造、または単独で成膜した層と混合して成膜した層とを積層した構造としてもよい。
これらの材料は蒸着法によって薄膜形成を行ってもよいし、蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行ってもよい。
【0096】
また、正孔注入層および正孔輸送層の材料としては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(以後、PEDOTと略称する)/ポリ(スチレンスルフォネート)(以後、PSSと略称する)などの塗布型の高分子材料を用いてもよい。
【0097】
また、正孔注入層あるいは正孔輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにトリスブロモフェニルアミンヘキサクロルアンチモン、ラジアレン誘導体(例えば、特許文献3参照)などをPドーピングしたものや、TPDなどのベンジジン誘導体の構造をその部分構造に有する高分子化合物などを用いてもよい。
【0098】
(電子阻止層)
本実施形態の有機EL素子の電子阻止層の材料としては、4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(以後、TCTAと略称する)、9,9-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]フルオレン、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(以後、mCPと略称する)、2,2-ビス(4-カルバゾール-9-イルーフェニル)アダマンタン(以後、Ad-Czと略称する)などのカルバゾール誘導体、9-[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-9-[4-(トリフェニルシリル)フェニル]-9H-フルオレンに代表されるトリフェニルシリル基とトリアリールアミン構造を有する化合物などの電子阻止作用を有する化合物を用いることができる。
【0099】
電子阻止層としては、これらの材料を単独で成膜したものを用いても良いし、2種類以上の材料を混合して成膜した単層を使用しても良い。電子阻止層は、上記の材料を単独で成膜した層同士を複数積層した構造、他の材料と共に混合して成膜した層同士を複数積層した構造、または単独で成膜した層と混合して成膜した層とを積層した構造としてもよい。
これらの材料は蒸着法によって薄膜形成を行ってもよいし、蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行ってもよい。
【0100】
(発光層)
本実施形態の有機EL素子の発光層の材料としては、Alqをはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体の他、各種の金属錯体、アントラセン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体などを用いることができる。
【0101】
また、発光層は、ホスト材料とドーパント材料とで構成してもよい。ホスト材料としては、アントラセン誘導体が好ましく用いられる。そのほか、ホスト材料としては、前記発光材料に加え、インドール環を縮合環の部分構造として有する複素環化合物、カルバゾール環を縮合環の部分構造として有する複素環化合物、カルバゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体などを用いることができる。また、ドーパント材料としては、キナクリドン、クマリン、ルブレン、ペリレンおよびそれらの誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、アミノスチリル誘導体などを用いることができる。
【0102】
発光層としては、これらの材料を単独で成膜したものを用いてもよいし、2種類以上の材料を混合して成膜した単層を使用してもよい。発光層は、上記の材料を単独で成膜した層同士を複数積層した構造、他の材料と共に混合して成膜した層同士を複数積層した構造、または単独で成膜した層と混合して成膜した層とを積層した構造としてもよい。
【0103】
また、発光材料として燐光発光体を使用することも可能である。燐光発光体としては、イリジウムや白金などの金属錯体の燐光発光体を使用することができる。例えば、Ir(ppy)などの緑色の燐光発光体、ビス(3,5-ジフルオロ-2-(2-ピリジルフェニル-(2-カルボキシピリジル)イリジウム(III)(FIrpic)、ビス(2,4-ジフルオロフェニルピリジナート)-テトラキス(1-ピラゾリル)ボレートイリジウム(III)(FIr6)などの青色の燐光発光体、ビス(2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-ピリジン)(アセチルアセトナート)イリジウム(III)(BtpIr(acac))などの赤色の燐光発光体などを用いることができる。
【0104】
このときのホスト材料としては、正孔注入・輸送性のホスト材料として4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(以後、CBPと略称する)やTCTA、mCPなどのカルバゾール誘導体を用いることができる。電子輸送性のホスト材料として、p-ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(以後、UGH2と略称する)や2,2’,2’’-(1,3,5-フェニレン)-トリス(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール)(以後、TPBIと略称する)などを用いることができ、高性能の有機EL素子を作製することができる。
【0105】
燐光性の発光材料のホスト材料へのドープは、濃度消光を避けるため、発光層全体に対して1~30重量パーセントの範囲で、共蒸着によってドープすることが好ましい。
【0106】
また、発光材料として、2-ビフェニル-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(PIC-TRZ)、2,4-ビス(f3-(9H-カルバゾール-9-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(CC2TA)、2,4,6-トリ(4-(10H-フェノキサジン-10H-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(PXZ-TRZ)、2,4,5,6-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル(4CzIPN)、カルバゾリルジシアノベンゼン(CDCB)誘導体などの遅延蛍光を放射する材料を使用することも可能である(例えば、非特許文献8参照)。
これらの発光材料は、蒸着法によって薄膜形成を行ってもよいし、蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行ってもよい。
【0107】
(正孔阻止層)
本実施形態の有機EL素子の正孔阻止層の材料としては、バソクプロイン(以後、BCPと省略する)などのフェナントロリン誘導体や、アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-キノリナート)-4-フェニルフェノレート(以後、BAlqと省略する)などのキノリノール誘導体の金属錯体、各種の希土類錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ベンゾアゾール誘導体など、正孔阻止作用を有する化合物を用いることができる。これらの材料は電子輸送層の材料を兼ねてもよい。
【0108】
正孔阻止層としては、これらの材料を単独で成膜したものを用いても良いし、2種類以上の材料を混合して成膜した単層を使用しても良い。正孔阻止層は、上記の材料を単独で成膜した層同士を複数積層した構造、他の材料と共に混合して成膜した層同士を複数積層した構造、または単独で成膜した層と混合して成膜した層とを積層した構造としてもよい。
これらの材料は蒸着法によって薄膜形成を行ってもよいし、蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行ってもよい。
【0109】
(電子輸送層)
本実施形態の有機EL素子の電子輸送層の材料としては、Alq、BAlqをはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体のほか、各種金属錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、アントラセン誘導体、カルボジイミド誘導体、キノキサリン誘導体、ピリドインドール誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体などを用いることができる。
【0110】
電子輸送層としては、これらの材料を単独で成膜したものを用いても良いし、2種類以上の材料を混合して成膜した単層を使用しても良い。電子輸送層は、上記の材料を単独で成膜した層同士を複数積層した構造、他の材料と共に混合して成膜した層同士を複数積層した構造、または単独で成膜した層と混合して成膜した層とを積層した構造としてもよい。
これらの材料は蒸着法によって薄膜形成を行ってもよいし、蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行ってもよい。
【0111】
(電子注入層)
本実施形態の有機EL素子の電子注入層の材料としては、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属塩、フッ化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、リチウムキノリノールなどのキノリノール誘導体の金属錯体、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、あるいはイッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)などの金属などを用いることができる。
電子注入層は、電子輸送層と陰極の好ましい選択においては、これを省略することができる。
【0112】
さらに、電子注入層あるいは電子輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにセシウムなどの金属をNドーピングしたものを用いることができる。
電子注入層の製造方法としては、蒸着法など、公知の方法を用いることができる。
【0113】
「陰極」
本実施形態の有機EL素子の陰極の材料としては、アルミニウムのような仕事関数の低い電極材料や、マグネシウム銀合金、マグネシウムカルシウム合金、マグネシウムインジウム合金、アルミニウムマグネシウム合金のような、より仕事関数の低い合金やITO、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる透明電極材料(IZO)などが用いられる。
本実施形態の有機EL素子では、キャッピング層に接して配置される第1電極が陰極である。したがって、陰極は、光の取り出し効率が高い有機EL素子とするために、透明または半透明であることが好ましい。
陰極の製造方法としては、蒸着法など、公知の方法を用いることができる。
【0114】
本実施形態の有機EL素子は、トップエミッション構造であって、透明または半透明電極の外側に設けた、半透明電極よりも屈折率の高いキャッピング層を有する。このことにより、本実施形態の有機EL素子では、光の取り出し効率を大幅に向上できる。また、キャッピング層に、前記一般式(a-1)で表されるベンゾアゾール環構造を有するジアミン化合物を使用することによって、400℃以下の温度で成膜できる。よって、発光素子にダメージを与えることなく、また、高精細マスクを用いて各色の光の取り出し効率を最適化したキャッピング層を形成できる。したがって、本実施形態の有機EL素子は、フルカラーディスプレイに好適に適用でき、色純度が良く鮮明で明るい画像を表示できる。
【0115】
本実施形態の有機EL素子は、キャッピング層の材料として、吸光係数が高く、屈折率が高く、薄膜の安定性および耐久性、耐光性に優れた有機EL素子用の材料を用いている。このため、本実施形態の有機EL素子は、従来の有機EL素子に比べて、太陽光の影響を受けず、色純度を保持し、光の取り出し効率の大幅な向上を可能とした。更に、本実施形態の有機EL素子によって、高効率、長寿命の有機EL素子を実現することが可能となった。
【0116】
なお、上記では、トップエミッション構造の有機EL素子について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、ボトムエミッション構造の有機EL素子、および、上部および底部の両方から発光するデュアルエミッション構造の有機EL素子についても、同様に適用できる。これらの構造の有機EL素子の場合、光が発光素子から外部に取り出される方向にある電極は、透明または半透明であることが好ましい。
【0117】
「有機EL素子の製造方法」
本実施形態の有機EL素子の製造方法は、第1電極と第2電極との間に発光層を含む有機層を形成する工程と、第1電極の有機層と反対側の面にキャッピング層を積層する工程とを有する。
本実施形態では、キャッピング層を、ベンゾアゾール環構造を有する一般式(a-1)で表されるジアミン化合物を用いて形成する。キャッピング層を積層する方法としては、厚みがナノ単位の薄膜を量産するのに適した方法であるため、蒸着法を用いることが好ましい。
【0118】
以下、本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明する。本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0119】
「実施例1」
式(7)で示される化合物<6-(ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)-2-{4-(ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)-フェニル}-ベンゾオキサゾール>の合成
【0120】
窒素置換した反応容器に、6-ブロモ-2-(4-ブロモ-フェニル)-ベンゾオキサゾール:7.0g、ビス-(ビフェニル-4-イル)-アミン:14.0g、t-ブトキシナトリウム:5.7g、トルエン:140mLを加えて、30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。反応容器にさらに、酢酸パラジウム:0.2g、トリ(t-ブチル)ホスフィン:0.4gを加えて加熱還流下にて3時間撹拌した。反応容器を放冷した後、濾過および減圧下濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をトルエン/アセトン混合溶媒で再晶析精製し、6-(ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)-2-{4-(ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(式(7)で示される化合物)の黄色粉体:15.0g(収率91%)を得た。
【0121】
【化20】
【0122】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H-NMR(DMSO-d)で以下の43個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.06(2H)、7.77-7.61(17H)、7.51-7.41(9H)、7.40-7.24(8H)、7.21-7.12(7H)。
【0123】
「実施例2」
式(22)で示される化合物<6-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-2-[4-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-フェニル]-ベンゾオキサゾール>の合成
【0124】
窒素置換した反応容器に、6-ブロモ-2-(4-ブロモ-フェニル)-ベンゾオキサゾール:7.0g、(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミン:12.5g、t-ブトキシナトリウム:5.7g、トルエン:140mLを加えて30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。反応容器にさらに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0):0.5g、トリ(t-ブチル)ホスフィン:0.4gを加えて加熱還流下にて12時間撹拌した。反応容器を放冷した後、濾過および減圧下濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をトルエン/アセトン混合溶媒で再晶析精製し、6-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-2-[4-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-フェニル]-ベンゾオキサゾール(式(22)で示される化合物)の黄色粉体:9.0g(収率59%)を得た。
【0125】
【化21】
【0126】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H-NMR(DMSO-d)で以下の33個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.15(2H)、8.10(2H)、8.06(2H)、7.81-7.69(5H)、7.57(1H)、7.51-7.36(8H)、7.36-7.17(11H)、7.06(2H)。
【0127】
「実施例3」
式(79)で示される化合物<5-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-2-{4-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-フェニル}-ベンゾオキサゾール>の合成
【0128】
窒素置換した反応容器に、5-ブロモ-2-(4-ブロモ-フェニル)-ベンゾオキサゾール:7.0g、ビフェニル-4-イル-フェニル-アミン:10.7g、t-ブトキシナトリウム:5.7g、トルエン:110mLを加えて30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。反応容器にさらに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0):0.5g、トリ(t-ブチル)ホスフィン:0.5gを加えて加熱還流下にて7時間撹拌した。反応容器を放冷した後、濾過および減圧下濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をトルエン/アセトン混合溶媒で再晶析精製し、5-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-2-{4-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(式(79)で示される化合物)の黄色粉体:7.8g(収率56%)を得た。
【0129】
【化22】
【0130】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H-NMR(DMSO-d)で以下の35個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.06(2H)、7.71(3H)、7.68(2H)、7.62(4H)、7.44(7H)、7.34(4H)、7.24(5H)、7.08(8H)。
【0131】
「実施例4」
式(93)で示される化合物<5-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-2-[4-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-フェニル]-ベンゾオキサゾール>の合成
【0132】
窒素置換した反応容器に、5-ブロモ-2-(4-ブロモ-フェニル)-ベンゾオキサゾール:6.0g、(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミン:10.7g、t-ブトキシナトリウム:4.9g、トルエン:110mLを加えて30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。反応容器にさらに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0):0.5g、トリ(t-ブチル)ホスフィン:0.4gを加えて加熱還流下にて7時間撹拌した。反応容器を放冷した後、濾過および減圧下濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をトルエン溶媒で再晶析精製し、5-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-2-[4-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-フェニル]-ベンゾオキサゾール(式(93)で示される化合物)の黄色粉体:6.0g(収率46%)を得た。
【0133】
【化23】
【0134】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H-NMR(DMSO-d)で以下の33個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.15(4H)、8.05(2H)、7.82(1H)、7.78(2H)、7.74(2H)、7.61(1H)、7.52-7.34(8H)、7.34-7.17(11H)、7.01(2H)。
【0135】
「実施例5」
式(97)で示される化合物<4-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-2-{4-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-フェニル}-ベンゾオキサゾール>の合成
【0136】
窒素置換した反応容器に、4-ブロモ-2-(4-ブロモ-フェニル)-ベンゾオキサゾール:7.0g、ビフェニル-4-イル-フェニル-アミン:10.7g、t-ブトキシナトリウム:5.7g、トルエン:110mLを加えて30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。反応容器にさらに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0):0.5g、トリ(t-ブチル)ホスフィン:0.5gを加えて加熱還流下にて4時間撹拌した。反応容器を放冷した後、濾過および減圧下濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をカラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:n-ヘプタン/トルエン)を用いて精製し、4-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-2-{4-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(式(97)で示される化合物)の黄色粉体:11.9g(収率88%)を得た。
【0137】
【化24】
【0138】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H-NMR(DMSO-d)で以下の35個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.86(2H)、7.69(2H)、7.65(3H)、7.61(2H)、7.56(2H)、7.51-7.26(11H)、7.17(5H)、7.06(8H)。
【0139】
「実施例6」
式(99)で示される化合物<4-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-2-[4-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-フェニル]-ベンゾオキサゾール>の合成
【0140】
窒素置換した反応容器に、4-ブロモ-2-(4-ブロモ-フェニル)-ベンゾオキサゾール:6.0g、(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミン:10.7g、t-ブトキシナトリウム:4.9g、トルエン:110mLを加えて30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。反応容器にさらに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0):0.5g、トリ(t-ブチル)ホスフィン:0.4gを加えて加熱還流下にて4時間撹拌した。反応容器を放冷した後、濾過および減圧下濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をカラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/酢酸エチル)を用いて精製し、4-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-2-[4-{(4-ベンゾオキサゾール-2-イル-フェニル)-フェニル-アミノ}-フェニル]-ベンゾオキサゾール(式(99)で示される化合物)の黄色粉体:7.1g(収率55%)を得た。
【0141】
【化25】
【0142】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H-NMR(CDCl)で以下の33個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.09(4H)、7.92(2H)、7.73(2H)、7.54(2H)、7.42-7.20(12H)、7.21-7.07(11H)。
【0143】
「実施例7」
式(101)で示される化合物<5-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-2-{4-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-フェニル}-ベンゾトリアゾール>の合成
【0144】
窒素置換した反応容器に、5-ブロモ-2-(4-ブロモ-フェニル)-ベンゾトリアゾール:6.5g、ビフェニル-4-イル-フェニル-アミン:9.5g、t-ブトキシナトリウム:5.3g、トルエン:130mLを加えて30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。反応容器にさらに、酢酸パラジウム(II):0.1g、トリ(t-ブチル)ホスフィン:0.3gを加えて加熱還流下にて7時間撹拌した。反応容器を放冷した後、濾過および減圧下濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をトルエン溶媒で再晶析精製し、5-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-2-{4-(ビフェニル-4-イル-フェニル-アミノ)-フェニル}-ベンゾトリアゾール(式(101)で示される化合物)の黄色粉体:10.4g(収率83%)を得た。
【0145】
【化26】
【0146】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H-NMR(CDCl)で以下の35個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.19(2H)、7.82(1H)、7.63(4H)、7.57(4H)、7.50(1H)、7.47(4H)、7.41-7.19(17H)、7.15(2H)。
【0147】
参考例8」
式(102)で示される化合物<5-カルバゾール-9-イル-2-(4-カルバゾール-9-イル-フェニル)-ベンゾトリアゾール>の合成
【0148】
窒素置換した反応容器に、5-ブロモ-2-(4-ブロモ-フェニル)-ベンゾトリアゾール:6.5g、カルバゾール:6.5g、t-ブトキシナトリウム:5.3g、トルエン:130mLを加えて30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。反応容器にさらに、酢酸パラジウム:0.1g、トリ(t-ブチル)ホスフィン:0.3gを加えて加熱還流下にて一晩撹拌した。反応容器を放冷した後、濾過および減圧下濃縮して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をトルエン溶媒で再晶析精製し、5-カルバゾール-9-イル-2-(4-カルバゾール-9-イル-フェニル)-ベンゾトリアゾール(式(102)で示される化合物)の黄色粉体:4.7g(収率37%)を得た。
【0149】
【化27】
【0150】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H-NMR(CDCl)で以下の23個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.70(2H)、8.22(6H)、7.86(2H)、7.71(1H)、7.54(4H)、7.50(4H)、7.38(4H)。
【0151】
(化合物の融点およびガラス転移点(Tg)の測定)
実施例1~実施例7、参考例8において合成した式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物について、それぞれ高感度示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス製、DSC3100SA)を用いて、融点およびガラス転移点(Tg)を測定した。その結果を以下に示す。
【0152】
実施例1(式(7)の化合物) 融点;観測されず、Tg;138℃
実施例2(式(22)の化合物) 融点;観測されず、Tg;139℃
実施例3(式(79)の化合物) 融点;観測されず、Tg;104℃
実施例4(式(93)の化合物) 融点;観測されず、Tg;137℃
実施例5(式(97)の化合物) 融点;観測されず、Tg;106℃
実施例6(式(79)の化合物) 融点;観測されず、Tg;137℃
実施例7(式(101)の化合物)融点;観測されず、Tg;105℃
参考例8(式(102)の化合物)融点;232℃、Tg;115℃
【0153】
実施例1~実施例7、参考例8において合成した式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物は、いずれもガラス転移点(Tg)が100℃以上であり、安定性の良好な薄膜を形成できる材料であることが分かった。
【0154】
(化合物のピーク波長、吸光度および吸光係数の測定)
実施例1~実施例7、参考例8において合成した式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物について、それぞれトルエン溶媒で濃度10-5mol/Lに調節し、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製、V-650)を用いて、波長200~600nmの範囲における吸光度を測定し、ピーク波長を求めた。その結果を表1に示す。
【0155】
また、実施例1~実施例7、参考例8において合成した式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物について、それぞれトルエン溶媒で濃度10-5mol/Lに調節し、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製、V-650)を用いて、波長400nmおよび410nmにおける吸光度を測定した。その結果を表1に示す。
【0156】
また、実施例1~実施例7、参考例8において合成した式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物について、それぞれトルエン溶液で5.0×10-6mol/L、1.0×10-5mol/L、1.5×10-5mol/L、2.0×10-5mol/Lの4種類の濃度に調節したサンプルを作成した。各サンプルのピーク波長における吸光度を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光製、V-650)を用いて測定し、化合物毎に検量線を作成し、吸光係数を算出した。その結果を表1に示す。
【0157】
比較のために、下記式(2-1)で示される化合物およびAlqを用いて、式(7)で示される化合物と同様にして、それぞれのピーク波長、吸光度および吸光係数を測定した。
その結果を表1にまとめて示した。
【0158】
【化28】
【0159】
【表1】
【0160】
表1に示すように、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物のピーク波長は、式(2-1)で示される化合物およびAlqと同様に、400nm以下であった。このことから、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物は、青、緑および赤それぞれの波長領域における光を吸収しにくく、かつ波長400nmおよび410nmの光を吸収する薄膜の材料として使用できることが分かった。
【0161】
表1に示すように、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物は、式(2-1)で示される化合物およびAlqと比較して、吸光度の高いものであった。このことから、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物は、同じ濃度であれば式(2-1)で示される化合物およびAlqと比較して、波長400nmおよび410nmの光を吸収する機能が良好な薄膜を形成できる材料であることが分かった。
【0162】
また、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物は、式(2-1)で示される化合物およびAlqと比較して、吸光係数が大きいものであった。したがって、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物を用いることで、膜厚を厚膜化するほど、光を吸光する機能が顕著に高くなる膜を形成できる。
【0163】
(薄膜の屈折率および消衰係数の測定)
実施例1~実施例7、参考例8において合成した式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物をそれぞれ用いて、シリコン基板上に膜厚80nmの蒸着膜を作製した。
得られた蒸着膜について、それぞれ、分光測定装置(フィルメトリクス社製、F10-RT-UV)を用いて、400nmの光および410nmの光を、それぞれキャッピング層に透過させて、シリコン基板に反射させて得た反射光を測定し、キャッピング層の屈折率nおよび消衰係数kを求めた。その結果を表2に示す。
【0164】
比較のために、上記式(2-1)で示される化合物およびAlqをそれぞれ用いて、シリコン基板上に膜厚80nmの蒸着膜を作製し、式(7)で示される化合物の蒸着膜と同様にして、400nmの光および410nmの光を、それぞれキャッピング層に透過させて、シリコン基板に反射させて得た反射光を測定し、キャッピング層の屈折率nおよび消衰係数kを求めた(例えば、特許文献4参照)。その結果を表2にまとめて示した。
【0165】
【表2】
【0166】
表2に示すように、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物からなる薄膜は、屈折率nが、式(2-1)で示される化合物からなる薄膜と同等以上であり、Alqからなる薄膜と比較して高いものであった。
このことから、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物からなる薄膜をキャッピング層として用いることにより、有機EL素子における光の取出し効率の向上が期待できる。
【0167】
また、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物からなる薄膜は、式(2-1)で示される化合物およびAlqからなる薄膜と比較して、消衰係数kが高いものであった。
このことは、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物からなる薄膜を用いたキャッピング層が、太陽光の波長400nmから410nmの光をよく吸光し、素子内部の材料に影響を与えないことを示すものである。
【0168】
「実施例9」
以下に示す方法により、図1に示す有機EL素子を製造した。
金属からなる陽極2として反射電極をあらかじめ形成したガラス基板1上に、蒸着法により、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、陰極8、キャッピング層9を、この順に形成し、図1に示す有機EL素子を得た。
【0169】
具体的には、膜厚50nmのITO、膜厚100nmの銀合金の反射膜、膜厚5nmのITOを、陽極2として順に成膜したガラス基板1を用意した。ガラス基板1に、イソプロピルアルコール中にて超音波洗浄を20分間行った後、250℃に加熱したホットプレート上にて10分間乾燥を行った。その後、UVオゾン処理を2分間行った後、このITO付きガラス基板1を真空蒸着機内に取り付け、真空蒸着機内を0.001Pa以下まで減圧した。
【0170】
続いて、陽極2を覆うように正孔注入層3として、電子アクセプター(Acceptor-1)と下記式で示す化合物(3-1)を、蒸着速度比がAcceptor-1:化合物(3-1)=3:97となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚10nmとなるように形成した。
この正孔注入層3の上に、正孔輸送層4として化合物(3-1)を膜厚140nmとなるように形成した。
【0171】
この正孔輸送層4の上に、発光層5として下記式で示す化合物(3-2)と下記式で示す化合物(3-3)を、蒸着速度比が化合物(3-2):化合物(3-3)=5:95となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚20nmとなるように形成した。
【0172】
この発光層5の上に、電子輸送層6として下記式で示す化合物(3-4)と下記式で示す化合物(3-5)を、蒸着速度比が化合物(3-4):化合物(3-5)=50:50となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚30nmとなるように形成した。
【0173】
【化29】
【0174】
この電子輸送層6の上に、電子注入層7としてフッ化リチウムを膜厚1nmとなるように形成した。
この電子注入層7の上に、半透明の陰極8としてマグネシウム銀合金を膜厚12nmとなるように形成した。
【0175】
最後に、陰極8の上に、実施例1において合成した式(7)で示される化合物を蒸着することにより、膜厚60nmのキャッピング層9を形成し、実施例9の有機EL素子を得た。
【0176】
「実施例10」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、実施例2において合成した式(22)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例10の有機EL素子を得た。
【0177】
「実施例11」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、実施例3において合成した式(79)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例11の有機EL素子を得た。
【0178】
「実施例12」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、実施例4において合成した式(93)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例12の有機EL素子を得た。
【0179】
「実施例13」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、実施例5において合成した式(97)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例13の有機EL素子を得た。
【0180】
「実施例14」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、実施例6において合成した式(99)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例14の有機EL素子を得た。
【0181】
「実施例15」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、実施例7において合成した式(101)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例15の有機EL素子を得た。
【0182】
参考例16」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、参考例8において合成した式(102)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、参考例16の有機EL素子を得た。
【0183】
「比較例1」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、上記式(2-1)で示される化合物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、比較例1の有機EL素子を得た。
【0184】
「比較例2」
キャッピング層9の材料として、実施例1において合成した式(7)で示される化合物に代えて、Alqを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、比較例2の有機EL素子を得た。
【0185】
実施例9~実施例15、参考例16、比較例1、比較例2の有機EL素子について、それぞれ大気中、常温で特性測定を行った。
具体的には、各有機EL素子に直流電圧を印加したときの、電流密度10mA/cmでの駆動電圧、輝度、発光効率、電力効率を測定した。その結果を表3に示す。
【0186】
また、実施例9~実施例15、参考例16、比較例1、比較例2の有機EL素子について、それぞれ大気中、常温で10mA/cmの定電流駆動を行ない、初期輝度を100%とした時の輝度が95%に減衰するまでの時間を測定し、寿命(素子寿命)として評価した。その結果を表3に示す。
【0187】
【表3】
【0188】
表3に示すように、電流密度10mA/cmでの駆動電圧は、実施例9~実施例15、参考例16、比較例1、比較例2の有機EL素子において、ほぼ同等であった。
【0189】
表3に示すように、実施例9~実施例15、参考例16の有機EL素子は、比較例1、比較例2の有機EL素子と比較して、輝度、発光効率および電力効率が高かった。このことは、有機EL素子のキャッピング層の材料として、式(7)(22)(79)(93)(97)(99)(101)(102)で示される化合物を用いることで、式(2-1)で示される化合物およびAlqを用いた場合と比較して、光の取出し効率を大幅に改善できることを示している。
【0190】
また、実施例9~実施例15、参考例16の有機EL素子は、比較例1、比較例2の有機EL素子と比較して、長寿命であった。
特に、キャッピング層の材料として、式(97)で示される化合物を用いた実施例13の有機EL素子は、長寿命であった。
【産業上の利用可能性】
【0191】
以上のように、本発明の有機EL素子における、ベンゾアゾール環構造を有する一般式(a-1)で表されるジアミン化合物は、吸光係数が高く、屈折率が高く、薄膜状態が安定である。このため、有機EL素子のキャッピング層に用いる化合物として優れている。該化合物を用いたキャッピング層を有する有機EL素子は、高い発光効率、光の取り出し効率および電力効率が得られる。さらに該化合物を用いたキャッピング層を有する有機EL素子とすることにより、太陽光の光を吸光し素子内部の材料に影響を与えないように、耐久性および耐光性を改善できる。
また、ベンゾアゾール環構造を有する一般式(a-1)で表されるジアミン化合物は、青、緑および赤それぞれの波長領域において吸収を持たない。このため、該化合物を用いたキャッピング層を有する有機EL素子は、色純度がよく鮮明で明るい画像を表示したい場合に、特に好適である。例えば、家庭電化製品や照明の用途への展開が可能となった。
【符号の説明】
【0192】
1 ガラス基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
9 キャッピング層
図1