(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】低電力マルチユーザ送信のための通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20231016BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20231016BHJP
H04W 48/10 20090101ALI20231016BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231016BHJP
【FI】
H04W52/02
H04L27/26 100
H04W48/10
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2020536909
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2019000282
(87)【国際公開番号】W WO2019139019
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-06
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2018084417
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホァン レイ
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509437(JP,A)
【文献】Suhwook Kim (LG),SFD MAC proposal,IEEE 802.11-17/0379r2,2017年03月13日,Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-0379-02-00ba-sfd-mac-proposal.pptx>
【文献】Suhwook Kim (LG),WUR channel switch,IEEE 802.11-17/0380r0,2017年03月16日,Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-0380-00-00ba-wur-channel-switch.pptx>
【文献】Suhwook Kim (LG),WUR operation of WUR,IEEE 802.11-17/1652r0,2017年11月06日,Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-1652-00-00ba-wur-operation-of-wur.pptx>
【文献】Suhwook Kim (LG),WUR channel issue,IEEE 802.11-17/1651r2,2017年11月06日,Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-1651-02-00ba-wur-channel-issue.pptx>
【文献】Po-Kai Huang (Intel),WUR Beacon,IEEE 802.11-17/0343r3,2017年03月12日,Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-0343-03-00ba-wur-beacon.pptx>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって
、
アクセスポイント(AP:Access Point)から、WURビーコンフレームの送信のために前記APによって使用される第1のWURチャネルを示すWUR動作エレメントと、WURウェイクアップフレームの前記通信装置への送信のために前記APによって使用される第2のWURチャネルを示すWURモードエレメント、を受信し、また、前記第2のWURチャネルで前記WURウェイクアップフレームを受信
し、
前記WUR動作エレメントは、PCRビーコンフレームの送信と前記WURビーコンフレームの送信との間のオフセットを示す目標WURビーコン送信時間(TWBTT)オフセットを含む、受信機と、
前記TWBTT
オフセットに基づいて
、前記APから
前記WURビーコンフレームを受信する
ため、前記第1のWURチャネルをモニターするよう前記受信機を制御する、コントローラと、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記WUR動作エレメントが、WUR動作クラスフィールドと、前記第1のWURチャネルを一緒に示すWURチャネルフィールドと、を含む、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記WUR動作エレメントが、ビーコンフレームおよびプローブ応答フレームのうちの少なくとも1つに含まれる、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記WURモードエレメントが、WUR動作クラスフィールドと、前記第2のWURチャネルを一緒に示すWURチャネルフィールドと、を含む、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記WURビーコンフレームが決定された時間内に受信されなかった場合に、前記第2のWURチャネルにてスキャニングを実行する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
通信装置により実行される通信方法であって、
アクセスポイント(AP:Access Point)から、WURビーコンフレームの送信のために前記APによって使用される第1のWURチャネルを示すWUR動作エレメントと、WURウェイクアップフレームの前記通信装置への送信のために前記APによって使用される第2のWURチャネルを示すWURモードエレメント、を受信
し、前記WUR動作エレメントは、PCRビーコンフレームの送信と前記WURビーコンフレームの送信との間のオフセットを示す目標WURビーコン送信時間(TWBTT)オフセットを含む、工程と、
前記第2のWURチャネルで前記WURウェイクアップフレームを受信する、工程と、
前記TWBTT
オフセットに基づいて
、前記APから
前記WURビーコンフレームを受信する
ため、前記第1のWURチャネルをモニターする、工程と、を含む、
通信装置により実行される通信方法。
【請求項7】
通信装置向けの集積回路であって、
アクセスポイント(AP:Access Point)から、WURビーコンフレームの送信のために前記APによって使用される第1のWURチャネルを示すWUR動作エレメントと、WURウェイクアップフレームの前記通信装置への送信のために前記APによって使用される第2のWURチャネルを示すWURモードエレメント、を受信
し、前記WUR動作エレメントは、PCRビーコンフレームの送信と前記WURビーコンフレームの送信との間のオフセットを示す目標WURビーコン送信時間(TWBTT)オフセットを含む、処理と、
前記第2のWURチャネルで前記WURウェイクアップフレームを受信する、処理と、
前記TWBTT
オフセットに基づいて
、前記APから
前記WURビーコンフレームを受信する
ため、前記第1のWURチャネルをモニターすることを制御する、処理と、を制御する、
通信装置向けの集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(米国電気電子技術者協会)802.11baタスクグループは現在、ウェイクアップ無線(WUR:wake-up radio)装置の動作に関連する無線通信技術の標準化を進めている。WUR装置は、主接続無線(PCR:primary connectivity radio)装置へのコンパニオン無線装置であり、同周波数帯域または異なる周波数帯域でレガシーIEEE802.11デバイスと共存する。PCRは、既存の主流IEEE802.11修正(802.11a、802.11g、802.11n、もしくは802.11ac)のいずれか、または他の適用可能な将来の修正(例えば、802.11ax)であってもよい。PCRが一次無線通信装置として使用される一方、WUR装置の目的は、有効なウェイクアップパケットを受信すると、PCR装置のスリープからの遷移をトリガすることである。アクティブ通信中のみPCR装置をオンにし、アイドルリスニング期間中はPCR装置をオフにしてWUR装置のみを動作させる。WUR装置は、1ミリワット未満のアクティブ受信機消費電力を有すると期待され、PCR装置のアクティブ受信機消費電力に比べてはるかに低い。WUR装置を有するデバイスは、WURデバイスと呼ばれてもよく、WURモードは、PCRがオフの間、WURのみが動作している動作モードを指してもよい。802.11baタスクグループは、WUR送信の効率をさらに向上させるために、現在、複数のチャネルでのWUR送信および周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)技術を研究している。
【0003】
IEEE802.11baの修正は、主に通信デバイスが通常バッテリーで電源供給されるアプリケーションおよびモノのインターネット(IOT:Internet-of-Things)の使用例を対象としており、合理的に低遅延を維持しながらバッテリー寿命を延長することが非常に望ましい。多数のIOTデバイスが単一のアクセスポイント(AP:Access Point)によってサービスされる必要がある場合、複数のチャネルでのWUR送信およびFDMA送信は、利用可能な周波数リソースをより効率的に利用することによって、複数のデバイスを迅速にウェイクアップさせる性能を大幅に向上させるのに役立ち得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】IEEE Std 802.11-2016
【文献】IEEE802.11-17/0575r8,Specification Framework for TGba,November 2017
【文献】IEEE802.11-17/00165r2,WUR Channel issue
【文献】IEEE802.11-17/1625r1,Efficient FDMA Transmission Schemes for WUR WLAN
【文献】IEEE802.11-17/1426r1,WUP CCA Problem
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数チャネルでのWUR送信とFDMA WUR送信は、WUR信号の送信効率を向上させる有効な方法である。しかしながら、複数チャネルでのWUR送信およびFDMA WUR送信は、その実践的な実装のために取り組むべき様々な問題をもたらす。
【0006】
本開示の非限定的かつ例示的な一実施形態は、WUR信号のFDMA送信だけでなく、複数のチャネル上でWUR送信を実際に実装するための手段を提供する。
【0007】
一般的な一態様では、本明細書に開示される技術は、動作中に、アクセスポイント(AP)から、WURビーコンフレームの送信のためにAPによって使用される第1のWURチャネルを示すWUR動作エレメントを受信し、さらに、WURウェイクアップフレームの装置への送信のためにAPによって使用される第2のWURチャネルを示すWURモードエレメントを受信する、主接続無線(PCR)回路と、動作中に、第2のWURチャネルでWURウェイクアップフレームを聴取するウェイクアップ受信機(WURx)回路と、動作中に、WURxを第2のWURチャネルから第1のWURチャネルに時間内に切り替えて、APから、TWBTTでWURビーコンフレーム(目標WURビーコン送信時刻)を受信するコントローラと、を備える、通信装置を特徴とする。
【0008】
一般的または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはそれらの任意の選択的組み合わせとして実装され得ることに留意されたい。
【0009】
本開示に記載の通信装置および通信方法は、複数のチャネルにおけるWUR送信およびWUR信号のFDMA送信を実際に実装するための手段を提供する。
【0010】
開示される実施形態の追加の利益および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。利益および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得られてもよく、これらは、そのような利益および/または利点のうちの1つまたは複数を得るためにすべてが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】レガシー802.11デバイスおよびWUR対応デバイスの混合による例示的な異種802.11無線ネットワークを示す。
【
図2】802.11baタスクグループで検討されているWUR PHYプロトコルデータユニット(PPDU:PHY Protocol Data Unit)のフォーマットを示す。
【
図3】低データ速度WUR PPDUおよび高データ速度WUR PPDUのフォーマットを示す。
【
図4】可能性のあるWUR FDMA送信方式を示す。
【
図5A】第1の実施形態による、無線ネットワークの動作のために使用される様々なパラメータを提供するためにAPによって使用されるWUR動作エレメントを示す。
【
図5B】第1の実施形態による、APと関連するWUR STAとの間のWUR動作に関連するパラメータをネゴシエートするために使用されるWURモードエレメントを示す。
【
図6】第1の実施形態による、WUR APおよびWUR STAの様々な能力を示すために使用されるWUR能力エレメントを示す。
【
図7】第1の実施形態による、複数のWUR動作チャネルが定義されるときのスケジュールされたブロードキャストWURフレームの送信のための例示的な方式、およびブロードキャストWURフレームを運ぶために使用されるWUR PPDUの対応するフォーマットを示す。
【
図8】第1の実施形態による、WURビーコンフレームのフォーマットを示す。
【
図9】複数のWUR動作チャネルが第1の実施形態によって定義されるときの、スケジュールされていないブロードキャストWURフレームの送信のための例示的な方式を示す。
【
図10】WUR PPDUに含まれるWURフレームの数が利用可能なWURチャネルの数未満であるときの、第1の実施形態による、WUR PPDUの送信のための例示的な方式を示す。
【
図11】第1の実施形態による、ヌル信号の例示的なフォーマットを示す。
【
図12】第2の実施形態による、複数のWUR動作チャネルが定義されるときのブロードキャストWURフレームの送信の代替的な例示的な方式、およびブロードキャストWURフレームを運ぶために使用されるWUR PPDUの対応するフォーマットを示す。
【
図13】第2の実施形態による、ヌル信号の代替例のフォーマットを示す。
【
図14】WUR PPDUに含まれるWURフレームの数が利用可能なWURチャネルの数未満であるときの、第3の実施形態による、WUR PPDUの送信の代替的な例示的な方式を示す。
【
図15】WUR PPDUに含まれるWURフレームの数が利用可能なWURチャネルの数未満であるときの、第4の実施形態による、WUR PPDUの送信の代替的な例示的な方式を示す。
【
図16】第5の実施形態による、代替的なWUR FDMA送信方式を示す。
【
図17】第5の実施形態による、複数のWUR動作チャネルが定義されるときのブロードキャストWURフレームの送信の代替的な例示的な方式、およびブロードキャストWURフレームを運ぶために使用されるWUR PPDUの対応するフォーマットを示す。
【
図18】WUR PPDUに含まれるWURフレームの数が利用可能なWURチャネルの数未満であるときの、第5の実施形態による、WUR PPDUの送信の代替的な例示的な方式を示す。
【
図19】WUR PPDUに含まれるWURフレームの数が利用可能なWURチャネルの数未満であるときの、第6の実施形態による、WUR PPDUの送信の代替的な例示的な方式を示す。
【
図20】WURチャネルのいくつかでの送信がスキップされるときの、第7の実施形態による、WUR PPDUの送信のための例示的な方式を示す。
【
図21】WURチャネルのいくつかでの送信がスキップされるときの、第7の実施形態による、WUR PPDUの送信の例を示す。
【
図22】第7の実施形態による、複数のWUR動作チャネルが定義されるときのブロードキャストWURフレームの送信の代替的な例示的な方式を示す。
【
図23】第7の実施形態による、FDMA送信が使用されるときのWUR PPDU帯域幅の信号伝達を示す。
【
図24】開示された送信方式を実装する例示的なAPの簡略化されたブロック図である。
【
図25】開示された送信方式を実装する例示的なAPの詳細なブロック図である。
【
図26】開示された送信方式を実装する例示的なWUR STAの簡略化されたブロック図である。
【
図27】開示された送信方式を実装する例示的なWUR STAの詳細なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、以下の図および実施形態を利用してよりよく理解することができる。本明細書に記載される実施形態は、単なる例示的な性質であり、本開示の可能な用途および使用のいくつかを説明するために使用され、本明細書に明示的に説明されていない代替的な実施形態に関して本開示を限定するものとみなされるべきではない。
【0013】
図1は、本開示が適用され得る無線通信ネットワーク100の例を示す。無線通信は、IEEE802.11などの一般的な無線規格に基づいてよい。無線通信ネットワーク100は、アクセスポイント(AP)110ならびに、5つのステーション(STA)120、130、140、150および160を備えてもよい。802.11用語では、STAはAPおよび非APデバイスの両方を指し得るが、本開示ではSTAは非APデバイスのみを指す。AP110には、802.11波形の無線信号(例えば、直交周波数分割多重方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing))の送受信が可能であり、かつウェイクアップ無線(WUR)波形の無線信号(例えば、オンオフキーイング(OOK:On-Off Keying))の送受信が可能な主接続無線(PCR)装置(以下、単に「PCR」と称する)112を備えている。STA120は、802.11信号の送受信が可能なPCR122のみを備えたレガシー802.11装置であり、STA130、140、150および160は、WUR対応STAであり、それぞれPCR132、142、152および162ならびに、それぞれウェイクアップ無線受信機(WURx)装置(以下、単に「WURx」と称する)、134、144、154、および164を備えている。STA130、140、150および160は802.11信号の送受信が可能であり、WUR信号の受信も可能である。PCR132、142、152および162は、アクティブ通信中のみオンしてもよく(PCRモード)、一方、アイドルリスニング期間中、PCRはオフされてもよく、WURx134、144、154および164のみが動作してもよい(WURモード)。STAが既にAP100に関連付けられている場合、AP110がWURモードで動作するSTAと通信する必要があるとき、まず、それぞれのPCRをオンにし、WURxをオフに切り替えることによって、STAにPCRモードへの遷移を命令するためにウェイクアップ信号を送信し得る。その後、APおよびSTAは、PCRを介して通信を実行してもよい。通信が終了すると、STAは、PCRをオフに切り替えてWURxをオンにすることによって、WURモードに切り替えて戻ることができる。AP110がウェイクアップ信号をWUR STAのWURxに送信する無線チャネルをWURチャネルと呼ぶことができる。単一のWURチャネルを使用して、すべてのWUR STAにウェイクアップ信号を送信してもよいが、ウェイクアップ信号の送信をより効率的にするために、AP110はまた、WUR STAに異なるWURチャネルを割り当ててもよい。例えば、WUR STA130および140はWURチャネルCH1に割り当てられ、WUR STA150および160はWURチャネルCH2に割り当てられる。
【0014】
図2は、IEEE802.11baタスクグループで検討されているウェイクアップ信号のフォーマットを示す。ウェイクアップ信号は、WUR PHYプロトコルデータユニット(PPDU)200として表され得る。WUR PPDU200は、2つの異なる部分から構成される。第1の部分は、20MHzのレガシー(別名、非ハイスループット(HT:high-throughput))802.11プリアンブル210およびBPSKマークと呼ばれる1つの追加のOFDMシンボル218で構成され、これらは20MHzチャネル全体を通じて802.11のOFDM波形で送信される。第2の部分は、ウェイクアップパケット(WUP:wake-up packet)ペイロードとも称され得、20MHzチャネル内のより狭いサブチャネル、例えば4MHzサブチャネル内のWUR OOK波形で送信されるウェイクアップ信号220である。
図2には、ウェイクアップ信号220として単一のWUPペイロード220しか示されていないが、20MHzチャネル内の異なる重複しないサブチャネル上で複数の、例えば3つのWUPペイロードが送信される可能性もある。
【0015】
レガシー802.11プリアンブル210は、WUR信号を理解していないレガシー802.11デバイスとの共存を提供する。プリアンブル210は、non-HTショートトレーニングフィールド(L-STF)212、non-HTロングトレーニングフィールド(L-LTF)214およびnon-HTシグナルフィールド(L-SIG)216をさらに備える。L-SIG216は、WUPペイロード220の長さに関する情報を含み、レガシー802.11デバイスが、その送信を正しい持続時間延期することを可能にする。バイナリ位相偏移キーイング(BPSK:Binary Phase Shift Keying)で変調された持続時間4マイクロ秒のBPSKマーク218は、L-SIG216の直後に送信され、802.11nデバイスがWUR PPDU200を802.11nパケットとして誤って復号することを防止する。
【0016】
WUPペイロード220は、実際のウェイクアップ信号を含み、WUR同期フィールド(WURプリアンブル)222およびWURデータフィールド(WURフレーム)230を備える。WURプリアンブル222は、WUR同期とも称されてもよく、WURフレーム230は、WURデータとも称されてもよい。WURプリアンブル222は、自動ゲイン制御(AGC:automatic gain control)、タイミング同期、パケット検出などに使用され、WURフレーム230は制御情報を含む。WURフレーム230は、さらに、MACヘッダ240、フレームチェックシーケンス(FCS:Frame check sequence)252、およびオプショナルなフレームボディ250などの様々なサブフィールドから構成され得る。MACヘッダ240は、さらに、フレームタイプ262、フレームボディ存在ビット264、「長さ/その他」フィールド266などを指定するフレーム制御フィールド242、送信機アドレス、受信機アドレスのうちのいずれかまたはその両方を含むことができるアドレスフィールド244、およびTD制御フィールド246から構成され得る。TD制御フィールド246は、フレームタイプに応じて異なる制御情報を運ぶために使用され得る。例えば、WURビーコンフレームにおいて、TD制御フィールド246は、タイムスタンプフィールドを含んでもよく、一方、ユニキャストWURフレームにおいて、TD制御フィールド246は、パケット番号などを含んでもよい。WURフレーム230は、62.5kb/sの低データ速度(LDR)または250kb/sの高データ速度(HDR)のいずれかを使用して送信され得る。WURフレーム230に使用されるデータ速度は、WUR同期フィールド222内の所定のシーケンスによって示される。マンチェスターベースのコードは、WURデータ速度の両方に適用され、マルチキャリアオンオフキーイング(MC-OOK)は、両方のWURデータ速度の変調に使用される。
【0017】
図3は、低データ速度および高データ速度のWUR PPDUのフォーマットを示す。WUR PPDU300は、低データ速度を使用して送信されるWURフレーム320を含む。低データ速度の場合、WUR同期フィールド222は、32ビットシーケンスS310の2つのコピーを連結することによって構成される。WUR PPDU350は、高データ速度を使用して送信されるWURフレーム370を含む。高データ速度の場合、WUR同期フィールド222は、32ビットシーケンスS310のビット単位補数である32ビットシーケンス
S360で構成される。例として、S310は、(10100100101110110001011100111000)であってもよく、
S360は、(01011011010001001110100011000111)であってもよい。
【0018】
図1に示すように、ウェイクアップ信号の送信効率を向上させるために、無線ネットワーク内で複数のWURチャネルが定義され得る可能性がある。ウェイクアップ信号の送信に複数のWURチャネルが利用可能である場合、周波数分割多元接続(FDMA)は、ウェイクアップ信号の効率的な送信に利用され得る。
図2において、WUR PPDU200は、20MHzチャネル内に単一のウェイクアップ信号220を含むことが示される。しかしながら、単一の20MHzチャネル内で複数のウェイクアップ信号が含まれ得ることも可能である。これは、20MHzチャネル内の2つまたは3つの重複しない4MHzサブチャネルを定義することによって達成され得る。各サブチャネルは、ウェイクアップ信号を運ぶために使用され得、独立したWURチャネルとして機能する。
図4において、WUR PPDU400は、FDMA WUR送信方式を使用することによって20MHzチャネル内で2つのウェイクアップ信号を同時に含むWUR PPDUの例である。ウェイクアップ信号420は、WUR STA1宛てであってもよく、ウェイクアップ信号422は、WUR STA2宛てであってもよい。同様に、WUR PPDU450は、FDMA WUR送信方式を使用することによって20MHzチャネル内で3つのウェイクアップ信号を同時に含むWUR PPDUの例である。ウェイクアップ信号460はWUR STA1宛てであってもよく、ウェイクアップ信号462はWUR STA2宛てであってもよく、ウェイクアップ信号464はWUR STA3宛てであってもよい。WUR PPDUのOFDM部分は、引き続き20MHz全体で送信され、すべてのウェイクアップ信号に共通している。
【0019】
いくつかの例示的な実施形態は、本開示を詳細に説明するために後述のセクションで詳細に説明される。本開示に従ってスキャンレイテンシを低減するための様々な実施形態は、以下のセクションで詳細に説明される。
【0020】
(第1の実施形態)
先に述べたように、単一のWUR動作チャネル(または単にWURチャネル)を使用して、BSS内のすべてのWUR STAにウェイクアップ信号を送信することができるが、ウェイクアップ信号の送信をより効率的にするために、同じBSS内で使用するために複数のWURチャネルを定義することができる。APは、WUR STAの特性に基づいて異なるグループにWUR STAを分割し、異なるWURチャネルをWUR STAの異なるグループに割り当てることができる。複数のWURチャネルが単一のBSS内で使用するように定義されるこのようなWUR動作は、マルチチャネルWUR動作として知られ得る。マルチチャネルWUR動作は、WURチャネルを定義する様々な方法を使用して実装され得る。1つの方法は、
図4に示すように、20MHz802.11チャネルを複数の狭いサブチャネルに分割することを含む。WUR STAの観点では、各WUR STAのWURxは特定のサブチャネル上でのみ聴取するように設定され得るため、20MHz802.11チャネル内の各サブチャネルは独立したWURチャネルとして作用し、異なるWUR STAのウェイクアップ信号を運ぶために使用され得る。単一の20MHz802.11チャネルが使用されるため、このようなマルチチャネルWUR動作は、狭帯域マルチチャネルWUR動作として知られ得る。
【0021】
さらに、狭帯域マルチチャネルWUR動作では、FDMA送信方式を利用することで、同じ20MHz802.11チャネルで複数のウェイクアップ信号を同時に送信してもよい。単一の20MHz802.11チャネルが使用されるため、そのような送信方式は、狭帯域FDMA WUR送信方式として知られ得る。APが単一のWURチャネルを使用するか、BSS内の複数のWURチャネルを使用するかどうかは、WUR STAの動作に影響を及ぼす可能性がある。例えば、ブロードキャストWURフレームは、単一のWURチャネルまたは複数のWURチャネルのいずれがBSSで使用されているかに応じて異なって送信され得る。同様に、ウェイクアップ信号がFDMAを使用して送信されるかどうかは、WUR STAによるウェイクアップ信号の受信に使用される設定に何らかの影響を及ぼす可能性がある。例えば、20MHz以内のサブチャネルがWURチャネルとして使用される場合、受信WUR STAは、隣接するサブチャネル上のウェイクアップ信号からの干渉を最小限に抑えるために高次フィルタを使用する必要があり得る。
図5Aは、APがビーコンフレームまたはプローブ応答フレームなどに含んで、そのような情報をアドバタイズすることができるWUR動作エレメント500を示す。WUR動作フィールド510は、BSS内のAPがWUR動作のために使用する様々なパラメータを含む。最小ウェイクアップ持続時間フィールド512は、デューティサイクル動作中のWUR STAがWURxアウェイク状態のままでなければならない最小持続時間を示す。デューティサイクル周期ユニットフィールド514は、WURデューティサイクル動作の周期の基本ユニットを示す。WURチャネルモードフィールド516およびWUR動作チャネルフィールド526は、合わせて、BSS内で使用されるWURチャネルに関連するパラメータを示す。WURチャネルモードフィールド516のサブフィールドの意味を表550に要約する。マルチチャネルビット518は、同じBSS内で使用するために複数のWURチャネルが定義されている場合は1に設定され、単一のWURチャネルのみを使用する場合は0に設定される。ウェイクアップ信号の送信にFDMA方式を使用する場合、FDMAビット520は1に設定される。マルチチャネルビット518が1に設定されると、WURチャネル数フィールド522は、BSS内でウェイクアップ信号を運ぶために使用される20MHz802.11チャネルの数Nを示す。狭帯域FDMA WUR送信方式を使用する場合、Nは1に等しい。ブロードキャストチャネル切り替えビット524は、WURビーコンフレームが単一のWURチャネル上でのみ送信され、WUR STAがブロードキャストWUR PPDUを受信するためにチャネル切り替えを実行すべきであることを示すように、1に設定される。WUR動作チャネルフィールド526は、BSSで定義されたWURチャネルに関連するパラメータのセットを含み、ウェイクアップ信号を運ぶために使用される20MHz802.11チャネルごとに1セットが使用される。狭帯域FDMA WUR送信方式を使用する場合、20MHz802.11チャネルのみがウェイクアップ信号を運ぶのに使用されるため、1セットのみが含まれる。WUR動作クラスフィールド528は、ウェイクアップ信号の送信に使用される動作クラスを示し、WURチャネルフィールド530は、ウェイクアップ信号の送信に使用される20MHz802.11チャネルを示す。WURサブチャネルフィールド532は、APによって狭帯域マルチチャネルWUR動作が使用されている場合にのみ存在し、WURチャネルフィールド530によって示される20MHz 802.11チャネル内でウェイクアップ信号を含むように定義されたサブチャネルの数を示す。WURビーコン周期フィールド534は、WURチャネルフィールド530が示す20MHz802.11チャネルで送信されるWURビーコンフレームの周期を示す。TWBTTオフセットフィールド536は、PCRビーコンフレームと、WURチャネルフィールド530によって示される20MHz802.11チャネル上で送信されるWURビーコンフレームとの間の送信時刻のオフセットをマイクロ秒単位で示す。ブロードキャストWURチャネルフィールド540は、ブロードキャストチャネル切り替えビット524が1に設定されている場合にのみ存在するオプショナルなフィールドであり、ブロードキャストWUR PPDUを送信するために使用されるWURチャネルを示す。ブロードキャストWUR PPDUを送信するために使用されるWURチャネルは、BSSのベースWURチャネルまたはプライマリWURチャネルとも称され得る。
【0022】
図5Bは、APと関連付けられたWUR STAとの間のWUR動作に関連するパラメータをネゴシエートするために使用されるWURモードエレメント560を示す。WUR STAは、WURモードエレメント560を使用して、APとのWUR動作のセットアップを要求し、好ましいオン期間、所望のデューティサイクル周期などのWUR動作に関連するパラメータをネゴシエートする。APがWUR動作のセットアップ要求を承認する場合、APは、WURモードエレメント560内のWURパラメータフィールド570を使用して、WUR STAに固有のWUR動作パラメータを通知する。WUR IDフィールド572は、BSS内のWUR STAを一意に識別するWUR識別子を示す。デューティサイクル情報フィールド574は、WUR STAのデューティサイクルモードに関連するパラメータを示す。BSS内で複数のWURチャネルが使用される場合、異なるWUR STAが異なるWURチャネルに割り当てられ得る。WUR動作クラスフィールド576は、WUR STA宛てのウェイクアップ信号の送信に使用される動作クラスを示し、WURチャネルフィールド578は、WUR STA宛てのウェイクアップ信号を運ぶのに使用される20MHz802.11チャネルを示す。WURサブチャネルフィールド580は、狭帯域マルチチャネルWUR動作がAPによって使用される場合にのみ存在し、WUR STAに割り当てられた20MHz802.11チャネル内のサブチャネルのインデックスを示す。例えば、
図4のWUR PPDU400に示すように2つのサブチャネルが定義されるとき、0は、ウェイクアップ信号420を含む上部サブチャネルを示し、1は、ウェイクアップ信号422を含む下部サブチャネルを示す。同様に、
図4のWUR PPDU450に示すように3つのサブチャネルが定義されるとき、0は、ウェイクアップ信号460を含む上部サブチャネルを示し、1は、ウェイクアップ信号462を含む中央サブチャネルを示し、2は、ウェイクアップ信号464を含む下部サブチャネルを示す。
【0023】
図6は、WUR関連能力を示すために使用されるWUR能力エレメント600を示す。WUR能力フィールド610は、WUR能力に関連する様々なパラメータを含み、フィールドのうちのいくつかはAPまたはWUR STAにのみ有効であり得る。サポート帯域フィールド612は、WUR動作チャネルのWUR STAによってサポートされている帯域を示し、APに対しては予備である。PCR遷移遅延フィールド614は、WUR STAがウェイクアップフレームを受信した後のWUR STAのドーズ状態からアウェイク状態へのPCR遷移遅延を示し、APに対しては予備である。非ゼロ長フレームボディフィールド616は、非ゼロ長フレームボディがWUR STAによってサポートされているかどうかを示し、APに対しては予備である。WURチャネル能力フィールド620は、WURチャネルに関連する能力を示す。マルチチャネルビット622は、APまたはWUR STAがマルチチャネルWUR動作をサポートするかどうかを示す。同様に、FDMAビット624は、APまたはWUR STAがFDMA WUR送信方式をサポートするかどうかを示す。WUR STAがマルチチャネルWUR動作をサポートしない場合、デフォルトのWURチャネル、例えば
図4の中央サブチャネル上のウェイクアップ信号462でのみウェイクアップ信号を受信することができる場合がある。そのような場合、APは、そのようなWUR STAにはセンターサブチャネルしか割り当てることができない。同様に、WUR STAは、低複雑度受信機フィルタ設計などによりFDMA WUR送信をサポートしない場合があり、このような場合、APは、そのようなWUR STAに対して非FDMA WUR送信を使用する必要がある。そのような情報は、APにとって有用であり得、そのようなWUR STAがそのBSS内でWURモード動作に入ることを可能にするかどうかを決定する。WURデバイスクラスフィールド630はAPに対しては予備であり、WUR STAに対しては表650に列挙されるようにSTAのハードウェア能力を示している。クラスA WURデバイスは、良好なハードウェア能力を有し、サポートされているチャネル内の任意のWURチャネルで動作することができる。必要に応じて、クラスA WUR STAは、ブロードキャストWUR送信を受信するチャネル切り替えを実行することができる。クラスBデバイスはハードウェア能力が低く、ベース(ブロードキャスト)WURチャネルでのみ動作することができる。クラスBデバイスは、受信フィルタ性能が悪いため、狭帯域FDMA WUR送信を受信できない場合がある。クラスCデバイスは中間的なハードウェア能力を持ち、サポートされているチャネル内の任意のWURチャネルで動作することができる。必要に応じて、クラスC WUR STAはまた、ブロードキャストWUR送信を受信するためにチャネル切り替えを実行することができる。クラスCデバイスは、狭帯域FDMA WUR送信を受信することができ得るが、隣接するWURチャネル上のWUR送信から干渉を受けやすい場合がある。APは、WUR STAのデバイスクラスの知識を利用して、BSS内のWURチャネルをインテリジェントに割り当ててもよく、例えば、クラスBおよびクラスCのすべてのデバイスは、ブロードキャストWURチャネルに割り当てられてもよく、クラスAデバイスは、任意のWURチャネルに割り当てられてもよい。同様に、クラスAおよびクラスCデバイスにウェイクアップ信号を送信するためにFDMA WUR送信を使用することができるが、クラスBデバイスには非FDMA WUR送信のみを使用することができる。チャネル切り替えガード時間フィールド640は、APに対しては予備であり、WUR STAに対してはオプショナルなフィールドで、WUR STAが、
図5A~5BのWUR動作エレメント500内のブロードキャストチャネル切り替えビット524を設定したAPと、WURモードセットアップをネゴシエートしているときにのみ存在する。チャネル切り替えガード時間フィールド640は、WUR STAのWURxがチャネルをブロードキャストWURチャネルへ切り替えているために、WUR STAが割り当てられたWURチャネルでWURフレームを受信できない可能性のある、最大時間を示す。
【0024】
前述のように、複数のWURチャネルがBSS内で動作している場合、WUR STAは異なるWURチャネルに割り当てられ得る。WUR STAは、WURモードである間、割り当てられたWURチャネルのみを聴取するため、APが他のWURチャネルで送信したブロードキャストWURフレームを受信しない場合がある。ブロードキャストWURフレームは、BSS内のすべてのWUR STAによって受信されるように意図されているため、それが欠落すると、時間の同期を失うなど、WUR STAの動作に悪影響を及ぼす可能性がある。ブロードキャストWURフレームを送信するためにAPによって使用されるWURチャネルは、BSSのブロードキャストWURチャネル、またはベースWURチャネル、またはプライマリWURチャネルとも称され得る。
図7は、WUR STAによるスケジュールされたブロードキャストWURフレームの受信の課題を克服するために提案される送信方式700を示す。3つのWURチャネル、WUR CH1 710、WUR CH2 712およびWUR CH3 714がBSSで定義されており、WUR STA1、WUR STA2およびWUR STA3にそれぞれ割り当てられている。WUR CH2 712は、APによってブロードキャストWURチャネルとして指定され、WUR動作エレメント500のブロードキャストWURチャネルフィールド540を通じてBSS内にアドバタイズされる。スケジュールされたWURフレームの一例としてWURビーコンフレームを考えると、BSS内のすべてのWUR STAは、APによる次のWURビーコンの予期される送信時刻である次の目標WURビーコン送信時刻(TWBTT:Target WUR Beacon Transmission Time)を認識しているであろう。提案された送信方式によると、WURビーコンフレーム730は、WURブロードキャストチャネルWUR CH2 712上でのみ送信される。当初、3つのWUR STAはすべて、それぞれのWURチャネルにWURxをチューニングしている。時刻720において、予期されるTWBTTの少し前に、WUR STA1およびWUR STA3は、それぞれのWURxをブロードキャストWURチャネルWUR CH2 712に切り替え、スケジュールされたWURビーコンフレーム730を待つ。狭帯域マルチチャネルWUR動作が使用され、3つすべてのWURチャネルが同じ20MHz802.11チャネル内にあるとき、WUR CH1 710またはWUR CH3 714のいずれかから中央WUR CH2 712に切り替えることは、単に振動子を変更する必要なくWURxの周波数シンセサイザをチューニングすることであり得、そのために多くの時間がかからず、WUR STAの消費電力に及ぼす影響は最小限である。WURビーコンフレーム730が受信されると、時刻740で、STA1およびSTA3はそれぞれのWURxを割り当てられたWURチャネルに切り替えて戻す。また、WURビーコンが予期されるTWBTTから一定のタイムアウト期間T内に受信されない場合も、WUR STAは割り当てられたWURチャネルに切り替わって戻り得る。APは、WURビーコンフレームを送信するために無線チャネルについて競合する必要があるため、タイムアウト期間TはAPでの可能性のあるチャネルアクセス遅延に対応するのに十分に大きい必要がある。チャネル切り替えガード時間(CSGT:Channel Switch Guard Time)は、WUR STAのWURxがチャネルをブロードキャストWURチャネルに切り替えているため、WUR STAが割り当てられたWURチャネルでWURフレームを受信できない可能性のある最大期間を示す。CSGTは、WUR STAが割り当てられたWURチャネルから離れる時間の上限を示し、WURビーコンなどのスケジュールされたWURフレームを待つためにブロードキャストWURチャネルに切り替える時から始まり、スケジュールされたWURフレームの受信時か、または、タイムアウトTの満了時のいずれかに、WUR STAが割り当てられたWURチャネルに切り替わる時に終わる。
図7を参照すると、CSGTは、WUR STA3がブロードキャストWURチャネルWUR CH2 712に切り替わる時刻720から始まり、WUR STA3が割り当てられたWURチャネルWUR CH3 714にその時刻までに戻るべき最も遅い時刻である時刻742に終わる時間をカバーする。CSGTは、IEEE802.11ba仕様で定義された所定の時間であってもよく、すべてのWUR STAで同じであってもよい。しかしながら、CGSTは、チャネルの切り替えに要する時間、WUR STAのクロックドリフトの補償に要する時間など、WUR STAのハードウェア能力に関連する様々なパラメータを考慮する必要があるため、CGSTは個々のWUR STAによって大きく異なる場合がある。また、WUR STAのCGSTの値は、ブロードキャストWURチャネルおよびWUR STAの割り当てられたWURチャネルが同じ周波数帯域にあるか、または異なる周波数帯域にあるかによって変化する場合がある。したがって、各WUR STAはまた、
図6のWUR能力エレメント600内のチャネル切り替えガード時間フィールド640を使用することによって、WURモードネゴシエート段階において、そのCGSTをAPに報告してもよい。APは、CGST中にWURフレームをWUR STAに送信しないことを担保する必要がある。APは、そのような送信決定を行う際に、各WUR STAによって報告されたCGSTを考慮するか、または、より簡単に、APに関連付けられたすべてのWUR STAのCGSTの最大値を取ってもよい。WUR PPDU750は、WURビーコンフレーム730を運ぶために使用される。送信の信頼性を確保するために、WURビーコンフレーム730は、低データ速度で送信されることが予想され、この場合、WUR同期フィールド760は、
図3のWUR PPDUフォーマット300に示されるように構成される。しかしながら、WURビーコンフレーム730が高データ速度で送信される場合、WUR同期フィールド760は、
図3のWUR PPDUフォーマット350に示されるように構成される。
【0025】
図7の送信方式700は、スケジュールされたブロードキャストWURフレームを、ブロードキャストWURチャネル以外のWURチャネルに割り当てられたWUR STAが受信する際の課題を克服するのに役立つ。しかしながら、非ブロードキャストWURチャネルのWUR STAは、APがいつスケジュールされていないブロードキャストWURフレームを送信するかを認識していないため、スケジュールされていないブロードキャストWURフレームの受信に関する問題は引き続き残っている。スケジュールされていないブロードキャストWURフレームは、PCR上でいくつかの重要なブロードキャストフレームを受信するために、BSS内のすべてのWUR STAをウェイクアップさせるためにAPによって送信される場合があり、そのようなフレームが欠落すると、WUR STAの動作に支障をきたす可能性がある。
図8の強化されたWURビーコンフレーム800は、スケジュールされていないブロードキャストWURフレームの受信に関するこの問題を克服するために提案される。WURビーコン800のフレーム制御フィールド810は、例えば滞在(Stay)ビット812の形態で、滞在指示(Stay indication)フィールドを含み、滞在ビット812は、1に設定されると、WURビーコン800の直後にAPが別のブロードキャストWURフレームを送信しようとすることをWUR STAに示す。滞在ビット812はまた、
図2の「長さ/その他」フィールド266内のビットの1つであってもよい。BSSのいくつかのWUR STAがデューティサイクルモードで動作している可能性があり、すべてのWURビーコンフレームを受信するようにはウェイクアップしない可能性があることを考慮して、APは、すべてのWUR STAが受信することを確実にするために、同じブロードキャストWURフレームを何度か送信する必要がある場合がある。このような状況では、いくつかの連続するWURビーコンが滞在指示を含む場合がある。しかしながら、デューティサイクルモードで動作していないWUR STAは、すべてのWURビーコンを受信し得るが、APは、このようなWUR STAがブロードキャストWURチャネルに滞在し続けて同じブロードキャストWURフレームを複数回待つことを望まない場合がある。このような場合、滞在指示フィールドは、
図2の「長さ/その他」フィールド266の2ビットまたは3ビットから構成されるカウンタであってもよく、滞在指示フィールドの非ゼロ値は、WURビーコン800の直後にAPが別のブロードキャストWURフレームを送信しようとすることをWUR STAに示す。WUR STAが、滞在指示フィールドが一定の値Xに設定されたWURビーコンの後にAPによって送信されたブロードキャストWURフレームおよび関連するPCRフレームを既に受信している場合、そのWUR STAは、次の数回連続するWURビーコンの滞在指示フィールドの値が同一の値Xであれば、その滞在指示フィールドを無視し、直ちに割り当てられたWURチャネルに切り替えることができる。
【0026】
図9は、WUR STAによるスケジュールされていないブロードキャストWURフレームの受信についての課題を克服するために提案される送信方式900を示す。3つのWURチャネル、WUR CH1 910、WUR CH2 912およびWUR CH3 914がBSSで定義されており、WUR STA1、WUR STA2およびWUR STA3にそれぞれ割り当てられている。WUR CH2 912は、APによってブロードキャストWURチャネルに指定され、WUR動作エレメント500のブロードキャストWURチャネルフィールド540を通じてBSS内にアドバタイズされる。当初、3つのWUR STAはすべて、それぞれのWURチャネルにWURxをチューニングしている。時刻920において、予期されるTWBTTの少し前に、WUR STA1およびWUR STA3は、それぞれのWURxをブロードキャストWURチャネルWUR CH2 912に切り替えて、スケジュールされたWURビーコンフレーム930を待つ。WURビーコンフレーム930は、
図8のWURビーコンフレーム800のフォーマットに従い、APがブロードキャストすべきPCRフレームを持っているときはいつも、次のスケジュールされたWURビーコンフレームの送信直後に、ブロードキャストWURチャネルWUR CH2 912上で送信すべきブロードキャストWURフレーム940をスケジュールする。スケジュールされたWURビーコン930のフレーム制御フィールド810内の滞在ビット812は、スケジュールされていないブロードキャストWURフレーム940が送信待ちであることをWUR STAに知らせるため1に設定される。滞在ビットが1に設定されているため、すぐにそれぞれのWURチャネルに切り替える代わりに、WUR STA1およびWUR STA3は、WUR CH2 912で聴取し続け、スケジュールされていないブロードキャストWURフレーム940を待つ。時間950でブロードキャストWURフレーム940を受信すると、3つのWUR STAすべてがPCRをオンにし、PCRチャネル916に切り替えてAPからPCRフレームを待つ。PCRセッションが終了すると、時間970において、3つのWUR STAすべてがそれぞれのWURチャネルに切り替わって戻る。また、ブロードキャストWURフレーム940が、WURビーコン930が受信された時点から特定のタイムアウト期間Ts内に受信されない場合も、WUR STAは、時間960においてそれらの割り当てられたWURチャネルに切り替わって戻ってもよい。また、WURビーコンが予期されるTWBTTから一定のタイムアウト期間T内に受信されない場合も、WUR STAは割り当てられたWURチャネルに切り替わって戻り得る。
【0027】
狭帯域マルチチャネルWUR動作では、ウェイクアップ信号が20MHzチャネル内の単一のサブチャネルでのみ送信され、残りのサブチャネルが空のままになると、サードパーティ802.11デバイスがチャネル検知中にウェイクアップ信号を検出できない危険性が高い。特に、サードパーティ802.11デバイスがWUR PPDUのレガシー部分を逃した場合、WUR PPDUのウェイクアップ信号部分の狭い帯域性質のため、20MHzの検知帯域幅にわたって平均されたときのそのエネルギーレベルは、802.11デバイスのエネルギー検出(ED:Energy Detection)閾値-62dBmよりも低くなる可能性が高い。これにより、その802.11デバイスが20MHzチャネルをアイドルとして扱い、ウェイクアップ信号に被せて送信する可能性がある。この問題は、WURパケット中(Mid-packet)CCA誤検出問題と呼ばれる場合がある。実際、単一のサブチャネルのみが20MHzチャネル内のWURチャネルとして定義されている通常のWUR動作においても、WURパケット中CCA問題が発生し得る。
図4に示すように、狭帯域FDMA WUR送信を使用してすべての利用可能なサブチャネルでウェイクアップ信号を同時に送信すると、ウェイクアップ信号部分中の総エネルギーレベルが高くなり、WURパケット中CCA誤検出のリスクが低下する。しかしながら、APがFDMA WUR送信が可能であっても、ウェイクアップされるWUR STAの数が利用可能なサブチャネルの数よりも少ない可能性がある。最悪の場合、APは20MHzチャネル内の単一のウェイクアップ信号のみを送信することがある。そのような場合には、なおWURパケット中CCA誤検出が発生する可能性がある。
【0028】
図10は、WURパケット中CCA誤検出のリスクを低減するWUR PPDUの送信方法の提案を示す。狭帯域マルチチャネルWUR動作中または狭帯域FDMA WUR送信中に、20MHzチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルが未使用の場合、空のサブチャネル上でヌル信号と呼ばれる特殊信号が送信される。ヌル信号は、ダミー信号とも称され得る。例えば、WUR PPDU1000では、上部サブチャネルのみが、STA1宛てのウェイクアップ信号1010で占有される。中央および下部サブチャネルには、送信されるウェイクアップ信号がないため、APは、2つの空のチャネル上でヌル信号1012を送信する。しかしながら、20MHzチャネル内の単一のサブチャネルのみがWURチャネルとして定義されている通常のWUR動作では、他のサブチャネルの明示的な定義が存在しない場合がある。例えば、1050は、OFDMサブキャリアに関する20MHz802.11チャネルの周波数領域図を示す。20MHz802.11チャネルは64個のOFDMサブキャリアで構成され、サブキャリア間隔は312.5KHzで-32から31にインデックスされている。通常のWUR動作では、-7~6の範囲の中央13サブキャリア位置(位置0のDCサブキャリアを除く)は、ウェイクアップ信号の送信に指定され、これら13のサブキャリアは、4MHz幅のWURチャネル1058を構成する。これにより、WURチャネル1058のいずれかの側に8MHzの空を残し、これは、ヌル信号1012を送信するために使用され得る。しかしながら、WURチャネル1058上のウェイクアップ信号に対する隣接チャネル干渉(ACI:adjacent channel interference)のリスクを低減するために、2MHz空間1056を構成する位置-13~-8のサブキャリアおよび2MHz空間1060を構成する位置7~12のサブキャリアは、未使用のままである。同様に、他の隣接する20MHzチャネルへのACIのリスクを低減するために、2MHz空間1052を構成する位置-32~-28におけるサブキャリアと、2MHz空間1064を構成する位置27~31におけるサブキャリアは、未使用のままである。位置-27~-14におけるサブキャリアおよび位置13~26におけるサブキャリア(それぞれ4MHzを構成する)は、それぞれヌルチャネル1054および1062として指定され得、APによってヌル信号1012を送信するために使用され得る。ヌル信号を送信する目的は、主に、PCRモードで動作する802.11デバイスによる、WURパケット中CCA誤検出のリスクを低減することであるため、WUR STAはヌルチャネルの存在を認識する必要はない。あるいは、ヌルチャネルは明示的に定義されず、APは、WUR PPDUのWUR部分のエネルギーレベルを上げる必要性により、WURチャネルのいずれかの側の未使用のサブキャリアを埋めることも可能である。しかしながら、ウェイクアップ信号または他の隣接する20MHzチャネルへの干渉のリスクを低減するように注意する必要がある。
【0029】
図11は、低データ速度および高データ速度ウェイクアップ信号の両方について
図10に導入されるヌル信号1012を構成する具体的な方法を示す。
図3で前述したように、WUR同期フィールドには、WURデータフィールドに含まれるWURフレームのデータ速度を示すために、2つの32ビットシーケンスS310および
S360が使用される。2つの32ビットシーケンスS310および
S360は、すべてのWUR STAに既知であるため、ウェイクアップ信号を聴取するとき、各WUR STAのWURxは、既知の32ビットシーケンスS310および
S360を使用して、受信したウェイクアップ信号のWUR同期と相互相関し、有効なウェイクアップ信号を検出する。ヌル信号が有効なウェイクアップ信号として検出されるリスクを最小限に抑えるために、特殊な32ビットシーケンスS’が定義されている。32ビットシーケンスS’は、Sおよび
Sの両方と非常に低い相互相関比を有するように設計されている。32ビットシーケンスS’は、Sおよび
Sと同じシンボル持続時間を有する。
図11では、S1120および
S1160は、それぞれ、
図3のS310および
S360と同じである。WUR PPDU1100は、低データ速度ヌル信号を使用する例である。有効なウェイクアップ信号は、低データ速度で第1のWURチャネル上で送信される。低データ速度ウェイクアップ信号のWUR同期フィールドは、2つの32ビットシーケンスS1120を連結することによって構成され、それに、WUR STA1宛ての、62.5 kb/sの低データ速度で送信されるWURフレーム1110が続く。他の2つの空のWURチャネルのそれぞれにおいて、低データ速度のヌル信号が送信される。低データ速度ヌル信号は、2つの32ビットシーケンスS’1130を連結し、それに続くダミーデータ1140とで構成され、このダミーデータも62.5kb/sの低データ速度で送信され、WURフレーム1110と同じ長さである。WUR PPDU1150は、高データ速度ヌル信号を使用する例である。有効なウェイクアップ信号は、高データ速度で第1のWURチャネル上で送信される。高データ速度ウェイクアップ信号のWUR同期フィールドは、32ビットシーケンス
S1160で構成され、それに、WUR STA1宛ての、250kb/sの高データ速度で送信されるWURフレーム1110が続く。他の2つの空のWURチャネルのそれぞれにおいて、高データ速度のヌル信号が送信される。高データ速度ヌル信号は、32ビットシーケンスS’1130とそれに続くダミーデータ1140とを送信することによって構成されるが、このダミーデータも250kb/sの高データ速度で送信され、WURフレーム1110と同じ長さである。ダミーデータ1140は、様々な方法で構成され得る。一例では、ダミーデータ1140は、すべてが1、またはすべてが0の系列であってもよく、または1と0が交互に並ぶ系列であってもよい。あるいは、ダミーデータ1140はまた、WURフレーム1110のコピーであってもよい。WUR PPDU内に2つの有効なウェイクアップ信号が存在する場合、ダミーデータは、2つのウェイクアップ信号のいずれかの内に含まれるWURフレームのコピーであってもよい。
【0030】
(第2の実施形態)
複数のWURチャネルがBSS内で動作しているときに、APが他のWURチャネルで送信したブロードキャストWURフレームを受信しない可能性のあるWUR STAの課題に戻り、狭帯域FDMA WUR送信を使用して課題を解決する代替送信方式1200を
図12に示す。APおよび関連するすべてのWUR STAがFDMA送信に対応している場合、APは20MHzチャネル内のすべての利用可能なWURチャネルで同じブロードキャストWURフレーム(スケジュールされたか、またはスケジュールされていないかのいずれか)を送信する。3つのWURチャネル、WUR CH1 1212、WUR CH2 1214およびWUR CH3 1216がBSSで定義されており、WUR STA1、WUR STA2およびWUR STA3にそれぞれ割り当てられている。時間1220において、APは、3つのWURチャネルすべてにおいて同じブロードキャストWURフレーム1230を含むWUR PPDUを送信する。これにより、割り当てられたWURチャネルに関わらず、すべてのWUR STAがブロードキャストWURフレーム1230を受信することを確実にする。WURビーコンフレームをブロードキャストWURフレーム1230の一例として取り上げると、WUR PPDU1250は、WURビーコンフレーム1230を運ぶために使用され得る。WUR PPDU1250は、20MHzチャネル1252内のWURチャネルの各々で同じウェイクアップ信号が複製されている狭帯域FDMA方式を使用して送信される。送信の信頼性を確保するために、WURビーコンフレーム1230は、低データ速度で送信されることが予期され、この場合、WUR同期フィールド1260は、
図3のWUR PPDUフォーマット300に示されるように構成される。しかしながら、WURビーコンフレーム1230が高データ速度で送信される場合、WUR同期フィールド1260は、
図3のWUR PPDUフォーマット350に示されるように構成される。送信方式1200は、ブロードキャストWURフレームの受信がどのWUR STAにも認識でき、チャネル切り替えなどの追加の動作を必要としないため、WUR STAにとって好ましい場合がある。しかしながら、この方式では、APとWUR STAの両方がFDMA送信に対応することを要求している。
【0031】
図13は、低データ速度および高データ速度ウェイクアップ信号の両方について
図10に導入されるヌル信号1012を構成する代替方法を示す。
図13において、S1320および
S1360はそれぞれ
図3のS310および
S360と同じであり、S ’1330は
図11の32ビットシーケンスS’1130と同じである。WUR PPDU1300は、低データ速度WURフレームが送信される一例である。有効なウェイクアップ信号は、低データ速度で第1のWURチャネル上で送信される。低データ速度ウェイクアップ信号のWUR同期フィールドは、2つの32ビットシーケンスS1320を連結することによって構成され、それに、WUR STA1宛ての、62.5kb/sの低データ速度で送信されるWURフレーム1310が続く。他の2つの空のWURチャネルのそれぞれで、ヌル信号が送信される。この場合、ヌル信号は、WUR PPDU1300の終了まで32ビットシーケンスS’1330を繰り返し送信することによって構成される。各32ビットシーケンスS’1330は64マイクロ秒長であるため、WURフレーム1310の長さが64マイクロ秒の倍数でない場合、最後の32ビットシーケンスS’1340の送信は、WUR PPDU1300の終了の境界で早期に終了する。WUR PPDU1350は、高データ速度WURフレームが送信される例である。有効なウェイクアップ信号は、高データ速度で第1のWURチャネル上で送信される。高データ速度ウェイクアップ信号のWUR同期フィールドは、32ビットシーケンス
S1360で構成され、それに、WUR STA1宛ての、250kb/sの高データ速度で送信されるWURフレーム1370が続く。他の2つの空のWURチャネルのそれぞれで、ヌル信号が送信される。この場合、ヌル信号は、WUR PPDU1350の終了まで32ビットシーケンスS’1330を繰り返し送信するように構成される。
図13には示されていないが、WURフレーム1370の長さが64マイクロ秒の倍数でない場合、最後の32ビットシーケンスS’1330の送信は、WUR PPDU1350の終了の境界で早期に終了する。
図11および
図13では、ヌル信号について具体的なフォーマットが示唆されているが、ヌル信号が明示的に定義されなくてもよく、ヌル信号は、空のWURチャネル、または
図10に導入されたヌルチャネル上でエネルギーを生成するためにAPが任意の形式で送信するものでもよい。例えば、ヌル信号は、すべてが1、またはすべてが0の系列であってもよく、または、1と0が交互に並ぶ系列や、同じWUR PPDU内の有効なウェイクアップ信号と同様の送信電力で送信される任意の他のベンダー固有の信号であってもよい。
【0032】
(第3の実施形態)
図14は、低データ速度および高データ速度ウェイクアップ信号の両方について、
図10に導入されるヌル信号1012を構成するさらに別の代替方法を示す。
図14において、S1420および
S1460は、それぞれ
図3のS310および
S360と同じである。WUR PPDU1400は、低データ速度WURフレームが送信される例であり、
図11のWUR PPDU1100と同じであるが、ヌル信号の構成を除く。同様に、WUR PPDU1450は、高データ速度WURフレームが送信され、ヌル信号の構成を除いて
図11のWUR PPDU1150と同じである例である。ヌルフレーム1440という新しいタイプのWURフレームが定義されている。新しいヌルフレームは、
図2のフレーム制御フィールド242に新しいタイプフィールド262を定義することによって識別される。ヌルフレーム1440の残りの内容は、WURフレーム1410と全く同じである。低データ速度の場合、ヌル信号は、32ビットシーケンスS1420の2つのコピーを連結し、それに、低データ速度で送信されるヌルフレーム1440が続くことで構成される。高データ速度の場合、ヌル信号は、高データ速度で送信されるヌルフレーム1440が続く32ビットシーケンス
S1460で構成される。この方法は、ヌル信号の構成がより簡単であるため、APにとって好ましい場合がある。しかしながら、WUR STAは、有効な可能性のあるウェイクアップ信号として、ヌル信号に同期してしまうことがある。しかしながら、WUR STAがフレームタイプフィールド262を読み取ると、ヌルフレームが識別され、WUR STAは、ウェイクアップ信号の残りを無視することができる。
【0033】
(第4の実施形態)
図15は、
図10に導入されたヌル信号1012を構成するさらに別の代替方法を示す。WUR PPDU1500において、WUR STA1宛ての有効なウェイクアップ信号1510は、第1のWURチャネル上で送信される。第2および第3のWURチャネルについては、ウェイクアップ信号1510の複製は、ヌル信号1512として使用され、ウェイクアップ信号1510と同じデータ速度で送信される。同様に、WUR PPDU1550では、WUR STA1宛ての有効なウェイクアップ信号1560が第1のWURチャネル上で送信され、WUR STAのグループであるグループ2宛てのウェイクアップ信号1562が第2のWURチャネル上で送信される。グループに宛てられたWURフレームは可変長(VL)WURフレームであり、
図2に示されるフレームボディ250を含むことができるので、ウェイクアップ信号1562は、ウェイクアップ信号1560よりも長い可能性が高い。この場合、より長いウェイクアップ信号1562の複製がヌル信号1564として使用され、ウェイクアップ信号1562と同じデータ速度で第3のWURチャネルで送信される。ウェイクアップ信号1560がより短いため、第1のWURチャネル上の送信はより早く終了し、これにより、WUR PPDU1550のWUR部分のエネルギーレベルが低下する可能性がある。これを防ぐために、パディングフィールド1566は、WUR PPDU1550の終了に送信終了時間を合わせるために、ウェイクアップ信号1560の最後に追加される。パディングフィールド1566は、すべてが1、またはすべてが0の系列であってもよく、または1と0が交互に並ぶ系列であってもよく、ウェイクアップ信号1560のWURデータフィールドと同じデータ速度で送信される。
【0034】
(第5の実施形態)
先に、
図4に示すように、20MHz 802.11チャネル内の複数の狭いサブチャネルを定義する狭帯域マルチチャネルWUR動作を、マルチチャネルWUR動作を生成するための1つの方法として導入した。同様に、同じ20MHz802.11チャネル内のサブチャネル上の複数のウェイクアップ信号の同時送信として、狭帯域FDMA WUR送信方式が導入された。
図16には、マルチチャネルWUR動作を実現する代替方法が示されており、そこでは、20MHz802.11チャネル内に単一のWURチャネルのみが定義されているが、BSS内で、複数の20MHz802.11チャネルを、WUR信号を運ぶために使用することができる。狭帯域マルチチャネルWUR動作と区別するために、このような方法は、広帯域マルチチャネルWUR動作として知られ得る。広帯域マルチチャネルWUR動作では、単一のWURチャネルが20MHz802.11チャネル内に定義されているため、実際には20MHzチャネルの狭い部分のみがウェイクアップ信号の送信に使用されているにも関わらず、その20MHzチャネル自体がWURチャネルと称され得る。周波数領域で複数の20MHz802.11チャネルが連続している場合、複数のウェイクアップ信号を同時に送信してもよい。特殊なケースとして非連続80+80MHzチャネルでは、80+80MHzチャネル内の各連続80MHz内で複数のウェイクアップ信号が同時に送信されてもよい。複数の20MHz802.11チャネルが含まれているため、これを広帯域FDMA WUR送信と称することができる。広帯域FDMA WUR送信の2つの例を
図16に示す。WUR PPDU1600は、広帯域FDMA WUR送信方式を使用することによって、40MHzで2つのウェイクアップ信号を同時に運ぶWUR PPDUの例である。2つのWUR STA、WUR STA1およびWUR STA2は、それぞれ隣接するWURチャネル1620および1622上に割り当てられる。WUR PPDU1600のレガシー802.11プリアンブルおよびBPSKマークシンボルは、802.11nおよび802.11acのnon-HT複製PPDUフォーマットと同様に、各20MHzチャネルで複製され40MHz全体で送信される。ウェイクアップ信号1630はWUR STA1宛てであり、WURチャネル1620上で送信され、ウェイクアップ信号1632はWUR STA2宛てであり、WURチャネル1622上で送信される。
【0035】
同様に、WUR PPDU1640は、広帯域FDMA WUR送信方式を使用することによって、80MHzで4つのウェイクアップ信号を同時に運ぶWUR PPDUの例である。4つのWUR STA、WUR STA1、WUR STA2、WUR STA3およびWUR STA4は、それぞれ隣接するWURチャネル1650、1652、1654、および1656上に割り当てられる。WUR PPDU1640のレガシー802.11プリアンブルおよびBPSKマークシンボルは、各20MHzチャネルで複製され、80MHz全体で送信される。ウェイクアップ信号1660はWUR STA1宛てであり、WURチャネル1650上で送信され、ウェイクアップ信号1662はWUR STA2宛てであり、WURチャネル1652上で送信され、ウェイクアップ信号1664はWUR STA3宛てであり、WURチャネル1654上で送信され、ウェイクアップ信号1666はWUR STA4宛てであり、WURチャネル1656上で送信される。WUR STAの能力の観点では、20MHzチャネルごとに1つのWURチャネルしか割り当てられていないため、WUR STAは、広帯域FDMA方式で送信されるウェイクアップ信号を受信できるように特別なハードウェア能力を持つ必要はない。したがって、
図6の表650に列挙されるWURデバイスクラスは、クラスAおよびクラスBデバイスに分化する必要のみがあり、両方のクラスはFDMA WUR送信を受信することができる。
【0036】
広帯域マルチチャネルWUR動作がBSS内で動作している場合、個別に宛てられたWURフレームの受信は、異なるWURチャネルに割り当てられたWUR STAに認識される。しかしながら、APが他のWURチャネルで送信したブロードキャストWURフレームを受信しないWUR STAの問題は引き続き残っている。
図7の送信方式700および
図9の送信方式900は、同じ20MHzチャネル内ではなく、WURチャネルが異なる20MHzチャネル上にあることを除いて、広帯域マルチチャネルWUR動作の場合にも適用可能である。広帯域マルチチャネルWUR動作では、WURチャネルがPCRチャネルと同じ場合、PCRが使用するプライマリ20MHzチャネルをブロードキャストWURチャネルに指定することを推奨する。この場合、APはブロードキャストWURチャネルを通知する必要はない。しかしながら、WURチャネルがPCRチャネルと異なる場合、またはAPがPCRプライマリ20MHzチャネル以外の20MHzチャネルをブロードキャストWURチャネルとして指定することを何らかの理由で決定する場合、APは、
図5AのWUR動作エレメント500を使用してブロードキャストWURチャネルをアドバタイズする必要がある。APは、ブロードキャストWURフレームを(例えばWURビーコンフレームの場合、WUR PPDU750を使用して)ブロードキャストWURチャネルでのみ送信する。ブロードキャストWURチャネル以外のWURチャネルに割り当てられたすべてのWUR STAは、ブロードキャストWURチャネルに切り替えて、予期される送信時間にブロードキャストWURフレームを受信することができる。
【0037】
APが広帯域FDMA送信可能な場合、ブロードキャストWURフレームの問題は、すべての利用可能なWURチャネルでブロードキャストWURフレーム(スケジュールされたか、またはスケジュールされていないかのいずれでも)を同時に送信する広帯域FDMA送信を使用することによって解決され得る。例示的な送信1700を
図17に示す。WUR CH1 1710、WUR CH2 1712、WUR CH3 1714およびWUR CH4 1716の4つのWURチャネルがBSSで定義されており、WUR STA1、WUR STA2、WUR STA3およびWUR STA4にそれぞれ割り当てられている。WURチャネルWUR CH1 1710、WUR CH2 1712、WUR CH3 1714およびWUR CH4 1716は、それぞれ20MHzチャネル1760、1762、1764および1766内に位置する。時刻1720において、APは、4つのWURチャネルすべてにおいて同じブロードキャストWURフレーム1730を含むWUR PPDUを送信する。これにより、割り当てられたWURチャネルに関わらず、すべてのWUR STAがブロードキャストWURフレーム1730を受信することを確実にする。WURビーコンフレームをブロードキャストWURフレーム1730の例として、WUR PPDU1750は、WURビーコンフレーム1730を運ぶために使用されてもよい。WUR PPDU1750は、同じ信号が20MHzチャネル1760、1762、1764および1766のそれぞれに複製された広帯域FDMA方式を使用して80MHzにわたって送信される。送信の信頼性を確保するために、WURビーコンフレーム1730は、低データ速度で送信されることが予想され、この場合、WUR同期フィールド1770は、
図3のWUR PPDUフォーマット300に示されるように構成される。しかしながら、WURビーコンフレーム1730が高データ速度で送信される場合、WUR同期フィールド1770は、
図3のWUR PPDUフォーマット350に示されるように構成される。送信方式1700は、ブロードキャストWURフレームの受信がどのWUR STAにも認識でき、チャネル切り替えなどの追加の動作を必要としないため、WUR STAにとって好ましい場合がある。しかしながら、この方式では、APに広帯域FDMA送信が可能であることを要求する。
【0038】
WUR PPDUが広帯域FDMA送信を使用して送信されるとき、APは、異なるWUR STA宛ての複数のウェイクアップ信号を同時に送信することができる。しかしながら、APは、広帯域FDMA方式を使用してWUR PPDUを送信する前にIEEE802.11広帯域チャネルアクセスルールに従う必要があり、ルールの1つは、BSSのプライマリ20MHzチャネルがすべての広帯域送信に含まれることを必要とする。
図18は、広帯域FDMA WUR送信方式を使用して80MHzにわたって4つのウェイクアップ信号を同時に含むことができるWUR PPDU1800を示す。3つのWUR STA、WUR STA1、WUR STA2およびWUR STA3は、それぞれ隣接する20MHzチャネル1810、1812および1814上に割り当てられ、2つのWUR STA、WUR STA4およびWUR STA5は、20MHzチャネル1816上に割り当てられる。さらに、WUR STA4およびWUR STA5は、APによってグループ4の一部としてグループ化される。チャネル1810はBSSのプライマリ20MHzチャネルであり、チャネル1812はセカンダリ20MHzチャネルであり、チャネル1814および1816は共にセカンダリ40MHzチャネルを構成する。IEEE802.11チャネルアクセスルールに従うと、WUR STA4またはWUR STA5のいずれかをウェイクアップする必要がある場合は、それらのSTAがセカンダリ40MHzチャネルに割り当てられているため、APは、80MHz全体にわたりWUR PPDU1800を送信する必要がある。しかしながら、送信時にAPはWUR STA1、WUR STA4、WUR STA5のみをウェイクアップする必要があり、WUR STA2およびWUR STA3をウェイクアップする必要はない可能性がある。このような場合、APはチャネル1812および1814でウェイクアップ信号を送信する必要がないため、ウェイクアップ信号の代わりにチャネル1812、1814でヌル信号1824を送信することを提案する。レガシー802.11プリアンブルおよびBPSKマークは、4つすべての20MHzチャネルで送信され、WUR STA1 1820のウェイクアップ信号はチャネル1810で送信され、グループ4 1826のウェイクアップ信号はチャネル1816で送信される。グループに宛てられたWURフレームは可変長(VL)WURフレームであり、
図2に示されるフレームボディ250を含むことができるため、ウェイクアップ信号1826は、個別に宛てられたウェイクアップ信号1820よりも長い可能性が高い。したがって、チャネル1810上の送信はより早く終了し、これにより、WUR PPDU1800のWUR部分のエネルギーレベルが低下し得る。これは、アイドルプライマリ20MHzチャネルが、WUR PPDU1800の送信の終了前に広帯域PPDUの送信を開始する機会を別の802.11に与え、それによってウェイクアップ信号に干渉を引き起こし得るため、特にリスクが高い。これを防ぐために、パディングフィールド1822は、WUR PPDU1800の終了に送信終了時間を合わせるために、ウェイクアップ信号1820の最後に追加される。パディングフィールド1822は、すべてが1、またはすべてが0の系列であってもよく、または1と0が交互に並ぶ系列であってもよく、ウェイクアップ信号1820のWURデータフィールドと同じデータ速度で送信される。4つすべての20MHzチャネルのレガシー802.11プリアンブルのL-SIGフィールドは、WUR PPDU1800の長さと同じPPDU長さを通知する。ヌル信号1824は、
図11、
図13、
図14、または
図15の文脈で上記にて説明したように、様々な方法で構成され得る。また、ヌル信号1824が明示的に定義されなくてもよく、ヌル信号が、空のWURチャネル上でエネルギーを生成するためにAPが任意のフォーマットで送信するものでもよい。例えば、ヌル信号1824は、すべてが1、またはすべてが0の系列、または1と0が交互に並ぶ系列、または、WUR PPDU1800内の有効なウェイクアップ信号と同様の送信電力で送信される、任意の他のベンダー固有の信号であってもよい。
図18には示されていないが、1826がWUR PPDU1800に含まれる唯一の有効なウェイクアップ信号であり、APがWUR STA1をウェイクアップする必要がない場合、ヌル信号1824がプライマリ20MHzチャネル1810上で送信される可能性もある。
【0039】
(第6の実施形態)
図10において、中央4MHz WURチャネルのいずれかの側のOFDMサブキャリアのいくつかをヌルチャネルとして定義し、その上でヌル信号を送信することを含む、WURパケット中CCA誤検出のリスクを低減するWUR PPDUの送信方法が提案された。WURパケット中CCA誤検出問題は、広帯域FDMA送信を使用するときにも関連するため、この方法は、広帯域FDMA送信方式にも拡張することができる。
図19は、
図10のチャネル1050と同様の様式で20MHzチャネル1902、1904、1906および1908内にヌルチャネルが定義される例を示す。WUR STA6もチャネル1810上に割り当てられることを除き、
図18に説明されるように同様のシナリオが生じる。APが送信する必要のあるのは、WUR STA1への個別宛ウェイクアップ信号1820と、WUR STA6への個別宛ウェイクアップ信号1920と、グループ4 1930へのグループ宛ウェイクアップ信号のみである。グループ4 1930のウェイクアップ信号が十分に長い場合、ウェイクアップ信号1820にパディングを追加する代わりに、APがウェイクアップ信号1920をウェイクアップ信号1820に連結することも可能である。これは、WUR PPDU1900のWUR部分のエネルギーレベルをチャネル1902上で維持すると同時にWUR送信効率を向上させるのに役立つ。
図19ではFDMA中に連結が示されているが、コード領域多重化を行う場合にも連結が発生する可能性がある。高データ速度のウェイクアップ信号が低データ速度のウェイクアップ信号と多重化されるときに、低データ速度のWUR信号が連結長と等しいか、またはそれより長い場合、複数の高データ速度のウェイクアップ信号が連結され得る。加えて、WURパケット中CCA誤検出問題のリスクを低減するために、APはまた、チャネル1902および1904の中央の空のWURチャネルだけでなく、20MHzチャネルのそれぞれのすべてのヌルチャネル上でヌル信号1962を送信する。これにより、WUR PPDU1900のWUR部分中のエネルギーレベルが上昇し、それにより、他の802.11デバイスのクリアチャネル評価(CCA:Clear Channel Assessment)中にWUR PPDU1900が検出される確率が上昇する。
【0040】
(第7の実施形態)
また、前述したように、APは、広帯域FDMA方式を使用してWUR PPDUを送信する前に、IEEE802.11広帯域チャネルアクセスルールに従う必要がある。IEEE802.11広帯域チャネルアクセスルールに従って、20MHzよりも広いチャネルでPPDUを送信する前に、STAは、
1.プライマリ20MHzチャネルでバックオフ手順を実行する。
2.意図された送信時間の1PIFS前に、セカンダリチャネルのアクティビティがチェックされる(-72dBmのミッドアンブル検出または-62dBmのED)。送信時に、プライマリ20MHzチャネルがアイドル状態であり、セカンダリチャネルのいずれにもアクティビティがない場合、広帯域PPDUが送信され得る。しかしながら、プライマリ20MHzチャネルがアイドル状態であるが、セカンダリチャネルにアクティビティがある場合、アクティビティがないプライマリチャネル(プライマリ20、プライマリ40、またはプライマリ80)でのみ送信が許可される。
【0041】
図20を参照すると、チャネル1810はBSSのプライマリ20MHzチャネルであり、チャネル1812はセカンダリ20MHzチャネルであり、チャネル1814および1816は共にセカンダリ40MHzチャネルを構成する。WUR STAへのチャネルの割り当ては、
図18に説明されるものと同様である。IEEE802.11広帯域チャネルアクセスルールに従うと、WUR STA4またはWUR STA5のいずれかをウェイクアップする必要がある場合、それらのSTAがセカンダリ40MHzチャネルに割り当てられているため、APは、4つの20MHzチャネル1810、1812、1814および1816がすべてアイドル状態である場合にのみ、広帯域FDMA方式を使用してウェイクアップ信号2066を送信することができる。チャネル1816がアイドル状態であるが、他の3つの20MHzチャネル1810、1812、または1814のうちのいずれか1つがアイドル状態でない場合でも、APはチャネル1816上で送信することができない。例えば、
図20では、チャネル1812は、ビジー(アイドルではない)であることが検出され、他の3つの20MHzチャネル1810、1814および1816はアイドルである。IEEE802.11広帯域チャネルアクセスルールが、チャネル1812上での送信を許可せず、結果としてチャネル1814およびチャネル1816上での送信も許可しないことの背後にある動機は、チャネル1812上で進行するいかなる送信に対しても干渉の可能性を防止することである。これは、APがセカンダリ40MHzに割り当てられたWUR STAをウェイクアップするためには、80MHz全体がアイドル状態でなければならないことを意味する。プライマリ20がアイドル状態になる確率よりも、80MHz全体がアイドル状態になる確率がはるかに低いため、APは頻繁にウェイクアップされる必要があるWUR STAをプライマリ20に割り当てるべきである。
【0042】
IEEE802.11広帯域チャネルアクセスルールを変更して、以下のような広帯域FDMA送信方式の修正バージョンを許容すると、広帯域FDMA送信の効率が向上し得る;修正バージョンでは、ビジーであるセカンダリチャネルでの送信がスキップされ得るが、アイドル20MHzチャネルでは、レガシープリアンブル、BPSKマークおよびウェイクアップ信号を送信することが許可される。修正された広帯域FDMA送信方式は、パンクチャド広帯域FDMA送信方式と称され得、スキップされたチャネルは、パンクチャされていると言われることがある。
図20に、提案されたパンクチャド広帯域FDMA方式を使用して送信される例示的なWUR PPDU2000を示す。WUR STAへのチャネルの割り当ては、
図18で説明されるものと同様である。APが送信する必要のあるのは、WUR STA1への個別宛ウェイクアップ信号2060と、グループ4 2066へのグループ宛ウェイクアップ信号のみである。レガシー802.11プリアンブルおよびBPSKマークは、ビジーであるチャネル1812上では送信がスキップされる一方、3つのアイドルチャネル上では送信される。ウェイクアップ信号2060はチャネル1810上で送信され、ウェイクアップ信号2066はチャネル1816上で送信される。グループに宛てられたWURフレームは、個別に宛てられたWURフレームよりも長いため、パディング2062がウェイクアップ信号2060の最後に追加される。チャネル1814上の空のWURチャネル上でヌル信号2064が送信される。ビジーであるセカンダリ20MHzチャネル1812上では何も送信されないため、パンクチャド広帯域FDMA送信方式は、APが、ビジーであるチャネル1812上の任意の継続的な送信に干渉することなく、プライマリ20MHzチャネルならびにセカンダリ40MHzチャネル1814および1816上で送信することを可能にする。チャネル1812での送信はスキップされても、WUR PPDU2000は、80MHz波形を用いて送信される。80MHz802.11チャネル2070は、312.5 KHzのサブキャリア間隔で-128から127にインデックスされる256個のOFDMサブキャリアから構成される。256個のサブキャリアは、64個の連続するサブキャリアの4つのグループに分割され得、各グループは20MHzチャネルを構成する。例えば、{-128,-65}に位置するサブキャリアはチャネル1810を構成し得、{-64,-1}に位置するサブキャリアはチャネル1812を構成し得、{0,63}に位置するサブキャリアはチャネル1814を構成し得、{64,127}に位置するサブキャリアはチャネル1816を構成し得る。WUR PPDU2000は、チャネル1812を構成する{-64,-1}に位置するサブキャリアをヌリングする(すなわち、入力しない)ことによって、広帯域FDMA方式の修正されたバージョンを使用して送信され得る。WUR STAにおいては、ウェイクアップ信号の受信は容易に認識でき、宛先であるWUR STAは、WUR PPDU2000がパンクチャド広帯域FDMA方式を使用して送信されたことを認識する必要はない。20MHzのチャネルをパンクチャする主な目的は、ビジーであるチャネルでの送信を回避することであるが、どのチャネルをパンクチャするかはAPが決定する。自身のCCAの結果に加えて、APはまた、WUR STAのチャネル状態の知識を利用して、どのチャネルをパンクチャするかを決定し得る。APはまた、ウェイクアップ信号を何も送信する必要がないチャネルにおいて、ヌル信号を送信する代わりに、そのチャネルをパンクチャすることを選択し得る。例えば、APはまた、WUR PPDU2000を送信するときに、チャネル1812に加えてチャネル1814をパンクチャしてもよい。しかしながら、プライマリ20MHzチャネルはパンクチャできない。APがプライマリ20MHzチャネル上でいかなるウェイクアップ信号も送信する必要がなく、非プライマリチャネル上でのみウェイクアップ信号を送信する必要がある特殊な状況では、APはプライマリ20MHzチャネル上でヌル信号を送信する一方で、ウェイクアップ信号を送信する必要がないチャネルをパンクチャし得る。例えば、APがWUR STA1をウェイクアップする必要がない場合、APは、WUR PPDU2000の送信時に、チャネル1810上でヌル信号2064を送信し、チャネル1812および1814をパンクチャし得る。
【0043】
図21は、パンクチャド広帯域FDMA送信方式として可能性のある、様々な異なる構成を示し、グレーアウトされた領域はパンクチャされたチャネルを意味する。ここでP20はプライマリ20MHzを指し、S20はセカンダリ20MHzを指し、S40はセカンダリ40MHzを指し、接尾記号1と2はセカンダリ40MHzの前半および後半を区別する。同様にS80は、セカンダリ80MHzを指し、接尾記号1~4は、セカンダリ80MHz内の4つの20MHzチャネルを区別する。2100は、パンクチャド広帯域FDMA送信方式を使用して送信される80MHz WUR PPDUの可能な構成である。基本的なルールは、プライマリ20MHzチャネルをパンクチャすることができず、セカンダリ40MHz内の少なくとも1つの20MHzチャネルでウェイクアップ信号を送信する必要がある、というものになる。WUR PPDU2110、2112および2114では、単一の20MHzチャネルがパンクチャされ、WUR PPDU2116および2118では、2つの20MHzチャネルがパンクチャされる。
【0044】
網羅的ではないが、2150は、パンクチャド広帯域FDMA送信方式を使用して送信される160MHzまたは80+80MHzのWUR PPDUの代表的な構成である。ここでの基本ルールは、プライマリ20MHzチャネルをパンクチャすることができず、セカンダリ80MHz内の少なくとも1つの20MHzチャネルでウェイクアップ信号を送信する必要がある、というものである。WUR PPDU2152、2154、2156は、1つまたは2つの20MHzチャネルのみがパンクチャされる、よくありそうなケースを表すが、WUR PPDU2160および2162は、プライマリ80MHzおよびセカンダリ80MHzのそれぞれにおいて、単一の20MHzチャネルのみがウェイクアップ信号を含む、極端なケースを表す。パンクチャド広帯域FDMA送信方式は、非プライマリチャネルに割り当てられたWUR STAにウェイクアップ信号を送信する際にAPに大きな柔軟性を提供することが分かる。
【0045】
広帯域FDMA方式を使用して送信されるWUR PPDUに含まれるウェイクアップ信号の受信はWUR STAには容易に認識でき、WUR STAはWUR PPDUに使用される帯域幅を認識する必要はないが、PCRモードの他の802.11デバイスがWUR PPDUの帯域幅を認識することは有益である。802.11デバイスは、主にプライマリ20MHzチャネルで802.11のプリアンブルを聴取するため、WUR PPDUのレガシー802.11のプリアンブルは、非プライマリ20MHzチャネルでは見逃される可能性が高く、したがって、WURパケット中CCA誤検出問題は、非プライマリ20MHzチャネルで発生する可能性が高い。
図22に、広帯域FDMA方式を用いて送信されるWUR PPDU2200の帯域幅を通知する方法を示す。BPSKマーク2220の主な目的は、802.11nデバイスがWURパケット2200を802.11nパケットであると誤って復号することを防止することであるが、WUR PPDU2200の帯域幅を通知するために使用されてもよい。BPSKマーク2220は、IEEE802.11仕様書に指定されているレート1/2畳み込みエンコーダを使用してBCC(バイナリ畳み込みコード:Binary Convolution Code)で符号化され、24の情報ビットを含むことができる。可能性のある、BPSKマークの2つのフォーマットを
図22に示す。BPSKマーク2220の、可能性のある一つのフォーマット2230は、BSSを表す6ビットBSSカラー2232、WUR PPDU2200の帯域幅を示す2ビットBWフィールド2234、8ビットCRCフィールド2236、および6ビットBCCテールビットフィールド2238の4つのフィールドに分割される。表2240はBWフィールド2234の符号化を示し、値0、1、2および3はそれぞれ20MHz、40MHz、80MHz、160MHz/80+80MHz WUR PPDUを表す。8ビットBWフィールド2254および4ビットCRCフィールド2256を使用する、BPSKマーク2220のもう一つのフォーマット2250も可能である。BWフィールド2254は、WUR PPDUの帯域幅内の20MHzチャネルの状態をそれぞれ表す8ビットビットマップ2260を含む。1に設定されたビットは、20MHzチャネルが情報を含むことを表し、0に設定されたビットは、パンクチャド20MHzチャネルを表すか、または20MHzチャネルがWUR PPDUの一部ではないことを表す。
【0046】
前述のように、複数のWURチャネルがBSS内で動作している場合、WUR STAは異なるWURチャネルに割り当てられ得る。WUR STAは、WURモードにある間、割り当てられたWURチャネルのみを聴取するため、そのWUR STAは、APが他のWURチャネルで送信したブロードキャストWURフレームを受信しない場合がある。
図17に記載されるような、FDMA方式を使用した複数のWURチャネルでのブロードキャストWURフレームの同時送信は、あり得る1つの解決策である。しかしながら、例えばWURチャネルが互いに隣接していない場合や、APまたはWUR STAがFDMA能力を有していない場合など、いくつかのシナリオでFDMA送信が不可能である場合がある。
図23では、ブロードキャストWURフレームがすべてのWURチャネル上で独立して送信される、代替的な解決策2300が示される。3つのWUR STA、WUR STA1、WUR STA2およびWUR STA3は、それぞれWUR CH1 2310、WUR CH2 2312およびWUR CH3 2314に割り当てられる。特定のケースとしてWURビーコンを例に取ると、BSS全体に単一のWURビーコンを使用する代わりに、APは、各WURチャネルに独立したWURビーコンを割り当てることができる。各WURビーコンの送信時刻および周期は、各WURチャネル上のWUR STAのニーズに適合するようにカスタマイズされ得、APは、
図5AのWUR動作エレメント500内の、特定のWUR動作チャネルセットのWURビーコン周期534およびTWBTTオフセット536を、各WURチャネル上のWURビーコンのパラメータをアドバタイズするのに使用してもよい。WURビーコンに含まれる部分TSFも、異なるWURチャネルに対しては異なる解像度を有してもよい。WURビーコン2322は、WUR BI1 2324の周期で、TWBTT2320、TWBTT2350などで、WUR CH1 2310上で送信され、WURビーコン2332は、WUR BI2 2334の周期で、TWBTT2330、TWBTT2360などで、WUR CH2 2312上に送信され、WURビーコン2342は、WUR BI3 2344の周期で、TWBTT2340、TWBTT2370などで、WUR CH3 2314上に送信される。APは、異なるWURチャネルに割り当てられたWUR STAの同期ニーズに応じて、WURビーコン周期WUR BI1 2324、WUR BI2 2334およびWUR BI3 2344をカスタマイズし得る。例えば、WURビーコン周期は、APと非常に緊密なクロック同期を必要とするWUR STAに対しては短くしてもよい(例えば、0.5秒)。WURビーコンに含まれる部分TSFもまた、このような場合には、より高い解像度(例えば2μs)にしてもよい。同様に、APとの非常にタイトなクロック同期を必要としないWUR STAに対するWURビーコン周期は、比較的長くてもよい(例えば、1秒)。WURビーコンに搭載されている部分TSFもまた、このような場合には、より低い解像度(例えば8μs)にしてもよい。
【0047】
(アクセスポイントの構成)
図24は、本開示に記載の送信方式を実装する例示的なAPのPCR2400のブロック図である。APは、
図1のAP110であってもよい(PCR2400は、
図1のPCR112であってもよい)。PCR2400はアンテナ2402に接続されており、802.11信号の送受信およびWUR PPDUの送信に使用される。PCR2400は、RF/アナログフロントエンド2410、PHY処理回路2420およびMAC処理回路2430から構成される。
【0048】
RF/アナログフロントエンド2410は、アンテナ2402への/からのアナログ信号の転送を担当し、自動ゲイン制御(AGC)、ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)、アナログ対デジタル変換器(ADC:Analog-to-Digital Converter)などのサブ構成要素を含んでもよい。
【0049】
PHY処理回路2420は、PHY層信号の処理を担当し、OFDM変調器/復調器2422、チャネルチューナ2424およびWUR FDMAモジュール2426からさらに構成される。OFDM変調器/復調器2422は、送信信号のOFDM変調または受信したOFDM信号の復調を担当する。送信側では、OFDM変調を802.11PPDUに適用すること以外に、OFDM変調器/復調器2422を使用して、選択されたOFDMサブキャリアを埋めることによってWUR信号(例えばOOK)を生成する。チャネルチューナ2424は、通信周波数を、送信または受信のための正しいチャネル、例えば、PCR信号の送信または受信のためのPCRチャネル、またはWUR PPDUSの送信のための正しいWUR動作チャネルに設定するために使用される。APがFDMA送信可能である場合、WUR FDMAモジュール2426が存在し、FDMA送信が使用されるときにWUR信号の多重化に使用される。
【0050】
MAC処理回路2430は、再送信、フラグメント、アグリゲーションなどの様々なMAC関連処理を担当し、WURフレームジェネレータ2432およびWURヌル信号ジェネレータ2434からさらに構成される。WURフレームジェネレータ2432は、APによって送信されるWUR PPDU内に含まれるWURフレームを生成し、正しい時刻に送信するようにスケジュールすることを担当している。WURヌル信号ジェネレータ2434は、WURチャネル上のWURフレームの代わりに送信されるヌル信号およびヌルチャネル上で送信されるヌル信号を生成することを担当している。
【0051】
図25は、
図1のAP110であってもよい例示的AP2500のより詳細なブロック図である。AP2500は、メモリ2520に接続された中央処理ユニット(CPU)2530、二次ストレージ2540、1つまたは複数の無線インターフェース2550および他の有線通信インターフェース2570を含む。二次ストレージ2540は、関連する命令コード、データなどを永久に記憶するために使用される不揮発性コンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0052】
起動時に、CPU2530は、命令コードならびに関連データを、実行のために揮発性メモリ2520にコピーしてもよい。命令コードは、AP2500の動作に必要なオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、デバイスドライバ、実行コードなどであり得る。命令コードのサイズおよび、それにしたがって二次ストレージ2540およびメモリ2520の両方の記憶容量は、
図27のSTA2700の記憶容量よりも相当大きくてもよい。
【0053】
AP2500はまた、電源2510を含んでもよく、電源2510は、ほとんどの場合、商用電源であってもよいが、場合によっては、例えば、カーバッテリーのような、ある種の大容量バッテリーであってもよい。有線通信インターフェース2570は、イーサネットインターフェース、または電力線インターフェース、または電話回線インターフェースなどであってもよい。
【0054】
無線インターフェース2550は、セルラー通信のためのインターフェース、またはZigbeeなどの短距離通信プロトコルのためのインターフェースを含んでもよく、またはWLANインターフェースであってもよい。無線インターフェース2550はさらに、MACモジュール2552およびPHYモジュール2560を備えてもよい。APのMACモジュール2552は、
図27のSTA2700よりも相当複雑であり得、多くのサブモジュールを備え得る。多くのサブモジュールの中には、MACモジュール2552は、WURフレームジェネレータ2556、PCRペイロードジェネレータ2554およびWURヌル信号ジェネレータ2258を含んでもよい。PHYモジュール2560は、MACモジュールデータの送受信信号へ/からの変換を担当し、OFDM変調器/復調器2562、チャネルチューナ2564およびWUR FDMAモジュール2566からさらに構成される。無線インターフェースもまた、PHYモジュールを介して、無線媒体上の/からの無線通信信号の実際の送受信を担当する1つまたは複数のアンテナ2502に接続され得る。
【0055】
本開示において、理解容易のために
図24および
図25に例示されていない多くの他の構成要素をAPが含んでもよい。本開示に最も関連する構成要素のみが例示される。
【0056】
(STAの構成)
図26は、802.11OFDM信号を送受信するPCR2630およびWUR PPDUを受信するWURx2610の2つの別個の無線部を備えたWUR STA2600を示す。
【0057】
WURx2610はさらに、アンテナ2602からのアナログ無線信号の受信を担当するRF/アナログフロントエンド2612、WUR PPDUのプリアンブル部分の検出および復号を担当するWURプリアンブル検出モジュール2614、ウェイクアップ信号のペイロード部分の復号および処理を担当するWURパケット復号/処理モジュール2616、WURxの正しいWURチャネルへのチューニングを担当するWURチャネルチューナ2622、ならびに、ブロードキャストWURフレームの受信のためにWURチャネルチューナ2622を正しくスケジュールすることを担当するWURチャネルスケジューラ2624などのいくつかのサブ構成要素から構成される。
【0058】
PCR2630は、RF/アナログフロントエンド2632、PHY処理回路2640およびMAC処理回路2644から構成される。RF/アナログフロントエンド2632は、アンテナ2602への/からのアナログ信号の転送を担当し、自動ゲイン制御(AGC)、ローパスフィルタ(LPF)、アナログ対デジタル変換器(ADC)などのサブ構成要素を含んでもよい。PHY処理回路2640は、PHY層信号の処理を担当し、送信OFDM信号の変調または受信OFDM信号の復調を担当するOFDM変調器/復調器2642からさらに構成される。
【0059】
図27は、
図1のWUR STA130、WUR STA140、WUR STA150、またはWUR STA160のいずれかであり得る例示的なSTA2700の詳細なブロック図である。STA2700は、メモリ2720に接続された中央処理ユニット(CPU)2730、二次ストレージ2740、PCRインターフェース2750、およびWURインターフェース2760から構成される。PCRインターフェース2750およびWURインターフェース2760の両方は、同じ無線アンテナ2702に接続される。二次ストレージ2740は、関連する命令コード、データなどを永久に記憶するために使用される不揮発性コンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0060】
起動時に、CPU2730は、命令コードならびに関連データを、実行のために揮発性メモリ2720にコピーし得る。命令コードは、STA2700の動作に必要なオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、デバイスドライバ、実行コードなどであり得る。STA2700はまた、電源2710を備えてもよく、例えば、リチウムイオン電池またはコインセル電池などであってもよいが、電源2710はまた、商用電源であってもよい。PCRインターフェース2750は、セルラー通信のためのインターフェース、またはZigbeeなどの短距離通信プロトコルのためのインターフェースを備えてもよく、またはWLANインターフェースであってもよい。
【0061】
PCRインターフェース2750は、MACモジュール2752およびPHYモジュール2754から構成され、PHYモジュール2754はさらにOFDM変調器/復調器2756から構成される。
WURインターフェース2760は、アンテナ2702からアナログ無線信号を受信することを担当するRF/アナログフロントエンド2762、ウェイクアップ信号のプリアンブル部分の検出および復号化を担当するWURプリアンブル検出モジュール2764、ウェイクアップ信号のペイロード部分の復号化および処理を担当するWURパケット復号/処理モジュール2766、WURインターフェースを正しいWURチャネルにチューニングすることを担当するWURチャネルチューナ2768、ならびに、ブロードキャストWURフレームの受信のためにWURチャネルチューナ2768を正しくスケジューリングすることを担当するWURチャネルスケジューラ2770などのいくつかのサブ構成要素から構成される。
【0062】
本開示において、理解容易のために
図26または
図27に例示されていない多くの他の構成要素をSTAが含んでもよい。本開示に最も関連するこれらの構成要素のみが例示される。
【0063】
本開示は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアと連携するソフトウェアによって実現することができる。上述の各実施形態の説明で使用される各機能ブロックは、集積回路などのLSIによって部分的または全体的に実現され得、各実施形態で説明される各プロセスは、同じLSIまたはLSIの組み合わせによって部分的または全体的に制御され得る。LSIは、個々にチップとして形成されてもよく、または機能ブロックの一部またはすべてを含むように1つのチップが形成されてもよい。LSIは、それに接続されたデータ入力および出力を含んでもよい。ここでのLSIは、集積度の違いに応じてIC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIと称され得る。しかしながら、集積回路を実装する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実現され得る。また、LSI製造後にプログラミング可能なFPGA (フィールドプログラマブルゲートアレイ:Field Programmable Gate Array)、ならびにLSI内部に配置された回路セルの接続および設定を再構成可能な再構成プロセッサを用いてもよい。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実現することができる。半導体技術やその他の派生技術の進歩により、将来の集積回路技術がLSIに代わる場合、将来の集積回路技術を用いて機能ブロックを統合することができる。バイオテクノロジーもまた、応用することができる。
【0064】
半導体技術の進歩や技術に由来する他の技術により、LSIに代わる回路集積技術が現れた場合には、将来の集積回路技術を用いて機能ブロックを集積することができる。別の可能性は、バイオテクノロジーなどの応用である。
【0065】
本開示は、通信機能を有する任意の種類の装置、デバイスまたはシステムによって実現することができ、これを通信装置と称する。
【0066】
そのような通信装置のいくつかの非限定的な例としては、電話(例えば、携帯電話(セルラー)電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例えば、ラップトップ、デスクトップ、ネットブック)、カメラ(例えば、デジタルスチール/ビデオカメラ)、デジタルプレーヤ(デジタルオーディオ/ビデオプレーヤ)、ウェアラブルデバイス(例えば、ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、追跡デバイス)、ゲーム機、デジタルブックリーダ、遠隔保健/遠隔医療(リモートヘルスおよび医療)デバイス、ならびに通信機能を提供する車両(例えば、自動車、飛行機、船)およびこれらの様々な組み合わせが挙げられる。
【0067】
通信装置は、携帯可能または移動可能であることに限定されず、スマートホームデバイス(例えば、家電、照明、スマートメータ、コントロールパネル)、自動販売機、およびその他任意の、「モノのインターネット(IOT)」のネットワーク内の「モノ」など、携帯不能または固定的である任意の種類の装置、デバイス、またはシステムを含んでもよい。
【0068】
通信は、例えば、セルラーシステム、無線LANシステム、衛星システムなど、およびこれらの様々な組み合わせを介してデータを交換することを含んでもよい。
【0069】
通信装置は、本開示に記載の通信の機能を実行する通信デバイスに接続されたコントローラまたはセンサなどの装置を含んでもよい。例えば、通信装置は、その通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号またはデータ信号を生成する制御装置またはセンサを含んでもよい。
【0070】
通信装置はまた、ベースステーション、アクセスポイントなどのインフラ設備および、上記の非限定的な例のような装置と通信または制御する任意の他の装置、デバイス、またはシステムを含んでもよい。
【0071】
明細書、図面および要約を含む2018年1月11日に出願された米国仮出願第62/616,274号、ならびに2018年4月25日に出願された日本特許出願第2018-084417号の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示は、無線装置に適用されて、別の無線ネットワークへのより高速なローミングを実現するか、または初期リンク設定中のスキャンレイテンシを削減することができる。
【符号の説明】
【0073】
110、2500 AP
120 STA
130、140、150、160、2600、2700 WUR STA
112、122、132、142、152、162、2400、2630、2750 PCR
134、144、154、164、2610、2760 WURx
2402、2502、2602、2702 アンテナ
2410、2612、2632、2762 RF/アナログフロントエンド
2420、2640 PHY処理回路
2422、2562、2642、2756 OFDM変調器/復調器
2560、2754 PHYモジュール
2622、2768 WURチャネルチューナ
2624、2770 WURチャネルスケジューラ
2432、2556 WURフレームジェネレータ
2424、2564 チャネルチューナ
2430、2644 MAC処理回路
2552、2752 MACモジュール
2554 PCRペイロードジェネレータ
2510、2710 電源
2520、2720 メモリ
2530、2730 CPU
2540、2740 二次ストレージ
2550 無線I/F
2570 有線通信I/F
2614、2764 WURプリアンブル検出モジュール
2616、2766 WURパケット復号/処理モジュール