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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】プロピレン重合のための触媒構成成分
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/658 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
C08F4/658
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2020544577
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018059311
(87)【国際公開番号】W WO2019094347
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】62/585,137
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/057980
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】マリン,ウラジーミル・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ヒントレイ,アーメド
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104558263(CN,A)
【文献】特表2011-508053(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104558288(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105566524(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106866848(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106496377(CN,A)
【文献】特開平11-228618(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102875704(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/00-4/82
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン重合のための固体触媒構成成分であって、
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物エポキシ化合物との反応生成物
有機リン化合物と、
チタン化合物と、
有機ケイ素化合物と、
以下の式:
【化1】

又は
【化2】

式中、
~R 14 及びR 21 ~R 34 のそれぞれは、独立して、H、F、Cl、Br、I、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、
qは、0~12の整数である、
によって表される化合物を含む内部電子供与体と、
を含み、
前記固体触媒構成成分が、カルボン酸又はその無水物とマグネシウム化合物又はチタン化合物との間に副反応生成物を含まず、
前記固体触媒構成成分が、5マイクロメートル~70マイクロメートル(体積基準で50%)の粒径を有する、オレフィン重合のための固体触媒構成成分。
【請求項2】
担持供与体を更に含有し、前記担持供与体が、前記内部電子供与体とは異なり、前記担持供与体が、エーテル、スクシネート、モノアリールエステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、アクリレート、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、又は2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物を含む、請求項1に記載の固体触媒構成成分。
【請求項3】
前記有機ケイ素化合物がSi-O又はO-Si-O基を含有する、請求項1又は2に記載の固体触媒構成成分。
【請求項4】
アルミニウム化合物を更に含有する、請求項1又は2に記載の固体触媒構成成分。
【請求項5】
前記固体触媒構成成分が、100m /g~500m /gのBET表面積を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
【請求項6】
前記固体触媒構成成分が、有機酸とマグネシウム化合物又はチタン化合物との間にいかなる副反応生成物をも含まない、請求項1~のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
【請求項7】
前記有機リン化合物がリン酸エステルを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
【請求項8】
有機アルミニウム化合物及び少なくとも1種の選択性制御剤と組み合わされて、請求項1~のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分を含有する、触媒系。
【請求項9】
活性制限剤を更に含む、請求項に記載の触媒系。
【請求項10】
前記活性制限剤が、C4~C30脂肪族酸エステル、ジエーテル、又はC4~C30脂肪族酸のポリ(アルケングリコール)エステルを含む、請求項に記載の触媒系。
【請求項11】
前記選択性制御剤が、ジメチルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、又はこれらの混合物を含む、請求項8、9、又は10に記載の触媒系。
【請求項12】
エポキシ化合物が、以下の式:
【化3】

式中、
aは、1、2、3、4、又は5であり、
Xは、アルキル、F、Cl、Br、Iであり、
は、H、アルキル、アリール、又はシクリルである、
によって表される、請求項1~のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
【請求項13】
前記内部電子供与体が、直鎖又は環状ジエーテル、及び非フタル酸芳香族ジエステルからなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
【請求項14】
前記ハロゲン化物含有マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム、及びこれらのうちでいずれか2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1~7及び12~13のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
【請求項15】
前記有機リン化合物が、以下の式によって表され、
【化4】

式中、R、R、及びRは、それぞれ独立してC~C10アルキルである、請求項1~7及び12~14のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
【請求項16】
前記有機ケイ素化合物が、式(II)で表されるシラン、シロキサン又はポリシロキサンであり、
Si(OR’)4-n(II)
式中、
各Rは、H、アルキル、又はアリールであり、
各R’は、H、アルキル、アリール、又はSiRn’(OR’)3-nであり、
nは、0、1、2、又は3である、請求項1~7及び12~15のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
【請求項17】
重合プロセスであって、
請求項1~のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分、有機アルミニウム化合物、及び所望により外部電子供与体の存在下で、オレフィンを重合することを含む、重合プロセス。
【請求項18】
前記オレフィンがまた、シラン化合物を含む少なくとも1種の選択性制御剤の存在下で、及び所望により活性制限剤の存在下で重合される、請求項17に記載の重合プロセス。
【請求項19】
前記活性制限剤が、重合中に存在し、C4~C30脂肪族酸エステル、ジエーテル、又はC4~C30脂肪族酸のポリ(アルケングリコール)エステルを含む、請求項18に記載の重合プロセス。
【請求項20】
粒子が0.6以上のB/L3を有するような粒子形態を有するポリマー粒子が生成される、請求項17、18、又は19に記載の重合プロセス。
【請求項21】
オレフィン重合のための固体触媒構成成分の調製プロセスであって、前記プロセスが、
a)ハロゲン化物含有マグネシウム化合物を混合物中に溶解する工程であって、前記混合物が、エポキシ化合物、有機リン化合物、及び炭化水素溶媒を含み、均質な溶液を形成する工程と、
b)前記均質な溶液を、有機ケイ素化合物の存在下で第1のチタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成する工程と、
c)前記固体沈殿物を、非フタル酸電子供与体の存在下で第2のチタン化合物で処理して、前記固体触媒構成成分を形成する工程と、を含み、
前記プロセスは、カルボン酸及び無水物を含まず、
前記第1のチタン化合物及び前記第2のチタン化合物は、それぞれ独立して以下の式で表され、
Ti(OR)4-g
各Rは独立してC1~C4アルキルであり、
Xは、Br、Cl、又はIであり、
gは、0、1、2、又は3であり、
前記有機ケイ素化合物は、O-Si-O若しくはSi-O-Si基、又はこれらの両方を含有する、オレフィン重合のための固体触媒構成成分の調製プロセス。
【請求項22】
前記均質な溶液を担持供与体で処理する工程を更に含み、前記担持供与体が、ジエーテル、スクシネート、モノアリールエステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、アクリレート、又はこれらの混合物を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記非フタル酸電子供与体が、前記担持供与体とは異なり、前記非フタル酸電子供与体が、アリールジエステル、ジエーテル、スクシネート、有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、又は少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物、又はこれらの混合物を含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
アルミニウムアルコキシドの存在下で前記均質な溶液を形成する工程を更に含む、請求項21、22、又は23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記アルミニウムアルコキシドが、式Al(OR’)を有し、各R’が、個別にC~C20炭化水素である、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記非フタル酸電子供与体が、前記固体沈殿物が形成される前後において追加される、請求項21、22、23、24、又は25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記エポキシ化合物が、以下の式によって表されるグリシジル含有化合物であり、
【化5】

式中、
aは、1、2、3、4、又は5であり、
Xは、アルキル、F、Cl、Br、Iであり、
は、H、アルキル、アリール、又はシクリルである、請求項21~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記エポキシ化合物が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、1,2-エポキシヘキサン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシテトラデカン、1,2-エポキシヘキサデカン、1,2-エポキシオクタデカン、7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン、2-ビニルオキシラン、2-メチル-2-ビニルオキシラン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,2-エポキシ-7-オクテン、1-フェニル-2,3-エポキシプロパン、1-(1-ナフチル)-2,3-エポキシプロパン、1-シクロヘキシル-3,4-エポキシブタン、1,3-ブタジエンジオキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、シクロペンテンオキシド、シクロオクテンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3-エポキシノルボルナン、リモネンオキシド、シクロデカンエポキシド、2,3,5,6-ジエポキシノルボルナン、スチレンオキシド、3-メチルスチレンオキシド、1,2-エポキシブチルベンゼン、1,2-エポキシオクチルベンゼン、スチルベンオキシド、3-ビニルスチレンオキシド、1-(1-メチル-1,2-エポキシエチル)-3-(1-メチルビニルベンゼン)、1,4-ビス(1,2-エポキシプロピル)ベンゼン、1,3-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、1,2-エポキシ-4-フルオロブタン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-フルオロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-2-フルオロベンゼン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-クロロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-3-クロロベンゼン、4-フルオロ-1,2-シクロヘキセンオキシド、6-クロロ-2,3-エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-フルオロスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシプロピル)-3-トリフルオロベンゼン、3-アセチル-1,2-エポキシプロパン、4-ベンゾイル-1,2-エポキシブタン、4-(4-ベンゾイル)フェニル-1,2-エポキシブタン、4,4’-ビス(3,4-エポキシブチル)ベンゾフェノン、3,4-エポキシ-1-シクロヘキサノン、2,3-エポキシ-5-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3-アセチルスチレンオキシド、4-(1,2-エポキシプロピル)ベンゾフェノン、グリシジルメチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルへキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチル3,4-エポキシブチルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジル4-tert-ブチルフェニルエーテル、グリシジル4-クロロフェニルエーテル、グリシジル4-メトキシフェニルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル4-インドリルエーテル、グリシジルN-メチル-α-キノロン-4-イルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-ジグリシジルオキシベンゼン、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ポリ(オキシプロピレン)トリオールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラックのグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-メトキシシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-メトキシスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシブチル)-2-フェノキシベンゼン、ギ酸グリシジル、酢酸グリシジル、酢酸2,3-エポキシブチル、酪酸グリシジル、安息香酸グリシジル、ジグリシジルテレフタレート、ポリ(アクリル酸グリシジル)、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、アクリル酸グリシジルと別のモノマーとのコポリマー、メタクリル酸グリシジルと別のモノマーとのコポリマー、1,2-エポキシ-4-メトキシカルボニルシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、エチル4-(1,2-エポキシエチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)-5-フェニルベンゾエート、N,N-グリシジル-メチルアセトアミド、N,N-エチルグリシジルプロピオンアミド、N,N-グリシジルメチルベンズアミド、N-(4,5-エポキシペンチル)-N-メチル-ベンズアミド、N,N-ジグリシルアニリン、ビス(4-ジグリシジルアミノフェニル)メタン、ポリ(N,N-グリシジルメチルアクリルアミド)、1,2-エポキシ-3-(ジフェニルカルバモイル)シクロヘキサン、2,3-エポキシ-6-(ジメチルカルバモイル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(ジメチルカルバモイル)スチレンオキシド、4-(1,2-エポキシブチル)-4’-(ジメチルカルバモイル)ビフェニル、4-シアノ-1,2-エポキシブタン、1-(3-シアノフェニル)-2,3-エポキシブタン、2-シアノスチレンオキシド、及び6-シアノ-1-(1,2-エポキシ-2-フェニルエチル)ナフタレン、からなる群から選択される、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記非フタル酸電子供与体が、次式のうちの1つによって表される化合物を含む、
【化6】

又は
【化7】

式中、
~R 14 及びR 21 ~R 34 のそれぞれは、独立して、H、F、Cl、Br、I、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、
qは、0~12の整数である、請求項21~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記非フタル酸電子供与体が、直鎖又は環状ジエーテル、及び非フタル酸芳香族ジエステルからなる群から選択される、請求項21~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記均質な溶液を前記第1のチタン化合物で処理する工程が、有機エステル及び前記有機ケイ素化合物、有機エステル及びアルミニウムアルコキシド、又は有機エステル、有機ケイ素化合物、及びアルミニウムアルコキシドの存在下で実施されて、前記固体沈殿物を形成する、請求項21~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記ハロゲン化物含有マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム、及びこれらのうちでいずれか2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項21~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記有機リン化合物が、以下の式によって表され、
【化8】

式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、C~C10アルキルである、請求項21~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記有機ケイ素化合物が、式(II)で表されるシラン、シロキサン又はポリシロキサンであり、
Si(OR’)4-n(II)
式中、
各Rは、H、アルキル、又はアリールであり、
各R’は、H、アルキル、アリール、又はSiRn’(OR’)3-nであり、
nは、0、1、2、又は3である、請求項21~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記有機ケイ素化合物が、ポリジアルキルシロキサン、テトラアルコキシシラン、又はこれらのうちでいずれか2種以上の混合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
アルミニウムアルコキシドが、アルミニウムイソプロポキシドである、請求項25に記載のプロセス。
【請求項37】
前記担持供与体が、ギ酸メチル、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソブチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-メチル安息香酸メチル、p-t-ブチル安息香酸エチル、ナフトエ酸エチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、又はエトキシ安息香酸エチル、を含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項38】
オレフィンモノマーを重合又は共重合するプロセスであって、オレフィンモノマーを、請求項21~37のいずれか一項に記載の前記触媒構成成分と接触させて、有機アルミニウム化合物の存在下で、及びシラン化合物を単独で又は活性制限剤と組み合わせて含む少なくとも1種の選択性制御剤の存在下で、ポリオレフィンポリマーを形成することを含む、プロセス。
【請求項39】
粒子が、0.6以上のB/L3を有するような粒子形態を有するポリマー粒子が生成される、請求項38に記載の重合プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
(関連出願)
本出願は、米国特許仮出願番号第62/585,137号(2017年11月13日出願)、及び国際出願US2018/057980号(2018年10月29日出願)に基づき、その優先権を主張するものであり、その両方が参考として本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]
(発明の分野)
本開示は、重合触媒構成成分の製造プロセス、その触媒構成成分から形成される触媒系、その触媒系の製造方法、並びに記載されている触媒系を使用するオレフィンポリマー及びコポリマーに関する。より具体的には、触媒構成成分がフタル酸を含まないものに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]
ポリオレフィンは、単純オレフィン由来のポリマーの一分類である。ポリオレフィンを製造する周知の方法は、チーグラー-ナッタ型重合触媒の使用を伴う。これらの触媒は、オレフィンモノマーを遷移金属ハロゲン化物を用いてを重合し、様々な種類の立体化学的配置を有するポリマーを提供する。
【0004】
[0004]
チーグラー・ナッタ触媒系の1つの種類は、その上にチタン化合物及び内部電子供与体化合物が担持されているハロゲン化マグネシウムによって構成される、固体触媒構成成分を含む。アイソタクチックポリマー生成物に高い選択性を維持するためには、触媒合成中に、内部電子供与体化合物を追加しなければならない。内部の供与体には種々の種類があり得る。従来、ポリマーに高い結晶化度が必要とされる場合には、外部の供与体化合物もまた重合反応中に追加される。
【0005】
[0005]
過去30年間にわたって、オレフィン重合化反応においてはるかに高い活性を与え、その触媒により作られるポリマー中の結晶性アイソタクチック断片の含有量がより高くなる、多くの担持型チーグラー・ナッタ触媒が開発されてきた。内部及び外部の電子供与体化合物が開発されることにより、ポリオレフィン触媒系は継続的に改新されている。
【0006】
[0006]
触媒形態の制御は、ポリオレフィンの工業生産工程の重要な一態様である。触媒形態特性には、粒径、粒径分布、粒子形状、及び表面の質感が含まれる。
【0007】
[0007]
触媒形態特性は、例えば嵩密度、流動性、脱ガス性、及び粒子付着性のような、ポリマー粉末の特性に影響を及ぼす。このような特性は、工場の稼働効率に大いに影響を及ぼす。例えば、好適ではない触媒形態は、ポリマー形態の制御での不具合をもたらし得るが、このような不具合は、工場の稼働において、例えばファウリング又はシーティングのような深刻なトラブルにつながり得る。
【0008】
[0008]
これらの理由により、良好な形態に制御された(粒径及び粒子形状の要件を満たし、粒径分布が狭い範囲に収まっており、嵩密度が高く、かつ付着性が低い)MgCl担持触媒が所望されている。
【0009】
[0009]
MgCl担持触媒に対する一般的な製造スキームには、MgCl担体の作製、TiCU及びルイス塩基の含浸、並びに内部の供与体をMgCl表面に担持させるプロセスが含まれる。MgCl担持触媒の調製方法の1つは、Mg(OR)Cl又はMg(OR)を、芳香族又はハロゲン化溶媒で希釈された過剰なTiClと反応させることである。このような場合、MgCl担体は、マグネシウム化合物とTiClとの間の反応から形成され、固体担体の沈殿中又は沈殿後に、内部の供与体がプロセスに追加される。
【0010】
[0010]
別の方法では、アルコキシマグネシウム錯体を、最初に電子供与体の前駆体と反応させ、次にTiClと反応させる。本プロセスでは、電子供与体の前駆体が、MgClの形成中に望ましい内部の供与体に変換される。
【0011】
[0011]
別の方法では、固体のMgClが、MgCl触媒を調製するために使用される。固体のMgClは、アルコールなどの好適な溶媒中に溶解している。次に溶液は、TiClで処理されて、MgCl担持触媒を沈殿させる。例えば、MgClは、熱いエタノール中に溶解させ、冷却したヘキサン中、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の存在下で沈殿させることができる。
【0012】
[0012]
米国特許第6,376,417号、同第4,784,983号、及び同第4,861,847号は、有機化合物、有機リン化合物、及び均質な溶液を形成するための不活性希釈剤からなる溶媒系に、マグネシウムのハロゲン化物を溶解させ、均質な溶液をチタンのハロゲン化物と混合して混合物を形成し、補助沈殿剤の存在下で、固形物を混合物から沈殿させ、固形物を、ポリカルボン酸エステルで処理して、エステルを固形物上に充填し、かつエステル充填固形物を、チタンのハロゲン化物と不活性希釈剤とで処理することにより調製される、オレフィン重合において使用される触媒系を記載している。米国特許第9,714,302号は、固体触媒の調製に使用されるカルボン酸、無水物、及びフタル酸の使用を必要とする。しかし、重合プロセス中により高い及び/又はより長い活性を有する、向上したチーグラー・ナッタ触媒が、当該技術分野において必要とされている。向上した形態を有するポリマー粒子を製造することが可能な触媒の必要性も存在する。
【発明の概要】
【0013】
[0013]
一態様では、ポリプロピレンなどのポリオレフィンの製造のための固体触媒構成成分を調製するプロセスが提供され、本プロセスは、
a)ハロゲン化物含有マグネシウム化合物を混合物中に溶解する工程であって、混合物が、エポキシ化合物、有機リン化合物、及び炭化水素溶媒を含み、均質な溶液を形成する工程と、
b)均質な溶液を、有機ケイ素化合物の存在下で第1のチタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成する工程と、
c)固体沈殿物を、非フタル酸電子供与体の存在下で第2のチタン化合物で処理して、固体触媒構成成分を形成する工程と、を含み、
式中、
本プロセスはカルボン酸及び無水物を含まず、
第1のチタン化合物及び第2のチタン化合物は、それぞれ独立して以下の式で表される。
【0014】
Ti(OR)gX4-g、
各Rは、独立してC1~C4アルキルであり、
Xは、Br、Cl、又はIであり、また
gは、0、1、2、又は3であり、かつ
有機ケイ素化合物は、O-Si-0若しくはSi-O-Si基、又はこれらの両方を含有する。
【0015】
[0014]
エポキシ化合物は、以下の式により表されるグリシジル含有化合物を含んでよく、
【0016】
【化1】
【0017】
式中、
aは、1、2、3、4、又は5であり、
Xは、アルキル、F、Cl、Br、Iであり、また
は、H、アルキル、アリール、又はシクリルである。
【0018】
[0015]
上記の実施形態のいずれかにおいて、Xはメチル、エチル、F、Cl、Br、又はIである。更にその他の実施形態では、エポキシ化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、1,2-エポキシヘキサン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシテトラデカン、1,2-エポキシヘキサデカン、1,2-エポキシオクタデカン、7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン、2-ビニルオキシラン、2-メチル-2-ビニルオキシラン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,2-エポキシ-7-オクテン、1-フェニル-2,3-エポキシプロパン、1-(1-ナフチル)-2,3-エポキシプロパン、1-シクロヘキシル-3,4-エポキシブタン、1,3-ブタジエンジオキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、シクロペンテンオキシド、シクロオクテンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3-エポキシノルボルナン、リモネンオキシド、シクロデカンエポキシド、2,3,5,6-ジエポキシノルボルナン、スチレンオキシド、3-メチルスチレンオキシド、1,2-エポキシブチルベンゼン、1,2-エポキシオクチルベンゼン、スチルベンオキシド、3-ビニルスチレンオキシド、1-(1-メチル-1,2-エポキシエチル)-3-(1-メチルビニルベンゼン)、1,4-ビス(1,2-エポキシプロピル)ベンゼン、1,3-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、1,2-エポキシ-4-フルオロブタン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-フルオロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-2-フルオロベンゼン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-クロロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-3-クロロベンゼン、4-フルオロ-1,2-シクロヘキセンオキシド、6-クロロ-2,3-エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-フルオロスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシプロピル)-3-トリフルオロベンゼン、3-アセチル-1,2-エポキシプロパン、4-ベンゾイル-1,2-エポキシブタン、4-(4-ベンゾイル)フェニル-1,2-エポキシブタン、4,4’-ビス(3,4-エポキシブチル)ベンゾフェノン、3,4-エポキシ-1-シクロヘキサノン、2,3-エポキシ-5-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3-アセチルスチレンオキシド、4-(1,2-エポキシプロピル)ベンゾフェノン、グリシジルメチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルへキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチル3,4-エポキシブチルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジル4-tert-ブチルフェニルエーテル、グリシジル4-クロロフェニルエーテル、グリシジル4-メトキシフェニルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル4-インドリルエーテル、グリシジルN-メチル-α-キノロン-4-イルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-ジグリシジルオキシベンゼン、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ポリ(オキシプロピレン)トリオールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラックのグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-メトキシシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-メトキシスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシブチル)-2-フェノキシベンゼン、ギ酸グリシジル、酢酸グリシジル、酢酸2,3-エポキシブチル、酪酸グリシジル、安息香酸グリシジル、ジグリシジルテレフタレート、ポリ(アクリル酸グリシジル)、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、アクリル酸グリシジルと別のモノマーとのコポリマー、メタクリル酸グリシジルと別のモノマーとのコポリマー、1,2-エポキシ-4-メトキシカルボニルシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、エチル4-(1,2-エポキシエチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)-5-フェニルベンゾエート、N,N-グリシジル-メチルアセトアミド、N,N-エチルグリシジルプロピオンアミド、N,N-グリシジルメチルベンズアミド、N-(4,5-エポキシペンチル)-N-メチル-ベンズアミド、N,N-ジグリシジルアニリン、ビス(4-ジグリシジルアミノフェニル)メタン、ポリ(N,N-グリシジルメチルアクリルアミド)、1,2-エポキシ-3-(ジフェニルカルバモイル)シクロヘキサン、2,3-エポキシ-6-(ジメチルカルバモイル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(ジメチルカルバモイル)スチレンオキシド、4-(1,2-エポキシブチル)-4’-(ジメチルカルバモイル)ビフェニル、4-シアノ-1,2-エポキシブタン、1-(3-シアノフェニル)-2,3-エポキシブタン、2-シアノスチレンオキシド、及び6-シアノ-1-(1,2-エポキシ-2-フェニルエチル)ナフタレン、からなる群から選択される。
【0019】
[0016]
上記の実施形態のいずれかにおいて、工程a)及びb)は、ジ-(C~C12)-アルキルエーテルの存在下で実施されてよい。
【0020】
[0017]
上記の実施形態では、プロセスはまた、工程a)における、エポキシ有機化合物を含む有機溶媒中でのMg-化合物の溶解中又は溶解後の、有機ケイ素化合物の追加を含んでよい。例示的な有機ケイ素化合物としては、シラン、シロキサン、又はポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
いくつかの実施形態では、有機ケイ素化合物は、式(II)として表されてよく、
Si(OR’)4-n (II).
式(II)中、各Rは、H、アルキル、又はアリールであってよく、各R’は、H、アルキル、アリール、又は-SiRn’(OR’)3-nであってよく、式中、nは、0、1、2、又は3である。
【0022】
[0018]
いくつかの実施形態では、有機ケイ素は、モノマー又はポリマー化合物である。有機ケイ素化合物は、1分子内部又はその他の分子間に-Si-O-Si-基を含有してよい。有機ケイ素化合物のその他の例示的な例としては、ポリジアルキルシロキサン及び/又はテトラアルコキシシランが挙げられる。このような化合物は、個々に、又はこれらの組み合わせとして使用することができる。有機ケイ素化合物は、アルミニウムアルコキシドと第1の内部の供与体との組み合わせと共に使用されてよい。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサン及び/又はテトラエトキシシランが使用されてよい。上記のアルミニウムアルコキシドは、式Al(OR’)であってよく、式中、各R’は、個々に最大20個の炭素原子を有する炭化水素である。これは、各R’が、個々に、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオペンチル等であることを含んでよい。
【0023】
[0019]
上記のように、本プロセスは、非フタル酸電子供与体の存在下で行われ得る。一実施形態では、本プロセスは、担持供与体の存在下で行われ得る。一実施形態では、本プロセスは、担持供与体(第1の非フタル酸電子供与体であってもよい)の存在下、及び第2の非フタル酸電子供与体の存在下で行われる。
【0024】
[0020]
担持供与体又は第1の非フタル酸供与体としては、ジエーテル、スクシネート、酸素含有電子供与体(有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、及び2個~約30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物など)を挙げてよい。例えば、第1の非フタル酸供与体は、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロロ酢酸メチルジクロロ酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマロン酸ジエチル、ジブチルマロン酸ジエチル、シクロヘキサンカルボニルエチル、ジエチル1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、ジ-2-エチルヘキシル1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フタリド、エチレンカーボネート、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジエチル1,2-シクロヘキサンカルボン酸、ジイソブチル1,2-シクロヘキサンカルボン酸、ジエチルテトラヒドロフタレート及びナディン酸、ジエチルエステル、ジエチルナフタレンジカルボン酸、ジブチルナフタレンジカルボン酸、トリエチルトリメリット酸及びジブチルトリメリット酸、3,4-フランジカルボン酸エステル、1,2-ジアセトキシベンゼン、1-メチル-2,3-ジアセトキシベンゼン、2-メチル-2,3-ジアセトキシベンゼン、2,8-ジアセトキシナフタレン、エチレングリコールジピバレート、ブタンジオールピバレート、ベンゾイルエチルサリチル酸、アセチルイソブチルサリチル酸、アセチルサリチル酸、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-n-ブチル、セバシン酸ジ-n-オクチル、又はセバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、を含んでよい。
【0025】
[0021]
上記の実施形態のいずれかにおいて、担持供与体又は第1の非フタル酸供与体は、ギ酸メチル、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソブチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-メチル安息香酸メチル、p-t-ブチル安息香酸エチル、ナフトエ酸エチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、及びエトキシ安息香酸エチル、からなる群から選択されてよい。
【0026】
[0022]
上記の実施形態のいずれかにおいて、第2の非フタル酸電子供与体は、担持供与体とは異なる化合物を含んでもよく、ジエーテル、スクシネート、酸素含有電子供与体(有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2個~約30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、又は少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物など)である、化合物である。
【0027】
[0023]
上記の実施形態の多くにおいて、第2の非フタル酸供与体は、直鎖又は環状ジエーテル、及び非フタル酸芳香族ジエステルからなる群から選択されてよい。例えば、一実施形態では、第2の電子供与体は、アリールエステルを含んでよい。1つの特定の実施形態では、電子供与体は、置換1,2-フェニレンジ安息香酸を含んでよい。種々の電子供与体は、以下の式によって表される化合物を含んでよい。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
式中、R~R34のそれぞれは、独立して、H、F、Cl、Br、I、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、またqは0~12の整数である。
【0031】
[0024]
上記の実施形態のいずれかにおいて、均質な溶液を第1のチタン化合物で処理することは、有機エステル及び有機ケイ素化合物の存在下、有機エステル及びアルミニウムアルコキシドの存在下、又は有機エステル、有機ケイ素化合物、及びアルミニウムアルコキシドの存在下で実施されて、固体沈殿物を形成する。
【0032】
[0025]
上記の実施形態のいずれかにおいて、炭化水素溶媒は、芳香族溶媒、非芳香族溶媒、又はこれらのうちでいずれか2種以上の混合物を含む。
【0033】
[0026]
上記の実施形態の多くにおいて、炭化水素溶媒は、(C~C20-アルキル)ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、又はこれらのうちでいずれか2種以上の混合物を含む。例えば、炭化水素溶媒は、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、又はこれらのうちでいずれか2種以上の混合物を含んでよい。
【0034】
[0027]
上記の実施形態のいずれかにおいて、工程c)は、第1のチタン化合物、第2のチタン化合物、又はこれらの混合物による処理を、約-25℃~約150℃の温度で実施する。
【0035】
[0028]
上記の実施形態のいずれかにおいて、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム、及びこれらのうちでいずれか2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0036】
[0029]
上記の実施形態のいずれかにおいて、有機リン化合物は以下の式により表され、
【0037】
【化4】
【0038】
式中、R、R、及びRは、それぞれ独立してC~C10アルキルである。
[0030]
上記の実施形態では、ジ-(C~C12)アルキルエーテルは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、及びこれらのうちで2以上の混合物からなる群から選択されてよい。
【0039】
[0031]
上記の実施形態のいずれかにおいて、有機ケイ素化合物は、以下の式として表されるシロキサン又はポリシロキサンであってよい。
【0040】
Si(OR’)4-n
式中、
各Rは、H、アルキル、又はアリールであり、
各R’は、H、アルキル、アリール、又はSiRn’(OR’)3-nであり、また
nが、0、1、2、又は3である。
【0041】
[0032]
本開示はまた、固体触媒構成成分を目的とする。固体触媒構成成分は、一実施形態では、
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物及びマグネシウム化合物とエポキシ化合物との反応生成物を含む、マグネシウム化合物と、
有機リン化合物と、
チタン化合物と、
Si-O基又はO-Si-O基を含有する有機ケイ素化合物と、
内部電子供与体であって、内部電子供与体が、アリールジエステル、1,2-フェニレンジ安息香酸、ジエーテル、スクシネート、有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、又は少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物、又はこれらの混合物を含む、内部電子供与体と、を含み、
固体触媒構成成分は、カルボン酸又はその無水物とマグネシウム化合物又はチタン化合物との間に副反応生成物を含まず、また
固体触媒構成成分は、約5マイクロメートル~約70マイクロメートル(体積基準で50%)の粒径を有する。
【0042】
[0033]
別の態様では、オレフィン重合に使用する触媒系が提供され、本触媒系は、上記プロセスのいずれかのプロセスによって生成される固体触媒構成成分、有機アルミニウム化合物、及び所望により、有機ケイ素化合物を含む。
【0043】
[0034]
上記の触媒系の実施形態のいずれかにおいて、有機アルミニウム化合物は、アルキル-アルミニウム化合物であってよい。例えば、有機アルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、又はトリ-n-オクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物であってよい。
【0044】
[0035]
別の態様では、ポリプロピレンモノマーを重合又は共重合するためのプロセスが提供され、本プロセスは、オレフィンモノマーのホモポリマー又はオレフィンモノマーの混合物のコポリマーを形成するために、オレフィン性モノマー又はオレフィン性モノマーの混合物を、上記触媒系のいずれかと接触させることを含んでよい。
【0045】
[0036]
オレフィンモノマーを重合又は共重合するプロセスであって、本プロセスは、ポリプロピレンモノマー、又は少なくとも1つのその他のオレフィンモノマーとのポリプロピレンの混合物を、本明細書に記載された触媒系と接触させて、ポリプロピレン又はポリプロピレンとオレフィンモノマーとのコポリマーを形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】[0037] 実施例5(比較例)の触媒構成成分で製造されたポリマーの顕微鏡図を示す。
図2】[0038] 実施例7の触媒構成成分で製造されたポリマーの顕微鏡図を示す。
図3】[0039] 実施例9の触媒構成成分で製造されたポリマーの顕微鏡図を示す。
図4】[0040] 実施例11の触媒構成成分で製造されたポリマーの顕微鏡図を示す。
図5】[0041] 実施例13(比較例)の触媒構成成分で製造されたポリマーの顕微鏡図を示す。
図6】[0042] 実施例23の触媒構成成分で製造されたポリマーの顕微鏡図を示す。
図7】[0043] 実施例34の触媒構成成分で製造されたポリマーの顕微鏡図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[0044]
いくつかの代表的な実施形態を説明する前に、以下の説明において記載される構造又はプロセス工程の詳細部分に、本発明は限定されないということを理解すべきである。本発明はその他の実施形態において実施することが可能であり、種々の方法で実践又は実行されることが可能である。
【0048】
[0045]
本明細書をとおして、「一実施形態(one embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、「1つ以上の実施形態(one or more embodiments)」、又は「一実施形態(an embodiment)」に言及する場合には、それは、その実施形態に関連して述べられた特定の機能、構造、材料、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれる、ということを意味する。従って、例えば「1つ以上の実施形態では(in one or more embodiments)」、「特定の実施形態では(in certain embodiments)」、「一実施形態では(in one embodiment)」、又は「一実施形態では(in an embodiment)」などの語句が本明細書を通じて種々の場所で出現しているが、それらは、必ずしも同一の実施形態に言及するものではない。更に、特定の機能、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適なやり方で組み合わされてよい。
【0049】
[0046]
本明細書において、特定の実施形態への言及がされるが、これらの実施形態は、本発明の原理と用途とを単に例示するものである、と理解するべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び装置に対して種々の修正及び変更を加えることが可能であるということが、当業者には明らかであろう。従って、添付の請求項において請求される発明及びその同等物の範囲内に含まれる修正及び変更を含む、ということが意図されている。
【0050】
[0047]
チーグラー・ナッタ触媒系、チーグラー・ナッタ触媒用の担体、及びそれらの製造方法が、本明細書において記載される。触媒系の1つの態様は、オレフィンを重合化するための、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物とチタン化合物とを含有する固体触媒構成成分であり、その固体触媒構成成分は、実質的に球体形状又は回転楕円形状を有する。固体触媒構成成分は、要求にかなうチーグラー・ナッタ触媒を形成するために、1種類以上の外部及び/又は内部電子供与体、並びに有機アルミニウム化合物と組み合わせて用いられ得る。
【0051】
[0048]
本開示をとおして用いられる場合、用語「固体触媒構成成分」とは、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物及びチタン化合物を含有し、また所望により、主族金属アルキルと組み合わせた際に、要求にかなうチーグラー・ナッタ触媒系を形成するために有用な、1種類以上の内部電子供与体を含有する、プレ触媒を意味する。
【0052】
[0049]
チーグラー・ナッタ触媒系の典型的な使用法においては、固体触媒構成成分、電子供与体、及び有機アルミニウム化合物(主族金属アルキル)が、スラリー触媒系を形成し、そのスラリー触媒系は、不活性炭化水素媒体などの、任意の好適な液体を含有することができる。不活性炭化水素媒体の実施例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン及びケロシンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン及びメチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、塩化エチレン及びクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、及びこれらの混合物が挙げられる。スラリー媒体は、ヘキサン、ヘプタン、又は鉱油であり得る。スラリー媒体は、そこから固体触媒構成成分が沈殿する混合物を形成する際に用いられる希釈剤とは異なるものであり得る。
【0053】
[0050]
本明細書で記載された固形触媒担体は、任意の好適なチーグラー-ナッタ型重合触媒系において利用され得る。チーグラー・ナッタ触媒系は、1-アルケン(α-オレフィン)を重合化し、プロキラルな1-アルケンが重合された場合に、典型的には高いアイソタクチシティを有するポリマーを形成するために触媒するよう機能する、1種類の試薬又は複数の試薬の組み合わせを含む。用語「チーグラー・ナッタ触媒」は、1-アルケン重合化の触媒を担持可能な、遷移金属及び主族金属アルキル成分を有する任意の組成物を意味する。遷移金属成分は、典型的には、チタン又はバナジウムなどのIV族金属であり、主族金属アルキルは、典型的には、炭素-アルミニウム結合を有する有機アルミニウム化合物であり、また電子供与体は、芳香族エステルを含む多数の化合物のうちの任意のものであることができ、アルコキシシラン、アミン、及びケトンは、遷移金属成分と主族金属アルキル成分とへと追加される外部の供与体として使用することができる、あるいは、これらの成分の合成中に遷移金属成分と主族金属アルキル成分へと追加される、適切な内部の供与体として使用することができる。
【0054】
[0051]
チーグラー・ナッタ触媒に使用するための固体触媒構成成分の製造方法が本明細書に記載され、方法及び触媒は、カルボン酸又は無水物を含まない。カルボン酸及び/又は無水物を含まないことにより、触媒は、マグネシウム化合物を伴うカルボン酸及び/又は無水物とTiClとの間の反応の副生成物の不在故に高活性を提供し、これは、別の方法で、重合プロセスにおいて活性中心の不活性化をもたらし得る。
【0055】
[0052]
触媒/担体形態は、任意の市販のポリマーの製造プロセスにおいて考慮するための主要な要因である。触媒/担体形態を制御するために、変更可能な技術及びプロセスが使用される。このような技術の1つは、担体形成中に界面活性剤を使用することである。界面活性剤は、2つの液体間又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる化合物である。界面活性剤は、通常、極性有機化合物であり、また固体触媒から除去することができる、又は触媒表面上に部分的に留まることができる。界面活性剤はまた、主要な内部の供与体と相互作用する担持内部供与体として作用してよい、又は重合プロセス中に触媒活性中心を不活性化させる負成分として作用してよい。
【0056】
[0053]
第1の態様では、ポリプロピレンなどのポリオレフィンの製造のための固体触媒構成成分を調製するためのプロセスが提供される。本プロセスは、混合物中にハロゲン化物含有マグネシウム化合物を溶解させることを含み、この混合物は、エポキシ化合物、有機リン化合物、及び第1の炭化水素溶媒を含み、均質な溶液を形成する。次に、均質な溶液を、有機ケイ素化合物の存在下で第1のチタン化合物で処理し、また所望により、非フタル酸電子供与体及び/又は担持供与体で処理して、固体沈殿物を形成する。次に、沈殿物を、非フタル酸電子供与体の存在下で第2のチタン化合物で処理して、固体触媒構成成分を形成する。本プロセスは、カルボン酸及び無水物を含まない実施形態である。なお、均質な溶液の溶解及び処理は、連続的に又は同時に行われてもよい。最後に、第1及び第2のチタン化合物は、独立して、以下のように表される。
【0057】
Ti(OR)4-g
式中、各Rは、独立してC~Cアルキルであり、Xは、Br、Cl、又はIであり、gは、0、1、2、3、又は4である。
【0058】
[0054]
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物、エポキシ化合物、及び有機リン化合物を、炭化水素溶媒の存在下で反応させる。炭化水素溶媒としては、芳香族若しくは非芳香族溶媒、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の実施形態では、芳香族炭化水素溶媒は、トルエン及びC~C20アルキルベンゼンから選択される。特定の実施形態では、非芳香族炭化水素溶媒は、ヘキサン及びヘプタンから選択される。一実施形態では、炭化水素溶媒は、トルエンとヘキサンとの混合物である。別の実施形態では、炭化水素溶媒は、エチルベンゼンとヘプタンとの混合物である。特定の実施形態では、非芳香族溶媒と芳香族溶媒との比は、10:90~90:10重量%、又は30:70~70:30重量%、又は40:60~65:35重量%、又は50:50~45:55重量%である。
【0059】
[0055]
特定の実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物、エポキシ化合物、及び有機リン化合物は、約25~約100℃の第1の温度にて有機溶媒の存在下で反応して、均質な溶液を形成する。別の実施形態では、第1の温度は、約40~約90℃、又は約50~約70℃である。特定の実施形態では、マグネシウム化合物とアルキルエポキシドとのモル比は、約0.1:2~約2:0.1、又は約1:0.25~約1:4、又は約1:0.9~約1:2.2である。特定の実施形態では、マグネシウム化合物とルイス塩基とのモル比は、約1:0.1~約1:4、又は0.5:1~2.0:1、又は1:0.7~1:1である。理論に束縛されるものではないが、ハロゲンの原子が、マグネシウム化合物からエポキシ化合物に移譲され、エポキシド環が開かれて、マグネシウム原子と、新たに形成されたアルコキシド基の酸素原子との間に結合を有する、アルコキシドマグネシウム種を形成したと考えられる。本プロセス中、有機リン化合物は、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物のMg原子に配位し、存在するマグネシウム含有種の溶解度を増加させる。
【0060】
[0056]
固体触媒構成成分を調製するためのプロセスはまた、エポキシ化合物と共に、有機溶媒中でのマグネシウム化合物(Mg化合物)の溶解中又は溶解後の有機ケイ素化合物の追加を含んでよい。有機ケイ素化合物は、シラン、シロキサン、又はポリシロキサンであってよい。いくつかの実施形態における有機ケイ素化合物は、以下の化学式(II)として表されてよく、
Si(OR’)4-n (II).
式(II)中、各Rは、H、アルキル、又はアリールであってよく、各R’は、H、アルキル、アリール、又は-SiRn’(OR’)3-nであってよく、式中、nは、0、1、2、又は3である。
【0061】
[0057]
いくつかの実施形態では、有機ケイ素は、モノマー又はポリマー化合物である。有機ケイ素化合物は、1分子内部又はその他の分子間に-Si-O-Si-基を含有してよい。有機ケイ素化合物のその他の例示的な例としては、ポリジアルキルシロキサン及び/又はテトラアルコキシシランが挙げられる。このような化合物は、個々に、又はこれらの組み合わせとして使用することができる。有機ケイ素化合物は、アルミニウムアルコキシドと第1の内部の供与体との組み合わせと共に使用されてよい。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサン及び/又はテトラエトキシシランが使用されてよい。
【0062】
[0058]
上記のアルミニウムアルコキシドは、式Al(OR’)であってよく、式中、各R’は、個々に最大20個の炭素原子を有する炭化水素である。これは、各R’が、個々に、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオペンチル等であることを含んでよい。有機ケイ素化合物は、触媒構成成分調製中に酸化アルミニウムと反応し、それによって、Al-O-Si-0-結合を含有する化合物を形成すると考えられる。従って、これらの化合物は、触媒構成成分の合成の前に調製し、プロセスに直接追加することができる。
【0063】
[0059]
有機ケイ素化合物は、固体触媒構成成分を溶液から沈殿させるのに役立つ。有機ケイ素化合物からのSi-O基は、固体触媒構成成分の沈殿中にMg-化合物のMg原子に配位し、それによって、所望の触媒構成成分形態をもたらすと考えられている。この種類の配位は、通常、弱い。従って、固体触媒構成成分を第2のTi-化合物及び第2の非フタル酸内部供与体で処理する間、有機ケイ素化合物をMg化合物から置換して、高活性触媒構成成分を提供する。
【0064】
[0060]
無水物又は有機酸を含有するエポキシ媒体中のMg化合物を使用した固体触媒構成成分の沈殿により、エポキシ化合物と無水物又は有機酸との相互作用により形成された誘導体を含有する特定の副生成物がもたらされることが、知られている。これらの誘導体は、Mg原子に対して強く配位されたカルボニル基を含有し、最終触媒構成成分上に存在して、触媒活性中心を非活性化させることにつながり得る。有機酸及び/又は無水物を含まない本発明の触媒系は、前述の系のこれらの欠陥に対処する。
【0065】
[0061]
均質な溶液中の、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は、チタンハロゲン化物化合物で処理されて、固体沈殿物を形成する。第1の温度よりも高い第2の温度にまで溶液の温度を上げることができ、表面改質剤を追加して、相の形態を制御するようにすることが可能である。また、チタンハロゲン化物化合物で処理した場合に、非フタル酸電子供与体が追加される。第1の電子供与体は、溶液の粘性と極性とを変化させ、それが、沈殿した粒子の形態、特に、粒径、粒子形状、及び粒子密度に効果をもたらす。
【0066】
[0062]
上記のように、本プロセスは、非フタル酸供与体の存在下で実施される。一実施形態では、第1の非フタル酸供与体とも称され得る担持供与体が使用される。担持供与体又は第1の非フタル酸供与体は、ジエーテル、スクシネート、酸素含有電子供与体(有機エステル、ポリエステル、ポリヒドロキシエステル、複素環ポリエステル、無機エステル、脂環式ポリエステル、及び2個~約30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換エステルなど)であってよい。
【0067】
[0063]
例示的な第1の非フタル酸供与体又は担持供与体としては、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロロ酢酸メチルジクロロ酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマロン酸ジエチル、ジブチルマロン酸ジエチル、シクロヘキサンカルボニルエチル、ジエチル1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、ジ-2-エチルヘキシル1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フタリド、エチレンカーボネート、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジエチル1,2-シクロヘキサンカルボン酸、ジイソブチル1,2-シクロヘキサンカルボン酸、ジエチルテトラヒドロフタレート及びナディン酸、ジエチルエステル、ジエチルナフタレンジカルボン酸、ジブチルナフタレンジカルボン酸、トリエチルトリメリット酸及びジブチルトリメリット酸、3,4-フランジカルボン酸エステル、1,2-ジアセトキシベンゼン、1-メチル-2,3-ジアセトキシベンゼン、2-メチル-2,3-ジアセトキシベンゼン、2,8-ジアセトキシナフタレン、エチレングリコールジピバレート、ブタンジオールピバレート、ベンゾイルエチルサリチル酸、アセチルイソブチルサリチル酸、アセチルサリチル酸、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-n-ブチル、セバシン酸ジ-n-オクチル、又はセバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、が挙げられる。いくつかの実施形態では、第1の非フタル酸供与体は、ギ酸メチル、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソブチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-メチル安息香酸メチル、p-t-ブチル安息香酸エチル、ナフトエ酸エチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、又はエトキシ安息香酸エチル、である。
【0068】
[0064]
異なる担持供与体又は第1の内部の供与体及び溶媒の組み合わせを使用して、異なる形態、即ち、粒状及び/又は球状の触媒構成成分を生成することができる。具体的には、粒状担体を有する触媒構成成分は、芳香族又は炭化水素溶媒を有する第1の内部の供与体としてモノエステルを使用して製造することができ、一方で、球状型の触媒構成成分は、2種の溶媒(芳香族及び炭化水素)の混合物中で、2つ又は3つの異なる内部の供与体(例えば、モノエステル、ジアルキルエーテル及びアクリレート)を使用して生成され得る。
【0069】
[0065]
一実施形態では、担持供与体又は第1の内部電子供与体は、第2の非フタル酸電子供与体と共に使用される。第2の非フタル酸電子供与体は、第1の非フタル酸電子供与体とは異なる化合物を含んでもよく、またジエーテル、スクシネート、酸素含有電子供与体(有機エステル、ポリエステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリエステル、無機エステル、脂環式ポリエステル、及び2個~約30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換エステル、又は少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物など)である化合物である。いくつかの実施形態では、第2の非フタル酸供与体は、環状ジエーテルの直鎖、及び非フタル酸芳香族ジエステルからなる群から選択される。別の実施形態では、第2の内部電子供与体は、ジベンゾエート、ジアルキレート、及び/又はジアリレートであってよい。
【0070】
[0066]
追加の例示的な第2の非フタル酸電子供与体は、単独で、又は上記のいずれかと組み合わせて、以下の式によって表される化合物を含んでよい。
【0071】
【化5】
【0072】
【化6】
【0073】
式中、R~R34のそれぞれは、独立して、H、F、Cl、Br、I、OR33、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、qは0~12の整数であり、式中、R33は、アルキル又はヘテロアルキルである。その他の非フタル酸供与体はまた、本明細書に参照として組み込まれる米国特許第9,045,570号に、内部電子供与体として列挙されるようなものを含んでよい。
【0074】
[0067]
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物の例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウ厶、ヨウ化マグネシウム、及びフッ化マグネシウムが挙げられる。一実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は、塩化マグネシウムである。
【0075】
[0068]
例示的なエポキシ化合物としては、以下の式のグリシジル含有化合物が挙げられるが、これらに限定されず、
【0076】
【化7】
【0077】
式中、「a」は、1、2、3、4、又は5であり、Xは、F、Cl、Br、I、又はメチルであり、かつRは、H、アルキル、アリール、又はシクリルである。一実施形態では、アルキルエポキシドは、エピクロロヒドリンである。いくつかの実施形態では、エポキシ化合物は、ハロアルキルエポキシド又は非ハロアルキルエポキシドである。
【0078】
[0069]
いくつかの実施形態によれば、エポキシ化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、1,2-エポキシヘキサン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシテトラデカン、1,2-エポキシヘキサデカン、1,2-エポキシオクタデカン、7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン、2-ビニルオキシラン、2-メチル-2-ビニルオキシラン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,2-エポキシ-7-オクテン、1-フェニル-2,3-エポキシプロパン、1-(1-ナフチル)-2,3-エポキシプロパン、1-シクロヘキシル-3,4-エポキシブタン、1,3-ブタジエンジオキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、シクロペンテンオキシド、シクロオクテンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3-エポキシノルボルナン、リモネンオキシド、シクロデカンエポキシド、2,3,5,6-ジエポキシノルボルナン、スチレンオキシド、3-メチルスチレンオキシド、1,2-エポキシブチルベンゼン、1,2-エポキシオクチルベンゼン、スチルベンオキシド、3-ビニルスチレンオキシド、1-(1-メチル-1,2-エポキシエチル)-3-(1-メチルビニルベンゼン)、1,4-ビス(1,2-エポキシプロピル)ベンゼン、1,3-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、1,2-エポキシ-4-フルオロブタン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-フルオロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-2-フルオロベンゼン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-クロロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-3-クロロベンゼン、4-フルオロ-1,2-シクロヘキセンオキシド、6-クロロ-2,3-エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-フルオロスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシプロピル)-3-トリフルオロベンゼン、3-アセチル-1,2-エポキシプロパン、4-ベンゾイル-1,2-エポキシブタン、4-(4-ベンゾイル)フェニル-1,2-エポキシブタン、4,4’-ビス(3,4-エポキシブチル)ベンゾフェノン、3,4-エポキシ-1-シクロヘキサノン、2,3-エポキシ-5-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3-アセチルスチレンオキシド、4-(1,2-エポキシプロピル)ベンゾフェノン、グリシジルメチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルへキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチル3,4-エポキシブチルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジル4-tert-ブチルフェニルエーテル、グリシジル4-クロロフェニルエーテル、グリシジル4-メトキシフェニルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル4-インドリルエーテル、グリシジルN-メチル-α-キノロン-4-イルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-ジグリシジルオキシベンゼン、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ポリ(オキシプロピレン)トリオールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラックのグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-メトキシシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-メトキシスチレンオキシド、1-(,2-エポキシブチル)-2-フェノキシベンゼン、ギ酸グリシジル、酢酸グリシジル、酢酸2,3-エポキシブチル、酪酸グリシジル、安息香酸グリシジル、ジグリシジルテレフタレート、ポリ(アクリル酸グリシジル)、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、アクリル酸グリシジルと別のモノマーとのコポリマー、メタクリル酸グリシジルと別のモノマーとのコポリマー、1,2-エポキシ-4-メトキシカルボニルシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、エチル4-(1,2-エポキシエチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)-5-フェニルベンゾエート、N,N-グリシジル-メチルアセトアミド、N,N-エチルグリシジルプロピオンアミド、N,N-グリシジルメチルベンズアミド、N-(4,5-エポキシペンチル)-N-メチル-ベンズアミド、N,N-ジグリシルアニリン、ビス(4-ジグリシジルアミノフェニル)メタン、ポリ(N,N-グリシジルメチルアクリルアミド)、1,2-エポキシ-3-(ジフェニルカルバモイル)シクロヘキサン、2,3-エポキシ-6-(ジメチルカルバモイル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(ジメチルカルバモイル)スチレンオキシド、4-(1,2-エポキシブチル)-4’-(ジメチルカルバモイル)ビフェニル、4-シアノ-1,2-エポキシブタン、1-(3-シアノフェニル)-2,3-エポキシブタン、2-シアノスチレンオキシド、及び6-シアノ-1-(1,2-エポキシ-2-フェニルエチル)ナフタレン、からなる群から選択される。
【0079】
[0070]
有機リン化合物の例としては、トリアルキルリン酸エステルなどのリン酸エステルを挙げることができる。このような化合物は、式によって表すことができ、
【0080】
【化8】
【0081】
式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、メチル、エチル、及び直鎖又は分枝鎖(C~C10)アルキル基からなる群から選択される。一実施形態では、トリアルキルリン酸エステルは、トリブチルリン酸エステルである。
【0082】
[0071]
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物、エポキシ化合物、及び有機リン化合物を、炭化水素溶媒の存在下で接触させる。炭化水素溶媒としては、芳香族若しくは非芳香族溶媒、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の実施形態では、芳香族炭化水素溶媒は、トルエン及びC~C20アルキルベンゼンから選択される。特定の実施形態では、非芳香族炭化水素溶媒は、ヘキサン及びヘプタンから選択される。一実施形態では、炭化水素溶媒は、トルエンとヘキサンとの混合物である。別の実施形態では、炭化水素溶媒は、エチルベンゼンとヘプタンとの混合物である。特定の実施形態では、非芳香族溶媒と芳香族溶媒との比は、10:90~90:10重量%、又は30:70~70:30重量%、又は40:60~65:35重量%、又は50:50~45:55重量%である。
【0083】
[0072]
特定の実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物、エポキシ化合物、及び有機リン化合物は、約25~約100℃の第1の温度にて有機溶媒の存在下で接触して、均質な溶液を形成する。別の実施形態では、第1の温度は、約40~約90℃、又は約50~約70℃である。特定の実施形態では、マグネシウム化合物とアルキルエポキシドとのモル比は、約0.1:2~約2:0.1、又は約1:0.25~約1:4、又は約1:0.9~約1:2.2である。特定の実施形態では、マグネシウム化合物とルイス塩基とのモル比は、約1:0.1~約1:4、又は0.5:1~2.0:1、又は1:0.7~1:1である。理論に束縛されるものではないが、ハロゲンの原子が、マグネシウム化合物からエポキシ化合物に移譲され、エポキシド環が開かれて、マグネシウム原子と、新たに形成されたアルコキシド基の酸素原子との間に結合を有する、アルコキシドマグネシウム種を形成したと考えられる。有機リン化合物は、存在するマグネシウム含有種の溶解度を増加させるように機能する。
【0084】
[0073]
形成後、均質な溶液は、所望により、ハロゲン化剤で処理され得る。ハロゲン化剤は、マグネシウム原子に移譲可能な少なくとも1つのハロゲン原子を含有する、有機又は無機化合物であり得る。特定の実施形態では、ハロゲン化剤は塩素を含有する。特定の実施形態では、ハロゲン化剤は、アリノイルクロリド、アルカノイルクロリド、及びアルキルクロリドから選択される。特定の実施形態では、ハロゲン化剤は、安息香酸クロリド、フロイルクロリド、酢酸クロリド、直鎖又は分枝鎖(C~C)アルキルクロリド、及び(C~C)アルカノールクロリドから選択される。一実施形態では、ハロゲン化剤は、フタル酸クロリドであってよい。しかし、その他の実施形態では、触媒組成物は完全にフタル酸を含まなくてよい。その他の実施形態では、ハロゲン化剤は、HCl、TiClTiCl4-n、SiCl、RSiCl4-n、及びRAlCl4-nから選択され、Rは、アルキル、シクロアルキル、芳香族、又はアルコキシであり、nは、0<n<4を満たす整数である。特定の実施形態では、ハロゲン化剤とマグネシウム化合物とのモル比は、少なくとも1:1モル比である。
【0085】
[0074]
追加される第1のチタンハロゲン化物化合物とハロゲン化物含有マグネシウム化合物とのモル比は、約3:1~約15:1、又は約5:1~約10:1であってよい。
【0086】
[0075]
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物、エポキシ化合物、有機リン化合物及び有機ケイ素化合物の反応中に形成されるマグネシウム含有溶液は、分散体、コロイド、エマルション、及びその他の二相系の形態であり得る。均質な溶液は、従来の乳濁技法を用いて乳化することができるが、そうした技法には、攪拌、かき混ぜ、混合、高い剪断力及び/又は低い剪断力での混合、混合ノズル、アトマイザー、膜乳化法、音波粉砕、振動、微少溶液操作等の1つ以上が含まれる。
【0087】
[0076]
マグネシウム含有種相は溶媒相中に分散している。マグネシウム相を形成している液滴のサイズ及び形状は、温度を調製すること、溶媒の量を調節すること、攪拌のエネルギーを調製すること、及び表面改質剤を含む種々の添加剤を含めたり取り除いたりすることを組み合わせて制御可能である。チタン化合物の追加中の温度は、約-35℃~約15℃である。相分離及び/又はチタン化合物追加の後、混合物をより高い温度へと昇温させる。一実施形態では、より高い温度は、約15℃~約100℃である。別の実施形態では、温度は約20℃~約90℃、又は約50℃~約85℃、又は約60℃~85℃である。一実施形態では、混合物が低温と高温との間の温度である間に、表面改質剤が追加されて、溶媒相に囲まれたマグネシウム相が、球状の液滴に形成されるのを容易にする。即ち、表面改質剤を追加することにより、マグネシウム相の液滴の形態を制御するのを手助けすることが可能となる。
【0088】
[0077]
ハロゲン化チタン化合物を、付随する分子、又は配位有機リン化合物、有機ケイ素化合物、及び溶媒の分子を伴うマグネシウムアルコキシドの分子の群を含有するマグネシウム溶液へと追加する間、マグネシウムアルコキシドとハロゲン化チタン化合物との間で反応が発生して、ハロゲン化マグネシウム及びチタンハロゲン化物化合物とチタンアルコキシドとを伴うハロゲン化マグネシウムの錯体を形成する。
【0089】
[0078]
反応開始時(通常、低温:(-35~-20℃)では、ハロゲン化マグネシウム分子の新たに形成された付随基、及びハロゲン化チタン化合物とチタンアルコキシドとを伴うハロゲン化マグネシウムの錯体は、「油相液滴」(周囲のその他の媒体(溶媒)よりも高い粘度の液体)中に存在する。反応の継続中(反応温度は0~40℃に上昇する)、油相中のハロゲン化マグネシウム分子及びハロゲン化チタン化合物とチタンアルコキシドとを伴うハロゲン化マグネシウムの錯体が結晶化される。結晶化プロセスは、通常、固体中間触媒構成成分を形成する50~100℃の温度で完了する。
【0090】
[0079]
固体中間触媒構成成分(及び触媒構成成分)の形態(粒径及び形状)は、溶媒の極性、沈殿を制御する試薬、界面活性剤、添加剤、及びその他の存在を含む多くの要因に依存する。
【0091】
[0080]
特に、マグネシウム相を形成している液滴のサイズ及び形状は、温度を調製すること、溶媒の量、攪拌のエネルギーを調製すること、及び表面改質剤を含む種々の添加剤を含めたり取り除いたりすること、並びに沈殿温度を組み合わせて制御可能である。
【0092】
[0081]
触媒構成成分の形態及び触媒性能は、担持電子供与体(又は供与体)の追加によって十分に制御される。担持電子供与体は、酸素原子を含有する有機化合物であり、「油相液滴」中のマグネシウムのマグネシウム原子に配位する能力を有し、固体触媒構成成分の沈殿プロセスを所望の形態で制御することを可能にする。
【0093】
[0082]
一実施形態では、担持電子供与体は、沈殿プロセス及び触媒構成成分の形態を制御するだけであり、触媒構成成分には組み込まれない。
【0094】
[0083]
その他の実施形態では、担持電子供与体は、沈殿プロセス及び触媒構成成分の形態を制御し、触媒構成成分に組み込まれる。従って、担持電子供与体及び電子供与体は両方とも、重合プロセスにおける触媒性能を定義する。担持電子供与体は、通常、電子供与体よりも弱い。
【0095】
[0084]
固体触媒中間体の沈殿中の有機ケイ素化合物と担持電子供与体との組み合わせにより、触媒構成成分を所望の粒状又は球形の形態で作製することが可能である。
【0096】
[0085]
粒状触媒構成成分の形態は、有機ケイ素化合物の変形形態、担持電子供与体、及び固体触媒中間体の沈殿の条件によって、ラズベリー形状、丸みを帯びたラズベリー形状、丸みを帯びた形状及び実質的に球形にて調製することができる。触媒構成成分の粒径は、約5マイクロメートル~約70マイクロメートル(体積基準で50%)であり、沈殿条件(温度、撹拌速度、溶媒など)並びに担持供与体の種類及び量に依存する。
【0097】
[0086]
担持電子供与体は、カルボン酸モノエステル、ギ酸メチル、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソブチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-メチル安息香酸メチル、p-t-ブチル安息香酸エチル、ナフトエ酸エチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、又はエトキシ安息香酸エチル、から選択される。
【0098】
[0087]
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物、エポキシ化合物、有機リン化合物、ハロゲン化チタン及び炭化水素溶媒を組み合わせることにより、溶媒相及びマグネシウム-チタン油相の2つの相を有するエマルションを生成し、溶媒及び試薬を適切に選択してよい。本プロセスを使用して、球状の形態触媒構成成分を調製することができる。適切な溶媒を選択することにより、相分離が実現する。溶媒を選択するには、溶媒とマグネシウム相との間の分離を引き起こす要因の中でも特に、極性、密度、及び表面張力の物性差の1種類以上を考慮することを伴う。トルエンは、固体チタン触媒構成成分を形成するために使用されてきた有機溶媒希釈剤であるが、トルエンの使用は、常に2つの相の形成を促進しない。また、その他のアルキルベンゼン化合物、ヘキサン、及びヘプタンを溶媒又は芳香族の混合物として使用することが発見されており、炭化水素を使用して、溶媒相及びマグネシウム相の形成をもたらすことができる。
【0099】
2つの相は、その後チタン化合物を追加しても維持される。2つ以上の異なる担持供与体の組み合わせは、固体触媒構成成分を球状型で生成することを可能にする。
[0088]
球状型触媒構成成分を調製するために、担持型電子供与体として、アクリレート(表面改質剤)の組み合わせを有するジ-(C~C12)-アルキルエーテルが使用される。
【0100】
[0089]
表面改質剤の一般的な例としては、ポリマー界面活性剤、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキルメタクリル酸、又は安定化及び乳化させることが可能な任意のその他の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は当該技術分野において周知のものであり、多くの界面活性剤が、McCutcheon’s”Volume I:Emulsifiers and Detergents”,North American Edition (Manufacturing Confectioner Publishing Co.(ニュージャージー州Glen Rock) 2001年)に記載されており、特に、1~233頁には、多くの界面活性剤が説明されており、これに関しては参考として本明細書に組み込まれるものとする。ポリアルキルメタクリル酸は、少なくとも2種の異なるメタクリル酸モノマー、少なくとも3種の異なるメタクリル酸モノマーなどの1種以上のメタクリル酸モノマーを含んでもよいポリマーである。更に、アクリレート及びメタクリル酸ポリマーは、ポリマー界面活性剤が少なくとも約40重量%のアクリレート及びメタクリル酸モノマーを含む限り、アクリレート及びメタクリル酸モノマー以外のモノマーを含んでよい。
【0101】
[0090]
周知の重合化技術を用いてポリマー界面活性剤中に重合され得るモノマーの例としては、次のもののうちの1種類以上が挙げられる。アクリレート、tert-アクリル酸ブチル、n-アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸イソベンジル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸n-ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸2-メトキシブチル、アクリル酸2-(2-エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸2-フェノキシエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2-(2-フェノキシエトキシ)エチル、モノアクリル酸メトキシ化トリプロピレングリコール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール、ジメタクリル酸ブチレングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン-3-エトキシレート、ジアクリル酸1,4-ブタンジオール、ジアクリル酸1,9-ノナンジオール、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ジアクリル酸トリプロピレングリコール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ジアクリル酸ヘプタプロピレングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリル酸エトキシ化トリメチロールプロパン、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、ジアクリル酸トリプロピレングリコール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、トリアクリル酸グリセリルプロポキシ、リン酸トリス(アクリロイルオキシエチル)、1-アシロキシ-3-メタクリルオキシグリセロール、2-メタクリルオキシ-N-エチルモルホリン、及びメタクリル酸アリル等。
【0102】
[0091]
特定の実施形態では、表面改質剤は、ポリ((C~C)アルキル)アクリル酸、ポリ((C~C)アルキル)メタクリル酸、及び、ポリ((C~C)アルキル)アクリル酸とポリ((C~C)アルキル)メタクリル酸とのコポリマーから選択される。複数の実施形態では、表面改質剤とハロゲン化物含有マグネシウム化合物との比は、1:10~2:1重量%、又は1:5~1:1重量%である。
【0103】
[0092]
市販のポリマー界面活性剤の例としては、RohMax Additives社から入手可能な、製品名1-254及び1-256を含む商標名VISCOPLEX(登録商標)シリーズ、並びに、Noveon/Lubrizol社から入手可能な商標名CARBOPOL(登録商標)及びPEMULEN(登録商標)シリーズが挙げられる。
【0104】
[0093]
ポリマー界面活性剤は、典型的には、混合物中に有機溶媒と共に追加される。有機溶媒との混合物として追加される場合、界面活性剤と有機溶媒との重量比は、約1:20~約2:1である。別の実施形態では、界面活性剤と有機溶媒との重量比は、約1:10~約1:1である。更に別の実施形態では、界面活性剤と有機溶媒との重量比は、約1:4~約1:2である。
【0105】
[0094]
第2のチタン化合物による処理は、第2のチタンハロゲン化物化合物と第2の電子供与体とを、沈殿物を含有する溶液に追加して固形触媒組成物を形成することと、次に、固形触媒組成物の温度を80~150℃の温度にすることと、第2のチタンハロゲン化物化合物で更に処理して固形触媒構成成分を形成することと、を含んでよい。一実施形態では、処理は、2つ以上の第2の電子供与体を含んでよい。例えば、複数の電子供与体は、第2のチタン化合物による処理中に発生し得る。別の実施形態では、第2のチタン化合物による処理には、沈殿物を濾過する工程と、溶媒に溶かした第2のチタン化合物と第2の電子供与体とを沈殿物に追加して、固形触媒組成物を形成する工程と、固形触媒組成物の温度を80~150℃の温度にする工程と、が含まれる。別の実施形態では、第2のチタン化合物による処理には、第2のチタン化合物を、沈殿物を含有する溶媒に追加する工程と、次に、固形触媒組成物の温度を80~150℃の温度にする工程と、第2のチタン化合物と第2の電子供与体とで更に処理して固形触媒構成成分を形成する工程、とが含まれる。
【0106】
[0095]
第2のチタン化合物による処理は、第2のチタンハロゲン化物化合物と第2の電子供与体とを、沈殿物を含有する溶液に追加して固形触媒組成物を形成することと、次に、固形触媒組成物の温度を80~150℃の温度にすることと、第2のチタンハロゲン化物化合物で更に処理して固形触媒構成成分を形成することと、を含んでよい。別の実施形態では、第2のチタン化合物による処理には、沈殿物を濾過する工程と、溶媒に溶かした第2のチタン化合物と第2の電子供与体とを沈殿物に追加して、固形触媒組成物を形成する工程と、固形触媒組成物の温度を80~150℃の温度にする工程と、が含まれる。別の実施形態では、第2のチタン化合物による処理には、第2のチタン化合物を、沈殿物を含有する溶媒に追加する工程と、次に、固形触媒組成物の温度を80~150℃の温度にする工程と、第2のチタン化合物と第2の電子供与体とで更に処理して固形触媒構成成分を形成する工程、とが含まれる。
【0107】
[0096]
本処理中、担持電子供与体は、触媒構成成分から部分的又は完全に除去され、電子供与体は、ハロゲン化マグネシウムへの配位を調節し、触媒活性の増加をもたらす。
【0108】
[0097]
一実施形態では、例えば、固体触媒構成成分は、塩化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウムをエポキシ化合物と組み合わせることによって、本開示に従って作製することができる。エポキシ化合物は、例えば、エピクロロヒドリンであり得る。ハロゲン化マグネシウム及びエポキシ化合物は、約0.5:1~約1:0.5、例えば、約0.8:1.2~約1.2:0.8のモル比で、一緒に組み合わせることができる。一実施形態では、例えば、ハロゲン化マグネシウムとエポキシ化合物とを、約1:1のモル比で一緒に組み合わせることができる。ハロゲン化マグネシウム及びエポキシ化合物は、リン酸トリブチルなどのリン酸及びトルエンなどの溶媒の存在下で、一緒に組み合わせることができる。加えて、アルミニウムアルコキシド/イソプロポキシドなどのアルミニウムアルコキシド界面活性剤が存在してもよい。
【0109】
[0098]
オルトケイ酸テトラエチルなどのエチル安息香酸エチル及びケイ酸などのモノエステルを、チタンハロゲン化物(例えば四塩化チタン)に加えて上記組成物に追加して、沈殿物を形成させることができる。一実施形態では、ハロゲン化マグネシウムとモノエステルとの錯体により、塩化チタンはCl-Ti-O-CH(CHCl)を含む形態であり得る。
【0110】
[0099]
次に、上記沈殿物を、アリールジエステルなどの第2の内部供与体で、所望によりチタンハロゲン化物の存在下で処理することができる。得られた固体触媒構成成分は、所望に応じて洗浄及び使用することができる。
【0111】
[00100]
一般に、得られた固体触媒構成成分は、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化チタン、第1の内部供与体又は担持供与体、及び第2の内部供与体を含有する。なお、固体触媒構成成分は、残存量のアルミニウムアルコキシド、有機ケイ素化合物及びリン化合物を含有することができる。例えば、最終触媒中に存在するアルミニウムアルコキシド及び/又は有機ケイ素化合物の量は、一般に、約0.001重量%超、例えば約0.01重量%超、例えば約0.1重量%超であり、また一般に、約1重量%未満、例えば約0.5重量%未満、例えば約0.3重量%未満であり得る。固体触媒構成成分はまた、一般に、約0.1重量%超の量、例えば約0.2重量%超の量、例えば約0.3重量%超の量、また一般に、約1重量%未満、例えば約0.5重量%未満のリン酸化合物を含有し得る。
【0112】
[00101]
別の代替的実施形態では、特に球状粒子を形成するために、第1の内部電子供与体は、モノエステルだけでなくジアルキルエーテルも含んでよい。なお、アクリレート界面活性剤などの球形促進界面活性剤により、第1の内部電子供与体を触媒組成物へと組み合わせることができる。一実施形態では、例えば、界面活性剤は、メタクリル酸ポリアルキルを含んでよい。
【0113】
[00102]
本開示の固体触媒構成成分は、多くの有益な特性及び性質を用いて生成される。例えば、一実施形態では、触媒構成成分は、比較的高い表面積を伴って生成することができる。例えば、触媒のBET表面積は、約100m/g超、例えば約200m/g超、例えば約300m/g超、例えば約400m/g超、また一般に、約700m/g未満、例えば約600m/g未満であり得る。
【0114】
[00103]
固形触媒構成成分は、ケイ素化合物又はアルミニウム化合物などの無機又は有機化合物の後に用いられてよい。
【0115】
[00104]
触媒系は、固形触媒構成成分に加えて、少なくとも1種の有機アルミニウム化合物を含んでよい。分子内に少なくとも1つのアルミニウム-炭素結合を有する化合物を、有機アルミニウム化合物として用いることができる。有機アルミニウム化合物の例としては、以下の式のようなものが挙げられる。
【0116】
AlR3-n
式中、Rは独立して通常1~約20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表し、0<n≦3である。
【0117】
[00105]
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム及びトリヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化ジブチルアルミニウム及び臭化ジエチルアルミニウムなどのハロゲン化ジアルキルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、セスキ塩化ブチルアルミニウム及びセスキ臭化エチルアルミニウムなどのセスキハロゲン化アルキルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二塩化プロピルアルミニウム及び二臭化ブチルアルミニウムなどの二ハロゲン化アルキルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム及び水素化ジブチルアルミニウムなどの水素化ジアルキルアルミニウム、並びに二水素化エチルアルミニウム及び二水素化プロピルアルミニウムなどの、その他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
[00106]
有機アルミニウム化合物は、触媒系において、チタン(固形触媒構成成分からのもの)に対するアルミニウムのモル比が、約5~約1での量で用いることが可能である。別の実施形態では、触媒系内のアルミニウムのチタンに対するモル比は、約10~約700である。更に別の実施形態では、触媒系内のアルミニウムのチタンに対するモル比は、約25~約400である。
【0119】
[00107]
触媒系は、固形触媒構成成分に加えて、1種以上の選択性制御剤(SCA)を含んでもよい。一実施形態では、選択性制御剤は、1種以上のシラン化合物などの1種以上の有機ケイ素化合物を含み得る。この有機ケイ素化合物はまた、外部の電子供与体として機能し得る。有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの水素配位子(炭化水素基)を有するケイ素を含む。炭化水素基の一般的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)メチレン基、アルケン基及び芳香族基などが挙げられる。
【0120】
[00108]
有機ケイ素化合物は、オレフィン重合用のチーグラー・ナッタ触媒系の一成分として機能する外部の電子供与体として使用された場合に、制御可能な分子量分布及び制御可能な結晶化度を有し、その一方で、触媒活性に関して高性能を保持するポリマー(少なくともその一部がポリオレフィンである)を得る能力に寄与する。
【0121】
[00109]
触媒系において有機ケイ素化合物は、有機アルミニウム化合物の有機ケイ素化合物に対するモル比が約2~約90となる量で使用される。別の実施形態では、有機アルミニウム化合物と有機ケイ素化合物とのモル比は、約5~約70である。更に別の実施形態では、有機アルミニウム化合物と有機ケイ素化合物とのモル比は、約7~約35である。
【0122】
[00110]
一実施形態では、有機ケイ素化合物は、以下の式によって表される。
Si(OR’)4-n
式中、R及びRのそれぞれは独立して炭化水素基を表し、nは、0≦n<4である。
【0123】
[00111]
有機ケイ素化合物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス-o-トリジメトキシシラン、ビス-m-トリジメトキシシラン、ビス-p-トリジメトキシシラン、ビス-p-トリジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキシシラン及びメチルトリアリルオキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
[00112]
別の実施形態では、有機ケイ素化合物は、以下の式によって表される。
SiRR’(OR”)3-m
式中、0≦m<3であり、例えば、0≦m<2であり、Rは独立して、環式炭化水素基又は置換環式炭化水素基を表す。R基の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2-メチルシクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2-エチルシクロペンチル、3-プロピルシクロペンチル、3-イソプロピルシクロペンチル、3-ブチルシクロペンチル、3-第三級ブチルシクロペンチル、2,2-ジメチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、2,5-ジメチルシクロペンチル、2,2,5-トリメチルシクロペンチル、2,3,4,5-テトラメチルシクロペンチル、2,2,5,5-テトラメチルシクロペンチル、1-シクロペンチルプロピル、1-メチル-1-シクロペンチルエチル、シクロペンテニル、2-シクロペンテニル、3-シクロペンテニル、2-メチル-1-シクロペンテニル、2-メチル-3-シクロペンテニル、3-メチル-3-シクロペンテニル、2-エチル-3-シクロペンテニル、2,2-ジメチル-3-シクロペンテニル、2,5-ジメチル-3-シクロペンテニル、2,3,4,5-テトラメチル-3-シクロペンテニル、2,2,5,5-テトラメチル-3-シクロペンテニル、1,3-シクロペンタジエニル、2,4-シクロペンタジエニル、1,4-シクロペンタジエニル、2-メチル-1,3-シクロペンタジエニル、2-メチル-2,4-シクロペンタジエニル、3-メチル-2,4-シクロペンタジエニル、2-エチル-2,4-シクロペンタジエニル、2,2-ジメチル-2,4-シクロペンタジエニル、2,3-ジメチル-2,4-シクロペンタジエニル、2,5-ジメチル-2,4-シクロペンタジエニル、2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエニル、インデニル、2-メチルインデニル、2-エチルインデニル、2-インデニル、1-メチル-2-インデニル、1,3-ジメチル-2-インデニル、インダニル、2-メチルインダニル、2-インダニル、1,3-ジメチル-2-インダニル、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-2-インデニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1-メチル-2-インデニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ジメチル-2-インデニル、フルオレニル基、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、イソプロピルシクロヘキシル、n-ブチルシクロヘキシル、第三級ブチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、及びトリメチルシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
[00113]
式SiRR’(OR”)3-m中、R’及びR”は、同一又は異なっており、それぞれが、炭化水素を表す。R’及びR”の例は、3個以上の炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びアラルキル基である。更に、R及びR’は、アルキル基などによって架橋されてもよい。有機ケイ素化合物の一般的な例としては、Rがシクロペンチル基であり、R’がメチル基又はシクロペンチル基などのアルキル基であり、R’’がアルキル基、特にメチル基又はエチル基である、式(VIII)の有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0126】
[00114]
式SiRR’(OR”)3-mの有機ケイ素化合物の具体的な例としては、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3-ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,5-ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンテニルトリメトキシシラン、3-シクロペンテニルトリメトキシシラン、2,4-シクロペンタジエニルトリメトキシシラン、インデニルトリメトキシシラン、及びフルオレニルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビス(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(3-第三級ブチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,5-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、シクロプロピルシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロペンテニルジメトキシシラン、ジ(3-シクロペンテニル)ジメトキシシラン、ビス(2,5-ジメチル-3-シクロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ-2,4-シクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ビス(2,5-ジメチル-2,4-シクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ビス(1-メチル-1-シクロペンチルエチル)ジメトキシシラン、シクロペンチルシクロペンテニルジメトキシシラン、シクロペンチルシクロペンタジエニルジメトキシシラン、ジインデニルジメトキシシラン、ビス(1,3-ジメチル-2-インデニル)ジメトキシシラン、シクロペンタジエニルインデニルジメトキシシラン、ジフルオレニルジメトキシシラン、シクロペンチルフルオレニルジメトキシシラン及びインデニルフルオレニルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン、トリシクロペンチルメトキシシラン、トリシクロペンテニルメトキシシラン、トリシクロペンタジエニルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシラン、ビス(2,5-ジメチルシクロペンチル)シクロペンチルメトキシシラン、ジシクロペンチルシクロペンテニルメトキシシラン、ジシクロペンチルシクロペンテナジエニルメトキシシラン及びジインデニルシクロペンチルメトキシシランなどのモノアルコキシシラン、並びにエチレンビス-シクロペンチルジメトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
[00115]
一実施形態では、1種以上の選択性制御剤が触媒系中に存在する。特に好ましい選択性制御剤としては、ジメチルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0128】
[00116]
一実施形態では、1種以上の選択性制御剤を活性制限剤(ALA)と併用してもよい。活性制限剤は、脂肪族エステルであり得る。脂肪族エステルは、C~C30脂肪族酸エステルであってもよく、モノ又はポリ(2種以上の)エステルであってもよく、直鎖又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよく、それらの任意の組み合わせであってもよい。C~C30脂肪族酸エステルはまた、1個以上の14、15、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基で置換されてもよい。好適なC~C30脂肪族酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C4~30モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C4~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C5~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のジアルキルエステル、及びC2~100(ポリ)グリコール又はC2~100(ポリ)グリコールエーテルの4~20アルキルモノ又はポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。更なる実施形態では、C~C30脂肪族酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピル、ジ-n-ブチルセバケート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ酢酸又は二酢酸、(ポリ)(アルキレングリコール)モノミリスチン酸又はジミリスチン酸、(ポリ)(アルキレングリコール)モノラウリン酸又はジラウリン酸、(ポリ)(アルキレングリコール)モノオレイン酸又はジオレイン酸、トリ(酢酸)グリセリル、C2~10脂肪族カルボン酸のグリセリルトリエステル、及びこれらの混合物であってよい。更なる実施形態では、C~C30脂肪族エステルは、ミリスチン酸イソプロピル又はジ-n-ブチルセバケートである。
【0129】
[00117]
一実施形態では、ALAは、非エステル組成物である。本発明で使用する場合、「非エステル組成物」は、エステル官能基を含まない原子、分子、又は化合物である。換言すれば、「非エステル組成物」は、以下の官能基を含有しない。
【0130】
【化9】
【0131】
[00118]
一実施形態では、非エステル組成物は、ジアルキルジエーテル化合物又はアミン化合物であってよい。ジアルキルジエーテル化合物は、以下の式によって表すことができ、
【0132】
【化10】
【0133】
[00119]
式中、R、Rは互いに独立して、最大20個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であって、所望により、基14、15、16、又は17ヘテロ原子を含有してよいが、但し、R’及びRは水素原子であってもよい。好適なジアルキルエーテル化合物の非限定的な例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、2,2-ジメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-n-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-エチル-2-n-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-n-プロピル-2-シクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジメチル-1,3-ジエトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-n-プロピル-2-シクロヘキシル-1,3-ジエトキシプロパン、及び9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンが挙げられる。更なる実施形態では、ジアルキルエーテル化合物は、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパンである。
【0134】
[00120]
一実施形態では、非エステル組成物はアミン化合物である。好適なアミン化合物の非限定的な例としては、2,6-ジメチルピペリジン及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン及び2,5-置換ピペリジンなどの、2,6-置換ピペリジンが挙げられる。更なる実施形態では、ピペリジン化合物は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンである。
【0135】
[00121]
2つ以上のカルボキシレート基を含有するALAについては、全てのカルボキシレート基は有効成分とみなされる。例えば、セバシン酸分子は、2つのカルボキシレート官能基を含有し、2つの有効官能性分子を有すると考えられる。
【0136】
[00122]
上記のように、一実施形態では、活性制限剤は、C4~C30脂肪族酸エステルである。あるいは、活性制限剤は、C4~C30脂肪族酸のジエーテル又はポリ(アルケングリコール)エステルを含んでもよい。触媒系に組み込むことができる特定の活性制限剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、ジ-n-ブチルセバケート、エチル4-エトキシ安息香酸エチル、10~20モルのPOEを含有するようなプロポキシル化(POE)ココ脂肪酸エステル、ポリ(エチレン)グリコールココ脂肪酸エステル、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0137】
[00123]
SCA/ALA成分の特に好ましい組み合わせは、ジシクロペンチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシル-ジメトキシシラン、及びn-プロピルトリメトキシシランからなる群から選択されるアルコキシシランと、ミリスチン酸イソプロピル、ジ(n-ブチル)セバケート、(ポリ)(エチレングリコール)モノラウリン酸、(ポリ)(アルケングリコール)ジオレイン酸、(ポリ)(エチレングリコール)メチルエーテルラウリン酸、グリセリルトリ(酢酸)、又はこれらの混合物との混合物である。
【0138】
[00124]
本発明による好ましいSCA/ALA混合物は、1~99.9、より好ましくは30~99、最も好ましくは50~98当量%の1種以上のALA化合物、及びそれに対応して99~0.1、より好ましくは70~1、最も好ましくは50~2当量%の1種以上のアルコキシシラン化合物を含むものである。前述の構成成分の範囲にかかわらず、高温での正規化された重合活性は、67℃で得られるもの未満であるべきであり、またアルコキシシラン単独を同じ総SCAモル量で単独で用いた場合に得られるものよりも小さくなければならないことを、当業者は理解するべきである。
【0139】
[00125]
遷移金属のモルに基づく本発明で用いられるSCA混合物の総モル量は、望ましくは0.1~500、より望ましくは0.5~100、最も好ましくは1.0~50である。ALAの量に関して、遷移金属に基づく対応するモル比は、望ましくは1~10,000、好ましくは2~1000、最も好ましくは5~100である。
【0140】
[00126]
触媒粒子の形態は、それから生成されるポリマー粒子の形態を示す。ポリマー粒子形態の3つのパラメータ(球形度、対称性、及びアスペクト比)は、カムサイザー器具を使用して決定され得る。カムサイザー特性:
【0141】
【数1】
【0142】
式中、
Pは、粒子投影図の、周辺の長さ/円周の実測値である。
Aは、粒子投影図によりカバーされる面積の実測値である。
【0143】
Pは、粒子投影図の、周辺の長さ/円周の実測値である。また
Aは、粒子投影図によりカバーされる面積の実測値である。
[00127]
理想的な球体の場合には、SPHTが1になると定義される。そうでなければ、値は1未満である。
【0144】
[00128]
対称性は、以下のように定義される。
【0145】
【数2】
【0146】
式中、r及びrは、面積の中心から、測定方向にある境界線までの距離である。非対称な粒子の場合、Symmは1未満である。面積の中心が粒子の外側にある場合、即ち、
【0147】
【数3】
【0148】
である場合には、Symmは0.5未満である。
[00129]
Ma=r+r、「Symm」、は、異なる方向から対照性の値を実測したセットの最小値である。
【0149】
[00130]
アスペクト比:
【0150】
【数4】
【0151】
式中、xc min及びxFe maxは、xとxFeの値を実測したセットから得られる。
[00131]
アスペクト比(「B/L3」)などの触媒形態特性を、ポリマー形態の特性評価に使用することができる。いくつかのプロセスでは、アスペクト比は、0.6超、又は0.7超、又は0.8超、又は0.90超である。
【0152】
[00132]
得られる触媒構成成分の粒径は、プロセス条件及び所望の結果に応じて変化し得る。一般に、D50粒径は、約5マイクロメートル超、例えば約10マイクロメートル超、例えば約20マイクロメートル超、例えば約30マイクロメートル超、例えば約40マイクロメートル超、例えば約50マイクロメートル超、例えば約60マイクロメートル超、また一般的に、約70マイクロメートル未満、例えば約50マイクロメートル未満、例えば約30マイクロメートル未満、例えば約25マイクロメートル未満などであり得る。
【0153】
[00133]
オレフィンの重合化は、既に調製され上述した触媒系の存在下で実行することが可能である。種々の異なるオレフィンを、本開示に従って重合することができる。例えば、本開示の触媒系は、エチレン、プロピレン等を重合するために使用することができる。触媒系はまた、ホモポリマー及びコポリマーを生成するために使用することができる。一般的に、プロピレンなどのオレフィンモノマーは、所望のポリマー生成物を形成するために、好適な条件下で上述の触媒系に接触させられる。一実施形態では、本重合の前に、後述する予備重合が実施される。別の実施形態では、重合は、予備重合なしで実施される。更に別の実施形態では、ポリプロピレンコポリマーの形成は、少なくとも2つの重合ゾーンを用いて実施される。
【0154】
[00134]
特定の利点のために、本開示の触媒構成成分は、全ての異なる種類の重合プロセスにおける使用に良好に適している。例えば、本開示の触媒構成成分は、バルクループ重合プロセス、気相プロセス等に使用することができる。触媒構成成分はまた、スラリープロセスにおいて使用することができる。
【0155】
[00135]
予備重合では、固形触媒構成成分は、通常、有機アルミニウム化合物の少なくとも一部分と組み合わせて用いられる。これは、有機ケイ素化合物(外部の電子供与体化合物)の一部又は全体の存在下で実施されてもよい。予備重合で使用される触媒系の濃度は、本重合の反応系における濃度よりもはるかに高くてもよい。
【0156】
[00136]
予備重合においては、予備重合の固形触媒構成成分の濃度は、後述する不活性炭化水素媒体1リットルについてのチタン原子の数として計算され、通常、約0.01~約200ミリモル、又は約0.05~約100ミリモルである。一実施形態では、予備重合は、プロピレン又はプロピレンと別のオレフィン及び上記触媒系成分との混合物を不活性炭化水素媒体に追加し、穏和な条件下でオレフィンを重合することにより実施される。
【0157】
[00137]
不活性炭化水素媒体の具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、及びケロシンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン及びメチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、並びにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。特定の実施形態では、液体オレフィンが、不活性炭化水素媒体一部又は全部の代わりに使用されてよい。
【0158】
[00138]
予備重合に用いられるオレフィンは、本重合に使用されるオレフィンと同一であってもよい、又は異なっていてもよい。
【0159】
[00139]
予備重合の反応温度は、生じた予備ポリマーを不活性炭化水素媒体に実質的に溶解させないために十分な温度である。一実施形態では、温度は、約-20℃~約100℃である。別の実施形態では、温度は、約-10℃~約80℃である。更に別の実施形態では、温度は、約0℃~約40℃である。
【0160】
[00140]
所望により、水素などの分子量制御剤は、予備重合において使用されてもよい。分子量制御剤は、予備重合により得られるポリマーが、デカリットルにて135℃で測定した固有粘度が少なくとも約0.2dl/g、又は約0.5~10dl/gとなるような量で使用される。
【0161】
[00141]
一実施形態では、予備重合は、触媒系の1gの固形触媒構成成分あたり、約0.1g~約1,000gのポリマーが形成されるように実行される。別の実施形態では、予備重合は、1gの固形触媒構成成分あたり、約0.3g~約500gのポリマーが形成されるように実行される。予備重合によって形成されるポリマーの量が多すぎると、本重合におけるオレフィンポリマーの生成効率が下がる場合があり、得られたオレフィンポリマーをフィルム又はその他の物品に成形した場合に、成形品にフィッシュアイが発生しやすくなる。予備重合は、バッチ式で又は連続的に実施されてもよい。
【0162】
[00142]
予備重合が上記のように実行された後、又は予備重合をせずに、固形触媒構成成分、有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物(外部の電子供与体化合物)から形成された、上述した重合触媒系の存在下で、プロピレンの主重合が実行される。
【0163】
[00143]
プロピレンとの本主重合で使用され得るその他のオレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ペンテン、1-オクテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-エイコセン、及びビニルシクロヘキサンなどの、2~20個の炭素原子を有するα-オレフィンが挙げられる。例示的なプロセスでは、これらのα-オレフィンは、単独で又は任意の組み合わせで使用されてもよい。
【0164】
[00144]
一実施形態では、プロピレンはホモポリマー化される、又は、主成分としてプロピレンを含有する混合オレフィンが共重合される。混合オレフィンが使用される場合、主成分としてのプロピレンの比率は、通常、少なくとも約50モル%、又は少なくとも約70モル%である。
【0165】
[00145]
予備重合を実施することにより、本重合における触媒系の活性度を調整することができる。本調整により、高い嵩密度を有する粉末状ポリマーが生じやすくなる。更に、予備重合が実施されると、得られるポリマーの粒子形状が球状になり、スラリー重合の場合、スラリーが優れた特性を得るが、一方で、気相重合の場合は、ポリマーシード床が優れた特性を得る。更に、これらの実施形態では、少なくとも3個の炭素原子を有するα-オレフィンを重合することにより、高い立体規則性指数を伴うポリマーが、高い触媒効率で生成され得る。従って、プロピレンコポリマーを生成する場合に、得られるコポリマー粉末又はコポリマーの扱いが容易になる。
【0166】
[00146]
プロピレンの共重合では、共役ジエン又は非共役ジエンなどの多価不飽和化合物は、コモノマーとして使用されてもよい。コモノマーの例としては、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、アクリルアミド、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、アルキルメタクリレート及びアルキルアクリレートが挙げられる。一実施形態では、コモノマーは、熱可塑性モノマー及びエラストマー性モノマーを含む。オレフィンの主重合は、通常、気相又は液相で実施される。一実施形態では、重合(主重合)は、重合ゾーンの体積1リットル当たりのTi原子として計算される約0.001~約0.75ミリモルの量で固形触媒構成成分を含み、固形触媒構成成分中のチタン原子1モル当たり約1~約2,000モルの量で有機アルミニウム化合物を含み、有機アルミニウム化合物中の金属原子1モル当たりの有機ケイ素化合物中のSi原子として計算される、約0.001~約10モルの量で有機ケイ素化合物を含む触媒系を用いる。別の実施形態では、重合化は、重合化ゾーンの体積1リットルあたりのチタン原子として計算される0.005~約0.5ミリモルの量で固形触媒構成成分を含有し、固形触媒構成成分中のチタン原子1モルあたり約5~約500モルの量で有機アルミニウム化合物を含有し、有機アルミニウム化合物中の金属原子1モルあたりの有機ケイ素化合物中のSi原子として計算される約0.01~約2モルの量で有機ケイ素化合物を含有する触媒系を用いる。更に別の実施形態では、重合は、有機アルミニウム化合物中の金属原子1モル当たりの有機ケイ素化合物中のSi原子として計算される約0.005~約1モルの量の安息香酸アルキル誘導体を含む触媒系を用いる。
【0167】
[00147]
有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物が予備重合で部分的に使用される場合に、予備重合に供される触媒系は、触媒系成分の残りと共に使用される。予備重合に供される触媒系は、予備重合生成物を含んでもよい。
【0168】
[00148]
重合時に水素を使用すると、得られるポリマーの分子量の制御を促進かつ寄与し、得られたポリマーは、高いメルトフローレートを有し得る。この場合には、得られるポリマーの立体規則性指数と、触媒系の活性度とを、上記の方法により増大させることが可能である。
【0169】
[00149]
一実施形態では、重合温度は、約20℃~約170℃である。別の実施形態では、重合温度は、約50℃~約165℃である。一実施形態では、重合圧力は、一般的には、大気圧~約100kg/cmである。別の実施形態では、重合圧力は、一般的には、約2kg/cm~約50kg/cmである。主重合は、バッチ式で、半連続的に又は連続的に実施されてもよい。また、重合は、異なる反応条件下で2つ以上の段階で実施されてもよい。
【0170】
[00150]
このようにして得られたオレフィンポリマーは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー又はインパクトコポリマーであってよい。インパクトコポリマーは、ポリオレフィンホモポリマー及びポリオレフィンゴムの均質混合物を含有する。ポリオレフィンゴムの例としては、エチレンプロピレンメチレンコポリマーゴム(EPM)及びエチレンプロピレンジエンメチレンターポリマーゴム(EPDM)などの、エチレンプロピレンゴム(EPR)が挙げられる。
【0171】
[00151]
触媒系を使用して得られたオレフィンポリマーは、非常に少量の非晶質ポリマー成分を有し、従って、少量の炭化水素可溶性成分を有する。従って、得られたポリマーから成形されたフィルムは、低い表面粘着性を有する。
【0172】
[00152]
重合プロセスによって得られたポリオレフィンは、粒径分布、粒径及び嵩密度において優れており、得られたコポリオレフィンは、狭い組成分布を有する。インパクトコポリマーにおいては、優れた流動性、耐低温性、並びに剛性と弾性との間の所望のバランスを得ることができる。
【0173】
[00153]
一実施形態では、プロピレンと、2個又は約4個~約20個の炭素原子を有するα-オレフィンとが、上記の触媒系の存在下で共重合される。触媒系は、上記の予備重合に供される触媒系であってもよい。別の実施形態では、プロピレン及びエチレンゴムが、直列に連結された2つの反応器内で形成されて、インパクトポリマーが形成される。
【0174】
[00154]
2個の炭素原子を有するα-オレフィンはエチレンであり、約4~約20個の炭素原子を有するα-オレフィンの例は、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-デセン、ビニルシクロヘキサン、1-テトラデセン等である。
【0175】
[00155]
本重合では、プロピレンは、このようなα-オレフィンのうちの2種類以上と共重合されてもよい。例えば、プロピレンを、エチレン及び1-ブテンと共重合させることが可能である。一実施形態では、プロピレンは、エチレン、1-ブテン又はエチレン及び1-ブテンと共重合される。
【0176】
[00156]
プロピレンと別のα-オレフィンとのブロック共重合は、2段階で実施されてもよい。第1の段階の重合は、プロピレンの単独重合又はプロピレンの他のα-オレフィンとの共重合であってもよい。一実施形態では、第1の段階で重合されるモノマーの量は、約50~約95重量%である。別の実施形態では、第1の段階で重合されるモノマーの量は、約60~約90重量%である。この第1段階の重合化は、同じか又は異なる重合化条件の下の2つ以上の段階で実行され得る。
【0177】
[00157]
一実施形態では、第2段階における重合化は、プロピレンのその他のα-オレフィン(複数可)に対するモル比が、約10/90~約90/10となるように実行される。別の実施形態では、第2段階における重合化は、プロピレンのその他のα-オレフィン(複数可)に対するモル比が、約20/80~約80/20となるように実行される。更に別の実施形態では、第2段階における重合化は、プロピレンの、その他のα-オレフィン(複数可)に対するモル比が、約30/70~約70/30となるように実行される。別のα-オレフィンの結晶性ポリマー又はコポリマーを生成することを、第2の段階の重合において提供してもよい。
【0178】
[00158]
そのようにして得られたプロピレンコポリマーは、ランダムコポリマー又は上記のブロックコポリマーであってよい。このプロピレンコポリマーは、2個又は約4~約20個の炭素原子を有するα-オレフィンに由来する約7~約50モル%の単位を含有し得る。一実施形態では、プロピレンランダムコポリマーは、2個又は約4~約20個の炭素原子を有するα-オレフィンに由来する約7~約20モル%の単位を含有する。別の実施形態では、プロピレンブロックコポリマーは、2個又は4~20個の炭素原子を有するα-オレフィンに由来する約10~約50モル%のユニットを含有する。
【0179】
[00159]
別の実施形態では、触媒系で作製されたコポリマーは、約50%~約99重量%のポリ-α-オレフィン及び約1%~約50重量%のコモノマー(例えば、熱可塑性モノマー又はエラストマー性モノマー)を含有する。別の実施形態では、触媒系で作製されたコポリマーは、約75%~約98重量%のポリ-α-オレフィン及び約2%~約25重量%のコモノマーを含有する。
【0180】
[00160]
使用できる多価不飽和化合物について言及がない場合、重合の方法、触媒系の量、及び重合条件は、上述の実施形態と同じ説明を適用できる、と理解されるべきである。
【0181】
[00161]
一実施形態では、触媒系の触媒効率(触媒1gあたりの生成されるポリマーの重量(kg)として測定される)は、少なくとも約30kg/g/hである。触媒の欠乏は、例えば、約60kg/g/h超、例えば約80kg/g/h超、例えば約100kg/g/h超、例えば約140kg/g/h超であり得る。
【0182】
[00162]
上記の触媒/方法は、場合によっては、約0.01~約500g/10分、例えば、約0.1~約400g/10分のメルトフローレート(「MFR」、g/10分)を有するポリ-α-オレフィンの生成をもたらし得る。MFRは、ASTM規格に従って測定され、別の実施形態では、0.1~約300のMFRを有するポリ-α-オレフィンが生成される。
【0183】
[00163]
メルトフローレートに加えて、多分散指数(PI)は、種々の要因及び所望の結果に応じて変化し得る。多分散指数は、一般に、約3超、例えば約5超、及び一般に、約8未満、例えば約6未満であり得る。
【0184】
[00164]
上記の触媒/方法によれば、場合によっては、少なくとも約0.35cc/gの嵩密度(BD)を有するポリ-α-オレフィンが生成されることが可能になる。別の実施形態では、少なくとも約0.4cc/gのBDを有するポリ-α-オレフィンが生成される。別の実施形態では、約0.35~0.5cc/g、又は0.38~0.46cc/gのBDを有するポリ-α-オレフィンが生成される。
【0185】
[00165]
上記の触媒/方法によれば、1.0未満のスパンを有するポリ-α-オレフィンが生成されることが可能になる。いくつかの実施形態では、スパンは0.6未満である。
【0186】
[00166]
本発明の実施形態によれば、優れたメルトフロー性、成形性、更には剛性と弾性との望ましいバランス、良好な立体規則性制御、ポリマー粒径と、形状と、粒径分布と、分子量分布との良好な制御、並びに高い触媒効率及び/又は良好な操作性を有する耐衝撃強度のうちの1種類以上を有するポリプロピレン系のインパクトコポリマーを含むインパクトコポリマーと、プロピレンブロックコポリマーとが生成されることが可能になる。本発明の実施形態による固形触媒構成成分を含有する触媒系を用いることにより、高い触媒効率と、優れたメルトフロー性、押し出し成形性、成形性、剛性、弾性、及び耐衝撃強度のうちの1種類以上とを同時に有する触媒が得られる。
【0187】
[00167]
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するものである。以下の実施例並びに、明細書及び請求項のその他の場所で特に指示がない限り、全ての部分及びパーセンテージは重量当たりのものであり、全ての温度は摂氏で表され、圧力は大気圧付近である。
【実施例
【0188】
略語及び定義
[00168]
「D10」は、粒子の10%がその粒径未満である粒子の粒径(直径)を意味し、「D50」は、粒子の50%がその粒径未満である粒子の粒径を意味し、「D90」は、粒子の90%がその粒径未満である粒子の粒径を意味する。「スパン」は、粒子の粒径の分布を表す。値は、以下の式に従って計算することができる。
【0189】
Span=(D90-D10)/D50
いずれのD又はスパン値よりも前の「PP」は、示された触媒を使用して調製されたポリプロピレンのD値又はスパン値を示す。
【0190】
[00169]
BDは、嵩密度の略語であり、g/mLの単位で報告される。
[00170]
CEは、触媒効率の略語であり、1時間の重合中の触媒1グラム当たりのKgポリマーの単位(Kg/g)で報告される。
【0191】
[00171]
MFRは、メルトフローレートの略語であり、g/10分の単位で報告される。MFRは、ASTM規格のD1238.Tに従って測定される。
【0192】
[00172]
Malvern Mastersizer 3000機器によるレーザ光散乱法を使用して、触媒構成成分粒径分析を実施した。溶媒としてトルエンを使用した。
【0193】
[00173]
Micrometrics ASAP 2020機器によって、触媒構成成分の表面積及び孔径分布を測定した。60℃で真空下で数時間加熱することによって、触媒構成成分の試料を脱気させた。
【0194】
[00174]
ARES G2レオメータによる粘弾性データから、ポリマー試料の多分散指数(PI)及びゼロ剪断粘度を得た。安定化されたポリマー試料をホットプレスで押圧して、プレートを作製する。次に、ポリマープレートをレオメータで分析する。データプロットPI及びゼロ剪断粘度は、MWDソフトウェアで構築したものを使用して計算される。
【0195】
[00175]
NPDEは、非フタル酸ジアリールエステルの略語であり、以下の式であることができる。
【0196】
【化11】
【0197】
式中、R~Rは置換又は非置換アリール基から選択され、R、R、R、Rは、1~20個の炭素原子を有する同一又は異なるアルキル若しくはシクロアルキル、ヘテロ原子、又はそれらの組み合わせである。本発明で使用する場合、NPDElは、3-メチル-5-tert-ブチル-1,2-フェニレンジ安息香酸である。一方、NPDE2は、参考として本明細書に組み込まれている米国特許公開第2013/0261273号の52項に記載されている。
【0198】
[00176]
SYLTHERMは、Dow Chemicalから市販されているポリジメチルシロキサン(PDMS)の商標名である。
【0199】
[00177]
VISCOPLEXは、Evonikから入手可能なポリアルキルメタクリル酸の商標名である。
【0200】
[00178]
EBは安息香酸エチルの略語である。
[00179]
TBPは、リン酸トリブチルの略語である。
【0201】
[00180]
ECHは、エピクロロヒドリンの略語である。
[00181]
TEOSは、オルトケイ酸テトラエチルの略語である。
【0202】
[00182]
Ti、Mg、及びDは、それぞれ、組成物中のチタン、マグネシウム、及び内部の供与体(NPDE)のそれぞれに対する重量パーセント(重量%)である。
【0203】
[00183]
XSはキシレン可溶物の略語であり、重量%単位で報告される。
バルクプロピレン重合
[00184]
実施例の触媒がプロピレン重合化の方法において使用される場合には、以下の手法が使用される。反応器を、100℃で、窒素を流しながら、30分間にわたり、重合化の実行に先立って焼成した。反応器を、30~35℃に冷却し、助触媒(25重量%のトリエチルアルミニウム(TEAl)を1.5mL)、炭素供与体[シクロヘキシルメチルジメトキシシラン](1mL)、水素(3.5psi)、及び液体プロピレン(1500mL)をこの順で、反応器の中に追加した。鉱物油スラリーとして充填された触媒(5~10mg)を、高圧窒素を使用して、反応器の中に押し込んだ。70℃で1時間にわたり、重合化を実行した。重合化の後で、反応器を22℃に冷却し、大気圧になるまで脱気して、ポリマーを回収した。
【0204】
気相プロピレン重合
[00185]
実施例の触媒がプロピレン重合化の方法において使用される場合には、以下の手法が使用される。反応器を、100℃で、窒素を流しながら、30分間にわたり、重合化の実行に先立って焼成した。反応器を30℃に冷却し、共触媒(0.27mLの25重量%トリエチルアルミニウム(TEA1))、C供与体[シクロヘキシルメチルジメトキシシラン](0.38mL)、及び水素(0.5g)と共に、プロピレンを充填した(120g)。反応器を35℃に加熱し、触媒構成成分(0.5~0.7mg)をプロピレン(120g)で反応器へとフラッシュさせた。70℃で1時間にわたり、重合化を実行した。重合化の後で、反応器を22℃に冷却し、大気圧になるまで脱気して、ポリマーを回収した。
【0205】
[00186]
実施例1~3は、担持供与体を含まない有機ケイ素化合物を使用して触媒構成成分を調製し、バルクプロピレン重合スキームを使用して生成されたポリマーの特性を提供する。
【0206】
[00187]
実施例1は、オルトケイ酸テトラエチルを使用して触媒構成成分を調製することを示す。触媒生成ポリマーは、BDが0.40g/cc未満かつB/L3<0.7であって、丸いラズベリー型の粒子形態を有する。3.3gのMgCl、20gのトルエン、6.7gのTBP、6.43gのECHを、反応器に充填した。
【0207】
[00188]
混合物を60℃に加熱し、600RPMの撹拌速度で8時間保持した。混合物を25℃まで冷却させた。27グラムのトルエン及び3グラムのトルエン中の1.5グラムのオルトケイ酸テトラエチルを、25℃で反応器に追加した。反応器を-25℃まで冷却し、65.2グラムのTiClを追加した。追加後、撹拌速度を200rpmに落とし、反応物を35℃まで2時間にわたって加熱し、30分間保持し、85℃まで30分間加熱して、30分間保持した。フィルタ。反応物を50mLのトルエン、3xで洗浄した。65mLのトルエンを追加し、反応器を400RPMで40℃まで加熱した。0.64グラムのNPDE1を追加し、反応器を105℃まで加熱し、1時間保持した。フィルタ。65mLの10%のTiClを追加し、温度を105℃まで1時間上昇させた。フィルタ。65mLの10%のTiClを追加し、温度を110℃まで30分間上昇させて、3回濾過した。固体を50mLのヘキサンで、65℃及び400RPMにて3回洗浄した。触媒構成成分をヘキサンスラリーとして排出した。分析データ及び触媒性能を以下に示す。
【0208】
[00189]
実施例2は、2種の有機ケイ素化合物(オルトケイ酸テトラエチル及びSyltherm PDMS)並びにAl(OiPr)3を使用する触媒構成成分を示す。内部の供与体を、固体形成前に、固体構成成分へと2箇所で追加した。触媒生成ポリマーは、丸みを帯びたラズベリー型形態及び向上した嵩密度(BD=0.44g/cc)を有する。副物質を補正するための3.3gのMgCl、0.25gのAl(O-iPr)3、20gのトルエン、9.lgのTBP、1.0gのSyltherm(PDMS)、3.55gのECHを、反応器に充填した。
【0209】
[00190]
混合物を60℃に加熱し、600RPMの撹拌速度で8時間保持した。混合物を25℃まで冷却させた。27グラムのトルエン、3グラムのトルエン中の1.5グラムのTEOS、及び0.64グラムのPDElを反応器に追加した。反応器を-25℃に冷却し、65.4グラムのTiClを反応器に追加した。撹拌を300RPMに設定し、2時間にわたって35℃に上昇させた。反応物を35℃で30分間、300RPMにて保持した。反応物を85℃に加熱して30分間保持した。反応物を濾過し、50mLのトルエンを追加した。反応器を400RPMにて40℃に加熱し、0.64グラムのPDE1を追加した。反応器を105℃に加熱し続け、1時間保持し、次に、沈殿させてデカントした。65mLの10%のTiClを追加し、105℃に加熱して1時間保持した。反応物を沈殿させ、デカントした。65mLの10%のTiClを追加し、110℃に加熱して1時間保持した。反応物を沈殿させ、デカントした。50mLのヘキサンを追加し、65℃のジャケット温度にて5分間撹拌した。反応物を沈殿させ、デカントした。次にヘキサンを追加し、生成物をヘキサンスラリーとして排出した。
【0210】
[00191]
実施例3は、2種の有機ケイ素化合物(オルトケイ酸テトラエチル及びSyltherm PDMS)並びにAl(OiPr)3を使用する触媒構成成分を示す。内部の供与体を固体構成成分に追加した。触媒構成成分の粒径は14ミクロンに増大した(実施例1及び2と比較)。3.3gのMgCl、0.25gのAl(O-iPr)3、20gのトルエン、6.7gのTBP、1.0gのSyltherm(PDMS)、6.43gのECHを、反応器に充填した。
【0211】
[00192]
混合物を60℃に加熱し、600RPMの撹拌速度で8時間保持した。混合物を25℃まで冷却させた。27グラムのトルエン、3グラムのトルエン中の1.5グラムのTEOSを、600rpm及び25℃にて反応器に追加した。反応器を-25℃まで冷却し、65.2グラムのTiClを追加した。反応器を、35℃、200RPMにて、2時間にわたって加熱し、35℃で30分間保持し、30分にわたって85℃に加熱し、85℃で30分間保持し、トルエンで3回デカントした。25℃に冷却し、週末にわたって放置する。濾過し、65mLのトルエンを追加する。400RPMにて40℃に加熱し、0.64グラムのPDE1を追加する。105℃まで1時間加熱する。フィルタ。65mLの10%のTiClを追加し、105℃に加熱して1時間保持する。フィルタ。65mLの10%のTiClを追加し、110℃に加熱して1時間保持する。フィルタ。50mLのヘキサン3xを用いて、ジャケット温度65にて洗浄し、洗浄の間に5分間撹拌する。ヘキサンスラリーとして排出する。
【0212】
[00193]
実施例4(比較例).本実施例は、有機ケイ素化合物なしで触媒構成成分を調製することを示す。触媒生成ポリマーは、凝集したポリマー粒子を伴う不規則な形態を有する。
【0213】
[00194]
3.3gのMgCl、1.15gのAl(O-iPr)3、20gのトルエン、6.7gのTBP、6.43gのECHを反応器14Aに充填した。混合物を60℃に加熱し、8時間、600RPMの撹拌速度にて保持した。混合物を25℃まで冷却させた。30グラムのトルエンを、25℃及び600RPMにて反応器に追加した。反応器を-25℃まで冷却し、65.2グラムのTiClを追加した。追加後、撹拌速度を200に落とし、反応物を2時間にわたって35℃に加熱した。30分間保持する。85℃へと30分間加熱した。30分間保持する。フィルタ。反応物を、50mLのトルエン、3x、JT 80℃、400RPMにて洗浄した。フィルタ。65mLのトルエンを追加し、反応器を400RPMで40℃まで加熱した。0.64グラムのNPDE1を追加し、反応器を105℃まで加熱し、1時間保持した。フィルタ。65mLの10%のTiClを追加し、温度を105℃まで1時間上昇させた。フィルタ。65mLの10%のTiClを追加し、温度を110℃まで30分間上昇させて、3回濾過した。反応器を50mLのヘキサンで、65℃及び400RPMにて3回洗浄した。生成物をヘキサンスラリーとして排出した。
【0214】
【表1】
【0215】
【表2】
【0216】
実施例5~13は、担持供与体、安息香酸エチルを使用して触媒構成成分を調製することを示す。(EB)
【0217】
【表3】
【0218】
【表4】
【0219】
[00195]
実施例5(比較例).オルトケイ酸テトラエチル及び担持供与体、安息香酸エチルを使用して触媒構成成分を作製し、エポキシ化合物を用いずにMgClを溶解させた。本実施例は、低BDを伴う不規則なポリマー形態を示す。
【0220】
[00196]
MgCl(12.0g)及びヘキサン(130g)を組み合わせて、初期反応混合物を形成した。次に、混合物に2-エチルヘキサノール(50g)を撹拌(600rpm)で追加し、次に、温度を120℃に上昇させた。次に、この温度を4時間維持した。次に、反応混合物にオルトケイ酸テトラエチル(ヘキサン2.0g中1.75g)を追加し、反応物を20分間保持し、続いて-25℃に冷却した。低温で、TiCl(150mL)を1.5時間にわたって追加し、その後、温度を室温まで上昇させた。室温で、安息香酸エチル(2gのヘキサン中2g)を追加し、混合物を100℃に加熱した。次に、NPDEl(5gのトルエン中3.0g)を追加し、反応混合物を100℃で1時間維持した。次に、固体材料を濾過により回収し、トルエン(85℃で3x 200mL、再濾過前の温度で10分間撹拌)を用いて洗浄した。固体をトルエン中に再懸濁させた際に、追加のNPDEl(トルエン5.0g中2.0g)を40℃で追加し、固体を濾過により回収して、ヘキサンを用いて洗浄した。NPDElを追加し、110℃(0.5時間)で加熱し、濾過するプロセスを次に繰り返し、ヘキサンで洗浄して濾過するプロセスを3回繰り返した。最後に、固体生成物を(65℃で4x 300mLのヘキサン)を用いて洗浄し、固体をヘキサンスラリーに排出した。
【0221】
[00197]
図1は、実施例5(比較例)から得られたポリマーの写真である。提示される画像は、対応する実施例から触媒を用いて生成されたポリプロピレン粒子のSEM画像である。ポリマー粒子は触媒粒子を複製するため、各実施例では、触媒形態を比較することができる。触媒及びポリマー形態は、市販のポリマーの製造プロセスにおいて考慮するための主要な要因である。重合プロセスは、1つの反応器ユニットから別の反応器ユニットへのポリマーの移動のために、ポリマーの良好な流動性を必要とする。本プロセスは、重合反応器の目詰まり汚れをもたらすいずれかのポリマー微粒子を生成することなく動作するべきである。従って、任意の重合プロセスでは、触媒の強い形態及び均一な形態、並びにポリマーの嵩密度が高いことが好ましい。
【0222】
[00198]
図1に示すように、実施例5(比較例)によって調製されたポリマーのポリマー形態は、小さいサブ粒子を含む。ポリマーの嵩密度は、0.321g/mLで非常に低い。本実施例の触媒及びポリマーは有利ではなく、生成される微粉によって反応器の目詰まり汚れがもたらされ得る。
【0223】
[00199]
実施例6.Syltherm及びTEOS(有機ケイ素化合物として)及び安息香酸エチルを担持電子供与体として調製した、粒状担持触媒構成成分。本実施例は、より大きな粒径24マイクロメートル及び高活性触媒(触媒効率92kg/g)を伴う触媒構成成分の向上を示し、丸みを帯びた形状を伴うポリマーを生成する。
【0224】
[00200]
MgCl(13.2g)、Al(OCH(CH3)2)3(1.0g)、トルエン(59.5g)、トリ-n-リン酸ブチル(36.3g)、エピクロロヒドリン(14.25g)、及びSyltherm(6.0g)を組み合わせて、窒素雰囲気下で600rpmにて8時間攪拌しながら、60℃に加熱する。室温まで冷却した際に、トルエン(140g)を、安息香酸エチル(4.5g)及びオルトケイ酸テトラエチル(3g)と共に追加した。次に、混合物を-25℃まで冷却して、TiCl(261g)を600rpmの撹拌下でゆっくりと追加し、その間に温度を-25℃に維持した。追加が完了した後、温度を、30分にわたって35℃に加温するのに先立って1時間維持し、その温度を30分間保持して、次に、温度を30分にわたって85℃に上昇させて、濾過によって固体沈殿物を回収するのに先立って30分間保持した。固体沈殿物をトルエン(200mL、各洗浄)で3回洗浄した。
【0225】
[00201]
次に、得られた沈殿物を、トルエン(264mL;10体積%)中でTiClと混ぜ合わせた。本混合物を撹拌下で85℃に加熱し、続いてトルエン(10g)中にNPDE 1(2.0g)を追加した。濾過によって固体を回収するのに先立って、85℃での加熱を1時間継続した。トルエン中でTiClと混合させ、加熱し、NPDE1を追加する本プロセスを、最終生成物をヘキサン(200mL、各洗浄)で4回洗浄し、各洗浄に対して60~65℃で10分間攪拌する前に95℃で繰り返し、再度110℃でも繰り返した。次に、触媒構成成分をヘキサンスラリーとして排出した。図2は、実施例6から得られた触媒構成成分で生成されたポリマーの写真である。ポリマー形態は、大きなサブ粒子を伴う丸みを帯びたラズベリー形状様である。
【0226】
[00202]
実施例7.本実施例は、狭いスパンを伴う高BD触媒/PPを示す粒状担持触媒を生成した。実施例6を繰り返したが、PDMSを3.0gで追加して、Al(OCH(CH3)2)3(0.5g)及びNPDE 1(2.0g)を、最終TiCl/トルエン処理前にトルエン洗浄液中に追加した。
【0227】
[00203]
実施例8.実施例7を繰り返したが、TEOSを6.0gで追加し、Sylthermを追加しなかった。本実施例では、丸みを帯びた形状形態(B/L3=0.74)を伴うポリマーを生成した、粒状担持触媒を生成した。
【0228】
[00204]
実施例9.本実施例では、触媒及びポリマー形態の向上を示し、狭いスパンを伴う高BD触媒/PPを示す、粒状担持触媒を生成した。ポリマーを図3に示す。実施例7を繰り返したが、TEOSを1.50gで追加した。
【0229】
[00205]
実施例10.有機ケイ素ケイ素化合物としてSylthermを使用した、触媒構成成分の調製を示す。粒径の減少を示す粒状担持触媒構成成分。実施例7を繰り返したが、TEOSを追加しなかった。
【0230】
[00206]
図2及び3は、有機ケイ素化合物(ポリジメトキシシラン(PDMS)及びテトラエトキシシラン(TEOS))と安息香酸エチルとの種々の組み合わせと共に、MgClを溶解するためにエポキシ化合物を使用して、それぞれ実施例7及び9の触媒によって調製されたポリマーの丸みを帯びたラズベリー型形態を示し、また触媒及びポリマー形態における向上を示す。図2及び図3は、明確に定義された形態を有する材料を示す。大きなサブ粒子は、大きな粒子に関連する。これらの触媒で生成されたポリマーは、高密度(>0.40g/mL)及び球形度(B/L3>0.71)を示す(上記表を参照)。
【0231】
[00207]
実施例11.触媒構成成分の粒径に対する担持供与体の量の効果を実証する。安息香酸エチルの量を0.34g/gMgCl~0.26g/gMgClまで減少させたことを除いて、実施例8を繰り返し、触媒構成成分の粒径を18.6ミクロン~10.2ミクロンに低減させた。
【0232】
[00208]
図4は、実施例11からの触媒によって生成されたポリマー形態の、丸みを帯びた形状である。
【0233】
[00209]
実施例12.触媒構成成分の粒径に対する、触媒構成成分の沈殿中の撹拌速度の影響を示す。撹拌速度を300rpmから200rpmまで低下させたことを除いて、実施例11を繰り返し、触媒構成成分の粒径を10.2ミクロン~13.6ミクロンに増大させた。
【0234】
[00210]
実施例13.(比較例).粒状担持触媒は、触媒及びポリマーの粒径及び嵩密度の低減を示す。Al(OCH(CH3)2)3、Syltherm、又はTEOSを使用しなかった。実施例7を繰り返したが、Al(OCH(CH3)2)3、PDMS、又はTEOSを追加しなかった。実施例13は、エポキシ化合物を使用してMgClを溶解させ、かつ有機ケイ素化合物を使用せずに、担持供与体として安息香酸エチルのみを使用することによって調製された、触媒構成成分の性能を示す。図5は、実施例13に従って生成されたポリマーの形態を表す。各ポリマー粒子は、多数の小さいサブ粒子を含有する。いくつかの重合プロセスでは、重合プロセス中にこれらの粒子が容易に崩壊し得るため、本形態は有利ではない。
【0235】
[00211]
実施例14.(比較例).沈殿剤として無水フタル酸で作製された触媒構成成分。触媒構成成分は、触媒構成成分調製中に、無水フタル酸とTiCl及びMg-化合物との反応生成物として、フタル酸ビス(1,3-ジクロロ-イソ-プロピル)(1.2%)及びフタル酸クロリド(0.3%)を含有する。本触媒構成成分は、本特許請求の範囲で生成された触媒よりも低い触媒活性を示す。ポリマー粒子の形態は、B/L3<0.70を伴うブドウ型である。
【0236】
[00212]
MgCl(13.2g)、トルエン(190.0g)、トリ-n-リン酸ブチル26.6g)、ECH(25.6g)を組み合わせて、窒素雰囲気下で600rpmにて8時間撹拌しながら、60℃に加熱した。無水フタル酸を60℃で追加した(4.6g)。次に、混合物を、TiCl(260g)を600rpmの撹拌でゆっくりと追加する温度である-25℃に冷却した。温度を1時間維持し、続いて温度を30分にわたって10℃に上昇させ、30分間保持し、70分にわたって85℃に上昇させ、濾過によって固体を回収する前に15分間保持した。固体をトルエン(200mL)で3回、それぞれ85℃で10分間洗浄した。次に、固体を濾過により回収して、トルエン(265mL)で洗浄した。濾過後、TiCl/トルエン溶液及びトルエン(2g)中のNPDE1(3.0g)を追加し、105℃で加熱した。再び濾過した後、固体を回収して、撹拌下、110℃にてTiCl/トルエン溶液で洗浄した。最後に、撹拌下、60~65℃で、固体をヘキサン(200mL)で4回洗浄し、触媒をヘキサンスラリーとして排出した。実施例14の触媒は、無水フタル酸なしで調製された触媒よりも低い触媒活性を示す。
【0237】
[00213]
実施例15~17は、有機ケイ素化合物としてTEOS、また担持電子供与体として安息香酸エチルを使用した、触媒構成成分の調製を示す。実施例18~23は、実質的に球形のポリマーを生成するバルクプロピレン及び気相反応器における重合データを示す。
【0238】
[00214]
実施例15.実施例11を、MgCl=20kgのスケールで繰り返した。
[00215]
実施例16.13.2gのMgCl、0.5gのAl(OR)3、72gのトルエン、25.7gのECH、26.8gのTBPを追加し、60C/600rpm/8時間にて加熱及び撹拌する。25Cまで冷却する。N2ブランケット下で翌日まで放置する。25Cにて、75.0gのトルエン、12gのトルエン中の3.5gのEB、8gのトルエン中の6.0gのTEOSを追加する。600rpmで-25Cまで冷却し、260.8gのTiClをゆっくり追加する。350rpmで2時間にわたって、-25C~35Cまで上昇させて、35Cで30分間/350rpmにて保持する。30分で35C~85Cまで上昇させて、350rpmのフィルタで30分間、85Cにて保持する。w/200mLのトルエン/3X/10分を洗浄し、また200mLのトルエンを、N2ブランケット下で翌日まで放置して濾過する。265mLのトルエンを追加して加熱し、1.25gのNPDElを追加して400rpmにて105℃で1時間加熱して濾過し、第1の動作として、265mLの10%のTiCl/tolを追加して105C/400rpm/1時間加熱して濾過し、第2~第4の動作として、265mLの10%のTiCl/tolを追加して110C/400rpm/30分加熱して濾過し、w/200mLのヘキサンを65C JT/4X/10分で洗浄して、ヘキサンスラリーとして排出する。
【0239】
[00216]
実施例17.NPDE1の量を10%増加させて、実施例15を繰り返した。
【0240】
【表5】
【0241】
【表6】
【0242】
[00217]
実施例18~23は、0.8のB/L3を伴う実質的に球形の粒子を有するバルク及び気相重合反応器における生成ポリマーを示す。図6は、実施例23からの実質的に球形の形態を伴うPPを示す。
【0243】
[00218]
触媒構成成分の表面積(BET)測定値及び多孔率は、約400m2/gの表面積を示す。
【0244】
【表7】
【0245】
[00219]
実施例24~27は、触媒性能と、担持電子供与体と内部の電子供与体との相対比との関係を示す。触媒のアイソタクチック性は、EB/NPDEl比の増大により減少する(%XS)が、触媒活性は十分には変化しない。
【0246】
【表8】
【0247】
[00220]
実施例24~27の触媒構成成分を、表8のようなNPDElの量を用いたことを除いて、実施例8と同様に生成した。触媒構成成分の粒径は、32マイクロメートル(担持沈殿中に200rpmの撹拌速度で生成される)である。
【0248】
[00221]
実施例28は、NPDE2を内部供与体ジアリールエステルとして調製した粒状触媒構成成分を示し、実施例29は、バルクプロピレンにおける重合データを提示する。
【0249】
実施例28.NPDE2を内部電子供与体として使用した(NPDE2/MgCl2=0.18(重量)ことを除いて、実施例8を繰り返した。
[00222]
触媒構成成分をバルクプロピレン重合で試験して、MFRに対する水素反応を評価した。
【0250】
【表9】
【0251】
【表10】
【0252】
[00223]
上記に示すように、実施例29を、5 SLの水素濃度で実施した。一般に、水素濃度は、約5 SL~約40 SL以上であり得る。一般に、約20 SL未満、例えば約10 SL未満などのより低い水素濃度では、比較的低いメルトフローレートを有するポリマーが生成される。例えば、メルトフローレートは、約8g/10分未満、例えば約5g/10分未満、例えば約3g/10分未満、例えば、2g/10分未満、例えば1g/10分未満、また一般に、約0.01g/10分超であり得る。約30 SL~約50 SL等の約30 SL超などの、より高い水素量では、メルトフローレートを劇的に増加させることができる。例えば、メルトフローレートは、約100g/10分超、例えば約150g/10分超、例えば約200g/10分超、約250g/10分超、例えば約300g/10分超、約350g/10分超、例えば約400g/10分超、例えば約450g/10分超、例えば、約500g/10分超、また一般に、約800g/10分未満であり得る。
【0253】
[00224]
水素濃度は、触媒活性に対する何らかの影響を有し得る。一般に、触媒活性は、約90kg/g~約200kg/gの範囲であり得る。約150kg/g~約200kg/gの触媒活性は、平坦な動態プロファイルを反映することができる。
【0254】
[00225]
水素濃度は、一般に、嵩密度又は粒径に影響を与えない。例えば、嵩密度は、約0.3g/cc超、例えば約0.35g/cc超、例えば約0.4g/cc超、また一般に、約0.5g/cc未満、例えば約0.45g/cc未満であり得る。D50粒径は、一般に、約500マイクロメートル~約1700マイクロメートル、及び一般に、約800マイクロメートル~約1400マイクロメートルであり得る。ポリマーのB/L3は、一般に、約0.6超、例えば約0.65超、また一般に、約0.8未満、例えば約0.75未満であり得る。
【0255】
[00226]
実施例30~32は、内部の供与体として、1,3ジエーテル(3,3-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタン)(DEMH)を使用して、触媒構成成分を調製することを示す。
【0256】
[00227]
実施例30 6.6gのMgCl、0.5gのAl(0-iPr)3、48gのトルエン、18.2gのTBP、7.1gのECHを、反応器に追加した。60°C/600rpm/8hrで加熱及び撹拌した。25Cまで冷却した。35gのトルエン、トルエン5g中2.25gの安息香酸エチル、5gのトルエン中3.0gのTEOS、及び5gのトルエン中0.75gのDEMHを、25Cで追加した。600rpmにて-25Cに冷却し、130.4gのTiClをゆっくり追加した。250rpmにて2時間にわたって、-25Cから35Cまで上昇させ、35Cで30分/250rpmにて保持した。30分で35C~85Cまで上昇させ、1時間保持して濾過した。w/100mLのトルエン/3X/10minで洗浄した。132mLの10%のTiCl/トルエンを追加し、(5gのトルエン中の1.25gのDEMH)を40Cにて追加して、80Cで1時間加熱して濾過した。132mLの10%のTiCl/tolを追加して、105で1時間加熱した。処理を110℃で30分間、更に3回繰り返した。固体をヘキサンで洗浄して、ヘキサンスラリーとして排出した。
【0257】
[00228]
実施例31.固体沈殿物を350rpmの攪拌機速度で実施して、15%のTiCl/トルエン処理により、0.80gのDEMHを内部の供与体として使用したことを除いて、実施例8を繰り返した。
【0258】
[00229]
実施例32.20%のTiCl/トルエンで触媒処理を実施したことを除いて、実施例9を繰り返した。
【0259】
【表11】
【0260】
[00230]
実施例33.球状触媒構成成分の調製及び性能の実証。MgCl(13.2g)、Al(OCH(CH3)2)3(1.0g)、トルエン(59.5g)、トリ-n-リン酸ブチル(「TBP;」36.3g)、ECH(14.25g)、及びSyltherm(6.0g)を組み合わせて、窒素雰囲気下で600rpmにて8時間攪拌しながら、60℃に加熱する。室温まで冷却した際に、ヘキサン(59.0g)、ジブチルエーテル(ヘキサン13g中8g)、ヘキサン(40g)中のViscoplex(6.0g),及びヘキサン(5g)中のEB(4.5g)を混合し、TiCl(288g)を600rpmの撹拌でゆっくりと追加する温度である0℃に冷却した。温度を1時間維持し、続いて温度を30分にわたって10℃に上昇させ、30分間保持し、70分にわたって85℃に上昇させ、濾過によって固体を回収する前に15分間保持した。固体をトルエン(200mL)で3回、それぞれ85℃で10分間洗浄した。次に、固体を濾過によって回収し、85℃で撹拌しながら10重量%のTiCl/トルエン溶液(265mL)で洗浄し、続いてトルエン(5.0g)中のNPDE1(2.0g)を追加して、85℃で60分間加熱し、続いて濾過した。濾過後、固体を再びTiCU/トルエン溶液及びトルエン(2g)中のNPDE1(0.5g)により洗浄したが、この時間は95℃であった。再び濾過した後、固体を回収し、撹拌下、110℃でTiCU/トルエン溶液により洗浄した。最後に、撹拌下、60~65℃で、固体をヘキサン(200mL)で4回洗浄し、触媒をヘキサンスラリーとして排出した。
【0261】
[00231]
実施例34は、MgClを溶解するが、無水物を使用せずに、エポキシ化合物を用いて作製された球状触媒構成成分の調製を示す。代わりに、有機ケイ素化合物、Al(O-iPr)3、及び安息香酸エチルを使用した。本触媒で生成されたポリマー(図7)は、高密度粒子及び良好な球形度を示す。
【0262】
[00232]
実施例35 Sylthermの代わりにTEOSを使用した、球状触媒構成成分の調製及び性能の実証。実施例34を繰り返したが、SylthermをTEOS(5g)と置き換えて、ジブチルエーテル(12g)を使用した。
【0263】
[00233]
実施例36(比較例)。触媒を、不規則な触媒/ポリマー形態、触媒/ポリマーの低BD、及び広い触媒/PPスパンを示すEB(PDMSなし、アルミニウムアルコキシドなし)により作製した。実施例33を繰り返したが、PDMS及びAl(OCH(CH3)2)3は追加しなかった。実施例35は、MgCl、及び安息香酸エチルを溶解するためにエポキシ化合物を使用して調製された、触媒構成成分の調製を示す。有機ケイ素化合物及びAl(O-iPr)3は使用しなかった。実施例35の触媒で生成されたポリマーは、低嵩密度粒子を示し、不規則な形態を伴う。
【0264】
[00234]
【0265】
【表12】
【0266】
[00235]
ポリマー形態は、触媒形態の複製であるため、触媒形態における同じ傾向が予期される。触媒及びポリマー形態は、任意の市販のポリマーの製造プロセスにおいて考慮するための主要な要因である。いくつかの重合プロセスは、ポリマーの良好な流動性、又は1つの反応器ユニットから別の反応器ユニットへのポリマーの移動を必要とすることが知られている。
【0267】
[00236]
本触媒/方法は、変更可能な分子量分布を有するポリ-α-オレフィンの生成をもたらす。多分散指数(PI)は、ポリマーの分子量分布と緊密に関係している。
【0268】
[00237]
実施例37~39は、異なる内部の供与体を使用して触媒構成成分で生成されたポリプロピレンの特性(PI及びレオロジー幅)を示す。
【0269】
【表13】
【0270】
[00238]
実施例40~43.実施例11からの固形触媒構成成分を、W.R.Grace and Companyから市販されている、D6500の名称で販売されている外部の供与体の混合物を使用したことを除いて、上記のようにバルクプロピレン重合に使用した。以下の表は、XSレベル(触媒活性)及びポリマー特性に対する、外部の供与体の混合物の量の効果を示す。
【0271】
【表14】
【0272】
[00239]
固体触媒構成成分又は固体沈殿物を、エチレン重合プロセスに使用することができる。実施例44は、実施例15からの固体沈殿物で生成された触媒活性及びポリエチレン特性を示す。重合を1ガロンの反応器内にてヘキサンで行った。反応器を、窒素下にて、100℃で1時間にてパージした。室温にて、ヘプタン中の25重量%のトリエチルアルミニウム(TEAL)0.6mLを、反応器内に追加した。次に、1500mLのヘキサンを追加して、上記で調製した10mgの触媒を反応器内へと追加した。反応器をH2を用いて60.0psigで加圧し、次に、エチレンを116psigまで充填した。反応器を加熱して、80℃で2時間保持した。この保持の終わりに、反応器内を脱気してポリマーを回収した。
【0273】
【表15】
【0274】
[00240]
特定の実施形態が例示され説明されてきたが、当該技術分野において通常の手法に従って、以下の請求項において定義される、最も広い態様における技術から逸脱することなく、そこに変更及び修正を加えることが可能である、と理解すべきである。
【0275】
[00241]
本明細書において例示的に説明された実施形態は、本明細書において具体的に開示されない任意の要素(複数可)、限定(複数可)なしで、好適に実行し得る。従って、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等は、拡大して判断されるべきであり、かつ限定されるものではない。また、本明細書において使用される用語及び表現は、説明のための用語として用いられており、制限のための用語として用いられてはおらず、そのような用語及び表現の使用において、図示され説明された特徴又はその部分のいかなる等価物も排除しようという何らの意図もなく、請求された技術の範囲内で、種々の修正が可能であるということが認識される。なお、語句「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、具体的に言及された要素と、請求された技術の基本的及び新しい特徴に実質的に影響しない追加的な要素とを含むものとして、理解される。語句「~からなる(consisting of)」は、具体的に言及されていないいかなる要素をも排除する。
【0276】
[00242]
本開示は、本出願において記載された特定の実施形態の観点から限定されることはない。その趣旨及び範囲から逸脱することなく、また当業者には明らかなように、多くの修正及び変形形態が実現可能である。本開示に挙げられた方法に加えて、本開示の範囲内で機能的に等価な方法及び組成が、これまでの説明から、当業者には明らかであろう。このような修正及び変形形態は、付属の請求項の範囲に収まるものとして意図されている。本開示は、付属の請求項が権利を主張する等価物の全範囲と共に、このような請求項の用語によってのみ、制限されるべきである。本開示は、特定の、方法、試薬、化合物組成又は生物学的システム(これらは当然のことながら変化し得るものである)に制限されないということも、理解するべきである。また、本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のみで用いられており、限定的なものとしては意図されていないということも、理解されるべきである。
【0277】
[00243]
また、本開示の特徴又は態様が、マーカッシュ群の用語により記載される場合には、開示はまたそれによって、任意の個々の要素又はマーカッシュ群の下位群によって記載されるということを、当業者は認識するであろう。
【0278】
[00244]
当業者には理解できるように、任意の及び全ての目的に対して、特に、書面による説明を提供することにより、本明細書において開示された全ての範囲はまた、任意の及び全ての可能な下位範囲と、その下位範囲の組み合わせを包含する。任意の列挙された範囲は、少なくとも等しく半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割されている同一の範囲を十分に説明し、かつ可能にするとして、容易に理解され得る。非限定的例として、本明細書にて記載されたそれぞれの範囲は、下側の3分の1、中間の3分の1及び上側の3分の1に容易に分割することができる。当業者によってまた理解されるように、「まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「よりも大きい(greater than)」、「未満(less than)」などの全ての用語は、列挙された数字を含み、上述のように、下位範囲へとその後に分割され得る範囲について言及する。最後に、当業者によって理解されるであろうように、範囲にはそれぞれの個別の要素が含まれる。
【0279】
[00245]
公開出版物、特許出願書、交付済み特許及び本明細書において言及されるその他の文書は全て、それぞれ個別の公開出版物、特許出願書、交付済み特許又はその他の文書がまるで、その全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に指摘されているかのように、本明細書に参照として組み込まれる。参照として組み込まれるテキストに含まれる定義は、本開示内の定義に矛盾する場合には排除される。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
オレフィン重合のための固体触媒構成成分であって、
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物及びマグネシウム化合物とエポキシ化合物との反応生成物を含む、マグネシウム化合物と、
有機リン化合物と、
チタン化合物と、
有機ケイ素化合物と、
内部電子供与体であって、前記内部電子供与体が、アリールジエステル、ジエーテル、スクシネート、有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、又は少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物、又はこれらの混合物を含む、内部電子供与体と、を含み、
前記固体触媒構成成分が、カルボン酸又はその無水物とマグネシウム化合物又はチタン化合物との間に副反応生成物を含まず、
前記固体触媒構成成分が、約5マイクロメートル~約70マイクロメートル(体積基準で50%)の粒径を有する、オレフィン重合のための固体触媒構成成分。
[2]
担持供与体を更に含有し、前記担持供与体が、前記内部電子供与体とは異なり、前記担持供与体が、エーテル、スクシネート、モノアリールエステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、アクリレート、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、又は2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物を含む、[1]に記載の固体触媒構成成分。
[3]
前記有機ケイ素化合物がSi-O又はO-Si-O基を含有する、[1]又は[2]に記載の固体触媒構成成分。
[4]
アルミニウム化合物を更に含有する、[1]又は[2]に記載の固体触媒構成成分。
[5]
前記担持供与体が、単独で、又はジアルキルエーテル若しくはアクリレートと組み合わせてモノエステルを含み、前記内部電子供与体がジアリールエステルを含む、[2]又は[3]に記載の固体触媒構成成分。
[6]
前記固体触媒構成成分が、約100m/g~約500m/gのBET表面積を有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[7]
前記固体触媒構成成分が、有機酸とマグネシウム化合物又はチタン化合物との間にいかなる副反応生成物をも含まない、[1]~[6]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[8]
前記有機リン化合物がリン酸エステルを含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[9]
有機アルミニウム化合物及び少なくとも1種の選択性制御剤と組み合わされて、[1]~[8]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分を含有する、触媒系。
[10]
活性制限剤を更に含む、[9]に記載の触媒系。
[11]
前記活性制限剤が、C4~C30脂肪族酸エステル、ジエーテル、又はC4~C30脂肪族酸のポリ(アルケングリコール)エステルを含む、[10]に記載の触媒系。
[12]
前記選択性制御剤が、ジメチルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、又はこれらの混合物を含む、[9]、[10]、又は[11]に記載の触媒系。
[13]
前記内部電子供与体が、アリールジエステル、ジエーテル、スクシネート、有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、又は少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物、又はこれらの混合物を含む、[1]~[12]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[14]
マグネシウム化合物とエポキシ化合物との前記反応生成物が、以下の式によって表されるマグネシウム化合物とエポキシ化合物との反応生成物を含み、
【化21】

式中、
aは、1、2、3、4、又は5であり、
Xは、アルキル、F、Cl、Br、Iであり、
は、H、アルキル、アリール、又はシクリルである、[1]~[13]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[15]
前記内部電子供与体が、以下の式のうちの1つによって表される、
【化22】

、又は
【化23】

式中、
~R34のそれぞれは、独立して、H、F、Cl、Br、I、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、
qは、0~12の整数である、[1]~[12]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[16]
前記内部電子供与体が、直鎖又は環状ジエーテル、及び非フタル酸芳香族ジエステルからなる群から選択される、[1]~[12]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[17]
前記ハロゲン化物含有マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム、及びこれらのうちでいずれか2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される、[1]~[16]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[18]
前記有機リン化合物が、以下の式によって表され、
【化24】

式中、R、R、及びRは、それぞれ独立してC~C10アルキルである、[1]~[17]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[19]
前記有機ケイ素化合物が、式(II)で表されるシラン、シロキサン又はポリシロキサンであり、
Si(OR’)4-n(II)
式中、
各Rは、H、アルキル、又はアリールであり、
各R’は、H、アルキル、アリール、又はSiRn’(OR’)3-nであり、
nは、0、1、2、又は3である、[1]~[18]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分。
[20]
重合プロセスであって、
[1]~[8]のいずれか一項に記載の固体触媒構成成分、有機アルミニウム化合物、及び所望により外部電子供与体の存在下で、オレフィンを重合することを含む、重合プロセス。
[21]
前記オレフィンがまた、シラン化合物を含む少なくとも1種の選択性制御剤の存在下で、及び所望により活性制限剤の存在下で重合される、[20]に記載の重合プロセス。
[22]
前記活性制限剤が、重合中に存在し、C4~C30脂肪族酸エステル、ジエーテル、又はC4~C30脂肪族酸のポリ(アルケングリコール)エステルを含む、[21]に記載の重合プロセス。
[23]
粒子が約0.6超、例えば約0.7超、例えば約0.8超のB/L3を有するような粒子形態を有するポリマー粒子が生成される、[20]、[21]、又は[22]に記載の重合プロセス。
[24]
オレフィン重合のための固体触媒構成成分の調製プロセスであって、前記プロセスが、
a)ハロゲン化物含有マグネシウム化合物を混合物中に溶解する工程であって、前記混合物が、エポキシ化合物、有機リン化合物、及び炭化水素溶媒を含み、均質な溶液を形成する工程と、
b)前記均質な溶液を、有機ケイ素化合物の存在下で第1のチタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成する工程と、
c)前記固体沈殿物を、非フタル酸電子供与体の存在下で第2のチタン化合物で処理して、前記固体触媒構成成分を形成する工程と、を含み、
前記プロセスは、カルボン酸及び無水物を含まず、
前記第1のチタン化合物及び前記第2のチタン化合物は、それぞれ独立して以下の式で表され、
Ti(OR)gX4-g、
各Rは独立してC1~C4アルキルであり、
Xは、Br、Cl、又はIであり、
gは、0、1、2、又は3であり、
前記有機ケイ素化合物は、O-Si-O若しくはSi-O-Si基、又はこれらの両方を含有する、オレフィン重合のための固体触媒構成成分の調製プロセス。
[25]
前記均質な溶液を担持供与体で処理する工程を更に含み、前記担持供与体が、ジエーテル、スクシネート、モノアリールエステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、アクリレート、又はこれらの混合物を含む、[24]に記載のプロセス。
[26]
前記非フタル酸電子供与体が、前記担持供与体とは異なり、前記非フタル酸電子供与体が、アリールジエステル、ジエーテル、スクシネート、有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2個~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、又は少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物、又はこれらの混合物を含む、[25]に記載のプロセス。
[27]
アルミニウムアルコキシドの存在下で前記均質な溶液を形成する工程を更に含む、[24]、[25]、又は[26]に記載のプロセス。
[28]
前記アルミニウムアルコキシドが、式Al(OR’)を有し、各R’が、個別にC~C20炭化水素である、[27]に記載のプロセス。
[29]
前記非フタル酸電子供与体が、前記固体沈殿物が形成される前後において追加される、[24]、[25]、[26]、[27]、又は[28]に記載のプロセス。
[30]
前記エポキシ化合物が、以下の式によって表されるグリシジル含有化合物であり、
【化25】

式中、
aは、1、2、3、4、又は5であり、
Xは、アルキル、F、Cl、Br、Iであり、
は、H、アルキル、アリール、又はシクリルである、[24]~[29]のいずれか一項に記載のプロセス。
[31]
前記エポキシ化合物が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、1,2-エポキシヘキサン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシテトラデカン、1,2-エポキシヘキサデカン、1,2-エポキシオクタデカン、7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン、2-ビニルオキシラン、2-メチル-2-ビニルオキシラン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,2-エポキシ-7-オクテン、1-フェニル-2,3-エポキシプロパン、1-(1-ナフチル)-2,3-エポキシプロパン、1-シクロヘキシル-3,4-エポキシブタン、1,3-ブタジエンジオキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、シクロペンテンオキシド、シクロオクテンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3-エポキシノルボルナン、リモネンオキシド、シクロデカンエポキシド、2,3,5,6-ジエポキシノルボルナン、スチレンオキシド、3-メチルスチレンオキシド、1,2-エポキシブチルベンゼン、1,2-エポキシオクチルベンゼン、スチルベンオキシド、3-ビニルスチレンオキシド、1-(1-メチル-1,2-エポキシエチル)-3-(1-メチルビニルベンゼン)、1,4-ビス(1,2-エポキシプロピル)ベンゼン、1,3-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、1,2-エポキシ-4-フルオロブタン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-フルオロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-2-フルオロベンゼン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-クロロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-3-クロロベンゼン、4-フルオロ-1,2-シクロヘキセンオキシド、6-クロロ-2,3-エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-フルオロスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシプロピル)-3-トリフルオロベンゼン、3-アセチル-1,2-エポキシプロパン、4-ベンゾイル-1,2-エポキシブタン、4-(4-ベンゾイル)フェニル-1,2-エポキシブタン、4,4’-ビス(3,4-エポキシブチル)ベンゾフェノン、3,4-エポキシ-1-シクロヘキサノン、2,3-エポキシ-5-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3-アセチルスチレンオキシド、4-(1,2-エポキシプロピル)ベンゾフェノン、グリシジルメチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルへキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチル3,4-エポキシブチルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジル4-tert-ブチルフェニルエーテル、グリシジル4-クロロフェニルエーテル、グリシジル4-メトキシフェニルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル4-インドリルエーテル、グリシジルN-メチル-α-キノロン-4-イルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-ジグリシジルオキシベンゼン、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ポリ(オキシプロピレン)トリオールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラックのグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-メトキシシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-メトキシスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシブチル)-2-フェノキシベンゼン、ギ酸グリシジル、酢酸グリシジル、酢酸2,3-エポキシブチル、酪酸グリシジル、安息香酸グリシジル、ジグリシジルテレフタレート、ポリ(アクリル酸グリシジル)、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、アクリル酸グリシジルと別のモノマーとのコポリマー、メタクリル酸グリシジルと別のモノマーとのコポリマー、1,2-エポキシ-4-メトキシカルボニルシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、エチル4-(1,2-エポキシエチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)-5-フェニルベンゾエート、N,N-グリシジル-メチルアセトアミド、N,N-エチルグリシジルプロピオンアミド、N,N-グリシジルメチルベンズアミド、N-(4,5-エポキシペンチル)-N-メチル-ベンズアミド、N,N-ジグリシルアニリン、ビス(4-ジグリシジルアミノフェニル)メタン、ポリ(N,N-グリシジルメチルアクリルアミド)、1,2-エポキシ-3-(ジフェニルカルバモイル)シクロヘキサン、2,3-エポキシ-6-(ジメチルカルバモイル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(ジメチルカルバモイル)スチレンオキシド、4-(1,2-エポキシブチル)-4’-(ジメチルカルバモイル)ビフェニル、4-シアノ-1,2-エポキシブタン、1-(3-シアノフェニル)-2,3-エポキシブタン、2-シアノスチレンオキシド、及び6-シアノ-1-(1,2-エポキシ-2-フェニルエチル)ナフタレン、からなる群から選択される、[30]に記載のプロセス。
[32]
前記非フタル酸電子供与体が、次式のうちの1つによって表される化合物を含む、
【化26】

【化27】

式中、
~R34のそれぞれは、独立して、H、F、Cl、Br、I、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、
qは、0~12の整数である、[24]~[31]のいずれか一項に記載のプロセス。
[33]
前記非フタル酸電子供与体が、直鎖又は環状ジエーテル、及び非フタル酸芳香族ジエステルからなる群から選択される、[24]~[31]のいずれか一項に記載のプロセス。
[34]
前記均質な溶液を前記第1のチタン化合物で処理する工程が、有機エステル及び前記有機ケイ素化合物、有機エステル及びアルミニウムアルコキシド、又は有機エステル、有機ケイ素化合物、及びアルミニウムアルコキシドの存在下で実施されて、前記固体沈殿物を形成する、[24]~[33]のいずれか一項に記載のプロセス。
[35]
前記ハロゲン化物含有マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム、及びこれらのうちでいずれか2種以上の混合物からなる群から選択される、[24]~[34]のいずれか一項に記載のプロセス。
[36]
前記有機リン化合物が、以下の式によって表され、
【化28】

式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、C~C10アルキルである、[24]~[35]のいずれか一項に記載のプロセス。
[37]
前記有機ケイ素化合物が、式(II)で表されるシラン、シロキサン又はポリシロキサンであり、
Si(OR’)4-n(II)
式中、
各Rは、H、アルキル、又はアリールであり、
各R’は、H、アルキル、アリール、又はSiRn’(OR’)3-nであり、
nは、0、1、2、又は3である、[24]~[36]のいずれか一項に記載のプロセス。
[38]
前記有機ケイ素化合物が、ポリジアルキルシロキサン、テトラアルコキシシラン、又はこれらのうちでいずれか2種以上の混合物である、[37]に記載のプロセス。
[39]
アルミニウムアルコキシドが、アルミニウムイソプロポキシドである、[28]に記載のプロセス。
[40]
前記担持電子供与体が、ギ酸メチル、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソブチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-メチル安息香酸メチル、p-t-ブチル安息香酸エチル、ナフトエ酸エチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、又はエトキシ安息香酸エチル、を含む、[25]に記載のプロセス。
[41]
オレフィンモノマーを重合又は共重合するプロセスであって、オレフィンモノマーを、[24]~[40]のいずれか一項に記載の前記触媒構成成分と接触させて、有機アルミニウム化合物の存在下で、及びシラン化合物を単独で又は活性制限剤と組み合わせて含む少なくとも1種の選択性制御剤の存在下で、ポリオレフィンポリマーを形成することを含む、プロセス。
[42]
粒子が、約0.6超、例えば約0.7超、例えば約0.8超のB/L3を有するような粒子形態を有するポリマー粒子が生成される、[41]に記載の重合プロセス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7