(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】栄養補助食品
(51)【国際特許分類】
A23L 29/256 20160101AFI20231016BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20231016BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20231016BHJP
A23L 33/175 20160101ALI20231016BHJP
【FI】
A23L29/256
A23L33/10
A23L33/125
A23L33/175
(21)【出願番号】P 2020551813
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2019057773
(87)【国際公開番号】W WO2019185742
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-04
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518381433
【氏名又は名称】ラミナリア、グループ、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】LAMINARIA GROUP AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】マルティン、アーノフ
(72)【発明者】
【氏名】モルテン、フリュークナース
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開昭47-011970(JP,A)
【文献】特表2007-505183(JP,A)
【文献】特開2015-089357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C08B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸塩ヒドロゲルからなる栄養補助食品であって、前記アルギン酸塩ヒドロゲルが
a)20~
50%カルシウム飽和している0.1~5重量%のアルギン酸塩、および
b)1~75重量%の有効成分を含む水溶液
からなり、前記有効成分が糖、複合炭水化物、電解質、カフェインおよびアミノ酸の1つ以上の成分から選択される、前記栄養補助食品。
【請求項2】
前記アルギン酸塩が
、少なくとも30%カルシウム飽和している、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項3】
前記アルギン酸塩が
46%以下カルシウム飽和している、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項4】
前記アルギン酸塩が
38%以下カルシウム飽和している、請求項3に記載の栄養補助食品。
【請求項5】
前記ヒドロゲルが少なくとも0.2重量%のアルギン酸塩を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項6】
前記ヒドロゲルが3重量%以下のアルギン酸塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項7】
前記溶液中の有効成分の含有量が
、少なくとも10重量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項8】
前記溶液中の糖の含有量が
、少なくとも10重量%である、請求項7に記載の栄養補助食品。
【請求項9】
前記糖がグルコース、フルクトース、スクロースおよびイソマルツロースから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項10】
前記溶液中の複合炭水化物の含有量が0.1~50重量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項11】
前記複合炭水化物がデンプン、マルトデキストリンおよびペクチンから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項12】
前記電解質が、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび亜鉛の塩化物、リン酸塩、炭酸塩およびクエン酸塩から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項13】
前記ヒドロゲルが
a)20~
50%カルシウム飽和している0.2~1重量%のアルギン酸塩、および
b)10~75重量%の有効成分を含む水溶液
からなる、前記有効成分が糖、複合炭水化物、電解質、カフェインおよびアミノ酸の1つ以上の成分から選択される、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項14】
前記ヒドロゲルが
a)20~
50%カルシウム飽和している0.3~0.8重量%のアルギン酸カルシウム、および
b)30~50重量%のグルコース、15~30重量%のフルクトース、0~30重量%のスクロース、
および0~30重量%のマルトデキストリンを含む水溶液
を含む、請求項13に記載の栄養補助食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養補助食品の技術分野、より具体的にはスポーツドリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ、特に持久力スポーツにおける高いパフォーマンスのためには、トレーニング中、ならびに競技前および競技中に炭水化物の形でエネルギーを摂取することが求められる。持久力イベントに参加するアスリートには、比較的高い仕事量(work rate)を長時間維持することが求められ、その結果、エネルギー消費量が高くなる。疲労感の発生を遅らせ、長時間の持久力パフォーマンスを最適化するために、アスリートには炭水化物からのエネルギーにより体を活性化することが推奨されている。炭水化物の摂取は持久力とパフォーマンスを改善することが示されており、アスリートは持久力イベント中に1時間に体重1kgあたり0.7g(30~60g/h)の割合で炭水化物を摂取することが推奨されている(American College of Sports Medicine. Med Sci Sports Exerc. 2009, 41: 709-31)。現代における代替的な推奨事項によると、2時間より長い激しい(超)持久力イベントに参加するアスリートに対して、最大90g/hのさらに高い炭水化物摂取率が示唆されている(Jeukendrup Eur J Sport Sci 2008, 8: 77-86)。
【0003】
運動は、筋肉組織に貯蔵されているグリコーゲンからのブドウ糖の代謝酸化を伴うものである。激しい運動は、1~1.5時間の運動後には貯蔵されているグリコーゲンの有意な低下を引き起こす。貯蔵されるグリコーゲンの量は限られているが、グリコーゲンの枯渇は、運動直前および運動中に炭水化物を摂取することで妨げ得る。炭水化物が摂取され、筋肉細胞におけるATP生成に利用できるようになる速度は、いくつかの要因によって制限される(Rowlands et al. Sports Med (2015) 45: 1561-1576)。理想的な炭水化物補助食品は、達成可能な最大レベル(約90g/h)に近い速度で摂取された場合に、炭水化物の迅速かつ完全な摂取を示す必要がある。最初の摂取後の炭水化物摂取の開始、および反復的な摂取後の定常状態での外因性炭水化物の酸化速度は、O2/CO2ガス交換を測定し、同位体選択技術を使用して呼気CO2中の摂取炭水化物を追跡することによって決定することができる。
【0004】
激しい運動中の高い炭水化物摂取は、吐き気や鼓腸のスコアが高い等の胃腸症状に関連している(Pfeiffer Me Sci Sports Exerc 2012, 44: 344-351)。高い吸収率が望まれている。小腸を通過する際に完全に吸収されない炭水化物は、望ましくない下剤効果をもたらし、結腸内の細菌代謝を阻害し、ガス産生を増大させる可能性がある。
【0005】
したがって、望ましくない胃腸症状を引き起こすことなく高い炭水化物摂取を可能にする栄養補助食品に対する要望も存在する。
【0006】
公表された研究において一貫した知見は、歯科医院に通う選択されたサンプルの場合、およびチームのより代表的な評価の両方において、エリートアスリートの口内の健康状態が良くないということである(Needleman Br J Sports Med 2015, 49, 3-6; Ashley Br J Sports Med 2015, 49, 14-19)。根本的な原因の1つは、酸蝕や虫歯を促進する口内のpH低下を引き起こす酸性のスポーツドリンクを含む炭水化物を頻繁に摂取することにある。虫歯とスポーツドリンクの摂取頻度との関係は子供についても報告されている(Kawashita Community Dent Health 2011, 28, 29-33)。
【0007】
したがって、口内の健康に対する悪影響が少ない炭水化物含有栄養補助食品が求められている。
【0008】
SE512093には、運動中の炭水化物の摂取を制御するために使用される非う蝕原性液体と共にカプセル化された固体炭水化物を含む経口製剤が開示されている。必要な量の固形炭水化物を摂取することにより、摂取が遅れ、さらには不完全になり、望ましくない胃腸症状を引き起こす可能性がある。
【0009】
カルシウムによって架橋されたアルギン酸塩は、有効成分の制御放出のために、乾燥製剤およびある程度の湿潤製剤で広く使用されている(Hjorth Pharmacy 2002 28:6 621-630; Li Nature Reviews Materials 2016, Article number: 16071)。
【0010】
McEntee, Journal of Applied Polymer Science, 107: 2956-2962 (2008)には、より高いアルギン酸塩濃度を使用することにより、アルギン酸カルシウムビーズからのグルコースの放出を遅らせることができることが開示されている。この研究は、ビーズ中のカルシウムイオンのさまざまな飽和濃度で実施される。
【0011】
US2014/0037830号には、長期間にわたってin vivoで送達され、運動能力を増強することが示唆されている栄養組成物が開示されている。
【0012】
WO2017/186940およびWO2017/186948には、アルギン酸塩を含み、望ましくない胃腸症状を軽減することを目的とした栄養補助食品が開示されている。これらの栄養補助食品は高レベルの炭水化物を含んでいるため、口内の健康に深刻な悪影響をもたらす。全体として、口内の健康に対する影響が少なく、同時に、望ましくない胃腸症状を引き起こすことなく運動中の高い炭水化物酸化速度をサポートする高効率の炭水化物摂取を可能にする炭水化物含有栄養補助食品が求められている。
【発明の概要】
【0013】
口内の健康に対する悪影響が少ない炭水化物を含む栄養補助食品を提供することを目的とする。
【0014】
口内の健康に対する影響が少なく、同時に、望ましくない胃腸症状を引き起こすことなく運動中の高い炭水化物酸化率をサポートする高効率の炭水化物摂取を可能にする炭水化物含有栄養補助食品を提供することも目的とする。
【0015】
改善された貯蔵安定性を有する上記のような炭水化物含有栄養補助食品を提供することも本発明の目的である。
【0016】
水溶液の代わりに水性ヒドロゲルの形態で炭水化物を提供することにより、炭水化物への大量の歯の曝露が回避され得る。一方、ヒドロゲルからの炭水化物の腸内取り込みの速度および程度は減弱されることが予想され得、これは望ましくない。
【0017】
本発明者らは、驚くべきことに、炭水化物含有水溶液をアルギン酸塩ヒドロゲルにカプセル化することが可能であり、同量の遊離炭水化物含有水溶液の摂取によるpHの急激な低下と比較して、pHの限られた低下のみによって見られるように、限られた量の炭水化物水溶液のみが摂取時に口内に放出され、運動中の高い炭水化物参加率をサポートする高く効率的な炭水化物摂取が維持され、これは望ましくない胃腸症状を引き起こすことがない。
【0018】
含水カルシウムをアルギン酸水溶液に添加すると、カルシウムによるアルギン酸の架橋により、塩非水溶性ヒドロゲルであるアルギン酸カルシウムが形成される。本発明者らは、アルギン酸カルシウムヒドロゲルの特性が、亜飽和量のカルシウムの添加によって調節され得ることを見出した。亜飽和量のカルシウムを添加することにより、アルギン酸カルシウムとアルギン酸塩との混合物を含むヒドロゲルが生成される。アルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムまたはアルギン酸アンモニウム、またはそれらの混合物であり得る。
【0019】
より具体的には、アルギン酸カルシウムヒドロゲルビーズは、アルギン酸溶液の液滴をカルシウム溶液に添加することによって製造することができる。アルギン酸塩溶液およびカルシウム溶液は、実質的に同じ量の有効成分、例えば糖を含んでいる。カルシウム溶液表面に液滴が蓄積するのを避けながら、液滴が沈むことを可能にするわずかに高い密度のアルギン酸塩溶液の液滴を得るために、主成分の濃度にわずかな差があることが好ましい。あるいは、成形されたアルギン酸カルシウムヒドロゲルは、不溶性カルシウム塩をアルギン酸塩溶液に分散させ、カルシウムを徐々に放出することによって、例えば混合物に添加された酸の作用によって生成することができる。アルギン酸塩溶液には、有効成分、例えば糖が含まれている。ヒドロゲルのアルギン酸塩組成物、すなわち、アルギン酸塩の総量およびアルギン酸塩の総量に対するアルギン酸カルシウムの比率は、ヒドロゲルに所望の特性が付与されるように選択される。100%カルシウム飽和がアルギン酸塩のマンヌロン酸残基/グルロン酸残基のそれぞれに対して1/2のカルシウムに相当する、アルギン酸カルシウムの%カルシウム飽和度としても見られるカルシウムの相対量により、アルギン酸塩の架橋レベルが決定され、それによってヒドロゲルの特性に寄与する。20%未満等の低い%カルシウム飽和は、架橋レベルが低く、そのためゲル強度が低いアルギン酸ヒドロゲルをもたらす。80%超等の高い%カルシウム飽和は、架橋レベルが高く、そのためゲル強度が高いアルギン酸ヒドロゲルをもたらす。
【0020】
ゲル強度が低いと、機械的強度が低く、炭水化物のカプセル化が不十分である等の望ましくない特性が生じ、ゲルヒドロゲルの摂取中に口内で糖が放出される。
【0021】
ゲル強度が高いと、ヒドロゲル内への不完全な液体溶液の包含、経時的なヒドロゲルからの液体溶液の漏出を意味する離液(syneresis)等の望ましくない特性が生じる。完全またはほぼ完全なカルシウム飽和を有するアルギン酸塩ヒドロゲルは、糖が溶解している水が漏出していることが認識されている。この負の離液効果は、調製されたヒドロゲルが消費前に保管される場合等、経時的にさらに明確になる。
【0022】
したがって、本発明の一つの態様によれば、アルギン酸塩ヒドロゲルからなる栄養補助食品が提供され、上記ヒドロゲルは;
a)20~80%カルシウム飽和している0.1~5重量%の総アルギン酸塩、および
b)1~75重量%の有効成分を含む水溶液
を含み、上記有効成分は糖、複合炭水化物、電解質、カフェインおよびアミノ酸の1つ以上の成分から選択される。
【0023】
1つの好ましい実施形態において、上記アルギン酸塩ヒドロゲルは、本質的に:
a)20~80%カルシウム飽和している0.1~5重量%の総アルギン酸塩、および
b)1~75重量%の有効成分を含む水溶液
からなり、上記有効成分は糖、複合炭水化物、電解質、カフェインおよびアミノ酸の1つ以上の成分から選択される。
【0024】
上記ヒドロゲル中の総アルギン酸塩含有量は、0.1~3重量%、0.1~2.0重量%、より好ましくは0.2~1.0重量%、または0.3~0.8重量%等の0.1~5重量%であり得る。アルギン酸塩含有量が低い場合、本発明のヒドロゲルからの糖の放出は、水溶液からの放出と実質的に同じである拡散速度によって制限される。
【0025】
%カルシウム飽和度は、20~65%または38~46%、より好ましくは25~55%、より好ましくは30~55%、より好ましくは30~46、より一層好ましくは30~38%等の20~80%であり得る。
【0026】
したがって、本発明におけるアルギン酸塩ヒドロゲルは、アルギン酸カルシウムとアルギン酸塩との混合物を含む。上記アルギン酸塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムおよびアルギン酸アンモニウム、またはそれらの任意の混合物であり得る。
【0027】
上記アルギン酸塩ヒドロゲルのゲル強度は、総アルギン酸塩含有量および%カルシウム飽和度の両方によって決定される。好ましいゲル強度は、より低い総アルギン酸塩含有量とより高い%カルシウム飽和度との組み合わせによって得ることができる。同様に、好ましいゲル強度は、より高い総アルギン酸塩含有量とより低い%カルシウム飽和度との組み合わせによって得ることができる。
【0028】
アルギン酸塩ヒドロゲルのゲル強度は、アルギン酸塩のタイプによっても決定され、高M-アルギン酸塩/低G-アルギン酸塩は、同じゲル強度を得るためにより高い%カルシウム飽和を必要とする。同様に、高G-アルギン酸塩/低M-アルギン酸塩は、同じゲル強度を得て離液を回避または減少させるために、より低い%カルシウム飽和を必要とする。
【0029】
したがって、本発明の栄養補助食品は:
i)アルギン酸塩が30~65%カルシウム飽和等の30~80%カルシウム飽和している0.1~1重量%の総アルギン酸塩を含むアルギン酸塩ヒドロゲル、または
ii)アルギン酸塩が20~55%カルシウム飽和等の20~65%カルシウム飽和している0.3~5重量%の総アルギン酸塩を含むアルギン酸塩ヒドロゲル
からなり得る。
【0030】
ヒドロゲル溶液中の有効成分の含有量は、好ましくは10~75重量%である。
【0031】
ヒドロゲル溶液中の糖含有量は、45~70重量%等の1~75重量%であり得る。
【0032】
糖はグルコース、フルクトース、スクロース、イソマルツロースから選択され得る。
【0033】
ヒドロゲル溶液中のグルコース含有量は0~35重量%、15~35重量%、好ましくは15~32重量%であり得る。
【0034】
ヒドロゲル溶液中のフルクトース含有量は0~75重量%、好ましくは15~50%、例えば30~50重量%、同じく好ましくは15~30重量%であり得る。
【0035】
ヒドロゲル溶液中のスクロース含有量は0~60重量%、30~50重量%、または15~30重量%であり得る。
【0036】
存在する場合、グルコースに対するフルクトースの比は0.3:1~1.2:1、好ましくは0.5:1~1:1等の0.1:1~10:1であり得る。
【0037】
複合炭水化物はデンプン、マルトデキストリンおよびペクチンから選択され得る。
【0038】
ヒドロゲル溶液中の複合炭水化物の含有量は5~20重量%等の0.1~50重量%であり得る。
【0039】
電解質はナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび亜鉛の塩化物、リン酸塩、炭酸塩およびクエン酸塩から選択され得る。
【0040】
任意に、ヒドロゲルはカフェイン、ビタミンC等のビタミンを含み得る。
【0041】
任意に、ヒドロゲルにはレモンオイル等の香味料が供給され得る。
【0042】
水溶液は有利にはヒドロゲル中にカプセル化されており、消費時に口内において糖または複合炭水化物等の有効成分が限定的に放出されることを可能にする。
【0043】
1つの好ましい実施形態において、アルギン酸塩ヒドロゲルは:
a)アルギン酸塩が20~65%等の20~80%カルシウム飽和している、より好ましくは38~46%等の30~55%、より一層好ましくは30~46%カルシウム飽和している0.3~0.8重量%等の0.2~1.0重量%の総アルギン酸塩、および
b)36~48重量%のグルコース、18~24重量%のフルクトースおよび0.1~0.3重量%の塩化ナトリウムを含む水溶液
を含む。
【0044】
別の好ましい実施形態において、アルギン酸塩ヒドロゲルは:
a)アルギン酸塩が20~65%等の20~80%カルシウム飽和している、より好ましくは38~46%等の30~55%、より一層好ましくは30~46%カルシウム飽和している0.3~0.8重量%等の0.2~1.0重量%の総アルギン酸塩、および
b)36~48重量%のイソマルツロース、18~24重量%のマルトデキストリンおよび0.1~0.3重量%の塩化ナトリウムを含む水溶液
を含む。
【0045】
別の好ましい実施形態において、アルギン酸塩ヒドロゲルは:
a)アルギン酸塩が20~65%等の20~80%カルシウム飽和している、より好ましくは38~46%等の30~55%、より一層好ましくは30~46%カルシウム飽和している0.3~0.8重量%等の0.2~1.0重量%の総アルギン酸塩、および
b)30~50重量%のグルコース、15~30重量%のフルクトース、0~30重量%のマルトデキストリンおよび0.1~0.3重量%の塩化ナトリウムを含む水溶液
を含む。
【0046】
別の好ましい実施形態において、アルギン酸塩ヒドロゲルは:
a)アルギン酸塩が20~65%等の20~80%カルシウム飽和している、より好ましくは38~46%等の30~55%、より一層好ましくは30~46%カルシウム飽和している0.3~0.8重量%等の0.2~1.0重量%の総アルギン酸塩、および
b)30~50重量%のグルコース、15~30重量%のフルクトース、0~30重量%のスクロース、0~30重量%のマルトデキストリンおよび0.1~0.3重量%の塩化ナトリウムを含む水溶液
を含む。
【0047】
本発明におけるヒドロゲルは、ヒドロゲルビーズの形態であり得る。ヒドロゲルビーズは、3~5mmの直径等の1~10mmの直径を有し得る。
【0048】
あるいは、本発明におけるヒドロゲルは、シートまたはブロックの形態に成形され得る。好ましくは、1部の大きさまたはすぐに消費可能な大きさで供給される。ヒドロゲルは、好ましくは、その最終包装に直接成形することができる。
【0049】
本発明におけるアルギン酸塩ヒドロゲルによれば:
・保管時のヒドロゲルからの炭水化物溶液の離液がないか、限られている
・口内で炭水化物が限定的に放出される
・運動中の高い炭水化物酸化率をサポートする高く効率的な炭水化物摂取であって、これによる望ましくない胃腸症状が引き起こされな
ことが提供される。
【0050】
本発明の別の態様によれば、スポーツドリンクまたはエネルギードリンクとして、好ましくはスポーツドリンクとしての、本発明の栄養補助食品の使用が提供される。
【0051】
したがって、本発明によれば、アルギン酸塩ヒドロゲルからなる栄養補助食品のスポーツドリンクまたはエナジードリンクとしての使用が提供され、上記ヒドロゲルは:
a)20%~80%カルシウム飽和している0.1~5重量%の総アルギン酸塩、および
b)1~75重量%の有効成分を含む水溶液
を含み、上記有効成分は糖、複合炭水化物、電解質、カフェインおよびアミノ酸の1つ以上の成分から選択される。
【0052】
より具体的には、本発明によれば、運動前、運動中および/または運動後の炭水化物の形態のエネルギー供給としての栄養補助食品の使用が提供され、それにより、溶液中の遊離炭水化物の摂取後の経口pH低下のう蝕原性効果が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】40重量%のグルコースおよび20%のフルクトースの溶液を含むアルギン酸ヒドロゲルビーズの摂取時の歯垢のpHの低下(実線)と、40重量%のグルコースおよび20%のフルクトースを含まない溶液の摂取時の口腔内のpHの低下との比較。pH5.5~5.7のエナメル質臨界レベルが示されている。
【
図2】運動中の炭水化物摂取後に測定された呼気CO
2中の
13C同位体濃縮により計算された外因性炭水化物酸化率(試験A)。自転車競技者(n=3)は、時間ゼロで2×36gの炭水化物を摂取し、その後20分間隔で36gの炭水化物を摂取した。対照溶液(左)およびヒドロゲルビーズ(右)には、フルクトースおよびグルコースの0.8:1混合物(60重量%)が含まれていた。各曲線は、個々の自転車競技者のデータを表す。
【
図3】運動中の炭水化物摂取後に測定された呼気CO
2中の
13C同位体濃縮により計算された外因性炭水化物酸化率(試験B)。自転車競技者(n=3)は、30分、50分、70分、90分、110分および130分の時点で31.7gの炭水化物を摂取した。対照溶液(左)および成形ヒドロゲル(右)には、フルクトースおよびマルトデキストリンの0.8:1混合物(60重量%)が含まれていた。各曲線は、個々の自転車競技者のデータを表す。
【
図4】カルシウム含有量および離液の程度が異なるゲルビーズの写真。ビーズには、60%の糖(グルコースおよびフルクトース)が含まれていた。ビーズは、0.50重量%のアルギン酸塩(M/G比0.35:0.65)を含む糖溶液から調製した。
【
図5】アルギン酸ビーズの圧縮率に対するカルシウム飽和の影響。ビーズには、60%の糖(グルコースとフルクトース)が含まれていた。ビーズは、0.50重量%のアルギン酸塩(M/G比0.35:0.65)を含む糖溶液から調製した。
【発明の詳細な説明】
【0054】
本発明は、歯の酸蝕および虫歯のリスクを高める可能性がある炭水化物への口内曝露の低下をもたらす、スポーツドリンクとして使用される栄養補助食品を提供することを目的とする。炭水化物の放出が拡散速度によって制限されるヒドロゲルにカプセル化された炭水化物を提供することにより、高濃度の炭水化物への急激な口内曝露を低減することができた。本発明の栄養補助食品の使用により、ヒドロゲルを含まない単純な炭水化物溶液と比較して、歯垢中の細菌活性によって引き起こされる低pHへの曝露の低減がもたらされることを見出した(
図1)。
【0055】
炭水化物の徐放は、炭水化物の腸内取り込み速度を低下させる効果があると予想される。運動中の炭水化物の摂取と代謝酸化の速度は、同位体追跡技術を使用して決定される。予期せぬことに、炭水化物の摂取と酸化の速度(呼気中の
13Cに富むCO
2として測定される)は、ヒドロゲル形成添加剤を含まない炭水化物溶液におけるそれらの速度と非常に似ていた(
図2および3)。さらに、栄養補助食品の胃腸の許容性は予想外に高く、胃腸の症状を乱すことなく、高強度のトレーニング(ランニングまたはサイクリング)中に製品を摂取することができた(表2)。
【0056】
アルギン酸塩
アルギンまたはアルギン酸とも呼ばれるアルギン酸塩は、褐藻の細胞壁に広く分布する陰イオン性多糖類である。アルギン酸は、(1-4)-結合β-D-マンヌロネート(M)残基およびそのC-5エピマーα-L-グルロネート(G)残基のホモポリマーブロックをそれぞれ異なる配列またはブロックで共有結合した直鎖状コポリマーである。上記モノマーは、連続するG残基(Gブロック)、連続するM残基(Mブロック)、または交互のM残基およびG残基(MGブロック)のホモポリマーブロック中に現れる可能性がある。高Gアルギン酸塩/低Mアルギン酸塩、および高Mアルギン酸塩/低Gアルギン酸塩を含むすべての形態のアルギン酸塩を、本発明において使用することができる。好ましくは、高Gアルギン酸塩/低Mアルギン酸塩は、例えばゲルビーズの製造を促進するために使用される。これは、少なくとも60%のGブロックおよび40%以下のMブロックのように、Gブロックの量がMブロックの量よりも多いことを意味する。対イオンは、例えばナトリウム(アルギン酸ナトリウム)、カリウム(アルギン酸カリウム)、アンモニウム(アルギン酸アンモニウム)または他の好適な一価のカチオン、またはそれらの混合物であり得る。
【0057】
アルギン酸カルシウム
アルギン酸カルシウムは、水に不溶性のゼラチン状の物質であり、塩化カルシウム水溶液等のカルシウム塩をアルギン酸水溶液に添加することにより生成され得る。
【0058】
%カルシウム飽和度
本明細書で使用される場合、%カルシウム飽和という用語は、アルギン酸塩中の各マンヌロン酸塩残基/グルロン酸塩残基あたりのカルシウムの量を示すために使用され、100%カルシウム飽和は、マンヌロン酸塩/グルロネート残基のそれぞれに対して1/2のカルシウムに対応する。
【化1】
【0059】
%カルシウム飽和度は、アルギン酸塩の架橋レベルを決定し、それによってゲルの特性、特にゲル強度に寄与する。
【0060】
アルギン酸塩ヒドロゲルのバッチのカルシウム含有量および総アルギン酸塩含有量、およびそれによるカルシウム飽和度は、以下の工程を使用して決定することができる:
・1重量部のアルギン酸ヒドロゲルを取り、19部の50mM K2EDTAを添加し、一晩(17時間)放置して混合物を均一な溶液にする;
・カルシウム濃度を測定するために、元素分析(例えば、ICP-MS)を行う。結果をモル濃度(40g/mol)に変換する。
【0061】
総アルギン酸塩含有量は、配合によるアルギン酸塩の量から計算される。不明な場合には、総アルギン酸塩含有量は、次のように他の成分を除去した後の元素分析によって決定される炭素含有量から計算することができる:
・溶液の一部を、10kDaのカットオフメンブレンを備えた透析セルに入れる。すべての糖を除去するのに十分な時間(24時間)、25mM KClの低流量で洗浄する。透析セルを脱イオン水の一部ですすぐことによってすべての透析液を回収し、回収された総量を測定する;
・炭素を測定するために元素分析を行う。変換係数72g/mol(6つの炭素原子を含むマンヌロン酸残基/グルロン酸残基に対して6×12g)を使用して、結果を単糖残基のモル濃度に変換する。透析セルをすすぐことによる希釈の正しい結果;
・カルシウム飽和度(%)を100×2Ca/残留物として計算する。
【0062】
糖
本発明において使用することができる糖は、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖、ラクトース、マルトース、スクロース、ラクツロース、トレハロース、イソマルツロース、セロビオース等の二糖、および転化糖のような二糖の加水分解生成物である。
【0063】
複合炭水化物
本発明において使用することができる複合炭水化物は、限定されないが、アミロースおよびアミロペクチンのようなデンプンの成分、ならびにマルトデキストリンおよびグルコースシロップのようなそれらの部分加水分解生成物である。
【0064】
「重量%」とは、重量パーセントを意味し、質量パーセントとも呼ばれる。
【実施例】
【0065】
カルシウム飽和度とゲル特性
ゲルビーズを、61%の糖(フルクトースおよびグルコース、0.8:1)および0.50%のアルギン酸ナトリウム(M/G比0.35:0.65)を含み、粘度200~400mPa・s@1%の溶液を、59%の糖(フルクトースおよびグルコース、0.8:1)および0.30重量%(27mmol/kg、35mmol/L)のCaCl2を含む溶液槽に、撹拌中に滴下することによって生成した。1~60分後にビーズを溶液槽から取り出した。カルシウム含有量を変化させるために溶液槽中での時間を変化させ、過剰のCa溶液をふるいにかけた。ビーズを、さらなる試験または使用の前に4日間保存した。カルシウム溶液中のビーズのより短いまたはより長い曝露により、より低いまたはより高いカルシウム含有量のビーズを製造した。
【0066】
カルシウム含有量は上記のように決定され、カルシウム飽和度は、M/G残基についてのMW198およびアルギン酸塩の10重量%の乾燥損失を使用して計算した。4日間の保存後の離液による糖溶液の損失を、過剰な液体を注意深く除去する前後の重量を量ることによって決定した。カルシウム含有量の異なるゲルビーズの写真を
図4に示す。写真のカルシウム飽和度は、それぞれ35%(A)、49%(B)および80%(C)であった。ゲルビーズにおいて観察された離液は、それぞれ<1%(A)、12%(B)および32%(C)であった。離液の程度は、ヒドロゲルのカルシウム飽和度の増加とともに増加した。
【0067】
ビーズの機械的特性を、Texture Analyzer(HDi、Stable Micro Systems社製、UK)を使用して測定した。ビーズを、直径1cmの円筒形プローブを使用して0.1mm/sで圧縮した。40%の圧縮での力を決定するために、15個のビーズで測定を行った。結果を
図5に示すが、この結果は、カルシウム飽和度がより高いアルギン酸ヒドロゲルでは、圧縮するのにより大きな力が必要であること、すなわちより硬くなることを示す。
【0068】
【0069】
臨床試験、低pHへの歯の曝露
ボランティア
スウェーデンのヨーテボリにある歯学研究所の職員の中から2人の健康な成人を採用した。この職員らは、刺激による正常な唾液分泌を有し、活発な虫歯病変の兆候はなく、隣接する金属またはグラスイオノマーの充填物もなかった。この研究は、ヨーテボリの歯学研究所のう蝕学科で実施された。
【0070】
被験者は、試験日の前夜から歯磨きおよび他のすべての口腔衛生対策を控えるように指示された。この期間中は、チューインガムやトローチの使用が禁止された。また、試験前の最後の1時間は、飲食、喫煙、嗅ぎタバコ等を控えるよう求められた。
【0071】
試験デザインおよび製品
2人のボランティアは、1)40%カルシウム飽和している1.0重量%の総アルギン酸塩を含むアルギン酸塩ビーズ、および40重量%のグルコースと20重量%のフルクトースとの糖溶液、ならびに2)40重量%のグルコースと20重量%のフルクトースとを含む糖溶液を消費した後、隣接するバイオフィルム酸生成性の評価のために研究室に来た。各製品について15gを消費した。被験者は、適度な咀嚼の下で製品を3つの部分として口腔内に取り込み、25~30秒以内に飲み込むように指示された。
【0072】
プラーク-pH登録(registration)
プラークの酸生成性の測定を、イリジウム微小電極(Beetrode(登録商標)、MEPH-1;W.P.Instruments社製、ニューヘブン、コネチカット州、米国)を使用して、錠剤が置かれる場所に近い領域の2つの隣接部位で行った。電極は、多孔質ガラス参照電極(MERE1;W.P.Instruments社製)を備えたOrion SA 720 pH/ISEメーター(Orion Research社製、ボストン、マサチューセッツ、米国)に接続された。塩橋は、参照電極と被験者の指の1つとの間の3M KCl溶液で作製された。測定は、錠剤の配置および使用開始後の前(0分)および5つの異なる時点(2分、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分および70分)で行われた。
【0073】
結果
図1に見られるように、40重量%のグルコースおよび20重量%のフルクトースを含む15gの溶液を消費した場合、口内のpHが劇的に低下し、pH5.5~5.7のエナメル質の臨界レベルをはるかに下回った。一方、本発明のアルギン酸塩ビーズにカプセル化された同量の40重量%グルコースおよび20重量%フルクトース溶液の消費を消費した場合には、pHの緩やかな低下がもたらされるのみであり、pH5.5でエナメル臨界レベルに到達しなかった。
【0074】
外因性炭化水素の摂取と酸化
研究デザイン
よく訓練された自転車競技者に対し、トウモロコシ(corn)(トウモロコシ(maize))またはサトウキビに由来する炭水化物を除いた食事療法を行った。自転車競技者の最大酸素摂取量(VO2max)を試験し、対応する個々の最大出力(Wmax)を計算した。1つの実験(試行A)の間、自転車競技者は180分間にわたり50%Wmaxで運動した。自転車競技者は、時間ゼロで、いずれも炭水化物含量が60%である、35%のカルシウム飽和度の上記の実施例に記載されたように調製された水性カルシウム-アルギン酸ナトリウムヒドロゲルビーズの形態、または水溶液の形態で、2×36gの炭水化物(フルクトース/グルコース比=0.8)のボーラス(bolus)用量を与えられた、続いて実験全体を通して20分ごとに36gの炭水化物を与えられた。
【0075】
別の実験(試行B)では、自転車競技者は210分間にわたり55%Wmaxで運動した。30分から、自転車競技者は、31.7gの炭水化物(フルクトース/マルトデキストリン比=0.8)を、いずれも炭水化物含量が60%である、以下に説明するように調製した成形水性アルギン酸カルシウムナトリウムヒドロゲルの形態、または水溶液として与えられた。炭水化物を、開始後130分まで20分間隔で与えられた。150分以降は、水のみが与えられた。
【0076】
成形ヒドロゲルは、フルクトースおよびマルトデキストリン(0.8:1)と、炭酸カルシウム(分散した固体粒子)またはアルギン酸ナトリウムおよびクエン酸のいずれかを含む2つの溶液を混合することによって調製した。60重量%の炭水化物、0.40重量%のアルギン酸塩(M/G比0.35:0.65)、0.030重量%のCaCO3、および0.050重量%のクエン酸を含む混合物は、1時間以内にゲル化し、使用前に少なくとも4日間硬化させた。カルシウム飽和度は34%であった。
【0077】
炭水化物(トウモロコシ由来のグルコース、マルトデキストリンおよびフルクトース)は、13C濃縮について分析されてた。各摂取の前に、交換された酸素(VO2)および二酸化炭素(VCO2)の量を記録し(Jaeger Oxycon Pro、Viasys Heathcare社製、ドイツ)、12mLのExetainerチューブに採取した呼気サンプルの13CO2/12CO2比(δ13C)を、レーザー赤外分光法(Delta Ray、Thermo Scientific社製、ドイツ)を使用して分析した。VO2、VCO2およびδ13Cの値を使用して、1分あたりのグラムグルコースとして表される外因性炭水化物の酸化速度を計算した。
【0078】
結果
ヒドロゲルビーズの形態で提供される炭水化物(グルコースおよびフルクトース)の取り込みおよび酸化は、水性対照溶液と比較した場合に非常に似ており、ビーズからの酸化速度レベルは対照からのものの約90%であった(試行A、
図2)。
【0079】
成形ヒドロゲルの形態で提供される炭水化物(マルトデキストリンおよびフルクトース)の取り込みおよび酸化は、水性対照溶液と比較した場合に非常に似ており、酸化速度レベルは、試行終了時のゲルにおいて酸化速度がわずかに高い傾向があることを除いて違いは見られなかった(試行B、
図3)。
【0080】
胃の痛み
方法
24~33歳の持久力スポーツアスリートが、トレーニングセッションおよび競技会と併せて炭水化物含有ヒドロゲル製品の試験に志願した。アスリートは1~5のスケールでランク付けされ、1を低レベルのアマチュアとし、5をエリートとした。彼らは全員、運動中に炭水化物補助食品を使用した胃痛の経験があった。ヒドロゲル試験製品は4mmのビーズの形状であり、グルコース33重量%、フルクトース27重量%、高Gアルギン酸塩0.5重量%の溶液を含み、推定カルシウム飽和度は35~40%であった。1食分には40gのヒドロゲルビーズ(24gの炭水化物)が含まれていた。アスリートは、1時間当たり1~3食分の摂取を伴う1~4時間にわたる高強度トレーニングセッションを含む通常の個別トレーニングプログラム内で少なくとも2か月間定期的に製品を使用した。アスリートは、軽微(1)~中程度(痛みや吐き気の感覚、2~3)、重度(吐いたり排便したいという衝動が含まれ、パフォーマンスに影響を与える、4~5)の胃の不快感の経験についてスコアを与えた。
【0081】
結果
炭水化物を摂取しなかった場合と比較して、試験製品を摂取した後のトレーニング中に胃の不快感を経験した参加者はいなかった。参加者およびスコアの詳細を表2にまとめる。
【0082】