(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20231016BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H01L29/78 301W
H01L29/78 301S
H01L29/78 301D
(21)【出願番号】P 2020562915
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2019044936
(87)【国際公開番号】W WO2020137243
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2018243675
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515026362
【氏名又は名称】タワー パートナーズ セミコンダクター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504168846
【氏名又は名称】タワー セミコンダクター リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TOWER SEMICONDUCTOR LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新藤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆順
(72)【発明者】
【氏名】毛鳥 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】市川 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】犬石 典之
(72)【発明者】
【氏名】市村 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】小池 典雄
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン シャロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンニング
(72)【発明者】
【氏名】ミステレ デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン ダニエル
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-031804(JP,A)
【文献】特開2005-093775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0149007(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記半導体基板における前記ゲート電極の一方に設けられたオフセットドレイン層及び前記オフセットドレイン層上に設けられたドレイン層と、
前記半導体基板における前記ゲート電極の他方に設けられたソース層と、
前記半導体基板上を覆う保護膜と、
前記保護膜上に設けられ、少なくとも前記オフセットドレイン層の上方に位置する部分を有するフィールドプレートと、
前記オフセットドレイン層上方において、前記フィールドプレートに接続され、且つ、前記オフセットドレイン層に達することを避けて前記保護膜中に設けられたフィールドプラグとを備え、
前記オフセットドレイン層及び前
記ソース層を含む領域において前記半導体基板の上面は平坦であり、
前記フィールドプラグの下面は、前記ゲート絶縁膜よりも上方に位置することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1の半導体装置において、
前記フィールドプラグは、ソース層又はゲート電極と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2の半導体装置において、
前記オフセットドレイン層の一部及び前記ゲート電極の前記ドレイン層側の側面を連続して覆うように設けられ、前記保護膜とは異なる材料からなる拡張サイドウォールを更に備え、
前記フィールドプラグは、前記保護膜の上面から前記拡張サイドウォールに達するように設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極及び前記半導体基板における前記ゲート電極の一方に位置するオフセットドレイン層を形成する工程と、
前記半導体基板における前記ゲート電極の他方にソース層を形成すると共に、前記オフセットドレイン層上にドレイン層を形成する工程と、
前記ソース層及び前記ドレイン層上を含む前記半導体基板上を覆う保護膜を形成する工程と、
前記オフセットドレイン層の上方において、前記オフセットドレイン層に達することを避けて前記保護膜中にフィールドプラグを形成する工程と、
前記保護膜上に、前記フィールドプラグと接続されたフィールドプレートを形成する工程とを備え、
前記オフセットドレイン層及び前記ソース層を含む領域において前記半導体基板の上面は平坦であり、
前記フィールドプラグの下面は、前記ゲート絶縁膜よりも上方に位置させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4の半導体装置の製造方法において、
前記保護
膜中に、前記ソース層に達するソースコンタクトプラグを形成する工程と、
前記保護
膜上に、前記ソースコンタクトプラグに接続されたソース電極を形成する工程を更に備え、
前記フィールドプレートは、前記ソース電極に接続されるように形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4の半導体装置の製造方法において、
前記保護
膜中に、前記ゲート電極に達するゲートコンタクトプラグを形成する工程を更に備え、
前記フィールドプレートは、前記ゲートコンタクトプラグに接続されるように形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1つの半導体装置の製造方法において、
前記ソース層及び前記ドレイン層を形成する工程の前に、前記オフセットドレイン層の一部及び前記ゲート電極の前記オフセットドレイン層側の側面を連続して覆うように、前記保護膜とは異なる材料からなる拡張サイドウォールを形成する工程を更に備え、
前記フィールドプラグは、前記拡張サイドウォールに達するように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に設けられるMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)において、そのゲート電極、ソース層、ドレイン層等を覆う絶縁膜上にフィールドプレートを設けることが知られている。フィールドプレートは、ソース電極と電気的に接続するか(特許文献1)、又は、ドレイン電極と電気的に接続する(特許文献2)。また、ドレイン層上にLOCOS(Local Oxidation of Silicon)酸化膜を介してポリシリコン層を形成し、当該ポリシリコン層とフィールドプレートとを電気的に接続することも知られている(特許文献3)。各特許文献では、これらの構成により、ゲート電極とドレイン層との電位差が大きくなった場合等においてもドレイン層上方の電位が安定し、装置の信頼性が向上するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-64909号公報
【文献】特開平9-135021号公報
【文献】特開2005-135950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の半導体製造では、ドレイン層上方における電位の安定は不十分であり、装置の信頼性は満足できるものではなかった。また、特許文献3の構成の場合、LOCOS酸化という熱処理工程の追加を要するので、同時形成される他の半導体素子等への影響が無視できない。更に、ドレイン側からソース側への電流パスがLOCOS酸化膜の下を通らなければならず、経路が長くなるので、電流能力が低下する。
【0005】
以上に鑑みて、本開示では、熱処理工程を追加すること無しに、FETにおいてより信頼性を向上し且つ性能を高めることが可能な半導体製造及びその製造方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、半導体基板におけるゲート電極の一方に設けられたオフセットドレイン層及びオフセットドレイン層上に設けられたドレイン層と、半導体基板におけるゲート電極の他方に設けられたソース層と、記半導体基板上を覆う保護膜とを備える。半導体装置は更に、保護膜上に設けられ、少なくともオフセットドレイン層の上方に位置する部分を有するフィールドプレートと、オフセットドレイン層上方において、フィールドプレートに接続され、且つ、オフセットドレイン層に達することを避けて保護膜中に設けられたフィールドプラグとを備える。
【0007】
本開示の半導体装置の製造方法は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極及び半導体基板におけるゲート電極の一方に位置するオフセットドレイン層を形成する工程と、半導体基板におけるゲート電極の他方にソース層を形成すると共に、オフセットドレイン層上にドレイン層を形成する工程と、ソース層及びドレイン層上を含む前記半導体基板上を覆う保護膜を形成する工程とを含む。半導体装置の製造方法は更に、オフセットドレイン層の上方において、オフセットドレイン層に達することを避けて保護膜中にフィールドプラグを形成する工程と、保護膜上に、フィールドプラグと接続されたフィールドプレートを形成する工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の半導体装置によると、オフセットドレイン層上の保護膜内にフィールドプラグを備えることにより、オフセットドレイン層近傍における電位が安定し、その結果として半導体装置の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態の例示的半導体装置を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の第2の実施形態の例示的半導体装置を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の第3の実施形態の例示的半導体装置を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の第4の実施形態の例示的半導体装置を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図6】
図6は、
図5に続いて、半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、
図6に続いて、半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図8】
図8は、
図7に続いて、半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図9】
図9は、
図8に続いて、半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図13】
図13は、本開示の半導体装置の効果を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の半導体装置の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態の例示的半導体装置31を模式的に示す図である。半導体装置31は、p型の半導体層を有する半導体基板1を用いて形成されている。半導体基板1上にはゲート絶縁膜4を介してゲート電極5が設けられている。半導体基板1におけるゲート電極の一方には、半導体基板1よりも不純物の濃度が高いp型のボディ層3と、当該ボディ層3上に設けられたn型のソース層8とが形成されている。半導体基板1におけるゲート電極5の他方には、n型のオフセットドレイン層2と、当該オフセットドレイン層2上に設けられ、オフセットドレイン層2よりも不純物の濃度が高いn型のドレイン層7とが設けられている。
【0012】
また、ゲート電極5の側壁を覆うように、例えばシリコン窒化物からなるサイドウォール6が形成されている。更に、半導体基板1上に、ゲート電極5、ソース層8、ドレイン層7等を覆うように、例えばシリコン酸化物からなる保護膜9が設けられている。
【0013】
保護膜9には、ソース層8に達するソースホールが設けられ、例えばタングステンである伝導性材料が埋め込まれてソースコンタクトプラグ11が設けられている。同様に、保護膜9に、ドレイン層7に達するドレインホールがタングステン等で埋め込まれてドレインコンタクトプラグ10が設けられている。
【0014】
保護膜9上において、ソースコンタクトプラグ11に接続されたソース電極15が設けられている。また、保護膜9上において、オフセットドレイン層2の上方にフィールドプレート13が設けられている。フィールドプレート13は、ソース電極15と接続されている。更に、保護膜9上において、ドレインコンタクトプラグ10に接続されたドレイン電極14が設けられている。
【0015】
オフセットドレイン層2の上方において、保護膜9にフィールドホール12aが設けられている。フィールドホール12aは、オフセットドレイン層2の近傍にまで延び、但しオフセットドレイン層2に達することを避けて形成されている。当該フィールドホール12aにタングステン等の導電性材料が埋め込まれて、保護膜9中にフィールドプラグ12が形成されている。
【0016】
フィールドプラグ12は、フィールドプレート13に接続されている。従って、フィールドプラグ12は、フィールドプレート13、ソース電極15、ソースコンタクトプラグ11を介してソース層8と電気的に接続されている。
【0017】
以上のような半導体装置31において、フィールドプラグ12がソース層8に電気的に接続されているので、フィールドプラグ12はソース層8と同電位に維持される。オフセットドレイン層2の近傍にまで延びるフィールドプラグ12の電位が固定されているので、オフセットドレイン層2の上方における電位が安定し、半導体装置31の信頼性が向上する。
【0018】
図13に、具体的な効果の例を示す。一般に、半導体装置において、HCI(Hot Carrier Injection)試験を行うと、電流能力が劣化する。これは、HCI試験中に発生した高エネルギー状態の電子やホールにより、シリコンと酸化膜の界面にある結合(ダングリングボンド)が切断され、トラップが生成されることが原因である。生成されたトラップには、電子やホールが容易に捕獲され、帯電状態になることで半導体装置内部の電位が不安定化し特性が変動する。
【0019】
尚、
図13に示す従来例1とは、
図1の半導体装置31と同様の構成であるが、フィールドプラグ12を備えない半導体装置である。従来例1について、HCI試験後の電流能力の劣化は6%程度である。これに対し、本実施形態の半導体装置31の場合(実施例1)では劣化は3%程度であった。つまり、劣化の程度は概ね半減している。これは、フィールドプラグ12を設けてオフセットドレイン層2の上方における電位を安定させた効果と考えられる。
【0020】
(第2の実施形態)
次に、本開示の第2の実施形態を説明する。
図2は、本実施形態の例示的半導体装置32を模式的に示す図である。半導体装置32は、
図1に示す第1の実施形態の半導体装置31と同様の構成を含む。そこで、そのような構成については、
図2において
図1と同じ符号を付している。以下では、主に相違点を説明する。
【0021】
図1の半導体装置31では、フィールドプレート13はソース電極15と接続されている。これに対し、
図2の半導体装置32では、フィールドプレート13はソース電極15とは接続されずに設けられている。また、ゲート電極5に達するように保護膜9に設けられたゲートホールに例えばタングステンを埋め込むことにより、ゲートコンタクトプラグ16が形成されている。ゲートコンタクトプラグ16は、フィールドプレート13と接続されている。従って、オフセットドレイン層2の上方に設けられているフィールドプラグ12は、フィールドプレート13及びゲートコンタクトプラグ16を介してゲート電極5と電気的に接続されている。
【0022】
以上のような半導体装置32において、フィールドプラグ12がゲート電極5に電気的に接続されているので、フィールドプラグ12はゲート電極5と同電位に維持される。オフセットドレイン層2の近傍にまで延びるフィールドプラグ12の電位が固定されているので、オフセットドレイン層2の上方における電位が安定し、半導体装置32の信頼性が向上する。
【0023】
図13に、具体的な効果の例を示す。従来例では電流能力のHCI試験後の劣化は6%程度であるのに対し、本実施形態の半導体装置32の場合(実施例2)では劣化は3.2%程度である。従って、本実施形態においても、劣化の程度は概ね半減している。
【0024】
(第3の実施形態)
次に、本開示の第3の実施形態を説明する。
図3は、本実施形態の例示的半導体装置33を模式的に示す図である。半導体装置33は、
図1に示す第1の実施形態の半導体装置31と同様の構成を含む。そこで、そのような構成については、
図3において
図1と同じ符号を付している。以下では、主に相違点を説明する。
【0025】
図1の半導体装置31では、保護膜9に対してオフセットドレイン層2に達するのを避けてフィールドホール12aが形成され、当該フィールドホール12aを銅等で埋め込むことによってフィールドプラグ12が形成されている。ここで、フィールドホール12aがオフセットドレイン層2に達するのを避けるためには、フィールドホール12aの下方に十分に保護膜9が残っている段階でエッチングを終える等の操作を行う。
【0026】
これに対し、
図3の半導体装置33では、オフセットドレイン層2上を覆う拡張サイドウォール6aが形成され、当該拡張サイドウォール6aに達するように、保護膜9に対してフィールドホール12aが形成されている。フィールドホール12aには銅等が埋め込まれ、これによりフィールドプラグ12が形成されている。
【0027】
拡張サイドウォール6aは、ゲート電極5のドレイン側の側壁を覆うサイドウォール6について、オフセットドレイン層2上にまで拡張して形成されたものである。保護膜9を例えばシリコン酸化膜により形成する場合、サイドウォール6(拡張サイドウォール6a)は異なる材料、例えばシリコン窒化膜により形成する。このようにすると、所定の方法によりエッチングを行うと、保護膜9と拡張サイドウォール6aとではエッチングレートが大きく異なるようにすることができる。
【0028】
これにより、保護膜9をエッチングしてフィールドホール12aを形成する際、拡張サイドウォール6aがエッチングストップ層として機能するので、フィールドホール12aがオフセットドレイン層2に達してしまうことを確実に回避できる。従って、フィールドホール12a内に形成するフィールドプラグ12について、オフセットドレイン層2と接触して短絡することをより確実に避けることができる。また、
図1の半導体装置31の場合に比べて、フィールドプラグ12の下面をオフセットドレイン層2上面に近づけることができる。例えば、本実施形態では、オフセットドレイン領域2上において拡張サイドウォール6aの膜厚は60nm程度であり、フィールドプラグ13とオフセットドレイン領域2との距離はこの寸法にゲート絶縁膜4の厚み約10nmを加えて70nm程度となる。となる。これに対し、第1の実施形態では、フィールドプラグ13とオフセットドレイン領域2との距離は150nm程度となっている。
【0029】
以上から、
図1の半導体装置31に比べて、オフセットドレイン層2の上方における電位を安定させる効果をより確実且つ容易に実現できる。
【0030】
図14に、具体的な効果の例を示す。ここでも、従来例1は、
図1の半導体装置31と同様の構成であるが、フィールドプラグ12を備えない半導体装置の場合である。従来例1ではHCI試験後の電流能力の劣化は6.1%程度であるのに対し、本実施形態の半導体装置33の場合(実施例3)、劣化は1.3%程度である。つまり、劣化の程度は5分の1近くまで低減されている。また、第1の実施形態の半導体装置31(
図13の実施例1)では劣化は3%程度であるから、これに比べても顕著に劣化は抑制されている。これは、拡張サイドウォール6aを設けることにより、第1の実施形態に比べてフィールドプラグ12をオフセットドレイン層2の近づけることができた結果と考えられる。
【0031】
(第4の実施形態)
次に、本開示の第4の実施形態を説明する。
図4は、本実施形態の例示的半導体装置34を模式的に示す図である。半導体装置34は、
図2に示す第2の実施形態の半導体装置32と同様の構成を含む。そこで、そのような構成については、
図4において
図2と同じ符号を付している。以下では、主に相違点を説明する。
【0032】
図4の半導体装置34では、
図2の半導体装置32と同様にフィールドプレート13がゲート電極5と電気的に接続されており、且つ、フィールドプラグ12は拡張サイドウォール6aに達するように形成されている。
【0033】
このような構成においても、
図2の半導体装置32と同様に、フィールドプラグ12の電位をゲート電極5の電位に固定されるのでオフセットドレイン層2の上方における電位が安定し、半導体装置34の信頼性が向上する。また、
図3の半導体装置33と同様に、拡張サイドウォール6aを利用してフィールドプラグ12をオフセットドレイン層2の上面に近づけることができる。
【0034】
図14に、具体的な効果の例を示す。従来例1についてのHCI試験後の劣化は6.1%程度であるのに対し、本実施形態の半導体装置34の場合(実施例4)、劣化は1.1%程度である。つまり、劣化の程度は5分の1以下に低減されている。また、第2の実施形態の場合(
図13の実施例2)では劣化は3.1%程度であるから、これに比べても顕著に劣化は抑制されている。これは、拡張サイドウォール6aを設けることにより、第1の実施形態に比べてフィールドプラグ12をオフセットドレイン層2の近づけることができた結果と考えられる。
【0035】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図3に示す第3の実施形態の半導体装置33を例として、本開示の半導体装置の製造方法を説明する。
【0036】
まず、
図5に示す工程を説明する。ここでは、p型の半導体層を有する半導体基板1を準備し、その表面に、例えばシリコン酸化膜としてゲート絶縁膜4を形成する。更に、ゲート絶縁膜4上に所定のパターンを有するフォトレジスト21を形成する。このためには、レジストの塗布、露光、現像等のステップを行う。
【0037】
更に、形成したフォトレジスト21をマスクとして利用し、半導体基板1にAs(ヒ素)、P(リン)等のn型不純物をイオン注入により導入する。これにより、オフセットドレイン層2が形成される。注入の条件としては、例えば、注入イオンとしてP(リン)を用い、注入エネルギーを20~250keV、ドーズ量を1×1012~5×1012/cm2、注入角度(半導体基板1の主面の放線に対して成す角度)を7°としても良い。これにより、オフセットドレイン層2は1×1017~4×1017/cm3程度の不純物を含むようになる。
【0038】
この後、フォトレジスト21を一般的な手段により除去する。
【0039】
次に、
図6に示す工程を説明する。ここでは、ゲート電極5を形成する。このためには、ゲート絶縁膜4上にゲート電極5の材料(例えばポリシリコン)からなるゲート材料層を形成する。その後、ゲート材料層の上にゲート電極5のパターンに応じたフォトレジスト(図示は省略)を形成し、エッチングによりゲート材料層をパターニングしてゲート電極5を形成する。
図6に示す通り、ゲート電極5は、オフセットドレイン層2の端部の一部と重複するように配置する。
【0040】
次に、
図7に示す工程を説明する。ここでは、p型のボディ層3を形成する。このために、オフセットドレイン層2上及びゲート電極5の一部上にわたってフォトレジスト22を形成する。次に、フォトレジスト22及びゲート電極5をマスクとして利用し、ゲート電極5に対してオフセットドレイン層2とは反対側において、半導体基板1にp型の不純物として例えばB(ホウ素)を導入する。このためのイオン注入の条件としては、例えば、注入イオンとしてB(ホウ素)を用い、注入エネルギーを20~200keV、ドーズ量を1×10
12~2×10
13/cm
2としても良い。また、注入角度を例えば25°として、ゲート電極5の下方にもボディ層3が延びるようにする。これにより、オフセットドレイン層2は2×10
17~5×10
17/cm
3程度の不純物を含むようになる。
【0041】
この後、フォトレジスト22を除去する。
【0042】
次に、
図8の工程を説明する。ここでは、オフセットドレイン層2、ボディ層3及びゲート電極5を覆うように、シリコン窒化膜等の材料膜6bを形成する。これは、例えばCVD(chemical vapor deposition、化学気相蒸着)法により行っても良い。また、材料膜6bは、オフセットドレイン層2上において膜厚40~80nm程度になるように形成する。
【0043】
次に、
図9の工程を説明する。ここでは、材料膜6bをパターニングして、ゲート電極5のボディ層3側の側壁を覆うサイドウォール6と、ゲート電極5のオフセットドレイン層2側の側壁及びオフセットドレイン層2の所定領域を覆う拡張サイドウォール6aとを形成する。
【0044】
このためには、まず、
図8における材料膜6b上の拡張サイドウォール6aを形成する領域にフォトレジスト23を形成する。続いて、異方性エッチング等により、フォトレジスト23によって覆われていない部分の材料膜6bを除去する。この際、異方性エッチングを用いることにより、ゲート電極5の上面、ボディ層3及びオフセットドレイン層2を覆う部分の材料膜6bが除去された時点では、ゲート電極5のボディ層3側の側壁にサイドウォール6が残される。この後、フォトレジスト23を除去することにより、拡張サイドウォール6aが形成される。
【0045】
次に、
図10の工程を説明する。ここでは、半導体基板1の前面に対して、n型不純物をイオン注入する。これにより、拡張サイドウォール6aに覆われていない部分のオフセットドレイン層2にドレイン層7が形成されると共に、ボディ層3上にソース層8が形成される。この際のイオン注入の条件は、例えば、注入イオンとしてAs(ヒ素)を用い、注入エネルギーを40keV、ドーズ量を5×10
15/cm
2、注入角度を0°としても良い。これにより、ソース層8及びドレイン層7は5×10
21/cm
3程度の不純物を含むようになる。
【0046】
次に、
図11の工程を説明する。ここでは、半導体基板1上を覆う保護膜9を形成する。続いて、保護膜9上にフォトレジスト24を形成する。フォトレジスト24は、フィールドプラグ12、ソースコンタクトプラグ11及びドレインコンタクトプラグ10の位置が開口されたパターンを有する。更に、フォトレジスト24をマスクとして保護膜9をエッチングして、フィールドプラグ12を形成するためのフィールドホール12aと、ソースコンタクトプラグ11及びドレインコンタクトプラグ10を形成するためのソースホール及びドレインホールをそれぞれ形成する。この後、フォトレジスト24を除去する。
【0047】
次に、
図12の工程を説明する。ここでは、
図11の工程にて形成したホール(フィーリルドホール12a、ソースホール、ドレインホール)にタングステン等の材料を埋め込んでフィールドプラグ12、ソースコンタクトプラグ11及びドレインコンタクトプラグ10を形成する。更に、保護膜9上に、銅等をパターニングして、ソース電極15、フィールドプレート13及びドレイン電極14を形成する。
【0048】
以上により、
図3の半導体装置33が製造される。このような方法によると、フィールドプラグ12を備えない従来の半導体装置の製造工程に対し、工程の追加は抑制されている。つまり、フィールドホール12aの形成及びフィールドプラグ12の形成は、ソースコンタクトプラグ11及びドレインコンタクトプラグ10を形成するためのフィールドホールの形成工程及びタングステン等の埋め込み工程と同時に行うことができる。従って、製造コスト等の増加を抑制できる。
【0049】
尚、上記の工程を一部変更することにより、実施形態1、2及び4の半導体装置を製造することができる。
【0050】
例えば、
図4の半導体装置34を形成するためには、
図11の工程においてゲート電極5上に達するゲートホールを設けると共に、当該ゲートホールに
図12の工程にてタングステン等を埋め込んでゲートコンタクトプラグ16を形成する。また、ソース電極15、フィールドプレート13及びドレイン電極14のパターンを変更する。これにより、半導体装置34を製造することができる。
【0051】
また、
図1及び
図2の半導体装置31及び32を形成するには、保護膜9に対し、オフセットドレイン層2に達しないフィールドホール12aを形成する。これは、エッチングの処理時間を設定する等により実現できる。
【0052】
尚、以上に開示した数値範囲、材料、導電型等について、いずれも例示するものであり、これらに限定されることは無い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示の技術は、信頼性の向上した半導体装置及びその製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0054】
6a 拡張サイドウォール
6b 材料膜
7 ドレイン層
8 ソース層
9 保護膜
10 ドレインコンタクトプラグ
11 ソースコンタクトプラグ
12 フィールドプラグ
12a フィールドホール
13 フィールドプレート
14 ドレイン電極
15 ソース電極
16 ゲートコンタクトプラグ
21 フォトレジスト
22 フォトレジスト
23 フォトレジスト
24 フォトレジスト
31 半導体装置
32 半導体装置
33 半導体装置
34 半導体装置