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特許7366942各々が1つの帆に専用の個別の固定手段を設けられたマストを有する少なくとも2つの係留帆を含むけん引システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】各々が1つの帆に専用の個別の固定手段を設けられたマストを有する少なくとも2つの係留帆を含むけん引システム
(51)【国際特許分類】
   B63H 9/069 20200101AFI20231016BHJP
   B63H 9/10 20060101ALI20231016BHJP
   B63H 9/06 20200101ALI20231016BHJP
【FI】
B63H9/069
B63H9/10 A
B63H9/06 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020569884
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 FR2019051389
(87)【国際公開番号】W WO2019239045
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】1855077
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520485893
【氏名又は名称】エアシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・アルイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・ブレインズ
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・コルテ
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ガニェール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク・オルテガ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・リゴー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアネイ・イヴェール
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-532409(JP,A)
【文献】国際公開第2005/100148(WO,A1)
【文献】特開2016-617(JP,A)
【文献】特開2012-240539(JP,A)
【文献】特表2010-536652(JP,A)
【文献】特表2010-500221(JP,A)
【文献】特表2010-503569(JP,A)
【文献】国際公開第2013/164446(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0099196(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2940783(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第101786498(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 9/06
B63H 9/08
B63H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
とりわけ船のためのけん引システムであって、固定局(2)と少なくとも1つの第1の帆(3)および1つの第2の帆(3’)とを含み、
前記第1の帆(3)が第1の翼(16)を含んでおり、第1のけん引ケーブル(4)によって前記固定局(2)のウィンチ(8)に接続され、
前記第2の帆(3’)が第2の翼(16’)を含んでおり、第2のけん引ケーブル(4’)によって前記固定局(2)のウィンチ(8’)に接続され、
前記固定局(2)が、前記第1の翼(16)をマスト(7)に固定するための第1のドッキング手段(33、37、38)と、前記第2の翼(16’)をこのマスト(7)に固定するための第2のドッキング手段(33’、37’、38’)とを担持するマスト(7)を含み、
前記固定局(2)が、前記第1のけん引ケーブル(4)を受ける第1のウィンチ(8)と、前記第2のけん引ケーブル(4’)を受ける第2のウィンチ(8’)と、を更に含み、
前記マスト(7)が、前記第1の翼(16)を折り畳むための第1の折り畳み手段(34、36)と、前記第2の翼(16’)を折り畳むための第2の折り畳み手段(34’、36’)とをさらに担持し、
前記第1の翼(16)のための前記第1のドッキング手段および/または前記第1の折り畳み手段が、第1のレール(38)の中を滑動する第1のスライダ(33、34、36)を担持する第1のコンベヤ(37)を含み、
前記第2の翼(16’)のための前記第2のドッキング手段および/または前記第2の折り畳み手段が、第2のレール(38’)の中を滑動する第2のスライダ(33’、34’、36’)を担持する第2のコンベヤ(37’)を含む、けん引システム。
【請求項2】
前記第1のレール(38)および前記第2のレール(38’)が共通部分を含む、請求項に記載のけん引システム。
【請求項3】
とりわけ船のためのけん引システムであって、固定局(2)と少なくとも1つの第1の帆(3)および1つの第2の帆(3’)とを含み、
前記第1の帆(3)が第1の翼(16)を含んでおり、第1のけん引ケーブル(4)によって前記固定局(2)のウィンチ(8)に接続され、
前記第2の帆(3’)が第2の翼(16’)を含んでおり、第2のけん引ケーブル(4’)によって前記固定局(2)のウィンチ(8’)に接続され、
前記固定局(2)が、前記第1の翼(16)をマスト(7)に固定するための第1のドッキング手段(33、37、38)と、前記第2の翼(16’)をこのマスト(7)に固定するための第2のドッキング手段(33’、37’、38’)とを担持するマスト(7)を含み、
前記固定局(2)が、前記第1のけん引ケーブル(4)を受ける第1のウィンチ(8)と、前記第2のけん引ケーブル(4’)を受ける第2のウィンチ(8’)と、を更に含み、
前記2つのウィンチ(8、8’)の一方または他方を選択的に駆動するように配列された伝達手段によって前記2つのウィンチ(8、8’)に結合された駆動モータ(13)を含む、けん引システム。
【請求項4】
とりわけ船のためのけん引システムであって、固定局(2)と少なくとも1つの第1の帆(3)および1つの第2の帆(3’)とを含み、
前記第1の帆(3)が第1の翼(16)を含んでおり、第1のけん引ケーブル(4)によって前記固定局(2)のウィンチ(8)に接続され、
前記第2の帆(3’)が第2の翼(16’)を含んでおり、第2のけん引ケーブル(4’)によって前記固定局(2)のウィンチ(8’)に接続され、
前記固定局(2)が、前記第1の翼(16)をマスト(7)に固定するための第1のドッキング手段(33、37、38)と、前記第2の翼(16’)をこのマスト(7)に固定するための第2のドッキング手段(33’、37’、38’)とを担持するマスト(7)を含み、
前記固定局(2)が、前記第1のけん引ケーブル(4)を受ける第1のウィンチ(8)と、前記第2のけん引ケーブル(4’)を受ける第2のウィンチ(8’)と、を更に含み、
前記固定局(2)が、この固定局(2)が設置される支持物に対して垂直軸周りに枢動可能に搭載される、けん引システム。
【請求項5】
とりわけ船のためのけん引システムであって、固定局(2)と少なくとも1つの第1の帆(3)および1つの第2の帆(3’)とを含み、
前記第1の帆(3)が第1の翼(16)を含んでおり、第1のけん引ケーブル(4)によって前記固定局(2)のウィンチ(8)に接続され、
前記第2の帆(3’)が第2の翼(16’)を含んでおり、第2のけん引ケーブル(4’)によって前記固定局(2)のウィンチ(8’)に接続され、
前記固定局(2)が、前記第1の翼(16)をマスト(7)に固定するための第1のドッキング手段(33、37、38)と、前記第2の翼(16’)をこのマスト(7)に固定するための第2のドッキング手段(33’、37’、38’)とを担持するマスト(7)を含み、
前記固定局(2)が、前記第1のけん引ケーブル(4)を受ける第1のウィンチ(8)と、前記第2のけん引ケーブル(4’)を受ける第2のウィンチ(8’)と、を更に含み、
各帆(3、3’)を、この帆(3、3’)によって生成されるけん引力を最大化する最適位置において、この最適位置を通過する8の字型の軌道(T、T’)を繰り返し描くことによって保持するように構成された、操舵するための手段を含み、
操舵するための前記手段が、前記2つの帆(3、3’)によって描かれる前記8の字型の軌道(T、T’)をデフェーズするように構成される、けん引システム。
【請求項6】
前記第1のけん引ケーブル(4)および前記第2のけん引ケーブル(4’)が、前記翼がけん引段階にあるときに異なる長さを有する、請求項1から5の何れか1項に記載のけん引システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に船を曳航するために船に適合するように意図された、少なくとも2つの係留帆(captive sail)を含むけん引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より詳細には、係留型といわれる帆、すなわち欧州特許第EP1740453号の図6において開示されるように、曳航されるべき船などの要素にけん引ケーブルによって各々が接続される帆を含むシステムに関する。このタイプの出願では、使用される帆は、カイトサーフィンまたはパラグライディングにおいて使用されるタイプの帆であり、これらの帆は、けん引ケーブルとは異なる制御綱および接続綱を有する柔軟な翼を含む。
【0003】
そのようなけん引システムは、地上に設置されることによってエネルギー変換器としても使用され得、各帆は、風の影響下の帆のけん引によるケーブルの移動によって回転する発電機を駆動する。
【0004】
一般的に、そのような設備は、燃料消費を大幅に低減するように、船の原動機付き推進システムに加えて船にけん引力を与えるために、貨物タイプの商船のデッキの前部に設置される。
【0005】
そのような設備は、風が満足できる風向と風力とを有するときに、各帆を容易に配備することを可能にし、たとえば気象条件がもはや適切でないときに、容易に各帆を戻し、固定し、かつ折り畳むことを可能にすることが必要である。
【0006】
しかしながら、各帆に対して配備し、固定し、折り畳むための手段を設置することは、貨物タイプの船のデッキの前部において利用可能な空間に対して大きすぎる空間を占める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第EP1740453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、商船のデッキの前部において利用可能な空間に見合ったサイズを依然として有しながら、いくつかの帆の配備および固定を可能にする配列を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この趣旨に対して、本発明は、目的のために、固定局と少なくとも1つの第1の帆および1つの第2の帆とを含むけん引システムであって、第1の帆は翼を含んでおり、第1のけん引ケーブルによって固定局のウィンチに接続され、第2の帆は第2の翼を含んでおり、第2のけん引ケーブルによって固定局のウィンチに接続され、固定局は、第1の翼をマストに固定するための第1の手段と、第2の翼をこのマストに固定するための第2の手段とを担持するマストを含む、けん引システムを有する。
【0010】
この配列を用いて、異なる固定のための手段を担持する単一のマストを単一の固定局が含むという事実によって比較的コンパクトである単一の固定局は、いくつかの帆を配備し、戻し、折り畳み、かつ収納するのに十分である。
【0011】
本発明は、目的のために、マストが、第1の翼を折り畳むための第1の手段と、第2の翼を折り畳むための第2の手段とをさらに担持するように規定されるシステムも有する。
【0012】
本発明は、目的のために、第1の翼を固定するためおよび/または折り畳むための第1の手段が、第1のレールの中を滑動する第1のスライダを担持する第1のコンベヤを含み、第2の翼を固定するためおよび/または折り畳むための第2の手段が、第2のレールの中を滑動する第2のスライダを担持する第2のコンベヤを含むように規定されるシステムも有する。
【0013】
本発明は、目的のために、第1のレールおよび第2のレールが共通部分を含むように規定されるシステムも有する。
【0014】
本発明は、目的のために、固定局が、第1のけん引ケーブルを受ける第1のウィンチと、第2のけん引ケーブルを受ける第2のウィンチとを含むように規定されるシステムも有する。
【0015】
本発明は、目的のために、2つのウィンチの一方または他方を選択的に駆動するように配列された伝達手段によって2つのウィンチに結合された駆動モータを含むように規定されるシステムも有する。
【0016】
本発明は、目的のために、固定局が、この固定局が設置される支持物に対して垂直軸周りに枢動可能に搭載されるように規定されるシステムも有する。
【0017】
本発明は、目的のために、第1のケーブルおよび第2のケーブルが、翼がけん引段階にあるときに異なる長さを有するように規定されるシステムも有する。
【0018】
本発明は、目的のために、各帆を、この帆によって生成されるけん引力を最大化する最適位置において、この最適位置を通過する8の字型の軌道を繰り返し描くことによって保持するように構成された、操舵するための手段を含むように規定されるシステムも有する。
【0019】
本発明は、目的のために、操舵するための手段が、2つの帆によって描かれる8の字型の軌道をデフェーズする(de-phase)ように構成されるように規定されるシステムも有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による、船に適合するシステムの概観図である。
図2】本発明によるシステムの概観図である。
図3】本発明による、そのプラットフォームがないシステムの概観図である。
図4】本発明による帆の概観図である。
図5】本発明による、固定局に接近する帆の概観図である。
図6】本発明による、固定局に戻される帆の概観図である。
図7】本発明による、マストに固定された帆の概観図である。
図8】本発明による、折り畳み動作の開始における帆の図である。
図9】本発明による、折り畳まれた帆の図である。
図10】第1の帆を収納空間の中に収納する前の、本発明によるシステムの概観図である。
図11】第1の帆を収納空間の中に収納する間の、本発明によるシステムの概観図である。
図12】第1の帆を収納空間の中に収納したときの、本発明によるシステムの概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の根底における発想は、1つの船を曳航するために少なくとも2つ帆を同時に使用ながら、依然として、これらの帆を順々に配備して回収するための単一のプラットフォームを提供し、これらの帆を配備して回収するために必要な手段の最適な相互性(mutualisation)を確保することである。
【0022】
以下の例では、本発明は、2つの帆を含むシステムに対して説明されるが、本発明は、より多数の帆を含むシステムにも同程度に適用される。
【0023】
図1では、船1は、そのデッキの前部に配置された本発明による固定局2を装着され、固定局2によって、この船1は、船が第1のけん引ケーブル4によって接続される第1の係留帆3によって、および船が第2のけん引ケーブル4’によって接続される第2の係留帆3’によって曳航される。
【0024】
図2に単独で示される固定局2は、中心マスト7だけでなく、その右舷である半分の上の第1のウィンチ8および第1のヒンジ結合滑車9と、その左舷である半分の上の第2のウィンチ8’および第2のヒンジ結合滑車9’とを担持するプラットフォーム6を含む。第1のケーブル4は、滑車9を通過して第1のウィンチ8によってつなぎ留められ、第2のケーブル4’は、滑車9’を通過して第2のウィンチ8’によってつなぎ留められる。
【0025】
各ケーブルは、帆が配備されてけん引段階にあるときに、けん引力を船に伝達するために、制動されてブロックされる。以下において詳述するように、マスト7は、各帆を固定し、折り畳み、かつ収納することだけでなく、各帆を配備することも確実にすることを可能にする。
【0026】
加えて、収納空間11は、マスト7の後ろにおいて、このマストとウィンチのセットとの間に配置され、収納空間11は、プラットフォームの右舷における半分の上に延びて第1の帆3を受ける第1の区画12と、左舷における半分の上に延びて第2の帆3’を受ける第2の区画12’とを含む。
【0027】
有利には、プラットフォーム6は、帆が配備されているとき、および/または帆が固定局に戻されて固定され、折り畳まれてそこに収納されるときに、風に対して最適な方向を有するために、局が全体的に垂直軸周りに回転することを可能にするように、船のデッキに締結される。
【0028】
図3により明確に見られるように、たとえば電動の駆動モータ13が、ウィンチ8とウィンチ8’との間に設けられ、これらのウィンチの一方または他方を選択的に駆動するように配列された伝達システムによってウィンチの一方または他方に接続される。ウィンチおよびモータによって形成されるユニットは、収納空間11によってマストから離隔されるけん引ユニット14を形成する。
【0029】
図4に見られるように、第1の帆3は、各ハンガーがこの翼16の下面18に接続された1つの端部と、けん引ケーブル4に接続された別の端部とを有する複数のハンガー17によってケーブル4に接続された柔軟な翼16を含む。
【0030】
第1の帆3の柔軟な翼16は、組み立てられた帆布のセットから形成され、翼16は、それぞれの縁部が、風を背中に受けながら帆に面して位置する観察者に対して、この翼の左側22から右側23に延びる前縁19と後縁21とを含む。この帆3は、同じく、翼の左側22および右側23にそれぞれ締結されたそれらの端部を有する2つの横シート24、26を装着され、それらの他の端部は、けん引ケーブル4によって担持される制御部材27によって保持される。この制御部材27は、翼を自動的に、すなわち操作者が帆を操舵する必要なく、操作して安定化させることを可能にする。
【0031】
この帆3は、同じく、中心上部綱28と、横折り畳み綱29a、29bの中央ペアと、横折り畳み綱31a、31bの下部ペアとを装着される。上部折り畳み綱28は、前縁19の中央に締結された上端と、けん引ケーブル4によってそれ自体を担持される基部ユニット32によって担持される下端とを含む。
【0032】
中央横折り畳み綱29aは、前縁19の中央端部と左端部との間の中ほどで締結された上端と、基部ユニット32によって担持される下端とを含む。中央横折り畳み綱29bは、前縁の中央端部と右端部との間の中ほどで締結された端部と、基部ユニット32によって担持される別の端部とを含むことによって綱29aと対称である。
【0033】
下部横折り畳み綱31aは、前縁19の左の端部に締結された上端と、基部ユニット32によって担持される下端とを含む。下部横折り畳み綱31bは、前縁19の右の端部に締結された端部と、基部ユニット32によって担持される別の端部とを有し、綱31aと対称である。
【0034】
第1の帆3の固定局2への帰還は、最初に、第1の帆3が働かせるけん引力を低減するために第1の帆3を船の垂直に設置することによってもたらされ、この操作は、帆3を局2に戻すためにケーブル4を巻くために第1のウィンチ8の回転を制御する前に、制御部材27によって対処される。
【0035】
局は、第1の帆3の基部ユニット32を受けるために、図示されない第1のソケットを装着され、この第1のソケットをけん引ケーブル4が通過し、けん引ケーブル4はこの第1のソケットを通って自由に滑動することができる。第1の帆3の接近の終了時に、この第1の帆の基部ユニット32が第1のソケットの上にはまり込み(nest onto)、マスト7の足元に対して正確に位置決めされて方向付けられる。
【0036】
加えて、マスト7は、スライダを担持して第1のレール38に沿って滑動する第1のコンベヤ37を担持し、第1のレール38は、この第1の帆3の固定、折り畳み、および収納を行うことを可能にし、これらのスライダは、コンベヤ37によってレール38の中でずらされる。
【0037】
より詳細には、この第1のレール38は、上部スライダ33、中央スライダ34、および下部スライダ36を案内し、それらのスライダは、レール38の中でこのマスト7に沿ってずらされてよく、各スライダ33、34、36は、この場合にはスナップフックである偏向部材を、その自由端において装着される。
【0038】
これらのスライダ33、34、36は、帆が固定局に戻されたときに基部ユニット32に面するために、たとえば図5に示す、第1の翼が接近する間など、第1の翼が帰還する前にマスト7の下部に配置される。
【0039】
この段階において、上部スライダの端部に取り付けられたスナップフックが、上部綱28の周りに送られ、中央スライダ34のスナップフックが、折り畳み綱29aおよび29bのペア29の周りに送られ、下部スライダ36のスナップフックが、下部折り畳み綱31a、31bのペア31の周りに送られ、それは図6の状況に対応する。これらの動作に対して、スライダの端部のスナップフックは、操作者によってまたは半自動的もしくは自動的に、綱の周りに送られる。
【0040】
次いで、スライダ33、34および36は、それらの基準位置、すなわちそれぞれ、マストの頂部、マストの3/4の高さ、およびマストの中央の高さに到達するまで、図7に示すように、マストに沿って第1のコンベヤによってずらされ、それは図8の状況に対応する。
【0041】
次いで、上部綱28は、その下端によって引き下ろされる。たとえば、綱28の下端は、基部ユニット32を通過して、基部ユニット32に固定されるが、依然として、この基部ユニット32の下面から、基部ユニット32を通して滑動するように引っ張られ得る。
【0042】
スライダ33がその高さの位置に到達して、綱28が完全に引っ張られると、帆3が局2に固定され、すなわち、その翼16の前縁の中心が、マスト7に保持され、それは図8の構成における場合である。
【0043】
次いで、折り畳み綱29のペアが、基部ユニット32の下に引き下ろされて、翼の前縁の左および右の部分をマストに戻すことによって翼の折り畳みが開始される。加えて、折り畳み綱31のペアが、基部ユニット32の下に引き下ろされ、図8に示すように折り畳みを終了するように、翼16の左および右の端部がマスト7に戻される。帆が折り畳まれると、帆は、図9の構成に対応する構成を有する。
【0044】
折り畳み綱の各綱またはペアは、操作者によってまたは半自動的もしくは自動的に、図示されないウィンチにその端部を接続された後、引き下ろされる。
【0045】
次いで、第1の帆3の翼16は、収納空間11の第1の区画12の中に翼を戻すことによって収納される。
【0046】
この趣旨に対して、図10図12により明確に示される第1のコンベヤ37および第1のレール38は、マスト7によって担持される直線部を含むが、それは、このマスト7の下で、空間11の第1の区画2の上部に位置する水平延長部よって延長される湾曲部自体において延長される。各スライダ33、34、36は、マストに沿ったその基準位置から第1の区画12の中に延びるこの第1のレール38の水平延長部まで、第1のコンベヤ37によって第1のレール38に沿ってずらされる。
【0047】
第1の帆3の収納は、スライダ33、34、36をそれらのレールに沿って下にずらすように、第1のコンベヤを制御することによって達成される。この移動の間に、折り畳まれた翼16の下部は、最初に、図10におけるようにマスト7の足元に到達し、次いで、図11に見られるように湾曲部を進み、このレールの水平部に沿って、すなわち第1の区画12の中に完全に配置される。
【0048】
次いで、第1のコンベヤ37は、第1の帆3の固定、折り畳み、および収納だけでなく第1の帆3の配備にも充てられる、マスト7によって担持される手段またはシステムを、そのコンベヤが第1のレール38の中で担持するスライダを用いて形成する。同様に、第2のコンベヤ37’は、マストによって担持され、かつ第2の帆3’の固定、折り畳み、および収納だけでなく第2の帆3’の配備にも充てられる手段またはシステムを、そのコンベヤが第2のレール38’の中で担持するスライダを用いて形成する。
【0049】
図に見られるように、第2の帆3’は、第1の帆3と同じ一般構造を有し、第2の帆3’は、16’で示される柔軟な翼も含み、翼16’は、ハンガーによって保持され、その前縁からその基部ユニットまで延びる折り畳み綱と、自律制御部材に接続されたシートとを装着される。
【0050】
加えて、固定局2は、第2の帆3’の基部ユニットを受けるために、図示されない第2のソケットも装着され、マスト7は、第2の帆3’の固定、折り畳み、および収納だけでなく第2の帆3’の配備のために、第2の一連のスライダを設けられた第2のレール38’も担持する。
【0051】
第2の帆3’の帰還、固定、折り畳み、および収納は、第1の帆3に対する方法と同じ方法で行われるが、この第2の帆3’の収納において第2の区画12’の中で終端する、コンベヤが第2のレール38’に沿って担持するスライダ33’、34’および36’をずらすために、第2のコンベヤ37’を使用することによって、第2のレール38’は、第2の区画12’の中に延ばされる。
【0052】
実際には、図10図12におけるように、帆は、順々に戻されかつ配備され、すなわち、第2の帆は、第1の帆が固定され、折り畳まれて、その区画の中に収納されたとき、またはこの第1の帆が帰還する前にのみ戻される。同じことが、配備に対して適用され、すなわち、第2の帆は、第1の帆が配備されて船から十分な距離にあるとき、または第1の帆を配備する前に配備される。
【0053】
一般に、各帆の配備は、帰還、固定、折り畳み、および収納の同じシーケンスを逆順に遂行することによって達成される。
【0054】
たとえば、各コンベヤは、レールに沿って延びるおよび/またはレールの中を案内されるチェーンから成り、このチェーンを担持するスライダが滑動し、このチェーンは、原動機付きで制御付きの駆動システムによって変位され、このレールに沿って案内される。
【0055】
随意に、2つのレール38および38’は、マスト7に並行して進む共通の垂直部を含む。この場合、共通の垂直部の基部において案内することは、第1のスライダを第1のレールレールの湾曲部に、次いで水平部に案内すること、および第2のスライダを第2のレールの湾曲部に、次いで水平部に案内することをもたらす。
【0056】
その上、第1のケーブル4および第2のケーブル4’は、帆の飛行段階において、すなわち2つの帆がともに配備されたとき、2つの帆の間の干渉のリスクを低減するために、異なる長さを有する。
【0057】
加えて、これらの2つの帆は、異なる領域で動くために、それらのそれぞれの制御部材によって操舵されながら、依然として、最適なけん引力を生成する。次いで、2つの制御システムは、ともに、固定局に配置された操舵システムに接続されて、データをこの操舵システムと交換することができる。この場合、操舵システムは、たとえば、帆が動くべき空間の領域の規定を各制御部材に送信する。
【0058】
別の可能性は、帆のうちの1つ、たとえば第1の帆3がマスターであり、その制御部材27が、第2の帆3’が動くべき空間の領域の規定を第2の帆3’の制御部材に送ることによって、その制御部材と通信することをもたらすことである。この場合、第1の制御部材27はマスタータイプの動作を有し、第2の操舵部材はスレイブタイプの動作を有する。
【0059】
各制御部材は、帆に割り当てられた空間の領域の中で帆を移動させるように、制御部材が担持する帆を操舵しながら、依然として、けん引力を最大化する最適位置にこの帆を保持する。
【0060】
実際には、帆は、自然と、帆が安定状態に保持されるが、帆が最小のけん引力を生成する静的位置に向かう風の近くに帆自体を置く傾向があり、そのような帆が、より大きいけん引力を生成する位置にあるとき、帆は、この位置から離れて移動して、静的位置に戻る傾向がある。
【0061】
したがって、けん引力を最大化する最適位置にそのような帆を保持することは、帆自体を最適位置に保持するために、帆が最適位置を何度も通るように、帆に方向転換を遂行させるために、帆を動的に操舵することを必要とする。
【0062】
これに関連して、制御部材は、いわゆる8の字型の軌道に従って方向転換を遂行することによって、帆をそれらの最適位置に継続的に保持するために帆を操作し、これらの軌道は、それらがTおよびT’で示される図2に示される。
【0063】
翼が8の字型の軌道を描くとき、翼は、この軌道の直線部において加速しかつ湾曲部において減速し、そのことがけん引力の周期変動を生成し、その変動が固定局においてけん引力を受ける要素に疲労の不利が生じることになる。
【0064】
言い換えれば、8の字型の軌道に従って操舵される翼によって生成されるけん引力の強度は波状の形状を有し、それは、けん引力がその要素を介して船に伝達される、船のデッキ上の固定局の締結要素に疲労のストレスを加える。
【0065】
有利には、各帆の制御部材は、2つの帆がともに8の字型の軌道を遂行しているとき、2つの帆の運動をデフェーズするように構成され、それは、2つの帆の累積けん引力の波動を著しく低減することを可能にする。このデフェーズは、帆のうちの一方がその8の字型の軌道の直線部を通過しているとき、他方の帆が、それに反して、それ自体の軌道の湾曲部にあることを確実にすることから成る。
【符号の説明】
【0066】
1 船
2 固定局
3 帆、第1の係留帆
3’ 第2の係留帆
4 第1のけん引ケーブル
4’ 第2のけん引ケーブル
6 プラットフォーム
8 第1のウィンチ
8’ 第2のウィンチ
9 滑車
9’ 第2の滑車
11 収納空間
12 第1の区画
12’ 第2の区画
13 駆動モータ
14 けん引ユニット
16 第1の翼
16’ 第2の翼
17 ハンガー
18 翼の下面
19 前縁
21 後縁
22 翼の左側
23 翼の右側
24 横シート
26 横シート
27 制御部材
28 上部折り畳み綱
29 折り畳み綱のペア
29a 折り畳み綱
29b 折り畳み綱
31 横折り畳み綱の下部ペア
31a 折り畳み綱
31b 折り畳み綱
32 基部ユニット
33 第1の上部スライダ
33’ 第2の上部スライダ
34 第1の中央スライダ
34’ 第2の中央スライダ
36 第1の下部スライダ
36’ 第2の下部スライダ
37 第1のコンベヤ
37’ 第2のコンベヤ
38 第1のレール38
38’ 第2のレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12