IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーリス ヘルス インコーポレイテッドの特許一覧

特許7366943医療器具のための位置合わせ及び取り付けシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】医療器具のための位置合わせ及び取り付けシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20231016BHJP
【FI】
A61B34/30
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020569891
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019023016
(87)【国際公開番号】W WO2020005348
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】62/690,744
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マルソー・トラヴィス・アール
(72)【発明者】
【氏名】ヒル・アレン・カルダー
(72)【発明者】
【氏名】シュー・トラヴィス・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテ・スペンサー・ジェームズ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06451027(US,B1)
【文献】国際公開第2017/044884(WO,A1)
【文献】特開平08-038485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
A61B 17/29-17/295
B25J 17/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療システムであって、
器具ハンドル及び細長い本体を備える医療器具であって、前記器具ハンドルは器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成されている、医療器具と、
前記医療器具と前記アダプタとの間に回転位置合わせを提供するように構成された位置合わせ機構と、
を備えており、
前記位置合わせ機構が、前記細長い本体上に位置合わせ構造を備え、
前記位置合わせ構造が、前記細長い本体上に螺旋状表面を備える、医療システム。
【請求項2】
前記位置合わせ機構が、前記器具ハンドルの長手方向軸に沿って延びる、請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記器具ハンドルが前記アダプタに取り付けられているとき、前記器具ハンドル上の遠位表面が、前記アダプタ上の近位表面と対向している、請求項1に記載の医療システム。
【請求項4】
前記器具駆動機構がロボットアーム上に位置付けされている、請求項1に記載の医療システム。
【請求項5】
前記ロボットアームがベッド又はカートから延びる、請求項に記載の医療システム。
【請求項6】
前記回転位置合わせの結果として、少なくとも1つのロック要素が、対応するポケットと位置合わせされ、前記対応するポケットに挿入される、請求項1に記載の医療システム。
【請求項7】
前記ロック要素が前記アダプタ上に位置付けされており、前記ポケットが前記器具ハンドル上に位置付けされている、請求項に記載の医療システム。
【請求項8】
前記ロック要素がボールベアリングを備える、請求項に記載の医療システム。
【請求項9】
前記回転位置合わせが受動的である、請求項1に記載の医療システム。
【請求項10】
医療システムであって、
ロボット対応の医療処置中に使用するように構成された医療器具であって、
遠位端部と近位端部との間に延びる細長い本体であって、前記遠位端部がロボット対応の医療処置中に患者に挿入されるように構成されている、細長い本体と、
近位面及び遠位面を含む器具ハンドルであって、前記細長い本体が前記近位面及び前記遠位面を通って延びており、前記遠位面は器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成されている、器具ハンドルと、を備える医療器具と、
前記医療器具と前記アダプタとの間に回転位置合わせを提供するように構成された位置合わせ機構であって、
前記医療器具上の第1の位置合わせ構造と、
前記アダプタ上の第2の位置合わせ構造と、を備える位置合わせ機構と、を備え、
前記医療器具が前記アダプタに取り付けられると、前記第1の位置合わせ構造が前記第2の位置合わせ構造に係合して前記回転位置合わせを提供し、
前記器具ハンドルが前記アダプタに取り付けられると、前記位置合わせ機構が、前記器具ハンドルの長手方向軸に沿って位置付けられ、
前記第1の位置合わせ構造が前記細長い本体上に螺旋状表面を備える、医療システム。
【請求項11】
記第2の位置合わせ構造が、アダプタの開口部内に軸受表面を備える、請求項10に記載の医療システム。
【請求項12】
前記軸受表面がボールベアリングを備える、請求項11に記載の医療システム。
【請求項13】
前記器具駆動機構がロボットアーム上に位置付けされている、請求項10に記載の医療システム。
【請求項14】
前記ロボットアームがベッド又はカートから延びる、請求項13に記載の医療システム。
【請求項15】
前記回転位置合わせの結果として、少なくとも1つのロック要素が、対応するポケットと位置合わせされ、前記対応するポケットに挿入される、請求項10に記載の医療システム。
【請求項16】
前記ロック要素が前記アダプタ上に位置付けされており、前記ポケットが前記器具ハンドル上に位置付けされている、請求項15に記載の医療システム。
【請求項17】
前記ロック要素が前記器具ハンドル上に位置付けされており、前記ポケットが前記アダプタ上に位置付けされている、請求項15に記載の医療システム。
【請求項18】
前記ロック要素がボールベアリングを備える、請求項15に記載の医療システム。
【請求項19】
前記回転位置合わせが受動的である、請求項10に記載の医療システム。
【請求項20】
方法であって、
器具駆動機構に取り付けられたアダプタの開口部を通して医療器具の細長い本体を挿入することと、
前記医療器具のハンドルを前記アダプタに向けて前進させ、それにより位置合わせ機構が前記医療器具と前記アダプタとの間に回転位置合わせを提供することと、
前記医療器具の前記ハンドルを前記アダプタに取り付けることと、
を含み、
前記医療器具が前記細長い本体上に螺旋状表面を含み、前記回転位置合わせが、前記アダプタの位置合わせ構造が前記螺旋状表面に接触する際に生じる、方法。
【請求項21】
記アダプタの前記位置合わせ構造が軸受表面を含み、前記回転位置合わせが、前記軸受表面が前記螺旋状表面に接触する際に生じる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
方法であって、
器具駆動機構に取り付けられたアダプタの開口部を通して医療器具の細長い本体を挿入することと、
前記医療器具のハンドルを前記アダプタに向けて前進させ、それにより位置合わせ機構が前記医療器具と前記アダプタとの間に回転位置合わせを提供することと、
前記医療器具の前記ハンドルを前記アダプタに取り付けることと、
を含み、
前記医療器具の前記ハンドルを前記アダプタに取り付けることが、前記ハンドルと前記アダプタとの間に取り付け機構を係合させることを含み、
取り付け機構を係合させることが、前記取り付け機構のポケット内に、前記取り付け機構の突出部材を受け入れることを含み、
前記突出部材が、前記ポケット内の、ばねで付勢された部材に係合する、方法。
【請求項23】
前記突出部材が前記ハンドル上にあり、前記ポケットが前記アダプタ上にある、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記突出部材がボールベアリングを備える、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記突出部材がフックを備える、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療器具の位置合わせ及び取り付けシステム並びに方法に関する。いくつかの実施形態では、位置合わせ及び取り付けシステム並びに方法は、ロボット医療システム及び器具と共に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡検査などの医療処置は、患者の内部領域にアクセスし、可視化することを伴い得る。腹腔鏡手術では、腹腔鏡アクセスポートを通して医療器具を内部領域に挿入することができる。
【0003】
特定の処置では、ロボット対応の医療システムを使用して、医療器具の挿入及び/又は操作を制御することができる。ロボット対応の医療システムは、ロボットアーム、又は医療器具を取り付けることができる他の器具位置付けデバイスを含んでもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
医療器具のための位置合わせ及び取り付けシステムが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、位置合わせシステムは、医療器具を対応するアダプタと位置合わせするように構成されており、取り付けシステムは、医療器具をアダプタに取り付けるように構成されている。アダプタは、器具駆動機構上に位置付けすることができる。器具駆動機構は、ロボットアーム上に位置付けすることができる。
【0005】
第1の態様では、医療システムは、器具ハンドル及び細長い本体を備える医療器具を含むことができ、器具ハンドルは、器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成される。システムはまた、医療器具とアダプタとの間に回転位置合わせを提供するように構成された位置合わせ機構も含むことができる。
【0006】
医療システムは、任意の組み合わせで、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる:(a)位置合わせ機構は、器具ハンドルの長手方向軸を通って延びる、(b)位置合わせ機構は、細長い本体上に位置合わせ構造を備える、(c)位置合わせ構造は、細長い本体上に螺旋状表面を備える、(d)器具ハンドルがアダプタに取り付けられているとき、器具ハンドル上の遠位表面は、アダプタ上の近位表面と対向している、(e)器具駆動機構はロボットアーム上に位置付けされている、(f)ロボットアームはベッド又はカートから延びる、(g)回転位置合わせの結果として、少なくとも1つのロック要素が、対応するポケットと位置合わせされ、対応するポケットに挿入される、(h)ロック要素はアダプタ上に位置付けされており、ポケットはハンドル上に位置付けされている、(i)ロック要素はボールベアリングを備える、及び/又は(j)回転位置合わせは受動的である。
【0007】
別の態様では、医療システムは、ロボット対応の医療処置中に使用するように構成された医療器具を含むことができる。医療器具は、遠位端部と近位端部との間に延びる細長い本体であって、遠位端部がロボット対応の医療処置中に患者に挿入されるように構成されている細長い本体と、近位面及び遠位面を含む器具ハンドルとを含むことができ、細長い本体は近位面及び遠位面を通って延びている。遠位面は、器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成することができる。医療システムはまた、医療器具とアダプタとの間に回転位置合わせを提供するように構成された位置合わせ機構も含むことができる。位置合わせ機構は、医療器具上の第1の位置合わせ構造と、アダプタ上の第2の位置合わせ構造とを含むことができる。医療器具がアダプタに取り付けられると、第1の位置合わせ構造は第2の位置合わせ構造に係合して回転位置合わせを提供することができる。
【0008】
医療システムは、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる:(a)器具ハンドルがアダプタに取り付けられると、位置合わせ機構は器具ハンドルの長手方向軸を通って延びる、(b)第1の位置合わせ構造は、細長い本体上に螺旋状表面を備え、第2の取り付け構造は、アダプタの開口部内に軸受表面を備える、(c)軸受表面はボールベアリングを備える、(d)器具駆動機構はロボットアーム上に位置付けされている、(e)ロボットアームはベッド又はカートから延びる、(f)回転位置合わせの結果として、少なくとも1つのロック要素が、対応するポケットと位置合わせされ、対応するポケットに挿入される、(g)ロック要素はアダプタ上に位置付けされており、ポケットはハンドル上に位置付けされている、(h)ロック要素はハンドル上に位置付けされ、ポケットはアダプタ上に位置付けされる、(i)ロック要素はボールベアリングを備える、及び/又は(j)回転位置合わせは受動的である。
【0009】
別の態様では、ロボットシステムは、器具ハンドル及び細長い本体を備える医療器具を含むことができ、器具ハンドルは、器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成されており、取り付け機構は、器具ハンドルをアダプタに固定するように構成されており、器具ハンドルがアダプタに固定されると、医療器具の細長い本体は、アダプタ内の開口部を通って延びる。
【0010】
ロボットシステムは、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる:(a)取り付け機構は、器具ハンドルの周りに円周方向に位置付けされた少なくとも3つのロック要素を備える、(b)取り付け機構は、アダプタ上のポケット内に延びるように構成された、器具ハンドル上に位置付けされた少なくとも1つのロック要素を備える、(c)取り付け機構は、器具ハンドル上のポケット内に延びるように構成された、アダプタ上に位置付けされた少なくとも1つのロック要素を備える、(d)ロック要素は突出部材を備える、(e)突出部材はボールベアリングを備える、(f)突出部材はフックを備える、(g)突出部材は、ポケット内のばね式表面と係合する、及び/又は(h)器具ハンドルは、アダプタに上部装填されるように構成されており、それにより器具の細長い本体はアダプタ内の開口部を通って延びる。
【0011】
別の態様では、医療システムは、ロボット対応の医療処置中に使用するように構成された医療器具を含むことができ、医療器具は、遠位端部と近位端部との間に延びる細長い本体を含み、遠位端部は、ロボット対応の医療処置中に患者に挿入されるように構成されており、器具ハンドルは近位面及び遠位面を含み、細長い本体は近位面及び遠位面を通って延びており、遠位面は器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成されている。医療システムは、アダプタに医療器具を固定するように構成された取り付け機構も含むことができ、器具ハンドルがアダプタに固定されると、医療器具の細長い本体は、遠位面からアダプタ内の開口部を通って軸に沿って延び、取り付け機構は、軸の周りに円周方向に位置付けされた少なくとも3つのロック要素を備える。
【0012】
医療システムは、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる:(a)ロック要素のうちの少なくとも1つは突出部材を備える、(b)突出部材はボールベアリングを備える、(c)突出部材はフックを備える、及び/又は(d)突出部材はポケット内のばね式表面と係合する。
【0013】
別の態様では、方法は、器具駆動機構に取り付けられたアダプタの開口部を通して医療器具の細長い本体を挿入することと、医療器具のハンドルをアダプタに向けて前進させ、それにより位置合わせ機構が医療器具とアダプタとの間に回転位置合わせを提供することと、医療器具のハンドルをアダプタに取り付けることと、を含む。
【0014】
医療システムは、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる:(a)医療器具は細長い本体上に螺旋状表面を含み、アダプタはアダプタ内に軸受表面を含み、回転位置合わせが、軸受表面が螺旋状表面に接触する際に生じる、(b)医療器具のハンドルをアダプタに取り付けることは、ハンドルとアダプタとの間に取り付け機構を係合させることを含む、(c)取り付け機構を係合させることは、取り付け機構のポケット内に、取り付け機構の突出部材を受け入れることを含む、(d)突出部材はハンドル上にあり、ポケットはアダプタ上にある、(e)突出部材はボールベアリングを含む、(f)突出部材はフックを備える、及び/又は(g)突出部材は、ポケット内のばね式表面に係合する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、これに限定するものではなく、同様の表記は同様の要素を示す。
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
図2図1のロボットシステムの更なる態様を示す。
図3】尿管鏡検査のために配された図1のロボットシステムの実施形態を示す図である。
図4】血管処置のために配された図1のロボットシステムの実施形態を示す図である。
図5】気管支鏡検査処置のために配されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
図6図5のロボットシステムの代替的な図である。
図7】ロボットアームを収容するように構成された例示的なシステムを示す図である。
図8】尿管鏡検査処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
図10】ピッチ又は傾斜調整を備えた図5図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
図11図5図10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な例示を提供する図である。
図12】例示的な器具ドライバを示す図である。
図13】対の器具ドライバを備えた例示的な医療器具を示す図である。
図14】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す図である。
図15】例示的な実施形態に係る、図13及び図14の器具の位置などの、図1図10のロボットシステムの1つ以上の要素の位置を推定する位置特定システムを示すブロック図である。
図16A】医療機器を機器駆動機構上のアダプタと位置合わせし、医療機器をアダプタに取り付けるための位置合わせ機構及び取り付け機構を含む医療機器の実施形態を示す図である。
図16B】ベッドから延びるロボットアームの遠位端部上に位置付けされた器具駆動機構の実施形態を示す図である。
図17A】医療器具を器具駆動機構上のアダプタと位置合わせし、医療器具をアダプタに取り付けるための位置合わせ機構の実施形態及び取り付け機構の実施形態の詳細図である。非取り付け構成にある駆動機構上の医療器具及びアダプタの斜視図であり、位置合わせ及び取り付け機構を示す。
図17B】医療器具を器具駆動機構上のアダプタと位置合わせし、医療器具をアダプタに取り付けるための位置合わせ機構の実施形態及び取り付け機構の実施形態の詳細図である。アダプタの近位面の斜視図であり、アダプタ上の位置合わせ機構の第1の位置合わせ構造の実施形態、及びアダプタ上の取り付け機構のロック要素の実施形態を示す。
図17C】医療器具を器具駆動機構上のアダプタと位置合わせし、医療器具をアダプタに取り付けるための位置合わせ機構の実施形態及び取り付け機構の実施形態の詳細図である。医療器具のハンドルの遠位面の斜視図であり、医療器具上の位置合わせ機構の第2の位置合わせ構造、及びロック要素と係合するように構成された取り付け機構のポケットの実施形態を示す。
図17D】医療器具を器具駆動機構上のアダプタと位置合わせし、医療器具をアダプタに取り付けるための位置合わせ機構の実施形態及び取り付け機構の実施形態の詳細図である。医療器具のハンドルの遠位面の図である。
図18A】取り付けプロセスの様々な段階中の取り付け機構の実施形態の図である。非取り付け構成にある取り付け機構のロック要素及びポケットを示す図である。
図18B】取り付けプロセスの様々な段階中の取り付け機構の実施形態の図である。非取り付け構成と取り付け構成との間の中間ポジションにあるロック要素及びポケットを示す図である。
図18C】取り付けプロセスの様々な段階中の取り付け機構の実施形態の図である。取り付け構成におけるロック要素及びポケットを示す図である。
図19A】ボールベアリングを含むロック要素の実施形態を示す図である。アダプタの部分分解斜視図である。
図19B】ボールベアリングを含むロック要素の実施形態を示す図である。組み立て構成のロック要素を示すアダプタの斜視図である。
図19C】ボールベアリングを含むロック要素の実施形態を示す図である。組み立て構成のロック要素を示すアダプタの断面図である。
図20】ばね式ピンチレバーを含む取り付け機構の別の実施形態を示す図である。
図21】カンチレバー形フックを含む取り付け機構の別の実施形態を示す図である。
図22】アダプタ解放機構が近位面上に位置付けされ得ることを示す、アダプタの実施形態の近位面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.概論
本開示の態様は、腹腔鏡検査などの低侵襲性、及び内視鏡検査などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボット対応の医療システムに統合することができる。内視鏡検査処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査など行うことが可能であり得る。
【0017】
幅広い処置を実行することに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。加えて、システムは、無理な腕の動きや姿勢を必要とせずに、人間工学的な姿勢から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0018】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示された概念の多くの他の実装態様が可能であり、開示された実装態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用され得る。
【0019】
A.ロボットシステム-カート
ロボット対応の医療システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成することができる。図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配された、カートベースのロボット対応のシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査中、システム10は、気管支鏡検査のための処置特有の気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療器具を、診断及び/又は治療ツールを送達するための自然オリフィスアクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置付けされた患者の口)に送達するための1つ以上のロボットアーム12を有するカート11を含むことができる。図示のように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置付けすることができる。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置付けするために作動させることができる。図1の配置は、胃腸管(gastro-intestinal、GI)処置を胃鏡、つまりGI処置のための特殊な内視鏡を用いて行うときにも利用することができる。図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に描画する。
【0020】
図1を引き続き参照すると、いったんカート11が適切に位置付けされると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。図示のように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダー部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を含んでもよく、各部分は、器具ドライバのセット28とは別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端部に結合されている。リーダー部分をシース部分と同軸上に位置合わせするのを容易にする器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又はポジションに操作することによって空間内に再位置付けされ得る「仮想レール」29を形成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムのいかなる物理的構造も示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダー部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進若しくは後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動されてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及びポジションは、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0021】
内視鏡13は、挿入後、対象の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して患者の気管及び肺の下流に向けられてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操作して、内側リーダー部分を外側シース部分から入れ子状に延ばして、高められた関節運動及びより大きな曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダー部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能にする。
【0022】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように向けられてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下流に展開されて、病理医によって分析される組織試料を得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下流に展開されてもよい。小結節を悪性と特定した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するためにツールを内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別個の処置で送達される必要があるかもしれない。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の位置を「マーク」するために基準を送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0023】
システム10はまた、支持ケーブルを介してカート11に接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のための支援を提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフが容易に調整及び/又は再位置付けすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支援タワー30との間での機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して位置付けされてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように遠隔位置に収容されていてもよい。
【0024】
上述のロボットシステムを支援するために、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11内で行われるかにかかわらず、そのシステム又はサブシステム全体を制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行される場合、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置付けしてもよい。
【0025】
タワー30は、内視鏡13を通して展開され得るシステムに制御された灌注及び吸引能力を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスも含んでもよい。これらの構成要素はまた、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブルを介して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0026】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート11はより小さく、より移動しやすくなる。
【0027】
タワー30はまた、ロボットシステム10全体に展開されたセンサのための支持機器を含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10を通して光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30はまた、展開された電磁(electromagnetic、EM)センサから受信した信号を受信及び処理するための電子サブシステムを含んでもよい。タワー30はまた、医療器具内又は医療器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、位置付けするためにも使用されてもよい。
【0028】
タワー30はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部に装着されたコンソールに追加して、コンソール31も含んでもよい。コンソール31は、医師操作者のためのユーザインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール31は、看護師などの第2の操作者によって使用されて、患者の健康又は生命兆候及びシステムの動作を監視するだけでなく、ナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別個の本体内に収容される。
【0029】
タワー30は、1つ以上のケーブル又は接続部(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からの支持機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個のケーブル敷設及び接続部で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカートに電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのための支援は、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0030】
図2は、図1に示されるカートベースのロボット対応のシステムからのカートの実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と称されることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ以上のロボットアーム12(図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置付けするために、ロボットアーム12の基部を調整する、垂直軸に沿って回転する個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19も含む。
【0031】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に位置付けされたスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジを位置付け及び保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0032】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進する際に、カラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置付けされたばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、スプール内でコイル巻きにされており、キャリッジ17が垂直方向に上下に並進すると展開して、それらのコイル状態から延伸及び後退する。スプールのばね荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進するときにカバーをスプール内に後退させるための力を提供する一方で、キャリッジ17がスプールから離れるように並進するときに密封も維持する。カバーは、キャリッジ17が並進する際にカバーが適切に延伸及び後退するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0033】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に位置合わせされた主ねじを使用するように設計された、歯車及びモータなどの機構を内部的に含んでもよい。
【0034】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連の連結部23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を含んでもよく、各関節は独立したアクチュエータを含み、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを含む。それぞれ独立して制御可能な関節は、ロボットアームが利用可能な独立した自由度を表す。アーム12の各々は、7つの関節を有し、したがって、7つの自由度を提供する。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度は、ロボットアーム12が、異なる連結ポジション及び関節角度を使用して空間内の特定のポジション、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置付けすることを可能にする。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療器具を配置して方向付けることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れた臨床的に有利なポジションへと移動させて、アームの衝突を回避しながら、よりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0035】
カート基部15は、床より上のカラム14、キャリッジ17及びアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカートの移動及び/又は不動化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカートが部屋の中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスター25を含む。適切なポジションに到達した後、キャスター25は、処置中にカート11を定位置に保持するためのホイールロックを使用して動かないようにされてもよい。
【0036】
カラム14の垂直方向の端部に位置付けされ、コンソール16は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザに提供する。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、及び/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、並びに呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、カラム14の、キャリッジ17の反対の側からコンソールにアクセスすることを可能にするように位置付けされ、傾斜が付けられてもよい。このポジションから、医師は、カート11の背後からコンソール16を操作しながらコンソール16、ロボットアーム12及び患者を見ることができる。図示のように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27も含む。
【0037】
図3は、尿管鏡検査のために配されたロボット対応のシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管をトラバースするように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように位置付けされてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接位置合わせされて、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。図示のように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直接直線状にアクセスするように配置できるように、テーブルの脚部に位置合わせされてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0038】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32は、尿管及び腎臓に向けられ、尿管鏡32の作業チャネルの下方に展開されたレーザ又は超音波砕石デバイスを使用して、形成された腎臓結石を破壊することができる。砕石術が完了した後、得られた結石片は、尿管鏡32の下方に展開されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0039】
図4は、血管処置のために同様に配されたロボット対応のシステムの実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成することができる。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への比較的迂回性でも蛇行性でもない経路との両方を呈し、これによりナビゲーションが単純化する。尿管鏡処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向けて位置付けされて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療器具34が方向付けられ、挿入されてもよい。代替的に、カートは、例えば、肩付近の頚動脈及び手首付近の腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周りに位置付けされてもよい。
【0040】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボット対応の医療システムの実施形態はまた、患者テーブルを組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートを除去することによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。図5は、気管支鏡検査処置のために配されたこのようなロボット対応のシステムの一実施形態を示す。システム36は、支持プラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を床より上に支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、器具ドライバ42を含み、器具ドライバ42の線形整列から形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、図5の気管支鏡40などの細長い医療器具を操作するように設計されている。実際には、X線透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周りに置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置付けされてもよい。
【0041】
図6は、考察目的で、患者及び医療器具なしのシステム36の代替図を提供する。図示のように、カラム37は、1つ以上のロボットアーム39の基部となり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置付けされ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に位置付けされた機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の複数の側面へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置付けされてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要はないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システムは、内視鏡及び腹腔鏡などの医療器具を患者の異なるアクセスポイントに位置合わせすることができる。他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延びるバー又はレールの形態の調節可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ以上のロボットアーム39(例えば、肘関節を有する肩部を介して)を、垂直に調整することができる調節可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直調節を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容することができ、その後、処置中に上昇させることができる。
【0042】
アーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転し得る、及び/又は入れ子式に延び得る一連の関節を含むアームマウント45のセットを介してキャリッジに装着されてもよい。加えて、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されるとき、アームマウント45がテーブル38の片側(図6に示されるように)、テーブル38の両側(図9に示されるように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置付けされ得るように、キャリッジ43に位置付けすることができる。
【0043】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジの垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジの並進を機械化するためのモータが備えられていてもよい。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0044】
テーブル基部46は、図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスターも組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスターは、基部46の両側で反対方向に延び、システム36を移動させる必要があるときに後退することもできる。
【0045】
引き続き図6によれば、システム36はまた、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体光学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々な支援機能をテーブルに提供してもよい。タワーは、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置付けされるように移動可能でもあってもよい。更に、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアームの潜在的な収容のために、テーブル基部内により多くの保管空間を可能にする。タワーはまた、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェース、並びにリアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)の両方を提供する、マスタコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーは、吹送のために使用されるガスタンク用のホルダも含有してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。図7は、テーブルベースのシステムの一実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49に垂直方向に並進されてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びアーム50をカラム53の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0047】
図8は、尿管鏡検査処置のために構成されたロボット対応のテーブルベースのシステムの一実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置付けするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離して位置付けするために、枢動点(例えば、患者の頭部の下に位置する)を中心に回転又は枢動してもよい。例えば、スイベル部分55の枢動により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置付けされることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、患者の鼠径部領域に直接尿管鏡56を挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚のポジションを支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にあぶみ58もまた固定されてもよい。
【0048】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを行うように指示されてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを備えることができる。図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボット対応のテーブルベースのシステムの一実施形態を示す。図9に示されるように、システム36のキャリッジ43は、回転させて垂直方向に調整され、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようにアームマウント45を使用して位置付けされ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置付けすることができる。
【0049】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボット対応のテーブルシステムはまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜させてもよい。図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボット対応の医療システムの実施形態を示す。図10に示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方側の部分を他方側の部分よりも床から遠い距離に位置付けすることができる。加えて、アームマウント45は、アーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。急角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触するか又は基部46と衝突するのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延びるのを可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0050】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図示を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置付けによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動される。一方のねじ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手を使用することができる。
【0051】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ体位に位置付けしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部よりも床からより高いポジションに患者の下腹部を位置させようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ体位は、患者の内臓を重力によって自分の上腹部に向かってスライドさせ、低侵襲性ツールを入れて腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科処置又は医療処置を実施するために、腹腔を空にする。
【0052】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的に、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と称される)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療器具と、を含む。この二分法は、医療処置に使用される医療器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び敏感な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことによって引き起こされる可能性がある。したがって、医療器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外し、除去、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のためにドレープをかけることができる。
【0053】
図12は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端部に位置付けされている器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療器具に制御されたトルクを提供するために平行軸を伴って配された1つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギヤヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を含む。各駆動ユニット63は独立して制御及び電動化され、器具ドライバ62は、複数(図12に示されるように4つ)の独立した駆動出力を医療器具に提供してもよい。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0054】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療器具との間に位置する、無菌ドレープに接続された無菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。無菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な無菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力部及び出力部と、器具に対する駆動入力部とで構成することができる。無菌アダプタに接続される無菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置している間に、資本設備を患者に近接して位置付けすることが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療器具は、滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者とインターフェースしてもよい。
【0055】
D.医療器具
図13は、対の器具ドライバを備えた例示的な医療器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を含む。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも称される器具基部72は、概して、ロボットアーム76の遠位端部において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延びる駆動出力部74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部73、例えば、レセプタクル、プーリ、又はスプールを含んでもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は結合されるときに、器具基部72の嵌合された駆動入力部73は、器具ドライバ75における駆動出力部74と回転軸線を共有して、駆動出力部74から駆動入力部73へのトルクの伝達を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力部74は、駆動入力部73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。
【0056】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計されている。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)であるか、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含む、のいずれかであってよい。腹腔鏡ために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端部は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合された手首から延びるエンドエフェクタ、及び駆動入力部が器具ドライバ75の駆動出力部74から受け取ったトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみである、手術用ツール又は医療器具に接続することができる。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端部は、器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0057】
器具ドライバ75からのトルクは、シャフト71に沿う腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力部73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ以上のプルルーメン(pull lumen)に向けられ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分の手首に固定される。腹腔鏡、内視鏡又はハイブリッド処置などの外科処置中、これらの腱は、手首、把持具、又ははさみなどの遠位に装着されたエンドエフェクタに結合されてもよい。このような配置の下で、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的に、腱は、細長いシャフト71の遠位端部で把持具の1つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具が閉鎖される。
【0058】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端部に)位置付けされた屈曲部又は関節運動部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端部に固定的に取り付けられる場合、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部に(関節運動可能部又は領域と称されることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)向ける個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。これらの間の螺旋及び/又は間隔の角度は、特定の目的のために変更又は設計されてもよく、より狭い螺旋は負荷力下でより小さいシャフト圧縮を呈する一方で、より少ない量の螺旋は負荷力下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲制限も呈する。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に向けられて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0059】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフトは、シャフト71の遠位端部における手術領域への手術ツール(又は医療器具)の展開、灌注、及び/又は吸引を行うための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71は、光学カメラを含んでもよい遠位先端部の光学アセンブリとの間で信号の送受信を行うために、ワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフトの遠位端部に光を搬送するための光ファイバも収容してもよい。
【0060】
器具70の遠位端部では、遠位先端部はまた、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口を含んでもよい。遠位先端部はまた、内部解剖学的空間の画像を取り込むために、繊維スコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートも含んでもよい。関連して、遠位先端部はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源用ポートも含んでもよい。
【0061】
図13の例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は、細長いシャフトの軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力部73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることの結果として、腱が、駆動入力部73から延出して細長いシャフト71内のプルルーメンに入る際に、不必要に絡まる。結果として生じるそのような腱の絡まりは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフトの移動を予測することを意図した任意の制御アルゴリズムを妨害することがある。
【0062】
図14は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。図示のように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に位置合わせされた駆動出力部81を備えた4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバの非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転させる。電力及び制御信号は、電気接点を通して器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよく、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81を回転させることを可能にする。
【0063】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力部81を受け入れるように構成された複数の駆動入力部89(レセプタクル、プーリ、及びスプールなど)を含む器具基部87(説明目的で透明な外部スキンで示される)とを含んでもよい。先に開示した実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延び、軸は、図13の設計にあるように直交するのではなく、駆動入力部89の軸に実質的に平行である。
【0064】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されると、器具基部87及び器具シャフト88を含む医療器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置付けされているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力部89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部81、駆動入力部89及び器具シャフト88の軸の平行性は、制御腱をどれも絡ませることなくシャフト回転を可能にする。
【0065】
E.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、操作者である医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、医師の放射線への曝露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、「位置特定」という用語は、基準座標系内のオブジェクトのポジションを判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用される他の場合では、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0066】
図15は、例示的な実施形態による、器具の位置など、ロボットシステムの1つ以上の要素の位置を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ以上の命令を実行するように構成されている1つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上述の1つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、図1に示されるタワー30内にあってもよく、図1図4に示されるカート内にあってもよく、図5図10に示されるベッド内にあってもよい。
【0067】
図15に示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療器具の遠位先端部のための位置データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端部の位置及び/又は向きを表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の説明を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0068】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの収集を利用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の切欠き図の「スライス」として可視化される3次元画像に再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から判定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の3次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルは、CT画像からも導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適切である。
【0069】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データを処理して、1つ以上の視覚ベースの位置追跡を可能にしてもよい。例えば、術前モデルデータは、医療器具(例えば、内視鏡又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいてモデルから予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端部でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照され得る。
【0070】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技法は、カメラの動き、したがって内視鏡を判定するための特徴追跡を使用する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を判定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技法を更に向上させることがある。
【0071】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技法は、カメラの動きを推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動作検出、物体分割計算、輝度、動作補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたって複数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を判定することができる。
【0072】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に位置合わせされ得るグローバル座標系内で内視鏡のリアルタイム位置を生成することができる。EM追跡では、医療器具(例えば、内視鏡ツール)内の1つ以上の場所及び向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に位置付けされた1つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内のポジションと座標系内の単一の位置を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」することができる。いったん登録されると、医療器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端部)に埋め込まれたEMトラッカーは、患者の解剖学的構造を通じて医療器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0073】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によっても使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定することができる。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定することができる。代替的に、これらの計算は、ネットワーク内の医療器具の位置を推定するために、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析することができる。
【0074】
図15が示すように、いくつかの他の入力データを位置特定モジュール95によって使用することができる。例えば、図15には示されていないが、形状検知繊維を利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の位置及び形状を判定するために使用することができる形状データを提供することができる。
【0075】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された位置に信頼重みを割り当てる確率的アプローチを使用することができる。したがって、EMデータが信頼できるとはいえないことがある場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された位置の信頼性を低下させることができ、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0076】
上述のように、本明細書で考察されているロボットシステムは、上記の技術のうちの1つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートに基づいて、ロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0077】
2.医療器具用の位置合わせ及び取り付け機構
上記のような医療器具は、このセクションに記載されるような位置合わせ及び取り付け機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、位置合わせ及び取り付け機構は、器具(例えば、図16A参照)をロボットアーム(例えば、図16B参照)に位置合わせして取り付けるための新規かつ効率的な機構を提供する。いくつかの実施形態では、器具はロボットアームの器具駆動機構に直接取り付けることができるが、他の実施形態では、器具ハンドルは、器具駆動機構と器具との間のインターフェースとして機能するアダプタに取り付けることができる。いくつかの実施形態では、アダプタは、滅菌処置において無菌性を維持するのに役立つ。
【0078】
位置合わせ機構は、医療器具を医療器具が取り付けられる構成要素に正しく向けることを容易にするように構成することができる。例えば、位置合わせ機構は、医療器具と器具駆動機構及び/又はアダプタとの間に適切な回転位置合わせを提供することができる。いくつかの実施形態では、位置合わせ機構はまた、適切な並進位置合わせも提供する。器具と器具駆動機構及び/又はアダプタとの間の適切な位置合わせにより、取り付け機構の接続を容易にすることができる。例えば、適切な位置合わせは、器具上の取り付け機構のロック特徴部と、器具駆動機構及び/又はアダプタ上の取り付け機構の対応するロック特徴部との間の適切な係合を容易にすることができる。
【0079】
取り付け機構は、医療器具と器具駆動機構及び/又はアダプタとの間に確実かつ安定した接続を提供するように構成することができる。図示の特定の例示的実施形態を参照して以下でより詳細に説明するように、取り付け機構は、複数の接続点を伴う周方向ロックを提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、取り付け機構は、器具、器具駆動機構、及び/又はアダプタの軸の周りに円周方向に位置付けされ得る2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上のロック特徴部を備える。いくつかの実施形態では、器具は貫通器具を備え、貫通器具は器具駆動機構及び/又はアダプタ内のチャネル、ボア、又は他の開口部を通って貫通装填される軸に沿って延びる細長い本体を含む。取り付け機構は、細長い本体の軸の周りで、器具のハンドル上に位置付けされたロック特徴部を含むことができる。取り付け機構はまた、器具駆動機構及び又はアダプタ上に、チャネル、穴、又は他の開口部の周りで円周方向に位置付けされた対応するロック特徴部を/含むことができる。
【0080】
以下の説明からより完全に明らかになるように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される位置合わせ及び取り付け機構の利点は、この機構が器具の取り付け強度の向上又は増大を提供することである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される機構により、器具が非常にしっかりと取り付けられ、取り付けが安定及び/又は剛性であることが提供される。更に、いくつかの実施形態では、機構は、限定された又は最小の数の機械加工及び金属部品を使用してこの安定した取り付けを提供するように構成される。これにより、製造コストを低減し、製造プロセスを簡素化することができる。
【0081】
更に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載された位置合わせ及び取り付け機構は、有利には、所望の場合に、器具を器具駆動機構又はアダプタに取り付ける及び/又はそこから解放するために必要とする力は比較的小さくてよい。例えば、いくつかの実施形態では、器具は、有利には、片手で取り外したり取り付けたりすることができる。いくつかの実施形態では、器具は、ロボットアームがどの位置又は方向にあるときでも、有利に取り外したり取り付けたりすることができる。したがって、器具の取り付け及び取り外しは、制御された及び/又は人間工学的な方法で実施することができる。
【0082】
本明細書に記載される実施例の多くでは、位置合わせ及び取り付け機構は、医療器具とアダプタとの間に位置合わせ及び取り付けを提供するものとして記載される。しかしながら、いくつかの実施形態では、アダプタを省略することができ、位置合わせ及び取り付け機構は、例えば中間アダプタを伴わずに、医療器具と器具駆動機構との間の位置合わせ及び取り付けを直接提供することができる。更に、いくつかの実施形態では、位置合わせ及び取り付け機構は、医療器具(又は更には他の非医療器具)と、器具を取り付けることができる任意の他の構成要素との間の位置合わせ及び取り付けを提供するように構成することができる。したがって、例示され説明される実施形態は、単に特定の非限定的な実施例を提供するものとして理解されるべきである。
【0083】
図16Aは、医療器具100の実施形態を示す。図16Bは、器具駆動機構124及びその上に位置付けされたアダプタ126を有するロボットアーム122を含む医療システム120の実施形態を示す。図16A及び図16Bに示すように、医療器具100及び医療システム120は、位置合わせ機構140及び取り付け機構160を含む。位置合わせ機構140は、医療器具100と器具駆動機構124とアダプタ126との間に適切な方向を提供するように構成され、取り付け機構160は、医療器具100と器具駆動機構124とアダプタ126との間に確実な接続を提供するように構成される。
【0084】
図16Aは、器具100の側面図を示す。例示された実施形態では、器具100は、細長い本体102及びハンドル104を含む。細長い本体102は、遠位端部103と近位端部105との間に延びる。本明細書で使用する場合、遠位という用語は、処置中に患者に挿入されるか又は別の方法で患者と相互作用する器具の端部に向かって位置する場所又は位置を指し、近位という用語は、患者に挿入される器具の端部から離れて反対方向に位置する場所又は位置を指す。
【0085】
図示のように、示される実施形態では把持具として構成されるエンドエフェクタ108は、細長い本体102の遠位端部103に位置付けすることができる。他の実施形態では、器具は、はさみ、クリッパ、結紮ツール、焼灼ツール、バスケットツールなどの他のタイプのエンドエフェクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、図示のように、エンドエフェクタ108は、手首106によって細長い本体102の遠位端部に接続される。手首106は、器具100の1つ以上の自由度を可能にするように構成することができる。例えば、手首106は、2つの自由度の手首であってもよい。一実施例として、2つの自由度の手首は、エンドエフェクタ108がピッチ軸及びヨー軸の周りを枢動又は回転することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、手首106は、自由度をゼロにするように固定することができる。いくつかの実施形態では、手首106は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多い自由度を可能にすることができる。
【0086】
図16Aに示すように、器具100はハンドル104を含む。ハンドル104は、図16Bに示す器具駆動機構124又はアダプタ126に接続するように構成することができる。前述のように、器具100は、エンドエフェクタ108とハンドル104との間の細長い本体102に沿って(例えば、それを通って又はその上に)延びる1つ以上の腱、ケーブル、又はプルワイヤを含んでもよい。ハンドル104は、器具駆動機構がプルワイヤを作動させる(例えば、張る又は引く)ことを可能にする器具駆動機構(図14を照)上の1つ以上の駆動出力と係合するように構成された1つ以上の駆動入力を含むことができる。プルワイヤを作動させることにより、エンドエフェクタ108の動きが生じ、エンドエフェクタ108の遠隔操作及び制御を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、プルワイヤの作動は、エンドエフェクタ108のジョーを開閉させるように、及び/又はエンドエフェクタ108がピッチ若しくはヨー軸を中心に回転することを可能にするように構成することができる。上述のように、器具駆動機構は、ロボットアーム122上に位置付けされることができる(図16B参照)。いくつかの実施形態では、ロボットアーム122は、器具100を位置付けし、ロールさせ、前進させ及び/又は後退させるように制御することができる。
【0087】
細長い本体102は、図16Aに示すように、ハンドル104を通って延びることができる。いくつかのそのような実施形態では、細長い本体102は、ハンドル104に対して前進又は後退するように構成することができるが、これは常にそうである必要はない。いくつかの実施形態では、器具駆動機構124は、細長い本体102をハンドル104に対して前進又は後退させるように構成される。これにより、例えば、細長い本体102及びエンドエフェクタ108が処置中に患者内に前進している間、ハンドル104が静止したままであることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、細長い本体102の近位端部は、細長い本体102がエンドエフェクタ108とハンドル104との間のみに延びるようにハンドル104に取り付けられる。
【0088】
図16Aに示すように、ハンドル104は、遠位面109を含むことができる。いくつかの実施形態では、位置合わせ機構140は、遠位面109から延びる構成要素を含む。これらの構成要素は、アダプタ126上の位置合わせ機構140の対応する構成要素と相互作用又は係合して、器具100がアダプタ126に取り付けられたときに器具100とアダプタ126との間の位置合わせを提供することができる。いくつかの実施形態では、取り付け機構160は、ハンドル104の遠位面109上に位置付けされている構成要素を含む。これらの構成要素は、アダプタ126上の取り付け機構160の対応する構成要素と相互作用又は係合して、器具100とアダプタ126との間に接続を提供することができる。位置合わせ機構140及び取り付け機構160は、図17A図17Dに示される実施形態においてより詳細に示され、それは以下でより詳細に記載される。
【0089】
上述のように、図16Bは、医療システム120の実施形態の図を示す。図示の実施形態において、医療システム120は、複数のロボットアーム122を含む。ロボットアーム122の各々は、遠位端部上に位置付けされた器具駆動機構124を含む。図示のように、器具駆動機構124は、遠位面128及び近位面130を含む。再び、遠位という用語は、患者に向かう方向又は位置を指すのに使用され、近位という用語は、患者から離れる方向又は位置を指すのに使用される。
【0090】
いくつかの実施形態では、機器100は、機器駆動機構124上に貫通装填されるように構成される。例えば、器具駆動機構124は、器具駆動機構124を通って近位面130から遠位面128まで延びるチャネル、ボア、又は他の開口部(見えない)を含むことができ、器具は、細長い本体102の遠位端部103を近位面130を通り、チャネルを通り、かつ遠位面128を通って外に出るよう挿入することによって、器具駆動機構上に貫通装填(又は上部装填)することができる。次いで、器具100は、ハンドル104の遠位面109が器具駆動機構124の近位面130と接触して係合するまで、遠位方向に移動することができる。いくつかの実施形態では、システム120は、器具駆動機構124の近位面130上に位置付けされたアダプタ126を含む。そのような実施形態では、ハンドル104の遠位面109は、アダプタ126と接触し、係合することができる。前述のように、アダプタ126は、器具100と器具駆動機構124との間の無菌性を維持するように構成された滅菌アダプタであってもよい。このように器具100を貫通装填する又は上部装填することにより、器具100を患者から離れるように引くことによって器具100を器具駆動機構124から近位方向に取り外すことを有利に可能にする。これは、器具100を患者から離れる方向に取り外すことができるので、患者の安全性を有利に改善することができる。
【0091】
更に、以下で説明するように、器具100及びアダプタ126及び/又は器具駆動機構124上の位置合わせ機構140は、器具が器具駆動機構124に装填される際に位置合わせを提供することができる。例えば、器具100が器具駆動機構124を通して遠位に下げられると、器具100上の位置合わせ特徴部はアダプタ126又は器具駆動機構124上の位置合わせ特徴部と係合する。これらの特徴部は、アダプタ126又は器具駆動機構124との正しい回転位置合わせに器具100を自動的に回転させることができる。いくつかの実施形態では、位置合わせは自動的に生じる。いくつかの実施形態では、位置合わせは受動的に生じる。受動的位置合わせは、器具100とアダプタ126又は器具駆動機構124が一緒にされるときに自然に生じる位置合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、位置合わせ機構140はまた、器具100とアダプタ126又は器具駆動機構124との間の並進位置合わせも提供する。例えば、位置合わせ機構140は、アダプタ126又は器具駆動機構124の軸と器具100の軸とを同軸上に位置合わせさせることができる。
【0092】
位置合わせ機構140によって提供される位置合わせは、取り付け機構160の適切な方向を容易にすることができる。例えば、位置合わせは、器具100の遠位面109上の取り付け機構160のロック特徴部が、アダプタ126又は器具駆動機構124の近位面130上の取り付け機構160の対応するロック特徴部と位置合わせすることを確実にすることができ、それにより、遠位面109が近位面130と接触するときにこれらの特徴部が係合することができるようになっている。いくつかの実施形態では、これらの特徴部の係合は、自動的に又は受動的に生じ得る。上述のように、位置合わせ機構140及び取り付け機構160のより詳細な実施例を、図17A図17Dを参照して以下により詳細に記載する。
【0093】
図16Bの例示の実施形態では、システム120は、円柱134又は他の支持体及び基部136によって下から支持される患者プラットフォーム132又はベッドを含む。図示のように、いくつかの実施形態では、ロボットアーム122は、患者プラットフォーム132の下の位置で円柱134又は基部136に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、ロボットアーム122は、調節可能なアーム支持体138に取り付けることができ、調節可能なアーム支持体138は、患者プラットフォーム132の下の位置で円柱134又は基部136に取り付けることができる。この構成により、ロボットアーム122が患者プラットフォーム132の下の位置から展開されることを可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される位置合わせ機構140及び取り付け機構160は、これらのタイプのシステムにおいて特に有利である(例えば、図16Bに示すように)。例えば、システム120のいくつかの実施形態では、器具駆動機構124は、取り付け機構160によって収容されるべき器具駆動機構124内のモータを介して、取り付けられた器具100が無限のロールを有することを可能にする。更に、器具100は、ロボットアーム122から急速に着脱することができるべきである。
【0094】
図17A図17Dは、位置合わせ機構140の実施形態及び取り付け機構160の実施形態の詳細図を提供する。図17Aは、非取り付け構成にある、駆動機構124上の医療器具100及びアダプタ126の斜視図である。図17Bは、アダプタ126の近位面130の斜視図である。図17Cは、医療器具100のハンドル104の遠位面109の斜視図である。図17Dは、医療器具100のハンドル104の遠位面109の図を示す。例示的な位置合わせ機構140及び取り付け機構160は、これらの図を参照して以下のセクションに記載される。
【0095】
B.例示的な位置合わせ機構
図17A図17Dに示すように、器具ハンドル104及びアダプタ126は、位置合わせ機構140を含む。例えば、図示のように、位置合わせ機構140は、器具100上に第1の位置合わせ構造142を含むことができ(図17A及び図17C参照)、アダプタ126上に第2の位置合わせ構造144(図17B参照)を含むことができる。以下に記載するように、器具100が器具駆動機構124に貫通装填されているときに、第1の位置合わせ構造142は、第2の位置合わせ構造144と係合又は接触するように構成することができる。
【0096】
図17A及び図17Cに最もよく見られるように、図示の実施形態では、第1の位置合わせ構造142は、ハンドル104の遠位面109から延びるシャフト146を備える。器具100の細長い本体102は、シャフト146を通って延びてもよい(図17C)。シャフト146は、図17Aに示すように、シャフト146がアダプタ126(及び/又は器具駆動機構124)のチャネル148内に延びることを可能にする距離にわたって遠位面109から延びる長さを有することができる。いくつかの実施形態では、シャフト146は、器具駆動機構124を完全に貫通して延びるように十分に長い。いくつかの実施形態では、シャフト146は、器具駆動機構124を部分的に通って延びる。
【0097】
第1の位置合わせ構造142はまた、シャフト146の外面上に形成された位置合わせ面149も備える。以下に記載するように、位置合わせ面149は、器具100を器具駆動機構124上に貫通装填して位置合わせを提供する際に、第2の位置合わせ構造144と係合して接触する。いくつかの実施形態では、位置合わせ面149は、角度付き表面として構成される。角度付き表面は、シャフト146の長手方向軸に直交しない平面内にある表面として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置合わせ面149は、螺旋状表面として構成される。螺旋状表面は、ねじれて又は螺旋状にシャフト146の長手方向軸の周りに螺旋状になってもよい。
【0098】
図示の実施形態では、第1の位置合わせ構造142はまた、位置合わせ溝150も含む。位置合わせ溝150はまた、器具100とアダプタ126又は器具駆動機構124との間の位置合わせも提供するように、第2の位置合わせ構造144と接触し係合するように構成されている。位置合わせ溝150は、シャフト146の外面に沿って延び、その外面に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、位置合わせ溝150は、位置合わせ面149の最遠位点(すなわち、ハンドル104に最も近い位置合わせ面149に沿った点)から開始して、シャフト146に沿ってハンドル104に向かって延びてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、位置合わせ面149は、シャフト146の長手方向軸に対して角度付けされ、それにより位置合わせ面149の第1の部分は、遠位に位置付けされた位置合わせ面149の第2の部分に対して近位に位置付けされている。溝150は、位置合わせ面149の第2の部分からハンドル104に向かって延びてもよい。
【0099】
図17Bに示すように、アダプタ126は第2の位置合わせ構造144を含む。第2の位置合わせ構造144は、チャネル148の内壁から延びる突出部152を含むことができる。いくつかの実施形態では、突出部152は、チャネル148の内壁と一体的に形成することができる。いくつかの実施形態では、突出部152は、チャネル148の内壁に取り付けられた、又はチャネル148の内壁を通って延びる別個の部品として形成することができる。いくつかの実施形態では、突出部152は、チャネル148の内壁を通って延びるボールベアリングの一部分を含む。突出部152は、器具100がアダプタ126に貫通装填されて器具100とアダプタ126との間の位置合わせを提供するとき、位置合わせ面149及び位置合わせ溝150と接触し、相互作用する。
【0100】
例えば、アダプタ126は、器具駆動機構124の近位面に取り付けることができる。器具100の細長い本体102の遠位端部103は、アダプタの近位面130を通ってチャネル148内に挿入することができる。器具100は、ハンドル104の遠位面109をアダプタ126の近位面130に向けて遠位方向に移動させる。最終的に、第1の位置合わせ構造142のシャフト146はチャネル148に入る。第1の位置合わせ構造142のシャフト146をチャネル148内に挿入することにより、器具100とアダプタ126との間に並進位置合わせを提供することができる。しかしながら、この段階では、器具100はアダプタ126と適切に回転位置合わせされなくてもよい。器具100が遠位方向に更に移動すると、第2の位置合わせ構造144の突出部152は、第1の位置合わせ構造142の位置合わせ面149と接触する。突出部152は、位置合わせ面149に沿って乗り、器具100を正しい方向に回転させる。いくつかの実施形態では、突出部152は、受動的、自動的、又は自然な位置合わせを引き起こす。突出部152は、最終的に、位置合わせ面149の最も遠位の最も低い点に到達する。この時点で、器具100は、適切な回転位置合わせポジションにある。これにより、突出部152は位置合わせ溝150に入ることができる。位置合わせ溝150は十分に狭く、それにより器具100の更なる回転は制限又は阻止される。次いで、ハンドル104の遠位面109がアダプタの近位面130に接触するまで、器具100を遠位方向に移動させることができる。
【0101】
位置合わせされたポジションでは、器具ハンドル104の様々な特徴部は、アダプタ126(及び/又は器具駆動機構124)の対応する特徴部と位置合わせされる。これらの特徴部は、例えば、以下により詳細に記載される取り付け機構160の対応するロック特徴部を含むことができる。位置合わせされた特徴部はまた、例えば、器具ハンドル104上の対応する駆動入力158(図17C及び図17D参照)と係合するように構成されたアダプタ126又は器具駆動機構124上に、駆動出力156(図17A及び図17B参照)を含むことができる。駆動出力156は、図13図14を参照して上述したように、駆動入力に係合して器具100を制御することができる。いくつかの実施形態では、駆動出力156及び駆動入力158は、位置合わせ及び係合を容易にするために、いくつかのドラフト(例えば、円錐状の形状)を含む形状で構成される。図17A図17Cに示す実施形態では、器具ハンドル104及びアダプタ126は、5つの駆動出力156及び5つの対応する駆動入力158を含む。図17Dに示す実施形態は、6つの駆動入力158を含む。
【0102】
位置合わせされた特徴部は、例えば、機器100上のRFIDタグ161(図17D参照)などのコンピュータ可読タグ、及びアダプタ126又は機器駆動機構124上の対応する読み取り機162(図17A参照)を含むことができる。いくつかの実施形態では、RFIDタグ161は、チャネル、凹部、又はポケット内の器具ハンドル104上に含まれる。RFIDタグ161は、システム120に器具100の無線識別を提供するように構成することができる。RFIDタグ161は、システム120にパラメータを提供することができ、器具100の認証及び追跡を可能にすることができる。読み取り機162は、チャネル内に突出するように構成されて、RFIDタグ161にアクセスし、それを読み取ることができる。更に、位置合わせ機構140は、1つ以上のセンサ164(図17C)を備えることができる。センサ164は、細長い本体102の位置合わせを検出し、器具100の無限のロールを使用して正しく位置合わせさせるように構成することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1の位置合わせ構造142及び第2の位置合わせ構造144は、反転させることができる。例えば、位置合わせ面149及び位置合わせ溝150は、アダプタ126上のチャネル148内に含まれてもよく、突出部152は器具ハンドル104のシャフト146上に含まれてもよい。他の適切な位置合わせ構造もまた可能である。例えば、他の適切な位置合わせセンサは、受動的であってもなくてもよいが、適切に位置合わせされたときのみ係合するキータブを含むことができる。
【0104】
本明細書に記載のように、器具ハンドル104は、位置合わせ機構140を含んで器具ハンドル104がアダプタ126に迅速に取り付けられることを可能にし、それによって取り付け機構160と他の構成要素を位置合わせすることができる。位置合わせ機構140は、器具シャフト上に形成された螺旋位置合わせの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、位置合わせ機構140は、二重螺旋の形態である。位置合わせ機構140は、器具ハンドル104をアダプタ126に迅速に位置合わせすることができ、それによって、ロボットアーム122上で器具100を容易に交換できる迅速な接続特徴部を提供することができる。
【0105】
B.例示的な取り付け機構
図17A図17Dに示すように、器具ハンドル104及びアダプタ126は、取り付け機構160を含む。例えば、図示のように、取り付け機構160は、アダプタ126又は器具駆動機構124上にロック要素166を含むことができ(図17A及び図17C参照)、器具100上に対応するポケット168を含むことができる(図17C及び図17D参照)。以下に記載するように、ロック要素166は、ポケット168内に受け入れられ、ポケット168と係合するように構成されて、器具ハンドル104をアダプタ126に取り付ける。上述のように、位置合わせ機構140は、これらの特徴部の位置合わせを容易にするように構成される。
【0106】
図17Aに示すように、アダプタ126(又は器具駆動機構124)は、複数のロック要素166を含むことができる。図示の実施形態では、アダプタ126は3つのロック要素166を含むが、他の実施形態では、他の数のロック要素166が使用されてもよい。例えば、アダプタ126は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれより多いロック要素166を含んでもよい。ロック要素166は、アダプタ126の近位面130から外向きに延びるか又は突出することができる。
【0107】
有利には、ロック要素166は、アダプタ126の長手方向軸の周りに円周方向に位置付けすることができる。例えば、ロック要素166は、チャネル148の周りに円周方向に位置することができる。ロック要素166は、円周方向に配置されると、アダプタ126の周辺部の周りにロックを提供することができる。これは、単一のロック要素のみ又はデバイスの単一の側にのみロック要素を含む実施形態に対して、安定性の改善された接続を提供することができる。いくつかの実施形態では、円周方向に位置付けされたロック要素166は、均等に離間配置することができる。いくつかの実施形態では、間隔は均一である必要はない。
【0108】
いくつかの実施形態では、アダプタ126のロック要素166は、放射状ロック要素を備える。例えば、ロック要素166は、アダプタの近位表面から外向きに突出することができ、ポケット168内に受け入れられる前にばね式の表面と係合するように構成することができる。ロック要素166とポケットとの間の係合は、接続を維持する半径方向の力を含むことができる。
【0109】
図17A図17Dの図示された実施形態では、ロック要素166はボールベアリングを備える。これらの実施形態は、図18A図19Cにより詳細に示され、以下に記載される。しかしながら、ロック要素166は、インターロックを形成する任意のタイプの放射状ロック要素であってもよい。いくつかの実施形態では、ロック要素は、ばねタブの形態であることができる。かかる実施形態は、以下に記載する図20に示される。いくつかの実施形態では、ロック要素166は、カンチレバーフックの形態であることができる。かかる実施形態は、以下に記載する図21に示される。
【0110】
図17C及び図17Dに示すように、器具ハンドル104の遠位面109は、ロック要素166を受け入れて係合するように構成されたポケット168を含む。図示の実施形態では、器具ハンドル104は、図17Aに示す3つのロック要素166と係合するように、3つのポケット168を含む。勿論、他の実施形態は、アダプタ126に使用されるロック要素の数に対応するように、他の数のポケット168を含むことができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、取り付け機構160は、器具ハンドル104とアダプタ126との間の迅速な接続を可能にするだけでなく、器具ハンドル104をアダプタ126から引き離すだけで容易な分離又は取り外しを可能にする。上述のように、ハンドル104はアダプタ126から近位方向に(患者から離れて)引き離され、それは、患者が鋭利な器具によって誤って刺される可能性がほとんどないので、有利であり得る。
【0112】
上述の実施形態では、アダプタ126は、そこから突出したロック要素166及び器具ハンドル104に形成されたポケット168を有するものとして示されているが、他の実施形態では、これらの特徴部は逆にすることができる。例えば、器具ハンドル104は、突出したロック要素166を含むことができ、アダプタ126はポケットを含むことができる。いくつかの実施形態では、器具ハンドル104及びアダプタ126の各々は、ロック要素166及びポケット168の両方を含む。
【0113】
図18A図18Cは、図17A図17Dに示される取り付け機構160のロック要素166及びポケット168の更なる詳細図を提供する。この実施形態では、ロック要素166は、アダプタ126から延びるフランジ170内に保持されるボールベアリング172を含む。以下に記載する図19A図19Cは、フランジ170内に保持されるボールベアリング172を有する実施形態をどのように製造することができるかを示す。
【0114】
図18A図18Cに示すように、ポケット168は保持表面174を含むことができる。保持表面174は、図18A図18Cに示す方向で半径方向(上下)に移動又は並進するように構成することができる。保持表面174は、ボールベアリング172の形状に対応するように構成された外形を有することができる。保持表面174は、半径方向外側(例えば、図の方向を参照して下方)の方向に付勢することができる。付勢は、例えば、ばね(図示せず)を使用することによって達成することができる。
【0115】
ポケット168は、カラー176も含むことができる。カラー176は、図示のように傾斜面又は勾配面178を含むことができる。カラー176は、近位方向及び遠位方向(例えば、図の方向に対して右及び左)に移動可能であることができる。カラー176は、例えば、ばね(図示せず)によって、遠位方向(例えば、図の右側に向けて)に付勢することができる。ボールベアリング172、保持表面174、及びカラー176の相互作用は、ポケット168に対するロック要素166の接続及び分離を可能にする。
【0116】
例示的な取り付けは、図18A図18Cを参照して記載される。図18Aは、非取り付け構成における取り付け機構160のロック要素166及びポケット168を示す。図18Bは、非取り付け構成と取り付け構成との間の中間ポジションにあるロック要素166及びポケット168を示す。また、図18Cは、取り付け構成におけるロック要素166及びポケット168を示す。図示のように、器具ハンドル104がアダプタ126に挿入されると、ばね式内部カラー176は、器具ハンドル104のケース又はハウジングの近位内側に押される(図19B)。ロック要素166のボールベアリング172が保持表面174上のカップ特徴部と位置合わせされると、ボールベアリング172はカップ内に移動し、カラー176は、下にスライドして戻る(図19C)。このポジション(図18C)では、ロック要素166はポケット168内に固定される。
【0117】
取り外しするために、カラー176及び器具ハンドル104は、同時に近位に引くことができる。カラー176が、ボールベアリング172が保持表面174のカップ特徴部から脱出するのを可能にするために、カラー176の勾配面又は傾斜面178に対して十分に遠くまで後退すると、ロック要素166は、ポケット168と係合解除し、器具100を円滑に分離する。
【0118】
図19A図19Cは、ロック要素166の例示的なアセンブリの複数の図を提供するが、他の実施形態も可能である。図19A図19Cの例示的アセンブリは、アダプタ126上に、ボールベアリング172及びフランジ170を含むロック要素166を備える。この実施形態では、ボールベアリング172は、アダプタ126の2つの層又は積層プレートの構成要素の間でフランジ170内に捕捉される。図19Aは、アダプタ126の部分分解斜視図である。図19Bは、組み立てられた構成のロック要素166を示す、アダプタ126の斜視図である。図19Cは、組み立てられた構成のロック要素166を示す、アダプタ126の断面図である。
【0119】
図19Aに示すように、アダプタ126は、近位プレート191及び遠位プレート192を備える積層プレート構成を備えることができる。フランジ170は、近位プレート191から延びることができる。フランジ170は、ボールベアリング172を受け入れるためにフランジを通して延びるボア又は穴を含む。例示の実施形態では、ボールベアリング172は、フランジ170の外側半径側からフランジ170に挿入することができる。突出部195は、ボールベアリング172がフランジを通って完全に押されることを防止する。図19Cの断面図に示されるように、突出部195は、フランジ170を通る穴の直径を狭め、それによりボールベアリング172は、フランジの半径方向内側を通過することができない。
【0120】
遠位プレート192は、遠位プレート192から延びる突起として形成されたバックストップ193を含むことができる。組み立てられたとき、図19Bに示すように、バックストップ193は、近位プレート191内の対応する開口部194(図19Aに示す)を通って延びる。このポジションでは、バックストップ193は、フランジ170内にボールベアリング172を保持することができる。
【0121】
図20は、取り付け機構160の別の実施形態を示す。この実施形態では、器具ハンドル104はピンチレバー180を含む。ピンチレバー180は、ピンチレバーがその周りを枢動することができるヒンジ182によって器具ハンドル104に取り付けることができる。ばね要素185は、ピンチレバー180のフック付き端部184がアダプタ126から延びるカンチレバーフック186と係合する半径方向外向きのポジションにピンチレバーを付勢するように位置付けすることができる。
【0122】
取り付け機構160に係合するために、器具ハンドルはアダプタ126に向けて移動される。カンチレバーフック186の外側表面は、ピンチレバー180を内側に偏向させ、フック付き端部184がカンチレバーフック186を通過し、それと係合することを可能にする。係合解除するために、ピンチレバー180を内向きに押すことができ、それによりフック付き端部184はカンチレバーフック186から自由に移動するようになる。
【0123】
図21は、アダプタ126にしっかりと取り付けられた型抜きされた金属要素188を含む取り付け機構160の別の実施形態を示す。器具ハンドル104は、型抜きされた金属要素188の開口部と係合するカンチレバーフック187を含む。型抜きされた金属要素は、取り付けを可能にするためにカンチレバーフックによって出し入れするように構成することができる。
【0124】
図22は、アダプタ126の実施形態の近位面130の斜視図であり、いくつかの実施形態では、アダプタ解放機構190は近位面130上に位置付けし得ることを示す。アダプタ解放機構190は、アダプタ126を器具駆動機構124から解放するように作動可能に構成することができる。アダプタ解放機構190は、例えば、ボタン又はスライドトグルであることができる。器具100がアダプタ126に取り付けられると、アダプタ解放機構190はアクセス不可能であるため、アダプタ解放機構190を近位面130上に含めることにより、アダプタ126が誤って取り外されることを防止することができる。他の実施形態では、アダプタ解放機構190は、器具100がアダプタに取り付けられたときにアクセス可能な部分を含むアダプタ126の他の部分に含まれてもよい。
【0125】
3.システムの実施及び用語
本明細書に開示される実装形態は、ロボット対応の医療システムのためのシステム、方法、及び装置を提供する。本明細書に記載される様々な実装形態は、強力な器具を備えたロボット対応の医療システムを含む。
【0126】
本明細書で使用するとき、「結合する」、「結合している」、「結合された」という用語、又は単語結合の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合された」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続されたか、又は第2の構成要素に直接的に接続されたかのいずれであってもよい。
【0127】
本明細書に記載のポジション推定及びロボット運動作動機能は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として記憶されてもよい。「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、「コード」という用語は、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指し得る。
【0128】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上の工程又は行為を含む。方法工程及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序の工程又は行為が必要とされない限り、請求項の範囲から逸脱することなく、特定の工程及び/又は行為の順序及び/又は使用は修正されてもよい。
【0129】
本明細書で使用するとき、「複数」という用語は、2つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ以上の構成要素を示す。「判定する」という用語は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、導出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0130】
「基づく」という句は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、「基づく」という句は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記述する。
【0131】
本明細書で使用するとき、「およそ」又は「約」という用語は、長さ、厚さ、量、期間、又は他の測定可能な値の測定範囲を指す。このような測定範囲は、開示される装置、システム、及び技術において機能するためにかかる変動が適切である限り、指定された値の、及び指定された値から、+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、更により好ましくは+/-0.1%以下の変動を包含する。
【0132】
開示される実装形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装態様に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装態様に適用することができる。例えば、当業者であれば、締結、装着、結合、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギーを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を使用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0133】
〔実施の態様〕
(1) 医療システムであって、
器具ハンドル及び細長い本体を備える医療器具であって、前記器具ハンドルは器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成されている、医療器具と、
前記医療器具と前記アダプタとの間に回転位置合わせを提供するように構成された位置合わせ機構と、
を備える、医療システム。
(2) 前記位置合わせ機構が、前記器具ハンドルの長手方向軸に沿って延びる、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記位置合わせ機構が、前記細長い本体上に位置合わせ構造を備える、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記位置合わせ構造が、前記細長い本体上に螺旋状表面を備える、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記器具ハンドルが前記アダプタに取り付けられているとき、前記器具ハンドル上の遠位表面が、前記アダプタ上の近位表面と対向している、実施態様1に記載のシステム。
【0134】
(6) 前記器具駆動機構がロボットアーム上に位置付けされている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記ロボットアームがベッド又はカートから延びる、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記回転位置合わせの結果として、少なくとも1つのロック要素が、対応するポケットと位置合わせされ、前記対応するポケットに挿入される、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記ロック要素が前記アダプタ上に位置付けされており、前記ポケットが前記ハンドル上に位置付けされている、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記ロック要素がボールベアリングを備える、実施態様8に記載のシステム。
【0135】
(11) 前記回転位置合わせが受動的である、実施態様1に記載のシステム。
(12) 医療システムであって、
ロボット対応の医療処置中に使用するように構成された医療器具であって、
遠位端部と近位端部との間に延びる細長い本体であって、前記遠位端部がロボット対応の医療処置中に患者に挿入されるように構成されている、細長い本体と、
近位面及び遠位面を含む器具ハンドルであって、前記細長い本体が前記近位面及び前記遠位面を通って延びており、前記遠位面は器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成されている、器具ハンドルと、を備える医療器具と、
前記医療器具と前記アダプタとの間に回転位置合わせを提供するように構成された位置合わせ機構であって、
前記医療器具上の第1の位置合わせ構造と、
前記アダプタ上の第2の位置合わせ構造と、を備える位置合わせ機構と、を備え、
前記医療器具が前記アダプタに取り付けられると、前記第1の位置合わせ構造が前記第2の位置合わせ構造に係合して前記回転位置合わせを提供する、医療システム。
(13) 前記器具ハンドルが前記アダプタに取り付けられると、前記位置合わせ機構が、前記器具ハンドルの長手方向軸に沿って延びる、実施態様12に記載のシステム。
(14) 前記第1の位置合わせ構造が前記細長い本体上に螺旋状表面を備え、前記第2の取り付け構造が、アダプタの開口部内に軸受表面を備える、実施態様12に記載のシステム。
(15) 前記軸受表面がボールベアリングを備える、実施態様14に記載のシステム。
【0136】
(16) 前記器具駆動機構がロボットアーム上に位置付けされている、実施態様12に記載のシステム。
(17) 前記ロボットアームがベッド又はカートから延びる、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記回転位置合わせの結果として、少なくとも1つのロック要素が、対応するポケットと位置合わせされ、前記対応するポケットに挿入される、実施態様12に記載のシステム。
(19) 前記ロック要素が前記アダプタ上に位置付けされており、前記ポケットが前記ハンドル上に位置付けされている、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記ロック要素が前記ハンドル上に位置付けされており、前記ポケットが前記アダプタ上に位置付けされている、実施態様18に記載のシステム。
【0137】
(21) 前記ロック要素がボールベアリングを備える、実施態様18に記載のシステム。
(22) 前記回転位置合わせが受動的である、実施態様12に記載のシステム。
(23) ロボットシステムであって、
器具ハンドル及び細長い本体を備える医療器具であって、前記器具ハンドルは器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成されている、医療器具と、
前記器具ハンドルを前記アダプタに固定するように構成された取り付け機構であって、前記器具ハンドルが前記アダプタに固定されると、前記医療器具の前記細長い本体が、前記アダプタ内の開口部を通って延びる、取り付け機構と、を備える、ロボットシステム。
(24) 前記取り付け機構が、前記器具ハンドルの周りに円周方向に位置付けされた少なくとも3つのロック要素を備える、実施態様23に記載のシステム。
(25) 前記取り付け機構が、前記アダプタ上のポケット内に延びるように構成された、前記器具ハンドル上に位置付けされた少なくとも1つのロック要素を備える、実施態様23に記載のシステム。
【0138】
(26) 前記取り付け機構が、前記器具ハンドル上のポケット内に延びるように構成された、前記アダプタ上に位置付けされた少なくとも1つのロック要素を備える、実施態様23に記載のシステム。
(27) 前記ロック要素が、突出部材を備える、実施態様26に記載のシステム。
(28) 前記突出部材がボールベアリングを備える、実施態様27に記載のシステム。
(29) 前記突出部材がフックを備える、実施態様27に記載のシステム。
(30) 前記突出部材が、ポケット内のばね式表面と係合する、実施態様27に記載のシステム。
【0139】
(31) 前記器具ハンドルが、前記アダプタに上部装填されるように構成されており、それにより前記器具の前記細長い本体が前記アダプタ内の前記開口部を通って延びる、実施態様23に記載のシステム。
(32) 医療システムであって、
ロボット対応の医療処置中に使用するように構成された医療器具であって、
遠位端部と近位端部との間に延びる細長い本体であって、前記遠位端部がロボット対応の医療処置中に患者に挿入されるように構成されている、細長い本体と、
近位面及び遠位面を含む器具ハンドルであって、前記細長い本体が前記近位面及び前記遠位面を通って延びており、前記遠位面は器具駆動機構上のアダプタに取り付けるように構成されている、器具ハンドルと、を備える医療器具と、
前記アダプタに前記医療器具を固定するように構成された取り付け機構であって、前記器具ハンドルが前記アダプタに固定されると、前記医療器具の前記細長い本体が、前記遠位面から前記アダプタ内の開口部を通って軸に沿って延び、前記取り付け機構が、前記軸の周りに円周方向に位置付けされた少なくとも3つのロック要素を備える、取り付け機構と、
を備える、医療システム。
(33) 前記ロック要素のうちの少なくとも1つが突出部材を備える、実施態様32に記載のシステム。
(34) 前記突出部材がボールベアリングを備える、実施態様33に記載のシステム。
(35) 前記突出部材がフックを備える、実施態様33に記載のシステム。
【0140】
(36) 前記突出部材が、ポケット内のばね式表面と係合する、実施態様33に記載のシステム。
(37) 方法であって、
器具駆動機構に取り付けられたアダプタの開口部を通して医療器具の細長い本体を挿入することと、
前記医療器具のハンドルを前記アダプタに向けて前進させ、それにより位置合わせ機構が前記医療器具と前記アダプタとの間に回転位置合わせを提供することと、
前記医療器具の前記ハンドルを前記アダプタに取り付けることと、
を含む、方法。
(38) 前記医療器具が前記細長い本体上に螺旋状表面を含み、前記アダプタが前記アダプタ内に軸受表面を含み、前記回転位置合わせが、前記軸受表面が前記螺旋状表面に接触する際に生じる、実施態様37に記載の方法。
(39) 前記医療器具の前記ハンドルを前記アダプタに取り付けることが、前記ハンドルと前記アダプタとの間に取り付け機構を係合させることを含む、実施態様37に記載の方法。
(40) 取り付け機構を係合させることが、前記取り付け機構のポケット内に、前記取り付け機構の突出部材を受け入れることを含む、実施態様39に記載の方法。
【0141】
(41) 前記突出部材が前記ハンドル上にあり、前記ポケットが前記アダプタ上にある、実施態様40に記載の方法。
(42) 前記突出部材がボールベアリングを備える、実施態様40に記載の方法。
(43) 前記突出部材がフックを備える、実施態様40に記載の方法。
(44) 前記突出部材が、前記ポケット内のばね式表面に係合する、実施態様40に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図20
図21
図22