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特許7366958備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20231016BHJP
【FI】
G06Q10/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021061193
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157134
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中川 尊基
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-059056(JP,A)
【文献】特開2016-218809(JP,A)
【文献】特開2019-169110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定する共同利用グループ設定部と、
前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出するリスク指標算出部とを備え、
前記共同利用グループ設定部は、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定し、
前記リスク指標算出部は、前記複数の利用者のそれぞれの利用地の相互間の地理的距離に基づいて前記リスク指標を算出し、
前記リスク指標算出部は、前記地理的距離が長いほど、よりリスクが小さいことを示す値となるように前記リスク指標を算出する、
備品発送管理装置。
【請求項2】
所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定する共同利用グループ設定部と、
前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出するリスク指標算出部とを備え、
前記共同利用グループ設定部は、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定し、
前記共同備品は、災害発生時に利用されるものであり、
前記リスク指標算出部は、前記複数の利用者のそれぞれの利用地のそれぞれにおいて過去に災害が発生した頻度に基づいて前記リスク指標を算出する、
備品発送管理装置。
【請求項3】
前記リスク指標算出部は、前記複数の利用者のそれぞれの利用地において過去に同時に災害が発生した頻度に基づいて前記リスク指標を算出する、
請求項に記載の備品発送管理装置。
【請求項4】
所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定する共同利用グループ設定部と、
前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出するリスク指標算出部とを備え、
前記共同利用グループ設定部は、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定し、
災害が発生する兆候を示す兆候情報を取得する兆候情報取得部と、
前記共同備品の配送を管理する配送管理部とを更に備え、
前記配送管理部は、前記兆候情報を前記兆候情報取得部が取得した場合に、既存の物流網を利用した前記共同備品の配送を開始させる、
備品発送管理装置。
【請求項5】
所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定する共同利用グループ設定部と、
前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出するリスク指標算出部とを備え、
前記共同利用グループ設定部は、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定し、
災害が発生する兆候を示す兆候情報を取得する兆候情報取得部と、
災害が発生する可能性があるか否かと災害が発生した場合の被災状況とを予測する被災状況予測部と、
前記共同備品の配送を管理する配送管理部とを更に備え、
前記複数の利用者のそれぞれの利用地において災害が同時に発生する可能性があると前記被災状況予測部が予測した場合に、
前記配送管理部は、前記被災状況予測部によって予測された前記複数の利用者のそれぞれの利用地の前記被災状況に基づいて、前記共同備品の発送先を設定する、
備品発送管理装置。
【請求項6】
所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定する共同利用グループ設定部と、
前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出するリスク指標算出部とを備え、
前記共同利用グループ設定部は、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定し、
災害が発生した場合に前記複数の利用者のそれぞれの利用地における被災状況を示す情報を取得する被災状況情報取得部と、
前記共同備品の配送を管理する配送管理部とを更に備え、
前記複数の利用者のそれぞれの利用地において災害が同時に発生した場合に、
前記配送管理部は、前記複数の利用者のそれぞれの利用地における前記被災状況に基づいて、前記共同備品の発送先を設定する、
備品発送管理装置。
【請求項7】
所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定する共同利用グループ設定部と、
前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出するリスク指標算出部とを備え、
前記共同利用グループ設定部は、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定し、
前記共同備品は、バッテリであり、
前記バッテリの劣化度を示す情報を取得する劣化度情報取得部と、
前記共同備品の配送を管理する配送管理部とを更に備え、
前記配送管理部は、前記劣化度に応じて前記バッテリの発送先を設定する、
備品発送管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リース会社から、リース物件である農機を、リース契約をした比較的遠隔の農家を含む複数の農家の1つに貸し出し、その農家での作業終了後は次の農家に搬送し、順次使い廻して、各農家に対してリース料を請求する農機リース契約について記載されている。特許文献1に記載されているように、共同リース品(農機具)の使用が重複しないように、遠隔地の農家を含む複数のシェアグループで農機具を共用する方法は、公知である。この方法のように、田植えや収穫時期など、毎年同時期に需要が生じる場合には、グループ設定は容易であるが、災害のように予測が困難なイベントで需要が発生する備品の場合には、適切なグループ設定が難しい。
【0003】
また従来から、備品保有の費用や管理コストの削減のために、物品を共同で利用するシェアリングサービスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-218809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、災害などの予測困難な事象で必要となる物品を共用する場合に、共同保有者の物品需要が重複すると、必要な時に利用ができない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、共同備品の需要が同時に重複して発生する可能性を低減し、共同備品の利用効率を向上させることができる備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る備品発送管理装置は、所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定する共同利用グループ設定部と、前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出するリスク指標算出部とを備え、前記共同利用グループ設定部は、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定するものである。
【0008】
(2):上記(1)の態様の備品発送管理装置において、前記リスク指標算出部は、前記複数の利用者のそれぞれの利用地の相互間の地理的距離に基づいて前記リスク指標を算出し、前記リスク指標算出部は、前記地理的距離が長いほど、よりリスクが小さいことを示す値となるように前記リスク指標を算出するものである。
【0009】
(3):上記(1)の態様の備品発送管理装置において、前記共同備品は、災害発生時に使用されるものであり、前記リスク指標算出部は、前記複数の利用地のそれぞれにおいて過去に災害が発生した頻度に基づいて前記リスク指標を算出するものである。
【0010】
(4):上記(3)の態様の備品発送管理装置において、前記リスク指標算出部は、前記複数の利用地において過去に同時に災害が発生した頻度に基づいて前記リスク指標を算出するものである。
【0011】
(5):上記(1)の態様の備品発送管理装置において、災害が発生する兆候を示す兆候情報を取得する兆候情報取得部と、前記共同備品の配送を管理する配送管理部とを更に備え、前記配送管理部は、前記兆候情報を前記兆候情報取得部が取得した場合に、既存の物流網を利用した前記共同備品の配送を開始させるものである。
【0012】
(6):上記(1)の態様の備品発送管理装置において、災害が発生する兆候を示す兆候情報を取得する兆候情報取得部と、災害が発生する可能性があるか否かと災害が発生した場合の被災状況とを予測する被災状況予測部と、前記共同備品の配送を管理する配送管理部とを更に備え、前記複数の利用地において災害が同時に発生する可能性があると前記被災状況予測部が予測した場合に、前記配送管理部は、前記被災状況予測部によって予測された前記複数の利用地の前記被災状況に基づいて、前記共同備品の発送先を設定するものである。
【0013】
(7):上記(1)の態様の備品発送管理装置において、災害が発生した場合に前記複数の利用地における被災状況を示す情報を取得する被災状況情報取得部と、前記共同備品の配送を管理する配送管理部とを更に備え、前記複数の利用地において災害が同時に発生した場合に、前記配送管理部は、前記複数の利用地における前記被災状況に基づいて、前記共同備品の発送先を設定するものである。
【0014】
(8):上記(1)の態様の備品発送管理装置において、前記共同備品は、バッテリであり、前記バッテリの劣化度を示す情報を取得する劣化度情報取得部と、前記共同備品の配送を管理する配送管理部とを更に備え、前記配送管理部は、前記劣化度に応じて前記バッテリの発送先を設定するものである。
【0015】
(9):この発明の一態様に係る備品発送管理方法は、コンピュータが、所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定し、前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出し、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定するものである。
【0016】
(10):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定させ、前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出させ、前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定させるものである。
【発明の効果】
【0017】
(1)、(8)、(9)、(10)の態様によれば、共同備品の需要が同時に重複して発生する可能性を低減し、共同備品の利用効率を向上させることができる。
【0018】
(2)の態様によれば、複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地が例えば1つの災害の被災エリア内に含まれてしまうおそれ、つまり、共同備品の需要が同時に重複して発生する可能性を低減することができる。
【0019】
(3)、(4)の態様によれば、過去の災害の発生頻度が高い複数の利用地が1つのエリア内に含まれるように共同利用グループが設定されることに伴って、共同備品の需要が同時に重複して発生する可能性を低減することができる。
【0020】
(5)の態様によれば、災害の影響を受ける前に共同備品の配送を行うことができる。
【0021】
(6)の態様によれば、共同備品の複数の利用地において災害が同時に発生する可能性がある場合に、共同備品の複数の利用地の被災状況の予測結果を反映させて、共同備品の発送先を適切に(例えば優先度をつけて)設定することができる。
【0022】
(7)の態様によれば、共同備品の複数の利用地において災害が同時に発生した場合に、共同備品の複数の利用地の被災状況を反映させて、共同備品の発送先を適切に(例えば優先度をつけて)設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。
図2】第1実施形態の備品発送管理装置100が適用されたシステム10の一例を示す図である。
図3】第1実施形態の備品発送管理装置100において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】第2実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。
図5】第3実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。
図6】第4実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。
図7】第5実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。
図8】第6実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムの実施形態について説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。図2は第1実施形態の備品発送管理装置100が適用されたシステム10の一例を示す図である。
【0026】
図1および図2に示す例では、備品発送管理装置100が、共同備品(例えばバッテリ、発電機、ポンプ、重機、仮設トイレ、仮設シャワー、テントなどのような災害時用備品など)の発送を管理する。備品発送管理装置100は、例えば、情報取得部110と、共同利用グループ設定部120と、配送管理部130と、リスク指標算出部140と、配送経路設定部150とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0027】
情報取得部110は、共同備品の発送の管理に用いられる種々の情報を取得する。情報取得部110は、例えば利用地情報取得部112を備える。利用地情報取得部112は、各利用者(図2に示す例では、自治体15A、15B)が共同備品を利用する利用地(図2に示す例では、避難所16A、16B、16C、16Dの所在地)を示す情報を取得する。
【0028】
共同利用グループ設定部120は、所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定する。図2に示す例では、共同利用グループ設定部120が、共同備品を共同利用する自治体15A、15Bによって構成される共同利用グループを設定する。所定の場合とは、例えば災害発生時である。
【0029】
配送管理部130は、共同備品の配送を管理する。配送管理部130は、所定の場合に共同備品の発送先を複数の利用者の少なくともいずれかに設定する。図2に示す例では、自治体15Aに災害などが発生した時に、配送管理部130が共同備品の発送先を自治体15Aの避難所16A、16Bに設定し、自治体15Bに災害などが発生した時に、配送管理部130が共同備品の発送先を自治体15Bの避難所16C、16Dに設定する。なお、共同備品の配送に係る作業に関しては、自動的に行われてもよいし、一部が人の手によって行われてもよい。例えば、共同利用グループ設定部120が設定した共同グループに関する情報が表示部(不図示)に表示され、作業者が配送のための運送業者への申し込み等を行うようにしてもよい。
【0030】
共同利用グループに設定した複数の利用者のいずれか一方に災害などが発生した場合、必要な数の共同備品が、災害の発生した利用者によって利用される。必要な数の共同備品とは、共同利用グループに割り当てられる数に近いものとなることが想定され、各利用者に同時に必要な数の共同備品を最初から用意するのでは、共同利用の意味が無い。従って、共同利用グループ設定部120は、共同利用グループに設定した複数の利用者において、災害などが同時に発生する事態が生じるのを抑制するように、共同利用グループを設定することが好ましい。
【0031】
そこで、リスク指標算出部140は、複数の利用者が共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出する。複数の利用者とは、二以上の任意の数の利用者である。リスク指標算出部140は、利用地情報取得部112によって取得された各利用者(図2に示す例では、自治体15A、15B)が共同備品を利用する利用地(図2に示す例では、避難所16A、16Bの所在地を含む自治体15Aの位置および避難所16C、16Dの所在地を含む自治体15Bの位置)を示す情報に基づいて、リスク指標を算出する。詳細には、リスク指標算出部140は、複数の利用地の相互間の地理的距離(図2に示す例では、自治体15Aと自治体15Bとの間の地理的距離)に基づいてリスク指標を算出する。リスク指標算出部140は、地理的距離が長いほど、よりリスクが小さいことを示す値となるようにリスク指標を算出する。
【0032】
共同利用グループ設定部120は、複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地が1つの災害の被災想定エリア内に含まれないように共同利用グループを設定する。そのために、共同利用グループ設定部120は、リスク指標算出部140によって算出されたリスク指標に基づいて共同利用グループを設定する。詳細には、共同利用グループ設定部120は、共同利用グループのリスク指標(共同利用グループを構成する全ての利用者についてまとめて算出されたものでもよいし、共同利用グループに含まれる二つの利用者の組についてそれぞれ算出されたものでもよい)の値が、よりリスクが小さいことを示す値となるように、利用者の組み合わせを試行して、共同利用グループを設定する。図2に示す例では、ある災害によって自治体15Aが被災しても自治体15Bは被災せず、他の災害によって自治体15Bが被災しても自治体15Aは被災しない程度に相互間の地理的距離が長い。このため、自治体15Aと自治体15Bの間のリスク指標は、よりリスクが小さいことを示す値となるように算出されるので、共同利用グループ設定部120は、自治体15Aと自治体15Bとによって構成される共同利用グループを設定する。
【0033】
配送経路設定部150は、複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地までの共同備品の配送経路を設定する。図2に示す例では、自治体15Aに災害などが発生した場合に、配送経路設定部150が、倉庫13から避難所16A、16Bまでの共同備品の配送経路を設定し、自治体15Bに災害などが発生した場合に、配送経路設定部150が、倉庫13から避難所16C、16Dまでの共同備品の配送経路を設定する。配送管理部130は、所定のタイミングで共同備品の配送を開始させる。
【0034】
図2に示すシステム10では、販売事業者11が、共同備品をサービス提供事業者12(例えば資材メーカーなど)に販売する。サービス提供事業者12は、販売事業者11から購入した共同備品を用いて、共同備品のシェアリングサービスを提供する。図1に示す備品発送管理装置100は、例えばサービス提供事業者12によって利用される。自治体15A、15Bは、サービス提供事業者12によって提供されるシェアリングサービスを利用し、共同備品を共同利用する。共同備品が自治体15A、15Bによって利用されない時(通常時)、共同備品は、例えばサービス提供事業者12が所有する倉庫13に保管される。例えば共同備品がバッテリのひとつであるモバイルバッテリである例では、通常時に、モバイルバッテリは、充電された状態で倉庫13に保管される。モバイルバッテリとは、持ち運び可能な二次電池であって、充電済みのものが貸与される。以降の説明では、共同備品はモバイルバッテリであるものとする。
【0035】
例えば気象庁14が自治体15Aに災害級気象情報を発令した場合(所定の場合)、倉庫13に保管されている共同備品は、自治体15Aからの要請に基づき、例えば自治体15Aが所有する避難所16A、16Bに発送され、避難所16A、16Bにおいて利用される。自治体15Aが防災訓練を行う場合には、倉庫13に保管されている共同備品が、自治体15Aからの要請に基づき、避難所16A、16Bに発送され、避難所16A、16Bにおいて利用される。自治体15Aが防災訓練を行う時、自治体15Bは防災訓練を行わない。例えば気象庁14が自治体15Bに災害級気象情報を発令した場合(所定の場合)、倉庫13に保管されている共同備品は、自治体15Bからの要請に基づき、例えば自治体15Bが所有する避難所16C、16Dに発送され、避難所16C、16Dにおいて利用される。倉庫13から避難所16C、16Dへの共同備品の配送には、例えば地方定期便などが利用される。自治体15Bが防災訓練を行う場合には、倉庫13に保管されている共同備品が、自治体15Bからの要請に基づき、避難所16C、16Dに発送され、避難所16C、16Dにおいて利用される。倉庫13から避難所16C、16Dへの共同備品の配送には、例えば地方定期便などが利用される。自治体15Bが防災訓練を行う時、自治体15Aは防災訓練を行わない。
【0036】
図2に示すシステム10では、倉庫13から避難所16C、16Dへの地方定期便を用いた共同備品の配送と自治体15A、15B間で例えば10年のサブスクリプション契約が締結される。その契約内容には、例えば倉庫13の保管料、共同備品の配送料、所定回数の出動などが含まれる。複数の自治体15A、15Bと同時契約でアセットマネジメント費用、倉庫13の保管料が軽減される。例えば3年でモバイルバッテリ(共同備品)が交換される。自治体15A、15Bによって共同利用されなくなるモバイルバッテリは、別の目的で再利用されてもよい(リパーパス)。
【0037】
つまり、図2に示すシステム10では、例えば災害時など不定期に利用される共同備品が自治体15A、15Bによって共同利用される。また、自治体15A、15Bが共同備品を同時に必要とする可能性が低くなるように、共同利用グループ設定部120が、自治体15A、15Bによって構成される共同利用グループを設定する。
【0038】
その結果、自治体15A、15B間で共同備品のダブルブッキングのリスクが下がり、自治体15A、15B間で共同備品を確実に利用できるようにすることができる。すなわち、資産としての共同備品の有効利用が可能になる。
【0039】
非常用備品(共同備品)は、平時(通常時)に利用されない場合も多く、非常用備品が利用されない場合には、倉庫13に保管する等の維持コストが発生する。自治体15A、15Bでは、万一の災害時に備えて非常用備品を自ら保有するのではなく、定額契約で、必要な時だけ非常用備品を利用できることが望ましい。そのことは、特に、非常用備品が高価である場合、非常用備品の更新やメンテナンスが必要な場合、非常用備品の保管場所のスペースが必要な場合などに顕著である。
【0040】
図2に示すシステム10のように、自治体15Aおよび自治体15Bの両方に災害などが同時に発生するリスクが小さくなるように、複数の利用者(団体)としての自治体15A、15Bによって構成される共同利用グループ(シェアリンググループ)を設定することにより、需要の集中を回避することができる。
【0041】
図2に示すシステム10では、共同備品の契約において、地域的に隣接した複数の自治体によって共同利用グループが構成されるのではなく、相互間の地理的距離が長い自治体15A、15Bによって共同利用グループが構成される。そのため、1つの災害によって自治体15Aが被災しても、自治体15Bは被災せず、また、1つの災害によって自治体15Bが被災しても、自治体15Aは被災しない。その結果、自治体15Aと自治体15Bとが共同備品を同時に必要とする可能性を低減することができる。更に、自治体15A用の備品と自治体15B用の備品とを別個に用意する必要がないため、共同備品の利用効率を向上させることができる。
【0042】
つまり、共同利用グループが、例えば関東地方の複数の自治体などのような同一地方圏の複数の自治体によって構成されるのではなく、また、例えば関東地方の自治体および東北地方の自治体などのような隣接する地方圏の複数の自治体によって構成されるのでもなく、例えば東北地方の自治体および近畿地方の自治体のような相互間の地理的距離が長い複数の自治体によって構成される。
【0043】
図2に示すシステム10では、共同備品の利用者が自治体15A、15Bであるが、他の例では、共同備品の利用者が、例えば企業等の団体、個人などであってもよい。
【0044】
共同備品は、複数団体(自治体15A、15B)が、サービス提供事業者12によって所有されている共同備品(例えば機器、物資など)を共同リースする形で利用されてもよいし、複数団体(例えば自治体15A、15Bなど)が共同備品を共同保有し、あるいはどれかの団体が代表して保有しているものを共同利用する形で利用されてもよい。図2に示すシステム10では、サービス提供事業者12によって所有されている共同備品と、団体が所有(保有)している共同備品の双方が存在するものとしている。
【0045】
図2に示すシステム10では、共同備品(例えば機器、物資など)の利用タイミングが合致する確率が低い複数団体(自治体15A、15B)が、共同契約者として設定され、シェアリンググループ(共同利用グループ)を構成する。
【0046】
図2に示すシステム10では、共同備品が自治体15A、15Bによって利用されない時(緊急時以外の時)、共同備品は、例えばサービス提供事業者12が所有する倉庫13に保管される。また、共同利用グループが共同利用グループ設定部120によって適切に設定されるため、共同備品を共同利用する複数の利用者による共同備品のダブルブッキングを抑制することができる。
【0047】
図2に示すシステム10は、災害対策用資機材の相互融通体制を作る自治体の近年の計画を実現するものであり、コンソーシアムを設立して相互支援体制を作る計画を実現するものである。
【0048】
図3は第1実施形態の備品発送管理装置100において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。まず、情報取得部110が、共同備品の発送の管理に用いられる種々の情報を取得する(ステップS10)。具体的には、情報取得部110の利用地情報取得部112が、共同利用グループを構成する利用者(候補利用者)のそれぞれが共同備品を利用する利用地を示す情報を取得する。
【0049】
次に、リスク指標算出部140が、リスク指標を算出する(ステップS11)。具体的には、リスク指標算出部140が、ステップS10において取得された各利用者(各候補利用者)が共同備品を利用する利用地を示す情報に基づいて、リスク指標を算出する。詳細には、リスク指標算出部140は、複数の利用地の相互間の地理的距離に基づいてリスク指標を算出する。
【0050】
次に、共同利用グループ設定部120が、ステップS11において算出されたリスク指標に基づいて共同利用グループを設定する(ステップS12)。詳細には、共同利用グループ設定部120は、複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地が1つの災害の被災想定エリア内に含まれないように共同利用グループを設定する。
【0051】
次に、備品発送管理装置100は、共同利用グループを構成する複数の利用者から共同備品の要請があるか否かを判定する(ステップS13)。共同利用グループを構成する複数の利用者から共同備品の要請がないと備品発送管理装置100が判定した場合には、図3に示すルーチンを終了する。
【0052】
共同利用グループを構成する複数の利用者から共同備品の要請があると備品発送管理装置100が判定した場合には、配送管理部130が、共同備品の発送先を複数の利用者の少なくともいずれかに設定する(ステップS14)。次に、配送経路設定部150が、ステップS14において配送先として設定された利用者が共同備品を利用する利用地までの共同備品の配送経路を設定する(ステップS15)。次に、配送管理部130が、共同備品の配送を開始させる(ステップS16)。
【0053】
上述したように第1実施形態の備品発送管理装置100が適用された各例では、所定の場合に、共同利用グループを構成する複数の利用者の少なくともいずれかに、所定個数の共同備品が発送される。共同利用グループは、所定のリスク指標に基づいて設定される(つまり、所定のリスク指標に基づいて複数の利用者が組み合わされる)。所定の場合には、共同利用グループを構成する複数の利用者の少なくともいずれかが、共同備品の発送先として設定される。例えば複数の自治体などの複数の利用者は、共同備品の共同利用契約を締結することによって、共同備品を効率的にかつ低コストで利用することができる。
【0054】
また、第1実施形態の備品発送管理装置100が適用された各例では、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地の相互間の地理的距離に基づいて、リスク指標が算出される。リスク指標の値は、地理的距離が長いほど、よりリスクが小さいことを示す値となる。複数の利用者によって構成される共同利用グループは、地理的距離に基づいて算出されるリスク指標の値が、よりリスクが小さいことを示す値となるように、設定される。そのため、1つの地域災害によって複数の利用者が同時に被災することに伴い、共同備品の需要が重複して発生する可能性を低減することができる。
【0055】
<第2実施形態>
以下、本発明の備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。第2実施形態の備品発送管理装置100は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の備品発送管理装置100と同様に構成されている。従って、第2実施形態の備品発送管理装置100によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の備品発送管理装置100と同様の効果を奏することができる。
【0056】
図4は第2実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。図4に示す例では、備品発送管理装置100は、例えば、情報取得部110と、共同利用グループ設定部120と、配送管理部130と、リスク指標算出部140と、配送経路設定部150とを備える。
【0057】
情報取得部110は、例えば、利用地情報取得部112と、災害発生履歴取得部113とを備える。災害発生履歴取得部113は、各利用者(図2に示す例では、自治体15A、15B)が共同備品を利用する利用地において過去に発生した災害(例えば自然災害)の履歴(災害発生履歴)を取得する。
【0058】
リスク指標算出部140は、災害発生履歴取得部113によって取得された災害発生履歴に基づいて、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地のそれぞれにおいて過去に災害が発生した頻度(災害発生頻度)を算出する。リスク指標算出部140は、災害発生頻度に基づいてリスク指標を算出する。
【0059】
共同利用グループ設定部120は、リスク指標算出部140によって算出されたリスク指標に基づいて共同利用グループを設定する。詳細には、共同利用グループ設定部120は、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地を含むエリアにおける過去の災害発生履歴に基づいて、共同利用グループを設定する。例えば、共同利用グループ設定部120は、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地に、過去の災害の発生頻度が高い利用地が2以上含まれないように、共同利用グループを設定する。その結果、複数の利用者が共同備品を同時に必要とする可能性を低減することができる。
【0060】
つまり、図4に示す例では、共同備品が、災害発生時に利用されるものである。上述したように第2実施形態の備品発送管理装置100では、リスク指標算出部140が、災害の発生頻度を用いてリスク指標を算出する。また、共同利用グループ設定部120は、所定エリアに属する利用者を共同利用グループに含めるか否かを、そのエリアにおける過去の災害発生履歴に基づいて判断する。例えば、過去の災害の発生頻度が高いエリアに属する利用者を、過去の災害の発生頻度が低いエリアに属する利用者と組み合わせて共同利用グループを構成することにより、その共同利用グループ内で共同備品の需要が重複して発生する可能性を低減することができる。他の例では、リスク指標算出部140が、複数の利用地(図2に示す例では、避難所16A、16B、16C、16D)において過去に同時に災害が発生した頻度に基づいてリスク指標を算出してもよい。
【0061】
上述したように、図1に示す例では、リスク指標算出部140が、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地の相互間の地理的距離に基づいてリスク指標を算出し、共同利用グループ設定部120が、そのリスク指標に基づいて共同利用グループを設定し、図4に示す例では、リスク指標算出部140が、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地の過去の災害の発生頻度に基づいてリスク指標を算出し、共同利用グループ設定部120が、そのリスク指標に基づいて共同利用グループを設定する。他の例では、リスク指標算出部140が、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地で過去の災害発生時期が異なっているか否かに基づいてリスク指標を算出し、共同利用グループ設定部120が、そのリスク指標に基づいて共同利用グループを設定してもよい。あるいは、リスク指標算出部140が、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地のそれぞれにおいて災害が発生する確率が高いか否かに基づいてリスク指標を算出し、共同利用グループ設定部120が、そのリスク指標に基づいて共同利用グループを設定してもよい。あるいは、リスク指標算出部140が、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地のそれぞれにおいて発生した災害の相関性が高いか否か(例えば山で発生した災害か、川で発生した災害か、夏に発生した災害か、冬に発生した災害か等)に基づいてリスク指標を算出し、共同利用グループ設定部120が、そのリスク指標に基づいて共同利用グループを設定してもよい。あるいは、共同利用グループ設定部120が、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地が同一河川流域に含まれないように、共同利用グループを設定してもよい。あるいは、リスク指標算出部140が、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地のそれぞれの地層に基づいてリスク指標を算出し、共同利用グループ設定部120が、そのリスク指標に基づいて共同利用グループを設定してもよい。
【0062】
<第3実施形態>
以下、本発明の備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。第3実施形態の備品発送管理装置100は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の備品発送管理装置100と同様に構成されている。従って、第3実施形態の備品発送管理装置100によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の備品発送管理装置100と同様の効果を奏することができる。
【0063】
図5は第3実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。図5に示す例では、備品発送管理装置100は、例えば、情報取得部110と、共同利用グループ設定部120と、配送管理部130と、リスク指標算出部140と、配送経路設定部150とを備える。
【0064】
情報取得部110は、例えば、利用地情報取得部112と、兆候情報取得部114とを備える。兆候情報取得部114は、災害が発生する兆候を示す兆候情報を取得する。兆候情報には、例えば同一箇所に大雨が長期間続くことを予想した天気予報(土砂災害が発生する兆候を示す)などが含まれる。
【0065】
兆候情報取得部114が兆候情報を取得した場合には、配送経路設定部150が、共同備品の配送経路として、既存の物流網を利用した配送経路を設定する。また、配送管理部130は、災害が発生する前に、共同備品の配送を開始させる。そのため、第3実施形態の備品発送管理装置100では、災害の影響を受ける前に共同備品を配送することができる。
【0066】
上述したように第3実施形態の備品発送管理装置100では、共同備品が、災害が発生したタイミングではなく、災害発生の兆候が検知されたタイミングで、通常の物流に混載されて送付される。このように、災害が発生する前に共同備品を配送することによって、災害の影響を受けることなく共同備品を計画的に配送することができる。
【0067】
<第4実施形態>
以下、本発明の備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムの第4実施形態について説明する。第4実施形態の備品発送管理装置100は、後述する点を除き、上述した第3実施形態の備品発送管理装置100と同様に構成されている。従って、第4実施形態の備品発送管理装置100によれば、後述する点を除き、上述した第3実施形態の備品発送管理装置100と同様の効果を奏することができる。
【0068】
図6は第4実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。図6に示す例では、備品発送管理装置100は、例えば、情報取得部110と、共同利用グループ設定部120と、配送管理部130と、リスク指標算出部140と、配送経路設定部150と、被災状況予測部160とを備える。
【0069】
被災状況予測部160は、災害が発生する可能性があるか否かを予測する。被災状況予測部160は、例えば兆候情報取得部114によって取得された兆候情報などに基づいて、災害が発生する可能性があるか否かを予測する。また、被災状況予測部160は、災害が発生した場合の被災状況を予測する。
【0070】
共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地において災害が同時に発生する可能性があると被災状況予測部160が予測した場合には、配送管理部130が、被災状況予測部160によって予測された複数の利用地の被災状況に基づいて、共同備品の発送先を設定する。そのため、第4実施形態の備品発送管理装置100では、共同備品の複数の利用地において災害が同時に発生する可能性がある場合に、共同備品の複数の利用地の被災状況の予測結果を反映させて、共同備品の発送先を適切に(例えば優先度をつけて)設定することができる。
【0071】
上述したように第4実施形態の備品発送管理装置100では、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地において災害が同時に発生する可能性がある場合に、複数の利用地の被災状況の予測結果に基づいて、共同備品の発送先が設定される。その結果、複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地において共同備品の需要が同時に重複して発生した場合であっても、複数の利用地の被災状況の予測結果に基づいて共同備品の発送先を予め設定しておくことにより、混乱なく共同備品を配送することができる。
【0072】
<第5実施形態>
以下、本発明の備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムの第5実施形態について説明する。第5実施形態の備品発送管理装置100は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の備品発送管理装置100と同様に構成されている。従って、第5実施形態の備品発送管理装置100によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の備品発送管理装置100と同様の効果を奏することができる。
【0073】
図7は第5実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。図7に示す例では、備品発送管理装置100は、例えば、情報取得部110と、共同利用グループ設定部120と、配送管理部130と、リスク指標算出部140と、配送経路設定部150とを備える。
【0074】
情報取得部110は、例えば、利用地情報取得部112と、被災状況情報取得部116とを備える。被災状況情報取得部116は、災害が発生した場合に、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地における被災状況を示す情報を取得する。
【0075】
複数の利用地において災害が同時に発生した場合には、被災状況情報取得部116が、複数の利用地における被災状況を示す情報を取得し、配送管理部130は、複数の利用地における被災状況に基づいて、共同備品の発送先を設定する。そのため、第5実施形態の備品発送管理装置100では、複数の利用地において災害が同時に発生した場合に、複数の利用地の被災状況を反映させて、共同備品の発送先を適切に(例えば優先度をつけて)設定することができる。
【0076】
上述したように第5実施形態の備品発送管理装置100では、共同利用グループを構成する複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地において災害が同時に発生した場合に、複数の利用地の被災状況に基づいて、共同備品の発送先が設定される。その結果、複数の利用者が共同備品を利用する複数の利用地において共同備品の需要が同時に重複して発生しても、複数の利用地の被災状況が考慮されない場合より適切に(例えば被災状況に応じて優先度をつけて)共同備品を配送することができる。
【0077】
<第6実施形態>
以下、本発明の備品発送管理装置、備品発送管理方法およびプログラムの第6実施形態について説明する。第6実施形態の備品発送管理装置100は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の備品発送管理装置100と同様に構成されている。従って、第6実施形態の備品発送管理装置100によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の備品発送管理装置100と同様の効果を奏することができる。
【0078】
図8は第6実施形態の備品発送管理装置100の一例を示す図である。図8に示す例では、備品発送管理装置100は、例えば、情報取得部110と、共同利用グループ設定部120と、配送管理部130と、リスク指標算出部140と、配送経路設定部150と、劣化度評価結果管理部170とを備える。
【0079】
情報取得部110は、例えば、利用地情報取得部112と、劣化度情報取得部118とを備える。劣化度情報取得部118は、バッテリ(共同備品)の劣化度を示す情報を取得する。バッテリの劣化度を示す情報には、例えばバッテリの電池容量、充放電効率などが含まれる。
【0080】
劣化度評価結果管理部170は、バッテリの発送時(図2に示す例では、バッテリが倉庫13から避難所16A、16Bまたは避難所16C、16Dに発送される時)にバッテリの劣化度の評価結果を管理する。配送管理部130は、バッテリの劣化度に応じてバッテリの発送先を設定する。
【0081】
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
所定の場合に提供される一以上の共同備品を共同利用する複数の利用者を、共同利用グループに設定し、
前記複数の利用者が前記共同備品を同時に必要とするリスクを示すリスク指標を算出し、
前記リスク指標に基づいて前記共同利用グループを設定する、
ように構成されている、備品発送管理装置100。
【0082】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0083】
100 備品発送管理装置
110 情報取得部
112 利用地情報取得部
113 災害発生履歴取得部
114 兆候情報取得部
116 被災状況情報取得部
118 劣化度情報取得部
120 共同利用グループ設定部
130 配送管理部
140 リスク指標算出部
150 配送経路設定部
160 被災状況予測部
170 劣化度評価結果管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8