(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】食器手洗い用液体洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/94 20060101AFI20231016BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20231016BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20231016BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20231016BHJP
C11D 1/83 20060101ALI20231016BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20231016BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20231016BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20231016BHJP
C11D 1/92 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
C11D1/94
C11D1/14
C11D1/88
C11D1/75
C11D1/83
C11D3/37
C11D17/08
C11D1/90
C11D1/92
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021149173
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2021-09-14
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ヤン・マリア・サヴェイン
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-082847(JP,A)
【文献】特表2018-517820(JP,A)
【文献】特開2020-196810(JP,A)
【文献】特表2015-500890(JP,A)
【文献】特開2004-051958(JP,A)
【文献】特開2013-082846(JP,A)
【文献】特開2005-171131(JP,A)
【文献】特開平11-302683(JP,A)
【文献】特開2017-078098(JP,A)
【文献】三輪三郎,講座ポリエーテル系非イオン界面活性剤(II),関税中央分析所報,(1969), No.9,pp.79-86
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
B08B 3/00- 3/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器手洗い用液体洗浄組成物であって、前記食器手洗い用液体洗浄組成物は、前記組成物全体の
15重量%~
40重量%の
界面活性剤系であって、前記界面活性剤系は、
a)前記界面活性剤系
の45重量%
~90重量%のアニオン性界面活性剤であって、前記アニオン性界面活性剤は、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも
90重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、
i.平均
10~1
4個の炭素原子を含むアルキル鎖を有し、
ii.
0.5未満の平均アルコキシル化度を有する、アニオン性界面活性剤と、
b)前記洗浄組成物の
2.0重量%~
10重量%の補助界面活性剤であって、前記補助界面活性剤は、ベタイン界面活性剤、及びベタイン界面活性剤とアミンオキシド界面活性剤との混合物からなる群から選択され、前記補助界面活性剤は、前記補助界面活性剤の少なくとも70重量%のベタイン界面活性剤を含む、補助界面活性剤と、を含む、界面活性剤系と、
前記組成物全体の0.
3重量%~
5.0重量%のポリプロピレングリコールであって、前記ポリプロピレングリコールは、500g/mol~1800g/molの重量平均分子量を有する、ポリプロピレングリコールと、を含
み、
前記ベタイン界面活性剤は、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、セチルベタイン、セチルアミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、デシルベタイン、デシルアミドプロピルベタイン、水素添加タローベタイン/アミドプロピルベタイン、イソステアルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、パームアミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、パーム核アミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、ウンデシルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルキルベタイン又はアルキルアミドアルキルベタインである、食器手洗い用液体洗浄組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤系は、前記界面活性剤系の
50重量%~
80重量%の前記アニオン性界面活性剤を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アニオン性界面活性剤は
、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤
からなる、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は
、アルコキシル化を含まない、請求項1~
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、平均1
2~1
3個の炭素原子を含むアルキル鎖を有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、
直鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤からなる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記補助界面活性剤は、前記補助界面活性剤の80重量%~100重量%のベタイン界面活性剤を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項8】
前記補助界面活性剤は、前記補助界面活性剤の90重量%~100重量%のベタイン界面活性剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ベタイン
界面活性剤は
、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン
、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン
、及びこれらの混合物からなる群から選択される
アルキルベタイン又はアルキルアミドアルキルベタインである、請求項1
~8に記載の
組成物。
【請求項10】
前記ベタイン界面活性剤は、コカミドプロピルベタインである、請求項1~9に記載の組成物。
【請求項11】
前記アニオン性界面活性剤と前記補助界面活性剤との重量比は、1:1~8:1である、請求項1~1
0のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記アニオン性界面活性剤と前記補助界面活性剤との重量比は、2:1~5:1である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリプロピレングリコールは、600g/mol~1500g/molの重量平均分子量を有する、請求項1~1
2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリプロピレングリコールはポリ-1,2-プロピレングリコールを含む、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項15】
前記ポリプロピレングリコールはポリ-1,2-プロピレングリコールからなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器手洗い用液体洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食器手洗い用洗浄組成物は、洗浄プロセス中に豊かな泡立ち特性を維持しつつ、汚れた食器から油脂を除去するのに非常に効果的であるように配合される。しかしながら、特にシンクでの食器洗いプロセス中に油脂汚れを除去することは引き続き困難であり、そのため、食器手洗い用組成物が、水を張ったシンクに希釈される。更に、油脂乳化が不十分であるために、特にこのように希釈され、シンクが一杯の状態での食器洗いプロセス中に、皿に油脂汚れが再付着しないようにすることは引き続き困難である。
【0003】
したがって、食器の手洗い中に、特に希釈条件下で改善された油脂乳化をもたらす食器手洗い用組成物に対する必要性が依然として存在する。
【0004】
欧州特許出願公開第0466243(A1)号は、未反応有機物及び水を実質的に含まない、二級アルキルスルフェート含有界面活性組成物を調製するためのプロセスに関する。欧州特許出願公開第3374486(A1)号は、1つ以上の直鎖状又は分枝鎖状C4~C11アルキル又はアリールアルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤と組み合わせて、1つ以上の分枝鎖状非アルコキシル化C6~C14アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含有する、改善された泡立ちプロファイルを有する洗浄組成物に関し、当該洗浄組成物は、布地の手洗いに使用するのに特に好適である。国際公開第2017079960(A1)号は、1つ以上の分枝鎖状非エトキシル化C6~C14アルキルサルフェート界面活性剤と1つ以上の直鎖状非アルコキシル化C6~C18アルキルサルフェート界面活性剤との組み合わせを含有する、改善された泡立ちプロファイルを有する洗浄組成物に関し、当該洗浄組成物は、食器又は布地の手洗いに特に好適である。国際公開第2009143091(A1)号は、効率的かつ効果的な起泡剤としてC14~C15アルコールとアルコールエトキシレートサルフェート界面活性剤とのブレンドを含む軽質液体洗剤組成物に関し、この界面活性剤ベースの製品は、食器手洗い用液体、液体皮膚洗浄剤、又は界面活性剤ベースの任意の種類の洗浄若しくはクレンジング製品であってよく、この軽質液体洗剤組成物は、アニオン性スルホネート界面活性剤と、アミンオキシドと、C14~C15アルコールサルフェートと、C14~C15アルコールエトキシレートサルフェートと、を含む。国際公開第2017097913(A1)号は、分枝鎖を有するアルキルサルフェートを含む食器用洗剤組成物に関し、この食器用洗剤組成物の屈折率は0.10以上0.30以下であり、この食器用洗剤組成物の粘度は、800mPa・s以上1800mPa・s以下であり、この食器用洗剤組成物は、食器用洗剤組成物の総量に基づいて、0.1質量%以上4.0質量%以下の含量のアルキルサルフェートを含む。国際公開第1998000488(A1)号は、界面活性剤系と、粘度を制御する溶媒と、組成物の適切な溶解度を確保するヒドロトロープと、組成物のゲル化を阻害する、有効量のゲル化防止ポリマーと、を含有する食器用液体組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第0466243(A1)号
【文献】欧州特許出願公開第3374486(A1)号
【文献】国際公開第2017079960(A1)号
【文献】国際公開第2009143091(A1)号
【文献】国際公開第2017097913(A1)号
【文献】国際公開第1998000488(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、組成物全体の5重量%~50重量%の界面活性剤系であって、界面活性剤系は、界面活性剤系の少なくとも40重量%のアニオン性界面活性剤であって、アニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤は、平均8~18個の炭素原子を含むアルキル鎖を有し、3.5未満の平均アルコキシル化度を有する、アニオン性界面活性剤と、洗浄組成物の0.1重量%~20重量%の補助界面活性剤であって、補助界面活性剤は、ベタイン界面活性剤、及びベタイン界面活性剤とアミンオキシド界面活性剤との混合物からなる群から選択され、補助界面活性剤は、補助界面活性剤の少なくとも70重量%のベタイン界面活性剤を含む、補助界面活性剤と、を含む界面活性剤系と、組成物全体の0.1重量%~10重量%のポリプロピレングリコールであって、ポリプロピレングリコールは、500g/mol~1800g/molの重量平均分子量を有する、ポリプロピレングリコールと、を含む食器手洗い用液体洗浄組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
油脂乳化に非常に効果的である食器手洗い用組成物は、本発明による食器手洗い用液体洗浄組成物を配合することによって提供することができることが判明しており、この食器手洗い用液体洗浄組成物は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、補助界面活性剤の少なくとも70%重量のベタインを含む補助界面活性剤との組み合わせを有する界面活性剤系を、500g/mol~1800g/molの重量平均分子量を有するポリプロピレングリコールと合わせて含む。
【0008】
定義
本明細書で使用するとき、特許請求項において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求される又は記載されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「含む」とは、特に言及したもの以外の工程、及び成分を付加することができることを意味する。この用語は、「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を包含する。本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるあらゆる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項を含み、これらからなり、あるいは、これらから本質的になることができる。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「食器類」は、非限定的な例として、セラミック、陶磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)及び木材から製造された調理器具及び食卓用食器類を含む。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「油脂」又は「油脂性の」は、物質が、少なくとも部分的に(すなわち、油脂の少なくとも0.5重量%)、飽和及び不飽和の脂肪及び油、好ましくは、牛肉、豚肉、及び/又は鶏肉などの動物性原料に由来する油及び脂肪を含んでいることを意味する。
【0012】
用語「含む(include/includes/including)」は、非限定的であることを意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「粒子状汚れ」は、無機及び特に有機の固体汚れ粒子、特に食品粒子、非限定的な例としては、超微粒子状元素状炭素、焼成された油脂粒子、及び肉粒子を意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「泡立ちプロファイル」とは、食器洗浄プロセスの間の泡の性質に関する洗浄組成物の特性のことを指す。洗浄組成物の「泡立ちプロファイル」という用語は、水性洗浄液中の洗浄組成物の溶解及び撹拌、典型的には手動撹拌の際に発生する泡の体積、並びに食器洗浄プロセス中の泡の保持を含む。好ましくは、「良好な泡立ちプロファイル」を有すると特徴付けられる食器手洗い用洗浄組成物は、特に食器手洗いプロセスのかなりの部分又は全体にわたって、大きな泡体積及び/又は持続性の泡体積を有する傾向がある。これは、十分な洗浄組成物が投入されたことの指標として消費者が泡の多さを使用しているので、重要である。更に、消費者は泡の体積が持続していることを、食器洗いプロセスの終盤に向かっていても、十分な活性洗浄成分(例えば、界面活性剤)が存在していることの目安としても使用する。消費者は、通常、泡立ちが少なくなったときに洗浄溶液を新しくする。したがって、低発泡洗浄組成物は、発泡レベルが低いことから、消費者によって必要以上に頻繁に補給される傾向がある。
【0015】
本明細書に述べられ、かつ特許請求される、出願人らによる発明のパラメータのそれぞれの値を判定するには、本出願の試験方法の項に開示される試験方法が使用されなければならない点は理解されよう。
【0016】
本発明の全ての実施形態では、特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、文脈から明らかであるように、全ての割合は、組成物全体の重量によるものである。特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、全ての比は重量比であり、全ての測定は、特に指定しない限り25℃で行われる。
【0017】
洗浄組成物
洗浄組成物は、液体形態の食器手洗い用洗浄組成物である。当該洗浄組成物は、好ましくは、水性洗浄組成物である。したがって、組成物は、組成物全体の重量に基づいて、50重量%~85重量%、好ましくは50重量%~75重量%の水を含み得る。
【0018】
組成物のpHは、20℃の蒸留水中10%の希釈で測定して、3.0~14、好ましくは6.0~12、より好ましくは8.0~10であり得る組成物のpHは、当該技術分野において既知のpH調整成分を使用して調整され得る。
【0019】
本発明の組成物は、ニュートン流体又は非ニュートン流体であり得るが、好ましくはニュートン流体である。好ましくは、組成物は、50mPa・s~5,000mPa・s、より好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、又は最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・s、あるいはこれらの組み合わせの粘度を有する。粘度は、40%~60%のトルクを達成するように粘度計のRPMが調整されたスピンドル31を使用して、ブルックフィールドRT粘度計で20℃で測定する。
【0020】
界面活性剤系
洗浄組成物は、組成物全体の5重量%~50重量%、好ましくは8重量%~45重量%、より好ましくは15重量%~40重量%の界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、界面活性剤系の少なくとも40%重量のアニオン性界面活性剤を含み、このアニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、このアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、平均8~18個の炭素原子を含むアルキル鎖と、3.5未満の平均アルコキシル化度とを有する。界面活性剤系は、0.1%~20%の補助界面活性剤を更に含み、この補助界面活性剤は、補助界面活性剤の少なくとも70重量%のベタイン界面活性剤を含む。
【0021】
アニオン性界面活性剤
泡立ちを改善するために、界面活性剤系は、界面活性剤系の重量の少なくとも40重量%、好ましくは45重量%~90重量%、より好ましくは50重量%~80重量%のアニオン性界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。最も好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート界面活性剤、最も好ましくは一級アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤からなる。したがって、界面活性剤系は、少量の更なる、HLASなどスルホネートを含むアニオン性界面活性剤又はスルホサクシネートアニオン性界面活性剤を含んでよいが、界面活性剤系は、好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤以外の更なるアニオン性界面活性剤を含まない。
【0022】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、平均8~18個の炭素原子、好ましくは10~14個の炭素原子、より好ましくは12~13個の炭素原子を含むアルキル鎖を有する。
【0023】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖のC12鎖及びC13鎖のモル分率は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。アルキル鎖のC13/C12モル比が少なくとも50/50、好ましくは60/40~80/20、最も好ましくは60/40~70/30であるとき、特に油脂汚れの存在下において、泡持続性が特に改善されると同時に、粒子状汚れの存在下において泡持続性が損なわれることはない。
【0024】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、本質的に直鎖状又は更には完全に直鎖状であるアルキル鎖を含み得る。したがって、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、10%未満の平均分枝度を有し得、好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤からなり、より好ましくは直鎖状アルキルサルフェート界面活性剤は、天然由来のアルキル鎖を含む。天然由来のアルキル鎖の好ましい供給源としては、パーム核及びココナッツ由来のアルキル鎖が挙げられ、パーム核由来アルキル鎖がより好ましい。天然由来のアルキル鎖は、所望の平均アルキル鎖長をもたらすために、並びにアルキル鎖長分布を調整するために分画され得る。C12~C14分画は、天然由来のアルキル鎖内のミッドカット分画と呼ばれることが多い。あるいは、本質的に直鎖状のアルキル鎖は、チーグラー法又はその派生法、有機アルミニウム化合物を使用してエチレンから脂肪族アルコールを生成する方法を使用して合成的に抽出され得る。反応は、偶数炭素鎖を有する直鎖一級アルコールを生成する。ここでも、C12~C14のアルキル分画が好ましく、チーグラーアルコール全体から分画され得る。
【0025】
あるいは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、少なくとも15%、好ましくは15%~50%、より好ましくは20%~40%の平均分枝度を有するように、分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0026】
洗剤組成物に使用される分枝鎖状アルキルサルフェート又はアルキルアルコキシサルフェートの分枝率は、分子ベースで計算される。「分枝鎖状」として販売されている市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤ブレンドは、典型的には、直鎖状アルキルサルフェート分子と分枝鎖状アルキルサルフェート分子とのブレンドを含むであろう。「分枝鎖状」として販売されている市販のアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤ブレンドは、典型的には、直鎖状アルキルサルフェート分子、分枝鎖状アルキルサルフェート分子、並びに直鎖状アルキルアルコキシサルフェート分子及び分枝鎖状アルキルアルコキシサルフェート分子のブレンドを含むであろう。分枝度の実際の計算は、以下の重量平均分枝度の計算で説明するように、最終硫酸化物ではなく、出発アルコール(及びアルキルアルコキシサルフェートブレンド用のアルコキシル化アルコール)に基づいて行われる。
【0027】
アニオン性界面活性剤混合物の重量平均分枝度は、以下の式を使用して計算することができる。
重量平均分枝度(%)=[(x1*アルコール1中の分枝アルコール1の重量%+x2*アルコール2中の分枝アルコール2の重量%+....)/(x1+x2+....)]*100
式中、x1、x2、...は、アルキル(アルコキシ)hサルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために(アルコキシル化及び)硫酸化の前に出発物質として使用したアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールの重量(グラム)である。重量平均分枝度の計算では、分枝していないアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を形成するために使用されたアルキルアルコールの重量が含まれる。
【0028】
重量平均分枝度及び分枝分布は、典型的には、界面活性剤又はそれを構成するアルキルアルコールの技術データシートから得ることができる。代替的に、分枝は、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリカラムにおける炎イオン化検出を伴うキャピラリガスクロマトグラフィを含む、当該技術分野において既知の分析方法を通して判定することもできる。重量平均分枝度及び分枝分布は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために使用した出発アルコールに基づく。
【0029】
分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含む。非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とC2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤との重量比は、好ましくは0.5超、より好ましくは1.0:1~5:1、最も好ましくは2:1~4:1である。
【0030】
C2分枝鎖状とは、アルキル分枝が、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖上で単一のアルキル分枝であり、非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤について硫酸基から炭素原子を数える、又はアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤についてサルフェート基から最も遠いアルコキシ基から数えて測定するときに、C2位に配置されることを意味する。
【0031】
非C2分枝とは、アルキル鎖が、アルキル鎖骨格に沿った複数の炭素位置での分枝、又はC2位以外のアルキル鎖上の分枝位置に存在する単一の分枝基を含むことを意味する。
【0032】
非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の30重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満のC1分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み得、最も好ましくは、非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C1分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含まない。
【0033】
非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%、好ましくは60~90重量%、より好ましくは70~80重量%の2位よりも大きい分枝位置で単一分枝を含む異性体を含み得る。すなわち、上記に定義したように、親水性頭部基から炭素原子2個以上離れている。非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の5重量%~30重量%、好ましくは7重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~15重量%の多分枝異性体を含み得る。非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非C2分枝鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の5重量%~30重量%、好ましくは7重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~15重量%の環状異性体を含み得る。存在する場合、非環状分枝基は、C1~C5アルキル基、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0034】
上述の分枝分布を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を使用し、エトキシル化をほとんど又は全く行わずに組成物を配合することにより、アルキルサルフェート界面活性剤の製造に使用される出発アルコールの違いによる粘弾性感度が低下し、その一方では、低温であっても製品安定性を改善し、泡持続性及び油脂洗浄を損なうことなく、より高い最終製品粘度に到達する能力も改善することが見出されている。
【0035】
更に、このような組成物では、低温における良好な物理的安定性を達成するために必要な溶媒がより少ない。したがって、組成物は、依然として良好な低温安定性を有しながら、洗浄組成物の5.0重量%未満の有機溶媒という低濃度の有機溶媒を含み得る。界面活性剤の分枝がより多いことによっても、初期の泡発生がより速くなるが、典型的には、泡持続性が低くなる。本明細書に記載の重量平均分枝は、低温安定性、初期泡生成、及び泡持続性を改善することが判明している。
【0036】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、3.5未満の平均アルコキシル化度を有する。油脂洗浄を改善するために、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、2.0未満、より好ましくは0.5未満の平均エトキシル化度を有し得、最も好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤はアルコキシル化を含まない。したがって、アルキルサルフェート界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の10重量%未満、好ましくは5重量%未満のアルコキシル化アルキルサルフェート界面活性剤を含み得、より好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤はアルコキシル化アルキルサルフェート界面活性剤を含まない。アルコキシル化される場合、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくはエトキシル化される。
【0037】
平均アルコキシル化度は、全てのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシル化のモル平均度数(すなわち、モル平均アルコキシル化度)である。したがって、モル平均アルコキシル化度を計算するとき、非アルコキシル化サルフェートアニオン性界面活性剤のモルが含まれる。
【0038】
モル平均アルコキシル化度=(x1*界面活性剤1のアルコキシル化度+x2*界面活性剤2のアルコキシル化度+....)/(x1+x2+....)
(式中、x1、x2、...は、混合物の各アルキル(又はアルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数であり、アルコキシル化度は、各アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤中のアルコキシ基の数である)。
【0039】
高エトキシル化度を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む洗剤組成物は、典型的には、アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤の製造に使用された出発アルコールの種類の変更に対して、また最終製品の粘度に大きな変化をもたらす、配合中に使用される溶媒の種類及び濃度に対してより敏感である。したがって、多くの場合、最終製品の粘度要件を満たしつつ、原材料のコスト及び/若しくは供給可能性の変化を活用するために、又は泡持続性又は洗浄性能全体に関する宣伝文句を支持して、組成物を再配合することはより困難である。
【0040】
エトキシル化アルキルサルフェートが存在する場合、理論に束縛されるものではないが、アルコキシル化、特にエトキシル化及び硫酸化の両工程中に加工条件及び原材料組成を厳密に管理することを通じて、アルコキシル化、特にエトキシル化されたアルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン副生成物の量を低減することができる。最近の技術の進歩に基づいて、1,4-ジオキサン副生成物は、続いてのストリッピング、蒸留、蒸発、遠心分離、マイクロ波照射、分子ふるい、又は触媒若しくは酵素分解工程によって、更に低減することができる。アルコキシル化/エトキシル化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン含量を管理するプロセスは、当該技術分野において広く知られている。代替的に、例えば、5,6-ジヒドロ-3-(4-モルホリニル)-1-[4-(2-オキソ-1-ピペリジニル)フェニル]-2(1H)-ピリドン、コラン酸の3-α-ヒドロキシ-7-オキソ-立体異性体混合物、3-(N-メチルアミノ)-L-アラニン、及びこれらの混合物など1,4-ジオキサン含有配合物に1,4-ジオキサン阻害剤を添加することによって、洗剤配合物内の1,4-ジオキサン濃度を管理することも当該技術分野において知られている。
【0041】
アニオン性界面活性剤の好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、好ましくはナトリウムである。
【0042】
市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによってブランド名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによってブランド名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter & Gamble Chemicals社によって製造された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。アルコールは、本発明による所望の平均アルキル鎖、平均分枝度、及び分枝分布の種類を達成するためにブレンドされ得る。好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、Sasol社からSafolというブランド名で市販されているものなどフィッシャー・トロプシュ由来のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。より好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも30重量%、好ましくは35重量%~75重量%、より好ましくは40重量%~60重量%のフィッシャー・トロプシュ由来のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。
【0043】
非C2分枝鎖状アルキル源としてのこのようなフィッシャー・トロプシュアルコールは、本発明で使用される所望のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を得るために、C2分枝鎖状アルコール源及び/又は天然ミッドカット分画アルコールとしてNeodol、Lial、又はIsalchemアルコールなどオキソ法由来のアルコールで補完され得る。オキソ法由来のアルコール以外の、又はそれに加えての代替的なC2分枝アルキル源は、米国特許出願第63/035125号及び同第63/035131号に記載されているものである。本発明によるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤に好適なアルコールブレンドとしては、(アルコールブレンド全体の)50重量%のSafol23A、30重量%のNeodol3、20重量%のミッドカット分画天然アルコール;50重量%のSafol23A、30重量%のNeodol3、20重量%のC13アルコール(米国特許出願第63/035125号及び同第63/035131号に開示されているように);並びに30重量%のSafol23A、30重量%のNeodol3、20重量%のミッドカット分画天然アルコール及び20重量%のC13アルコール(米国特許出願第63/035125号及び同第63/035131号に開示されているように)が挙げられる。これらのこのようなブレンド内の好ましいミッドカット分画天然アルコールは、パーム核由来のアルコールである。これらの好ましいパーム核由来のミッドカット分画天然アルコールは、典型的には、パーム核由来のミッドカット分画天然アルコールの約65重量%のC12アルコール、29重量%のC14アルコール、及び6重量%のC16アルコールを含む。代替的な好適なミッドカット分画アルコールは、パーム核由来のミッドカット分画アルコールに類似したミッドカット分画アルコール内のアルキル鎖分布を有する、ココナッツ由来のミッドカット分画アルコールである。
【0044】
補助界面活性剤
希釈後の界面活性剤の充填を改善し、ひいては泡持続性を改善するために、当該界面活性剤系は、補助界面活性剤を更に含む。補助界面活性剤は、ベタイン界面活性剤、及びベタイン界面活性剤とアミンオキシド界面活性剤との混合物からなる群から選択され、補助界面活性剤は、補助界面活性剤の少なくとも70重量%のベタイン界面活性剤を含む。補助界面活性剤は、補助界面活性剤の80重量%~100重量%、好ましくは90重量%~100重量%のベタイン界面活性剤を含み得、より好ましくは、補助界面活性剤はベタイン界面活性剤からなり、アミンオキシド界面活性剤を含まない。
【0045】
アニオン性界面活性剤と補助界面活性剤との重量比は、1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1であり得る。
【0046】
界面活性剤系は、洗浄組成物の0.1重量%~20重量%、好ましくは0.5重量%~15重量%、より好ましくは2.0重量%~10重量%の補助界面活性剤を含む。本発明の洗浄組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~35重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の補助界面活性剤を含み得る。
【0047】
好適なベタイン界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはアルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。ベタイン界面活性剤は、好ましくは次の式(I)を満たす。
R1-[CO-X(CH2)n]x-N+(R2)(R3)-(CH2)m-[CH(OH)-CH2]y-Y-
式(I)中、
R1は、飽和又は不飽和のC6~22アルキル残基、好ましくは、C8~18アルキル残基、より好ましくは、飽和C10~16アルキル残基、最も好ましくは、飽和C12~14アルキル残基からなる群から選択され、
Xは、NH、NR4(式中、R4は、C1~4アルキル残基である)、O、及びSからなる群から選択され、
nは、1~10、好ましくは2~5、より好ましくは3の整数であり、
xは、0又は1、好ましくは1であり、
R2及びR3は、独立して、C1~4アルキル残基、ヒドロキシエチルなどの置換されているヒドロキシ、及びこれらの混合からなる群から選択され、好ましくは、R2及びR3の両方がメチルであり、
mは、1~4の整数、好ましくは1、2、又は3の整数であり、
yは、0又は1であり、かつ
Yは、COO、SO3、OPO(OR5)O、又はP(O)(OR5)O(式中、R5は、H又はC1~4アルキル残基である)からなる群から選択される。
【0048】
好ましいベタインは、以下に示す、式(IIa)のアルキルベタイン、式(IIb)のアルキルアミドプロピルベタイン、式(IIc)のスルホベタイン、及び式(IId)のアミドスルホベタイン、並びにこれらの混合物である。
【化1】
(式中、R1は、式(I)と同じ意味を有する)。特に好ましいのは、式(IIa)及び(IIb)のカルボベタイン[すなわち、式(I)中、Y
-はCOO-である]であり、より好ましいのは、式(IIb)のアルキルアミドベタインである。
【0049】
好適なベタインは、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、セチルベタイン、セチルアミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、デシルベタイン、デシルアミドプロピルベタイン、水素添加タローベタイン/アミドプロピルベタイン、イソステアルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、パームアミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、パーム核アミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、ウンデシルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができるか、又は[INCIに従って命名される]。好ましいベタインは、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。コカミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0050】
界面活性剤系は、アミンオキシド界面活性剤を、補助界面活性剤としてのベタイン界面活性剤と合わせて含み得る。
【0051】
アミンオキシド界面活性剤は、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよいが、直鎖状が好ましい。好適な直鎖状アミンオキシドは、典型的には水溶性であり、式R1-N(R2)(R3)O(式中、R1は、C8~18アルキルであり、R2及びR3部分は、C1~3アルキル基、C1~3ヒドロキシアルキル基、及びこれらの混合からなる群から選択される)によって特徴付けられる。例えば、R2及びR3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、及び3-ヒドロキシプロピル、並びにこれらの混合からなる群から選択することができるが、R2及びR3の一方又は両方がメチルであることが好ましい。直鎖状アミンオキシド系界面活性剤としては、特に、直鎖状C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖状C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを挙げることができる。
【0052】
好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。C8~18アルキルジメチルアミンオキシド、又はC10~16アルキルジメチルアミンオキシド(ココジメチルアミンオキシドなど)などのアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。好適なアルキルジメチルアミンオキシドとしては、C10アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C10~12アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。好ましくは、アルキルジメチルアミンオキシドのアルキル鎖は、直鎖状アルキル鎖、好ましくはC12~C14アルキル鎖、より好ましくはココナッツ油又はパーム核油由来のC12~C14アルキル鎖である。
【0053】
代替的な好適なアミンオキシド界面活性剤としては、中鎖分枝状アミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用するとき、「中鎖分枝状」とは、アミンオキシドが、n1個の炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、当該アルキル部分における1つのアルキル分枝は、n2個の炭素原子を有することを意味する。アルキル分枝は、アルキル部分上の窒素からα炭素上に位置する。アミンオキシドのこの種の分枝は、当該技術分野において、内部アミンオキシドとしても既知である。n1とn2との合計は、10~24個、好ましくは12~20個、より好ましくは10~16個の炭素原子であってもよい。1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、好ましくは、1つのアルキル分枝(n2)と炭素原子数が同じか又は類似しており、それによりその1つのアルキル部分とその1つのアルキル分枝とが対称となるようになっている。本明細書で使用するとき、「対称」とは、本明細書で使用される中鎖分枝状アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%において、|n1-n2|が5個以下、好ましくは4個、最も好ましくは0~4個の炭素原子であることを意味する。アミンオキシドは、C1~3アルキル、C1~3ヒドロキシアルキル基、又は平均1~3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基から独立して選択される2つの部分を更に含む。好ましくは、それらの2つの部分は、C1~3アルキルから選択され、より好ましくは、いずれもがC1アルキルとして選択される。
【0054】
代替的に、アミンオキシド界面活性剤は、ローカットアミンオキシド及びミッドカットアミンオキシドの混合物を含む、アミンオキシドの混合物であってもよい。それゆえ、本発明の組成物のアミンオキシドは、
a)当該アミンオキシドの重量に基づいて、10重量%~45重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は、独立して、水素、C1~C4アルキル又はこれらの混合物から選択され、R3は、C10アルキル及びこれらの混合物から選択される)のローカットアミンオキシドと、
b)当該アミンオキシドの重量に基づいて、55重量%~90重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は、独立して、水素、C1~C4のアルキル、又はこれらの混合から選択され、R6は、C12~C16のアルキル又はこれらの混合から選択される)のミッドカットアミンオキシドと、を含み得る。
【0055】
本明細書での使用に好ましいローカットアミンオキシドでは、R3はn-デシルであり、好ましくはR1及びR2の両方がメチルである。式R4R5R6AOのミッドカットアミンオキシドでは、好ましくはR4及びR5の両方がメチルである。
【0056】
好ましくは、アミンオキシドは、当該アミンオキシドの5重量%未満、より好ましくは3重量%未満の式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は、水素、C1~C4アルキル及びこれらの混合物から選択され、R9は、C8アルキル及びこれらの混合物から選択される)のアミンオキシドを含む。式R7R8R9AOのアミンオキシドの量を制限することにより、物理的安定性及び泡持続性の両方が改善される。
【0057】
非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤は、好ましくはアルコキシル化アルキルアルコール、アルキルポリグルコシド、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、非イオン性界面活性剤はアルコキシル化アルキルアルコール、最も好ましくはエトキシル化アルコールから選択される。
【0058】
界面活性剤系は、界面活性剤系の1重量%~25重量%、好ましくは1.25重量%~15重量%、より好ましくは1.5重量%~10重量%の濃度で非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0059】
好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、直鎖状又は分枝鎖状、一級又は二級アルキルアルコキシル化非イオン性界面活性剤であってもよい。アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、アルキル鎖中に平均8~18個、好ましくは9~15個、より好ましくは10~14個の炭素原子を含み得る。
【0060】
アルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤が好ましい。好適なアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり平均5~12単位、好ましくは6~10単位、より好ましくは7~8単位のエチレンオキシドを含み得る。このようなアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤は、OXO-アルコール及びFisher Tropshアルコールなどの合成アルコール、若しくは天然由来のアルコール、又はこれらの混合物から誘導することができる。市販のアルキルエトキシレート非イオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによってブランド名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによってブランド名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されている合成アルコールに由来するもの、又はProcter & Gamble Chemicals社によって製造された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。
【0061】
この界面活性剤系は、アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤を含み得る。アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤は、典型的には、特に粒子状汚れの存在下で、アルキルエトキシル化アルコールなど他の非イオン性界面活性剤よりも泡立ちが良い。
【0062】
アルキルポリグルコシドとアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤との組み合わせは、重合油脂の除去、泡持続性能、界面活性剤及び/又は界面活性剤系の変更による粘度変動の低減、並びにより広範な界面活性剤の活性レベル範囲にわたるより持続的なニュートンレオロジーを改善することが見出されている。
【0063】
アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C6~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤から選択され得る。アルキルポリグルコシド界面活性剤は、0.1~3.0、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.2~1.6の数平均重合度を有し得る。アルキルポリグルコシド界面活性剤は、10個以下の炭素原子を含むアルキル鎖を有する短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と、10個超の炭素原子~18個の炭素原子、好ましくは12~14個の炭素原子を含むアルキル鎖を有する中長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤とのブレンドを含み得る。
【0064】
短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C8~C10の単峰性鎖長分布を有し、中長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C10~C18の単峰性鎖長分布を有し、その一方では、中鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤はC12~C14の単峰性鎖長分布を有する。対照的に、C8~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤は、典型的には、C8~C16などのようにC8~C18のアルキル鎖の単峰性分布を有する。したがって、短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と中長鎖又は中鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤との組み合わせは、ブレンドではないC8~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤よりも広い鎖長分布を有し、又は更には二峰性分布を有する。好ましくは、短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤との重量比は、1:1~10:1、好ましくは1.5:1~5:1、より好ましくは2:1~4:1である。このような短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤とのブレンドは、改善された泡立ち安定性と相まって、水中での洗剤溶液の溶解が速くなり、初期泡立ちが改善することが見出された。
【0065】
このアニオン性界面活性剤とアルキルポリグルコシド界面活性剤は、1:1超~10:1、好ましくは1.5:1~5:1、より好ましくは2:1~4:1の重量比で存在し得る。
【0066】
C8~C16アルキルポリグルコシドは、いくつかの供給元から市販されている(例えば、Seppic CorporationからのSimusol(登録商標)界面活性剤;及びBASF CorporationからのGlucopon(登録商標)600 CSUP、Glucopon(登録商標)650 EC、Glucopon(登録商標)600 CSUP/MB、並びにGlucopon(登録商標)650 EC/MB)。Glucopon(登録商標)215UPは、好ましい短鎖APG界面活性剤である。Glucopon(登録商標)600CSUPは、好ましい中長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤である。
【0067】
ポリプロピレングリコール:
組成物は、組成物全体の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.3重量%~5.0重量%、より好ましくは0.5重量%~3.0重量%のポリプロピレングリコールを含み得る。ポリプロピレングリコールはまた、多くの場合、ポリプロピレンオキシド、プロピレングリコールの重合生成物)と呼ばれる。
【0068】
ポリプロピレングリコールは、500g/mol~1800g/mol、好ましくは600g/mol~1500g/mol、より好ましくは700g/mol~1300g/molの重量平均分子量を有する。分子量は、Polymer Letters,v.4,pp.837-841(1966)又はJ.Polym.Sci:Part A,v.1,pp.1041-1048(1963)に記載の手段など任意の好適な手段によって測定され得る。
【0069】
ポリプロピレングリコールはポリ-1,2-プロピレングリコールを含み、好ましくはポリ-1,2-プロピレングリコールからなる。
【0070】
ポリプロピレングリコールは、プロピレンオキシドの開環重合によって製造され得る。好適な開始剤としては、触媒として水酸化カリウムなど塩基を有するアルコールが挙げられる。開始剤がエチレングリコール又は水である場合、ポリマーは直鎖状である。グリセリン、ペンタエリスリトール又はソルビトールなど多官能性開始剤を用いる場合、得られるポリマーは分枝鎖状である。直鎖状ポリプロピレングリコール、特に直鎖状ポリ-1,2-プロピレングリコールが最も好ましい。
【0071】
所望の分子量の1,2-ポリプロピレングリコールは、Dow companyからPolyglycol Pという商標名で市販されている。あるいは、所望の分子量のポリ-1,2-プロピレングリコールは、Sigma Aldrichから取り寄せることができる。
【0072】
更なる成分:
組成物は、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、環状ポリアミン、トリブロックコポリマー、塩、ヒドロトロープ、有機溶媒、本明細書に記載されるものなどの他の補助成分、及びこれらの混合物から選択されるものなど更なる成分を含み得る。
【0073】
両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン:
本発明の組成物は、組成物全体の約0.05重量%~約2重量%、好ましくは約0.07重量%~約1重量%の両親媒性ポリマーを更に含み得る。好適な両親媒性ポリマーは、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、その液体組成物を洗浄前に洗浄用具(スポンジなど)に直接添加し、その後、ひどく油脂で汚れた表面と接触するとき、特に、洗浄用具が少量~ゼロの水を含むとき、例えば、予め軽く湿らせたスポンジを使用するときに、洗浄される硬質表面上におけるゲル形成を低減することが判明している。
【0074】
好ましい両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、次の式(I)の一般構造を有する。
【0075】
【化2】
式中、ポリエチレンイミン主鎖の重量平均分子量は600であり、式(I)のnは平均10であり、式(I)のmは平均7であり、式(I)のRは、水素、C
1~C
4アルキル、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは水素である。式(I)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子の0%~22%であってよい。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは、10,000~15,000Daである。
【0076】
より好ましくは、両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(I)の一般構造を有するが、ポリエチレンイミン主鎖の重量平均分子量は600Daであり、式(I)のnの平均は24であり、式(I)のmの平均は16であり、式(I)のRは、水素、C1~C4アルキル、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは水素である。式(I)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン主鎖窒素原子の0%~約22%であってよく、好ましくは0%である。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは25,000~30,000Da、最も好ましくは28,000Daである。
【0077】
両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、国際公開第2007/135645号により詳細に記載されている方法によって作製することができる。
【0078】
環状ポリアミン
当該組成物は、洗浄を助けるアミン官能基を有する環状ポリアミンを含み得る。本発明の組成物は、好ましくは、組成物の0.1重量%~3重量%、より好ましくは0.2~2重量%、特に0.5重量%~1重量%の環状ポリアミンを含む。
【0079】
環状ポリアミンは、少なくとも2つの一級アミン官能基を有する。一級アミンは、環状アミン内の任意の位置に存在してもよいが、油脂洗浄の観点から、一級アミンが1、3位に存在するときにより良好な性能が得られることが分かっている。置換基のうちの1個が-CH3であり、残りがHである環状アミンが、改善された油脂洗浄性能を提供することも判明している。
【0080】
したがって、本発明の洗浄組成物で使用するのに最も好ましい環状ポリアミンは、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される環状ポリアミンである。これら特定の環状ポリアミンは、本発明の組成物の界面活性剤系と共に配合されたとき、食器洗浄プロセス全体を通して泡及び油脂洗浄プロファイルを改善する機能を有する。
【0081】
好適な環状ポリアミンは、Baxxodurという商標名でBASFによって供給され得、Baxxodur ECX-210が特に好ましい。
【0082】
環状ポリアミンと硫酸マグネシウムとの組み合わせが特に好ましい。したがって組成物は、組成物の0.001重量%~2.0重量%、好ましくは0.005重量%~1.0重量%、より好ましくは0.01重量%~0.5重量%の濃度で硫酸マグネシウムを更に含み得る。
【0083】
トリブロックコポリマー
本発明の組成物は、トリブロックコポリマーを含み得る。トリブロックコポリマーは、組成物全体の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~7.5重量%、より好ましくは1重量%~5重量%の濃度で存在し得る。好適なトリブロックコポリマーとしてはアルキレンオキシドトリブロックコポリマーが挙げられ、式(I):(EO)x(PO)y(EO)x(式中、EOはエチレンオキシドを表し、各xはEOブロック内のEO単位の数を表す)によるアルキレンオキシド部分を有するトリブロックコポリマーとして定義される。各xは、独立して、平均して5~50、好ましくは10~40、より好ましくは10~30であり得る。好ましくは、xは、両EOブロックについて同じであり、「同じ」とは、2つのEOブロック間でxの差が最大2単位以内、好ましくは最大1単位以内であり、より好ましくは、両xが同じ単位数であることを意味する。POは、プロピレンオキシドを表し、yは、POブロック中のPO単位の数を表す。各yは、平均して28~60、好ましくは30~55、より好ましくは30~48であり得る。
【0084】
好ましくは、トリブロックコポリマーの、yの各xに対する比は、3:1~2:1である。トリブロックコポリマーの、yの2つのEOブロックの平均xに対する比は、好ましくは3:1~2:1である。好ましくは、トリブロックコポリマーの全EOの平均重量割合は、当該トリブロックコポリマーの30重量%~50重量%である。好ましくは、トリブロックコポリマーの全POの平均重量割合は、当該トリブロックコポリマーの50重量%~70重量%である。トリブロックコポリマーにおけるEO及びPOの平均総重量%は合計100%になることが理解される。トリブロックコポリマーの平均分子量は、2060~7880、好ましくは2620~6710、より好ましくは2620~5430、最も好ましくは2800~4700であり得る。平均分子量は、1H NMR分光法(Thermo scientific application note No.AN52907を参照)を用いて求められる。
【0085】
トリブロックコポリマーは、基本構造ABAを有し、A及びBは異なるホモポリマー及び/又はモノマーの単位である。この場合、Aはエチレンオキシド(EO)であり、Bはプロピレンオキシド(PO)である。当業者は、語句「ブロックコポリマー」が「ブロックポリマー」のこの定義と同義であることを認識するであろう。
【0086】
特定のEO/PO/EO配置及びそれぞれのホモポリマーの長さを有する式(I)によるトリブロックコポリマーは、油脂汚れの存在下における食器手洗い用液体洗剤組成物の泡持続性能及び/又は洗浄プロセス中の希釈物全体にわたる泡の稠度を増強することが見出されている。
【0087】
好適なEO-PO-EOトリブロックコポリマーは、例えばPluronic(登録商標)PEシリーズとしてBASFから、また、例えばTergitol(商標)LシリーズとしてDow Chemical companyから市販されている。BASF製の特に好ましいトリブロックコポリマーは、商標名Pluronic(登録商標)PE6400(MW約2900、約40重量%EO)及びPluronic(登録商標)PE9400(MW約4600、40重量%EO)で販売されている。Dow Chemical Company製の特に好ましいトリブロックコポリマーは、商標名Tergitol(商標)L64(MW約2700、約40重量%EO)で販売されている。
【0088】
好ましいトリブロックコポリマーは、好気条件下で容易に生分解する。
【0089】
本発明の組成物は、塩、ヒドロトロープ、有機溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの活性物質を更に含み得る。
【0090】
塩:
本発明の組成物は、組成物全体の0.05重量%~2重量%、好ましくは0.1重量%~1.5重量%、又はより好ましくは0.5重量%~1重量%の塩、好ましくは一価若しくは二価の無機塩、又はこれらの混合物、より好ましくは、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択される塩を含み得る。塩化ナトリウムが最も好ましい。
【0091】
ヒドロトロープ:
本発明の組成物は、組成物全体の0.1重量%~10重量%、又は好ましくは0.5重量%~10重量%、又はより好ましくは1重量%~10重量%のヒドロトープ又はその混合物、好ましくはクメンスルホン酸ナトリウムを含んでもよい。
【0092】
有機溶媒:
組成物は、組成物全体の0.1重量%~10重量%、又は好ましくは0.5重量%~10重量%、又はより好ましくは1重量%~10重量%の有機溶媒を含み得る。好適な有機溶媒としては、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、及びこれらの混合物、好ましくはアルコール、グリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒が挙げられる。エタノールが好ましいアルコールである。ポリアルキレングリコール、特にポリプロピレングリコール(PPG)が好ましいグリコールである。ポリプロピレングリコールは、400~3000、好ましくは600~1500、より好ましくは700~1300の分子量を有し得る。ポリプロピレングリコールは、好ましくはポリ-1,2-プロピレングリコールである。
【0093】
補助成分
当該洗浄組成物は、所望により、ビルダー(好ましくはシトレート)、キレート剤、コンディショニングポリマー、他の洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、皮膚若返り活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、真珠光沢粒子、Ca/Mgイオンなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤(例えば、NaCl、並びに他の一価、二価、及び三価の塩などの塩)、並びにpH調整剤及び緩衝手段(例えば、クエン酸などのカルボン酸、HCl、NaOH、KOH、アルカノールアミン、炭酸ナトリウム、重炭酸塩、セスキ炭酸塩などの炭酸塩など)などの多くの他の補助成分を含み得る。
【0094】
洗浄方法
本発明の組成物は、食器類を手作業で洗う方法で使用され得る。好適な方法は、本発明の組成物を所定の体積の水に供給して洗浄溶液を形成する工程と、溶液中に食器類を浸漬する工程と、を含み得る。食器類は、水の存在下において組成物で洗浄される。
【0095】
典型的には、0.5mL~20mL、好ましくは3mL~10mLの洗剤組成物を、好ましくは液体形態で、水に添加して、洗浄液を形成することができる。使用される洗剤組成物の実際の量は、ユーザの判断に基づき、典型的には、洗剤組成物中の活性成分の濃度など洗浄組成物の特定の製品処方、洗浄される汚れた食器の数、食器の汚れの程度などの要因に依存するであろう。
【0096】
洗剤組成物は、2.0L~20L、典型的には5.0L~15Lの水と合わせて、シンクなどで洗浄液を形成することができる。得られた洗浄液に汚れた食器類を浸漬した後、当該食器類の汚れた表面を布、スポンジ、又は類似の洗浄用具を使ってこする。布、スポンジ、又は類似の洗浄用具は、典型的には、1~10秒の範囲の時間にわたって食器類と接触するが、実際の時間は、各用途及び使用者の好みによって異なるであろう。
【0097】
任意選択的に、続いて食器類をすすいでよい。本明細書では、「すすぐ」とは、本発明によるプロセスで洗浄された食器類を、かなりの量の水と接触させることを意味する。「かなりの量」とは、通常、1.0~20L又は流水下を意味する。
【0098】
あるいは、本明細書の組成物は、未希釈の形態で処理する食器類に適用できる。「未希釈の形態」とは、本明細書において、当該組成物が、適用前(直前)にユーザによって大幅に希釈されることなく、処理する表面及び/又は洗浄装置若しくは用具(ブラシ、スポンジ、不織布材料、又は織布材料)に直接適用されることを意味する。「未希釈の形態」はまた、例えば、洗浄装置における水の存在から生じるわずかな希釈、又は消費者がボトルから残りの量の組成物を除去するために消費者が水を添加することを含む。したがって、未希釈形態の組成物は、ユーザの習慣及び洗浄作業に応じて、50:50~100:0、好ましくは70:30~100:0、より好ましくは80:20~100:0、更により好ましくは90:10~100:0の範囲の比率で組成物及び水を有する混合物を含む。
【0099】
未希釈物を適用するこのような方法は、食器と未希釈の形態の食器手洗い用液体洗浄組成物を接触させる工程を含む。組成物は、その容器から食器に直接注がれてもよい。代替的に、組成物が最初に、ブラシ、スポンジ、不織布材料、又は織布材料などの洗浄装置又は用具に塗布されてもよい。洗浄装置又は用具、そしてその結果として未希釈形態の液体食器洗い用組成物は、次いで、汚れた食器の各々の表面に直接接触させられて、汚れを除去する。洗浄装置又は用具は通常、約1~約10秒の範囲の時間にわたって各食器表面と接触させられるが、実際の適用時間は、食器の汚れの程度などの要因に左右されることになる。当該洗浄装置又は用具を食器表面に接触させることは、好ましくは、同時にこすることを伴う
【0100】
続いて、清浄水への浸漬又は流水下のいずれかによって、食器類をすすぐことができる。
【0101】
試験法
本明細書に記載され、特許請求される発明がより完全に理解され得るためには、以下に記載するアッセイを用いなければならない。
【0102】
粘度:
粘度は、40%~60%のトルクを達成するように粘度計のRPMを調整したスピンドル31を使用して、ブルックフィールドRT粘度計を用いて20℃で測定する。
【実施例】
【0103】
補助界面活性剤の所要濃度でベタイン界面活性剤を含む界面活性剤系と、所望の範囲の分子量のポリプロピレングリコールと、を含む、本発明の組成物の油脂乳化の効能を、補助界面活性剤としてアミンオキシドを含む、若しくは所要の比率外のベタイン界面活性剤とアミンオキシド界面活性剤との比率を有する、及び/又は本発明の組成物に必要な分子量外の分子量を有するプロプロピレングリコールを含む比較組成物の油脂乳化効能と比較した。
【0104】
以下の食器手洗い用液体洗剤組成物を、バッチ式プロセスを使用して、室温で個々の原材料を一緒に混合することによって調製した。
【0105】
本発明の実施例1~3は、1000g/molの重量平均分子量を有するポリプロピレングリコールに加えて、少なくとも80%重量の補助界面活性剤がベタイン界面活性剤を含む補助界面活性剤を含んだ。
【0106】
対照的に、比較例Aは、補助界面活性剤としてアミンオキシドを有するベタインを含まず、1000g/molの重量平均分子量を有するポリプロピレングリコールを含んだ。比較例B及びCは、比較例Aと類似していたが、ベタイン及びアミンオキシド補助界面活性剤の両方を含み、ベタインは、それぞれ補助界面活性剤の50重量%及び60重量%になった。比較例D及びEは、補助界面活性剤の100重量%のベタインを含んだが、それぞれ、分子量が425g/mol及び2000g/molであるポリプロピレングリコールは含まなかった。
【0107】
【表1】
1 直鎖状
2 91/8、Shell供給
3 BASF供給
4 重量平均分子量
【0108】
【0109】
比較する際には、以下の試験プロトコルを使用した。
15mLの洗浄溶液を、30mLのガラスバイアル内の水中(5.4meq/L、42℃)で、0.32重量%の最終製品濃度で調製した。
【0110】
成分を合わせて60℃でブレンドすることにより、以下の組成物の油脂汚れを調製した。
【0111】
【0112】
油脂汚れを溶解させ、50℃の温度で保持した。次に、洗浄溶液中の汚れ濃度が2.0重量%に達するまで、溶解した油脂汚れを、ピペットで42℃の洗浄溶液に採取した。
【0113】
電磁攪拌器を使用して、汚れた洗浄溶液を直ちに15秒間ボルテックスし、次いで3分間撹拌することなく室温で放置した。次いで、試験サンプルの中央部から2mLをキュベットに移し、波長630nmのBeckman Coulter DU 800分光光度計を用いて光透過率を測定した。それぞれの汚れていない洗浄溶液の透過率も測定した。
【0114】
汚れた%透過率値から汚れていない%透過率値を減算し、4つの複製の平均値を報告した。負の透過率値が大きいほど良好なエマルション安定性を示す。これは乳化が不良であるほど、油脂が、光透過率の測定に干渉しない上部分離層へと高速で分離するためである。
【0115】
試験結果:
補助界面活性剤の少なくとも70重量%のベタイン界面活性剤と、所要の分子量のポリプロピレングリコールと、を含む本発明の組成物(実施例1~実施例3)は、より大きい負のΔ%透過率データから明らかであるように、油脂乳化を改善することが分かる。
【0116】
【0117】
【0118】
実施例3の乳化結果を比較例A、B、及びCの乳化結果と比較することにより、ベタイン界面活性剤が少なくとも70%の補助界面活性剤を含むように、本発明の組成物を配合することの利益が分かる。
【0119】
実施例3の結果を比較例D及びEと比較することにより、500g/mol~1800g/molの範囲の分子量のポリプロピレングリコールを用いて乳化が改善することが分かる。
【0120】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。